JP2014220053A - 非水二次電池および非水二次電池用電解液 - Google Patents

非水二次電池および非水二次電池用電解液 Download PDF

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Abstract

【課題】過充電時に作用するガス発生剤の種類を豊富化し、そのガス発生に基づく高い過充電防止性と、電池性能の劣化抑制性と、低温特性とを同時に満足することができる非水二次電池およびこれに用いられる非水二次電池用電解液を提供する。
【解決手段】正極と負極と非水電解液とを有する非水二次電池であって、前記負極はその活物質として遷移金属酸化物または黒鉛を有してなり、前記非水電解液は、電解質と、下記式(I)または(II)で表される化合物からなるガス発生剤0.05mol/L以上1mol/L以下とを有機溶媒中に含む非水二次電池。
Figure 2014220053

【選択図】なし

Description

本発明は、非水二次電池および非水二次電池用電解液に関する。
リチウム二次電池は、携帯電話やノート型パソコンなどのポータブル電子機器の電源として広く普及している。こうした携帯用途を中心とするアプリケーションの拡充に伴い、軽量・小型でより高エネルギー密度、高容量の製品が開発されてきた。他方、安全性の面では、リチウム二次電池に固有の課題として過充電の現象があった。これは、二次電池が満充電の状態に達しているにもかかわらず、さらに充電を続けた場合、電極が短絡し不具合を生じさせるものである。特に、有機系の電解液を用いるリチウム二次電池では、使用上の安全確保の観点からも十分な対応が望まれてきた。
これに対し、通常は電池が装着される電気機器側で対策がとられている。具体的には、充電制御回路が組み込まれるなどして、満充電に達すると電気の供給が遮断されるようになっている。しかしながら、極めてまれではあっても、上記の回路では対応できず、過充電状態に至ることが想定される。このようなときにも、非水電解液に改良が加えられ、過充電を抑制することができれば、より一層の信頼性の向上につなげることができる。
このような過充電を抑制ないし防止する目的で、非水電解液に添加する添加剤がいくつか提案されている。なかでも代表的なものとして、特許文献1に開示されたビフェニルを挙げることができる。これにより、過充電時に電極に作用して、系内の電気抵抗を上昇させ不具合の進行を抑えるものである。これとは別に、過充電時に発生するガスを感圧弁で検知し、内部のガスを放出することで不具合の過度の進行を止めるものがある。この感圧機構を有する電池の電解液に適用されるガス放出剤として、シクロヘキシルベンゼンが提案されている(特許文献2参照)。
特開平07−302614号公報 特許第3113652号明細書
本発明者は、感圧機構を有する非水二次電池において、その過充電を効果的に防止するためには上記シクロヘキルベンゼン等の炭化水素化合物だけでは不十分と考え、材料種を豊富化し、より高い性能を発揮しうる添加剤を探索した。
そこで、本発明は、過充電時に作用するガス発生剤の種類を豊富化し、そのガス発生に基づく高い過充電防止性と、電池性能の劣化抑制性と、低温特性とを同時に満足することができる非水二次電池およびこれに用いられる非水二次電池用電解液の提供を目的とする。
上記の課題は以下の手段によって解決された。
〔1〕正極と負極と非水電解液とを有する非水二次電池であって、
負極はその活物質として遷移金属酸化物または黒鉛を有してなり、
非水電解液は、電解質と、下記式(I)または(II)で表される化合物からなるガス発生剤0.05mol/L以上1mol/L以下とを有機溶媒中に含む非水二次電池。
Figure 2014220053
(式中、R〜Rは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アリール基、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボニルオキシ基含有基、またはヘテロアリール基であり、それぞれが互いに結合し環構造を形成してもよい。YはO、NR、Sであり、Rはアルキル基、アリール基、またはヘテロアリール基を表す。Zは有機カチオン又は無機カチオンを表す。)
〔2〕ガス発生剤が下記式(1)〜(4)のいずれかで示される部分構造Aを有する〔1〕に記載の非水二次電池。
Figure 2014220053
(式中、R11およびR12は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、またはアルコキシ基である。R13は、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アルコキシ基、電子吸引性基、またはアルコキシカルボニル基である。複数のR13は互いに同じであっても異なっていてもよく、結合ないし縮合して環を形成していてもよい。nは0〜5の整数である。nは1〜5の整数である。m1、m2はそれぞれ独立に0〜11の整数である。またR11〜R13は互いに結合し環構造を形成してもよい。*は結合手を表す。)
〔3〕ガス発生剤が部分構造Aを分子内に複数有する〔2〕に記載の非水二次電池。
〔4〕正極の活物質が、アルカリ金属イオンを挿入放出可能な遷移金属酸化物を含んでなる〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の非水二次電池。
〔5〕正極に含まれる活物質が下記式(MA)〜(MC)のいずれかで表される遷移金属酸化物を含む〔4〕に記載の非水二次電池。
Li ・・・ (MA)
Li ・・・ (MB)
Li(PO ・・・ (MC)
(式中、MおよびMは、それぞれ独立に、Co、Ni、Fe、Mn、Cu、およびVから選択される1種以上の元素を表す。Mは、それぞれ独立に、V、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、およびCuから選択される1種以上の元素を表す。ただし、M〜Mは、その一部が、リチウム以外の周期律表の第1(Ia)族の元素、第2(IIa)族の元素、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P、およびBから選ばれる少なくとも1つにより置換されていてもよい。aは0〜1.2を表す。bは1〜3を表す。cは0〜2を表す。dは3〜5を表す。eは0〜2を表し、fは1〜5を表す。)
〔6〕正極の活物質が、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、ニッケルマンガンコバルト酸リチウム、マンガンニッケル酸リチウム、ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム、またはリン酸鉄リチウムである〔5〕に記載の非水二次電池。
〔7〕負極の活物質が、チタン酸リチウム(LTO)または(複合)炭素材料を含んでなる〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の非水二次電池。
〔8〕電池の通常充電正極電位が4.25V(Li/Li基準)以上である〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の非水二次電池。
〔9〕電解質が、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF、LiClO、Li(RfSO)、LiN(RfSO、LiN(FSO、及びLiN(RfSO)(RfSO)から選ばれる少なくとも一種である〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の非水二次電池(Rf、Rfはそれぞれパーフルオロアルキル基を示す)。
〔10〕ガス発生剤が下記式(21)〜(23)のいずれかで表される化合物からなる〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の非水二次電池。
Figure 2014220053
(式中、R21〜R28は、それぞれ独立に、部分構造Aを有する置換基である。Zは有機カチオンまたは無機カチオンである。)
〔11〕ガス発生剤が下記式(31)〜(33)のいずれかで表される化合物からなる〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の非水二次電池。
Figure 2014220053
(式中、R31〜R37は、それぞれ独立に、部分構造Aを有する置換基である。)
〔12〕電解質と、下記式(I)または(II)で表される化合物からなるガス発生剤0.05mol/L以上1mol/L以下とを有機溶媒中に含む非水二次電池用電解液。
Figure 2014220053
(式中、R〜Rは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アリール基、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボニルオキシ基含有基、またはヘテロアリール基であり、それぞれが互いに結合し環構造を形成してもよい。YはO、NR、Sであり、Rはアルキル基、アリール基、またはヘテロアリール基を表す。Zは有機カチオン又は無機カチオンを表す。)
〔13〕非水二次電池の電解液に電解質とともに添加して用いるガス発生剤であって、
下記式(I)または(II)で表される化合物からなるガス発生剤。
Figure 2014220053
(式中、R〜Rは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アリール基、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボニルオキシ基含有基、またはヘテロアリール基であり、それぞれが互いに結合し環構造を形成してもよい。YはO、NR、Sであり、Rはアルキル基、アリール基、またはヘテロアリール基を表す。Zは有機カチオン又は無機カチオンを表す。)
本発明の非水二次電池用電解液および非水二次電池によれば、過充電時に作用するガス発生剤の種類が豊富化され、非水電解液からのガス発生に基づく高い過充電防止性と、電池性能の劣化抑制性と、低温特性とを同時に満足することができる。
本発明の好ましい実施形態に係るリチウム二次電池の機構を模式化して示す断面図である。 本発明の好ましい実施形態に係るリチウム二次電池の具体的な構成を示す断面図である。 本発明の好ましい実施形態に係る感圧機構付き電池蓋体を示す部分断面側面図である。 CR2032形コイン電池の構造を模式的に示す断面図である。
本発明の非水二次電池は、特定の活物質で構成された負極を有し、当該負極に適合したガス発生剤を含む電解液を具備する。これにより、上記のように過充電時のガス発生性を実現するとともに、優れた電池性能を発揮する。このような優れた効果を奏する理由は推定を含めて以下のように解される。
本発明で採用された特定ボレート化合物および特定リン化合物は、過充電時に正極において酸化を受け、その置換基Rが例えばラジカルとして放出され、置換基Rどうしが結合した化合物を形成すると考えられる。置換基Rがフェニル基であればビフェニルを生成することになるが、これがさらに酸化を受けることで、その分解成分がガスとなって放出されると解される。一方、電池の通常動作時に、従来のシクロヘキシルベンゼンなどは安定性が十分ではなく微量の分解による性能劣化が認められるが、上記ボレート化合物やリン化合物はその安定性が高く、電池性能を良好に維持し、かつ低温特性の良化にも寄与したと考えられる。以下、本発明についてその好ましい実施形態を中心に詳細に説明する。
<ガス発生剤>
・特定ボレート化合物
本発明の第1の実施形態に係るガス発生剤は下記式(I)で示される化合物からなる。
Figure 2014220053
式中、R〜Rは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アリール基(炭素数6〜22が好ましく、6〜14がより好ましい、アルキル基(炭素数1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3が特に好ましい)、アルコキシ基(炭素数1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3が特に好ましい)、アルコキシカルボニル基(炭素数2〜12が好ましく、2〜6がより好ましい)、カルボニルオキシ基含有基(炭素数1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3が特に好ましい)、またはヘテロアリール基(炭素数1〜12が好ましく、2〜5がより好ましい)であり、それぞれが互いに結合し環構造を形成してもよい。前記アルキル基は環状であっても鎖状であってもよく、直鎖であっても、分岐であってもよい。このことは、以下に説明する各置換基について同じであり、アルケニル基やアルコキシ基等に含まれるアルキル基についても同様である。前記アルキル基がアラルキル基であるとき、その好ましい炭素数は前記とは異なり、炭素数7〜23が好ましく、炭素数7〜15がより好ましい。
前記R〜Rは電子吸引性基を有していることが好ましい。電子吸引基としては、例えばカルボニル基含有基(炭素数1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3が特に好ましい)、アルコキシカルボニル基(炭素数2〜12が好ましく、2〜6がより好ましく、2〜3が特に好ましい)、スルホニル基含有基(炭素数1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3が特に好ましい)、シアノ基、ハロゲン原子、電子欠損性ヘテロ環類(ピリジル基、ピリミジル基、トリアジル基等の含窒素ヘテロ環化合物)が挙げられ、好ましくはカルボニル基含有基、ハロゲン原子、シアノ基であり、もっとも好ましくはハロゲン原子、シアノ基である。
あるいは、R〜Rのうち、少なくとも2つが互いに連結して環構造を形成することが好ましい。例えば、アリール基がアルキレン基(炭素数1〜3)もしくは単結合で連結された構造や、カルボニルオキシ基含有基が連結した構造が挙げられる。カルボニルオキシ基含有基が連結した構造としては、#−O−CO−CO−O−#(#はBと結合する位置)、#−CO−O−#、#−O−CO−O−CO−O−#、#−O−CO−O−#などが挙げられる。
は有機カチオン又は無機カチオンを表す。Zの好ましい例としては、ピラゾリウム、イミダゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、ピリジニウム、チアゾリウム、トリアゾリウム等の有機ヘテロ環のオニウム塩や、アンモニウム塩、無機カチオン(Na,K,Li)などが挙げられる。
前記ガス発生剤は、下記式(1)〜(4)のいずれかで示される部分構造Aを有することが好ましい。
Figure 2014220053
式中、R11およびR12は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基(炭素数1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3が特に好ましい)、アルケニル基(炭素数2〜12が好ましく、2〜6がより好ましい)、アラルキル基(炭素数7〜23が好ましく、7〜15がより好ましい)、アリール基(炭素数6〜22が好ましく、6〜14がより好ましい)、ヘテロアリール基(炭素数1〜12が好ましく、2〜5がより好ましい)、アルコキシ基(炭素数1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3が特に好ましい)である。R11、R12はそれぞれベンゼン環またはシクロヘキサン環に結合して環を形成していてもよい。
13は、アルキル基(炭素数1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3が特に好ましい)、アルケニル基(炭素数2〜12が好ましく、2〜6がより好ましい)、アラルキル基(炭素数7〜23が好ましく、7〜15がより好ましい)、前記電子吸引性基、アルコキシ基(炭素数1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3が特に好ましい)、またはアルコキシカルボニル基(炭素数2〜12が好ましく、2〜6がより好ましい)である。複数のR13は互いに同じであっても異なっていてもよく、結合ないし縮合して環を形成していてもよい。
複数の構造部Aはアルキレン基(炭素数1〜3)または単結合により連結されていてもよい。
は0〜5の整数である。nは0〜5の整数であり、1〜5の整数であることが好ましい。
m1、n2はそれぞれ独立に0〜11の整数である。
*は結合手を表す。
13は互いに結合し環構造を形成してもよい。また、R13はベンゼン環またはシクロヘキサン環に結合して環を形成していてもよい。
以下に、前記部分構造Aを含め、R〜Rの好ましい例についてその構造式を挙げる。
Figure 2014220053
Raは置換基を表す。置換基としては、後記任意の置換基Tの例が挙げられる。中でも、アルキル基(炭素数1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3が特に好ましい)、アルコキシ基(炭素数1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3が特に好ましい)、アシル基(炭素数1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3が特に好ましい)、アシルオキシ基(炭素数1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3が特に好ましい)、アルケニル基(炭素数2〜8が好ましく、2〜4がより好ましい)、アミノ基(炭素数0〜6が好ましく、0〜3がより好ましい)、ホスフィノ基(炭素数1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3が特に好ましい)、ホスフィニル基(炭素数1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3が特に好ましい)、前記電子吸引性基が好ましい。Raが複数あるとき、それぞれ異なっていてもよく、それらが結合または縮合して環を形成していてもよい。
結合手―*と式(I)のホウ素原子とは、連結基Lを介して結合していてもよい。当該連結基Lとしては、アルキレン基(炭素数1〜12)、O、S、CO、NR(RNは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基)、またはその組合せが挙げられる。
n3は0〜10の整数を表す。n4は0〜11の整数を表す。n5は0〜9の整数を表す。n6は0〜5の整数を表す。n7は0〜4の整数を表す。
*は結合手を表す。
前記特定ボレート化合物は、下記式(21)〜(23)のいずれかで表される化合物であることが好ましい。
Figure 2014220053
式中、R21〜R28は、それぞれ独立に、前記部分構造Aを有する置換基である。Zは有機カチオンまたは無機カチオンである。
式(I)で表される化合物の具体例を下記に示すが、本発明がこれにより限定して解釈されるものではない。これらの化合物はさらに任意の置換基Tを有していてもよい。
Figure 2014220053
上記式(I)で表される化合物は、Tetrahedron,2010,vol.66,#38、p.7633−7641に示される方法等により合成することができる。
・特定リン化合物
本発明の第2の実施形態に係るガス発生剤は下記式(II)で示される化合物からなる。
Figure 2014220053
式中、R〜Rは、前記式(I)のR〜Rと同義である。
YはO、NR、Sである。Rはアルキル基(炭素数1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3が特に好ましい)、アリール基(炭素数6〜22が好ましく、6〜14がより好ましい)、またはヘテロアリール基(炭素数1〜12が好ましく、2〜5がより好ましい)を表す。Yは前記部分構造Aであることがより好ましい。
当該特定リン化合物は、前記部分構造Aを有することが好ましい。
前記ガス発生剤は、下記式(31)〜(33)のいずれかで表される化合物であることが好ましい。
Figure 2014220053
式中、R31〜R37は、それぞれ独立に、前記部分構造Aを有する置換基である。
式(I)で表される化合物の具体例を下記に示すが、本発明がこれにより限定して解釈されるものではない。これらの化合物はさらに任意の置換基Tを有していてもよい。
Figure 2014220053
本発明に係る電解液には、前記ガス発生剤を、非水電解液全体(電解質を含む)に対し、それぞれ、0.05mol/L以上で含有させる。上限としては、1mol/L以下であり、0.5mol/L以下がより好ましく、0.1mol/L以下が特に好ましい。ガス発生剤を前記下限値以上で含有させることで、過充電時の十分な量のガス発生を得ることができる。前記上限値以下とすることで、電池性能を過度に阻害せず好ましい。
前記例示化合物は任意の置換基Tを有していてもよい。
置換基Tとしては、下記のものが挙げられる。
アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘプチル、1−エチルペンチル、ベンジル、2−エトキシエチル、1−カルボキシメチル等)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、オレイル等)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルキニル基、例えば、エチニル、ブタジイニル、フェニルエチニル等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル等)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリール基、例えば、フェニル、1−ナフチル、4−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、3−メチルフェニル等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数2〜20のヘテロ環基、あるは、好ましくは少なくとも1つの酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有する5または6員環のヘテロ環基、例えば、2−ピリジル、4−ピリジル、2−イミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリル、2−オキサゾリル等)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ベンジルオキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、1−ナフチルオキシ、3−メチルフェノキシ、4−メトキシフェノキシ等)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、例えば、エトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル等)、アミノ基(好ましくは炭素原子数0〜20のアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基を含み、例えば、アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチルアミノ、アニリノ等)、スルファモイル基(好ましくは炭素原子数0〜20のスルホンアミド基、例えば、N,N−ジメチルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル等)、アシル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシル基、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ベンゾイル等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルオキシ基、例えば、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1〜20のカルバモイル基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルアミノ基、例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、スルホンアミド基(好ましくは炭素原子数0〜20のスルファモイル基、例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、N−メチルメタンスルホンアミド、N−エチルベンゼンスルホンアミド等)、アルキルチオ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ、ベンジルチオ等)、アリールチオ基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ、1−ナフチルチオ、3−メチルフェニルチオ、4−メトキシフェニルチオ等)、アルキルもしくはアリールスルホニル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキルもしくはアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、ベンゼンスルホニル等)、ヒドロキシル基、シアノ基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)であり、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基、ヒドロキシル基またはハロゲン原子であり、特に好ましくはアルキル基、アルケニル基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基またはヒドロキシル基である。
また、これらの置換基Tで挙げた各基は、上記の置換基Tがさらに置換していてもよい。
化合物ないし置換基・連結基等がアルキル基・アルキレン基、アルケニル基・アルケニレン基等を含むとき、これらは環状でも鎖状でもよく、また直鎖でも分岐していてもよく、上記のように置換されていても無置換でもよい。またアリール基、ヘテロ環基等を含むとき、それらは単環でも縮環でもよく、同様に置換されていても無置換でもよい。
(有機溶媒)
本発明に用いられる有機溶媒としては、非プロトン性有機溶媒であることが好ましく、なかでも炭素数2〜10の非プロトン性有機溶媒であることが好ましい。当該有機溶媒は、エーテル基、カルボニル基、エステル基、またはカーボネート基を有する化合物であることが好ましい。当該化合物は置換基を有していてもよく、その例として前記置換基Tが挙げられる。特に炭素数2〜16の直鎖のカーボネート基を含有する有機溶媒であることが好ましい。
有機溶媒としては、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸メチルプロピル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチル、トリメチル酢酸エチル、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、燐酸トリメチル、ジメチルスルホキシドあるいはジメチルスルホキシド燐酸などが挙げられる。これらは、一種単独で用いても2種以上を併用してもよい。中でも、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチルおよび炭酸エチルメチルからなる群のうちの少なくとも1種が好ましく、特に、炭酸エチレンあるいは炭酸プロピレンなどの高粘度(高誘電率)溶媒(例えば、比誘電率ε≧30)と炭酸ジメチル、炭酸エチルメチルあるいは炭酸ジエチルなどの低粘度溶媒(例えば、粘度≦1mPa・s)との組み合わせがより好ましい。電解質塩の解離性およびイオンの移動度が向上するからである。
好ましい様態としては炭酸プロピレンを全溶剤に対し5体積%以上、より好ましくは10体積%以上、更に好ましくは15体積%以上含有している溶媒が挙げられる。より好ましい様態としては、環状カーボネートを全溶剤に対し20〜80体積%含有し、環状カーボネートのうち25〜100体積%がプロピレンカーボネートである。更に好ましい様態としては炭酸ジメチル、炭酸ジエチルおよび炭酸エチルメチルから選ばれる鎖状カーボネートを全溶剤に対し20〜80体積%含有し、炭酸エチレンあるいは炭酸プロピレンから選ばれる環状カーボネートを全溶剤に対し20〜80体積%含有し、その環状カーボネートのうち25〜100体積%(より好ましくは40〜100体積%)がプロピレンカーボネートである。炭酸プロピレンを所定量以上含有することで低温における大電流放電においても容量劣化を小さくすることができる。
しかしながら、本発明に用いられる有機溶媒は、上記例示によって限定されるものではない。
(機能性添加剤)
本発明の電解液には、各種の機能性添加剤を含有させることが好ましい。この添加剤により発現させる機能としては、例えば、難燃性の向上、サイクル特性の良化、容量特性の改善が挙げられる。以下に、本発明の電解質に適用することが好ましい機能性添加剤の例を示す。
<芳香族性化合物(A)>
芳香族性化合物としては、ビフェニル化合物、アルキル置換ベンゼン化合物が挙げられる。ビフェニル化合物は2つのベンゼン環が単結合で結合している部分構造を有しており
ベンゼン環は置換基を有してもよく、好ましい置換基は、炭素原子数1〜4のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、t−ブチルなど)、炭素原子数6〜10のアリール基(例えば、フェニル、ナフチルなど)である。
ビフェニル化合物としては、具体的に、ビフェニル、o−テルフェニル、m−テルフェニル、p−テルフェニル、4−メチルビフェニル、4−エチルビフェニル、及び4−tert−ブチルビフェニルを挙げることができる。
アルキル置換ベンゼン化合物は、炭素数1〜10のアルキル基で置換されたベンゼン化合物が好ましく、具体的には、シクロヘキシルベンゼン、t−アミルベンゼン、t−ブチルベンゼンを挙げることができる。
<ハロゲン含有化合物(B)>
ハロゲン含有化合物が有するハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、または、臭素原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。ハロゲン原子の数としては1〜6個が好ましく、1〜3個が更に好ましい。ハロゲン含有化合物としてはフッ素原子で置換されたカーボネート化合物、フッ素原子を有するポリエーテル化合物、フッ素置換芳香族化合物が好ましい。
ハロゲン置換カーボネート化合物は鎖状、または、環状いずれでもよいが、イオン伝導性の観点から、電解質塩(例えばリチウムイオン)の配位性が高い環状カーボネート化合物が好ましく、5員環環状カーボネート化合物が特に好ましい。
ハロゲン置換カーボネート化合物の好ましい具体例を以下に示す。この中でもBex1〜Bex4の化合物が特に好ましく、Bex1が特に好ましい。
Figure 2014220053
<重合性化合物(C)>
重合性化合物としては炭素−炭素二重結合を有する化合物が好ましく、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネートなどの二重結合を有するカーボネート化合物、アクリレート基、メタクリレート基、シアノアクリレート基、αCFアクリレート基から選ばれる基を有する化合物、スチリル基を有する化合物が好ましく、二重結合を有するカーボネート化合物、あるいは重合性基を分子内に2つ以上有する化合物が更に好ましい。
<リン含有化合物(D)>
リン含有化合物としては、リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物が好ましい。リン酸エステル化合物の好ましい例としては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリフェニル、リン酸トリベンジルなどが挙げられる。リン含有化合物としては、下記式(D2)または(D3)で表される化合物も好ましい。
Figure 2014220053
式中、RD4〜RD11は1価の置換基を表す。1価の置換基の中で好ましくは、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子である。RD4〜RD11の置換基の少なくとも1つはフッ素原子であることが好ましく、アルコキシ基、アミノ基、フッ素原子からなる置換基がより好ましい。
<硫黄含有化合物(E)>
含硫黄化合物としては−SO−、−SO−、−OS(=O)O−結合を有する化合物が好ましく、プロパンサルトン、プロペンサルトン、エチレンサルファイトなどの環状含硫黄化合物、スルホン酸エステル類が好ましい。
含硫黄環状化合物としては、下記式(E1)、(E2)で表される化合物が好ましい。
Figure 2014220053
式中、X、Xはそれぞれ独立に、−O−、−C(Ra)(Rb)−を表す。ここで、Ra、Rbは、それぞれ独立に、水素原子、または置換基を表す。置換基として、好ましくは炭素原子数1〜8のアルキル基、フッ素原子、炭素原子数の6〜12のアリール基である。αは5〜6員環を形成するのに必要な原子群を表す。αの骨格は炭素原子のほか、硫黄原子、酸素原子などを含んでもよい。αは置換されていてもよく、置換基としては置換基Tがあげられ、好ましくはアルキル基、フッ素原子、アリール基である。
Figure 2014220053
<ケイ素含有化合物(F)>
ケイ素含有化合物としては、下記式(F1)または(F2)で表される化合物が好ましい。
Figure 2014220053
F1はアルキル基、アルケニル基、アシル基、アシルオキシ基、または、アルコキシカルボニル基を表す。
F2はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、又はアルコキシ基を表す。
なお、1つの式に複数あるRF1及びRF2はそれぞれ異なっていても同じであってもよい。
<ニトリル化合物(G)>
ニトリル化合物としては、下記式(G)で表される化合物が好ましい。
Figure 2014220053
式中、RG1〜RG3はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、カルバモイル基、スルホニル基、またはホスホニル基を表す。各置換基の好ましいものは、置換基Tの例を参照することができるが、なかでも、RG1〜RG3のいずれか一つ以上がシアノ基を含むニトリル基を複数有する化合物が好ましい。
・ngは1〜8の整数を表す。
式(G)で表される化合物の具体例としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、イソブチロニトリル、スクシノニトリル、マロノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、2メチルグルタノニトリル、ヘキサントリカルボニトリル、プロパンテトラカルボニトリル等が好ましい。特に好ましくは、スクシノニトリル、マロノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、2メチルグルタノニトリル、ヘキサントリカルボニトリル、プロパンテトラカルボニトリルである。
<金属錯体化合物(H)>
金属錯体化合物としては、遷移金属錯体もしくは希土類錯体が好ましい。なかでも、下記式(H−1)〜(H−3)のいずれかで表される錯体が好ましい。
Figure 2014220053
式中、XおよびYは、それぞれ、メチル基、n−ブチル基、ビス(トリメチルシリル)アミノ基、チオイソシアン酸基であり、X,Yが縮環して環状アルケニル基(ブタジエン配位型メタラサイクル)を形成してもよい。式中、Mは遷移元素または希土類元素を表す。具体的にMは、Fe、Ru、Cr、V、Ta、Mo、Ti、Zr、Hf、Y、La、Ce、Sw、Nd、Lu、Er、Yb、Gdであることが好ましい。m,nは0≦m+n≦3を満たす整数である。n+mは1以上であることが好ましい。n、mが2以上であるとき、そこで規定される2以上の基はそれぞれ異なっていてもよい。
前記金属錯体化合物は下記式(H−4)で表される部分構造を有する化合物も好ましい。

−(NR1H2H)q ・・・ 式(H−4)
式中、Mは遷移元素または希土類元素を表し、式(H−1)〜(H−3)と同義である。
1H,R2Hは水素、アルキル基(好ましい炭素数は1〜6)、アルケニル基(好ましい炭素数は2〜6)、アルキニル基(好ましい炭素数は2〜6)、アリール基(好ましい炭素数は6〜14)、ヘテロアリール基(好ましい炭素数は3〜6)、アルキルシリル基(好ましい炭素数は1〜6)、またはハロゲンを表す。R1H,R2Hは互いに連結されていてもよい。R1H,R2Hはそれぞれあるいは連結して環を形成していてもよい。R1H,R2Hの好ましいものとしては、後記置換基Tの例が挙げられる。なかでも、メチル基、エチル基、トリメチルシリル基が好ましい。
は1〜4の整数を表し、2〜4の整数が好ましい。更に好ましくは2または4である。qが2以上のとき、そこで規定される複数の基は互いに同じでも異なっていてもよい。
金属錯体化合物は、下記式のいずれかで表される化合物も好ましい。
Figure 2014220053
・M
中心金属Mは、Ti、Zr、ZrO、Hf、V、Cr、Fe、Ceが特に好ましく、Ti、Zr、Hf、V、Crが最も好ましい。
・R3h、R5h、R7h〜R10h
これらは置換基を表す。なかでも、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アルケニル基、ハロゲン原子が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜6のアルケニル基がより好ましく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、t−ブチル、パーフルオロメチル、メトキシ、フェニル、エテニルであることが好ましい。
・R33h、R55h
33h、R55hは水素原子またはR3hの置換基を表す。
・Y
は、炭素数1〜6のアルキル基またはビス(トリアルキルシリル)アミノ基が好ましく、メチル基またはビス(トリメチルシリル)アミノ基がより好ましい。
・l、m、o
、m、oは0〜3の整数を表し、0〜2の整数が好ましい。l、m、oが2以上のとき、そこで規定される複数の構造部は互いに同じであっても、異なっていてもよい。
・L
はアルキレン基、アリーレン基が好ましく、炭素数3〜6のシクロアルキレン基、炭素数6〜14のアリーレン基がより好ましく、シクロヘキシレン、フェニレンがさらに好ましい。
<イミド化合物(I)>
イミド化合物としては、耐酸化性の観点よりパーフルオロ基を有するスルホンイミド化合物が好ましく、具体的にはパーフルオロスルホイミドリチウム化合物が挙げられる。
イミド化合物として、具体的には下記の構造が挙げられ、より好ましくはCex1、Cex2である。
Figure 2014220053
本発明の電解液には、上記のものを始め、負極被膜形成剤、難燃剤、過充電防止剤等から選ばれる少なくとも1種を含有していてもよい。非水電解液中におけるこれら機能性添加剤の含有割合は特に限定はないが、非水電解液全体(電解質を含む)に対し、それぞれ、0.001質量%〜10質量%が好ましい。これらの化合物を添加することにより、過充電による異常時に電池の破裂・発火を抑制したり、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を向上させたりすることができる。
(電解質)
本発明の電解液に用いる電解質は周期律表第一族又は第二族に属する金属イオンの塩である。その材料は電解液の使用目的により適宜選択される。例えば、リチウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などが挙げられ、二次電池などに使用される場合には、出力の観点からリチウム塩が好ましい。本発明の電解液をリチウム二次電池用非水系電解液の電解質として用いる場合には、金属イオンの塩としてリチウム塩を選択すればよい。リチウム塩としては、リチウム二次電池用非水系電解液の電解質に通常用いられるリチウム塩であれば特に制限はないが、例えば、以下に述べるものが好ましい。
(L−1)無機リチウム塩:LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF等の無機フッ化物塩;LiClO、LiBrO、LiIO等の過ハロゲン酸塩;LiAlCl等の無機塩化物塩等。
(L−2)含フッ素有機リチウム塩:LiCFSO等のパーフルオロアルカンスルホン酸塩;LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、LiN(FSO、LiN(CFSO)(CSO)等のパーフルオロアルカンスルホニルイミド塩;LiC(CFSO等のパーフルオロアルカンスルホニルメチド塩;Li[PF(CFCFCF)]、Li[PF(CFCFCF]、Li[PF(CFCFCF]、Li[PF(CFCFCFCF)]、Li[PF(CFCFCFCF]、Li[PF(CFCFCFCF]等のフルオロアルキルフッ化リン酸塩等。
(L−3)オキサラトボレート塩:リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロオキサラトボレート等。
これらのなかで、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF、LiClO、Li(RfSO)、LiN(RfSO、LiN(FSO、及びLiN(RfSO)(RfSO)が好ましく、LiPF、LiBF、LiN(RfSO、LiN(FSO、及びLiN(RfSO)(RfSO)などのリチウムイミド塩がさらに好ましい。ここで、Rf、Rfはそれぞれパーフルオロアルキル基(好ましい炭素数は1〜6、より好ましくは炭素数1〜3)を示す。
なお、電解液に用いる電解質は、1種を単独で使用しても、2種以上を任意に組み合わせてもよい。
電解液における電解質(周期律表第一族又は第二族に属する金属のイオンもしくはその金属塩)の含有量は、以下に電解液の調製法で述べる好ましい塩濃度となるよう量で添加される。塩濃度は電解液の使用目的により適宜選択されるが、一般的には電解液全質量中10質量%〜50質量%であり、さらに好ましくは15質量%〜30質量%である。なお、イオンの濃度として評価するときには、その好適に適用される金属との塩換算で算定されればよい。モル量でいうと、0.5mol/L〜5mol/Lが好ましく、0.8mol/L〜4mol/Lがより好ましく、1mol/L〜3mol/Lが特に好ましい。
[電解液の調製方法等]
本発明の非水二次電池用電解液は、金属イオンの塩としてリチウム塩を用いた例を含め、前記各成分を前記非水電解液溶媒に溶解して、常法により調製される。
本発明において、「非水」とは水を実質的に含まないことをいい、発明の効果を妨げない範囲で微量の水を含んでいてもよい。良好な特性を得ることを考慮して言うと、水の含有量が200ppm以下であることが好ましく、100ppm以下であることがより好ましく20ppm以下であることが更に好ましい。下限値は特にないが、不可避的な混入を考慮すると、1ppm以上であることが実際的である。本発明の電解液の粘度は特に限定されないが、25℃において、10〜0.1mPa・sであることが好ましく、5〜0.5mPa・sであることがより好ましい。
本発明において電解液の粘度は特に断らない限り、以下の測定方法で測定した値によるものとする。
<粘度の測定方法>
粘度は以下の方法で測定した値を言うこととする。サンプル1mLをレオメーター(CLS 500)に入れ、直径4cm/2°のSteel Cone(共に、TA Instrumennts社製)を用いて測定する。サンプルは予め測定開始温度にて温度が一定となるまで保温しておき、測定はその後に開始する。測定温度は25℃とする。
[二次電池]
本発明においては前記非水電解液を含有する非水二次電池とすることが好ましい。好ましい実施形態として、リチウムイオン二次電池についてその機構を模式化して示した図1を参照して説明する。本実施形態のリチウムイオン二次電池10は、上記本発明の非水二次電池用電解液5と、リチウムイオンの挿入放出が可能な正極C(正極集電体1,正極活物質層2)と、リチウムイオンの挿入放出又は溶解析出が可能な負極A(負極集電体3,負極活物質層4)とを備える。これら必須の部材に加え、電池が使用される目的、電位の形状などを考慮し、正極と負極の間に配設されるセパレータ9、集電端子(図示せず)、及び外装ケース等(図示せず)を含んで構成されてもよい。必要に応じて、電池の内部及び電池の外部の少なくともいずれかに保護素子を装着してもよい。このような構造とすることにより、電解液5内でリチウムイオンの授受a,bが生じ、充電α、放電βを行うことができ、回路配線7を介して動作機構6を介して運転あるいは蓄電を行うことができる。以下、本発明の好ましい実施形態であるリチウム二次電池の構成について、さらに詳細に説明する。
(電池形状)
本実施形態のリチウム二次電池が適用される電池形状には、特に制限はなく、例えば、有底筒型形状、有底角型形状、薄型形状、シート形状、及び、ペーパー形状などが挙げられ、これらのいずれであってもよい。また、組み込まれるシステムや機器の形を考慮した馬蹄形や櫛型形状等の異型のものであってもよい。なかもで、電池内部の熱を効率よく外部に放出する観点から、比較的平らで大面積の面を少なくとも一つを有する有底角型形状や薄型形状などの角型形状が好ましい。
有底筒型形状の電池では、充填される発電素子に対する外表面積が小さくなるので、充電や放電時に内部抵抗による発生するジュール発熱を効率よく外部に逃げる設計にすることが好ましい。また、熱伝導性の高い物質の充填比率を高め、内部での温度分布が小さくなるように設計することが好ましい。図2は、有底筒型形状リチウム二次電池100の例である。この電池は、セパレータ12を介して重ね合わせた正極シート14、負極シート16を巻回して外装缶18内に収納した有底筒型リチウム二次電池100となっている。
有底角型形状では、一番大きい面の面積S(端子部を除く外形寸法の幅と高さとの積、単位cm)の2倍と電池外形の厚さT(単位cm)との比率2S/Tの値が100以上であることが好ましく、200以上であることが更に好適である。最大面を大きくすることにより高出力かつ大容量の電池であってもサイクル性や高温保存等の特性を向上させるとともに、異常発熱時の放熱効率を上げることができ、後述する「弁作動」や「破裂」という危険な状態になることを抑制することができる。
(電池を構成する部材)
本実施形態のリチウム二次電池は、図1に基づいて言うと、電解液5、正極及び負極の電極合剤C,A、セパレータの基本部材9を具備して構成される。以下、これらの各部材について述べる。
(電極合材)
電極合材は、集電体(電極基材)上に活物質と導電剤、結着剤、フィラーなどの分散物を塗布したものであり、リチウム電池においては、活物質が正極活物質である正極合材と活物質が負極活物質である負極合材が使用されることが好ましい。次に、電極合材を構成する分散物(電極用組成物)中の各成分等について説明する。
・正極活物質
正極活物質には遷移金属酸化物を用いることが好ましく、中でも、遷移元素M(Co、Ni、Fe、Mn、Cu、Vから選択される1種以上の元素)を有することが好ましい。また、混合元素M(リチウム以外の金属周期律表の第1(Ia)族の元素、第2(IIa)族の元素、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P、Bなど)を混合してもよい。この、遷移金属酸化物として例えば、下記式(MA)〜(MC)のいずれかで表されるものを含む特定遷移金属酸化物、あるいはその他の遷移金属酸化物としてV、MnO等が挙げられる。正極活物質には、粒子状の正極活性物質を用いてもよい。具体的に、可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できる遷移金属酸化物を用いることができるが、前記特定遷移金属酸化物を用いるのが好ましい。
遷移金属酸化物としては、前記遷移元素Mを含む酸化物等が好適に挙げられる。このとき混合元素M(好ましくはAl)などを混合してもよい。混合量としては、遷移金属の量に対して0〜30mol%が好ましい。Li/Mのモル比が0.3〜2.2になるように混合して合成されたものが、より好ましい。
〔式(MA)で表される遷移金属酸化物(層状岩塩型構造)〕
リチウム含有遷移金属酸化物としては中でも下式で表されるものが好ましい。
Li ・・・ (MA)
式中、Mは前記Maと同義である。aは0〜1.2を表し、0.1〜1.15であることが好ましく、さらに0.6〜1.1であることが好ましい。bは1〜3を表し、2であることが好ましい。Mの一部は前記混合元素Mで置換されていてもよい。当該式(MA)で表される遷移金属酸化物は典型的には層状岩塩型構造を有する。
本遷移金属酸化物は下記の各式で表されるものであることがより好ましい。
(MA−1) LiCoO
(MA−2) LiNiO
(MA−3) LiMnO
(MA−4) LiCoNi1−j
(MA−5) LiNiMn1−j
(MA−6) LiCoNiAl1−j−i
(MA−7) LiCoNiMn1−j−i
ここでgは前記aと同義である。jは0.1〜0.9を表す。iは0〜1を表す。ただし、1−j−iは0以上になる。kは前記bと同義である。当該遷移金属化合物の具体例を示すと、LiCoO(コバルト酸リチウム[LCO])、LiNi(ニッケル酸リチウム)LiNi0.85Co0.01Al0.05(ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム[NCA])、LiNi0.33Co0.33Mn0.33(ニッケルマンガンコバルト酸リチウム[NMC])、LiNi0.5Mn0.5(マンガンニッケル酸リチウム)である。
式(MA)で表される遷移金属酸化物は、一部重複するが、表記を変えて示すと、下記で表されるものも好ましい例として挙げられる。
(i)LiNiMnCo(x>0.2,y>0.2,z≧0,x+y+z=1)
代表的なもの:
LiNi1/3Mn1/3Co1/3
LiNi1/2Mn1/2
(ii)LiNiCoAl(x>0.7,y>0.1,0.1>z>0.05,x+y+z=1)
代表的なもの:
LiNi0.8Co0.15Al0.05
〔式(MB)で表される遷移金属酸化物(スピネル型構造)〕
リチウム含有遷移金属酸化物としては中でも下記式(MB)で表されるものも好ましい。
Li ・・・ (MB)
式中、Mは前記Maと同義である。cは0〜2を表し、0.1〜1.15であることが好ましく、さらに0.6〜1.5であることが好ましい。dは3〜5を表し、4であることが好ましい。
式(MB)で表される遷移金属酸化物は下記の各式で表されるものであることがより好ましい。
(MB−1) LiMn
(MB−2) LiMnAl2−p
(MB−3) LiMnNi2−p
mはcと同義である。nはdと同義である。pは0〜2を表す。当該遷移金属化合物の具体例を示すと、LiMn、LiMn1.5Ni0.5である。
式(MB)で表される遷移金属酸化物はさらに下記で表されるものも好ましい例として挙げられる。
(a) LiCoMnO
(b) LiFeMn
(c) LiCuMn
(d) LiCrMn
(e) LiNiMn
高容量、高出力の観点で上記のうちNiを含む電極が更に好ましい。
〔式(MC)で表される遷移金属酸化物〕
リチウム含有遷移金属酸化物としてはリチウム含有遷移金属リン酸化物を用いることも好ましく、中でも下記式(MC)で表されるものも好ましい。
Li(PO ・・・ (MC)
式中、eは0〜2を表し、0.1〜1.15であることが好ましく、さらに0.5〜1.5であることが好ましい。fは1〜5を表し、0.5〜2であることが好ましい。
前記MはV、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cuから選択される一種以上の元素を表す。前記Mは、上記の混合元素Mのほか、Ti、Cr、Zn、Zr、Nb等の他の金属で置換していてもよい。具体例としては、例えば、LiFePO、LiFe(PO等のオリビン型リン酸鉄塩、LiFeP等のピロリン酸鉄類、LiCoPO等のリン酸コバルト類、Li(PO(リン酸バナジウムリチウム)等の単斜晶ナシコン型リン酸バナジウム塩が挙げられる。
なお、Liの組成を表す前記a,c,g,m,e値は、充放電により変化する値であり、典型的には、Liを含有したときの安定な状態の値で評価される。前記式(a)〜(e)では特定値としてLiの組成を示しているが、これも同様に電池の動作により変化するものである。
本発明において、正極活物質には3.5V以上の正極電位(Li/Li基準)で通常使用を維持できる材料を用いることが好ましく、3.8V以上であることがより好ましく、4V以上であることがさらに好ましく、4.25V以上であることがさらに好ましく、4.3V以上であることがさらに好ましい。上限は特にないが、5V以下であることが実際的である。上記範囲とすることで、サイクル特性および高レート放電特性を向上することができる。
ここで通常使用を維持できるとは、その電圧で充電を行ったときでも電極材料が劣化して使用不能になることがないことを意味し、この電位を通常使用可能電位ともいう。電極活物質充放電電位はそのピークから特定してもよい。電位のピークは、動作電極、参照電極、対電極からなる3極式セルを作成し、電気化学測定(サイクリックボルタンメトリー)を行うことにより特定することができる。3極式セルの構成および電気化学測定の測定条件は以下のとおりである。
<3極式セルの構成>
・作動電極:ゾルゲル法またはスパッタリング法により白金電極上に作成した活物質電極
・参照電極:リチウム
・対電極 :リチウム
・希釈メディア:EC/EMC=1/2 LiPF 1M、キシダ化学社製
<測定条件>
・走査速度:1mV/s
・測定温度:25℃
充放電時の正極電位(Li/Li基準)は
(正極電位)=(負極電位)+(電池電圧)である。負極としてチタン酸リチウムを用いた場合、負極電位は1.55Vとする。負極として黒鉛を用いた場合は負極電位は0.
1Vとする。充電時に電池電圧を観測し、正極電位を算出する。
本発明の非水二次電池において、用いられる正極活物質の平均粒子サイズは特に限定されないが、0.1μm〜50μmが好ましい。比表面積としては特に限定されないが、BET法で0.01m/g〜50m/gであるのが好ましい。また、正極活物質5gを蒸留水100mlに溶かした時の上澄み液のpHとしては、7以上12以下が好ましい。
正極活性物質を所定の粒子サイズにするには、良く知られた粉砕機や分級機が用いられる。例えば、乳鉢、ボールミル、振動ボールミル、振動ミル、衛星ボールミル、遊星ボールミル、旋回気流型ジェットミルや篩などが用いられる。前記焼成法によって得られた正極活物質は、水、酸性水溶液、アルカリ性水溶液、有機溶剤にて洗浄した後使用してもよい。
正極活物質の配合量は特に限定されないが、活物質層を構成するための分散物(合剤)中、固形成分100質量%において、60〜98質量%であることが好ましく。70〜95質量%であることがより好ましい。
・負極活物質
本発明において負極活物質としては、遷移金属化合物または黒鉛を用いる。なかでも、通常作動電位が対金属リチウムで1.2V(好ましくは1.4〜2V)以上となるものを用いることが好ましい。具体的には、第一族又は第二族に属する金属のイオンを挿入放出可能であり、炭素原子(C)、ケイ素原子(Si)、もしくはチタン原子(Ti)を含む材料を用いることが好ましい。例えば、炭素質材料、酸化ケイ素等の金属酸化物、金属複合酸化物、リチウム単体やリチウムアルミニウム合金等のリチウム合金、及び、Si等のリチウムと合金形成可能な金属等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。なかでも炭素質材料又はリチウム複合酸化物が安全性の点から好ましく用いられる。また、金属複合酸化物としては、リチウムを吸蔵、放出可能であれば特には制限されないが、構成成分としてチタン及び/又はリチウムを含有していることが、高電流密度充放電特性の観点で好ましい。
負極活物質として用いられる炭素質材料とは、実質的に炭素からなる材料である。例えば、石油ピッチ、天然黒鉛、気相成長黒鉛等の人造黒鉛、及びPAN系の樹脂やフルフリルアルコール樹脂等の各種の合成樹脂を焼成した炭素質材料を挙げることができる。さらに、PAN系炭素繊維、セルロース系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、脱水PVA系炭素繊維、リグニン炭素繊維、ガラス状炭素繊維、活性炭素繊維等の各種炭素繊維類、メソフェーズ微小球体、グラファイトウィスカー、平板状の黒鉛等を挙げることもできる。
これらの炭素質材料は、黒鉛化の程度により難黒鉛化炭素材料と黒鉛系炭素材料に分けることもできる。また炭素質材料は、特開昭62−22066号公報、特開平2−6856号公報、同3−45473号公報に記載される面間隔や密度、結晶子の大きさを有することが好ましい。炭素質材料は、単一の材料である必要はなく、特開平5−90844号公報記載の天然黒鉛と人造黒鉛の混合物、特開平6−4516号公報記載の被覆層を有する黒鉛等を用いることもできる。
本発明の非水二次電池において、用いられる前記負極活物質の平均粒子サイズは、0.1μm〜60μmが好ましい。所定の粒子サイズにするには、よく知られた粉砕機や分級機が用いられる。例えば、乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、衛星ボールミル、遊星ボールミル、旋回気流型ジェットミルや篩などが好適に用いられる。粉砕時には水、あるいはメタノール等の有機溶媒を共存させた湿式粉砕も必要に応じて行うことができる。所望の粒径とするためには分級を行うことが好ましい。分級方法としては特に限定はなく、篩、風力分級機などを必要に応じて用いることができる。分級は乾式、湿式ともに用いることができる。
前記焼成法により得られた化合物の化学式は、測定方法として誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法、簡便法として、焼成前後の粉体の質量差から算出できる。
本発明の電解液は好ましい様態として高電位負極(好ましくはリチウム・チタン酸化物、電位1.55V対Li金属)との組合せ、及び低電位負極(好ましくは炭素材料、電位約0.1V対Li金属)との組合せのいずれにおいても優れた特性を発現する。
本発明の非水二次電池で用いられる負極活物質はチタン酸リチウムを含有することが好ましく。より具体的にはLiTi12がリチウムイオンの吸蔵放出時の体積変動が小さいことから電極の劣化が抑制されリチウムイオン二次電池の寿命向上が可能となる点で好ましい。特定の負極と更に特定の電解液を組合せることにより、様々な使用条件においても二次電池の安定性が向上する。
・導電材
導電材は、構成された二次電池において、化学変化を起こさない電子伝導性材料であれば何を用いてもよく、公知の導電材を任意に用いることができる。通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛など)、人工黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維や金属粉(銅、ニッケル、アルミニウム、銀(特開昭63−10148,554号に記載)等)、金属繊維あるいはポリフェニレン誘導体(特開昭59−20,971号に記載)などの導電性材料を1種又はこれらの混合物として含ませることができる。その中でも、黒鉛とアセチレンブラックの併用がとくに好ましい。前記導電剤の添加量としては、1〜50質量%が好ましく、2〜30質量%がより好ましい。カーボンや黒鉛の場合は、2〜15質量%が特に好ましい。
・結着剤
結着剤としては、多糖類、熱可塑性樹脂及びゴム弾性を有するポリマーなどが挙げられ、その中でも、例えば、でんぷん、カルボキシメチルセルロース、セルロース、ジアセチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルフェノール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシ(メタ)アクリレート、スチレン−マレイン酸共重合体等の水溶性ポリマー、ポリビニルクロリド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、ビニリデンフロライド−テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、ポリビニルアセタール樹脂、メチルメタアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルを含有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、ビニルアセテート等のビニルエステルを含有するポリビニルエステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ネオプレンゴム、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシド、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等のエマルジョン(ラテックス)あるいはサスペンジョンが好ましく、ポリアクリル酸エステル系のラテックス、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフロロエチレン、ポリフッ化ビニリデンが、より好ましい。
結着剤は、一種単独又は二種以上を混合して用いることができる。結着剤の添加量が少ないと、電極合剤の保持力・凝集力が弱くなる。多すぎると電極体積が増加し電極単位体積あるいは単位質量あたりの容量が減少する。このような理由で結着剤の添加量は1〜30質量%が好ましく、2〜10質量%がより好ましい。
・フィラー
電極合材は、フィラーを含んでいてもよい。フィラーを形成する材料は、本発明の二次電池において、化学変化を起こさない繊維状材料であれば何でも用いることができる。通常、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのオレフィン系ポリマー、ガラス、炭素などの材料からなる繊維状のフィラーが用いられる。フィラーの添加量は特に限定されないが、分散物中、0〜30質量%が好ましい。
・集電体
正・負極の集電体としては、本発明の非水電解質二次電池において化学変化を起こさない電子伝導体が用いられる。正極の集電体としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタンなどの他にアルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたものが好ましく、その中でも、アルミニウム、アルミニウム合金がより好ましい。
負極の集電体としては、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタンが好ましく、アルミニウム、銅、銅合金がより好ましい。
前記集電体の形状としては、通常フィルムシート状のものが使用されるが、ネット、パンチされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の成形体なども用いることができる。前記集電体の厚みとしては、特に限定されないが、1μm〜500μmが好ましい。また、集電体表面は、表面処理により凹凸を付けることも好ましい。
これらの材料から適宜選択した部材によりリチウム二次電池の電極合材が形成される。
(セパレータ)
本発明の非水二次電池に用いられるセパレータは、正極と負極を電子的に絶縁する機械的強度、イオン透過性、及び正極と負極の接触面で酸化・還元耐性のある材料であれば特に限定されることはない。このような材料として多孔質のポリマー材料や無機材料、有機無機ハイブリッド材料、あるいはガラス繊維などが用いられる。これらセパレータは安全性確保のためのシャットダウン機能、すなわち、80℃以上で隙間を閉塞して抵抗を上げ、電流を遮断する機能を持つことが好ましく、閉塞温度は90℃以上、180℃以下であることが好ましい。
前記セパレータの孔の形状は、通常は円形や楕円形で、大きさは0.05μm〜30μmであり、0.1μm〜20μmが好ましい。さらに延伸法、相分離法で作った場合のように、棒状や不定形の孔であってもよい。これらの隙間の占める比率すなわち気孔率は、20%〜90%であり、35%〜80%が好ましい。
前記ポリマー材料としては、セルロース不織布、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの単一の材料を用いたものでも、2種以上の複合化材料を用いたものであってもよい。孔径、気孔率や孔の閉塞温度などを変えた2種以上の微多孔フィルムを積層したものが、好ましい。
前記無機物としては、アルミナや二酸化珪素等の酸化物類、窒化アルミや窒化珪素等の窒化物類、硫酸バリウムや硫酸カルシウム等の硫酸塩類が用いられ、粒子形状もしくは繊維形状のものが用いられる。形態としては、不織布、織布、微多孔性フィルム等の薄膜形状のものが用いられる。薄膜形状では、孔径が0.01μm〜1μm、厚さが5μm〜50μmのものが好適に用いられる。前記の独立した薄膜形状以外に、前記無機物の粒子を含有する複合多孔層を樹脂製の結着剤を用いて正極及び/又は負極の表層に形成させてなるセパレータを用いることができる。例えば、正極の両面に90%粒径が1μm未満のアルミナ粒子をフッ素樹脂の結着剤を用いて多孔層として形成させることが挙げられる。
(非水二次電池の作製)
本発明の非水二次電池の形状としては、既述のように、シート状、角型、シリンダー状などいずれの形にも適用できる。正極活物質や負極活物質の合剤は、集電体の上に、塗布(コート)、乾燥、圧縮されて、主に用いられる。
以下、図2により、有底筒型形状リチウム二次電池100を例に挙げて、その構成及び作製方法について説明する。有底筒型形状の電池では、充填される発電素子に対する外表面積が小さくなるので、充電や放電時に内部抵抗による発生するジュール発熱を効率よく外部に逃げる設計にすることが好ましい。また、熱伝導性の高い物質の充填比率を高め、内部での温度分布が小さくなるように設計することが好ましい。図2は、有底筒型形状リチウム二次電池100を例である。この電池は、セパレータ12を介して重ね合わせた正極シート14、負極シート16を巻回して外装缶18内に収納した有底筒型リチウム二次電池100となっている。その他、図中の20が絶縁板、22が封口板、24が正極集電体、26がガスケット、28が圧力感応弁体、30が電流遮断素子である。なお、拡大した円内の図示は視認性を考慮しハッチングを変えているが、各部材は符号により全体図と対応している。
まず、負極活物質と、所望により用いられる結着剤やフィラーなどを有機溶剤に溶解したものを混合して、スラリー状あるいはペースト状の負極合剤を調製する。得られた負極合剤を集電体としての金属芯体の両面の全面にわたって均一に塗布し、その後、有機溶剤を除去して負極合材層を形成する。さらに、集電体と負極合材層との積層体をロールプレス機等により圧延して、所定の厚みに調製して負極シート(電極シート)を得る。このとき、各剤の塗布方法や塗布物の乾燥、正・負極の電極の形成方法は定法によればよい。
本実施形態では、円筒形の電池を例に挙げたが、本発明はこれに制限されず、例えば、前記方法で作製された正・負の電極シートを、セパレータを介して重ね合わせた後、そのままシート状電池に加工するか、或いは、折りまげた後角形缶に挿入して、缶とシートを電気的に接続した後、電解質を注入し、封口板を用いて開口部を封止して角形電池を形成してもよい。
いずれの実施形態においても、安全弁を開口部を封止するための封口板として用いることができる。また、封口部材には、安全弁の他、従来知られている種々の安全素子を備えつけてもよい。例えば、過電流防止素子として、ヒューズ、バイメタル、PTC素子などが好適に用いられる。
また、前記安全弁のほかに電池缶の内圧上昇の対策として、電池缶に切込を入れる方法、ガスケット亀裂方法あるいは封口板亀裂方法あるいはリード板との切断方法を利用することができる。また、充電器に過充電や過放電対策を組み込んだ保護回路を具備させるか、あるいは独立に接続させてもよい。
缶やリード板は、電気伝導性をもつ金属や合金を用いることができる。例えば、鉄、ニッケル、チタン、クロム、モリブデン、銅、アルミニウムなどの金属あるいはそれらの合金が好適に用いられる。
キャップ、缶、シート、リード板の溶接法は、公知の方法(例、直流又は交流の電気溶接、レーザー溶接、超音波溶接)を用いることができる。封口用シール剤は、アスファルトなどの従来知られている化合物や混合物を用いることができる。
(感圧機構)
本発明に係る非水二次電池は感圧機構(所定圧力以上になると電流を遮断する機構)を有することが好ましい。感圧機構は前述のような感圧弁を利用するも、感圧センサにより圧力変化を検知して通電を遮断するものなど、様々なものを採用することができる。図3は、感圧弁の別の例を示した一部断面側面図である。
なお、電流遮断封口体50は、図3に示すように、逆皿状(キャップ状)に形成されたステンレス製の正極キャップ51と、皿状に形成されたステンレス製の底板54とから構成される。正極キャップ51は、電池外部に向けて膨出する凸部52と、この凸部52の底辺部を構成する平板状のフランジ部53とからなり、凸部52の角部には複数のガス抜き孔52aを設けている。一方、底板54は、電池内部に向けて膨出する凹部55と、この凹部55の底辺部を構成する平板状のフランジ部56とからなる。凹部55の角部にはガス抜き孔55aが設けられている。
これらの正極キャップ51と底板54との内部には、電池内部のガス圧が上昇して所定の圧力以上になると変形する電力導出板57が収容されている。この電力導出板57は凹部57aとフランジ部57bとからなり、例えば、厚みが0.2mmで表面の凹凸が0.005mmのアルミニウム箔から構成される。凹部57aの最低部は底板54の凹部55の上表面に接触して配設されており、フランジ部57bは正極キャップ51のフランジ部53と底板54のフランジ部56との間に狭持される。なお、正極キャップ51と底板54とはポリプロピレン(PP)製の封口体用絶縁ガスケット59により液密に封口されている。
フランジ部57bの上部の一部には、PTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスタ素子58が配設され、電池内に過電流が流れて異常な発熱現象を生じると、このPTCサーミスタ素子58の抵抗値が増大して過電流を減少させる。そして、電池内部のガス圧が上昇して所定の圧力以上になると電力導出板57の凹部57aは変形するため、電力導出板57と底板54の凹部55との接触が遮断されて過電流あるいは短絡電流が遮断されるようになる。
本発明に係る非水二次電池用電解液を用いることにより、上記感圧機構を有する二次電池において、その過充電時に瞬時により多くのガスを発生し、的確かつ迅速な電流の遮断が可能とする。
[非水二次電池の用途]
リチウム電池と呼ばれる二次電池は、充放電反応にリチウムの吸蔵および放出を利用する二次電池(リチウムイオン二次電池)と、リチウムの析出および溶解を利用する二次電池(リチウム金属二次電池)とに大別される。本発明においてはリチウムイオン二次電池としての適用が好ましい。
本発明の非水二次電池はサイクル性良好な二次電池を作製することができるため、種々の用途に適用される。適用態様には特に限定はないが、例えば、電子機器に搭載する場合、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、コードレスフォン子機、ページャー、ハンディーターミナル、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、電気シェーバー、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、メモリーカードなどが挙げられる。その他民生用として、自動車、電動車両、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、ロードコンディショナー、時計、ストロボ、カメラ、医療機器(ペースメーカー、補聴器、肩もみ機など)などが挙げられる。更に、各種軍需用、宇宙用として用いることができる。また、太陽電池と組み合わせることもできる。
なかでも、特にその過充電時の安全性と高レート放電特性の利点を発揮する観点から、高容量且つ高レート放電特性が要求されるアプリケーションに適用されることが好ましい。例えば、今後大容量化が予想される蓄電設備等においては高い安全性が必須となりさらに電池性能の両立が要求される。また、電気自動車などは高容量の二次電池を搭載し、家庭で日々充電が行われる用途が想定され、過充電時に対して一層の安全性が求められる(NEDO技術開発機構,燃料電池・水素技術開発部,蓄電技術開発室「NEDO次世代自動車用蓄電池技術開発 ロードマップ2008」(平成21年6月))。また、発進、加速時には高レートでの放電が必要であり、繰返し充放電しても高レート放電容量が劣化しないことが重要になる。本発明によれば、このような使用形態に好適に対応してその優れた効果を発揮することができる。
以下に、本発明についてさらに詳細に説明するが、これにより本発明が限定して解釈されるものではない。
(実施例1)
(電解液の調製)
エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)を体積比1:2で混合した溶液に対し、1mol/L(12.7質量%)となるようにLiPFを添加し、基準となる電解液を作製した。これに対し、下表1に記載の添加剤及び添加量で混合し、非水電解液を調製した。
(2032形コイン電池の作製)
正極は、NMC:LiNi0.33Co0.33Mn0.33 85質量%、導電助剤:カーボンブラック7.5質量%、バインダー:PVDF 7.5質量%で作製し、負極は、LTO:チタン酸リチウム 94質量%、導電助剤:カーボンブラック3質量%、バインダー:PVDF 3質量%で作製した。セパレータはガラスろ紙(ADVANTEC社製:GA−55、厚さ:0.21mm)である。上記の正負極、セパレータを使用し、各試験用電解液について、2032形コイン電池(直径:20mm、高さ:3.2mm、上蓋、底蓋:SUS製250μm、図4)を作製し、下記電池特性項目の評価を行った。
<過充電時ガス発生量>
上記の手順で作製した2032形電池を用いて45℃の恒温槽中、1.8mAで電池電圧が4.95Vになるまで1C定電流充電した後、0.4mAで電池電圧が1.2Vになるまで0.2C放電を行い、電池の体積を測定した。測定は島津(株)社製、精密比重計セット(精密天秤:AUW120D、比重測定キット:SMK−401)を用いて行った。この過充電試験後の電池体積増加分の電池作製時体積に対する比率を過充電時ガス発生量とした。
過充電時ガス発生量
=(過充電試験後の電池体積―作成時電池体積)/作成時電池体積×100
このガス発生量を
1未満 C
1以上2未満 B
2以上3未満 A
3以上 AA
として評価した。
<4.3V容量維持率>
上記の方法で作製した2032形電池を用いて、60℃の恒温槽中、4.0mAで電極電位が4.5V(電圧2.95V)になるまで1C定電流充電を行った。この定電圧の充電を電流値が0.12mAになるまで継続した(ただし、充電時間の上限を2時間とした)。次に4.0mAで電極電位が2.75V(電圧1.2V)になるまで1C定電流放電を行い、1サイクルとした。これを300サイクルに達するまで繰り返し、300サイクル後の放電容量(mAh)を測定した。この結果から、放電容量維持率を下記の式で算出した。
放電容量維持率(%)=
(300サイクル後の放電容量/1サイクル後の放電容量)×100
70%以上 A
60%以上70%未満 B
50%以上60%未満 C
<4.3V低温特性>
前記サイクル特性試験の温度を60℃から5℃に変更した。これ以外同様にして、1サイクル目どうしの放電容量を測定し、下記式で低温容量維持率を算出した。
低温容量維持率(%)=
(5℃の放電容量/60℃の放電容量)×100
70%以上 A
60%以上70%未満 B
50%以上60%未満 C
結果を下表1に示す。
Figure 2014220053
試験No.:cで始まるものは比較例
*1 化合物添加量:電解液全量(電解質を含む)に対する含有率(mol/L)
*2 溶媒添加量:溶媒の全量に対する含有率(体積%)
Figure 2014220053
上記の結果より、本発明に係るガス発生剤を用いることにより、非水電解液からのガス発生に基づく高い過充電防止性、電池性能の劣化抑制性(サイクル特性)、低温特性を同時に満足することができることが分かる。
(実施例2)
(電解液の調製)
エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)を体積比1:2で混合した溶液に対し、1mol/L(12.7質量%)となるようにLiPFを添加し、基準となる電解液を作製した。これに対し、下表2に記載の添加剤及び添加量で混合し、非水電解液を調製した。
(2032形コイン電池の作製)
正極は、NMC:LiNi0.33Co0.33Mn0.33 85質量%、導電助剤:カーボンブラック7.5質量%、バインダー:PVDF 7.5質量%で作製し、負極は、MAG:グラファイト 94質量%、導電助剤:カーボンブラック3質量%、バインダー:PVDF 3質量%で作製した。セパレータはガラスろ紙(ADVANTEC社製:GA−55、厚さ:0.21mm)である。上記の正負極、セパレータを使用し、各試験用電解液について、2032形コイン電池(直径:20mm、高さ:3.2mm、上蓋、底蓋:SUS製250μm、図4)を作製し、下記電池特性項目の評価を行った。
実施例1と同様にして、過充電時のガス発生性、サイクル特性、低温特性の各試験を行った結果を下表2に示す。
Figure 2014220053
上記の結果より、本発明に係るガス発生剤は、負極黒鉛を用いた環境において、還元反応に由来すると考えられるサイクル性能、レート特性低下がわずかに見られるが、従来からのガス発生剤に対しては、電池性能の劣化抑制性(サイクル特性)、低温特性を大きく落とすことなく高いガス発生能を付与できることが分かる。動作時に多少反応するにも関わらず大きな性能低下に繋がらないのは、本発明のガス発生剤はホウ素、リン元素などを含むため、これら元素由来のSEIが黒鉛上に生成し、過剰な還元反応を抑制しているものと考えられる。
C 正極(正極合材)
1 正極導電材(集電体)
2 正極活物質層
A 負極(負極合材)
3 負極導電材(集電体)
4 負極活物質層
5 非水電解液
6 動作手段
7 配線
9 セパレータ
10 リチウムイオン二次電池
12 セパレータ
14 正極シート
16 負極シート
18 負極を兼ねる外装缶
20 絶縁板
22 封口板
24 正極集電
26 ガスケット
28 圧力感応弁体
30 電流遮断素子
100 有底筒型形状リチウム二次電池
50 電流遮断封口体
51 正極キャップ
52 凸部
52a ガス抜き孔
53 フランジ部
54 底板
55 凹部
56 フランジ部
57 電力導出板
57a 凹部57
57b フランジ部
58 PTCサーミスタ素子
59 封口体用絶縁ガスケット
61 負極端子(上蓋)
62 負極
63 セパレータ(電解液を含む)
64 ガスケット(シール材)
65 正極
66 正極管(底蓋)

Claims (13)

  1. 正極と負極と非水電解液とを有する非水二次電池であって、
    前記負極はその活物質として遷移金属酸化物または黒鉛を有してなり、
    前記非水電解液は、電解質と、下記式(I)または(II)で表される化合物からなるガス発生剤0.05mol/L以上1mol/L以下とを有機溶媒中に含む非水二次電池。
    Figure 2014220053
    (式中、R〜Rは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アリール基、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボニルオキシ基含有基、またはヘテロアリール基であり、それぞれが互いに結合し環構造を形成してもよい。YはO、NR、Sであり、Rはアルキル基、アリール基、またはヘテロアリール基を表す。Zは有機カチオン又は無機カチオンを表す。)
  2. 前記ガス発生剤が下記式(1)〜(4)のいずれかで示される部分構造Aを有する請求項1に記載の非水二次電池。
    Figure 2014220053
    (式中、R11およびR12は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、またはアルコキシ基である。R13は、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アルコキシ基、電子吸引性基、またはアルコキシカルボニル基である。複数のR13は互いに同じであっても異なっていてもよく、結合ないし縮合して環を形成していてもよい。nは0〜5の整数である。nは1〜5の整数である。m1、m2はそれぞれ独立に0〜11の整数である。またR11〜R13は互いに結合し環構造を形成してもよい。*は結合手を表す。)
  3. 前記ガス発生剤が部分構造Aを分子内に複数有する請求項2に記載の非水二次電池。
  4. 前記正極の活物質が、アルカリ金属イオンを挿入放出可能な遷移金属酸化物を含んでなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水二次電池。
  5. 前記正極に含まれる活物質が下記式(MA)〜(MC)のいずれかで表される遷移金属酸化物を含む請求項4に記載の非水二次電池。
    Li ・・・ (MA)
    Li ・・・ (MB)
    Li(PO ・・・ (MC)
    (式中、MおよびMは、それぞれ独立に、Co、Ni、Fe、Mn、Cu、およびVから選択される1種以上の元素を表す。Mは、それぞれ独立に、V、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、およびCuから選択される1種以上の元素を表す。ただし、M〜Mは、その一部が、リチウム以外の周期律表の第1(Ia)族の元素、第2(IIa)族の元素、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P、およびBから選ばれる少なくとも1つにより置換されていてもよい。aは0〜1.2を表す。bは1〜3を表す。cは0〜2を表す。dは3〜5を表す。eは0〜2を表し、fは1〜5を表す。)
  6. 前記正極の活物質が、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、ニッケルマンガンコバルト酸リチウム、マンガンニッケル酸リチウム、ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム、またはリン酸鉄リチウムである請求項5に記載の非水二次電池。
  7. 前記負極の活物質が、チタン酸リチウム(LTO)または(複合)炭素材料を含んでなる請求項1〜6のいずれか1項に記載の非水二次電池。
  8. 電池の通常充電正極電位が4.25V(Li/Li基準)以上である請求項1〜7のいずれか1項に記載の非水二次電池。
  9. 前記電解質が、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF、LiClO、Li(RfSO)、LiN(RfSO、LiN(FSO、及びLiN(RfSO)(RfSO)から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜8のいずれか1項に記載の非水二次電池(Rf、Rfはそれぞれパーフルオロアルキル基を示す)。
  10. 前記ガス発生剤が下記式(21)〜(23)のいずれかで表される化合物からなる請求項1〜8のいずれか1項に記載の非水二次電池。
    Figure 2014220053
    (式中、R21〜R28は、それぞれ独立に、前記部分構造Aを有する置換基である。Zは有機カチオンまたは無機カチオンである。)
  11. 前記ガス発生剤が下記式(31)〜(33)のいずれかで表される化合物からなる請求項1〜8のいずれか1項に記載の非水二次電池。
    Figure 2014220053
    (式中、R31〜R37は、それぞれ独立に、前記部分構造Aを有する置換基である。)
  12. 電解質と、下記式(I)または(II)で表される化合物からなるガス発生剤0.05mol/L以上1mol/L以下とを有機溶媒中に含む非水二次電池用電解液。
    Figure 2014220053
    (式中、R〜Rは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アリール基、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボニルオキシ基含有基、またはヘテロアリール基であり、それぞれが互いに結合し環構造を形成してもよい。YはO、NR、Sであり、Rはアルキル基、アリール基、またはヘテロアリール基を表す。Zは有機カチオン又は無機カチオンを表す。)
  13. 非水二次電池の電解液に電解質とともに添加して用いるガス発生剤であって、
    下記式(I)または(II)で表される化合物からなるガス発生剤。
    Figure 2014220053
    (式中、R〜Rは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アリール基、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボニルオキシ基含有基、またはヘテロアリール基であり、それぞれが互いに結合し環構造を形成してもよい。YはO、NR、Sであり、Rはアルキル基、アリール基、またはヘテロアリール基を表す。Zは有機カチオン又は無機カチオンを表す。)
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