JP6201807B2 - 有機発光素子の製造方法及び有機発光素子 - Google Patents

有機発光素子の製造方法及び有機発光素子 Download PDF

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Description

本発明は、有機発光素子の製造方法及び有機発光素子に関し、より詳しくは、有機発光層からの光取り出しのための光散乱層を備えた有機発光素子の製造方法及び有機発光素子に関する。
現在、薄型の発光材料として有機発光素子が注目されている。
有機材料のエレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence:EL)を利用した有機発光素子(いわゆる有機EL素子)は、数V〜数十V程度の低電圧で発光が可能な薄膜型の完全固体素子であり、高輝度、高発光効率、薄型、軽量といった多くの優れた特徴を有している。このため、各種ディスプレイのバックライト、看板や非常灯等の表示板、照明光源等の面発光体として近年注目されている。
このような有機発光素子は、2枚の電極間に有機材料からなる発光層が配置された構成であり、発光層で生じた発光光は電極を透過して外部に取り出される。このため、2枚の電極のうちの少なくとも一方は透明電極として構成され、透明電極側から発光した光が取り出される。
有機発光素子は、低電力で高い輝度を得ることができ、視認性、応答速度、寿命、消費電力の点で優れている。一方、有機発光素子の光の利用効率は20%程度であり、素子内での損失が大きいという問題も有している。
有機発光素子は透明基材、透明電極、有機発光層、電極の順に積層された構成になっている。透明電極と電極間に印加された電圧により有機発光層が発光し、透明電極と透明基材を通して外部に光が届く。
しかしながら、透明電極は屈折率が1.8〜2.1程度と高いのに対して、透明基材の屈折率は1.5程度と低いため、有機発光層で発光した光が透明電極と透明基材の界面で全反射してしまい、光取り出し効率が低下するという問題があった。
この問題に対し、透明電極と透明基材の間に光散乱微粒子と樹脂からなる光散乱層を設けることで、透明電極と透明基材の界面での全反射を低減して、光取り出し効率を上げることが提案されている(特許文献1)。
しかしながら、光散乱微粒子と樹脂からなる光散乱層は、光散乱微粒子のために、その表面の平滑性が低下し、その上に形成される透明電極(例えばITO電極)がきれいに成膜せず、発光むらなどの問題が起きている。特に、透明電極が薄銀の蒸着膜の場合は、より顕著に光散乱層表面の平滑性の影響を受け易い。
この課題を解決するために、光散乱層の上に更に平滑化層を形成して、透明電極の成膜性を上げることが知られている(特許文献2)。しかしながら、この場合は、光散乱層と平滑化層を2層別々に塗布することになり、工程上の負荷が大きい。更に、光散乱層と平滑化層で素材が異なる場合は、相互の密着性の低下(これは、耐久性の低下につながる)も問題である。
一方、内部を多孔質とし、同一素材の平滑な表面を持つ光散乱層が提案されている(特許文献3)。しかしながら、転写法を用いていて工程負荷が大きいことと、多孔質層の形成制御が難しく、光散乱機能の安定化が難しいという問題があった。
特開2009−76452号公報 特開2009−54424号公報 特開2006−222028号公報 特開2011−65028号公報 特開2006−154200号公報
上記を踏まえ、1つの塗布液だけを用いて、透明基材側に光散乱微粒子を偏在させ、表面側に樹脂を偏在させることで、光散乱層の表面の平滑性を向上させる。
なお、粒子を偏在させる技術手段として下記特許文献が開示されている。
特許文献4には、乾燥条件を制御することにより、屈折率の異なる2種類の微粒子を、表面側と下側に偏在させることが記載されている。
しかしながら、特許文献4には、微粒子と樹脂を偏在させることについては開示されていない。また、特許文献4は、反射防止部材であり、粒子を表面に偏在させることについての技術手段は開示されているが、樹脂を偏在させて表面を平滑にすることについては言及されていない。
また、特許文献5は、粒子を表面側に偏在させることを開示するが、粒子を基材側に偏在させることについては開示されていない。
そこで、本発明の課題は、発光効率の向上や輝度ムラの低減を実現でき、簡単に形成でき、耐久性を向上できる有機発光素子の製造方法及び有機発光素子を提供することにある。
また本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
1.
透明基材、光散乱層、透明電極、有機発光層、電極をこの順に積層して有機発光素子を製造する有機発光素子の製造方法において、
前記光散乱層を形成する工程において、光散乱微粒子と樹脂と溶剤からなる単一の塗布液を前記透明基材上に塗布し、これを乾燥させる際に、
前記溶剤の沸点未満の温度で加熱する第1の乾燥で前記透明基材側に前記光散乱微粒子を偏在させ、前記透明電極が形成される側に前記樹脂を偏在させ
その後、前記溶剤の沸点以上の温度で加熱する第2の乾燥で塗膜内部に残っている溶剤を乾燥して偏在構造を固定する
ことを特徴とする有機発光素子の製造方法。

前記2種の乾燥方法のうち第1の乾燥方法は、前記光散乱層を形成する前記塗布液中の一番沸点の低い溶剤の沸点Tb(℃)に対して下記式(1)を満たす温度T(℃)で加熱して、塗膜の収縮速度が前記光散乱微粒子の沈降速度と前記樹脂の拡散速度より速くなることを防止することを特徴とする請求項記載の有機発光素子の製造方法。
式(1)
25℃<Tb−T<50℃

前記光散乱微粒子が酸化チタンであることを特徴とする前記1又は2記載の有機発光素子の製造方法。

前記透明電極が薄銀であることを特徴とする前記1〜の何れかに記載の有機発光素子の製造方法。
本発明によれば、発光効率の向上や輝度ムラの低減を実現でき、簡単に形成でき、耐久性を向上できる有機発光素子の製造方法及び有機発光素子を提供することができる。
本発明の有機発光素子の製造方法の一例を説明する概略断面図 光散乱微粒子と樹脂の偏在化を説明する概略断面図 実施例において製造される有機発光素子が備える有機発光体の積層構造を説明する図
以下に、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明の有機発光素子の製造方法の一例を説明する概略断面図である。
まず、図1(a)に示すように、透明基材1を用意する。
透明基材1の材質は、格別限定されないが、樹脂やガラス等を好ましく例示できる。
本発明で好ましく用いられる透明基材は、有機発光素子に必要な耐湿性/耐気体透過性等のガスバリア性能を有することが好ましく、フィルム基材においては、バリア性能向上の層を設けることが好ましい。
本発明の透明基材とは、透過率70%以上の基材をいい、好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上の透過率を有することである。ここで、透過率は、東京電色社製AUTOMATIC HAZEMETER(MODEL TC−HIIIDP)を用いて、全光線透過率を測定した値である。
本発明の透明基材は可撓性を有することが好ましい。ここでいう可撓性とは、例えば、φ(直径)50mmロールに巻き付け、一定の張力で巻取る前後で割れ等が生じることの無い基材をいい、より好ましくはφ30mmロールに巻き付け可能な基材をいう。
上記のようなロールに巻き付け可能な透明基材としては、従来公知の基材を用いることができ、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ナイロン(Ny)、芳香族ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド等の各樹脂フィルム、有機無機ハイブリッド構造を有するシルセスキオキサンを基本骨格とした耐熱透明フィルム(製品名Sila−DEC、チッソ株式会社製)、更には前記樹脂を二層以上積層して成る樹脂フィルム等を挙げることができる。
コストや入手の容易性の点では、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)等が好ましく用いられ、また光学的透明性、耐熱性、無機層、ガスバリア性層との密着性の点においては、有機無機ハイブリッド構造を有するシルセスキオキサンを基本骨格とした耐熱透明フィルムが好ましく用いることができる。
中でも透明性、耐熱性、取り扱いやすさ、強度及びコストの点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリカーボネートフィルムが好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムがより好ましい。
更に熱膨張時の収縮を最大限抑えるため、熱アニール等の処理を行った低熱収処理品が最も好ましい。
透明基材の厚さは10〜500μmが好ましく、より好ましくは20〜250μmであり、さらに好ましくは30〜150μmである。透明基材の厚さが10〜500μmの範囲にあることで、安定したガスバリア性を得られ、また、ロール・トゥ・ロール方式の搬送に適したものになる。
ここでは図示していないが、本発明の透明基材がフィルム基材である場合には、屈折率が1.4以上1.7以内の1層以上のバリア層(低屈折率層)を設けることが好ましい。バリア層は、ガスバリア機能を有することができ、以下の説明では、ガスバリア層という場合もある。
このようなバリア層としては、公知の素材を特に制限なく使用できるが、例えば以下のような素材を好ましく使用できる。
バリア層は無機前駆体化合物を含有する層であって、透明基材上に少なくとも1層の無機前駆体化合物を含有する塗布液を塗布することにより形成される。
塗布方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。
具体例としては、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。
塗布厚さは、目的に応じて適切に設定され得る。例えば、塗布厚さは、乾燥後の厚さが好ましくは1nm〜10μm程度、さらに好ましくは10nm〜10μm程度、最も好ましくは30nm〜1μm程度となるように設定され得る。
バリア層に用いられる無機前駆体化合物とは、特定の雰囲気下で真空紫外線照射によって金属酸化物や金属窒化物や金属酸化窒化物を形成しうる化合物であれば特に限定されないが、本発明の製造方法に適する化合物としては、特開平8−112879号公報に記載されているように比較的低温で改質処理され得る化合物が好ましい。
具体的には、Si−O−Si結合を有するポリシロキサン(ポリシルセスキオキサンを含む)、Si−N−Si結合を有するポリシラザン、Si−O−Si結合とSi−N−Si結合の両方を含むポリシロキサザン等を上げることができる。これらは2種以上を混合して使用することができる。また、異なる化合物を逐次積層したり、同時積層したりしても使用可能である。
次いで、図1(b)に示すように、透明基材1の上に、光散乱層2を形成する。光散乱層2は、後に形成される有機発光層4からの光取り出しのために設けられる。
光散乱層2は、透明基材1の上に、光散乱微粒子と樹脂と溶剤からなる塗布液を塗布し、乾燥させることによって形成される。
塗布方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。
具体例としては、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法、ディスペンサー法等が挙げられる。
光散乱層2は、屈折率が1.7以上3.0未満の範囲内である高屈折率層であることが好ましい。光散乱層2は、少なくとも光散乱微粒子と樹脂とを含んで構成されるため、ここでいう屈折率は、これらの混合系の屈折率である。
このような混合系では、光散乱層2の屈折率は、各々の素材固有の屈折率に混合比率を乗じた合算値により算出される計算屈折率でも代用可能である。また、この場合、各々の素材の屈折率は、1.7未満若しくは3.0以上であってもよく、混合した層の屈折率として1.7以上3.0未満を満たしていればよい。
光散乱層を形成する塗布液中の光散乱粒子としては、可視光域のMie散乱を生じさせる領域以上の粒径を有する透明な粒子であることが好ましく、その平均粒径は0.2μm以上1μm以下が好ましい。
光散乱粒子平均粒径は、透過型電子顕微鏡写真(TEM断面)の画像処理により測定することができる。
光散乱微粒子としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、有機微粒子であっても、無機微粒子であってもよいが、中でも高屈折率を有する無機微粒子であることが好ましい。
高屈折率を有する有機微粒子としては、例えば、ポリメチルメタクリレートビーズ、アクリル−スチレン共重合体ビーズ、メラミンビーズ、ポリカーボネートビーズ、スチレンビーズ、架橋ポリスチレンビーズ、ポリ塩化ビニルビーズ及びベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒドビーズ等が挙げられる。
高屈折率を有する無機微粒子としては、例えば、ジルコニウム、チタン、インジウム、亜鉛、アンチモン、セリウム、ニオブ及びタングステン等の中から選ばれる少なくとも1つの酸化物からなる無機酸化物粒子が挙げられる。無機酸化物粒子としては、具体的には、ZrO、TiO、BaTiO、In、ZnO、Sb、ITO、CeO、Nb及びWO等が挙げられ、中でも、TiO、BaTiO、ZrO、CeO及びNbが好ましく、TiOが最も好ましい。また、TiOの中でも、アナターゼ型よりルチル型の方が、触媒活性が低いため高屈折率層や隣接した層の耐候性が高くなり、さらに屈折率が高いことから好ましい。
また、これらの粒子は、高屈折率の光散乱層2に含有させるために、後述の分散液とした場合の分散性や安定性向上の観点から、表面処理を施したものを用いるか、あるいは表面処理を施さないものを用いるかを選択することができる。
表面処理を行う場合、表面処理の具体的な材料としては、酸化ケイ素や酸化ジルコニウム等の異種無機酸化物、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、オルガノシロキサン、ステアリン酸等の有機酸等が挙げられる。これら表面処理材は、1種を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。中でも、分散液の安定性の観点から、表面処理材としては、異種無機酸化物及び/又は金属水酸化物が好ましく、金属水酸化物がより好ましい。
無機酸化物粒子が、表面処理材で表面被覆処理されている場合、その被覆量(一般的に、この被覆量は、粒子の質量に対する当該粒子の表面に用いた表面処理材の質量割合で示される。)は、0.01〜99質量%であることが好ましい。表面処理材の被覆量が0.01質量%以上であると、表面処理による分散性や安定性の向上効果を十分に得ることができ、また、99質量%以内であると高屈折率の光散乱層2aの屈折率が低下するのを抑制することができる。
その他、高屈折率材料として、国際公開第2009/014707号や米国特許第6608439号明細書等に記載の量子ドットも好適に用いることができる。
光散乱層2における光散乱微粒子の含有量は、体積充填率で、1.0〜70%の範囲内であることが好ましく、5〜50%の範囲内であることがより好ましい。これにより、光散乱量を増加させて光取り出し効率を向上させることができる。
光散乱層を形成する塗布液中の樹脂としては、公知の樹脂(バインダー)が特に制限なく使用可能であり、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ナイロン(Ny)、芳香族ポアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド及びポリエーテルイミド等の樹脂フィルム、有機無機ハイブリッド構造を有するシルセスキオキサンを基本骨格とした耐熱透明フィルム(製品名Sila−DEC、チッソ株式会社製)、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラデシル)トリエトキシシラン)の他、含フッ素モノマーと架橋性基付与のためのモノマーを構成単位とする含フッ素共重合体等が挙げられる。これら樹脂は、2種以上混合して使用することができる。これらの中でも、有機無機ハイブリッド構造を有するものが好ましい。
また、以下の親水性樹脂を使うことも可能である。親水性樹脂としては水溶性の樹脂、水分散性の樹脂、コロイド分散樹脂又はそれらの混合物が挙げられる。親水性樹脂としては、アクリル系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系及びフッ素系等の樹脂が挙げられ、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、カゼイン、デンプン、寒天、カラギーナン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸、セルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、プルラン及び水溶性ポリビニルブチラール等のポリマーを挙げることができるが、これらの中でも、ポリビニルアルコールが好ましい。
バインダー樹脂として用いられるポリマーは、1種類を単独で用いてもよいし、必要に応じて2種類以上を混合して使用してもよい。
また、バインダーとしては、主として紫外線・電子線によって硬化する樹脂、すなわち、電離放射線硬化型樹脂に熱可塑性樹脂と溶媒とを混合したものや熱硬化型樹脂も好適に使用できる。
このようなバインダー樹脂としては、飽和炭化水素又はポリエーテルを主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーであることがより好ましい。
また、バインダーは架橋していることが好ましい。飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーは、エチレン性不飽和モノマーの重合反応により得ることが好ましい。架橋しているバインダーを得るためには、2つ以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを用いることが好ましい。
また、本発明では、特定の雰囲気下で紫外線照射によって、金属酸化物、金属窒化物又は金属酸化窒化物を形成しうる化合物が特に好適に使用される。本発明に適する化合物としては、特開平8−112879号公報に記載されている比較的低温で改質処理され得る化合物が好ましい。
具体的には、Si−O−Si結合を有するポリシロキサン(ポリシルセスキオキサンを含む)、Si−N−Si結合を有するポリシラザン及びSi−O−Si結合とSi−N−Si結合の両方を含むポリシロキサザン等を挙げることができる。これらは、2種以上を混合して使用することができる。また、異なる化合物を逐次積層したり、同時積層したりしても使用可能である。
これらポリシロキサン(ポリシルセスキオキサンを含む)、ポリシラザン及びポリシロキサザンは、前述の透明基板のバリア層において説明したものと同様である。
光散乱層2における樹脂の含有量は、体積充填率で、20〜80%の範囲内であることが好ましい。樹脂量が20%より少ないと光散乱微粒子のバインダーとして機能しにくくなり、80%より多いと散乱効果が弱くなる。
光散乱層を形成する塗布液中の溶剤としては、格別限定されず種々のものを使用できる。例えば、水、アルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類、アミド類、炭化水素系などがある。特にヒドロキシ基(−OH基)を含有することが好ましい。−OH基を含有する溶媒により光散乱微粒子の分散性が非常に良好となり、上述の透明基板との密着性、塗れ性も良好となり、理由ははっきりしないが、光取り出し効率が向上する。また本発明では、フィルム系の透明基材の吸収が低い赤外波長域を効率よく吸収する溶媒により、フィルム系の透明基材上での高速乾燥をも実現できる。溶剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
透明基材1の上に塗布された塗布液を乾燥する過程において、図2に示すように、透明基材1側に光散乱微粒子21を偏在させ、後に透明電極3を形成する側(透明基材1側の反対側)に樹脂22を偏在させる。
即ち、図2(a)は、塗布液を塗布直後の様子を示しており、未だ光散乱微粒子21と樹脂22とは偏在化されていない。光散乱微粒子21と樹脂22は、溶剤中にランダムに混在している。
図2(b)は、塗布液を乾燥後の様子を示しており、溶剤が乾燥されて形成された光散乱層2において、透明基材1側に光散乱微粒子21が偏在し、後に透明電極3を形成する側(透明基材1側の反対側)に樹脂22が偏在している。
これにより、光散乱層2の表面(透明基材1側の反対側の面)23に高い平滑性を付与できる。塗布された塗布液中で光散乱微粒子と樹脂とを偏在させる好ましい方法については、後に詳述する。
次いで、図1(c)に示すように、光散乱層2の上に、透明電極3を形成する。
透明電極3を形成する方法は、格別限定されず、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法等のウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法など)、スパッタ法、CVD法等のドライプロセスを用いる方法等が挙げられる。特に、蒸着法を用いることが好ましい。
透明電極3を構成する材質は、格別限定されず、ITO(インジウム−スズ酸化物)などの金属酸化物、金属、導電性高分子、グラフェンなどの炭素系などがある。金属である銀、ITO等を好ましく例示でき、特に銀または、銀を主成分とする合金が好ましい。銀または、銀を主成分とする合金としては、例えば、銀マグネシウム(AgMg)、銀銅(AgCu)、銀パラジウム(AgPd)、銀パラジウム銅(AgPdCu)、銀インジウム(AgIn)等が挙げられる。
銀または銀を主成分とする合金を蒸着させて薄銀からなる透明電極3を形成する場合は、特に光散乱層2の表面の平滑状態の影響を受けやすいため、本発明の効果が顕著となる。なお、薄銀とは、透明性を損なわない範囲の厚みを有する銀の膜であり、特に蒸着膜であることが好ましく、その厚みは、4〜9nmの範囲であることが好ましい。
ここでは図示していないが、透明電極を形成する前に光散乱層の上に下地層を設けることも好ましいことである。
下地層の成膜方法としては、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法などのウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法など)、スパッタ法、CVD法等のドライプロセスを用いる方法等が挙げられる。中でも、蒸着法が好ましく適用される。
下地層を構成する化合物としては、窒素原子を含んだ化合物を好ましく例示でき、分子内に窒素原子を含んでいる化合物であれば特に限定されないが、窒素原子をヘテロ原子とした複素環を有する化合物であることが好ましい。窒素原子をヘテロ原子とした複素環としては、アジリジン、アジリン、アゼチジン、アゼト、アゾリジン、アゾール、アジナン、ピリジン、アゼパン、アゼピン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾリン、ピラジン、モルホリン、チアジン、インドール、イソインドール、ベンゾイミダゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、カルバゾール、ベンゾ−C−シンノリン、ポルフィリン、クロリン、コリン等が挙げられる。
下地層の厚さとしては光学ロスと接着性の観点から0.05〜5nmが好ましい。
次いで、図1(d)に示すように、透明電極3の上に、有機発光層4を形成する。
有機発光層4は、広義の意味では、透明電極3と電極5との間に電流を流した際に発光する層のことであり、具体的には、透明電極3と電極5との間に電流を流した際に発光する化合物を含有する層のことを指す。
有機発光層は、2つ以上の層を積層して構成されていてもよく、例えば、正孔輸送性と電子輸送性等、異なる機能を有する第1の層および第2の層の間に、発光層を設けたもの等を好ましく例示できる。
次いで、図1(e)に示すように、有機発光層4の上に、電極5を形成する。
電極5を形成する方法は、格別限定されないが、印刷法や蒸着法を用いることが好ましい。
電極5を構成する材質は、格別限定されず、金属や導電性高分子等のように導電性のある材料であればよい。
また、電極5に光反射性を付与することも好ましく、この観点では、電極5の材質として、光反射性を付与できるものを選択することが好ましく、格別限定されないが、例えば、アルミニウムなどの金属等を用いることができる。
また、電極5に光透過性を付与する、即ち電極5を透明電極とすることも好ましい。透明電極としての電極5の構成については、例えば、透明電極3の構成についてした説明を援用することができる
以上のようにして有機発光素子が得られる。
得られた有機発光素子は、透明基材1、光散乱層2、透明電極3、有機発光層4、電極5をこの順に積層して構成されている。
透明電極3及び電極5の間に電流を流すことにより、有機発光層4を発光させることができる。有機発光層4から発生した光は、透明電極3、光散乱層2及び透明基材1を介して、外部に放出される。
光散乱層2の表面に高い平滑性を付与できるため、その上に成膜される透明電極の成膜状態を良好とすることができ、発光効率の向上や、輝度ムラの低減を実現できる効果が得られる。
また、平滑化層を形成する場合と比較して、工程を簡略化でき、更に、光散乱層と平滑化層との間で密着性が低下する問題も防止できるため耐久性を向上できる効果も得られる。
光散乱層2の表面の表面粗さは、20nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましく、5nm以下であることが最も好ましい。ここで、表面粗さは、JIS B 0601:2013の規定に基づいて測定される算術平均粗さRaである。光散乱層2における光散乱微粒子と樹脂との偏在化を、かかる表面粗さを達成するように調整することも好ましいことである。
次に、光散乱層2の形成に際して、塗布された塗布液中で光散乱微粒子と樹脂とを偏在させる好ましい方法について説明する。
塗布された塗布液中で光散乱微粒子と樹脂とを偏在させる方法としては、磁場や電場などを外部から与える、比重差を利用する、塗布液中での拡散速度差を利用することなど各種の方法を用いることができる。特に好ましいのは粒子の沈降性と樹脂の拡散性と塗膜の収縮速度差を利用したものである。
光散乱微粒子と樹脂と溶剤からなる塗布液の乾燥過程において、光散乱微粒子の拡散速度、樹脂の拡散速度、光散乱微粒子の沈降速度、塗膜の収縮速度の間の大小関係により、乾燥した塗膜中に光散乱微粒子と樹脂が均一に分布した膜になるか、光散乱微粒子と樹脂が上下に分離した構造になる。塗膜の乾燥速度に比べ、光散乱微粒子の沈降速度と樹脂の拡散速度が速い場合に、光散乱微粒子が基材1側に偏在し、樹脂が表面側(透明電極3を形成する側)に偏在する。
上記を達成する方法としては該塗布液を乾燥する際に、乾燥速度の異なる2種の乾燥方法を順次行う方法を好ましく挙げることができる。
第1の乾燥で粒子の沈降速度、樹脂の拡散速度、塗膜の収縮速度の関係を制御して、光散乱微粒子を基材1側に、樹脂を表面側(透明電極3を形成する側)に偏在させ、その後第2の乾燥で塗膜内部に残っている溶剤を乾燥して構造を固定する。
乾燥方法としては熱風乾燥、ステージ乾燥、赤外乾燥、マイクロ波乾燥など種々の方法を使うことができる。
乾燥速度の異なる2種の乾燥方法は、上記種々の乾燥方法の組合せでもよいし、同じ乾燥方法で乾燥条件を変えることで達成してもよい。
2種の乾燥方法を順次行う方法において、第1の乾燥方法は、光散乱層を形成する塗布液中の全溶剤の沸点以下の温度で加熱することが好ましい。
また、2種の乾燥方法を順次行う方法において、第1の乾燥方法は、光散乱層を形成する塗布液中の一番沸点の低い溶剤の沸点Tb(℃)に対して下記式(1)を満たす温度T(℃)で加熱することが好ましい。
式(1)
25℃<Tb−T<50℃
こうすることで、溶剤の乾燥速度を好適に抑えることができ、基材1側への光散乱粒子の偏在化がより好適に生起される。上記「Tb−T」値が25℃を超えることにより、第1の乾燥での乾燥速度が緩やかになり、塗膜の収縮速度が粒子の沈降速度と樹脂の拡散速度より速くなることが防止され、基材側に光散乱微粒子が偏在化する現象がより顕著となる。また、上記「Tb−T」値が50℃未満であることにより、第1の乾燥で溶剤が蒸発するのにかかる時間が短縮され、生産性を顕著に向上することができる。
また、第1の乾燥での加熱温度T(℃)は、30℃以上であることが好ましい。
2種の乾燥方法を順次行う方法において、第2の乾燥方法は、光散乱層を形成する塗布液中の何れかの溶剤の沸点以上の温度で加熱することが好ましい。こうすることで、溶剤の乾燥速度を上げて生産性を高めることができる。
また、第2の乾燥方法として赤外乾燥を用いることが好ましい。特に波長制御赤外乾燥を用いると、基材がフィルムの場合にフィルムの発熱を抑えることができ、フィルムの収縮を防止できる点で好ましい。
第1の乾燥方法から、第2の乾燥方法に切り換えるタイミングは、塗布液の組成、乾燥条件によって異なり、あらかじめ光散乱微粒子が透明基材側に偏在する状態になる時間を確認して決めることができる。例えば、光散乱層2の表面の表面粗さが、所定値以下、好ましくは20nm以下、より好ましくは10nm以下、最も好ましくは5nm以下となるように、第1の乾燥方法の継続時間を調整することも好ましいことである。
第2の乾燥方法の継続時間は塗膜中の残存溶剤がない状態まで継続することが好ましい。例えば、塗膜の重量を測定して、固形分だけの状態になるまでの時間として決めることができる。
以上のようにして、光散乱層2を単一の塗布液から形成する場合においても、形成された光散乱層2において、透明基材1側に光散乱微粒子21を偏在させ、透明電極3が形成される側に樹脂22を偏在させて、透明電極3が形成される面23を平滑化することが可能になる。
以下に、本発明の実施例について説明するが、本発明はかかる実施例により限定されない。
(実施例1)
1.有機発光素子の製造
実施例1において製造される有機発光素子は、透明基材1、光散乱層2、透明電極3、有機発光層4、電極5をこの順に積層してなるものであり、具体的には、図3に示す積層構造を有する有機発光体を、封止材で封止した構造を基本構成として備えるものである。
図3において、当該有機発光体を構成する積層順に、6はブリードアウト防止層、1は透明基材、7は平坦層、8は1層目のガスバリア層、9は2層目のガスバリア層、2は光散乱層、10は下地層、3は透明電極、11は正孔輸送注入層、4は有機発光層、12は正孔阻止層、13は電子輸送層、14は電子注入層、5は電極(対向電極ともいう)である。
(1)透明基材の準備
透明基材として厚さ125μmのポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムを用意した。
かかる透明基材に対して、特開2012−116101号公報の実施例1の方法を参考にして、ブリードアウト防止層、平坦層及びガスバリア層を形成した。具体的には、下記の方法を用いた。
(2)ブリードアウト防止層の形成
上記透明基材の片面に、JSR株式会社製 UV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材OPSTAR Z7535を、塗布・乾燥後の膜厚が4μmになるように塗布した後、硬化条件;1.0J/cm、空気雰囲気下、高圧水銀ランプ使用、乾燥条件;80℃、3分で硬化を行い、ブリードアウト防止層を形成した。
(3)平坦層の形成
続けて、上記透明基材の反対面に、JSR株式会社製 UV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材OPSTAR Z7501を、塗布・乾燥後の層厚が4μmになるように塗布した後、乾燥条件;80℃、3分で乾燥後、空気雰囲気下、高圧水銀ランプ使用、硬化条件;1.0J/cm2で硬化を行い、平坦層を形成した。
(4)1層目及び2層目のガスバリア層の形成
次いで、透明基材の平坦層表面に、無機前駆体化合物を含有する塗布液を、減圧押し出し方式のコーターを用いて、乾燥層厚が150nmとなるように、1層目のガスバリア層を塗布した。
無機前駆体化合物を含有する塗布液は、無触媒のパーヒドロポリシラザン20質量%ジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製アクアミカ NN120−20)とアミン触媒を固形分の5質量%含有するパーヒドロポリシラザン20質量%ジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製アクアミカ NAX120−20)とを混合して用い、アミン触媒を固形分の1質量%に調整した後、さらに、ジブチルエーテルで希釈することにより5質量%ジブチルエーテル溶液として作製した。
塗布後、乾燥温度80℃、乾燥時間300秒、乾燥雰囲気の露点5℃の条件下で乾燥させた。
乾燥後、透明基材を25℃まで徐冷し、真空紫外線照射装置内で、塗布面に真空紫外線照射による改質処理を行った。真空紫外線照射装置の光源としては、172nmの真空紫外線を照射する二重管構造を有するXeエキシマーランプを用いた。
<改質処理装置>
株式会社エム・ディ・コム製エキシマー照射装置MODEL:MECL−M−1−200、波長172nm、ランプ封入ガス Xe
<改質処理条件>
エキシマー光強度 3J/cm(172nm)
ステージ加熱温度 100℃
照射装置内の酸素濃度 1000ppm
改質処理後、ガスバリア層を形成した透明基板を、上記と同様にして乾燥させ、さらに、同条件にて2回目の改質処理を行い、乾燥層厚150nmの1層目のガスバリア層を形成した。
次いで、1層目のガスバリア層と同様にして、1層目のガスバリア層上に2層目のガスバリア層を形成し、ガスバリア性を有するPENフィルムを作製した。
(5)光散乱層の形成
<塗布液の作製>
平均粒径250nmのルチル型酸化チタン8gに、2−プロパノール(沸点:82℃)10g、プロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点:120℃)44gおよびヘキシレングリコール(沸点:198℃)30gを混合し、超音波分散機(エムエステー社製US−50)に、マイクロチップステップ(エムエステー社製 MS−3 3mmφ)の標準条件で10分間分散して酸化チタン分散液を作製し、その後、樹脂溶液(APM社製 ED230AL(有機無機ハイブリッド樹脂:濃度25wt%))8gを加えて攪拌し、光散乱層を形成するための塗布液を作製した。
<インクジェットによる塗布>
コニカミノルタ製インクジェットヘッド512LHX(標準液滴量42pL)を取り付けたXYロボット(武蔵エンジニアリング製SHOTMASTER300)と、インクジェットコントロールシステム(コニカミノルタ製IJCS−1)を用いて、上記作製された塗布液(散乱層塗布液)を、湿潤膜厚10μmになるように解像度を調整して、上記2層目のガスバリア層表面に塗布した。
乾燥方法は、下記の通り、乾燥速度の異なる2種の乾燥方法を順次行う方法により行った。
<乾燥方法>
下記第1の乾燥と第2の乾燥を順次行った。
・第1の乾燥:ホットプレートを用い40℃で5分加熱乾燥した。
・第2の乾燥:ホットプレートを用い120℃で5分加熱乾燥した。
なお、塗布液中の溶剤(2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルおよびヘキシレングリコール)のうち一番沸点の低い2−プロパノールの沸点Tb(℃)は82℃であり、第1の乾燥方法の加熱温度T(℃)は40℃であるから、このときの「Tb−T」値は、42℃である。
このようにして、光散乱層を形成した。
(6)下地層及び透明電極層の形成
光散乱層が形成された基材を、市販の真空蒸着装置の基材ホルダーに固定し、下記例示化合物1をタンタル製抵抗加熱ボートに入れ、これらの基板ホルダーと加熱ボートとを真空蒸着装置の第1真空槽に取り付けた。また、タングステン製の抵抗加熱ボートに銀(Ag)を入れ、第2真空槽内に取り付けた。
この状態で、まず、第1真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、下記例示化合物1の入った加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒の範囲内で基材(散乱層)上に膜厚25nmの下記例示化合物1からなる下地層を設けた。
次いで、下地層まで形成した基材を真空のまま第2真空槽に移し、第2真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、銀の入った加熱ボートを通電して加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒の範囲内で、基材(下地層)上に膜厚8nmの銀からなる透明電極層を形成した。
Figure 0006201807
(7)発光機能層(正孔輸送注入層、有機発光層、正孔阻止層、電子輸送層及び電子注入層)の形成
光散乱層及び透明電極層が形成された透明基板を、中央部に幅30mm×30mmの開口部があるマスクと重ねて市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定した。また真空蒸着装置内の加熱ボートの各々に、発光機能層を構成する各材料を、それぞれの層の形成に最適な量で充填した。
なお、加熱ボートはタングステン製抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
次いで、真空蒸着装置の蒸着室内を真空度4×10−4Paまで減圧し、各材料が入った加熱ボートを順次通電して加熱することにより、以下のように各層を形成した。
まず、正孔輸送注入材料として下記構造式に示すα−NPDが入った加熱ボートに通電して加熱し、α−NPDよりなる正孔注入層と正孔輸送層とを兼ねた正孔輸送注入層を、透明電極層上に形成した。この際、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒、膜厚140nmとした。
Figure 0006201807
次に、下記構造式に示すホスト材料H4の入った加熱ボートと、下記構造式に示すリン光発光性化合物Ir−4の入った加熱ボートとを、それぞれ独立に通電し、ホスト材料H4とリン光発光性化合物Ir−4とよりなる発光層を、正孔輸送注入層上に形成した。この際、蒸着速度がホスト材料H4:リン光発光性化合物Ir−4=100:6となるように、加熱ボートの通電を調節した。また膜厚30nmとした。
次いで、正孔阻止材料として下記構造式に示すBAlqが入った加熱ボートに通電して加熱し、BAlqよりなる正孔阻止層を、発光層上に形成した。この際、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒、膜厚10nmとした。
Figure 0006201807
その後、電子輸送材料として先に構造式を示した例示化合物1の入った加熱ボートと、フッ化カリウムの入った加熱ボートとを、それぞれ独立に通電し、例示化合物1とフッ化カリウムとよりなる電子輸送層を、正孔阻止層上に形成した。この際、蒸着速度が例示化合物1:フッ化カリウム=75:25になるように、加熱ボートの通電を調節した。また層厚30nmとした。
次に、電子注入材料としてフッ化カリウムの入った加熱ボートに通電して加熱し、フッ化カリウムよりなる電子注入層を、電子輸送層上に形成した。この際、蒸着速度0.01〜0.02nm/秒、膜厚1nmとした。
(8)対向電極の形成
その後、電子注入層まで形成した透明基板を、アルミニウム(Al)を入れたタングステン製の抵抗加熱ボートが取り付けられた第2真空槽へ真空状態を保持したまま移送した。アノードと直行するように配置された幅20mm×50mmの開口部があるマスクと重ねて固定した。次いで、処理室内において、成膜速度0.3〜0.5nm/秒で、膜厚100nmのAlからなる反射性の対向電極をカソードとして成膜し、有機発光体を得た。
(9)封止
その後、かかる有機発光体を、大きさ40mm×40mm、厚さ700μmのガラス基板であって、中央部34mm×34mmを深さ350μmでザクったガラス基板からなる封止材で覆い、有機発光体を囲む状態で、封止材と透明基板との間に接着剤(シール材)を充填した。接着剤としては、エポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を用いた。
その後、封止材と透明基板との間に充填した接着剤に対して、ガラス基板(封止材)側からUV光を照射し、接着剤を硬化させて有機発光体を封止した。
なお、有機発光体の形成においては、各層の形成に蒸着マスクを使用し、5cm×5cmの透明基板における中央の2.0cm×2.0cmの領域を発光領域Aとし、発光領域Aの全周に幅1.5cmの非発光領域Bを設けた。
また、アノードである透明金属電極とカソードである対向電極に関し、正孔輸送注入層〜電子輸送層までの発光機能層によって絶縁された状態で、透明基板の周縁に端子部分を引き出した。
以上のようにして有機発光素子を得た。
2.評価方法
得られた有機発光素子について、下記評価方法により評価した。
(1)光散乱微粒子と樹脂の偏在化
断面SEM観察により、光散乱層における光散乱微粒子と樹脂の偏在化の様子を観察し、下記の評価基準で評価した。
○:光散乱微粒子が透明基材側に、樹脂が透明電極側に、それぞれ偏在化している。
×:偏在化が生じていない
(2)表面粗さ
光干渉式の表面粗さ測定器(Veeco社製WYKO NT9000)を用いて、透明電極を形成する前の光散乱層表面の表面粗さ(nm)を測定した。ここで、表面粗さは、JIS B 0601:2013の規定に基づいて測定される算術平均粗さRaである。
(3)取り出し効率
各有機発光素子に対し、室温(約23〜25℃の範囲内)で、2.5mA/cmの定電流密度条件下による点灯を行い、分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルタ製)を用いて、発光輝度を測定し、当該電流値における発光効率(取り出し効率)を求めた。なお、取り出し効率は、光散乱層の無い有機発光素子の取り出し効率を100とする相対値で表した。
(4)ダークスポット防止性
透明電極及び電極の間に電流を流し、有機発光層を発光させて、透明基材側に取り出される光を観察し、透明電極の形成ムラに起因するダークスポットの有無を、下記の評価基準で評価した。
○:ダークスポットがない
×:ダークスポットが有る
以上の評価結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1において、塗布液から光散乱層を形成する際の乾燥方法を下記としたこと以外は、実施例1と同様にして、有機発光素子を得た。
<乾燥方法>
下記第1の乾燥と第2の乾燥を順次行った。
・第1の乾燥:ホットプレートを用い40℃で5分加熱乾燥した。
・第2の乾燥:下記記載の波長制御IRヒーターで5分乾燥した。
なお、塗布液中の溶剤(2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルおよびヘキシレングリコール)のうち一番沸点の低い2−プロパノールの沸点Tb(℃)は82℃であり、第1の乾燥方法の加熱温度T(℃)は40℃であるから、このときの「Tb−T」値は、42℃である。
<波長制御IRヒーター>
IR照射装置(アルティメットヒーター/カーボン,明々工業株式会社製)に、波長3.5μm以上の赤外線を吸収する石英ガラス板2枚を取り付け、ガラス板間に冷却空気を流したものを用い、フィラメント温度を1200℃、石英ガラス板表面温度を130℃に調整した。
実施例1と同様に評価した評価結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、塗布液から光散乱層を形成する際の乾燥方法を下記としたこと以外は、実施例1と同様にして、有機発光素子を得た。
<乾燥方法>
下記第1の乾燥と第2の乾燥を順次行った。
・第1の乾燥:ホットプレートを用い60℃で5分加熱乾燥した。
・第2の乾燥:ホットプレートを用い120℃で5分加熱乾燥した。
なお、塗布液中の溶剤(2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルおよびヘキシレングリコール)のうち一番沸点の低い2−プロパノールの沸点Tb(℃)は82℃であり、第1の乾燥方法の加熱温度T(℃)は60℃であるから、このときの「Tb−T」値は、22℃である。
実施例1と同様に評価した評価結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1において、塗布液から光散乱層を形成する際の乾燥方法を下記としたこと以外は、実施例1と同様にして、有機発光素子を得た。
<乾燥方法>
ホットプレートを用い120℃で10分加熱乾燥した(1種の乾燥方法のみ)。
実施例1と同様に評価した評価結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例1において、塗布液から光散乱層を形成する際の乾燥方法を下記としたこと以外は、実施例1と同様にして、有機発光素子を得た。
<乾燥方法>
下記記載の波長制御IRヒーターで10分乾燥した。(1種の乾燥方法のみ)。
<波長制御IRヒーター>
IR照射装置(アルティメットヒーター/カーボン,明々工業株式会社製)に、波長3.5μm以上の赤外線を吸収する石英ガラス板2枚を取り付け、ガラス板間に冷却空気を流したものを用い、フィラメント温度を1200℃、石英ガラス板表面温度を130℃に調整した。
実施例1と同様に評価した評価結果を表1に示す。
Figure 0006201807
1:透明基材
2:光散乱層
21:光散乱微粒子
22:樹脂
23:光散乱層の表面
3:透明電極
4:有機発光層
5:電極

Claims (4)

  1. 透明基材、光散乱層、透明電極、有機発光層、電極をこの順に積層して有機発光素子を製造する有機発光素子の製造方法において、
    前記光散乱層を形成する工程において、光散乱微粒子と樹脂と溶剤からなる単一の塗布液を前記透明基材上に塗布し、これを乾燥させる際に、
    前記溶剤の沸点未満の温度で加熱する第1の乾燥で前記透明基材側に前記光散乱微粒子を偏在させ、前記透明電極が形成される側に前記樹脂を偏在させ
    その後、前記溶剤の沸点以上の温度で加熱する第2の乾燥で塗膜内部に残っている溶剤を乾燥して偏在構造を固定する
    ことを特徴とする有機発光素子の製造方法。
  2. 前記2種の乾燥方法のうち第1の乾燥方法は、前記光散乱層を形成する前記塗布液中の一番沸点の低い溶剤の沸点Tb(℃)に対して下記式(1)を満たす温度T(℃)で加熱して、塗膜の収縮速度が前記光散乱微粒子の沈降速度と前記樹脂の拡散速度より速くなることを防止することを特徴とする請求項記載の有機発光素子の製造方法。
    式(1)
    25℃<Tb−T<50℃
  3. 前記光散乱微粒子が酸化チタンであることを特徴とする請求項1又は2記載の有機発光素子の製造方法。
  4. 前記透明電極が薄銀であることを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の有機発光素子の製造方法。
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