JP6215711B2 - 接着剤層付銅箔、銅張積層板及びプリント配線板 - Google Patents

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Description

本件発明は、プリント配線板用の接着剤層付銅箔、当該接着剤層付銅箔を用いた銅張積層板及びプリント配線板に関する。
従来より、銅張積層板又は、プリント配線板を製造する際に、特許文献1或いは特許文献2に開示されているような、極薄接着剤層(プライマー樹脂層)を備えた銅箔(以下、「接着剤層付銅箔」と称する。」が用いられている。この接着剤層付銅箔を、樹脂基板又は層間絶縁層となるプリプレグ、紙フェノール樹脂基材等の樹脂基材に、接着剤層側が面するように積層し、加熱加圧等を行うことにより、接着剤層を介して、樹脂基材と銅箔との良好な張り合わせ密着性を確保することができる。
特許文献1又は特許文献2に開示の接着剤層は、換算厚さが0.5μm〜10μmの極薄い半硬化状態の樹脂層である。これらの接着剤層は、エポキシ樹脂と、溶剤に可溶な芳香族ポリアミド樹脂と、硬化促進剤等を混合した樹脂組成物(以下、「PA系樹脂組成物」と称する。)又は、エポキシ樹脂と、ポリエーテルサルホン樹脂と、硬化促進剤等を混合した樹脂組成物(以下、「PES系樹脂組成物」と称する。)を用いて形成されたものである。
このような接着剤層付銅箔を用いれば、低粗度の銅箔であっても樹脂基材との密着性を確保することができるため、従来、行われてきた粗化処理工程を不要とすることができる。これにより、製造効率が向上することができ、且つ、製造コストを削減することができる。また、これらの接着剤層付銅箔を用いた場合、エッチングにより導体パターンを形成する際に、粗化処理部分を溶解するためのオーバーエッチングタイムを設ける必要がないため、ファインピッチで、良好なエッチングファクタを備える微細回路を形成することが可能になるという優れた効果を奏する。
特開2005−53218号公報 特開2009−148962号公報
しかしながら、上記例示した接着剤層付銅箔については、デスミア液等に対する耐薬品性の向上又は耐吸湿劣化特性の向上が求められていた。
例えば、多層プリント配線板を製造する際には、層間接続のためにスルーホール又はブラインドビア等の穴がドリルやレーザ加工により開けられる場合がある。このとき、穴の内部に残留した樹脂(スミア)を除去するために過マンガン酸カリウム等からなるデスミア液を用いて、スミアを除去するデスミア処理が行われる。その際、PA系樹脂組成物を用いて形成された接着剤層は、デスミア処理の際にデスミア液に溶解し易いため、樹脂基材と銅箔との間の密着性がスルーホール又はブラインドビア等の周囲において局部的に低下する恐れがあった。
一方、PES系樹脂組成物を用いて形成された接着剤層は、デスミア液耐性が高く、デスミア処理を施しても溶解しない。しかしながら、吸湿後の引き剥がし強さの劣化が著しいという問題があった。
従って、本件発明は、十分な引き剥がし強さを有すると共に、デスミア液耐性が高く、且つ、耐吸湿劣化特性の優れた接着剤層付銅箔、銅張積層板及びプリント配線板を提供することを目的とする。
そこで、本発明者等は、鋭意研究を行った結果、以下の樹脂組成物からなる層を接着剤層として採用することで上記課題を達成するに到った。
本件発明に係る接着剤層付銅箔は、銅箔の片面に接着剤層を備える接着剤層付銅箔であって、前記接着剤層は、ポリフェニレンエーテル化合物100質量部に対して、当該ポリフェニレンエーテル化合物に対する重合成分として作用するスチレンブタジエンブロック共重合体を5質量部以上65質量部以下含む樹脂組成物からなる層であり、前記ポリフェニレンエーテル化合物は、数平均分子量が500ないし4000であり且つ末端に水酸基、スチレン基又はグリシジル基のうちいずれかを有することを特徴とする。
本件発明に係る接着剤層付銅箔において、銅箔の表面粗さ(Rzjis)が2μm以下である面に、前記接着剤層が設けられていることが好ましい。
本件発明に係る接着剤層付銅箔において、前記接着剤層の厚みは、0.5μm〜10μmであることが好ましい。
本件発明に係る接着剤層付銅箔において、前記接着剤層は、アミノ官能性シランカップリング剤、アクリル官能性シランカップリング剤、メタクリル官能性シランカップリング剤及びビニル官能性シランカップリング剤から選ばれる1種以上を用いて表面処理されたフィラー粒子を含むものであることが好ましい。
本件発明に係る銅張積層板は、上記記載の接着剤層付銅箔を用いたことを特徴とする。
本件発明に係るプリント配線板は、本件発明に係る銅張積層板を用いて得られたことを特徴とする。そして、本件発明に係る銅張積層板を用い、当該銅張積層板の表面の銅箔層をエッチングにより除去してセミアディティブ法で回路形成して得られたことを特徴とするプリント配線板にも、好適に使用できる。
本件発明によれば、接着剤層として、ポリフェニレンエーテル化合物100質量部に対して、スチレンブタジエンブロック共重合体を5質量部以上65質量部以下含む樹脂組成物からなる層を採用することにより、当該接着剤層付銅箔を樹脂基材に張り合わせたときの密着性を良好なものとすることができる。これと同時に、プリント配線板の製造工程にデスミア処理が含まれる場合であっても、デスミア液に接着剤層が溶解するのを防止することができ、且つ、吸湿後の引き剥がし強さの劣化が少ないプリント配線板を形成することができる。
以下、本発明に係る接着剤層付銅箔、銅張積層板及びプリント配線板の実施の形態を説明する。
<接着剤層付銅箔>
本件発明に係る接着剤層付銅箔は、プリント配線板の製造材料として用いられるものであり、銅箔の片面に接着剤層を備えた銅箔である。本件発明において、この銅箔の片面に備えられた接着剤層が、ポリフェニレンエーテル化合物100質量部に対して、スチレンブタジエンブロック共重合体を5質量部以上65質量部以下含む樹脂組成物からなる層であることを特徴としている。以下では、(1)銅箔、(2)接着剤層の順に各層の構成等について説明する。また、本件発明において、接着剤層はフィラー粒子を含む構成としてもよい。フィラー粒子に関しては、接着剤層とは別に項目を分けて説明する。なお、本実施の形態では、主として、当該接着剤層付銅箔を樹脂基材に張り合わせる場合を例に挙げて説明する。しかしながら、本件発明に係る接着剤層付銅箔の実施形態はこれに限定されるものではなく、当該接着剤層付銅箔の接着剤層上に更に絶縁層等として機能する樹脂層が設けられたものも本件発明に含まれる。すなわち、本件発明は、下記に説明する銅箔の片面に下記に説明する特徴を有する接着剤を備えるものであればよく、当該接着剤層が例えば、銅張積層板或いはプリント配線板全体として見たときに、銅箔と絶縁層等を構成する樹脂部分との間に介在して、両者を接着又は密着させる機能を有するものであればよい。
(1)銅箔
本件発明において、接着剤層が設けられる銅箔として、電解銅箔及び圧延銅箔等のいずれを用いてもよく、銅箔の種類等に関する限定はない。また、電解銅箔に接着剤層を設ける場合、光沢面(ドラム面)或いは析出面(粗面)のいずれの面に接着剤層が設けられていてもよい。また、銅箔の厚みについても特に限定されるものではないが、1.0μm〜18μmの範囲の銅箔に当該接着剤層を設けることが好ましい。プリント配線板を製造する際に求められる特性等に応じて、適宜、適切な銅箔を採用すればよい。
また、本件発明において、例えば、5.0μm以下の銅箔の片面(一面側)に接着層を備える構成とした場合、銅箔の他面に、いわゆるキャリア箔(支持体)を設けてもよい。5.0μm以下の銅箔を用いることにより、より回路ピッチの狭い高精細な回路を、良好なエッチングファクタで形成することができる。
本件発明において、接着面の表面粗さ(Rzjis)が2μm以下の銅箔に対して接着剤層を設けることが好ましい。そして、銅箔自体をエッチング加工して、回路形成を行う場合には、粗化処理が施されていない銅箔を用いることが更に好ましい。なお、接着面とは、銅箔の樹脂基材に張り合わされる側の面を指し、接着剤層が設けられる面を指すものとする。本件発明に係る接着剤層付銅箔は、電解銅箔及び圧延銅箔等の種類の別によらず、接着面の表面粗さ(Rzjis)が2μm以下の表面が平滑な銅箔についても、銅箔と樹脂基材との間に接着剤層を介在させることにより、銅箔と樹脂基材との十分な接着強度を得ることができる。すなわち、本件発明に係る接着剤層付銅箔は、無粗化銅箔であっても、樹脂基材との十分な接着強度を得ることができるため、従来のようにエッチングによる導体パターン形成時に、粗化処理部分を溶解する必要がなく、エッチングに要する時間を削減することができる。このため、エッチングファクタの良好な回路を形成することが可能になる。より高精細な回路を形成するという観点から、銅箔の表面粗さは1.8μm以下であることがより好ましく、1.5μm以下であることが更に好ましい。
一方、本件発明に係る接着剤層付銅箔を樹脂基材に張り合わせて銅張積層板を得た後、その表面の銅箔をエッチング除去して、接着剤層を露出させ、その全面にシード層(無電解銅層等)を設け、当該シード層上の回路を形成しない部分にめっきレジストを形成し、回路を形成する部分のみにめっき法で回路を形成するセミアディティブ法(Semi Additive Process=SAP法)を採用する場合には、粗化処理を施した銅箔を使用することが好ましい。粗化処理を施した銅箔を用いることで、硬化した接着剤層に当該粗化処理のレプリカ形状を残して、接着面の比表面積を増やし、SAP法で形成する回路との密着性の向上が図れるからである。このときの粗化処理を施した銅箔も、表面粗さ(Rzjis)が2μm以下であることが好ましい。そして、この粗化処理を施した面に、前記接着剤層を設けて、本件発明に係る接着剤層付銅箔となる。当該銅箔の表面粗さが2μmを超える場合には、大きな凹凸形状を備える粗化処理となる傾向が高く、フラッシュエッチングによるシード層の除去が困難となる傾向があり、回路間の絶縁性が低下する傾向にあるため好ましくない。なお、このSAP法については、後に詳述する。
なお、本件発明では、銅箔の表面に防錆処理を施し、この防錆処理層の表面に接着剤層を設ける構成としてもよい。銅箔に対する防錆処理として、亜鉛、ニッケル、コバルト等を用いた無機防錆処理、クロム酸塩を用いたクロメート処理、ベンゾトリアゾール、イミダゾール等の有機剤を用いた有機防錆処理等が挙げられる。また、本件発明において、以下、単に銅箔と称した場合、防錆処理が施された銅箔を指す場合がある。
また、本件発明では、銅箔の片面側の表面にシランカップリング剤処理を施し、このシランカップリング剤層の表面に接着剤層を設ける構成としてもよい。シランカップリング剤層を介して、接着剤層を銅箔の表面に設けることにより、銅箔の表面と接着剤層との濡れ性を改善し、当該接着剤層付銅箔を樹脂基材に張り合わせたときの接着強度をより良好なものとし、張り合わせ密着性をより良好なものとすることができる。そして、シランカップリング剤層を介在させることにより、シランカップリング剤層が存在しない場合に比して、銅箔をより強固に樹脂基材に密着させることができる。また、本件発明において、以下、単に銅箔と称した場合、シランカップリング剤処理が施された銅箔を指す場合がある。
シランカップリング剤層として、具体的には、アミノ官能性シランカップリング剤層、アクリル官能性シランカップリング剤層、メタクリル官能性シランカップリング剤、ビニル官能性シランカップリング剤、エポキシ官能性シランカップリング剤層、オレフィン官能性シランカップリング剤層、メルカプト官能性シランカップリング剤層等の種々のシランカップリング剤を用いて形成された層を採用することができる。
シランカップリング剤層を形成する際には、溶媒としての水にシランカップリング剤を0.5g/l〜10g/l溶解させたものを、室温レベルの温度で、浸漬法、シャワーリング法、噴霧法等により銅箔の表面とシランカップリング剤とを均一に接触させて、銅箔の表面にシランカップリング剤を均一に吸着させることが好ましい。シランカップリング剤は、銅箔の表面に突きだしたOH基と縮合結合することにより、被膜を形成する。シランカップリング剤の濃度が0.5g/l未満の溶液を用いた場合、銅箔の表面に対するシランカップリング剤の吸着速度が遅く、一般的な商業ベースの採算に合わず好ましくない。また、シランカップリング剤も銅箔の表面に対して不均一に吸着されるため好ましくない。一方、シランカップリング剤の濃度が10g/lを超える溶液を用いた場合であっても、特に吸着速度や均一吸着性が向上する訳ではなく、経済上の観点から好ましくない。
上記シランカップリング剤層を形成する際に用いるシランカップリング剤として、具体的には以下のものが挙げられる。ビニルトリメトキシシラン、ビニルフェニルトリメトキシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、4−グリシジルブチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−3−(4−(3−アミノプロポキシ)プトキシ)プロピル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、イミダゾールシラン、トリアジンシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を用いることが可能である。
なお、以下において銅箔と称した場合、銅箔表面にシランカップリング剤層が形成されている銅箔も含むものとし、銅箔の表面と称した場合、シランカップリング剤層の表面である場合も含む。
(2)接着剤層
次に、接着剤層について説明する。本件発明において、接着剤層は、ポリフェニレンエーテル化合物100質量部に対して、スチレンブタジエンブロック共重合体を5質量部以上65質量部以下含む樹脂組成物からなる層であることを特徴としている。
まず、ポリフェニレンエーテル化合物について説明する。ポリフェニレンエーテル化合物は、その構造から耐デスミア液特性が高く、デスミア液に殆ど溶解しない。このため、ポリフェニレンエーテル化合物を主成分として接着剤層を構成することにより、デスミア液に溶解する樹脂量を減少させることができる。従って、プリント配線板の製造工程等において、デスミア処理工程が存在する場合であっても、デスミア処理の前後において、接着剤層が局所的に溶解し、デスミア処理の前後において樹脂基材と銅箔との間の密着性が局部的に低下することなく、デスミア処理後も銅箔と樹脂基材との良好な密着性を確保することができる。また、ポリフェニレンエーテル化合物を用いることにより、低誘電率及び低誘電正接の電気特性の良い接着剤層を得ることができる。
この発明に用いられるポリフェニレンエーテル化合物は、次の一般式で表される。但し、下記一般式において、R1、R2、R3、R4はそれぞれ水素原子または炭素数1〜3の炭化水素基を表す。
Figure 0006215711
上記ポリフェニレンエーテル化合物として、具体的には、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレン)エーテル等を用いることができる。また、上記一般式で表されるポリフェニレンエーテル化合物において、末端基は水酸基であることが好ましい。しかしながら、本件発明では、末端基が水酸基であるポリフェニレンエーテル化合物だけではなく、必要に応じて、スチレン基やグリシジル基を有する化合物を用いて、公知の方法により、末端基を変性させたスチレン変性ポリフェニレンエーテル化合物や、グリシジル変性ポリフェニレンエーテル化合物等も好ましく用いることができる。また、これらの市販品を用いてもよい。
ポリフェニレンエーテル化合物の数平均分子量は、500〜4000であることが好ましく、1000〜3000であることがより好ましい。ポリフェニレンエーテル化合物の数平均分子量が500未満である場合、得られる接着剤層の可撓性が低くなるため好ましくない。一方、ポリフェニレンエーテル化合物の数平均分子量が4000を超える場合、メチルエチルケトンやトルエン等の溶剤に対する溶解性が低くなるため好ましくない。
次に、スチレンブタジエンブロック共重合体について説明する。スチレンブタジエンブロック共重合体は、ポリフェニレンエーテル化合物に対する重合(架橋)成分である。ポリフェニレンエーテル化合物と、スチレンブタジエンブロック共重合体とが重合することにより、ブタジエン構造体部分に由来する高柔軟性により当該接着剤層が弾性、可撓性を示すようになる。特に、スチレン変性ポリフェニレンエーテル化合物又はグリシジル変性ポリフェニレンエーテル化合物を用いた場合、この傾向は顕著になる。その結果、接着剤層の銅箔に対する密着性が向上すると共に、耐クラック性も向上することができる。そして、当該接着剤層付銅箔を用いてプリント配線板を製造したときに、回路の引き剥がし強さを実用上要求される値にすることができる。また、当該スチレンブタジエンブロック共重合体を用いることにより、耐吸湿劣化特性を向上させることができ、引き剥がし強さが多湿環境下で経時的に劣化することを防ぐことができる。さらに、スチレンブタジエンブロック共重合体は、極性基が少なく、ポリフェニレンエーテル化合物が有する低誘電特性に与える影響が少ないため、ポリフェニレンエーテル化合物に由来する低誘電率及び低誘電正接の良い電気的特性を維持することができる。
次に、ポリフェニレンエーテル化合物とスチレンブタジエンブロック共重合体の配合比について説明する。本件発明において、ポリフェニレンエーテル化合物100質量部に対して、スチレンブタジエンブロック共重合体を5質量部以上65質量部以下の範囲で用いることが好ましい。ポリフェニレンエーテル化合物100質量部に対して、スチレンブタジエンブロック共重合体が65質量部を超える場合、常態時の引き剥がし強さが低く、また、PCT(Pressure Cooker Test)等により高温加湿環境下での加速試験を行った場合、市場で要求されるレベルのPCT後の引き剥がし強さを維持することが困難になるため好ましくない。また、ポリフェニレンエーテル化合物100質量部に対して、スチレンブタジエンブロック共重合体が5質量部未満の場合、成膜が困難である他、十分な弾性、可撓性が得られないため好ましくない。ここで、ポリフェニレンエーテル化合物100質量部に対してスチレンブタジエンブロック共重合体の配合比は10質量部以上であることがより好ましく、20質量部以上であることが更に好ましい。ポリフェニレンエーテル化合物100質量部に対してスチレンブタジエンブロック共重合体を10質量部以上、好ましくは20質量部以上配合することにより、成膜が容易になり、接着剤層に弾性及び可撓性を与えることができるためである。
また、常態時の引き剥がし強さが高く、且つ、耐吸湿劣化特性が高くなるという観点からポリフェニレンエーテル化合物100質量部に対して、スチレンブタジエンブロック共重合体を30質量部〜55質量部の範囲で配合することがより好ましく、ポリフェニレンエーテル化合物100質量部に対して、スチレンブタジエンブロック共重合体を35質量部〜45質量部の範囲で配合することが更に好ましい。ポリフェニレンエーテル化合物100質量部に対して、スチレンブタジエンブロック共重合体を30質量部〜55質量部の範囲で配合することにより、常態時及びPCT後のいずれの場合も引き剥がし強さが高くなり、PCT前後の引き剥がし強さの劣化率を低減させることができる。ポリフェニレンエーテル化合物100質量部に対して、スチレンブタジエンブロック共重合体を35質量部〜45質量部の範囲で配合することにより、PCT後の引き剥がし強さがより高くなり、PCT前後の引き剥がし強さの劣化率が更に低減する。
なお、必要に応じて、上記樹脂組成物がエポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、熱可塑性粒子、着色剤、酸化防止剤、難燃剤、カップリング剤等の各種添加剤を含む構成としてもよい。これらの各種添加剤を本件発明の趣旨を逸脱しない範囲において、適宜量、添加してもよい。
次に、接着剤層の厚みについて説明する。本件発明において、接着剤層の厚み(ゲージ厚)は、0.5μm〜10μmの範囲内であることが好ましい。接着剤層の厚みが、0.5μm未満の場合には、接着剤層が薄すぎて、銅箔と接着剤層との密着性が向上しない。これに対して、接着剤層の厚みが10μmを超えても、銅箔と接着剤層との密着性がそれ以上に向上する訳ではなく、資源の無駄使いとなるため好ましくない。
(3)フィラー粒子
次に、フィラー粒子について説明する。本件発明では、上述した様に、接着剤層がフィラー粒子を含む構成としてもよい。接着剤層にフィラー粒子を含有させることにより、フィラー粒子を含有しない接着剤層に比して、常態時の引き剥がし強さ及び耐吸湿劣化特性を向上させることができる。また、上述した樹脂組成物からなる接着剤層にフィラー粒子を含有させる場合、特定の表面処理を施したフィラー粒子を用いることにより、接着剤層と銅箔との密着性をより良好なものとし、当該接着剤層付銅箔と、樹脂基材とをより強固に密着させることができる。その結果、引き剥がし強さをより向上させることができ、デラミネーションの発生を抑えることができる。
本件発明において用いることのできるフィラー粒子として、溶融シリカ、結晶性シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、マイカ、タルク等を挙げることができる。これらをいずれか一種又は二種以上を混合して用いることができる。
本件発明において用いるフィラー粒子はシランカップリング剤で表面処理されていることが好ましい。シランカップリング剤として、アミノ官能性シランカップリング剤、アクリル官能性シランカップリング剤、メタクリル官能性シランカップリング剤、エポキシ官能性シランカップリング剤、オレフィン官能性シランカップリング剤、メルカプト官能性シランカップリング剤、ビニル官能性シランカップリング剤等の種々のシランカップリング剤を用いることが出来る。上記の中でも、アミノ官能性シランカップリング剤、アクリル官能性シランカップリング剤、メタクリル官能性シランカップリング剤、ビニル官能性シランカップリング剤等がより好ましい。
このようにフィラー粒子に対して、上記表面処理を施すことにより、溶剤との濡れ性が向上し、樹脂溶液中にフィラー粒子を良好に分散させることができる。その結果、フィラー粒子が層内に均一に分散した接着剤層を得ることができる。また、フィラー粒子に対して上記表面処理を施すことにより、フィラー粒子と、上述した樹脂組成物との相溶性を良好なものとすることができ、フィラー粒子と樹脂組成物との密着性も良好なものとすることができる。
上記シランカップリング剤としては具体的に以下のものが挙げられる。まず、アミノ官能性シランカップリング剤として、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
メタクリル官能性シランカップリング剤、アクリル官能性シランカップリング剤として、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
また、ビニル官能性シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルフェニルトリエトキシシラン等が挙げられる。
さらに、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のアルコキシシランを用いてもよい。
これらのシランカップリング剤を用いた表面処理の方法は、特に限定されるものではなく、適宜、適切な方法を用いて行うことができる。
また、接着剤層にフィラー粒子を含有させる場合、その含有率は40質量%以下とすることが好ましい。フィラー粒子の含有率が40質量%を超える場合、接着剤層を構成する樹脂組成物と銅箔との接触面積が低下して、接着強さが急激に低下するためである。
また、接着剤層に含有させるフィラー粒子は、レーザー回析散乱式粒度分布測定法による体積累積粒径D50の値が、0.01μm〜1.0μmの範囲内のものを用いることが好ましく、0.01μm〜0.5μmの範囲内のものを用いることがより好ましい。フィラー粒子の当該体積累積粒径D50の値が0.01μm未満となると、フィラー粒子が微粒であり過ぎるため、接着剤層を形成する際に調製する樹脂溶液中に均一に分散させることが困難になるため好ましくない。一方、フィラー粒子の当該体積累積粒径D50の値が1.0μmを超える場合、銅箔と樹脂層との密着性が低下する場合があるため好ましくない。当該観点から、フィラー粒子の当該体積累積粒径D50が0.5μm以下であることがより好ましい。このような微粒のフィラー粒子を用いることにより、当該接着剤層付銅箔を用いて回路を形成した場合の引き剥がし強さをより向上させることが可能になる。
<接着剤層付銅箔の製造方法>
次に、上記接着剤層付銅箔の製造方法の一例を説明する。上記接着剤層付銅箔の製造工程は、例えば、(1)樹脂溶液調製工程と、(2)樹脂溶液塗布工程と、(3)乾燥工程とに大別することができる。以下、各工程毎に説明する。
(1)樹脂溶液調製工程
樹脂溶液工程は、ポリフェニレンエーテル化合物100質量部に対して、スチレンブタジエンブロック共重合体を5質量部〜65質量部の範囲で含むと共に、樹脂固形分濃度が10質量%〜40質量%の樹脂溶液を調製する工程である。当該樹脂溶液を調製する際には、例えば、ポリフェニレンエーテル化合物と、スチレンブタジエンブロック共重合体を予め所定の配合比で混合した樹脂組成物を溶剤に溶解させてもよいし、ポリフェニレンエーテル化合物及びスチレンブタジエンブロック共重合体をそれぞれ溶剤に溶解させたものを、ポリフェニレンエーテル化合物とスチレンブタジエンブロック共重合体とが所定の配合比となるように混合してもよく、樹脂溶液の調製方法は特に限定されるものではない。
当該工程で用いるポリフェニレンエーテル化合物は、上述したポリフェニレンエーテル化合物と同じものを用いることができるため、ここでは説明を省略する。同様に、スチレンブタジエンブロック共重合体は、上述したスチレンブタジエンブロック共重合体と同じものを用いることができるため、スチレンブタジエンブロック共重合体についても説明を省略する。また、樹脂組成物においるポリフェニレンエーテル化合物と、スチレンブタジエンブロック共重合体との配合比についても上述した接着剤層内におけるポリフェニレンエーテル化合物とスチレンブタジエンブロック共重合体との配合比についても同様であるため、ここではポリフェニレンエーテル化合物とスチレンブタジエンブロック共重合体との配合比におけるより好ましい範囲等の記載については省略する。
樹脂溶液の溶剤としては、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、或いはトルエン等の芳香族系溶剤を用いることができる。これらの溶剤を用いることにより樹脂組成物を溶解させることが容易であり、且つ、樹脂溶液の粘度の調整も容易になる。また、これらの溶剤は、いずれも当該接着剤層付銅箔と樹脂基材とを張り合わせる際に加熱加圧する際に効率良く溶剤を揮発させることができ、揮発したガスの浄化処理も容易である。
また、樹脂固形分濃度を10質量%〜40質量%とすることにより、溶液粘度を適正なものとすることができ、銅箔の表面に樹脂溶液を塗布したときに、精度良く所望の膜厚の塗布膜を形成することができる。樹脂固形分濃度が10質量%未満である場合、溶液粘度が低く、銅箔表面に塗布した直後に樹脂溶液が流れてしまい、膜厚の均一な塗布膜を形成することが困難になる。一方、樹脂固形分濃度が40質量%を超える場合、溶液粘度が高くなり過ぎるため、10μm以下の塗布膜を形成することが困難になる。
なお、接着剤層にフィラー粒子を含有させる場合には、この段階で所定の表面処理を施したフィラー粒子を適当量、樹脂組成物に混合する。フィラー粒子、及び表面処理、配合量等については、上述したとおりであるため、ここでは説明を省略する。また、以下では、樹脂組成物と称した場合、樹脂組成物がフィラー粒子を含有する場合もある。
(2)樹脂溶液塗布工程
樹脂溶液塗布工程は、銅箔の片面に、乾燥後の接着剤層の厚さが0.5μm〜10μmになるように、当該樹脂溶液を塗布する工程である。樹脂溶液を塗布する際の塗布方法は特に限定されるものではなく、形成する接着剤層の厚みに応じて、適宜、適切な方法を採用すればよい。しかしながら、0.1μm〜10μmの極薄い接着剤層を形成することを考慮すると、薄膜形成に有利な塗布方法を採用することが好ましく、例えば、グラビアコーターを用いて樹脂溶液を銅箔の表面に塗布することが好ましい。
(3)乾燥工程
乾燥方法は、従来既知の方法により適宜行うことができ、特に限定されるものではない。当該工程により、塗布膜から溶剤を揮発させると共に、樹脂組成物の硬化反応を中間段階で終了させた半硬化状態の樹脂とする。以上の工程により、本件発明に係る接着剤層付銅箔を製造することができる。
<銅張積層板>
次に、本件発明に係る銅張積層板の実施の形態を説明する。本件発明に係る銅張積層板は、上述した本件発明に係る接着剤層付銅箔を用いたことを特徴とする。ここで、周知のように、銅張積層板とは、紙、または、ガラス布等に絶縁性樹脂を含浸させたシートを必要枚数重ねたプリプレグ、紙フェノール樹脂基材等の樹脂基材の片面又は両面に銅箔を載せ、加熱加圧して積層した板をいい、プリント配線板の製造材料として用いられる。本件発明では、プリプレグ等の樹脂基材に載せる銅箔として、上述した接着剤層付銅箔を用いる。そして、接着剤層付銅箔の接着剤層側が樹脂基材の接着面側に面するように、樹脂基材の接着面に当該接着剤層付銅箔を載せて、加熱加圧する。これにより、樹脂基材の樹脂と接着剤層とがそれぞれ溶融、硬化する過程で、樹脂基材の樹脂と接着剤層とが一体化し、樹脂基材と銅箔とが強固に密着することになる。
<プリント配線板>
また、本件発明に係るプリント配線板は、上述した本件発明に係る接着剤層付銅箔を用いたことを特徴とするものであり、上記銅張積層板を用いることが好ましい。そして、本件発明に係るプリント配線板は、多層プリント配線板であってもよいのは勿論であり、例えば、当該接着剤層付銅箔を用いてビルドアップ層を形成したビルドアッププリント配線板であってもよい。また、このプリント配線板は、銅張積層板から如何なる方法を用いて製造しても構わない。
本件発明に係る銅張積層板は、上述のセミアディティブ法(Semi Additive Process=SAP法)でプリント配線板を製造する場合にも好適に使用できる。即ち、本件出願に係る接着剤層付銅箔を用いた銅張積層板を用いることで、最終的に形成した回路と樹脂基材との密着性の低下防止が可能となるからである。一般的なSAP法としては、以下に述べるSAP−1又はSAP−2のいずれかのプロセスが採用されている。
SAP−1: 「銅張積層板の銅箔を全てエッチング除去」→「レーザー法による孔明け加工」→「デスミア処理」→「無電解銅めっきを行い、樹脂基材上にシード層となる無電解銅層を形成」→「無電解銅層の回路を形成しない部位にめっきレジストを形成」→「めっきレジストの無い部位に電気銅めっきで回路形成を行う」→「めっきレジストの剥離」→「回路を形成しない部位にある無電解銅層を、フラッシュエッチングにより除去」→「回路完成」
上述のSAP−1のプロセスを採用した場合、孔明け加工前に銅張積層板の銅箔を全てエッチング除去しているため、全面がデスミア溶液に晒され浸食されることにより、一般的には、形成されたビアホールの内壁部のデスミア処理による浸食及び最終的に形成した回路と樹脂基材との密着性が低下する傾向がある。しかし、このSAP−1のプロセスの中で、本件発明に係る銅張積層板を用いると、孔明け加工前に銅張積層板の銅箔を全てエッチング除去しても、樹脂基材の表面には耐デスミア性能に優れた接着剤層が存在するため、全面がデスミア溶液に晒されても、最終的に形成した回路と樹脂基材との密着性の低下を抑制することが可能となる。
SAP−2: 「レーザー法による孔明け加工」→「デスミア処理」→「銅張積層板の銅箔を全てエッチング除去」→「無電解銅めっきを行い、樹脂基材上にシード層となる無電解銅層を形成」→「無電解銅層の回路を形成しない部位にめっきレジストを形成」→「めっきレジストの無い部位に電気銅めっきで回路形成を行う」→「めっきレジストの剥離」→「回路を形成しない部位にある無電解銅層を、フラッシュエッチングにより除去」→「回路完成」
このSAP−2のプロセスを採用した場合、銅張積層板の銅箔を全てエッチング除去する前に、レーザー法による孔明け加工、デスミア処理が行われるため、形成されたビアホールの周囲に存在する接着剤層がデスミア処理により浸食される傾向にある。しかし、このSAP−2のプロセスの中で、本件発明に係る銅張積層板を用いると、形成したビアホールの開孔部の周囲に存在する接着剤層が、耐デスミア性能に優れているため、この部分のデスミア処理による浸食を防止できるため、ランド形成部と樹脂基材との良好な密着性が維持できるため好ましい。
上記説明した本件発明に係る接着剤層付銅箔、銅張積層板及びプリント配線板の実施の形態は、本件発明の一態様に過ぎず、本件発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能であるのは勿論である。また、以下では実施例を挙げて、本件発明をより具体的に説明するが、本件発明は以下の実施例に限定されるものではないことは勿論である。以下において比較例1〜比較例3は、実施例1〜実施例5との対比を行うためのものである。そして、比較例4は実施例6と対比するためのものである。
<接着剤層付銅箔の製造>
実施例1では、次のようにして接着剤層付銅箔を製造した。まず、撹拌装置、温度調節機、還流管を備えた1リットルの4つ口フラスコに、ポリフェニレンエーテル樹脂(SABIC社製;MX−90)200gとトルエン400gとを注入し、60℃にて撹拌溶解した。続いて、当該フラスコ内に、クロロメチルスチレン10gを導入し、撹拌溶解し、液温を80℃とした。さらに、撹拌しながら、水酸化ナトリウム50質量%水溶液24gを滴下導入し、80℃で3時間撹拌を続けた。次に、内容物を1N塩酸水溶液で中和後、メタノールを添加し化合物を沈殿させ、ろ過した。ろ過物をメタノール水溶液(メタノール:蒸留水=4:1)で2回洗浄後、溶剤、水分を乾燥除去し、ポリフェニレンエーテル化合物を得た。
次に、上記で得られたポリフェニレンエーテル化合物をトルエンに溶解して、50質量%ポリフェニレンエーテル化合物溶液を調製した。また、スチレンブタジエンブロック共重合体(JSR株式会社製;TR2003)をトルエンに溶解して、30質量%のスチレンブタジエンブロック共重合体溶液を調製した。ポリフェニレンエーテル化合物100質量部に対して、スチレンブタジエンブロック共重合体が10質量部となるように、両者を混合するとともに、樹脂固形分濃度が25%となるように樹脂溶液(ワニス)を調製した。
そして、3μm厚さのキャリア付極薄無粗化銅箔(表面粗さ(Rzjis)0.7μm)の表面にニッケル21mg/m、亜鉛8mg/m、クロム3mg/mを含む防錆処理を施した後、この防錆処理層の表面にアミノ系シランカップリング剤処理を施し、シランカップリング剤層を形成した。続いて、シランカップリング剤層の表面にグラビアコータを用いて、乾燥後の接着剤層の厚みが2.5μmになるように、当該樹脂溶液を塗布した。塗布膜形成後、180℃で2分間乾燥することにより、樹脂組成物を半硬化させた接着剤層を備える接着剤層付銅箔を製造した。
<銅張積層板の製造>
以上のようにして製造した接着剤層付銅箔の接着剤層側を、100μmの厚さのFR−4プリプレグ(三菱瓦斯化学会社製:GHPL−830NS)の片面に当接させて220℃×90分、40kgf/cmの加熱加圧条件下で熱間プレス成形することで、銅張積層板を製造した。
<引き剥がし強さ測定用サンプルの作製>
以上のようにして製造した銅張積層板の銅箔層からキャリアを引き剥がした後、表面に電解銅めっきにより10μmの厚みとなるようにめっきし、ドライフィルムを張り合わせてエッチングレジスト層を形成した。そして、エッチングレジスト層に、0.4mm幅の引き剥がし強度測定用回路パターンを露光して現像し、エッチングパターンを形成した。その後、銅エッチング液で回路エッチング、エッチングレジスト剥離を行い、回路厚さ10μmの引き剥がし強さ測定用サンプルを作製した。
<デスミア液耐性評価用サンプルの作製>
また、本実施例では、デスミア液耐性評価用サンプルを次のようにして作製した。まず、上記において調製した樹脂溶液を、耐熱性フィルムの表面に厚さが100μmとなるように塗工乾燥して樹脂層を形成したものを2枚用意した。そして、樹脂層同士を熱間加工により張り合わせた後、耐熱性フィルムを剥がし、5cm×5cm角にカットし、デスミア液耐性評価用サンプルを作製した。
ポリフェニレンエーテル化合物100質量部に対して、スチレンブタジエンブロック共重合体を20質量部用いたこと以外は実施例1と同様にして接着剤層付銅箔及びデスミア液耐性評価用サンプルを作製した。また、この実施例2の接着剤層付銅箔を用いたこと以外は実施例1と同様に、銅張積層板を製造し、引き剥がし強さ測定用サンプルを作製した。
ポリフェニレンエーテル化合物100質量部に対して、スチレンブタジエンブロック共重合体を40質量部用いたこと以外は実施例1と同様にして、接着剤層付銅箔及びデスミア液耐性評価用サンプルを作製した。また、この接着剤層付銅箔を用いたこと以外は実施例1と同様に、銅張積層板を製造し、引き剥がし強さ測定用サンプルを作製した。
ポリフェニレンエーテル化合物100質量部に対して、スチレンブタジエンブロック共重合体を60質量部用いたこと以外は実施例1と同様にして接着剤層付銅箔及びデスミア液耐性評価用サンプルを作製した。また、この接着剤層付銅箔を用いたこと以外は実施例1と同様に、銅張積層板を製造し、引き剥がし強さ測定用サンプルを作製した。
ビニル系シランカップリング剤として、ビニルトリメトキシシランを用いて表面を処理したフィラー粒子(体積累積粒径D50:0.3μm、シリカ)を30質量%含むことを除いては、実施例3と同様にして、接着剤層付銅箔及びデスミア液耐性評価用サンプルを作製した。また、この接着剤層付銅箔を用いたこと以外は実施例1と同様に、銅張積層板を製造し、引き剥がし強さ測定用サンプルを作製した。
次に、比較例1〜比較例3について説明する。
[比較例1]
ポリフェニレンエーテル化合物100質量部に対して、スチレンブタジエンブロック共重合体を70質量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして、接着剤層付銅箔及びデスミア液耐性評価用サンプルを作製した。また、この比較例1の接着剤層付銅箔を用いたこと以外は実施例1と同様に、銅張積層板を製造し、引き剥がし強さ測定用サンプルを作製した。
[比較例2]
比較例2では、特許文献2の比較試料3に記載の樹脂溶液を調製し、この樹脂溶液を用いて塗布膜を形成し、その後の乾燥温度を150℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、接着剤層付銅箔及びデスミア液耐性評価用サンプルを作製した。また、この比較例2の接着剤層付銅箔を用いたこと以外は実施例1と同様に、銅張積層板を製造し、引き剥がし強さ測定用サンプルを作製した。以下、比較例2の樹脂溶液の調製方法を述べる。
比較例2では、PA系樹脂組成物として、芳香族ポリアミド樹脂ポリマー(日本化薬株式会社製;BPAM−155)70質量部と、エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製;EPPN−502)30質量部とを用いた。そして、このPA系樹脂組成物100質量部に対して、硬化促進剤としてイミダゾール系の2P4MHZ(四国化成株式会社製)1質量部とを混合し、樹脂組成物とした。この樹脂組成物を、ジメチルアセトアミドに溶解して、樹脂固形分濃度が15質量%となるように樹脂溶液を調製した。
[比較例3]
比較例3では、特許文献1の実施例3に記載の第2樹脂組成物Cを用いたプライマー樹脂溶液を調製し、このプライマー樹脂溶液を用いて塗布膜を形成し、その後の乾燥温度を150℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、接着剤層付銅箔及びデスミア液耐性評価用サンプルを作製した。また、この比較例4の接着剤層付銅箔を用いたこと以外は実施例1と同様に、銅張積層板を製造し、引き剥がし強さ測定用サンプルを作製した。以下、比較例3の樹脂溶液の調製方法を述べる。
比較例3では、PES系樹脂組成物として、ポリエーテルサルホン樹脂(住友化学株式会社製;スミカエクセルPES−5003P)70質量部、エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製EPPN−502)30質量部とを用いた。そして、このPES系樹脂組成物100質量部に対して、硬化促進剤としてイミダゾール系の2P4MHZ(四国化成株式会社製)1質量部とを混合し、樹脂組成物とした。この樹脂組成物を、ジメチルアセトアミドに溶解して、樹脂固形分濃度が15質量%となるように樹脂溶液を調製した。
[評価1]
以上のように製造した実施例1〜実施例5及び比較例1〜比較例3の各サンプルを用いて、(1)デスミア液耐性の評価、(2)引き剥がし強さの評価、(3)半田特性の評価を行った。以下、評価方法と評価結果とに分けて説明する。
1.評価方法
(1)デスミア液耐性の評価
デスミア液耐性の評価は、次のようにして行った。実施例1〜実施例4及び比較例1〜比較例3で作製したデスミア液耐性評価用サンプルをそれぞれ3枚用い、各デスミア液耐性評価用サンプルを、75℃の膨潤液(ローム・アンド・ハース電子材料株式会社製)に20分間浸漬した後、80℃の過マンガン酸カリウム溶液(ローム・アンド・ハース電子材料株式会社製)(アルカリ規定度:1.25N)に20分間浸漬した。その後、45℃の中和液(ローム・アンド・ハース電子材料株式会社製)に5分間浸漬し、水洗した。この一連のデスミア処理に供する前後の各デスミア液耐性評価用サンプルの重さを測定し、デスミア処理前後の重量減少率(%)を求め、その平均値を求めた。
(2)引き剥がし強さの評価
引き剥がし強さの評価は次のようにして行った。実施例1〜実施例5及び比較例1〜比較例3で作製した引き剥がし強さ測定用サンプルを用いてPCT前の引き剥がし強さを測定し、これを常態時の引き剥がし強さとした。また、121℃、2atm、100%RHのPressure Cooker槽に24時間保持した後の引き剥がし強さを測定し、これをPCT後の引き剥がし強さとした。引き剥がし強さの測定は、JIS C−6481に準じて行った。
(3)半田特性の評価
半田特性の評価は次のようにして行った。実施例1〜実施例5及び比較例1〜比較例3で製造した接着剤層付銅箔から5cm×5cm角にカットし、銅箔部分が1/2の大きさ(2.5cm×5cm)になるようにエッチング処理を施したものを半田特性評価用サンプルとした。各半田特性評価用サンプルを、121℃、2atm、100%RHのPressure Cooker槽に5時間保持した後、260℃の半田浴に1分間浸漬して、膨れの発生の有無を観察した。そして、膨れが発生しなかった場合はPCT後の半田特性が合格レベルにあると判断し「○」とした。一方、膨れが発生したサンプルは「×」とした。
2.評価結果
(1)デスミア液耐性の評価
表1に、デスミア処理前後における重量減少率(%)の平均値を示す。表1に示すように、ポリフェニレンエーテル化合物とスチレンブタジエンブロック共重合体とからなる接着剤層を備える実施例1〜実施例4及び比較例1は、比較例2に対してデスミア処理後の重量減少率(%)が低く、ポリフェニレンエーテル化合物とスチレンブタジエンブロック共重合体とを用いて接着剤層を構成することにより、デスミア液耐性が向上した接着剤層付銅箔を提供可能であることが確認された。一方、比較例3は、デスミア処理後の重量減少率(%)が1%以下と低いことが確認された。
Figure 0006215711
(2)引き剥がし強さの評価
次に、表2に、実施例1〜実施例5及び比較例1〜比較例3で製造した引き剥がし強さ測定用サンプルを用いて測定した常態時の引き剥がし強さと、PCT後の引き剥がし強さと、PCT後の劣化率とを示す。
表2に示すように、デスミア液耐性の高かった比較例3は、PCT後の劣化率が83%と極めて高く、PCT後の引き剥がし強さも平均で0.10kgf/cmであり、吸湿劣化が著しいことが確認された。一方、比較例2は、常態時における引き剥がし強さは、平均で0.63kgf/cmを示し、PCT後の引き剥がし強さは、平均で0.55kgf/cmであった。比較例2は、PCT後においても市場で要求されるレベルの引き剥がし強さを維持しているが、劣化率は12.7%であった。
一方、接着剤層(12)をポリフェニレンエーテル化合物とスチレンブタジエンブロック共重合体とを用いて構成した実施例1〜実施例5及び比較例1では、劣化率が20%以下と耐吸湿劣化特性が改善されることが確認された。また、ポリフェニレンエーテル化合物100質量部に対して、スチレンブタジエンブロック共重合体を5質量部〜65質量部の範囲で配合することにより、常態時において0.5kgf/cm以上、PCT後において0.45kgf/cm以上の値が得られると考えられる。特に、ポリフェニレンエーテル化合物100質量部に対して、スチレンブタジエンブロック共重合体を35質量部〜45質量部の範囲で配合することにより、PCT後の引き剥がし強さが0.54kgf/cm以上の値が得られると考えられる。このように、ポリフェニレンエーテル化合物100質量部に対して、スチレンブタジエンブロック共重合体を5質量部〜65質量部の範囲内で配合することにより、十分な引き剥がし強さを有すると共に、デスミア液耐性が高く、且つ、耐吸湿劣化特性の高い接着剤層付銅箔が提供可能であることが確認された。なお、比較例1は、上述の通り、耐吸湿劣化特性の改善が見られるものの、実施例1〜実施例5と比較すると、常態時及びPCT後の引き剥がし強さが若干低くなる。
Figure 0006215711
(3)半田特性の評価
表1に示したように、比較例3に比して、ポリフェニレンエーテル化合物とスチレンブタジエンブロック共重合体とからなる接着剤層を備える実施例1〜実施例5及び比較例1は、それぞれ半田特性が良好であることが確認された。
3.その他
実施例3と、実施例5は、接着剤層にフィラー粒子を含有するか否かという点においてのみ異なっている。表2に示したように、常態時及びPCT後の引き剥がし強さはいずれもフィラー粒子を含有する実施例5の方が高い値を示しており、引き剥がし強さの向上を図るためには、フィラー粒子を添加することが有効であることが確認された。
この実施例6では、上述のSAP−1のプロセスにおける銅回路と樹脂基材との密着性を評価するため、以下の簡易プロセスによる評価を行った。以下、そのプロセス毎に説明する。
銅張積層板: 上述の実施例3と同様の樹脂組成を使用し、実施例1と同様にして、接着剤層付銅箔を製造した。なお、ここで使用したキャリア付極薄銅箔は、実施例1で用いた3μm厚さのキャリア付極薄無粗化銅箔(表面粗さ(Rzjis)0.7μm)の銅箔層の表面に、微細銅粒を付着させて粗化処理を施し、粗化処理後の表面粗さ(Rzjis)が1.9μmとしたものを用いた。そして、実施例1と同様にして、銅張積層板を得た。
銅箔層の除去: 上述の銅張積層板の表面に露出した銅箔層を、市販の硫酸−過酸化水素水系銅エッチング液を用いて、完全に溶解除去し、硬化した接着剤層を表面に備える樹脂基材とした。
デスミア処理: 当該硬化した接着剤層を表面に備える樹脂基材を、上述の「(1)デスミア液耐性の評価」で用いたデスミア溶液に浸漬して、同様のデスミア処理を行った。
無電解銅めっき: そして、デスミア処理後の硬化した接着剤層を表面に備える樹脂基材表面にシード層として無電解銅めっき層を形成し、無電解銅めっき層付樹脂基材とした。このとき、市販の無電解銅めっき銅で使用されるプロセス(上村工業株式会社製の無電解銅めっきを使用したプロセス)を採用した。
ベーキング: 無電解銅めっきが終了すると、当該無電解銅めっき層付樹脂基材に、大気雰囲気中で150℃×30分の加熱処理を行った。
回路形成: 当該無電解銅めっき層付樹脂基材の無電解銅めっき層の回路形成を行わない箇所にめっきレジストを形成した。そして、電気銅めっきを行って、めっきレジストの存在しない箇所に銅を析出させ回路を形成した。更に、めっきレジストの剥離を行い、基材表面に回路形状を形成した。
フラッシュエッチング: 最後に、市販の硫酸−過酸化水素水系銅エッチング液を用いて、回路間に露出した無電解銅めっき層付樹脂基材の表面にある無電解銅めっき層を除去して、水洗、乾燥することで、回路幅0.4mm、回路厚さ18μmの銅回路を備え、且つ、半田特性の評価試料を得ることの出来るプリント配線板を得た。そして、このプリント配線板から、上述の引き剥がし強さ測定用サンプル及び半田特性評価用サンプルを得た。
[比較例4]
比較例4では、上述の比較例2の樹脂組成を用いたこと以外は、実施例6と同様にして、SAP法でプリント配線板を製造し、上述の引き剥がし強さ測定用サンプル及び半田特性評価用サンプルを得た。
[評価2]
以上のように製造した実施例6及び比較例4のサンプルを用いて、(1)引き剥がし強さの評価、(2)半田特性の評価を行った。以下、評価方法と評価結果とに分けて説明する。
Figure 0006215711
1.評価方法
この評価2における「引き剥がし強さの評価」、「半田特性の評価」共に、上述の「評価1」と同様の方法を採用している。従って、重複する説明となるため省略する。
2.評価結果
(1)引き剥がし強さの評価
表3には、実施例6及び比較例4で製造した引き剥がし強さ測定用サンプルを用いて測定した「常態時の引き剥がし強さ」と、「PCT後の引き剥がし強さ」と、「PCT後の劣化率」とを示している。この表3に示すように、実施例3と同様のポリフェニレンエーテル化合物とスチレンブタジエンブロック共重合体とを用いて構成した樹脂組成を採用した実施例6では、常態時における引き剥がし強さは、平均で0.52kgf/cmを示し、PCT後の引き剥がし強さは、平均で0.47kgf/cmで、劣化率が9.8%の耐吸湿劣化特性となることが確認された。これに対し、上述のデスミア液耐性の低い比較例2の樹脂組成を採用した比較例4では、常態時における引き剥がし強さは、平均で0.28kgf/cmを示し、PCT後の引き剥がし強さは、平均で0.22kgf/cmで、劣化率が21.4%と耐吸湿劣化特性が低下することが確認された。このように、比較例4の引き剥がし強さが、実施例6に比べて低くなっているのは、比較例4の場合はデスミア処理により樹脂基材の表面が溶解しており、銅箔の粗化処理のレプリカ形状の凹凸形状が減少し、接着面の比表面積が減少しているためと考えられる。
(2)半田特性の評価
表3に示したように、ポリフェニレンエーテル化合物とスチレンブタジエンブロック共重合体とからなる接着剤層を備える実施例6は、比較例4に比べて、半田特性が良好であることが確認された。
本件発明に係る接着剤層付銅箔は、接着剤層として、ポリフェニレンエーテル化合物100質量部に対して、スチレンブタジエンブロック共重合体を10質量部〜65質量部の範囲で含む樹脂組成物からなる層を採用することにより、当該接着剤層付銅箔を樹脂基材に張り合わせたときの密着性を良好なものとすることができる。また、同時に、プリント配線板の製造工程にデスミア処理が含まれる場合であっても、接着剤層がデスミア液に溶解するのを防止することができる。また、常態時において十分な引き剥がし強さを有すると共に、引き剥がし強さの劣化の少ないプリント配線板を製造することができる。従って、プリント配線板の製造材料として好適に用いることができる接着剤層付銅箔を提供することができる。

Claims (7)

  1. 銅箔の片面に接着剤層を備える接着剤層付銅箔であって、
    前記接着剤層は、ポリフェニレンエーテル化合物100質量部に対して、当該ポリフェニレンエーテル化合物に対する重合成分として作用するスチレンブタジエンブロック共重合体を5質量部以上65質量部以下含む樹脂組成物からなる層であり、
    前記ポリフェニレンエーテル化合物は、数平均分子量が500ないし4000であり且つ末端に水酸基、スチレン基又はグリシジル基のうちいずれかを有することを特徴とする接着剤層付銅箔。
  2. 銅箔の表面粗さ(Rzjis)が2μm以下である面に、前記接着剤層が設けられている請求項1に記載の接着剤層付銅箔。
  3. 前記接着剤層の厚みは、0.5μm〜10μmである請求項1又は請求項2に記載の接着剤層付銅箔。
  4. 前記接着剤層は、アミノ官能性シランカップリング剤、アクリル官能性シランカップリング剤、メタクリル官能性シランカップリング剤及びビニル官能性シランカップリング剤から選ばれる1種以上を用いて表面処理されたフィラー粒子を含むものである請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の接着剤層付銅箔。
  5. 請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の接着剤層付銅箔を用いたことを特徴とする銅張積層板。
  6. 請求項に記載の銅張積層板を用いて得られたことを特徴とするプリント配線板。
  7. 請求項に記載の銅張積層板を用い、当該銅張積層板の表面の銅箔層をエッチングにより除去してセミアディティブ法で回路形成して得られたことを特徴とするプリント配線板。
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