JP6217880B2 - 光制御部材およびそれを用いた光制御機能付き合わせガラス - Google Patents

光制御部材およびそれを用いた光制御機能付き合わせガラス Download PDF

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Description

本発明は、取り扱い性および外観性に優れた光制御部材に関する。
近年、地球温暖化等の環境問題の深刻化に伴い、省エネルギーや二酸化炭素の排出量の削減を目的として、外光の吸収、偏向、反射、透過等の調整を可能とする光制御部材の開発が進められている。例えば、光制御部材を住宅、自動車等の窓ガラスに備えることで、太陽等の光源から窓ガラスを介して室内へ入射する光を天井側へ偏向させ、偏向させた光を室内の間接照明として利用することができる。
このような光制御部材の一態様としては、特許文献1に開示されている、光を透過する光透過部と、上記光透過部間に配置され、光を散乱する材料が充填された光散乱部とを有する採光シートを挙げることができる。このような採光シートを介して外光を室内に取り入れると、当該採光シートを通過する外光の一部が上記光散乱部により散乱され、直接目に到達する光の量が低減されるため、眩しさを低減することができる。
特許文献1に開示されているような構成を有する採光シートは、複数の溝部を有する層状の光透過部を形成し、上記溝部内に光散乱部形成用組成物を充填することにより上記光散乱部が形成されるのが一般的である。しかしながら、上記光散乱部の上面(溝部の開口部側の面)が、上記光散乱部間の光透過部の表面と面一になるように上記溝部内に光散乱部形成用組成物を充填することは製造工程上困難であるため、上記溝部の開口部側に、上記光散乱部が形成されていない凹みが形成される。上述したような凹みが存在する場合、上記光透過部の、上記光散乱部(溝部)が形成されている側の表面が凹凸を有することとなり、当該表面上に他の部材を接着しても、当該表面全体において均一な接着力を得ることができない。このような課題を解決するために特許文献1においては、上記溝部内に光散乱部形成用組成物を充填・硬化させた後に、上記凹みに光散乱部形成用組成物を再度充填・硬化させ、上記凹みの深さを浅くすることが開示されている。
特許文献1に開示されているような採光シートにおいては、光透過部と光散乱部との界面で光を全反射させ、採光性能を高めるために、上記光散乱部には上記光透過部と比べて屈折率が低い樹脂が用いられるのが一般的である。しかしながら屈折率が低い樹脂は、樹脂の硬化後でも、その表面がタック性を有する(べたつく)傾向にある。また、上記光散乱部の光散乱性を向上させるため、特許文献1における光散乱部形成用組成物には、顔料等の散乱剤が添加された樹脂が用いられている。上記散乱剤等の添加物の添加は、樹脂の完全硬化の妨げとなることがあり、樹脂層表面のタック性の増大の一因となり得る。
上述したような採光シートは、透明基材上に光透過部と光散乱部とが形成された長尺フィルムをロール状にして保管・運搬し、当該ロール状の長尺フィルムを巻き出し、その上に粘着層などを形成して製品化することにより、効率的な製造が可能である。しかしながら上記長尺フィルムがタック性を有していると、ロール状のフィルムを巻き出す際にフィルム同士がくっつき、巻き出しを円滑に行えなかったり、巻き出す際にフィルムが変形してしまったりするという不具合がある。
特開2014−115534号公報
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、取り扱い性および外観性に優れた光制御部材を提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために本発明は、一方の表面に複数の溝部を有する光透過部と、上記光透過部よりも低い屈折率を有し、上記溝部内に形成された光偏向部と、上記溝部内の、上記光偏向部よりも上記溝部の開口部側の領域に形成された再充填部と、を有する光制御部材であって、上記光透過部と、上記光偏向部と、上記再充填部との屈折率が、光偏向部<再充填部<光透過部であり、上記再充填部の、上記光偏向部と反対側の表面に形成されている凹部の凹み角度が75°以上であることを特徴とする光制御部材を提供する。
以下の説明において、上記「光偏向部」を「第1光偏向部」と、上記「再充填部」を「第2光偏向部」と称する場合がある。また、単に「光偏向部」とした場合には、「第1光偏向部」を意味するものとする。
本発明は、一方の表面に複数の溝部を有する光透過部と、上記光透過部よりも低い屈折率を有し、上記溝部内に形成された第1光偏向部と、上記溝部内の、上記第1光偏向部よりも上記溝部の開口部側の領域に形成された第2光偏向部と、を有する光制御部材であって、上記光透過部と、上記第1光偏向部と、上記第2光偏向部との屈折率が、第1光偏向部<第2光偏向部<光透過部であり、上記第2光偏向部の、上記第1光偏向部と反対側の表面に形成されている凹部の凹み角度が75°以上であることを特徴とする光制御部材を提供する。
本発明おいては、上記光偏向部の上に、上記光偏向部よりも屈折率が高い再充填部が形成されているため、上記溝部内に形成される部材の露出面のタック性を低く抑えることができ、取り扱い性に優れた光制御部材とすることができる。また、上記溝部(光偏向部、再充填部)を通過する光が、ある特定の方向へ屈折されて集光されると、上記溝部がスジのように目立って見えてしまうという外観上の不具合が生じる場合がある。しかしながら本発明においては上記凹部の凹み角度を75°以上とすることにより、そのような不具合を抑制し、外観性に優れた光制御部材とすることができる。
上記発明においては、上記再充填部の、上記光偏向部と反対側の表面のボールタック試験によるボールタック指数が3以下であることが好ましい。また、上記第2光偏向部の、上記第1光偏向部と反対側の表面のボールタック試験によるボールタック指数が3以下であることが好ましい。上記再充填部の表面のボールタック指数を3以下とすることにより、タック性を有することに起因する不具合を防止することができるからである。
また、本発明は、一対のガラス板と、上記一対のガラス板の間に接着層を介して配置された光制御部材と、を有する光制御機能付き合わせガラスであって、上記光制御部材が、一方の表面に複数の溝部を有する光透過部と、上記光透過部よりも低い屈折率を有し、上記溝部内に形成された光偏向部と、上記溝部内の、上記光偏向部よりも上記溝部の開口部側の領域に形成された再充填部と、を有し、上記光透過部と、上記光偏向部と、上記再充填部との屈折率が、光偏向部<再充填部<光透過部であり、上記再充填部の、上記光偏向部と反対側の表面に形成されている凹部の凹み角度が75°以上であることを特徴とする光制御機能付き合わせガラスを提供する。
本発明は、一対のガラス板と、上記一対のガラス板の間に接着層を介して配置された光制御部材と、を有する光制御機能付き合わせガラスであって、上記光制御部材が、一方の表面に複数の溝部を有する光透過部と、上記光透過部よりも低い屈折率を有し、上記溝部内に形成された第1光偏向部と、上記溝部内の、上記第1光偏向部よりも上記溝部の開口部側の領域に形成された第2光偏向部と、を有し、上記光透過部と、上記第1光偏向部と、上記第2光偏向部との屈折率が、第1光偏向部<第2光偏向部<光透過部であり、上記第2光偏向部の、上記第1光偏向部と反対側の表面に形成されている凹部の凹み角度が75°以上であることを特徴とする光制御機能付き合わせガラスを提供する。
本発明においては、上記溝部内に形成される部材の露出面のタック性を低く抑えることができるため、上記光制御機能付き合わせガラスの製造工程等において、上記光制御部材がタック性を有することに起因する不具合を防止することができ、高性能な光制御機能付き合わせガラスとすることができる。また、上記光偏向部上に上記再充填部が形成されているため、上記溝部がスジのように目立って見えてしまうという外観上の不具合を抑制し、外観性に優れた光制御機能付き合わせガラスとすることができる。
本発明においては、上記再充填部の、上記光偏向部と反対側の表面のボールタック試験によるボールタック指数が3以下であることが好ましい。また、上記第2光偏向部の、上記第1光偏向部と反対側の表面のボールタック試験によるボールタック指数が3以下であることが好ましい。上記光制御機能付き合わせガラスの製造工程等において、上記光制御部材がタック性を有することに起因する不具合を防止することができるため、高性能な光制御機能付き合わせガラスとすることができるからである。
本発明においては、取り扱い性および外観性に優れた光制御部材とすることができるといった効果を奏する。
本発明の光制御部材の一例を示す概略斜視図である。 図1のX方向からの概略断面図である。 本発明の光制御部材内における光の透過経路を説明するための説明図である。 本発明の光制御部材の他の例を示す概略断面図である。 本発明における凹み角度を説明するための説明図である。 本発明における溝部の縦断面形状の例を示す説明図である。 本発明の光制御機能付き合わせガラスの一例を示す概略斜視図である。 本発明の光制御部材を用いた光制御フィルムの一例を示す概略断面図である。
以下、本発明の光制御部材、上記光制御部材を用いた光制御機能付き合わせガラスおよび光制御フィルムについて、それぞれ説明する。
A.光制御部材
本発明の光制御部材は、一方の表面に複数の溝部を有する光透過部と、上記光透過部よりも低い屈折率を有し、上記溝部内に形成された光偏向部と、上記溝部内の、上記光偏向部よりも上記溝部の開口部側の領域に形成された再充填部と、を有する光制御部材であって、上記光透過部と、上記光偏向部と、上記再充填部との屈折率が、光偏向部<再充填部<光透過部であり、上記再充填部の、上記光偏向部と反対側の表面に形成されている凹部の凹み角度が75°以上であることを特徴とするものである。
本発明の光制御部について、図を参照して説明する。図1は、本発明の光制御部材の一例を示す概略斜視図であり、図2は図1のX方向、すなわち本発明の光制御部材の膜厚方向から見た概略断面図である。図1および図2に例示するように、本発明の光制御部材10は、一方の表面に複数の溝部1を有する光透過部2と、上記溝部1内に形成された光偏向部3と、上記溝部1内の、上記光偏向部3よりも上記溝部1の開口部側の領域に形成された再充填部4とを有する。また、上記再充填部4の、上記光偏向部3と反対側の表面に形成されている凹部5は、所定の凹み角度を有している。
なお、以下の説明において、特に断りがない場合は、ある部材の「上側」、「下側」といった際は、図1や図2等における「上側」や「下側」を意味するものとする。例えば、「光偏向部の上側の表面」とは、上記光偏向部の、上記溝部の開口部側の表面を意味する。
図3は、本発明の光制御部材を建物の窓ガラスに用いた場合の、光制御部材内における光の透過経路を説明するための説明図である。図3で説明しない符号については、図1および図2で説明したものと同様とする。例えば図3で示すように、光制御部材10は、粘着層20を介して窓ガラス板21に貼り付けられている。上記光制御部材10における光透過部2と、光偏向部3との屈折率は、光偏向部3<光透過部2であるため、窓ガラス板21から入射された太陽光Lは、光制御部材10内の光透過部2と光偏向部3との界面において、図の上側へ反射される。このような光制御部材10を建物等に用いることにより、外部から取り込まれた光を、建物の床方向ではなく、天井方向へ導くことができるため、天井灯などの照度を低くしても、室内の照度を十分に確保することができる。
このような光制御部材においては、光透過部と光偏向部との界面で光を全反射させ、光制御機能を高めるため、上記光偏向部は上記光透過部よりも屈折率が低くなるように形成されている。上記光透過部や光偏向部の形成には、通常樹脂が用いられるが、屈折率が低い樹脂は、屈折率が高い樹脂に比べてモノマー成分が多く、硬化が不十分になりやすく、また、工程上、酸素雰囲気下での硬化を余儀なくされた場合には、より一層硬化性が悪くなりやすい、などの理由から、樹脂の硬化後でも、その表面がタック性を有する(べたつく)傾向にある。そのため、屈折率が低い樹脂を用いて形成されている上記光偏向部の表面は、タック性が高いものとなり、光制御部材の製造工程において不具合が発生する場合がある。光制御部材は、透明基材上に光透過部(光散乱部および再充填部を含む)が形成された長尺フィルムをロール状にして保管・運搬し、当該ロール状の長尺フィルムを巻き出し、その上に粘着層などを形成して製品化することにより、効率的な製造が可能である。しかしながら上記長尺フィルムがタック性を有していると、保管・運搬中に接触しているフィルム同士が密着してしまい、ロール状のフィルムの巻き出しを円滑に行えなかったり、巻き出す際にフィルムが変形してしまったりするという不具合がある。
そこで、本発明においては、上記光偏向部の上側の領域に、屈折率が光偏向部<再充填部となるような再充填部を形成することにより、上記溝部内に形成される部材の最上面のタック性の低減を図るものである。それにより、本発明の光制御部材を、取り扱い性に優れたものとすることができる。
また、上記光透過部に形成された上記溝部(光偏向部、再充填部)を通過する光が、ある特定の方向へ屈折されて集光されると、上記溝部がスジのように目立って見えてしまい、光制御部材全体の外観性が低下してしまうという問題がある。上述したような再充填部を上記光偏向部上に形成すると、上記再充填部と上記光偏向部との間に屈折率差が生じ、上記再充填部と光偏向部との界面においても光が屈折されるため、上述した外観性の低下傾向は、より顕著になる。従って、本発明においては、上記再充填部の上側の表面のタック性の低減を図りつつ、かつ、外観性の低下を最小限にするため、上記再充填部の屈折率が、再充填部<光透過部となるようにしている。再充填部の屈折率をより大きくすれば、上記再充填部の上側の表面のタック性をより低減することができるが、同時に外観性の低下を伴うものであるため、本発明においては再充填部の屈折率を光透過部よりも小さくすることにより、外観性の低下を最小限にしている。
さらに、上記光偏向部の、上記溝部の開口部側の表面が、上記光偏向部間の光透過部の表面と面一になるように上記光偏向部を形成することは製造工程上困難であり、上記溝部の開口部側に、上記光透過部の表面から凹んだ空間が形成されるのが通常である。上述したような凹んだ空間は、光制御部材の製造工程上や機能上の様々な不具合の原因となり得るが、本発明においては上記光偏向部の上側の領域に再充填部が形成されているため、上記凹んだ空間は、通常の光制御部材よりも小さく、上述したような不具合は低減されている。
しかしながら、上記凹んだ空間の深さが浅くても、凹み角度が小さい(凹み面の曲率が大きい)と、光がある特定の方向へ屈折されて集光され、上記溝部がスジとして目立ちやすくなってしまう。そこで、本発明においては、上記再充填部の上側の表面に形成されている凹部の凹み角度を75°以上とすることにより、光がある特定の方向へ屈折されて集光されることを防止し、光制御部材の外観性の向上を図っている。
このように本発明においては、上記再充填部の屈折率を所定の範囲内とし、かつ、上記再充填部の上側の表面の凹部の凹み角度を所定の範囲内とすることにより、取り扱い性および外観性の両方に優れた光制御部材を実現するものである。
以下、本発明の光制御部材の各構成について、詳細に説明する。
1.再充填部(第2光偏向部)
本発明における再充填部は、上記溝部内の、上記光偏向部よりも上記溝部の開口部側の領域に形成されるものである。以下、このような再充填部について、再充填部の形状と、再充填部に関するその他の特徴とに分けて説明する。
(1)再充填部の形状
本発明における再充填部は、上記光偏向部の上側の領域に形成されるものである。このような再充填部の下側の表面と、上記光偏向部の上側の表面とは、接触するように形成されていることが好ましい。上記再充填部の下側の表面と、上記光偏向部の上側の表面との間に空気層等が存在すると、再充填部および空気層等、または、光偏向部および空気層等の屈折率差に起因して、光制御部材の光制御機能の低下や、外観性の低下等の不具合が生じる場合があるからである。
また、本発明における再充填部は、上記溝部内の、上記光偏向部よりも上記溝部の開口部側の領域に形成されていればよく、図2に例示されているように、上記溝部内のみに形成されていても、図4に例示されているように、上記溝部内と、上記光透過部の、溝部が形成されている側の面上と、に形成されていてもよい。なお、図4は本発明の光制御部材の他の例を示す概略断面図であり、図4で説明しない符号については、図1および図2で説明したものと同様とする。
上記再充填部の、上記光偏向部と反対側の表面(再充填部の上側の表面)には、凹部が形成されており、上記凹部の凹み角度は、75°以上であり、中でも、76°以上、特には77°以上であることが好ましい。上記凹み角度を上記範囲内にすることにより、再充填部を通過する際に、光がある特定の方向へ屈折されて集光されることを防止し、光制御部材の外観性の向上を図ることができる。
ここで、「再充填部の、光偏向部と反対側の表面に形成されている凹部」とは、図2に示されている例における場合のように、上記再充填部が上記溝部内のみに形成されている場合は、上記再充填部の上側(光偏向部と反対側)の表面に形成されている凹部を意味するものとする。一方、図4の例のように、上記再充填部が光透過部の表面上にも形成されている場合、「再充填部の、光偏向部と反対側の表面に形成されている凹部」とは、上記再充填部の図の上側(光偏向部と反対側)の表面のうち、上記光透過部の表面と略平行な面よりも、凹んでいる部分を意味するものとする。
また、上記凹部の「凹み角度」とは、図5に例示するように、上記凹部において最も深い点Pを通る、上記光透過部の表面に垂直な線と、上記凹部の端部のうち、上記点Pに最も近接している点Qおよび上記点Pを結ぶ線と、がなす角θを意味するものである。なお、図5は本発明における凹み角度を説明するための説明図である。図5(a)は、図2に示されている例における場合のように、上記再充填部が上記溝部内のみに形成されている場合における凹み角度を説明するものであり、図5(b)は、図4に示されている例における場合のように、上記再充填部が光透過部の表面上にも形成されている場合における凹み角度を説明するものである。図5で説明しない符号については、図1および図2で説明したものと同様とする。
さらに、上記「凹部の端部」とは、図2に示されている例における場合のように、上記再充填部が上記溝部内のみに形成されている場合は、上記凹部と、上記光透過部の上側の表面とが接触する領域を意味するものとする。また、図4に示されている例における場合のように、上記再充填部が光透過部の上側の表面上にも形成されている場合、「凹部の端部」とは、上記再充填部の上側、かつ、上記光透過部の表面と略平行な表面と、上記凹部と、が接触する領域を意味するものである。
光制御部材の表面の平坦性を確保するために、上記凹部の深さは浅い方が好ましい。上記光制御部材の表面の平坦性を、実用上十分なものとするため、上記凹部の深さは5μm以下、中でも0.1μm〜5μmの範囲内であることが好ましい。なお、上記凹部の深さは、図2や図4におけるT4で示される部分である。
上記再充填部の膜厚は、上記光偏向部が有する凹みの大きさにより適宜調整されるものであり、特に限定されるものではないが、上記凹部の深さが上記範囲内となるような膜厚であることが好ましい。なお、再充填部の膜厚は、図2や図4におけるT3で示される部分である。
(2)再充填部
上記再充填部の屈折率は、光偏向部<再充填部<光透過部を満たすものであれば特に限定されるものではない。共に用いられる光偏向部や光透過部の屈折率を考慮すると、上記再充填部の屈折率は、例えば、1.38〜2.00の範囲内、中でも1.50〜1.55の範囲内とすることができる。なお、上記屈折率は、JIS K 7142に規定された屈折率の測定方法に従い、アッベ屈折計((株)アタゴ社製)を用いて、温度23℃の条件下で、測定波長589nmのナトリウム光源を用いて測定された値である。以下の説明において、屈折率の測定方法は、この方法により測定されるものとする。また、上記屈折率の測定方法については、後述する方法でも測定することができ、上記の測定方法とほぼ同様の結果を得ることができる。すなわち、上記屈折率は、光透過部と、光偏光部と、再充填部とが形成された光制御部材の断面を、裁断機、例えばウルトラミクロトーム(ライカ マイクロシステムズ株式会社製、EM UC7)や、剃刀等により切り出し、二光束干渉顕微鏡(株式会社溝尻光学工業所製、TD−25)を用いて上記断面から各部材の屈折率を測定することができる。
上記再充填部と、光偏向部や光透過部との屈折率差は、光偏向部<再充填部<光透過部を満たすものであれば特に限定されるものではないが、再充填部の上側の表面のタック性および光制御部材の外観性の両方を考慮すると、上記光偏向部と上記再充填部との屈折率差は、0.01〜0.13の範囲内、中でも0.01〜0.08の範囲内、特には0.01〜0.07の範囲内であることが好ましい。
本発明においては、上記再充填部の上側の表面のボールタック試験によるボールタック指数が3以下、中でも2以下であることが好ましい。上記再充填部の上側の表面のボールタック指数が上記範囲内であることにより、光制御部材の製造工程等における、タック性に起因する不具合を防止することができ、取り扱い性に優れた光制御部材とすることができるからである。なお、上記ボールタック指数は、JIS Z 0237に規定される測定方法により測定されるものである。
上記再充填部の可視光線透過率は70%以上であることが好ましく、中でも80%以上であることが好ましく、特に85%以上であることが好ましい。再充填部が上記の可視光線透過率を有することにより、再充填部における入射光の吸収による室内側への出射光量の減少が抑制され、本発明の光制御部材の視認性を向上させることができる。なお、上記可視光線透過率は、分光光度計((株)島津製作所製「UV−2450」、JIS K 0115準拠品)を用い、東洋紡績製PETフィルム(品番:コスモシャインA4300、膜厚:100μm)上に形成された膜厚10μmの光透過部に対し、測定波長380nm〜780nmの範囲内で測定することにより確認される。
上述したような再充填部を形成するための材料は、再充填部の屈折率を、光偏向部<再充填部<光透過部とすることができるものであれば特に限定されるものではない。例えば、上述した屈折率を有する、電離放射線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂などの透明樹脂を用いることができ、中でも、電離放射線硬化性樹脂が用いられることが好ましい。上記電離放射線硬化性樹脂としては、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、可視光線硬化性樹脂、近赤外線硬化性樹脂等が挙げられるが、中でも、紫外線硬化性樹脂および電子線硬化性樹脂が好ましい。
上記紫外線硬化性樹脂および電子線硬化性樹脂としては、従来から慣用されている重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。例えば、重合性オリゴマーないしはプレポリマー、中でも多官能の重合性オリゴマーないしはプレポリマーが挙げられる。
重合性オリゴマーないしはプレポリマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマーやプレポリマー、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエーテル系のウレタン(メタ)アクリレート、カプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系のオリゴマーやプレポリマー、さらにエチレンオキシド(EO)変性、プロピレンオキシド(PO)変性、プロポキシ化エトキシ化等の変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等を構成単位に含むオリゴマーやプレポリマー等が挙げられる。これらは単独で用いても良く、2種類以上を併用しても良い。なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレートまたはメタクリレートを指す。
また、上記重合性オリゴマーないしプレポリマーに加え、ポリチオール系等の反応性オリゴマー、ビニルピロリドン、2−エチルヘキシルアクリレート、β−ヒドロキシアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリテート等の反応性のモノマー等を用いても良い。
上述したような再充填部の屈折率は、所望の屈折率を有する樹脂を用いて再充填部を形成することにより達成されてよく、また、透明なビーズなど、屈折率を下げるための微粒子等を再充填部に含有させることにより達成されてもよい。用いる樹脂の屈折率により上記再充填部の屈折率を調整する場合は、モノマーの比率を下げること、光重合開始剤の比率を上げること等により、所望の屈折率を達成することができる。上述した観点を考慮すると、上記再充填部を形成するための樹脂としては、例えば、特開2014−215580号公報で開示される光透過性材料として用いられる樹脂、特開2014−137441号公報で開示される光透過部に用いられる熱硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂等が好適に用いられる。
また、紫外線硬化性樹脂を用いる場合には、光重合開始剤を併用することが好ましい。上記光重合開始剤の種類としては、従来から慣用されているものを用いることができる。光重合開始剤の含有率としては、紫外線硬化性樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜5質量部程度であることが好ましい。
また、上記再充填部は、他の任意の材料を含んでいても良いが、形状安定性の観点から紫外線吸収剤、光安定剤については含まないことが好ましい。
上記再充填部は、光偏向部上に1層のみの再充填部が形成されていても、複数層の再充填部が形成されていてもよい。上記再充填部が複数層形成されている場合、それぞれの層の屈折率は同じでも、異なっていてもよいが、最上層の再充填部の上面のタック性や、光制御部材の外観性を考慮すると、光偏向部と隣接している再充填部の層の屈折率が低く、その上の再充填部の層が、下層よりも屈折率が高いことが好ましい。
2.光透過部
本発明における光透過部は、一方の表面に複数の溝部を有するものである。上記光透過部の屈折率は、光偏向部<再充填部<光透過部を満たすものであれば特に限定されるものではないが、例えば1.40〜2.00の範囲内、中でも1.55〜2.00の範囲内、特には1.55〜1.62の範囲内であることが好ましい。また、光透過部は、上述した再充填部と同様の可視光線透過率を有することが好ましい。
このような光透過部を構成する材料は特に限定されるものではなく、例えば熱硬化性樹脂、電離放射線硬化型樹脂等が挙げられる。中でも硬化性の観点から電離放射線硬化型樹脂が好適である。
熱硬化性樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、水酸基官能性アクリル樹脂、カルボキシル官能性アクリル樹脂、アミド官能性共重合体、ウレタン樹脂等が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂の架橋硬化態様は特に限定されず、一般に使用される架橋剤、硬化剤を用いて架橋硬化されるものである。
電離放射線硬化型樹脂や上記樹脂に添加される添加剤等については、「1.再充填部」と同様であるため、この項での説明は省略する。
光透過部の膜厚は、溝部の高さに応じて適宜選択されるものであるが、例えば10μm〜300μmの範囲内、中でも25μm〜250μmの範囲内、特に50μm〜220μmの範囲内であることが好ましい。光透過部の膜厚が上記範囲よりも大きいと、光透過部において入射光が吸収されることにより室内側への出射光量が減少し、本発明の光学部材の視認性が低下する場合があり、一方、上記範囲よりも小さいと、溝部を所望の形状に形成することが困難になる場合がある。なお、光透過部の膜厚は、図2や図4におけるT1で示される部分である。
光透過部の一方の表面に配置される溝部の縦断面形状としては、三角形、正方形、長方形、台形状、縦断面形状を構成する2側面のうち少なくとも一方において、斜辺が2本以上の直線または曲線にて構成されるテーパー形状、四辺が曲線である形状等が挙げられる。また、溝部の角部が曲面を有していてもよく、さらに上記縦断面形状を成す側面の辺は直線であってもよく曲線であってもよい。なお、図6は溝部の縦断面形状の一例を示す説明図であり、図6(a)は台形状、図6(b)は両側面の斜辺が2本の直線にて構成されるテーパー形状、図6(c)は角に曲率を有する三角形の形状から成る光制御部の縦断面形状の例をそれぞれ示すものである。
光制御部材の平面視上における溝部の形状としては、特に限定されるものではなく、例えば直線状であってもよく、曲線等の形状であってもよい。さらに、平面視上における溝部の配置は、並列して配置されていてもよく、平行に並んで配置されていてもよく、他方向にランダムに配置されていてもよい。中でも図1で示すように、溝部1が平面視上において直線状に平行に配置されることが好ましい。
溝部の高さとしては、10μm〜300μmの範囲内、中でも25μm〜250μmの範囲内、特に50μm〜200μmの範囲内であることが好ましい。また、溝部の深さ光透過部の膜厚の30%〜100%未満の範囲内、中でも40%〜98%の範囲内、特に50%〜98%の範囲内であることが好ましい。溝部の深さが相対的に増し、屈曲性が低下する場合があるからである。なお、溝部の深さとは、図2や図4におけるT2で示される部分である。
溝部の幅としては、光偏向部の機能に応じて適宜設定することができる。例えば、溝部の最も広幅の部分が5μm〜50μmの範囲内、中でも7μm〜45μmの範囲内、特に10μm〜40μmの範囲内であることが好ましい。溝部の幅が上記範囲よりも大きいと、光制御部材全体として可視光線が透過しにくくなる場合があり、一方、上記範囲よりも小さいと、光偏向部が所望の高さを有さない場合や、所望の光制御機能を果たせない場合があるからである。なお、溝部の幅とは、溝部の縦断面形状において最も広幅の部分をいい、図2や図4におけるWで示される部分である。
溝部の長さとしては、所望の光制御部材の大きさに応じて適宜選択されるものである。なお、溝部の長さとは、平面視上において長尺方向の長さをいう。
溝部のピッチ幅としては、光偏向部の機能に応じて適宜設定することができる。例えば、ピッチ幅は10μm〜200μmの範囲内、中でも10μm〜100μmの範囲内、特に13μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。ピッチ幅が上記範囲よりも大きいと、入射角度の大きい外光が光偏向部に入射しにくくなり、光偏向部による機能が十分に果たされない場合があり、一方、上記範囲よりも小さいと、光偏向部において可視光線が透過しにくくなる場合があるからである。なお、溝部のピッチ幅とは、隣り合う溝部の中心間距離をいい、図2や図4におけるPで示される部分である。
3.光偏向部(第1光偏向部)
本発明における光偏向部は、上記光透過部よりも低い屈折率を有し、上記溝部内に形成されたものである。光偏向部の屈折率を上記光透過部よりも低くすることにより、光透過部と光偏向部との界面において屈折率の違いによる光の全反射を生じさせることができ、反射光を利用した採光量の増加を図ることができる。
上記光偏向部の屈折率は、光偏向部<再充填部<光透過部を満たすものであれば特に限定されるものではないが、例えば1.50未満、中でも1.40〜1.49の範囲内、特には1.45〜1.49の範囲内であることが好ましい。このような屈折率は、屈折率が低い樹脂を用いて光偏向部を形成することにより達成されてよく、また、透明なビーズなど、屈折率を下げるための微粒子等を光偏向部に含有させることにより達成されてもよい。
光制御部材としての光制御効率を向上させるため、光偏向部は、上述した再充填部と同様の可視光線透過率を有することが好ましい。上述したような光偏向部を形成するための材料や添加剤については、上記再充填部と同様であるため、この項での説明は省略する。
光偏向部は、上記溝部内に光偏向部形成用組成物を充填等することにより形成されるものである。そのため光偏向部の形状は、上記溝部の開口部以外については、上記溝部の形状と同様であり、かつ、上記溝部の開口部側に凹みを有するものである。本発明においては、当該光偏向部の凹み内に上述した再充填部が形成されている。
4.任意の部材
本発明の光制御部材は、上述した光透過部、光偏向部、再充填部の他に、任意の部材を有していてもよい。以下、想定される任意の部材について説明する。
(1)基材
本発明の光制御部材は、基材を有していてもよい。上記基材は、通常、光透過部の上記溝部が設けられた面と反対側の面に配置されるものである。
上記基材としては、光透過性を有し、視認性に悪影響を与えないものであれば特に限定されず、例えば、透明性を有する樹脂からなるシートやフィルム等、無機ガラス、有機ガラス、無機・有機ハイブリットガラス等からなるガラス板などを用いることができ、中でもフィルムが好ましい。
基材に用いられる樹脂としては、透明性を有し、光学層等を支持可能な強度を有するものであれば良い。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、塩化ビニル、フッ素樹脂、ゴム等を用いることができる。中でも、透明性および強度の点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートが好ましい。また、基材は、酸化防止剤や紫外線吸収剤等を含んでいても良い。
基材は、必要に応じて片面または両面に表面処理等を行っていても良い。表面処理としては、コロナ放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン紫外線照射処理等の酸化法による表面処理、サンドブラスト法、溶剤処理法等の凹凸化法による表面処理、化学的表面処理等が挙げられる。
(2)オーバーコート層
本発明の光制御部材は、オーバーコート層を有していてもよい。例えば、本発明の光制御部材が接着層や粘着層を有する場合、当該接着層や粘着層と、光透過部(光偏向部・再充填部)との間にオーバーコート層を設けることにより、接着層や粘着層に含まれる接着・粘着成分等が光透過部や光偏向部へ移行され、光透過部、光偏向部、再充填部が劣化されることを防止することができる。
オーバーコート層の材料としては、透明なものであれば特に限定されず、一般に透明シートの分野において用いられている樹脂を用いることができる。また、オーバーコート層の膜厚は、その機能が十分に発揮されるものであれば特に限定されないが、一般的には0.1μm〜30μmの範囲内である。
5.光制御部材
本発明の光制御部材の使用に際し、上記光制御部材は、光透過部の上記溝部を有する表面側から光が入射するように配置されてもよいし、光透過部の上記溝部とは反対側の表面から光が入射するように配置されてもよい。
6.光制御部材の形成方法
本発明の光制御部材の形成方法としては、表面に溝部を複数有する光透過部を形成し、上記溝部内に光制御部および所望の形状の再充填部を形成することができる方法であれば、特に限定されるものではない。光透過部の形成方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、光透過部の材料を含む光透過部形成用組成物を基材上に塗布した後、凸部を有する賦形版を押圧した状態で架橋硬化させて形成することができる。このとき用いられる賦形版は、表面上に複数の凸部を有するものであり、上記凸部の反転形状およびその大きさは、通常、溝部の形状および大きさに相当する。
また、光偏向部および再充填部の形成方法としては、特に限定されるものではない。例えば、上記光透過部の溝部内に光偏向部の材料を含む光偏向部形成用組成物を塗布して充填し、硬化させた後に、再充填部の材料を含む再充填部形成用組成物を、上記溝部内の、上記光偏向部よりも上記溝部の開口部側の領域に塗布して充填し、硬化させる方法を用いることができる。上記再充填部形成用組成物の塗布・硬化は、複数回行われてもよく、その際の上記再充填部形成用組成物は同じものが用いられても、異なるものが用いられてもよい。
光制御部形成用組成物および再充填部形成用組成物の塗布方法としては、少なくとも溝部内の所望の領域に十分に充填させることができる方法であれば、特に限定されるものではなく、ワイピング法、コーティング法、ドライラミネート法、押出しラミネート法等を用いることができる。また、光制御部形成用組成物および再充填部形成用組成物を塗布する際に、溝部から光透過部の表面に流れ出た過剰量の光制御部形成用組成物および再充填部形成用組成物を、ブレード、スキージ、ローラー等を用いて摺り切りを行い除去してもよい。
上記光制御部形成用組成物および再充填部形成用組成物の硬化方法としては、紫外線、電子線等の電離放射線の照射による硬化が好ましく、硬化条件等については、材料および電離放射線の種類に応じて適宜設定することができる。
B.光制御機能付き合わせガラス
本発明の光制御機能付き合わせガラスは、一対のガラス板と、上記一対のガラス板の間に接着層を介して配置された光制御部材と、を有する光制御機能付き合わせガラスであって、上記光制御部材が、一方の表面に複数の溝部を有する光透過部と、上記光透過部よりも低い屈折率を有し、上記溝部内に形成された光偏向部と、上記溝部内の、上記光偏向部よりも上記溝部の開口部側の領域に形成された再充填部と、を有し、上記光透過部と、上記光偏向部と、上記再充填部との屈折率が、光偏向部<再充填部<光透過部であり、上記再充填部の、上記光偏向部と反対側の表面に形成されている凹部の凹み角度が75°以上であることを特徴とするものである。
図7は、本発明の光制御機能付き合わせガラスの一例を示す概略斜視図である。図7に示すように、本発明の光制御機能付き合わせガラス100は、一対のガラス板70と、光透過部2、光偏向部3および再充填部4を有する光制御部材10とから構成される。また、ガラス板70と光制御部材10との間には、接着層71を有する。
本発明によれば、上記溝部内に形成される部材の露出面のタック性を低く抑えることができるため、上記光制御機能付き合わせガラスの製造工程等において、上記光制御部材がタック性を有することに起因する不具合を防止することができ、高性能な光制御機能付き合わせガラスとすることができる。また、上記光偏向部上に上記再充填部が形成されているため、上記溝部がスジのように目立って見えてしまうという外観上の不具合を抑制し、外観性に優れた光制御機能付き合わせガラスとすることができる。なお、具体的な効果については、上記「A.光制御部材」の項に記載した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
以下、本発明の光制御機能付き合わせガラスの各構成について説明する。
1.光制御部材
本発明における光制御部材は、一対のガラス板の間に接着層を介して配置される部材である。また、一方の表面に複数の溝部を有する光透過部と、上記光透過部よりも低い屈折率を有し、上記溝部内に形成された光偏向部と、上記溝部内の、上記光偏向部よりも上記溝部の開口部側の領域に形成された再充填部と、を有し、上記光透過部と、上記光偏向部と、上記再充填部との屈折率が、光偏向部<再充填部<光透過部であり、上記再充填部の、上記光偏向部と反対側の表面に形成されている凹部の凹み角度が75°以上である部材である。なお、光制御部材については、上記「A.光制御部材」の項に記載した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
2.ガラス板
本発明におけるガラス板は、光制御部材を挟持する部材である。このようなガラス板は、光制御部材を安定して挟持できるものであれば特に限定されるものではなく、一般的な合わせガラスに用いられるガラス板を用いることができる。具体的には、無機ガラス、有機ガラス、無機・有機ハイブリットガラス等が挙げられる。
本発明におけるガラス板は、所望の光透過性を有することが好ましい。具体的には、光透過部の可視光線透過率が70%以上であることが好ましく、中でも80%以上であることが好ましく、特に85%以上であることが好ましい。本発明の光制御機能付き合わせガラスの透明性を向上させ、優れた視認性を得ることができるからである。なお、可視光線透過率については、上述した再充填部の可視光線透過率と同様の方法により測定することができるため、ここでの記載は省略する。
本発明におけるガラス板の厚みは、本発明の光制御機能付き合わせガラスの大きさや用途等に応じて適宜調整されるものであるが、例えば、1μm〜50mmの範囲内であることが好ましく、中でも3μm〜30mmの範囲内であることが好ましい。ガラス板の厚みが上記範囲内ですることにより、所望の透明度や機械的強度を有する光制御機能付合わせガラスとすることができる。
本発明においては、対向する一対のガラス板が、それぞれ同じ材質や厚みであっても良く、異なっていても良い。本発明の光制御機能付合わせガラスは、対向する一対のガラス板に挟持された光制御部材により構成されていても良く、必要に応じて複数枚のガラス板を有していても良い。さらに、ガラス板は、型板ガラス、フロストガラス、すりガラスのように表面に凹凸を有していても良く、網入りガラスのように内部にワイヤーが含まれていても良い。
3.接着層
本発明においては、ガラス板と光制御部材との間に接着層を有する。本発明における接着層は、所定の光透過性を有することが好ましい。具体的には、接着層の可視光線透過率が70%以上であることが好ましく、中でも80%以上であることが好ましく、特に85%以上であることが好ましい。接着層が上述した光透過性を有することにより、本発明の光制御機能付合わせガラスを部屋の窓に用いた際に、室外から入射する光が接着層に吸収されるのを抑制することができる。これにより、視認性を高めることができ、また室内に多くの光を取り入れることが可能となる。なお、可視光線透過率については、上述した再充填部の可視光線透過率と同様の方法により測定することができるため、ここでの記載は省略する。
本発明における接着層は、ガラス板と光制御部材とを接着することができるものであれば特に限定されるものではない。具体的には、一般的な合わせガラスにおいて接着剤として用いられるものを用いることができる。例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)等の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等を用いることができ、中でも、EVAやPVBが好適に用いられる。これらの樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。中でも、EVA、PVBの単独使用、または、EVAおよびPVBの併用が好ましい。
接着層の厚みとしては、例えば100μm〜5000μmの範囲内であることが好ましく、中でも、200μm〜1600μmの範囲内であることが好ましい。接着層の厚みが上記範囲に満たないと、異物等が混入した際にそれが核となり気泡を生じる場合があり、接着層の厚みが上記範囲を越えると、光制御機能付合わせガラス全体としての厚みや重量の増加、強度不足等の不具合をもたらすおそれがあるからである。
4.その他
本発明の光制御機能付き合わせガラスは、少なくとも上述した光制御部材、ガラス板および接着層を有するものであるが、必要に応じてその他の部材を有していても良く、一般的な合わせガラスに用いられる任意の層を有していても良い。また、本発明の光制御機能付き合わせガラスは、合わせガラスとして単独で用いることもでき、一対のガラス板間に中空層が設けられた複層ガラスにおける、上記一対のガラス板のうちの少なくとも一方として用いることもできる。
本発明の光制御機能付き合わせガラスは、所定の光透過性を有することが好ましい。具体的には、光制御機能付き合わせガラスの全光線透過率が50%以上であることが好ましく、中でも60%以上であることが好ましく、特に70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。光制御機能付き合わせガラスが上述した光透過性を有することにより、本発明の光制御機能付合わせガラスの透明性が向上し、意匠性を良好に保つことが可能となり極めて実用性が高くなる。なお、全光線透過率については、JIS K 7375の規定に従い測定することができる。
本発明の光制御機能付き合わせガラスの製造方法は、上述した各部材を用いて所望の光制御機能付き合わせガラスを得ることができる方法であれば特に限定されず、一般的な中間膜を有する合わせガラスと同様の方法を用いることができる。例えば、所定の方法により得られた光制御部材を、接着層を介して一対のガラス板の間に配置し、その後、熱圧着することにより光制御機能付き合わせガラスを得ることができる。
C.光制御フィルム
上述した本発明の光制御部材の他の使用形態としては、上記光制御部材の一方の表面上に粘着層を有する光制御フィルムを挙げることができる。例えば、光制御部材の入射面側に粘着剤を有する場合、このような光制御フィルムを建物や車両の窓等に内側から貼り付けることにより、外部から取り込まれる光を制御することができる。
図8は、本発明の光制御部材を用いた光制御フィルムの一例を示す概略断面図である。図8に例示すように、上記光制御フィルム200は、機械的強度を高めるための基材81を有していてもよい。また、光制御フィルム200を窓ガラス等の所望の部材に貼合させるための粘着層82を有していてもよく、上記粘着層82の粘着成分が光透過部2、光偏向部3、再充填部4へ移行するのを防止する等を目的とするオーバーコート層83を有していてもよい。さらに、光制御フィルム200は、耐候性や耐傷性の向上等を目的とするハードコート層84を有していてもよい。なお、図8における光透過部2、光偏向部3、再充填部4については、図1および図2と同様であるため、ここでの説明は省略する。
光制御フィルムに上記光制御部材を用いることにより、上記溝部内に形成される部材の露出面のタック性を低く抑えることができるため、上記光制御フィルムの製造工程等において、上記光制御部材がタック性を有することに起因する不具合を防止することができ、高性能な光制御フィルムとすることができる。また、上記光偏向部上に上記再充填部が形成されているため、上記溝部がスジのように目立って見えてしまうという外観上の不具合を抑制し、外観性に優れた光制御フィルムとすることができる。
以下、上記光制御部材を用いた光制御フィルムの各構成について説明する。なお、以下に説明する光制御フィルムにおいて用いられる光制御部材については、上記「A.光制御部材」の項に記載した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
1.粘着層
上記光制御フィルムは、上記光制御部材を窓ガラスや基材等の所望の部材に貼合させるための粘着層を有するものである。粘着層としては、特に限定されないが、例えばゴム系、アクリル系、オレフィン系、ポリエステル系、およびポリウレタン系の粘着剤等を粘着主剤とするものが挙げられる。このような粘着層としては、例えば感圧粘着層等がある。
粘着層の膜厚としては、上記光制御部材を所望の部材に貼合させることが可能であれば特に限定されず、例えば5μm〜100μmの範囲内が好ましく、中でも10μm〜75μmの範囲内が好ましい。
粘着層は、上記光制御部材の入射面側に設けられても良く、出射面側に設けられても良く、本発明の光制御部材の使用態様に応じて適宜選択することができるが、通常、入射面側に設けられる。上記光制御部材の入射面側に粘着層を設けることにより、既存の建物や車両などの窓ガラス等に、室内側から光制御部材を貼り付け、外部から入射する光の制御をすることができる。
2.ハードコート層
上記光制御フィルムは、上記光制御部材および粘着層の他に、耐候性や耐傷性の向上を目的としてハードコート層を有していてもよい。このようなハードコート層の材料としては、透明なものであれば特に限定されず、一般に透明シートの分野に用いられるものと同様とすることができる。
ハードコート層の膜厚としては、その機能が十分に発揮されるものであれば特に限定されないが、例えば0.1μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。ハードコート層は、上記光制御フィルムを窓材に貼合した際に最外層となるように配置されることが好ましい。
3.剥離層
上記光制御フィルムは、上記粘着層上に剥離層を有していてもよい。剥離層を有することにより、上記粘着層への埃等の付着を防止し、汚れによる光制御フィルムの視認性の低下を防ぐことができる。また、ロール状に巻き取った光制御フィルムを巻き出す際に、上記粘着層の表面が荒れて、巻き出し不良の発生を防止できるからである。
剥離層の材料としては、一般に使用されているものであれば特に限定されない。例えば、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系およびメタアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、シリコン樹脂、塩化ゴム、カゼイン、各種界面活性剤、金属酸化物等が挙げられる。これらの材料は単独で用いても良く、2種以上混合して用いてもよい。
4.光制御フィルムのその他の構成
上記光制御フィルムは、上述した各構成の他にも、光を拡散させて眩しさを低減するための光拡散層や、光制御部材の表面の凹凸を平坦化するための平坦化層等を有していてもよい。
D.その他
上記本発明の光制御部材は、上述した光制御機能付き合わせガラスや光制御フィルム以外にも、様々な形態において用いることができる。以下、本発明の光制御部材の使用が想定される各形態について、説明する。
1.ロールスクリーン
本発明の光制御部材は、ロールスクリーンに用いることができる。一般的なロールスクリーンは、スクリーンを、パイプ等の本体部分に内蔵されたスプリングによって巻取り昇降させるものであり、上記スクリーンを好みの高さで止めることもできる。例えば、スクリーン基材の一方の表面上に、粘着層を介して本発明の光制御部材を配置して上記スクリーンとすることにより、本発明の光制御部材をロールスクリーンとして用いることができる。
2.ブラインド
本発明の光制御部材は、ブラインドとしても用いることができる。一般的なブラインドは、金属やプラスチックの細長い帯状の板(スラット)が糸でつながれているものであり、棒や紐で上記スラットの角度を調節でき、不必要な場合は巻き上げることが出来るものである。例えば、上記スラットを、基材上に形成された本発明の光制御部材とすることにより、本発明の光制御部材をブラインドとして用いることができる。
3.網戸
本発明の光制御部材は、網戸としても用いることができる。例えば、本発明の光制御部材をフィルム状に形成し、当該フィルム状に形成された光制御部材に多数の細孔を設けることにより、本発明の光制御部材を網戸として用いることができる。
4.扉
本発明の光制御部材は、扉としても用いることができる。一般的な扉は、板状の部材を有するものであるが、当該板状の部材の一部または全部を本発明の光制御部材で構成することにより、本発明の光制御部材を扉として用いることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例1]
以下の方法により、基材上に光透過部、上記光透過部の溝部内に光偏向部および再充填部、上記光透過部の基材と反対側の面上に粘着層を有する光制御部材を形成した。
<光透過部形成用組成物の調製および屈折率の測定>
単官能モノマー、2官能モノマー、モノマー、2官能オリゴマー、開始剤を所定量混合し、均一化して、光透過部形成用組成物を得た。なお、この光透過部形成用組成物を厚さ100μmとなるように塗布し、高圧水銀により800mJ/cmの紫外線を照射して光透過部形成用組成物を硬化させ、多波長アッベ屈折率計(株式会社アタゴ製)を用いて屈折率を測定したところ、1.600であった。
<溝部形成用金型ロールの作成>
銅メッキが施された円柱状の金型ロールの銅メッキ層の外周を、上記金型ロールのロール軸方向に所定のピッチで、ダイヤモンドバイトにより切削して所望の形状を得た後に、クロムメッキを施し、溝部形成用金型ロールを作成した。
<光透過部の形成>
上記溝部形成用金型ロールと、ニップロールとの間に基材(A4100:東洋紡株式会社製)を搬送し、上記基材の基材層上に上記光透過部形成用組成物を供給した。上記溝部形成用金型ロールおよびニップロール間の押圧力により、上記基材の基材層と溝部形成用金型ロールとの間に光透過部形成用組成物を充填した。その後、上記基材側から、高圧水銀灯により800mJ/cmの紫外線を照射して光透過部形成用組成物を硬化させて、光透過部を形成した。その後、剥離ロールを用いて上記溝部形成用金型ロールから光透過部を離型し、光透過部を含むシート(中間部材)を得た。
<光偏向部形成用組成物の調製および屈折率の測定>
ウレタンオリゴマー、多官能モノマー、単官能モノマー、開始剤を所定量混合して均一化し、光偏向部構成組成物を調製した。上記光偏向部形成用組成物を、膜厚が100μmとなるように塗布し、高圧水銀灯により800mJ/cmの紫外線を照射して硬化させた後に、多波長アッベ屈折率計(株式会社アタゴ製)を用いて、屈折率を測定したところ、屈折率は1.480であった。
<再充填部形成用組成物の調製および屈折率の測定>
単官能モノマー、2官能モノマー、モノマー、2官能オリゴマー、開始剤を所定量混合して均一化し、再充填部形成用組成物を調製した。上記再充填部形成用組成物を、膜厚が100μmとなるように塗布し、高圧水銀により800mJ/cmの紫外線を照射して硬化させた後に、多波長アッベ屈折率計(株式会社アタゴ製)を用いて、屈折率を測定したところ、屈折率は1.500であった。
<光偏光部および再充填部の形成>
上記光偏向部形成用組成物を、供給装置から上記中間部材上に供給した。上記中間部材の進行方向と略垂直に配置されたドクターブレードを用い、上記中間部材上に供給した光偏向部形成用組成物を中間部材に形成された溝(光透過部間の溝)内に充填するとともに、余剰分の光偏向部形成用組成物を掻き落とした。その後、高圧水銀灯により800mJ/cmの紫外線を照射し、光偏向部形成用組成物を硬化させ、光偏向部を形成した。この状態では、光偏向部の表面の凹みの深さは6μmであった。その後、上記光偏向部形成用組成物の塗布・硬化工程と同じ工程を、上記光偏向部形成用組成物の代わりに上記再充填部形成用組成物を用いて行ったところ、上記再充填部の上側の表面に形成されている凹部の深さは3μmであった。また、上記光透過部と、光偏光部と、再充填部とが形成された光制御部材の断面を、裁断機、例えばウルトラミクロトーム(ライカ マイクロシステムズ株式会社製、EM UC7)や、剃刀等により切り出し、二光束干渉顕微鏡(株式会社溝尻光学工業所製、TD−25)を用いて上記断面から各部材の屈折率を測定したところ、上述した、形成用組成物を製膜して測定した各部材の屈折率と同様の値を得た。
<粘着層の形成>
アクリル系樹脂の粘着剤(商品名:SKダイン2094、綜研化学株式会社、固形分25.0%、溶剤は酢酸エチルとメチルエチルケトン)を100質量部と、架橋剤(e−5XM、L−45、綜研化学株式会社、固形分5.0%)を0.28質量部と、1、2、3−ベンゾトリアゾールを0.25質量部と、希釈剤(トルエン/メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=27.69g/27.69g/4.61g)を32.0質量部と、を混合して粘着層形成用組成物を得た。上記粘着層形成用組成物を離型フィルム(商品名:E7007、東洋紡績社製、厚さ38μm)上に塗布して乾燥させ、上記光透過部の基材と反対側の面上に貼り合わせた。
[実施例2]
上記再充填部形成用組成物の塗布・硬化工程後に形成された、上記再充填部の上側の表面の凹部の深さが4μmであったこと以外は、実施例1と同様にして光制御部材を得た。
[実施例3]
上記再充填部形成用組成物の塗布・硬化後の屈折率が1.550であったこと以外は、実施例1と同様にして光制御部材を得た。
[比較例1]
上記再充填部形成用組成物の塗布・硬化後の屈折率が1.480(上記光偏向部と同じ)であったこと以外は、実施例1と同様にして光制御部材を得た。
[比較例2]
上記再充填部形成用組成物の塗布・硬化工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして光制御部材を得た。
[比較例3]
上記再充填部形成用組成物の塗布・硬化後の屈折率が1.600(上記光透過部と同じ)であったこと以外は、実施例1と同様にして光制御部材を得た。
[評価]
以下の方法により、上記各実施例および比較例において作製した光制御部材について、ボールタック試験による評価、ブロッキング試験による評価、および、外観評価を行った。各光制御部材について、上記再充填部と光偏向部との屈折率差、上記再充填部の凹部の凹み角度、および、各評価結果を表1に示す。
<凹み角度の測定>
上記光透過部と、光偏光部と、再充填部とが形成された光制御部材の断面を、ウルトラミクロトーム(ライカ マイクロシステムズ株式会社製、EM UC7)により切り出し、マイクロスコープ(株式会社キーエンス製、VHX−1000)を用いて上記断面の画像を取得し、上記画像より凹み角度を測定した。
<ボールタック試験>
JIS Z 0237に規定される測定方法により、各光制御部材のボールタック指数を測定した。上記ボールタック指数は、値が小さいほどタック性が低く、3以下であれば取り扱い性に問題のない範囲である。
<ブロッキング試験>
ブロッキングテスターに上記各光制御部材をセットし、室温で1週間ブロッキング試験を実施し、ブロッキングによる干渉むらを観測した。試験装置としてCO−201永久歪試験機(テスター産業株式会社製)を用いた。上記試験は、7cm角のサンプルを20枚積層させて上記試験装置にセットし、圧着試験後の干渉ムラを評価した。下記の表に上記各光制御部材における干渉ムラの有無を示す。
<外観評価>
上記各光制御部材の外観を目視により観察し、スジが視認できなかったものを◎、薄いスジが視認されたものを○、濃いスジが視認されたものを×とした。
Figure 0006217880
1 … 溝部
2 … 光透過部
3 … 光偏向部(第1光偏向部)
4 … 再充填部(第2光偏向部)
5 … 凹部
10 …光制御部材
70 …ガラス板
71 …接着層
100 …光制御機能付き合わせガラス

Claims (2)

  1. 一方の表面に複数の溝部を有する光透過部と、
    前記光透過部よりも低い屈折率を有し、前記溝部内に形成された第1光偏向部と、
    前記溝部内の、前記第1光偏向部よりも前記溝部の開口部側の領域に形成された第2光偏向部と、
    を有する光制御部材であって、
    前記光透過部と、前記第1光偏向部と、前記第2光偏向部との屈折率が、第1光偏向部<第2光偏向部<光透過部であり、
    前記第2光偏向部の、前記第1光偏向部と反対側の表面のボールタック試験によるボールタック指数が3以下であり、
    前記第2光偏向部の、前記第1光偏向部と反対側の表面に形成されている凹部の凹み角度が75°以上であることを特徴とする光制御部材。
  2. 一対のガラス板と、
    前記一対のガラス板の間に接着層を介して配置された光制御部材と、
    を有する光制御機能付き合わせガラスであって、
    前記光制御部材が、一方の表面に複数の溝部を有する光透過部と、前記光透過部よりも低い屈折率を有し、前記溝部内に形成された第1光偏向部と、前記溝部内の、前記第1光偏向部よりも前記溝部の開口部側の領域に形成された第2光偏向部と、を有し、
    前記光透過部と、前記第1光偏向部と、前記第2光偏向部との屈折率が、第1光偏向部<第2光偏向部<光透過部であり、
    前記第2光偏向部の、前記第1光偏向部と反対側の表面のボールタック試験によるボールタック指数が3以下であり、
    前記第2光偏向部の表面のタック性が、前記第1光偏向部の表面のタック性よりも低く、
    前記第2光偏向部の、前記第1光偏向部と反対側の表面に形成されている凹部の凹み角度が75°以上であることを特徴とする光制御機能付き合わせガラス。
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