JP6225478B2 - 反射型マスク - Google Patents
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近年、半導体デバイスの微細化に伴い、フォトリソグラフィ技術の微細化に対する要求が高まっている。リソグラフィの露光も従来の波長が193nmのArFエキシマレーザー光を用いた露光より波長が短い、波長13.5nm近傍のEUVを光源に用いたEUVリソグラフィが提案されている。EUVリソグラフィは光源波長が短く光吸収性が非常に高いため、真空中で行われる必要がある。またEUVの波長領域においては、ほとんどの物質の屈折率は1よりもわずかに小さい値である。このため、EUVリソグラフィにおいては従来から用いられてきた透過型の屈折光学系を使用することができず、反射光学系となる。従って、原版となるフォトマスクも、従来の透過型のマスクは使用できないため、反射型のマスクとする必要がある。(以下、本願明細書においては、EUVリソグラフィに用いられる反射型マスクを、EUVマスクあるいはEUV反射型マスクと称することもある)。
このような反射型マスクの元となる反射型マスクブランクは、低熱膨張基板の上に、露光光源波長に対して高い反射率を示す多層反射層(MoとSiを約7nmの周期で、40周期以上=全80層以上が形成される)と、多層反射層の保護層(Ru等を約2.5nm)と、露光光源波長の吸収層とが順次形成されており、更に基板の裏面には露光機内における静電チャックのための裏面導電層が形成されている。また、多層反射層の保護層と、吸収層の間に緩衝層を有する構造を持つEUVマスクもある。反射型マスクブランクから反射型マスクへ加工する際には、EB(電子線)リソグラフィとエッチング技術とにより吸収層を部分的に除去し、緩衝層を有する構造の場合はこれも同じく除去し、吸収部と反射部とからなる回路パターンを形成する。このように作製された反射型マスクによって反射された光像が反射光学系を経て半導体基板上に転写される。
反射光学系を用いた露光方法では、マスク面に対して垂直方向から所定角度傾いた入射角(通常6度)で照射されるため、吸収層の膜厚が厚い場合、パターン自身の影が生じてしまい、この影となった部分における反射強度は、影になっていない部分よりも小さいため、コントラストが低下し、転写パターンには、エッジ部のぼやけや設計寸法からのずれが生じてしまう。これはシャドーイング(射影効果)と呼ばれ、反射型マスクの原理的課題の一つである。
は0.5〜3%程度である。
一方、反射型マスクを用いて半導体基板上に転写回路パターンを形成する際、一枚の半導体基板上には複数の回路パターンのチップが形成される。隣接するチップ間において、チップ外周部が重なる領域が存在する場合がある。これは半導体基板(ウエハ)1枚あたりに取れるチップを出来るだけ増加したいという生産性向上のために、チップを高密度に配置するためである。この場合、この外周部が重なる領域については複数回(最大で4回)に渡り露光(多重露光)されることになる。この転写パターンのチップ外周部はマスク上でも外周部であり、通常、吸収層の部分である。しかしながら、上述したようにEUV光の吸収層上での反射率は、0.5〜3%程度あるため、多重露光によりチップ外周部が感光してしまう問題があった。さらに、EUV光源は5から15nmの範囲の光で特に13.5nmにその放射スペクトルのピークを有するが(以下、EUV光源を波長5から15nmの光、又は13.5nm帯の光と呼ぶ)、アウトオブバンド(Out of Band)と呼ばれる13.5nm帯以外の真空紫外線から近赤外線領域の光も放射することが知られている。このアウトオブバンドは本来不必要であり、半導体基板に塗布されたレジストを感光することから、フィルターなどで除去すべき不要な光である。しかしながらタンタル(Ta)を用いた吸収層は真空紫外線から遠紫外線領域の光も反射することから、上述の通り、隣接したチップの境界領域近傍の半導体配線部分において無視できない光量が積算され、配線パターンの寸法に影響を与える問題が発生する。このため、マスク上のチップ外周部に通常の吸収層よりもEUV光の遮光性の高い領域(以下、遮光枠と呼ぶ)を設ける必要性が生じた。
波長5から15nmの光を露光光とするリソグラフィで用いられる反射型マスクであって、
基板と、
前記基板上に形成された透明導電層と、
前記透明導電層上に形成された露光光を反射する多層反射層と、
前記多層反射層上に形成された前記多層反射層を保護する保護層と、
前記保護層上に回路パターンが形成された露光光を吸収する吸収層と、
前記基板の多層反射層とは反対面上に形成された裏面導電層とを有し、
周辺部に、前記吸収層、前記保護層、前記多層反射層が除去されたEUV光の反射率の低い領域である遮光枠を備えており、前記透明導電層が前記遮光枠の内側と外側とを電気的に導通し、露光光に含まれるアウトオブバンド光(13.5nm帯以外の真空紫外線から近赤外線領域の光)に対して、遮光枠が低反射率であることを特徴とする反射型マスクとしたものである。
前記透明導電層は、ITO(酸化インジウム・スズ)と、酸化亜鉛と、酸化スズと、モリブデンシリサイド(MoSi)の酸化物や窒化物や酸窒化物との、透明導電材料の群から選ばれるいずれか又は複数を含んで形成されている事を特徴とする請求項1記載の反射型マスクとしたものである。
前記透明導電層のシート抵抗が30Ω/sq以下である事を特徴とする請求項1または2に記載の反射型マスクとしたものである。
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら説明する。
状態の断面図を示す。上記で説明した図3(a)のブランクスを用意し(図で「開始」の工程)、以下の工程で吸収層4にイメージフィールド(回路パターン)10と遮光枠11を形成する。電子線に反応を示す化学増幅系や非化学増幅系レジスト9を塗布(S1の工程)し、所定のイメージフィールド(回路パターン部)10の描画を行い、その後アルカリ溶液などで現像(S2)を行いイメージフィールドを形成する。形成したレジスト9のパターンをマスクにフッ素系ガスや塩素系ガスを用いたガスプラズマによるエッチング(S3)を行い、不要なレジスト9のパターンを酸素プラズマによる灰化や硫酸やオゾン水などの酸化薬液による分解、ないしは有機溶剤などで溶解除去する。その後必要に応じて酸・アルカリ系薬品やオゾンガスや水素ガスなどを溶解した超純水や有機アルカリ系薬品、界面活性剤などによる洗浄処理と遠心力を利用したスピン乾燥(S4)を行う。以上でイメージフィールド(回路パターン部)10が形成された。
EUVマスク材料の表面の抵抗値は、使用される材料(Ta、Ru、Mo、Si)に固有の導電率や膜厚、材料の成膜状態(ポーラス、表面の酸化程度など)により異なる。
EUVリソグラフィでのEUV露光では、光電効果によって放出される電子の運動エネルギーは下記式(1)で表される。
これらの問題に対して、今回導入した透明導電層が効果を及ぼし、より高精度なマスクの作製につなげる事が出来る。
<左辺>
eV:放出される電子が持つ運動エネルギー
e:電子の電荷
V:電子が持つエネルギーを電位差に換算した場合の電位差
<右辺>
hμ:入射する光のエネルギー
h:プランク定数
μ:光の振動数=1/λ(λ:波長=EUVでは13.5nm)
P:ブランク材料の仕事関数
図3(a)の透明導電層6は、EUV光に対して反射率が低く、アウトオブバンドに対しても反射率が低く、また導電性の高い透明導電層を用いる。透明導電層としては、例えば酸化インジウム・スズ合金(ITO)、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、モリブデンシリサイド(MoSi)酸化物や窒化物又は酸窒化物、タンタル等の薄膜やこれらを複数含有させた透明導電層が使用でき、所望の導電性を得るため、添加物のドーピングなどを行う。さらに透明導電層として単層で述べたが、これらの透明導電層を多層構成しても良い。またこれら以外にも、EUV光を反射せず導電性を得られる透明導電層であれば問題ない。透明導電層の導電性は、マスクブランクを加工する際に問題が起こる可能性のある20000Ω/Sq以下のシート抵抗であり、SEMで観察する際に帯電を防止できる導電性を有しておれば良い為、公知のITO等の透明導電層と同等のシート抵抗を有しており、特に30Ω/Sq以下のシート抵抗の透明導電層である事が望ましい。透明導電層の厚さは特に限定されるものではないが、100nm以上の厚さが好ましい。多層反射層2を掘り込む際に選択比がある事が必要となる。透明導電層6の構成は導電性、アウトオブバンドの吸収率と減衰率、透明導電層6の表面平坦性、対薬品耐性、層間の密着性などを考慮しても厚みがあるほうが有利になる。その為、透明導電層6表面でのEUV反射率が公知の遮光枠11よりも低い構成であり、且つ反射型マスクの欠陥の元となる異物が発生しなければ透明導電層6の厚みは限定されない。また反射型マスクの洗浄を行う際、ITOなどの透明導電層が洗浄に用いる薬品への耐性が弱い場合は、EUV反射率の向上しない範囲であれば、透明導電層6の保護層を透明導電層6と多層反射層2の間に構成してもよい。保護層としては、たとえば酸化シリコン、窒化シリコン、ポリシリコン等の対酸性を持つ物質や又は下層に透明導電層6があり、上層の多層反射層との間で、絶縁状態にならない範囲であれば、保護層としてDLC(ダイヤモンドライクカーボン)やSiCなどを単体として用いる又は、ドーピングを行いより導電性を向上させて用いる事が出来る。
図3(a)の多層反射層2は、EUV光に対して60%程度の反射率を達成できるように設計されており、MoとSiが交互に40〜50ペア積層した積層膜で、さらに最上層の
保護層3は2〜3nm厚のRu(ルテニウム)あるいは厚さ10nm程度のSiで構成されている。Ru層の下に隣接する層はSi層である。
多層反射層2にMoやSiが使われている理由は、EUV光に対する吸収(消衰係数)が小さく、且つMoとSiのEUV光での屈折率差が大きいために、SiとMoの界面での反射率を高く出来るためである。
保護層3がRuの場合は、吸収層4の加工におけるエッチングストッパーやマスク洗浄時の薬液に対する保護層としての役割を果たしている。保護層3がSiの場合は、吸収層4との間に、緩衝層が有る場合もある。緩衝層は、吸収層4のエッチングやパターン修正時に、緩衝層の下に隣接する多層反射層2の最上層であるSi層を保護するために設けられており、クロム(Cr)の窒素化合物(CrN)で構成されている。
図3(a)の吸収層4は、EUVに対して吸収率の高いタンタル(Ta)の窒素化合物(TaN)で構成されている。他の材料として、タンタルホウ素窒化物(TaBN)、タンタルシリコン(TaSi)、タンタル(Ta)や、それらの酸化物(TaBON、TaSiO、TaO)でも良い。
図3(a)の裏面導電層5は、一般にはクロムの窒化物(CrN)で構成されているが、導電性は静電チャックが使用できる程度以上であれば良いので、絶縁性材料以外からなる材料であれば良い。
本発明の反射型マスクの遮光枠11の形成方法について説明する。
次に、フッ素系もしくは塩素系ガス(あるいはその両方)を用いたドライエッチングによって、レジストパターンの開口部の吸収層4と保護層3を除去する。
次いで、多層反射層2を、フッ素系ガスまたは塩素系ガスもしくはその両方を用いたドライエッチングか、アルカリ性溶液または酸性溶液を用いたウェットエッチングによって、多層反射層2を貫通・除去する。
多層反射層2の材料であるMoとSiのエッチングに適している必要がある。例えば、アルカリ性溶液としては、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)、KOH(水酸化カリウム)、EDP(エチレンジアミンピロカテコール)などが適している。酸性溶液としては、硝酸とリン酸の混合液が適しているが、これにフッ酸、硫酸、酢酸を加えても良い。
図3(a)に示す反射型マスクブランク102を使用した。
反射型マスクブランク102は、基板1の上に透明導電層6としてITO(酸化インジウム・スズ)を200nmの膜厚でスパッタリング法を用いて形成した。形成した透明導電層6のシート抵抗は20Ω/Sq以下の値をしめした。形成した透明導電層6の上に波長13.5nmのEUV光に対して反射率が64%程度となるように設計されたMoとSiの40ペアの多層反射層2が、その上に2.5nm厚のRuの保護層3が、更にその上に70nm厚のタンタルシリサイド(TaSi)からなる吸収層4が、順次形成されている。
評価パターンは、寸法200nmの1:1のライン&スペースパターンのチップを6面付けでマスク中心に配置した。パターン領域の大きさは、10cm×10cmとした。ここで、各チップ間のスクライブラインの間隔は5mmとした。
域)10の周辺に、遮光枠11を形成した。
反射型マスク(図5(S4))にi線レジスト29を1000nmの膜厚で塗布し(図5(S5))、そこへレーザー描画機(ALTA3000:アプライドマテリアル社製)により描画・現像を行なうことにより、後に遮光枠11となる領域を抜いたレジストパターンを形成した(図5(S6))。
このときレジストパターンの開口幅は3mmとし、マスク中心部の10cm×10cmの回路パターン領域のパターンエッジから外側に3μmの距離に配置した。
2 多層反射層
3 保護層
4 吸収層
5 裏面導電層
6 透明導電層
9 レジスト
10 イメージフィールド(回路パターン部)
11 遮光枠
12 遮光枠外側
29 レジスト
100 反射型マスク(遮光枠なし)
101 反射型マスク(遮光枠あり)
102 本発明による反射型マスクブランク
103 本発明による反射型マスク
Claims (3)
- 波長5から15nmの光を露光光とするリソグラフィで用いられる反射型マスクであって、
基板と、
前記基板上に形成された透明導電層と、
前記透明導電層上に形成された露光光を反射する多層反射層と、
前記多層反射層上に形成された前記多層反射層を保護する保護層と、
前記保護層上に回路パターンが形成された露光光を吸収する吸収層と、
前記基板の多層反射層とは反対面上に形成された裏面導電層とを有し、
周辺部に、前記吸収層、前記保護層、前記多層反射層が除去されたEUV光の反射率の低い領域である遮光枠を備えており、前記透明導電層が前記遮光枠の内側と外側とを電気的に導通し、露光光に含まれるアウトオブバンド光(13.5nm帯以外の真空紫外線から近赤外線領域の光)に対して、遮光枠が低反射率であることを特徴とする反射型マスク。 - 前記透明導電層は、ITO(酸化インジウム・スズ)と、酸化亜鉛と、酸化スズと、モリブデンシリサイド(MoSi)の酸化物や窒化物や酸窒化物との、透明導電材料の群から選ばれるいずれか又は複数を含んで形成されている事を特徴とする請求項1記載の反射型マスク。
- 前記透明導電層のシート抵抗が30Ω/sq以下である事を特徴とする請求項1または2に記載の反射型マスク。
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