以下、添付図面を参照しながら本発明の一実施形態に係る撮像ユニット(撮像装置)10について説明する。なお以下の説明における前後、左右、及び、上下の各方向は図中に記載した矢線方向を基準としており、被写体(物体)側が前方となる。図1に外観形状を示すように、撮像ユニット10は前後方向に薄く左右方向に長い横長形状をなしている。
図2、図4、図6、図7に示すように、撮像ユニット10の撮像光学系は、第1群(前方レンズ群)G1、第2群(後方レンズ群)G2、第3群(後方レンズ群)G3、第4群(後方レンズ群)G4を有し、第1群G1に含まれる第1プリズム(反射素子)L11と第4群G4の右方(像側)に位置する第2プリズムL12でそれぞれ略直角に光束を反射させる屈曲光学系となっている。図2、図4、図6ないし図8、図13、図16ないし図18に示すように、第1群G1は、第1プリズムL11の入射面L11−aの前方(被写体側)に位置する第1レンズ(前方レンズ)L1と、第1プリズムL11と、第1プリズムL11の出射面L11−bの右方(像側)に位置する第2レンズL2とから構成される。第1レンズL1は、入射面L1−aを物体側に向け、出射面L1−bを第1プリズムL11の入射面L11−aに向けた単レンズである。第2群G2から第4群G4はそれぞれ、プリズムなどの反射素子を含まないレンズ群である。
図7に示すように、前方から後方に向かう第1光軸O1に沿って第1レンズL1に入射した被写体からの光束は、入射面L11−aを通して第1プリズムL11に入り、第1プリズムL11の反射面L11−cによって第2光軸O2に沿う方向(左方から右方)に反射されて出射面L11−bから出射される。続いて光束は、第2光軸O2上に位置する第2レンズL2と第2群G2から第4群G4までの各レンズを通り、入射面L12−aを通して第2プリズムL12に入り、第2プリズムL12の反射面L12−cによって第3光軸O3に沿う方向(後方から前方に向かう方向)に反射されて出射面L12−bから出射され、撮像センサ(撮像素子)14の撮像面上に結像される。第1光軸O1と第3光軸O3は略平行であり、第2光軸O2と共に同一の平面内に位置する。撮像ユニット10は第2光軸O2に沿う方向に長い形状をなしており、第1群G1は撮像ユニット10の長手方向の一端部(左側の端部)に近い位置に寄せて配置されている。
第1光軸O1と第2光軸O2と第3光軸O3を含む仮想の平面を基準平面P1(図10、図12、図14、図15)とし、この基準平面P1に直交して第1光軸O1を含む仮想の平面を基準平面P2(図7、図10、図12、図16ないし図18)とする。また、図12のように基準平面P1と基準平面P2で分けられる4つの象限V1、V2、V3及びV4を設定すると、第1プリズムL11によって偏向された第2光軸O2に沿う光束の進行方向側に第1象限V1と第4象限V4が位置し、第2光軸O2が延びる側と反対側に第2象限V2と第3象限V3が位置する。
図5及び図6に示すように、撮像ユニット10は第2群G2、第3群G3、第4群G4、第2プリズムL12及び撮像センサ(撮像素子)14を保持する本体モジュール11と、第1群G1を保持する1群ブロック12を備えている。本体モジュール11は、左右方向に長く前後方向の厚みが薄い箱状体のハウジング13を有しており、ハウジング13の長手方向の一端部(左方の端部)に1群ブロック12が取り付けられ、ハウジング13の長手方向の他端部(右方の端部)側には第4群G4と第2プリズムL12が固定的に保持されている。ハウジング13にはさらに、撮像センサ14を支持する撮像センサ基板15が第2プリズムL12の前方に固定されている。
図3及び図4に示すように、第2群G2を保持する2群枠20と第3群G3を保持する3群枠21は、ハウジング13内に設けたロッド22、23を介して第2光軸O2に沿って移動可能に支持されている。ハウジング13には第1モータM1(図1、図3、図5)と第2モータM2(図4)が支持され、第1モータM1から突出する送りネジシャフトM1aを回転駆動させると、2群枠20に駆動力が伝達されて該2群枠20がロッド22、23に沿って移動され、第2モータM2から突出する送りネジシャフトM2aを回転駆動させると、3群枠21に駆動力が伝達されて該3群枠21がロッド22、23に沿って移動される。撮像ユニット10の撮像光学系は焦点距離可変であり、第2光軸O2に沿う第2群G2と第3群G3の移動によってズーミング(変倍)動作が行われる。また、第2光軸O2に沿う第3群G3の移動によってフォーカシング動作が行われる。
撮像ユニット10は、手振れなどの振動を原因とする像面上での像振れを軽減させる防振(像振れ補正)機構を備えている。この防振機構は、第1群G1中の第1レンズL1を、第1光軸O1を延長した軸上の点である揺動中心A1(図13、図16ないし図18)を中心(支点)とする仮想の球面に沿って揺動させるものである。この第1レンズL1における揺動動作を球心揺動と呼ぶ。図中における第1光軸O1は、防振動作を行なっていない光学設計上の基準状態(球心揺動の中心位置)での第1レンズL1の光軸を示している。以下では、この第1レンズL1の基準状態を防振初期位置と呼ぶ。防振初期位置からの球心揺動を行った状態での第1レンズL1の光軸を、図15、図17及び図18にO1’で示した。また、揺動中心A1を通り第1光軸O1に対して垂直な基準平面P3を図13ないし図18、図23に示した。
第1レンズL1は、被写体側を向く入射面L1−aと第1プリズムL11に向く出射面L1−bを有しており、図12に示すように、第1象限V1と第4象限V4に位置する周縁部の一部を基準平面P2に沿う方向に切り欠いたDカット形状をなしている。第1レンズL1の形状に関する具体的条件については後述する。
図8に示すように、1群ブロック12は、第1レンズL1を保持する第1レンズ枠(可動枠)30、第1プリズムL11を保持するベース部材(支持部材)31、第1レンズ枠30とベース部材31を前方から覆うカバー部材(支持部材)32、コイル接続基板33、センサホルダ(支持部材)34、センサ支持基板35、板バネ36、センサ固定版37、第2レンズL2を保持する第2レンズ枠38、ピボットガイド39を有している。また、第1レンズ枠30(第1レンズL1)を駆動させる電磁アクチュエータを構成する一対の永久磁石81、82と一対のコイル83、84を有し、この電磁アクチュエータにより制御される第1レンズ枠30(第1レンズL1)の位置を検出する一対のホールセンサ85、86を有している。なお、図13と図23はいずれも、永久磁石81とコイル83を通る図12のXIII-XIII線に沿う断面位置と、永久磁石82とコイル84を通る図12のXIII'-XIII'線に沿う断面位置の両方をまとめて示しており、XIII'-XIII'線に沿う断面位置に含まれる要素を括弧書きの符号で表して区別している。図13や図23から分かる通り、これらの2つの断面位置は基準平面P1に関して略対称の構造となっている。
図8、図12、図13、図22及び図23に示すように、永久磁石81と永久磁石82はそれぞれ扁平な直方体であり、互いの形状及び大きさは略同一である。図8、図12、図13及び図23に示すように、コイル83は、略平行な一対の長辺部83aと該一対の長辺部83aを接続する一対の湾曲部83bを有する細長形状の空芯コイルであり、一対の長辺部83aが延びる長手方向の大きさや、一対の長辺部83aを横断する横幅方向の大きさに比して、空芯部分が貫通する方向の厚みが小さい薄型の扁平コイルとなっている。コイル84も同様に、略平行な一対の長辺部84aと該一対の長辺部84aを接続する一対の湾曲部84bを有する細長形状の空芯コイルであり、一対の長辺部84aが延びる長手方向の大きさや、一対の長辺部84aを横断する横幅方向の大きさに比して、空芯部分が貫通する方向の厚みが小さい薄型の扁平コイルとなっている。コイル83とコイル84の互いの形状及び大きさは略同一である。
第1レンズ枠30は、第1レンズL1を内部に嵌合固定させる枠状のレンズ保持部40と、レンズ保持部40から後方に向けて延設される支持部41と、レンズ保持部40の外周部に接続する一対の磁石保持部42、43とを有している。レンズ保持部40は、第1レンズL1の外形形状に対応して、第1象限V1と第4象限V4に位置する周縁部の一部を基準平面P2に沿う方向に切り欠いた直線状カット部40aとし、それ以外の領域を円形枠部40bとした不完全円形の枠体となっている。
図14及び図15に示すように、第1レンズ枠30の支持部41は、上下方向に離間する一対の脚部41aをレンズ保持部40の円形枠部40bから後方に向けて突出させ、この一対の脚部41aの端部を上下方向に延びる接続部41bで接続している。図16ないし図18に示すように、脚部41aや接続部41bは、基準平面P2に関して第2光軸O2が延びる側と反対側(左側)に位置しており、接続部41bから基準平面P2(第1光軸O1)に接近する方向に向けて片持状のピボットアーム41cが突出している。ピボットアーム41cの先端にはピボット凸部(支持機構)44が形成されている。図11、図13、図16ないし図18に示すように、ピボット凸部44は後方に進むにつれて径を小さくする先細の円錐状体であり、先端が滑らかな円球状になっている。
ピボットガイド39は、円柱状の基部39aの端部に球形状のガイド突起39bを有し、基部39aとガイド突起39bの間に大径のフランジ39cを有している。図11、図14ないし図18に示すように、第1レンズ枠30の支持部41における接続部41bに形成した孔部に対して、後方からピボットガイド39の基部39aが挿入され、フランジ39cを接続部41bに当接させて基部39aの挿入位置が決まる。この状態でガイド突起39bが後方に向けて突出する。
図13に示すように、第1レンズ枠30の磁石保持部42と磁石保持部43はそれぞれ、円形枠部40bから斜め後方に向けて突出形成されており、円形枠部40bから先端側に向かうにつれて第1光軸O1からの距離を大きくするように傾斜している。第1レンズ枠30が防振初期位置にある状態では、磁石保持部42と磁石保持部43が基準平面P1を挟んで略対称に第2象限V2と第3象限V3に配置される。磁石保持部42に形成した凹部に永久磁石81が嵌合保持され、磁石保持部43に形成した凹部に永久磁石82が嵌合保持される。つまり、図12や図22に示すように、永久磁石81が第2象限V2に位置し、永久磁石82が第3象限V3に位置する。
ベース部材31は正面(前方)から見て概ね矩形の外形形状を持つ枠状体であり、ベース部材31の左端部を構成する固定部50から右側に向けて、上下方向に離間する一対の側壁51を突出させており、この一対の側壁51の右端部の前面側を接続する前方橋絡部52と、一対の側壁51の中間部分を接続するプリズム保持壁53とを有している。図11、図13、図16ないし図18に示すように、プリズム保持壁53は第1プリズムL11の反射面L11−cに沿う形状をなしており、第2レンズL2が位置する1群ブロック12の右端側から固定部50が設けられている左端側に進むにつれて徐々に前方に突出する傾斜壁部を構成している。図13ないし図18に示すように、ベース部材31内には、プリズム保持壁53の前側に光路用空間54が形成され、プリズム保持壁53の後側に裏側空間55が形成される。また、固定部50とプリズム保持壁53の間には裏側空間55に連通する側方空間56が形成される。光路用空間54は、前方橋絡部52を境界としてベース部材31の前面側と右端側に開口している。
ベース部材31の光路用空間54内に第1プリズムL11が嵌合固定される。第1プリズムL11は、入射面L11−aと出射面L11−bに対して約45度の角度で斜設される反射面L11−cと、入射面L11−a及び出射面L11−bに対して略直交する一対の側面L11−d(図8に片側のみを示す)を備えており、反射面L11−cの裏側をプリズム保持壁53に支持され、一対の側面L11−dが一対の側壁51に挟まれることによって光路用空間54内での位置が決まる。この第1プリズムL11の支持状態で、入射面L11−aがO1上に位置して前方を向き、出射面L11−bが第2光軸O2上に位置し右方を向く。ベース部材31の光路用空間54内にはさらに、第2レンズL2を保持する第2レンズ枠38が第1プリズムL11の右方(前方橋絡部52の後方)に固定される。
ベース部材31のプリズム保持壁53の後面側には、センサホルダ34の取り付け部位として、上下方向に位置を異ならせて一対の円筒状の支持座57(図8)が形成されている。各支持座57内には、後方に向けて開口するネジ孔(不図示)が形成されている。ベース部材31にはさらに、板バネ36の取り付け部位として、バネ支持部58がプリズム保持壁53の左端側に形成されている。
図13、図16ないし図18に示すように、ベース部材31のプリズム保持壁53の後方に沿って板バネ36が配置される。板バネ36は、貫通孔が形成された取付板部36aと、取付板部36aから片持ち状に延設される弾性腕部36bを有しており、バネ支持部58に設けた突起に対して取付板部36aの貫通孔を嵌合させることでベース部材31に支持される。この板バネ36の支持状態で、弾性腕部36bはプリズム保持壁53後方の裏側空間55内で前後方向へ弾性変形可能となる。
図9と図10に示すように、センサホルダ34は、ベース板部60と、ベース板部60に対して立壁状に突出形成された一対のセンサ支持突起61、62と、センサ支持突起61とセンサ支持突起62の間に突設した基板支持突起63とを有している。センサ支持突起61とセンサ支持突起62はそれぞれ、1群ブロック12の完成状態で図13のように第1レンズ枠30の磁石保持部42と磁石保持部43に対向するように、ベース部材60に対して斜め前方に向けて突設されている。センサ支持突起61とセンサ支持突起62にはセンサ挿入凹部64が形成されている。基板支持突起63は、センサ支持突起61、62よりもベース板部60からの突出量が小さい(低い)突起として形成されている。
センサ支持基板35はフレキシブル基板からなり、図8に示すように、細長の帯状部35aの端部に平板状の支持面部35bを有し、支持面部35bの一部を曲げ起こした形態をなす一対のセンサ支持片35c、35dを帯状部35aの両側位置に有している。センサ支持片35cにホールセンサ85が支持され、センサ支持片35dにホールセンサ86が支持されている。センサ支持基板35は、支持面部35bを基板支持突起63に支持させ(図7、図11、図16ないし図18)、センサ支持片35c、35d上のホールセンサ85とホールセンサ86をそれぞれセンサ支持突起61とセンサ支持突起62のセンサ挿入凹部64に挿入させて(図13)、センサ固定版37を用いてセンサホルダ34に固定される。センサ支持基板35の帯状部35aは撮像ユニット10を制御する制御回路(図示略)と電気的に接続され、センサ支持基板35を通じて制御回路にホールセンサ85とホールセンサ86の出力情報が伝えられる。
図9と図10に示すように、センサホルダ34のベース板部60には、ベース部材31の一対の支持座57の端部に当接する一対の環状の当付部65と、各当付部65の中央に形成したネジ挿通孔66と、一対の当付部65の間に位置するピボット凹部(支持機構)67と回転規制孔68が形成されている。図9ないし図11、図13、図16ないし図18に示すように、ピボット凹部67は、ピボット凸部44を嵌入させることが可能な擂鉢状内面を有する凹部であり、最も深い底部は、ピボット凸部44の先端形状に対応する球面形状になっている。回転規制孔68は、ピボット凹部67に対して偏心した位置に、該ピボット凹部67の径方向に長手方向を向けて形成された長孔であり、後述するようにピボットガイド39のガイド突起39bを挿入させることができる。回転規制孔68の溝幅はガイド突起39bの径に対応しており、挿入状態で溝幅方向へのガイド突起39bの移動を許さない。一方、回転規制孔68は長手方向にはガイド突起39bの径よりも大きく、挿入状態で長手方向へのガイド突起39bの移動を許す。
センサホルダ34は、センサ支持基板35を組み付けた状態で、センサ支持突起61とセンサ支持突起62を側方空間56に挿入させ(図13)、一対の当付部65を一対の支持座57に当接させ、各当付部65のネジ挿通孔66に挿通した固定ネジ69(図8)を支持座57内のネジ孔に螺合させることによってベース部材31に固定される。この固定状態で、センサホルダ34のベース板部60がベース部材31の裏側空間55の後方を塞ぎ、ベース板部60上に形成したピボット凹部67の中心が第1光軸O1の延長上に位置する(図13、図16ないし図18)。また、回転規制孔68は、基準平面P1に沿って長手方向を向けてピボット凹部67の左方に位置する(図12)。
ベース部材31に板バネ36を支持させ、続いて第1レンズ枠30をベース部材31に対して所定の位置に配置し、センサホルダ34をベース部材31に固定する。この状態で第1レンズ枠30は、ピボットアーム41cを裏側空間55内に挿入してピボット凸部44をピボット凹部67に嵌入させると共に、ピボットガイド39のガイド突起39bを回転規制孔68に挿入させて支持される。図7、図11、図13、図16ないし図18に示すように、裏側空間55に挿入したピボットアーム41cは、板バネ36の弾性腕部36bの先端付近に当接して前方へ向けて弾性変形させ、弾性腕部36bが撓みを解消しようとする力によってピボット凸部44の先端がピボット凹部67の底部に押し付けられる。この第1レンズ枠30の支持状態で、レンズ保持部40は光路用空間54の前方開口部分に位置し、第1レンズL1が第1プリズムL11の入射面L11−aの前方に位置する。図13に示すように磁石保持部42と磁石保持部43はベース部材31の側方空間56に挿入されて、磁石保持部42がセンサホルダ34のセンサ支持突起61に隣接し、磁石保持部43がセンサホルダ34のセンサ支持突起62に隣接して位置する。
カバー部材32は、ベース部材31の一対の側壁51の外側に嵌る形状をなす一対の側壁70と、一対の側壁70の前側を覆う前面部71と、前面部71の左方の端部に形成した段部72を有しており、前面部71をベース部材31の前面側に当て付け、ベース部材31の側壁51の側面に形成した係合突起51aを側壁70の係合孔70aに係合させて、ベース部材31に組み付けられる。前面部71には第1レンズL1を露出させる撮影開口75が形成されている。
図13に示すように、カバー部材32の前面部71と段部72の境界部分の裏面側には凹状のコイル保持部73、74が形成されており、コイル保持部73にコイル83が嵌合保持され、コイル保持部74にコイル84が嵌合保持される。ベース部材31に対してカバー部材32を組み付けると、コイル83が永久磁石81に対向し、コイル84が永久磁石82に対向して位置する。コイル83、84に対してコイル接続基板33を通じて駆動電流が送られる。コイル接続基板33はフレキシブル基板からなり、細長の帯状部33aと、段部72に支持されるコイル接続部33bを有しており、コイル接続部33bがコイル保持部73、74内のコイル83、84に対して電気的に接続する。
以上のようにして1群ブロック12が構成され、図5及び図6に示すように、この1群ブロック12が本体モジュール11と組み合わされる。本体モジュール11を構成するハウジング13には、1群ブロック12のベース部材31の後面側が嵌合支持されるブロック支持部13aが設けられている。ブロック支持部13aの左端にはネジ孔13bと一対の位置決めピン13cが形成されており、ベース部材31の固定部50には、ネジ孔13bに重なるネジ挿通孔50aと、一対の位置決めピン13cに嵌合する一対の位置決め孔50bが形成されている。各位置決め孔50bに位置決めピン13cを嵌合させながらブロック支持部13a上に1群ブロック12を支持させ、ネジ挿通孔50aを通してネジ孔13bに固定ネジ16を螺合させることで、本体モジュール11と12が結合して撮像ユニット10が完成する。
前述のように、1群ブロック12では、ハウジング13に対して固定関係となるベース部材31とセンサホルダ34の結合体に対して、ピボット凸部44とピボット凹部67の嵌合部分を介して第1レンズ枠30が支持される。ピボット凹部67は、センサホルダ34のベース板部60の前面側に開口し、深くなるにつれて徐々に径を小さくする円錐状内面を有する擂鉢状の凹部であり、最も深くなる底部は凹状球面になっている。この凹状球面は、揺動中心A1を中心とする球面の一部である。ピボット凸部44は、先端側に進むにつれて徐々に径を小さくする円錐状外面を有する凸部であり、先端部分は凸状球面になっている。この凸状球面は、揺動中心A1を中心とする球面の一部である。板バネ36はピボット凸部44の先端をピボット凹部67の底部に押し付ける力を付与しており、ピボット凸部44とピボット凹部67の当接部分の案内を受けることによって(ピボット凸部44をピボット凹部67に対して傾動させることによって)、第1レンズ枠30は揺動中心A1を中心とする球心揺動が可能に支持される。ピボット凸部44の先端が揺動中心A1を中心とする球面の一部となっているため、この球心揺動は、揺動中心A1の位置を変化させずに、ピボット凸部44とピボット凹部67の接点位置を変化させながら行われる。図11などから分かるように、ピボット凹部67の円錐状内面部分は、ピボット凸部44の円錐状外面部分よりも中心角を大きくした円錐状に形成されており、第1レンズ枠30の球心揺動を妨げることなく実行させることができる。また、ピボット凸部44とピボット凹部67の当接部分を揺動中心A1を中心とする球面の一部(前述の凸状球面と凹状球面)としたことにより、第1レンズ枠30が球心揺動する際に板バネ36の弾性腕部36bが前後方向に変位せず、板バネ36のバネ荷重が変化しない(前後方向に一定の荷重を付与し、かつ前後方向以外の方向に余分な荷重を発生させない)。これにより、電磁アクチュエータによる第1レンズ枠30の駆動制御に悪影響を及ぼさず、高い精度で安定した防振制御を実現できる。
図7、図13、図16ないし図18に示すように、揺動中心A1は、第1光軸O1を第1プリズムL11の反射面L11−cの裏側まで延長した軸上の点であり、第1レンズL1の出射面L1-bは、この揺動中心A1側に向く凹面である。図7、図12、図13、図14及び図16は、第1レンズ枠30(第1レンズL1)が球心揺動範囲の中央に位置する防振初期位置を示しており、図15、図17及び図18はそれぞれ第1レンズ枠30(第1レンズL1)を防振初期位置から球心揺動させた状態を示している。図15は撮像ユニット10の上方側に第1レンズ枠30を傾けた状態、図17は撮像ユニット10の左方側に第1レンズ枠30を傾けた状態、図18は撮像ユニット10の右方側に第1レンズ枠30を傾けた状態を示している。
ピボットガイド39と回転規制孔68は、第1レンズ枠30の球心揺動を許しつつ、第1レンズL1の光軸(防振初期位置での第1光軸O1、防振初期位置からの球心揺動を行った状態での光軸O1’のいずれも含む)を中心とする第1レンズ枠30の回転を規制する回転規制手段である。回転規制孔68は、撮像ユニット10の完成状態で、第1光軸O1を延長した仮想線を中心とする半径方向へ長手方向を向ける長孔として形成されている。より詳しくは、図9ないし図12、図14ないし図18に示すように、回転規制孔68は、一対の平行な平面である対向面68aと、この一対の対向面68aを接続する一対の端部68bを有しており、一対の対向面68aの間隔によって規定される幅よりも、一対の端部68bを結ぶ方向の長さの方が大きい長孔となっている。回転規制孔68は、第2象限V2と第3象限V3の境界に位置し、一対の対向面68aが、基準平面P1と略平行にかつ基準平面P1に関して略対称に配されている。図11、図16ないし図18に示すように、撮像ユニット10の前後方向においては、回転規制孔68はピボット凹部67とほぼ同じ位置(すなわち基準平面P3上)に設けられている。このように配置された回転規制孔68に対して挿入されたピボットガイド39のガイド突起39bは、回転規制孔68の幅(一対の対向面68aの間隔)と略同じ直径を有する球状体であり、一対の対向面68aに対して球面状の外面を接触(点接触)させる。第1レンズ枠30の防振初期位置では、このガイド突起39bと回転規制孔68の対向面68aとの接触箇所は、基準平面P3上に位置している(図14、図16)。そして、ガイド突起39bが一対の対向面68aに挟まれて回転規制孔68の幅方向への移動が規制されることによって、第1レンズL1の光軸を中心とする第1レンズ枠30の回転が規制される。第1レンズ枠30が防振初期位置にあるときには、第1レンズL1の光軸が図中の第1光軸O1と一致するため、ガイド突起39bと回転規制孔68は、第1光軸O1を中心とする第1レンズ枠30の回転を規制する。一方、球心揺動によって第1レンズ枠30が防振初期位置から傾いた状態にあるときは、傾いた第1レンズL1の光軸O1’(図15、図17及び図18)を中心とする第1レンズ枠30の回転が、ガイド突起39bと回転規制孔68によって規制される。
図12から分かるように、回転規制孔68は一対の端部68bを結ぶ長手方向(撮像ユニット10の左右方向)にはガイド突起39bの直径よりも大きいサイズを有しているため、ガイド突起39bは一対の対向面68aに沿って回転規制孔68の長手方向へ摺動可能である。また、図11や図14ないし図18から分かるように、回転規制孔68は、その深さ方向(撮像ユニット10の前後方向)にもガイド突起39bの摺動を許すサイズを有している。さらに、球状の外面によって一対の対向面68aに点接触するガイド突起39bは、回転規制孔68に対して、球体部分の中心(以下、球面中心とする)B1(図12、図14ないし図18)を中心(支点)とした揺動(傾動)を行うことができる。つまり、対向面68aや基準平面P1と平行な平面として第1の平面を定義すると、図16ないし図18に示すように、ガイド突起39bは回転規制孔68に対して、この第1の平面に沿って、一対の対向面68aの面積の範囲内で撮像ユニット10の前後及び左右方向に摺動可能である。また、対向面68aや基準平面P1に対して垂直で第1光軸O1と平行な平面(基準平面P2と平行な平面)を第2の平面と定義すると、この第2の平面内では、ガイド突起39bは回転規制孔68に対して、第1光軸O1に沿う前後方向の摺動と、球面中心B1を中心とする揺動(図15)を行うことができる。これらの動きにより、ピボットガイド39と回転規制孔68は、図15、図17及び図18に示すような揺動中心A1を中心とする第1レンズ枠30の球心揺動を妨げずに、第1レンズL1の光軸を中心とする第1レンズ枠30の回転を規制することができる。
第1レンズ枠30の揺動中心A1とガイド突起39bの球面中心B1は共に基準平面P1内に位置する(図12)。そのため、図14に示す防振初期位置から、上記の第2の平面(基準平面P2と平行な平面)に沿って第1レンズ枠30を揺動させたときには、図15に示すように、ピボットガイド39は、ガイド突起39bの球面中心B1の位置を変化させずに該球面中心B1を中心とする揺動を行う。そのため図15の状態では、回転規制孔68の一対の対向面68aに対するガイド突起39bの接触箇所は、防振初期位置と同様に基準平面P3上に位置する。図15は第1レンズ枠30を撮像ユニット10の上側に傾けた状態を示しているが、第1レンズ枠30を下側に傾けた場合は、図15と左右対称の形態になる。これに対し、図16ないし図18から分かるように、上記の第1の平面(基準平面P1と平行な平面)に沿って第1レンズ枠30を揺動させたときには、ピボットガイド39は、回転規制孔68の対向面68aの案内を受けて揺動中心A1を中心とする揺動方向の移動を行い、ガイド突起39bの球面中心B1の位置が変化する。すなわち、回転規制孔68の一対の対向面68aに対するガイド突起39bの接触箇所が、基準平面P3に対して前後方向に変化し、かつ一対の対向面68aに沿って左右方向にも変化する。回転規制孔68は、このときのピボットガイド39の前後方向移動によってガイド突起39bが脱落しないように前後方向の深さが設定されている。なお、図14ないし図18は基準平面P1、P2に平行な第1と第2の平面に沿う方向での第1レンズ枠30の揺動を示しているが、第1レンズ枠30は、この2つの平面に沿う方向だけでなく、第1光軸O1を含む無数の平面に沿って揺動することができる。
第1レンズ枠30を球心揺動させる駆動手段は、第2象限V2に配した永久磁石81とコイル83、第3象限V3に配した永久磁石82とコイル84の2つのボイスコイルモータからなる電磁アクチュエータである。図13や図23に示すように、永久磁石81、82はそれぞれ、揺動中心A1を中心とする共通の仮想球面J1の接平面(第1の接平面)T1、T2(図23)と平行な方向に平面的な広がりを有し、この平面方向の縦横サイズに比して接平面T1、T2と垂直な方向(接平面T1、T2の法線方向)への厚みを小さくした扁平形状となっており、永久磁石81は接平面T1に沿って配置され、永久磁石82は接平面T2に沿って配置されている。永久磁石81、82の外形中心は、接平面T1、T2に沿う平面方向での中心であり、かつ接平面T1、T2と垂直な厚み方向の中心でもある。永久磁石81の外形中心と永久磁石82の外形中心はそれぞれ仮想球面J1上に位置する。
図12、図13、図22及び図23に示すように、この扁平な永久磁石81の外形中心を通り接平面T1の法線に平行な直線K1(永久磁石81の外形中心を通る接平面T1の法線)を設定すると、直線K1は第1光軸O1(または球心揺動させたときの第1レンズL1の光軸O1’。以下、括弧内に符号O1’のみ示す)とは非平行であり、かつ永久磁石81と直線K1の交差位置が第2象限V2内で基準平面P3よりも前方(被写体側)に位置する。すなわち、第1光軸O1(O1’)または第1光軸O1(O1’)を延長した線と、接平面T1の法線とは、互いに非直交の関係で交差する。直線K1を例に説明すると、直線K1が第1光軸O1(O1’)の延長線と交差する交点C1(図12、図13、図22及び図23)は揺動中心A1と一致しており、交点C1を始点として直線K1に沿って(法線と平行に)接平面T1へ延びる半直線は、物体側に進むにつれて第1光軸O1(O1’)から離れる傾きを有している。別言すると、交点C1を始点として物体側に第1光軸O1(O1’)と平行に延びる半直線に対する、交点C1を始点として直線K1に沿って(法線と平行に)接平面T1へ延びる半直線の傾き角をD1とすると、0°<D1<90°である。ここでは接平面T1の法線として直線K1を例示したが、接平面T1の法線であれば直線K1に限らず上記の傾き角D1を満たす。接平面T1の法線のうち直線K1以外は、交点C1が揺動中心A1と非一致となる。
同様に、永久磁石82の外形中心を通り接平面T2の法線に平行な直線K2(永久磁石82の外形中心を通る接平面T2の法線)を設定すると、直線K2は第1光軸O1(O1’)とは非平行であり、かつ永久磁石82と直線K2の交差位置が第3象限V3内で基準平面P3よりも前方(被写体側)に位置する。すなわち、第1光軸O1(O1’)または第1光軸O1(O1’)を延長した線と、接平面T2の法線とは、互いに非直交の関係で交差する。直線K2を例に説明すると、直線K2が第1光軸O1(O1’)の延長線と交差する交点C2(図12、図13、図22及び図23)は揺動中心A1と一致しており、交点C2を始点として直線K2に沿って(法線と平行に)接平面T2へ延びる半直線は、物体側に進むにつれて第1光軸O1(O1’)から離れる傾きを有している。別言すると、交点C2を始点として物体側に第1光軸O1(O1’)と平行に延びる半直線に対する、交点C2を始点として直線K2に沿って(法線と平行に)接平面T2へ延びる半直線の傾き角をD2とすると、0°<D2<90°である。ここでは接平面T2の法線として直線K2を例示したが、接平面T2の法線であれば直線K2に限らず上記の傾き角D2を満たす。接平面T2の法線のうち直線K2以外は、交点C2が揺動中心A1と非一致となる。
永久磁石81、82の配置について以上の条件(法線の傾き角D1、D2で定義される接平面T1、T2の配置)を満たすことで、第1レンズ枠30が球心揺動を行う際に永久磁石81、82とコイル83、84の間隔の変化を抑えて、安定した制御が可能となる。第1レンズL1に対するアクチュエータの干渉防止や撮像ユニット10の小型化、アクチュエータによる第1レンズ枠30の防振駆動精度や位置分解能等を考慮すると、40°≦D1≦80°、40°≦D2≦80°がより好ましい値となる。
本実施形態ではD1=55°、D2=55°である。そして、仮想球面J1を第1光軸O1及びその延長線との交点位置を極点とする球体とし、その両極点を結ぶ球面上の円弧を経線、該経線と直交する関係の球面上の円弧を緯線とみなした場合、永久磁石81の外形中心と永久磁石82の外形中心は仮想球面J1の同一緯線上(第1光軸O1を中心とする同一円上)に位置する(図22、図23参照)。永久磁石81、82はそれぞれ、図8と図22に示す磁極境界線Q1、Q2を挟んでN極とS極を有している。図22のように第1光軸O1と平行に見たとき、磁極境界線Q1、Q2はそれぞれ、第1光軸O1を中心とする共通の仮想円H1(仮想球面J1上の緯線)に接する。このように2つの永久磁石81、82を配置すると重量バランスが良い。
また、図12及び図22に示すように、直線K1を含み第1光軸O1と平行な推力作用平面P4と、直線K2を含み第1光軸O1と平行な推力作用平面P5は、基準平面P1に関して面対称の関係(基準平面P1を対称面とする関係)にあり、基準平面P1に対して正逆に約30°の関係で交差している。すなわち推力作用平面P4と推力作用平面P5の交差角D3が約60°となっている。
コイル83とホールセンサ85は永久磁石81と共に第2象限V2内に位置し、コイル84とホールセンサ86は永久磁石82と共に第3象限V3内に位置する。図12、図13及び図23に示すように、コイル83の外形中心とホールセンサ85は直線K1上に位置しており、揺動中心A1に近い内径側から順にホールセンサ85、永久磁石81、コイル83が直線K1上に並び、永久磁石81の磁界中にコイル83とホールセンサ85が位置する。コイル84の外形中心とホールセンサ86は直線K2上に位置しており、揺動中心A1に近い内径側から順にホールセンサ86、永久磁石82、コイル84が直線K2上に並び、永久磁石82の磁界中にコイル84とホールセンサ86が位置する。
図13及び図23に示すように、コイル83とコイル84は、仮想球面J1よりも大径で揺動中心A1を中心とする仮想球面J2上に位置している。コイル83は、直線K1と直交する仮想球面J2の接平面(第2の接平面)T3(図23)と平行な方向に導線を巻き回して形成され、接平面T3に沿って平面的な広がりを有し、この平面方向の縦横サイズに比して直線K1に沿う方向(接平面T1の法線方向)の厚みが小さい扁平コイルである。コイル84は、直線K2と直交する仮想球面J2の接平面(第2の接平面)T4(図23)と平行な方向に導線を巻き回して形成され、接平面T4に沿って平面的な広がりを有し、この平面方向の縦横サイズに比して直線K2に沿う方向(接平面T2の法線方向)の厚みが小さい扁平コイルである。接平面T3は接平面T1と平行な平面であり、接平面T4は接平面T2と平行な平面である。つまり、それぞれが扁平な形状をなす永久磁石81とコイル83は、その平面的な広がりを持つ方向(接平面T1と接平面T3)を略平行として、互いの平行な平面部分を直線K1に沿う方向で対向させている。同様に、それぞれが扁平な形状をなす永久磁石82とコイル84は、その平面的な広がりを持つ方向(接平面T2と接平面T4)を略平行として、互いの平行な平面部分を直線K2に沿う方向で対向させている。本実施形態では、コイル83の外形中心とコイル84の外形中心が共通の仮想球面J2上に位置している。
仮想球面J2を第1光軸O1及びその延長線との交点位置を極点とする球体とし、その両極点を結ぶ球面上の円弧を経線、該経線と直交する関係の球面上の円弧を緯線とみなした場合、コイル83の外形中心とコイル84の外形中心は仮想球面J2の同一緯線上(第1光軸O1を中心とする同一円上)に位置する。そして、図12のように第1光軸O1と平行に見たとき、一対の長辺部83a、84aの延設方向と平行で該一対の長辺部83a、84aの中央を通るコイル83、84の長軸Q3、Q4(図8、図12)はそれぞれ、第1光軸O1を中心とする共通の仮想円H2(仮想球面J2上の緯線)に接する。
図12や図22に示すように、磁極境界線Q1、Q2に沿う永久磁石81、82の長さW1、すなわち仮想球面J1の緯線に沿う平面上での、接平面T1に沿う永久磁石81の大きさや、接平面T2に沿う永久磁石82の大きさは、長軸Q3、Q4に沿うコイル83、84の長さU1、すなわち仮想球面J2の緯線に沿う平面上での、接平面T3に沿うコイル83の大きさや、接平面T4に沿うコイル84の大きさよりも小さい。一方、図23に示すように、一対の長辺部83a、84aを横断する方向のコイル83、84の横幅U2、すなわち仮想球面J2の経線に沿う平面上での、接平面T3に沿うコイル83の大きさや、接平面T4に沿うコイル84の大きさよりも、磁極境界線Q1、Q2の両側のN極部分とS極部分を横断する方向の永久磁石81、82の横幅W2、すなわち仮想球面J1の経線に沿う平面上での、接平面T1に沿う永久磁石81の大きさや、接平面T2に沿う永久磁石82の大きさの方が大きい。これによって、第1レンズ枠30の防振初期位置を中心とする所定の球心揺動範囲においては、コイル83、84の一対の長辺部83a、84aが永久磁石81、82に対向する状態を保つことができる。
以上のように、永久磁石81と永久磁石82は、揺動中心A1を含む基準平面P3よりも前方の位置で、揺動中心A1を中心とする仮想球面J1に沿って第2象限V2と第3象限V3に略対称に配置されている。コイル83とコイル84は、基準平面P3よりも前方の位置で、揺動中心A1を中心とする仮想球面J2に沿って第2象限V2と第3象限V3に略対称に配置されている。さらにホールセンサ85とホールセンサ86も、基準平面P3よりも前方の位置で、仮想球面J1よりも小径で揺動中心A1を中心とする仮想球面に沿って第2象限V2と第3象限V3に略対称に配置されている。
永久磁石81、82の磁界内に位置するコイル83、84に通電すると、フレミングの左手の法則によって各コイル83、84の長辺部83a、84aと垂直な方向への推力が生じる。図12、図13、図22及び図23に、永久磁石81、82の外形中心を通る推力作用平面P4、P5上における各アクチュエータの推力の作用方向を、両矢印の推力軸E1と推力軸E2として示した。図12と図22では、基準平面P3に対する推力軸E1、E2の傾きを示すべく推力軸E1、E2の両側の矢尻部分の大きさを異ならせており、大きい側の矢尻が被写体に近づく斜め前方への推力を示し、小さい側の矢尻が被写体から離れる斜め後方への推力を示している。コイル83、84はカバー部材32を介して撮像ユニット10の本体部分に対して固定的に支持されており、永久磁石81、82は可動の第1レンズ枠30に支持されているため、各コイル83、84の通電で生じた推力は、第1レンズ枠30を仮想球面J1の経線方向に移動させる力として作用する。永久磁石81とコイル83のセットと、永久磁石82とコイル84のセットは、仮想球面J1、J2上の緯線方向で異なる位置(推力作用平面P4と推力作用平面P5の交差角D3が約60°の関係)に配置されているため、この2組のアクチュエータの通電制御の組み合わせによって、第1レンズ枠30を自在な方向に球心揺動させることができる。前述の通り、球心揺動に際して第1レンズL1の光軸を中心とする第1レンズ枠30の回転動作はピボットガイド39と回転規制孔68の嵌合によって規制されるため、永久磁石81とコイル83、永久磁石82とコイル84がそれぞれ対向しなくなるような第1レンズ枠30の逸脱動作は防止され、常にボイスコイルモータによって第1レンズ枠30の位置を制御することができる。
第1レンズ枠30の球心揺動に応じて永久磁石81の位置が変化すると、永久磁石81に対向して位置するホールセンサ85の出力が変化し、永久磁石82の位置が変化すると、永久磁石82に対向して位置するホールセンサ86の出力が変化する。この2つのホールセンサ85、86の出力変化によって、第1レンズ枠30の駆動位置を検出することができる。
以上の構成からなる撮像ユニット10を前方に位置する被写体に向けると、該被写体の反射光(撮影光)は第1レンズL1を透過した後に入射面L11−aから第1プリズムL11の内部に入り、第1プリズムL11の反射面L11−cによって出射面L11−b側に向けて進行方向を略垂直に変換される。第1プリズムL11の出射面L11−bを出た該反射光は、第2レンズL2と第2群G2と第3群G3と第4群G4を透過した後に入射面L12−aから第2プリズムL12の内部に入り、第2プリズムL12の反射面L12−cによって出射面L12−b側に向けて進行方向を略垂直に変換され、撮像センサ14の撮像面によって撮像(受光)される。第1モータM1と第2モータM2を利用して第2群G2や第3群G3をロッド22、23に沿って進退させることにより、撮像光学系にズーミング(変倍)動作及びフォーカシング動作を行わせることができる。
さらに撮像ユニット10では、第1群G1のうち第1プリズムL11の前方に位置する第1レンズL1を用いて防振(像振れ補正)動作を行う。前述の通り防振機構は、ハウジング13に対して固定関係にある支持部材(ベース部材31、カバー部材32、センサホルダ34)に対して第1レンズ枠30を動作させるものである。第1レンズL1を防振用の光学要素として選択することの利点として、防振機構を備えつつ撮像ユニット10を前後方向に薄型に構成することができる。例えば本実施形態と異なり、第2群G2や第3群G3を第2光軸O2と直交する方向に移動させる防振機構を想定した場合、2群枠20や3群枠21の移動用のスペースを確保したり、2群枠20や3群枠21の駆動手段を配置したりすることによって、ハウジング13内に必要とされる前後方向のスペースが図示実施形態よりも広くなり、撮像ユニット10の厚みが増してしまう。また本実施形態の構成では、防振制御に際して駆動されるのが第1群G1の全体ではなく第1レンズL1のみであるから、可動部がコンパクトで駆動負荷が小さくて済むという利点もある。一般的な防振機構ではレンズ群全体を駆動させるが、本実施形態の第1群G1では、パワーを有する第1レンズL1と第2レンズL2の間に、光束の反射のみを行う第1プリズムL11が配されているため、第1レンズL1と第2レンズL2の間の距離が大きくなっており、第1レンズL1を単独で移動させて防振制御を行なっても収差劣化が少ない。つまり、撮像光学系としては第1レンズL1から第2レンズL2までの第1群G1全体で収差が管理されるが、防振に関しては、第1プリズムL11を挟んで光軸方向間隔が大きくなっている第1レンズL1と第2レンズL2を実質的に別のレンズ群であるように扱っても光学性能を確保できることに着眼して、第1レンズL1のみを防振用の光学要素に設定している。
第1レンズL1が防振動作を行う際に行う球心揺動は、第1光軸O1に直交する平面に沿うシフト動作に比べて、第1光軸O1に沿って撮像ユニット10を正面視したときに小さいスペースで第1レンズL1を大きく動作させることができる。そのため、撮像ユニット10を前後方向のみならず上下左右方向(撮像ユニット10の正面視)においてもコンパクトに構成しながら、防振対応可能な角度を大きくさせて防振性能を向上させることができる。
特に撮像ユニット10では、第1レンズL1の背後に第1プリズムL11を配した屈曲光学系であることに着目して、第1レンズ枠30を球心揺動させる際の揺動中心A1(第1光軸O1を延長した軸上の点)の位置を、第1プリズムL11の反射面L11−cの後方の裏側空間55に設定している。これにより、第1プリズムL11の裏側を第1レンズ枠30の支持機構の収容スペースとして有効活用し、スペース効率に優れた構成で球心揺動を実現している。具体的には、図13ないし図18に示すように、ピボット凸部44(ピボットアーム41c)、ピボット凹部67(センサホルダ34)、板バネ36、ピボットガイド39(接続部41b)、回転規制孔68(センサホルダ34)といった第1レンズ枠30の支持に関係する部位が裏側空間55に集約して収められている。
撮像ユニット10のコンパクト化を実現しつつ収差変動を抑えて球心揺動の効果を得るための光学的条件として、以下の式(1)、(2)を満たすことが好ましい。
(1)-0.6<(SC-R2)/f1<0.4
(2)SF<-0.5
但し、
R1:前方レンズ(第1レンズL1)の最も物体側の面(入射面L1−a)の曲率半径
R2:前方レンズ(第1レンズL1)の最も像側の面(出射面L1−b)の曲率半径
SC:前方レンズ(第1レンズL1)の最も像側の面(出射面L1−b)から球心揺動中心(A1)までの光軸上の距離
f1:前方レンズ(第1レンズL1)の焦点距離
SF=(R2+R1)/(R2-R1)
とする。各記号の符号は物体側から像側に向かう方向を正(+)とする。
式(1)は、第1レンズL1の焦点距離に基づいて規格化した揺動中心A1の位置に関する条件である。式(1)の下限を超えると(-0.6以下)、第1レンズL1からの揺動中心A1の距離が大きくなりすぎて、撮像ユニット10の前後方向の小型化が困難になると共に、収差変動が大きくなってしまう。また、式(1)の上限を超えると(0.4以上)、揺動中心A1が第1レンズL1に近づきすぎて第1レンズL1の駆動時の光軸偏角が小さくなり(像変位が小さくなり)、有効な防振効果が得られなくなる。
式(2)は、第1レンズL1の形状に関する条件である。式(2)の範囲を外れると、揺動中心A1を式(1)の範囲に設定した場合でも収差変動が大きくなってしまい、球心揺動の効果が得られなくなる。
以上の各条件を満たす撮像光学系の具体例として表1に実施例1ないし実施例3を示す。図19、図20、図21はそれぞれ、実施例1、実施例2及び実施例3の撮像光学系のワイド端とテレ端のズーム軌跡を示したものである。
実施例1は、入射面L1−aを凸面、出射面L1−bを凹面とした凹メニスカスレンズ(SF<-1)として第1レンズL1を構成したタイプである。実施例2は、入射面L1−aを平面、出射面L1−bを凹面とした平凹レンズ(SF=-1)として第1レンズL1を構成したタイプである。実施例3は、入射面L1−aと出射面L1−bをいずれも凹面とした両凹レンズ(SF>-1)として第1レンズL1を構成したタイプである。
これらの実施例のように、防振動作を行う前方レンズ(第1レンズL1)の最も像側の面(出射面L1−b)は凹面であることが好ましい。特に、前方レンズの最も像側の面を、揺動中心A1を中心とする曲面の一部として形成すると、この面は揺動中心A1を中心とした球心揺動では常に偏角方向に正対する面となり、球心揺動によるこの面のコマ収差の発生を防ぐことができる。
また、実施例2のように入射面L1−aが平面である場合も含めて、防振動作を行う前方レンズ(第1レンズL1)の最も物体側の面(入射面L1−a)は最も像側の面(出射面L1−b)よりもパワーが弱く(屈折力が小さく)なるように設定することが好ましい。
なお、防振動作を行う前方レンズとして、第1レンズL1のような単レンズではなく、貼り合わせレンズや、複数枚のレンズを選択することも可能である。前方レンズを複数枚のレンズとする場合は、光学性能の低下を防ぐために、防振動作に際して複数枚のレンズを一体的に移動させることが好ましい。また、先の条件式(1)、(2)については、R1を「複数の前方レンズのうち最も物体側のレンズにおける最も物体側の面の曲率半径」、R2を「複数の前方レンズのうち最も像側のレンズにおける最も像側の面の曲率半径」、SCを「複数の前方レンズのうち最も像側のレンズにおける最も像側の面から球心揺動中心までの光軸上の距離」、f1を「複数の前方レンズの合成焦点距離」と読み替えるものとする。
第1レンズ枠30を防振駆動させる手段の配置については、永久磁石81、82とコイル83、84をそれぞれ、第1レンズ枠30の揺動中心A1を中心とする仮想球面J1、J2上に配置したことにより、揺動中心A1を中心として第1レンズ枠30を球心揺動させたときに、永久磁石81とコイル83の間隔や永久磁石82とコイル84の間隔に変化が少なく、安定して高精度な駆動制御が可能となっている。
また、防振駆動手段としてボイスコイルモータを用いる場合、永久磁石とコイルの一方が第1レンズ枠30と共に移動する可動要素となり、他方が移動しない固定要素となる。本実施形態の撮像ユニット10では、可動の第1レンズ枠30に永久磁石81、82を保持させたムービングマグネットタイプのボイスコイルモータを用いており、これに適したスペース効率の良い部材配置を実現している。まず、可動要素である永久磁石81、82は、その設置位置が揺動中心A1から遠くなるほど、第1レンズ枠30の球心揺動時の移動量が大きくなり、移動量が大きくなるにつれて第1レンズ枠30を囲む固定部材(ベース部材31、カバー部材32、センサホルダ34やその他の部材)とのクリアランスも大きく必要になる。そこで、可動要素である永久磁石81、82を、そのサイズ(主として、磁極境界線Q1、Q2に沿う長さW1と、磁極境界線Q1、Q2に垂直な横幅W2で定義される平面方向のサイズ)の制約内で許される範囲で、可能な限り揺動中心A1に近づけて配置している。
磁極境界線Q1、Q2に沿う永久磁石81、82の長さW1に比して、長軸Q3、Q4に沿うコイル83、84の長さU1が大きいという条件等から、永久磁石81、82よりも揺動中心A1に近い内側位置にコイル83、84を設置することが難しい。そこでコイル83、84は、直線K1、K2に沿う方向で永久磁石81、82よりも揺動中心A1から遠い径方向の外側に配置している。永久磁石81、82と異なり、コイル83、84は球心揺動時に動かない固定要素であるため、コイル83、84の動作分を考慮したクリアランスを周囲の部材との間に確保する必要がなく、永久磁石81、82の外側に配置した場合でも撮像ユニット10を大型化させにくい。
また、ホールセンサ85、86は、永久磁石81、82とコイル83、84のいずれよりも小型であることに着目して、直線K1、K2に沿う方向で永久磁石81、82よりも揺動中心A1に近い内側位置に配置している。図13から分かるように、小型のホールセンサ85、86を支持するセンサ支持突起61、62は、第1レンズ枠30のレンズ保持部40(円形枠部40b)と磁石保持部42、43と、ベース部材31のバネ支持部58とに囲まれる狭い空間に挿入することが可能であり、ホールセンサ85、86が効率的に配置されている。また、ホールセンサ85、86は永久磁石81、82の内側に隣接する位置にあるので、例えばコイル83、84の外側にホールセンサ85、86を設けるような構成に比して、スペース効率に加えて検出精度の点でも有利である。
このように、ボイスコイルモータにおける可動要素と固定要素を、揺動中心A1を中心とする径方向(直線K1、K2に沿う方向)において、それぞれの条件に適した合理的な順序でスペース効率良く配置したことで、撮像ユニット10のコンパクト化に寄与している。
また、永久磁石81、82、コイル83、84、ホールセンサ85、86は、ベース部材31における側方空間56(第2象限V2、第3象限V3)内に収められている。この側方空間56は、第1プリズムL11により偏向された光束の進行方向(第2光軸O2の進行方向)と逆側の領域であり、撮像光学系を構成する光学要素のうち第1プリズムL11から先の光学要素が配置されていないため、スペース的な制約を受けにくい。例えば、永久磁石81、82やコイル83、84を基準平面第1象限V1と第4象限V4を含む第2の領域内に配置しても、第1レンズL1を駆動させることは可能である。しかし、第1象限V1と第4象限V4には、第1プリズムL11の出射面L11−bに隣接する位置に第2レンズL2が位置しており、第2レンズL2と干渉させずに電磁アクチュエータの全体を配置するスペースを確保することが難しいという問題がある。これに対して、第2象限V2と第3象限V3への配置にはこのような制約がない。
また、第1プリズムL11から先の光路上には、第2光軸O2に沿って可動の第2群G2や第3群G3が設けられており、第2群G2や第3群G3の駆動機構を構成する第1モータM1と第2モータM2には金属部分が含まれ、ロッド22、23も金属製の部品である。このような金属部品が磁性体金属からなる場合、電磁アクチュエータに接近していると防振駆動に影響を及ぼすおそれがある。特に、可動の第1レンズ枠30上に永久磁石81、82を支持したムービングマグネットタイプの電磁アクチュエータでは、高精度な駆動制御を行わせるために、永久磁石81、82の磁界に対する外部の磁性体からの影響を排除することが求められる。第2象限V2と第3象限V3に配置した永久磁石81、82やコイル83、84は、第1象限V1や第4象限V4に配置した場合に比べて各モータM1、M2や各ロッド22、23からの距離が大きいため、これらの部材が磁性体金属を含んでいる場合も電磁アクチュエータの駆動に影響が及びにくい。
さらに、アクチュエータを構成する永久磁石81、82やコイル83、84は、揺動中心A1を中心とする仮想球面J1、J2の接平面T1、T2、T3及びT4に沿って平面的な広がりを持つ形状及び配置になっている。図12、図13、図22及び図23に示す推力軸E1、E2から分かるように、各アクチュエータの推力は永久磁石81、82が位置する接平面T1、T2に沿う力として第1レンズ枠30に作用するため、仮想球面J1の中心に揺動中心A1を位置させる第1レンズ枠30をスムーズかつ高精度に球心揺動させることができる。
また、永久磁石81、82やコイル83、84が平面的な広がりを持って配置される仮想球面J1の接平面T1、T2や仮想球面J2の接平面T3、T4は、第1光軸O1に平行な面と、第1光軸O1と垂直な面(基準平面P3)のいずれに対しても非平行であり、前述のように、接平面T1、T2、T3及びT4の法線方向の直線K1、K2(厳密には、交点C1、C2を始点として直線K1、K2に沿って接平面T1、T2、T3及びT4に向かう半直線)が第1レンズL1の光軸(厳密には、交点C1、C2を始点として物体側に第1光軸O1(O1’)と平行に延びる半直線)に対してなす傾き角D1、D2は、0°<D1<90°、0°<D2<90°(図23参照)となっている。
直線K1、K2の傾き角D1、D2が0°ということは、基準平面P3と平行に平面的な広がりを有する永久磁石やコイルを用いる構成になる。この構成は、第1光軸O1に沿って見たときに、扁平な永久磁石やコイルの正面投影形状が最も大きく表れる配置であるため、このようなアクチュエータを第1レンズL1の周囲に配すると、第1光軸O1と直交する方向における撮像ユニットの大型化を招く。直線K1、K2の傾き角D1、D2が90°ということは、基準平面P3と垂直な平面に沿って平面的な広がりを有する永久磁石やコイルを用いる構成になる。この構成は、第1光軸O1に沿って見たときに、扁平な永久磁石やコイルの薄い側面部分(厚み部分)を見ることになるため、アクチュエータ自体の正面投影形状自体は小さいものの、基準平面P3に沿う方向での揺動中心A1からのアクチュエータの距離が大きくなってしまう。傾き角D1、D2が90°の場合を本実施形態の構成に当てはめると、図13や図23における基準平面P3と仮想球面J1の交点上(もしくはその前後位置)に永久磁石81、82が位置するので、永久磁石81とコイル83が図12に示す位置よりも左上方向に突出し、永久磁石82とコイル84が図12に示す位置よりも左下方向に突出することになる。その結果、本実施形態に比して撮像ユニットが大型化してしまう。また、直線K1、K2の傾き角D1、D2が90°を超えるということは、アクチュエータを構成する磁石やコイルが、第1光軸O1に沿う前後方向において基準平面P3よりも後方に位置する構成になる。アクチュエータを基準平面P3よりも後方に配すると、撮像ユニット10の前後方向サイズが大きくなってしまう。特に、第1レンズL1とアクチュエータの前後方向の距離が大きくなってしまうため、第1レンズ枠30が非常に大きくなってしまい、スペース効率の点で不利となる。
これらの比較例と異なり、本実施形態では直線K1、K2の傾き角D1、D2を0°より大きく90°より小さくすることで、アクチュエータの正面投影形状を抑え、かつ第1光軸O1に沿う方向でのアクチュエータの突出も抑え、スペース効率に優れたコンパクトな防振駆動手段を得ることができる。
直線K1、K2の傾き角D1、D2のより好ましい条件として先に40°以上、80°以下を挙げた。第1レンズL1の径や永久磁石81、82の大きさにもよるが、傾き角D1、D2を40°以上にすることで、第1レンズL1と干渉させずに該第1レンズL1に近い位置に永久磁石81、82を配置することができる。例えば本実施形態では、図13や図23に示すように、永久磁石81、82の縁部と第1レンズL1の縁部が近接しており、第1レンズL1と永久磁石81、82が仮想球面J1に沿う形でスペース効率良く配されている。ここで傾き角D1、D2を30°等に設定すると、永久磁石81、82が第1レンズL1の設置領域と重なってしまうため、配置が困難となる。逆に、傾き角D1、D2を80°よりも大きくすると、先に述べた90°の場合に近い条件となり、基準平面P3に沿う方向での撮像ユニットの小型化の効果が弱くなってくる。
アクチュエータを構成する永久磁石やコイルの形状は、以上に述べた実施形態(第1の実施形態とする)に限定されるものではない。例えば、第1の実施形態の永久磁石81、82は、コイル83、84に対向する面とホールセンサ85、86側を向く面をいずれも接平面T1、T2と平行な平面とした直方体となっている。これに対して図24に示す第2の実施形態の永久磁石181、182は、コイル183、184に対向する面が凸状に湾曲し、ホールセンサ85、86側を向く面が凹状に湾曲した非直方体である。永久磁石181、182のこれらの湾曲面は、概ね仮想球面J1、J2と同心の球状面となっている。コイル183、184は、永久磁石181、182に対向する側の面が、永久磁石181、182の凸状の湾曲面に対応する凹状の湾曲面(概ね仮想球面J1、J2と同心の球状面)として形成されている。このような湾曲面を有する永久磁石181、182とコイル183、184を備えたアクチュエータによれば、第1レンズ枠30が球心揺動するときに永久磁石181、182とコイル183、184の湾曲面に沿った動作となり、永久磁石181とコイル183の間隔変化や、永久磁石182とコイル184の間隔変化を極めて小さくさせることができる。
なお、永久磁石とコイルの互いの対向面や、永久磁石のうちホールセンサ側を向く面を非平面にする場合、仮想球面J1、J2の経線に沿う断面上では図24に示すような湾曲面とし、これに垂直な(仮想球面J1、J2の緯線に沿う)方向には一定断面形状が続く、円筒状の湾曲面などを選択することも可能である。
第1の実施形態の撮像ユニット10は、永久磁石81、82の外形中心を通り接平面T1、T2の法線に平行な直線K1、K2がいずれも、第1光軸O1(O1’)を延長した線に対して揺動中心A1上で交差している(交点C1、C2が揺動中心A1と一致する)。第2の実施形態の永久磁石181、182についても同様の配置となっている。このように配置すると、駆動方向の違いによる推力差や、永久磁石81(181)や永久磁石82(182)とホールセンサ85、86のギャップ変動を抑制しやすく、安定した球心揺動の実現に有効である。但し、第1や第2の実現形態を基準として永久磁石の配置を多少ずらしても、第1レンズ枠30の球心揺動を支障なく行わせることが可能である。そのような変形例を、図25における第3の実施形態と、図26における第4の実施形態として示す。
図25に示す第3の実施形態は、接平面T1に関する条件(接平面T1の法線の傾き角D1)を第1の実施形態と共通とした上で、第1光軸O1と垂直かつ接平面T1と平行に見たときの、永久磁石281の配置を第1の実施形態の永久磁石81と異ならせたものである。より詳しくは、仮想球面J1(図25では後述する仮想円H3として表している)を第1光軸O1(O1’)及びその延長線との交点位置を極点とする球体とみなした場合、その球体の経線に沿う平面内での接平面T1に沿う方向の永久磁石281の位置が永久磁石81の位置と異なっている。永久磁石281は、永久磁石81と同じく接平面T1と平行な方向に広がりを有する扁平形状の直方体であり、図25の断面位置における横幅W2は、図23の断面位置における永久磁石81の横幅W2と共通している。永久磁石281の外形中心を通り接平面T1の法線と平行な直線K11を設定すると、直線K11は、第1の実施形態の直線K1に対して、物体側と反対方向(撮像ユニット10の後方)にオフセットしている。つまり、永久磁石281は、接平面T1上で永久磁石81よりも第1レンズL1から離れる方向にずらして位置されている。これに応じて、直線K11と第1光軸O1(O1’)を延長した線との交点C11は、揺動中心A1と非一致となる。先の直線K11と接平面T1との交点をα1とする(この実施形態では交点α1は永久磁石281の外形中心に一致する)。図25は、この交点α1を通り仮想球面J1の経線に沿う平面(断面)上での配置を示したものであり、接平面T1に接する仮想球面J1の経線を仮想円H3として示している。図25から分かるように、永久磁石281をオフセットさせた結果、交点α1が仮想円H3に接していない。なお、図13や図23に示す基準の位置で永久磁石81が第1レンズL1に近接しているが、永久磁石とその周囲の構成要素が干渉しないという条件下であれば、図25とは逆に、揺動中心A1に対して直線K11(交点C11)を物体側に向けてオフセットさせることも可能である。
図25のように、接平面T1の法線と平行で永久磁石281の外形中心を通る直線K11(交点C11)を、第1の実施形態の直線K1(揺動中心A1)に対して、仮想球面J1の経線に沿う平面内で接平面T1に沿って(別言すると仮想円H3の接線に沿って)オフセットさせる場合、同平面内で接平面T1に沿う方向での永久磁石281の大きさ(横幅W2)に比してオフセット量が大き過ぎると、第1レンズ枠30の球心揺動の安定性や精度、コイルやホールセンサに対する永久磁石281のギャップ変動といった要素に無視できない影響を及ぼすおそれがある。そのため、第3の実施形態を含む全てのケースで、次に示す条件(3)を満たすことが好ましい。
(3)0≦γ1<δ1×0.2
γ1は、各実施形態における、図23や図25のような仮想球面J1の経線(仮想円H3)に沿う平面上での、交点α1と接点β1との距離である。永久磁石281に関して先に説明したように、交点α1は、同平面上での、各永久磁石が沿う接平面(T1、T2)と、該接平面の法線に平行で各永久磁石の外形中心を通る直線(K1、K2、K11)との交差位置である。接点β1は、同平面上での、仮想球面J1(仮想円H3)と接平面(T1、T2)が接する位置である。δ1は、距離γ1と同様に、仮想球面J1の経線(仮想円H3)に沿う平面上での、接平面(T1、T2)に沿う各永久磁石の大きさであり、図23に示す永久磁石81(82)の横幅W2や図25に示す永久磁石281の横幅W2に相当する。永久磁石81(181)、82(182)の外形中心を通り接平面T1、T2の法線に平行な直線K1、K2が揺動中心A1を通る(交点C1、C2が揺動中心A1と一致する)第1の実施形態や第2の実施形態では、図23のようにα1とβ1が一致してγ1=0となる。
なお、図25では一方の永久磁石281の配置のみを示しているが、他方の永久磁石(第1の実施形態の永久磁石82に対応するもの)の配置については、永久磁石281と同様にオフセットさせてもよいし、永久磁石82のようにオフセットしないものとしてもよい。
図26及び図27に示す第4の実施形態は、接平面T2(図23)に関する条件(接平面T2の法線の傾き角D2)を第1の実施形態と共通とした上で、第1光軸O1(O1’)と平行に見たときの、永久磁石382の配置を第1の実施形態の永久磁石82と異ならせたものである。より詳しくは、仮想球面J1(図26と図27では後述する仮想円H4として示している)を第1光軸O1(O1’)及びその延長線との交点位置を極点とする球体とみなした場合、その球体の緯線に沿う平面内での接平面T2に沿う方向の永久磁石382の位置が永久磁石82の位置と異なっている。なお、図26と図27には各永久磁石81、382の平面方向の広がりを示す接平面T1、T2を面として図示していないが、図27の断面位置における永久磁石81の磁極境界線Q1が接平面T1に含まれる位置にあり、同断面位置における永久磁石382の磁極境界線Q2が接平面T2に含まれる位置にあるので、図27で磁極境界線を示す符号Q1、Q2の後に括弧書きで接平面を示す符号T1、T2を加えている。永久磁石382は、永久磁石82と同じく接平面T2と平行な方向に広がりを有する扁平形状の直方体であり、図27の断面位置における磁極境界線Q2に沿う方向の長さW1は、永久磁石82の長さW1と共通している。永久磁石382の外形中心を通り接平面T2の法線と平行な直線K22(図26、図27)を設定すると、直線K22は、第1の実施形態の直線K2に対して、第1光軸O1(O1’)及び揺動中心A1から離れる方向にオフセットしている。つまり、永久磁石382は、接平面T2上で永久磁石82よりも基準平面P1から離れる方向にずらして位置されている。これに応じて、直線K22は、第1光軸O1(O1’)及びその延長線とは交差しなくなる。図26と図27では、永久磁石81の磁極境界線Q1と永久磁石382の磁極境界線Q2に接する仮想球面J1の緯線を仮想円H4として示している。永久磁石382をオフセットさせた結果、永久磁石382の外形中心を通り接平面T2の法線に平行な直線K22と接平面T2との交点α2(この実施形態では交点α2は永久磁石382の外形中心に一致する)が仮想円H4に接していない。なお、永久磁石とその周囲の構成要素が干渉しないという条件下であれば、第1光軸O1(O1’)及び揺動中心A1に対して直線K22を図26及び図27とは逆方向にオフセットさせることも可能である。
図26や図27のように、接平面T2の法線と平行で永久磁石382の外形中心を通る直線K22を、第1の実施形態の直線K2に対して、仮想球面J1の緯線に沿う平面内で接平面T2に沿って(別言すると仮想円H4の接線に沿って)オフセットさせる場合、同平面内で接平面T2に沿う方向での永久磁石382の大きさ(長さW1)に比してオフセット量が大き過ぎると、第1レンズ枠30の球心揺動の安定性や精度、コイルやホールセンサに対する永久磁石382のギャップ変動といった要素に無視できない影響を及ぼすおそれがある。そのため、第4の実施形態を含む全てのケースで、次に示す条件(4)を満たすことが好ましい。
(4)0≦γ2<δ2×0.2
γ2は、各実施形態における、図22、図26及び図27のような仮想球面J1の緯線(仮想円H4)に沿う平面上での、交点α2と接点β2との距離である。永久磁石382に関して先に説明したように、交点α2は、同平面上での、各永久磁石が沿う接平面(T1、T2)と、該接平面の法線に平行で各永久磁石の外形中心を通る直線(K1、K2、K11、K22)との交差位置である。接点β2は、同平面上での、仮想球面J1(仮想円H4)と接平面(T1、T2)が接する位置である。δ2は、距離γ2と同様に、仮想球面J1の緯線(仮想円H4)に沿う平面上での、接平面(T1、T2)に沿う(磁極境界線Q1、Q2に沿う)各永久磁石の大きさであり、図22、図26及び図27に示す永久磁石81(82)の長さW1や図26に示す永久磁石382の長さW1に相当する。永久磁石81(181、281)、82(182)の外形中心を通り接平面T1、T2の法線に平行な直線K1(K11)、K2が第1光軸O1(O1’)の延長線と交差する第1ないし第3の実施形態では、γ2=0である。
なお、図26及び図27では一方の永久磁石382の位置をオフセットさせるものとしたが、他方の永久磁石81の配置についても、永久磁石382のようにオフセットさせてもよい。
第3の実施形態と第4の実施形態はそれぞれ1つの永久磁石が1つの方向にオフセットする例を示したが、第3の実施形態に示すオフセットと第4の実施形態に示すオフセットの両方を1つの永久磁石に設定することも可能である。
第3と第4の実施形態では、アクチュエータを構成する永久磁石のオフセットについて説明したが、永久磁石のオフセットの有無と組み合わせて、コイルとホールセンサについてもオフセットの有無を選択することができる。
第1の組み合わせとして、永久磁石とコイルのそれぞれの外形中心から接平面の法線と平行に延びる直線を揺動中心A1との交差位置からオフセットさせ(以下、単に磁石、コイル、ホールセンサのオフセットと呼ぶ)、ホールセンサについてはオフセットさせない構成が可能である。この構成は、球心揺動の位置精度管理については、全ての要素をオフセットさせない基準構成とほぼ同等のレベルで行うことができる。一方、永久磁石とコイルの間のギャップ変動抑制や、永久磁石とホールセンサの間のギャップ変動抑制については基準構成の方が有利である。
第2の組み合わせとして、永久磁石とコイルをオフセットさせず、ホールセンサのみをオフセットさせる構成が可能である。この構成は、永久磁石とホールセンサの間でのギャップ変動は基準構成と同程度に抑制できる。一方、球心揺動の位置精度管理や、永久磁石とホールセンサの間のギャップ変動抑制については基準構成の方が有利である。
第3の組み合わせとして、永久磁石、コイル、ホールセンサの全てを同等にオフセットさせる構成が可能である。球心揺動の位置精度管理、永久磁石とコイルの間のギャップ変動抑制、永久磁石とホールセンサの間のギャップ変動抑制の全てにおいて、この第3の組み合わせよりも基準構成が有利となる。
以上、図示実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で改変することができる。例えば、図示実施形態の撮像光学系は、光路を屈曲させる反射素子としてプリズムを用いているが、プリズムに代えてミラーなどを反射素子として用いてもよい。さらに、撮像光学系に第2プリズムL12を含まず光路をL字状としたタイプの撮像装置にも適用が可能である。あるいは、第1プリズムL11と第2プリズムL12に加えてさらに別の反射素子を有する屈曲光学系の撮像装置も適用対象となる。いずれの場合も反射素子による光軸の屈曲角度(反射角)は90°以外の値であってもよい。
また、先に述べたように、反射素子(実施形態の第1プリズムL11に相当する)の物体側に位置して防振動作を行う前方レンズについては、複数枚のレンズで構成する等の変更を加えることが可能である。
図示実施形態の第1レンズL1は周縁の一部を切り欠いたDカット形状をなしており、第2光軸O2に沿う方向における1群ブロック12の小型化に寄与している。しかし、本発明における前方レンズの正面形状はこれに限定されるものではなく、正面視してDカット以外の形状をなす(例えば円形の)前方レンズを備えた撮像装置にも適用が可能である。
図示実施形態では、第1レンズ枠30を球心揺動可能に支持する支持部材として、ベース部材31とカバー部材32とセンサホルダ34の結合体を用いている。この構成は組立作業性に関して優れた効果が得られるが、ベース部材31やセンサホルダ34等を一体的に構成した支持部材を用いることも可能である。また、図示実施形態の撮像ユニット10と異なり、撮像センサ14や第2プリズムL12等を保持するハウジング13と第1プリズムL11を保持するベース部材31を一体に形成して、この一体の支持部材に対して第1レンズ枠30を支持させる構成にすることも可能である。
図示実施形態では、各アクチュエータの構成要素について、対向関係にある永久磁石81(181、281)とコイル83(183)の平面方向の広がりを示す接平面T1と接平面T3を互いに平行とし、対向関係にある永久磁石82(182、382)とコイル84(184)の平面方向の広がりを示す接平面T2と接平面T4を互いに平行としている。この構成は、第1レンズ枠30の球心揺動を行う際の永久磁石とコイルの間のギャップ変動の抑制に有効であるが、本発明は、接平面T1と接平面T3、または接平面T2と接平面T4が互いに非平行な構成にも適用が可能である。永久磁石の平面方向とコイルの平面方向が相対的に傾いていても、その傾きが所定の範囲内であれば、実効的に球心揺動を行わせることができる。
図示実施形態では、第1レンズ枠30を球心揺動させるアクチュエータとして、可動の第1レンズ枠30に永久磁石81(181、281)、82(182、382)を保持し、固定のカバー部材32にコイル83(183)、84(184)を保持したムービングマグネットタイプのボイスコイルモータを用いている。これと異なり、可動枠である第1レンズ枠30側にコイルを保持し、第1レンズ枠30を球心揺動可能に支持する支持部材(ベース部材31、カバー部材32、センサホルダ34等)側に永久磁石を保持したムービングコイルタイプのボイスコイルモータを採用することも可能である。この場合、第1レンズ枠30の位置を検出するホールセンサは可動の第1レンズ枠30側に保持するとよい。
第1の実施形態では、防振駆動用の2つのアクチュエータ(永久磁石81とコイル83、永久磁石82とコイル84)は、推力作用平面P4と推力作用平面P5の互いの交差角D3が約60°という関係で配置されている(図12、図22参照)。2つのアクチュエータの推力作用平面を基準平面P1に近づけるほど(2つの推力作用平面の交差角が小さくなるほど)、撮像ユニット10の上下方向の小型化に有利となる。しかし、2つの推力作用平面の交差角をあまり小さくすると、第1レンズ枠30の高精度で安定した防振制御を行わせることが難しくなる。図12及び図22に示す構成は、防振制御の安定性や精度を損なわない範囲で撮像ユニット10を上下方向にコンパクトにするべく、2つのアクチュエータの推力作用平面P4、P5の交差角D3を約60°に設定している。但し、第1光軸O1を中心とする周方向(仮想球面J1、J2の緯線に沿う方向)における2つのアクチュエータの配置はこれに限定されるものではなく、第1レンズ枠30の球心揺動を確実に行わせることができる関係を満たしていれば、任意の配置にすることができる。例えば、図12や図22と同様に第1光軸O1と平行に見たとき、2つのアクチュエータの推力作用平面の交差角を約90°に設定すると、1群ブロック12の上下方向の小型化は若干制約されるが、防振制御の安定性や精度の点で有利となる。
図22、図26及び図27に示す、2つの永久磁石81、82(382)の磁極境界線Q1、Q2が、第1光軸O1を中心とする共通の仮想円H1、H4(仮想球面J1の緯線)に接する配置は、重量バランスの点で好ましい。しかし、2つの永久磁石の磁極境界線が第1レンズL1の光軸を中心とする共通の円に接しない構成であっても、第1レンズ枠30の駆動及び位置検出が可能であり、本発明はこのような構成を除外するものではない。