JP6590121B1 - 抵抗スポット溶接方法および溶接部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
この溶接法は、重ね合わせた2枚以上の鋼板を挟んでその上下から一対の電極で加圧しつつ、上下電極間に高電流の溶接電流を短時間通電して接合する方法であり、高電流の溶接電流を流すことで発生する抵抗発熱を利用して、点状の溶接部が得られる。この点状の溶接部はナゲットと呼ばれ、重ね合わせた鋼板に電流を流した際に鋼板の接触箇所で両鋼板が溶融し、凝固した部分である。このナゲットにより、鋼板同士が点状に接合される。
例えば、特許文献1には、高張力鋼板への通電電流を漸変的に上昇させることによりナゲット生成を行なう第1ステップと、上記第1ステップの後に電流下降させる第2ステップと、上記第2ステップ後に電流上昇させて本溶接すると共に、漸変的に通電電流を下降させる第3ステップとを備えた工程によりスポット溶接を行なうことで、通電初期のなじみ不良に起因する散りを抑制しようとする高張力鋼板のスポット溶接方法が記載されている。
例えば、分流の影響が大きな場合に累積発熱量を合わせようとすると、鋼板間ではなく電極−鋼板間近傍での発熱が著しくなり、鋼板表面からの散りが発生しやすくなるという問題がある。
「複数枚の金属板を重ね合わせた被溶接材を、一対の電極によって挟み、加圧しながら通電して接合する抵抗スポット溶接方法において、
通電パターンを2段以上の多段ステップに分割して、溶接を実施するものとし、
まず、本溶接に先立ち、各ステップ毎に、定電流制御により通電して適正なナゲットを形成する場合の電極間の電気特性から算出される、単位体積当たりの瞬時発熱量の時間変化および単位体積当たりの累積発熱量を目標値として記憶させるテスト溶接を行い、
ついで、本溶接として、該テスト溶接で得られた単位体積当たりの瞬時発熱量の時間変化曲線を基準として溶接を開始し、いずれかのステップにおいて、瞬時発熱量の時間変化量が基準である時間変化曲線から外れた場合に、その差を当該ステップの残りの通電時間内で補償すべく、本溶接の累積発熱量がテスト溶接で予め求めた累積発熱量と一致するように通電量を制御する適応制御溶接を行うことを特徴とする抵抗スポット溶接方法。」を開発し、特許文献6において開示した。
また、本発明は、上記の抵抗スポット溶接方法により、重ね合わせた複数枚の金属板を接合する、溶接部材の製造方法を提供することを目的とする。
前述したように、外乱の影響が大きく、あるいはさらに電極先端が摩耗している場合には、特許文献6の技術に従い、テスト溶接で得られた累積発熱量を目標値に設定していわゆる適応制御溶接を行ったとしても、発熱の形態、つまり溶接部の温度分布の時間変化(以下、熱量パターンともいう)が、目標とする条件(すなわち、テスト溶接により、良好な溶接部が得られたときの溶接部の温度分布の時間変化)と異なることがあり、これによって、必要とするナゲット径が得られなかったり、散りが発生したりする。
すなわち、抵抗スポット溶接開始前および溶接初期においては、溶接する点の鋼板間の抵抗が高く、通電径が確保されていない状態である。従って、外乱が存在する場合、例えば分流の影響が大きな場合に、テスト溶接で得られた瞬時発熱量の時間変化曲線および累積発熱量を目標値に設定して適応制御溶接を行うと、溶接初期の鋼板間の通電径が確保されていない状態で溶接電流が大きく増加する。このため、鋼板−鋼板間ではなく電極−鋼板間近傍での発熱が著しくなって、テスト溶接と発熱形態が大きく異なってしまう。
さらに、溶融部の体積が減少することで溶接部の固有抵抗が低下し、電極間電圧が下がるという現象が生じることがある。電極間電圧が低下すると、瞬時発熱量の時間変化曲線および累積発熱量を目標値として適応制御溶接を行う場合、溶接制御装置は、発熱量が低下したと認識することになるため、実際には適正なナゲット径が得られていたとしても、溶接電流を急激に増加させて、散りの発生を招く。
・テスト溶接をいくつかの溶接条件で行って、それぞれ単位体積当たりの瞬時発熱量の時間変化曲線および単位体積当たりの累積発熱量(以下、単に時間変化曲線等ともいう)を記憶させ、
・本溶接では、外乱の状態等を考慮し、記憶させた時間変化曲線等の中から最適なものを目標値に設定して適応制御溶接を行えば、外乱の影響が大きく、あるいはさらに電極先端が摩耗している場合であっても、散りの発生なく適切な径のナゲットが得られるのではないか、
と考えるに至った。
・外乱の影響を考慮して、複数の時間変化曲線等から最適なものを選択するには、被溶接材の加圧を開始してから通電開始時点の設定加圧力に到達するまでの加圧力に関連するパラメータ(以下、加圧力パラメータともいう)、具体的には、加圧を開始してから設定加圧力に到達するまでの時間や加圧力の変化率(増加速度)を選択基準として用いることが有効であり、
・これにより、外乱の影響が大きい場合であっても、適応制御溶接時における溶接部の熱量パターンを、テスト溶接における熱量パターンに沿わせることが可能となり、通電時間の増加や散りの発生なしに、適切な径のナゲットを得ることができる、
・また、自動車の製造などの実作業においては、次々と流れてくる被処理材を連続的に溶接するが、施工条件や被処理材の寸法誤差などによって、通常、溶接位置や被処理材ごとに外乱の状態は変動する、
・この点、上記の溶接方法によれば、加圧力パラメータを選択基準として用いることにより、外乱の状態を加味して時間変化曲線等を設定するので、外乱の状態の変動に有効に対応して所望のナゲット径を安定的に確保することが可能となり、その結果、実作業での作業効率や歩留まりの向上という点からも極めて有利になる、
との知見を得た。
本発明は、上記の知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。
1.複数枚の金属板を重ね合わせた被溶接材を、一対の電極によって挟み、加圧しながら通電して接合する抵抗スポット溶接方法であって、
本溶接と、該本溶接に先立つテスト溶接とを行うとともに、該テスト溶接を2通り以上の溶接条件で行うものとし、
前記テスト溶接では、前記溶接条件ごとに、
通電開始前における被溶接材の加圧を開始してから設定加圧力に到達するまでの加圧力パラメータと、定電流制御により通電して適正なナゲットを形成する場合の電極間の電気特性から算出される、単位体積当たりの瞬時発熱量の時間変化曲線および単位体積当たりの累積発熱量とを記憶させ、
さらに、前記本溶接では、
通電開始前に前記テスト溶接と同じ条件で被溶接材の加圧を行い、該加圧を開始してから設定加圧力に到達するまでの加圧力パラメータと、前記テスト溶接にて記憶させた加圧力パラメータとを前記テスト溶接の溶接条件ごとに比較し、その差が最も小さい溶接条件において記憶させた前記テスト溶接における単位体積当たりの瞬時発熱量の時間変化曲線および単位体積当たりの累積発熱量を、本溶接における目標値に設定し、該目標値に従って、通電量を制御する適応制御溶接を行う、
抵抗スポット溶接方法。
前記本溶接において、
前記多段ステップに分割した溶接条件に基づき前記適応制御溶接の目標値を設定する場合には、前記本溶接の適応制御溶接を、前記テスト溶接において多段ステップに分割した溶接条件と同様に、多段ステップに分割して行う、前記1〜4のいずれかに記載の抵抗スポット溶接方法。
また、本発明によれば、自動車の製造などの実作業において次々と流れてくる被処理材を連続的に溶接する(溶接位置や被処理材ごとに外乱の状態が変動する)場合であっても、外乱の状態の変動に有効に対応して所望のナゲット径を安定的に確保することが可能となり、その結果、作業効率や歩留まりの向上という点でも極めて有利となる。
本発明の一実施形態は、複数枚の金属板を重ね合わせた被溶接材を、一対の電極によって挟み、加圧しながら通電して接合する抵抗スポット溶接方法であって、
本溶接と、該本溶接に先立つテスト溶接とを行うとともに、該テスト溶接を2通り以上の溶接条件で行うものとし、
前記テスト溶接では、前記溶接条件ごとに、
通電開始前における被溶接材の加圧を開始してから設定加圧力に到達するまでの加圧力パラメータと、定電流制御により通電して適正なナゲットを形成する場合の電極間の電気特性から算出される、単位体積当たりの瞬時発熱量の時間変化曲線および単位体積当たりの累積発熱量とを記憶させ、
さらに、前記本溶接では、
通電開始前に前記テスト溶接と同じ条件で被溶接材の加圧を行い、該加圧を開始してから設定加圧力に到達するまでの加圧力パラメータと、前記テスト溶接にて記憶させた加圧力パラメータとを前記テスト溶接の溶接条件ごとに比較し、その差が最も小さい溶接条件において記憶させた前記テスト溶接における単位体積当たりの瞬時発熱量の時間変化曲線および単位体積当たりの累積発熱量を、本溶接における目標値に設定し、該目標値に従って、通電量を制御する適応制御溶接を行うというものである。
テスト溶接では、まず、設定加圧力まで被溶接材を加圧し、設定加圧力に到達後、定電流制御による通電を行う。このようなテスト溶接を、2通り以上、好ましくは3通り以上の溶接条件(外乱の状態)で行う。なお、上限については特に限定されるものではないが、効率性を考慮すると、10通りとすることが好ましい。そして、テスト溶接では、溶接条件ごとに、通電開始前において被溶接材の加圧を開始してから設定加圧力に到達するまでの加圧力パラメータを記憶させる。
ここで、加圧力パラメータとは、例えば、図4および図5に示すような、加圧を開始してから設定加圧力(通電開始時点の設定(電極)加圧力):Fに到達するまでの時間:TFや、加圧を開始してから設定加圧力に到達するまでの加圧力の変化率(増加速度):ΔF(=F/TF)である。
また、加圧力パラメータは、サーボモータのトルクや回転速度、電極やガンのひずみ、電極の変位等(以下、サーボモータのトルク等ともいう)を基に設定してもよい。例えば、通電開始時点の設定加圧力をサーボモータのトルク等を基に設定して、加圧を開始してからサーボモータのトルク等が設定値に到達するまでの時間や、加圧を開始してから設定値に到達するまでのサーボモータのトルクの変化率や回転速度、さらには電極の変位速度を、加圧力パラメータとしてもよい。
例えば、サーボモータのトルクは、電極が被溶接材である金属板に接触すると、トルクが急激に増加しはじめ、その後、鋼板に十分な加圧力が付与された時点で、トルクは安定した値に達して飽和する。よって、トルクの増加開始から飽和までの時間を、加圧を開始してから設定加圧力に到達するまでの時間とすればよい。
また、サーボモータの回転速度は、電極が被溶接材である金属板に接触すると、回転速度は不安定になり、その後、徐々に減少していく。そして、設定加圧力に達すると電極は動かなくなるため、回転速度は0となる。よって、回転速度が不安定になり減少を開始してから0に到達するまでの時間を、加圧を開始してから設定加圧力に到達するまでの時間とすればよい。
さらに、トルクの増加開始時点を加圧開始時点、回転速度が0となった時点を設定加圧力への到達時点と判断するなどしてもよい。
・加圧を開始してから(加圧開始時点から)通電開始時点までの時間、
・加圧を開始してから設定加圧力に到達するまでの溶接ガンのひずみ量、および
・加圧を開始してから設定加圧力に到達するまでの電極変位量、
を使用してもよい。
例えば、加圧を開始してから通電開始時点までの時間は、[加圧を開始してから設定加圧力に到達するまでの時間]+[設定加圧力への到達時点から通電開始時点までの時間]で表せるので、[設定加圧力への到達時点から通電開始時点までの時間]を考慮しつつ、本溶接時の当該パラメータと、テスト溶接にて記憶させた当該パラメータとを比較することで、外乱の影響を考慮し、複数の瞬時発熱量の時間変化曲線等から目標値として最適なものを選択することができる。
なお、瞬時発熱量の単位は、使用する抵抗スポット溶接装置の設定(例えば、J/cycやJ/ms)に従えばよく、特に限定されるものではない。
また、金属板同士の合わせ面の隙間とは、電極により加圧される前の溶接位置での金属板同士の合わせ面の隙間(合わせ面間の距離)である。
この場合、例えば、外乱のない状態で溶接を行う溶接条件と、被溶接材となる金属板同士の合わせ面において0.5mm以上1.5mm未満の隙間を設けた溶接条件と、被溶接材となる金属板同士の合わせ面において1.5mm以上2.5mm未満の隙間を設けた溶接条件とを組み合わせることが考えられる。
加えて、各ステップの溶接条件は特に制限はないが、テスト溶接の1段目のステップの溶接電流をI1、2段目以降のステップの溶接電流をIx(x:2〜nまでの整数、n:合計のステップ数)としたとき、
0.3×Ix≦I1<Ix
の関係を満足することが好ましい。
また、各ステップ間に冷却時間を設けてもよい。
なお、テスト溶接において予通電を行い、当該テスト溶接条件に基づき本溶接の適応制御溶接の目標値が設定される場合には、本溶接では、当該テスト溶接条件と同じ条件で予通電を行うか、または、当該テスト溶接条件において記憶させた予通電における瞬時発熱量の時間変化曲線および累積発熱量を目標値に設定して、適応制御溶接を行う。
上記のテスト溶接後、本溶接を行う。
本溶接では、通電開始前に前記テスト溶接と同じ条件で被溶接材の加圧を行い、該加圧を開始してから設定加圧力に到達するまでの加圧力パラメータと、前記テスト溶接にて記憶させた加圧力パラメータとを前記テスト溶接の溶接条件ごとに比較し、その差が最も小さい溶接条件において記憶させたテスト溶接の本通電における単位体積当たりの瞬時発熱量の時間変化曲線および単位体積当たりの累積発熱量(以下、時間変化曲線等ともいう)を、本溶接における本通電の目標値に設定する。
例えば、金属板同士の合わせ面に隙間がある場合、通電を行うには、金属板を変形させて隙間をなくし、金属板同士を溶接位置において接触させる必要がある。この際、例えば、上側の電極を押し込む力は、まずは金属板の変形に使用されるので、下側の電極には十分な力が作用しない。
そのため、加圧を開始してから設定加圧力:Fに到達するまでの時間:TFや、加圧を開始してから設定加圧力に到達するまでの加圧力の変化率:ΔFといった加圧力パラメータは、金属板同士の合わせ面の隙間といった外乱の程度に応じて変化する。
よって、上記の加圧力パラメータを用いることで、外乱の影響を考慮して、複数の時間変化曲線等から目標値として最適なものを選択できる、と発明者らは考えている。
なお、一般的な抵抗スポット溶接装置では、加圧開始時点から設定加圧力に到達するまでの間のある加圧力(以下、切り替え設定値といもいう)に到達した時点で、制御方式を切り替える設定(位置制御→トルク制御)がなされており、通常、同じ加圧力手段を使用し、かつ当該切り替え設定値を同じにすれば、(通電開始時の設定加圧力が同じであることを前提に)同じ条件で加圧されていると言える。
この適応制御溶接では、例えば、目標値に設定した単位体積当たりの瞬時発熱量の時間変化曲線および累積発熱量を基準として溶接を行い、単位体積当たりの瞬時発熱量の時間変化量が基準である時間変化曲線に沿っている場合には、そのまま溶接を行って溶接を終了する。ただし、単位体積当たりの瞬時発熱量の時間変化量が基準である時間変化曲線から外れた場合には、その外れ量を残りの通電時間内で補償すべく、本溶接の本通電での単位体積当たりの累積発熱量が目標値として設定した単位体積当たりの累積発熱量と一致するように通電量を制御する。
被溶接材の合計厚みをt、被溶接材の電気抵抗率をr、電極間電圧をV、溶接電流をIとし、電極と被溶接材が接触する面積をSとする。この場合、溶接電流は横断面積がSで、厚みtの柱状部分を通過して抵抗発熱を発生させる。この柱状部分における単位体積・単位時間当たりの発熱量qは次式(1)で求められる。
q=(V・I)/(S・t) --- (1)
また、この柱状部分の電気抵抗Rは、次式(2)で求められる。
R=(r・t)/S --- (2)
(2)式をSについて解いてこれを(1)式に代入すると、発熱量qは次式(3)
q=(V・I・R)/(r・t2)
=(V2)/(r・t2) --- (3)
となる。
以上、特許文献5記載の方法によって、累積発熱量Qを算出する場合について説明したが、その他の算出式を用いても良いのは言うまでもない。
これにより、1段ステップの適応制御溶接では、発熱量の変化に追従できなかったり、テスト溶接に対して発熱形態が大きく変化して、散りが発生したりや目標とするナゲット径が得られないという懸念がある。
この点、通電パターンを2段以上の多段ステップに分割することで、目標とする累積発熱量をステップごとに最適化することができ、結果的に、外乱の変動、特に既溶接点への分流が極めて大きい場合にも、外乱の変動に対応して、目標とするナゲット径が得られる。
ここで、テスト溶接および本溶接は、図1および図2に示すような外乱のない状態、ならびに、図3〜6に示すような外乱を模擬した状態で行った。図中、符号11、12および13は金属板、14は電極、15はスペーサ、16は既溶接点である。なお、図3および図4では、金属板11−12間および金属板12−13間にスペーサ15を挿入し、上下からクランプすることで(図示せず)、種々の板隙厚さtgとなる板隙を設けた。なお、板隙間距離はいずれも40mmとした。また、図5および図6に示すように、既溶接点16は2点とし、溶接位置(電極間中心)が既溶接点同士の中間(既溶接点との距離Lがそれぞれ同じ)となるように調整した。
また、テスト溶接では、加圧を開始してから設定加圧力:Fに到達するまでの時間:TFを記憶させた。また、図7または図8に示す通電パターンで、溶接条件ごとに定電流制御で通電し、単位体積当たりの瞬時発熱量の時間変化曲線および単位体積当たりの累積発熱量を記憶させた。
なお、溶接機にはインバータ直流抵抗スポット溶接機を用い、電極にはDR形先端径6mmのクロム銅電極を用いた。
A(合格、特に優れる):外乱によらず、全ての条件で目標とするナゲット径が確保され、かつ、散りが発生しない
B(合格、優れる):分流の影響が極めて大きい場合(既溶接点との距離L=10mm)を除く全ての条件で、目標とするナゲット径が確保され、かつ、散りが発生しない
C(合格):外乱の影響が極めて大きい場合(既溶接点との距離L=10mmおよび板隙厚さtg=2.0mm)を除く全ての条件で、目標とするナゲット径が確保され、かつ、散りが発生しない
F(不合格):既溶接点との距離L=20mm、既溶接点との距離L=40mm、板隙厚さtg=1.0mm、板隙厚さtg=0.5mmおよび外乱なしの少なくとも1つの条件で、目標とするナゲット径が確保されない、および/または、散りが発生する
一方、比較例では、外乱の変動に有効に対応できず、外乱の影響が特に大きくなった場合には、散りが発生するか、または、十分な径のナゲットが形成されなかった。
14:電極
15:スペーサ
16:既溶接点
Claims (6)
- 複数枚の金属板を重ね合わせた被溶接材を、一対の電極によって挟み、加圧しながら通電して接合する抵抗スポット溶接方法であって、
本溶接と、該本溶接に先立つテスト溶接とを行うとともに、該テスト溶接を2通り以上の溶接条件で行うものとし、
前記テスト溶接では、前記溶接条件ごとに、
通電開始前における被溶接材の加圧を開始してから設定加圧力に到達するまでの加圧力パラメータと、定電流制御により通電して適正なナゲットを形成する場合の電極間の電気特性から算出される、単位体積当たりの瞬時発熱量の時間変化曲線および単位体積当たりの累積発熱量とを記憶させ、
さらに、前記本溶接では、
通電開始前に前記テスト溶接と同じ条件で被溶接材の加圧を行い、該加圧を開始してから設定加圧力に到達するまでの加圧力パラメータと、前記テスト溶接にて記憶させた加圧力パラメータとを前記テスト溶接の溶接条件ごとに比較し、その差が最も小さい溶接条件において記憶させた前記テスト溶接における単位体積当たりの瞬時発熱量の時間変化曲線および単位体積当たりの累積発熱量を、本溶接における目標値に設定し、該目標値に従って、通電量を制御する適応制御溶接を行う、
抵抗スポット溶接方法。 - 前記適応制御溶接において、前記目標値として設定した単位体積当たりの瞬時発熱量の時間変化曲線および累積発熱量を基準として溶接を行い、単位体積当たりの瞬時発熱量の時間変化量が基準である時間変化曲線から外れた場合には、その外れ量を残りの通電時間内で補償すべく、前記本溶接の本通電での単位体積当たりの累積発熱量が前記目標値として設定した単位体積当たりの累積発熱量と一致するように通電量を制御する、請求項1に記載の抵抗スポット溶接方法。
- 前記テスト溶接において、少なくとも1つの溶接条件では外乱を模擬して溶接を行い、別の溶接条件では外乱のない状態で溶接を行う、請求項1または2に記載の抵抗スポット溶接方法。
- 前記テスト溶接を3通り以上の溶接条件で行う、請求項1〜3のいずれかに記載の抵抗スポット溶接方法。
- 前記テスト溶接のうち、少なくとも1つの溶接条件では通電パターンを2段以上の多段ステップに分割し、
前記本溶接において、
前記多段ステップに分割した溶接条件に基づき前記適応制御溶接の目標値を設定する場合には、前記本溶接の適応制御溶接を、前記テスト溶接において多段ステップに分割した溶接条件と同様に、多段ステップに分割して行う、請求項1〜4のいずれかに記載の抵抗スポット溶接方法。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の抵抗スポット溶接方法により、重ね合わせた複数枚の金属板を接合する、溶接部材の製造方法。
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