JP6215326B2 - 断熱的ニトロ化によるニトロベンゼンの製造方法 - Google Patents

断熱的ニトロ化によるニトロベンゼンの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6215326B2
JP6215326B2 JP2015523530A JP2015523530A JP6215326B2 JP 6215326 B2 JP6215326 B2 JP 6215326B2 JP 2015523530 A JP2015523530 A JP 2015523530A JP 2015523530 A JP2015523530 A JP 2015523530A JP 6215326 B2 JP6215326 B2 JP 6215326B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
benzene
nitrobenzene
period
sulfuric acid
phase
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015523530A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015526422A (ja
Inventor
トーマス、クナーフ
ミヒャエル、メルケル
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Covestro Deutschland AG
Original Assignee
Covestro Deutschland AG
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=48832929&utm_source=***_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP6215326(B2) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by Covestro Deutschland AG filed Critical Covestro Deutschland AG
Publication of JP2015526422A publication Critical patent/JP2015526422A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6215326B2 publication Critical patent/JP6215326B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C201/00Preparation of esters of nitric or nitrous acid or of compounds containing nitro or nitroso groups bound to a carbon skeleton
    • C07C201/06Preparation of nitro compounds
    • C07C201/08Preparation of nitro compounds by substitution of hydrogen atoms by nitro groups
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C201/00Preparation of esters of nitric or nitrous acid or of compounds containing nitro or nitroso groups bound to a carbon skeleton
    • C07C201/06Preparation of nitro compounds
    • C07C201/16Separation; Purification; Stabilisation; Use of additives
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C205/00Compounds containing nitro groups bound to a carbon skeleton
    • C07C205/06Compounds containing nitro groups bound to a carbon skeleton having nitro groups bound to carbon atoms of six-membered aromatic rings

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Description

本発明は、化学量論的に過剰のベンゼンを使用し、硫酸と硝酸との混合物を用いてベンゼンをニトロ化することにより、ニトロベンゼンを連続的に製造する方法であって、製造プラントの始動期間の間に、原料ベンゼン中の脂肪族有機化合物の含有量が、原料ベンゼンの総質量に対して1.5重量%未満に常に維持される方法を提供する。これは、循環使用される未反応ベンゼン(循環使用されるベンゼン)および反応に新たに供給されるベンゼン(新しいベンゼン)を、始動期間の間、二つの流れの純度に応じて、適切な量的比で含んでなる原料ベンゼンを混合するか、または始動期間の間、未反応ベンゼンの循環使用を完全に控えること、即ち原料ベンゼンは反応に新しく供給されたベンゼンのみからなることにより、達成される。
本発明は、硫酸と硝酸との混合物(いわゆる混酸)により、ベンゼンを断熱的にニトロ化することにより、ニトロベンゼンを連続的に製造する方法に関する。この種の方法は、米国特許第2,256,999号に最初に特許権請求され、より近代的な実施態様では、米国特許第4,091,042号、第5,313,009号および第5,763,697号に記載されている。
上記文献に記載されている断熱的方法に共通しているのは、出発物質であるベンゼンおよび硝酸が大過剰の硫酸中で反応し、反応中に放出される反応熱および生成される水を吸収することである。
反応経路には、一般的に硝酸および硫酸を組み合わせ、いわゆる硝化酸(混酸とも呼ばれる)を形成することが含まれる。ベンゼンは、この硝化酸中に計量供給される。反応生成物は、実質的に水とニトロベンゼンである。ニトロ化反応では、ベンゼンは、硝酸のモル量に対して少なくとも化学量論的量で使用されるが、好ましくは2%〜10%の過剰量で使用される。反応装置中で生成されて相分離装置中で酸相から分離される粗製ニトロベンゼンは、先行技術、例えば欧州特許出願公開第1816117A1号(2頁、26〜42行目)、米国特許第4,091,042号(上記参照)または米国特許第5,763,697号(上記参照)に記載されているように、洗浄および蒸留による精製が行われる。この精製の特徴は、洗浄の後、未反応の過剰ベンゼンが、最終蒸留でニトロベンゼンから分離され、低沸点の非芳香族有機化合物(いわゆる低沸点画分)も含有する循環使用ベンゼンとしてニトロ化反応で再使用されることである(独国特許出願公開第102009005324A1号参照)。断熱的ニトロ化反応から排出される排ガスの処理は、欧州特許第0976718B1号に記載されている。循環酸および生成された粗製ニトロベンゼンの排ガスは、吸引され、組み合わされ、NOx吸収装置を通して送られ、希釈された硝酸を回収して反応に戻すことができる。循環酸と呼ばれる硫酸は、フラッシュ蒸発装置中で濃縮され、有機物質が可能な限り取り除かれる。ニトロベンゼン、ジニトロベンゼンおよびニトロフェノール等の高沸点有機物質は、循環酸中に極微量が残存し、従って、やはり反応に戻される。
芳香族炭化水素をニトロ化するための断熱的方法の品質は、一方で、生成物、芳香族炭化水素またはニトロ芳香族化合物の複数のニトロ化または酸化により形成される反応の好ましくない副生物の含有量によって決定される。ニトロベンゼンの製造における目的は、ジニトロベンゼンおよびニトロフェノール、とりわけ爆薬に区分されるトリニトロフェノール(ピクリン酸)の含有量を最少に抑えることである。他方、断熱的方法の品質は、プロセスの工業的製造損失無しに操作できる能力により決定される。
特に高い選択性を有するニトロベンゼンを得るために、使用すべき混酸の性質が詳細に規定されており(欧州特許第0373966B1号、第0436443B1号および第0771783B1号)、最高温度がどの程度高いかによって副生物の含有量が決定されることが指摘されている(欧州特許第0436443B1号、段落15、22〜25行目)。また、高い初期転化率が高選択性にとって有利であり、これは、反応開始時に最適混合が行われることにより達成されることが分かっている(欧州特許第0771783B1号、段落[0014])。
優れた選択性は、初期反応温度を非常に低く選択した場合に達成される(国際公開第2010/051616A1号パンフレット)が、これは反応時間がはるかに長くなることに等しい。高い空時収量が構築すべき反応装置を小型にすることができるので、プロセスの工業的応用にとって有利であるが、これは、容量に対する投資額が低いことからも明らかである。従って、この手法は非生産的である。
引用した参考文献に共通しているのは、ニトロ化プラントの始動方法およびその難点を記載していないことである。
ニトロベンゼンの断熱的製造において原料物質であるベンゼンの品質に関して、市販のベンゼンが、その供給源により多少の汚染があることを、欧州特許出願公開第2246320A1号は記載している。典型的な不純物としては、他の芳香族化合物、とりわけトルエンおよびキシレンであり、これは、標準的な純度のベンゼンで、各0.05重量%未満の量である。ベンゼンの他の典型的な不純物は、非芳香族有機化合物であり、これは合計0.07重量%未満である。ここで、シクロヘキサン(0.03重量%未満)およびメチルシクロヘキサン(0.02重量%未満)が特に挙げられている。記載されている濃度の上記の不純物は、ジフェニルメタン系(MDI)のジ−およびポリイソシアナートの製造に対する、一連のプロセスにおけるその後の工程で、好ましくない影響を全く及ぼさないか、またはほんの僅かに示す。例えば、ベンゼン中に非芳香族有機化合物が含まれる結果、ニトロベンゼンプロセスにおける廃水および排気処理がほんの僅かに困難になる。従って、一連のMDIプロセスで使用するための、経費のかかるベンゼンの精製は、不釣合いと考えられ、省略することができる。欧州特許出願公開第2246320A1号は、反応完了後に粗製生成物から分離され、ニトロ化に戻されるベンゼン(いわゆる「循環使用されるベンゼン」)における非芳香族有機化合物は記載していない。
独国特許出願公開第102009005324A1号は、工業用ベンゼンが、一般的に低沸点非芳香族有機化合物(低沸点画分)を0.01〜0.5重量%を有することを開示している。しかし、ベンゼンニトロ化の一般的な方法では、使用するのは工業用ベンゼン自体ではなく、循環使用されるベンゼンと工業用ベンゼンとの混合物なので、実際に使用されるベンゼン中の低沸点画分の含有量は、市販の工業用ベンゼン中におけるよりも著しく高い。独国特許出願公開第102009005324A1号は、例として5%の値を開示している([0007]項)。この公報の開示によれば、実際のニトロ化における低沸点画分のそのような高い比率は、それでも不利ではないとされている。独国特許出願公開第102009005324A1号は、後に続く相分離に関する問題のみを記載している([0008]項)。これらの問題を解決するために、圧力維持サイホンを使用する特殊な相分離方法を提案している。
欧州特許第2155655B1号は、ベンゼン中の芳香族不純物(アルキル置換された芳香族化合物)のみを記載している。
ブラジル特許出願1129466号は、脂肪族炭化水素の従来の内容を有する、工業用ベンゼン、キシレンおよびトルエンのモノニトロ化方法を記載しているが、そこでは、脂肪族不純物の濃度が高いニトロ芳香族化合物の蒸留において形成された未反応芳香族化合物の前留分が、新しい芳香族化合物と混合され、ニトロ化に供給され、新しく形成された前留分が必要に応じて度々循環される(出発物質としてベンゼンの場合、芳香族前留分がこの文書では、上記の循環使用されるベンゼンに相当する)。従って、当業者は、この文書から、使用すべき芳香族化合物における比較的高い比率の脂肪族不純物は、ニトロ化に対して好ましくない影響が無いという技術的開示を得る。
記載されている先行技術の方法が、低含有量の副生物を有する、即ち約100ppm〜300ppmのジニトロベンゼンおよび1500ppm〜2500ppmのニトロフェノールしか含まず、ピクリン酸が恐らくニトロフェノールの10重量%〜50重量%の比率になる、ニトロベンゼンの製造に成功したのは事実である。この方法は、高い空時収量によっても際立っている。しかしながら、先行技術では、進行中の、即ち反応の開始から目標負荷の達成までの期間(いわゆる「始動期間」)がすでに過ぎている方法のみが記載されているに過ぎず、断熱的ニトロ化方法の始動の際の特別な難点は、全く記載されていない。
米国特許第2,256,999号明細書 米国特許第4,091,042号明細書 米国特許第5,313,009号明細書 米国特許第5,763,697号明細書 欧州特許出願公開第1816117A1号明細書 独国特許出願公開第102009005324A1号明細書 欧州特許第0976718B1号明細書 欧州特許第0373966B1号明細書 欧州特許第0436443B1号明細書 欧州特許第0771783B1号明細書 国際公開第2010/051616A1号パンフレット 欧州特許出願公開第2246320A1号明細書 欧州特許第2155655B1号明細書 ブラジル特許出願1129466号明細書
本発明の出発点は、出発物質における不純物、とりわけベンゼン原料(即ち、先行技術により、工業用純度の新しいベンゼンと循環使用されるベンゼンとの混合物)中の不純物が、始動期間の際に特に好ましくない影響をプロセスに及ぼすことを見出したことである。
新しく供給されたベンゼンおよび/または循環使用されるベンゼン中の不純物は、使用できるベンゼンの全体的な濃度を下げる。その結果、反応は遅くなり、最終的な反応温度に達してなく、従って、反応速度が、慣らし運転しているプラントの状態と比較して、いずれの場合も遅くなっている。ベンゼン濃度の低下は、硝酸の使用量が多すぎることにつながることがある。これにより、好ましくないポリニトロ化された生成物およびNOxガスの量がさらに増加する。後者は、他の副生物の形成を引き起こす。この意味における危険な不純物は、特に脂肪族有機化合物である(上記の低沸点画分参照)。これらの不純物は、反応の際にNOxガスと共にガスを放出し、従って、さらなる欠点、例えば反応物の混合不良および反応体積の低下を引き起こすことがある。
上記に鑑み、本発明は、反応の重要な始動期間に特に注意を払ったニトロベンゼンの製造方法を提供する。特に、少なくとも始動期間の間、実際に使用するベンゼン中の脂肪族有機化合物の含有量を制限することにより、上記の難点が克服されるか、または少なくとも著しく低減することが判明した。この少なくとも始動期間の間、実際に使用するベンゼン中の脂肪族有機化合物の含有量を制限することは、本発明により提供される種々の方法により達成することができる。
本発明は、特に、ベンゼンのニトロ化によりニトロベンゼンを連続的に製造する方法であって、
a)総質量に対して少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%、特に好ましくは少なくとも99重量%のベンゼンを含むベンゼン含有流(a.1)を、反応器中で、硫酸(a.2)および硝酸(a.3)の混合物と断熱条件下で反応させ、この際、前記ベンゼンを硝酸(a.3)に対して、理論値の2.0%〜20%、特に好ましくは5.0%〜10%の化学量論的過剰量で使用し、前記反応器に供給されるベンゼン含有流(a.1)の毎時量M’を、前記ニトロ化の開始から、M’の予め設定した目標値に達するまでの期間t以内で、増加させ、
b)工程a)で得られた生成物を、硫酸を含む水相(b.1)とニトロベンゼンを含む有機相(b.2)とに分離し、
c)工程b)で得られた水相(b.1)を水の蒸発により濃縮し、(b.1)と比較して硫酸濃度が増加した水相(c.1)を形成し、前記相(c.1)を部分的ないし完全に前記工程a)に戻して(a.2)の成分として使用し、
d)工程b)で得られた有機相(b.2)を、好ましくは水性媒体で洗浄し、続いて精留することにより精製して純粋なニトロベンゼン(d.1)を形成し、ベンゼン含有流(d.2)(いわゆる「循環使用されるベンゼン」)を得て、前記(d.2)は、(d.2)の総質量に対して、好ましくは40.0重量%〜99.9重量%、特に好ましくは60.0重量%〜99.9重量%、最も好ましくは80.0重量%〜99.9重量%のベンゼンを含み、前記(d.2)を部分的ないし完全に工程a)に戻して(a.1)の成分として使用し、期間t以内では(d.2)の循環使用を所望により省略する、
ことを含んでなり、
少なくとも期間tの間、脂肪族有機化合物の含有量が、前記(a.1)の総質量に対して1.5重量%未満、好ましくは0.50重量%未満、特に好ましくは0.20重量%未満、最も好ましくは0.10重量%未満である、ベンゼン含有流(a.1)のみが反応器に供給される、方法を提供する。
実施例のニトロベンゼンの製造方法を示した工程図である。
硝酸に対して理論値の2.0%〜20%、好ましくは5.0%〜10%過剰のベンゼンは、ベンゼンおよび硝酸のモル比に関する。理論的には、硝酸1モルは、ベンゼン1モルと反応してニトロベンゼン1モルを形成する。
この技術の当業者には、稼働していない製造プラント(例えば、保守のために停止した後)から出発して、連続的に稼働する工業プロセスは、製造停止前からのプロセスパラメーターに直ちに戻ることができないことが知られている。原料および装置を加熱しなければならず、装置は不活性にする必要がある場合があり、装置の原料装填量を望ましい目標値に徐々に増加させる。ニトロベンゼンの製造プラントがx[kg(ベンゼン)/h]の目標装填M’targetで稼働すべきである場合、この目標装填は、例えば、最初にニトロ化の開始時に装填M’を0.25xの値に調節し、次いで4時間以内に装填を、中間段階M’=0.50xおよびM’=0.75xを経由して、値M’=x=M’targetに増加することにより、達成することができる。あるいは、特定の出発値、例えばM’=0.50xから、M’=xに連続的に装填増加させることができる。無論、これらの例は、数多くの可能な始動手順の例を代表しているのであり、その正確な形態は製造プラントの特定条件によって異なり、従って、一般化することはできない。しかし、考えられる全ての始動手順に共通している特徴は、期間tが経過した後にのみ、望ましい目標装填xが達成されることである。この期間tは、本発明では、始動期間と呼ぶことにする。始動期間の間、反応器に連続的に供給されている硝酸(a.3)のマスフローは、無論、ベンゼン含有流(a.1)のそれぞれのマスフローに調節される、即ち、始動期間の開始時に、望ましい目標装填M’targetの画分のみが反応器に供給され、硝酸も対応する画分のみが反応器に供給される。好ましくは、始動期間tの間、硝酸に対して同じ百分率過剰のベンゼンが、目標装填M’targetに達した後、維持される。硝酸(a.3)と硫酸(a.2)との質量比は、始動期間の間、ベンゼンの目標装填M’targetに達した後の質量比とは異なっていることがあり、特に、より低いことがある。特に、硫酸(a.2)のみを反応器に最初に供給し、硝酸(a.3)とベンゼン含有流(a.1)とは、硫酸循環の安定した操作状態に達した後にのみ供給するのが好ましい。
本発明の意味における脂肪族有機化合物は、好ましくはシクロヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン、ビシクロヘプタン、ジメチルシクロペンタンの異性体、エチルシクロペンタン、ペンタン、シクロペンタンおよび2−メチルヘキサンを包含する。本発明により、ベンゼン含有流(a.1)(いわゆる「原料ベンゼン」)中の脂肪族有機化合物の含有量を監視しなければならない。この目的には、分析測定が必要である。測定は、タンク中にある新しいベンゼン、原料ベンゼンおよび循環使用されるベンゼン(d.2)を採取し、好ましくは試料を適切な地点で採取し、試料をガスクロマトグラフィーにより分析することにより行う。他の測定方法(例えば分光法)、所望によりオンラインまたはインラインも原則的に使用できるが、これらは好ましくない。しかしながら、ガスクロマトグラフィーにより測定した値は、本発明により脂肪族有機化合物の含有量の上限に関する限定値である。ベンゼン流(d.2)の分析は、好ましい実施態様、即ち精留塔のヘッドにおける精留による精製で行う。
本発明の枠内における、数えられるパラメーターに関する用語「一つの」は、これが明確に述べられている場合にのみ、数を表すものとする。例えば、「一つの反応器」は、2個以上の反応器(直列または並列に接続された)の存在を排除するものではない。
本発明にとって、ベンゼン含有流(a.1)(いわゆる「原料ベンゼン」)中にある脂肪族有機化合物の含有量は、少なくとも始動期間tの間における上記の濃度に対応することが不可欠である。この目標は、種々の方法により達成できる。
第一の変形においては、ベンゼン含有流(d.2)の部分的ないし完全な循環は、始動期間の間にも行われる。この場合、ニトロ化プロセス全体にわたる原料ベンゼンは、工業用純度の新しいベンゼン(いわゆる「新しいベンゼン」)と、循環使用されるベンゼン含有流(d.2)(いわゆる「循環使用されるベンゼン」)との混合物である。少なくとも始動期間の間は、工程a)における過剰のベンゼン、および新しいベンゼンと循環使用されるベンゼンとの比は、それぞれの場合に原料ベンゼン(a.1)の総質量に対して、1.5重量%未満、好ましくは0.50重量%未満、特に好ましくは0.20重量%未満、最も好ましくは0.10重量%未満の、原料ベンゼン中の脂肪族有機化合物の必要な最大含有量を超えないように、特に循環使用されるベンゼンの純度の関数として調節すべきである。無論、原則的に、使用可能な新しいベンゼンの純度も考慮に入れるべきである。しかしながら、一般的に新しいベンゼンは、十分に高純度のものを入手できるため、主な焦点は循環使用されるベンゼンに合わせるべきである。
第二の変形においては、ベンゼン含有流(d.2)(いわゆる「循環使用されるベンゼン」)の部分的ないし完全な循環は、始動期間が経過した後にのみ行われる。この場合、始動期間の間の原料ベンゼンは、工業用純度の新しいベンゼン(いわゆる「新しいベンゼン」)からなり、始動期間が経過した後にのみ、新しいベンゼンと使用される循環使用されるベンゼンとの混合物が原料ベンゼンとして使用される。この変形には、循環使用されるベンゼンが、始動期間の間はプロセスに循環使用できないという欠点があるというのは正しいが、工程a)における過剰のベンゼン、および新しいベンゼンと循環使用されるベンゼンの比を、循環使用されるベンゼンの純度の関数として調節することは、特に省略できるため、技術的に実行が簡単である。市販の新しいベンゼンは、一般的に、本発明による必要条件を満たす脂肪族有機化合物の含有量を有しているため、通常は直接使用できる。しかしながら、純度が本発明による必要条件を満たしていない新しいベンゼンしか入手できない場合、これは、工程a)で使用する前に、好ましくは蒸留により、精製しなければならない。
本発明による二つの変形を以下に詳細に説明する。当業者は、相反することを文脈から推論しないかぎり、一つの変形における各種の実施態様を、自由自在に互いに組み合わせることができる。
<変形1>
入手できる新しいベンゼンの純度および循環使用されるベンゼン(d.2)の純度の関数として、これら二つを、得られる混合物流(即ち、原料ベンゼン(a.1))の本発明による必要条件が、脂肪族有機化合物の含有量に対して満たされるような比で混合する。原料ベンゼン(a.1)における脂肪族有機化合物の含有量は、新しいベンゼンおよび循環使用されるベンゼンの脂肪族有機化合物の含有量を、これら二つの流れの量的比を考慮して加えることにより得られる。循環使用されるベンゼン中にある脂肪族有機化合物の含有量が高い程、この、新しいベンゼンと混合して原料ベンゼンを製造できる流の量は小さくなる(実施例参照)。特に、得られた循環使用されるベンゼン(d.2)中の脂肪族有機不純物の比が比較的高く、さらに始動期間の際に、製造プラントが最適条件下でまだ稼働していない場合、流(d.2)全体を循環使用することはできないことがある。しかし、変形1で、流 (d.2)の好ましくは少なくとも25重量%、特に好ましくは少なくとも50重量%は、常に工程a)に戻される。流れ(d.2)の循環使用されない部分は、焼却されるか、蒸留により精製した後プロセスに戻されるか、または好ましくは循環使用されるベンゼン緩衝タンク中で中間貯蔵され、始動期間が経過した後、好ましくは始動期間後に上記の条件(流 (a.1)中の脂肪族化合物の最大許容含有量)にも適合するように、徐々にプロセスに戻される。しかし、原料ベンゼンの純度に関する本発明の必要条件は、始動期間の間に適合することが絶対不可欠である。
<変形2>
この変形では、始動期間の際に新しいベンゼンのみを使用する。これは、本発明による純度の必要条件を一般的に満たしているので、特別な方策は必要としない。予想に反して、使用する新しいベンゼンが不十分な品質を有する場合にのみ、使用する前に、好ましくは蒸留により精製しなければならない。始動期間の間に形成される循環使用されるベンゼン(d.2)は、変形1において、流 (d.2)の循環使用されない比率に関して記載したように処理することができる。
本発明の二つの変形に関して同じである工程は、以下に詳細に説明する。当業者は、相反することを文脈から明らかに推論しない限り、異なった実施態様を自由自在に組み合わせることができる。
工程a)は、ベンゼン過剰および原料物質の純度に関する特定の境界条件が満たされる限り、原則的に、先行技術から公知のどのような断熱的ニトロ化方法によっても行うことができる。本発明による方法におけるこの工程を実施するには、好ましくは環状反応器を使用し、その中に幾つかの分散素子を、反応器の長さに沿って配置し、確実にベンゼン、硝酸および硫酸を十分に分散および混合する。使用できるこの種の反応器および分散素子の形状は、例えば欧州特許第0708076B1号(図2)および欧州特許出願公開第1291078A1号(図1)に記載されている。工程a)は、好ましくは独国特許出願公開第102008048713A1号、特に段落[0024]に記載されている。
工程b)における相分離は、この分野における当業者には公知の、先行技術からそれ自体公知の分離容器における処理でも行われる。水相(b.1)は、(反応の水形成の結果、および使用する硝酸から反応中に水を取り入れることにより)希釈された硫酸を無機不純物と共に実質的に含み、有機相(b.2)は、ニトロベンゼンを過剰のベンゼンおよび有機不純物と共に実質的に含む。
工程c)における水相(b.1)の濃縮は、原則的に、先行技術から公知である。水相中の硫酸は、フラッシュ蒸発装置中で、減圧区域中で水を蒸発させることにより、濃縮される。混酸によるベンゼンの断熱的ニトロ化における反応条件を正しく選択することにより、硫酸を含む水相(b.1)のそのような強い加熱は、発熱反応からの反応熱により達成され、発熱反応は、同時にフラッシュ蒸発装置中で、硫酸を含む水相の濃度および温度を再確立することができ、硫酸を含む水相は、反応器チャンバーに投入されてからベンゼンおよび硝酸との反応が起る。即ち(c.1)は、温度および濃度に関して(a.2)に対応する。これは、欧州特許出願公開第2354117A1号の、特に段落[0045]に記載されている。
工程d)における有機相(b.2)の精製は、原則的に、先行技術から公知の方法により行う。好ましい方法を以下に記載する。
一般的に、極微量の酸を含む有機相(b.2)を水性洗浄液で1回または2回、好ましくは1回洗浄し、次いで相分離により酸性水相から分離する(数回洗浄の場合、個々の洗浄毎の後)。この手順で、粗製ニトロベンゼン(b.2)に含まれる酸残留物は完全に洗浄され、従って、この洗浄工程は酸洗浄とも呼ばれる。この工程は、先行技術から良く知られており、従って、ここでは手短に概要のみ述べる。この酸洗浄を行うには、操作の際に得られる水性流を好ましくは循環使用する(工程d(i))。
このようにして得られた有機相を、好ましくは水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸水素ナトリウムからなる群から選択された塩基性水溶液で、1〜2回、好ましくは1回、アルカリ洗浄し、次いで、相分離によりアルカリ洗浄水から分離する(数回洗浄の場合、個々の洗浄毎の)。水酸化ナトリウム溶液は、水性塩基溶液として使用するのに特に好ましい。この工程は、先行技術から良く知られており、従って、ここでは手短に概要のみ述べる。使用する水酸化ナトリウム溶液のpH値およびその有機相に対する質量比は、酸性不純物(例えば、副生物として形成されるニトロフェノールおよび工程b)で完全には除去されなかった酸残留物)が、ほとんどないし完全に、好ましくは完全に工程c)で中和されるように調節する。アルカリ性廃水のその後の精製は、先行技術の工程、例えば欧州特許出願公開第1593654A1号および欧州特許出願公開第1132347A2号により、行うことができる(工程d(ii))。
このようにして得られた有機相は、最後に水で少なくとも1回、好ましくは2〜4回、特に好ましくは2〜3回、最も好ましくは2回水で中性に洗浄し、次いで相分離により水相から分離する(数回洗浄の場合、個々の洗浄毎の後)。これは、原則的に、先行技術で従来から行われている方法により行うことができる。洗浄水としては、好ましくは脱イオン水(DI水)、特に好ましくはDI水と蒸気凝縮液(即ち、発熱プロセス工程による水の熱交換により得た水蒸気の凝縮液)の混合物、最も好ましくは蒸気凝縮液を使用する。最後の中性洗浄で、電気泳動法を使用する方法が好ましい(国際公開第2012/013678A2号パンフレット)(工程d(iii))。
洗浄したニトロベンゼンは、最後にさらなる精製がされ、溶解した水、未反応ベンゼンおよび全ての有機不純物が除去される。この精製は、好ましくは蒸留により行い、水蒸気およびベンゼンおよび全ての有機不純物を塔頂から排除する。この蒸気は、冷却され、分離容器に送られる。水は最下相に沈み分離される。ベンゼンおよび低沸点画分は、最上相にあり、循環使用されるベンゼン(d.2)として反応に戻される。好ましくは、蒸留装置として精留塔を使用する。所望により、ニトロベンゼンが留出物として(即ち、ヘッドまたは側流生成物として)得られるさらなる蒸留の後、蒸留の底部生成物は、純粋なニトロベンゼン(d.1)としてさらなる用途(例えばアニリンを形成するための水素化)に供される(工程d(iv))。
本発明の方法により、下記の利点が、断熱的ニトロ化の始動手順に関して得られる。
i)望ましい転化に、より急速に到達するので、反応混合物がより急速に加熱される。その結果、より少ない蒸気で作業することが可能であり、蒸気の、反応を支持する使用をより早期に省略することができる。
ii)ベンゼン転化が最適であり、不完全反応の結果として存在するさらなるベンゼンではなく、ベンゼンの理論的量を超える過剰量のみが、工程d)の精製における負荷を形成する。
iii)好ましくは理論値の2.0%〜20%、特に好ましくは5.0%〜10%過剰のベンゼンが常に使用されるので、反応における副生物、例えばピクリン酸および酸化窒素(NOx)の形成が最少に抑えられる。
iv)いわゆる「酸洗浄」で、粗製生成物からの酸残留物の除去が改良されるが、これは、脂肪族有機化合物のガス放出が少なくなる結果として、相分離が、洗浄の後より効率的に進行するためである。さらに、2相に分離するのが困難な安定したエマルションが発生する危険性を低減することができる。
v)ベンゼンのニトロ化の始動中に脂肪族有機不純物が存在しないことは、反応における水の負荷がより低く、従って反応が目標負荷により急速に増加することができるという利点がある。
従って、本発明の方法は、脂肪族有機化合物の含有量が、それぞれの場合に原料ベンゼン(a.1)の総質量に対して、1.5重量%未満、好ましくは0.50重量%未満、特に好ましくは0.20重量%、最も好ましくは0.10重量%未満である、原料ベンゼン(a.1)を使用することにより、ベンゼンの断熱的ニトロ化における、技術的に問題の無い始動およびその後に続く粗製ニトロベンゼンの精製が可能であり、停止期間が無く、高品質の最終生成物が直ちに得られる。
ppmまたは%における含有量データは、それぞれの物質(流)の総質量に対する質量比率である。分析値は、他に指示が無い限り、ガスクロマトグラフィーにより決定した。
慣らし運転している(即ち、始動期間tが経過した後)製造プラントにおけるニトロベンゼンの製造に関する一般的な条件
(図1参照)
反応器(1)に、硫酸(11)、硝酸(12)、新しいベンゼン(13)および循環使用されるベンゼン流(21)を供給する。硝酸に対して5〜10%過剰のベンゼンを使用する。循環使用するベンゼンの量は、この過剰分および原料ベンゼンの品質によって異なる。硝酸をベンゼンで完全に転化し、ニトロベンゼンを断熱反応管理で形成した後、高温、約130℃にある反応生成物(14)を相分離装置(2)に供給し、そこで反応生成物(14)は、有機相((15)=ベンゼンおよび低沸点画分をニトロベンゼンと共に含む粗製ニトロベンゼン)および水相((16)=少量のニトロベンゼンおよびベンゼンを硫酸と共に含む廃酸)に分離される。主として硫酸を含む水相(16)は、蒸発装置(3)中で急激な圧力低下により、水のフラッシュ蒸発が実施されて濃縮される。濃縮された硫酸(17)は、硫酸タンク(4)に保存され、再び使用される。相分離装置で分離された後、粗製ニトロベンゼン(15)は、粗製ニトロベンゼン冷却器(5)中で約50℃に冷却され、洗浄器(6)中に供給される。こうして得られた、ニトロフェノールおよび塩が大部分除去された、精製された粗製ニトロベンゼン(18)流は、再加熱され、蒸留カラム(7)中で、水、ベンゼンおよび他の低沸点画分を除去して塔頂(19)から分離され、その結果、乾燥した純粋なニトロベンゼン(20)が得られ、タンク(8)に貯蔵される。蒸留カラム(7)の濃縮されたヘッド生成物(19)は、相分離装置(9)に供給され、そこでヘッド生成物は、有機相(ベンゼンおよび低沸点画分を含む(21))と水相(22)とに分離される。有機相(21)は、緩衝タンク(10)に一時貯蔵され、そこから、すでに上に記載したように、反応用に、反応器(1)の入口に戻される。
このようにして製造されるニトロベンゼンは、典型的には、純度約99.96%(GC)、残留ベンゼン含有量0.0028%(GC)、1,3−ジニトロベンゼン含有量0.0273%(GC)およびニトロフェノール含有量<5ppm(HPLC)を有する。さらに、ニトロベンゼンは、水含有量が0.0079%(Karl−Fischer)である。
断熱ニトロベンゼンプロセスの始動に関する一般的な条件
(図1参照)
硫酸循環ポンプを始動し、硫酸タンク(4)から硫酸を反応器(1)中に供給し、次いで相分離装置(2)を経由して、そこからフラッシュ蒸発装置(3)に送り、最後に硫酸タンク(4)に戻す。プラントの準備中、ニトロ化反応で使用する硫酸循環ポンプを保守するために、極微量の硝酸を硫酸に常に加え、硫酸循環ポンプを不動態化して、腐食による損傷からポンプを守る。連続操作モードで、間接的に蒸気で、硫酸を温度101℃に加熱する。フラッシュ蒸発装置における圧力を低下させる。ニトロ化を始動するため、ベンゼン流(13(新しいベンゼン)および所望により21(循環使用されるベンゼン)を含む)を硝酸流(12)と同時に反応器入口に供給し、そこでニトロ化が開始され、供給した物質の分散が起こる。プラントの公称容量(M’target)に到達するために、工程は、最初は、ベンゼンおよび硝酸の小さなマスフローで開始する(例1〜4では、プラントは、製造吐出量30t/h(ニトロベンゼン)に相当する、公称容量の50%で始動する)。次いで、これらのマスフローを、始動期間tの間に、公称負荷に増加させる。プラントの出力増加は、手動で行うか、または自動始動で行う。始動期間の間、新しいベンゼン(変形2)だけで、または新しいベンゼンと量を少なくした循環使用されるベンゼンで工程を稼働させる場合、追加量の新しいベンゼンを、ベンゼン過剰分として加える。プラントの出力は、いずれの場合も可能な限り早く、公称負荷に増加し、硝酸の完全転化が確実に達成される。
Figure 0006215326
上記の例により示されるように、原料ベンゼン中の極めて高い脂肪族含有量では、反応は最早始動しない(例1)。しかし、例2に関する限り、原料ベンゼン中の脂肪族含有量を低下させても、硝酸の完全転化を達成し、従って、NOxおよび副生物、例えばピクリン酸、の形成を回避するためには、4時間という非常に長い始動期間および蒸気の消費量がなお必要である。対照的に、本発明の手順により、始動期間および蒸気の必要量が著しく低減される。

Claims (6)

  1. ベンゼンのニトロ化によりニトロベンゼンを連続的に製造する方法であって、
    a)総質量に対して少なくとも90重量%のベンゼンを含むベンゼン含有流(a.1)を、反応器中で、硫酸(a.2)および硝酸(a.3)の混合物と断熱条件下で反応させ、この際、ベンゼンを硝酸(a.3)に対して化学量論的過剰量で使用し、前記反応器に供給される前記ベンゼン含有流(a.1)の毎時量M’を、前記ニトロ化の開始から、M’の予め設定した目標値に達するまでの期間t以内で、増加させ、
    b)工程a)で得られた生成物を、硫酸を含む水相(b.1)とニトロベンゼンを含む有機相(b.2)とに分離し、
    c)工程b)で得られた水相(b.1)を水の蒸発により濃縮して、(b.1)と比較して硫酸濃度が増加した水相(c.1)を形成し、前記相(c.1)を部分的ないし完全に前記工程a)に戻して(a.2)の成分として使用し、
    d)工程b)で得られた有機相(b.2)を精製して純粋なニトロベンゼン(d.1)を形成し、ベンゼン含有流(d.2)を得て、前記(d.2)を部分的ないし完全に前記工程a)に戻して(a.1)の成分として使用し、所望により、前記(d.2)の循環使用を前記期間t以内に行う、
    ことを含んでなり、
    少なくとも前記期間tの間、脂肪族有機化合物の含有量が、前記(a.1)の総質量に対して1.5重量%未満である、ベンゼン含有流(a.1)のみが反応器に供給される、方法。
  2. ベンゼンのニトロ化によりニトロベンゼンを連続的に製造する方法であって、
    a)総質量に対して少なくとも90重量%のベンゼンを含むベンゼン含有流(a.1)を、反応器中で、硫酸(a.2)および硝酸(a.3)の混合物と断熱条件下で反応させ、この際、ベンゼンを硝酸(a.3)に対して化学量論的過剰量で使用し、前記反応器に供給される前記ベンゼン含有流(a.1)の毎時量M’を、前記ニトロ化の開始から、M’の予め設定した目標値に達するまでの期間t以内で、増加させ、
    b)工程a)で得られた生成物を、硫酸を含む水相(b.1)とニトロベンゼンを含む有機相(b.2)とに分離し、
    c)工程b)で得られた水相(b.1)を水の蒸発により濃縮して、(b.1)と比較して硫酸濃度が増加した水相(c.1)を形成し、前記相(c.1)を部分的ないし完全に前記工程a)に戻して(a.2)の成分として使用し、
    d)工程b)で得られた有機相(b.2)を精製して純粋なニトロベンゼン(d.1)を形成し、ベンゼン含有流(d.2)を得る、
    ことを含んでなり、
    少なくとも前記期間tの間、脂肪族有機化合物の含有量が、前記(a.1)の総質量に対して1.5重量%未満である、ベンゼン含有流(a.1)のみが反応器に供給され、前記期間tが経過した後にのみ、工程d)で得られた前記ベンゼン含有流(d.2)が部分的ないし完全に前記工程a)に戻されて(a.1)の成分として使用される、方法。
  3. 前記脂肪族有機化合物が、シクロヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン、ビシクロヘプタン、ジメチルシクロペンタンの異性体、エチルシクロペンタン、ペンタン、シクロペンタンおよび2−メチルヘキサンからなる群から選択される化合物を含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記流(d.2)の少なくとも25重量%が常に工程a)に戻される、請求項1または3に記載の方法。
  5. ベンゼンが、前記工程a)で理論値の2.0%〜20%過剰量で使用される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記ベンゼン含有流(d.2)が、(d.2)の総質量に対して40.0%〜99.9%のベンゼンを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
JP2015523530A 2012-07-27 2013-07-23 断熱的ニトロ化によるニトロベンゼンの製造方法 Active JP6215326B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP12178161.1 2012-07-27
EP12178161 2012-07-27
PCT/EP2013/065506 WO2014016292A1 (de) 2012-07-27 2013-07-23 Verfahren zur herstellung von nitrobenzol durch adiabate nitrierung

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015526422A JP2015526422A (ja) 2015-09-10
JP6215326B2 true JP6215326B2 (ja) 2017-10-18

Family

ID=48832929

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015523530A Active JP6215326B2 (ja) 2012-07-27 2013-07-23 断熱的ニトロ化によるニトロベンゼンの製造方法

Country Status (7)

Country Link
US (1) US9284256B2 (ja)
EP (1) EP2877442B1 (ja)
JP (1) JP6215326B2 (ja)
KR (1) KR102066763B1 (ja)
CN (1) CN104487414B (ja)
PT (1) PT2877442T (ja)
WO (1) WO2014016292A1 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
HUE060286T2 (hu) * 2014-06-24 2023-02-28 Covestro Intellectual Property Gmbh & Co Kg Eljárás kémiai termékek elõállítására az eljárás megszakítása mellett
DE102017110084B4 (de) 2017-02-03 2019-07-04 Josef Meissner Gmbh & Co. Kg Verfahren und Anlage zur adiabatischen Nitrierung von Aromaten
KR102597388B1 (ko) * 2017-03-07 2023-11-03 코베스트로 도이칠란트 아게 니트로벤젠의 제조 방법
CN113924284A (zh) 2019-04-17 2022-01-11 科思创德国股份有限公司 用于制备硝基苯的方法及装置
WO2020212333A1 (de) 2019-04-17 2020-10-22 Covestro Deutschland Ag Verfahren zur kontinuierlichen herstellung von nitrobenzol

Family Cites Families (25)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US2256999A (en) 1939-03-08 1941-09-23 Du Pont Nitration of organic compounds
DE1129466B (de) * 1960-04-30 1962-05-17 Bayer Ag Verfahren zum Mononitrieren von technischem Benzol, Xylol und Toluol, welche den ueblichen Gehalt an aliphatischen Kohlenwasserstoffen aufweisen
US3928475A (en) * 1974-08-09 1975-12-23 Du Pont Azeotropic nitration of benzene
US4091042A (en) 1977-08-19 1978-05-23 American Cyanamid Company Continuous adiabatic process for the mononitration of benzene
DE3409717C2 (de) * 1984-03-16 1994-03-31 Bayer Ag Verfahren zur Herstellung von Nitrobenzol
US4814545A (en) * 1988-09-19 1989-03-21 Eastman Kodak Company Process for removing impurities from an aromatic stream
US4973770A (en) 1988-12-15 1990-11-27 C-I-L, Inc. Manufacture of organic nitro compounds
US5313009A (en) 1990-01-04 1994-05-17 Nrm International Technologies C.V. Nitration process
EP0436443B1 (en) 1990-01-04 1996-04-17 Nrm International Technologies C.V. Nitration process
DE4437047A1 (de) 1994-10-17 1996-04-18 Bayer Ag Verfahren zur Dinitrierung von aromatischen Verbindungen
DE19539205A1 (de) 1995-10-22 1997-04-24 Meissner Gmbh & Co Kg Josef Verfahren zur Aromatennitrierung
US5963878A (en) 1998-07-30 1999-10-05 Noram Engineering & Constructors Ltd. Nitration process
US6288289B1 (en) 2000-01-27 2001-09-11 Noram Engineering And Constructors Ltd. Integrated effluent treatment process for nitroaromatic manufacture
EP1291078A3 (de) 2001-09-10 2004-01-28 Bayer Ag Rohrreaktor zur adiabatischen Nitrierung
DE102004017628A1 (de) 2004-04-10 2005-11-03 Bayer Materialscience Ag Verfahren zur Aufarbeitung von aromatische Nitroverbindungen enthaltenden Abwässern
DE102006004943A1 (de) 2006-02-03 2007-08-09 Bayer Materialscience Ag Verfahren zur Herstellung von Nitrobenzol
EP2014641A3 (en) 2007-06-06 2009-03-18 Huntsman International Llc Process for preparing mixtures of diphenylmethane diisocyanates and polyphenyl polymethylene polyisocyanates
DE102007059513A1 (de) * 2007-12-11 2009-06-18 Bayer Materialscience Ag Verfahren zur Herstellung von Nitrobenzol durch adiabate Nitrierung
DE102008048713A1 (de) 2008-09-24 2010-03-25 Bayer Materialscience Ag Verfahren zur kontinuierlichen Herstellung von Nitrobenzol
KR101572298B1 (ko) 2008-11-10 2015-11-26 노람 인터내셔널 리미티드 모노니트로벤젠의 제조를 위한 단열 공정
DE102009005324B4 (de) 2009-01-16 2014-04-03 Plinke Gmbh Verfahren zur adiabatischen Nitrierung von Benzol
DE102009019436A1 (de) 2009-04-29 2010-11-04 Bayer Materialscience Ag Verfahren zur Herstellung von aromatischen Aminen
DE102010006984A1 (de) 2010-02-05 2011-08-11 Bayer MaterialScience AG, 51373 Verfahren zur kontinuierlichen Herstellung von Nitrobenzol
WO2012013678A2 (de) 2010-07-30 2012-02-02 Bayer Materialscience Ag Verfahren zur kontinuierlichen herstellung von nitrobenzol
CN102834371B (zh) 2011-02-17 2015-07-15 诺拉姆国际公司 从硝化过程去除非芳香族杂质

Also Published As

Publication number Publication date
PT2877442T (pt) 2017-02-16
CN104487414B (zh) 2016-09-21
KR20150036528A (ko) 2015-04-07
EP2877442A1 (de) 2015-06-03
KR102066763B1 (ko) 2020-01-15
US20150166460A1 (en) 2015-06-18
CN104487414A (zh) 2015-04-01
EP2877442B1 (de) 2016-11-16
JP2015526422A (ja) 2015-09-10
WO2014016292A1 (de) 2014-01-30
US9284256B2 (en) 2016-03-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6215325B2 (ja) 断熱的ニトロ化によるニトロベンゼンの製造方法
JP6215326B2 (ja) 断熱的ニトロ化によるニトロベンゼンの製造方法
US7495136B2 (en) Process for the production of dinitrotoluene
KR102067307B1 (ko) 단열 니트로화에 의한 니트로벤젠의 제조방법
FR2589467A1 (fr) Procedes pour la coproduction d'une monoamine aromatique et d'une diamine aromatique directement a partir de benzene ou d'un derive du benzene, et installation pour leur mise en oeuvre
KR20140139556A (ko) 모노니트로톨루엔의 단열 제조 공정
JP5497052B2 (ja) モノニトロベンゼンを製造するための断熱的方法
JP6458006B2 (ja) 断熱ニトロ化によるニトロベンゼン調製のためのプロセス
KR102243717B1 (ko) 니트로벤젠 제조로부터의 폐수의 후처리 방법
CZ302678B6 (cs) Zpusob kontinuální isotermní výroby mononitrotoluenu
JP7093361B2 (ja) ニトロベンゼンの製造方法
RU2293722C2 (ru) Способ непрерывного изотермического получения мононитротолуолов в присутствии фосфорной кислоты
SZE Nitrobenzene and nitrotoluene
JP2010013398A (ja) モノニトロ化法とその製造反応装置
CN117945357A (zh) 处理来自芳烃的硝化的混合酸和废水的方法和实施该方法的装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160722

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20161118

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170427

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170509

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170601

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170825

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170920

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6215326

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250