JP6218916B1 - 磁性粒子分散液 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明が解決しようとする課題は、磁性粒子自体の機能の低下を抑制でき、保存安定性に優れる磁性粒子分散液を提供することである。
本発明の構成例は以下の通りである。
<5> 前記磁性粒子が有する極性基およびリガンドの含有量が、0.1〜100μmol/gである、<4>に記載の分散液。
<6> 前記磁性粒子が有する極性基およびリガンドのパーキングエリアが、2.5(平方Å/極性基およびリガンド)以上である、<4>または<5>に記載の分散液。
エステル結合含有のポリマー層を有する磁性粒子、
アミノ基、アルデヒド基、カルボキシ基、トシル基、メルカプト基、ヒドロキシ基、エポキシ基およびエステル基からなる群より選ばれる少なくとも1つの極性基を有する磁性粒子、
エステル結合を介してリガンドが結合された磁性粒子、または、
環状アミド結合含有またはエステル結合含有のリガンドが結合された磁性粒子である、
<1>〜<7>のいずれかに記載の分散液。
従って、本発明によれば、長期にわたり、磁性粒子の機能を維持することができるため、長期間保存した磁性粒子分散液を使用しても、所望の結果、例えば、抗原や抗体の感作量の低下が抑制され、高い検出感度を維持することができるため、本発明に係る磁性粒子分散液は、生化学用途等に好適に使用することができる。
本発明に係る磁性粒子分散液(以下「本分散液」ともいう。)は、磁性粒子と、イソチアゾリン化合物と、水系媒体とを含む。
このような本分散液によれば、前記効果を奏する理由は必ずしも明らかではないが、イソチアゾリン化合物が磁性粒子表面を被覆し、または、磁性粒子表面に吸着し、磁性粒子表面を疎水性雰囲気にすることで、磁性粒子自体の機能の低下を抑制することができ、さらに、イソチアゾリン化合物自体が防腐/殺菌効果を有するため、保存安定性に優れる磁性粒子分散液を得ることができると考えられる。
免疫診断などの生化学用途等に適する磁性粒子は、好ましくは表面にポリマー層を有する。このようなポリマー層としては、非水溶性かつ疎水的な表面を有する層が用いられているが、該表面には夾雑物が付着しやすい。免疫診断等の際には夾雑物がノイズとなって検出されることがあるため、粒子表面に親水化処理を施すことで、夾雑物の付着を抑制し、ノイズを低減する等の処理が行われている。しかしながら、磁性粒子に親水化処理を施した場合であって、特に、アジ化ナトリウムのようなアルカリ性の化合物が磁性粒子分散液中に存在する場合には、親水化処理された粒子表面のポリマーが加水分解を受けやすく、リガンドやリガンドを固定化するための極性基が粒子表面から脱離してしまい、結果として抗体等の感作量の低下を招くといった、磁性粒子自体の機能の低下等の点で問題があることがわかった。一方で、本発明のように、磁性粒子分散液にイソチアゾリン化合物を添加すると、磁性粒子表面を被覆し、または、粒子表面に吸着し、粒子表面を疎水性雰囲気に変えることができると考えられる。粒子表面の親水性が高い場合には、塩基性条件下で加水分解が進行し、時間が経つとエステル結合などが加水分解される一方、イソチアゾリン化合物は比較的疎水性が高いため、イソチアゾリン化合物が磁性粒子に保持されることで、磁性粒子表面のポリマー層の吸水性を減少させることができる結果、水和による膨潤が抑制され、アルカリによるリガンドやリガンドを固定化するための極性基の加水分解などが低減されると推測される。
前記磁性粒子としては、磁気誘導により容易に磁化され得る材料を含む粒子であれば特に制限されず、従来公知の粒子を用いることができるが、本発明の効果がより発揮される等の点から、ポリマー(樹脂)層、極性基またはリガンドを有する粒子であることが好ましく、水系媒体中において安定な不溶性の磁性粒子であることが好ましい。
磁性粒子は、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
これらの中でも、粒径が50nm以下、好ましくは5〜30nmの酸化鉄系の超常磁性微粒子が好ましく、AFe2O4(Aは、Mn、Co、Ni、Mg、Cu、ZnまたはLi0.5Fe0.5等)で表されるフェライト、マグネタイト(Fe3O4)またはγ−Fe2O3を含む超常磁性微粒子がより好ましく、飽和磁化が強く、かつ残留磁化が少ない等の点から、γ−Fe2O3およびFe3O4からなる超常磁性微粒子が特に好ましい。
前記極性基は、通常、前記ポリマー層上に形成される。
前記リガンドは、通常、前記極性基を介して担持される。
前記加水分解され得る構造としては、前記ポリマー層中に含まれるエステル結合、リガンドを結合するエステル結合、リガンド中に含まれる環状アミド結合またはエステル結合等が挙げられる。
前記極性基や加水分解され得る構造を有する磁性粒子は、生化学用途等に好適に使用されるが、これらの基は、水系媒体中で分解等が起こり、該磁性粒子を水系媒体中で保存する場合には、該磁性粒子自体の機能の低下が生じやすかった。本発明者が鋭意検討した結果、イソチアゾリン化合物を用いることで、前記極性基や加水分解され得る構造を有する磁性粒子を用いても、このような磁性粒子自体の機能の低下を抑制できることが分かったため、生化学用途等に好適に使用できる等の点から、本発明では、前記極性基や加水分解され得る構造を有する磁性粒子を用いることが好ましい。
このような核粒子は、従来公知の方法、例えば、特公昭57−24369号公報、特開昭61−215602号公報、特開昭61−215603号公報、特開昭61−215604号公報に記載の方法によって製造することができる。
なお、核粒子の平均粒径は、電子顕微鏡写真中の無作意に選択した100個の粒子の粒径の平均値である。
極性基およびリガンドの含有量は、実施例に記載の方法に従い測定すればよい。
ここで、パーキングエリアとは、磁性粒子表面において1つの極性基およびリガンドが占める面積(=磁性粒子の表面積/極性基およびリガンドの含有量)を示す指標をいう。一般的に、リガンドの結合量はパーキングエリアの数値に反比例し、パーキングエリアが大きいほどリガンド結合量は少なくなる。
本分散液中にイソチアゾリン化合物を添加することにより、本分散液を保存した際に、細菌や黴等が増殖して異物が発生することを抑制することができるのみならず、酵素や抗体等のリガンドに対して低毒性であり、驚くべきことに磁性粒子自体の機能の低下を抑制でき、特に、磁性粒子からの極性基または加水分解され得る構造の分解等を抑制することができる。
イソチアゾリン化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
前記置換もしくは非置換の炭化水素基の炭素数は、好ましくは1〜12、より好ましくは2〜10、特に好ましくは4〜8である。
R1〜R3における置換の炭化水素基としては、前記炭化水素基が、ハロゲン原子、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基等の置換基で置換された基が挙げられる。
前記脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。
特に、磁性粒子自体の機能の低下を抑制できる等の点から、R1としては、炭素数4〜8の炭化水素基が好ましい。
R4における置換もしくは非置換の炭化水素基としては、前記R1〜R3における置換もしくは非置換の炭化水素基と同様の基等が挙げられる。
R5における有機基としては、前記R2およびR3における有機基と同様の基等が挙げられる。
本分散液は、水系媒体を使用するため、特に、生化学用途等に好適に使用することができ、環境に対して悪影響を及ぼす程度が低くなり、取扱作業者に対する安全性も高くなる。
前記水系媒体としては、水を含有すれば特に制限されず、1種または2種以上の水以外の非水媒体を含んでいてもよい。
本分散液は、前記磁性粒子、イソチアゾリン化合物および水系媒体の他に、従来公知の添加剤を本発明の効果を損なわない範囲で配合してもよく、このような添加剤としては、例えば、界面活性剤、分散剤、pH調整剤、塩類および、アルブミンなどのタンパク質や高分子ポリマーなどの安定化剤が挙げられる。
本分散液のpHは特に制限されないが、生化学用途等に好適に使用することができ、磁性粒子の凝集を容易に抑制することができる等の点から、好ましくは2〜13であり、保存安定性により優れる磁性粒子分散液を得ることができる等の点から、より好ましくは4〜11、特に好ましくは6〜9である。
本分散液の用途は特に制限されないが、生化学用途、特に、免疫測定に好ましく使用される。本分散液はそのまま使用してもよく、磁性粒子を分離して使用してもよく、後者の場合には、いったん磁性粒子を集磁して分散液中から磁性粒子を分離して洗浄し、イソチアゾリン化合物を洗い落としてから使用してもよい。
反応工程の好適例としては、磁性粒子を、測定対象物質と反応させることにより、磁性粒子上に固定化されたリガンド、好適には測定対象物質と特異的に結合する抗体または抗原を介して、該測定対象物質を磁性粒子へ捕捉させる工程が挙げられる。なお、この反応工程の際には、測定対象物質に特異的に結合し得る標識された抗体等を共存させてもよい。
また、前記反応は、例えば、室温〜42℃で、5〜60分間行われる。
また、重合体で処理した磁性流体を用いてもよく、この場合には、当該重合体が存在した状態のまま前記反応を行ってもよい。
なお、重合体による磁性粒子の処理を予め行なっておく場合は、適当な容器中で、重合体溶液と磁性粒子を含む溶液を1〜60分程度、好ましくは2〜10分程度撹拌した後、磁性粒子を回収し、前記の反応工程に用いればよい。
洗浄工程では、前記反応工程の後、測定対象物質を捕捉した磁性粒子を含む反応系を洗浄して、未反応の成分や未反応の標識物質等を除去するB/F分離を行う。
未反応の物質を磁性粒子から洗浄・分離除去する方法としては、好ましくは、反応容器に磁場を作用させ、磁性粒子を反応容器壁に付着させて集めた後、反応上清を除去し、さらに必要に応じて適当な洗浄液(例:0.01%TritonX100含有TBS(20mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 0.9% NaCl、pH7.4))を加え、同様に磁場を作用させた後上清を除去する操作を繰り返す方法が挙げられる。
測定工程では、前記洗浄工程の後、磁性粒子に捕捉された測定対象物質を測定する。該測定は、公知の免疫測定法、すなわち、酵素免疫測定法(EIA)、放射免疫測定法(RIA)、蛍光免疫測定法(FIA)等により行なうことができる。例えば、標識物質が化学発光物質または蛍光色素であれば、標識物質が発する発光または蛍光を、標識物質が酵素であれば、この酵素活性を測定することにより、測定対象物質を測定することができる。また、標識物質がラジオアイソトープ(放射性同位体)である場合には、標識物質の放射活性を測定すればよい。
サンドイッチ法に基づいて測定する場合は、測定対象物質に特異的に結合し得る標識された抗体(二次抗体)が添加され、測定対象物質を介して磁性粒子に固定化された二次抗体の標識体に応じて測定が行われる。
好適な検出法としては、酵素標識された二次抗体に対して、当該酵素に特異的な基質(発色基質、蛍光基質、化学発光基質)を反応させ、発色、蛍光、発光等を生じさせてそのシグナルを測定機器で検出する方法が挙げられ、特に高感度検出が可能な化学発光基質を用いる方法が好ましい。
実施例における各分析条件は以下に示すとおりである。
磁性粒子表面のカルボキシ基量は、Metrohm社製の794 Basic Titrinoを用い、電気伝導度測定法により測定した。
磁性粒子表面のトシル基量は、表面をトシル化した粒子100mgを純水1mLで3回洗浄した後、1.0Mエタノールアミン1mL中で24時間、回転撹拌することで、粒子表面からp−トルエンスルホン酸を脱離させ、得られた溶液から粒子を除去した後、得られた溶液中の261nm(ε=331)の吸光度を測定することにより求めた。
磁性粒子表面に結合したProtein G量は、マウスIgG補足量を測定することにより算出した。
まず、Protein G結合磁性粒子2mgに、0.1MのTBS/0.01%Tween20水溶液(pH7.4)に溶解させたマウスIgG(40μg/mL)を200μL添加し、室温下30分反応させた。磁気分離した後に上清を除去し、TBS/0.01%Tween20水溶液(pH7.4)を用いて粒子を3回洗浄した。その後、100mMグリシン緩衝液(pH2.3)を200μL添加してマウスIgGを溶出させ、得られた溶液から粒子を除去した後、得られた溶液中の280nmの吸光度を測定することにより磁性粒子表面に結合しているProtein G量を算出した。
磁性粒子に結合したOligoDNA量は、フルオロセイン標識した前記OligoDNAと相補鎖を形成するOligoDNA 500pmolを、OligoDNA結合磁性粒子3mgと遮光チューブ内にて反応させ、30分間撹拌した後に、上清に残存する蛍光標識OligoDNA量を蛍光分光光度計((株)島津製作所製:RF−6000、励起490nm、検出520nm)で測定することにより定量した。
磁性粒子に結合したMouse IgG量の測定は、化学発光酵素免疫測定(CLEIA)法、具体的には下記方法により行った。
まず、Mouse IgG結合磁性粒子を、BSAを含有した50mMのTBS/0.01%Tween20水溶液(pH7.5)に溶解して、磁性粒子の2質量%溶液を調製し、該調製した溶液25μLを96well白色プレート(corning社製)の各ウェルへ分注した。続いで、PSA抗原(0〜25ng/mL)含有ヒト血清または標準溶液25μL、さらにALP(アルカリホスファターゼ)標識抗PSA抗体液25μLを順次分注し、25℃で10分間反応させた。磁気分離にて粒子を分離した後、96wellプレート用ウォッシャー(テカンジャパン(株)製、Hydro Flex)を用い、トリスバッファー/0.01%Triton X−100で洗浄を行った後、ALPの基質液(ルミパルス基質液:富士レビオ(株)製)を添加し、25℃で5分間反応させ、発光強度を化学発光測定機(ARVO X5、PerkinElmer社製)を用いて測定した。
磁性粒子に結合したStreptavidin量は、蛍光標識したビオチン(Lucifer YellowCadaverin BiotinX、Life Technology社製)2000pmolを、Streptavidin結合磁性粒子1mgと遮光チューブ内にて反応させた後に、上清に残存する蛍光標識ビオチン量を蛍光分光光度計((株)島津製作所製:RF−6000、励起440nm、検出530nm)で測定することにより定量した。
レーザ回折式粒度分布測定装置((株)島津製作所製)SALD−200Vにより、粒子の体積平均粒径を測定した。
パーキングエリアの算出は、以下の方法を用いて実施した。まず、前記方法で測定した粒子の体積平均粒径と、粒子の平均密度:1.32g/cm3を用いて単位重量あたりの表面積を算出し、同じく、前記方法で測定した各粒子の単位重量あたりの極性基およびリガンド量で割ることにより、パーキングエリアを算出した。
生菌数試験は、Milliflex(Merck Millipore社製、MXPPLUSU01)を用いたメンブレンフィルター(MF)法により、n=3で実施した。
まず、各実施例および比較例において作製した10質量%の磁性粒子を含む分散液2mLに、BioBall SingleShot30 Staphylococcus aureus(シスメックス・ビオメリュー(株)製、品番56045)を添加し、よく撹拌した後、MFユニット(メルクミリポア社製、品番:MSP000865)を用いて吸引濾過した。リン酸緩衝液10mLを用いて3回洗浄を行った後に、MFをミリフレックス用SCDA培地(メルクミリポア、品番:MXSMCTS48)にセットし、33℃に設定したインキュベーターで72時間培養を行った。培地中のコロニー数は目視で確認を行い、純水にBioBallを溶解させた際のコロニー数と比較した。
1.1 核粒子の作製
75%ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド溶液((株)日油製、「パーロイル355−75(S)」、以下「パーロイル」という。)2質量部を1質量%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液20質量部と混合し、超音波分散機にて微細乳化した。これを粒径0.77μmのポリスチレン粒子13質量部および水41質量部の入ったリアクターに入れ、25℃で12時間撹拌した。別の容器でメチルメタクリレート(以下「MMA」という。)95質量部およびトリメチロールプロパントリメタクリレート(以下「TMP」という。)5質量部を0.1%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液400質量部中で乳化させた後、得られた乳化液を前記リアクターに入れ、40℃で2時間撹拌した後、75℃に昇温して8時間重合した。室温まで冷却後、遠心分離により粒子のみ取り出したものをさらに水洗し、乾燥、粉砕した。これを核粒子A−1とする。粒径は1.5μmであった。
油性磁性流体(商品名:「EXPシリーズ」、(株)フェローテック製)にアセトンを加えて粒子を析出沈殿させた後、これを乾燥することにより、疎水化処理された表面を有するフェライト系の超常磁性微粒子(平均一次粒子径:0.02μm)を得た。
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5質量%水溶液333質量部を1Lセパラブルフラスコに投入し、次いで、母粒子A−2(13.3質量部)を投入し、ホモジナイザーで分散した後、60℃に加熱した。別の容器に入れたドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5質量%水溶液100質量部に、MMA18質量部、TMP2質量部およびパーロイル0.4質量部を分散させたプレエマルションを、60℃にコントロールした前記1Lセパラブルフラスコに2時間かけて滴下することで、母粒子表面に第1ポリマー層を形成した。
得られた磁性粒子A−3(1.0質量部)に、1質量%硫酸水溶液10質量部を加え、超音波を5分間照射して粒子を分散させ、次いで、60℃で5時間撹拌した。続いて、得られた液から磁性粒子を磁気分離により単離し、純水に分散させ磁気分離して洗浄する操作を5回繰り返すことによりOH基含有磁性粒子A−4を得た。
磁性粒子A−4(1.0質量部)を1,3−ジオキソランで3回洗浄した後、10質量部の1,3−ジオキソランに分散させ、そこに、1質量部の無水コハク酸と0.15質量部のトリエチルアミンを溶解した溶液を加え、25℃で4時間撹拌した(カルボキシ基の導入)。反応終了後、磁気により、得られた粒子を分離し、1,3−ジオキソランで3回、続いて蒸留水で4回洗浄することでカルボキシ基含有磁性粒子(磁性粒子A−5)を得た。得られた磁性粒子A−5を、Aldrich社製のProClin950を用い、pH7.0に調整した0.01質量% 2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(以下「MIT」という。)水溶液に分散させ、磁性粒子A−5を10質量%含む分散液を調製した。この粒子のカルボキシ基量は10μmol/g、パーキングエリアは25.2平方Å/カルボキシ基であった。
前記磁性粒子A−5を、pH9.0に調整した0.01質量%MIT水溶液に分散させ、該磁性粒子を10質量%含む分散液を調製した。
得られた分散液を用いた以外は実施例1と同様にして、4℃半減期、速度定数k、80%時間および2年後割合を算出した。結果を表1に示す。
また、得られた分散液を用い、前記生菌数試験を実施したところ、微生物の発育を完全に阻害できていることが確認された。
前記磁性粒子A−5を、Aldrich社製の5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(以下「CMIT」という。)を用い、pH7.0に調整した0.01質量%CMIT水溶液に分散させ、該磁性粒子を10質量%含む分散液を調製した。
得られた分散液を用いた以外は実施例1と同様にして、4℃半減期、速度定数k、80%時間および2年後割合を算出した。結果を表1に示す。
また、得られた分散液を用い、前記生菌数試験を実施したところ、微生物の発育を完全に阻害できていることが確認された。
前記磁性粒子A−5を、Aldrich社製のProClin300を用い、pH7.0に調整した0.001質量%のCMITとMITとの混合水溶液に分散させ、該磁性粒子を10質量%含む分散液を調製した。
得られた分散液を用いた以外は実施例1と同様にして、4℃半減期、速度定数k、80%時間および2年後割合を算出した。結果を表1に示す。
また、得られた分散液を用い、前記生菌数試験を実施したところ、微生物の発育を完全に阻害できていることが確認された。
前記磁性粒子A−5を、Aldrich社製の1,2−ベンゾイソチアゾール−3(2H)−オン(以下「BIT」ともいう。)を用い、pH7.0に調整した0.001質量%BIT水溶液に分散させ、該磁性粒子を10質量%含む分散液を調製した。
得られた分散液を用いた以外は実施例1と同様にして、4℃半減期、速度定数k、80%時間および2年後割合を算出した。結果を表1に示す。
また、得られた分散液を用い、前記生菌数試験を実施したところ、微生物の発育抑制効果は確認されなかったが、BITの濃度を0.05質量%にしたところ、微生物の発育を完全に阻害できていることが確認された。
前記磁性粒子A−5を、Aldrich社製の2−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(以下「OIT」という。)を用い、pH7.0に調整した0.001質量%OIT水溶液に分散させ、該磁性粒子を10質量%含む分散液を調製した。
得られた分散液を用いた以外は実施例1と同様にして、4℃半減期、速度定数k、80%時間および2年後割合を算出した。結果を表1に示す。
また、得られた分散液を用い、前記生菌数試験を実施したところ、微生物の発育を一部阻害できていることが確認され、OITの濃度を0.01質量%にしたところ、微生物の発育を完全に阻害できていることが確認された。
前記磁性粒子A−5を、BOC Sciences社製の2−ブチル−1,2−ベンゾイソチアゾール−3−オン(以下「BBIT」ともいう。)を用い、pH7.0に調整した0.001質量%BBIT水溶液に分散させ、該磁性粒子を10質量%含む分散液を調製した。
得られた分散液を用いた以外は実施例1と同様にして、4℃半減期、速度定数k、80%時間および2年後割合を算出した。結果を表1に示す。
また、得られた分散液を用い、前記生菌数試験を実施したところ、微生物の発育抑制効果は確認されなかったが、BBITの濃度を0.05質量%にしたところ、微生物の発育を完全に阻害できていることが確認された。
前記磁性粒子A−4(1.0質量部)をアセトニトリルで3回洗浄した後、10質量部のアセトニトリルに分散させ、そこに、0.02質量部のパラトルエンスルホニルクロライド(和光純薬工業(株)製)と0.03質量部のトリブチルアミンとを加え、25℃で4時間撹拌した(トシル基の導入)。反応終了後、磁気により得られた粒子を分離し、アセトニトリルで3回、続いて蒸留水で4回洗浄してから、ProClin950を用い、pH7.0に調整した0.001質量%MIT水溶液に分散させ、トシル基含有磁性粒子(磁性粒子A−6)を10質量%含む分散液を調製した。この粒子のトシル基量は76μmol/g、パーキングエリアは3.3平方Å/トシル基であった。
前記磁性粒子A−5(1.0質量部)を、100mM MES(2-Morpholinoethanesulfonic acid, monohydrate)水溶液(pH5.0)で2回洗浄した。洗浄後の液を、磁気分離して上清を除き、100mM MES水溶液(pH5.0)10質量部およびProtein G0.03質量部を加え、さらにEDC(1−エチル−3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩((株)同仁化学研究所製))0.1質量部を加え、25℃で15時間転倒混和した。反応終了後、磁気分離して上清を除き、ProClin950を用い、pH7.2に調整した、0.01質量%のMITを含む50mMトリスバッファー/0.1%Tween20水溶液に分散させ、Protein G担持磁性粒子(磁性粒子A−7)を10質量%含む分散液を調製した。この粒子のProtein G結合量は0.067μmol/gであった。
前記磁性粒子A−5(1.0質量部)を、100mM MES水溶液(pH5.5)で2回洗浄した。洗浄後の液を、磁気分離して上清を除き、100mM MES水溶液(pH5.5)10質量部およびOligoDNA0.025質量部を加え、さらにEDC((株)同仁化学研究所製)0.12質量部を加え、50℃で18時間転倒混和した。反応終了後、磁気分離して上清を除き、ProClin950を用い、pH7.2に調整した、0.01質量%のMITを含む50mMトリスバッファー/0.1%Tween20水溶液に分散させることにより、OligoDNA担持磁性粒子(磁性粒子A−8)を10質量%含む分散液を調製した。この粒子のOligoDNA結合量は0.13μmol/gであった。
前記磁性粒子A−5(1.0質量部)を、100mM MES水溶液(pH5.0)で2回洗浄した。洗浄後の液を、磁気分離して上清を除き、100mM MES水溶液(pH5.0)10質量部およびMouse IgG溶液(抗PSA抗体、クローン名C157)0.01質量部を加え、さらにEDC((株)同仁化学研究所製)0.1質量部を加え、25℃で1時間転倒混和した。反応終了後、磁気分離して上清を除き、ProClin950を用い、pH7.2に調整した、0.01質量%のMITを含む50mMトリスバッファー/0.1%Tween20水溶液に分散させることにより、Mouse IgG担持磁性粒子(磁性粒子A−9)を10質量%含む分散液を調製した。この粒子のMouse IgG結合量は0.053μmol/gであった。
前記磁性粒子A−5(1.0質量部)を、100mM MES水溶液(pH5.0)で2回洗浄した。洗浄後の液を、磁気分離して上清を除き、100mM MES水溶液(pH5.0)20質量部およびStreptavidin溶液(Roche社製、Streptavidin,reconbinat)0.02質量部を加え、さらにEDC((株)同仁化学研究所製)0.02質量部を加え、25℃で1時間転倒混和した。反応終了後、磁気分離して上清を除き、ProClin950を用い、pH7.5に調整した、0.01質量%のMITを含む50mMトリスバッファー/0.1%Tween20水溶液に分散させることにより、Streptavidin担持磁性粒子(磁性粒子A−10)を10質量%含む分散液を調製した。この粒子のStreptavidin結合量は0.1375μmol/gであった。
前記カルボキシ基含有磁性粒子A−5を、pH7.0に調整した0.09質量%アジ化ナトリウム(和光純薬工業(株)製)水溶液に分散させ、該磁性粒子を10質量%含む分散液を調製した。
得られた分散液を用いた以外は実施例1と同様にして、4℃半減期、速度定数k、80%時間および2年後割合を算出した。結果を表2に示す。
また、得られた分散液を用い、前記生菌数試験を実施したところ、微生物の発育を完全に阻害できていることが確認された。
前記カルボキシ基含有磁性粒子A−5を、pH9.0に調整した0.09質量%アジ化ナトリウム(和光純薬工業(株)製)水溶液に分散させ、該磁性粒子を10質量%含む分散液を調製した。
得られた分散液を用いた以外は実施例1と同様にして、4℃半減期、速度定数k、80%時間および2年後割合を算出した。結果を表2に示す。
また、得られた分散液を用い、前記生菌数試験を実施したところ、微生物の発育を完全に阻害できていることが確認された。
前記カルボキシ基含有磁性粒子A−5を、純水(pH7.0)に分散させ、該磁性粒子を10質量%含む分散液を調製した。
得られた分散液を用いた以外は実施例1と同様にして、4℃半減期、速度定数k、80%時間および2年後割合を算出した。結果を表2に示す。
また、得られた分散液を用い、前記生菌数試験を実施したところ、微生物の発育抑制効果は確認されなかった。
トシル基含有磁性粒子A−6を、pH7.0に調整した0.09質量%アジ化ナトリウム(和光純薬工業(株)製)水溶液に分散させ、該磁性粒子を10質量%含む分散液を調製した。
得られた分散液を用いた以外は実施例8と同様にして、4℃半減期、速度定数k、80%時間および2年後割合を算出した。結果を表2に示す。
また、得られた分散液を用い、前記生菌数試験を実施したところ、微生物の発育を完全に阻害できていることが確認された。
Protein G担持磁性粒子A−7を、pH7.2に調整した、0.09質量%のアジ化ナトリウムを含む50mMトリスバッファー/0.1%Tween20水溶液に分散させ、該磁性粒子を10質量%含む分散液を調製した。
得られた分散液を用いた以外は実施例9と同様にして、4℃半減期、速度定数k、80%時間および2年後割合を算出した。結果を表2に示す。
また、得られた分散液を用い、前記生菌数試験を実施したところ、微生物の発育を完全に阻害できていることが確認された。
OligoDNA担持磁性粒子A−8を、pH7.2に調整した、0.09質量%のアジ化ナトリウムを含む50mMトリスバッファー/0.1%Tween20水溶液に分散させ、該磁性粒子を10質量%含む分散液を調製した。
得られた分散液を用いた以外は実施例10と同様にして、4℃半減期、速度定数k、80%時間および2年後割合を算出した。結果を表2に示す。
また、得られた分散液を用い、前記生菌数試験を実施したところ、微生物の発育を完全に阻害できていることが確認された。
Mouse IgG担持磁性粒子A−9を、pH7.2に調整した、0.09質量%のアジ化ナトリウムを含む50mMトリスバッファー/0.1%Tween20水溶液に分散させ、該磁性粒子を10質量%含む分散液を調製した。
得られた分散液を用いた以外は実施例11と同様にして、4℃半減期、速度定数k、80%時間および2年後割合を算出した。結果を表2に示す。
また、得られた分散液を用い、前記生菌数試験を実施したところ、微生物の発育を完全に阻害できていることが確認された。
Streptavidin担持磁性粒子A−10を、pH7.5に調整した、0.09質量%のアジ化ナトリウムを含む50mMトリスバッファー/0.1%Tween20水溶液に分散させ、該磁性粒子を10質量%含む分散液を調製した。
得られた分散液を用いた以外は実施例12と同様にして、4℃半減期、速度定数k、80%時間および2年後割合を算出した。結果を表2に示す。
また、得られた分散液を用い、前記生菌数試験を実施したところ、微生物の発育を完全に阻害できていることが確認された。
また、イソチアゾリン化合物を適切な濃度で用いることにより、磁性粒子(分散液)の保存安定性の向上のみならず、高い防腐効果も付与できることが確認された。
Claims (11)
- イソチアゾリン化合物と、水系媒体と、極性基またはリガンドを有する磁性粒子とを含み、
前記磁性粒子100質量部に対して、前記イソチアゾリン化合物を0.001〜10質量部含有し、
前記磁性粒子が有する極性基およびリガンドのパーキングエリアが、2.5(平方Å/極性基およびリガンド)以上である、
磁性粒子分散液。 - 前記磁性粒子がポリマー層を有する、請求項1〜2のいずれか1項に記載の分散液。
- 前記磁性粒子が有する極性基およびリガンドの含有量が、0.1〜100μmol/gである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の分散液。
- 前記磁性粒子が、加水分解され得る構造を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の分散液。
- 前記磁性粒子が、
エステル結合含有のポリマー層を有する磁性粒子、
アミノ基、アルデヒド基、カルボキシ基、トシル基、メルカプト基、ヒドロキシ基、エポキシ基およびエステル基からなる群より選ばれる少なくとも1つの極性基を有する磁性粒子、
エステル結合を介してリガンドが結合された磁性粒子、または、
環状アミド結合含有またはエステル結合含有のリガンドが結合された磁性粒子である、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の分散液。 - 前記磁性粒子の体積平均粒径が0.1〜10μmである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の分散液。
- 前記磁性粒子が2,3−ジヒドロキシプロピル基を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の分散液。
- 前記磁性粒子が、第1ポリマー層とその上に形成された極性基を有する第2ポリマー層とを有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の分散液。
- 前記磁性粒子がポリマー層を有し、該ポリマー層、極性基またはリガンド量の減少速度定数(反応速度定数)が、3.0×10-9sec-1以下である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の分散液。
- 水系媒体と、極性基またはリガンドを有する磁性粒子と、該磁性粒子100質量部に対して、0.001〜10質量部のイソチアゾリン化合物とを接触させる、磁性粒子分散液の保存方法であって、
前記磁性粒子が有する極性基およびリガンドのパーキングエリアが、2.5(平方Å/極性基およびリガンド)以上である、
磁性粒子分散液の保存方法。
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