JP6219703B2 - トナー - Google Patents
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Description
結着樹脂、着色剤、離型剤、及び荷電制御剤を含有してなるトナーであって、
前記結着樹脂が、軟化点の異なる樹脂Hと樹脂Lを含有し、
該樹脂Hが、軟化点が140℃以上170℃以下である非線状ポリエステルであり、
該樹脂Lが、軟化点が85℃以上95℃以下、ピークトップ分子量が6000以上8000以下である線状ポリエステルであり、
該樹脂Hと樹脂Lの質量比(樹脂H/樹脂L)が50/50〜80/20であり、
前記離型剤が、炭素数26以上28以下のα-オレフィンを95モル%以上含有するモノマーを重合して得られるα-オレフィン系重合体を含有し、
該α-オレフィン系重合体の含有量が、結着樹脂100質量部に対して0.5質量部以上10質量部以下である、トナー
に関する。
高軟化点の樹脂は、耐高温オフセット性を向上させ、溶融混練時に適度なシェアがかかり離型剤の分散性を向上させることができるが、低温定着性に不利になる。一方、低軟化点の樹脂は低温定着性が向上するものの、混練粘度の低下を招き高軟化点樹脂及び離型剤との混合性が低下する。これに対し、本発明においては、離型剤として特定炭素数のα-オレフィンを重合して得られるα−オレフィン系重合体を含有する。α−オレフィン系重合体は、極性基を持たず側鎖の結晶性が高いため、他の離型剤と比べて低融点ながら高硬度であるが、結着樹脂中では分散させにくい。しかしながら、この側鎖が特定の炭素数で揃った櫛型構造を取るために、特定の分子量範囲にある線状の低軟化点樹脂とはむしろ混合性が向上する。そして、高軟化点樹脂が混合性の向上した低軟化点樹脂とα−オレフィン系重合体の混合物を捕捉し混合するため、さらに3成分間の混合性が向上することになる。その結果、低軟化点樹脂や離型剤のトナー表面への露出が抑制され、トナーの耐久性が向上し、それにより、低温低湿下での印刷時においても現像ローラー上のスジの発生が抑制されるものと考えられる。
本発明は、低軟化点の樹脂Lの軟化点を特定の範囲にしながら、同時にピークトップ分子量も特定の範囲に維持することに特徴がある。一般に樹脂の軟化点と分子量は相関しているが、これは平均分子量で考えた場合であり、分子量の主成分を示すピークトップ分子量を指標とすれば、樹脂の軟化点と分子量とは、アルコール成分やカルボン酸成分の種類や組成比等により独立に調整することができる。そして、本発明は、トナーの耐久性が平均分子量よりもピークトップ分子量により制御され、軟化点とともにピークトップ分子量が特定の範囲にあるものとすることで、トナーの耐久性が向上し、低温低湿下でのスジの発生や高温高湿下でのカブリの発生が抑制されるトナーとすることができたものである。
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。炭素数2以上20以下の2価のアルコールとして、具体的には、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
フローテスター「CFT-500D」(島津製作所社製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで-10℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し測定する。吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
JIS K0070の方法に基づき測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
以下に示す、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により樹脂の分子量を測定する。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.04g/10mLになるように、トナーをテトラヒドロフランに溶解させる。ついで、この溶液をポアサイズ0.45μmのフッ素樹脂フィルター「DISMIC-25JP」(アドバンテック社製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2)分子量測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてテトラヒドロフランを、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作製した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー社製のA-500(5.0×102)、A-1000(1.01×103)、A-2500(2.63×103)、A-5000(5.97×103)、F-1(1.02×104)、F-2(1.81×104)、F-4(3.97×104)、F-10(9.64×104)、F-20(1.90×105)、F-40(4.27×105)、F-80(7.06×105)、F-128(1.09×106))を標準試料として作成したものを用いる。
測定装置:HLC-8220GPC(東ソー社製)
分析カラム:GMHXL+G3000HXL(東ソー社製)
得られるGPCプロファイルの、最高ピークのピークトップにおける分子量をピークトップ分子量として算出する。
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで180℃まで昇温し測定する。そこで得られる融解吸熱カーブから観察される吸熱の最高ピーク温度を離型剤の融点とする。
ブルックフィールド法によりB型粘度計(日本STジョンソン社製 LVT)を用いて測定を行い、測定試料を加熱し、離型剤の溶融温度以上の温度である100℃において測定する。
走査型電子顕微鏡(SEM)写真から500個の粒子の粒径(長径と短径の平均値)を測定し、それらの平均値を個数平均粒径とする。
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)を5質量%の濃度となるよう前記電解液に溶解させる。
分散条件:前記分散液5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、前記電解液25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mlに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
表1に示す無水トリメリット酸以外の原料モノマー、及びターシャリーブチルカテコール5gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、180℃に昇温し、210℃まで10℃/hrの昇温速度にて段階昇温を行い、210℃にて3時間反応させた後、8kPaにて1時間反応を行った。次に、常圧(101.3kPa)に戻し、無水トリメリット酸を投入し、常圧で1時間反応させた後、20kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行い、樹脂を得た。得られた樹脂の物性を表1に示す。
表1に示す原料モノマー、及び2-エチルヘキサン酸錫(II)40gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、235℃に昇温して反応率が80%に到達するまで反応を行った後、8kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行い、樹脂を得た。得られた樹脂の物性を表1に示す。なお、反応率とは、生成反応水量/理論生成水量×100の値をいう。
表1に示す無水トリメリット酸以外の原料モノマー、及び2-エチルヘキサン酸錫(II)40gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、235℃に昇温して反応率が80%に到達するまで反応を行った後、8kPaにて1時間反応を行った。次に、210℃まで温度を下げて常圧(101.3kPa)に戻し、無水トリメリット酸を投入し、210℃、常圧で1時間反応させた後、15kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行い、樹脂を得た。得られた樹脂の物性を表1に示す。
表1に示すフマル酸以外の原料モノマー、及び2-エチルヘキサン酸錫(II)40gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、235℃に昇温して反応率が80%に到達するまで反応を行った後、8kPaにて1時間反応を行った。次に、180℃に温度を下げて常圧(101.3kPa)に戻し、フマル酸及びターシャリーブチルカテコール5gを投入し、210℃まで10℃/hrの昇温速度にて段階昇温を行い、210℃、常圧で2時間反応させた後、8kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行い、樹脂を得た。得られた樹脂の物性を表1に示す。
「リニアレン26+」(出光興産社製、主として炭素数26以上のα−オレフィンの混合体)を減圧下(0.1kPa)で蒸留し、留出温度200〜300℃の留分であるモノマーAを得た。この留分の組成比は、C(炭素数、以下同様)24:1モル%、C26:59モル%、C28:38モル%、C30:2モル%であった。
「リニアレン26+」を減圧下(0.1kPa)で蒸留し、留出温度190〜250℃の留分であるモノマーBを得た。この留分の組成比は、C24:32モル%、C26:43モル%、C28:18モル%、C30:7モル%であった。
「リニアレン2024」(出光興産社製、主として炭素数18〜26のα−オレフィンの混合体)を減圧下(0.27〜2.00kPa)で蒸留し、留出温度180〜220℃の留分であるモノマーCを得た。この留分の組成比は、C20:1モル%、C22:67モル%、C24:31モル%、C26:1モル%であった。
表3に示す結着樹脂及び離型剤と、負帯電性荷電制御剤「T-77」(保土ヶ谷化学工業社製)1.0質量部、及びカーボンブラック「Mogul-L」(キャボット・スペシャリティー・ケミカルズ・インク社製)4.0質量部をヘンシェルミキサーにて1分間撹拌混合後、以下に示す条件で溶融混練した。
得られた樹脂混練物を冷却し、IDS粉砕・分級機(日本ニューマチック社製)を用いて体積中位粒径(D50)が7.5μmになるように粉砕・分級を行い、トナー母粒子を得た。
表3に示す結着樹脂及び離型剤と、負帯電性荷電制御剤「LR-147」(日本カーリット社製)1.0質量部、及び銅フタロシアニン顔料「ECB-301」(大日精化社製)4.0質量部をヘンシェルミキサーにて1分間撹拌混合後、実施例1と同様に溶融混練、粉砕・分級を行い、トナー母粒子を得た。
非磁性一成分現像装置「OKI MICROLINE 5400」(沖データ社製)にトナーを実装し、トナー付着量を0.50mg/cm2に調整して、20mm×30mmのベタ画像を「Color Copy90紙」(富士ゼロックスオフィスサプライ社製)に印字した。定着機を通過する前にベタ画像を取りだして未定着画像を得た。得られた未定着画像を有する用紙を非磁性一成分現像装置「OKI COREFIDO B431dn」(沖データ社製)の定着機を改造した外部定着機にて、定着ロール温度を130℃に設定し、120mm/secの定着速度で定着させた。その後、定着ロール温度を135℃に設定し、同様の操作を行った。これを230℃まで5℃ずつ上昇させながら、各温度で未定着画像の定着処理を行ない、定着画像を得た。
底面が50φである1000gの重りに白紙「L紙」(Xerox社製)を巻き付け、このおもりを、各定着温度で得られた画像部分に置き、画像部分の幅にて5往復させ、擦り前後の画像濃度を画像濃度測定器「SPM-50」(Gretag社製)を用いて測定し、擦り前後の比率([擦り後の画像濃度/擦り前の画像濃度]×100)が最初に90%を超える定着ロールの温度を最低定着温度とし、低温定着性の指標とした。値が小さいほど低温定着性に優れる。結果を表3に示す。
非磁性一成分現像装置「OKI MICROLINE 5400」(沖データ社製)にトナーを実装し、トナー付着量を0.50mg/cm2に調整して、20mm×30mmのベタ画像を「Color Copy90紙」(富士ゼロックスオフィスサプライ社製)に印字した。定着機を通過する前にベタ画像を取りだして未定着画像を得た。得られた未定着画像を有する用紙を非磁性一成分現像装置「OKI COREFIDO B431dn」(沖データ社製)の定着機を改造した外部定着機にて、定着ロール温度を130℃に設定し、120mm/secの定着速度で定着させた。その後、定着ロール温度を135℃に設定し、同等の操作を行った。これを230℃まで5℃ずつ上昇させながら行った。
得られた130℃〜230℃の定着画像を目視で確認し、ホットオフセットの発生が見られない定着ロールの最高温度を最高定着温度とした。結果を表3に示す。表中、「230<」は、230℃の定着画像でも、ホットオフセットの発生が見られなかったことを示す。
非磁性一成分現像装置「OKI COREFIDO B431dn」を改造したプリンターにトナーを充填し、印字率2%の文字画像を、A4サイズ(210mm×297mm)の用紙に、低温低湿(10℃・20%)の環境下で9000枚連続印刷する際に、1000枚印刷毎に、現像ローラー表面のスジの発生状況を目視で観察し、初めてスジの発生が認められた枚数を1000で割り1引いた数値をスジ抑制の指標とした。すなわち、6000枚印刷した時に初めてスジの発生が認められた場合には、(6000/1000)-1=「5」となる。数値が大きいほどスジの抑制に優れる。結果を表3に示す。表中、「9」は、9000枚印刷してもスジの発生が認められなかったことを示す。
非磁性一成分現像装置「OKI COREFIDO B431dn」を改造したプリンターにトナーを充填し、印字率2%の文字画像を、A4サイズ(210mm×297mm)の用紙に、高温高湿(32℃・85%)の環境下で9000枚連続印刷する際に、1000枚印刷毎に、白紙が通紙途中にある有機感光体(OPC)上のトナーをメンディングテープに付着させ、画像濃度測定器「SPM-50」(Gretag社製)を用いて着色濃度を測定し、トナーを付着させる前のメンディングテープ自身の着色濃度との差を求め、初めて着色濃度の差が0.05以上になる枚数を1000で割り1引いた数値をカブリ抑制の指標とした。すなわち、6000枚印刷した時に初めてカブリの発生が認められた場合には、(6000/1000)-1=「5」となる。数値が大きいほどカブリの抑制に優れる。結果を表3に示す。表中、「9」は、9000枚印刷してもカブリの発生が認められなかったことを示す。
Claims (5)
- 結着樹脂、着色剤、離型剤、及び荷電制御剤を含有してなるトナーであって、
前記結着樹脂が、軟化点の異なる樹脂Hと樹脂Lを含有し、
該樹脂Hが、軟化点が140℃以上170℃以下であり、3価以上の多価アルコール及び3価以上の多価カルボン酸成分の含有量が、アルコール成分及びカルボン酸成分の総量中、1モル%以上である非線状ポリエステルであり、
該樹脂Lが、軟化点が85℃以上95℃以下、ピークトップ分子量が6000以上8000以下であり、3価以上の多価アルコール及び3価以上の多価カルボン酸成分の含有量が、アルコール成分及びカルボン酸成分の総量中、1モル%未満である線状ポリエステルであり、
該樹脂Hと樹脂Lの質量比(樹脂H/樹脂L)が50/50〜80/20であり、
前記離型剤が、炭素数26以上28以下のα-オレフィンを95モル%以上含有するモノマーを重合して得られるα-オレフィン系重合体を含有し、
該α-オレフィン系重合体の含有量が、結着樹脂100質量部に対して0.5質量部以上10質量部以下である、トナー。 - 樹脂Hの軟化点が、145℃以上160℃以下である、請求項1記載のトナー。
- 樹脂Lのピークトップ分子量が、6500以上7800以下である、請求項1又は2記載のトナー。
- α−オレフィン系重合体の融点が、60℃以上90℃以下である、請求項1〜3いずれか記載のトナー。
- 溶融混練法による粉砕トナーである、請求項1〜4いずれか記載のトナー。
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