JP6150335B2 - ステアリング装置 - Google Patents
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例えば、特許文献1のステアリングコラム用支持装置では、車体に固定された車体側ブラケットに、コラム軸方向に平行に延びる係止切欠きが設けられている。係止切欠きには、係止カプセルが嵌め込まれていて、係止カプセルは、複数の係止ピンによって車体側ブラケットに対して位置決めされている。そして、ステアリングホイールを保持するコラム側ブラケットが、ボルトによって係止カプセルに連結されている。
なお、上記において、括弧内の数字等は、後述する実施形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
ここで、可動ブラケットの上流側部分に組み付けられた上流側スライド部材が、当該上流側部分と固定ブラケットとの間に介在された状態で可動ブラケットと一体移動する。また、可動ブラケットの下流側部分に組み付けられた下流側スライド部材が、当該下流側部分と固定ブラケットとの間に介在された状態で可動ブラケットと一体移動する。上流側スライド部材および下流側スライド部材によって、可動ブラケットと固定ブラケットとの間の摩擦を低減させることができる。
請求項2記載の発明によれば、挟持部によって、上流側スライド部材および下流側スライド部材のそれぞれを可動ブラケットに対してより強固に組み付けることができる。
図1は、本発明の一実施形態におけるステアリング装置1の模式的側面図であり、ステアリング装置1の概略構成を示している。なお、図1における左側が、ステアリング装置1および(ステアリング装置1が取り付けられる)車体の前側であり、図1における右側が、ステアリング装置1および車体の後側である。また、図1における上側が、ステアリング装置1および車体の上側であり、図1における下側が、ステアリング装置1および車体の下側である。
ピニオン軸7の端部(下端部)の近傍には、ピニオン7Aが設けられていて、ラック軸8のラック8Aと噛み合っている。ピニオン軸7およびラック軸8を含むラックアンドピニオン機構によって、操舵機構A1が構成されている。ラック軸8は、車体側部材(車体そのもの、または車体に固定された部材をいい、以下同じ)9に固定されたハウジング10によって支持されている。ラック軸8は、車両の幅方向である車幅方向(紙面とは直交する方向)に移動可能である。ラック軸8の各端部は、図示しないタイロッドおよびナックルアームを介して、転舵輪(車輪)に連結されている。
操舵部材2を回転させることによって操舵すると、操舵部材2の回転は、ステアリングシャフト3、自在継手4、中間軸5、自在継手6およびピニオン軸7に対してこの順番で伝達され、ラック軸8の車幅方向における直線移動へと変換される。これにより、転舵輪の転舵が達成される。また、必要に応じて、電動モータ19が駆動されて、ステアリングシャフト3の回転が補助されるので、操舵部材2の操舵が補助される。
そして、車体側部材14に固定されたロアーブラケット59が、ピボット軸であるチルト中心軸36を支持している。チルト中心軸36は、ステアリングコラム15のハウジング18を介して、ステアリングコラム15全体を、当該チルト中心軸36の回りに揺動可能に支持している。ステアリングコラム15を揺動させることによって、チルト調整が可能となる。なお、本発明は、テレスコ調整機能およびチルト調整機能の両方を有するステアリング装置だけでなく、どちらかの調整機能だけを有するステアリング装置にも適用可能である。
概略断面図である図2に示すように、ステアリング装置1は、車体側部材13に固定された固定ブラケット23と、アッパージャケット16に連結された可動ブラケット24と、一対の吊り下げ機構T1,T2とをさらに含んでいる。固定ブラケット23は、吊り下げ機構T1,T2を介して可動ブラケット24(換言すれば、可動ブラケット24に連結されたアッパージャケット16)を吊り下げている。
固定ブラケット23は、アッパーブラケットともいい、例えば板金等により形成されている。固定ブラケット23は、軸方向X1および左右方向Y1の両方に沿って延びる平板状の第1板30と、第1板30の一対の側縁(左右方向Y1における外側縁)からそれぞれ下向きに延設された一対の側板37と、一対の側板37からそれぞれ(左右方向Y1における)外側方へ延設された一対の取付板38とを備えている。第1板30の上面30Aおよび下面30Bは、軸方向X1および左右方向Y1の両方に沿って平坦である。各取付板38に形成されたねじ挿通孔39に対して下から挿通された金属製の固定ボルト40(図5参照)によって、各取付板38が、車体側部材13に固定されている(図2参照)。これにより、固定ブラケット23が車体側部材13に固定されている。
また、第1板30には、1対の長溝31を仕切る境界部分35が一体的に設けられている。境界部分35は、固定ブラケット23の一部として1対の長溝31の間で軸方向X1に沿って帯状に延びている。軸方向X1における境界部分35の一端部(後端部)には、境界部分35(第1板30)を板厚方向に貫通する第1貫通孔66が形成されている。第1貫通孔66と各長溝31との左右方向Y1における間隔は等しい。
各吊り下げ機構T1,T2は、吊り部材25と、皿ばね等の板ばね42と、ナット34と、スライドプレート43とによって構成されている。吊り部材25、板ばね42およびナット34のそれぞれは、吊り下げ機構T1,T2に応じて1対(2つ)ずつ設けられていて、左右方向Y1に並んで配置されている。
そして、上流側スライド部材89Uと下流側スライド部材89Dとは、同一構造であり、形状および大きさが等しい。そのため、以下では、各スライド部材89を、上流側スライド部材89Uや下流側スライド部材89Dと区別することなく、説明することがある。
図3を参照して、本体部90は、第1板30および第2板32のそれぞれと平行に配置される薄板状である。板厚方向から見たときの本体部90は、左右方向Y1に長い長方形状をなしている。本体部90において、軸方向X1に延びる左端縁および右端縁が、当該長方形状における左右一対の辺(短辺)であり、左右方向Y1に延びる前端縁および後端縁が、当該長方形状における前後一対の辺(長辺)である。本体部90における前端縁および後端縁の一方(上流側スライド部材89Uの場合は前端縁であり、下流側スライド部材89Dの場合は後端縁)の左右方向Y1における中央には、当該中央における本体部90を板厚方向に貫通するように切り欠く切り欠き部93が形成されている。切り欠き部93は、本体部90における前端縁および後端縁の他方(上流側スライド部材89Uの場合は後端縁であり、下流側スライド部材89Dの場合は前端縁)へ向けて窪んでいる。切り欠き部93は、当該他方へ向けて左右方向Y1において幅狭となる矩形状である。
ここで、各スライド部材89において、複数(ここでは左右2つ)の挟持部95を1つの挟持部95とみなし、左右方向Y1における当該1つの挟持部95の一端縁95Aおよび他端縁95Bを定義する。図3における上流側スライド部材89Uに着目すると、この実施形態において、一端縁95Aは、実際は2つ存在する挟持部95における左側の挟持部95の左端縁であり、他端縁95Bは、右側の挟持部95の右端縁である。または、一端縁95Aを、右側の挟持部95の右端縁とし、他端縁95Bを、左側の挟持部95の左端縁としてもよい。このことは、下流側スライド部材89Dにも当てはまる。いずれにせよ、左右方向Y1における挟持部95の一端縁95Aおよび他端縁95Bの間隔Kは、可動ブラケット24における一対の側板41と第2板32との境界における一対の側板41の間隔L以下である。厳密には、間隔Kは、間隔Lより若干小さい。一方で、左右方向Y1における本体部90の最大寸法Mは、一対の側板41の間隔L、さらには、一対の側板41の最大間隔N(図4参照。前述した連結部70における間隔であり、間隔L以上の大きさを有する)よりも大きい。
ここで、第2板32への各スライド部材89の組み付けに関連して、第2板32の後端部321(移動方向Z1における可動ブラケット24の上流側部分)における上面32Aには、凹部97(第1凹部)が設けられている。また、第2板32の前端部322(移動方向Z1における可動ブラケット24の下流側部分)における上面32Aにも、凹部97(第2凹部)が設けられている。前端部322および後端部321のそれぞれでは、各スライド部材89の凸部94と同数(ここでは2つ)の凹部97が左右方向Y1に並んで設けられている。前端部322および後端部321のそれぞれでは、2つの凹部97は、第2板32の左右方向Y1における中央を基準として対称に配置されていて、当該2つの凹部97の間隔は、各スライド部材89における2つの凸部94の間隔と等しい。また、前端部322の2つの凹部97は、挿通孔33および第2貫通孔67よりも前側に位置しており、後端部321の2つの凹部97は、挿通孔33および第2貫通孔67よりも後側に位置している。この実施形態では、各凹部97は、第2板32を上面32Aから板厚方向に貫通して下面32Bまで到達しているが(後述する図6および図7参照)、下面32Bまで到達していなくてもよい。また、各凹部97の断面は、略半球状の凸部94とほぼ同じ(または僅かに大きい)直径を有する円形状である。
図2を参照して、前述したように各吊り部材25が固定ブラケット23から延びて可動ブラケット24を吊り下げている状態において、可動ブラケット24に組み付けられた各スライド部材89では、本体部90が、可動ブラケット24の第2板32の上面32Aと固定ブラケット23の第1板30との間に差し込まれている。本体部90では、上面90Aが、摩擦低減材81を介して第1板30の下面30Bに対して下から面接触している。そのため、第2板32(可動ブラケット24)の上面32Aと第1板30(固定ブラケット23)の下面30Bとの間には、前後一対のスライド部材89が常に介在された状態となっていて、可動ブラケット24と固定ブラケット23とは直接接触していない(図6および図7も参照)。
そして、ステアリング装置1は、連結・離脱機構R1を備えている。連結・離脱機構R1は、固定ブラケット23と可動ブラケット24とを連結し、二次衝突時に、可動ブラケット24を初期位置から図7に示すように軸方向X1における前側(移動方向Z1における下流側)へ向けて第1板30から離脱(相対移動)させる。
前述した通常状態では、固定ブラケット23の第1板30の第1貫通孔66と、可動ブラケット24の第2板32の第2貫通孔67とが、軸方向X1(移動方向Z1)および左右方向Y1において同じ位置(上流側スライド部材89Uと下流側スライド部材89Dとの隙間Wの内側領域)にあって、上下に対向している。このとき、ピン61の頭部63と金属カラー62の大部分とは、固定ブラケット23の第1板30の第1貫通孔66に挿通されている。金属カラー62の一部は、第1貫通孔66から下方へ突出している。ピン61の軸部64のうち、金属カラー62から突出した部分が、可動ブラケット24の第2板32の第2貫通孔67に挿通されている。つまり、ピン61は、対向状態にある第1貫通孔66および第2貫通孔67に対して跨って挿通されている。これによって、ピン61は、固定ブラケット23に対して可動ブラケット24を位置決めしている。
一方、スライドプレート43が、ピン61の頭部63の上方を覆うように配置されることで、ピン61の上方への脱落が防止されている。また、スライドプレート43には、ピン61の頭部63に対向して、頭部63の外径よりも小さい覗き孔65が形成されている。連結・離脱機構R1の組立後に、スライドプレート43の覗き孔65を通してピン61の頭部63を視認することにより、ピン61の組み付け忘れ等の作業不良を容易に判断することができる。
また、第1板30の各第1貫通孔66は、左右方向Y1に長い横長孔に形成されている。これにより、左右方向Y1に関して、金属カラー62の外周と第1貫通孔66の内周との間に隙間S1,S2が設けられている。
二次衝突時には、図7に示すように、第1貫通孔66と第2貫通孔67とがずれる。これに伴う金属カラー62の第2端部622と第2板32との合わせ面のずれによって、ピン61の軸部64が、第1貫通孔66と第2貫通孔67との間の位置で剪断(破断)される。金属カラー62の第2端部622の内周縁で構成される剪断刃は、円弧状であり(図8参照)、第2板32の第2貫通孔67の縁部で構成される剪断刃も、円弧状である(図9参照)。
ここで、可動ブラケット24の後端部321に組み付けられた上流側スライド部材89Uが、当該後端部321と固定ブラケット23との間に介在された状態で可動ブラケット24と一体移動する。また、可動ブラケット24の前端部322に組み付けられた下流側スライド部材89Dが、当該前端部322と固定ブラケット23との間に介在された状態で可動ブラケット24と一体移動する。上流側スライド部材89Uおよび下流側スライド部材89Dによって、可動ブラケット24と固定ブラケット23との間の摩擦を低減させることができる。
ここで、図3を参照して、上流側スライド部材89Uおよび下流側スライド部材89Dのそれぞれでは、可動ブラケット24の第2板32と固定ブラケット23との間に差し込まれる本体部90の(左右方向Y1における)最大寸法Mが、一対の側板41の間隔L,N(図4参照)よりも大きい。また、上流側スライド部材89Uおよび下流側スライド部材89Dのそれぞれでは、左右方向Y1における挟持部95の一端縁95Aおよび他端縁95Bの間隔(複数の挟持部95が左右方向Y1に並んでいる場合は、左右方向Y1両端に位置する1対の挟持部95の外側端縁同士の間隔)Kは、一対の側板41の間隔L以下である。
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
Claims (3)
- 車体に固定される固定ブラケットと、
操舵部材に連結されており、二次衝突時には、操舵部材を伴って、所定の移動方向における下流側へ向けて前記固定ブラケットに対して相対移動可能な可動ブラケットと、
前記移動方向における前記可動ブラケットの上流側部分に組み付けられ、二次衝突時には、前記上流側部分と前記固定ブラケットとの間に介在された状態で、前記可動ブラケットと一体移動しながら前記固定ブラケットに摺擦する上流側スライド部材と、
前記移動方向における前記可動ブラケットの下流側部分に組み付けられ、二次衝突時には、前記下流側部分と前記固定ブラケットとの間に介在された状態で、前記可動ブラケットと一体移動しながら前記固定ブラケットに摺擦する下流側スライド部材と、
前記上流側スライド部材および可動ブラケットにおいて、一方に、第1凸部が設けられ、他方に、前記第1凸部が嵌め込まれる第1凹部が設けられていて、
前記下流側スライド部材および可動ブラケットにおいて、一方に、第2凸部が設けられ、他方に、前記第2凸部が嵌め込まれる第2凹部が設けられていることを特徴とする、ステアリング装置。 - 前記可動ブラケットは、前記上流側部分および下流側部分を有する板状部と、前記板状部において前記移動方向に対する直交方向における両側から同じ方向に屈曲した一対の屈曲部と、を含み、
前記上流側スライド部材および下流側スライド部材のそれぞれは、前記板状部と前記固定ブラケットとの間に差し込まれる本体部と、前記本体部から延び出して前記一対の屈曲部の間に配置されつつ、前記本体部との間で前記板状部を挟む挟持部と、を含み、
前記直交方向における前記本体部の最大寸法は、前記一対の屈曲部の間隔よりも大きく、
前記直交方向における前記挟持部の一端縁および他端縁の間隔は、前記一対の屈曲部の間隔以下であることを特徴とする、請求項1記載のステアリング装置。 - 前記上流側スライド部材と前記下流側スライド部材とが同一構造であることを特徴とする、請求項1または2記載のステアリング装置。
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