JP5118469B2 - フィラー粒子含有樹脂層付銅箔及びそのフィラー粒子含有樹脂層付銅箔を用いた銅張積層板 - Google Patents

フィラー粒子含有樹脂層付銅箔及びそのフィラー粒子含有樹脂層付銅箔を用いた銅張積層板 Download PDF

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本件出願に係る発明は、フィラー粒子を含有した接着剤樹脂層を備えるフィラー粒子含有樹脂層付銅箔及びそのフィラー粒子含有樹脂層付銅箔を用いた銅張積層板に関する。
従来から、多層プリント配線板を製造する場合には、特許文献1に開示されているような、薄い接着樹脂層を備えた銅箔(以下、単に「樹脂層付銅箔」と称する。)が使用されてきた。中でも、接着面粗度の低い銅箔を用いて、その表面に薄い樹脂層を形成することで、プリプレグ等に対する密着性を向上させる技術が開発されてきた。
このような技術の一環として、薄い樹脂層を備える銅箔の樹脂層に、所定のフィラー粒子を含有させて用いることが検討されてきた。以下、この製品を「フィラー粒子含有樹脂層付銅箔」と称することにする。フィラー粒子含有樹脂層付銅箔でフィラー粒子を接着樹脂層に含有させる理由には、種々の理由がある。特許文献2には、厚さ0.1〜10μmの接着補助剤の層を表面の十点平均粗さがRz=2.0μm以下の金属上に有し、前記接着補助剤が(A)エポキシ樹脂,(B)化学粗化可能な高分子成分,(C)エポキシ樹脂硬化剤,及び(D)硬化促進剤を含むことを特徴とする接着補助剤付金属箔が開示されている。この接着補助剤付金属箔は、微細配線形成や電気特性、製造コストの上で有利な配線板を提供するためのものであり、且つ、電気特性の信頼性が高く、高周波特性が良好な配線板を提供するものである。そして、この接着補助剤には信頼性向上のため、5〜35容積%の範囲を含有させ、無機フィラーを含有しても良いことが開示されている。そして、この無機フィラーは、シリカ、溶融シリカ、タルク、アルミナ、水酸化アルミニウム、等が開示され、誘電特性や低熱膨張の点からシリカが好ましいとしている。
近年のプリント配線板には、小型化と高機能化とが同時に求められ、高密度配線で、高周波特性、耐熱特性に優れる特性が求められる。これらの要求を満たそうとすると、粗化処理の施されていない銅箔を使用して、回路形状にエッチング加工する場合、粗化処理部位をエッチング除去するための、オーバーエッチングタイムを可能な限り省略して、ファインピッチ且つ良好なエッチングファクターを備える微細回路が求められている。そして、プリント配線板の品質を維持するためには、銅箔で形成した回路と樹脂層との間の密着性を維持若しくは向上させることが当然に求められる。
WO2006/028207号公報 特開2006−159900号公報
しかしながら、一般的に、フィラー粒子含有樹脂層付銅箔は、耐吸湿劣化特性に優れるが、硬化後のフィラー粒子含有樹脂層と銅箔との界面での密着力が低下する傾向がある。従って、フィラー粒子含有樹脂層を構成する樹脂組成物(接着剤)に対し、フィラー粒子を一定量以上配合すると、銅箔と硬化したフィラー粒子含有樹脂層との密着性が急激に低下するようになる。
例えば、特許文献2に開示の樹脂組成物と、そこに開示されている無機フィラーとの組み合わせをみると、次のような現象が確認できる。即ち、当該特許文献2に記載の実施例7は、実施例6で用いた樹脂に無機フィラーを添加したものであり、この特許文献2の開示内容でも、実施例7と実施例6とで測定された引き剥がし強さをみると、無機フィラーを用いた実施例7の引き剥がし強さが低下している。
以上のことから、フィラー粒子含有樹脂層付銅箔をプリント配線板製造用材料として用いることで、プリント配線板としての良好な耐吸湿特性を得ると同時に、銅箔と硬化したフィラー粒子含有樹脂層との密着性を向上させるための技術が望まれてきた。
そこで、本件発明者等は、鋭意研究の結果、樹脂層付銅箔の樹脂層にフィラー粒子を含有させる際に、以下に述べる一定の樹脂組成にフィラー粒子を混合して用いることで、銅箔と硬化したフィラー粒子含有樹脂層との密着性が向上することを見いだした。しかも、この技術的思想は、無粗化の銅箔に対し、樹脂層の密着性向上を図る上で好適と判明した。以下、本件発明に関して述べる。
フィラー粒子含有樹脂層付銅箔: 本件発明に係るフィラー粒子含有樹脂層付銅箔は、銅箔の片面にフィラー粒子含有樹脂層を備えたプリント配線板用のフィラー粒子含有樹脂層付銅箔において、前記フィラー粒子含有樹脂層は、芳香族ポリアミド樹脂ポリマー、エポキシ樹脂、硬化促進剤を含み、且つ、アミノ系シランカップリング剤であるフェニルアミノシランで処理したフィラー粒子を含む半硬化樹脂層であることを特徴するものである。
本件発明に係るフィラー粒子含有樹脂層付銅箔のフィラー粒子含有樹脂層は、フィラー粒子を2.0vol%〜18.0vol%の範囲で含有する事が好ましい。
そして、当該フィラー粒子含有樹脂層に含ませるフィラー粒子は、溶融シリカ、結晶性シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、マイカ、タルクのいずれか一種又は二種以上を混合して用いることが好ましい。
更に、当該フィラー粒子含有樹脂層に含ませるフィラー粒子は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による体積累積粒径D50の値が0.01μm〜1.0μmの範囲のものを用いる事が好ましい。
本件発明に係るフィラー粒子含有樹脂層付銅箔において、前記フィラー粒子含有樹脂層は、0.5μm〜10μmの厚さである事が好ましい。
本件発明に係る銅張積層板:上記本件発明に係るフィラー粒子含有樹脂層付銅箔を用いることで、高品質の銅張積層板が得られる。そして、本件発明に係るフィラー粒子含有樹脂層付銅箔の銅箔にキャリア箔付電解銅箔を用いると、薄い銅箔層を外層に備える銅張積層板の提供が可能となる。
本件発明に係るフィラー粒子含有樹脂層付銅箔は、フィラー粒子を含まない樹脂層付銅箔と比べて、樹脂層にフィラー粒子を含んでいても、銅箔層と硬化したフィラー粒子含有樹脂層との密着性を向上させ得る。従って、本件発明に係るフィラー粒子含有樹脂層付銅箔を用いて得られる銅張積層板は、基材樹脂と外層銅箔との密着性に優れたものになる。そして、フィラー粒子含有樹脂層のフィラー粒子に種々の素材を使用することで、種々の用途に応じた銅張積層板及びプリント配線板を製造するのに好適なフィラー粒子含有樹脂層付銅箔となる。
以下、本件発明に係るフィラー粒子含有樹脂層付銅箔の形態及びその製造形態、本件発明に係る銅張積層板の形態に関して説明する。
<フィラー粒子含有樹脂層付銅箔の形態>
本件発明に係るフィラー粒子含有樹脂層付銅箔は、銅箔の片面にフィラー粒子含有樹脂層を備えたプリント配線板用のフィラー粒子含有樹脂層付銅箔である。そして、前記フィラー粒子含有樹脂層は、芳香族ポリアミド樹脂ポリマー、エポキシ樹脂、適当量の硬化促進剤を含み、且つ、フィラー粒子を含む半硬化樹脂層である点に特徴を有する。このフィラー粒子含有樹脂層付銅箔の一実施形態を、図1に模式断面図として示す。図1(a)は、銅箔2の表面に粗化処理としての微細金属粒子3があり、その上に半硬化状態のフィラー粒子含有樹脂層4(フィラー粒子F)を備えるフィラー粒子含有樹脂層付銅箔1の模式断面を示している。そして、図1(b)には、図1(a)の微細金属粒子3の無いフィラー粒子含有樹脂層付銅箔1の模式断面を示している。
本件発明に係る前記フィラー粒子含有樹脂層は、言い換えれば、芳香族ポリアミド樹脂ポリマー、エポキシ樹脂、適当量の硬化促進剤を含む樹脂組成物と、その樹脂組成物内に分散して存在するフィラー粒子を含み、フィラー粒子を含有した半硬化樹脂層といえる。芳香族ポリアミド樹脂ポリマー、エポキシ樹脂、適当量の硬化促進剤を含む樹脂組成物を選択したのは、熱間プレス成形により、フィラー粒子含有樹脂層付銅箔をプリプレグに張り合わせるとき、種々のプリプレグとの良好な密着性を得ることができるからである。この樹脂組成物に関しては、後述する製造方法のところで詳述する事にする。ここでは、フィラー粒子に関して説明する。
まず、フィラー粒子含有樹脂層内で、フィラー粒子は分散して存在し、銅箔との接触界面にも存在する。図2(a)に示すように、熱間プレス成形により、フィラー粒子含有樹脂層付銅箔1を、プリプレグ11に張り合わせると、当該フィラー粒子含有樹脂層4は硬化して、プリプレグ11の樹脂と一体化する。即ち、図2(b)に示すように、フィラー粒子含有樹脂層付銅箔1を構成する銅箔2が外層に位置した両面銅張積層板20となる。このとき、銅箔2の密着性を測る場合には、硬化したフィラー粒子含有樹脂層4との密着性を見ることになる。このとき、銅箔の引き剥がし強さを測定すると、フィラー粒子の無い状態では、一旦引き剥がし挙動が開始して、銅箔と硬化樹脂層との界面、硬化樹脂層内のいずれかの内部で連続的に剥離界面が伝播する。しかし、銅箔2と硬化したフィラー粒子含有樹脂層4との間に、フィラー粒子が存在すると、フィラー粒子の存在部位で剥離界面が分断され、フィラー粒子の周囲が新たな剥離起点となり、フィラー粒子の周囲長分だけ剥離距離が長くなるため、剥離強度が向上すると言える。確かに、フィラー粒子と組み合わせて使用する樹脂組成物の種類等にも左右されることであるが、あたかも合金の粒子分散による強化と同様の効果を発揮すると考える。
ここで用いるフィラー粒子は、フィラー粒子含有樹脂層4を構成する樹脂樹脂成分との間での濡れ性が良好で、硬化した後の樹脂層とフィラー粒子との良好な密着性を備えることが重要である。このような良好な特性を得るためフィラー粒子のシランカップリング剤処理に、アミノ系シランカップリング剤であるフェニルアミノシランで処理を用いることが好ましい。他の種類のシランカップリング剤と比べて、硬化した後の樹脂層とフィラー粒子との良好な密着性の確保が容易だからである。アミノ系シランカップリング剤には、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−3−(4−(3−アミノプロポキシ)プトキシ)プロピル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等を用いることが出来るが、特に、フェニルアミノシランを用いてシランカップリング剤処理したフィラー粒子を用いることが好ましい。他のアミノ系シランカップリング剤と比べて、硬化した後の樹脂層とフィラー粒子との良好な密着性を、より良好且つ安定して確保することができるからである。
フィラー粒子含有樹脂層内で、フィラー粒子は2.0vol%〜18.0vol%の範囲で含有することが好ましい。フィラー粒子の含有量が2.0vol%未満の場合には、銅箔表面とフィラー粒子含有樹脂層との密着性が向上しない。一方、フィラー粒子の含有量が18.0vol%以上になると、樹脂と銅箔との接触面積が低下して、接着強さが急激に低下する。
そして、当該フィラー粒子含有樹脂層に含ませるフィラー粒子は、溶融シリカ、結晶性シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、マイカ、タルクのいずれか一種又は二種以上を混合して用いることが好ましい。この中のフィラー粒子を如何に選択するかは、銅張積層板及びプリント配線板に要求される銅箔の密着性を初めとして、高耐熱性、低熱膨張性を考慮して、使用目的に応じた素材又は組み合わせを用いる。
また、本件発明に係るフィラー粒子含有樹脂層付銅箔に用いる銅箔は、表面粗さ(Rzjis)が4.0μm以下の電解銅箔又は圧延銅箔を用いる事が好ましい。本件発明に係るフィラー粒子含有樹脂層付銅箔のフィラー粒子含有樹脂層を構成する、樹脂組成物及びフィラー粒子は、無粗化の電解銅箔又は圧延銅箔に使用しても、良好な密着性を得ることができる、当然に粗化処理の施された銅箔に用いることも可能である。しかし、粗化処理が顕著であると、ファインピッチ回路の形成が困難となるため、表面粗さ(Rzjis)が4.0μm以下の電解銅箔又は圧延銅箔と規定しているのである。
更に、本件発明に係るフィラー粒子含有樹脂層付銅箔の銅箔として、キャリア箔付電解銅箔を用いることも好ましい。電解銅箔層を5μm以下の厚さにすることも容易だからである。このとき、上述したと同様に、表面粗さ(Rzjis)が4.0μm以下の電解銅箔層を備えるものを用いる。キャリア箔付電解銅箔を用いた場合、図3(a)又は図3(b)に示すような、模式断面を持つフィラー粒子含有樹脂層付銅箔となる。キャリア箔付電解銅箔7はキャリア箔8、剥離層9、銅箔層10からなり、必要に応じて粗化処理(図面中では微細金属粒子3)が施される。このときの剥離層9は、キャリア箔8を物理的に引き剥がして除去可能であり、キャリア箔8の除去と同時除去の可能なものであれば、有機系剥離層、無機剥離層のいずれでも構わない。この銅箔層10の表面にフィラー粒子含有樹脂層4を設けたのが、本件発明に係るフィラー粒子含有樹脂層付銅箔1となる。
以上に述べてきたフィラー粒子含有樹脂層の厚さは、0.5μm〜10μm、より好ましくは1μm〜5μmとする事が好ましい。フィラー粒子含有樹脂層の厚さが0.5μm未満の場合には、フィラー粒子が存在しても、銅箔と硬化したフィラー粒子含有樹脂層との密着性が向上しない。これに対して、フィラー粒子含有樹脂層の厚さが10μmを超えるものとしても、銅箔と硬化したフィラー粒子含有樹脂層との密着性が、それ以上に向上しない。そして、フィラー粒子含有樹脂層の厚さが5μm〜10μmの間の、銅箔と硬化したフィラー粒子含有樹脂層との密着性の上昇は顕著でなく、実質的には5μm程度の厚さのフィラー粒子含有樹脂層を形成すれば十分である。
<フィラー粒子含有樹脂層付銅箔の製造形態>
ここで、本件発明に係るフィラー粒子含有樹脂層付銅箔の製造方法に関して簡単に述べておく。本件発明に係るフィラー粒子含有樹脂層付銅箔の製造方法は、アミノ系シランカップリング剤で処理したフィラー粒子が樹脂溶液(樹脂組成物を溶解した溶液)の中にある状態のフィラー粒子含有樹脂溶液を調製し、このフィラー粒子含有樹脂溶液を銅箔の表面に塗布して、半硬化状態のフィラー粒子含有樹脂層を銅箔の片面に形成し、最終的にフィラー粒子含有樹脂層付銅箔が得られる限り、どのような方法を採用しても構わない。
ここで言う製造方法で用いる樹脂組成物は、芳香族ポリアミド樹脂ポリマーを20重量部〜80重量部、エポキシ樹脂を20重量部〜80重量部及び適当量の硬化促進剤を含むものである。以下、この構成成分に関して述べる。
まず、芳香族ポリアミド樹脂ポリマーに関して説明する。ここで言う「芳香族ポリアミド樹脂ポリマー」とは、「両末端に官能基を有するフェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド樹脂(以下、単に「芳香族ポリアミド樹脂」と称する。)」と「両末端に官能基を有するゴム成分(以下、単に「ゴム成分」と称する。)」とを反応させて得られるものである。ここで、芳香族ポリアミド樹脂とは、芳香族ジアミンとジカルボン酸との縮重合により合成されるものである。このときの芳香族ジアミンには、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、m−キシレンジアミン、3,3’−オキシジアニリン等を用いる。そして、ジカルボン酸には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸等を用いる。中でも、芳香族ジアミンを芳香族ジカルボン酸より過剰に仕込んで得られる両末端がアミノ基のフェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド樹脂を用いることが好ましい。
そして、この芳香族ポリアミド樹脂と反応させるゴム成分とは、天然ゴム及び合成ゴムを含む概念として記載しており、後者の合成ゴムにはスチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム等がある。更に、形成する誘電体層の耐熱性を確保する際には、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、シリコンゴム、ウレタンゴム等の耐熱性を備えた合成ゴムを選択使用することも有用である。これらのゴム成分に関しては、芳香族ポリアミド樹脂と反応して共重合体を製造するようになるため、両末端に種々の官能基を備えるものであることが望ましい。特に、CTB(両末端カルボン酸ポリブタジエン)又はCTBN(両末端カルボン酸ブタジエン−アクリロニトリル共重合体)を用いることが有用である。
芳香族ポリアミド樹脂ポリマーを構成することとなる芳香族ポリアミド樹脂とゴム成分とは、芳香族ポリアミド樹脂が30wt%〜85wt%、残部ゴム成分という配合で用いることが好ましい。芳香族ポリアミド樹脂が30wt%未満の場合には、ゴム成分の存在比率が大きくなりすぎ耐熱性に劣るものとなり、一方、80wt%を越えると芳香族ポリアミド樹脂の存在比率が過剰になり、硬化後の硬度が高くなり、脆くなるのである。この芳香族ポリアミド樹脂ポリマーは、銅張積層板に加工した後の銅箔をエッチング加工する際に、エッチング液によるアンダーエッチングが起こらないようにすることを目的に用いたものである。
この芳香族ポリアミド樹脂ポリマーには、まず溶剤に可溶であるという性質が求められる。そして、本件発明に係るフィラー粒子含有樹脂組成物に対する芳香族ポリアミド樹脂ポリマーの配合量は、以下のエポキシ樹脂とのバランスで定まる。ここで用いる樹脂組成物を100重量部としたとき、芳香族ポリアミド樹脂ポリマーは20重量部〜80重量部の配合割合で用いる。この芳香族ポリアミド樹脂は、プリント配線板の製造プロセスを経て硬化した後の、フィラー粒子含有樹脂層の強度を向上させ、銅箔との引き剥がし強さを向上させるように機能する。この芳香族ポリアミド樹脂ポリマーの配合量が20重量部未満の場合には、銅張積層板の製造を行う一般的プレス条件で過剰硬化して脆くなり、銅箔の引き剥がし強さを向上させるような密着性を示さず、銅箔のエッチング後の基板表面にマイクロクラックを生じやすくなる。これに対して、芳香族ポリアミド樹脂ポリマーの配合量が80重量部を超えても、フィラー粒子含有樹脂層と銅箔との密着性が更に向上するものでもなく、資源の無駄遣いとなる。
そして、上記芳香族ポリアミド樹脂ポリマーと併用するエポキシ樹脂は、樹脂組成物を100重量部としたとき、20重量部〜80重量部の配合割合で用いられる。但し、ここで「エポキシ樹脂」と称する場合には、硬化剤を含ませて考える。よって、硬化剤に関して先に述べる。硬化剤としては、ジシアンジアミド、イミダゾール類、芳香族アミン等のアミン類、ビスフェノールA、ブロム化ビスフェノールA等のフェノール類、フェノールノボラック樹脂及びクレゾールノボラック樹脂等のノボラック類、無水フタル酸等の酸無水物等である。エポキシ樹脂に含ませる硬化剤の添加量は、使用するエポキシ樹脂の当量から自ずと導き出されるものである。従って、その配合割合を厳密に明記する必要性はないと考える。この結果、ここでは硬化剤の添加量として、特に限定することを行っていない。
そして、エポキシ樹脂とは、分子内に2個以上のエポキシ基を有し、電気及び電子材料用途に使用できれば問題ない。中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ブロム化エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂の群から選ばれる1種又は2種以上を混合して用いることが好ましい。
上記エポキシ樹脂の配合量は、樹脂組成物を100重量部としたとき、エポキシ樹脂が20重量部未満の場合には、熱硬化性を十分に発揮せず、基材樹脂との密着性及び銅箔との密着性を十分に得ることが出来ない。これに対し、当該エポキシ樹脂の配合量が80重量部を越えると、芳香族ポリアミド樹脂ポリマーの添加量とのバランスがとれず、硬化後の十分な靭性が得られなくなる。
そして、前記樹脂組成物には、硬化促進剤を含ませる。この硬化促進剤としては、3級アミン、イミダゾール系、トリフェニルフォスフィンに代表されるリン化合物、尿素系硬化促進剤等を用いる。本件発明では、この硬化促進剤の配合割合は、特に限定を設けていない。なぜなら、硬化促進剤は、銅張積層板製造工程での生産条件、張り合わせる樹脂組成等を考慮して、製造者が任意に選択的に添加量を定めて良いからである。
以上に述べてきた芳香族ポリアミド樹脂ポリマー、エポキシ樹脂(硬化剤を含む)、適当量の硬化促進剤を混合して樹脂組成物とする場合に関して説明しておく。そして、この樹脂組成物を、有機溶剤を用いて溶解し、樹脂固形分量5wt%〜40wt%の樹脂溶液とする。ここに示した樹脂固形分量の範囲が、当該樹脂溶液を銅箔表面に塗布したときに、最も精度の良い膜厚を得ることのできる範囲である。前記樹脂固形分量が、5wt%未満の場合には、粘度が低すぎて、銅箔表面への塗布直後に流れ、膜厚均一性を確保し難くなる。これに対し、樹脂固形分が40wt%を越えると、粘度が高くなり、銅箔表面への薄膜形成が困難となる。
このときの有機溶剤として、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等を溶媒として用いる。これら有機溶剤を用いる主な理由は、芳香族ポリアミド樹脂ポリマーの溶解が可能で且つ他の樹脂成分の溶解も可能だからである。但し、ここに挙げた溶剤以外でも、本発明で用いる全ての樹脂成分を溶解することが出来るものであれば、その使用が出来ないというものではない。
そして、以上のようにして得られた樹脂溶液に、アミノ系シランカップリング剤で表面処理したフィラー粒子を添加して混合分散させることでフィラー粒子含有樹脂溶液とできる。このときの混合分散には、T.K.フィルミックスのような層流混合方式、流体ミル方式、三本ロール方式等の種々の方法を採用することができる。中でも、混合中にフィラー粒子が凝集している場合、凝集粒子の解粒(解砕)可能な、層流混合方式又は流体ミル方式のいずれかを使用することが好ましい。粒子分散性を向上させるためである。
このときのフィラー粒子含有樹脂溶液は、結果として、フィラー粒子を0.075vol%〜6.0vol%の範囲で含ませることが好ましい。フィラー粒子含有樹脂層銅箔のフィラー粒子含有樹脂層内で、フィラー粒子は2.0vol%〜18.0vol%の範囲で存在させるため、フィラー粒子含有樹脂溶液は、上記範囲のフィラー粒子含有量が必要となる。
また、フィラー粒子としては、上述したと同様の粉砕シリカ、溶融シリカ、結晶性シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、マイカ、タルクのいずれか一種又は二種以上を混合して用いる。そして、これらのフィラー粒子は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による体積累積粒径D50の値が、0.01μm〜1.0μmであることが好ましい。フィラー粒子の体積累積粒径D50の値が0.01μm未満の場合には、微粒過ぎて、樹脂溶液中への分散性が損なわれ好ましくない。これに対し、フィラー粒子の体積累積粒径D50の値が1.0μmを超える場合には、フィラー粒子の存在部位で剥離界面が分断されても、分断領域が広く成りすぎて、銅箔と樹脂との密着領域が狭くなり、そこに剥離力が集中するため、銅箔と硬化したフィラー粒子含有樹脂層との剥離強度が低下する。
この製造方法において、フィラー粒子のアミノ系シランカップリング剤を用いた表面処理の方法に関して、特に限定はない。工程設計に合わせて、最も良好なシランカップリング剤処理の可能な方法を任意に採用すれば良い。
そして、以上のようにして得られたフィラー粒子含有樹脂溶液を、銅箔表面又はキャリア箔付電解銅箔の銅箔面に塗布して半硬化状態にすることで、0.5μm〜10μmのフィラー粒子含有樹脂層を形成し、フィラー粒子含有樹脂層付銅箔とする。このときの塗布方法に関しては限定されない。しかし、0.5μm〜10μmのフィラー粒子含有樹脂層を形成するフィラー粒子含有樹脂膜を精度良く形成することを考えれば、薄膜形成に有利なグラビアコーターを用いることが好ましい。また、銅箔の表面にフィラー粒子含有樹脂被膜を形成した後の乾燥は、樹脂溶液の性質に応じて半硬化状態にできる加熱条件を適宜採用すればよい。
以上に述べてきた製造方法の中で、樹脂組成物を樹脂溶液とするための有機溶剤の中に、アミノ系シランカップリング剤で処理したフィラー粒子を入れて混合攪拌し、ここに前記樹脂組成物を添加して、混合攪拌することでフィラー粒子含有樹脂溶液としても良い。また、フィラー粒子と前記樹脂組成物と、有機溶剤とを混合攪拌することでフィラー粒子含有樹脂溶液としても構わない。
<本件発明に係る銅張積層板>
上記本件発明に係るフィラー粒子含有樹脂層付銅箔を用いることで、高品質の銅張積層板が得られる。本件発明に係るフィラー粒子含有樹脂層付銅箔1を、プリプレグ11の両面に張り合わせると図2(b)に示すような、両面銅張積層板20が得られる。
そして、本件発明に係るフィラー粒子含有樹脂層付銅箔の銅箔にキャリア箔付電解銅箔を用いた場合、例えば、図4(a)に示すように、内層コア材5の両面に、プリプレグ11を介して、キャリア箔付電解銅箔7を用いたフィラー粒子含有樹脂層付銅箔1を重ねる。そして、熱間プレス加工して、図4(b)のように張り合わせる。その後、キャリア箔8を除去して、図5(c)に示す4層の銅張積層板20が得られる。
これらの銅張積層板の外層銅箔は、本件発明に係るフィラー粒子含有樹脂層付銅箔の銅箔が構成しており、この銅箔層と硬化したフィラー粒子含有樹脂層とは良好な密着性を示す。しかも、同時に高耐熱性、低熱膨張性を得ることもできる。
本実施例においては、12μm厚さの無粗化の電解銅箔(表面粗さ:Rz=1.5μm)の表面に、ニッケル21mg/m、亜鉛8mg/m、クロム3mg/mを含んだ防錆処理を施し、シランカップリング層を形成し、その表面にフィラー粒子含有樹脂層を形成し、フィラー粒子含有樹脂層付銅箔とした。そして、これをFR−4プリプレグにプレス加工して張り合わせて引き剥がし強度を測定した。以下、工程毎に述べる。
工程A: 次のようにして、樹脂組成物を調製した。芳香族ポリアミド樹脂ポリマー(日本化薬株式会社製BPAM−155)70重量部、エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製EPPN−502)30重量部を用いて混合ワニスとし、これに硬化促進剤としてイミダゾール系の2P4MHZ(四国化成株式会社製)1重量部を添加して樹脂組成物とした。更に、有機溶媒にジメチルアセトアミドを用いて、樹脂固形分量を15重量%に調製することで樹脂溶液とした。
工程B: この工程では、工程Aで得られた樹脂溶液に、フィラー粒子として、体積累積粒径D50の値が0.1μmのシリカ粒子を添加して混合し、シリカ粒子を2.8vol%〜15.3vol%の範囲で含む5種類のフィラー粒子含有樹脂溶液(以下、単に「第1樹脂溶液」、「第2樹脂溶液」、「第3樹脂溶液」、「第4樹脂溶液」、「第5樹脂溶液」と称する。)を得た。このときの混合分散には、層流混合方式のT.K.フィルミックスを用いた。ここで用いたフィラー粒子は、アミノ系シランカップリング剤としてフェニルアミノシランを用いて処理したものである。
工程C: そして、上記フィラー粒子含有樹脂溶液を、グラビアコーターを用いて、前記銅箔表面に塗布した。そして、5分間の風乾を行い、その後180℃の加熱雰囲気中で1分間の乾燥処理を行い、半硬化状態の2μm厚さのフィラー粒子含有樹脂層を形成し、本件発明に係るフィラー粒子含有樹脂層付銅箔を得た。なお、この実施例で得られたフィラー粒子含有樹脂層付銅箔を示す際に、表1では、「第1樹脂溶液」を用いて得られたフィラー粒子含有樹脂層付銅箔を実施試料1、「第2樹脂溶液」を用いて得られたフィラー粒子含有樹脂層付銅箔を実施試料2、「第3樹脂溶液」を用いて得られたフィラー粒子含有樹脂層付銅箔を実施試料3、「第4樹脂溶液」を用いて得られたフィラー粒子含有樹脂層付銅箔を実施試料4、「第5樹脂溶液」を用いて得られたフィラー粒子含有樹脂層付銅箔を実施試料5と表示する。
性能評価: 上記工程Cで得られたフィラー粒子含有樹脂層付銅箔を、40μm厚さのプリプレグ(三菱瓦斯化学株式会社製GHPL−830HS)の両面に張り合わせて、引き剥がし強さ測定等の試料を製造するための銅張積層板を製造した。そして、引き剥がし強さ測定は、当該銅張積層板の両面の銅箔層を整面し、その両面にドライフィルムを張り合わせて、エッチングレジスト層を形成した。そして、その両面のエッチングレジスト層に、0.2mm幅の引き剥がし強度測定試験用回路を形成するためのレジストパターンを露光現像し、エッチングパターンを形成した。その後、銅エッチング液で回路エッチングを行い、エッチングレジスト剥離を行い引き剥がし強度測定試験用回路を製造した。また、半田耐熱性を評価するための試料は、前記銅張積層板から5cm×5cmの試料を半田耐熱測定用試料として切り出した。この引き剥がし強さの測定値及び半田耐熱特性は、以下に述べる比較例との対比が可能なように、表1に列挙した。
比較例
[比較例1]
この比較例1は、実施例のフィラー粒子のシランカップリング剤処理に用いたフェニルアミノシランに代えて、エポキシシランを用いた点が異なるのみである。従って、工程Bでのシリカ粒子含有量も実施例と同様で、シリカ粒子を2.8vol%〜15.3vol%の範囲で含む5種類(表1に記載)のフィラー粒子含有樹脂溶液(以下、単に「第1樹脂溶液」、「第2樹脂溶液」、「第3樹脂溶液」、「第4樹脂溶液」、「第5樹脂溶液」と称する。)を得た。そして、これらの各樹脂溶液とエポキシシランで表面処理したフィラーとを混合した点が実施例と異なるのみである。その他の工程及び評価方法は、実施例と同様である。従って、ここでの説明は省略する。
なお、この比較例1で得られたフィラー粒子含有樹脂層付銅箔を示す際に、表1では、「第1樹脂溶液」を用いて得られたフィラー粒子含有樹脂層付銅箔を比較試料1a、「第2樹脂溶液」を用いて得られたフィラー粒子含有樹脂層付銅箔を比較試料1b、「第3樹脂溶液」を用いて得られたフィラー粒子含有樹脂層付銅箔を比較試料1c、「第4樹脂溶液」を用いて得られたフィラー粒子含有樹脂層付銅箔を比較試料1d、「第5樹脂溶液」を用いて得られたフィラー粒子含有樹脂層付銅箔を比較試料1eと表示する。
[比較例2]
この比較例2では、本件発明で言う適正な範囲のフィラー粒子含有量の上限を超えたものであり、18.9vol%のものである。従って、この比較例2として、過剰のフィラー粒子を含有したフィラー粒子含有樹脂層付銅箔を用いる。その他の工程及び評価方法は、実施例と同様である。従って、ここでの説明は省略する。なお、この比較例2で得られた樹脂層付銅箔を示す際に、表1では、比較試料2と表示する。また、この引き剥がし強さの測定値及び半田耐熱特性は、実施例及び参考例との対比が可能なように、表1に列挙した。
[比較例3]
この比較例3では、実施例のフィラー粒子を省略したものである。従って、この比較例3で得られるのは、フィラー粒子を含有しない樹脂層付銅箔である。その他の工程及び評価方法は、実施例と同様である。従って、ここでの説明は省略する。なお、この比較例3で得られた樹脂層付銅箔を示す際に、表1では、比較試料3と表示する。また、この引き剥がし強さの測定値及び半田耐熱特性は、実施例との対比が可能なように、表1に列挙した。
<実施例と比較例との対比>
以下、実施例と比較例との対比を行う。以下の表1に測定した引き剥がし強さと半田耐熱性能とを示す。引き剥がし強さは、3回の測定を行い、その平均を算出している。半田耐熱性能は、半田耐熱測定試料を260℃のソルダーバスに浮かべ、ブリスターが発生するまでの時間を測定した。但し、ブリスターが600秒以上発生しない場合は、測定を打ち切った。
Figure 0005118469
表1から分かるように、本件発明に係るフィラー粒子含有樹脂層付銅箔を用いた実施例が、いずれの比較例と比べても、引き剥がし強さの測定値が高くなっている。そして、半田耐熱性試験に関しては、実施例及び比較例と共に同等の性能を示している。
ここで実施例の実施試料1〜実施試料5の引き剥がし強さと、比較例の比較試料1a〜比較試料1eの引き剥がし強さとを比較する。この実施例の場合には、フィラー粒子の表面処理剤としてアミノ系シランカップリング剤を用いている。これに対し、比較例1(比較試料1a〜比較試料1e)の場合には、フィラー粒子の表面処理剤としてエポキシシランカップリング剤を用いている。この結果、比較例で得られるフィラー粒子含有樹脂層付銅箔を用いたプリント配線板の回路の引き剥がし強さは、実施例と比べて低く、フィラー粒子の表面処理剤の種類が異なることで、引き剥がし強さが変化することが分かる。即ち、比較試料1a〜比較試料1eのように、フィラー粒子の表面処理にエポキシシランを用いた場合と比べて、フィラー粒子の表面処理にアミノ系シランカップリング剤(実施例で言うフェニルアミノシラン)を用いた実施例の引き剥がし強さの方が高くなる。
更に、比較例2の比較試料2は、本件発明で言う適正な範囲のフィラー粒子含有量の上限を超えたものであり、18.9vol%のものである。このフィラー粒子含有樹脂層付銅箔を用いて製造したプリント配線板の回路の引き剥がし強さの値も、実施例の引き剥がし強さの値よりも低く、比較例3で示したフィラーを含有しない場合と比べても、それ以下の値となっている。従って、フィラー粒子含有樹脂層付銅箔のフィラー粒子含有樹脂層中のフィラー含有量が18.0vol%を超えた場合には、本件発明で言う密着性が低下するということが理解できる。
また、比較例3の比較試料3は、フィラー粒子を含まない樹脂層付銅箔を用いて製造したプリント配線板の回路の引き剥がし強さを示しているが、実施例のレベルの引き剥がし強さが得られていない。このことから、フィラー粒子の表面処理にアミノ系シランカップリング剤(実施例で言うフェニルアミノシラン)を用いると、フィラー粒子を含有しない樹脂層付銅箔と比べても、樹脂層と銅箔との間の密着性を向上させ得るといえる。
本件発明に係るフィラー粒子含有樹脂層付銅箔は、そのフィラー粒子含有樹脂層の構成に一定の樹脂組成物とアミノ系シランカップリング剤で処理したフィラー粒子とを含むことで、樹脂層にフィラー粒子を含んでいても、銅箔層と硬化したフィラー粒子含有樹脂層との密着性が向上する。このときのフィラー粒子には、種々の素材を使用することができる。従って、銅張積層板及びプリント配線板に要求される基材樹脂と外層銅箔との密着性、高耐熱性、低熱膨張性等を同時に達成することが可能である。即ち、銅張積層板の製造原料として、要求品質に応じたフィラー粒子含有樹脂層付銅箔の提供が可能となる。
また、本件発明に係るフィラー粒子含有樹脂層付銅箔の製造方法は、特殊な装置を使用するものでもなく、従来の装置の使用が可能で新たな設備投資を要しない。しかも、本件発明に係るフィラー粒子含有樹脂層付銅箔の効率的生産が可能であり、高品質、低価格のフィラー粒子含有樹脂層付銅箔の提供ができる。
本件発明に係るフィラー粒子含有樹脂層付銅箔のバリエーションを示す模式断面図である。 本件発明に係るフィラー粒子含有樹脂層付銅箔を、熱間プレス成形により、プリプレグの両面に張り合わせるイメージを示した模式図である。 本件発明に係るフィラー粒子含有樹脂層付銅箔(銅箔にキャリア箔付電解銅箔を用いた場合)のバリエーションを示す模式断面図である。 内層コア材の両面にキャリア箔付電解銅箔を用いたフィラー粒子含有樹脂層付銅箔を張り合わせイメージを示した模式図である。 内層コア材の両面にキャリア箔付電解銅箔を用いたフィラー粒子含有樹脂層付銅箔を張り合わせイメージを示した模式図である。
1 フィラー粒子含有樹脂層付銅箔
2 銅箔
3 微細金属粒子
4 フィラー粒子含有樹脂層
5 内層コア材
6 基材樹脂
7 キャリア箔付電解銅箔
8 キャリア箔
9 剥離層
10 銅箔層
11 プリプレグ
20 銅張積層板
F フィラー粒子

Claims (6)

  1. 銅箔の片面にフィラー粒子含有樹脂層を備えたプリント配線板用のフィラー粒子含有樹脂層付銅箔において、
    前記フィラー粒子含有樹脂層は、芳香族ポリアミド樹脂ポリマー、エポキシ樹脂、硬化促進剤を含み、且つ、アミノ系シランカップリング剤であるフェニルアミノシランで処理したフィラー粒子を含む半硬化樹脂層であることを特徴としたフィラー粒子含有樹脂層付銅箔。
  2. 前記フィラー粒子含有樹脂層は、フィラー粒子を2.0vol%〜18.0vol%の範囲で含有した請求項1に記載のフィラー粒子含有樹脂層付銅箔。
  3. 前記フィラー粒子は、溶融シリカ、結晶性シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、マイカ、タルクのいずれか一種又は二種以上を混合して用いる請求項1又は請求項2に記載のフィラー粒子含有樹脂層付銅箔。
  4. 前記フィラー粒子は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による体積累積粒径D50の値が0.01μm〜1.0μmの範囲のものを用いる請求項1〜請求項3のいずれかに記載のフィラー粒子含有樹脂層付銅箔。
  5. 前記フィラー粒子含有樹脂層は、0.5μm〜10μmの厚さである請求項1〜請求項4のいずれかに記載のフィラー粒子含有樹脂層付銅箔。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれかに記載のフィラー粒子含有樹脂層付銅箔を用いて得られる銅張積層板。
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