以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1に、本実施形態の区分け処理システムの模式図を示し、図2に、本実施形態の搬送装置を包含する区分け装置等を示す模式図(図1のA矢視図)を示す。本実施形態の区分け処理システム10は、搬送物である郵便物12が流れる順にしたがって、フィーダー14、読取装置16、区分け装置18、自動結束装置60(結束機62、結束機68)、ベルトコンベアー86を有する。また結束機62で結束後の郵便物12を結束機68に搬送する搬送ロボット74(図2)と、結束機68において結束後の郵便物12をベルトコンベアー86に搬送する搬送ロボット(不図示)が備えられている。なお、フィーダー14、読取装置16、区分け装置18は一体であってもよい。
郵便物12は、例えば、封書(ダイレクトメール)であり、封書には、同封物に印刷された郵便番号、住所等の宛名の情報を読取装置16が読み込むため(差出人、配達人、受取人が視認するため)の透明な窓部(不図示)が設けられている。また郵便物12としては、ハガキ(圧着ハガキ)も適用できる。なお、郵便物12は、区分け装置18において区分け可能となるように、郵便番号など区分けの基準となる情報ごとにまとめて並べられた状態でフィーダー14に搭載される。
フィーダー14は、一定の時間間隔で遂次的に郵便物12(封書、ハガキ)を読取装置16に搬送するものである。なお、フィーダー14は、例えば、郵便物12である封書に同封物を封入するインサーター(封入封緘機)の搬出部とすることもできる。
読取装置16は、フィーダー14から遂次的に搬送される郵便物12を区分け装置18側に遂次的に搬送するとともに、郵便番号等の宛先の情報を付属のカメラ(不図示)で郵便物12が新たに搬送されてくるたびに読取り、宛先の情報の変化に基づいて、区分け装置18に信号を出力するものである。郵便物12が封書の場合は、封書に設けられた透明な窓部を通じて内部にある書類に記載された郵便番号等の宛先の情報を読み取る。宛先の情報は、郵便番号のみならず、住所、建物等、より詳細に郵便物12を区分けするための情報とすることが可能である。
区分け装置18は、読取装置16(フィーダー14)から搬送された郵便物12を積み上げるとともに、読取装置16から入力された信号に基づいて郵便物12を区分けして自動結束装置60に搬送するものである。図2に示すように、区分け装置18は、回転搬送装置20、区分け部54、プッシャー56により構成される。
回転搬送装置20は、読取装置16(フィーダー14)から搬送された郵便物12を区分け部54に搬送するものであるが、後述のように所定枚数ごとにその向きを反転させて区分け部54に搬送する。なお、回転搬送装置20は、プッシャー56の配置位置を確保するため読取装置16側に傾斜させて配置されている。
区分け部54は、回転搬送装置20から搬送された郵便物12を積み上げるために収容する箱状の機器であって、読取装置16から信号により郵便物12を区分けするものである。区分け部54の底面にはゲート(不図示)が配置されている。ゲート(不図示)は通常閉じられているが、読取装置16からの信号が入力されるとゲートが開き、区分け部54で積みあがった郵便物12を、区分け部54の真下に配置されたプッシャー56に供給する。
プッシャー56は、読取装置16からの信号により、または付属するセンサー(不図示)が郵便物12を検知した場合に、付属する単軸ロボット58を駆動させて郵便物12を結束機62(自動結束装置60)に搬送し、搬送後もとの位置(区分け部54の真下)に戻る動作をする。
図1に示すように、自動結束装置60は、結束機62、結束機68により構成され、結束バンド66,72を用いて郵便物12に対して所謂十字結束を行なうものである。結束機62は、結束ライン64にしたがって郵便物12に結束バンド66を結束させ、結束機68は、結束ライン70にしたがって郵便物12に結束バンド72を結束させる。結束ライン64と結束ライン70は互いに直交する。
図2に示すように、搬送ロボット74は、水平単軸ロボット76と、垂直単軸ロボット78と、爪駆動部80と、を有する。爪駆動部80は、結束機62上に配置された郵便物12を結束機62に押付けるとともに郵便物12上の結束機62の結束ライン64に重なる位置に爪部材82を繰り出すものである。これにより、郵便物12が爪駆動部80に圧縮された状態で結束機62が郵便物12を結束するが、爪部材82が結束バンド66と郵便物12との間に挟まれることになる。垂直単軸ロボット78は、爪駆動部80を垂直方向に移動させるものである。よって、爪部材82が郵便物12とともに結束された状態で垂直単軸ロボット78により爪駆動部80を上昇させると、結束された郵便物12が爪部材82により持ち上げられることになる。
水平単軸ロボット76は、垂直単軸ロボット78を結束機62の真上となる位置から結束機68の真上となる位置(図1)まで移動させるものである。よって、水平単軸ロボット76が垂直単軸ロボット78を結束機68の真上にまで移動させたのち、垂直単軸ロボット78が爪駆動部80を下降させることにより、結束機62で結束後の郵便物12を結束機68に搬送することができる。さらに、爪駆動部80は、爪部材82を爪駆動部80内に引っ込める動作が可能となっている。これにより、郵便物12が結束機68上に配置されたのち爪部材82を引っ込めることにより、爪部材82が結束バンド66と郵便物12との間から引抜かれ、郵便物12を搬送ロボット74から分離させることができる。
結束機68からベルトコンベアー86に郵便物12を搬送する搬送ロボット(不図示)は、搬送ロボット74と同様の構造である。搬送ロボット(不図示)は、結束機68において爪部材84(図1)を郵便物12とともに結束バンド72に結束させ、爪部材84を移動させることにより郵便物12をベルトコンベアー86に搬送する。
上記構成において、郵便物12は、フィーダー14により読取装置16に搬送されたのち、読み取られた宛先の情報の変化に基づいて区分け装置18で区分けされる。そして、区分けされた郵便物12が自動結束装置60により結束され、結束された郵便物12はベルトコンベアー86に搬送され、その後搬出される。
図3に、郵便物を反転させないで積み上げたときの側面図を示し、図4に、郵便物を一定の周期で反転させて積み上げたときの側面図を示す。例えば、郵便物12が封書の場合、封書の糊代部分が他の部分よりも厚くなっている。また、例えば、郵便物12が圧着ハガキ(用紙を2つに折って互いに圧着させたもの)の場合、用紙を折り曲げた部分が他の部分よりも厚くなっている。このような郵便物12を、その向きを同じ状態にして積み上げると図3のように、郵便物12の束は郵便物12の厚い部分とそれ以外の部分とで高さに差が生じる。そして、郵便物12を積んでいくほど一番上に積まれた郵便物12が傾斜していき、最終的にはバランスが崩れ、積まれた郵便物12が結束前に崩れる場合があり、また崩れないまでも結束機62,68による結束が困難となる場合がある。
よって、図4に示すように、本実施形態の回転搬送装置20では、積み上げ後の郵便物12が傾斜しないように、所定枚数(図4では10枚)ごとに搬送途中で郵便物12の向きを反転させて区分け部54に収容・積み上げができるようにしている。
図5に、本実施形態の回転搬送装置の平面図、図6に、本実施形態の回転搬送装置の側面図、図7に、図6の部分詳細図を示す。本実施形態の回転搬送装置20は、郵便物12の搬送経路に沿って面する上面24を備えた筐体22により外形が形成されている。そして、筐体22の搬送経路となる位置において、読取装置16から区分け部54に向かう方向(搬送方向)で、搬送ベルト26、第1の搬送ローラ28、第2の搬送ローラ34、搬送ベルト38が一列に並んで配置されている。また、搬送ベルト26及び搬送ベルト38の上面、そして第1搬送ローラ28及び第2搬送ローラ34の上端は、筐体22の上面24よりもやや上方に露出しており、郵便物12に接触可能な配置となっている。
搬送ベルト26は、読取装置16から搬送された郵便物12を第1の搬送ローラ28に搬送するものである。第1の搬送ローラ28は、搬送ベルト26から搬送された郵便物12を90度回転させ、またはそのまま回転させずに第2の搬送ローラ34に搬送するものである。第2の搬送ローラ34は、第1の搬送ローラ28から搬送された郵便物12を90度回転させ、またはそのまま回転させずに搬送ベルト38に搬送するものである。搬送ベルト38は、第2の搬送ローラ34から搬送された郵便物12を区分け部54に搬送するものである。
ここで、第1の搬送ローラ28及び第2の搬送ローラ34による郵便物12の回転方向は同じである。よって、第1の搬送ローラ28及び第2の搬送ローラ34により郵便物12が回転すると、郵便物12は180度回転した状態で(向きが反転した状態で)区分け部54に搬送される。なお、搬送ベルト26及び搬送ベルト38の回転速度と、第1の搬送ローラ28及び第2の搬送ローラ34の郵便物12を回転させないときの回転速度は、互いに等しくなっており、郵便物12は、ほぼ等速で回転搬送装置20内を移動する。
第1の搬送ローラ28は、搬送方向に向かう方向(搬送ベルト26側)からみて右側となる第1の搬送ローラ28Aと、左側となる第1の搬送ローラ28Bを有する。第1の搬送ローラ28Aと第1の搬送ローラ28Bの回転軸は、郵便物12の搬送方向に対して直交し、互いに同軸となっている。第1の搬送ローラ28Aは、タイミングベルト32を介して第1の駆動モータ30Aからの回転力を受けて回転し、第1の搬送ローラ28Bは、タイミングベルト32を介して第1の駆動モータ30Bからの回転力を受けて回転する。すなわち、第1の搬送ローラ28A、第1の搬送ローラ28Aは、それぞれ独立に回転する。
第2の搬送ローラ34は、搬送方向に向かう方向(搬送ベルト26側)からみて右側となる第2の搬送ローラ34Aと、左側となる第2の搬送ローラ34Bを有する。第2の搬送ローラ34Aは、タイミングベルト32を介して第2の駆動モータ36Aからの回転力を受けて回転し、第2の搬送ローラ34Bは、タイミングベルト32を介して第2の駆動モータ36Bからの回転力を受けて回転する。すなわち、第2の搬送ローラ34A、第2の搬送ローラ34Bは、それぞれ独立に回転する。
第1の駆動モータ30A、第1の駆動モータ30B、第2の駆動モータ36A、第2の駆動モータ36Bは、後述の制御部46に電気的に接続され、制御部46から入力されるログ情報(回転速度の情報)に基づいて回転速度が制御される。
各搬送ローラ(第1の搬送ローラ28A、第1の搬送ローラ28B、第2の搬送ローラ34A、第2の搬送ローラ34B)の上面24を平面視して上端となる位置には、押付ローラ40が転接している。図7に示すように、押付ローラ40は、例えば筐体22に支持されるとともに、バネ等の付勢手段40aにより各搬送ローラに付勢している。押付ローラ40の付勢方向は、上面24の法線に平行であって上面24に向かう方向であり、各搬送ローラを筐体22内部に押し込む方向に付勢する。また、押付ローラ40と各搬送ローラの回転軸は平行である。よって、各搬送ローラが回転すると、押付ローラ40が各搬送ローラとの摩擦力により回転する。
そして、郵便物12が各搬送ローラに搬送されると、各搬送ローラと押付ローラ40の間に入りこんで(図7)、押付ローラ40が郵便物12の厚みに対応して変位するが、付勢手段40aにより押付ローラ40が郵便物12を各搬送ローラに押付ける。これにより、郵便物12は各搬送ローラと押付ローラ40との間に挟みこまれ、各搬送ローラの回転にしたがって区分け部54側に向けて搬送される。なお、第1の搬送ローラ28Aと第1の搬送ローラ28Bは、郵便物12に同時に転接し、第2の搬送ローラ34Aと第2の搬送ローラ34Bも、郵便物12に同時に転接する。また、本実施形態では、第1の搬送ローラ28と第2の搬送ローラ34との間は、一つの郵便物12に両者が同時に転接しないように、一定の間隔が空けられている。
第1の搬送ローラ28Aと第1の搬送ローラ28Bの間には第1のセンサー42が配置され、第2の搬送ローラ34Aと第2の搬送ローラ34Bとの間には第2のセンサー44が配置されている。第1のセンサー42、第2のセンサー44は、それぞれレーザ光を照射する光源42a,44aと、レーザ光を受光する受光器42b,44bとから構成されている。受光器42bは筐体22中であって、上面24を平面視して第1の搬送ローラ28Aと第1の搬送ローラ28Bの間となる位置に配置されている。光源42aは、上面24を平面視して受光器42bの真上となる位置に配置されている。そして光源42aは受光器に向けてレーザ光を照射する。また、光源42aと受光器42bの取り付け位置は、互いに取り替えても良い。そして、光源44b及び受光器44bも、第2の搬送ローラ34に対して同様の配置となっている。
上記構成により、通常、受光器42bは、光源42aから照射されたレーザ光を受光し、受光器44bは、光源44aから照射されたレーザ光を受光している。しかし、郵便物12が第1の搬送ローラ28A及び第1の搬送ローラ28Bに転接すると、レーザ光が郵便物12により遮られるので、その間受光器42bはレーザ光を受光しない。同様に、郵便物12が第2の搬送ローラ34A及び第2の搬送ローラ34Bに転接すると、レーザ光が郵便物12により遮られるので、その間受光器44bはレーザ光を受光しない。
そこで、第1のセンサー42(受光器42b)は、レーザ光を受光しない期間、すなわち、第1の搬送ローラ28が郵便物12に転接して搬送している間は、郵便物12を検知したことを示す検知信号を後述の制御部46に出力するようになっている。同様に、第2のセンサー44(受光器44b)は、レーザ光を受光しない期間、すなわち、第2の搬送ローラ34が郵便物12に転接して搬送している間は、郵便物12を検知したことを示す検知信号を後述の制御部46に出力するようになっている。よって、第1のセンサー42は、第1の搬送ローラ28に転接された郵便物12がセンシング対象であり、第2のセンサー44は、第2の搬送ローラに転接された郵便物12がセンシング対象となる。
本実施形態では、第1のセンサー42が第1の搬送ローラ28Aと第1の搬送ローラ28Bとの間に配置され、第2のセンサー44が第2の搬送ローラ34Aと第2の搬送ローラ34Bとの間に配置されている。しかし、第1の搬送ローラ28や第2の搬送ローラ34がそれぞれ郵便物12に転接しているときに郵便物12を検知できる配置であれば、第1のセンサー42及び第2のセンサー44は、どのような配置にしてもよい。また、第1のセンサー42及び第2のセンサー44は、郵便物12を非接触で検知するものであるが、郵便物12に対して接触して検知するタイプのものでもよい。さらに、検知信号を出力するセンサーとしては、郵便物12が各搬送ローラと押付ローラ40との間に挟まれるときの押付ローラ40の変位を検知することにより検知信号を出力するような構成も適用できる。
図8に、第1実施形態の回転搬送装置の制御ブロック図を示す。制御部46は、例えばPC(パーソナルコンピュータ)にインストールされたアプリケーションであり、回転搬送装置20において、郵便物12を反転して搬送する状態と、郵便物12を非反転で搬送する状態との間で交互に切替制御を行なうものである。制御部46はインターフェースを介して第1のセンサー42、第1の駆動モータ30A、第1の駆動モータ30B、第2のセンサー44、第2の駆動モータ36A、第2の駆動モータ36Bに接続されている。また、記憶部48は、PCに付属するハードディスク等の記憶媒体であり、情報入力部50はPCに付属するキーボードやマウス等である。
カウンター52は、制御部46同様にPCにインストールされたアプリケーションであり、第1のセンサー42、または第2のセンサー44が検知信号を出力した回数をカウントするものである。またカウンター52には、郵便物12の反転(回転)を繰り返すための周期情報が入力される。ここで、周期情報は、郵便物12の反転・非反転を繰り返す周期のことであり、その周期内において郵便物12を搬送する枚数の情報を有している。また周期情報には、その周期内で搬送する枚数のうち、途中で郵便物12に対する制御部46の制御状態を切り替えるまでの枚数を表す回転枚数情報を包含している。そして、カウンター52は、検知信号の周期情報に対応する検知回数のうち、回転枚数情報に係る検知回数分に対して郵便物12を回転させるための回転切替信号を制御部46に出力し、残りの検知回数分に対して郵便物12を非反転とするための非回転切替信号を制御部46に出力する。すなわち、制御部46は回転切替信号と非回転切替信号が交互に入力されるたびに、郵便物12の回転制御をオン・オフする切替制御を行なっている。なお、カウンター52は、制御部46と一体であってもよい。
情報入力部50は、作業者のキー操作等により、上述の周期情報を記憶部48及びカウンター52に入力する。また情報入力部50は、郵便物12の回転制御を行なうため、各駆動モータの回転速度の情報や、回転速度制御を一時的に行なうための時間の情報を有するログ情報と、を記憶部48に入力することができる。
本実施形態では、郵便物12を一定数遂次的に反転させて搬送する状態と、その後一定数遂次的に非反転で搬送する状態を繰り返すことになる。なお、反転・非反転の順が逆になってもよい。そして、周期情報により、郵便物12の反転・非反転の周期を任意に調整することができ、回転枚数情報により、回転させる郵便物12の枚数と回転させない郵便物12の枚数を任意に調整することができる。
例えば、周期情報に対応する搬送枚数が2枚とすると、回転(反転)させる搬送枚数が1枚で、回転させない(非反転)とする搬送枚数が1枚となり、この場合は、互いに隣接する郵便物12同士の向きが交互に逆向きになる。また周期情報に対応する搬送枚数が20枚の場合、通常、回転(反転)させる搬送枚数を10枚で、回転させない(非反転)とする搬送枚数を10枚となる(図4参照)が、回転させる搬送枚数を5枚、非回転とした搬送枚数を15枚とすることもできる。また、例えば周期情報に係る搬送枚数を10枚とし、反転させる搬送枚数を1枚(9枚)、非反転とする搬送枚数を9枚(1枚)とすれば、10枚中で1枚だけ向きを反転させた郵便物12が目印となるので、郵便物12の目視によるカウントを容易に行うことができる。
制御部46は、カウンター52から非回転切替信号が入力されている間は、各駆動ローラに対して制御することはない。これにより、各駆動ローラは初期設定された回転速度により回転し、第1の搬送ローラ28、第2の搬送ローラ34はそれぞれ同期回転(同じ回転速度で回転)して、郵便物12を非反転で(回転させずに)区分け部54に搬送する。
一方、制御部46は、カウンター52から回転切替信号が入力されている間は、記憶部48からログ情報を読み出す。そして、各駆動ローラに対してログ情報にしたがって一時的に(一定時間)回転速度の制御を行ない、最終的に郵便物12を反転させて搬送ベルト38(区分け部54)に搬送する。なお、制御部46には、ログ情報に従って制御を行なうための計時手段(不図示)が内蔵され、計時手段(不図示)に基づいてログ情報に係る制御を行なうものとする。
図9に、第1実施形態の回転搬送装置の動作を示す。図9は、結果的に郵便物12を反転(180回転)させて搬送する場合の動作を順に示したものである。ここでは、郵便物12の長辺が郵便物12の搬送方向に平行となるように、郵便物12を搬送する場合について説明する。なお、図9においては、郵便物12上において、第1の搬送ローラ28、及び第2の搬送ローラ34が転接する部分の軌跡12aを記載している。
図9(a)に示すように、搬送ベルト26から第1の搬送ローラ28に郵便物12が搬送され,第1のセンサー42が郵便物12を検知して検知信号(ON)を制御部46に出力する。すると、制御部46は、ログ情報に従って、一定時間、第1の搬送ローラ28A、第1の搬送ローラ28Bの同期回転を継続させて一定距離郵便物12を搬送する。
図9(b)に示すように、一定時間経過後、制御部46は、ログ情報に従って、第1の搬送ローラ28Aの回転速度を、同期回転時の回転速度よりも遅くし、第1の搬送ローラ28Bの回転速度を、同期回転時の回転速度よりも速くする制御を行なう。これにより、第1の搬送ローラ28は非同期回転となり、郵便物12は、郵便物12の第1の搬送ローラ28よりも搬送方向の上流となる部分が第1の搬送ローラ28B側に移動する方向に回転する。
図9(c)に示すように、制御部46は、ログ情報にしたがって、郵便物12が90度回転したところで、第1の搬送ローラ28A及び第1の搬送ローラ28Bの回転速度を元に戻して同期回転に戻す制御を行なう。これにより、郵便物12の回転を停止させた状態で、第1の搬送ローラ28から第2の搬送ローラ34に郵便物12が搬送され、郵便物12が第1の搬送ローラ28から離れることにより検知信号がOFFになる。
図9(d)に示すように、郵便物12が第2の搬送ローラ34に搬送され第2のセンサー44が郵便物12を検知して検知信号(ON)を制御部46に出力する。すると、制御部46は、ログ情報に従って、一定時間、第2の搬送ローラ34A、第2の搬送ローラ34Bの同期回転を継続させて一定距離郵便物12を搬送する。
図9(e)に示すように、一定時間経過後、制御部46は、ログ情報に従って、第2の搬送ローラ34Aの回転速度を、同期回転時の回転速度より遅くし、第2の搬送ローラ34Bの回転速度を、同期回転時の回転速度よりも速くする制御を一定時間行なう。これにより、第2の搬送ローラ34は一定時間非同期回転となり、郵便物12は、郵便物12の第2の搬送ローラ34よりも搬送方向の上流となる部分が第2の搬送ローラ34B側に移動する方向にさらに回転する。
図9(f)に示すように、制御部46は、ログ情報にしたがって、郵便物12が90度回転したところで、第2の搬送ローラ34A及び第2の搬送ローラ34Bの回転速度を元に戻して同期回転に戻す制御を行なう。これにより、郵便物12の回転を停止させた状態で、第2の搬送ローラ34から郵便物12がその向きが反転した状態で搬送ベルト38(区分け部54)に搬送され、第2の搬送ローラ34から郵便物12が離れることにより検知信号がOFFとなる。
図10に、第1実施形態の回転搬送装置の制御のタイミングチャートを示す。図10は、横軸は時間、縦軸は第1の搬送ローラ28及び第2の搬送ローラ34の回転速度の時間変化を示すグラフであり、前述のログ情報に対応するものである。また、図10は、図9と同様に、郵便物12の長辺が郵便物12の搬送方向に平行となるように搬送した場合のグラフである。
図10に示すように、初期状態において第1の搬送ローラ28A、第1の搬送ローラ28B、第2の搬送ローラ34A、第2の搬送ローラ34Bは、いずれも回転速度V0で同期回転している。なお、前述の搬送ベルト26、搬送ベルト38も同じ回転速度で回転しており、回転搬送装置20が郵便物12を非反転で搬送する場合は、搬送ベルト26、第1の搬送ローラ28、第2の搬送ローラ34、搬送ベルト38はこの回転速度を最後まで維持している。
そして、第1のセンサー42が郵便物12を検知し、検知信号(ON)を制御部46に出力してから一定の待ち時間(T1)後に、制御部46は、第1の搬送ローラ28Aの回転速度をV0よりも低いVLとし、第1の搬送ローラ28Bの回転速度をV0よりも高いVHとして、非同期回転となる回転速度制御を行なう。このように、第1の搬送ローラ28Aの回転速度を同期回転のときよりも遅くし、逆に第1の搬送ローラ28Bの回転速度を同期回転のときよりも速くすることにより、郵便物12を小さな曲率半径で回転させることができるので、短時間で回転を終了させることができる。そして、郵便物12を所定角度(本実施形態では90度)回転させるのに必要な時間(TR)だけ上述の回転速度制御を維持し、その後第1の搬送ローラ及び第2の搬送ローラの回転速度をV0に戻して同期回転に戻す制御を行なっている。これにより、回転が停止した状態で郵便物12が第1の搬送ローラ28から第2の搬送ローラ34に搬送される。そして、郵便物12が第1の搬送ローラから離れると、第1のセンサー42からの検知信号がOFFになる。
その後、第2のセンサー44が郵便物12を検知し、検知信号(ON)を制御部46に出力してから一定の待ち時間(T2)後に、制御部46は、第2の搬送ローラ34Aの回転速度をVLとし、第2の搬送ローラ34Bの回転速度をVHとして非同期回転となる回転速度制御を一定時間(TR)行ない、その後に同期回転に戻す制御を行なう。これにより、郵便物12がさらに90度回転して結果的に回転搬送装置20により向きが180度面内回転し、且つ回転が停止した状態で郵便物12が第2の搬送ローラ34から搬送ベルト38(区分け部54)に搬送される。そして、郵便物12が第2の搬送ローラ34から離れると、第2のセンサー44からの検知信号がOFFになる。
図9(a)、図9(b)に示すように、第1の搬送ローラ28が郵便物12を回転・搬送する段階では、第1の搬送ローラ28に搬送される郵便物12の長辺と搬送方向が平行となっている。この場合、第1のセンサー42が郵便物12を検知した直後に郵便物12を回転させてしまうと、郵便物12の短辺を中心として長辺がそのまま郵便物12の回転半径を形成することになるので、郵便物12の回転半径が大きくなってしまう。これにより、回転が困難になるとともに郵便物12が回転搬送装置20内の他の部分に干渉する虞がある。よって、第1の搬送ローラ28が郵便物12の長辺方向(長手方向)の中央領域に転接するころまで一定の待ち時間(T1)待って郵便物12の回転制御(第1の搬送ローラ28の回転速度制御)を開始することより、郵便物12の回転半径を小さくしている。
また、図9(d)、図9(e)に示すように、第2の搬送ローラ34が郵便物12を回転・搬送する段階では、郵便物12の短辺と搬送方向が平行となっている。この場合、第2のセンサー44が郵便物12を検知してからある程度時間が経過してから郵便物12の回転制御を始めると、回転途中で第2の搬送ローラ34から郵便物12が外れてしまい、回転が不十分になるばかりか、搬送不能となる。そのため、図10に示すように、第2のセンサー44が郵便物12を検知した直後(一定の待ち時間(T2)後)に郵便物12の回転制御(第2の搬送ローラ34の回転速度制御)を開始している。よって、待ち時間T2は、待ち時間T1よりも短い長さとなっている。
逆に、郵便物12が、その短辺が搬送方向に平行な状態で第1の搬送ローラ28に搬送された場合は、第1のセンサー42が郵便物12を検知してからT2後に郵便物12の回転制御を開始し、第2のセンサー44が郵便物12を検知してからT1後に郵便物12の回転制御を開始する。また、郵便物12が正方形である場合には、第1のセンサー42が郵便物12を検知してから郵便物12の回転制御を始めるまでの待ち時間と、第2のセンサー44が郵便物12を検知してから郵便物12の回転制御を始めるまでの待ち時間は互いに等しくなる。
本実施形態では、郵便物12を、第1の搬送ローラ28で90度回転させ、第2の搬送ローラ34でさらに90度回転させている。しかし、第1の搬送ローラ28による回転と第2の搬送ローラ34による回転により結果的に郵便物12が180度回転(反転)していればよい。そこで、郵便物12を第1の搬送ローラ28で回転させる時間(TR)を、郵便物12が90度回転するときの時間より長くし、逆に郵便物12を第2の搬送ローラ34で回転させる時間(TR)を、郵便物12が90度回転するときの時間より短くし、2回の回転により180度回転できるようにログ情報を生成することもできる。例えば、郵便物12の回転角度が第1の搬送ローラ28では120度となるように制御し、第2の搬送ローラ34では60度となるように制御することもできる。
図11に、第2実施形態の回転搬送装置の平面図を示し、図12に、第2実施形態の回転搬送装置の側面図を示す。本実施形態において、第1実施形態の共通の構成要素には同一番号を付し、必要な場合を除いてその説明を省略する。
第2実施形態の回転搬送装置20Aは、第1実施形態のように搬送ローラを2段階で用いることはなく、第3の搬送ローラ88のみで郵便物12を90度回転させたものと、郵便物12を90度逆回転させたものと、を所定枚数ごとに交互に搬送する。また、郵便物12を検知するセンサーは、第3のセンサー90(第1のセンサー42等と同様の構成)一つのみ用いる。これにより、搬送前の郵便物12の長辺(短辺)と、搬送後の郵便物12の長辺(短辺)は互いに直交する。
本実施形態において、制御部46による制御ブロックは、図8に示す場合とほぼ同様であるが、カウンター52に入力される周期情報は、回転枚数情報と逆回転枚数情報を有するものになる。本実施形態において、カウンター52は、検知信号の周期情報に係る検知回数のうち、回転枚数情報に係る検知回数分において、郵便物12を回転させるための回転切替信号(第1の回転速度制御用)を制御部46に出力し、残りの検知回数分、すなわち逆回転枚数情報に係る検知回数分において郵便物12を逆回転するための逆回転切替信号(第2の回転速度制御用)を制御部46に出力する。
制御部46は、回転切替信号が入力されると第3の搬送ローラ88を介して郵便物12を90度回転させる制御を行ない、逆回転切替信号が入力されると第3の搬送ローラ88を介して郵便物12を90度逆回転させる制御を行なう。これにより、90度回転させた郵便物12と90度逆回転させた郵便物12の向きが互いに逆向きになる。
図13、図14に第2実施形態の回転搬送装置の動作を示す。また図15に、第2実施形態の回転搬送装置の制御のタイミングチャートを示す。図13乃至図15は、郵便物12を交互に逆向きに90度回転して搬送する場合の動作を順に示したものである。ここでは、郵便物12の長辺が郵便物12の搬送方向に平行となる状態で第3の搬送ローラ88に搬送され、その後、短辺が郵便物12の搬送方向に平行になって第3の搬送ローラ88から搬送する場合について説明する。図13、図14では、郵便物12の向き及び回転方向が分かるように記載している。
図13、図15に示すように、第3の搬送ローラ88に郵便物12が搬送されて第3のセンサー90が郵便物12を検知して検知信号(ON)を制御部46に出力する。すると制御部46は、ログ情報に従って、一定の待ち時間(T1)、第3の搬送ローラ88A、第3の搬送ローラ88Bの回転速度V0を維持し、同期回転を継続させて一定距離郵便物12を搬送する。一定の待ち時間(T1)経過後、制御部46は、ログ情報(回転切替信号)に従って、第3の搬送ローラ88Aの回転速度をVLとし、第3の搬送ローラ88Bの回転速度をVHとする第1の回転速度制御を一定時間(TR)行なう。これにより、第3の搬送ローラ88は非同期回転となり、郵便物12は、郵便物12の第3の搬送ローラ88よりも搬送方向の上流となる部分が第3の搬送ローラ88B側に移動する方向に回転する。そして、制御部46は、ログ情報にしたがって、郵便物12が90度回転したところで、第3の搬送ローラ88A及び第3の搬送ローラ88Bの回転速度をV0に戻して同期回転に戻す制御を行なう。これにより、郵便物12の回転を停止させた状態で、第3の搬送ローラ88から搬送ベルト38(区分け部54)に郵便物12が搬送される。そして、郵便物12が第3の搬送ローラ88から離れると第3のセンサー90からの検知信号がOFFとなる。
図14、図15に示すように、第3の搬送ローラ88に次の郵便物12が搬送される場合も前述の同様の制御が行なわれる。しかし、制御部46は、ログ情報(逆回転切替信号)に従って、第3の搬送ローラ88Aの回転速度をVHとし、第3の搬送ローラ88Bの回転速度をVLとする第2の回転速度制御を一定時間(TR)行なう。これにより、郵便物12を、郵便物12の第3の搬送ローラ88よりも搬送方向の上流となる部分が第3の搬送ローラ88A側に移動する方向に回転させて郵便物12を逆回転させる。これにより、区分け部54に積み上げられる郵便物12が交互に互いに逆向きとなる。第2実施形態における第3の搬送ローラ88の回転速度は、第1実施形態と同様の設計が可能である。
なお、本実施形態では、郵便物12を交互に逆向きに90度回転させることにより、互いに隣接する郵便物12の向きが互いに逆向きになるようにしている。しかし、例えば前述同様に、郵便物12を回転させる時間がTRより長い時間と、TRよりも短い時間が交互に来るようにログ情報を生成し、最初の郵便物12の回転角度を120度とし、次の郵便物12の回転角度を逆方向に60度として、結果的に互いに隣接する郵便物12の向きが互いに逆向きになるようにしてもよい。
図16に、第2実施形態の搬送装置の変形例を示す。第2実施形態において、搬送前と搬送後では、郵便物12の向きが90度回転する。そこで、搬送経路を途中で90度折り曲げることにより、搬送経路上での郵便物12の相対的な向きを結果的に変えないようにすることができる。図16では、郵便物12をその向きが分かるように記載している。そこで、変形例においては、搬送ベルト38の後に搬送方向が回転搬送装置20Aと90度で交差する搬送ベルト92を配置している。搬送ベルト92の上面は、搬送ベルト38の上面よりもやや低く(20〜30mm程度)なるように配置されている。
また、搬送ベルト92を支持する筐体94上の回転搬送装置20Aの搬送方向の延長線上であって搬送ベルト92を跨いだ側で搬送ベルト92に隣接した位置には、突き当て板96が配置されている。よって、搬送ベルト38から郵便物12が搬送されると、郵便物12は搬送ベルト92に直接は当接せずに突き当て板96に当接し、そのまま落下して搬送ベルト92上に配置され、搬送ベルト92の搬送方向に従って郵便物12が搬送されることになる。上記動作において、郵便物12は、回転搬送装置20Aに縦長で搬入されて横長で搬送(排出)されるが、搬送ベルト92の搬送方向が回転搬送装置20Aの搬送方向に対して90度で交差しているので郵便物12が縦長で搬送される。
本実施形態では、搬送物として郵便物12を前提として述べてきたが、シート状の搬送物であれば、金属板や木板のような板材、フィルム等のシート状のものなどに適用することができる。また、いずれの実施形態においても、搬送ローラ(第2の搬送ローラ34、第3の搬送ローラ88)による郵便物12の搬送が確実に行えるのであれば搬送ベルト38は省略することができる。また、本実施形態では、同期回転時及び回転速度制御時の回転速度を適切に調整することにより、押付ローラ40により郵便物12を押付ローラ40と搬送ローラの間に挟むことなく、搬送ローラのみで郵便物12の回転制御が可能である。この場合、押付ローラ40を省略することができる。なお、本実施形態では、搬送ローラと押付ローラ40の取り付け位置を互いに取り替えた配置としてもよい。
また、いずれの実施形態でも、郵便物12が所定枚数ごとに向きが反対となる状態で搬送する旨説明した。しかし、本実施形態では、ログ情報を用いて、回転速度制御のオン・オフの切替制御と、回転制御を行なう際の搬送ローラの回転速度(VH,VL)と、回転速度制御を行なう時間(TR)と、待ち時間(T1,T2)と、を調整することにより、郵便物12を任意の角度で回転させ(回転させない場合も含む)、回転後の郵便物12の向きを維持した状態で搬送することが可能である。よって、例えば、郵便物12が所定枚数ごとに向きが90度切り替わるようにすることも可能である。さらに、搬送後の郵便物12の向きを任意に設定できるので、区分け部54の向きを自由に設定することができる。
また、第1実施形態では、搬送経路に沿って搬送ローラが2つ配置されていたが3つ以上配置することも可能である。また、第2実施形態では搬送ローラが搬送経路上に1つ配置されていたが、搬送経路に沿って2つ以上配置することも可能である。そして制御部46は、ログ情報により各搬送ローラを個別に制御することが可能であり、遂次的に搬送される郵便物12を個別に任意の方向に回転させて搬送することができる。また、いずれの実施形態でも、郵便物12が搬送ローラに転接するタイミングが予測できる場合は、センサーによる郵便物12の検知は不要である。そして、上述のタイミングの情報を加えたログ情報により、郵便物12が各搬送ローラに到達する時間に合わせて郵便物12の回転制御(搬送ローラの回転速度制御)を行なうことが可能である。