JP6216651B2 - 荷電粒子線装置、画像生成方法、観察システム - Google Patents

荷電粒子線装置、画像生成方法、観察システム Download PDF

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Description

本発明は、試料の内部及び表面を観察することが可能な荷電粒子線装置及び当該装置を用いた画像取得方法、観察システムに関する。
物体の微小な領域の内部構造を観察するために、走査型透過電子顕微鏡(STEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などが用いられる。このような電子顕微鏡を用いて試料内部を観察するための一般的な観察方法として、多数の空孔を備えたメッシュ状の試料台の上に電子線が透過可能な程度に薄くスライスされた試料を配置し、試料面に対して電子源側とは反対側に配置された検出器にて透過電子線を取得することが知られている。しかし、この方法では試料がメッシュの空孔上で浮いた構成となるために、試料台に搭載する作業は非常に困難を極めている。そこで、特許文献1では、観察用の試料を直接載置することが可能な電子検出器が提案されている。
また、物体の微小領域は電子顕微鏡だけでなく光学顕微鏡によっても観察することが可能である。光学顕微鏡を用いることで電子顕微鏡では原理的に取得することが不可能な色情報を取得することが可能である。光学顕微鏡では、白色光または特定の光を照射して試料に吸収または試料から放出された色情報をもつ光を結像することで透過光学像を得ることができる。これにより、例えば、生体細胞試料などに特定の染色材を入れることにより細胞内の特定領域だけを染めることができるので、その色を観察することによってどの領域が染まっているのかまたは染まっていないのかを観察することが可能である。特に、病理診断やライフサイエンスの分野で広く用いられている。
電子顕微鏡では色情報は取得できない一方で、電子顕微鏡では光学顕微鏡では観察できない微小領域を高分解能で観察することが可能である。また、電子顕微鏡画像から得られる情報は試料の密度差を反映した情報であり、光学顕微鏡で得られる情報とは異質なものである。
特開平10−283978号公報
特許文献1の検出器兼試料台は半導体や金属膜などと電気配線等で配線された電気系の上に直接試料を配置している。この検出器兼試料台は配線が接続されているので同じ試料を他の装置で観察するには電気配線を外すという非常に手間な作業を要する。また、例えば顕微鏡観察用の試料台上で試料自体を培養させる必要がある培養細胞などを観察するには、電気配線が繋がった回路を培養液等につけることになり、検出器兼試料台への載置が困難となる場合がある。以上のように従来技術では透過荷電粒子による観察において試料の設置や取り出しに非常に手間がかかっていた。
また、一般に電子顕微鏡では二次電子や反射電子など二次的荷電粒子により試料の表面や形態の情報を持つ画像を取得することが可能である。しかしながら上記の通り、透過荷電粒子による観察のための試料の設置等に非常に手間がかかるため、従来の装置では透過荷電粒子による画像と二次的荷電粒子による画像とを両方観察することは非常に不便なものであった。
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたもので、試料内部及び表面の観察を簡便に行うことができる荷電粒子線装置及び当該装置を用いた画像取得方法、観察システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の荷電粒子線装置は、試料の内部を透過した透過荷電粒子が照射されることで発光する発光部材からの光の検出信号に基づいて透過荷電粒子画像を生成する透過荷電粒子画像モードと、試料からの二次荷電粒子または反射荷電粒子に起因する検出信号に基づいて二次的荷電粒子画像を生成する二次的荷電粒子画像モードで動作する。
本発明によれば、試料が載置された試料台を発光させて、その発光を検出することにより、透過荷電粒子による像観察を簡便に行うことができる。特に、試料内部及び表面の両方を簡便に観察することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
光学顕微鏡観察と荷電粒子線顕微鏡観察の概略説明図。 検出素子を具備した試料台の詳細図。 検出素子を具備した試料台の詳細図。 検出素子を具備した試料台の詳細図。 検出素子を具備した試料台の詳細図。 検出素子からの透過荷電粒子を検出するための説明図。 荷電粒子線顕微鏡および光学顕微鏡における観察手順。 検出素子からの透過荷電粒子を検出するための説明図。 検出素子からの透過荷電粒子を検出するための説明図。 検出素子からの透過荷電粒子を検出するための説明図。 実施例1における装置構成図。 検出器の詳細図。 検出器の詳細図。 光学顕微鏡での観察方法を説明する説明図。 実施例2における装置構成図。 検出素子からの透過荷電粒子を検出するための説明図。
以下、図面を用いて各実施形態について説明する。
以下では、本発明における試料台の詳細及び当該試料台が適応される荷電粒子線装置について説明する。ただし、これは本発明の単なる一例であって、本発明は以下説明する実施の形態に限定されるものではない。本発明は、荷電粒子線を照射することによって試料を観察する装置、例えば走査電子顕微鏡、走査イオン顕微鏡、走査透過電子顕微鏡、これらと試料加工装置との複合装置、またはこれらを応用した解析・検査装置にも適用可能である。なお、本発明における試料台と当該試料台が載置される荷電粒子線装置とにより、透過荷電粒子線像の観察が可能な観察システムを構成する。
また、本明細書において「大気圧」とは大気雰囲気または所定のガス雰囲気であって、大気圧または若干の負圧状態の圧力環境のことを意味する。具体的には約105Pa(大気圧)から〜103Pa程度である。
また、本明細書において「試料台」とは試料を載置した状態で荷電粒子線装置から試料とともに取り外しできるユニットのことを意味する。具体的には、以下で説明するように、当該「試料台」ユニットは発光部材と土台とを有していてもよいし、発光部材のみで形成されていてもよい。
<概要>
はじめに、本実施例の概要に関して説明する。本実施例では、透過荷電粒子による画像(透過荷電粒子線像)と反射荷電粒子や二次荷電粒子などの二次的荷電粒子による画像(二次的荷電粒子像)とを取得可能な荷電粒子顕微鏡、観察システムについて説明する。特に本実施例では透過荷電粒子線像と二次的荷電粒子線像は同じ検出器からの信号に基づいて生成されることを説明する。また、本実施例における具体的実施形態として、試料内部を透過または散乱した荷電粒子線を光に変換し、その光を検出することで透過荷電粒子による画像が生成される例を説明するが、これに限られるものではない。
本実施例では、より具体的には、試料が載置される試料台の少なくとも一部は荷電粒子線の照射により発光する発光部材で形成され、当該発光部材上にある試料を透過または散乱した荷電粒子線が当該発光部材に照射されることで光が発生し、その光を荷電粒子顕微鏡に備えられた検出器で検知することで、透過荷電粒子線像を生成する。つまり、本実施例では試料を透過した荷電粒子線を直接検出するのではなく、光に変換して検出する。以下に詳述するように、荷電粒子線を光に変換する発光部材には外部から接続される電源ケーブルや信号線等の配線が不要である。そのため、同じ試料台を用いて荷電粒子線顕微鏡とその他の装置で観察することができ、装置間の試料の移動に際して電気配線を外すという非常に手間な作業が不要となる。また、発光部材自体または発光部材を有する試料台を簡単に装置に着脱できるので、どのような試料でも簡単に試料を試料台にセットすることが出来る。特に、顕微鏡観察用の試料台上で試料自体を培養させる必要がある培養細胞などを観察する場合に非常に有効である。
さらに、図1に示すように本実施例の試料台を用いれば荷電粒子線顕微鏡による観察と光学顕微鏡などの他の装置による観察とを同じ試料台で行うことができる。図1には本実施例における荷電粒子線を光に変換または増幅して発光させることが可能な検出素子500(発光部材ともいう)を具備する試料台600と、荷電粒子線顕微鏡601と、光学顕微鏡602を示す。試料台600上には試料6が搭載可能である。なお、ここで検出素子とは電気的回路や機械的回路を持つものに限られず、荷電粒子線を検知する機能を有する基本要素部材を広く意味する。例えば後述するように発光部材自体を指すこともある。この検出素子は、実際には荷電粒子線顕微鏡に備えられた検出器や増幅器などの検出システムと組み合わせて動作することにより検知した荷電粒子線を電気信号として検出することが可能となる。したがって、これらの検出システムの一部であるということもできる。また、図2に示す通り検出素子500自体が試料台600となる場合もある。この場合は検出素子500と試料台600は同義となる。
本実施例において、この試料台の具備された検出素子は透明な部材で作られているとよい。以下、本明細書において、「透明」の意味は、特定の波長領域の可視光もしくは紫外光もしくは赤外光が通過可能、またはすべての波長領域の可視光もしくは紫外光がもしくは赤外光通過可能ということである。紫外光は波長がおおよそ10〜400nmであり、可視光は波長がおおよそ380nmから750nmであり、赤外光とは波長がおおよそ700nm〜1mm(=1000μm)程度の波長の領域のことを言う。例えば、多少の色が混在されていても透けて見えれば特定の波長領域の可視光が通過可能ということであり、無色透明であればすべての波長領域の可視光が通過可能という意味である。ここで「通過可能」とは少なくとも当該波長領域の光によって光学顕微鏡観察が可能な光量の光が通過することを指す(例えば透過率50%以上であることが望ましい)。また、ここで特定の波長領域とは少なくとも光学顕微鏡の観察に用いる波長領域を含む波長領域である。そのため、本実施例の試料台の一面側からの光が試料を透過することによって得られる「光透過信号」を試料台のもう一面側から検出することが可能な一般的な光学顕微鏡(透過型光学顕微鏡)に用いることが可能である。光学顕微鏡としては、生物顕微鏡、実体顕微鏡、倒立型顕微鏡、金属顕微鏡、蛍光顕微鏡、レーザ顕微鏡等の光を用いた顕微鏡ならばどんなものでもかまわない。また、ここでは説明のため「顕微鏡」としているが、本発明は画像の拡大率に関らず、試料に光を照射することで情報を取得する装置一般に適用可能である。
本実施例では、荷電粒子線顕微鏡内で発生された荷電粒子線が試料6に照射された後に試料の内部を透過または散乱した「荷電粒子透過信号」を、試料台に具備された検出素子にて検出することにより、透過荷電粒子顕微鏡画像を取得することが可能である。後述するように、検出素子500からの光を電気信号に変換及び増幅するために荷電粒子線顕微鏡601内には光検出器503を備える。
また、電子顕微鏡と光学顕微鏡では得られる情報が異なるため、電子顕微鏡と光学顕微鏡の両方で同一試料を観察したい要求が近年非常に増えている。しかしながら、例えば特許文献1の検出器兼試料台は光を透過することができず、実質的に、光学顕微鏡による観察ができない電子顕微鏡向けの試料台であった。このため電子顕微鏡向けの試料と光学顕微鏡向けの試料を作り分けなければならず、試料作成に手間がかかる等の問題があった。
本実施例の試料台は電子顕微鏡などの荷電粒子線顕微鏡装置に搭載可能であるため、光学顕微鏡と共用に用いられる共通試料台となりうる。つまり、図中矢印で図示したように同一試料台を各顕微鏡間で移動させて観察することで、それぞれの顕微鏡観察向けに試料を複数作製したり試料を移し変えたりすることなく、一つの試料台に試料を配置したまま荷電粒子線観察と光学観察が可能である。なお、図1のように個別に配置された各顕微鏡にて同一試料台を搭載してもよいし、後述するように、光学顕微鏡と荷電粒子顕微鏡が一体化された複合型顕微鏡装置を用いてもよい。以下で、試料台、試料搭載方法、画像取得原理、装置構成等の詳細に関して説明する。
<試料台の説明>
図2を用いて、本実施例における試料台の詳細について説明する。本実施例の試料台は荷電粒子線を光に変換する検出素子500で構成される。あるいは、検出素子500を支持する土台501(透明である場合には透明部材ともいう)から構成される。光学顕微鏡での観察と荷電粒子顕微鏡での観察を同じ試料台で行う場合には、検出素子500と土台501は透明であることが望ましい。試料6は検出素子500上に直接搭載される。または、後述するように膜などの部材を介して間接に搭載されても良い。土台501は、理想的には無色透明であるが、多少の色が混在されていてもかまわない。土台501としては、透明ガラス、透明プラスチック、透明の結晶体などである。蛍光顕微鏡などで観察したい場合は、蛍光が吸収されない方がよいのでプラスチックがよい。本実施例の試料台では、少なくとも、試料が配置される箇所と試料台において試料が配置される箇所と対向する面との間にある検出素子と土台501とが「透明」であれば光学的な顕微鏡観察が可能である。なお、土台501は必ずしもなくともよい。
検出素子500は例えば数keVから数十keVぐらいまでのエネルギーで飛来してくる荷電粒子線を検知し、荷電粒子線が照射されると可視光や紫外光や赤外光などの光を発光する素子である。本実施例の試料台に用いられる場合、当該検出素子は試料台に載置された試料の内部を透過または散乱した荷電粒子を光に変換する。発光波長は、可視光、紫外光、赤外光のうち特定のまたは任意のいずれかの波長領域であればよい。検出素子としては例えばシンチレータ、ルミネッセンス発光材などを用いることができる。シンチレータの例としてはSiN(シリコンナイトライド)、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)素子、YAP(イットリウム・アルミニウム・ペロブスカイト)素子、BGO素子(ビスマスゲルマニウム酸化物)、GSO(ガドリニウムシリコン酸化物)素子、LSO( ルテチウムシリコン酸化物)素子、YSO(イットリウムシリコン酸化物)素子、LYSO(ルテチウムイットリウムシリコン酸化物)素子、NaI(TI)(タリウム活性化ヨウ化ナトリウム)素子などの無機シンチレータ材料がある。または、ポリエチレンテレフタレートなど発光することが可能な材料が含有するプラスチックシンチレータあるいは有機シンチレータや、アントラセンなどが含有した液体シンチレータが塗布された材料などでもよい。荷電粒子線を光に変換可能な素子であれば検出素子500はどのような材料であってもかまわない。
なお、検出素子500が多結晶体の場合、荷電粒子線が結晶部と各結晶同士の界面部とに照射された場合の発光量がそれぞれ異なるために、結果として各結晶の粒界が観察されてしまうことがある。各結晶の粒界の情報と試料内部情報とが混在してしまうと、明瞭な試料透過観察ができない場合がある。そのため、結晶の粒径(大きさ)が観察対象の試料の大きさよりも十分小さいか、結晶の粒径が観察対象の試料の大きさよりも十分大きい必要がある。もし結晶の粒径に関わらず結晶の粒界が透過観察において障害になる場合は、検出素子500は単結晶体を使うとよい。単結晶体の上に試料を配置して荷電粒子線を照射することによって、結晶の粒界が観察されることなく試料内部情報だけの観察が実施可能となる。しかしながら、検出素子500に単結晶体を用いた場合に、検出素子500上に搭載された試料を光学顕微鏡にて観察すると、光が単結晶体を通過する際に、光が二つに分離されることがある。この結果、光学顕微鏡の観察結果において被観察対象物が2重にみえることがある。これは単結晶が引き起こす複屈折現象による。このため、単結晶体を検出素子500とし、その検出素子に載置された試料を光学顕微鏡にて観察する場合には、試料を透過した光が検出素子500内部を通過することによって、光が分離しないように制御する必要がある。例えば、後述するように、検出素子500に対して試料が配置される側と光源が配置される側とが反対側に位置にする必要がある。
また別の例として、検出素子500は、荷電粒子線が照射されることによって蛍光を発生する蛍光剤が土台501上にコーティングされた薄膜や微粒子であってもよい。この場合、前記蛍光剤である薄膜や微粒子が検出素子500となる。例えば、コーティング材として、緑色蛍光タンパク質(Green Fluorescent Protein,GFP)などの蛍光たんぱく質がある。蛍光色は緑に限らず青や赤など何でも構わない。特に、荷電粒子線を照射しても瞬時に劣化することがないようなGFPがよい。例えば、高感度緑色蛍光タンパク質(enhancedGFP,EGFP)などである。観察したい試料が細胞などの生体試料の場合には、タンパク質であるGFPと細胞試料などの密着性がよいといった利点もある。また、GFPが塗布された基板に対して、試料搭載後に荷電粒子線を照射してGFPの蛍光強度を高めてから観察してもよいし、試料搭載前に荷電粒子線を照射して、GFPの発光強度を高めてから試料を搭載してもよい。この場合、コーティング材は土台501に支持、塗布、または散布される。本実施例では、これらも含め、荷電粒子を受光面に受けることにより光を発生する部材を総称して発光部材と称する。荷電粒子線の固体内平均自由行程は荷電粒子線の加速電圧に依存するが数十nmから数十μmである。そのため、検出素子500の上面の発光領域も検出素子表面から同程度の厚みの領域となる。よって、検出素子500の厚みはこの厚みを上回っていればよい。一方で、前述の通り、光学顕微鏡観察を同じ試料台で行うことを考えた場合には、光学顕微鏡にて観察した際の光透過信号ができるかぎり透過可能な必要があるので、多少の色が混在された検出素子の場合はできるかぎり薄いほうがよい。
もし、検出素子500としての蛍光剤が荷電粒子線照射によって損傷を引き起こして発光をしなくなる場合は、冷却をすることによって損傷を防ぐことも可能となる。その場合、水や液体窒素やペルチェ素子等で検出素子500を冷却することが可能な試料ステージを備えればよい。
なお、光学顕微鏡602が蛍光顕微鏡である場合には、試料に蛍光材を注入する必要がある。この場合、試料に注入する蛍光材料の蛍光波長帯と、本実施例における上記発光部材としての蛍光材料の発光波長帯とがずれているほうが望ましい。例えば、緑色である蛍光たんぱく質で検出素子500をコーティングした場合には、赤や青などの蛍光たんぱく質で試料を染めることが望ましい。もし、発光部材のコーディングと試料の染色を同一色で実施する場合は、蛍光顕微鏡下では色ではなく発光強度の違いを識別すればよい。また、試料に蛍光材が含まれる場合はそれがどのような色であっても、荷電粒子線装置内の光検出器503では検出素子500からの光と試料からの光を検出することになる。この場合、光検出器503は予め発光波長の増幅率が異なる検出器を用いれば(または分光器を用いれば)、結果として荷電粒子による透過情報が取得できることになる。具体的には、発光部材からの光に対する増幅率が試料からの光に対する増幅率より高い光検出器503を用いれば、荷電粒子による透過信号を選択的に増幅することができる。また、光検出器503に光の波長を分けることが可能な分光器が具備されていてもよい。また、光検出器503と検出素子500との間にレンズを配置して検出素子500からの光を拡大して直接その光を観察してもよい。この場合、光検出器503の代わりに人間の目で直接光を検知することになる。
光学顕微鏡にて良く用いられる試料台としてスライドグラス(又はプレパラート)やディッシュ(又はシャーレ)などの透明試料台がある。つまり、本実施例における荷電粒子線を光変換することが可能な検出素子を具備した試料台をこれら光学顕微鏡向けの一般的なスライドグラス(例えば約25mm×約75mm×約1.2mm)の形状の上に検出素子500をのせれば、これまでユーザが使用していたような経験や感覚で試料台操作や試料搭載や試料観察が可能である。または、スライドガラスやシャーレなどの試料台自体を上記した発光する部材で形成して試料台としてもよい。これによれば、光学顕微鏡で一次的にスクリーニングし、選別された試料をそのまま荷電粒子顕微鏡で詳細観察するといった使い方をすることができる。または、一般の高性能の透過型荷電粒子線顕微鏡装置用の試料調製は大変な労力を要するので、本実施例における試料台による観察を高性能の透過型荷電粒子線顕微鏡観察前のスクリーニングとして利用することも可能である。また、後述するように、これら顕微鏡間で試料を移動する際に位置情報等をコンピュータ上や紙面上でマップとして共有化すると、各顕微鏡で同一部位を観察することが可能となる。
図3(a)に試料台600の別の実施形態を示す。図3(a)では、検出素子500の表面に薄い膜502が配置され、膜502の上に試料が載置される。前述のように荷電粒子線の固体内平均自由行程は荷電粒子線の加速電圧に依存するが数十nmから数十μmであるため、膜502の厚さはその平均自由行程よりも十分薄ければよい。この厚みは図中Aで記載されている。この薄い膜502は、荷電粒子線の少なくとも一部が透過可能な厚さおよび材質である必要がある。光学顕微鏡での観察も実施される場合にはこの薄い膜502はさらに光に対して透明である必要もある。このような薄い膜502を配置すると、検出素子500の表面の汚れや傷などを防止することが可能である。この薄い膜502の一例として、試料が試料台と分離しないように、試料と試料台の密着性を高めるための物質がある。例えば、試料が細胞等の生体試料の場合、細胞表面は脂質二重層のリン酸脂質による負の荷電状態であるため、正の荷電状態の分子(リジンやアミノシランなど)をスライドグラスなどの試料台上に塗布することによって、細胞試料が試料台から剥離することを防止することができる。または、液体を多く含んだ状態の試料を搭載しやすくなるように親水性を有する材料が塗布されていてもよい。または、生きた細胞や細菌が搭載または培養しやすくなるようにコラーゲンのような生体試料と親和性が高い材料を塗布してもよい。なお、ここで塗布とは、散布、浸漬、コーティング等試料台表面にコーティング材を付着させる方法を広く含むものとする。
また、図3(b)のように所定の位置だけに前述したコーティング用の分子や膜を配置してもよい。ここで、所定の位置とは検出素子500のうち一部の領域という意味である。例えば、所定の位置だけに正の荷電状態の分子を配置した試料台を用いて細胞等の生体試料を観察する場合、所定の位置のみに前記試料を配置することが可能となる。例えば、観察したい領域を狭めることで、観察時間を短くしたい場合などに本手法が有用となる。また、荷電粒子線が照射された際に帯電が発生しないように少なくとも試料が載置される面に導電性部材(帯電防止部材)が前述の膜502の代わりにまたは膜502に加えて具備されていてもよい。導電性部材とは例えばカーボン材や金属材やITO(インジウム・スズ酸化物)や導電性有機物などである。なお、前述の膜の層数は複数あってもかまわない。
また、図4(a)のように、含水試料などを載置する場合は試料を囲う様に薄い膜702を配置してもよい。薄い膜702とは例えば界面活性材や有機物などである。薄い膜702で試料表面を覆うよう試料を囲むことによって、試料からの水分蒸発防止や試料の形状変化を防止することが可能となる。
また、図4(b)のように、試料内部または周辺に置換物質703を導入してもよい。置換物質703は例えばイオン液体などの有機物である。イオン液体は電子照射面に導電性を付与することができる性質を有する。イオン液体が試料の内部や周辺部に配置されていることによって、真空中で荷電粒子線を照射するときに、試料の帯電を防止することが可能となる。さらに、試料に含まれる水分をイオン液体と置換することで、真空の試料室に配置されても試料の形態を保つことが可能となる。イオン液体を含んだ試料に対して荷電粒子線を照射し、試料を透過または試料によって散乱してきた荷電粒子線による発光を検出することで、よりウェットな試料の透過画像を取得することが可能となる。イオン液体を試料に付着または導入する方法としては、試料をイオン液体中に含浸させてもよいし、スプレーなので試料にイオン液体を吹きかけるなどしてもよい。
<試料搭載方法>
試料台に試料を搭載する方法を以下で述べる。荷電粒子線(光学顕微鏡観察を併用する場合にはさらに光)が透過しなければならないために、試料は薄い必要がある。例えば、数nmから数十μm程度の厚みである。検出素子500上に直接搭載可能な試料としては、例えば、細胞が含まれている液体や粘膜、血液や尿など液状生体検体、切片化された細胞、液体中の粒子、菌やカビやウイルスのような微粒子、微粒子や有機物などを含むソフトマテリアル材などがある。試料の搭載方法は、前述の培養の他にも、以下の方法が考えられる。例えば、試料を液体の中に分散させて、この液体を検出素子に付着させる方法がある。また、試料を荷電粒子線が透過可能な厚さに切片化して、切片化された試料を検出素子上に配置してもよい。より具体的には、例えば綿棒の先端に試料を付着させこれを検出器上に塗りつけてもよいし、スポイトで垂らしてもよい。また微粒子の場合は検出器上に振りかけてもよい。スプレーなどで塗布してもよいし、液体を試料台に高速回転させて塗布するスピンコーティング法を用いてもよいし、液体に試料台をつけて引き上げることによって塗布するディップコーティング法を用いてもよい。いずれの方法にしても、試料厚みを数nmから数十μm程度の厚みにすることができればどのような方法であってもかまわない。
または、図5のようにすでに数nmから数十μm程度の厚みの試料6を予め土台701に搭載しておき、試料6が保持された土台701を検出素子500上に搭載してもよい。この場合、土台701は試料の一部と考えることもできる。この場合、図5(a)のように試料の一部である土台701を検出素子500に接触させてもよいし、図5(b)のように試料6を検出素子500に接触させてもよい。土台701はメッシュ状やストライプ状の土台などで、この厚みは数μmから数mm程度である。土台701の厚みにかかわらず本実施例における透過像取得が可能である。
<内部観察原理>
以下で、本実施例の試料台を用いた光検出方法及び透過荷電粒子線が取得可能な原理について説明する。図6に、検出素子500上に試料6が配置されている状態を示している。試料台の周囲には光検出器503を示している。光検出器503は検出素子500からの光信号を電気信号に変換または増幅することが可能である。変換または増幅された電気信号は通信線を介して制御部やコンピュータに入力され、これらの制御系により画像化される。取得された画像(透過荷電粒子線画像)はモニタ等に表示されてもよい。
ここでは、試料内で密度が高い部位508と密度が低い部位509があることを考える。試料内で密度が高い部位508に一次荷電粒子線510が照射された場合、荷電粒子線は大多数が後方散乱されるため、検出素子500には荷電粒子線は到達しない。一方、試料内で密度が低い部位509に一次荷電粒子線511が照射された場合、荷電粒子線は検出素子500に到達して発光させることが可能となる。その結果、検出素子500にて試料内部の密度差を検出(すなわち密度差に応じた強度の光信号に変換)することが可能となる。この透過具合は荷電粒子線の加速エネルギーによってかわる。そのため、荷電粒子線の加速エネルギーを変えることで観察したい内部情報とその領域を変えることも可能である。
図6(a)では、光検出器503が試料台である検出素子500の下側に配置された例を示す。光検出器503と試料台との間(図中h部分)は空間があってもよいが、光を出来る限り効率よく検出するためには、光検出器503と試料台との距離(距離h)は出来る限り短い方がよい。また、光検出器503と試料台との間に光学レンズやミラーなどの光学系を配置して集光してもよい。また、光検出器503と試料台との間に光伝達部材513を配置してもよい。光伝達部材513は、検出素子500から生じる光の波長領域に対して透明であり、検出素子500の光を光検出器503の方向に伝達させる部材である。光伝達部材513は、例えば、石英、ガラス、光ファイバー、プラスチック等、光に対して透明または半透明な材料である。この構成にすると、光検出器503を試料ステージから分離して配置することができるので、光検出器503に接続される配線や電気回路を試料台や試料台を保持する試料ステージとは離れた位置に配置することが可能となる。光検出器503と試料台との間の空間は、空気雰囲気でも真空でもよい。いずれにしても、光検出器503と試料台との間の空間は出来る限り発光の波長領域を通過させることができる必要がある。
図6(b)では、光検出器503が試料台500の上面より上側に配置された例を示す。この場合も発光した光を検出する原理は前述と同等である。光検出器503と発光部分との間(図中x部分)は出来る限り近いほうがよい。一方で、荷電粒子光学鏡筒などが試料6上部にあるため光検出器503を試料台に近づけて配置することが難しい場合がある。このような場合は、光検出器503と検出素子500との間に前述の光伝達部材513を配置してもよい。例えば、これら光伝達部材513は光検出器503と比べて形状が自由に加工できるので、出来る限り細くするなどして試料6に近づけて配置させることが可能となる。なお、この構成にすると、光検出器503を試料6が配置された検出素子500とは完全分離して配置することができる。なお、図で示した光検出器500または光伝達部材513に駆動機構を設けて動くようにしてもよい。光検出器500または光伝達部材513が動かせるようになると、試料ステージの位置や角度を変更したい場合などに光検出器503や光伝達部材513に接触することを防止することが可能となる。
<観察手順>
図7を用いて顕微鏡観察する手順例を記載する。はじめに、試料を搭載するための検出素子500(発光試料台)を準備する。次に、必要に応じて検出素子500に所定の部材を配置する。ここで、所定の部材とは、前述の通り、試料と試料台の密着性を高めるための物質や導電性物質や光を反射するための物質や、何らかの所定のガス材などである。もし、所定の部材を配置する必要がなければ本ステップは不要である。次に、検出素子500上に試料を搭載する。
次に、荷電粒子顕微鏡または光学顕微鏡に搭載し観察するステップに移動する。ステップAは荷電粒子顕微鏡にて観察するステップで、ステップBは光学顕微鏡にて観察するステップである。Aのステップでは、はじめに、前述のように試料が搭載された検出素子500を荷電粒子顕微鏡装置内に配置する。次に、荷電粒子線を試料に照射することにより、荷電粒子線を透過または散乱させる。次に、荷電粒子が検出素子500に到達すると発光するので、この発光を光検出器により検出する。または、試料から放出された二次荷電粒子線や反射荷電粒子線等の二次的荷電粒子を検出する。後述するように試料近傍に存在する気体を使って、ガスシンチレーション現象によって発生した光を検出してもよい。次に、荷電粒子顕微鏡に含まれる制御部または画像処理部などで、検出器で検出された信号に基づいて試料の表面や透過情報を反映した荷電粒子像を生成する。荷電粒子顕微鏡装置による観察が終了したら、荷電粒子顕微鏡装置外に試料を取り出す。必要に応じてBの光学顕微鏡による観察ステップに移る。光学顕微鏡による観察ステップBでは、まず、試料が搭載された検出素子500を光学顕微鏡装置内に配置する。前述のとおり、光学顕微鏡装置に配置する際に、スライドガラスの形状である必要があれば、検出素子500をスライドガラス上に載せることも可能である。次に、光学顕微鏡にて観察する。観察が終了したら、荷電粒子顕微鏡装置に戻して再観察してもよい。ステップAとBは入れ替えてもよいし、後述するように、荷電粒子顕微鏡装置と光学顕微鏡装置が一体化された装置であれば、同時に観察してもよい。
<光検出器>
次に、図8を用いて、前述の原理を用いて試料内部及び試料表面を観察することが可能な光検出器の構成について詳細を説明する。本実施例の光検出器では後述するように一つの検出器で試料内部及び試料表面を観察することが可能である。ここで、一つの検出器とは一つの部材として構成されている検出器という意味である。例えば、光を検出する検出面が複数個同時に製作される半導体検出素子や、光を増幅する部位が多数あるマルチチャンネルプレートなどは、検出する部位が複数であっても、一つの部材として着脱が可能であるので以下では一つの検出器としてみなす。
また、以下で試料表面とは、一次荷電粒子線が試料に入射したことによって発生する二次荷電粒子や反射荷電粒子が試料表面に出てこれられる脱出深さのことをいう。例えば、一次荷電粒子線の加速電圧が15kVの場合は、二次荷電粒子線を検出する場合の試料表面とは脱出深さである数十nm以下程度で、反射荷電粒子線を検出する場合は試料表面とは脱出深さである数百nm以下程度である。
図8(a)では試料表面を観察する場合を、図8(b)では試料内部を観察する場合に関して説明する。光検出器503は試料からの光信号を検出するものである。光検出器503は、発光の波長領域を通過させることが可能な光伝達部材513と、試料6と光伝達部材513との間に電界を形成することが可能な電極516と、光を増幅することが可能な光増幅器519で構成される。また、光増幅器519には出力信号を増幅するための増幅器514が接続され、電極516には電圧を印加することが可能な電源515が接続される。電極516は光を通すことが可能で、電圧が印加することが可能な構造となっている。例えば、網目形状の金属メッシュなどである。またはスリットのように縦や横だけに光を通す部分をそなえてもよい。また、本実施例では試料室内が低真空雰囲気になっており、試料近傍にガス分子520が存在する。
図8(a)では、二次電子などの試料表面の情報を持つ二次荷電粒子を検出する例を説明している。図8(a)では試料6と検出器の前面にある光伝達部材513との間に電界を形成している。具体的には、電源515から電極516に電圧を印加することで試料と検出器との間に電界を生じさせる。試料6と電極516との間に電界があると、試料から放出された二次荷電粒子と試料6と電極516との間にあるガス分子520が衝突してガスシンチレーションの発光現象が生じる。例えば、装置内部が低真空雰囲気(約1Pa〜約3000Pa)である場合に、一次荷電粒子ビーム511が照射された試料6から二次荷電粒子517が発生する。二次荷電粒子517は、試料上方に配置された電極516に引き寄せられ、試料近傍のガス分子520と衝突を繰り返す。これによってガス分子にエネルギーが与えられ、基底状態(安定した原子/分子状態)から励起状態(不安定な原子/分子の状態)に遷移する。不安定な励起状態から基底状態に戻る際に、励起状態に遷移した遷移エネルギーに相当する光エネルギーを持った光が発生する。この発光過程は二次荷電粒子に起因しているため、試料表面情報を持った光(紫外光/可視光)518である。この光518が光伝達部材513を経由して光増幅器519に到達する。光増幅器514で増幅された信号は増幅器514に送られ、この信号を元にしてその後画像表示される。なお、光伝達部材513は、真空紫外域から可視域までの光を十分透過できるものを備えるものとする。また、光増幅器519も真空紫外域から可視域まで光を光電子に変換、増幅できる性能を備えるものとする。本構成の場合は、検出素子500からの光も検出されるが、試料6と電極516との間に電界によってガスシンチレーションの発光を検出素子500からの光に対して非常に大きくすることができるので、検出素子500からの光は無視することができる。この結果、試料表面から放出された二次荷電粒子の情報を主として取り出すことが可能となり、試料表面画像(二次荷電粒子画像ともいう)を生成することが可能となる。
一方、図8(b)では、試料の内部構造の情報を持つ透過荷電粒子を前述のように検出素子で光に変換し、検出素子からの発光を光検出器で検出する例を説明している。図8(b)ではガスシンチレーションの発光現象が起こらないように電極516の電圧を図8(a)の状態で印加される電圧より小さく設定されている。より具体的には電極516の電圧はガスシンチレーションが生じるしきい値より小さくすればよい。この場合は、試料6と電極516との間の電界が小さいので試料から発生した二次荷電粒子517は加速されず、ガス分子520との衝突による光は生じない。そのため、試料6を透過したことによって、検出素子500から発生した光512だけが光増幅器514によって検出されることになる。つまり、この場合には透過荷電粒子を間接的に検出していることになる。この結果、光検出器503からは試料の内部構造の情報を持つ信号が出力され、これに基づいて試料の透過像(透過荷電粒子像ともいう)が生成される。
図8(a)(b)に示すそれぞれの光検出器の制御モードを切り替えることで、試料の表面情報を表す二次荷電粒子に起因する光信号と試料の内部構造情報を表す透過荷電粒子に起因する光信号とを切り替えて検出することが可能である。この場合、制御しているのは電極516に印加される電圧の値だけなので、電圧のパラメータを変更する機能を付加するだけで、同一の光検出器503で試料内部及び試料表面を観察することが可能となる。言い換えれば、本実施例で説明する検出器500を用いれば、既存の装置を大幅改編することなく、上述の機能を実現することができる。
また、この方法によれば、ステージを動かして試料の位置及び角度を変えることなく、透過荷電粒子像と二次荷電粒子像を取得することができる。これによって同一試料の同一視野または同一角度で観察することが可能となるため、透過荷電粒子像と二次荷電粒子像の画像比較が簡単に行える。
なお、電極516による電界は試料と光検出器の間に形成されていれば良く、電極516の位置は上記に限定されない。例えば、図8では電極516は光伝達部材513の直前に配置されて図示されているが、両者は接触していてもよいし少し離れていてもよい。また、図9(a)のように光伝達部材513の側面周辺にあってもよいし、荷電粒子光学鏡筒2の下側など光伝達部材513の周辺以外にあってもよい。または、図9(b)のように検出素子500を支持する台に電源515を接続して検出素子500及び試料6周辺に電界を形成してもよい。この場合、光伝達部材513の周辺の電極516は接地されている必要がある。図9の構成の場合は、ガスシンチレーションによる発光518や、検出素子500からの発光512が電極516によって遮られないといった特徴がある。
<真空度切替>
前述では電極516の電圧を変えることによって、透過像と表面像を切り替える方法に関して説明した。一方で、ガス分子520の量を変えることで、透過像と表面像を切り替えることも可能である。この様子を図10に示す。電極518の電圧が印加されて且つ電圧が一定の状態で、後述するガス導入口27からの導入ガス量を調節する。図10(a)では図8(a)と同様にガスシンチレーションによって試料表面情報が取得できる。一方図10(b)で示すように、ガス導入口27からのガス導入を停止し、試料近傍のガス分子が少なくなるとガスシンチレーションが発生しなくなるので、試料表面に起因した信号は取得されない。しかし、図10(b)の状態でも検出素子500からの光は検出器519にて検出されるため、透過像が取得される。本構成の場合は、電極516に印加する電圧が一定であるため、電源515の構成が非常に簡単となる。なお、当然ながら電極516の電圧を可変とする電源と試料近傍に導入するガスの流量を制御する制御部を両方備え、電極516の電圧と試料室の真空度を同時に制御してもよい。
<装置説明>
ここで、図11に、一般的な荷電粒子線装置に本実施例の試料台を搭載した装置を記載する。荷電粒子顕微鏡は、主として、荷電粒子光学鏡筒2、荷電粒子光学鏡筒を装置設置面に対して支持する筐体7(以下、真空室と称することもある)およびこれらを制御する制御系によって構成される。荷電粒子顕微鏡の使用時には荷電粒子光学鏡筒2と筐体7の内部は真空ポンプ4により真空排気される。真空ポンプ4の起動および停止動作も制御系により制御される。図中、真空ポンプ4は一つのみ示されているが、二つ以上あってもよい。
荷電粒子光学鏡筒2は、一次荷電粒子線を発生する荷電粒子源8、発生した荷電粒子線を集束して鏡筒下部へ導き、一次荷電粒子線を試料6上に走査する光学レンズ1などの要素により構成される。荷電粒子光学鏡筒2は筐体7内部に突き出すように設置されており、真空封止部材123を介して筐体7に固定されている。荷電粒子光学鏡筒2の端部には、上記一次荷電粒子線の照射により得られる二次的荷電粒子(二次電子または反射電子等)を検出する検出器3が配置される。検出器3は図示した位置ではなくても筺体7内部であればどこでもよい。
試料6に到達した荷電粒子線によって試料内部または表面から反射荷電粒子や透過荷電粒子などの二次的荷電粒子が放出される。この二次的荷電粒子を検出器3にて検出する。検出器3は数keVから数十keVのエネルギーで飛来してくる荷電粒子線を検知及び増幅することができる検出素子である。例えば、シリコン等の半導体材料で作られた半導体検出器や、ガラス面またはその内部にて荷電粒子信号を光に変換することが可能なシンチレータ等である。
本実施例の荷電粒子顕微鏡は、制御系として、装置使用者が使用するコンピュータ35、コンピュータ35と接続され通信を行う上位制御部36、上位制御部36から送信される命令に従って真空排気系や荷電粒子光学系などの制御を行う下位制御部37を備える。コンピュータ35は、装置の操作画面(GUI)が表示されるモニタと、キーボードやマウスなどの操作画面への入力手段を備える。上位制御部36、下位制御部37およびコンピュータ35は、各々通信線43、44により接続される。
下位制御部37は真空ポンプ4、荷電粒子源8や光学レンズ1などを制御するための制御信号を送受信する部位であり、さらには検出器3の出力信号をディジタル画像信号に変換して上位制御部36へ送信する。図では検出器3からの出力信号を、プリアンプなどの増幅器53を経由して下位制御部37に接続している。もし、増幅器が不要であればなくてもよい。
上位制御部36と下位制御部37ではアナログ回路やディジタル回路などが混在していてもよく、また上位制御部36と下位制御部37が一つに統一されていてもよい。なお、図11に示す制御系の構成は一例に過ぎず、制御ユニットやバルブ、真空ポンプまたは通信用の配線などの変形例は、本実施例で意図する機能を満たす限り、本実施例の荷電粒子線顕微鏡の範疇に属する。
筐体7には、一端が真空ポンプ4に接続された真空配管16が接続され、内部を真空状態に維持できる。同時に、筐体内部を大気開放するためのリークバルブ14を備え、試料台を装置内部に導入時に筐体7の内部を大気開放することができる。リークバルブ14は、なくてもよいし、二つ以上あってもよい。また、筐体7におけるリークバルブ14の配置箇所は、図11に示された場所に限られず、筐体7上の別の位置に配置されていてもよい。
筐体7は側面に開口部を備えており、この開口部には蓋部材122及び真空封止部材124によって装置内部の真空気密を保っている。本実施例の荷電粒子顕微鏡は、前述のように試料台に搭載された試料を筺体7内部で移動させ試料と荷電粒子光学鏡筒との位置関係を変更するための試料ステージ5を備えている。試料ステージ5には前述の発光部材または発光部材を有する試料台が着脱可能に配置される。蓋部材122が支持する底板となる支持板107が取り付けられており、試料ステージ5が支持板107に固定されている。試料ステージ5は、面内方向へのXY駆動機構および高さ方向へのZ軸駆動機構などを備えている。支持板107は、蓋部材122の対向面に向けて筺体7内部に向かって延伸するよう取り付けられている。Z軸駆動機構およびXY駆動機構からはそれぞれ支軸が伸びており、各々蓋部材122が有する操作つまみ51および操作つまみ52と繋がっている。装置ユーザは、これらの操作つまみを操作することにより、試料の位置を調整することが可能である。また、後述するように、蓋部材122上には光学顕微鏡が具備できる構成としてもよい。
試料ステージ5の上には検出素子500を具備した試料台600、あるいは試料台としての検出素子500を着脱可能に配置できる。試料台600または検出素子500の機能を持つ試料台は、図示しない突起などの間に配置するか、試料台600とステージ5上の両面テープなどで接着されることで、試料ステージ5上へ一時的に固定されてもよい。これによって試料の位置や角度を変更した際に試料台の位置ずれ防止をすることができる。前述の通り検出素子500に到達した荷電粒子線によって光が発生する。この光を検出して電気信号に変換及び信号増幅するための光検出器503が筺体7に具備される。前述の通り、光検出器503は試料台500からの発光の波長領域を通過させることが可能な光伝達部材513と、試料6と光伝達部材513との間に電界を形成することが可能な電極516と光を増幅することが可能な光増幅器519で構成される。光増幅器519は例えば、半導体検出素子やフォトマルチプライヤーなどである。これら光増幅器519は筺体7内に配置されていてもよいが、装置の大きさの都合上筺体7内に入らない場合は、形状が比較的自由に加工可能な光伝達部材513を介して光増幅器519に光を伝達すれば光増幅器519は筺体7の外に設置することが可能となる。光増幅器519には出力信号を増幅するための増幅器514が配線などによって接続され、増幅器514からの信号は配線などによって下位制御部37を経由して最終的にコンピュータ35上の画面に画像として表示される。なお、図示しないが試料台500などからの光がより光伝達部材513に到達するように、ミラーなどの光学部品を装置内部のどこかに配置してもよい。
また、電極516には電圧を印加することが可能な電源515が接続され、この電源515の電圧の制御は下位制御部37を経由して実施される。この電圧の制御はコンピュータ35の画面上などでのユーザの操作により実施される。このような構成により、検出素子500からの発光だけを検出するか、試料6と電極516との間に電界によって生じるガスシンチレーションの発光を主として検出することが選べることになる。この2つの検出モードはそれぞれ試料表面の情報を持つ画像と試料内部の情報を持つ画像に対応する。つまり、後述するように、コンピュータ35の画面上で電極516に印加される電圧の強弱を制御するだけで試料表面と試料内部の情報を切り替えることが可能となる。
なお、本実施例の荷電粒子線装置では検出器3と検出素子500の両方で同時に信号を検出することができる。こうすることで、例えば半導体検出器などである検出器3では試料から発生する反射荷電粒子による信号の取得を行い、光検出器503にて透過荷電粒子に起因して発生する光による内部情報や二次荷電粒子による表面情報の取得を行うことが可能となる。反射荷電粒子の情報か表面情報か内部情報かはコンピュータ35の画面上にて切り替えが可能である。また、検出器3と光検出器503は別検出器であるので、それぞれの検出器で同時に画像を取得することも可能である。
試料室7の内部の真空度は、試料室7への大気導入口27のニードルバルブ28の閉開によって制御される。本装置ではニードルバルブ28を開けることで試料室の空間11内を低真空状態(数Pa〜数千Pa)にすることができ、ニードルバルブ28を閉じることで、空間11内を高真空状態(数Pa以下)にすることができる。図8にて説明した通り、空間11内部に大気等のガスを導入した低真空状態のときに、電極516に電圧を印加すると、試料から放出された二次荷電粒子516とガス分子520と衝突を繰り返し、光(紫外光/可視光)518が発生し、光検出器503にて試料表面の情報を取得することが可能である。電極516の電圧をガスシンチレーションの発光現象が起こらない程度に小さくすると、検出素子500からの発光を取得することができるので、試料内部の情報を取得することが可能となる。また別の方法として、空間11内部を高真空状態にすればガスシンチレーションの発光現象が起こらないので、同様に試料内部の情報を取得することができる。ここで、光検出器503の動作モードの切り替え(すなわち電極に印加する電圧の変更や真空度の制御)は、ユーザがコンピュータ35のインタフェースを通して指示入力することにより、上位制御部36および下位制御部37にて行われる。なお、ユーザインタフェースは図13を用いて後述する。本実施例の荷電粒子線装置は、検出素子500からの光の検出信号に基づいて透過荷電粒子画像を生成する「透過荷電粒子画像モード」と、試料からの二次荷電粒子に起因する検出信号に基づいて二次荷電粒子画像を生成する「二次荷電粒子画像モード」との、2つのモードで動作することが可能である。また上位制御部36および下位制御部37は検出器や電極、真空度をそれぞれのモードに対応して制御し、またこれらの2つのモードを切り替えることが可能である。当然ながら動作モードはこの2つ以外に備えていてもよい。
ここで、図12を用いて、検出器3について詳細を説明する。検出器3は、例えば図12のように検出素子の受光面がA、B、C、Dの4素子に分割されている。なお、分割数および分割態様は図示したものに限られない。分割されたそれぞれの素子には配線522が接続され、各素子からの信号はコネクタ523に出力される。つまり、この場合検出面は4つに分割されているものの、これらの4つの検出面からの信号はコネクタ523に集約され外部に出力される。その意味で、検出素子が4つに分割されていたとしても検出器3は「一つの検出器」であるといえる。
一次荷電粒子線通過孔524が検出器3の中心に配置されている。この一次荷電粒子線通過孔524の中心が荷電粒子線の光軸200上にほぼ一致するように検出器3が配置される。検出素子が半導体で作られた半導体検出器の場合、試料からの反射荷電粒子線と同時に検出素子500から発光した光を検出してしまうことがある。そのため、検出器3の検出素子表面に光が透過せずにかつ試料からの反射荷電粒子線が透過することが可能な不透明膜525などを具備してもよい。反射荷電粒子線のエネルギーは一次荷電粒子線の照射エネルギーとほぼ同等である。不透明膜525は例えば金属膜である。一般的には反射荷電粒子線のエネルギーは数kVから数十kVであるため、反射荷電粒子線を通過させることが可能でかつ光が透過しないためには、不透明膜525の厚みは数十nmから数百nm程度が好ましい。
また別の例として、反射荷電粒子線を検出しないで、検出素子500からの発光だけを検出したい場合もある。この場合、検出器3の検出素子表面に検出素子500からの光に対して透明であり、かつ反射荷電粒子を透過しない透明膜526を配置してもよい。試料からの反射荷電粒子線が透過しないためには、透明膜526の厚みは数百nmから数十μm程度であることが好ましい。例えば、検出素子AとCの表面には不透明膜525を、検出素子BとDの表面には透明膜526を配置する。この例では検出素子A,Cが反射荷電粒子を検出する受光面を持ち、検出素子B,Dが検出素子500からの光を検出する受光面を持つことになる。
これによれば、検出素子AとCからの信号では試料からの反射荷電粒子信号が取得でき、検出素子BとDからの信号では透過荷電粒子の情報を有する信号を取得することが可能となる。反射荷電粒子に起因する信号は試料の形態情報が反映された信号であり、透過荷電粒子に起因する信号は試料の内部情報が反映された信号である。なお、試料の形態情報とは試料に入射された荷電粒子線が表面近傍に存在する物質によって後方散乱を受けて検出器3側に戻ってくる荷電粒子線によって構成される情報のことをいう。したがって、これらを同時に取得することで、試料の形態情報が強調された反射荷電粒子像と試料の内部情報が強調された透過荷電粒子像を同時に生成することが可能となる。コンピュータ35の画面上に表示させる画像信号は下位制御部37にて制御することが可能である。ユーザが図13で示すようなコンピュータ35のインタフェースを通して指示入力してもよい。図12で示す検出器を用いることにより、本実施例の荷電粒子線装置は、検出素子500からの光の検出信号に基づいて透過荷電粒子画像を生成する「透過荷電粒子画像モード」と、試料からの反射荷電粒子に起因する検出信号に基づいて反射荷電粒子画像を生成する「反射荷電粒子画像モード」との、2つのモードで動作することが可能である。上位制御部36および下位制御部37は検出器3の各受光面からの信号をそれぞれのモードに対応して制御し、各受光面の検出信号に応じてそれぞれの種類の画像を生成する。またこれらの2つのモードは同時に動作することも可能であるし、これらの2つのモードを切り替えることも可能である。
本方式によれば、同一の検出器3にて反射荷電粒子に起因する信号と透過荷電粒子に起因する信号を取得できるため、本方式は装置内の省スペース化などの際に有用である。また、ステージを動かして試料の位置及び角度を変えることなく、透過荷電粒子像と二次荷電粒子像を取得することができる。これによって同一試料の同一視野または同一角度で観察することが可能となるため、透過荷電粒子像と二次荷電粒子像の画像比較が簡単に行える。また、本方式によれば、反射荷電粒子に起因する信号と透過荷電粒子に起因する信号を同時に取得できるため、時々刻々と状態が変化する試料を観察する場合に特に有効である。
なお、当然ながら、上述した光検出器503での透過荷電粒子像と二次荷電粒子像の切替に代えて、検出器3のみを用いることも可能である。
<操作画面>
図13に操作画面の一例を示す。操作画面60はコンピュータ35のモニタに表示される。操作画面60には、荷電粒子線の照射エネルギーを制御するための照射エネルギーE設定部61、照射を開始するボタン62、照射を停止するボタン63を備える。さらに、荷電粒子線の焦点を変更する焦点調整部69、画像の明るさを調整する明るさ調整部70、画像コントラストを調整するコントラスト調整部71などからなる。さらに、操作画面60は、顕微鏡画像をリアルタイムで表示させることが可能な画像表示領域63と画像表示領域66を備える。画像表示領域は一つだけでもよいし二つ以上あってもよい。画像表示領域が二つあると、画像表示領域63では検出器503からの出力を表示させ、これと同時に、画像表示領域66では検出器3からの出力を表示させることが可能となる。ここで同時に表示することが可能とは、画像が表示されるタイミングに関わらず、リアルタイムに取得した画像を同画面上に表示することが可能という意味である。なお、コンピュータ35内のメモリ部に保管されている画像を領域63や領域66上に表示してもよいし、光検出器503からの出力画像と検出器3からの出力画像とを異なるウィンドウなどで表示させてもよい。また、操作画面60は、画像を保存するための画像保存ボタン72、画像を読みだすことが可能な画像読み出しボタン73を備えてもよい。
光検出器503で検出される信号を切り替えるための詳細設定部74には、試料室内部の圧力を設定するための真空圧力設定部75と、電極516に印加する電圧を設定入力するための電極電圧設定部76からなる。真空圧力や電極電圧をアナログ的に連続的に変化させると、透過情報と表面情報を混在させることも可能である。そのため、図示したようにスライドバーのように調整値をアナログ的に変化させるようにしてもよい。
但し、透過情報と表面情報を混在させる必要がない場合は、図示したようにスライドバーではなく、ボタンのオンやオフで簡単にモード切り替えなどをするような操作でもよい。または、画像表示領域63に光検出器503からの画像信号が表示させる場合、画像表示領域63にモード切り替え部を表示してもよい。例えば、表面像モードのタブ64を選択すると自動的に電極電圧設定部76の値が設定されて画像表示領域63に表面情報を有する画像を表示させ、内部像モードのタブ65を押すと自動的に光検出器の電極の電圧が降下して、検出素子500からの発光信号を取得して透過像を画像表示領域63に表示させる機能を持たせてもよい。また、画像表示領域66に検出器3からの画像信号が表示させる場合も、同様のタブにより、反射荷電粒子に基づく画像と透過荷電粒子に基づく画像とを選択切り替えできる。すなわち、反射像モードのタブ67を押すと、図12で示した不透明膜525が配置された検出素子AとCからの反射信号を画像表示領域66に表示させ、内部像モードのタブ68を押すと、図12で示した透明膜526が配置された検出素子BとDからの試料透過情報を画像表示領域66に表示させるといった機能を持たしてもよい。このように、制御パラメータをユーザが入力するのではなく、画面上でユーザが表示したい画像の種類を選択することで自動的に検出器の制御モードを切り替えることで、ユーザは簡単に画面の切り替えができる。
なお、図13に示す表示の構成は一例に過ぎず、表示位置や表示形態などの変形例は、本実施例で意図する機能を満たす限り、本実施例の荷電粒子線顕微鏡の範疇に属する。
<光学顕微鏡観察時の説明>
図14に、上述した試料台600に搭載した試料を光学顕微鏡にて観察する場合を示す。はじめに、光学顕微鏡250の構造に関して説明する。光学顕微鏡250は対物レンズ252などの光学レンズを備える。光学レンズを経由した顕微鏡情報は接眼レンズ207に投影される。または、CCDカメラなどによってディジタル信号に変換され図示しないモニタに表示させてもよい。
本実施例における試料台600は試料ステージ258上に配置される。試料ステージ258は、光学顕微鏡の光軸251に対して図中横方向及び紙面垂直方向に動かすことが可能なXY駆動機構や対物レンズ252との距離を変更することが可能なZ軸駆動機構などの駆動機構204を備える。試料ステージ258には光学顕微鏡の光軸251を通るように開口部259があり、その開口部の上に本実施例の試料台600が配置される。
光学顕微鏡250は白色光や紫外光や波長が制御された光やレーザなどの光子線を発することが可能な光源を備える。光源は図中試料台600の上側から光を照射するための光源255、または試料台600の下側から光を照射するための光源256などである。なお、光源は光学顕微鏡250が配置された部屋の光源や太陽光などでもかまわない。光源は図示しない通信線や電線などによって光の光量及び消灯点灯用の電源が供給・制御される。図では上記説明した2か所に光源が配置されているが最低1つあればよい。また、光源は図示した以外の場所に配置されてもよい。観察倍率または焦点位置を変更するために光学顕微鏡250は光学レンズ駆動機構253を有する。光学レンズ駆動機構253によって対物レンズ252を光学顕微鏡の光軸251方向に動かすことによって、試料台600上の試料6に焦点を合わせることができる。また、図示しないが対物レンズ252ではなく、光学顕微鏡250内部の光学レンズが光軸251方向に動くことによって焦点を変えてもよい。
光源256から発せられた光は光学顕微鏡250内部のミラー等を経由して対物レンズ251あるいはその周辺部から放出され、試料に到達する。試料上で反射した光子線は対物レンズ251に到達する。これにより、対物レンズ251に照射された光信号は光学顕微鏡251内部で結像され、接眼レンズ207にて試料の光学顕微鏡観察が実施できる。
前述の通り、検出素子500が単結晶の場合、光源255からの光が試料を通過した後に検出素子500内を通過すると、複屈折現象によって光が二つに分かれてしまうことがある。その結果接眼レンズ207にて観察した場合に、試料が2重に見えることがある。これを防止するために、図14(a)では、試料6が検出素子500に対して光源255とは反対側に位置するように、試料台600を配置し、試料台側から光源255の光を照射する方法について示している。こうすることで、光源から放出された光は単結晶である検出素子500を通過し(ここで光が二つに分かれてもかまわない)、その後試料に照射される。試料を通過した光はその後すぐに光学系に光が入ることが可能となる。したがって、試料が2重に見えることはない。
また別の例として、図14(b)で示すように、試料6が搭載された試料台600aの下側に別の試料台600bを配置することによって、複屈折した光を再度戻してもよい。ただし、試料台600aと試料台600bとの結晶面の方向によって、前述の複屈折が改善される向きと改善されない向きがある。したがって、試料台600aで生じた複屈折の影響を打ち消す方向に試料台600bを配置する必要がある。そのため、試料ステージ258は、試料台600aと試料台500bとの向きをそろえやすくするための突起506を有してもよい。また図13(b)’のように試料台600aと試料台600bとの向きを合わせることが可能な凹み部605を有する試料台604を準備し、これを光学顕微鏡装置250の試料ステージ258上に搭載してもよい。図14(b)に示す場合には、試料台に対して試料側に光源を配置し、試料側から光を照射し、試料を透過した光を、さらに試料台600a、試料台600bの順に入射させそれぞれを透過させる。
または、図14(c)で示したように、倒立型ではなく光源が試料6下側にあり、光学系が試料上側にある正立型光学顕微鏡であれば試料が上向きとして観察することが可能となる。
<大気圧の荷電粒子線装置観察時の説明>
次に、図15を用いて、大気圧下で観察可能な荷電粒子線装置に本実施例を適応した構成を説明する。本実施例の荷電粒子線装置は、主として、荷電粒子光学鏡筒2、荷電粒子光学鏡筒を装置設置面に対して支持する第1の筐体(以下、真空室と称することもある)7、第1の筐体7に挿入して使用される第2の筐体(以下、アタッチメントと称することもある)121、第2の筐体内に配置される試料ステージ5、およびこれらを制御する制御系によって構成される。制御系などの基本的な構成は図11と同等なので詳細な説明は省略する。
第2の筐体121の直方体形状の側面のうち少なくとも一側面は開放面となっている。本体部121の直方体形状の側面のうち隔膜保持部材155が設置される面以外の面は、第2の筺体121の壁によって構成されている。または第2の筺体121自体には壁がなく第1の筺体7に組み込まれた状態で第1の筺体7の側壁によって構成されても良い。第2の筐体121は、第1の筺体7の側壁に設けられた開口部を通って第1の筐体7内部に挿入され、第1の筺体7に組み込まれた状態で観察対象である試料6を格納する機能を持つ。第1の筐体7と第2の筺体121間は真空封止部材126を介して上記側面側の外壁面に固定される。第2の筺体121は第1の筺体7の側面または内壁面または荷電粒子光学鏡筒のいずれに固定されても良い。これによって、第2の筐体121全体が第1の筐体7に嵌合される。第1の筺体7の開口部は、荷電粒子顕微鏡の真空試料室にもともと備わっている試料の搬入・搬出用の開口を利用して製造することが最も簡便である。つまり、もともと開いている穴の大きさに合わせて第2の筐体121を製造し、穴の周囲に真空封止部材126を取り付ければ、装置の改造が必要最小限ですむ。また、第2の筐体121は第1の筐体7から取り外しも可能である。
第2の筐体121の側面は大気空間と少なくとも試料の出し入れが可能な大きさの面で連通した開放面であり、第2の筐体121の内部に格納される試料6は、観察中、大気圧状態または若干の負圧状態または所望のガス種状態に置かれる。なお、図15は光軸と平行方向の装置断面図であるため開放面は一面のみが図示されているが、図15の紙面奥方向および手前方向の第1の筺体の側面により真空封止されていれば、第2の筺体121の開放面は一面に限られない。第2の筺体121が第1の筺体7に組み込まれた状態で少なくとも開放面が一面以上あればよい。第2の筺体の開放面により、試料は第2の筺体(アタッチメント)内部と外部の間で搬入および搬出が可能である。
第2の筺体121の上面側には荷電粒子線が透過または通過可能な隔膜10が設けられている。この隔膜10は第2の筺体121から着脱可能である。第1の筐体7には真空ポンプ4が接続されており、第1の筐体7の内壁面と第2の筐体の外壁面および隔膜10によって構成される閉空間(以下、第1の空間とする)を真空排気可能である。これにより、本実施例では、隔膜10により第1の空間11が高真空に維持される一方、試料が保持されている空間(図では隔膜、第2の筺体121、蓋部材122によって囲まれる空間。以下、第2の空間12とする)は大気圧または大気圧とほぼ同等の圧力のガス雰囲気に維持されるので、装置の動作中、荷電粒子光学鏡筒2側を真空状態に維持でき、かつ試料6および前述の試料台を大気圧または所定の圧力の雰囲気に維持することができる。隔膜10は隔膜保持部材155によって保持され、隔膜10の交換は隔膜保持部材155を交換することで可能となる。
なお、第1の空間11は、図16を用いて後述するように、真空度を調整することが可能である。すなわち、第1の空間内部にガス分子を導入し、低真空環境とすることも可能である。ガス分子は例えばニードルバルブ28によって流量制限され、大気導入口27を通して導入可能である。
本実施例の荷電粒子顕微鏡の場合、第2の筐体121の少なくとも一側面をなす開放面を蓋部材122で蓋うことができるようになっている。蓋部材122には試料ステージなどが具備されている。
本実施例の荷電粒子顕微鏡においては、第2の筐体121内に置換ガスを供給する機能または第一の空間とは異なった気圧状態を形成可能な機能を備えている。荷電粒子光学鏡筒2の下端から放出された荷電粒子線は、高真空に維持された第1の空間11を通って、図15に示す隔膜10を通過し、更に、大気圧または若干の負圧状態に維持された第2の空間12に侵入する。すなわち第2の空間は第1の空間より真空度が悪い(低真空度の)状態である。大気空間では荷電粒子線は気体分子によって散乱されるため、平均自由行程は短くなる。つまり、隔膜10と試料6の距離が大きいと一次荷電粒子線または一次荷電粒子線の照射により発生する二次荷電粒子、反射荷電粒子もしくは透過荷電粒子が試料及び検出器3や検出素子500まで届かなくなる。一方、荷電粒子線の散乱確率は、気体分子の質量数や密度に比例する。従って、大気よりも質量数の軽いガス分子で第2の空間を置換するか、少しだけ真空引きすることを行えば、荷電粒子線の散乱確率が低下し、荷電粒子線が試料に到達できるようになる。また、第2の空間の全体ではなくても、少なくとも第2の空間中の荷電粒子線の通過経路、すなわち隔膜と試料との間の空間の大気をガス置換できればよい。置換ガスの種類としては、窒素や水蒸気など、大気よりも軽いガスであれば画像S/Nの改善効果が見られるが、質量のより軽いヘリウムガスや水素ガスの方が、画像S/Nの改善効果が大きい。
以上の理由から、本実施例の荷電粒子顕微鏡では、蓋部材122にガス供給管100の取り付け部(ガス導入部)を設けている。ガス供給管100は連結部102によりガスボンベ103と連結されており、これにより第2の空間12内に置換ガスが導入される。ガス供給管100の途中には、ガス制御用バルブ101が配置されており、管内を流れる置換ガスの流量を制御できる。このため、ガス制御用バルブ101から下位制御部37に信号線が伸びており、装置ユーザは、コンピュータ35のモニタ上に表示される操作画面で、置換ガスの流量を制御できる。また、ガス制御用バルブ101は手動にて操作して開閉してもよい。
置換ガスは軽元素ガスであるため、第2の空間12の上部に溜まりやすく、下側は置換しにくい。そこで、蓋部材122でガス供給管100の取り付け位置よりも下側に第2の空間の内外を連通する開口を設ける。例えば図15では圧力調整弁104の取り付け位置に開口を設ける。これにより、ガス導入部から導入された軽元素ガスに押されて大気ガスが下側の開口から排出されるため、第2の筐体121内を効率的にガスで置換できる。なお、この開口を後述する粗排気ポートと兼用しても良い。
また、ヘリウムガスのような軽元素ガスであっても、電子線散乱が大きい場合がある。また、試料表面に水分が多量に存在する場合は若干水分を蒸発させる必要がある。その場合は、ガスボンベ103を真空ポンプにすればよい。そして、少しだけ真空引きすることによって、第2の筐体内部を極低真空状態(すなわち大気圧に近い圧力の雰囲気)にすることが可能となり、また試料表面上の水分だけを蒸発させることが可能となる。例えば、第2の筐体121または蓋部材122に真空排気ポートを設け、第2の筐体121内を一度真空排気する。その後置換ガスを導入してもよい。この場合の真空排気は、第2の筐体121内部に残留する大気ガス成分を一定量以下に減らせればよいので高真空排気を行う必要はなく、粗排気で十分である。
ただし、生体試料など水分を含む試料などを観察する場合、一度真空状態に置かれた試料は、水分が蒸発して状態が変化する。従って、完全に蒸発する前に観察するか、上述のように、大気雰囲気から直接置換ガスを導入する方が好ましい。第2の筺体121の開放面は、置換ガスの導入後、蓋部材で閉じることにより、置換ガスを効果的に第2の空間内に閉じ込めることができる。
このように本実施例では、試料が載置された空間を大気圧(約105Pa)から約103Paまでの任意の真空度に制御することができる。従来のいわゆる低真空走査電子顕微鏡では、電子線カラムと試料室が連通しているので、試料室の真空度を下げて大気圧に近い圧力とすると電子線カラムの中の圧力も連動して変化してしまい、大気圧(約105Pa)〜103Paの圧力に試料室を制御することは困難であった。本実施例によれば、第2の空間12と第1の空間11を薄膜により隔離しているので、第2の筐体121および蓋部材122に囲まれた第2の空間の中の雰囲気の圧力およびガス種は自由に制御することができる。したがって、これまで制御することが難しかった大気圧(約105Pa)〜約103Paの圧力に試料室を制御することができる。さらに、大気圧(約105Pa)での観察だけでなく、その近傍の圧力に連続的に変化させて試料の状態を観察することが可能となる。
上記開口の位置に三方弁を取り付ければ、この開口を粗排気ポートおよび大気リーク用排気口と兼用することができる。すなわち、三方弁の一方を蓋部材122に取り付け、一方を粗排気用真空ポンプに接続し、残り一つにリークバルブを取り付ければ、上記の兼用排気口が実現できる。
上述の開口の代わりに圧力調整弁104を設けても良い。圧力調整弁104は、第2の筐体121の内部圧力が1気圧以上になると自動的にバルブが開く機能を有する。このような機能を有する圧力調整弁を備えることで、軽元素ガスの導入時、内部圧力が1気圧以上になると自動的に開いて窒素や酸素などの大気ガス成分を装置外部に排出し、軽元素ガスを装置内部に充満させることが可能となる。なお、図示したガスボンベまたは真空ポンプ103は、荷電粒子顕微鏡に備え付けられる場合もあれば、装置ユーザが事後的に取り付ける場合もある。
本荷電粒子線装置の試料ステージ5の上には検出素子500を具備した試料台を搭載できる。試料ステージの上に前述の試料台を載置した状態において、検出素子500は試料に対して隔膜の反対側に載置された状態となる。試料ステージ近傍の光検出器503などの配置構成などは図11と同様である。本構成の場合は、真空引き等により発生する水分蒸発などの形状変化を最大限に低減させた透過荷電粒子線信号の取得が可能である。また、試料空間を高真空に真空引きすることが不要であるため非常に高スループットで試料台600上試料の透過荷電粒子線顕微鏡画像の取得が可能となる。
図16に本構成において大気中に配置される試料の表面情報と内部情報を取得することが可能な原理について説明する。図16(a)では、試料からの二次的荷電粒子線517は隔膜10に照射され、隔膜10をそのまま通過した二次的荷電粒子線、または隔膜10に二次的荷電粒子線が照射されたことによって生成される三次的荷電粒子線527とガス分子520によってガスシンチレーションが発生し発光する。その結果生じた光518を検出することによって試料表面形態情報の取得が可能となる。一方で、図16(b)では電極516には電圧が印加されていないとすると、二次的荷電粒子線または隔膜10で生成された三次的荷電粒子線527は光を発生しない。つまり、検出素子500からの光だけが検出器519によって取得されるため、検出器519によって透過情報が検出することが可能となる。なお、上述の場合には第1の空間11にガス分子が導入され低真空状態となっている例を説明したが、図10で説明した方法と同様に第1の空間11の真空度を切り替えることによっても試料表面形態情報を取得するモードと試料内部情報を取得するモードの切り替えが可能である。
また、大気圧中で、透過荷電粒子に基づく試料内部画像と反射荷電粒子に基づく試料形態画像を同時に取得するためには、検出器3を用いればよい。つまり、図11で示したように、隔膜10を経由して試料6に照射されて試料形態情報をもって反射してきた反射荷電粒子線は再度隔膜10と通過し、第一空間11内部の検出器3(検出素子AとC)にて検出される。また、隔膜10を経由して試料6を通過して検出素子500に照射されて試料透過情報をもって発光した光は、隔膜10を通過して、検出器3(検出素子BとD)にて取得することが可能となる。つまり、大気圧中におかれた試料の試料形態情報と試料内部情報を同時に同一の検出器にて検出することが可能となる。
また、図15の装置では隔膜保持部材155と隔膜10を取り外すことが可能である。この場合、真空ポンプ4にて第一の空間11と共に第2の空間12も真空排気されるので、試料6周辺を真空状態にすることが可能となる。この状態は図11の構成と同じとなるので、光検出器503にてガスシンチレーションを用いた試料表面情報と、検出素子500からの発光を取得する試料透過情報を同一の検出器にて観察することが可能となる。一般的には、検出器3のような半導体検出器よりも、光検出器503のようなフォトマルチプライヤーの方が増幅率が高いので、検出器503にて取得された画像の方がより画質がよい。ただし、前述の通り検出器3を用いれば大気中での透過情報と表面情報を取得することが可能となる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。
各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、光ディスク等の記録媒体に置くことができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
1:光学レンズ、2:荷電粒子光学鏡筒、3:検出器、4:真空ポンプ、5:試料ステージ、6:試料、7:筐体、8:荷電粒子源、10:隔膜、11:第1の空間、12:第2の空間、14:リークバルブ、15:開放面、16:真空配管、17:ステージ支持台、18:支柱、19:蓋部材用支持部材、20:底板、27:大気導入口、28:ニードルバルブ、35:コンピュータ、36:上位制御部、37:下位制御部、43,44,45:通信線、53:信号増幅回路、
60:操作画面、61:照射エネルギー設定部、62、荷電粒子線照射開始ボタン、63:画像表示領域、64:表面像モードのタブ、65:内部像モードのタブ、66:反射像モードのタブ、68:内部像モードのタブ、69:焦点調整部、70:明るさ調整部、71:コントラスト調整部、72:画像保存ボタン、73:画像読み出しボタン
100:ガス供給管、101:ガス制御用バルブ、102:連結部、103:ガスボンベまたは真空ポンプ、104:圧力調整弁、107:支持板、108:操作つまみ、109:操作つまみ、121:第2筐体、122:蓋部材、123,124,125,126,128,129:真空封止部材、154:信号増幅器、155:保持部材、156,157,158:信号線、159:隔膜保持土台、
200:荷電粒子線の光軸、204:駆動機構、207:接眼レンズ、208:電気接続部、209:配線、250:光学顕微鏡、251:光学顕微鏡の光軸、252:対物レンズ、253:光学レンズ駆動機構、254:CCDカメラ、255、256、257:光源、258:試料ステージ、259:開口部、263:ベース又はレール又はガイド、500:検出素子、501:土台、502:薄い膜、503:光検出器、506:突起、508:密度が高い部分、509:密度が低い部分、510:一次荷電粒子線、511:一次荷電粒子線、512:試料台500から発生した光、513:光伝達部材、514:信号増幅器、515:高圧電源、516:電極、517:二次的荷電粒子線、518:試料表面情報を持つ光、519:光増幅器、520:ガス分子、521:台、522:配線、523:コネクタ、524:一次荷電粒子線通過孔、525:不透明膜、526:透明膜、527:隔膜からの放出電子、
600:試料台、601:荷電粒子線顕微鏡、602:光学顕微鏡、604:試料台、605:凹み部、607:光通過穴、
701:土台、702:薄い膜、703:置換物質

Claims (19)

  1. 一次荷電粒子線を試料に照射する荷電粒子光学鏡筒と、
    前記試料の内部を透過した透過荷電粒子が照射されることで発光する発光部材または当該発光部材を有する試料台を着脱可能に配置する試料ステージと、
    前記試料からの信号を検出する検出器と、
    前記発光部材からの光の検出信号に基づいて透過荷電粒子画像を生成する透過荷電粒子画像モードと、前記試料からの二次荷電粒子または反射荷電粒子に起因する検出信号に基づいて二次的荷電粒子画像を生成する二次的荷電粒子画像モードで前記検出器を制御する制御部とを有することを特徴とする荷電粒子線装置。
  2. 請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
    前記発光部材からの光と前記試料からの二次荷電粒子または反射荷電粒子に起因する検出信号は同じ検出器で検出されることを特徴とする荷電粒子線装置。
  3. 請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
    前記透過荷電粒子画像モードと前記二次的荷電粒子画像モードは、前記試料ステージを動かさずに切替可能であることを特徴とする荷電粒子線装置。
  4. 請求項2に記載の荷電粒子線装置において、
    前記検出器と前記試料との間に電界を生じさせる電極を有し、
    前記電界の大きさを切り替えることで、前記透過荷電粒子画像モードと前記二次的荷電粒子画像モードの切り替えが行われることを特徴とする荷電粒子線装置。
  5. 請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
    前記検出器は、前記二次荷電粒子が前記試料近傍に存在する気体と衝突することによって発生する光を検出することで、前記試料からの二次荷電粒子に起因する検出信号を取得することを特徴とする荷電粒子線装置。
  6. 請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
    前記試料が載置される空間の真空度を変更可能であることを特徴とする荷電粒子線装置。
  7. 請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
    前記検出器は、前記発光部材からの光を検出する受光面と、前記試料からの反射荷電粒子を検出する受光面を有することを特徴とする荷電粒子線装置。
  8. 請求項7に記載の荷電粒子線装置において、
    前記検出器の受光面の少なくとも一つは、表面に前記反射荷電粒子が透過できずかつ光が透過する透明膜を有することを特徴とする荷電粒子線装置。
  9. 請求項7に記載の荷電粒子線装置において、
    前記検出器の受光面の少なくとも一つは、表面に光が透過できずかつ前記反射荷電粒子が透過する不透明膜を有することを特徴とする荷電粒子線装置。
  10. 一次荷電粒子線を試料に照射し、
    前記試料の内部を透過し前記試料が載置される試料台の発光部材に照射された透過荷電粒子を前記光に変換し、
    前記光を検出し、当該光の検出信号に基づいて透過荷電粒子画像を生成し、
    前記試料からの二次荷電粒子または反射荷電粒子に起因する信号を検出し二次的荷電粒子画像を生成することを特徴とする画像生成方法。
  11. 請求項10に記載の画像生成方法において、
    前記発光部材からの光と前記試料からの二次荷電粒子または反射荷電粒子に起因する検出信号は同じ検出器で検出されることを特徴とする画像生成方法。
  12. 請求項10に記載の画像生成方法において、
    前記透過荷電粒子画像と前記二次的荷電粒子画像とは、前記試料を動かさずに切替可能であることを特徴とする画像生成方法。
  13. 請求項11に記載の画像生成方法において、
    前記検出器と前記試料との間の電界の大きさを切り替えることで、前記発光部材からの光と前記試料からの二次荷電粒子または反射荷電粒子に起因する検出信号を切り替えることを特徴とする画像生成方法。
  14. 請求項10に記載の画像生成方法において、
    前記二次荷電粒子が前記試料近傍に存在する気体と衝突することによって発生する光を検出することで、前記試料からの二次荷電粒子に起因する検出信号を取得することを特徴とする画像生成方法。
  15. 請求項10に記載の画像生成方法において、
    前記試料が載置される空間の真空度を変更するステップを含むことを特徴とする画像生成方法。
  16. 請求項10に記載の画像生成方法において、
    前記発光部材からの光と前記試料からの反射荷電粒子とを同時に検出することを特徴とする画像生成方法。
  17. 請求項10に記載の画像生成方法において、
    前記試料台に保持された試料に対して、前記試料台側から光を照射し、
    前記試料台を透過した光を前記試料に照射することを特徴とする画像生成方法。
  18. 請求項10に記載の画像生成方法において、
    前記試料台に保持された試料に対して、前記試料側から光を照射し、
    前記試料を透過した光を、前記試料が載置された第1の発光部材を透過させ、
    前記第1の発光部材を透過した光を、前記第1の発光部材で生じる複屈折の影響を打ち消す向きに配置された第2の発光部材に入射させることを特徴とする画像生成方法。
  19. 一次荷電粒子線を試料に照射する荷電粒子光学鏡筒と、
    前記試料の内部を透過した透過荷電粒子が照射されることで発光する発光部材または当該発光部材を有する試料台と、
    前記試料台を着脱可能に配置する試料ステージと、
    前記試料からの信号を検出する検出器と、
    前記発光部材からの光の検出信号に基づいて透過荷電粒子画像を生成する透過荷電粒子画像モードと、前記試料からの二次荷電粒子または反射荷電粒子に起因する検出信号に基づいて二次的荷電粒子画像を生成する二次的荷電粒子画像モードとで前記検出器を制御する制御部とを有することを特徴とする観察システム。
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