JP6213449B2 - 車両の駆動装置 - Google Patents

車両の駆動装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6213449B2
JP6213449B2 JP2014241886A JP2014241886A JP6213449B2 JP 6213449 B2 JP6213449 B2 JP 6213449B2 JP 2014241886 A JP2014241886 A JP 2014241886A JP 2014241886 A JP2014241886 A JP 2014241886A JP 6213449 B2 JP6213449 B2 JP 6213449B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
motor
cam
drive
shaft
clutch
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2014241886A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016101877A (ja
Inventor
芥川 等
等 芥川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mazda Motor Corp filed Critical Mazda Motor Corp
Priority to JP2014241886A priority Critical patent/JP6213449B2/ja
Publication of JP2016101877A publication Critical patent/JP2016101877A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6213449B2 publication Critical patent/JP6213449B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16DCOUPLINGS FOR TRANSMITTING ROTATION; CLUTCHES; BRAKES
    • F16D43/00Automatic clutches
    • F16D43/02Automatic clutches actuated entirely mechanically
    • F16D43/20Automatic clutches actuated entirely mechanically controlled by torque, e.g. overload-release clutches, slip-clutches with means by which torque varies the clutching pressure
    • F16D43/21Automatic clutches actuated entirely mechanically controlled by torque, e.g. overload-release clutches, slip-clutches with means by which torque varies the clutching pressure with friction members
    • F16D43/213Automatic clutches actuated entirely mechanically controlled by torque, e.g. overload-release clutches, slip-clutches with means by which torque varies the clutching pressure with friction members with axially applied torque-limiting friction surfaces
    • F16D43/215Automatic clutches actuated entirely mechanically controlled by torque, e.g. overload-release clutches, slip-clutches with means by which torque varies the clutching pressure with friction members with axially applied torque-limiting friction surfaces with flat friction surfaces, e.g. discs
    • F16D43/216Automatic clutches actuated entirely mechanically controlled by torque, e.g. overload-release clutches, slip-clutches with means by which torque varies the clutching pressure with friction members with axially applied torque-limiting friction surfaces with flat friction surfaces, e.g. discs with multiple lamellae
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16DCOUPLINGS FOR TRANSMITTING ROTATION; CLUTCHES; BRAKES
    • F16D23/00Details of mechanically-actuated clutches not specific for one distinct type
    • F16D23/12Mechanical clutch-actuating mechanisms arranged outside the clutch as such
    • F16D2023/123Clutch actuation by cams, ramps or ball-screw mechanisms
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/60Other road transportation technologies with climate change mitigation effect
    • Y02T10/62Hybrid vehicles

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Arrangement Of Transmissions (AREA)
  • Arrangement And Driving Of Transmission Devices (AREA)
  • Hybrid Electric Vehicles (AREA)
  • One-Way And Automatic Clutches, And Combinations Of Different Clutches (AREA)
  • Electric Propulsion And Braking For Vehicles (AREA)

Description

本発明は、クラッチ手段を介して駆動輪に連結されたモータを有する車両の駆動装置に関し、車両の動力伝達技術の分野に属する。
近年、駆動源としてエンジンとモータとを備えたハイブリッド車の実用化等に伴い、車両の駆動装置として種々のものが提案され或いは実用化されている。
例えば、特許文献1に開示された車両は、一般的なフロントエンジン・フロントドライブ方式(FF式)で採用される、エンジン、変速機及び前輪差動装置からなる前輪用駆動装置に加えて、モータ、減速機及び後輪差動装置を有する後輪用の駆動装置を備えている。この後輪用の駆動装置は、モータの駆動が停止された状態でエンジンによる前輪駆動走行が行われているときに後輪によるモータの連れ回りを防止するためのクラッチ機構を備えている。
特許文献1の後輪用の駆動装置において、クラッチ機構は、減速機と後輪差動装置との間に設けられた多板クラッチと、該多板クラッチを締結するための電磁式クラッチ機構とを備えている。エンジンによる前輪駆動走行が行われるときは、電磁式クラッチ機構がオフされることで多板クラッチが解放され、これにより、モータと後輪との間の動力伝達が遮断されることで、後輪によるモータの連れ回りが防止される。一方、電磁式クラッチ機構がオンされると、モータの動力が減速機、多板クラッチ及び後輪差動装置を介して後輪に伝達され、四輪駆動状態が実現される。
特許文献2には、エンジンから変速機を介して出力された動力を前輪に伝達する前輪差動装置、エンジンから変速機を介して出力された動力を後輪側へ取り出すトランスファ装置、トランスファ装置から後方へ延びるプロペラシャフト、プロペラシャフトの後端に電子制御カップリングを介して連結された後輪差動装置、前輪とプロペラシャフトとの間を断接するようにトランスファ装置に設けられた前輪側クラッチ、プロペラシャフトと後輪との間を断接するように後輪側の車軸に設けられた後輪側クラッチ、及び、プロペラシャフト上に設けられたモータを備えた車両の駆動装置が開示されている。
特許文献2の駆動装置において、前輪側及び後輪側のクラッチは、ソレノイドバルブ等のアクチュエータによってオン・オフ制御される電磁クラッチである。電子制御カップリングは、電子制御によって締結力が無段階に調整されるものであり、四輪駆動状態において、電子制御カップリングの締結力が制御されることによって、エンジンから前後輪へ伝達されるトルクの配分が制御される。一般に、この締結力の制御は、電磁式クラッチ機構等の制御によって行われる。
また、特許文献2の駆動装置において、モータのロータはプロペラシャフトに結合されており、前輪側又は後輪側のクラッチを締結するとき、モータの駆動によってプロペラシャフトの回転数が調整されることで、円滑な締結が行われるように構成されている。前輪側及び後輪側のクラッチと電子制御カップリングとが締結状態であるとき、車両は四輪駆動状態となり、これらが解放状態であるとき、車両は前輪駆動状態となる。
特開2003−113874号公報 特開2013−116697号公報
しかしながら、特許文献1に開示された後輪用の駆動装置では、後輪とモータとの間を断接する多板クラッチの締結及び解放を行うために、さらに電磁式クラッチ機構を搭載する必要があるため、部品点数の増加、構造及び制御の複雑化、並びに駆動装置全体の大型化を招くことになる。
また、特許文献2に開示された駆動装置では、前輪駆動状態と四輪駆動状態との間の切り換えを行う電子制御カップリングの締結力を制御するために、電磁式クラッチ機構等のアクチュエータを搭載する必要があるため、同様の問題が生じることになる。
そこで、本発明は、クラッチ手段を介して駆動輪に連結されたモータを有する車両の駆動装置において、クラッチ手段を作動させるための専用のアクチュエータを廃止することで、部品点数の低減、構造及び制御の簡素化、並びに駆動装置のコンパクト化を図ることを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明に係る車両の駆動装置は、次のように構成したことを特徴とする。
まず、本願の請求項1に記載の発明に係る車両の駆動装置は、
入力要素、出力要素及び反力要素を有するプラネタリギヤ機構と、
前記入力要素に連結されたモータと、
前記出力要素と駆動輪との間を断接するクラッチ手段と、
前記反力要素に連結され、前記モータの出力が前記入力要素に入力されたときに前記反力要素に作用するトルクにより軸方向力を発生させて前記クラッチ手段を締結するカム機構と、を備え、前記プラネタリギヤ機構の出力要素と前記クラッチ手段の摩擦板が係合される係合部材とが一体に設けられていることを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明に係る車両の駆動装置は、前記請求項1に記載の発明において、
前記モータとは別に、前記駆動輪に連結された駆動源を備えたことを特徴とする。
さらに、請求項3に記載の発明に係る車両の駆動装置は、前記請求項1に記載の発明において、
前記モータとは別の駆動源と、
前記駆動源の出力を前輪又は後輪の一方に伝達する動力伝達装置と、
前記動力伝達装置から前輪又は後輪の他方に動力を伝達する駆動軸と、を更に備え、
前記クラッチ手段は、前記駆動軸上に設けられていることを特徴とする。
まず、請求項1に記載の発明によれば、モータと駆動輪との間を断接するクラッチ手段は、モータの停止時にはカム機構による軸方向力が発生しないことによって機械的に解放され、モータの回転時にはカム機構により発生される軸方向力によって機械的に締結される。このように、モータから駆動輪への動力伝達を開始又は停止するためにモータがオン又はオフされたときに、クラッチ手段の締結又は解放が機械的に実現されるため、クラッチ手段を作動させるための電磁式クラッチ機構などの専用のアクチュエータを廃止することができる。そのため、部品点数の低減、構造及び制御の簡素化、並びに、駆動装置全体のコンパクト化を図ることができる。
また、請求項2に記載の発明によれば、モータの駆動が停止されることにより、駆動輪とプラネタリギヤ機構の出力要素との間の動力伝達が切断されるため、モータの駆動停止中において、モータとは別の駆動源からの動力によって車両が走行しているとき、駆動輪によるモータの連れ回りが防止され、これにより、モータの過回転が防止される。このような過回転防止を果たすクラッチ手段は、モータのオン又はオフによってカム機構を介して機械的に締結又は解放されるため、該クラッチ手段を作動させる専用のアクチュエータを廃止することができ、上述した効果を得ることができる。
さらに、請求項3に記載の発明によれば、モータの駆動停止中には、前輪と後輪との間の動力伝達が切断されるようにクラッチ手段が機械的に解放されることで、モータとは別の駆動源によって前輪のみ又は後輪のみが駆動される二輪駆動状態となり、モータの駆動中には、前輪と後輪とが駆動連結されるようにクラッチ手段が機械的に締結されることで、四輪駆動状態となる。このような二輪駆動と四輪駆動との間での切り換え機能を果たすクラッチ手段は、モータのオン又はオフによってカム機構を介して機械的に締結又は解放されるため、該クラッチ手段を作動させる専用のアクチュエータを廃止することができ、上述した効果を得ることができる。
本発明の第1実施形態に係る車両の駆動装置を示す全体図である。 図1に示す駆動装置の一部を示す断面図である。 図1に示す駆動装置の要部を示す図2の拡大図である。 図1に示す駆動装置のカム機構を示す断面図である。 本発明の第2実施形態に係る車両の駆動装置を示す全体図である。 図5に示す駆動装置の一部を示す断面図である。 図5に示す駆動装置の要部を示す図6の拡大図である。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1〜図4を参照しながら、第1実施形態に係る車両の駆動装置1について説明する。
図1に示すように、駆動装置1は、FF式のハイブリッド車に搭載されるものであり、車両走行用の駆動源として、例えばエンジンルームに搭載されたエンジン2と、例えば右側の駆動輪36に連結されたドライブシャフト30上に配設されたモータ51とを備えている。ただし、モータ51は、左側の駆動輪46に連結されたドライブシャフト40上に配設されてもよい。
エンジン2は横置き式であり、エンジン2の車幅方向の例えば左側にはトランスアクスル3が並設されている。トランスアクスル3は、例えばトルクコンバータ5を介してエンジン2の出力軸に連結された変速機6と、該変速機6の出力を左右のドライブシャフト30,40に伝達する差動装置10とを備えている。
変速機6は例えば有段式の自動変速機であるが、手動変速機または無段変速機であってもよい。変速機6の出力ギヤ7は、差動装置10のデフケース12に固定されたデフリングギヤ14に噛合されており、これにより、エンジン2の出力は変速機6を介して差動装置10のデフケース12に伝達される。変速機6の変速機構及び差動装置10は、トランスアクスルケース4に収容されている。
差動装置10及びこれに連結された左右のドライブシャフト30,40は、エンジン2よりも車両後方側に配設されている。差動装置10は、車幅方向の中央よりも左側にオフセットして配置されており、右側のドライブシャフト30は左側のドライブシャフト40よりも長尺とされている。
各ドライブシャフト30,40は、差動装置10に連結されたデフ側シャフト部材31,41と、自在継手34,44を介してデフ側シャフト部材31,41に連結された中間シャフト部材32,42と、一端側において自在継手35,45を介して中間シャフト部材32,42に連結されるとともに他端側において駆動輪36,46に連結された駆動輪側シャフト部材33,43とを備えている。
差動装置10において、デフケース12を貫通するピニオンシャフト15上には、互いに対向する一対のピニオンギヤ16,17が回転可能に設けられ、これらのピニオンギヤ16,17に跨がって左右のサイドギヤ18,19が噛合されている。デフケース12には、左右のシャフト挿通部12a,12bがサイドギヤ18,19に対応して設けられている。各シャフト挿通部12a,12bには、ドライブシャフト30,40のデフ側シャフト部材31,41が挿通され、デフ側シャフト部材31,41の先端は、サイドギヤ18,19にスプライン嵌合されている。これにより、変速機6から差動装置10のデフケース12に伝達された動力は、走行状況に応じた回転差となるように左右のドライブシャフト30,40に伝達される。
右側のデフ側シャフト部材31,41上には、差動装置10側から順に、クラッチ70、減速機60及びモータ51が配設されている。これらモータ51、減速機60及びクラッチ70は、ユニットケース110に収容された状態でユニット化されており、モータユニット50を構成している。該モータユニット50は、エンジン2の後方且つ差動装置10の右側に生じるスペースを利用して配設されている。
図2に示すように、ユニットケース110は、相互に結合された複数のケース部材111,112,113,114で構成されている。ユニットケース110の車幅方向外側の端部を構成するケース部材113は、ブラケット124を介してエンジン2のシリンダブロックに取り付けられている。
また、該ケース部材113は、デフ側シャフト部材31の半周分を覆うような半割れ状に形成された支持部118を備えている。該支持部118には、デフ側シャフト部材31の残りの半周分を覆うような半割れ状に形成されたブラケット120が対向配置されており、ボルト122によって支持部118とブラケット120が結合されている。これにより、デフ側シャフト部材31の駆動輪36側の端部は、支持部118とブラケット120とで形成された筒状部の内周面に軸受108を介して支持されている。
軸受108の差動装置10側に隣接する位置には、デフ側シャフト部材31とケース部材113との間にこれらの相対回転を許容するように介装されたオイルシール106が配設されている。
モータユニット50は、クラッチ70、減速機60及びモータ51とデフ側シャフト部材31とを仕切るように軸方向に延びる筒状の仕切部材100を備えている。デフ側シャフト部材31は仕切部材100を貫通しており、仕切部材100の内周面とデフ側シャフト部材31の外周面との間には隙間が設けられている。仕切部材100の差動装置10側の端部は、Oリング102を介して後述するスリーブ72aの内周面に圧入されている。これにより、仕切部材100は、スリーブ72aと一体回転するようになっている。仕切部材100の駆動輪36側の端部は、仕切部材100とケース部材113との間の相対回転を許容するオイルシール104を介してケース部材113に回転可能に支持されている。
モータ51は、ケース部材112に固定されたステータ52と、ステータ52の内側に回転自在に設けられたロータ53と、ロータ53と一体回転するようにロータ53の内側に固定された出力軸54とを備えている。ステータ52は、磁性体からなるステータコアにコイルが巻回されて構成されている。ロータ53は、筒状の磁性体で構成されており、ステータ52に電力が供給されたときに生じる磁力により回転する。出力軸54は、仕切部材100の外側に隙間を空けて配置されており、ロータ53よりも差動装置10側において軸受55を介してケース部材112に支持され、ロータ53よりも駆動輪36側において軸受56を介してケース部材113に支持されている。
減速機60は、軸受55を挟んでモータ51に軸方向に隣接して配置されており、デフ側シャフト部材31上に配設された第1プラネタリギヤ機構60a及び第2プラネタリギヤ機構60bを備えている。第1プラネタリギヤ機構60a、第2プラネタリギヤ機構60bは、モータ51側からこの順で軸方向に並べて配置されている。
第1プラネタリギヤ機構60aは、入力要素としての第1サンギヤ61a、反力要素としての第1リングギヤ62a、及び、出力要素としての第1キャリヤ63aを備えている。同様に、第2プラネタリギヤ機構60bは、入力要素としての第2サンギヤ61b、反力要素としての第2リングギヤ62b、及び、出力要素としての第2キャリヤ63bを備えている。
第1リングギヤ62aと第2リングギヤ62bは、共通のリングギヤ部材62からなる一体部材である。リングギヤ部材62は、ケース部材112の内側に固定されることなく嵌合している。リングギヤ部材62は、後述するカム機構80を介してケース部材111に固定されており、カム機構80が作動することにより、第1、第2リングギヤ62a,62bの回転が規制される。
第1サンギヤ61a及び第2サンギヤ61bは、仕切部材100の外側に隙間を空けて配置されている。第1サンギヤ61aは、モータ51の出力軸54と一体に設けられており、これにより、モータ51の出力が第1サンギヤ61aに入力される。第1リングギヤ62aが固定された状態で第1サンギヤ61aに入力された回転は、減速されて第1キャリヤ63aから出力される。
第2サンギヤ61bは、第1キャリヤ63aと一体に設けられており、これにより、第1プラネタリギヤ機構60aで減速されたモータ51の出力が第2サンギヤ61bに入力される。第2リングギヤ62bが固定された状態で第2サンギヤ61bに入力された回転は、減速されて第2キャリヤ63bから出力される。
このように、モータ51の出力は、第1プラネタリギヤ機構60aによって減速されるとともに、この減速された出力は、第2プラネタリギヤ機構60bによって更に減速されて、クラッチ70を介して差動装置10のデフケース12に伝達される。このような2段階の減速によって、モータ51からデフケース12に伝達されるトルクが十分に増大されるため、モータ51の小型化を図ることができ、これにより、モータユニット50の車載性が向上する。
ところで、減速機60の入力部である第1サンギヤ61aから出力部である第2キャリヤ63bまでの動力伝達を迅速且つ確実に行うためには、モータ51の出力が減速機60に入力されたときに、減速機60のいずれかの回転要素に反力が生じる必要がある。
この点に関して、リングギヤ部材62は、後述するカム機構80の非作動時において、第1キャリヤ63a及び第2キャリヤ63b以外のいずれの部材にも連結されていないため、モータ51の出力が第1サンギヤ61aに入力されたときに、第1リングギヤ62a及び第2リングギヤ62bに反力が生じない。また、クラッチ70の解放状態において、減速機60の出力部である第2キャリヤ63bは、出力側に位置するいずれの部材にも連結されていないため、モータ51の出力が第1サンギヤ61aに入力されたとき、第2キャリヤ63b及びその入力側に位置する第2サンギヤ61b、第1キャリヤ63a及び第1サンギヤ61aにも反力は生じない。
そこで、本実施形態では、第1キャリヤ63aに常時接触する摩擦部材66がケース部材112に取り付けられており、これにより、モータ51の出力が第1サンギヤ61aに入力されたとき、第1キャリヤ63aに反力を生じさせることができる。摩擦部材66は、周方向に間隔を空けて複数設けられている。各摩擦部材66は、第1キャリヤ63aのモータ51側の側面に当接するように配設され、ケース部材112の壁部112a内に設けられた弾性部材67によって差動装置10側へ軸方向に付勢されている。ただし、第1キャリヤ63aの回転抵抗を抑制するために、第1キャリヤ63aに対する摩擦部材66の押圧力は、第1キャリヤ63aに所要の反力を生じさせ得る最低限の力であることが好ましい。
クラッチ70は、後述するカム機構80を挟んで減速機60に軸方向に隣接して配置されている。クラッチ70は、第2プラネタリギヤ機構60bの第2キャリヤ63bの内周端部から差動装置10側へ軸方向に延びるように第2キャリヤ63bと一体に設けられたハブ71と、ハブ71の外側に配置されたドラム72とを備えている。
図3に示すように、ハブ71とドラム72の間には、これらに交互に係合された複数の摩擦板73が軸方向に略直角に配設されている。これらの摩擦板73の減速機60側には、これらの摩擦板73を締結する押圧部材76が配設されている。押圧部材76は、軸方向に略直角に配置されたディスク状の部材である。押圧部材76の外周端部はドラム72にスプライン嵌合されている。ドラム72の内周端部には、差動装置10側へ軸方向に延びるスリーブ72aが設けられている。スリーブ72aの先端は、ユニットケース110の外側へ突出するようにケース部材114の先端よりも差動装置10側へ延びている。
スリーブ72aの先端の外周面は、差動装置10のデフケース12における右側のシャフト挿通部12aの内周面にスプライン嵌合している。これにより、スリーブ72aはデフケース12と一体回転する。また、クラッチ70が締結されることにより減速機60の出力部である第2キャリヤ63bとデフケース12とが接続されると、モータ51の動力は、減速機60を介してデフケース12に伝達されるようになっている。これにより、デフケース12においてエンジン2の動力とモータ51の動力が合流し、この合流した動力がドライブシャフト30,40を介して駆動輪36,46に伝達される。
ユニットケース110内において、クラッチ70の差動装置10側にはギヤ式のオイルポンプ90が配設されている。オイルポンプ90は、スリーブ72a上に配設されており、2つのケース部材111,114によって軸方向の両側から挟み込まれることで、軸方向に位置決めされている。オイルポンプ90は、スリーブ72aの回転によって駆動される。オイルポンプ90から吐出されたオイルは、仕切部材100の外側且つユニットケース110の内側の空間に供給され、これにより、モータ51の冷却、並びに、減速機60及びクラッチ70の潤滑が可能となっている。
図3及び図4を参照しながら、カム機構80の構成について説明する。なお、図4は、カム機構80の一部を径方向から見た断面図であり、より具体的に、図4(a)はカム機構80の非作動状態、図4(b)はカム機構80の作動状態をそれぞれ示す。
カム機構80は、リングギヤ部材62の差動装置10側の端部に一体に設けられたパイロットカム81と、パイロットカム81に対向配置されたメインカム83と、パイロットカム81とメインカム83との間に介在する複数のボール86とを備えたボールカム機構である。
パイロットカム81は、リングギヤ部材62の差動装置10側端部の全周に亘ってリング状に設けられている。パイロットカム81は、第2キャリヤ63bの径方向外側において、第2キャリヤ63bと軸方向にオーバラップして配置されている。パイロットカム81には、差動装置10側に開放したカム溝82が設けられている。カム溝82は、径方向に延びる例えば断面三角形の溝であり、周方向に間隔を空けて複数設けられている。
メインカム83は、軸方向に略直角に配置されたディスク状の部材であり、全周に亘ってパイロットカム81に対向している。軸方向において、メインカム83は、押圧部材76とパイロットカム81との間に配置されている。メインカム83の内径はパイロットカム81の内径よりも小さく、メインカム83の外径はパイロットカム81の外径よりも大きい。メインカム83におけるパイロットカム81のカム溝82との各対向部には、パイロットカム81側に開放したカム溝84が設けられている。カム溝84は、径方向に延びる例えば断面三角形の溝である。
メインカム83の外周端部は、ケース部材111の内周面にスプライン嵌合しており、これにより、メインカム83は、ユニットケース110に対して回転不能且つ軸方向移動可能に固定されている。メインカム83と押圧部材76との間にはスラストベアリング78が介装されており、これにより、メインカム83と押圧部材76との間の相対回転が許容されている。スラストベアリング78は、メインカム83におけるカム溝84よりも径方向内側部分に対向配置されている。
パイロットカム81及びメインカム83のカム溝82,84間の各対向部にはボール86が設けられている。各ボール86は、パイロットカム81のカム溝82とメインカム83のカム溝84とに嵌まり込んだ状態で、パイロットカム81とメインカム83との間に保持されている。
上述のように、メインカム83はユニットケース110に対して回転不能であるのに対して、パイロットカム81と一体のリングギヤ部材62はユニットケース110に対して回転可能である。そのため、図4(b)に示すように、モータ51の出力が減速機60に入力されることで、第1サンギヤ61aのトルクが第1キャリヤ63aを介してリングギヤ部材62に作用したとき、リングギヤ部材62と一体のパイロットカム81に作用する周方向Aの動力は、ボール86を介して軸方向Bの動力に変換されてメインカム83に伝達される。これにより、メインカム83は、パイロットカム81から遠ざかるように軸方向に僅かに移動し、該メインカム83によってクラッチ70の押圧部材76が軸方向の差動装置10側へ押し付けられることで、該押圧部材76の差動装置10側において軸方向に並べられた複数の摩擦板73が締結される。
このようにしてクラッチ70が締結されると、減速機60とデフケース12との間が動力伝達状態となり、モータ51の動力は、デフケース12を介してドライブシャフト30,40に伝達され得る。そのため、エンジン2の動力によって車両が走行しているとき、更にモータ51を駆動することで、ドライブシャフト30,40に伝達されるトルクを増大させることができる。
一方、モータ51が停止しているとき、図4(a)に示すように、リングギヤ部材62及びパイロットカム81にはトルクが発生しないため、メインカム83に軸方向力が発生せず、これにより、クラッチ70は解放状態となる。そのため、モータ51の駆動が停止され、エンジン2の動力のみによって車両が走行しているとき、クラッチ70の解放によりデフケース12と減速機60との間の動力伝達が切断されるため、駆動輪36,46によるモータ51の連れ回りが防止され、これにより、駆動輪36,46側から伝達される回転が減速機60により増速されてモータ51に入力されることによるモータ51の過回転が防止される。
以上のように、クラッチ70は、上記のような簡素な構成のカム機構80を介して減速機60に連結されていることで、モータ51の駆動時には、カム機構80の軸方向力によって機械的に締結され、モータ51の停止時には、カム機構80が作動しないことにより機械的に解放される。そのため、クラッチ70を締結又は解除するために、電磁式クラッチ機構などの専用のアクチュエータを設けたり、該アクチュエータの作動を制御したりする必要がなく、モータ51をオン・オフ制御するだけで、機械的にクラッチ70が締結又は解除される。
また、カム機構80は、減速機60のリングギヤ部材62と一体に設けられたリング状のパイロットカム81、パイロットカム81に対向配置されたディスク状のメインカム83、及び、パイロットカム81とメインカム83との間に介在するボール86からなる簡素でコンパクトな構造を有する。
したがって、従来のハイブリッド車においてモータの連れ回りを防止するためのクラッチの作動のために設けられているような大型で複雑な構造を有するアクチュエータに代えて、簡素でコンパクトなカム機構80が用いられることで、部品点数の低減、構造及び制御の簡素化、並びに、駆動装置1全体のコンパクト化を図ることができる。
[第2実施形態]
図5〜図7を参照しながら、第2実施形態に係る車両の駆動装置201について説明する。
図5に示すように、駆動装置201は、前輪駆動状態と四輪駆動状態との間で切り換え可能なハイブリッド車に搭載されるものであり、車両走行用の駆動源として、例えばエンジンルームに搭載されたエンジン202と、プロペラシャフト220上に配設されたモータ251とを備えている。
エンジン202は横置き式であり、エンジン202の出力軸には、例えばトルクコンバータ205を介して変速機206が連結されている。変速機206は例えば有段式の自動変速機であるが、手動変速機または無段変速機であってもよい。変速機206は、前輪用差動装置210と共に前輪215,216用の動力伝達装置を構成している。具体的に、エンジン202の出力は変速機206を介して前輪用差動装置210に伝達され、前輪用差動装置210に伝達された動力は、走行状況に応じた回転差となるように、前輪215,216に連結された左右のドライブシャフト213,214に伝達される。
一方のドライブシャフト213上には、変速機206を介して前輪用差動装置210に伝達されたエンジン202の出力を後輪235,236側へ取り出すトランスファ装置212が配設されている。トランスファ装置212は、その入力側において前輪用差動装置210に連結され、出力側において自在継手224を介してプロペラシャフト220に連結されている。
プロペラシャフト220は、トランスファ装置212により取り出された動力を後輪235,236側へ伝達するものであり、自在継手224から後方へ延びるフロントシャフト221と、自在継手225を介してフロントシャフト221の後端部に連結されたリヤシャフト222とを備えている。
プロペラシャフト220のリヤシャフト222上にはクラッチ270が設けられており、リヤシャフト222は、クラッチ270から前方に延びる第1リヤシャフト222aと、クラッチ270から後方に延びる第2リヤシャフト222bとに分割されている。第1リヤシャフト222aと第2リヤシャフト222bとの間の動力伝達は、クラッチ270の締結又は解放によって連結又は遮断される。第2リヤシャフト222b上には、前記モータ251と、該モータ251の出力を減速してプロペラシャフト220に伝達する減速機260が配設されている。
クラッチ270、減速機260及びモータ251は、プロペラシャフト220上において車両前方側からこの順で並べて配置されており、ユニットケース310に収容された状態でユニット化されることで後述のモータユニット250を構成している。
プロペラシャフト220の第2リヤシャフト222bの後端部は後輪用差動装置230に連結されている。これにより、クラッチ270の締結時には、トランスファ装置212から取り出されたエンジン2の動力は、プロペラシャフト220を介して後輪用差動装置230に伝達され、後輪用差動装置230に伝達された動力は、走行状況に応じた回転差となるように、後輪235,236に連結された左右のドライブシャフト233,234に伝達される。
以上のように構成された車両の駆動装置201によれば、クラッチ270の締結により四輪駆動状態となり、クラッチ270の解放により前輪駆動状態となる。
図6及び図7を参照しながら、モータユニット250の構成について説明する。
図6に示すように、ユニットケース310は、相互に結合された複数のケース部材311,312,313,314で構成されている。ユニットケース310の車両後方側の端部を構成するケース部材113は、後輪用差動装置230のハウジング231に結合されている。
モータ251は、ケース部材312に固定されたステータ252と、ステータ252の内側に回転自在に設けられたロータ253と、ロータ253と一体回転するようにロータ253の内側に固定された出力軸254とを備えている。ステータ252は、磁性体からなるステータコアにコイルが巻回されて構成されている。ロータ253は、筒状の磁性体で構成されており、ステータ252に電力が供給されたときに生じる磁力により回転する。出力軸254は、ロータ253よりも車両前方側において軸受255を介してケース部材312に支持され、ロータ253よりも車両後方側において軸受256を介してケース部材313に支持されている。
減速機260は、軸受255を挟んでモータ251に軸方向に隣接して配置された例えば1つのプラネタリギヤ機構で構成されている。減速機260は、入力要素としてのサンギヤ261、反力要素としてのリングギヤ262、及び、出力要素としてのキャリヤ263を備えている。
リングギヤ262は、ケース部材312の内側に固定されることなく嵌合している。リングギヤ262は、後述するカム機構280を介してケース部材311に固定されており、カム機構280が作動することによりリングギヤ262の回転が規制される。
サンギヤ261は、モータ251の出力軸254と一体に設けられており、これにより、モータ251の出力がサンギヤ261に入力される。リングギヤ262が固定された状態でサンギヤ261に入力された回転は、減速されてキャリヤ263から出力される。
クラッチ270は、後述するカム機構280を挟んで減速機260に軸方向に隣接して配置されている。クラッチ270は、減速機260のキャリヤ263の内周端部から車両前方側へ軸方向に延びるようにキャリヤ263と一体に設けられたハブ271と、ハブ271の外側に配置されたドラム272とを備えている。
図7に示すように、ハブ271とドラム272の間には、これらに交互に係合された複数の摩擦板273が軸方向に略直角に配設されている。これらの摩擦板273の減速機260側には、これらの摩擦板273を締結する押圧部材276が配設されている。押圧部材276は、軸方向に略直角に配置されたディスク状の部材である。押圧部材276の外周端部はドラム272にスプライン嵌合されている。
ドラム272の内周端部には、車両前方側へ軸方向に延びる筒状部272aが設けられている。筒状部272a上にはギヤ式のオイルポンプ290が配設されている。オイルポンプ290は、ユニットケース310内において、クラッチ270の車両前方側に配設されている。オイルポンプ290は、2つのケース部材311,314によって軸方向の両側から挟み込まれることで、軸方向に位置決めされている。オイルポンプ290は、筒状部272aの回転によって駆動される。オイルポンプ290から吐出されたオイルは、ユニットケース310の内側の空間に供給され、これにより、モータ251の冷却、並びに、減速機260及びクラッチ270の潤滑が可能となっている。
図6に示すように、筒状部272aの前端部には、筒状部272aと略同一の径を有する円柱状のベース部272bの外周部が一体に連ねて設けられている。ベース部272bの中央部には、第1リヤシャフト222aを構成する軸部272cが、車両前方側に向かって軸方向に延びるように一体に連ねて設けられている。
軸部272cは、筒状部272a及びベース部272bよりも小径である。軸部272cの先端は、ユニットケース310の外側へ突出するように車両前方側へ延びている。軸部272cの外周面には、ボルト304によって自在継手225に結合された筒状の連結部材302がスプライン嵌合している。連結部材302は、軸部272cの前端部に螺合したナット306とベース部272bとによって車両前後方向の両側から挟み込まれることで、軸部272cに対して軸方向に位置決めされている。軸部272cは、このようにして結合された連結部材302を介して自在継手225に連結されている。
以上のように構成された軸部272cからなる第1リヤシャフト222aは、クラッチ270のドラム272と一体に回転する。
一方、第2リヤシャフト222bは、軸方向に延びる筒状部材320と、該筒状部材320の後端部に連結された軸部材324とを備えている。
筒状部材320は、モータ251の出力軸254及び減速機260のサンギヤ261の径方向内側に隙間を空けて配置されており、サンギヤ261の前端部よりも前方へ突出し、出力軸254の後端部よりも後方へ突出している。筒状部材320の前端部は、クラッチ270のハブ271の内周面にスプライン嵌合しており、これにより、筒状部材320は、ハブ271及びキャリヤ263と一体回転するようになっている。筒状部材320の後端部は、筒状部材320とケース部材313との間の相対回転を許容するオイルシール322を介してケース部材313に回転可能に支持されている。
軸部材324の前端部は、筒状部材320の内周面にスプライン嵌合しており、これにより、軸部材324と筒状部材320とは一体回転するようになっている。軸部材324の後端側は、後輪用差動装置230の入力部(図示せず)に連結されている。なお、軸部材324は、軸受326を介して後輪用差動装置230のハウジング231に回転可能に支持されており、軸部材324の外周部には、車両前方側から軸受326を支持するナット330が螺合されている。
第2リヤシャフト222bは、クラッチ270のハブ271及び減速機260を介してモータ251の出力軸254に常時連結されている。そのため、モータ251の駆動時において、モータ251の動力は、クラッチ270の締結・解放に関わらず、減速機260、第2リヤシャフト222b及び後輪用差動装置230を介して後輪235,236側へ伝達される。
さらに、クラッチ270の締結時において、モータ251の動力は、減速機260、クラッチ270、第1リヤシャフト222a、フロントシャフト221、トランスファ装置212及び前輪用差動装置210を介して前輪215,216側へ伝達され、四輪駆動状態となる。
なお、モータ251の出力は、減速機260によって減速されるとともに、第2リヤシャフト222bと後輪用差動装置230との間でも減速される。また、四輪駆動状態において、モータ251の出力は、フロントシャフト221とトランスファ装置212との間でも減速される。このような減速が行われることで、モータ251から駆動輪側へ伝達されるトルクは増大されるため、モータ251ないしモータユニット250の小型化を図ることができ、これにより、モータユニット250の車載性が向上する。
また、減速機260のキャリヤ263は、第2リヤシャフト222bを介して後輪235,236に常時連結されているため、モータ251の出力が減速機260に入力されたとき、キャリヤ263には必ず反力が生じる。そのため、第2実施形態では、第1実施形態における摩擦部材66(図3参照)を設けなくても、入力部であるサンギヤ261から出力部であるキャリヤ263までの動力伝達を迅速且つ確実に行うことができる。
図7に示すように、カム機構280は、第1実施形態のカム機構80と同様のボールカム機構であり、リングギヤ262の前端部に一体に設けられたパイロットカム281と、パイロットカム281に対向配置されたメインカム283と、パイロットカム281とメインカム283との間に介在する複数のボール286とを備えている。
パイロットカム281は、リングギヤ262の前端部の全周に亘ってリング状に設けられている。パイロットカム281には、車両前方側に開放したカム溝282が設けられている。カム溝282は、径方向に延びる例えば断面三角形の溝であり、周方向に間隔を空けて複数設けられている。
メインカム283は、軸方向に略直角に配置されたディスク状の部材であり、全周に亘ってパイロットカム281に対向している。軸方向において、メインカム283は、押圧部材276とパイロットカム281との間に配置されている。メインカム283の内径はパイロットカム281の内径よりも小さく、メインカム283の外径はパイロットカム281の外径よりも大きい。メインカム283におけるパイロットカム281のカム溝282との各対向部には、パイロットカム281側に開放したカム溝284が設けられている。カム溝284は、径方向に延びる例えば断面三角形の溝である。
メインカム283の外周端部は、ケース部材311の内周面にスプライン嵌合しており、これにより、メインカム283は、ユニットケース310に対して回転不能且つ軸方向移動可能に固定されている。メインカム283と押圧部材276との間にはスラストベアリング278が介装されており、これにより、メインカム283と押圧部材276との間の相対回転が許容されている。スラストベアリング278は、メインカム283におけるカム溝284よりも径方向内側部分に対向配置されている。
パイロットカム281及びメインカム283のカム溝282,284間の各対向部にはボール286が設けられている。各ボール286は、パイロットカム281のカム溝282とメインカム283のカム溝284とに嵌まり込んだ状態で、パイロットカム281とメインカム283との間に保持されている。
上述のように、メインカム283はユニットケース310に対して回転不能であるのに対して、パイロットカム281と一体のリングギヤ262はユニットケース310に対して回転可能である。そのため、カム機構280は、モータ251の出力が減速機260に入力されることで、サンギヤ261のトルクがキャリヤ263を介してリングギヤ262に作用したとき、図4(b)に示す第1実施形態のカム機構80の動作と同様に作動する。
つまり、このとき、リングギヤ262と一体のパイロットカム281に作用する周方向の動力は、ボール286を介して軸方向の動力に変換されてメインカム283に伝達される。これにより、メインカム283は、パイロットカム281から遠ざかるように軸方向に僅かに移動し、該メインカム283によってクラッチ270の押圧部材276が車両前方側へ押し付けられることで、該押圧部材276の車両前方側において軸方向に並べられた複数の摩擦板273が締結される。
このように、クラッチ270は、モータ251の駆動時にはカム機構280を介して締結され、モータ251の非駆動時にはカム機構280が作動しないことから解放状態となる。よって、モータ251の駆動時には、クラッチ270の締結により、第1リヤシャフト222aと第2リヤシャフト222bとが締結されることで、前輪215,216側と後輪235,236側とが互いに連結されて、四輪駆動状態となる。このとき、前輪215,216及び後輪235,236には、それぞれエンジン202の動力に加えてモータ251の動力が伝達されることになり、モータ251によるトルクアシストが行われる。
ただし、クラッチ270を締結するために必要な最低限の出力でモータ251を駆動した場合には、エンジン202の動力のみによる四輪駆動状態が実現される。
一方、モータ251の非駆動時には、クラッチ270が解放状態であることにより、第1リヤシャフト222aと第2リヤシャフト222bとが分断されて、エンジン202の動力による前輪走行状態となる。
以上の構成によれば、クラッチ270は、上記のような簡素な構成のカム機構280を介して減速機260に連結されていることで、モータ251の駆動時には、カム機構280の軸方向力によって機械的に締結され、モータ251の停止時には、カム機構280が作動しないことにより機械的に解放される。そのため、クラッチ270を締結又は解除するために、電磁式クラッチ機構などの専用のアクチュエータを設けたり、該アクチュエータの作動を制御したりする必要がない。
また、カム機構280は、減速機260のリングギヤ262と一体に設けられたリング状のパイロットカム281、パイロットカム281に対向配置されたディスク状のメインカム283、及び、パイロットカム281とメインカム283との間に介在するボール286からなる簡素でコンパクトな構造を有する。
このように、本実施形態では、従来のハイブリッド車において二輪駆動と四輪駆動との間での切り換え機能を果たすためのクラッチの作動のために設けられているような大型で複雑な構造を有するアクチュエータに代えて、簡素でコンパクトなカム機構280を用いてクラッチ270を作動させるようにしているため、部品点数の低減、構造及び制御の簡素化、並びに、駆動装置201全体のコンパクト化を図ることができる。
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
例えば、上述の第1実施形態では2つのプラネタリギヤ機構で減速機が構成される例、第2実施形態では1つのプラネタリギヤ機構で減速機が構成される例をそれぞれ説明したが、第1実施形態において1つ又は3つ以上のプラネタリギヤ機構で減速機を構成したり、第2実施形態において2つ以上のプラネタリギヤ機構で減速機を構成したりしてもよい。
また、上述の実施形態では、減速機の反力要素がリングギヤである例を説明したが、本発明において、減速機の反力要素はサンギヤ又はキャリヤであってもよい。
さらに、上述の実施形態では、カム機構がボールカム機構である例を説明したが、本発明では、カム機構として、回転方向の動力を軸方向に変換するものであれば、任意の機構を用いることができる。
以上のように、本発明によれば、クラッチ手段を介して駆動輪に連結されたモータを有する車両の駆動装置において、クラッチ手段を作動させるための専用のアクチュエータを廃止することで、部品点数の低減、構造及び制御の簡素化、並びに駆動装置のコンパクト化を図ることが可能となるから、この種の駆動装置及びこれを搭載した車両の製造産業分野において好適に利用される可能性がある。
1 駆動装置
2 エンジン
3 トランスアクスル
4 トランスアクスルケース
5 トルクコンバータ
6 変速機
10 差動装置
12 デフケース
30,40 ドライブシャフト(駆動軸)
31,41 デフ側シャフト部材
32,42 中間シャフト部材
33,43 駆動輪側シャフト部材
50 モータユニット
51 モータ
52 ステータ
53 ロータ
54 出力軸
60 減速機
60a 第1プラネタリギヤ機構
60b 第2プラネタリギヤ機構
61a 第1サンギヤ
61b 第2サンギヤ
62 リングギヤ部材
62a 第1リングギヤ
62b 第2リングギヤ
63a 第1キャリヤ
63b 第2キャリヤ
66 摩擦部材
70 クラッチ
71 ハブ
72 ドラム
73 摩擦板
76 押圧部材
78 スラストベアリング
80 カム機構
81 パイロットカム
83 メインカム
86 ボール
201 駆動装置
202 エンジン
205 トルクコンバータ
206 変速機
210 前輪用差動装置
212 トランスファ装置
220 プロペラシャフト(駆動軸)
221 フロントシャフト
222 リヤシャフト
222a 第1リヤシャフト
222b 第2リヤシャフト
230 後輪用差動装置
250 モータユニット
251 モータ
252 ステータ
253 ロータ
254 出力軸
260 減速機
261 サンギヤ
262 リングギヤ
263 キャリヤ
270 クラッチ
271 ハブ
272 ドラム
273 摩擦板
276 押圧部材
278 スラストベアリング
280 カム機構
281 パイロットカム
283 メインカム
286 ボール

Claims (3)

  1. 入力要素、出力要素及び反力要素を有するプラネタリギヤ機構と、
    前記入力要素に連結されたモータと、
    前記出力要素と駆動輪との間を断接するクラッチ手段と、
    前記反力要素に連結され、前記モータの出力が前記入力要素に入力されたときに前記反力要素に作用するトルクにより軸方向力を発生させて前記クラッチ手段を締結するカム機構と、を備え
    前記プラネタリギヤ機構の出力要素と前記クラッチ手段の摩擦板が係合される係合部材とが一体に設けられていることを特徴とする車両の駆動装置。
  2. 前記モータとは別に、前記駆動輪に連結された駆動源を備えたことを特徴とする請求項1に記載の車両の駆動装置。
  3. 前記モータとは別の駆動源と、
    前記駆動源の出力を前輪又は後輪の一方に伝達する動力伝達装置と、
    前記動力伝達装置から前輪又は後輪の他方に動力を伝達する駆動軸と、を更に備え、
    前記クラッチ手段は、前記駆動軸上に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両の駆動装置。
JP2014241886A 2014-11-28 2014-11-28 車両の駆動装置 Expired - Fee Related JP6213449B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014241886A JP6213449B2 (ja) 2014-11-28 2014-11-28 車両の駆動装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014241886A JP6213449B2 (ja) 2014-11-28 2014-11-28 車両の駆動装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016101877A JP2016101877A (ja) 2016-06-02
JP6213449B2 true JP6213449B2 (ja) 2017-10-18

Family

ID=56088207

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014241886A Expired - Fee Related JP6213449B2 (ja) 2014-11-28 2014-11-28 車両の駆動装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6213449B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114144600A (zh) 2019-07-26 2022-03-04 株式会社电装 离合器装置
DE112021006242T5 (de) 2020-12-03 2023-10-05 Denso Corporation Kupplungsaktuator
DE102021205927A1 (de) 2021-06-11 2022-12-15 Zf Friedrichshafen Ag Getriebe für ein elektrisches Antriebssystem eines Kraftfahrzeugs sowie elektrisches Antriebssystem mit einem solchen Getriebe

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3673863B2 (ja) * 1997-09-30 2005-07-20 富士重工業株式会社 ハイブリッド自動車の駆動装置
JP2003113874A (ja) * 2001-10-05 2003-04-18 Tochigi Fuji Ind Co Ltd 電動モータ用動力伝達装置
JP2005306137A (ja) * 2004-04-20 2005-11-04 Tochigi Fuji Ind Co Ltd ハイブリッド車両
JP2006090533A (ja) * 2004-09-27 2006-04-06 Gkn ドライブライン トルクテクノロジー株式会社 トルク伝達装置
US8567540B2 (en) * 2008-01-25 2013-10-29 Ford Global Technologies, Llc Drive unit for an electric hybrid vehicle
JP5163388B2 (ja) * 2008-09-19 2013-03-13 トヨタ自動車株式会社 ハイブリッド車両の駆動装置
JP2012052620A (ja) * 2010-09-02 2012-03-15 Gkn Driveline Japan Ltd 動力伝達装置
JP5776524B2 (ja) * 2011-12-05 2015-09-09 トヨタ自動車株式会社 四輪駆動車両

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016101877A (ja) 2016-06-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5806119B2 (ja) 遮断システムを有する全輪駆動車
JP3628983B2 (ja) 電磁クラッチを有した動力伝達装置
EP2161155B1 (en) Power take-off unit with active coupling and hypoid disconnect system
JP6200515B2 (ja) 動力伝達装置
CN203611728U (zh) 离合器***和车辆后桥
JP2003194104A (ja) 力増幅機構を有するボールランプクラッチ
JP2004249979A (ja) 共通のキャリアを有する2つの遊星歯車装置を備えたトランスファーケース
JP2005059849A (ja) 永久磁石アクチュエータを有するクラッチ及びシンクロナイザ
JP2002370557A (ja) 4輪駆動システム
JP2006258296A (ja) 前輪駆動トランスアクスル・ユニット用のトルク・カップリング装置
US20060011441A1 (en) Ball ramp actuator having differential drive
JP2013043499A (ja) 四輪駆動車の駆動システム、四輪駆動車、及び四輪駆動車の制御方法
JP6522675B2 (ja) トルクカップリングユニット
US11207979B2 (en) Drive device for vehicle
JP6213449B2 (ja) 車両の駆動装置
US10479199B2 (en) Disconnectable power transfer unit
US9333855B2 (en) Transfer case
JP4076361B2 (ja) 動力切換装置
KR100786533B1 (ko) 4륜 구동용 동력 절환장치
US11365770B2 (en) Self-energizing electromagnetic disconnect actuator
JP4638872B2 (ja) 多板クラッチを備えたコンパクトな駆動装置
JP6156414B2 (ja) 車両の駆動装置
WO2014091621A1 (ja) 断続装置及びこの断続装置を用いた動力伝達装置
US11773919B2 (en) Disconnectable coupling with lubrication control
JP7315687B2 (ja) カップリング装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160323

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170126

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170207

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170328

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170822

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170904

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6213449

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees