JP6218464B2 - 圧力スイング吸着装置の使用方法と圧力スイング吸着装置 - Google Patents
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Description
更に、このような圧力スイング吸着装置を使用して高濃度の酸素を製造し、製造した高濃度の酸素を24〜28%程度にまで空気で希釈して酸素富化空気とした後、その酸素富化空気をガス燃焼用空気として使用するストーカ式ごみ焼却炉も知られている(例えば、特許文献2参照)。
このように、圧力スイング吸着装置により高濃度の酸素を製造し、その後、空気で希釈して使用するのは、装置そのものは小さく、動力も低下でき、その方が効率的であるという理由による(例えば、非特許文献1参照)。
そのため、回収工程開始時に回収槽内の圧力が比較的高くなり、吸着槽内と回収槽内との圧力差によって、吸着槽内に残存する高濃度の酸素を含む回収ガスを回収槽に回収する回収工程において、回収ガスを十分に回収することができず、その後の脱着工程時に、高濃度の酸素を含む比較的多量の回収ガスを装置外へ排出する結果を招いていた。
この図3に示す従来の圧力スイング吸着装置においては、上述したように、製品槽2の出口側に製品ガス供給配管12が接続され、当該製品ガス供給配管12に圧力調整弁13が設けられている。そして、後述する図1および図2に示す本発明に係る圧力スイング吸着装置の実施形態との対応を図るため、(A)〜(E)に示す各工程において、第1〜第4制御弁V1〜V4に関しては、開弁状態にあるものを白抜きで、閉弁状態にあるものを黒塗りで示し、各配管4、6〜9、12に関しては、ガスが通流しているものを太線と矢印で示し、ガスが通流していないものを細線で示してある。
また、吸着槽1、製品槽2、および、回収槽3は、本発明の実施形態と同様、その容積をそれぞれ0.25m3、と想定し、原料ガス槽6に関しても、本発明の実施形態と同様、0.5m3と想定しており、図中に記載の流量(m3N/h)と圧力(MPa)は、気温とガス温度が0℃のときの流量と絶対圧力を示す。
その他、後述する図1の本発明の実施形態と同じ構成については、重複を避けるために同じ符号を付すことで説明を省略する。
図3の(B)に示す回収工程では、第4制御弁V4が開弁し、第1〜第3制御弁V1、V2、V3が閉弁して、吸着槽1内と回収槽3内の圧力差により、吸着槽1内に残存する高濃度の酸素を含む回収ガスが、回収ガス用配管9を通って回収槽3に回収されるのであるが、回収工程開始時(吸着工程終了時)、回収槽3内の圧力は0.25MPaで、後述する本発明の実施形態に比べて比較的高くなる。
すなわち、最終的に87%程度の高濃度の酸素を必要とせず、例えば、上記特許文献2に記載のストーカ式ごみ焼却炉のように、高濃度の酸素を製造した後、その高濃度の酸素を空気で希釈して酸素富化空気として使用するような場合、回収工程において、回収ガスを十分に回収することができず、脱着工程時に、高濃度の酸素を含む比較的多量の回収ガスを装置外へ排出して、その結果、必要とする酸素の取得量が低下するという問題があった。
その他、詳しい説明は省略するが、図3の(C)に示す脱着工程は、5秒間実行されて、吸着槽1内の到達圧力が0.10MPa程度となり、図3の(D)に示す洗浄工程は、1秒間実行されて、吸着槽1内の到達圧力が0.10MPa程度、図3の(E)に示す昇圧工程は、10秒間実行されて、回収槽3内の到達圧力が0.25MPa程度となる。
収納された吸着槽に吸着ガスと製品ガスとを含む原料ガスを導入し、当該吸着ガスを前記吸着剤に吸着させて当該製品ガスを製品槽に収容する吸着工程と、当該吸着工程終了後、前記吸着槽内に残存する製品ガスを含む回収ガスを回収槽に回収する回収工程と、当該回収工程終了後、前記吸着剤に吸着された吸着ガスを脱着して前記吸着槽から排出する脱着工程と、当該脱着工程終了後、ガスを前記吸着槽に供給して当該吸着槽内を昇圧する昇圧工程とを繰り返し実行して原料ガスから製品ガスを製造する圧力スイング吸着装置の使用方法であって、
その特徴構成は、前記回収槽から槽内の回収ガスを外部に供給する回収ガス供給配管が設けられ、前記脱着工程終了後、前記回収槽内の回収ガスを前記吸着槽に供給して当該吸着槽内を昇圧する第1昇圧工程を実行し、前記第1昇圧工程終了後、前記製品槽内の製品ガスを前記吸着槽に供給して当該吸着槽内を更に昇圧する第2昇圧工程を実行し、前記第2昇圧工程終了後、前記吸着工程を実行し、前記吸着工程、前記回収工程、前記脱着工程、前記第1昇圧工程、および前記第2昇圧工程において、前記回収ガスが前記回収ガス供給配管を通って前記製品ガスとして外部へ取り出される点にある。
それに加えて、吸着槽内を昇圧する昇圧工程において、回収槽内の回収ガスを吸着槽に供給して昇圧する第1昇圧工程を実行した後、更に、製品槽内の製品ガスを吸着槽に供給して昇圧する第2昇圧工程を実行するので、第2昇圧工程を実行した分だけ、吸着槽内の圧力は高くなる。
したがって、吸着槽内と回収槽内との圧力差により吸着槽内に残存する回収ガスを回収する回収工程において、比較的多量の回収ガスを回収槽に回収して、その後の脱着工程時に、装置外へ排出する回収ガスの量を抑制し、その結果、製品ガスの取得量を大幅に向上させることができる。
図3の従来装置では、図3の(A)に記載のように、濃度87%の酸素が7.5m3N/h製造されるので、例えば、最終的に濃度27%の酸素富化空気として使用する場合、7.5m3N/h(酸素濃度87%)+75m3N/h(希釈空気)=82.5m3N/h(酸素濃度27%)となる。
それに対し、本発明装置では、図1の(A)に記載のように、濃度81%の酸素が22m3N/h製造されるので、22m3N/h(酸素濃度81%)+198m3N/h(希釈空気)=220m3N/h(酸素濃度27%)となる。
したがって、濃度27%の酸素富化空気の取得量の比は、220/82.5で、本発明装置によれば、従来の装置の約2.7倍となる。
また、電力使用量に関しては、両装置は同じであり、本発明装置では多量の希釈空気を必要とするため、その希釈空気の供給分だけ多くはなるが、大気圧に近い低圧の希釈空気を供給するだけなので少量の電力で済み、電力使用量も約2.7分の1に低減することになる。
その特徴構成は、前記回収槽から槽内の回収ガスを外部に供給する回収ガス供給配管が設けられ、前記脱着工程終了後、前記回収槽内の回収ガスを前記吸着槽に供給して当該吸着槽内を昇圧する第1昇圧工程を実行し、前記第1昇圧工程終了後、前記製品槽内の製品ガスを前記吸着槽に供給して当該吸着槽内を更に昇圧する第2昇圧工程を実行し、前記第2昇圧工程終了後、前記吸着工程を実行する工程制御装置を備え、前記吸着工程、前記回収工程、前記脱着工程、前記第1昇圧工程、および前記第2昇圧工程において、前記回収ガスが前記回収ガス供給配管を通って前記製品ガスとして外部へ取り出される点にある。
それに加えて、工程制御装置による制御により、吸着槽内を昇圧する昇圧工程において、回収槽内の回収ガスを吸着槽に供給して昇圧する第1昇圧工程を実行した後、更に、製品槽内の製品ガスを吸着槽に供給して昇圧する第2昇圧工程を実行するので、第2昇圧工程を実行した分だけ、吸着槽内の圧力は高くなる。
したがって、吸着槽内と回収槽内との圧力差により吸着槽内に残存する回収ガスを回収する回収工程において、比較的多量の回収ガスを回収槽に回収して、その後の脱着工程時に、装置外へ排出する回収ガスの量を抑制し、その結果、製品ガスの取得量を大幅に向上させることができる。
本発明の圧力スイング吸着装置は、例えば、大気中の空気から高濃度の酸素を製造するもので、図1および図2に示すように、吸着槽1を1槽のみ備え、製品槽2と回収槽3も1槽ずつ備えている。吸着槽1は、原料ガスとしての空気から吸着ガスとしての窒素(N2)を吸着して、製品ガスとしての高濃度の酸素(O2)を製造するもので、吸着槽1内には、空気中の窒素を吸着する窒素吸着剤として、例えば、LiLSX型ゼオライトが収納され、当該窒素吸着剤の下方には、窒素吸着剤に対する水分の悪影響(吸着性能の低下)を防止するために水分吸着剤としてのシリカゲルが収納されている。
吸着槽1の入口側には、吸着槽1に原料ガスである空気を供給する原料ガス供給配管4が接続され、原料ガス供給配管4には、原料ガスである空気を加圧するためのコンプレッサ5が接続されている。
吸着槽1の入口側には、更に、第1制御弁V1より吸着槽1側の原料ガス供給配管4の一部を共用する状態で、洗浄ガス排出配管7が接続され、当該洗浄ガス排出配管7に第2制御弁V2が設けられている。
吸着槽1の出口側には、製品ガス用配管8が接続され、当該製品ガス用配管8が、製品槽2に接続されるとともに、製品ガス用配管8に第3制御弁V3が設けられている。
回収槽3には、第4制御弁V4より回収槽3側の回収ガス用配管9の一部を共用する状態で、回収ガス供給配管10が接続され、当該回収ガス供給配管10を介して回収槽3内の回収ガスを外部に供給するように構成され、当該回収ガス供給配管10には流量制御弁11が設けられている。
そして、第1〜第4制御弁V1〜V4、流量制御弁11などは、全て図外の工程制御装置により制御され、後述する吸着工程、回収工程、脱着工程、洗浄工程、第1昇圧工程、第2昇圧工程を順次実行するように構成されている。
なお、図1および図2の(A)〜(F)に示す各工程において、第1〜第4制御弁V1〜V4に関しては、開弁状態にあるものを白抜きで、閉弁状態にあるものを黒塗りで示し、各配管4、7〜10に関しては、ガスが通流しているものを太線と矢印で示し、ガスが通流していないものを細線で示してある。
吸着槽1、製品槽2、および、回収槽3は、その容積をそれぞれ0.25m3と想定し、原料ガス槽6に関しては0.5m3と想定している。
また、図中に記載の流量(m3N/h)と圧力(MPa)は、気温とガス温度が0℃のときの流量と絶対圧力を示している。
外部には、回収ガス供給配管10を介して回収槽3内の回収ガスのみが取り出されて供給され、その取り出されるガスは、流量制御弁11により流量22m3N/hに流量制御され、0.12MPaで濃度81%の酸素が取り出される。
当該吸着工程は、30秒間実行され、吸着工程終了時には、吸着槽1内の到達圧力が0.56MPa、回収槽3内の到達圧力が0.12MPa程度となる。
当該回収工程は、10秒間実行され、コンプレッサ5により加圧された空気は原料ガス槽6に収納され、回収工程終了時には、吸着槽1と回収槽3内の到達圧力が0.33MPa程度となり、後続の脱着工程で排出される回収ガスを低減でき、外部へ供給する回収ガスの取得量を向上できる。
当該脱着工程中においても、回収槽3内の回収ガスが、回収ガス供給配管10を通って外部へ取り出される。
当該脱着工程は、5秒間実行され、コンプレッサ5で加圧された空気は原料ガス槽6に収納され、脱着工程終了時には、吸着槽1内の到達圧力が0.10MPa、回収槽2内の到達圧力が0.32MPa程度となる。
当該洗浄工程中においても、回収槽3内の回収ガスが、回収ガス供給配管10を通って外部へ取り出される。
当該洗浄工程は、1秒間実行され、コンプレッサ5で加圧された空気は原料ガス槽6に収納され、洗浄工程終了時には、吸着槽1内の到達圧力が0.10MPa、回収槽2内の到達圧力が0.31MPa程度となる。
当該第1昇圧工程中においても、回収槽3内の回収ガスが、回収ガス供給配管10を通って外部へ取り出される。
当該第1昇圧工程は、10秒間実行され、コンプレッサ5で加圧された空気は原料ガス槽6に収納され、第1昇圧工程終了時には、吸着槽1と回収槽3内の到達圧力が0.20MPa程度となり、引続いて、第2昇圧工程を実行する。
当該第2昇圧工程中においても、回収槽3内の回収ガスが、回収ガス供給配管10を通って外部へ取り出され、吸着工程、回収工程、脱着工程、洗浄工程、および、第1昇圧工程時と同様、流量22m3N/hで濃度81%の酸素が絶対圧力0.12MPaで取り出される。
当該第2昇圧工程は、2秒間実行され、コンプレッサ5で加圧された空気は原料ガス槽6に収納され、第2昇圧工程終了時には、吸着槽1内の到達圧力が0.30MPa程度となる。この第2昇圧工程を行った場合でも、回収槽3内の圧力は、第1昇圧工程で到達した0.20MPa程度であるため、後続の工程において回収槽3への回収ガスを従来より多く回収できる。
(1)上記実施形態では、脱着工程終了後、洗浄工程を実行し、その後、第1昇圧工程を実行するように構成した例を示したが、脱着工程の実行によって吸着剤から脱着した窒素を排出することが可能であるから、必ずしも洗浄工程を実行する必要はなく、脱着工程終了後、直ちに第1昇圧工程を実行するように構成することも可能である。
また、吸着槽1を1槽のみ備えた単槽式の圧力スイング吸着装置を示したが、吸着槽1を複数槽備えた複槽式の圧力スイング吸着装置にも適用可能である。
2 製品槽
3 回収槽
10 回収ガス供給配管
11 流量制御弁
Claims (4)
- 吸着剤が収納された吸着槽に吸着ガスと製品ガスとを含む原料ガスを導入し、当該吸着ガスを前記吸着剤に吸着させて当該製品ガスを製品槽に収容する吸着工程と、当該吸着工程終了後、前記吸着槽内に残存する製品ガスを含む回収ガスを回収槽に回収する回収工程と、当該回収工程終了後、前記吸着剤に吸着された吸着ガスを脱着して前記吸着槽から排出する脱着工程と、当該脱着工程終了後、ガスを前記吸着槽に供給して当該吸着槽内を昇圧する昇圧工程とを繰り返し実行して原料ガスから製品ガスを製造する圧力スイング吸着装置の使用方法であって、
前記回収槽から槽内の回収ガスを外部に供給する回収ガス供給配管が設けられ、
前記脱着工程終了後、前記回収槽内の回収ガスを前記吸着槽に供給して当該吸着槽内を昇圧する第1昇圧工程を実行し、
前記第1昇圧工程終了後、前記製品槽内の製品ガスを前記吸着槽に供給して当該吸着槽内を更に昇圧する第2昇圧工程を実行し、
前記第2昇圧工程終了後、前記吸着工程を実行し、
前記吸着工程、前記回収工程、前記脱着工程、前記第1昇圧工程、および前記第2昇圧工程において、前記回収ガスが前記回収ガス供給配管を通って前記製品ガスとして外部へ取り出される圧力スイング吸着装置の使用方法。 - 前記回収ガス供給配管に流量制御弁が設けられ、前記回収ガス供給配管から供給するガスの流量を制御する請求項1に記載の圧力スイング吸着装置の使用方法。
- 前記原料ガスが空気、前記吸着ガスが窒素、前記製品ガスが高濃度酸素である請求項1または2に記載の圧力スイング吸着装置の使用方法。
- 吸着剤が収納された吸着槽に吸着ガスと製品ガスとを含む原料ガスを導入し、当該吸着ガスを前記吸着剤に吸着させて当該製品ガスを製品槽に収容する吸着工程と、当該吸着工程終了後、前記吸着槽内に残存する製品ガスを含む回収ガスを回収槽に回収する回収工程と、当該回収工程終了後、前記吸着剤に吸着された吸着ガスを脱着して前記吸着槽から排出する脱着工程と、当該脱着工程終了後、ガスを前記吸着槽に供給して当該吸着槽内を昇圧する昇圧工程とを繰り返し実行して原料ガスから製品ガスを製造する圧力スイング吸着装置であって、
前記回収槽から槽内の回収ガスを外部に供給する回収ガス供給配管が設けられ、
前記脱着工程終了後、前記回収槽内の回収ガスを前記吸着槽に供給して当該吸着槽内を昇圧する第1昇圧工程を実行し、
前記第1昇圧工程終了後、前記製品槽内の製品ガスを前記吸着槽に供給して当該吸着槽内を更に昇圧する第2昇圧工程を実行し、
前記第2昇圧工程終了後、前記吸着工程を実行する工程制御装置を備え、
前記吸着工程、前記回収工程、前記脱着工程、前記第1昇圧工程、および前記第2昇圧工程において、前記回収ガスが前記回収ガス供給配管を通って前記製品ガスとして外部へ取り出される圧力スイング吸着装置。
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