[第1実施形態]
次に、第1実施形態について適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明において、方向は、画像形成装置の一例としてのカラープリンタ1を使用するユーザを基準とする。具体的には、ユーザから見て手前側である図1の左側を「前」とし、ユーザから見て奥側である図1の右側を「後」とし、図1の紙面手前側を「右」、紙面奥側を「左」とする。また、図1の上下方向を「上下」とする。
図1に示すように、カラープリンタ1は、後述する感光体ドラム61上に形成されたトナー像(現像剤像)を記録シートの一例としての用紙Sに転写することで用紙Sに画像を形成するように構成された装置であり、本体筐体2内に、給紙部3と、画像形成部4と、制御装置10とを主に備えている。
給紙部3は、画像形成部4に用紙Sを供給するための構成であり、本体筐体2内の下部に設けられている。給紙部3は、用紙Sを収容する給紙トレイ31と、用紙押圧板32と、給紙機構33とを主に備えている。給紙部3は、給紙トレイ31内の用紙Sを用紙押圧板32によって上方に寄せ、給紙機構33によって1枚ずつ分離して画像形成部4に供給する。
画像形成部4は、給紙部3から供給された用紙Sに画像を形成するための構成であり、露光ユニット5と、プロセスユニット6と、転写ユニット7と、定着ユニット8とを主に備えている。
露光ユニット5は、本体筐体2内の上部に設けられ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応した図示しない複数のレーザ光源や、ポリゴンミラー、複数のレンズ、複数の反射鏡などを備えている。露光ユニット5は、画像データに基づいて出射した複数の光束(鎖線参照)により各感光体ドラム61の表面を高速走査することで、帯電後の感光体ドラム61の表面を露光する。
プロセスユニット6は、給紙トレイ31と露光ユニット5の間に配置され、ホルダ60と、前後方向に配列された4つの感光体の一例としての感光体ドラム61と、各感光体ドラム61に対応して1つずつ設けられた帯電器62および現像カートリッジ63とを主に備えている。
ホルダ60は、感光体ドラム61などを保持する部材であり、本体筐体2に設けられたフロントカバー21を開いたときにできる開口から本体筐体2に対して着脱可能に構成されている。これにより、感光体ドラム61は、ホルダ60を交換することで交換可能となっている。また、ホルダ60は、各現像カートリッジ63を着脱可能に支持している。これにより、現像カートリッジ63は、ホルダ60を本体筐体2内から引き出した状態で個別に交換可能となっている。
感光体ドラム61は、導電性を有する円筒状のドラム本体61Aの外周面に感光層61Bが形成されるとともに、ドラム本体61Aが接地された部材であり(図2など参照)、図1の矢印で示す方向に回転可能に設けられている。
帯電器62は、帯電装置の一例であり、符号を省略して示す帯電ワイヤやグリッド電極などを備えている。帯電器62は、正の帯電バイアスの印加によりコロナ放電を発生させて感光体ドラム61の表面を一様に正帯電する。
現像カートリッジ63は、それぞれ、現像剤担持体の一例としての現像ローラ64と、供給ローラ65と、層厚規制ブレード66と、現像剤の一例としての正帯電性のトナーを収容するトナー収容部67とを主に備えている。現像ローラ64は、トナーを担持可能に構成されたローラであり、正の現像バイアスの印加により露光後の感光体ドラム61にトナーを供給して感光体ドラム61上にトナー像を形成する。
転写ユニット7は、給紙トレイ31とプロセスユニット6との間に設けられ、駆動ローラ71と、従動ローラ72と、無端状の搬送ベルト73と、4つの転写ローラ74とを主に備えている。搬送ベルト73は、駆動ローラ71と従動ローラ72との間に張設され、各感光体ドラム61が対向して配置されている。転写ローラ74は、搬送ベルト73を介して感光体ドラム61に対向して配置され、負の転写バイアスの印加により感光体ドラム61との間を搬送される用紙Sに感光体ドラム61上のトナー像を転写する。
定着ユニット8は、プロセスユニット6および転写ユニット7の後方に設けられ、加熱ローラ81と、加圧ローラ82とを主に備えている。定着ユニット8は、加熱ローラ81と加圧ローラ82の間を搬送される用紙Sにトナー像を熱定着する。
画像形成部4は、回転駆動する感光体ドラム61の表面を、帯電器62により一様に正帯電した後、露光ユニット5によって露光することで、感光体ドラム61上に静電潜像を形成する。また、トナー収容部67内のトナーを、供給ローラ65を介して現像ローラ64に供給し、現像ローラ64と層厚規制ブレード66との間で一定厚さの薄層として現像ローラ64上に担持させる。なお、この過程において、トナーは、現像ローラ64と供給ローラ65の間や、現像ローラ64と層厚規制ブレード66の間などで正に摩擦帯電される。画像形成部4は、現像ローラ64上のトナーを感光体ドラム61上に形成された静電潜像に供給することで、静電潜像を可視像化し、感光体ドラム61上にトナー像を形成する。
その後、画像形成部4は、給紙部3から搬送ベルト73上に供給された用紙Sを、感光体ドラム61と転写ローラ74との間で搬送することで、感光体ドラム61上に担持されたトナー像を用紙S上に転写する。そして、トナー像が転写された用紙Sを、加熱ローラ81と加圧ローラ82の間で搬送することで、トナー像を熱定着する。トナー像が熱定着された用紙S、すなわち、画像が形成された用紙Sは、搬送ローラ23や排出ローラ24によって排紙トレイ22上に排出される。
制御装置10は、給紙部3や画像形成部4などを制御することでカラープリンタ1の動作を制御するための装置であり、本体筐体2内の適宜な位置に設けられている。制御装置10は、図示しない中央演算処理装置(CPU)やランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、入出力インターフェースなどを備えて構成され、予め設定されたプログラムやセンサの検出結果などに基づいて演算処理を行うことで制御を実行する。
ここで、カラープリンタ1において、用紙S上の画像に白抜けが発生するメカニズムの一例について説明する。なお、参照する図2および図3は、白抜けが発生するメカニズムの一例を説明するための模式的な図であり、例えば、ドラム本体61Aや感光層61Bの厚さ、光束B、トナーTの径などは、実際のサイズを反映したものではない。
図2(a)および図3(a)に示すように、感光体ドラム61(感光層61B)の表面に、用紙Sから生じた紙粉や、トナーから剥離した外添剤などの付着物Dが付着している場合において、帯電器62により感光体ドラム61の表面を帯電すると、帯電後の感光体ドラム61の表面は、付着物Dが付着した部分も含めて略均一に正帯電する。
次に、図2(b)および図3(b)に示すように、感光体ドラム61の表面は、露光ユニット5からの光束Bにより露光されることとなる。このとき、図2(b)に示すように、高湿度環境の場合には、付着物Dの抵抗値が吸湿などにより低くなっていると考えられるため、付着物Dが付着した部分を含むその周辺が露光されると、付着物Dが付着した部分の電位が周囲の電位に倣うように付着物Dの表面から正の電荷が周囲に散るなどして付着物Dが付着した部分の電位が低下する。これにより、図2(c)に示すように、露光後には、付着物Dが付着した部分の電位が周囲の露光部分と略同等の電位となる。
この状態で現像ローラ64から感光体ドラム61にトナーが供給されると、図2(d)に示すように、現像後には、付着物Dが付着した部分を含む露光部分全体にトナーTが供給される。その後、感光体ドラム61上のトナー像が用紙Sに転写されると、図2(e)に示すように、転写後の用紙Sに形成された画像に白抜けは発生しない(正確に言えば、白抜けは発生しにくい)。
一方、図3(b)に示すように、低湿度環境の場合には、付着物Dの抵抗値が高いと考えられるため、付着物Dが付着した部分を含むその周辺が露光されても、付着物Dの表面からは電荷が抜けにくく、図3(c)に示すように、露光後には、付着物Dが付着した部分の電位が周囲の露光部分よりも高い電位となる。
この状態で現像ローラ64から感光体ドラム61にトナーが供給されても、付着物Dが付着した部分の電位が高いため、図3(d)に示すように、現像後においても、付着物Dが付着した部分にはトナーTがほとんど供給されない。そして、この状態で、感光体ドラム61上のトナー像が用紙Sに転写されると、図3(e)に示すように、転写後の用紙S上の画像に、感光体ドラム61上の付着物Dが付着した部分に対応した、点状の白抜けSPが発生することとなる。
このように、カラープリンタ1では、感光体ドラム61の表面に付着物Dが付着した状態で特に低湿度環境の場合に、用紙S上の画像に白抜けSPが発生しやすくなると考えられる。なお、感光体ドラム61に付着する付着物Dのサイズは、おおよそ200μm以下程度である。
以下、発明の特徴部分について詳細に説明する。
カラープリンタ1は、制御装置10によって制御されることで、第1の解像度で用紙Sに画像を形成する第1のモードの一例としての通常印刷モードと、第1の解像度よりも低い第2の解像度で用紙Sに画像を形成する第2のモードの一例としての低解像度モードとを実行可能に構成されている。
用紙Sに形成される画像は、図4(a),(b)に示すように、トナーが載ったハッチを付して示す最小要素E1,E2と、トナーが載っていない最小要素E1,E2との組み合わせにより構成される。通常印刷モードは、図4(a)に示すように、最小要素E1を2×2ドットとして用紙Sに画像を形成するモードであり、低解像度モードは、図4(b)に示すように、最小要素E2を4×4ドットとして用紙Sに画像を形成するモードである。一例として、通常印刷モードのときの解像度(第1の解像度)は600dpiとすることができ、低解像度モードのときの解像度(第2の解像度)は300dpiとすることができる。ここで、図4(a),(b)において1つの正方形状のマスとして示しているドットDTは、最小要素E1,E2を構成する最小単位であり、露光ユニット5から出射される光束によって露光可能な最小のサイズ、言い換えれば、感光体ドラム61の表面上で結像された光束の直径と略等しいサイズである。
また、本実施形態において、カラープリンタ1は、現像カートリッジ63内のトナーの劣化、詳細には、トナーの帯電性能の低下に応じて、現像ローラ64に印加する現像バイアスを変化させるように構成されている。トナーの帯電性能が低下すると、摩擦帯電後のトナーが有する正の電荷が少なくなるため、トナーが感光体ドラム61に載りやすくなる。そうすると、帯電性能が低下する前よりも感光体ドラム61上により多くのトナーが載ることになるので、用紙Sに転写された画像の濃度が濃くなるという現象が発生する。そこで、カラープリンタ1は、画像濃度をトナーの帯電性能によらず均一とするため、トナーの帯電性能の低下、具体的には、予め設定した現像カートリッジ63を新品に交換してからの経過時間に応じて、現像バイアスを下げるように構成されている。
図5に示すように、カラープリンタ1は、湿度センサ9を備えている。
湿度センサ9は、本体筐体2内の湿度を検出するためのセンサであり、カラープリンタ1(本体筐体2)内の適宜な位置に設けられている。湿度センサ9で検出された本体筐体2内の湿度Hは、制御装置10に出力される。
制御装置10は、画像に点状の白抜け(画像不良)が発生しうる白抜け発生条件を満たした場合に、低解像度モードで画像を形成する白抜け改善制御を実行可能に構成されている。より詳細に、白抜け改善制御は、条件判断ステップ(第1のステップ)と、画像形成ステップ(第2のステップ)とを主に有している。そして、制御装置10は、条件判断ステップを実行する条件判断手段11と、画像形成ステップを実行する画像形成手段12と、記憶部19とを主に有している。
条件判断手段11で実行される条件判断ステップは、白抜け発生条件を満たしたか否かを判断するステップである。具体的に、白抜け発生条件は、本体筐体2内の湿度Hが第1の閾値Hth以下であるという条件と、感光体ドラム61の総回転回数NRが第2の閾値NRth以上であるという条件と、帯電器62に印加する帯電バイアスVgと現像ローラ64に印加する現像バイアスVbとの差VDの絶対値が第3の閾値VDth以上であるという条件とを含んでおり、条件判断ステップは、湿度Hが第1の閾値Hth以下であり、かつ、総回転回数NRが第2の閾値NRth以上であり、かつ、帯電バイアスVgと現像バイアスVbとの差VDの絶対値が第3の閾値VDth以上である場合に、白抜け発生条件を満たしたと判断するステップである。
本体筐体2内の湿度Hは、湿度センサ9から取得される。第1の閾値Hthは、一例として、30%RHなどとすることができる。
白抜け発生条件に、湿度Hが第1の閾値Hth以下(H≦Hth)であるという条件が含まれる理由は、前記したとおり、低湿度環境の場合に白抜けが発生しやすくなると考えられるためである。
感光体ドラム61の総回転回数NRは、感光体ドラム61の使用時間に関するパラメータの一例であり、より詳細には、感光体ドラム61を新品に交換したときからの感光体ドラム61の総回転回数を意味する。総回転回数NRを取得するための具体的な方法は特に限定されるものではないが、例えば、総回転回数NRをカウントするセンサなどから取得してもよいし、感光体ドラム61の駆動時間と予め設定された単位時間当たりの回転回数の情報などから総回転回数NRを算出して取得してもよい。
本実施形態の条件判断ステップにおいて、総回転回数NRが第2の閾値NRth以上である場合とは、4色の感光体ドラム61を使用してカラー画像を形成するときには、4色の感光体ドラム61のうち、少なくとも1つの総回転回数NRが第2の閾値NRth以上となった場合であり、ブラックの感光体ドラム61のみを使用してモノクロ画像を形成するときには、ブラックの感光体ドラム61の総回転回数NRが第2の閾値NRth以上となった場合である。第2の閾値NRthは、一例として、10000回転などとすることができる。なお、第2の閾値NRthは、4色の感光体ドラム61の間で同一の値であってもよいし、異なる値であってもよい。
白抜け発生条件に、総回転回数NRが第2の閾値NRth以上(NR≧NRth)であるという条件が含まれる理由は、総回転回数NRが増加すると、言い換えれば、感光体ドラム61の使用時間が長くなると、感光体ドラム61の表面に紙粉などの付着物が付着して白抜けが発生しやすくなると考えられるためである。
帯電バイアスVgと現像バイアスVbとの差VDは、カラープリンタ1が現像カートリッジ63を新品に交換してからの経過時間に応じて現像バイアスを下げるように構成されていることで、当該経過時間に応じて大きくなる。
本実施形態の条件判断ステップにおいて、差VDが第3の閾値VDth以上である場合とは、4色の感光体ドラム61を使用してカラー画像を形成するときには、4組の帯電器62および現像ローラ64のうち、少なくとも1組の帯電バイアスVgと現像バイアスVbとの差VDが第3の閾値VDth以上となった場合であり、ブラックの感光体ドラム61のみを使用してモノクロ画像を形成するときには、ブラックに対応する帯電バイアスVgと現像バイアスVbとの差VDが第3の閾値VDth以上となった場合である。第3の閾値VDthは、一例として、400Vなどとすることができる。なお、第3の閾値VDthは、4組の帯電器62および現像ローラ64の間で同一の値であってもよいし、異なる値であってもよい。
ここで、白抜け発生条件に、バイアスの差VDが第3の閾値VDth以上(VD≧VDth)であるという条件が含まれる理由について、図6を参照しながら説明する。図6において、Vgは帯電バイアス(帯電後の感光体ドラム61の表面電位)であり、VLは露光後の感光体ドラム61の表面電位であり、Vb(Vb1,Vb2)は現像バイアスである。また、Aは感光体ドラム61の表面における付着物が付着した部分であり、周囲の部分とともに露光されているが、露光後における電位が周囲の部分の電位(VL)よりも高くなっている。
現像カートリッジ63を新品に交換してからの経過時間に応じて現像バイアスVbを下げる構成では、例えば、図6に示すように、現像バイアスをVb1からVb2に下げたときにおいて、付着物が付着した部分Aの電位が現像バイアスVb2よりも高くなることがある。この場合、付着物が付着した部分Aにトナーが供給されにくくなるため、白抜けが発生しやすくなると考えられる。そこで、本実施形態では、白抜け発生条件に、バイアスの差VDが第3の閾値VDth以上であるという条件を含めている。
なお、現像バイアスVbは、図6に示したように2段階(Vb1とVb2参照)としてもよいし、3段階以上としてもよい。また、現像バイアスVbは、現像カートリッジ63を新品に交換してからの経過時間に応じて線形的に下げてもよい。また、条件判断ステップは、入力された印刷ジョブごとに実行してもよいし、印刷ジョブに含まれる用紙Sの1ページ当たりの画像データごとに実行してもよい。
画像形成手段12で実行される画像形成ステップは、条件判断ステップで白抜け発生条件を満たしたと判断した場合において、主に画像形成部4を制御して、通常印刷モード(例えば600dpi)ではなく、低解像度モード(例えば300dpi)で画像を形成するステップである。
次に、制御装置10での制御の流れについてフローチャートを参照しながら説明する。
図7に示すように、カラープリンタ1に画像データを含む印刷ジョブが入力されると、制御装置10は、本体筐体2内の湿度Hが第1の閾値Hth(例えば30%)以下であるか否かを判定する(S101)。湿度Hが第1の閾値Hth以下である場合(S101,YES)、制御装置10は、感光体ドラム61の総回転回数NRが第2の閾値NRth(例えば10000回転)以上であるか否かを判定する(S103)。
総回転回数NRが第2の閾値NRth以上である場合(S103,YES)、制御装置10は、現像ローラ64に印加される現像バイアスVbと対応する帯電器62に印加される帯電バイアスVgとの差VD(=|Vg−Vb|)が第3の閾値VDth(例えば400V)以上であるか否かを判定する(S105)。
そして、バイアスの差VDが第3の閾値VDth以上である場合(S105,YES)、制御装置10は、画像形成部4などを制御して低解像度モード(例えば300dpi(図4(b)参照))で画像を形成する(S107)。なお、本実施形態において、ステップS101,S103,S105を実行する順番は任意である。
一方、S101において湿度Hが第1の閾値Hthを超える場合(NO)、S103において総回転回数NRが第2の閾値NRth未満である場合(NO)、または、S105においてバイアスの差VDが第3の閾値VDth未満である場合(NO)、制御装置10は、画像形成部4などを制御して通常印刷モード(例えば600dpi(図4(a)参照))で画像を形成する(S109)。
以上説明した本実施形態によれば、用紙S上の画像に点状の白抜け(画像不良)が発生した場合において、画像全体として点状の白抜けを目立ちにくくすることができる。
この原理について詳しく説明する。図4(a)に示すように、通常印刷モードのとき、画像を構成する最小要素E1は2×2ドットからなり、最小要素E1ごとにトナーを載せるか否かが設定される。また、図4(b)に示すように、低解像度モードのとき、画像を構成する最小要素E2は4×4ドットからなり、最小要素E2ごとにトナーを載せるか否かが設定される。
カラープリンタ1において、用紙Sに形成される画像中のある部分の色の濃度は、最小要素から構成されるディザマトリクス(例えば、4×4の最小要素からなるマトリクス)において、すべての最小要素にトナーを載せた状態である印刷duty100%から、すべての最小要素にトナーを載せない状態である印刷duty0%までの範囲で表現される。そして、色が薄くなるほど、トナーを載せない最小要素(用紙Sの地の色(以下、白色とする。)の最小要素)の数が増えていく。
印刷dutyが、例えば、50%未満と低い場合、白色の最小要素の数が増えることで画像全体に占める白色部分の面積が大きくなるため、同色の点状の白抜けが発生したとしても、解像度に関わらず点状の白抜けは目立ちにくい。一方、印刷dutyが高い場合、白色の最小要素の数が減ることで画像全体に占める白色部分の面積が小さくなるため、点状の白抜けの面積が相対的に大きくなって目立ちやすくなる。
印刷dutyが高い場合(図4では一例として約81%)、図4(a)に示す通常印刷モードのときには、白色部分(最小要素E1)の面積が、図4に略円形状の点として示す点状の白抜けSPの面積よりも小さくなるため、点状の白抜けSPが相対的に目立ちやすくなる。一方、図4(b)に示す低解像度モードのときには、白色部分(最小要素E2)の面積が、点状の白抜けSPの面積と同等程度となるため(場合によっては最小要素E2と白抜けSPが重なりやすくなるため)、点状の白抜けSP(白点)が相対的に目立ちにくくなる。
本実施形態では、点状の白抜けSPが発生しやすい白抜け発生条件を満たした場合に低解像度モードで画像を形成するので、前記したように特に印刷dutyが高い場合に白色部分(最小要素E2)の面積が点状の白抜けSPの面積と同等程度となり、画像全体として点状の白抜けSPを目立ちにくくすることができる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。なお、本実施形態を含む以下で説明する実施形態では、第1実施形態と異なる点について詳細に説明し、第1実施形態と同様の構成要素や制御の処理などについては同一符号を付して適宜説明を省略することとする。
カラープリンタ1は、用紙Sに形成可能な画像の種類として、テキスト、グラフィックおよびイメージが設定されている。これらの画像の種類は、例えば、ユーザがパソコンPC(図5参照)などにインストールされているプリンタドライバの設定画面でドロップダウンリストからテキスト、グラフィックまたはイメージを選択する操作をすることで設定される。設定された画像の種類の情報(信号)は、カラープリンタ1(制御装置10)に出力される。ここで、イメージは、カラー写真などのような高精細な画像であり、グラフィックは、プレゼンテーション資料のような色をベタ塗りした図形やグラフなどを含む画像であり、テキストは、文章のような文字からなる画像である。
制御装置10は、画像の種類が、テキスト、グラフィックおよびイメージのうち、グラフィックまたはイメージである旨の信号、すなわち、画像の種類としてグラフィックまたはイメージが設定された旨の信号を受信したことを条件として、初めて白抜け改善制御(条件判断ステップおよび画像形成ステップ)を実行するように構成されている。言い換えれば、制御装置10は、画像の種類としてテキストが設定された旨の信号を受信した場合には、白抜け改善制御を実行しないように構成されている。
次に、本実施形態における制御装置10での制御の流れについて簡単に説明する。
図8に示すように、カラープリンタ1に画像データを含む印刷ジョブが入力されると、制御装置10は、設定されている画像の種類がグラフィックまたはイメージであるか否かを判定する(S201)。
そして、設定されている画像の種類がグラフィックまたはイメージである場合(S201,YES)、制御装置10は、第1実施形態の場合と同様に、湿度Hが第1の閾値Hth以下であり(S101,YES)、かつ、総回転回数NRが第2の閾値NRth以上であり(S103,YES)、かつ、バイアスの差VDが第3の閾値VDth以上である場合(S105,YES)に、低解像度モードで画像を形成する(S107)。
一方、S201において設定されている画像の種類がテキストである場合(NO)、S101において湿度Hが第1の閾値Hthを超える場合(NO)、S103において総回転回数NRが第2の閾値NRth未満である場合(NO)、または、S105においてバイアスの差VDが第3の閾値VDth未満である場合(NO)、制御装置10は、通常印刷モードで画像を形成する(S109)。
以上説明した本実施形態によれば、第1実施形態の場合と同様に、画像全体として点状の白抜けを目立ちにくくすることができる。また、本実施形態では、画像の種類として、画像全体として用紙Sの地の色が多くなるテキストの場合よりも白抜けが目立ちやすい、グラフィックとイメージが設定されているときに白抜け改善制御(条件判断ステップおよび画像形成ステップ)を実行するので、文字からなる画像を形成する場合に不必要に画像の解像度を下げることがないという利点がある。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。
制御装置10は、白抜けを改善する制御の実行を許可する信号を受信したことを条件として、白抜け改善制御(条件判断ステップおよび画像形成ステップ)を実行するように構成されている。
具体的に、本実施形態では、例えば、ユーザがパソコンPC(図5参照)などにインストールされているプリンタドライバの設定画面でチェックボックスにチェックを入れるなどの操作をして白抜けを改善する制御(白抜け改善制御)の実行を許可することで、その旨の信号がカラープリンタ1(制御装置10)に送信される。そして、制御装置10では、白抜け改善制御の実行を許可する信号を受信したことを条件として、初めて白抜け改善制御を実行する。
次に、本実施形態における制御装置10での制御の流れについて簡単に説明する。
図9に示すように、カラープリンタ1に画像データを含む印刷ジョブが入力されると、制御装置10は、白抜け改善制御の実行を許可する信号(許可信号)を受信したか否かを判定する(S301)。
そして、許可信号を受信していた場合(S301,YES)、制御装置10は、第1実施形態の場合と同様に、湿度Hが第1の閾値Hth以下であり(S101,YES)、かつ、総回転回数NRが第2の閾値NRth以上であり(S103,YES)、かつ、バイアスの差VDが第3の閾値VDth以上である場合(S105,YES)に、低解像度モードで画像を形成する(S107)。
一方、S301において許可信号を受信していない場合(NO)、S101において湿度Hが第1の閾値Hthを超える場合(NO)、S103において総回転回数NRが第2の閾値NRth未満である場合(NO)、または、S105においてバイアスの差VDが第3の閾値VDth未満である場合(NO)、制御装置10は、通常印刷モードで画像を形成する(S109)。
以上説明した本実施形態によれば、第1実施形態の場合と同様に、画像全体として点状の白抜けを目立ちにくくすることができる。また、本実施形態では、許可信号を受信した場合に白抜け改善制御(条件判断ステップおよび画像形成ステップ)を実行するので、例えば、白抜けが問題となった場合などに初めて低解像度モードを実行させることができ、それまでは不必要に画像の解像度を下げることがないという利点がある。
以上、実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、下記のように発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
前記実施形態では、白抜け発生条件を満たした場合、具体的には、湿度が第1の閾値以下であり、かつ、感光体ドラムの総回転回数が第2の閾値以上であり、かつ、バイアスの差が第3の閾値以上である場合に、低解像度モードで画像を形成するように構成されていたが、これに限定されるものではない。例えば、湿度が第1の閾値以下であることのみを満たした場合に低解像度モードで画像を形成するように構成されていてもよい。また、感光体ドラムの総回転回数が第2の閾値以上であることのみを満たした場合に低解像度モードで画像を形成するように構成されていてもよい。また、バイアスの差が第3の閾値以上であることのみを満たした場合に低解像度モードで画像を形成するように構成されていてもよい。また、湿度が第1の閾値以下であり、かつ、感光体ドラムの総回転回数が第2の閾値以上である場合に低解像度モードで画像を形成するように構成されていてもよい。また、湿度が第1の閾値以下であり、かつ、バイアスの差が第3の閾値以上である場合に低解像度モードで画像を形成するように構成されていてもよい。また、感光体ドラムの総回転回数が第2の閾値以上であり、かつ、バイアスの差が第3の閾値以上である場合に低解像度モードで画像を形成するように構成されていてもよい。
前記実施形態では、感光体の使用時間に関するパラメータとして、感光体ドラム61を新品に交換したときからの感光体ドラム61の総回転回数NRを例示したが、これに限定されるものではない。例えば、感光体の使用時間に関するパラメータは、感光体ドラムを新品に交換したときからの感光体ドラムの駆動時間や、感光体ドラムを新品に交換したときから画像を形成した用紙の枚数(総印刷枚数)などであってもよい。また、感光体の使用時間に関するパラメータは、感光体ドラムを新品に交換したときからの現像ローラや供給ローラなどの総回転回数などであってもよい。
前記実施形態(第2実施形態)では、ユーザが画像の種類としてグラフィックまたはイメージを選択した場合に、画像の種類がグラフィックまたはイメージである旨の信号を画像形成装置に出力する構成を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、パソコンなどの画像形成装置外の装置が画像データを解析し、当該画像データによって形成される画像の種類がグラフィックまたはイメージであると判断した場合に、画像の種類がグラフィックまたはイメージである旨の信号を画像形成装置に出力する構成であってもよい。なお、このような構成の場合、画像の種類が形式的にはテキストであっても、フォントが特定のフォントであり、そのサイズが所定以上のサイズであって、文字がベタ塗りされるような場合には、白抜けが目立ちやすくなるため、例外的にグラフィックまたはイメージと判断するようにしてもよい。また、画像形成装置自身が、入力された画像データを解析し、画像の種類がグラフィックまたはイメージであると判断した場合に、白抜け改善制御を実行するように構成されていてもよい。また、画像データを解析して画像中から白抜けが目立ちやすい部分を抽出し、当該部分だけを低解像度として画像を形成するように構成されていてもよい。
前記実施形態では、第2実施形態で画像の種類がグラフィックまたはイメージである旨の信号を受信したことを条件として白抜け改善制御を実行するように構成され、第3実施形態で白抜け改善制御の実行を許可する信号を受信したことを条件として白抜け改善制御を実行するように構成されていたが、これに限定されるものではない。例えば、白抜け改善制御の実行を許可する信号を受信し、かつ、画像の種類がグラフィックまたはイメージである旨の信号を受信したことを条件として白抜け改善制御を実行するように構成されていてもよい。
前記実施形態では、湿度センサ9が本体筐体2内の湿度を検出するように設けられていたが、これに限定されず、例えば、湿度センサは、本体筐体外の湿度、すなわち、カラープリンタが設置された環境の湿度を検出するように設けられていてもよい。
前記実施形態では、感光体として感光体ドラム61を例示したが、これに限定されず、例えば、感光体は、感光体ベルトなどであってもよい。なお、前記実施形態では、感光体が交換可能に構成されていたが、これに限定されず、感光体が交換できない構成であってもよい。この場合、感光体の使用時間に関するパラメータは、例えば、カラープリンタの使用を開始してからの感光体の総回転回数などとすればよい。
前記実施形態では、グリッド電極を備えるスコロトロン型の帯電器62を例示したが、これに限定されず、例えば、コロトロン型の帯電器であってもよい。また、前記実施形態では、帯電装置として、帯電ワイヤを備える帯電器62を例示したが、これに限定されず、例えば、帯電装置は、帯電ワイヤの代わりに、配列された針状の電極を備える帯電器などであってもよい。また、帯電装置は、帯電ローラなどであってもよい。
前記実施形態では、光束を高速走査することで感光体ドラム61を露光するように構成された露光ユニット5(露光装置)を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、露光装置は、各感光体ドラムに対向して1つずつ設けられ、感光体ドラムと対向する部位に複数の発光ダイオード(LED)などの明滅部を有する構成の露光装置などであってもよい。
前記実施形態では、図4に示したように、通常印刷モードのときの画像を構成する最小要素E1を2×2ドットとし、低解像度モードのときの画像を構成する最小要素E2を4×4ドットとした例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、通常印刷モード(第1のモード)のときの画像を構成する最小要素を1ドットとし、低解像度モード(第2のモード)のときの画像を構成する最小要素を2×2ドットとしてもよい。
前記実施形態では、画像形成装置として、感光体や帯電装置、現像剤担持体などをそれぞれ複数備え、カラー画像を形成可能なカラープリンタ1を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、画像形成装置は、感光体や帯電装置、現像剤担持体などをそれぞれ1つずつ備え、モノクロ画像のみを形成可能なプリンタであってもよい。また、画像形成装置は、プリンタに限定されず、例えば、フラットベッドスキャナなどの原稿読取装置を備える複写機や複合機などであってもよい。
前記実施形態では、本発明を正帯電性のトナーを使用する画像形成装置に適用した例を示したが、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、負帯電性のトナー(現像剤)を使用する画像形成装置にも適用することができる。この場合、バイアスの正負は前記実施形態とは逆となり、バイアスの大小はその絶対値の大小となる。