以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
なお、本明細書において、「シート」、「フィルム」、「板」等の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば、「シート」はフィルムや板とも呼ばれ得るような部材も含む概念である。一具体例として、「第1光学シート」には、「光学フィルム」や「光学板」等と呼ばれる部材も含まれる。
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば、「平行」、「直交」等の用語については、厳密な意味に縛られることなく、同様の光学的機能を期待し得る程度の誤差を含めて解釈することとする。
図1乃至図7は、本発明の第1の実施の形態による表示装置を説明するための図である。このうち、図1は、本発明の第1の実施の形態による表示装置10を示す概略斜視図である。図2は、図1のII−II線に沿った表示装置10の断面を示す概略断面図である。
図1及び図2に示すように、表示装置10は、第1本体部21及び第1本体部21に配列された複数の第1単位レンズ要素31を有する第1光学シート20と、第1単位レンズ要素31に対向するように二次元配列された複数の発光部40と、を備えている。この表示装置10は、発光部40の点灯状態を制御することにより画像を形成するようになっている。ここでいう画像とは、発光部40から出射される光により表示され得る種々の態様の表示対象のことであり、特に限定されることなく、図、文字、模様、パターン、記号、マーク等を広く含む。発光部40は、後述するように、エネルギ効率に優れ、指向性を容易に調整可能な発光ダイオード(LED)で構成されている。発光ダイオードを用いることにより、表示装置10は、遠くからでも明るくその観察面が観察され、大画面のディスプレイとしての用途に適する。このような用途の一例として、いわゆるLEDディスプレイや大型の情報表示装置が挙げられる。
先ず、第1光学シート20に含まれる第1本体部21について説明する。図1及び図2に示すように、第1本体部21は、第1面22及び当該第1面22に対向する第2面23を有し、当該第2面23に複数の第1単位レンズ要素31が配列されている。このうち、第1本体部21の第1面22は、表示装置10の観察面を形成する。この第1本体部21の第1面22に、外光の反射を防止する反射防止機能や、防眩機能を付与してもよい。これにより、第1本体部21の第1面22に外部の像が写り込んでしまうことを効果的に抑制することができる。
反射防止機能を付与する例として、第1本体部21の第1面22に、可視光の最短波長未満のピッチで凹凸を形成してなるモスアイ構造部24を設けることが挙げられる。このモスアイ構造部24は、いわゆるモスアイ(蛾の目)構造の原理を利用したものであり、第1本体部21の第1面22に入射した光に対する屈折率を連続的に変化させ、屈折率の不連続界面を消失させることによって光の反射を抑制するものである。
この第1本体部21の第1面22に設けられたモスアイ構造部24について、図3を参照して更に説明する。図3は、図1に示す表示装置10において、第1本体部21の第1面22に凹凸形状からなるモスアイ構造部24が設けられた例を示す概略断面図である。図3に示す例では、第1光学シート20は、第1本体部21の第1面22上に形成された基部25と、基部25上に形成され、可視光の最短波長未満のピッチの凹凸形状からなるモスアイ構造部24と、を有している。モスアイ構造部24は、周期的または非周期的に配置された、円錐、四角錐などの錐形状を有する複数の凸部24aを含んでいる。なお図3では、各凸部24aの頂部が鋭角に形成されている例を示したが、これに限られることはなく、各凸部24aの頂部は、平坦に形成されていてもよいし、湾曲していてもよい。
このようなモスアイ構造部24は、一例として、スタンパ版を用いた賦形により作製され得る。スタンパ版は、モスアイ構造部24の凸部24aに対応する凹部を適切な基材に形成することにより作製される。この凹部を基材に形成する方法は特に限定されず、様々な方法が採用され得る。例えば、アルミニウムからなる基材を陽極酸化することによって凹部を形成してもよく、若しくは、基材上に感光性材料からなる層を設け、この層を露光することにより凹部を形成してもよい。露光方法としては、例えば、レーザー光の干渉を利用して微細パターンで露光する方法などが適宜用いられる。
また、第1本体部21は、広い視野角を確保するために、発光部40から第1光学シート20に入射した光を拡散させる光拡散機能を有していてもよい。例えば、第1本体部21内に、光を拡散させる拡散成分が分散されていてもよい。ここでいう拡散成分とは、第1本体部21内を進む光に対し、反射や屈折等によって、当該光の進路方向を変化させる作用を及ぼし得る成分のことである。このような拡散成分の光拡散機能(光散乱機能)は、例えば、第1本体部21の主部をなす材料とは異なる屈折率を有した材料から拡散成分を構成することにより、あるいは、光に対して反射作用を及ぼし得る材料から拡散成分を構成することにより、付与され得る。主部をなす材料とは異なる屈折率を有する拡散成分として、ガラスビーズ、気体を含有した多孔質物質、さらには、単なる気泡が例示される。
次に、第1光学シート20に含まれる第1単位レンズ要素31について説明する。各第1単位レンズ要素31は、発光部40から放出される光の進行方向を変化させて拡散させる機能を有している。本実施の形態の各第1単位レンズ要素31は、いわゆるシリンドリカルレンズをなしている。シリンドリカルレンズは、レンチキュラーレンズとも呼ばれる。図1及び図2に示すように、複数の第1単位レンズ要素31は、第1光学シート20のシート面内を延びる第1方向S1に沿って並べて配列されている。各第1単位レンズ要素31は、第1方向S1に交差し第1光学シート20のシート面内を延びる第2方向S2に沿って延びている。本実施の形態では、第1方向S1と第2方向S2とは、直交している。このような第1単位レンズ要素31によれば、発光部40からの光を、法線方向ndに対して第1方向S1に傾斜する角度が変化するように屈折させることができる。
なお、本明細書において、「シート面」とは、対象となるシート状の部材を全体的かつ大局的に見た場合において当該シート状の部材の平面方向と一致する面のことを指す。本実施の形態では、第1光学シート20のシート面は、第1本体部21の第1面22及び第2面23と平行な面となる。
図2に示すように、各第1単位レンズ要素31は、第1本体部21の第2面23から発光部40側に突出している。各第1単位レンズ要素31は、その突出した表面に、発光部40に対面する側となる第1光学シート20の表面を形成する第1レンズ面32を有している。各第1単位レンズ要素31は、第1光学シート20の法線方向nd及び第1方向S1に平行な断面において、円の一部分または楕円の一部分に相当する形状を有している。本実施の形態では、図2に示すように、各第1レンズ面32は、第1光学シート20の法線方向ndに平行な断面において、円の一部分をなす形状を有している。
また、各第1単位レンズ要素31は、第1レンズ面32に沿って設けられ、光を吸収する機能を有する第1光吸収層33を含んでいる。とりわけ図示された例では、第1光吸収層33によって、第1単位レンズ要素31の第1レンズ面32が形成されている。この第1光吸収層33について、図4を参照して説明する。図4は、図1に示す表示装置10において、第1単位レンズ要素31を拡大して示す概略断面図である。図4に示すように、第1光吸収層33は、第1単位レンズ要素31の第1レンズ面32に沿って、略一定の厚みで形成されている。この第1光吸収層33の厚みは、一例として、1〜20μm程度に形成される。第1光吸収層33は、当該第1光吸収層33内を進行する光の進行距離に応じて当該光の一部を吸収するという特性を有している。図4に示すように、発光部40から出射された第1光学シート20を透過する光L11〜L13は、第1光吸収層33内を当該第1光吸収層33の厚みに応じた距離だけ進行する。このため、光L11〜L13は、第1光吸収層33によってほとんど吸収されない。一方、第1光学シート20に入射する外光L31は、第1光吸収層33を透過しない場合には、第1光吸収層33内で全反射を繰り返すため、第1光吸収層33内を進行する進行距離が長くなる。このため、この外光L31の大部分は、第1光吸収層33によって吸収される。このような第1光吸収層33によれば、第1光学シート20に入射する外光L31を効果的に吸収することができるため、発光部40から出射される光により表示される画像のコントラストを大幅に向上させることができる。
なお、図示された例では、第1光学シート20の発光部40に対面する側の表面に沿って、第1光吸収層33が形成され、且つ、第1光学シート20の発光部40に対面する側の表面の全面が、第1光吸収層33によって形成されている。一方、第1単位レンズ要素31は、第1本体部21の第2面23上に隙間を空けて配列されており、第1本体部21の第2面23における一部分が、第1光学シート20の発光部40に対面する側の表面をなしている。したがって、第1本体部21の一部分が、第1光吸収層33によって形成されている。
本実施の形態では、この第1光吸収層33は、着色層からなる。この着色層には、カーボンブラック等の光吸収性の着色粒子が好ましく含まれるが、これに限定されず、発光部40からの光の特性に合わせて特定の波長を選択的に吸収する着色粒子が含まれてもよい。具体的には、カーボンブラック、グラファイト、黒色酸化鉄等の金属塩、染料、顔料等で着色した有機微粒子や着色したガラスビーズ等を挙げることができる。特に、着色した有機微粒子が、コスト面、品質面、入手の容易さ等の観点から好ましく用いられ、より具体的には、カーボンブラックを含有したアクリル架橋微粒子や、カーボンブラックを含有したウレタン架橋微粒子等が好ましく用いられる。こうした着色粒子は、通常、第1光吸収層33中に3質量%以上30質量%以下の範囲で含まれる。平均粒子径は0.1μm以上20μm以下の着色粒子が用いられる。
なお、光を吸収させるための手段は本実施の形態のように光吸収粒子による方法に限定されるものではない。他の例として、顔料や染料により第1光吸収層33全体を着色することも挙げられる。
以上のような構成からなる第1光学シート20の製造方法について説明する。一例として、第1本体部21をなすようになるシートと、第1光吸収層33をなすようになるシートと、を積層した積層シートを作製し、当該積層シートを、第1単位レンズ要素31の第1レンズ面32に対応する凹部が形成された型にプレス成形することにより、第1光学シート20が作製される。なお、この型の凹部は、例えばフォトリソグラフィ技術を利用したエッチングにより、型に所望の配列で形成され得る。あるいは、第1単位レンズ要素31の第1レンズ面32に対応する凹部が形成された樹脂製の賦型シートを用いた共押し出し成型により、第1光学シート20を作製することもできる。
次に、第1単位レンズ要素31に対向するように二次元配列された複数の発光部40について説明する。図2に示すように、第1光学シート20と間隔を空けて基体49が配置されている。第1光学シート20および基体49は、互いのシート面が平行となるように配置されている。複数の発光部40は、この基体49に規則的または不規則的に二次元配列されている。すなわち、複数の発光部40は、異なる二以上の方向のそれぞれに、規則的または不規則的に間隔を空けて並べて配置されている。本実施の形態では、複数の発光部40は、第1方向S1及び当該第1方向S1に交差する一以上の方向のそれぞれに、規則的に間隔を空けて並べて配置されている。より詳細には、複数の発光部40は、第1単位レンズ要素31の第1方向S1に等しい間隔で並べて配置されており、第1方向S1に直交する第2方向S2にも等しい間隔で並べて配置されている。第1方向S1乃至第2方向S2に沿って隣り合う2つの発光部40の配列ピッチp1、p2は、一例として、3.0〜4.0mm程度に設定される。また、各発光部40は、一例として、その外径が1.5mm〜2.5mm程度に形成される。第1方向S1に沿って隣り合う発光部40の配列ピッチp1は、第1単位レンズ要素31の配列ピッチq1よりもかなり大きい。
このような各発光部40は、多数の点状発光部、具体的には、エネルギ効率に優れた発光ダイオード(LED)によって構成されている。本実施の形態では、各発光部40は、赤色発光要素41、緑色発光要素42及び青色発光要素43のうちのいずれか1つからなる。そして、図1に示すように、赤色発光要素41、緑色発光要素42及び青色発光要素43が、第1方向S1に沿ってこの順に繰返して配列されている。一方、各発光要素41、42、43は、第2方向S2に沿って同じ発光要素が配列されている。すなわち、第2方向S2に沿って赤色発光要素41同士が並んで配置され、第2方向S2に沿って緑色発光要素42同士が並んで配置され、第2方向S2に沿って青色発光要素43同士が並んで配置される。もっとも、発光要素41、42、43の配列は、一例であって、それ自体既知の任意の配列を採用することができる。
また、各発光部40は、発光要素41、42、43の表面に設けられたカバー材48を有している。カバー材48によって、発光要素41、42、43から出射される光の配光特性を調整することができる。図6のグラフに、発光部40から出射される光の配光特性の一例を示す。図6には、発光部40のカバー材48上の輝度についての角度分布が示されている。図6のグラフに示された各輝度の角度分布は、第1光学シート20の法線方向nd及び発光部40の一配列方向の両方向に平行な面内の各方向から測定された輝度データから作成されたものである。図6のグラフにおいて、縦軸は、輝度を示しており、横軸は、輝度を測定した角度を示している。なお、角度の値は、第1光学シート20の法線方向ndと平行な方向を0°とし、当該法線方向ndに対する傾斜角度を用いて表している。
図6に示すように、第1光学シート20の法線方向ndに沿った方向に発光部40のピークの発光強度(ピーク強度)が得られるようになっており、法線方向ndからの傾斜角度が大きくなるにつれて発光部40の発光強度が低下していくように調整されている。
このような、発光部40の配光特性を示す指標として、従来より、半値角と呼ばれる角度θが用いられてきた。この角度θは、図6に示すように、第1光学シート20の法線方向nd及び発光部40の一配列方向の両方向と平行になる平面内の各方向から1つの発光部40の発光強度の角度分布を計測し、当該計測結果のうち、ピーク強度の半分の強度が得られる方向が、第1光学シート20の法線方向ndに対してなす角度を表している。この角度θを用いることによって、発光部40から射出する光のうち、観察者によって感知され得る主要な光を抽出して評価することができる。一例として、カバー材48によって、各発光部40に対するこの角度θが、θ≦60°の関係を満たすように調整することができる。角度θ>60°となると、発光部40から出射される光の指向性が弱くなり過ぎてしまい、発光部40から出射される光によって形成される画像を鮮明に表示することが困難になる場合がある。
次に、第1単位レンズ要素31の配列と発光部40の配列との関係について詳述する。前述したように、第1方向S1に沿って隣り合う発光部40の配列ピッチp1は、第1単位レンズ要素31の配列ピッチq1よりもかなり大きい。このため、第1光学シート20の法線方向ndからみて第1方向S1に沿って隣り合う2つの発光部40b、40cの一方と少なくとも一部が重なる第1単位レンズ要素31bと、第1光学シート20の法線方向ndからみて当該隣り合う2つの発光部40b、40cの他方と少なくとも一部が重なる第1単位レンズ要素31cと、の間には、複数の第1単位レンズ要素31dが位置するようになる。
本実施の形態では、図2及び図4に示すように、各発光部40から出射される光L11〜L13は、第1光学シート20の法線方向ndからみて当該発光部40と少なくとも一部が重なる正面領域に配置された第1単位レンズ要素31に最も多く入射するが、当該正面領域から離間した領域に配置された第1単位レンズ要素31にもその一部が入射する。発光部40の正面領域から離間した領域に配置された第1単位レンズ要素31に入射する光L12、L13の光量は、発光部40の正面領域からのずれ量に応じて減少していく。このうち、発光部40に正対する第1単位レンズ要素31に入射する光L11は、画像を明るく表示することに主として寄与し、発光部40に正対しない第1単位レンズ要素31に入射する光L12、L13は、隣り合う発光部40から出射される光によって画成されることになる画素間を目立たなくすることによって画像を滑らかに表示することにも寄与する。従って、前者の光の光量と後者の光の光量とを適切に調整することによって、発光部40から出射される光により形成される画像を鮮明且つ滑らかに表示することができるようになる。
一方、一つの発光部40から射出した光が、当該発光部40と隣り合う他の発光部40に正対する第1単位レンズ要素31cにまで入射してしまうと、特定の発光部40によって画成されることを意図された各画素の発光状態を独立して制御することが難しくなり、画像がぼけてしまうおそれがある。ただし、第1単位レンズ要素31は、第1レンズ面32に沿って設けられた第1光吸収層33を含んでいる。そして、ここで問題とする光が、第1光学シート20の法線方向ndに対して大きく傾斜した方向に進む光であることから、単位レンズに入射し難くなるだけでなく、この第1光吸収層33によって吸収されやすくなる。したがって、ここで問題視する光の光量がさほど多くなければ、画像のぼけが生じてしまうことを回避することができる。すなわち、多数の発光部40と第1光学シート20との位置関係、並びに、発光部40の配光特性を制御しておけば、画像のぼけを効果的に回避することが可能となる。
以上のような知見に基づいて、本件発明者らが鋭意研究を重ねた結果として、第1単位レンズ要素31の配列と発光部40の配列との好ましい関係を次のように見出した。なお、以下に説明する条件では、各発光部40から第1単位レンズ要素31に入射する光を示す指標として、前述した、ピーク強度の半分の強度が得られる方向が第1光学シート20の法線方向ndに対してなす角度(半値角)を示す角度θを用いている。この角度θは、人によって敏感に感知され得る光の進行方向を、第1光学シート20の法線方向ndを基準として示すものである。逆に、第1光学シートの法線方向ndに対してこの角度θの値以上の角度をなす方向では、人によって敏感に感知される光量が得られない。この点から、各発光部40から第1単位レンズ要素31に入射する光を示す指標として、前述した角度θを用いることは有効である。
先ず、図2に示すように、第1光学シート20の法線方向ndからみて第1方向S1に沿って隣り合う発光部40b、40cの一方と少なくとも一部が重なる第1単位レンズ要素31bと、第1光学シート20の法線方向ndからみて当該隣り合う発光部40b、40cの他方と少なくとも一部が重なる第1単位レンズ要素31cと、の間に位置する第1単位レンズ要素31dの少なくとも1つに、当該隣り合う発光部40b、40cからそれぞれ出射される光が共通に入射し得るように、これらが配置されている。このような形態によれば、第1方向S1に沿って隣り合う画素を構成するための2つの発光部40b、40cからの光が、当該2つの発光部40b、40cの中間となる領域において混ざり合うことになり、滑らかな画像を表示することができる。
また、前述した第1本体部21の第2面23と発光部40との距離d1と、第1方向S1に沿って隣り合う2つの発光部40の配列ピッチp1と、の関係についてみてみると、1/3≦p1/d1≦1/1の関係を満たすことが好ましい。p1/d1<1/3となる場合、第1本体部21の第2面23と発光部40との距離d1が長くなってしまい、結果として、表示装置10が大型になってしまう。一方、p1/d1>1/1となる場合、第1本体部21の第2面23と発光部40との距離d1が短くなるため、隣り合う発光部40b、40cからの光L12、L13が、これらが共通に入射する第1単位レンズ要素31dの第1レンズ面32に入射する際に、当該光の入射角度が大きくなる場合がある。これらの光の入射角度が大きい場合、これらの光の一部が、第1レンズ面32で屈折した後に第1本体部21の第1面22において全反射してしまうおそれが高まる。このため、光の利用効率が低下すると共に画像を滑らかに表示することができなくなるおそれがある。この点について、図5を参照して以下のように説明することができる。
図5は、図4に対応する図であって、所定の発光部40と、当該発光部40に対面する位置からずれた位置にある第1単位レンズ要素31の第1レンズ面32と、の関係について説明するための図である。図5に示すように、第1レンズ面32を円弧の長さがほぼ等しい3つの部分に区分けし、第1光学シート20の第2面23から最も離れた頂部を含む領域を第1領域34、当該第1領域34から発光部40に近い側に位置する領域を第2領域35、第1領域34から発光部40よりも遠い側に位置する領域を第3領域36とする。このとき、発光部40から第1レンズ面32に入射する光のうち、第1領域34及び第3領域36に入射する光は、有効に拡散されるが、第2領域35に入射する光の一部は、入射角度が大きいと、第1レンズ面32にて屈折された後、第1本体部21の第1面22で全反射してしまう。このため、第1単位レンズ要素31に入射する光の入射角度が大きい場合、光の利用効率が低下すると共に、ゴーストが発生してしまうおそれがある。
また、図4及び図5に示すように、各第1単位レンズ要素31の第2面23に沿った長さをt1とし、当該第1単位レンズ要素31の法線方向ndに沿った高さをh1とすると、0.1≦h1/t1≦0.5を満たすことが好ましい。h1/t1>0.5を満たす場合、発光部40から出射する光が、当該発光部40に正対しない第1単位レンズ要素31の第1レンズ面32に入射する場合、前述した第2領域35に入射する光の割合が増え、この入射した光のうちの一部が第1本体部21の第1面22で全反射してしまう。この結果、光の利用効率が低下すると共に、第1単位レンズ要素31での拡散が不十分となる。このため、画素と画素との間が暗くなり、発光部40から出射される光によって形成される画像を滑らかに表示することが困難になるおそれがある。一方、h/t<0.1を満たす場合、発光部40から出射される光の第1レンズ面32に入射する入射角度が大きいと、当該光を第1レンズ面32によって所望に屈折させることができないおそれがある。結果として、第1単位レンズ要素31での拡散がやはり不十分となる。このため、画素と画素との間が暗くなり、発光部40から出射される光によって形成される画像を滑らかに表示することが困難になるおそれがある。
次に、以上のような構成からなる表示装置10の作用について説明する。
図2及び図4に示すように、各発光部40bから出射される光L11、L12は、第1光学シート20の法線方向ndからみて当該発光部40bと少なくとも一部が重なる正面領域に配置された第1単位レンズ要素31bに主に入射し、当該正面領域から離間した領域に配置された第1単位レンズ要素31にもその一部が入射する。正面領域から離間した領域に配置された第1単位レンズ要素31に入射する光L12の光量は、当該離間距離に応じて減少していく。このうち、正面領域に配置された第1単位レンズ要素31bに入射する光L11は、画像を形成することに主として寄与し、正面領域から離間した領域に配置された第1単位レンズ要素31に入射する光L12は、隣り合う発光部40から出射される光によって画成されることになる画素間を目立たなくすることによって画像を滑らかに表示することに主として寄与する。
本実施の形態では、正面領域から離間した領域に配置された第1単位レンズ要素31に入射する光L12は、正面領域に配置された第1単位レンズ要素31bと、第1光学シート20の法線方向ndからみて第1方向S1に沿って隣り合う発光部40cと少なくとも一部が重なる第1単位レンズ要素31cと、の間に位置する第1単位レンズ要素31dの少なくとも1つに入射する。同様に、この隣り合う発光部40cから出射される光L13も、当該第1単位レンズ要素31dに共通に入射する。これにより、第1方向S1に沿って隣り合う発光部40b、40cからの光の一部が当該第1単位レンズ要素31dで拡散されて混ざり、各発光部によって画成される画素と画素との間が暗くなることを効果的に防止することができる。これにより、滑らかな画像を表示することが可能となる。
第1単位レンズ要素31に入射した各光L11〜L13は、それぞれ、当該第1単位レンズ要素31の第1レンズ面32によって曲げられて拡散される。これにより、表示装置10の観察面の正面からずれた位置にいる観察者であっても発光部40から出射された光を観察することができ、表示装置10の視野角を拡げることができる。
以上のように、本実施の形態によれば、各発光部40から出射される光は、第1光学シート20の法線方向ndからみて当該発光部40と少なくとも一部が重なる正面領域に配置された第1単位レンズ要素31に主に入射し、当該正面領域に配置された第1単位レンズ要素31に入射する光L11によって、画像が形成される。一方、第1光学シート20の法線方向ndからみて第1方向S1に隣り合う発光部40b、40cの一方と少なくとも一部が重なる第1単位レンズ要素31bと、第1光学シート20の法線方向ndからみて当該隣り合う発光部40b、40cの他方と少なくとも一部が重なる第1単位レンズ要素31cと、の間に位置する第1単位レンズ要素31dの少なくとも1つに、当該隣り合う発光部40b、40cからそれぞれ出射する光L12、L13が共通に入射する。これにより、第1方向S1に沿って隣り合う発光部40b、40cからの光L12、L13が部分的に混ざり合うため、少なくとも第1方向S1に沿って隣り合う発光部40b、40cによって画成される画素と画素との間が暗くなることを効果的に防止することができる。加えて、第1単位レンズ要素31に入射した各光L11〜L13は、それぞれ、当該第1単位レンズ要素31の第1レンズ面32によって曲げられて拡散される。このような作用によって、発光部40から出射される光により形成される画像を広い視野角で鮮明且つ滑らかに表示することができるようになる。
加えて、本実施の形態によれば、第1方向S1に沿って隣り合う発光部40b、40cからの光L12、L13が部分的に混ざり合うため、少なくとも第1方向S1に沿って発光部40から出射される光により画成される画素間に暗い部分が形成されない。このため、例えばビデオカメラ等の撮像手段で表示装置10の観察面を撮影して、当該撮影された画像を表示画面上に再生しても、発光部40b、40cからの光L12、L13によって形成される画像の画素配列と、撮像手段の素子配列または表示画面の画素配列と、の間でモワレを生じることを効果的に抑制することができる。
また、本実施の形態によれば、各第1単位レンズ要素31は、第1レンズ面32に沿って設けられた第1光吸収層33を含んでいる。この場合、発光部40から出射され第1光学シート20を透過する光L11〜L13は、第1光吸収層33内を当該第1光吸収層33の厚みに応じた距離だけ進行するので、ほとんど吸収されない。一方、第1光学シート20に入射する外光L31は、第1光吸収層33を透過しない場合には、第1光吸収層33内で全反射を繰り返すため、第1光吸収層33内を進行する進行距離が長く、その大部分が吸収される。これにより、表示装置10が光拡散機能を発現する第1光学シート10を含んでいるにもかかわらず、発光部40から出射される光により表示される画像がコントラストにおいて非常に優れる。
なお、表示装置10の画像を観察する観察者は、一般に、水平方向よりも鉛直方向に沿って隣り合う画素の滑らかさに敏感である。図示する表示装置10では、第1方向S1に沿って隣り合う発光部40b、40cからの光L12、L13を効果的に混ざり合わせることができる。従って、第1方向S1が鉛直方向となるように表示装置10を設置することにより、観察者が敏感に感じる鉛直方向に沿って隣り合う画素を滑らかに表示することが可能となる。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
上述した実施の形態では、図2に示すように、各発光部40は、赤色発光要素41、緑色発光要素42及び青色発光要素43のうちのいずれか1つからなる例を示したが、発光部40の構成は、上述した構成に限定されない。図7に、発光部40の他の構成例を示す。図7に示す例では、複数の発光部40は、互いに間隔を空けて配置されており、各発光部40は、隣接して並べられた赤色発光要素44と緑色発光要素45と青色発光要素46とを含んでいる。このような形態であっても、上述した実施の形態と同様の作用効果が得られる。
≪第2の実施の形態≫
次に、図8乃至図11を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。図8は、本発明の第2の実施の形態による表示装置10を示す概略斜視図である。図9は、図8に示すIX−IX線に沿った断面における表示装置10を示す概略断面図である。図8乃至図11を参照して説明する第2の実施の形態は、第1光学シート20と発光部40との間に第2光学シート50がさらに配置されている点で異なるが、その他の構成は、第1の実施形態およびその変形例と同様に構成することができる。第2の実施の形態に関する以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した第1の実施の形態およびその変形例と同様に構成され得る部分について、上述の第1の実施の形態およびその変形例における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
図8及び図9に示すように、表示装置10は、第1本体部21と第1本体部21に配列された複数の第1単位レンズ要素31とを有する第1光学シート20と、第1単位レンズ要素31に対向するように二次元配列された複数の発光部40と、複数の発光部40と第1光学シート20との間に配置された第2光学シート50と、を備えている。このうち、第1光学シート20及び発光部40は、上述した第1の実施形態と略同様なため、ここではこれ以上詳細な説明を省略する。
第2光学シート50は、第1光学シート20及び複数の発光部40の両方に対して離間している。第2光学シート50のシート面は、第1光学シート20のシート面と平行になっている。一例として、第2光学シート50と第1光学シート20との間の間隔は、1.0mm以下に調整され、第2光学シート50と複数の発光部40との間の間隔は、4mm〜20mm程度に調整される。なお、第2光学シート50と第1光学シート20との間の間隔は、第2光学シート50と複数の発光部40との間の間隔に比べて、十分に狭いため、図示する表示装置10では、第2光学シート50を通過した光が第1光学シート20に到達するまでに移動した移動量については、考慮しなくてもよい。
図8及び図9に示すように、第2光学シート50は、シート状の第2本体部51と、第2本体部51に配列された複数の第2単位レンズ要素61とを有する。第2本体部51は、互いに平行な第3面52及び第4面53を有している。第2本体部51の第3面52は、第1光学シート20に対面しており、第4面53は、発光部40に対面している。
この第2光学シート50の第4面53に、複数の第2単位レンズ要素61が配列されている。各第2単位レンズ要素61は、発光部40から放出される光の進行方向を変化させて拡散させる機能を有している。本実施の形態の各第2単位レンズ要素61は、いわゆるシリンドリカルレンズをなしている。第2単位レンズ要素61は、第1単位レンズ要素31と交差する方向に配列されている。本実施の形態では、複数の第2単位レンズ要素61は、第2方向S2に沿って並べて配列されている。各第2単位レンズ要素61は、第2方向S2に交差する方向、より詳細には、第2方向S2と直交する第1方向S1に沿って延びている。このような第2単位レンズ要素61によれば、発光部40からの光を、法線方向ndに対して第2方向S2に傾斜する角度が変化するように屈折させることができる。
なお、上述のように、第1単位レンズ要素31は、発光部40からの光を法線方向ndに対して第1方向S1に傾斜する角度が変化するように屈折させることができる。従って、第1単位レンズ要素31と第2単位レンズ要素61との組合せによって、発光部40からの光を、法線方向ndに対して第1方向S1及び第2方向S2の両方に傾斜する角度が変化するように屈折させることができる。
図10に、第2単位レンズ要素61を拡大して示す。各第2単位レンズ要素61は、第2本体部51の第4面53から発光部40側に突出している。各第2単位レンズ要素61は、その突出した表面に、発光部40に対面する側となる第2光学シート50の表面を形成する第2レンズ面62を有している。各第2単位レンズ要素61は、第1光学シート20の法線方向nd及び第2方向S2に平行な断面において、円の一部分または楕円の一部分に相当する形状を有している。
また、各第2単位レンズ要素61は、第2レンズ面62に沿って設けられ、光を吸収する機能を有する第2光吸収層63を含んでいてもよい。とりわけ図示された例では、第2光吸収層63によって、第2単位レンズ要素61の第2レンズ面62が形成されている。このような第2光吸収層63によれば、第1光学シート20を透過して第2光学シート50に入射した外光を効果的に吸収することができるため、発光部40から出射される光により表示される画像のコントラストをさらに向上させることができる。なお、この第2光吸収層63は、上述した第1光吸収層33と略同様に構成することができるため、ここではこれ以上詳細な説明を省略する。
次に、第2単位レンズ要素61の配列と発光部40の配列との関係について詳述する。
図8及び9に示すように、複数の発光部40は、第1方向S1及び第2方向S2のそれぞれに、並べて配置されている。第2方向S2に沿って隣り合う発光部40の配列ピッチp2は、第2単位レンズ要素61の配列ピッチq2よりもかなり大きい。このため、第1光学シート20の法線方向ndからみて隣り合う2つの発光部40e、40fの一方と少なくとも一部が重なる第2単位レンズ要素61eと、第1光学シート20の法線方向ndからみて当該隣り合う2つの発光部40e、40fの他方と少なくとも一部が重なる第2単位レンズ要素61fと、の間には、複数の第2単位レンズ要素61gが位置するようになる。
先ず、図9に示すように、第1光学シート20の法線方向ndからみて第2方向S2に沿って隣り合う発光部40e、40fの一方と少なくとも一部が重なる第2単位レンズ要素61eと、第1光学シート20の法線方向ndからみて当該隣り合う発光部40e、40fの他方と少なくとも一部が重なる第2単位レンズ要素61fと、の間に位置する第2単位レンズ要素61gの少なくとも1つに、当該隣り合う発光部40e、40fからそれぞれ出射される光が共通に入射し得るように、これらが配置されている。このような形態によれば、第2方向S2に沿って隣り合う画素を構成するための2つの発光部40e、40fからの光L22、L23が、当該2つの発光部40e、40fの中間となる領域において混ざり合うことになり、滑らかな画像を表示することができる。
また、前述した第2本体部51の第4面53と発光部40との距離d2と、第2方向S2に沿って隣り合う2つの発光部40の配列ピッチp2と、の関係についてみてみると、1/3≦p2/d2≦1/1の関係を満たすことが好ましい。p2/d2<1/3となる場合、第2本体部51の第4面53と発光部40との距離d2が長くなってしまい、結果として、表示装置10が大型になってしまう。一方、p2/d2>1/1となる場合、第2本体部51の第4面53と発光部40との距離d2が短くなるため、隣り合う発光部40e、40fからの光L22、L23が、これらが共通に入射する第2単位レンズ要素61の第2レンズ面62に入射する際に、当該光の入射角度が大きくなる場合がある。これらの光の入射角度が大きい場合、これらの光の一部が、第2レンズ面62で屈折した後に第2本体部51の第3面52において全反射してしまうおそれが高まる。このため、光の利用効率が低下すると共に画像を滑らかに表示することができなくなるおそれがある。この理由については、既に図5を参照して説明した原理が同様に当てはまるため、ここでは詳細な説明を省略する。
また、図10に示すように、各第2単位レンズ要素61の第2方向S2に沿った長さをt2とし、当該第2単位レンズ要素61の法線方向ndに沿った高さをh2とすると、0.1≦h2/t2≦0.5を満たすことが好ましい。h2/t2>0.5を満たす場合、発光部40から出射する光が、当該発光部40に正対しない第2単位レンズ要素61の第2レンズ面62に入射する場合、第2単位レンズ要素61の第2領域(図5参照)に入射する光の割合が増え、この入射した光のうちの一部が第2本体部51の第3面52で全反射してしまう。この結果、光の利用効率が低下すると共に、第2単位レンズ要素61での拡散が不十分となる。このため、画素と画素との間が暗くなり、発光部40から出射される光によって形成される画像を滑らかに表示することが困難になるおそれがある。一方、h2/t2<0.1を満たす場合、発光部40から出射される光の第2レンズ面62に入射する入射角度が大きいと、当該光を第2レンズ面62によって所望に屈折させることができないおそれがある。結果として、第2単位レンズ要素61での拡散がやはり不十分となる。このため、画素と画素との間が暗くなり、発光部40から出射される光によって形成される画像を滑らかに表示することが困難になるおそれがある。
次に、以上のような構成からなる表示装置10の作用について説明する。
図9に示すように、各発光部40から出射される光L21、L22は、第1光学シート20の法線方向ndからみて当該発光部40と少なくとも一部が重なる正面領域に配置された第2単位レンズ要素61に主に入射し、当該正面領域から離間した領域に配置された第2単位レンズ要素61にもその一部が入射する。正面領域から離間した領域に配置された第2単位レンズ要素61に入射する光L22の光量は、当該離間距離に応じて減少していく。これらの光のうち、正面領域に配置された第2単位レンズ要素61eの、当該発光部40と対面する領域に入射した光は、画像を形成することに主として寄与し、それ以外の光は、隣り合う発光部40から出射される光によって画成されることになる画素間を目立たなくすることによって画像を滑らかに表示することに主として寄与する。
本実施の形態では、正面領域から離間した領域に配置された第2単位レンズ要素61に入射する光L22は、正面領域に配置された第2単位レンズ要素61eと、第1光学シート20の法線方向ndからみて第2方向S2に沿って隣り合う発光部40fと少なくとも一部が重なる第2単位レンズ要素61fと、の間に位置する第2単位レンズ要素61gの少なくとも1つに入射する。同様に、この隣り合う発光部40fから出射される光L23も、当該第2単位レンズ要素61gに共通に入射する。これにより、第2方向S2に沿って隣り合う発光部40e、40fからの光の一部が当該第2単位レンズ要素61gで拡散されて混ざり、第2方向S2に沿って隣り合う発光部40によって画成される画素と画素との間が暗くなることを効果的に防止することができる。
次に、第2光学シート50を透過した光は、第1光学シート20の第1単位レンズ要素31に入射する。図11に、発光部40からの光が第1単位レンズ要素31に入射する様子を示す。図11に示すように、各発光部40から出射し第2光学シート50を透過した光L11、L12は、第1光学シート20の法線方向ndからみて当該発光部40と少なくとも一部が重なる正面領域に配置された第1単位レンズ要素31に主に入射し、当該正面領域から離間した領域に配置された第1単位レンズ要素31にもその一部が入射する。このうち、正面領域から離間した領域に配置された第1単位レンズ要素31に入射する光L12は、正面領域に配置された第1単位レンズ要素31bと、第1光学シート20の法線方向ndからみて第1方向S1に沿って隣り合う発光部40cと少なくとも一部が重なる第1単位レンズ要素31cと、の間に位置する第1単位レンズ要素31dの少なくとも1つに入射する。同様に、この隣り合う発光部40cから出射される光L13も、当該第1単位レンズ要素31dに共通に入射する。これにより、第1方向S1に沿って隣り合う発光部40b、40cからの光の一部が当該第1単位レンズ要素31dで拡散されて混ざり、第1方向S1に沿って隣り合う発光部40によって画成される画素と画素との間が暗くなることを効果的に防止することができる。
また、発光部40から出射される各光は、それぞれ、第2単位レンズ要素61の第2レンズ面62及び第1単位レンズ要素31の第1レンズ面32によって曲げられて拡散される。これにより、表示装置10の観察面の正面からずれた位置にいる観察者であっても発光部40から出射された光を観察することができ、表示装置10の視野角を拡げることができる。
以上のように、本実施の形態によれば、各発光部40から出射され第2光学シート50を透過した光は、第1光学シート20の法線方向ndからみて当該発光部40と少なくとも一部が重なる正面領域に配置された第1単位レンズ要素31に主に入射し、当該正面領域に配置された第1単位レンズ要素31に入射する光L11の一部によって、画像が形成される。一方、第1光学シート20の法線方向ndからみて第1方向S1に隣り合う発光部40b、40cの一方と少なくとも一部が重なる第1単位レンズ要素31bと、第1光学シート20の法線方向ndからみて当該隣り合う発光部40b、40cの他方と少なくとも一部が重なる第1単位レンズ要素31cと、の間に位置する第1単位レンズ要素31dの少なくとも1つに、当該隣り合う発光部40b、40cからそれぞれ出射する光L12、L13が共通に入射する。これにより、第1方向S1に沿って隣り合う発光部40b、40cからの光L12、L13が部分的に混ざり合うため、第1方向S1に沿って隣り合う発光部40b、40cによって画成される画素と画素との間が暗くなることを効果的に防止することができる。同様に、第1光学シート20の法線方向ndからみて第2方向S2に隣り合う発光部40e、40fの一方と少なくとも一部が重なる第2単位レンズ要素61eと、第1光学シート20の法線方向ndからみて当該隣り合う発光部40e、40fの他方と少なくとも一部が重なる第2単位レンズ要素61fと、の間に位置する第2単位レンズ要素61gの少なくとも1つに、当該隣り合う発光部40e、40fからそれぞれ出射する光L22、L23が共通に入射する。これにより、第2方向S2に沿って隣り合う発光部40e、40fからの光L22、L23が部分的に混ざり合うため、第2方向S2に沿って隣り合う発光部40e、40fによって画成される画素と画素との間が暗くなることを効果的に防止することができる。
このように、第1方向S1に沿って隣り合う発光部40b、40cからの光L12、L13が部分的に混ざり合い、第2方向S2に沿って隣り合う発光部40e、40fからの光L22、L23も部分的に混ざり合う。これにより、各発光部40e、40fによって画成される画素と画素との間が暗くなることを効果的に防止することができる。加えて、発光部40から出射される各光は、それぞれ、第2単位レンズ要素61の第2レンズ面62及び第1単位レンズ要素31の第1レンズ面32によって曲げられて拡散される。このような作用によって、発光部40から出射される光により形成される画像を広い視野角で鮮明且つ滑らかに表示することができるようになる。
加えて、本実施の形態によれば、第1方向S1に沿って隣り合う発光部40b、40cからの光L12、L13が部分的に混ざり合い、第2方向S2に沿って隣り合う発光部40e、40fからの光L22、L23も部分的に混ざり合うため、各発光部40から出射される光により画成される画素間に暗い部分が形成されない。このため、例えばビデオカメラ等の撮像手段で表示装置10の観察面を撮影して、当該撮影された画像を表示画面上に再生しても、発光部40b、40c、40e、40fからの光L12、L13、L22、L23によって形成される画像の画素配列と、撮像手段の素子配列または表示画面の画素配列と、の間でモワレを生じることを極めて効果的に抑制することができる。
また、本実施の形態によれば、各第1単位レンズ要素31は、第1レンズ面32に沿って設けられた第1光吸収層33を含んでいる。この場合、発光部40から出射され第1光学シート20を透過する光L11〜L13は、第1光吸収層33内を当該第1光吸収層33の厚みに応じた距離だけ進行するので、ほとんど吸収されない。一方、第1光学シート20に入射する外光は、第1光吸収層33を透過しない場合には、第1光吸収層33内で全反射を繰り返すため、第1光吸収層33内を進行する進行距離が長く、その大部分が吸収される。これにより、表示装置10が光拡散機能を発現する第1光学シート10を含んでいるにもかかわらず、発光部40から出射される光により表示される画像がコントラストにおいて非常に優れる。
なお、上述した実施の形態では、図9に示すように、第1光学シート20と第2光学シート50との間に空間が設けられている例を示したが、このような例に限定されない。第1光学シート20と第2光学シート50との間に低屈折率樹脂層を設け、これらを一体の部材としてもよい。すなわち、第1光学シート20と第2光学シート50との間に隣接して低屈折率樹脂層を配置し、第1光学シート20を第2光学シート50に対して低屈折率樹脂層を介して接合してもよい。この場合、低屈折率樹脂層の屈折率は、第1光学シート20の第1本体部21及び第2光学シート50の第2本体部51の屈折率よりも0.2以上低いことが好ましい。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
以下に説明するようにして、実施例1に係る表示装置を作製した。この実施例1は、図8に示す表示装置に対応している。
第1光学シートは、第1光吸収層をなすようになるシートと、第1光吸収層以外の第1光学シートをなすようになるシートと、を積層した積層シートを作製し、当該積層シートを、凹部が形成された型にプレス成形することにより作製した。このとき、第1光学シートの第1光吸収層以外の部分をなすシートの材料として、アクリル樹脂を用い、第1光吸収層をなすシートの材料として、着色粒子が分散されたアクリル樹脂を用いた。このとき、第1光学シートの厚み全体は、2.0mmとなった。また、第1本体部の第1面に、微細な凹凸形状を付与するアンチグレア処理を施した。
第1単位レンズ要素は、半径0.14mmの円筒面の一部として作製し、その配列ピッチq1を0.20mmとした。また、第1光吸収層33の第1レンズ面32に沿った厚みを4.0μmとした。
第2光学シートは、アクリル樹脂からなるシートを、凹部が形成された型にプレス成形することにより作製した。このとき、第2光学シートの厚み全体は、2.0mmとなった。第2単位レンズ要素は、半径0.14mmの円筒面の一部として作製し、その配列ピッチq2を0.20mmとした。
また、各発光部40は、円筒状に形成されたものを使用した。各発光部40の底面の直径は2.0mmであり、発光部40の配列ピッチp1及びp2は4.0mmであった。また、第1本体部21の第2面23と発光部40との距離d1は2.0mmであった。
このような実施例1の表示装置によれば、発光部から出射される光により形成される画像を鮮明且つ滑らかに表示することができた。また、第1光吸収層の第1レンズ面に沿った厚みを4.0μmに形成したため、屋外などの明るい環境下で使用しても、外光を効果的に吸収することができ、画像を高いコントラストで観察することができた。
また、各発光部から出射される光により形成される画素間に暗い部分が形成されなかった。このため、ビデオカメラで表示装置の観察面を撮影して、当該撮影された画像を表示画面上に再生しても、モワレが生じることはなかった。