JP6210277B2 - ステアリング装置 - Google Patents
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例えば、特許文献1のステアリングコラム用支持装置では、車体に固定された車体側ブラケットに、コラム軸方向に平行に延びる係止切欠きが設けられている。係止切欠きには、係止カプセルが嵌め込まれていて、係止カプセルは、複数の係止ピンによって車体側ブラケットに対して位置決めされている。そして、ステアリングホイールを保持するコラム側ブラケットが、ボルトによって各係止カプセルに連結されている。
請求項3記載の発明は、前記固定ブラケットから延びて前記可動ブラケットを吊る吊り部材(25)を含み、前記スライド部材には、前記吊り部材を通す切り欠き部(93)が形成されていることを特徴とする、請求項1または2記載のステアリング装置である。
ここで、可動ブラケットに組み付けられたスライド部材が、可動ブラケットと固定ブラケットとの間に介在された状態で可動ブラケットと一体移動するので、可動ブラケットと固定ブラケットとの間の摩擦を低減させることができる。
第1折曲部は、移動方向における下流側から可動ブラケットに引っ掛かっている。そのため、スライド部材を可動ブラケットに対して移動方向に位置決めできるだけでなく、二次衝突時には、スライド部材を、必ず、移動方向における下流側へ向けて可動ブラケットと一体移動させることができる。
そして、第1折曲部および第2折曲部のそれぞれが可動ブラケットに引っ掛かるように本体部を可動ブラケットに載せるだけで、可動ブラケットにスライド部材を容易に組み付けることができる。よって、二次衝突時に衝撃吸収のために相対移動する1対の部材間(可動ブラケットと固定ブラケットとの間)の摩擦を低減させる構成(スライド部材)の組み付け性の向上を図ることができる。
請求項3記載の発明によれば、スライド部材の切り欠き部に吊り部材を通すことによって、スライド部材を、吊り部材との干渉を避けて可動ブラケットに組み付けることができる。
図1は、本発明の一実施形態におけるステアリング装置1の模式的側面図であり、ステアリング装置1の概略構成を示している。なお、図1における左側が、ステアリング装置1および(ステアリング装置1が取り付けられる)車体の前側であり、図1における右側が、ステアリング装置1および車体の後側である。また、図1における上側が、ステアリング装置1および車体の上側であり、図1における下側が、ステアリング装置1および車体の下側である。
ピニオン軸7の端部(下端部)の近傍には、ピニオン7Aが設けられていて、ラック軸8のラック8Aと噛み合っている。ピニオン軸7およびラック軸8を含むラックアンドピニオン機構によって、操舵機構A1が構成されている。ラック軸8は、車体側部材(車体そのもの、または車体に固定された部材をいい、以下同じ)9に固定されたハウジング10によって支持されている。ラック軸8は、車両の幅方向である車幅方向(紙面とは直交する方向)に移動可能である。ラック軸8の各端部は、図示しないタイロッドおよびナックルアームを介して、転舵輪(車輪)に連結されている。
操舵部材2を回転させることによって操舵すると、操舵部材2の回転は、ステアリングシャフト3、自在継手4、中間軸5、自在継手6およびピニオン軸7に対してこの順番で伝達され、ラック軸8の車幅方向における直線移動へと変換される。これにより、転舵輪の転舵が達成される。また、必要に応じて、電動モータ19が駆動されて、ステアリングシャフト3の回転が補助されるので、操舵部材2の操舵が補助される。
そして、車体側部材14に固定されたロアーブラケット59が、ピボット軸であるチルト中心軸36を支持している。チルト中心軸36は、ステアリングコラム15のハウジング18を介して、ステアリングコラム15全体を、当該チルト中心軸36の回りに揺動可能に支持している。ステアリングコラム15を揺動させることによって、チルト調整が可能となる。なお、本発明は、テレスコ調整機能およびチルト調整機能の両方を有するステアリング装置だけでなく、どちらかの調整機能だけを有するステアリング装置にも適用可能である。
概略断面図である図2に示すように、ステアリング装置1は、車体側部材13に固定された固定ブラケット23と、アッパージャケット16に連結された可動ブラケット24と、一対の吊り下げ機構T1,T2とをさらに含んでいる。固定ブラケット23は、吊り下げ機構T1,T2を介して可動ブラケット24(換言すれば、可動ブラケット24に連結されたアッパージャケット16)を吊り下げている。
固定ブラケット23は、アッパーブラケットともいい、例えば板金等により形成されている。固定ブラケット23は、軸方向X1および左右方向Y1の両方に沿って延びる平板状の第1板30と、第1板30の一対の側縁(左右方向Y1における外側縁)からそれぞれ下向きに延設された一対の側板37と、一対の側板37からそれぞれ(左右方向Y1における)外側方へ延設された一対の取付板38とを備えている。各取付板38に形成されたねじ挿通孔39に対して下から挿通された金属製の固定ボルト40(図5参照)によって、各取付板38が、車体側部材13に固定されている(図2参照)。これにより、固定ブラケット23が車体側部材13に固定されている。
また、第1板30には、1対の長溝31を仕切る境界部分35が一体的に設けられている。境界部分35は、固定ブラケット23の一部として1対の長溝31の間で軸方向X1に沿って帯状に延びている。軸方向X1における境界部分35の一端部(後端部)には、境界部分35(第1板30)を板厚方向に貫通する第1貫通孔66が形成されている。第1貫通孔66と各長溝31との左右方向Y1における間隔は等しい。
各吊り下げ機構T1,T2は、吊り部材25と、皿ばね等の板ばね42と、ナット34と、スライドプレート43とによって構成されている。吊り部材25、板ばね42およびナット34のそれぞれは、吊り下げ機構T1,T2に応じて1対(2つ)ずつ設けられていて、左右方向Y1に並んで配置されている。
前端部90Aは、本体部90において、前述した移動方向Z1における下流側端部である。前端部90Aは、前側へ向けて左右方向Y1に一段若干狭くなった凸状になっている。そのため、前端部90Aの前側の縁(本体部90の前端縁)では、左右方向Y1における中央部分90Dが、残りの部分(左右両側の部分)よりも前側へ突出している。
第1折曲部91は、図4に示すように、本体部90と略直角となるように、前端部90A(厳密には、前端部90Aにおいて前側へ突出した中央部分90D)から下方へ折れ曲がっている。第1折曲部91は、軸方向X1に薄く左右方向Y1に細長い薄板状(帯状)である。第1折曲部91の板厚は、本体部90の板厚と同じである。第1折曲部91の左右方向Y1における寸法は、中央部分90Dの左右方向Y1における寸法と同じであり、本体部90の左右方向Y1における寸法(最大寸法)より少し小さい。
また、スライド部材89には、切り欠き部93が形成されている。切り欠き部93は、軸方向X1における本体部90の略中央に形成されていて、左右方向Y1に延びている。切り欠き部93は、本体部90と、各第2折曲部92において本体部90に隣接した部分とに跨って形成されており、本体部90と各第2折曲部92とを、それぞれの板厚方向において貫通している。切り欠き部93により、スライド部材89は、前側部分89Aと後側部分89Bとに区切られているが、前側部分89Aと後側部分89Bとは、各第2折曲部92(切り欠き部93が形成されていない部分)によってつながって一体化されている。そのため、スライド部材89は、1ピース構造(複数の部品に分離していない構造)になっている。
図2を参照して、前述したように各吊り部材25が固定ブラケット23から延びて可動ブラケット24を吊り下げている状態において、可動ブラケット24に組み付けられたスライド部材89では、本体部90が、可動ブラケット24の第2板32と固定ブラケット23の第1板30との間に差し込まれている。本体部90では、上面90Eが、摩擦低減材81を介して第1板30の下面30Bに対して下から面接触している。そのため、可動ブラケット24と固定ブラケット23との間には、スライド部材89が常に介在された状態となっていて、可動ブラケット24と固定ブラケット23とは直接接触していない。
そして、ステアリング装置1は、連結・離脱機構R1を備えている。連結・離脱機構R1は、固定ブラケット23と可動ブラケット24とを連結し、二次衝突時に、可動ブラケット24を初期位置から図7に示すように軸方向X1における前側(移動方向Z1における下流側)へ向けて第1板30から離脱(相対移動)させる。
前述した通常状態では、固定ブラケット23の第1板30の第1貫通孔66と、可動ブラケット24の第2板32の第2貫通孔67とが、軸方向X1(移動方向Z1)および左右方向Y1において同じ位置(スライド部材89の切り欠き部93の内側領域)にあって、上下に対向している。このとき、ピン61の頭部63と金属カラー62の大部分とは、固定ブラケット23の第1板30の第1貫通孔66に挿通されている。金属カラー62の一部は、第1貫通孔66から下方へ突出している。ピン61の軸部64のうち、金属カラー62から突出した部分が、可動ブラケット24の第2板32の第2貫通孔67に挿通されている。つまり、ピン61は、対向状態にある第1貫通孔66および第2貫通孔67に対して跨って挿通されている。これによって、ピン61は、固定ブラケット23に対して可動ブラケット24を位置決めしている。
一方、スライドプレート43が、ピン61の頭部63の上方を覆うように配置されることで、ピン61の上方への脱落が防止されている。また、スライドプレート43には、ピン61の頭部63に対向して、頭部63の外径よりも小さい覗き孔65が形成されている。連結・離脱機構R1の組立後に、スライドプレート43の覗き孔65を通してピン61の頭部63を視認することにより、ピン61の組み付け忘れ等の作業不良を容易に判断することができる。
また、第1板30の各第1貫通孔66は、左右方向Y1に長い横長孔に形成されている。これにより、左右方向Y1に関して、金属カラー62の外周と第1貫通孔66の内周との間に隙間S1,S2が設けられている。
二次衝突時には、図7に示すように、第1貫通孔66と第2貫通孔67とがずれる。これに伴う金属カラー62の第2端部622と第2板32との合わせ面のずれによって、ピン61の軸部64が、第1貫通孔66と第2貫通孔67との間の位置で剪断(破断)される。金属カラー62の第2端部622の内周縁で構成される剪断刃は、円弧状であり(図8参照)、第2板32の第2貫通孔67の縁部で構成される剪断刃も、円弧状である(図9参照)。
ここで、可動ブラケット24に組み付けられたスライド部材89が、可動ブラケット24と固定ブラケット23との間に介在された状態で可動ブラケット24と一体移動するので、可動ブラケット24と固定ブラケット23との間の摩擦を低減させることができる。
そして、図4において点線で示したスライド部材89のように、第1折曲部91および第2折曲部92のそれぞれが可動ブラケット24に引っ掛かるように、本体部90を可動ブラケット24(第2板32の上面32A)に載せるだけで(上からかぶせるだけで)、可動ブラケット24にスライド部材89を容易に組み付けることができる。さらにスライド部材89の位置決めも達成できる。よって、スライド部材89の組み付けについての工数削減や、組み付け位置の調整の簡素化が達成される。そのため、二次衝突時に衝撃吸収のために相対移動する1対の部材間(可動ブラケット24と固定ブラケット23との間)の摩擦を低減させる構成(スライド部材89)の組み付け性の向上を図ることができる。
なお、スライド部材89の左右方向Y1における最大寸法は、可動ブラケット24の第2板32の左右方向Y1における最大寸法(厳密には、連結部70における1対の側板41の対向間隔)よりも大きく設定されている。そのため、作業者がスライド部材89を第2板32の下側(1対の側板41の間)に間違って組み込むことは、物理的に不可能である。
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
Claims (3)
- 車体に固定される固定ブラケットと、
操舵部材に連結されており、二次衝突時には、操舵部材を伴って、所定の移動方向における下流側へ向けて前記固定ブラケットに対して相対移動可能な可動ブラケットと、
前記可動ブラケットに組み付けられ、二次衝突時には、前記可動ブラケットと前記固定ブラケットとの間に介在された状態で前記可動ブラケットと一体移動するスライド部材と、を含み、
前記スライド部材は、
前記可動ブラケットと前記固定ブラケットとの間に差し込まれ、二次衝突時には前記固定ブラケットに摺擦する本体部と、
前記本体部において前記移動方向における下流側端部から折れ曲がっていて、前記移動方向における下流側から前記可動ブラケットに引っ掛かる第1折曲部と、
前記本体部において前記移動方向に対する直交方向における両端部から折れ曲がっていて、前記直交方向における両側から前記可動ブラケットに引っ掛かる第2折曲部とを含むことを特徴とする、ステアリング装置。 - 前記第1折曲部において前記本体部側とは反対側の先端部を、前記移動方向における上流側へ折り曲げることによって形成され、前記本体部との間で可動ブラケットを挟む挟持部を含むことを特徴とする、請求項1記載のステアリング装置。
- 前記固定ブラケットから延びて前記可動ブラケットを吊る吊り部材を含み、
前記スライド部材には、前記吊り部材を通す切り欠き部が形成されていることを特徴とする、請求項1または2記載のステアリング装置。
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