JP6238411B2 - 非水二次電池用電解液および非水二次電池 - Google Patents
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Description
本発明はかかる状況に鑑みてなされたものであり、電池性能の低下を抑制しつつ、難燃性を向上させることができる非水電解液および二次電池の提供を目的とする。また、必要により、高電位や高温・低温の使用条件にも適合し、上記の優れた性能を発揮する非水二次電池用電解液および二次電池の提供を目的とする。
〔1〕非水溶剤、電解質、リン含有化合物(A)および金属錯体(B)を含有し、
上記金属錯体(B)が、下記式(I)で表される化合物、下記式(II)で表される部分構造を有し、Mmに配位する配位子がNRm3Rm4のみである化合物、下記式(1)で表される化合物または下記式(8’)で表される化合物であり、
上記リン含有化合物(A)が下記式(A1)で表される化合物または下記式(A2)で表される構造を有する化合物である非水二次電池用電解液。
Rm1はアルキル基、アルキルシリル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アミド基、アシルオキシ基、シアノ基、カルボキシル基、カルボニル基含有基、スルホニル基含有基、ホスフィノ基またはハロゲン原子を表す。複数のRm1が互いに連結して、脂肪族性または芳香族性の環を形成してもよい。
aは0〜5の整数を表す。
XmおよびYmはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、シリルアミノ基、スルホン酸基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、−(S)n−Ra、ホスフィニル基、カルボニル基含有基、ハロゲン原子、アリール基またはヘテロアリール基を表す。ここで、Raは水素原子または置換基を表し、nは1〜8の整数を表す。さらに、XmとYmが互いに連結して、Mmを含む環を形成してもよい。
m1およびn1は0≦m1+n1≦3を満たす整数である。cは0〜2の整数である。
T1は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、シリルアミノ基、スルホン酸基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、スルファニル基、ホスフィニル基、カルボニル基含有基、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロアリール基、または上記式(CP)で表される基を表す。
式(CP)中、Rm2はRm1と同義の基を表す。*はMmと結合する結合手を表す。bは0〜5の整数を表す。Rm1とRm2は互いに連結していてもよい。
式(II)中、Mmは中心金属であって、遷移元素または希土類元素を表す。
Rm3およびRm4は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキルシリル基またはハロゲン原子を表す。Rm3とRm4は互いに連結していてもよい。
式(1)中、Mは中心金属を表す。
A1は芳香族環または芳香族複素環を表す。
R1はアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基またはアルケニル基を表す。R1が複数ある場合、R1は互いに結合もしくは縮合してもよく、複数のR1で環を形成してもよい。
XはCR2または窒素原子を表す。ここで、R2は水素原子、アルキル基、アルケニル基、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基またはアリールチオ基を表す。R1とR2は互いに結合または縮合して環を形成してもよい。
Yは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、シリルアミノ基、スルホン酸基、イソシアン酸基、イソチオシアン酸基、−S−Ra、ホスフィニル基、カルボニル基含有基およびハロゲン原子から選択される1座の配位子を表す。ここで、Raは水素原子または置換基を表す。
R3は置換基を表す。
kは1〜4の整数を表す。lは0〜3の整数を表す。mは0〜2の整数を表す。
式(8’)中、Moは中心金属であって、遷移元素または希土類元素を表す。
Roはアルキル基、アルキルシリル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アミド基、アシルオキシ基、シアノ基、カルボキシル基、カルボニル基含有基、スルホニル基含有基、ホスフィノ基またはハロゲン原子を表す。Rooは水素原子またはRoで規定される基を表す。複数のRoは互いに異なっていてもよい。
noは1〜8の整数を表す。
〔2〕上記金属錯体(B)の中心金属が第4〜第8族遷移元素またはランタノイドである〔1〕に記載の非水二次電池用電解液。
〔3〕上記式(1)で表される化合物が下記式(2)〜(5)のいずれかで表される〔1〕または〔2〕に記載の非水二次電池用電解液。
〔4〕上記式(A2)で表される構造を有する化合物が下記式(A2−1)または(A2−2)で表される〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載の非水二次電池用電解液。
〔5〕上記式(A2−1)で表される構造を有する化合物が下記式(A2−1−1)または(A2−1−2)のいずれかで表される〔4〕に記載の非水二次電池用電解液。
〔6〕上記Ra51〜Ra52がジアルキルアミノ基である〔5〕に記載の非水二次電池用電解液。
〔7〕電解液が更に、芳香族性化合物、ハロゲン含有化合物、重合性化合物、硫黄含有化合物、ケイ素含有化合物、ニトリル化合物、ホウ素含有化合物およびイミド化合物から選ばれる少なくとも1種を含有する〔1〕〜〔6〕のいずれか1つに記載の非水二次電池用電解液。
〔8〕上記リン含有化合物(A)の電解液(電解質を含む全量)中の濃度が0.5質量%以上30質量%以下である〔1〕〜〔7〕のいずれか1つに記載の非水二次電池用電解液。
〔9〕上記金属錯体(B)の電解液(電解質を含む全量)中の濃度が0.001質量%以上10質量%以下である〔1〕〜〔8〕のいずれか1つに記載の非水二次電池用電解液。
〔10〕上記リン含有化合物(A)の含有量(100質量部)に対して、上記金属錯体(B)の含有量が0.01質量部以上10質量部以下である〔1〕〜〔9〕のいずれか1つに記載の非水二次電池用電解液。
〔11〕上記金属錯体(B)の中心金属が、Ti、Zr、HfまたはVである〔1〕〜〔10〕のいずれか1つに記載の非水二次電池用電解液。
〔12〕正極、負極および〔1〕〜〔11〕のいずれか1つに記載の非水二次電池用電解液をそれぞれ具備する非水二次電池。
〔13〕上記正極の活物質が、Niおよび/またはMn原子を含有する〔12〕に記載の非水二次電池。
〔14〕上記負極の活物質が、炭素、ケイ素、チタンおよびスズから選ばれる少なくとも1種を含有する〔12〕または〔13〕に記載の非水二次電池。
リン含有化合物(A)としては、特に制限はないが、P−O結合、P=O結合、P−N結合、P=Nから選ばれる少なくとも1種を有している化合物が好ましい。リン含有化合物(A)としては下記式(A1)で表される化合物または下記式(A2)で表される構造を有する化合物が好ましい。
このため、本発明では、リン含有化合物(A)として下記式(A1)で表される化合物または下記式(A2)で表される構造を有する化合物を使用する。
Ra11〜Ra13は、それぞれ独立に、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、または−(CH2)n3C(=O)−(O)m3Rb4(n3=0または1、m3=0または1、Rb4はアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはアラルキル基である。)である。
Xnは酸素原子、硫黄原子、N(Ra14)を表す。Ra14は水素原子または1価の置換基を表す。
Ra11〜Ra13におけるアルキル基としては炭素数1〜4が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などが挙げられる。
アラルキル基としては、炭素数7〜20のアラルキル基であることが好ましく、炭素数7〜11のアラルキル基であることがより好ましい。具体的には、−Alk−Arにおいて、Alkが炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、Arが炭素数6〜14のアリール基が好ましい。
アルコキシ基としては炭素数1〜8が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などの無置換アルコキシ基、2、2、2−トリフロロエトキシ基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロイソプロポキシ基、パーフロロブチルエチル基などのフッ素置換されたアルコキシ基が挙げられ、メトキシ基、2、2、2−トリフロロエトキシ基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロイソプロポキシ基が好ましい。
アラルキルオキシ基としては、炭素数7〜20のアラルキルオキシ基であることが好ましく、炭素数7〜11のアラルキルオキシ基であることがより好ましい。具体的には、−O−Alk−Arにおいて、Alkが炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、Arが炭素数6〜14のアリール基が好ましい。
アリールオキシ基としてはフェノキシ基、フッ素置換されたフェノキシ基が好ましい。
ハロゲン原子としては塩素原子、フッ素原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
アミノ基としてはジアルキルアミノ基が好ましく、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基など総炭素数2〜8のジアルキルアミノ基が好ましい。
−(CH2)n3C(=O)−(O)m3Rb4におけるRb4としては、アルキル基(炭素数1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3が特に好ましい)、アルケニル基(炭素数2〜12が好ましく、2〜6がより好ましい)、アリール基(炭素数6〜22が好ましく、6〜14がより好ましく、6〜10が特に好ましい)、アラルキル基(炭素数7〜23が好ましく、7〜15がより好ましく、7〜11が特に好ましい)が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましい。
Ra14における1価の置換基として好ましくはアルキル基(炭素数1〜6が好ましい)、−S(=O)2Ra15(Ra15はアルキル基(炭素数1〜6が好ましい)、アリール基(炭素数6〜14が好ましい)、アラルキル基(炭素数7〜15が好ましい)、アルケニル基(炭素数1〜6が好ましい))、−P(=O)(Ra16)2(Ra16はアルコキシ基(炭素数1〜6が好ましい)、アリールオキシ基(炭素数6〜14が好ましい)、アルキル基(炭素数1〜6が好ましい)、アリール基(炭素数6〜14が好ましい)、ハロゲン原子)を挙げることができる。
上記のアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、Rb4、Ra14、Ra15、Ra16は置換基Tを有してもよく、なかでもハロゲン原子(フッ素原子)を有することが好ましい。
Ra21はそれぞれ独立に1価の置換基を表す。近接のR21は置換基同士が環を形成していても良い。n2は2以上の整数を表し、結合端同士が結合して環を形成しても良い。n2は2以上6以下が好ましく、3又は4がより好ましい。
Ra21としては、ハロゲン原子(特にフッ素原子が好ましい)、アルキル基(炭素数1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3が特に好ましい)、アルコキシ基(炭素数1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3が特に好ましい)、チオアルコキシ基(炭素数1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3が特に好ましい)、アリールオキシ基(炭素数6〜22が好ましく、6〜14がより好ましい)、アリールチオ基(炭素数6〜22が好ましく、6〜14がより好ましい)、アラルキル基(炭素数7〜23が好ましく、7〜15がより好ましい)、アミノ基(炭素数0〜6が好ましく、0〜3がより好ましい)が挙げられる。
Ra21としてより好ましくはアルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、アミノ基である。アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などの無置換アルコキシ基、2、2、2−トリフロロエトキシ基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロイソプロポキシ基、パーフロロブチルエチル基などのフッ素置換されたアルコキシ基が好ましい。
アリールオキシ基としはフェノキシ基、フッ素置換フェノキシ基が好ましい。
Ra21がアミノ基である場合、N(Ra23)2として示されることが好ましい。Ra23は、一価の置換基であり、炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜3のアルキル基が特に好ましい。2つのRa23は互いに異なっていてもよい。Ra23は互いに結合してまたは縮合して環を形成していてもよい。このとき、窒素原子、酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を取り込んでいてもよい。形成される環として好ましくは、5員環または6員環が好ましい。5員環としては、含窒素の5員環を含む化合物が好ましく、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、インダゾール、インドール、ベンゾイミダゾール、ピロリジン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、インドリン、カルバゾール、またはこれらの誘導体など(いずれもN置換)が挙げられる。6員環としては、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、またはこれらの誘導体など(いずれもN置換)が挙げられる。
上記リン含有化合物の非水二次電池用電解液中の濃度は特に限定されないが、電解質を含む量を全量として、0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることが特に好ましい。上限側の規定としては、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが特に好ましい。リン含有化合物をこの下限値以上で配合することにより、十分な難燃性を付与することができ、かつ電池性能においても良好な充放電性を実現することができる。
金属錯体は、金属原子またはイオンに他の原子、分子、イオンが結合した化学種をいう。結合の種類としては、共有結合、イオン結合、配位結合が挙げられる。これらの中でも金属−炭素結合(アルケン錯体、シクロペンタジエニル錯体などの金属−炭素π結合も含む)、金属−窒素結合、金属−酸素結合、金属−硫黄結合、金属−リン結合から選ばれる少なくとも1種を含有していることが好ましい。また、金属に結合している他の原子、分子、イオン(これらを配位子と呼ぶこともある)のうち少なくとも1つは炭素原子を有する有機金属錯体であることが好ましい。
本発明において、「中心金属」とは、金属元素の他、金属酸化物も含めるものとする。中心金属は、第4族遷移元素(例えば、Ti、Zr、Hfなど)、第5族遷移元素(例えば、V、Nb、Taなど)、第6族遷移元素(例えば、Cr、Moなど)、第7族遷移元素(例えば、Mnなど)、第8族遷移元素(例えば、Fe、Ruなど)、第11族遷移元素(例えば、Cuなど)、第12族遷移元素(例えば、Znなど)などが挙げられる。中でも、第4族〜第8族遷移元素が好ましく、Ti、Zr、Hf、Vであることがより好ましく、Ti、Zrであることが最も好ましい。希土類金属元素としては、具体的に、ランタノイド(例えば、Y、La、Ce、Sw、Nd、Lu、Er、Yb、Gdなど)が挙げられる。中でも、Ce、Cd、Erであることが好ましい。非遷移金属としてはAl、Si、Sn、Sbが好ましい。金属酸化物としては、上記で例示した金属元素の酸化物が挙げられ、上記好ましい範囲で例示した金属元素の酸化物が好ましい。
金属−炭素結合を形成する配位子としては、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基などが挙げられる。金属−炭素π結合を形成する配位子としては、アルケン配位子、アリル配位子、シクロペンタジエニル構造を有する配位子が挙げられる。
金属−窒素結合を形成する配位子としては*−NR−*(Rは1価の有機基)、*−N−−*、*−C(=O)−N−−*、*−N=*から選ばれる構造を有する配位子が揚げられる(*は結合手)。ピリジン構造、イミダゾール構造、フェナントロリン構造など含窒素ヘテロ環構造も好ましい。
金属−酸素結合を形成する配位子としては、アルコキシド、アリールオキシド、カルボニル基、カルボキシレート基、エーテル基、などが挙げられる。金属アルコキシド、金属アセチルアセトナト錯体、金属カルボキシレート錯体などが好ましい。
金属−硫黄結合を形成する配位子としては、チオカルボキシレート、チオレートなどが挙げられる。
金属−リン結合を形成する配位子としては、ホスフィン誘導体が挙げられる。
Rm1はアルキル基(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜3)、アルキルシリル基(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜3)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜6、より好ましくは炭素数2または3)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜6、より好ましくは炭素数2または3)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜3)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜3)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜6、より好ましくは炭素数1〜4)、アミド基(カルバモイル基)(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜3)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜3)、シアノ基、カルボキシル基、カルボニル基含有基(Ra−CO−)(好ましくは炭素数2〜7、より好ましくは炭素数2〜4)、スルホニル基含有基(Ra−SO2−)、ホスフィノ基[PR2−:Rは水素原子またはアルキル基](好ましくは炭素数0〜6、より好ましくは炭素数1〜3)、またはハロゲン原子を表す。複数のRm1 が互いに連結して脂肪族性または芳香族性の環を形成してもよい。
aは0〜5の整数を表す。なかでも、0〜4が好ましく、最も好ましくは0あるいは1である。aが2以上のとき、そこで規定される複数の基は互いに同じでも異なっていてもよい。
Xm,Ymはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜3)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜6、より好ましくは炭素数2または3)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜3)、アルキルアミノ基(好ましくは炭素数2〜10、より好ましくは炭素数2〜6)、シリルアミノ基(好ましくは炭素数0〜10、より好ましくは炭素数2〜6)、スルホン酸基、イソシアネート基(NCO)、イソチオシアネート基(NCS)、スルファニル基(Ra−(S)n−)(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜3、nは1〜8の整数を表す。)、ホスフィニル基((Ra)2(O=)P−)(好ましくは炭素数0〜10、より好ましくは炭素数0〜6)、カルボニル基含有基(Ra−CO−)(好ましくは、炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜3)、ハロゲン原子、アリール基(好ましくは、炭素数6〜22、より好ましくは炭素数6〜10)、またはヘテロアリール基(好ましくは炭素数2〜8、より好ましくは炭素数2〜4)を表す。Xm,Ymはそれぞれあるいは互いに結合ないし縮合してM m を含む環を形成していてもよい。例えば、複数のスルファニル基が結合し環状のポリスルフィドとして配位していてもよい。なかでも、メチル基、n−ブチル基、ジアルキルアミノ基、ビス(トリアルキルシリル)アミノ基、イソチアシアネート(NCS)基、Xm,Ymが縮環したM m を含む環状アルケニル基(ブタジエン配位型メタラサイクル)が好ましい。上記Xm,Ymは、さらに置換基を有していてもよく、その好ましいものとしては、後記置換基Tの例が挙げられる。置換基としては、なかでも、ヘテロ環基、ハロゲン原子、シリル基、アルキル基などが好ましい。
m1,n1は0≦m1+n1≦3を満たす整数である。n1+m1は1以上であることが好ましい。m1,n1が2以上のとき、そこで規定される複数の基は互いに同じでも異なっていてもよい。
T1は、水素原子、アルキル基(炭素数1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3が特に好ましい)、アルケニル基(炭素数2〜12が好ましく、2〜6がより好ましい)、アルコキシ基(炭素数1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3が特に好ましい)、アルキルアミノ基(炭素数2〜12が好ましく、2〜6がより好ましい)、シリルアミノ基(炭素数1〜12が好ましく、1〜6がより好ましい)、スルホン酸基、イソシアネート基(NCO)、イソチオシアネート基(NCS)、スルファニル基(SH)、ホスフィニル基、カルボニル基含有基、ハロゲン原子、アリール基(炭素数6〜22が好ましく、6〜14がより好ましく、6〜10が特に好ましい)、ヘテロアリール基(炭素数1〜12が好ましく、2〜5がより好ましい)、または式(CP)で表される基である。なかでも、水素原子、メチル基、n−ブチル基、アルキルアミノ基(好ましくは炭素数1〜6)、または式(CP)で表される基であることが好ましい。
Mm−NRm3Rm4 ・・・ 式(II)
Mm−(NRm3Rm4)q ・・・ 式(IIa)
*−E−A1−X=N(R1)−* ・・・(L)
式(L)のA1、X、R1については、後記式(1)の項で説明するものと同じであり、その好ましいものも同義である。*は中心金属との結合位置を示す。Eは酸素原子または硫黄原子を表す。
式(1)中、Mは中心金属を表す。中心金属をなす遷移元素としては、具体的に、第4族遷移元素(例えば、Ti、Zr、Hfなど)、第5族遷移元素(例えば、V、Nb、Taなど)、第6族遷移元素(例えば、Cr、Moなど)、第7族遷移元素(例えば、Mnなど)、第8族遷移元素(例えば、Fe、Ruなど)、第11族遷移元素(例えば、Cuなど)、第12族遷移元素(例えば、Znなど)などが挙げられる。中でも、第4族〜第8族遷移元素が好ましく、Ti、Zr、Hf、V、Crであることがより好ましい。希土類金属元素としては、具体的に、ランタノイド(例えば、Y、La、Ce、Sw、Nd、Lu、Er、Yb、Gdなど)が挙げられる。中でも、Ce、Gd、Erであることが好ましい。金属酸化物としては、上記で例示した金属元素の酸化物が挙げられ、上記好ましい範囲で例示した金属元素の酸化物が好ましい。
中心金属は、以下にまとめて記載すると、第4族〜第8族遷移元素またはランタノイドがより好ましく、Ti、Zr、ZrO、Hf、HfO、V、Nb、NbO、Ta、Cr、Mo、MoO、Mn、Fe、Ru、Cu、Zn、Ce、Gd、Erがさらに好ましく、Ti、Zr、ZrO、Hf、V、Cr、Fe、Ceが特に好ましく、Ti、Zr、Hf、V、Crが最も好ましい。
式(1)中、A1は、芳香族環または芳香族複素環を表す。芳香族環は、炭素数6〜14の芳香族環が好ましく、具体的には、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環などが挙げられ、中でも、ベンゼン環がより好ましい。芳香族複素環は、炭素数2〜12の芳香族複素環が好ましく、具体的には、ピロール環、チオフェン環、チアゾール環、オキサゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾピラゾール環などが挙げられ、中でも、ピラゾール環、(イミダゾール環、オキサゾール環、ピリジン環)がより好ましく、ピラゾール環がさらに好ましい。A1は、ベンゼン環またはピラゾール環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。
式(1)中、R1は、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、またはアルケニル基を表す。アルキル基は、直鎖構造でも分岐構造でも環状構造でもよく、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数3〜6のシクロアルキル基がより好ましい。炭素数1〜6のアルキル基としては、具体的に、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどが挙げられ、中でも、メチル、エチルが好ましい。炭素数3〜6のシクロアルキル基としては、具体的に、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられ、中でも、シクロヘキシルが好ましい。アリール基は、炭素数6〜14のアリール基が好ましく、具体的には、フェニル、ナフチル、アントラセニルなどが挙げられ、中でも、フェニルがより好ましい。ヘテロアリール基は、炭素数1〜12のヘテロアリール基が好ましく、具体的には、環を構成する化合物名でいうと、ピロール、チオフェン、チアゾール、オキサゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾピラゾールなどが挙げられ、中でも、トリアジン、ピラジンがより好ましい。アルケニル基は、炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、具体的には、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、1−ヘキセニル、3−ヘキセニルなどが挙げられ、中でも、エテニルがより好ましい。上記各基は、さらに置換基を有してもよく、アルキル基(好ましくは、メチル、エチル、イソプロピル、シクロヘキシル)、アルコキシ基(好ましくは、メトキシ、エトキシ)、アリール基(好ましくは、フェニル)、ハロゲン原子(好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)が挙げられる。R1が分子内に複数ある場合、R1は互いに結合もしくは縮合してもよい。このとき、複数のR1で環を形成していてもよい。R1が隣接する配位子間で結合ないし縮合する形態を含めていうと、R1はアルキル基、アリール基、またはアルケニル基が好ましく、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数2〜6のアルケニル基がより好ましく、シクロヘキシル基、フェニル基、エテニル基がさらに好ましい。
Xは、CR2または窒素原子を表し、CR2が好ましい。
R2は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基(チオール基)、アルキルチオ基、またはアリールチオ基を表す。アルキル基は、直鎖構造でも分岐構造でも環状構造でもよく、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数3〜6のシクロアルキル基がより好ましい。炭素数1〜6のアルキル基としては、具体的に、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどが挙げられ、中でも、メチル、エチルが好ましい。炭素数3〜6のシクロアルキル基としては、具体的に、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられ、中でも、シクロヘキシルが好ましい。アルケニル基は、炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、具体的には、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、1−ヘキセニル、3−ヘキセニルなどが挙げられ、中でも、エテニルがより好ましい。アルコキシ基は、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましく、具体的には、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、シクロヘキシルオキシなどが挙げられ、中でも、メトキシ、エトキシがより好ましい。アリールオキシ基は、炭素数6〜14のアリールオキシ基が好ましく、具体的には、フェノキシ、ナフトキシなどが挙げられ、中でもフェノキシがより好ましい。アルキルチオ基は、炭素数1〜6のアルキルチオ基が好ましく、具体的には、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、t−ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオなどが挙げられ、中でも、メチルチオ、エチルチオが好ましい。アリールチオ基は、炭素数6〜14のアリールチオ基が好ましく、具体的には、フェニルチオ、ナフチルチオなどが挙げられ、中でもフェニルチオがより好ましい。R2は、水素原子、水酸基、メルカプト基が好ましく、水素原子がより好ましい。
R3は、置換基を表す。R3は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アルケニル基、ハロゲン原子が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜6のアルケニル基がより好ましく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、t−ブチル、パーフルオロメチル、メトキシ、フェニル、エテニルがさらに好ましい。上記各基は、さらに置換基を有してもよく、アルキル基(好ましくは、メチル、エチル、イソプロピル、シクロヘキシル)、アルコキシ基(好ましくは、メトキシ、エトキシ)、アリール基(好ましくは、フェニル)、ハロゲン原子(好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)が挙げられる。R3が複数存在する場合、互いに結合もしくは縮合して環を形成してもよい。
Yは1座の配位子を表す。Yは、具体的には、水素原子、アルキル基(好ましくは、炭素数1〜6)、アルケニル基(好ましくは、炭素数2〜6)、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜6)、アルキルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜10)、シリルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜10)、スルホン酸基、イソシアン酸基(NCO)、イソチオシアン酸基(NCS)、スルファニル基(Ra−S−)(好ましくは、炭素数1〜6)、ホスフィニル基(RaO(Ra)PO−)(好ましくは、炭素数0〜10)、カルボニル基含有基(Ra−CO−)(好ましくは、炭素数1〜6)、ハロゲン原子、アリール基(好ましくは、炭素数6〜22)、またはヘテロアリール基(好ましくは、炭素数3〜8)が挙げられる。ここで、Raは、アルキル基(好ましくは、炭素数1〜6)を表す。Yは、炭素数1〜6のアルキル基またはビス(トリアルキルシリル)アミノ基が好ましく、メチル基またはビス(トリメチルシリル)アミノ基がより好ましい。
kは、1〜4の整数を表し、2〜4の整数が好ましい。kが2以上のとき、そこで規定される複数の構造部は互いに同じであっても、異なっていてもよい。
lは0〜3の整数を表し、0〜2の整数が好ましい。lが2以上のとき、そこで規定される複数の構造部は互いに同じであっても、異なっていてもよい。
mは0〜2の整数を表す。mが2以上のとき、そこで規定される複数の構造部は互いに同じであっても、異なっていてもよい。
A2は、式(1)におけるA1と同義であり、好ましい範囲も同じである。
B1およびB2は、それぞれ独立に、含窒素芳香族複素環を表す。含窒素芳香族複素環は、環構造中に、窒素原子の他に、酸素原子または硫黄原子のようなヘテロ原子が含まれていてもよい。含窒素芳香族複素環は、炭素数1〜12の含窒素芳香族複素環が好ましく、具体的には、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾピラゾール環、キノリン環、イソキノリン環などが挙げられ、中でも、ピリジン環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、キノリン環がより好ましく、ピリジン環がさらに好ましい。
R4〜R6は、式(1)におけるR3と同義であり、好ましい範囲も同じである。R4とR6は、互いに結合もしくは縮合してB1およびB2の一部とともに環を形成してもよい。形成される環は、芳香族環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。
R7およびR8は、それぞれ独立に、式(1)におけるR2と同義であり、好ましい範囲も同じである。
Lは、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、またはアルケニレン基を表す。アルキレン基は、直鎖構造でも分岐構造でも環状構造でもよく、炭素数1〜10のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜6のアルキレン基または炭素数3〜6のシクロアルキレン基がより好ましい。炭素数1〜6のアルキレン基としては、具体的に、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレンなどが挙げられ、中でも、メチレン、エチレンが好ましい。炭素数3〜6のシクロアルキレン基としては、具体的に、シクロプロピレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレンなどが挙げられ、中でも、シクロヘキシレンが好ましい。アリーレン基は、炭素数6〜14のアリーレン基が好ましく、具体的には、フェニレン、ナフチレン、アントラセニレンなどが挙げられ、中でも、フェニレンがより好ましい。ヘテロアリール基は、炭素数1〜12のヘテロアリーレン基が好ましい。具体的には、ピロール、チオフェン、チアゾール、オキサゾール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、およびベンゾピラゾールから水素原子を2つ除いた構造を有する連結基などが挙げられ、中でも、トリアジン、ピラジンがより好ましい。アルケニレン基は、炭素数2〜6のアルケニレン基が好ましく、具体的には、エテニレン、1−プロペニレン、2−プロペニレン、1−ブテニレン、2−ブテニレン、1−ペンテニレン、2−ペンテニレン、1−ヘキセニレン、3−ヘキセニレンなどが挙げられ、中でも、エテニレンがより好ましい。上記各基は、さらに置換基を有してもよく、アルキル基(好ましくは、メチル、エチル、イソプロピル、シクロヘキシル)、アルコキシ基(好ましくは、メトキシ、エトキシ)、アリール基(好ましくは、フェニル)、ハロゲン原子(好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)が挙げられる。Lはアルキレン基、アリーレン基が好ましく、炭素数3〜6のシクロアルキレン基、炭素数6〜14のアリーレン基がより好ましく、シクロヘキシレン、フェニレンがさらに好ましい。
n、o、およびpは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表し、0〜2の整数が好ましい。n、o、およびpが2以上のとき、そこで規定される複数の構造部は互いに同じであっても、異なっていてもよい。
R9は、アルキル基(炭素数1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3が特に好ましい)、アリール基(炭素数6〜22が好ましく、6〜14がより好ましい)、またはヘテロアリール基(炭素数1〜12が好ましく、2〜5がより好ましい)を表す。R9は、アルキル基またはアリール基が好ましく、メチルまたはフェニルがより好ましい。
Mo−O (6)
Moは遷移元素または希土類元素である。M o は上記Mmと同義である。好ましくは、Zr、Ti、Hf、Al、Feであり、より好ましくは、Zr、Ti、Alである。
以下に、配位結合として金属−酸素結合を有するもの(MO型錯体)の例を参考例とともに挙げるが、本発明がこれらに限定して解釈されるものではない。
ここで、本発明で使用する金属錯体(B)は、上記式(I)で表される化合物、上記式(II)で表される部分構造を有し、M m に配位する配位子がNR m3 R m4 のみである化合物、上記式(1)で表される化合物または下記式(8)で表される化合物である。
ただし、上記式(1)におけるYは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、シリルアミノ基、スルホン酸基、イソシアン酸基、イソチオシアン酸基、−S−Ra、ホスフィニル基、カルボニル基含有基およびハロゲン原子から選択される1座の配位子を表す。ここで、Raは水素原子または置換基を表す。
また、式(8)の−OC(R o )=C(R o )C(R o )=O…における中央のR o は、R m1 で規定される基に加えて、水素原子であってもよい。
本発明の電解液に用いる電解質は周期律表第一族又は第二族に属する金属イオンの塩であることが好ましい。その材料は電解液の使用目的により適宜選択される。例えば、リチウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などが挙げられ、二次電池などに使用される場合には、出力の観点からリチウム塩が好ましい。本発明の電解液をリチウム二次電池用非水系電解液として用いる場合には、金属イオンの塩としてリチウム塩を選択すればよい。リチウム塩としては、リチウム二次電池用非水系電解液の電解質に通常用いられるリチウム塩が好ましく、例えば、以下に述べるものが好ましい。
これらのなかで、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiSbF6、LiClO4、Li(Rf1SO3)、LiN(Rf1SO2)2、LiN(FSO2)2、及びLiN(Rf1SO2)(Rf2SO2)が好ましく、LiPF6、LiBF4、LiN(Rf1SO2)2、LiN(FSO2)2、及びLiN(Rf1SO2)(Rf2SO2)などのリチウムイミド塩がさらに好ましい。ここで、Rf1、Rf2はそれぞれパーフルオロアルキル基を示す。
なお、電解液に用いる電解質は、1種を単独で使用しても、2種以上を任意に組み合わせてもよい。
電解液における電解質(好ましくは周期律表第一族又は第二族に属する金属のイオンもしくはその金属塩)は、以下に電解液の調製法で述べる好ましい塩濃度となるような量で添加されることが好ましい。塩濃度は電解液の使用目的により適宜選択されるが、一般的には電解液全質量中10質量%〜50質量%であり、さらに好ましくは15質量%〜30質量%である。モル濃度としては0.5M〜1.5Mが好ましい。なお、イオンの濃度として評価するときには、その好適に適用される金属との塩換算で算定されればよい。
本発明に用いられる非水溶剤としては、非プロトン性有機溶媒であることが好ましく、なかでも炭素数2〜10の非プロトン性有機溶媒であることが好ましい。上記非水溶剤は、エーテル基、カルボニル基、エステル基、またはカーボネート基を有する化合物であることが好ましい。上記化合物は置換基を有していてもよく、その例として後記置換基Tが挙げられる。
しかしながら、本発明に用いられる非水溶剤は、上記例示によって限定されるものではない。
本発明の電解液には、各種の機能性添加剤を含有させることが好ましい。この添加剤により発現させる機能としては、例えば、難燃性の向上、サイクル特性の良化、容量特性の改善が挙げられる。以下に、本発明の電解質に適用することが好ましい機能性添加剤の例を示す。
芳香族性化合物としては、ビフェニル化合物、アルキル置換ベンゼン化合物が挙げられる。ビフェニル化合物は2つのベンゼン環が単結合で結合している部分構造を有しておりベンゼン環は置換基を有してもよく、好ましい置換基は、炭素原子数1〜4のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、t−ブチルなど)、炭素原子数6〜10のアリール基(例えば、フェニル、ナフチルなど)である。
ビフェニル化合物としては、具体的に、ビフェニル、o−テルフェニル、m−テルフェニル、p−テルフェニル、4−メチルビフェニル、4−エチルビフェニル、及び4−tert−ブチルビフェニルを挙げることができる。
アルキル置換ベンゼン化合物は、炭素数1〜10のアルキル基で置換されたベンゼン化合物が好ましく、具体的には、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、t−アミルベンゼン、t−ブチルベンゼン、テチラヒドロナフタレンを挙げることができる。
ハロゲン含有化合物が有するハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、または、臭素原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。ハロゲン原子の数としては1〜6個が好ましく、1〜3個が更に好ましい。ハロゲン含有化合物としてはフッ素原子で置換されたカーボネート化合物、フッ素原子を有するポリエーテル化合物、フッ素置換芳香族化合物が好ましい。
ハロゲン置換カーボネート化合物は鎖状、または、環状いずれでもよいが、イオン伝導性の観点から、電解質塩(例えばリチウムイオン)の配位性が高い環状カーボネート化合物が好ましく、5員環環状カーボネート化合物が特に好ましい。
ハロゲン置換カーボネート化合物の好ましい具体例を以下に示す。この中でもBex1〜Bex4の化合物が特に好ましく、Bex1が特に好ましい。
重合性化合物としては炭素−炭素二重結合を有する化合物が好ましく、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネートなどの二重結合を有するカーボネート化合物、アクリレート基、メタクリレート基、シアノアクリレート基、αCF3アクリレート基から選ばれる基を有する化合物、スチリル基を有する化合物が好ましく、二重結合を有するカーボネート化合物、あるいは重合性基を分子内に2つ以上有する化合物が更に好ましい。
含硫黄化合物としては−SO2−、−SO3−、−OS(=O)O−結合を有する化合物が好ましく、プロパンサルトン、プロペンサルトン、エチレンサルファイトなどの環状含硫黄化合物、スルホン酸エステル類が好ましい。
ケイ素含有化合物としては、下記式(F1)または(F2)で表される化合物が好ましい。
RF2はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、又はアルコキシ基を表す。
なお、1つの式に複数あるRF1及びRF2はそれぞれ異なっていても同じであってもよい。
ニトリル化合物としては、下記式(G)で表される化合物が好ましい。
イミド化合物としては、耐酸化性の観点よりパーフルオロ基を有するスルホンイミド化合物が好ましく、具体的にはパーフルオロスルホイミドリチウム化合物が挙げられる。
イミド化合物として、具体的には下記の構造が挙げられ、より好ましくはCex1、Cex2である。
置換基Tとしては、下記のものが挙げられる。
アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘプチル、1−エチルペンチル、ベンジル、2−エトキシエチル、1−カルボキシメチル等)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、オレイル等)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルキニル基、例えば、エチニル、ブタジイニル、フェニルエチニル等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル等)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリール基、例えば、フェニル、1−ナフチル、4−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、3−メチルフェニル等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数2〜20のヘテロ環基、好ましくは、少なくとも1つの酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有する5または6員環のヘテロ環基が好ましく、例えば、1−ピロリル、2−ピリジル、4−ピリジル、2−イミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリル、2−オキサゾリル等)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ベンジルオキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、1−ナフチルオキシ、3−メチルフェノキシ、4−メトキシフェノキシ等)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、例えば、エトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル等)、アミノ基(好ましくは炭素原子数0〜20のアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基を含み、例えば、アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチルアミノ、アニリノ等)、スルファモイル基(好ましくは炭素原子数0〜20のスルファモイル基、例えば、N,N−ジメチルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル等)、アシル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシル基、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ベンゾイル等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルオキシ基、例えば、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1〜20のカルバモイル基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルアミノ基、例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、スルホンアミド基(好ましくは炭素原子数0〜20のスルファモイル基、例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、N−メチルメタンスルホンアミド、N−エチルベンゼンスルホンアミド等)、アルキルチオ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ、ベンジルチオ等)、アリールチオ基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ、1−ナフチルチオ、3−メチルフェニルチオ、4−メトキシフェニルチオ等)、アルキルもしくはアリールスルホニル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキルもしくはアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、ベンゼンスルホニル等)、シリル基(好ましくは炭素数1〜20のアルキルシリル基、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基等)、ヒドロキシル基、シアノ基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)であり、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基、ヒドロキシル基またはハロゲン原子であり、特に好ましくはアルキル基、アルケニル基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基またはヒドロキシル基である。
また、これらの置換基Tで挙げた各基は、上記の置換基Tがさらに置換していてもよい。
[電解液の調製方法等]
本発明の非水電解液は、金属イオンの塩としてリチウム塩を用いた例を含め、上記各成分を上記非水電解液溶媒に溶解して、常法により調製される。
本明細書において粘度は以下の方法で測定した値を言うこととする。サンプル1mLをレオメーター(CLS 500)に入れ、直径4cm/2°のSteel Cone(共に、TA Instrumennts社製)を用いて測定する。サンプルは予め測定開始温度にて温度が一定となるまで保温しておき、測定はその後に開始する。測定温度は25℃とする。
本発明においては上記非水電解液を含有する非水二次電池とすることが好ましい。好ましい実施形態として、リチウムイオン二次電池についてその機構を模式化して示した図1を参照して説明する。本実施形態のリチウムイオン二次電池10は、上記本発明の非水二次電池用電解液5と、リチウムイオンの挿入放出が可能な正極C(正極集電体1,正極活物質層2)と、リチウムイオンの挿入放出又は溶解析出が可能な負極A(負極集電体3,負極活物質層4)とを備える。これら部材に加え、電池が使用される目的、電位の形状などを考慮し、正極と負極の間に配設されるセパレータ9、集電端子(図示せず)、及び外装ケース等(図示せず)を含んで構成されてもよい。必要に応じて、電池の内部及び電池の外部の少なくともいずれかに保護素子を装着してもよい。このような構造とすることにより、電解液5内でリチウムイオンの授受a,bが生じ、充電α、放電βを行うことができ、回路配線7を介して動作機構6を介して運転あるいは蓄電を行うことができる。以下、本発明の好ましい実施形態であるリチウム二次電池の構成について、さらに詳細に説明する。
本実施形態のリチウム二次電池が適用される電池形状には、特に制限はなく、例えば、有底筒型形状、有底角型形状、薄型形状、シート形状、及び、ペーパー形状などが挙げられ、これらのいずれであってもよい。また、組み込まれるシステムや機器の形を考慮した馬蹄形や櫛型形状等の異型のものであってもよい。なかもで、電池内部の熱を効率よく外部に放出する観点から、比較的平らで大面積の面を少なくとも一つを有する有底角型形状や薄型形状などの角型形状が好ましい。
本実施形態のリチウム二次電池は、図1に基づいて言うと、電解液5、正極及び負極の電極合剤C,A、セパレータの基本部材9を具備して構成される。以下、これらの各部材について述べる。
(電極合材)
電極合材は、集電体(電極基材)上に活物質と導電剤、結着剤、フィラーなどの分散物を塗布したものであり、リチウム電池においては、活物質が正極活物質である正極合材と活物質が負極活物質である負極合材が使用されることが好ましい。次に、電極合材を構成する分散物(電極用組成物)中の各成分等について説明する。
正極活物質には遷移金属酸化物を用いることが好ましく、中でも、遷移元素Ma(Co、Ni、Fe、Mn、Cu、Vから選択される1種以上の元素)を有することが好ましい。また、混合元素Mb(リチウム以外の金属周期律表の第1(Ia)族の元素、第2(IIa)族の元素、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P、Bなど)を混合してもよい。この、遷移金属酸化物として例えば、下記式(MA)〜(MC)のいずれかで表されるものを含む特定遷移金属酸化物、あるいはその他の遷移金属酸化物としてV2O5、MnO2等が挙げられる。正極活物質には、粒子状の正極活物質を用いてもよい。具体的に、可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できる遷移金属酸化物を用いることができるが、上記特定遷移金属酸化物を用いるのが好ましい。
リチウム含有遷移金属酸化物としては中でも下式で表されるものが好ましい。
LiaM1Ob ・・・ (MA)
(MA−1) LigCoOk
(MA−2) LigNiOk
(MA−3) LigMnOk
(MA−4) LigCojNi1−jOk
(MA−5) LigNijMn1−jOk
(MA−6) LigCojNiiAl1−j−iOk
(MA−7) LigCojNiiMn1−j−iOk
(i)LigNixMnyCozO2(x>0.2,y>0.2,z≧0,x+y+z=1)
代表的なもの:
LigNi1/3Mn1/3Co1/3O2
LigNi1/2Mn1/2O2
(ii)LigNixCoyAlzO2(x>0.7,y>0.1,0.1>z≧0.05,x+y+z=1)
代表的なもの:
LigNi0.8Co0.15Al0.05O2
リチウム含有遷移金属酸化物としては中でも下記式(MB)で表されるものも好ましい。
LicM2 2Od ・・・ (MB)
(MB−1) LimMn2On
(MB−2) LimMnpAl2−pOn
(MB−3) LimMnpNi2−pOn
(a) LiCoMnO4
(b) Li2FeMn3O8
(c) Li2CuMn3O8
(d) Li2CrMn3O8
(e) Li2NiMn3O8
高容量、高出力の観点で上記のうちNiを含む電極が更に好ましい。
リチウム含有遷移金属酸化物としてはリチウム含有遷移金属リン酸化物を用いることも好ましく、中でも下記式(MC)で表されるものも好ましい。
LieM3(PO4)f ・・・ (MC)
なお、Liの組成を表す上記a,c,g,m,e値は、充放電により変化する値であり、典型的には、Liを含有したときの安定な状態の値で評価される。上記式(a)〜(e)では特定値としてLiの組成を示しているが、これも同様に電池の動作により変化するものである。
なかでも本発明においては、Niおよび/またはMn原子を含有する正極活物質を用いることが好ましく、NiおよびMn原子両方を含有する正極活物質を用いることが更に好ましい。
特に好ましい正極活物質の具体例としては下記が挙げられる。
LiNi0.33Co0.33Mn0.33O2
LiNi0.6Co0.2Mn0.2O2
LiNi0.5Co0.3Mn0.2O2
LiNi0.5Mn0.5O2
LiNi0.5Mn1.5O4
これらは高電位で使用できるため電池容量を大きくすることができ、また高電位で使用しても容量維持率が高いため特に好ましい。
ここで通常使用を維持できるとは、その電圧で充電を行ったときでも電極材料が劣化して使用不能になることがないことを意味し、この電位を通常使用可能電位ともいう。
充放電時の正極電位(Li/Li+基準)は
(正極電位)=(負極電位)+(電池電圧)である。負極としてチタン酸リチウムを用いた場合、負極電位は1.55Vとする。負極として黒鉛を用いた場合は負極電位は0.1Vとする。充電時に電池電圧を観測し、正極電位を算出する。
・負極活物質
負極活物質としては、可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できるものが好ましく、特に制限はなく、炭素質材料、酸化錫や酸化ケイ素等の金属酸化物、金属複合酸化物、リチウム単体やリチウムアルミニウム合金等のリチウム合金、及び、SnやSi等のリチウムと合金形成可能な金属等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。なかでも炭素質材料又はリチウム複合酸化物が信頼性の点から好ましく用いられる。
また、金属複合酸化物としては、リチウムを吸蔵、放出可能であるものが好ましく、構成成分としてチタン及び/又はリチウムを含有していることが、高電流密度充放電特性の観点で好ましい。
本発明においては、なかでも、炭素、ケイ素(Si)、チタン、およびスズから選ばれる少なくとも1種を含有する負極活物質を用いることが好ましい。
導電材は、構成された二次電池において、化学変化を起こさない電子伝導性材料が好ましく、公知の導電材を任意に用いることができる。通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛など)、人工黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維や金属粉(銅、ニッケル、アルミニウム、銀(特開昭63−10148,554号に記載)等)、金属繊維あるいはポリフェニレン誘導体(特開昭59−20,971号に記載)などの導電性材料を1種又はこれらの混合物として含ませることができる。その中でも、黒鉛とアセチレンブラックの併用がとくに好ましい。上記導電剤の添加量としては、11〜50質量%が好ましく、2〜30質量%がより好ましい。カーボンや黒鉛の場合は、2〜15質量%が特に好ましい。
結着剤としては、多糖類、熱可塑性樹脂及びゴム弾性を有するポリマーなどが挙げられ、その中でも、例えば、でんぷん、カルボキシメチルセルロース、セルロース、ジアセチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルフェノール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシ(メタ)アクリレート、スチレン−マレイン酸共重合体等の水溶性ポリマー、ポリビニルクロリド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、ビニリデンフロライド−テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、ポリビニルアセタール樹脂、メチルメタアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルを含有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、ビニルアセテート等のビニルエステルを含有するポリビニルエステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ネオプレンゴム、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシド、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等のエマルジョン(ラテックス)あるいはサスペンジョンが好ましく、ポリアクリル酸エステル系のラテックス、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフロロエチレン、ポリフッ化ビニリデンが、より好ましい。
電極合材は、フィラーを含んでいてもよい。フィラーを形成する材料は、本発明の二次電池において、化学変化を起こさない繊維状材料が好ましい。通常、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのオレフィン系ポリマー、ガラス、炭素などの材料からなる繊維状のフィラーが用いられる。フィラーの添加量は特に限定されないが、分散物中、0〜30質量%が好ましい。
正・負極の集電体としては、化学変化を起こさない電子伝導体が用いられることが好ましい。正極の集電体としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタンなどの他にアルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたものが好ましく、その中でも、アルミニウム、アルミニウム合金がより好ましい。
これらの材料から適宜選択した部材によりリチウム二次電池の電極合材が形成される。
本発明の非水二次電池に用いられるセパレータは、正極と負極を電子的に絶縁する機械的強度、イオン透過性、及び正極と負極の接触面で酸化・還元耐性のある材料で構成されていることが好ましい。このような材料として多孔質のポリマー材料や無機材料、有機無機ハイブリッド材料、あるいはガラス繊維などが用いられる。これらセパレータは信頼性確保のためのシャットダウン機能、すなわち、80℃以上で隙間を閉塞して抵抗を上げ、電流を遮断する機能を持つことが好ましく、閉塞温度は90℃以上、180℃以下であることが好ましい。
本発明の非水二次電池の形状としては、既述のように、シート状、角型、シリンダー状などいずれの形にも適用できる。正極活物質や負極活物質の合剤は、集電体の上に、塗布(コート)、乾燥、圧縮されて、主に用いられる。
本発明の非水二次電池は種々の用途に適用することができる。適用態様には特に限定はないが、例えば、電子機器に搭載する場合、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、コードレスフォン子機、ページャー、ハンディーターミナル、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、電気シェーバー、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、メモリーカードなどが挙げられる。その他民生用として、自動車、電動車両、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、ロードコンディショナー、時計、ストロボ、カメラ、医療機器(ペースメーカー、補聴器、肩もみ機など)などが挙げられる。更に、各種軍需用、宇宙用として用いることができる。また、太陽電池と組み合わせることもできる。
<実施例1・比較例1>
電解液の調製
表Aの電解液の溶剤S1〜S3に化合物(A)(B)を表1中に示した量となるように添加し、更にビニレンカーボネートを全電解液に対し1質量%、t−アミルベンゼンを全電解液に対し1質量%、スクシノニトリルを全電解液に対し1質量%となるように添加して各試験用の電解液を調製した。調製した電解液の25℃における粘度は全て5mPa・s以下、カールフィッシャー法(JISK0113)により測定した水分量は20ppm以下であった。
調製した電解液の難燃性を大気下25℃において以下のように評価した。
UL−94HB水平燃焼試験を参考に、以下の試験条件にて評価を実施した。幅13mm、長さ110mmのガラス濾紙(ADVANTEC GA−100)を切り出し、調製した電解液1.5mlをガラス濾紙上に満遍なく滴下した。十分にガラス濾紙内に電解液が染み込んだ後、余剰の電解液を拭い、短軸が垂直になるように吊るした。全炎長2cmに調整したブタンガスバーナーの内炎がガラス濾紙の先端に触れる位置で3秒着火し、炎を離した後の挙動で着火の有無、着火後の消炎、着火点から他方の端まで炎が到達する時間を以下のように評価した。添加剤を添加していない電解液は着火点から他方の端まで炎が到達する時間が5秒未満であった。
5・・・着火が見られず、不燃であった。
4・・・着火したがすぐに消炎した
3・・・着火したが着火点から他方の端まで炎が到達する前に消炎した
2・・・着火点から他方の端まで炎が到達する時間が10秒以上で、燃焼抑制効果が見られるが、不燃、消炎には至らないレベル
1・・・着火点から他方の端まで炎が到達する時間が10秒未満で、燃焼抑制効果なし。
正極は活物質:LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2(NMC)85質量%、導電助剤:カーボンブラック7.5質量%、バインダー:PVDF 7.5質量%で作製し、負極は活物質:黒鉛85質量%、導電助剤:カーボンブラック7.5質量%、バインダー:PVDF 7.5質量%で作製した。セパレータはポリプロピレン製多孔質膜24μm厚である。上記の正負極、セパレータを使用し、表1の電解液を用いて、2032形コイン電池(1)を作製した。
30℃の恒温槽中電池電圧が4.3V(正極電位4.4V)になるまで0.2C定電流充電した後、電池電圧が4.3V定電圧において電流値が0.12mAになるまで充電を行った。ただし、その時間の上限を2時間とした。次に30℃の恒温槽中、電池電圧が2.75Vになるまで0.2C定電流放電を行った。この操作を2回繰り返した。上記の方法で作製した2032形電池を用いて下記項目の評価を行った。結果を表1に示している。
ここで1Cとは電池の容量を1時間で放電または充電する電流値を表し、0.2Cはその0.2倍、0.5Cはその0.5倍、2Cは2倍の電流値を表す。大電流で充放電を行うほど、抵抗上昇の影響を受けやすいため、容量劣化しやすい。同様に、低温で放電すると抵抗上昇の影響を受けやすいため、容量劣化しやすく、この2つを組み合わせた低温大電流放電はより過酷な条件となる。
また、サイクル試験における温度も重要で、高温で充放電を繰り返すと、電解液成分の酸化還元分解が加速され、抵抗上昇しやすくなる。
この電池を30℃の恒温槽中電池電圧が4.3Vになるまで0.7C定電流充電した後、電池電圧4.3Vの定電圧において電流値が0.12mAになるまで充電を行った。ただし、その時間の上限を2時間とした。この電池を30℃の恒温槽中電池電圧が2.75Vになるまで0.5C定電流放電を行い、初回の30℃/0.5C放電容量(I)を測定した。
この電池を45℃の恒温槽中電池電圧が4.3Vになるまで0.7C定電流充電した後、電池電圧4.3Vの定電圧において電流値が0.12mAになるまで充電を行った。ただし、その時間の上限を2時間とした。この電池を45℃の恒温槽中電池電圧が2.75Vになるまで0.5C定電流放電を行うサイクルを300回繰り返した。
高温サイクル試験後の電池を初回放電容量計測と同じ条件で充放電を行い、サイクル試験後の放電容量(II)を測定した。
高温サイクル試験後の電池を30℃の恒温槽中電池電圧が4.3Vになるまで0.7C定電流充電した後、電池電圧4.3Vの定電圧において電流値が0.12mAになるまで充電を行った。ただし、その時間の上限を2時間とした。この電池を10℃の恒温槽中電池電圧が2.75Vになるまで2C定電流放電を行い、サイクル試験後の10℃/2C放電容量(III)を測定した。
なお、低温環境は電解液粘度が高くなるため、リチウムイオンの移動を阻害し、高抵抗となり、電池を駆動させるに際し苛酷な環境となる。
サイクル試験後の放電容量維持率=(II)/(I)
サイクル試験後の低温大電流放電容量維持率=(III)/(I)
A:0.8以上
B:0.7以上0.8未満
C:0.6以上0.7未満
D:0.5以上0.6未満
E:0.3以上0.5未満
F:0.3未満
正極活物質をマンガン酸リチウム(LiMn2O4)とし、サイクル試験充電時の電圧を4.2Vとした以外は、実施例1と同じ操作を行った。その結果、本願の電解液は高温サイクル試験後においても低温/大電流放電における容量維持率が高い優れた結果が得られたのに対し、比較例の電解液はサイクル試験充電時の低温/大電流放電における容量維持率が劣る結果であった。サイクル試験充電時の電圧を4.3Vとしたところ、実施例、比較例いずれの電解液を用いてもサイクル試験後の低温/大電流放電における容量維持率が低下したが、実施例の電池は十分実用上の要求を満たすものであった。
正極活物質をコバルト酸リチウム(LiCoO2)とし、サイクル試験充電時の電圧を4.0V、あるいは4.1Vとした以外は、実施例2と同じ操作を行った。その結果、本願の電解液は4.0V、4.1Vいずれの電圧での高温サイクル試験後においても低温/大電流放電における容量維持率が高い優れた結果が得られた。これに対し、比較例の電解液はサイクル試験充電時の電圧4.0Vにおいては本願の電解液同等であったが、充電時の電圧4.1Vのサイクル試験後の低温/大電流放電における容量維持率が劣る結果であった。サイクル試験充電時の電圧を4.2Vとしたところ、実施例、比較例いずれの電解液を用いてもサイクル試験後の低温/大電流放電における容量維持率が低下したが、実施例の電池は十分実用上の要求を満たすものであった。
表Aの電解液の溶剤S1〜S3に化合物(A)(B)を表2中に示した量となるように添加し、更にフロロエチレンカーボネートを全電解液に対し1質量%、t−アミルベンゼンを全電解液に対し1質量%、スクシノニトリルを全電解液に対し1質量%となるように添加して各試験用の電解液を調製した。調製した電解液の25℃における粘度は全て5mPa・s以下、カールフィッシャー法(JISK0113)により測定した水分量は20ppm(質量基準)以下であった。
電解液の調製
表Aの電解液の溶剤S1〜S3に化合物(A)(B)を表3中に示した量となるように添加し、更にビニルエチレンカーボネートを全電解液に対し1質量%、エチルベンゼンを全電解液に対し1.5質量%、ジエチルボリルピラゾールダイマー(Hex5)を全電解液に対し0.5質量%となるように添加して各試験用の電解液を調製した以外は、実施例1と同じ操作を行った。
電解液の調製
表Aの電解液の溶剤S1〜S3に化合物(A)(B)を表4中に示した量となるように添加し、更にフルオロエチレンカーボネート(Bex1)を全電解液に対し1質量%、シクロアルキルベンゼンを全電解液に対し1.5質量%、リチウムテトラシアノボレート(Hex11)を全電解液に対し0.5質量%となるように添加して各試験用の電解液を調製した以外は、実施例1と同じ操作を行った。
1 正極導電材(集電体)
2 正極活物質層
A 負極(負極合材)
3 負極導電材(集電体)
4 負極活物質層
5 非水電解液
6 動作手段
7 配線
9 セパレータ
10 リチウムイオン二次電池
12 セパレータ
14 正極シート
16 負極シート
18 負極を兼ねる外装缶
20 絶縁板
22 封口板
24 正極集電
26 ガスケット
28 圧力感応弁体
30 電流遮断素子
100 有底筒型形状リチウム二次電池
Claims (14)
- 非水溶剤、電解質、リン含有化合物(A)および金属錯体(B)を含有し、
前記金属錯体(B)が、下記式(I)で表される化合物、下記式(II)で表される部分構造を有し、Mmに配位する配位子がNRm3Rm4のみである化合物、下記式(1)で表される化合物または下記式(8’)で表される化合物であり、
前記リン含有化合物(A)が下記式(A1)で表される化合物または下記式(A2)で表される構造を有する化合物である非水二次電池用電解液。
Rm1はアルキル基、アルキルシリル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アミド基、アシルオキシ基、シアノ基、カルボキシル基、カルボニル基含有基、スルホニル基含有基、ホスフィノ基またはハロゲン原子を表す。複数のRm1が互いに連結して、脂肪族性または芳香族性の環を形成してもよい。
aは0〜5の整数を表す。
XmおよびYmはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、シリルアミノ基、スルホン酸基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、−(S)n−Ra、ホスフィニル基、カルボニル基含有基、ハロゲン原子、アリール基またはヘテロアリール基を表す。ここで、Raは水素原子または置換基を表し、nは1〜8の整数を表す。さらに、XmとYmが互いに連結して、Mmを含む環を形成してもよい。
m1およびn1は0≦m1+n1≦3を満たす整数である。cは0〜2の整数である。
T1は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、シリルアミノ基、スルホン酸基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、スルファニル基、ホスフィニル基、カルボニル基含有基、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロアリール基、または上記式(CP)で表される基を表す。
式(CP)中、Rm2はRm1と同義の基を表す。*はMmと結合する結合手を表す。bは0〜5の整数を表す。Rm1とRm2は互いに連結していてもよい。
式(II)中、Mmは中心金属であって、遷移元素または希土類元素を表す。
Rm3およびRm4は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキルシリル基またはハロゲン原子を表す。Rm3とRm4は互いに連結していてもよい。
式(1)中、Mは中心金属を表す。
A1は芳香族環または芳香族複素環を表す。
R1はアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基またはアルケニル基を表す。R1が複数ある場合、R1は互いに結合もしくは縮合してもよく、複数のR1で環を形成してもよい。
XはCR2または窒素原子を表す。ここで、R2は水素原子、アルキル基、アルケニル基、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基またはアリールチオ基を表す。R1とR2は互いに結合または縮合して環を形成してもよい。
Yは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、シリルアミノ基、スルホン酸基、イソシアン酸基、イソチオシアン酸基、−S−Ra、ホスフィニル基、カルボニル基含有基およびハロゲン原子から選択される1座の配位子を表す。ここで、Raは水素原子または置換基を表す。
R3は置換基を表す。
kは1〜4の整数を表す。lは0〜3の整数を表す。mは0〜2の整数を表す。
式(8’)中、Moは中心金属であって、遷移元素または希土類元素を表す。
Roはアルキル基、アルキルシリル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アミド基、アシルオキシ基、シアノ基、カルボキシル基、カルボニル基含有基、スルホニル基含有基、ホスフィノ基またはハロゲン原子を表す。Rooは水素原子またはRoで規定される基を表す。複数のRoは互いに異なっていてもよい。
noは1〜8の整数を表す。
- 前記金属錯体(B)の中心金属が第4〜第8族遷移元素またはランタノイドである請求項1に記載の非水二次電池用電解液。
- 前記式(1)で表される化合物が下記式(2)〜(5)のいずれかで表される請求項1または2に記載の非水二次電池用電解液。
- 前記Ra51〜Ra52がジアルキルアミノ基である請求項5に記載の非水二次電池用電解液。
- 電解液が更に、芳香族性化合物、ハロゲン含有化合物、重合性化合物、硫黄含有化合物、ケイ素含有化合物、ニトリル化合物、ホウ素含有化合物およびイミド化合物から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
- 前記リン含有化合物(A)の電解液(電解質を含む全量)中の濃度が0.5質量%以上30質量%以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
- 前記金属錯体(B)の電解液(電解質を含む全量)中の濃度が0.001質量%以上10質量%以下である請求項1〜8のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
- 前記リン含有化合物(A)の含有量(100質量部)に対して、前記金属錯体(B)の含有量が0.01質量部以上10質量部以下である請求項1〜9のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
- 前記金属錯体(B)の中心金属が、Ti、Zr、HfまたはVである請求項1〜10のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
- 正極、負極および請求項1〜11のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液をそれぞれ具備する非水二次電池。
- 前記正極の活物質が、Niおよび/またはMn原子を含有する請求項12に記載の非水二次電池。
- 前記負極の活物質が、炭素、ケイ素、チタンおよびスズから選ばれる少なくとも1種を含有する請求項12または13に記載の非水二次電池。
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