JP6233277B2 - ベルト式無段変速機 - Google Patents

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Description

この発明は、一対のプーリと、それらプーリに巻き掛けられたベルトとにより構成され、そのベルトの巻き掛け半径を変更することにより変速比を変化させるベルト式無段変速機に関するものである。
特許文献1には、一対のプーリにベルトが巻き掛けられたベルト式無段変速機が記載されている。このベルト式無段変速機は、回転軸に形成された中空部と、回転軸の外周面とに連通した油路を形成し、その油路から吐出したオイルが各シーブとベルトとの接触面を潤滑するように構成されている。また、可動シーブが固定シーブに最も接近した際に、その油路の開口部を可動シーブが閉じてしまうことを抑制するために、回転軸には、固定シーブ側に接近するに連れて外径が小さくなるテーパ部が形成され、そのテーパ部に油路が開口するように構成されている。
特開2003−194191号公報
特許文献1に記載されたベルト式無段変速機は、可動シーブが固定シーブに最も接近した場合には、油路が開口した部分の外側に可動シーブが位置するため、油路から吐出したオイルは、直ちには、可動シーブとベルトとが接触する面の外周側に向けて流動することができない。そのため、回転軸に嵌合して摺動する可動シーブの内周面と回転軸の外周面との間にオイルが貯留する。そのように貯留したオイルのうちのテーパ部の外周面に付着したオイルに遠心力が作用すると、そのオイルは、テーパ部の外周面に沿って油路の開口部に向けて流動する可能性がある。油路の開口部に向けて流動するオイルは、潤滑のためのオイルの流れを阻害する方向の圧力を作用させることになるため、潤滑が不十分になる可能性がある。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、各シーブとベルトとの接触面の潤滑性を向上させることができるベルト式無段変速機を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、回転軸と一体化された固定シーブと、前記回転軸と一体に回転するとともに該回転軸の軸線方向に移動することができるように該回転軸に嵌合した可動シーブとをそれぞれ有する一対のプーリと、該一対のプーリに巻き掛けられてトルクを伝達するベルトとを備えたベルト式無段変速機において、前記回転軸の外周面のうち前記各シーブの間に環状の溝が形成され、前記回転軸の外周面のうち前記環状の溝と前記可動シーブとの間に螺旋状の溝が形成され、前記螺旋状の溝の内壁面のうち前記回転軸の軸線方向における前記固定シーブ側の内壁面は、前記螺旋状の溝の底面側の部分よりも該螺旋状の溝の開口部側の部分が、前記回転軸の軸線方向における前記固定シーブ側となるように傾斜して形成され、前記環状の溝にオイルが供給されるように構成されていることを特徴とするものである。
この発明によれば、回転軸の外周面のうち各シーブの間に環状の溝が形成され、その環状の溝と可動シーブとの間に螺旋状の溝が形成されている。そして、その環状の溝にオイルが供給される。そのため、環状の溝に供給され、螺旋状の溝に流入したオイルは、螺旋状の溝に沿って可動シーブ側に流動する。その際には、オイルの流れを阻害する荷重が、オイルに作用することがない。そのため、可動シーブの潤滑性を向上させることができる。また、螺旋状の溝の内壁面のうち回転軸の軸線方向における固定シーブ側の内壁面が、その螺旋状の溝の底面側の部分よりも螺旋状の溝の開口部側の部分が、回転軸の軸線方向における固定シーブ側となるように傾斜して形成されている。したがって、回転軸に可動シーブが嵌合する部分のうち固定シーブ側の先端部が、変速時に螺旋状の溝の内壁面に接触した場合であっても、その先端部が螺旋状の溝から抜け出ることができる。
この発明における螺旋状の溝の内壁面の形状を説明するための断面図である。 この発明におけるプーリの構成の一例を説明するための断面図である。 この発明に係るベルト式無段変速機の構成の一例を説明するための模式図である。 チェーンベルトの構成の一例を説明するための拡大図である。 入力軸および出力軸にオイルを吹き付ける構成の一例を説明するための模式図である。 ノズルの構成の一例を説明するための模式図である。 変速比に応じて各円錐面に作用する面圧の変化を示す図である。
この発明に係るベルト式無段変速機は、固定シーブと可動シーブとをそれぞれ有する一対のプーリと、それらプーリに巻き掛けられたベルトとを備えている。そのベルト式無段変速機の構成の一例を図3に示している。図3に示すベルト式無段変速機(以下、CVTと記す)1は、車両に搭載されたものであって、従来知られたものとほぼ同一に構成されており、エンジンからトルクが伝達される入力軸2と、その入力軸2に連結されたプライマリプーリ3と、駆動輪などの出力部材にトルクを伝達する出力軸4と、その出力軸4に連結されたセカンダリプーリ5と、それらのプーリ3,5に巻き掛けられた無端状のベルト6とによって構成されている。なお、入力軸2と出力軸4とは平行に配置されている。
プライマリプーリ3は、円錐形状の第1固定シーブ7と第1可動シーブ8とによって構成され、その第1固定シーブ7が、入力軸2に一体に形成されている。また、第1可動シーブ8は、第1固定シーブ7に接近または離隔することにより変速比を変化させるように入力軸2に嵌合している。具体的には、第1可動シーブ8が、入力軸2と一体に回転するとともに、軸線方向に移動することができるようにスプラインなどにより入力軸2に係合している。そして、それら各シーブ7,8における円錐面9,10が、入力軸2の軸線方向で対向して配置されており、それら円錐面9,10により第1V溝11が形成されている。
また、第1可動シーブ8には、入力軸2の軸線方向における円錐面10とは反対側の側面を、第1固定シーブ7側に押圧するように第1油圧アクチュエータ12が付設されている。したがって、第1油圧アクチュエータ12にオイルを供給することにより、第1可動シーブ8は第1固定シーブ7に接近するように荷重を受ける。
図3に示すセカンダリプーリ5もプライマリプーリ3と同様に構成されており、円錐形状の第2固定シーブ13と第2可動シーブ14とによって構成されており、その第2固定シーブ13が出力軸4に一体に形成されている。また、第2可動シーブ14は、第2固定シーブ13に接近または離隔するように出力軸4にスプラインなどにより係合している。そして、それら各シーブ13,14における円錐面15,16が、出力軸4の軸線方向で対向して配置されており、それら円錐面15,16により第2V溝17が形成されている。
また、第2可動シーブ14には、出力軸4の軸線方向における円錐面16とは反対側の側面を、第2固定シーブ13側に押圧するように第2油圧アクチュエータ18が付設されている。したがって、第2油圧アクチュエータ18にオイルを供給することにより、第2可動シーブ14は第2固定シーブ13に接近するように荷重を受ける。なお、図3に示す例では、第1固定シーブ7が、入力軸2の軸線方向において第1可動シーブ8の右側に配置され、第2固定シーブ13が、出力軸4の軸線方向において第2可動シーブ14の左側に配置されている。
上述したプライマリプーリ3の第1V溝11と、セカンダリプーリ5の第2V溝17とに亘って、無端状のチェーンベルト6が巻き掛けられている。ここで、チェーンベルト6の構成の一例を、図4を参照しつつ説明する。なお、図4における横方向がチェーンベルト6の長手方向を示しており、縦方向がチェーンベルト6の厚み方向を示している。図4に示すチェーンベルト6は、チェーンベルト6の幅と同一の長さに形成され、かつ互いに平行に配置された複数のピン19と、そのピン19により環状に連結される複数のリンク20とによって構成されている。ここに示すリンク20は、ピン19が通される連通孔21が形成された環状の板部材である。この連通孔21の両端には、ピン19の外径とほぼ同一の内径のピン保持部22が形成されており、そのピン保持部22に挟まれた中央部分の幅が、ピン19の外径よりも小さく形成されている。そして、複数のリンク20をチェーンベルト6の幅方向に積層するとともに、隣り合うリンク20同士を、ピン保持部22間の距離分、チェーンベルト6の長手方向にずらして配置した後に、積層されたリンク20からピン19の両端部が幅方向に突出するように、ピン保持部22にピン19を挿入してリンク20を環状に連結している。このように構成されたチェーンベルト6では、連通孔21の中央部がピン19の外径よりも小さいので、ピン保持部22に挿入されたピン19はチェーンベルト6の長手方向に移動することなく、リンク20と相対回転する。
上記チェーンベルト6は、剛性を向上させるためなど種々の条件に応じて、ピン保持部22に複数のピン19を挿入してもよく、またはピン保持部22またはピン19の断面形状を楕円状など種々の形状に形成してもよい。具体的には、従来知られているチェーンベルトと同様に、ピン保持部22に断面形状がほぼ楕円状に形成された2つのピン19を挿入し、2つのピン19同士が対向する面が面接触するように平面に形成するとともに、所定の位置から互いに離隔する方向に傾斜した傾斜面を形成する。このように形成されたピン19をリンク20に挿入したチェーンベルトでは、リンク20が回動した場合に、その傾斜面が接触するように2つのピン19が相対的に回動するため、ピン19とリンク20との摺動抵抗を低減することができる。
また、リンク20の両端にそれぞれ貫通孔を形成して、その貫通孔にピン19を挿入するように構成していてもよい。すなわち、ピン19やリンク20の形状または構成は、特に限定されない。またさらに、ここでは、チェーンベルト6を例に挙げて説明しているが、例えば、複数のエレメントを長手方向に積層し、それらエレメントを無端状のリングによって結束した、いわゆるプッシュベルトであってもよい。
上述したように構成されたCVT1は、第1V溝11および第2V溝17の溝幅を変化させることにより変速比を変化させるように構成されており、また、各円錐面9,10,15,16とチェーンベルト6におけるピン19の端面との摩擦力によりトルクを伝達するように構成されている。ここで、変速制御および伝達トルク容量の制御の一例を簡単に説明する。まず、変速制御は、エンジンの目標回転数に応じて第1油圧アクチュエータ12に供給する油量を変化させることにより、第1V溝11の溝幅を変化させて変速比を変化させる。なお、チェーンベルト6の周長は一定であるため、第1V溝11の溝幅を変化させると、第2V溝17の溝幅がそれに応じて変化する。また、伝達トルク容量の制御は、アクセル開度などに基づく要求駆動力が変化して伝達するべきトルクが変化した場合に、第2油圧アクチュエータ18に供給する油圧を変化させて、伝達するトルクに応じた摩擦力を得るようにチェーンベルト6を挟み付ける挟圧力を変化させる。
このように摩擦力によりトルクを伝達するCVT1では、各円錐面9,10,15,16とピン19の端面とが接触する部分には、不可避的な滑りがある。そのため、このCVT1では、それら円錐面9,10,15,16とピン19とが接触する部分の潤滑性を向上させるために、入力軸2および出力軸4にオイルを吹き付け、その吹き付けられたオイルを各円錐面9,10,15,16に流動させるように構成されている。図5および図6は、入力軸2および出力軸4にオイルを吹き付けるノズル23の一例を示している。ここに示すノズル23は円筒状に形成されており、入力軸2および出力軸4と平行にかつチェーンベルト6の内側に設けられている。
また、このノズル23は、図6に示すように一方の端部がケース24に固定されており、そのケース24に固定される端部に開口した中空部25が形成され、その中空部25に連通するようにケース24に油路26が形成されている。そして、油路26から中空部25にオイルが供給されることにより、入力軸2および出力軸4にオイルが噴出されるように、ノズル23の他方の端部は閉じられるとともに、軸線方向に所定の間隔を空けて外周面に開口した複数の開口部27が形成されている。したがって、ケース24を介してノズル23に流入したオイルが、開口部27から入力軸2や出力軸4に向けて噴出される。
上記のようにノズル23から入力軸2および出力軸4に噴出されたオイルを、各円錐面9,10,15,16とピン19との接触部に流動させるように各プーリ3,5が構成されている。図2は、最大変速比を設定している際に、すなわち、第1可動シーブ8が第1固定シーブ7から最も離隔している際におけるプライマリプーリ3の断面図を示しており、図中の矢印は、オイルの流れを示し、破線は、後述する螺旋状の溝を示している。また、図2では、第1固定シーブ7側から第1可動シーブ8側を見た場合に、前進走行時に入力軸2が時計回り(右回り)に回転するものとして説明する。なお、セカンダリプーリ5は、プライマリプーリ3とほぼ同一に構成することができるので、ここでは、プライマリプーリ3の構成について説明する。
上述したようにプライマリプーリ3は、第1固定シーブ7と第1可動シーブ8とにより構成されている。また、図2に示すように第1可動シーブ8の内周部には、背面側に突出したボス部28が一体に形成されており、そのボス部28と入力軸2とがスプライン係合するとともに、入力軸2に第1可動シーブ8が摺動可能に嵌め合わされている。そのスプライン係合部29や第1油圧アクチュエータ12にオイルを供給するように油路30が形成されている。この油路30は、入力軸2におけるエンジン側とは反対側の端部から、その入力軸2の回転中心線に沿って形成された中空部31と、その中空部31および入力軸2の外周面に連通した複数の貫通孔32,33とにより構成されており、この中空部31は、第1可動シーブ8が第1固定シーブ7から最も離隔した際における入力軸2の軸線方向における第1可動シーブ8の位置とほぼ同一の位置まで形成されている。その中空部31の先端部に、円周方向に所定の間隔を空けて複数の第1貫通孔32が形成され、また、ボス部28の端部の位置とほぼ同一の位置に、円周方向に所定の間隔を空けて複数の第2貫通孔33が形成されている。
そして、入力軸2の軸線方向における第1貫通孔32と第2貫通孔33との間の外周面にスプライン歯34が形成されている。したがって、中空部31にオイルが供給されると、そのオイルがスプライン係合部29に流動するとともに、そのオイルの一部が、第1可動シーブ8と入力軸2との嵌合部35に供給される。
また、第1可動シーブ8の背面および外周面を囲うようにシリンダ36が設けられている。このシリンダ36は、第2貫通孔33を挟んで第1貫通孔32とは反対側で入力軸2に一体化されている。また、シリンダ36の外周壁の内面と第1可動シーブ8との間には、シール部材37が設けられている。したがって、入力軸2とシリンダ36と第1可動シーブ8とにより空間が形成されており、その空間が油圧室38とされている。この油圧室38にオイルを供給するようにボス部28には、スプライン係合部29と油圧室38とに連通する第3貫通孔39が形成されている。そのため、油圧室38にオイルが供給されると、その油圧に応じて第1可動シーブ8が第1固定シーブ7側に押圧される。すなわち、第1可動シーブ8が、第1油圧アクチュエータ12のピストンとして機能するように構成されている。
また、第1固定シーブ7と入力軸2とは鋳造などにより一体に形成されており、その第1固定シーブ7と入力軸2との境界部分には、環状の溝(以下、隅抜き部と記す)40が形成されている。この隅抜き部40は、第1V溝11の溝幅が広がるように第1固定シーブ7がチェーンベルト6から荷重を受けた際に、第1固定シーブ7と入力軸2との境界部分に応力集中が生じることを抑制するために形成されている。したがって、隅抜き部40は、従来知られているように、第1固定シーブ7に作用する荷重や第1固定シーブ7の剛性などに基づいて形状が定められており、図2に示す例では、断面形状が扇状または半円状に形成されている。そして、入力軸2の軸線方向において、隅抜き部40は、第1可動シーブ8が第1固定シーブ7側に最も移動した場合であっても、第1可動シーブ8と重なり合うことがない。したがって、変速比に影響されずに常時、入力軸2にオイルを吹き付けることができるように、上記ノズル23の開口部27は、隅抜き部40に向けて開口している。
さらに、図2に示す例では、隅抜き部40に吹き付けられたオイルを第1可動シーブ8側に向けて流動させるための螺旋状の溝(以下、螺旋溝と記す)41が、入力軸2の軸線方向における隅抜き部40から第1可動シーブ8側に形成されている。この螺旋溝41は、第1可動シーブ8が第1固定シーブ7から最も離隔した際であっても、その螺旋溝41に沿ってオイルが第1可動シーブ8まで流動するように、第1可動シーブ8が第1固定シーブ7から最も離隔した際に第1可動シーブ8と入力軸2とが嵌合する部分まで形成されている。
また、この螺旋溝41は、前進走行時に隅抜き部40に吹き付けられたオイルを第1可動シーブ8側に流動させるように構成されている。上述したように第1固定シーブ7側から第1可動シーブ8側を見た場合に、前進走行時には、入力軸2が時計回りに回転する。そのように入力軸2が回転することに伴ってオイルが螺旋溝41に沿って第1可動シーブ8側に流動するように、第1固定シーブ7側から第1可動シーブ8側を見た場合に、渦巻き方向が左方向となるように、螺旋溝41が形成されている。言い換えると、入力軸2の円周方向における所定の位置において、入力軸2が回転することにより隅抜き部40から螺旋溝41までの軸線方向の距離が長くなるように螺旋溝41が形成されている。
なお、螺旋溝41の条数やその溝41のリード角度θあるいはその溝41の深さは、第1可動シーブ8に流動させるオイル量に基づいて適宜定めればよく、第1可動シーブ8に多くのオイルを流動させる場合には、リード角度θを大きくし、かつ条数を多く形成すればよい。
上述したように螺旋溝41を形成すると、変速時には、その螺旋溝41が形成された部分に嵌合しながら、第1可動シーブ8が移動する。一方、トルク伝達時には、チェーンベルト6から第1可動シーブ8が荷重を受けるので、第1可動シーブ8は、チェーンベルト6と接触している部分が、第1固定シーブ7から離隔し、かつ入力軸2の回転中心軸線を中心としてその部分と点対称の部分が第1固定シーブ7に接近するように傾斜する。そのため、第1可動シーブ8の先端部(入力軸2と嵌合している部分のうちの第1固定シーブ7側の部分)42が入力軸2の外周面に接触しながら、入力軸2の軸線方向に移動する場合がある。そのような場合には、螺旋溝41の内壁面と、第1可動シーブ8の先端部42が接触する可能性がある。
そのため、螺旋溝41の内壁面は、第1可動シーブ8の先端部42が接触した場合であっても、第1可動シーブ8の先端部42が、螺旋溝41から抜け出るように形成されている。図1は、螺旋溝41の内壁面の形状を説明するための断面図であり、第1可動シーブ8が傾斜した状態を破線で示している。図1に示す例では、入力軸2の軸線方向における第1固定シーブ7側の内壁面43のうち螺旋溝41の底面側の部分が、螺旋溝41の開口部側の部分よりも、螺旋溝41の内側となるように傾斜して形成されている。なお、図1では、入力軸2の軸線方向における第1可動シーブ8側の内壁面44が、それと対向する内壁面43と平行に形成されているが、特にその形状は限定されない。これは、第1可動シーブ8が第1固定シーブ7側に最も移動した場合であっても、第1可動シーブ8の背面側の端部と螺旋溝41とが接触することがないためである。また、螺旋溝41の傾斜角度の大きさは、特に限定されない。
このように入力軸2の軸線方向における第1固定シーブ7側の内壁面43を傾斜して形成することにより、チェーンベルト6から荷重を受けて第1可動シーブ8が傾斜した状態で、その第1可動シーブ8が第1固定シーブ7側に移動し、第1可動シーブ8の先端部42が螺旋溝41の内壁面43に接触しても、その内壁面43が傾斜していることにより第1可動シーブ8の先端部42が内壁面43に沿って螺旋溝41から抜けることができる。言い換えると、第1可動シーブ8を第1固定シーブ7側に押圧するのみで、第1可動シーブ8の先端部42が螺旋溝41から抜け出るように荷重を受けるため、螺旋溝41以外の他の構成を変更しまたは他の制御を行うなどなく、その先端部42が螺旋溝41から抜け出ることができる。
つぎに、隅抜き部40に吹き付けられたオイルの流れについて説明する。ノズル23から隅抜き部40に吹き付けられたオイルのうち、隅抜き部40の最も深さが深い箇所よりも軸線方向で第1固定シーブ7側に付着したオイルは、遠心力により第1固定シーブ7側に流動する。上述したように隅抜き部40は、第1固定シーブ7と入力軸2との境界部分に形成されているので、第1固定シーブ7側に流動したオイルは、そのまま第1固定シーブ7の円錐面9に沿って外周側に流動する。その結果、第1固定シーブ7の円錐面9と、チェーンベルト6とが接触する部分にオイルが流動することにより、その接触部の潤滑性を向上させることができる。
一方、上述したように第1固定シーブ7側から第1可動シーブ8側を見た場合における入力軸2の回転方向と螺旋溝41の渦巻き方向とが反対であることにより、入力軸2の回転に伴って隅抜き部40のうちの最も深さが深い箇所よりも軸線方向で第1可動シーブ8側に付着したオイルが螺旋溝41に流入する。また、螺旋溝41に流入したオイルには、入力軸2の回転に伴って内壁面43から第1可動シーブ8側への荷重が作用するので、第1可動シーブ8側に向けて圧送されて流動する。または、後続するオイルによって先行したオイルが押圧されて第1可動シーブ8側に流動する。
また、上述したように油圧アクチュエータ12が付設されており、その油圧アクチュエータ12に供給されたオイルの一部が第1可動シーブ8と入力軸2との嵌合部35から第1V溝11側に漏洩する。そのため、螺旋溝41に沿って流動したオイルは、第1可動シーブ8と入力軸2との嵌合部35よりも先に流動することができないので、入力軸2の軸線方向における第1可動シーブ8の先端部42で、螺旋溝41から外周側にオイルが流れ出る。そのように流れ出たオイルは遠心力によって第1可動シーブ8の円錐面10に沿って外周側に流動する。その結果、第1可動シーブ8の円錐面10と、チェーンベルト6とが接触する部分にオイルが流動することにより、その接触部の潤滑性を向上させることができる。なお、螺旋溝41を流動するオイルは、表面張力によって外周側に飛散しにくく、特に、その溝41の断面積を小さくすることにより、外周側に飛散するオイル量を低減させることができる。
なお、第1固定シーブ7および第1可動シーブ8に向けて流動しているオイルのうち、螺旋溝41や入力軸2、あるいは各シーブ7,8の円錐面9,10に表面張力によって付着することができる量以上に吹き付けられたオイルは、遠心力により外周側に飛散する。この飛散したオイルは、チェーンベルト6の内周側から外周側に向けてチェーンベルト6の内部を流動する。その結果、ピン19とリンク20とを潤滑することができ、またはチェーンベルト6を冷却することができる。
さらに、上述したように第1可動シーブ8と入力軸2との嵌合部35から第1V溝11に漏洩したオイルは、螺旋溝41を流動するオイルに合わさって第1可動シーブ8の円錐面10に沿って流動するので、第1可動シーブ8の円錐面10とチェーンベルト6との接触部の潤滑性をより一層向上させることができる。
上述したようにセカンダリプーリ5もプライマリプーリ3と同様に構成されており、第2固定シーブ13側から第2可動シーブ14側を見た場合に、出力軸4が反時計回り(左回り)に回転するため、その出力軸4には、同方向から見た場合に渦巻き方向が右回りとなるように螺旋状の溝が形成され、かつ隅抜き部が形成されている。そのため、出力軸4に形成された隅抜き部に吹き付けられたオイルは、第2可動シーブ14の円錐面16および第2固定シーブ13の円錐面15に沿って流動する。その結果、上述したプライマリプーリ3と同様に各円錐面15,16とチェーンベルト6との接触部の潤滑性を向上させることができる。
上述したように各円錐面9,10,15,16にオイルを供給するためには、入力軸2や出力軸4の外周側から吹き付けられたオイルは、螺旋溝41に沿って流動し、また遠心力により円錐面9,10,15,16に沿って流動する。そのため、そのオイルの流れを阻害する荷重が、オイルに作用することがないので、各円錐面9,10,15,16を流動するオイル量が低下することを抑制することができる。その結果、各円錐面9,10,15,16とチェーンベルト6との接触部の潤滑性を向上させることができる。
一方、上述したように螺旋溝41に流入したオイルは、内壁面43または後続するオイルにより圧送されて第1可動シーブ8側に流動するので、隅抜き部40から螺旋溝41を形成すると、隅抜き部40に螺旋溝41が開口した部分でオイルに吸引力が作用する。そのため、隅抜き部40に吹き付けられたオイルには、多くのオイルが第1可動シーブ8側に流動する。その結果、第1固定シーブ7側に流動するオイル量が低減する可能性があるので、螺旋溝41は、隅抜き部40よりも第1可動シーブ8側に形成してもよい。
そのように隅抜き部40よりも第1可動シーブ8側から螺旋溝41を形成した場合には、隅抜き部40に吹き付けられたオイルのうちほぼ半分の量が第1固定シーブ7側に流動し、他のオイルが、遠心力と表面張力とにより第1可動シーブ8側に向けて隅抜き部40から流出し、その流出したオイルが螺旋溝41に流れ込んで、第1可動シーブ8まで圧送される。その結果、第1固定シーブ7および第1可動シーブ8にほぼ同量のオイルを流動させることができるので、第1固定シーブ7および第1可動シーブ8の潤滑性を向上させることができる。
また、上述したように構成されたCVT1は、変速比に応じて各円錐面9,10,15,16に作用する面圧が変化する。図7は、変速比に応じて各円錐面9,10,15,16に作用する面圧の変化を示す図であり、横軸が変速比を示し、縦軸が面圧を示している。また、実線が第1固定シーブ7および第1可動シーブ8に作用する面圧の変化を示し、破線が第2固定シーブ13および第2可動シーブ14に作用する面圧の変化を示している。図7に示すように変速比が小さい場合には、プライマリプーリ3に巻き掛けられるチェーンベルト6の巻き掛け半径が大きくなり、セカンダリプーリ5に巻き掛けられるチェーンベルト6の巻き掛け半径が小さくなる。そのため、第1固定シーブ7および第1可動シーブ8とチェーンベルト6との接触面積が大きくなるので、第1固定シーブ7および第1可動シーブ8に作用する面圧が小さくなる。それとは反対に第2固定シーブ13および第2可動シーブ14とチェーンベルト6との接触面積が小さくなるので、第2固定シーブ13および第2可動シーブ14に作用する面圧が大きくなる。
一方、変速比が大きい場合には、プライマリプーリ3に巻き掛けられるチェーンベルト6の巻き掛け半径が小さくなり、セカンダリプーリ5に巻き掛けられるチェーンベルト6の巻き掛け半径が大きくなる。そのため、第1固定シーブ7および第1可動シーブ8とチェーンベルト6との接触面積が小さくなるので、第1固定シーブ7および第1可動シーブ8に作用する面圧が大きくなる。それとは反対に第2固定シーブ13および第2可動シーブ14とチェーンベルト6との接触面積が大きくなるので、第2固定シーブ13および第2可動シーブ14に作用する面圧が小さくなる。また、変速比が大きい場合には、セカンダリプーリ5に伝達されるトルクが大きくなるため、そのトルクに応じて挟圧力が大きくなるように制御される。そのため、変速比が小さい場合における第2固定シーブ13および第2可動シーブ14に作用する面圧よりも、変速比が大きい場合における第1固定シーブ7および第1可動シーブ8に作用する面圧が大きくなる。
したがって、このCVT1では、第1固定シーブ7および第1可動シーブ8の潤滑性を向上させるために、入力軸2に形成された螺旋溝41の条数を、出力軸4に形成された螺旋溝の条数よりも多くし、かつ入力軸2に形成された螺旋溝41のリード角度θを、出力軸4に形成された螺旋溝のリード角度よりも大きくすることが好ましい。
このように入力軸2に形成された螺旋溝41の条数を、出力軸4に形成された螺旋溝の条数よりも多くし、かつ入力軸2に形成された螺旋溝41のリード角度θを、出力軸4に形成された螺旋溝のリード角度よりも大きくすることにより、第1可動シーブ8における円錐面10を流動するオイル量を増加させることができ、その円錐面10とチェーンベルト6との接触部の潤滑性を向上させることができる。
なお、入力軸2および出力軸4のいずれか一方に螺旋溝を形成していてもよい。すなわち、一方のプーリは、他の手段により円錐面を潤滑し、他方のプーリは、回転軸に螺旋溝を形成し、その螺旋溝をオイルが流動することにより円錐面を潤滑するように構成していてもよい。また、上述したように隅抜き部40にオイルを吹き付けるように形成したものの他、例えば、隅抜き部40の底部に開口した油路を形成し、その油路からオイルを隅抜き部40に吐出させるように構成していてもよい。そのように構成した場合であっても、隅抜き部40に可動シーブ8(14)が嵌合することがないので、オイルの潤滑性が低下することはない。
1…ベルト式無段変速機(CVT)、 2…入力軸、 3…プライマリプーリ、 4…出力軸、 5…セカンダリプーリ、 6…チェーンベルト、 7,13…固定シーブ、 8,14…可動シーブ、 23…ノズル、 40…隅抜き部、 41…螺旋溝、 42…先端部、 43,44…内壁面。

Claims (1)

  1. 回転軸と一体化された固定シーブと、前記回転軸と一体に回転するとともに該回転軸の軸線方向に移動することができるように該回転軸に嵌合した可動シーブとをそれぞれ有する一対のプーリと、該一対のプーリに巻き掛けられてトルクを伝達するベルトとを備えたベルト式無段変速機において、
    前記回転軸の外周面のうち前記各シーブの間に環状の溝が形成され、
    前記回転軸の外周面のうち前記環状の溝と前記可動シーブとの間に螺旋状の溝が形成され、
    前記螺旋状の溝の内壁面のうち前記回転軸の軸線方向における前記固定シーブ側の内壁面は、前記螺旋状の溝の底面側の部分よりも該螺旋状の溝の開口部側の部分が、前記回転軸の軸線方向における前記固定シーブ側となるように傾斜して形成され、
    前記環状の溝にオイルが供給されるように構成されている
    ことを特徴とするベルト式無段変速機。
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