JP6225717B2 - 溶接継手の形成方法 - Google Patents
溶接継手の形成方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6225717B2 JP6225717B2 JP2014010681A JP2014010681A JP6225717B2 JP 6225717 B2 JP6225717 B2 JP 6225717B2 JP 2014010681 A JP2014010681 A JP 2014010681A JP 2014010681 A JP2014010681 A JP 2014010681A JP 6225717 B2 JP6225717 B2 JP 6225717B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- electrode
- disk electrode
- steel plates
- overlapping portion
- welding
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Resistance Welding (AREA)
- Pressure Welding/Diffusion-Bonding (AREA)
Description
マッシュシーム溶接では、円板電極の幅よりも鋼板の重ね代を小さくし、複数の鋼板の重ね合わせ部に対して、上下から一対の円板電極により加圧及び通電し、当該一対の円板電極を回転させながら溶接予定箇所に沿って移動させることにより、当該溶接予定箇所を連続的に溶接する。
また、円板電極の幅よりも鋼板の重ね代を大きくして行うラップシーム溶接においては、ラップシーム溶接を行った後、成形熱源を用いてシーム溶接部に対してテンパー処理(焼戻し)を行うことが提案されている(特許文献2を参照)。
また、特許文献2に記載の技術では、成形熱源として、成形抵抗加熱コイルや、成形誘導コイル等を用いる。したがって、テンパー処理(焼入れ)を行うための設備が大掛かりなものになる虞がある。
しかしながら、特許文献3に記載の技術では、スエージングロールとして、マッシュシーム溶接のときに用いるロールとは異種の鋼鉄製のロールを用いる。このため、スエージングを行うための設備が大掛かりなものになる虞がある。
また、マッシュシーム溶接により形成された接合部の機械的特性を改善させることに加えて、鋼板の重ね合わせ部の厚みを制御することを、可及的に簡単な構成で実現することを第2の目的とする。
本発明の溶接継手の形成方法の第2の例は、複数の鋼板の重ね合わせ部に対してマッシュシーム溶接を行って溶接継手を形成する溶接継手の形成方法であって、前記重ね合わせ部の上下に配置された上側円板電極及び下側円板電極であって、それぞれが銅合金製の上側円板電極及び下側円板電極を回転させた状態で、前記上側円板電極及び前記下側円板電極により前記重ね合わせ部の接合予定箇所に対して加圧と通電とを行いながら、前記接合予定箇所に沿うように、前記上側円板電極及び前記下側円板電極を前記複数の鋼板に対して相対的に移動させることにより、前記重ね合わせ部の接合予定箇所に対してマッシュシーム溶接を行い、接合部を形成する第1の工程と、前記第1の工程の後に、前記重ね合わせ部の上下に配置された上側円板電極及び下側円板電極であって、それぞれが銅合金製の上側円板電極及び下側円板電極を回転させた状態で、前記上側円板電極及び前記下側円板電極により前記接合部に対して加圧と通電とを行いながら、前記接合部に沿うように、前記上側円板電極及び前記下側円板電極を前記複数の鋼板に対して相対的に移動させることにより、前記接合部に対して熱処理を行う第2の工程と、を有し、前記複数の鋼板のうちの少なくとも1枚の鋼板の、以下の(A)式で表される炭素当量Ceqが、0.31[質量%]以上であり、前記第1の工程において前記重ね合わせ部に対して加えられる圧力である加圧力をP1[kN]とし、前記第1の工程における前記上側円板電極及び前記下側円板電極の、前記複数の鋼板に対する相対的な移動速度である溶接速度をV1[m/min]とし、前記第1の工程において前記複数の鋼板に流れる電流の値である溶接電流をI1[kN]とし、前記第2の工程において前記重ね合わせ部に対して加えられる圧力である加圧力をP2[kN]とし、前記第2の工程における前記上側円板電極及び前記下側円板電極の、前記複数の鋼板に対する相対的な移動速度である溶接速度をV2[m/min]とし、前記第2の工程において前記複数の鋼板に流れる電流の値である溶接電流をI2[kN]とした場合に、以下の(B)式、(C)式、及び(D)式が成り立つことを特徴とする。
本発明の溶接継手の形成方法の第3の例は、複数の鋼板の重ね合わせ部に対してマッシュシーム溶接を行って溶接継手を形成する溶接継手の形成方法であって、前記重ね合わせ部の上下に配置された上側円板電極及び下側円板電極であって、それぞれが銅合金製の上側円板電極及び下側円板電極を回転させた状態で、前記上側円板電極及び前記下側円板電極により前記重ね合わせ部の接合予定箇所に対して加圧と通電とを行いながら、前記接合予定箇所に沿うように、前記上側円板電極及び前記下側円板電極を前記複数の鋼板に対して相対的に移動させることにより、前記重ね合わせ部の接合予定箇所に対してマッシュシーム溶接を行い、接合部を形成する第1の工程と、前記第1の工程の後に、前記重ね合わせ部の上下に配置された上側円板電極及び下側円板電極であって、それぞれが銅合金製の上側円板電極及び下側円板電極を回転させた状態で、前記上側円板電極及び前記下側円板電極により前記接合部に対して加圧と通電とを行いながら、前記接合部に沿うように、前記上側円板電極及び前記下側円板電極を前記複数の鋼板に対して相対的に移動させることにより、前記接合部に対して熱処理を行う第2の工程と、を有し、前記第2の工程は、前記接合部に対して前記熱処理を行うことと、前記重ね合わせ部の厚みをその他の領域の厚みに近づける加工を行うことと、を同時に行い、前記複数の鋼板のうちの少なくとも1枚の鋼板の、以下の(A)式で表される炭素当量Ceqが、0.31[質量%]以上であることを特徴とする。
本発明の溶接継手の形成方法の第4の例は、複数の鋼板の重ね合わせ部に対してマッシュシーム溶接を行って溶接継手を形成する溶接継手の形成方法であって、前記重ね合わせ部の上下に配置された上側円板電極及び下側円板電極であって、それぞれが銅合金製の上側円板電極及び下側円板電極を回転させた状態で、前記上側円板電極及び前記下側円板電極により前記重ね合わせ部の接合予定箇所に対して加圧と通電とを行いながら、前記接合予定箇所に沿うように、前記上側円板電極及び前記下側円板電極を前記複数の鋼板に対して相対的に移動させることにより、前記重ね合わせ部の接合予定箇所に対してマッシュシーム溶接を行い、接合部を形成する第1の工程と、前記第1の工程の後に、前記重ね合わせ部の上下に配置された上側円板電極及び下側円板電極であって、それぞれが銅合金製の上側円板電極及び下側円板電極を回転させた状態で、前記上側円板電極及び前記下側円板電極により前記接合部に対して加圧と通電とを行いながら、前記接合部に沿うように、前記上側円板電極及び前記下側円板電極を前記複数の鋼板に対して相対的に移動させることにより、前記接合部に対して熱処理を行う第2の工程と、を有し、前記第1の工程における前記上側円板電極及び前記下側円板電極の、前記複数の鋼板に対する相対的な移動方向と、前記第2の工程における前記上側円板電極及び前記下側円板電極の、前記複数の鋼板に対する相対的な移動方向と、が逆方向であり、前記複数の鋼板のうちの少なくとも1枚の鋼板の、以下の(A)式で表される炭素当量Ceqが、0.31[質量%]以上であることを特徴とする。
Ceq=[C]+[Si]/30+[Mn]/20+2[P]+4[S] ・・・(A)
1.0×P1≦P2≦1.5×P1 ・・・(B)
0.4×V1≦V2≦0.8×V1 ・・・(C)
1.0×I1≦I2≦1.5×I1 ・・・(D)
ここで、[C]、[Si]、[Mn]、[P]、及び[S]は、それぞれC、Si、Mn、P、及びSの含有量(質量%)である。
また、同種の銅合金製の円板電極により、熱処理を行うに際し、重ね合わせ部の厚みを低減する加工も同時に行うようにした。したがって、マッシュシーム溶接により形成された接合部の機械的特性を改善することに加え、重ね合わせ部の厚みを制御することを、可及的に簡単な構成で実現することができる。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
<シーム溶接機の構成>
図1は、シーム溶接機100の構成の一例を示す図である。尚、説明の都合上、各図において、必要に応じて、必要な部分のみを簡略化して示す。また、各図に付しているx、y、z座標は、各図における方向の関係を示すものであり、x、y、z座標の原点は、必ずしも各図に示す位置にはない。
上側円板電極110aと下側円板電極110bの先端面(図1において上側円板電極110aと下側円板電極110bとが対向する面)の形状は、平滑な平坦形(所謂フラット形;F形)である。
また、本実施形態では、上側電極ヘッド120aと下側電極ヘッド120bが、それぞれ正転と逆転とのそれぞれの回転を行うように前記回転機構が構成される。尚、上側円盤電極110aと下側円板電極110bは、反対方向に回転する。例えば、上側円盤電極110aが時計回りの方向に回転しているときには、下側円板電極110bは反時計回りの方向に回転する。
下腕部130bは、下側円板電極110bが取り付けられた下側電極ヘッド120bを支持するためのものである。図1に示すように、下側電極ヘッド120bの下面が下腕部130bの上面と対向するように、下側電極ヘッド120bが下腕部130bに取り付けられる。本実施形態では、下腕部130bは、動くことがないように機体150に取り付けられる(固定される)。
溶接電源160は、上側電極ヘッド120a、下側電極ヘッド120bを介して上側円板電極110a、下側円板電極110bと電気的に接続され、上側円板電極110a、下側円板電極110bを介して、被溶接材である鋼板に電力を供給するためのものである。本実施形態では、溶接電源160は、単相交流電源であり、単相交流電力を連続的に供給する。
例えば、上側円板電極110aと下側円板電極110bの先端面の形状は、前述した形状に限定されない。例えば、上側円板電極110aと下側円板電極110bの先端面の両端部(図1のx軸方向の両端部)に曲率半径Rが1[mm]〜5[mm]程度(R1〜R5程度)の面取りがなされるようにしてもよい。このようにすれば、上側円板電極110aと下側円板電極110bの先端面の両端部が被溶接材である鋼板に接触することにより無効分流が増大することを抑制することができる。また、上側円板電極110aと下側円板電極110bの少なくとも一方の先端面が、曲率半径Rが150[mm]〜250[mm]程度の曲率を有するようにしてもよい。
また、溶接電源160は、単相交流電源に限定されず、マッシュシーム溶接に適用可能なその他の電源(例えば、三相交流電源、単相整流式の直流電源、直流インバータ、交流インバータ等)であってもよい。また、溶接電源160は、連続通電するものでなくてもよい(すなわち、断続通電するものでもよい)。
まず、本実施形態の被溶接材である鋼板について説明する。
本実施形態では、被溶接材である2枚以上の鋼板のうちの少なくとも1枚の鋼板の、以下の(1)式で表される炭素当量Ceqを、0.31[質量%]以上とする。
Ceq=[C]+[Si]/30+[Mn]/20+2[P]+4[S] ・・・(1)
炭素当量Ceqは、接合部の割れ感受性を示すものである。この炭素当量Ceqが0.31[質量%]以上になると、マッシュシーム溶接による接合部の破断(ナゲット内破断等)が生じやすくなり、接合部の特性が劣化するという傾向が確認されている。このため、このような接合部に対して後述する熱処理を行うことによって接合部の機械的特性の改善を図ることができる。被溶接材である全ての鋼板の炭素当量Ceqが0.31[質量%]未満である場合であっても、後述する熱処理を行うことはできるが、このような鋼板では、マッシュシーム溶接による接合部の特性の劣化が小さい(後述する熱処理を行う意味合いが小さい)。そこで、本実施形態では、前述したように、被溶接材である2枚以上の鋼板のうちの少なくとも1枚の鋼板の炭素当量Ceqを、0.31[質量%]以上とする。
例えば、(マッシュシーム溶接が行われる前の)1枚の鋼板の厚みとして、0.4[mm]〜6.0[mm]の範囲内のものを採用することができる。また、図2に示すように、本実施形態では、マッシュシーム溶接を行う鋼板の枚数が2枚の場合を例に挙げて説明するが、マッシュシーム溶接を行う鋼板の枚数は2枚に限定されず、3枚であっても4枚であってもよい。
また、図2(a)において、マッシュシーム溶接を行う前の鋼板の重ね代L0として、以下の(2)式の範囲を採用することができる。
1.0×t≦L0≦2.0×t ・・・(2)
尚、図2(a)に示すように、マッシュシーム溶接を行う前の鋼板の重ね代L0は、上側円板電極110a及び下側円板電極110bの幅wよりも小さい。このことは、マッシュシーム溶接を行った後でも、後述する熱処理を行った後でも同じである。尚、(2)式で示す重ね代L0の範囲は、複数の鋼板に対してマッシュシーム溶接を行う際の一般的な重ね代L0の範囲である。
図3は、マッシュシーム溶接と熱処理を行う方法の一例を概念的に示す図である。具体的に図3(a)は、マッシュシーム溶接を行う方法の一例を概念的に示す図であり、図3(b)は、熱処理を行う方法の一例を概念的に示す図である。
また、図4は、接合部の様子の一例を概念的に示す図である。具体的に図4(a)は、マッシュシーム溶接を行う前の鋼板210a、210bの重ね合わせ部付近の様子を示す断面図であり、図4(b)は、マッシュシーム溶接を行った後の鋼板210a、210bの重ね合わせ部付近の様子を示す断面図であり、図4(c)は、熱処理を行った後の鋼板210a、210bの重ね合わせ部付近の様子を示す断面図である。
そして、上側円板電極110a及び下側円板電極110bを回転させた状態で、上側円板電極110a及び下側円板電極110bにより鋼板210a、210bに対して加圧及び通電しながら、上側円板電極110aと下側円板電極110bとの間の領域が、鋼板210a、210bの重ね合わせ部の接合予定箇所(溶接予定箇所)の第1の方向(y軸の負の方向)に沿って移動するように、鋼板210a、210bを送り出す(図3(a)を参照)。これにより、上側円板電極110aと下側円板電極110bが、鋼板210a、210bに対して、y軸の負の方向(図3(a)に示す白抜きの矢印の方向)に(相対的に)移動する。
本実施形態では、加圧力とは、加圧装置140により上側円板電極110aから鋼板210a、210bの重ね合わせ部に加えられる圧力をいう。また、溶接速度とは、鋼板210a、210bの送り出し速度(上側円板電極110a及び下側円板電極110bの鋼板210a、210bに対する相対的な移動速度(相対速度))をいう。また、溶接電流とは、溶接電源160から上側円板電極110a及び下側円板電極110bを介して鋼板210a、210bに供給される電流の値(実効値)をいう。
以下の説明では、このようなマッシュシーム溶接後の熱処理を必要に応じて後熱処理と称する。
1.0×P1≦P2≦1.5×P1 ・・・(3)
0.4×V1≦V2≦0.8×V1 ・・・(4)
1.0×I1≦I2≦1.5×I1 ・・・(5)
図4(a)及び図4(b)に示すように、マッシュシーム溶接により、鋼板210a、210bの重ね代はL0からL1に増加すると共に、鋼板210a、210bの重ね合わせ部の厚みはT0からT1に減少する。このため、後熱処理時にマッシュシーム溶接時と同じ加圧力で鋼板210a、210bの重ね合わせ部を加圧しても、後熱処理時に鋼板210a、210bの重ね合わせ部が上側円板電極110aから受ける面圧(単位面積当たりの加圧力)はマッシュシーム溶接時に比べて低下する。したがって、後熱処理においては、少なくとも、マッシュシーム溶接における加圧力P1と同等の加圧力が必要になる。このように後熱処理における加圧力P2をマッシュシーム溶接における加圧力P1以上にすることにより、良好な熱処理が可能になる。一方、後熱処理における加圧力P2がマッシュシーム溶接における加圧力P1を下回ると、表散りやピット等の欠陥が鋼板210a、210bの接合部に発生する虞がある。
後熱処理における溶接速度V2を、マッシュシーム溶接における溶接速度V1の0.4倍になるまでは、後熱処理における溶接速度V2を下げることにより、後熱処理における鋼板210a、210bの接合部に対する再入熱を大きくすることができる。一方、後熱処理における溶接速度V2が、マッシュシーム溶接における溶接速度V1の0.4倍を下回ると、著しく溶接速度が遅くなり生産性の観点から実用困難となる。
また、後熱処理における溶接速度V2を、マッシュシーム溶接における溶接速度V1の0.8倍になるまでは、後熱処理における溶接速度V2を上げても、後熱処理における鋼板210a、210bの接合部に対する再入熱を十分に行うことができる。また、後熱処理における溶接速度V2をこの範囲で速くすればするほど、上側円板電極110aと下側円板電極110bが鋼板210a、210bに接している時間が短くなる。このため、再加熱した鋼板210a、210bの接合部が徐冷され、効果的な熱処理を行うことが期待できる。一方、後熱処理における溶接速度V2が、マッシュシーム溶接における溶接速度V1の0.8倍を上回ると、後熱処理における鋼板210a、210bの接合部に対する再入熱が不十分になり、良好な熱処理を行うことができなくなる虞がある。
前述したようにマッシュシーム溶接により、マッシュシーム溶接により、鋼板210a、210bの重ね代はL0からL1に増加すると共に、鋼板210a、210bの重ね合わせ部の厚みはT0からT1に減少する(図4(a)及び図4(b)を参照)。このため、後熱処理時にマッシュシーム溶接時と同じ大きさ(実効値)の電流を鋼板210a、210bの接合部に流しても、後熱処理時における鋼板210a、210bの接合部に流れる電流の電流密度(単位面積当たりの電流値)はマッシュシーム溶接時に比べて低下する。したがって、後熱処理においては、少なくとも、マッシュシーム溶接における溶接電流I1と同等の溶接電流が必要になる。後熱処理における溶接電流I2をマッシュシーム溶接における溶接電流I1以上にすることにより、良好な熱処理が可能になる。一方、後熱処理における溶接電流I2がマッシュシーム溶接における溶接電流I1を下回ると、鋼板210a、210bの接合部に対する入熱量が不足し、良好な熱処理を実現することができなくなる虞がある。
したがって、マッシュシーム溶接を行った電極(上側円板電極110a及び下側円板電極110b)と同種の電極によって、マッシュシーム溶接により得られた鋼板210a、210bの接合部の機械的特性を改善させるための後熱処理を行うことができる。よって、マッシュシーム溶接により形成された鋼板210a、210bの接合部の機械的特性を改善させることを可及的に簡単な構成で実現することができる。
本実施形態では、鋼板210a、210bを略一定の速度で送り出すようにした。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、鋼板210a、210bを固定して、上側円板電極110a及び下側円板電極110bを移動させてもよい。
また、本実施形態のように、マッシュシーム溶接時と後熱処理時とで、上側円板電極110a及び下側円板電極110bの鋼板210a、210bに対する相対的な移動方向を逆方向にすれば前述した効果を得ることができるので好ましい。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。
例えば、マッシュシーム溶接時と後熱処理時とで、上側円板電極110a及び下側円板電極110bの鋼板210a、210bに対する相対的な移動方向を同じ方向にしてもよい。
このようにする場合、例えば、マッシュシーム溶接用の上側円板電極110aと下側円板電極110bの後を追うように、後熱処理用の上側円板電極110aと下側円板電極110bを鋼板210a、210bに対して相対的に移動させてもよい。
また、前述したマッシュシーム溶接と後熱処理を行うための制御信号を情報処理装置で生成してシーム溶接機100に出力し、マッシュシーム溶接と後熱処理を自動で行うようにしてもよい。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、マッシュシーム溶接の後に後熱処理を行う場合を例に挙げて説明した。これに対し、本実施形態では、第1の実施形態で説明した後熱処理における加圧力、溶接速度、及び溶接電流の条件((3)式〜(5)式の条件)を変えて、後熱処理に加えてスエージング(加圧変形加工)を確実に行う場合を例に挙げて説明する。このように本実施形態と第1の実施形態とは、後熱処理における加圧力、溶接速度、及び溶接電流の条件が主として異なり、本実施形態のハードウェア(シーム溶接機)等は、第1の実施形態で説明したものと(変形例を含め)同じもので実現することができる。したがって、本実施形態の説明において、第1の実施形態と同一の部分については、図1〜図4に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。
本実施形態において、スエージングとは、以下の(6)式で表される据込み率e[%]が30[%]以上50[%]以下になるように、複数の鋼板の重ね合わせ部の厚みを低減させることをいう。
e={(To−T)÷To}×100 ・・・(6)
(6)式において、Toは、マッシュシーム溶接を行う前の複数の鋼板の重ね合わせ部の厚み[mm]である。また、Tは、複数の鋼板の重ね合わせ部の最終的な厚み[mm]である。ここで、複数の鋼板の重ね合わせ部の最終的な厚みとは、第1の実施形態で説明した後熱処理のみを行った後の複数の鋼板の重ね合わせ部の厚み又は後述する後熱・スエージング処理を行った後の複数の鋼板の重ね合わせ部の厚みである。
以下の説明では、このようなマッシュシーム溶接後に後熱処理とスエージングとを同時に行うことを必要に応じて後熱・スエージング処理と称する。
1.2×P1≦P3≦1.5×P1 ・・・(7)
0.4×V1≦V3≦0.8×V1 ・・・(8)
1.2×I1≦I3≦1.5×I1 ・・・(9)
第1の実施形態の(3)式についての説明のように、後熱・スエージング処理における加圧力P3をマッシュシーム溶接における加圧力P1以上にすることにより、良好な熱処理が可能になる。しかし、スエージングを行うためには、後熱・スエージング処理における加圧力P3をマッシュシーム溶接における加圧力の1.2倍以上にする必要がある。
また、後熱・スエージング処理における加圧力P3が、マッシュシーム溶接における加圧力P1の1.5倍を上回っても、スエージングは可能であるが、第1の実施形態の(3)式についての説明のように、後熱・スエージング処理における加圧力P3が、マッシュシーム溶接における加圧力P1の1.5倍を上回ると適切に後熱処理を行えなくなる虞がある。
第1の実施形態の(4)式についての説明のように、後熱・スエージング処理における溶接速度V3を、マッシュシーム溶接における溶接速度V1の0.4倍になるまでは、後熱・スエージング処理における溶接速度V3を下げることにより、後熱・スエージング処理における鋼板210a、210bの接合部に対する再入熱を大きくすることができ、良好な後熱処理に加えてスエージングも行うことができる。一方、後熱・スエージング処理における溶接速度V3が、マッシュシーム溶接における溶接速度V1の0.4倍を下回ると、著しく溶接速度が遅くなり生産性の観点から実用困難となる。
第1の実施形態の(5)式についての説明のように、後熱・スエージング処理における溶接電流I3をマッシュシーム溶接における溶接電流I1以上にすることにより、良好な熱処理が可能になる。しかし、スエージングを行うためには、後熱・スエージング処理における溶接電流I3をマッシュシーム溶接における溶接電流I1の1.2倍以上にする必要がある。
また、後熱・スエージング処理における溶接電流I3が、マッシュシーム溶接における溶接電流I1の1・5倍を上回っても、スエージングは可能であるが、第1の実施形態の(5)式についての説明のように、後熱・スエージング処理における溶接電流I3が、マッシュシーム溶接における溶接電流I1の1.5倍を上回ると適切に後熱処理を行えなくなる虞がある。
また、本実施形態においても第1の実施形態で説明した種々の変形例を採用することができる。
尚、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
次に、本発明の実施例を説明する。尚、本実施例は、本発明の一例を示すものであり、本発明が本実施例のものに限定されるわけではない。
以下では、マッシュシーム溶接を1回目の処理と称し、後熱処理又は後熱・スエージング処理を2回目の処理と称する(尚、2回目の処理には、所望の結果が得られない場合の処理も含まれる)。また、マッシュシーム溶接における加圧力・溶接速度・溶接電流を、それぞれ、1回目の加圧力・溶接速度・溶接電流と称し、後熱処理又は後熱・スエージング処理における加圧力・溶接速度・溶接電流を、それぞれ、2回目の加圧力・溶接速度・溶接電流と称する。
また、以下に示す円板電極を用いた。
円板電極の材質;Cu−Cr合金(RWMAクラス2相当材)
円板電極の形状;フラット形(D=350mmφ)
円板電極の幅w;15[mm]
また、以下に示す溶接電源を用いた。
電源の種類;単相交流電源
周波数;50[Hz]
通電方式;連続通電
また、本実施例では、1回目の処理が終了したときの2枚の鋼板の接合部に対し、2回目の処理が終了したときの当該2枚の鋼板の接合部の内部ひずみが低減したか否かを確認するために、当該2枚の鋼板の接合端部(マッシュシーム溶接端部)に対してハンマーテストを実施した(以下、このハンマーテストを「マッシュシーム溶接端部のハンマーテスト」と称する)。通常マッシュシーム溶接部の成形性評価に適用されるエリクセン試験はJIS Z 2247に規定されている方法により行われるが、板厚差の大きい溶接部には押えジグを損傷したり、薄板側鋼板の押え圧力が不十分になったりするなどのため適用困難である。そのため、本実施例では「マッシュシーム溶接端部のハンマーテスト」を採用し、以下のようにして行った。
1回目の加圧力P1、溶接速度V1、溶接電流I1と、2回目の加圧力P2又はP3、溶接速度V2又はV3、溶接電流I2又はI3とを異ならせて、以上の評価指標(接合部硬さ(ビッカース硬さ)、ハンマーテスト(シーム溶接端部のハンマーテストの結果)、据込み率)を求めた結果を表1、表2に示す。尚、表1、表2の備考欄において、本発明例1は、後熱処理は行われているが、スエージングは行われていないことを表し、本発明例2は、後熱処理もスエージングも行われていることを表す。
また、接合部硬さ(ビッカース硬さ)が300HV以下であり、且つ、ハンマーテスト(シーム溶接端部のハンマーテストの結果)が「○」である場合に合格とし、それ以外の場合に不合格とした(表1、表2総合評価の欄を参照)。
また、(4)式、(8)式の条件を満たさないと、接合部硬さ(ビッカース硬さ)は300HVを上回り、且つ、ハンマーテスト(シーム溶接端部のハンマーテストの結果)は「△」又は「×」となった(番号8、11、20、23)。
また、(5)式、(9)式の条件を満たさないと、接合部硬さ(ビッカース硬さ)は300HVを上回り、且つ、ハンマーテスト(シーム溶接端部のハンマーテストの結果)は「△」又は「×」となった(番号9、12、21、24)。
また、(7)式、(8)式、(9)式の条件を満たす場合には、据込み率eは30[%]〜50[%]になり、しかも、接合部硬さ(ビッカース硬さ)は300HV以下になり、且つ、ハンマーテスト(シーム溶接端部のハンマーテストの結果)は「○」となった(番号4、5、6、16、17、18)。
Claims (20)
- 複数の鋼板の重ね合わせ部に対してマッシュシーム溶接を行って溶接継手を形成する溶接継手の形成方法であって、
前記重ね合わせ部の上下に配置された上側円板電極及び下側円板電極であって、それぞれが銅合金製の上側円板電極及び下側円板電極を回転させた状態で、前記上側円板電極及び前記下側円板電極により前記重ね合わせ部の接合予定箇所に対して加圧と通電とを行いながら、前記接合予定箇所に沿うように、前記上側円板電極及び前記下側円板電極を前記複数の鋼板に対して相対的に移動させることにより、前記重ね合わせ部の接合予定箇所に対してマッシュシーム溶接を行い、接合部を形成する第1の工程と、
前記第1の工程の後に、前記重ね合わせ部の上下に配置された上側円板電極及び下側円板電極であって、それぞれが銅合金製の上側円板電極及び下側円板電極を回転させた状態で、前記上側円板電極及び前記下側円板電極により前記接合部に対して加圧と通電とを行いながら、前記接合部に沿うように、前記上側円板電極及び前記下側円板電極を前記複数の鋼板に対して相対的に移動させることにより、前記接合部に対して熱処理を行う第2の工程と、を有し、
前記第1の工程で使用される前記上側円板電極及び前記下側円板電極と、前記第2の工程で使用される前記上側円板電極及び前記下側円板電極と、が同じであり、
前記複数の鋼板のうちの少なくとも1枚の鋼板の、以下の(A)式で表される炭素当量Ceqが、0.31[質量%]以上であることを特徴とする溶接継手の形成方法。
Ceq=[C]+[Si]/30+[Mn]/20+2[P]+4[S] ・・・(A)
ここで、[C]、[Si]、[Mn]、[P]、及び[S]は、それぞれC、Si、Mn、P、及びSの含有量(質量%)である。 - 前記第1の工程において前記重ね合わせ部に対して加えられる圧力である加圧力をP1[kN]とし、前記第1の工程における前記上側円板電極及び前記下側円板電極の、前記複数の鋼板に対する相対的な移動速度である溶接速度をV1[m/min]とし、前記第1の工程において前記複数の鋼板に流れる電流の値である溶接電流をI1[kN]とし、
前記第2の工程において前記重ね合わせ部に対して加えられる圧力である加圧力をP2[kN]とし、前記第2の工程における前記上側円板電極及び前記下側円板電極の、前記複数の鋼板に対する相対的な移動速度である溶接速度をV2[m/min]とし、前記第2の工程において前記複数の鋼板に流れる電流の値である溶接電流をI2[kN]とした場合に、以下の(B)式、(C)式、及び(D)式が成り立つことを特徴とする請求項1に記載の溶接継手の形成方法。
1.0×P1≦P2≦1.5×P1 ・・・(B)
0.4×V1≦V2≦0.8×V1 ・・・(C)
1.0×I1≦I2≦1.5×I1 ・・・(D) - 前記第2の工程は、前記接合部に対して前記熱処理を行うことと、前記重ね合わせ部の厚みをその他の領域の厚みに近づける加工を行うことと、を同時に行うことを特徴とする請求項1に記載の溶接継手の形成方法。
- 前記加工は、以下の(E)式に示す据込み率eを30[%]以上50[%]以下にすることであることを特徴とする請求項3に記載の溶接継手の形成方法。
e=[(To−T)÷To]×100 ・・・(E)
ここで、Toはマッシュシーム溶接前の鋼板の重ね合わせ部(重ね部)の厚み[mm]であり、Tは、前記第2の工程が終了した後の前記重ね合わせ部の厚み[mm]である。 - 前記第1の工程において前記重ね合わせ部に対して加えられる圧力である加圧力をP1[kN]とし、前記第1の工程における前記上側円板電極及び前記下側円板電極の、前記複数の鋼板に対する相対的な移動速度である溶接速度をV1 [m/min]とし、前記第1の工程において前記複数の鋼板に流れる電流の値である溶接電流をI1[kN]とし、
前記第2の工程において前記重ね合わせ部に対して加えられる圧力である加圧力をP3[kN]とし、前記第2の工程における前記上側円板電極及び前記下側円板電極の、前記複数の鋼板に対する相対的な移動速度である溶接速度をV3[m/min]とし、前記第2の工程において前記複数の鋼板に流れる電流の値である溶接電流をI3[kN]とした場合に、以下の(F)式、(G)式、及び(H)式が成り立つことを特徴とする請求項4に記載の溶接継手の形成方法。
1.2×P1≦P3≦1.5×P1 ・・・(F)
0.4×V1≦V3≦0.8×V1 ・・・(G)
1.2×I1≦I3≦1.5×I1 ・・・(H) - 前記第1の工程における前記上側円板電極及び前記下側円板電極の、前記複数の鋼板に対する相対的な移動方向と、前記第2の工程における前記上側円板電極及び前記下側円板電極の、前記複数の鋼板に対する相対的な移動方向と、が逆方向であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の溶接継手の形成方法。
- 複数の鋼板の重ね合わせ部に対してマッシュシーム溶接を行って溶接継手を形成する溶接継手の形成方法であって、
前記重ね合わせ部の上下に配置された上側円板電極及び下側円板電極であって、それぞれが銅合金製の上側円板電極及び下側円板電極を回転させた状態で、前記上側円板電極及び前記下側円板電極により前記重ね合わせ部の接合予定箇所に対して加圧と通電とを行いながら、前記接合予定箇所に沿うように、前記上側円板電極及び前記下側円板電極を前記複数の鋼板に対して相対的に移動させることにより、前記重ね合わせ部の接合予定箇所に対してマッシュシーム溶接を行い、接合部を形成する第1の工程と、
前記第1の工程の後に、前記重ね合わせ部の上下に配置された上側円板電極及び下側円板電極であって、それぞれが銅合金製の上側円板電極及び下側円板電極を回転させた状態で、前記上側円板電極及び前記下側円板電極により前記接合部に対して加圧と通電とを行いながら、前記接合部に沿うように、前記上側円板電極及び前記下側円板電極を前記複数の鋼板に対して相対的に移動させることにより、前記接合部に対して熱処理を行う第2の工程と、を有し、
前記複数の鋼板のうちの少なくとも1枚の鋼板の、以下の(A)式で表される炭素当量Ceqが、0.31[質量%]以上であり、
前記第1の工程において前記重ね合わせ部に対して加えられる圧力である加圧力をP1[kN]とし、前記第1の工程における前記上側円板電極及び前記下側円板電極の、前記複数の鋼板に対する相対的な移動速度である溶接速度をV1[m/min]とし、前記第1の工程において前記複数の鋼板に流れる電流の値である溶接電流をI1[kN]とし、
前記第2の工程において前記重ね合わせ部に対して加えられる圧力である加圧力をP2[kN]とし、前記第2の工程における前記上側円板電極及び前記下側円板電極の、前記複数の鋼板に対する相対的な移動速度である溶接速度をV2[m/min]とし、前記第2の工程において前記複数の鋼板に流れる電流の値である溶接電流をI2[kN]とした場合に、以下の(B)式、(C)式、及び(D)式が成り立つことを特徴とする溶接継手の形成方法。
Ceq=[C]+[Si]/30+[Mn]/20+2[P]+4[S] ・・・(A)
1.0×P1≦P2≦1.5×P1 ・・・(B)
0.4×V1≦V2≦0.8×V1 ・・・(C)
1.0×I1≦I2≦1.5×I1 ・・・(D)
ここで、[C]、[Si]、[Mn]、[P]、及び[S]は、それぞれC、Si、Mn、P、及びSの含有量(質量%)である。 - 前記第1の工程で使用される前記上側円板電極及び前記下側円板電極と、前記第2の工程で使用される前記上側円板電極及び前記下側円板電極と、が同じであることを特徴とする請求項7に記載の溶接継手の形成方法。
- 前記第1の工程における前記上側円板電極及び前記下側円板電極の、前記複数の鋼板に対する相対的な移動方向と、前記第2の工程における前記上側円板電極及び前記下側円板電極の、前記複数の鋼板に対する相対的な移動方向と、が逆方向であることを特徴とする請求項7又は8に記載の溶接継手の形成方法。
- 複数の鋼板の重ね合わせ部に対してマッシュシーム溶接を行って溶接継手を形成する溶接継手の形成方法であって、
前記重ね合わせ部の上下に配置された上側円板電極及び下側円板電極であって、それぞれが銅合金製の上側円板電極及び下側円板電極を回転させた状態で、前記上側円板電極及び前記下側円板電極により前記重ね合わせ部の接合予定箇所に対して加圧と通電とを行いながら、前記接合予定箇所に沿うように、前記上側円板電極及び前記下側円板電極を前記複数の鋼板に対して相対的に移動させることにより、前記重ね合わせ部の接合予定箇所に対してマッシュシーム溶接を行い、接合部を形成する第1の工程と、
前記第1の工程の後に、前記重ね合わせ部の上下に配置された上側円板電極及び下側円板電極であって、それぞれが銅合金製の上側円板電極及び下側円板電極を回転させた状態で、前記上側円板電極及び前記下側円板電極により前記接合部に対して加圧と通電とを行いながら、前記接合部に沿うように、前記上側円板電極及び前記下側円板電極を前記複数の鋼板に対して相対的に移動させることにより、前記接合部に対して熱処理を行う第2の工程と、を有し、
前記第2の工程は、前記接合部に対して前記熱処理を行うことと、前記重ね合わせ部の厚みをその他の領域の厚みに近づける加工を行うことと、を同時に行い、
前記複数の鋼板のうちの少なくとも1枚の鋼板の、以下の(A)式で表される炭素当量Ceqが、0.31[質量%]以上であることを特徴とする溶接継手の形成方法。
Ceq=[C]+[Si]/30+[Mn]/20+2[P]+4[S] ・・・(A)
ここで、[C]、[Si]、[Mn]、[P]、及び[S]は、それぞれC、Si、Mn、P、及びSの含有量(質量%)である。 - 前記加工は、以下の(B)式に示す据込み率eを30[%]以上50[%]以下にすることであることを特徴とする請求項10に記載の溶接継手の形成方法。
e=[(To−T)÷To]×100 ・・・(B)
ここで、Toはマッシュシーム溶接前の鋼板の重ね合わせ部(重ね部)の厚み[mm]であり、Tは、前記第2の工程が終了した後の前記重ね合わせ部の厚み[mm]である。 - 前記第1の工程において前記重ね合わせ部に対して加えられる圧力である加圧力をP1[kN]とし、前記第1の工程における前記上側円板電極及び前記下側円板電極の、前記複数の鋼板に対する相対的な移動速度である溶接速度をV1 [m/min]とし、前記第1の工程において前記複数の鋼板に流れる電流の値である溶接電流をI1[kN]とし、
前記第2の工程において前記重ね合わせ部に対して加えられる圧力である加圧力をP3[kN]とし、前記第2の工程における前記上側円板電極及び前記下側円板電極の、前記複数の鋼板に対する相対的な移動速度である溶接速度をV3[m/min]とし、前記第2の工程において前記複数の鋼板に流れる電流の値である溶接電流をI3[kN]とした場合に、以下の(C)式、(D)式、及び(E)式が成り立つことを特徴とする請求項11に記載の溶接継手の形成方法。
1.2×P1≦P3≦1.5×P1 ・・・(C)
0.4×V1≦V3≦0.8×V1 ・・・(D)
1.2×I1≦I3≦1.5×I1 ・・・(E) - 前記第1の工程で使用される前記上側円板電極及び前記下側円板電極と、前記第2の工程で使用される前記上側円板電極及び前記下側円板電極と、が同じであることを特徴とする請求項10〜12の何れか1項に記載の溶接継手の形成方法。
- 前記第1の工程における前記上側円板電極及び前記下側円板電極の、前記複数の鋼板に対する相対的な移動方向と、前記第2の工程における前記上側円板電極及び前記下側円板電極の、前記複数の鋼板に対する相対的な移動方向と、が逆方向であることを特徴とする請求項10〜13の何れか1項に記載の溶接継手の形成方法。
- 複数の鋼板の重ね合わせ部に対してマッシュシーム溶接を行って溶接継手を形成する溶接継手の形成方法であって、
前記重ね合わせ部の上下に配置された上側円板電極及び下側円板電極であって、それぞれが銅合金製の上側円板電極及び下側円板電極を回転させた状態で、前記上側円板電極及び前記下側円板電極により前記重ね合わせ部の接合予定箇所に対して加圧と通電とを行いながら、前記接合予定箇所に沿うように、前記上側円板電極及び前記下側円板電極を前記複数の鋼板に対して相対的に移動させることにより、前記重ね合わせ部の接合予定箇所に対してマッシュシーム溶接を行い、接合部を形成する第1の工程と、
前記第1の工程の後に、前記重ね合わせ部の上下に配置された上側円板電極及び下側円板電極であって、それぞれが銅合金製の上側円板電極及び下側円板電極を回転させた状態で、前記上側円板電極及び前記下側円板電極により前記接合部に対して加圧と通電とを行いながら、前記接合部に沿うように、前記上側円板電極及び前記下側円板電極を前記複数の鋼板に対して相対的に移動させることにより、前記接合部に対して熱処理を行う第2の工程と、を有し、
前記第1の工程における前記上側円板電極及び前記下側円板電極の、前記複数の鋼板に対する相対的な移動方向と、前記第2の工程における前記上側円板電極及び前記下側円板電極の、前記複数の鋼板に対する相対的な移動方向と、が逆方向であり、
前記複数の鋼板のうちの少なくとも1枚の鋼板の、以下の(A)式で表される炭素当量Ceqが、0.31[質量%]以上であることを特徴とする溶接継手の形成方法。
Ceq=[C]+[Si]/30+[Mn]/20+2[P]+4[S] ・・・(A)
ここで、[C]、[Si]、[Mn]、[P]、及び[S]は、それぞれC、Si、Mn、P、及びSの含有量(質量%)である。 - 前記第1の工程において前記重ね合わせ部に対して加えられる圧力である加圧力をP1[kN]とし、前記第1の工程における前記上側円板電極及び前記下側円板電極の、前記複数の鋼板に対する相対的な移動速度である溶接速度をV1[m/min]とし、前記第1の工程において前記複数の鋼板に流れる電流の値である溶接電流をI1[kN]とし、
前記第2の工程において前記重ね合わせ部に対して加えられる圧力である加圧力をP2[kN]とし、前記第2の工程における前記上側円板電極及び前記下側円板電極の、前記複数の鋼板に対する相対的な移動速度である溶接速度をV2[m/min]とし、前記第2の工程において前記複数の鋼板に流れる電流の値である溶接電流をI2[kN]とした場合に、以下の(B)式、(C)式、及び(D)式が成り立つことを特徴とする請求項15に記載の溶接継手の形成方法。
1.0×P1≦P2≦1.5×P1 ・・・(B)
0.4×V1≦V2≦0.8×V1 ・・・(C)
1.0×I1≦I2≦1.5×I1 ・・・(D) - 前記第2の工程は、前記接合部に対して前記熱処理を行うことと、前記重ね合わせ部の厚みをその他の領域の厚みに近づける加工を行うことと、を同時に行うことを特徴とする請求項15に記載の溶接継手の形成方法。
- 前記加工は、以下の(E)式に示す据込み率eを30[%]以上50[%]以下にすることであることを特徴とする請求項17に記載の溶接継手の形成方法。
e=[(To−T)÷To]×100 ・・・(E)
ここで、Toはマッシュシーム溶接前の鋼板の重ね合わせ部(重ね部)の厚み[mm]であり、Tは、前記第2の工程が終了した後の前記重ね合わせ部の厚み[mm]である。 - 前記第1の工程において前記重ね合わせ部に対して加えられる圧力である加圧力をP1[kN]とし、前記第1の工程における前記上側円板電極及び前記下側円板電極の、前記複数の鋼板に対する相対的な移動速度である溶接速度をV1 [m/min]とし、前記第1の工程において前記複数の鋼板に流れる電流の値である溶接電流をI1[kN]とし、
前記第2の工程において前記重ね合わせ部に対して加えられる圧力である加圧力をP3[kN]とし、前記第2の工程における前記上側円板電極及び前記下側円板電極の、前記複数の鋼板に対する相対的な移動速度である溶接速度をV3[m/min]とし、前記第2の工程において前記複数の鋼板に流れる電流の値である溶接電流をI3[kN]とした場合に、以下の(F)式、(G)式、及び(H)式が成り立つことを特徴とする請求項18に記載の溶接継手の形成方法。
1.2×P1≦P3≦1.5×P1 ・・・(F)
0.4×V1≦V3≦0.8×V1 ・・・(G)
1.2×I1≦I3≦1.5×I1 ・・・(H) - 前記第1の工程で使用される前記上側円板電極及び前記下側円板電極と、前記第2の工程で使用される前記上側円板電極及び前記下側円板電極と、が同じであることを特徴とする請求項15〜19の何れか1項に記載の溶接継手の形成方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014010681A JP6225717B2 (ja) | 2014-01-23 | 2014-01-23 | 溶接継手の形成方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014010681A JP6225717B2 (ja) | 2014-01-23 | 2014-01-23 | 溶接継手の形成方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015136725A JP2015136725A (ja) | 2015-07-30 |
JP6225717B2 true JP6225717B2 (ja) | 2017-11-08 |
Family
ID=53768105
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014010681A Active JP6225717B2 (ja) | 2014-01-23 | 2014-01-23 | 溶接継手の形成方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6225717B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7085078B1 (ja) | 2021-09-21 | 2022-06-15 | 日清製粉株式会社 | 多層麺類及びその製造方法 |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10807185B2 (en) | 2017-11-06 | 2020-10-20 | Primetals Technologies Japan, Ltd. | Welding apparatus and welding method |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS60155B2 (ja) * | 1978-11-09 | 1985-01-05 | 三菱重工業株式会社 | フオイルシ−ム溶接装置 |
JPH01266969A (ja) * | 1988-04-18 | 1989-10-24 | Kawasaki Steel Corp | 薄板コイルのマッシュシーム溶接方法 |
US5676862A (en) * | 1994-03-07 | 1997-10-14 | Taylor Winfield Corporation | Electric resistance welder having capability of consistent seam welding and heat-treating |
JP2002103048A (ja) * | 2000-09-29 | 2002-04-09 | Nippon Steel Corp | 高強度鋼板のスポット溶接方法 |
-
2014
- 2014-01-23 JP JP2014010681A patent/JP6225717B2/ja active Active
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7085078B1 (ja) | 2021-09-21 | 2022-06-15 | 日清製粉株式会社 | 多層麺類及びその製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2015136725A (ja) | 2015-07-30 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR101737712B1 (ko) | 겹침 용접 부재, 자동차용 부품, 겹침부의 용접 방법 및 겹침 용접 부재의 제조 방법 | |
JP5293227B2 (ja) | 高強度薄鋼板の抵抗スポット溶接方法 | |
JP6438880B2 (ja) | 溶接構造部材及び溶接方法 | |
JP6278154B2 (ja) | 抵抗スポット溶接方法および溶接部材の製造方法 | |
JP4867538B2 (ja) | 摩擦接合方法 | |
JP5895430B2 (ja) | 高強度薄鋼板の抵抗スポット溶接継手および抵抗スポット溶接方法 | |
JP5401047B2 (ja) | 高張力鋼板のシリーズスポットまたはインダイレクトスポット溶接法 | |
JP2020124739A (ja) | 両面摩擦攪拌接合方法および両面摩擦攪拌接合装置 | |
WO2017212916A1 (ja) | 抵抗スポット溶接方法 | |
JP2009125801A (ja) | 溶接方法 | |
US20130105046A1 (en) | System and method for generating a welded assembly | |
JP5206448B2 (ja) | 高強度薄鋼板の抵抗スポット溶接方法 | |
JP2008290099A (ja) | 抵抗スポット溶接方法 | |
JP6225717B2 (ja) | 溶接継手の形成方法 | |
JP6590121B1 (ja) | 抵抗スポット溶接方法および溶接部材の製造方法 | |
JP5609966B2 (ja) | 抵抗スポット溶接方法 | |
JP2010082665A (ja) | 金属材の溶接装置 | |
JP2016032834A (ja) | 重ね溶接部材、重ね溶接部材の重ね抵抗シーム溶接方法及び重ね溶接部を備える自動車用重ね溶接部材 | |
JP6969649B2 (ja) | 抵抗スポット溶接方法および溶接部材の製造方法 | |
KR20180011320A (ko) | 저항 스폿 용접 방법 | |
JP7040330B2 (ja) | 抵抗スポット溶接方法 | |
JP6241580B1 (ja) | 抵抗スポット溶接方法 | |
JP5347416B2 (ja) | 片側スポット溶接性に優れた高強度鋼材および片側スポット溶接方法 | |
JP7508031B1 (ja) | 抵抗スポット溶接方法 | |
JP6799278B2 (ja) | レーザ溶接方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20160905 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20170623 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20170704 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20170801 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20170912 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20170925 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 6225717 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |