JP6210209B2 - モノフィラメント様高強度ポリエチレン繊維 - Google Patents
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(2)示差走査型熱量測定(DSC)における昇温速度10℃/分でのDSC曲線における低温側の最大融解ピークと高温側の最大融解ピークとの高さの比が1:10〜1:20である、(1)に記載の高強度ポリエチレン繊維。
(3)示差走査型熱量測定(DSC)における昇温速度10℃/分でのDSC曲線における低温側の最大融解ピークと高温側の最大融解ピークとの面積の比が1:2〜1:8である、(1)又は(2)に記載の高強度ポリエチレン繊維。
(4)前記超高分子量ポリエチレンの極限粘度数が5以上30以下である、請求項(1)〜(3)のいずれかに記載の高強度ポリエチレン繊維。
(5)一般紡績糸試験方法(JIS L 1095)のうち摩耗強さを測定するB法に準拠した摩擦試験において、摩擦回数100後に繊維同士の融着が保持されていることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載の高強度ポリエチレン繊維。
本発明のモノフィラメント様高強度ポリエチレン繊維は、繰返し単位が実質的にエチレンである超高分子量ポリエチレンからなる。ここで、繰返し単位が実質的にエチレンである超高分子量ポリエチレンとは、繰返し単位の99.5mol%以上、好ましくは99.8mol%以上がエチレンからなる実質的なエチレンホモポリマーであり、極限粘度数が5以上、好ましくは8以上、さらに好ましくは10以上であるポリエチレンを意味する。なお、重合の副反応や重合速度を向上させたり、最終的に得られる繊維のクリープ特性などを改善する目的で、ごく少量のα−オレフィンなどの共重合成分を加えて分岐を導入することは推奨されるが、共重合成分が多くなると、繊維の耐久性を向上させるには好ましくない。例えば、α−オレフィンを共重合すると、結晶内での分子鎖間の滑りが抑制され、連続的な繰返し変形に対して応力を緩和できなくなると考えられるからである。また、原料ポリマーの極限粘度数が5未満であると、繊維の力学的特性、特に引張強度を発現することが困難である。他方、極限粘度数に上限はないが、製糸上の安定性や生産速度、繊維の耐久性などを考慮すると、極限粘度数は30以下であることが好ましい。極限粘度数が30を越えると、例えば、紡出糸の延伸条件によっては耐久性が低下する場合がある。
135℃のデカリン中、ウベローデ型毛細粘度管を用いて、様々な濃度の希薄溶液の粘度を測定し、その比粘度の濃度に対するプロットの最小二乗近似で得られる直線の原点への内挿点から極限粘度数を決定した。なお、粘度測定に際して、試料は長さ約5mmに切断し、試料に対して1wt%の酸化防止剤(商標名「ヨシノックスBHT」、吉富製薬製)を添加し、135℃で4時間攪拌・溶解して、測定溶液を調製した。
オリエンティック社製「テンシロン」を用いて、試料長200mm(チャック間長さ)、伸長速度100%/分、雰囲気温度20℃、相対湿度65%の条件下で、歪−応力曲線を求め、得られた曲線の破断点での応力から強度(cN/dtex)を算出し、曲線の原点付近の最大勾配を与える接線から弾性率(cN/dtex)を算出した。なお、測定回数は10回とし、その平均値で表した。
DSCは、テキサス・インスルメンツ社製「DSCQ100」を用いて行った。試料を5mm以下に切断し、アルミパンに約2mg充填・封入し、同様の空のアルミパンをリファレンスにして、窒素ガス下、10℃/分の昇温速度で室温から200℃まで温度を上昇させ、昇温DSC曲線を求めた。得られた昇温DSC曲線のベースラインを補正し、125℃〜135℃の温度領域(低温側)および140℃〜148℃の温度領域(高温側)における最大融解ピーク温度およびピーク高さを求め、低温側の最大融解ピークと高温側の最大融解ピークとの高さの比を算出した。更に低温側の融解ピーク面積と高温側の融解ピーク面積の比は、融解ピークをプロットした用紙をベースラインとピーク曲線に沿って切り抜き、重量比を面積比として算出した。
耐摩擦性は、一般紡績糸試験方法(JIS L 1095)のうち摩擦強さを測定するB法に準拠した摩擦試験により評価した。なお、2.0mmφの硬質鋼を摩擦子として用い、荷重6g/dtex、摩擦速度115回/分、往復距離2.5cm、摩擦角度110°で試験し、試料に100回の摩擦を加えた。試験回数は3回とし拡大鏡を用いて試料の状態を観察した。摩擦後の試料の融着状態を3つの記号で区分けした。○は融着保持または単糸浮き1本以下、△は単糸浮き2本〜3本、×は融着時形状を留めていない状態とした。
紡糸金口から乾燥オーブンを経て得られた紡出糸を80℃〜90℃の真空条件下に投入し、紡出糸の重量が平衡になるまで揮発性溶剤を蒸発させ、紡出糸の乾燥前重量と紡出糸の乾燥後重量から揮発性溶剤の含有率を式1より求めた。
揮発性溶剤含有率(%)=[(乾燥前重量−乾燥後重量)/乾燥前重量]×100(%) ・・・式1
紡糸工程で得られた未延伸糸を80℃〜90℃の真空条件下に投入し、未延伸糸の重量が平衡になるまで揮発性溶剤を蒸発させ、未延伸糸の乾燥前重量と未延伸糸の乾燥後重量から揮発性溶剤の含有率を式2より求めた。
揮発性溶剤含有率(%)=[(乾燥前重量−乾燥後重量)/乾燥前重量]×100(%)・・・式2
極限粘度数21.0、分子量分布指数Mw/Mn=3.7の超高分子量ポリエチレン10重量%と揮発性溶剤であるデカリン90重量%とのスラリー状混合物を、230℃に設定したスクリュー型混練機に供給し、溶解させて紡糸液とした後、170℃の紡糸口金(穴径0.7mmφ×孔数30)を用いて、単孔吐出量2.5g/分で紡糸した。紡糸口金からの紡出糸に含まれるデカリンを蒸発させない様にネルソン状ローラーにより40m/分で引き取った。直ちにU溝ガイドローラー(溝底部半径=R1.5)6個を設置した148℃の延伸オーブン中で6倍に延伸して未延伸糸を得た。次いで149℃の延伸オーブン中で2.5倍に延伸して延伸糸を得た。得られた繊維の諸物性、すなわち極限粘度、揮発性溶剤含有率、繊度、強度、弾性率、示差走査熱量測定(DSC)による最大融解ピーク温度、ピークの高さ比及びピーク面積の比、並びに摩擦試験の結果を表1に示す。また摩擦試験後の繊維の状態を図2に示す。
U溝ガイドローラーの設置個数を10個に増やした以外実施例1と同様の方法で延伸糸を得た。得られた繊維の諸物性を表1に示す。また摩擦試験後の繊維の状態を図3に示す。
延伸オーブン温度を145℃にした以外実施例2と同様の方法で延伸糸を得た。得られた繊維の諸物性を表1に示す。また摩擦試験後の繊維の状態を図4に示す。
延伸オーブン中のU溝ガイドローラー個数を4個にした以外実施例1と同様の方法で延伸糸を得た。得られた繊維の諸物性を表1に示す。また摩擦試験後の繊維の状態を図5に示す。
延伸オーブン温度を148℃から意図的に145℃へ下げ、繊維同士の融着の程度を調べた、ガイドローラー溝形状及び設置個数は実施例1と同様にした。得られた繊維の諸物性を表1に示す。また摩擦試験後の繊維の状態を図6に示す。
延伸オーブン中のガイドローラーの溝形状を平溝ガイドローラー6個にした以外実施例1と同様にした。得られた繊維の諸物性を表1に示す。また摩擦試験後の繊維の状態を図7に示す。
紡糸口金から吐出した直後に窒素ガスを当て紡出糸に含まれる揮発性溶剤であるデカリンを積極的に蒸発させた以外実施例1と同様にした。得られた繊維の諸物性を表1に示す。また摩擦試験後の繊維の状態を図8に示す。
延伸オーブン温度を155℃にした以外実施例1と同様にした。得られた繊維の諸物性を表1に示す。
紡糸口金から吐出した紡出糸に含まれる揮発性溶剤であるデカリンができる限り蒸発しないように紡糸口金とネルソン状ローラーと距離を意図的に短くし、延伸オーブンへ紡出糸を通した以外は実施例1と同じ様にした。紡出糸に含まれる揮発性溶剤の含有量を表1に示す。
2:超高分子量ポリエチレン繊維の一部が融解した未配向(非結晶構造)部分の融解ピーク
3:超高分子量ポリエチレン繊維の高配向(結晶構造)部分の融解ピーク
4:再昇温による融解ピーク
Claims (4)
- 繰返し単位が実質的にエチレンである超高分子量ポリエチレンからなり、平均強度が20cN/dtex以上であり、示差走査型熱量測定(DSC)における昇温速度10℃/分でのDSC曲線が125〜135℃の温度領域(低温側)に少なくとも1本の融解ピークを示し、かつ140℃〜148℃の温度領域(高温側)に少なくとも1本の融解ピークを示し、
示差走査型熱量測定(DSC)における昇温速度10℃/分でのDSC曲線における低温側の最大融解ピークと高温側の最大融解ピークとの高さの比が1:10〜1:20である、ことを特徴とする高強度ポリエチレン繊維。 - 示差走査型熱量測定(DSC)における昇温速度10℃/分でのDSC曲線における低温側の最大融解ピークと高温側の最大融解ピークとの面積の比が1:2〜1:8である、請求項1に記載の高強度ポリエチレン繊維。
- 前記超高分子量ポリエチレンの極限粘度数が5以上30以下である、請求項1または2に記載の高強度ポリエチレン繊維。
- 一般紡績糸試験方法(JIS L 1095)のうち摩耗強さを測定するB法に準拠した摩擦試験において、摩擦回数100後に繊維同士の融着が保持されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の高強度ポリエチレン繊維。
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