[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。この第1実施形態では、本発明に係る機械式駐車装置の一例としてエレベータ式駐車装置を挙げている。図1は本発明を採用した機械式駐車装置の一例であるエレベータ式駐車装置の全体概略正面図であり、図2は図1に示すエレベータ搬器に搭載の充電パレットを左駐車棚に移載しようとしている状態を示す駐車階の全体平面図である。図1および図2に示すように、このエレベータ式駐車装置1は、下部90°回転乗入れ方式であって、一般車両V(非電気車両、ガソリン車等)を搭載する標準パレット90と、電気車両EVを搭載する充電パレット20とを混載したものである。なお、この充電パレット20には一般車両Vを搭載することもできる。以下では、図1に示すような、昇降路10を挟んで左右に複数の駐車棚11が上下に並んでいる状態が見える面をエレベータ式駐車装置1の正面とし、図1をエレベータ式駐車装置1の正面図として説明する。
エレベータ式駐車装置1は、鉄骨構造体の外面に外装板が設けられた駐車塔2を有し、この駐車塔2の地上1階が乗入れ部3となっている。この乗入れ部3の乗入れ床4には、ピット5が形成されている。また、乗入れ部3の前部(この例では左側方)には入出庫口6が設けられ、この入出庫口6には、開閉式の入出庫口扉7が設けられている。また、入出庫口6の外部側方には、運転操作盤8が配設されている。さらに、乗入れ部3の反入出庫口側には、入庫誘導案内灯18が設けられている。
上記構成の駐車塔2において、中央部に鉛直方向の昇降路10が形成されている。この昇降路10を挟んで図の左右両側には、鉛直方向に複数段の駐車棚11,11,,,が設けられている。これらの駐車棚11は、鉛直方向に設けられた棚柱9に支持されている。各駐車棚11は、一対の棚レール17を有し、この一対の棚レール17の間にパレット20,90が架け渡された状態で支持される。以下では、棚レール17の延びる方向を「第1方向X」とし、第1方向Xと略直交する略水平方向を「第2方向Y」とする。
この実施の形態のエレベータ式駐車装置1では、上層4階が標準パレット90の駐車棚11となっており、下層3階が充電パレット20の駐車棚11となっている。図1では、右列2段目の電気車両EVは非充電状態(充電要求無し)で示している。充電パレット20と標準パレット90は、共通の形態として、第1方向X両側端に形成された立上がり側端部21,21と、左右の立上がり側端部21,21の間に形成された中央突条部22と、立上がり側端部21,21と中央突条部22との間にそれぞれ形成された凹状の車路23,23とを備えている。立上がり側端部21,21、中央突条部22、および車路23,23は第1方向Xに略平行に並んでいる。
昇降路10には、パレット20,90を搬送するエレベータ搬器12が設けられている。このエレベータ搬器12には、駐車塔2の上部に設けられた昇降駆動部13と、昇降駆動部13の駆動シーブ14で巻かれるワイヤロープ15と、ワイヤロープ15の反エレベータ側に設けられたカウンタウエイト16とが設けられている。そして、昇降駆動部13の駆動シーブ14でワイヤロープ15が巻かれることによって、エレベータ搬器12上に搭載されたパレット20,90が昇降路10を昇降する。
さらに、エレベータ搬器12は、パレット移載兼持上げ旋回手段25を備えている。パレット移載兼持上げ旋回手段25は、パレット20,90を持上げて旋回させる機能と、パレット20,90を駐車棚11の棚レール17との間で移載させる機能とを有している。各パレット20,90は、このパレット移載兼持上げ旋回手段25により、各駐車棚11とエレベータ搬器12との間を車輪24で移載されるとともに、乗入れ部3で旋回させられる。図2では、このパレット移載兼持上げ旋回手段25により、エレベータ搬器12上の充電パレット20を左の駐車棚11に移載する状態を示している。図2に示すように、パレット移載兼持上げ旋回手段25はパレット移載機構として、ダブルアーム26と、ダブルアーム26の先端に設けられた係合ローラ27とから成るダブルクランクアームを備えている。係合ローラ27は、パレット20,90の側端部下面に設けられた係合溝28に係合可能である。このダブルクランクアーム機構では、パレット20,90の係合溝28に係合ローラ27を係合させた状態で、ダブルアーム26を伸縮させることによって、パレット20,90を駐車棚11へ又は駐車棚11から移載することができる。上記パレット移載兼持上げ旋回手段25は、公知の手段が採用されており、これ以上の詳細な説明は省略する。
上記構成のエレベータ式駐車装置1は、さらに、給電システム60を備えている。給電システム60は、充電パレット20を格納する各駐車棚11に設けられた給電側の接続部である棚側接点組立体61と、充電パレット20に設けられた受電側の接続部であるパレット側接点組立体62と、給電ケーブル40を介して棚側接点組立体61と電気的に接続された充電電源装置42とを備えている。充電電源装置42は、乗入れ部3に設けられた制御盤41に内蔵されている。この給電システム60では、充電パレット20を駐車棚11に格納する動作で、棚側接点組立体61とパレット側接点組立体62とが電気的に接続されるようになっている。
図2に示すように、棚側接点組立体61は、駐車塔2の下層3階の各階の対角位置に配設されており、駐車棚11に設けられている。この例では、各階につき2個の棚側接点組立体61,61がその階の左奥部と右前部とに設けられている。一方、パレット側接点組立体62,62は、充電パレット20が駐車棚11上の所定の駐車位置にあるときに各階の左奥部と右前部に設けられた棚側接点組立体61,61に対向可能なように、充電パレット20の角部に2個が対角位置に配設されている。パレット側接点組立体62は充電パレット20の立上がり側端部21に固定されており、このパレット側接点組立体62に隣接してケーブル収納箱30が設けられている。以下、棚側接点組立体61とパレット側接点組立体62について詳細に説明する。
〔パレット側接点組立体62〕
図3は棚側接点組立体61とパレット側接点組立体62を第2方向Yから見た図、図4は棚側接点組立体61とパレット側接点組立体62の接続された状態を第2方向Yから見た図、図5はパレット側接点組立体62を第1方向Xから見た図、図6はパレット側接点組立体62の斜視図である。図3〜6に示すように、パレット側接点組立体62は、複数の接点73が接点ホルダ72に組みつけられたものである。接点ホルダ72は基板71に固定されており、この基板71にはガイド74,74も固定されている。ガイド74,74(案内部材)は、複数の接点73と複数の集電子86が対峙するように、棚側接点組立体61の第2方向Yへの移動を案内する案内機構92の案内部92aを構成している。
基板71は、2本の略平行なホルダ支持部711,711と、ホルダ支持部711,711に架け渡された取付部712とを有し、略門状に形成されている。基板71の取付部712は、充電パレット20の側端における立上り側端部21に取り付けられている。より詳細には、充電パレット20の立上り側端部21は、車路23の第1方向Xの外側に連続的に形成された起立部21aと、起立部21aの第1方向Xの外側に連続的に形成された水平部21bとを有しており、この水平部21bの下面に基板71の取付部712がボルト75,75で固定されている(特に、図3参照)。
基板71の2つのホルダ支持部711,711の間に接点ホルダ72が配置されており、これらのホルダ支持部711,711に接点ホルダ72の第2方向Yの両側端部が固定されている。接点ホルダ72には、上下方向の溝721が接点73の数に合わせて複数略平行に形成されている。これらの溝721の各々には、上下方向に長尺に形成された接点73が固定されている。本実施の形態では、各接点73は上下方向に長尺に形成された銅板であり、このような接点73が5つ略平行に第2方向Yに並んでいる。各接点73は、樹脂等の非導電部材から成る接点ホルダ72に保持されることによって他の接点73から電気的に独立した状態となっている。各接点73には、中継ケーブル31が接続されており、中継ケーブル31はケーブル収納箱30まで導かれている(図12、参照)。
2つのガイド74,74は、基板71の2つのホルダ支持部711,711に各々固定されている。これら2つのガイド74,74は、接点ホルダ72の第2方向Yの両側に配置されており、これらのガイド74,74により、ホルダ支持部711,711および複数の接点73を保持した接点ホルダ72が第2方向Yの両側から挟み込まれている。各ガイド74は樹脂製の厚板状部材であって、ホルダ支持部711から第1方向Xへ接点73よりも突き出している。ガイド74は、第1方向Xの先端部に向けて板厚が小さくなるように先端外側に位置する角部が切り欠かれて、第1方向Xに対して傾いた案内面741が形成されている。したがって、2つの案内面741,741の第2方向Yの離間距離は、先端に向けて漸次小さく、つまり、先細りになっている。
〔棚側接点組立体61〕
図7は棚側接点組立体61と第1移動機構101と第2移動機構102を第1方向Xから見た図、図8は棚側接点組立体61と第1移動機構101と第2移動機構102の斜視図、図9は棚側接点組立体61と第2移動機構102とパレット側接点組立体62の平面図である。図3,4および図7〜9に示すように、棚側接点組立体61は、複数の集電子86が集電子ホルダ85に組みつけられたものである。集電子86は棚側接点組立体61に設けられた接点である。集電子ホルダ85はスライダ84に固定されており、このスライダ84には2つのガイド87,87も固定されている。ガイド87,87(被案内部材)は、案内機構92の被案内部92bを構成している。
集電子ホルダ85には、集電子86の数に対応した複数の保持溝851が形成されており、この保持溝851の各々に集電子86が配置されている。本実施の形態に係る棚側接点組立体61には、接点73の数と対応して5つの集電子86が備えられている。各集電子86は、傾動と集電子ホルダ85に対する進退方向への移動を可能とする保持機構88(図10、参照)により集電子ホルダ85に保持されている。図10は集電子86の保持機構88を説明する図である。この図では、集電子86の保持機構88を理解しやすいように、集電子86と保持機構88以外のものが省略されている。
図10に示すように、集電子86の接点面861は、接点73と同様に、上下方向に長尺に形成されている。集電子86の下部には端子886が設けられており、この端子886にケーブル887が接続されている。ケーブル887は、図12に示すように、開閉器43に接続されている。集電子86の上下方向の略中央には、支持軸881の一方の端部が支承ピン882によって回動可能に接続されている。この支承ピン882を中心として集電子86が個別に回動することにより、集電子86の接点面861が傾動する。このような集電子86の回動は、集電子ホルダ85に形成された保持溝851によって第2方向Yへ振れないように案内されている。集電子86の回動範囲は、集電子86の下方に位置するレバー89により定められている。レバー89は、集電子86がレバー89と当接してから更に下方へ回動しないように、集電子86を下方から支持するものである。レバー89の基端部89aはスライダ84に回動可能に支承されている。一方、レバー89の先端部89bとスライダ84との間には、引張バネであるレバー付勢バネ891が架け渡されている。上記構成において、非接続時には、レバー89によって集電子86が自重で下向きに回動(垂れ下がり)しないように下方から支えられており、接点面861が接続に適した向きとなる姿勢に集電子86が保持されている。一方、接続時には、集電子86の接点面861に接点73が面当たりして集電子86へ下向きの力が加わると、集電子86はレバー付勢バネ891の付勢力に抗して下向きに回動することができる。
支持軸881の集電子86と接続されていない方の端部は、スライダ84に取り付けられたバネケース883に挿入されている。バネケース883内において、支持軸881の他方の端部とバネケース883の奥部との間にはレバー付勢バネ884が設けられている。支持軸881はバネケース883から進出および退入する方向へ移動することができ、レバー付勢バネ884によりバネケース883から進出する方向へ付勢されている。このようにして、集電子86は、集電子ホルダ85に対して個別に進退方向へ移動可能に保持されている。なお、本実施形態では、個々の集電子86が個別に集電子ホルダ85へ進退する方向へ移動できるように構成されているが、複数の集電子86が一体的に集電子ホルダ85へ進退する方向へ移動できるように構成することもできる。また、本実施形態では、複数の集電子86の接点面861は個別に傾動することができるが、複数の集電子86の接点面861が一体的に傾動するように構成することもできる。
集電子ホルダ85およびこれに保持された複数の集電子86を第2方向Yの両側から挟み込むように、2つのガイド87,87が略平行に配置されている。換言すれば、2つのガイド87,87は集電子ホルダ85の第2方向Yの両側に配置されている。ガイド87はその基部がスライダ84に片持ち支持された板状部材であって、スライダ84から第1方向Xへ充電パレット20側に複数の集電子86よりも突出している。特に図9に詳細に示されるように、スライダ84上の2つのガイド87,87の第2方向Yの位置は、案内機構92の案内部92aであるガイド74,74が被案内部92bであるガイド87,87の間に接触しながら第1方向Xへ進入できるように定められている。そして、2つのガイド87,87の先端部において2つのガイド87,87の第2方向Yの離間距離が先端に向けて漸次拡大するように、つまり、先広がりになるように各ガイド87の先端部は第2方向Yに傾いている。このような棚側接点組立体61側に設けられたガイド87,87の形状により、案内部92aである2つのガイド74,74を被案内部92bである2つのガイド87,87の間に受け入れやすいようにしているとともに、案内部92aのガイド74から被案内部92bのガイド87へ与えられた第1方向Xの力を第2方向Yの力へ変換できるようにしている。
上記棚側接点組立体61は、駐車棚11に対する第1方向Xおよび上下方向の位置と姿勢を変位可能とする第1移動機構101と、駐車棚11に対する第2方向Yの位置を変位可能とする第2移動機構102とを介して、駐車棚11側に取り付けられている。上記において、棚側接点組立体61の姿勢とは、棚側接点組立体61の接点である集電子86の向きをいい、特に詳細には、集電子86の接点面861の向きをいう。続いて、第1移動機構101と第2移動機構102について説明する。
〔第1移動機構101〕
第1移動機構101は、駐車塔2の梁等に固定された基台81、基台81に支承された2本の平行なアーム82,82、アーム82,82に架け渡された2本の平行なスライド軸83,83、およびアーム付勢機構91,91などで構成されている。図11は第1移動機構を説明するための図7におけるXI−XI断面図である。
図7,8,11に示すように、基台81は、駐車塔2の梁等に固定される基板812と、基板812上に固定された2つの支承部811,811と、基板812上に立設されたバネ受部813とで構成されている。各支承部811には、第2方向Yのアーム回転軸821によってアーム82の基端部が回動可能に支承されている。これにより、アーム82,82は第1方向Xに回動可能である。2本の平行なアーム82,82の先端部側には、2本のスライド軸83,83が平行に架け渡されている。このスライド軸83,83によって、2本のアーム82,82が同期して第1方向Xへ回動するように連結されている。このスライド軸83,83は、棚側接点組立体61が固定されたスライダ84の軸受部842,842に挿通されている。このように棚側接点組立体61を支持したアーム82,82がアーム回転軸821,821を中心として第1方向Xへ回動することによって、棚側接点組立体61は駐車棚11に対する第1方向X及び上下方向の位置と姿勢を変化させることができる。
アーム82,82の先端部側は、アーム付勢機構91,91によって第1方向Xへパレット向き(充電パレット20側へ向かう向き)に付勢されている。図11に特に詳細に示されるように、各アーム付勢機構91は、アーム付勢バネ911、頭付ボルト912、付勢力調整ナット914、座金917,918などで構成されている。頭付ボルト912には、座金917、アーム付勢バネ911、座金918、基台81のバネ受部813、アーム82のバネ軸支承部913、および付勢力調整ナット914が順に通されている。アーム82のバネ軸支承部913により頭付ボルト912の先端部が第1方向Xに回動可能に支承されている。頭付ボルト912の先端に螺嵌された付勢力調整ナット914を締めたり緩めたりすることによって、アーム付勢バネ911の圧縮具合を変化させることができ、これによりアーム付勢バネ911によるアーム82の付勢力を調節することができる。上記構成のアーム付勢機構91において、アーム82の先端部側が第1方向Xへ反パレット向き(充電パレット20と反対側へ向かう向き)に回動すると、頭付ボルト912の頭部とバネ受部813との間でアーム付勢バネ911が縮み、縮んだアーム付勢バネ911の弾性回復力によってアーム82がパレット向きに付勢される。なお、アーム付勢バネ911は非接続時(接点73と集電子86とが接触していない状態)で縮んでいるように組み付けられている。このようにして、アーム82の先端部側は常に第1方向Xへパレット向きに付勢されている。
上記アーム82の非接続時の回動位置は、アーム付勢バネ911の付勢力と、基台81のバネ受部813に螺設されたアーム位置調整ボルト915と、アーム82に設けられたストッパ822によって定められている。非接続時において、アーム位置調整ボルト915の先端がストッパ822と当接している。このようにストッパ822がアーム位置調整ボルト915と当接することによって、アーム82の先端部側が第1方向Xへパレット向きにそれ以上回動しないように規制されて、アーム82の非接続時の回動位置が定められている。
〔第2移動機構102〕
第2移動機構102は、2本のスライド軸83,83、スライド軸83,83に沿って摺動可能なスライダ84、および2本のスライダ付勢バネ93,93などで構成されている。
スライド軸83,83の軸方向は第2方向Yと略平行である。このスライド軸83,83は棚側接点組立体61が固定されたスライダ84に挿通されている。スライダ84は、基板841と、基板841に固定された2つの軸受部842,842とで構成されている。スライダ84の基板841には、棚側接点組立体61の集電子ホルダ85とガイド87,87が取り付けられている。また、スライダ84の2つの軸受部842,842は、集電子ホルダ85に対して第2方向Yの両側に配置されており、各軸受部842には2本のスライド軸83,83が挿通されている。
2本のスライダ付勢バネ93,93は、一方のスライド軸83に挿通されている。一方のスライダ付勢バネ93は一方のアーム82とスライダ84の軸受部842との間に位置し、他方のスライダ付勢バネ93は他方のアーム82とスライダ84の軸受部842との間に位置している。
上記構成の第2移動機構102では、スライダ84がスライド軸83,83に沿って第2方向Yへ移動可能であり、このようなスライダ84の移動によって棚側接点組立体61は駐車棚11に対する第2方向Yの位置を変位可能である。そして、スライダ付勢バネ93,93により、スライド軸83,83に沿って移動したスライダ84は、スライド軸83,83上での基準となる位置(本実施の形態では、スライド軸83の第2方向Yの略中央)に戻るように付勢される。このようにして、非接続時にスライダ84は第2方向Yの基準となる位置に保持されている。
ここで、上記構成の給電システム60において、充電パレットが駐車棚の所定の駐車位置へ移動する動作中に棚側接点組立体61の複数の集電子86とパレット側接点組立体62の複数の接点73が位置合わせされて、さらに、これらの集電子86と接点73が電気的に接続される仕組みについて説明する。
充電パレット20の車輪24が駐車棚11の棚レール17に移載されて、充電パレット20が所定の駐車位置まで棚レール17に沿って第1方向Xへ横行する最終段階で、駐車棚11に対して充電パレット20が第2方向Yに位置ずれしている場合、図3,9に示すように、棚側接点組立体61側に設けられた案内機構92の被案内部92bである一対のガイド87,87とパレット側接点組立体62側に設けられた案内機構92の案内部92aである一対のガイド74,74が接触し、ガイド87,87の間にガイド74,74が進入する。さらに、充電パレット20が第1方向Xへ横行を続けると、案内部92aのガイド74,74から被案内部92bのガイド87,87へ与えられた第1方向Xの力によって被案内部92bのガイド87,87が第2方向Yに押圧される。このようなガイド87,87とガイド74,74の係合により、棚側接点組立体61とガイド87,87が固定されたスライダ84がスライド軸83,83に沿って第2方向Yへ移動して、各接点73とこれに対応する集電子86とが対峙するように、棚側接点組立体61の集電子86とパレット側接点組立体62の接点73が第2方向Yにおいて適切に位置決めされる。
上記のように棚側接点組立体61とパレット側接点組立体62とが第2方向Yにおいて位置決めされた状態で充電パレット20が第1方向Xに横行を続けて所定の駐車位置に到達する。この過程で、図4に示すように、各接点73とこれに対応する集電子86とが接触し、やがて、パレット側接点組立体62の複数の接点73によって棚側接点組立体61の複数の集電子86が押圧される。この押圧力により、棚側接点組立体61を支持しているアーム82,82が第1方向Xに反パレット向きに回動する。充電パレット20が駐車棚11の所定の駐車位置へ移動する動作中に接点73と集電子86が接触してからは、アーム82,82は第1方向Xに反パレット向きに回動しているので、アーム82,82はアーム付勢機構91,91により集電子86を接点73へ押し当てる向きに付勢されている。このようにして、充電パレット20が駐車棚11の所定の駐車位置へ移動する動作中に、一旦接触した接点73と集電子86は圧接され続けている。さらに、充電パレット20が駐車棚11の所定の駐車位置へ移動する動作中に、集電子86は、接触している接点73から受ける押圧力に応じて、接点73の傾きに追従して傾動したり、接点ホルダ72に対する進退方向へ移動したりする。上記のようにして、充電パレット20が所定の駐車位置に至ったときには、集電子86と接点73は、片当たりなどすることなく適当な接触圧を持って接触しており、接触不良などが生じることなく電気的に良好に接続されている。
上記のように棚側接点組立体61の集電子86とパレット側接点組立体62の接点73とが電気的に接続されると、給電システム60では電気車両EVを充電させることが可能となる。図12は充電パレットと充電電源装置の接続関係図である。同図に示すように、棚側接点組立体61に設けられた5つの集電子86のうち、中央位置の集電子86は中性線と接続されており、他の4個の集電子86はそのうち2個がR相電圧線と接続され、余の2個の集電子86がT相電圧線と接続されている。R相電圧線とT相電圧線は、充電電源装置42に設けられた各駐車棚11の開閉器43に接続されている。この開閉器43は、交流電源44に接続されている。上記集電子86と接点73の接続部では、R相とT相とが2経路に分岐されている。これにより、1本あたりの接点73に流れる電流値を低減させて、集電子86と接点73の接続部の温度上昇を抑制している。
充電パレット20に設けられたパレット側接点組立体62から中継ケーブル31がケーブル収納箱30へ導かれている。ケーブル収納箱30では、中継ケーブル31の先端に設けられたコネクタ32に、充電ケーブル34のコネクタ35が接続されている。そして、この充電ケーブル34の先端に設けられた充電アダプタ36が、電気車両EVの充電口51(図2、参照)に接続される。このようにして充電口51へ送られた電気は、A/D回路52を介してバッテリ53へ送られ、バッテリ53に充電される。バッテリ53の充電状況等は、電子コントロールユニット54(ECU)によって管理されている。
充電パレット20には2個のパレット側接点組立体62が設けられており、一方のパレット側接点組立体62は他方のパレット側接点組立体62と接続ケーブル45で接続されている。各パレット側接点組立体62の近接する位置には各々ケーブル収納箱30が設けられており、電気車両EVの充電口51の位置に応じていずれかのケーブル収納箱30内の中継ケーブル31を用いて充電できるようになっている。なお、本実施の形態では、ケーブル収納箱30は2つが充電パレット20に対角配置されているが、ケーブル収納箱30は4つが充電パレット20の前後・左右に設けられていたり、2つが充電パレット20の片側前後に設けられていたり、或いは1つが充電パレット20の適宜位置に設けられていてもよい。
以上説明したエレベータ式駐車装置1では、充電パレット20が充電に対応している駐車棚11へ格納される動作で、充電パレット20側のパレット側接点組立体62の複数の接点73と駐車棚11側の棚側接点組立体61の複数の集電子86との確実な位置決めと電気的な接続とを行うことができる。そして、充電パレット20が駐車棚11に移載されて所定の駐車位置まで第1方向Xへ横行する最終段階で、充電パレット20に駐車棚11の所定の駐車位置に対する位置変位(誤差)が生じていたとしても、複数の集電子86が棚側接点組立体61として一体的に駐車棚11に対する第1方向Xの位置と第2方向Yの位置を変化させたり、集電子86が集電子ホルダ85に対して進退移動する方向へ個別に移動したり、集電子86の接点面861が個別に傾動したりすることによって充電パレット20の位置誤差が吸収されて、パレット側接点組立体62と棚側接点組立体61が適切に位置決めされる。
例えば、充電パレット20が駐車棚11の所定の駐車位置に対して第1方向Xへずれている場合には、充電パレット20が駐車棚11の所定の駐車位置へ移動する動作中に、パレット側接点組立体62に棚側接点組立体61が押圧されてアーム82,82が回動することにより、棚側接点組立体61の集電子86の駐車棚11に対する第1方向Xの位置が変化して、充電パレット20の駐車棚11の所定の駐車位置に対する第1方向Xにおける位置ずれが吸収される。このようにして、棚側接点組立体61の複数の集電子86とパレット側接点組立体62の複数の接点73とを第1方向Xにおいて適切に位置決めさせることができる。そして、充電パレット20が駐車棚11の所定の駐車位置に対して上下方向へずれている場合にも、上記と同様にアーム82,82の回動により棚側接点組立体61の駐車棚11に対する上下方向の位置と姿勢を変化させることで、棚側接点組立体61の複数の集電子86とパレット側接点組立体62の複数の接点73とを上下方向において適切に位置決めさせることができる。この場合には、加えて、接点73と集電子86の接触域のその長手方向(略上下方向)に許容範囲があるので、接点73と集電子86は適宜位置で適切に接触することができる。
また、例えば、充電パレット20が駐車棚11の所定の駐車位置に対して第2方向Yへずれている場合には、充電パレット20が駐車棚11の所定の駐車位置へ移動する動作中に、パレット側接点組立体62側のガイド74,74により棚側接点組立体61側のガイド87,87が案内されて、スライダ84が棚側接点組立体61と一体的に第2方向Yへ移動する。これにより、棚側接点組立体61の集電子86の駐車棚11に対する第2方向Yの位置が変化して、充電パレット20の駐車棚11の所定の駐車位置に対する第2方向Yにおける位置ずれが吸収される。このようにして、棚側接点組立体61の複数の集電子86とパレット側接点組立体62の複数の接点73とを第2方向Yにおいて適切に位置決めさせることができる。
上記のように充電パレット20の駐車棚11の所定の駐車位置に対する上下方向、第1方向Xの位置ずれを吸収すべく、棚側接点組立体61が回動変位すると、集電子ホルダ85の第1方向Xおよび上下方向の位置の変化に伴って集電子ホルダ85の姿勢(向き)が変化する。これに対し、本実施形態では、集電子86の保持機構88により集電子86の接点面861が傾動可能であり、且つ、保持機構88および第1移動機構101により集電子86が接点73に向けて付勢されていることにより、集電子ホルダ85の姿勢が変化しても集電子86の姿勢(接点面861の向き)が変化することによって、接点73と集電子86の接点面861が面で当たっている状態を維持することができる。このようにして、充電パレット20が駐車棚11の所定の駐車位置へ移動する動作中と移動した後は、接点73と集電子86の接点面861は面と面で圧接した状態が維持される。さらに、特定の接点73または集電子86に個体差や摩耗などが生じていても、この特定の接点73と接触する集電子86または特定の集電子86が、接点73から受ける押圧力によって上下に傾動したり、集電子ホルダ85へ進退する方向へ移動したりすることによって、これらは良好に接触することができる。よって、全ての対応する接点73と集電子86は、片当たりしたり振動などにより離れたりするなどの接触不良が生じることなく、安定して電気的に良好に接続される。
また、以上説明したエレベータ式駐車装置1では、パレット側接点組立体62は、比較的コンパクトに構成されている。特に、パレット側接点組立体62の第2方向Yの大きさは、複数の接点73と2つのガイド74,74で定まる大きさである。パレット側接点組立体62が配置される充電パレット20の側端部21には、係合ローラ27の係合溝28が設けられる。この係合溝28の大きさを十分に確保するために、本実施形態のようにコンパクトにパレット側接点組立体62が構成されることが好ましい。また、本実施形態のように、パレット側接点組立体62が充電パレット20の側端部21に配置可能であることによって、充電パレット20そのものの配置スペースを標準パレット90のものと同じようにすることができる。例えば、充電パレット20の下面にパレット側接点組立体62を配置される場合は、充電パレット20を格納する駐車棚11の直下の車室にパレット側接点組立体62が突出するため棚ピッチを拡大しなければならないという不利益が生じる。
さらに、以上説明したエレベータ式駐車装置1では、棚側接点組立体61の第1方向Xへの移動に対して第1移動機構101が設けられ、棚側接点組立体61の第2方向Yへの移動に対して第2移動機構102が設けられている。このように、動作方向ごとに移動機構が分離されている。よって、第1移動機構101と第2移動機構102で、付勢力や移動範囲等を個別に最適化することが容易であり、各移動機構を確実に動作させることができる。
なお、上記実施の形態では、棚側接点組立体61側に第1移動機構101と第2移動機構102とを設け、棚側接点組立体61の駐車棚11に対する位置と姿勢を変化させるようにしているが、他の態様を採ることもできる。例えば、パレット側接点組立体62側に第1移動機構101と第2移動機構102とを設けて、パレット側接点組立体62の充電パレット20に対する位置と姿勢を変化させることができる。また、例えば、棚側接点組立体61側とパレット側接点組立体62側のうち一方に第1移動機構101を設け、他方に第2移動機構102を設けることができる。これらの例において、棚側接点組立体61とパレット側接点組立体62のうち第2移動機構102が設けられる一方に案内機構92の被案内部92bが設けられ、他方に案内機構92の案内部92aが設けられる。
また、上記実施の形態では、機械式駐車装置として、下部90°乗入れ方式のエレベータ式駐車装置1を例に説明したが、充電パレット20を一定時間定位置に格納する方式であればどのような方式の機械式駐車装置であってもよく、例えば、平面往復式、縦横パズル移動式、多段式等、種々の機械式駐車装置に適用することができる。また、上記実施の形態のエレベータ式駐車装置1では、電気車両EV用の充電パレット20と、充電付帯器具無しの一般的な標準パレット90とを混載した例を示したが、全て電気車両EV搭載用の充電パレット20としてもよい。
さらに、上記実施の形態では、棚側接点組立体61をエレベータ式駐車装置1に対角配置し、パレット側接点組立体62を充電パレット20に対角配置しているが、充電パレット20の旋回・非旋回方式、充電に供する駐車棚11が片側か両側か等により、種々の組み合わせ配置に適用可能である。例えば、棚側接点組立体61は、充電に対応する駐車棚11ごとに1組あればよい。また、パレット側接点組立体62は、充電パレット20を常に同一方向に格納するのであれば片側1箇所でもよい。
また、上記実施形態では、棚側接点組立体61側のガイド87,87が集電子86よりも第1方向Xへパレット向きに突出し、パレット側接点組立体62側のガイド74,74が接点73よりも第1方向Xへ反パレット向きに突出していることによって、充電パレット20が駐車棚11の所定の駐車位置へ移動する動作中に、ガイド87とガイド74が接点73と集電子86よりも先に接触する。ただし、ガイド87とガイド74が接点73と集電子86よりも先に接触すればよいのであって、ガイド87,74が必ずしも接点73または集電子86よりも第1方向Xへ突出していることに限定されない。接点73と集電子86の非接続時において、パレット側接点組立体62側のガイド74,74と棚側接点組立体61側のガイド87,87の第1方向Xの距離が、集電子86と接点73の第1方向Xの距離よりも短ければ、ガイド87とガイド74が接点73と集電子86よりも先に接触することになる。例えば、棚側接点組立体61において集電子86がガイド87,87よりも充電パレット20へ向けて突出していても、パレット側接点組立体62側のガイド74と棚側接点組立体61側のガイド87の第1方向Xの離間距離が集電子86と接点73の離間距離よりも短くなるように、パレット側接点組立体62のガイド74が棚側接点組立体61へ向けてより大きく突出していればよい。逆も同様であって、パレット側接点組立体62において接点73がガイド74,74よりも棚側接点組立体61へ向けて突出していても、パレット側接点組立体62側のガイド74と棚側接点組立体61側のガイド87の第1方向Xの離間距離が集電子86と接点73の離間距離よりも短くなるように、棚側接点組立体61側のガイド87がパレット側接点組立体62へ向けてより大きく突出していればよい。
また、上記実施の形態では、棚側接点組立体61側のガイド87,87が、パレット側接点組立体62側のガイド74,74を第2方向Yの両側から挟み込めるように配置されているが、逆であっても構わない。
また、上記実施の形態では、棚側接点組立体61側のガイド87,87は複数の集電子86の第2方向Yの両側に配置され、パレット側接点組立体62側のガイド74,74は複数の接点73の第2方向Yの両側に配置されているが、ガイド87,74の配置はこれに限定されない。例えば、棚側接点組立体61側のガイド87,87が複数の集電子86の上または下に第2方向Yに並んで配置され、これに対応するようにパレット側接点組立体62側のガイド74,74が複数の接点73の上または下に第2方向Yに並んで配置されていてもよい。
また、棚側接点組立体61側のガイド87,87のパレット側接点組立体62と対向している端部の第2方向Yの間隔が先広がりであり、パレット側接点組立体62側のガイド74,74の棚側接点組立体61と対向している端部(案内面741,741)の第2方向Yの間隔が先細りとなっているが、この形状にも限定されない。例えば、棚側接点組立体61側のガイド87,87のパレット側接点組立体62と対向している端部の第2方向Yの間隔が先広がりであって、パレット側接点組立体62側のガイド74,74の棚側接点組立体61と対向している端部が略平行であってもよい。また、例えば、パレット側接点組立体62側のガイド74,74の棚側接点組立体61と対向している端部(案内面741,741)の第2方向Yの間隔が先細りであって、棚側接点組立体61側のガイド87,87のパレット側接点組立体62と対向している端部が略平行であってもよい。いずれのガイド87,74の形状の組合せであっても、第2方向Yにおいて外側に位置する一方の一対のガイドの内側に他方の一対のガイドが進入するように、一方が他方を案内することができる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態を説明する。第2実施形態に係る機械式駐車装置1では、充電パレット20を駐車棚11へ格納するときに、充電パレット20がエレベータ搬器12から駐車棚11へ第1方向Xに横行してから、降下して棚レール17に載置されて、所定の駐車位置へ至るように構成されている。したがって、第2実施形態に係る機械式駐車装置1は、前述の第1実施形態に係る機械式駐車装置1に対して、パレット20,90の横行方式、案内機構92のガイドの形状、棚側接点組立体61の移動機構の構成などが異なる。よって、これらの相違部分について特に詳細に説明し、余の説明は省略する。さらに、本実施形態の説明においては、前述の第1実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略することがある。
図13は第2実施形態に係る棚側接点組立体61とパレット側接点組立体62を第2方向Yから見た図、図14は棚側接点組立体61とパレット側接点組立体62の接続された状態を第2方向Yから見た図、図15はパレット側接点組立体62を第1方向Xから見た図である。図14では、接点73と集電子86が接触している状態を理解しやすいように第1方向Xの断面が表わされている。図13〜15に示すように、パレット側接点組立体62は、複数の接点73とこれらを保持している接点ホルダ72とで構成されている。接点ホルダ72が固定された基板71には、案内機構92の案内部92aを構成している2つのガイド(案内部材)74,74が固定されている。なお、第1実施形態に係るガイド74の第1方向X先端部は垂直方向に対し傾きを有するのに対し、第2実施形態に係るガイド74の第1方向X先端部は略垂直に形成されている。
第2実施形態に係る棚側接点組立体61は第1移動機構101、第2移動機構102、および第3移動機構103を介して駐車棚11に支持されている。図16は棚側接点組立体61と第1移動機構101と第2移動機構102と第3移動機構103を第1方向Xから見た図、図17は第1移動機構101と第2移動機構102と第3移動機構103を説明するための図16におけるXVII−XVII矢視断面図である。図17では、第1移動機構101と第2移動機構102と第3移動機構103以外の構成要素を省略しており、スライダ84とフラップ96の一部を切り欠いて示している。
図13,14,16,17に示すように、棚側接点組立体61は、集電子ホルダ85と、集電子ホルダ85に保持された複数の集電子86とで構成されている。集電子ホルダ85はフラップ96に固定されている。フラップ96は、アーム82の上部にアーム82に対して第1方向Xへ回動可能に支持されている。このように、第1実施形態では棚側接点組立体61がスライダ84に設けられているのに対し、本第2実施形態では棚側接点組立体61がフラップ96に設けられている。続いて、棚側接点組立体61の複数の集電子86の移動機構である第1移動機構101、第2移動機構102、および第3移動機構103についてそれぞれ詳細に説明する。
第1移動機構101は、駐車塔2の梁等に固定された基台81、基台81に支承された2本の平行なアーム82,82、アーム82,82に架け渡された2本の平行なスライド軸83,83、およびアーム付勢機構91などで構成されている。基台81には、駐車塔2の梁等に固定される基板812と、基板812上に固定された2つの支承部811,811と、基板812上に立設されたバネ受部813とが設けられている。各支承部811では、アーム82の基端部(下部)が第2方向Yのアーム回転軸821を中心として回動可能に支承されている。2本の平行なアーム82,82の先端部(上部)側には、2本のスライド軸83,83が平行に架け渡されている。アーム82,82の先端部側は、アーム付勢機構91,91によって、第1方向Xへパレット向きに付勢されている。図17に特に詳細に示されるように、アーム付勢機構91は略平行に配置された2本のボルト912,912を備えている。各ボルト912は、付勢力調整ナット914、座金917、アーム付勢バネ911、座金918、バネ受部813、バネ軸支承部913および付勢力調整ナット914の順に通されている。座金917と座金918は、2本のボルト912,912で共用されている。バネ軸支承部913はアーム82に設けられており、バネ軸支承部913によってボルト912が第1方向Xに回動可能に支承されている。付勢力調整ナット914,914を締めたり緩めたりすることによりアーム付勢バネ911の圧縮具合を変化させることが可能であり、これによりアーム付勢バネ911によるアーム82の付勢力を調節することができる。上記構成のアーム付勢機構91において、アーム82の先端部側が第1方向Xへ反パレット向きに回動すると、座金917と座金918との間でアーム付勢バネ911,911が縮み、縮んだアーム付勢バネ911,911の弾性回復力によってアーム82が付勢される。なお、アーム付勢バネ911,911は非接続時で縮んでいるように組み付けられており、これによりアーム82の先端部側は常に第1方向Xへパレット向きに付勢されている。
第2移動機構102は、2本のスライド軸83,83、スライド軸83,83に沿って摺動可能なスライダ84、および2本のスライダ付勢バネ93,93などで構成されている。
スライド軸83,83の軸方向は第2方向Yと略平行である。このスライド軸83,83はスライダ84に挿通されている。スライダ84は、基板841と、基板841に固定された2つの軸受部842,842とで構成されている。スライダ84の基板841には、案内機構92の被案内部92bを構成している2つのガイド87,87が取り付けられている。スライダ84上の2つのガイド87,87の第2方向Yの位置は、案内機構92の案内部92aであるガイド74,74が被案内部92bであるガイド87,87の間に接触しながら第1方向Xへ進入できるように定められている。2つのガイド87,87の対向する面には、ストッパ95,95がそれぞれ設けられている。各ストッパ95は、接点73と集電子86との接続時にパレット側接点組立体62側のガイド74の先端部が当接できるように配置されている。そして、ストッパ95のガイド74との当接面951は、接続時(図14、参照)に略垂直面となるように形成されており、非接続時(図13、参照)は下向きの斜面となっている。
スライダ84の2つの軸受部842,842は、2つのガイド87,87の第2方向Yの間に配置されており、各軸受部842には2本のスライド軸83,83が挿通されている。そして、2本のスライド軸83,83のうち一方のスライド軸83に2つのスライダ付勢バネ93,93が挿通されている。一方のスライダ付勢バネ93は一方のアーム82とスライダ84の軸受部842との間に位置し、他方のスライダ付勢バネ93は他方のアーム82とスライダ84の軸受部842との間に位置する。
第3移動機構103は、図16,17に特に詳細に示されるように、2本のスライド軸83,83のうち、上方に位置する一方のスライド軸83に挿通されたフラップ96およびフラップ付勢機構97,97などで構成されている。
フラップ96は、スライダ84の2つの軸受部842,842の第2方向Yの間に配置されている。フラップ96は、基板963と、基板963の第2方向Yの両側端部に固定された2枚の軸受板962,962とで構成されている。フラップ96の基板963には、複数の集電子86を保持している集電子ホルダ85が取り付けられている。このような構成により、複数の集電子86はフラップ96と一体的に移動する。なお、集電子86の下方には集電子86を上方へ付勢するレバー89が設けられている。レバー89の基端部89aはフラップ96の軸受板962に回動可能に支承されており、レバー89の先端部89bとフラップ96の軸受板962との間には引張バネであるレバー付勢バネ891が架け渡されている。
フラップ96の2枚の軸受板962,962には、それぞれ上側のスライド軸83が挿通されている。各軸受板962には、筒状のボス964が設けられており、このボス964に上側のスライド軸83が挿通されている。これらのボス964,964により、フラップ96とスライダ84の軸受部842,842との第2方向Yの間が離間されているとともに、スライダ84に対するフラップ96の第2方向Yの位置が位置決めされている。このような構成により、スライダ84がスライド軸83,83に沿って第2方向Yに移動するときに、複数の集電子86を備えたフラップ96もスライダ84と一体的に第2方向Yへ移動する。
また、上記構成のフラップ96は、上側のスライド軸83を中心として第1方向Xに回動することができる。フラップ96の回動範囲はフラップ付勢機構97により定められている。フラップ付勢機構97は、フラップ96の第2方向Y両端部に設けられている。各フラップ付勢機構97は、頭付ボルト971、フラップ付勢バネ972、バネ軸支承部961、付勢力調整ナット974などで構成されている。頭付ボルト971は、スライダ84の基板841、フラップ付勢バネ972、座金973、フラップ96のバネ軸支承部961、および付勢力調整ナット974の順に通されている。フラップ96のバネ軸支承部961では、頭付ボルト971が第1方向Xに回動可能に支承されている。付勢力調整ナット974を締めたり緩めたりすることによってフラップ付勢バネ972の圧縮具合を変化させることが可能であり、これによりフラップ付勢バネ972によるフラップ96の付勢力を調節することができる。上記構成のフラップ付勢機構97において、フラップ96が第1方向Xへ反パレット向きに回動すると、座金973とスライダ84の基板841との間でフラップ付勢バネ972が縮み、縮んだフラップ付勢バネ972の弾性回復力によってフラップ96がパレット向きに付勢される。なお、フラップ付勢バネ972は非接続時(接点73と集電子86とが接続されていない状態)で縮んでいるように組み付けられている。これによりフラップ96は常に第1方向Xへパレット向きに付勢され、フラップ96の非接続時のスライダ84に対する回動位置が定められる。
上記構成の第1移動機構101および第3移動機構103では、スライダ84およびフラップ96に組み付けられた棚側接点組立体61を支持したアーム82,82が第1方向Xへ回動することによって、棚側接点組立体61は駐車棚11に対する第1方向X及び上下方向の位置と姿勢を変化させることができる。さらに、複数の集電子86を保持しているフラップ96が第1方向Xへ回動することによって、複数の集電子86は駐車棚11およびアーム82に対する第1方向X及び上下方向の位置と姿勢を変化させることができる。
また、上記構成の第2移動機構102および第3移動機構103では、スライダ84がスライド軸83,83に沿って第2方向Yへ移動可能であり、このようなスライダ84の移動によって棚側接点組立体61は駐車棚11に対する第2方向Yの位置を変位可能である。そして、スライド軸83,83に沿って移動したスライダ84は、スライダ付勢バネ93,93により、非接続時にスライド軸83,83上での基準となる位置(本実施の形態では、スライド軸83の第2方向Yの略中央)に戻るように付勢されている。
ここで、充電パレットが駐車棚の所定の駐車位置へ移動する動作中に、第2実施形態に係る棚側接点組立体61の複数の集電子86とパレット側接点組立体62の複数の接点73が位置合わせされて、さらに、これらの集電子86と接点73が電気的に接続される仕組みについて説明する。
充電パレット20が所定の駐車位置まで第1方向Xへ横行する最終段階で、充電パレット20が駐車棚11の所定の駐車位置に対し第2方向Yへ位置ずれしている場合、図13に示すように、棚側接点組立体61側に設けられた案内機構92の被案内部92bである一対のガイド87,87とパレット側接点組立体62側に設けられた案内機構92の案内部92aである一対のガイド74,74が接触し、ガイド87,87の間にガイド74,74が進入する。さらに、充電パレット20が第1方向Xへ横行を続けると、案内部92aのガイド74,74から被案内部92bのガイド87,87へ与えられた第1方向Xの力によって被案内部92bのガイド87,87が第2方向Yに押圧される。このようなガイド87,87とガイド74,74の係合により、ガイド87,87が固定されたスライダ84と集電子ホルダ85が固定されたフラップ96がスライド軸83,83に沿って第2方向Yへ移動し、各接点73とこれに対応する集電子86とが対峙するように、棚側接点組立体61とパレット側接点組立体62が第2方向Yにおいて適切に位置決めされる。さらに充電パレット20が所定の駐車位置まで第1方向Xへ横行を続けることで、ガイド74,74がストッパ95,95に当接して、ストッパ95,95がガイド74,74に押圧される。これにより、図14に示すように、アーム82,82がアーム回転軸821,821を中心として、ストッパ95の当接面951が略垂直となる位置まで、第1方向Xに反パレット向きに回動する。
充電パレット20は、上記のように棚側接点組立体61とパレット側接点組立体62とが第2方向Yに位置決めされた状態で、最後に下方へ移動して所定の駐車位置へ至る。このとき、ガイド74,74がストッパ95,95に案内されて、棚側接点組立体61に対しパレット側接点組立体62が略垂直に降下する。この過程で、各接点73とこれに対応する集電子86とが接触して集電子86が接点73に押圧される。これに伴い、各接点73とこれに対応する集電子86とが接触を続けるように、フラップ96が上側のスライド軸83を中心として第1方向Xへ反パレット向きに回動するとともに、集電子86の接点面861が傾動する。以上のようにして、充電パレット20が所定の駐車位置に至ったあとは、アーム82,82とフラップ96は第1方向Xにパレット向きに付勢されているので、集電子86と接点73は接触圧を持って接触を続ける。さらに、集電子86の保持機構88によって、集電子86は接点73の傾きに追従して傾動したり、接点73から受ける押圧力に応じて接点ホルダ72側へ進退移動したりして、接点73と集電子86は片当たりすることなく面と面で接触している。このようにして、充電パレット20が所定の駐車位置にあるときに、集電子86と接点73は、片当たりなどすることなく、接触圧を持って接触している。よって、集電子86と接点73は、接触不良などが生じることなく、電気的に良好に接続される。
以上説明した通り、第2実施形態に係るエレベータ式駐車装置1は、前述の第1実施形態に係るエレベータ式駐車装置1と充電パレット20が駐車棚11で横行する方式が相違するが、本発明はこのようなパレット横行方式の違いにも対応することができる。
なお、上述した実施の形態は一例を示しており、本発明の要旨を損なわない範囲での種々の変更は可能であり、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではない。