図1は、本発明の実施例に係る物体検査装置100の構成例を示す機能ブロック図である。本実施例において、物体検査装置100は、例えば、透明の検査対象の形状又は透光性を有する検査対象の形状を検出すると共に、それら検査対象の表面にある傷を検査する。検査対象は、例えば、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、サファイア(Al2O3)等でできた略円形の片面研磨ウェハである。物体検査装置100は、片面研磨ウェハの輪郭を検出すると共に、その研磨面にある傷を検査する。なお、片面研磨ウェハの形状は、円形以外の他の形状であってもよい。
本実施例において、物体検査装置100は、主に、制御装置1、撮像装置2、照明装置3、及び出力装置4を有する。
制御装置1は、物体検査装置100を制御するための制御手段の1例であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、NVRAM(Non-volatile RAM)等を備えたコンピュータである。制御装置1は、例えば、検査対象画像生成部10、形状判定部11、及び傷判定部12のそれぞれの機能要素に対応するプログラムをROMから読み出してRAMに展開しながら、各機能要素に対応する処理をCPUに実行させる。
撮像装置2は、制御装置1で処理される画像を取得するための撮像手段の1例であり、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子と、撮像素子に結像するための結像レンズとを備えたカメラである。
照明装置3は、検査対象の表面を照らすための照明手段の1例であり、主に、LED(Light Emitting Diode)等の点光源と、点光源が発した光を検査対象の表面に向ける集光レンズとで構成される。
出力装置4は、各種情報を出力するための装置であり、例えば、制御装置1による検査対象の表面の検査結果を表示するためのディスプレイ、又は、その検査結果を音声出力するためのスピーカ等である。
図2及び図3は、撮像装置2及び照明装置3の設置例を示す正面図であり、図4は、その上面図である。なお、図2〜図4では、明瞭化のため、制御装置1及び出力装置4の図示を省略する。
図2で示すように、撮像装置2の結像レンズ2aは、一点鎖線で示す光軸L1が検査対象であるウェハWの表面に対してほぼ垂直となり、且つ、光軸L1がウェハWの中心を通るように設置される。ウェハWは、例えば2本のレールで構成されるコンベアによって撮像装置2の下まで運ばれ、ロボットアーム等の支持機構SCによって下面が3点支持された状態で所定の高さまで持ち上げられる。そして、撮像装置2は、制御装置1からの制御信号に応じてウェハWの表面全体を撮像し、撮像した画像を入力画像として制御装置1に対して出力する。なお、破線で示す領域R1は、撮像装置2の撮像範囲を示す。また、少なくとも図2で示す構成要素は、例えばつや消しの黒い内表面を有する筐体内に収容される。撮像の際に外部の光が悪影響を及ぼさないようにするためである。
また、照明装置3の光源は、二点鎖線で示す光軸L2が撮像装置2の光軸L1との間で角度(入射角)αを形成するように設置され、ウェハWの表面全体を照らす。なお、点線で示す領域R2は、照明装置3の光源の照明範囲を示す。
また、入射角αが大きくなるほど、ウェハWの表面の傷で反射する光が撮像装置2に入り難くなり、撮像装置2は傷を撮像し難くなる。そのため、入射角αは、45度以下の角度であることが望ましく、20度以下の角度であることがより望ましい。
一方、入射角αが小さくなるほど、ウェハWの表面の傷のない平坦部で正反射する光が撮像装置2に入り易くなり、撮像装置2はハレーションを起こし易くなる。また、平坦部で正反射する光は傷で反射する光より強く、平坦部で正反射する光が撮像装置2に入ると、傷で反射する光を検出不能にする。そのため、入射角αは、平坦部で正反射する光が撮像装置2に入らないよう、照明装置3からウェハWの表面に入射する光の最小入射角が限界入射角よりも大きくなるように設定される。
図3は、最小入射角θMINと限界入射角θLMTの関係を示す図であり、図2に対応する。また、図3において、距離Daは、結像レンズ2aの絞りの有効径を表し、距離Dbは、検査対象であるウェハWの最大径を表し、距離Dcは、ウェハWと結像レンズ2aの絞りとの間の距離を表す。また、距離Ddは、ウェハWと照明装置3との間の距離を表し、距離Deは、一点鎖線で示す撮像装置2の光軸L1と照明装置3との間の距離を表す。本実施例では、距離Dcは900mmであり、距離Ddは500mmであり、距離Deは175mmである。
最小入射角θMINは、照明装置3からウェハWの表面に入射する光の入射角のうちで最小の入射角であり、以下の式(1)で表される。
また、限界入射角θ
LMTは、仮想的な照明装置3
LMTからウェハWの表面に入射する光の入射角のうちで最小の入射角であり、且つ、ウェハWの表面で正反射して撮像装置2に入る光の入射角のうちで最大の入射角であって、以下の式(2)で表される。
図3は、照明装置3の光軸L2(二点鎖線)が入射角αでウェハWに入射する様子を示す。また、図3は、最小入射角θ
MINを有する光(点線)がウェハWの右端で正反射して撮像装置2の左側を通過する様子、及び、最大入射角θ
MAXを有する光(破線)がウェハWの左端で正反射して撮像装置2の左側を通過する様子を示す。なお、最大入射角θ
MAXは、照明装置3からウェハWの表面に入射する光の入射角のうちで最大の入射角である。また、図3は、最小入射角θ
MINを有する光に対応する正反射光(点線)と、最大入射角θ
MAXを有する光に対応する正反射光(破線)との間に、反射光が届く範囲が形成される様子を示す。
さらに、図3は、撮像装置3LMTが発する限界入射角θLMTを有する光(一点鎖線)がウェハWの右端で正反射して撮像装置2の結像レンズ2aの左端に入る様子を示す。なお、照明装置3LMTの光軸(図示せず。)が形成する入射角は、照明装置3の光軸L2が形成する入射角αより小さい。
上述の関係より、限界入射角θLMTより大きい入射角を有する光の正反射光は、撮像装置2に入らないことが分かる。すなわち、照明装置3の最小入射角θMINが限界入射角θLMTより大きければ、照明装置3からの光がウェハWの表面の傷のない平坦部で正反射して撮像装置2に入ることがないことが分かる。
このようにして、入射角αは、照明装置3からウェハWの表面に入射する光の最小入射角θMINが限界入射角θLMTよりも大きくなるように設定される。
また、図4で示すように、照明装置3は、ウェハWを取り囲むピッチ円Cを描くように、角度βずつ間隔を空けて設置される複数の光源31、32、33・・・で構成される。角度βは、例えば、3度以下であり、角度βが3度の場合、ウェハWの周りに120個の光源が設置される。本実施例では、角度βは2度であり、ウェハWの周りに180個の光源が設置される。
制御装置1は、180個の光源のそれぞれに対して順番に制御信号を送信し、180個の光源のそれぞれを順番に発光させる。また、制御装置1は、光源のそれぞれを発光させるのと同時に撮像装置2に対して制御信号を送信し、180個の光源のそれぞれがウェハWの表面を照らす毎に、ウェハWの表面を撮像装置2に撮像させる。
図5は、ウェハWの拡大断面図であり、ウェハWの表面に傷Fがある場合に、照明装置3の光源の1つが発する光がウェハWの表面にある傷Fで正反射して撮像装置2の結像レンズ2aに至る様子を示す。
図5で示すように、ウェハWは、鏡面で構成される表面Waと、粗面で構成される裏面Wbとを有する。そして、ウェハWは、水平面に対して傷角度γを形成する傷面Fsを含む傷Fを表面Wa上に有する場合がある。
照明装置3の光源の1つが発した光は、傷面Fsの垂線PLに対して傷角度γと同じ角度を形成するように傷面Fsに入射すると、傷面Fsで正反射し、傷面Fsの垂線PLに対して傷角度γと同じ角度を形成する反射光となって撮像装置2の結像レンズ2aに至る。この場合、撮像装置2の光軸L1と照明装置3の光軸L2との間に形成される入射角αは、α=2γで表される。すなわち、物体検査装置100は、撮像装置2の光軸L1と照明装置3の光軸L2との間の入射角αが、傷角度γの2倍の大きさとなる場合に、傷Fを強く光らせることができる。正反射光は散乱光に比べ明るいためである。このことは、複数の光源のうち、上述の条件を満たす状態、或いはそれに近い状態をもたらす1つの光源が発光させられた場合に、傷Fを強く光らせることができることを意味する。また、1つの光源で強く光らせることのできる傷が限られるとしても、設置位置の異なる多数の光源を順番に発光させることによってそれを補うことができる。また、複数の光源のそれぞれを1つずつ発光させて撮像装置2による撮像を繰り返すことによって、多数の光源を同時に発光させる場合に比べ、撮像した入力画像におけるノイズを低減させることができる。具体的には、多数の光源を同時に発光させた場合、多数の光源からの光のそれぞれがウェハWの裏面(粗面)で乱反射し、撮像した入力画像内のウェハWの表面における傷のない部分であるバックグラウンドを過度に明るくしてしまう。これに対し、複数の光源のそれぞれを1つずつ発光させた場合には、1つの光源が発する光はウェハWの裏面(粗面)で乱反射するものの、多数の光源を同時に発光させた場合に比べその頻度が低いため、バックグラウンドを過度に明るくすることがないためである。
なお、傷Fに関する上述の説明は、ウェハWの縁部についても適用され得る。具体的には、照明装置3の光源の1つが発した光は、ウェハWの縁部をその周辺よりも明るく光らせてしまう場合がある。その結果、撮像装置2が撮像したウェハWの入力画像において、ウェハWの縁部でハレーションを生じさせてしまう場合がある。
図6は、照明装置3からの光がウェハWを照らすときに撮像装置2が撮像した入力画像の例であり、図6左図は、ウェハWの縁部でハレーションが生じていない状態を示し、図6右図は、ウェハWの右側の縁部でハレーションが生じている状態を示す。
図示されるように、図6左図ではウェハWのオリエンテーションフラットOFがはっきりと視認できるのに対し、図6右図ではオリエンテーションフラットOFがハレーションによって視認し難くなっている。
そこで、物体検査装置100は、以下で説明するように、ウェハWの縁部をはっきりと視認できる画像、及び、ウェハWの表面における傷の有無を判定できる画像を生成する。
次に、制御装置1が有する機能要素である検査対象画像生成部10、形状判定部11、及び傷判定部12にについて説明する。
検査対象画像生成部10は、撮像装置2が撮像した入力画像から検査対象画像を生成するための機能要素であり、例えば、撮像装置2が撮像した複数の入力画像を合成して検査対象画像を生成する。
具体的には、検査対象画像生成部10は、ウェハWの周りに設置される光源の数と同じ数の入力画像を合成して検査対象画像を生成する。撮像装置2が撮像する入力画像は何れも、撮像時におけるウェハWに対する光源の相対位置が異なるだけで、ウェハWの表面全体を含む同じ領域を同じ位置から撮像した入力画像である。そのため、撮像装置2が撮像した入力画像のそれぞれにおける互いに対応する画素は、ウェハWの表面上の同じ位置に対応する。
そこで、検査対象画像生成部10は、撮像装置2が撮像した入力画像のそれぞれにおける互いに対応する画素の輝度値のうち最も低い輝度値を抽出し、抽出した輝度値をその画素の代表値として記憶する。以下では、この処理を最小輝度値抽出処理と称する。検査対象画像生成部10は、この最小輝度値抽出処理を入力画像の全ての画素に対して実行し、複数の入力画像における互いに対応する画素のうちで最も低い輝度値を有する画素ばかりを集めた画像を第1検査対象画像として生成する。なお、本実施例では、輝度値は、暗い部分に対応する画素ほど低く(小さく)、明るい部分に対応する画素ほど高い(大きい)。
また、検査対象画像生成部10は、撮像装置2が撮像した入力画像のそれぞれにおける互いに対応する画素の輝度値のうち最も高い輝度値を抽出し、抽出した輝度値をその画素の代表値として記憶する。以下では、この処理を最大輝度値抽出処理と称する。検査対象画像生成部10は、この最大輝度値抽出処理を入力画像の全ての画素に対して実行し、複数の入力画像における互いに対応する画素のうちで最も高い輝度値を有する画素ばかりを集めた画像を第2検査対象画像として生成する。
図7は、検査対象画像生成部10が第1検査対象画像GE1を生成する処理を示す図である。図7で示すように、撮像装置2が撮像した180枚の入力画像G1、G2、・・・、G180は何れも、ウェハWの表面全体を含む同じ領域を同じ位置から撮像した画像である。また、入力画像G1、G2、・・・、G180のそれぞれにおける互いに対応する画素の輝度値のうちで比較的高い輝度値を有する画素は、典型的には、ウェハWの縁部に対応する画素である。照明装置3が発する光がウェハWの縁部で反射して撮像装置2の結像レンズ2aに至るためである。なお、図7は、輝度値が高い画素を白色で示す。
また、図7は、光源31(図4参照。)が発する光がウェハWの表面を照らしたときに撮像装置2が撮像した入力画像G1を示す。なお、入力画像G1は、光源31からの光がウェハWの右側の縁部で反射してハレーションを生じさせた状態を捉えている。また、図7は、光源320(図示せず。)が発する光がウェハWの表面を照らしたときに撮像装置2が撮像した入力画像G20を示す。なお、入力画像G20は、光源320からの光がウェハWの右下側の縁部で反射してハレーションを生じさせた状態を捉えている。また、図7は、光源390(図示せず。)が発する光がウェハWの表面を照らしたときに撮像装置2が撮像した入力画像G90を示す。なお、入力画像G90は、光源390からの光がウェハWの左側の縁部で反射してハレーションを生じさせた状態を捉えている。さらに、図7は、光源3180(図示せず。)が発する光がウェハWの表面を照らしたときに撮像装置2が撮像した入力画像G180を示す。なお、入力画像G180は、光源3180からの光がウェハWの右側の縁部で反射してハレーションを生じさせた状態を捉えている。
検査対象画像生成部10は、上述のようにして得られた180枚の入力画像G1、G2、・・・、G180のそれぞれにおける互いに対応する画素の輝度値のうち最も低い輝度値を抽出し、抽出した輝度値をその画素の代表値として記憶する。そして、検査対象画像生成部10は、この最小輝度値抽出処理を入力画像の全ての画素に対して実行し、180枚の入力画像G1、G2、・・・、G180における互いに対応する画素のうちで最も低い輝度値を有する画素ばかりで構成される画像を第1検査対象画像GE1として生成する。
その結果、第1検査対象画像GE1は、ウェハWの右側の縁部に形成されたオリエンテーションフラットOFを観察者がはっきりと視認できる画像として生成される。
なお、検査対象画像生成部10は、180枚の入力画像G1、G2、・・・、G180のうちの一部のみに基づいて第1検査対象画像GE1を生成してもよい。例えば、検査対象画像生成部10は、入力画像G1及び入力画像G90の2つの入力画像を合成して第1検査対象画像GE1を生成してもよい。
図8は、検査対象画像生成部10が第2検査対象画像GE2を生成する処理を示す図である。図8で示すように、撮像装置2が撮像した180枚の入力画像G1、G2、・・・、G180は何れも、ウェハWの表面全体を含む同じ領域を同じ位置から撮像した画像である。また、入力画像G1、G2、・・・、G180のそれぞれにおける互いに対応する画素の輝度値のうちで最も高い輝度値を有する画素は、典型的には、ウェハWの表面上にある傷Fに対応する画素である。図5を参照して説明したように、ウェハWの表面上に傷Fが存在する場合には、照明装置3が発する光が傷Fで反射して撮像装置2の結像レンズ2aに至るのに対し、ウェハWの表面上に傷が存在しない場合には、照明装置3が発する光は、ウェハWの表面で反射して撮像装置2の撮像範囲外に至るためである。なお、図8は、輝度値が高い画素を白色で示す。また、図8は、明瞭化のため、ウェハWの縁部における高輝度部分の図示を省略する。
また、図8は、光源31(図4参照。)が発する光がウェハWの表面を照らしたときに撮像装置2が撮像した入力画像G1を示す。なお、入力画像G1は、光源31からの光が傷F1で反射した状態を捉えている。また、図8は、光源32(図4参照。)が発する光がウェハWの表面を照らしたときに撮像装置2が撮像した入力画像G2を示す。なお、入力画像G2は、光源32からの光が傷F2で反射した状態を捉えている。さらに、図8は、光源3180(図示せず。)が発する光がウェハWの表面を照らしたときに撮像装置2が撮像した入力画像G180を示す。なお、入力画像G180は、光源3180からの光が傷F180で反射した状態を捉えている。
検査対象画像生成部10は、上述のようにして得られた180枚の入力画像G1、G2、・・・、G180のそれぞれにおける互いに対応する画素の輝度値のうち最も高い輝度値を抽出し、抽出した輝度値をその画素の代表値として記憶する。そして、検査対象画像生成部10は、この最大輝度値抽出処理を入力画像の全ての画素に対して実行し、180枚の入力画像G1、G2、・・・、G180における互いに対応する画素のうちで最も高い輝度値を有する画素ばかりで構成される画像を第2検査対象画像GE2として生成する。
その結果、第2検査対象画像GE2は、図8の場合、入力画像G1における傷F1に対応する画素と、入力画像G2における傷F2に対応する画素と、入力画像G180における傷F180に対応する画素とを含む画像として生成される。
形状判定部11は、画像中の検査対象における所定形状の有無を判定する機能要素である。形状判定部11は、例えば、検査対象画像生成部10が生成する第1検査対象画像GE1にエッジ検出処理及びハフ変換処理を施し、所定条件を満たす直線を検出できた場合に、ウェハWの縁部にオリエンテーションフラットOFが存在すると判定する。
また、形状判定部11は、ウェハWの縁部にオリエンテーションフラットOFが存在すると判定した場合に、オリエンテーションフラットOFの存否の判定に用いた第1検査対象画像GE1を出力装置4としてのディスプレイ上に表示する。この場合、形状判定部11は、オリエンテーションフラットOFに対応する画素を強調表示させてもよく、オリエンテーションフラットOFが存在することを表す文字や図形を第1検査対象画像GE1上に重畳表示させてもよい。また、形状判定部11は、出力装置4としてのスピーカを用いて、オリエンテーションフラットOFを検出した旨を音声出力してもよい。なお、形状判定部11は、ウェハWの縁部にオリエンテーションフラットOFが存在すると判定できない場合に、オリエンテーションフラットOFの存否の判定に用いた第1検査対象画像GE1をディスプレイ上に表示し、オリエンテーションフラットOFを検出できないことを表す文字や図形を第1検査対象画像GE1上に重畳表示させ、或いは、オリエンテーションフラットOFを検出できない旨を音声出力してもよい。
傷判定部12は、画像中の検査対象の表面に傷が存在するか否かを判定する機能要素である。傷判定部12は、例えば、検査対象画像生成部10が生成する第2検査対象画像GE2を構成する画素のそれぞれにおける輝度値と所定の閾値とを比較し、所定の閾値を上回る輝度値を有する画素が存在する場合に検査対象であるウェハWの表面に傷が存在すると判定する。
なお、傷判定部12は、撮像装置2が撮像する個々の入力画像(例えば、入力画像G1である。)を構成する画素のそれぞれにおける輝度値と所定の閾値とを比較し、所定の閾値を上回る輝度値を有する画素が存在する場合にウェハWの表面に傷が存在すると判定してもよい。この場合、物体検査装置100は、個々の入力画像の全ての画素と所定の閾値とを比較する必要があるものの、第2検査対象画像GE2を生成することなく、ウェハWの表面に傷が存在するか否かを判定することができる。
また、傷判定部12は、ウェハWの表面に傷が存在すると判定した場合に、傷の有無の判定に用いた第2検査対象画像GE2を出力装置4としてのディスプレイ上に表示する。この場合、傷判定部12は、傷に対応する画素を強調表示させてもよく、傷が存在することを表す文字や図形を第2検査対象画像GE2上に重畳表示させてもよい。また、傷判定部12は、出力装置4としてのスピーカを用いて、傷を発見した旨を音声出力してもよい。なお、傷判定部12は、ウェハWの表面に傷が存在しないと判定した場合にも、傷の有無の判定に用いた第2検査対象画像GE2をディスプレイ上に表示し、傷が存在しないことを表す文字や図形を第2検査対象画像GE2上に重畳表示させ、或いは、傷を発見しない旨を音声出力してもよい。
次に、図9を参照しながら、物体検査装置100が検査対象画像を生成する処理(以下、「検査対象画像生成処理」とする。)について説明する。なお、図9は、検査対象画像生成処理の流れを示すフローチャートであり、物体検査装置100は、新しいウェハWが撮像装置2の撮像範囲内に配置される毎に自動的にこの検査対象画像生成処理を実行する。なお、物体検査装置100は、操作者による操作入力に応じてこの検査対象画像生成処理を開始させてもよい。
最初に、物体検査装置100の制御装置1は、検査対象画像生成処理で利用するパラメータを初期化する(ステップS1)。具体的には、制御装置1は、照明装置3の光源の発光順を表すパラメータNを値「1」に設定する。また、制御装置1は、最小輝度値抽出処理及び最大輝度値抽出処理の対象となる画素を特定する画素番号を表すパラメータMを値「1」に設定する。
その後、制御装置1は、N番目(1番目)の光源3N(光源31)を発光させ、光源3N(光源31)によって照らされたウェハWの表面を撮像装置2に撮像させて入力画像GN(入力画像G1)を取得する(ステップS2)。
その後、制御装置1は、パラメータNに値「1」を加算し(ステップS3)、パラメータNの値と光源の総数(例えば、180個である。)とを比較する(ステップS4)。
パラメータNの値が光源の総数以下であると判断した場合(ステップS4のNO)、制御装置1は、ステップS2〜ステップS4の処理を繰り返す。
一方、パラメータNの値が光源の総数を上回ると判断した場合(ステップS4のYES)、制御装置1は、検査対象画像生成部10により、180枚の入力画像G1〜入力画像G180に基づく第1検査対象画像GE1及び第2検査対象画像GE2の生成を開始する。
具体的には、検査対象画像生成部10は、180枚の入力画像G1〜入力画像G180における互いに対応する画素のうちのM番目(1番目)の画素に対して最小輝度値抽出処理及び最大輝度値抽出処理を実行する(ステップS5)。
その後、検査対象画像生成部10は、パラメータMに値「1」を加算し(ステップS6)、パラメータMの値と画素の総数とを比較する(ステップS7)。
パラメータMの値が画素の総数以下であると判断した場合(ステップS7のNO)、検査対象画像生成部10は、ステップS5〜ステップS7の処理を繰り返す。
一方、パラメータMの値が画素の総数を上回ると判断した場合(ステップS7のYES)、検査対象画像生成部10は、全ての画素に対して最大輝度値抽出処理を実行したとしてステップS8に進む。
その後、検査対象画像生成部10は、互いに対応する画素のうちで最も低い輝度値を有する画素ばかりを集めた画像を第1検査対象画像GE1として生成し、且つ、互いに対応する画素のうちで最も高い輝度値を有する画素ばかりを集めた画像を第2検査対象画像GE2として生成する(ステップS8)。
以上の構成により、物体検査装置100は、複数の光源のそれぞれを1つずつ発光させる度に撮像装置2でウェハWの表面を撮像して得られる複数の入力画像に基づいて第1検査対象画像GE1及び第2検査対象画像GE2を生成する。そのため、物体検査装置100は、第1検査対象画像GE1を生成することによって、ウェハWの縁部のハレーションを取り除いた画像を生成できる。また、物体検査装置100は、多数の光源から同時に発せられる光がウェハWの裏面(粗面)で乱反射し、撮像した入力画像におけるバックグラウンドが過度に明るくなってしまうのを防止することができる。すなわち、物体検査装置100は、第2検査対象画像GE2を生成することによって、撮像した入力画像におけるバックグラウンドが明るくなり過ぎるのを抑えながら、ウェハWの表面の傷のみを選択的に明るくした画像を生成できる。最大輝度値抽出処理を実行したとしても、傷のない部分に対応する画素の輝度値は小さいまま維持されるためである。
また、物体検査装置100は、撮像装置2がウェハWの表面を撮像する毎に、ウェハWに対する光源の相対位置を変化させるため、特定の方向から光を照らした場合にしか光らない傷の検出漏れを低減させ或いは防止することができる。この効果は、採用する相対位置の数が多いほど高いものとなる。
なお、物体検査装置100は、バックグラウンドを過度に明るくしない限りにおいて、複数の光源のうちの2つ以上を1組として1組ずつ発光させてもよい。この場合、物体検査装置100は、1組の光源を発光させる度に撮像装置2でウェハWの表面を撮像して得られる複数の入力画像に基づいてウェハWの表面の傷の有無を判定する。なお、1組を構成する光源のそれぞれは、隣り合うものであってもよく、所定の角度間隔を空けて設置されるものであってもよい。
また、物体検査装置100は、照明装置3を構成する光源31、32、33、・・・をピッチ円Cに沿って時計回りに順番に発光させるが、発光順は任意であり、ピッチ円Cに沿って反時計回りに順番に発光させてもよく、ランダムに発光させてもよい。
次に、図10を参照しながら、検査対象画像生成処理の別の例について説明する。なお、図10は、検査対象画像生成処理の別の例の流れを示すフローチャートであり、物体検査装置100は、新しいウェハWが撮像装置2の撮像範囲内に配置される毎に自動的にこの検査対象画像生成処理を実行する。なお、物体検査装置100は、操作者による操作入力に応じてこの検査対象画像生成処理を開始させてもよい。
最初に、物体検査装置100の制御装置1は、検査対象画像生成処理で利用するパラメータを初期化する(ステップS11)。具体的には、制御装置1は、照明装置3の光源の発光順を表すパラメータNを値「1」に設定する。また、制御装置1は、最小輝度値抽出処理及び最大輝度値抽出処理の対象となる画素を特定する画素番号を表すパラメータMを値「1」に設定する。
その後、制御装置1は、N番目(1番目)の光源3N(光源31)を発光させ、光源3N(光源31)によって照らされたウェハWの表面を撮像装置2に撮像させて入力画像GN(入力画像G1)を取得する(ステップS12)。
その後、制御装置1は、検査対象画像生成部10により、予め用意しておいた第1検査対象画像GE1及びN番目(1番目)の入力画像GN(入力画像G1)のそれぞれにおける対応するM番目(1番目)の画素の低い方の輝度値を選択して第1検査対象画像GE1のM番目(1番目)の画素の輝度値を更新する(ステップS13)。なお、第1検査対象画像GE1における各画素の輝度値の初期値には最大値が設定されている。
その後、制御装置1は、検査対象画像生成部10により、予め用意しておいた第2検査対象画像GE2及びN番目(1番目)の入力画像GN(入力画像G1)のそれぞれにおける対応するM番目(1番目)の画素の高い方の輝度値を選択して第2検査対象画像GE2のM番目(1番目)の画素の輝度値を更新する(ステップS14)。なお、第2検査対象画像GE2における各画素の輝度値の初期値には最小値が設定されている。また、ステップS13及びステップS14は順不同であり、2つのステップが同時に実行されてもよい。
その後、制御装置1は、パラメータMに値「1」を加算し(ステップS15)、パラメータMの値と画素の総数とを比較する(ステップS16)。
パラメータMの値が画素の総数以下であると判断した場合(ステップS16のNO)、制御装置1は、ステップS13〜ステップS16の処理を繰り返す。
一方、パラメータMの値が画素の総数を上回ると判断した場合(ステップS16のYES)、制御装置1は、全ての画素に対して上述の処理を実行したとしてステップS17に進む。
その後、制御装置1は、パラメータNに値「1」を加算し、且つ、パラメータMを値「1」にリセットした上で(ステップS17)、パラメータNの値と光源の総数(例えば、180個である。)とを比較する(ステップS18)。
パラメータNの値が光源の総数以下であると判断した場合(ステップS18のNO)、制御装置1は、ステップS12〜ステップS18の処理を繰り返す。
一方、パラメータNの値が光源の総数を上回ると判断した場合(ステップS18のYES)、制御装置1は、今回の検査対象画像生成処理、すなわち、第1検査対象画像GE1及び第2検査対象画像GE2の更新を終了する。
以上の処理の流れにより、物体検査装置100は、図9に示す検査対象画像生成処理によって得られる画像と同様の第1検査対象画像GE1及び第2検査対象画像GE2を生成できる。
次に、図11を参照しながら、物体検査装置100が検査対象としてのウェハWの形状を判定する処理(以下、「形状判定処理」とする。)について説明する。なお、図11は、形状判定処理の流れを示すフローチャートであり、物体検査装置100は、第1検査対象画像GE1が生成される毎に自動的にこの形状判定処理を実行する。なお、物体検査装置100は、操作者による操作入力に応じてこの形状判定処理を開始させてもよい。
最初に、物体検査装置100の制御装置1は、形状判定部11により、検査対象画像生成部10が生成した第1検査対象画像GE1内に所定条件を満たす直線が存在するか否かを判定する(ステップS21)。
具体的には、形状判定部11は、第1検査対象画像GE1に対してエッジ検出処理及びハフ変換処理を施し、ウェハWの端部にあるオリエンテーションフラットOFに対応する直線が存在するか否かを判定する。
対応する直線が存在すると判定した場合(ステップS21のYES)、形状判定部11は、第1検査対象画像GE1、及び、第1検査対象画像GE1内にオリエンテーションフラットOFが存在する旨を出力装置4としてのディスプレイに表示する(ステップS22)。なお、形状判定部11は、オリエンテーションフラットOFが検出できた旨を知らせる音声メッセージを出力装置4としてのスピーカから音声出力してもよい。また、形状判定部11は、対応する直線を強調表示してもよい。
一方、対応する直線が存在しないと判定した場合(ステップS21のNO)、形状判定部11は、第1検査対象画像GE1、及び、オリエンテーションフラットOFが検出できない旨を出力装置4としてのディスプレイに表示する(ステップS23)。
このようにして、物体検査装置100は、第1検査対象画像GE1に基づいてウェハWの形状を判定できる。具体的には、物体検査装置100は、ウェハWの縁部にあるオリエンテーションフラットOFの存否(検出の可否)を判定できる。
次に、図12を参照しながら、物体検査装置100が検査対象としてのウェハWの表面の傷の有無を判定する処理(以下、「表面傷判定処理」とする。)について説明する。なお、図12は、表面傷判定処理の流れを示すフローチャートであり、物体検査装置100は、新しいウェハWが撮像装置2の撮像範囲内に配置される毎に自動的にこの表面傷判定処理を実行する。なお、物体検査装置100は、操作者による操作入力に応じてこの表面傷判定処理を開始させてもよい。
最初に、制御装置1は、傷判定部12により、検査対象画像生成部10が生成した第2検査対象画像GE2を用いて、ウェハWの表面に傷が存在するか否かを判定する。
具体的には、傷判定部12は、第2検査対象画像GE2を構成する画素のそれぞれにおける輝度値と所定の閾値とを比較し、第2検査対象画像GE2に所定の閾値を上回る輝度値を有する画素が存在するか否かを判定する(ステップ31)。
第2検査対象画像GE2に所定の閾値を上回る輝度値を有する画素が存在すると判定した場合(ステップS31のYES)、傷判定部12は、ウェハWの表面に傷が存在するとして第2検査対象画像GE2を出力装置4としてのディスプレイに表示する(ステップS32)。なお、傷判定部12は、傷の存在を知らせる音声メッセージを出力装置4としてのスピーカから音声出力してもよい。
一方、第2検査対象画像GE2に所定の閾値を上回る輝度値を有する画素が存在しないと判定した場合(ステップS9のNO)、傷判定部12は、第2検査対象画像GE2をディスプレイに表示することなく、今回の表面傷判定処理を終了させる。
このようにして、物体検査装置100は、第2検査対象画像GE2に基づいてウェハWの表面の傷の有無を判定できる。
なお、所定の閾値には、ウェハWの表面における傷とウェハWの縁部の高輝度部分とを区別できるよう、ウェハWの縁部の高輝度部分の輝度値よりも高い値が設定されてもよい。
次に、図13〜図15を参照しながら、本発明に係る物体検査装置の別の構成例100Aについて説明する。なお、図13は、物体検査装置100Aにおける撮像装置2及び照明装置3の設置例を示す正面図である。また、図14は、物体検査装置100Aにおける撮像装置2及び照明装置3の設置例を示す上面図である。また、図15は、物体検査装置100Aが検査対象画像を生成する処理(以下、「検査対象画像生成処理」とする。)の流れを示すフローチャートである。なお、図13及び図14では、明瞭化のため、制御装置1及び出力装置4の図示を省略する。
物体検査装置100Aは、照明装置3が単一の光源3a1で構成され、且つ、ウェハWを支持する支持台5aを回転させる回転機構5bと、撮像装置2を回転させる回転機構6とを備える点で、物体検査装置100と相違するが、その他の点において共通する。そのため、共通部分の説明を省略しながら、相違部分を詳細に説明する。
支持台5aは、撮像装置2がウェハWの表面を撮像できるようにウェハWをその上面で支持する台であり、回転機構5bに対して回転可能に取り付けられる。
回転機構5bは、撮像装置2の光軸L1回りに支持台5aを回転させるための機構であり、制御装置1が出力する制御信号に応じて支持台5aを回転させる。そのため、撮像装置2の光軸L1と、ウェハWの中心を通る鉛直軸とが一致するように支持台5a上に支持されるウェハWは、その中心を光軸L1上に位置させながら光軸L1回りに回転する。
回転機構6は、撮像装置2の光軸L1回りに撮像装置2を回転させるための機構であり、制御装置1が出力する制御信号に応じて撮像装置2を回転させる。
なお、本実施例では、制御装置1は、回転機構5bによる支持台5aの回転と、回転機構6による撮像装置2の回転とを同期させる。また、制御装置1は、回転機構5b及び回転機構6のそれぞれを角度εずつ回転させる。そのため、撮像装置2及びウェハWの回転にかかわらず、撮像装置2が撮像するウェハWの表面の入力画像は、常に同じ領域を同じ向きで撮像した画像となる。なお、角度εは、例えば、3度以下であり、角度εが2度の場合、ウェハWを1回転させるために、回転機構5b及び回転機構6がそれぞれ180回駆動されることを意味する。
ここで、図15を参照すると、図15の検査対象画像生成処理は、図9の検査対象画像生成処理のステップS1〜S4をステップS41〜S44で置き換えたものであり、ステップS45〜S48は、図9の検査対象画像生成処理のステップS5〜S8と共通する。
最初に、物体検査装置100Aの制御装置1は、検査対象画像生成処理で利用するパラメータを初期化する(ステップS41)。具体的には、制御装置1は、最小輝度値抽出処理及び最大輝度値抽出処理の対象となる画素を特定する画素番号を表すパラメータMを値「1」に設定する。
その後、制御装置1は、光源3a1を発光させ、光源3a1によって照らされたウェハWの表面を撮像装置2に撮像させて入力画像を取得する(ステップS42)。
その後、制御装置1は、回転機構5bに対して制御信号を出力し、撮像装置2の光軸L1回りに、支持台5a及びウェハWを角度εだけ回転させ(ステップS43)、ウェハWの回転角度の合計と所定の閾値(例えば、360度である。)とを比較する(ステップS44)。このとき、制御装置1は、回転機構6に対しても制御信号を出力し、撮像装置2の光軸L1回りに撮像装置2を角度εだけ回転させる。撮像装置2がウェハWの表面を同じ条件で撮像できるようにするためである。
ウェハWの回転角度の合計が所定の閾値以下であると判断した場合(ステップS44のNO)、制御装置1は、ステップS42〜ステップS44の処理を繰り返す。
一方、ウェハWの回転角度の合計が所定の閾値を上回ると判断した場合(ステップS44のYES)、制御装置1は、検査対象画像生成部10により、ウェハWが360度回転するまでウェハWを2度回転させる度に撮像した180枚の入力画像に基づく第1検査対象画像GE1及び第2検査対象画像GE2の生成を開始する。
なお、ステップS45以降の処理は、図9の検査対象画像生成処理の場合と同様であるため、その説明を省略する。
以上の構成により、物体検査装置100Aは、単一の光源3a1で構成される照明装置3を用いた場合であっても、物体検査装置100と同様の効果を実現できる。
また、物体検査装置100Aは、ウェハWを回転させる代わりに、撮像装置2の光軸L1回りに光源3a1を回転させてもよい。
また、物体検査装置100Aは、撮像装置2を回転させるための回転機構6を省略してもよい。撮像装置2が撮像する複数の入力画像におけるウェハWの向きがそれぞれ異なる場合であっても、画像処理を施すことによってウェハWの表面上の特定の位置を映す画素同士を対応付けることが可能なためである。
次に、図16を参照しながら、物体検査装置100Aで実行される検査対象画像生成処理の別の例について説明する。なお、図16は、検査対象画像生成処理の別の例の流れを示すフローチャートであり、物体検査装置100Aは、新しいウェハWが撮像装置2の撮像範囲内に配置される毎に自動的にこの検査対象画像生成処理を実行する。なお、物体検査装置100Aは、操作者による操作入力に応じてこの検査対象画像生成処理を開始させてもよい。
最初に、物体検査装置100Aの制御装置1は、パラメータを初期化する(ステップS51)。具体的には、制御装置1は、最小輝度値抽出処理及び最大輝度値抽出処理の対象となる画素を特定する画素番号を表すパラメータMを値「1」に設定する。
その後、制御装置1は、光源3a1を発光させ、光源3a1によって照らされたウェハWの表面を撮像装置2に撮像させて入力画像を取得する(ステップS52)。
その後、制御装置1は、検査対象画像生成部10により、予め用意しておいた第1検査対象画像GE1及び直近の入力画像のそれぞれにおける対応するM番目(1番目)の画素の低い方の輝度値を選択して第1検査対象画像GE1のM番目(1番目)の画素の輝度値を更新する(ステップS53)。なお、第1検査対象画像GE1における各画素の輝度値の初期値には最大値が設定されている。
その後、制御装置1は、検査対象画像生成部10により、予め用意しておいた第2検査対象画像GE2及び直近の入力画像のそれぞれにおける対応するM番目(1番目)の画素の高い方の輝度値を選択して第2検査対象画像GE2のM番目(1番目)の画素の輝度値を更新する(ステップS54)。なお、第2検査対象画像GE2における各画素の輝度値の初期値には最小値が設定されている。また、ステップS53及びステップS54は順不同であり、2つのステップが同時に実行されてもよい。
その後、制御装置1は、パラメータMに値「1」を加算し(ステップS55)、パラメータMの値と画素の総数とを比較する(ステップS56)。
パラメータMの値が画素の総数以下であると判断した場合(ステップS56のNO)、制御装置1は、ステップS53〜ステップS56の処理を繰り返す。
一方、パラメータMの値が画素の総数を上回ると判断した場合(ステップS56のYES)、制御装置1は、全ての画素に対して上述の処理を実行したとしてステップS57に進む。
その後、制御装置1は、回転機構5bに対して制御信号を出力し、撮像装置2の光軸L1回りに、支持台5a及びウェハWを角度εだけ回転させ(ステップS57)、ウェハWの回転角度の合計と所定の閾値(例えば、360度である。)とを比較する(ステップS58)。このとき、制御装置1は、回転機構6に対しても制御信号を出力し、撮像装置2の光軸L1回りに撮像装置2を角度εだけ回転させる。撮像装置2がウェハWの表面を同じ条件で撮像できるようにするためである。
ウェハWの回転角度の合計が所定の閾値以下であると判断した場合(ステップS58のNO)、制御装置1は、ステップS51〜ステップS58の処理を繰り返す。
一方、ウェハWの回転角度の合計が所定の閾値を上回ると判断した場合(ステップS58のYES)、制御装置1は、今回の検査対象画像生成処理、すなわち、第1検査対象画像GE1及び第2検査対象画像GE2の更新を終了する。
以上の処理の流れにより、物体検査装置100Aは、図15に示す検査対象画像生成処理によって得られる画像と同様の第1検査対象画像GE1及び第2検査対象画像GE2を生成できる。
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、上述の実施例において、物体検査装置100、100Aは、第1検査対象画像GE1及び第2検査対象画像GE2を別々に表示する。しかしながら、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、物体検査装置100、100Aは、第1検査対象画像GE1及び第2検査対象画像GE2を合成して1つの表示用画像を生成してもよい。具体的には、物体検査装置100、100Aは、ウェハWの輪郭とウェハWの表面にある傷とを観察者が同時に視認可能な表示用画像を生成してもよい。
また、上述の実施例において、物体検査装置100、100Aは、ウェハWの外形を検査するために第1検査対象画像GE1を生成し、且つ、ウェハWの表面における傷を検査するために第2検査対象画像GE2を生成する。しかしながら、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、物体検査装置100、100Aは、ウェハWの外形のみを検査するために、第1検査対象画像GE1のみを生成してもよい。また、物体検査装置100、100Aは、ウェハWの表面における傷のみを検査するために、第2検査対象画像GE2のみを生成してもよい。
また、上述の実施例において、物体検査装置100は、支持機構SCによってウェハWの下面を3点で支持した状態でウェハWの表面を撮像する。しかしながら、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、物体検査装置100は、図17に示すように平面板FP上にウェハWを載置した状態でウェハWの表面を撮像してもよい。この場合、各入力画像は、ウェハWから見て光源3の反対側の平面板FP上に形成されるウェハWの影SDを含む(図17左図参照。)。その結果、第1検査対象画像GE1は、ウェハWの周囲に環状の影SDRを含む(図17右図参照。)。この環状の影SDRは、第1検査対象画像GE1に対してエッジ検出処理を施す場合に、ウェハWの輪郭をエッジとして抽出することを容易にし、ウェハWの形状検査の精度を高めることができる。
また、上述の実施例において、物体検査装置100、100Aは、ウェハWの形状及びウェハWの表面における傷を検査するために用いられる。しかしながら、本発明はこの用途に限定されるものではない。例えば、物体検査装置100、100Aは、リードフレームの形状を検査するために用いられてもよい。具体的には、物体検査装置100、100Aは、リードフレームの画像を含む第1検査対象画像GE1に基づいて、リードフレームの足の幅、長さ、足の間隔等を検査してもよい。
また、物体検査装置100、100Aは、ウェハWの表面における凹み、汚れ等を検査するために、ウェハWの表面における傷を検査するための第2検査対象画像GE2の代わりに、或いは、第1検査対象画像GE1及び第2検査対象画像GE2に加え、別の検査対象画像を生成してもよい。この場合、別の検査対象画像は、別の光源を用いて撮像されてもよく、最小輝度値抽出処理及び最大輝度値抽出処理以外の画像処理を用いて生成されてもよい。