JP6199115B2 - マスクブランク用基板の製造方法、マスクブランクの製造方法、転写用マスクの製造方法、及び半導体デバイスの製造方法 - Google Patents

マスクブランク用基板の製造方法、マスクブランクの製造方法、転写用マスクの製造方法、及び半導体デバイスの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、光リソグラフィーに用いるマスクブランク用基板の製造方法、マスクブランクの製造方法、転写用マスクの製造方法、並びに半導体デバイスの製造方法に係わり、特に光リソグラフィーを行った際に焦点裕度を確保する上で好適なマスクブランク用基板の製造方法、マスクブランクの製造方法、転写用マスクの製造方法、並びに半導体デバイスの製造方法に関するものである。
半導体デバイスの微細化に対応するために、波長193nmのArF露光光を使用する露光装置の高NA化(高開口数化)が進み、さらに液浸露光技術が導入されることによってさらなる高NA化が進んできていて、現在ではNA1.35が実用化されるに至っている。
このような、微細化の要求、及び高NA化に対応するために、転写用マスクの平坦度を高くすることが求められている。物点であるマスク面の平坦度が低下すると、投影レンズを介して転写されたウエハ上の像点の合焦点位置が振れる。そのため、マスク面の平坦度が落ちると許容される焦点裕度が小さくなる。一方で、光学の原理により、投影レンズの高NA化は焦点深度を低下させる。よって、高NA化が進むに従いリソグラフィー工程での焦点裕度が少なくなるため、マスク面での高い平坦性が求められている。このため、転写用マスクを作製するための原版となるマスクブランクに用いられる透光性基板に対しても、パターンを形成するための薄膜が設けられる側の主表面に対し、高い平坦度が求められている。この平坦度要求に応えるため、例えば、特許文献1に開示されているように、研磨布などの研磨パッドと研磨砥粒を含む研磨液を用いてマスクブランク用基板の表裏両面を研磨する両面研磨がよく用いられてきた。しかし、従来の両面研磨装置による透光性基板の研磨では、その主表面の平坦度を高めることには限界が生じていた。このため、特許文献2に示すような、基板の主表面の形状を測定し、相対的に凸になっている箇所に対してプラズマエッチングを行うことで平坦化する技術が開発されていた。
一方、転写用マスクは、露光装置のマスクステージに真空チャックすることで固定されるが、露光装置によっては転写用マスクを真空チャックするときの力が強いタイプのチャック方式が採用されている場合がある。このようなチャック方式の露光装置に使用される転写用マスクは、マスクステージや真空チャックとの相性により、チャック時に大きく変形することがある。従来においては、チャック前の転写用マスクの平坦度で製品管理を行っているので、チャック前の主表面の形状が高い平坦度の良品であっても、マスクステージや真空チャックとの相性によっては、露光装置のマスクステージにチャックした時に変形し、転写用マスクの平坦度が大きく悪化する場合がある。特に、主表面の形状の対称性が低く、捩れた形状の傾向にある基板においては、その傾向が顕著であった。このため、転写用マスクを真空チャックにチャックしたときの平坦度を考慮する必要が生じてきている。特許文献3には、露光装置のマスクステージにチャックした後のマスク基板の平坦度をシミュレーションにより求め、その結果が平坦度仕様を満たすかを基にして良好なマスク基板を選択するための方法が提案されている。
また、露光装置の高NA化に伴い、リソグラフィー工程での焦点裕度が少なくなってきていることから、投影光学系のレンズ収差が転写精度に対して与える影響が大きくなってきている。特許文献4では、投影光学系のレンズ加熱効果に起因する収差を補正するためのゼルニケ多項式によって定義可能な表面形状を有する2つの補正光学エレメントについて開示されている。
特開平1−40267号公報 特開2002−318450号公報 特開2004−046259号公報 特開2008−028388号公報
上記のようにマスクブランク用基板には高い平坦度が求められており、これを受けて、透光性基板の主表面を局所加工する技術開発が進められている。例えば、前述のように、特許文献2には、相対的に凸になっている部分に局所的にプラズマエッチングをかけて平坦度の高いマスクブランク用基板を製造する技術が開示されている。しかし、この方法では、所望の高い平坦度を得るために、1枚の基板ごとに主表面の形状を測定してプラズマエッチング等の局所加工を施す必要があるため、従来よりもスループットが大幅に低下するという問題があった。
一方、特許文献3に開示されている方法で透光性基板を製造した場合、シミュレーションで算出された透光性基板のチャック後における主表面形状が高い平坦度になるようなチャック前の主表面形状だけがマスクブランク用基板として選定される。そのような特徴を持つチャック前の主表面形状を有する透光性基板を高い歩留まりで製造することは難しいという問題があった。また、特許文献4に開示されている露光装置は、レンズ収差の補正、露光処理時の履歴による露光光の波面変化を制御することを目的としており、マスクブランクやマスクに対しては平坦度の高いものが必要となっていた。
本発明が解決しようとする課題は、マスクブランク用基板の加工時のスループットを低下させることなく、また、製造装置設備負担を抑え、且つ、露光装置のステージにチャックされた露光時の状態において、実効的な表面平坦度の極めて高いマスクブランク用基板の製造方法、マスクブランクの製造方法、及び、転写用マスクの製造方法を提供することにある。また、その転写用マスクの使用によって、高い転写精度を確保し、回路動作の安定した半導体デバイスを製造することを目的とする。
本発明者は、本発明者が突き止めた上記課題を解決するため、以下の点について検討を行った。マスクブランク用基板の主表面は、背景技術においても述べたように、極めて高い平坦性が求められる。しかしながら、このような完全平坦面を実際に製造するのは大変困難である。また、局所プラズマエッチングなどの手法を使って平坦に近づける工夫も行われているが、この方法はスループットが低く、装置コストなどもかかり、また異物欠陥が発生しやすいなどの副作用も多い。そこで、本発明者は、機械的平坦面を過度に追求するのではなく、光学的平坦面、言い換えれば等波面的平坦面を仮想基準面として追求する方向に発想を転換した。本発明者は、投影レンズを介して像転写を行う上で本質的に求められているものは、機械的な平面では必ずしもなく、波面の揃った光学的平坦面であることを見出した。この点が、本発明の第1の特徴的な点である。
本発明者は、露光装置の投影レンズには、レンズ収差を補正する収差補正機能が備え付けられていることに着目した。この機能は、露光装置レンズ組み付け、設置調整、経時変化対応など、元々は露光装置性能向上のために設けられた機能であるが、この機能を使うと、光学的平坦面を、機械的平坦面からずれて研磨された面に対しても近づけられるとの発想に至った。この点が、本発明の第2の特徴的な点である。
また、本発明者は、この光学的平坦面の記述として、極座標系であるゼルニケ多項式近似面を使うことを着想した。この点が、本発明の第3の特徴的な点である。
さらに、本発明者は、実測測定されたマスクブランク用基板主表面の形状が、露光時の状態での主表面の形状とは異なることに着眼した。そして、露光時の状態でのマスクブランク用基板主表面(転写主面)の形状を、露光装置のマスクステージにチャックした時の変形シミュレーションにより求め、前記光学的平坦面と前記シミュレーションにより求めた主表面形状をフィッティングさせて、そのずれ量を基に選別することが有効であることを見出した。この点が、本発明の第4の特徴的な点である。
このように、本発明は、前述した着想に基づいてなされたものであり、以下の構成を有する。
(構成1)
対向する1組の主表面を有する透光性基板の一方の主表面に転写パターン形成用の薄膜が設けられたマスクブランクの製造に用いられるマスクブランク用基板の製造方法であって、
前記透光性基板における薄膜が設けられる側の主表面の表面形状を取得する形状測定工程と、
前記透光性基板を露光装置のマスクステージにチャックしたときにおけるチャック後主表面形状をシミュレーションにより得るシミュレーション工程と、
前記チャック後主表面形状を、前記透光性基板の中心を基準とした所定の直径を有する円の内側の算出領域で、極座標系で表現されたゼルニケ多項式によって定義される仮想基準面に対して形状フィッティングを行い、前記チャック後主表面形状と前記仮想基準面との差分データを取得する工程と、
前記差分データの前記算出領域内での最高高さと最低高さとの差が、所定値以下となる表面形状を有する前記透光性基板を選定する工程と
を有することを特徴とするマスクブランク用基板の製造方法。
(構成2)
前記所定値は、露光転写に用いられる露光光の波長λの1/8であることを特徴とする構成1記載のマスクブランク用基板の製造方法。
(構成3)
前記所定の直径は、104mmであることを特徴とする構成1または2記載のマスクブランク用基板の製造方法。
(構成4)
前記仮想基準面は、半径に係る変数の次数が2次以下の項のみで構成され、かつ半径に係る変数の次数が2次の項を1以上含むゼルニケ多項式によって定義される形状を有することを特徴とする構成1から3のいずれかに記載のマスクブランク用基板の製造方法。
(構成5)
前記差分データから算出される決定係数Rが0.9以上であることを特徴とする構成1から4のいずれかに記載のマスクブランク用基板の製造方法。
(構成6)
前記チャック後主表面形状における前記透光性基板の中心を基準とした一辺が132mmの四角形の内側領域で算出された平坦度は0.2μm以下であることを特徴とする構成1から5のいずれかに記載のマスクブランク用基板の製造方法。
(構成7)
前記選定された透光性基板と、当該透光性基板に対して形状フィッティングを行った前記仮想基準面におけるゼルニケ多項式に係る情報とを対応付けして記録装置に記録する工程を有することを特徴とする構成1から6のいずれかに記載のマスクブランク用基板の製造方法。
(構成8)
構成1から7のいずれかに記載のマスクブランク用基板の製造方法で製造されたマスクブランクの一方の主表面に前記転写パターン形成用の薄膜を設ける工程を備えることを特徴とするマスクブランクの製造方法。
(構成9)
対向する1組の主表面を有する透光性基板の一方の主表面に転写パターン形成用の薄膜が設けられたマスクブランクの製造方法であって、
前記マスクブランクにおける前記薄膜の表面形状を取得する形状測定工程と、
前記マスクブランクを露光装置のマスクステージにチャックしたときにおけるチャック後表面形状をシミュレーションにより得るシミュレーション工程と、
前記チャック後表面形状を、前記透光性基板の中心を基準とした所定の直径を有する円の内側の算出領域で、極座標系で表現されたゼルニケ多項式によって定義される仮想基準面に対して形状フィッティングを行い、前記チャック後表面形状と前記仮想基準面との差分データを取得する工程と、
前記差分データの前記算出領域内での最高高さと最低高さとの差が、所定値以下となる表面形状を有する前記マスクブランクを選定する工程と
を有することを特徴とするマスクブランクの製造方法。
(構成10)
前記所定値は、露光転写に用いられる露光光の波長λの1/8であることを特徴とする構成9記載のマスクブランクの製造方法
(構成11)
前記所定の直径は、104mmであることを特徴とする構成9または10記載のマスクブランクの製造方法。
(構成12)
前記仮想基準面は、半径に係る変数の次数が2次以下の項のみで構成され、かつ半径に係る変数の次数が2次の項を1以上含むゼルニケ多項式によって定義される形状を有することを特徴とする構成9から11のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法。
(構成13)
前記差分データから算出される決定係数Rが0.9以上であることを特徴とする構成9から12のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法。
(構成14)
前記チャック後表面形状における前記透光性基板の中心を基準とした一辺が132mmの四角形の内側領域で算出された平坦度は0.2μm以下であることを特徴とする構成9から13のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法。
(構成15)
前記選定されたマスクブランクと、当該マスクブランクに対して形状フィッティングを行った前記仮想基準面におけるゼルニケ多項式に係る情報とを対応付けして記録装置に記録する工程を有することを特徴とする構成9から14のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法。
(構成16)
構成8から15のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法で製造されたマスクブランクの前記薄膜に転写パターンを形成する工程を備えることを特徴とする転写用マスクの製造方法。
(構成17)
構成16に記載の転写用マスクの製造方法で製造された転写用マスクを露光装置のマスクステージにチャックし、リソグラフィー法により前記転写用マスクの転写パターンを半導体基板上にパターン転写する露光工程を有することを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
(構成18)
前記露光装置は、前記転写用マスクの転写パターンから透過した透過光の波面に対し、ゼルニケ多項式で定義される形状の波面補正を行う機能を有し、かつ、マスクステージが前記シミュレーション工程で用いたものと同じ形状を有するものであることを特徴とする構成17記載の半導体デバイスの製造方法。
(構成19)
構成7記載のマスクブランク用基板の製造方法で製造されたマスクブランク用基板の一方の主表面に前記転写パターン形成用の薄膜を設けてマスクブランクを製造する工程と、
前記製造されたマスクブランクの前記転写パターン形成用の薄膜に転写パターンを形成して転写用マスクを製造する工程と、
製造された前記転写用マスクを露光装置のマスクステージにチャックし、リソグラフィー法により前記転写用マスクの転写パターンを半導体基板上にパターン転写する露光工程とを有し、
前記露光装置は、前記転写用マスクの転写パターンから透過した透過光の波面に対し、ゼルニケ多項式で定義される形状の波面補正を行う機能を有し、かつ、マスクステージが前記シミュレーション工程で用いたものと同じ形状を有するものであり、
前記露光工程は、前記マスクブランク用基板に対応付けされている前記仮想基準面におけるゼルニケ多項式に係る情報を用い、前記転写用マスクの転写パターンから透過した透過光の波面に対して補正を行うことを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
(構成20)
構成15記載のマスクブランクの製造方法で製造されたマスクブランクの前記転写パターン形成用の薄膜に転写パターンを形成して転写用マスクを製造する工程と、
製造された前記転写用マスクを露光装置のマスクステージにチャックし、リソグラフィー法により前記転写用マスクの転写パターンを半導体基板上にパターン転写する露光工程とを有し、
前記露光装置は、前記転写用マスクの転写パターンから透過した透過光の波面に対し、ゼルニケ多項式で定義される形状の波面補正を行う機能を有し、かつ、マスクステージが前記シミュレーション工程で用いたものと同じ形状を有するものであり、
前記露光工程は、前記マスクブランクに対応付けされている前記仮想基準面におけるゼルニケ多項式に係る情報を用い、前記転写用マスクの転写パターンから透過した透過光の波面に対して補正を行うことを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
この発明によれば、転写用マスクを露光装置のマスクステージにチャックした時の影響を考慮して、シミュレーションにより、露光状態での転写用マスクの基板部分(マスクブランク用基板)における主表面形状(転写主面形状)を求め、且つ、機械的平坦性から光学的平坦性に置き換えた基準値で選別することにより、極めて高い実質的な平坦度の要求を満たすマスクブランク用基板が得られる。また、マスクブランク用基板の加工時のスループットを低下させることなく、また、製造装置設備負担も少なく、高平坦なマスクブランク用基板を製造することが可能となる。そのマスクブランク用基板を用いて製造されたマスクブランク及び転写用マスクの実効的平坦度も、マスクブランク用基板同様高いものになる。その転写用マスクを用いて露光を行うと、焦点裕度や高い位置精度が確保され、極めて高い転写精度が得られる。その結果、製造される半導体デバイスの回路動作特性が安定する。
本発明の概念を説明するためのマスクブランク用基板の断面図である。 本発明によるマスクブランク用基板の製造工程を示す工程フロー図である。 透過型転写用マスクをマスクステージに載置した時の断面構造図である。 本発明によるマスクブランク用基板の製造工程を示す工程フロー図である。 マスクブランク用基板の主表面の表面高さ等高線分布図であり、(a)はサンプルA、(b)はサンプルB、そして(c)はサンプルCの場合を示す。 サンプルAにおける直径104mm内の主表面の表面形状分布を示す等高線分布図であり、(a)はマスクステージにチャックした時の表面形状をシミュレーションにより求めた表面形状シミュレーション図、(b)はそれに対応する仮想基準面を示す等高線分布図、そして(c)はシミュレーションで取得した表面形状と仮想基準面との差分を示す差分形状等高線分布図である。 サンプルBにおける直径104mm内の主表面の表面形状分布を示す等高線分布図であり、(a)はマスクステージにチャックした時の表面形状をシミュレーションにより求めた表面形状シミュレーション図、(b)はそれに対応する仮想基準面を示す等高線分布図、そして(c)はシミュレーションで取得した表面形状と仮想基準面との差分を示す差分形状等高線分布図である。 サンプルCにおける直径104mm内の主表面の表面形状分布を示す等高線分布図であり、(a)はマスクステージにチャックした時の表面形状をシミュレーションにより求めた表面形状シミュレーション図、(b)はそれに対応する仮想基準面を示す等高線分布図、そして(c)はシミュレーションで取得した表面形状と仮想基準面との差分を示す差分形状等高線分布図である。 露光装置の照明及び投影光学系の構成の概要を示す露光装置光学部の要部断面構成図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら、その概念を含め具体的に説明する。なお、図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付してその説明を簡略化ないし省略することがある。
[マスクブランク用基板の製造方法]
ここでは、マスクブランク用基板及びその製造方法に関して説明する。最初に本発明の構成概念を説明し、その後、その概念に基づいて実施した実施例を比較例とともに示す。
まず、本発明は、投影レンズを介して像転写を行う上で本質的に求められているものは、機械的な平面では必ずしもなく、波面の揃った光学的平坦面であることに基づいている。この点について、図1を用いて説明する。マスクブランク用基板の主表面(転写パターン形成用の薄膜が設けられる側である一方の主表面)は、背景技術においても述べたように、極めて高い平坦性が求められる。図1はマスクブランクの断面を示したもので、一般的には、マスクブランク用基板1の主表面は、同図中の符号2に示すように、完全平坦面となるように形成することが理想とされている。しかしながら、このような完全平坦面を実際に製造するのは大変困難である。また、局所プラズマエッチングなどの手法を使って平坦度を高める方法も行われているが、この方法はスループットが低く、装置コストなどもかかり、また異物欠陥が発生しやすいなどの副作用も多い。そこで、本発明においては、機械的平坦面を過度に追求するのではなく、光学的平坦面、言い換えれば等波面的平坦面を仮想基準面として追求する方向に発想を転換したものである。
そして、本発明は、露光装置の投影レンズに備え付けられたレンズ収差を補正する収差補正機能を用いて、光学的平坦面を、機械的平坦面からずれて研磨された面に対して近づけている。この点について、図1を用いて説明する。図1中の符号3は研磨を行って形成された主表面の断面形状を示す。例えば、同図中のA点での理想的機械的平坦面からのずれはd1となるが、露光装置の収差補正機能を使った光学的平坦面(断面)4からのずれはd2と極めて小さくできる。ここでの光学的平坦面とは、この面から波面を揃えて出た光線が、レンズ収差補正機能を使って意図的に投影レンズに収差を与えることにより、理想的な結像を示す面のことである。言い換えれば、ここで言う光学的平坦面とは、ウエハ面を像点面とした時の投影レンズの共役上にある物点面のことで、投影レンズに意図的に収差を与えて、機械的平坦面から所望に近い形状に変形させた物点面を言う。本願では、この物点面の平坦度のことを光学的平坦度と呼ぶことにする。光学的平坦面は、機械的完全平坦面というような一意的に決定される1つの固定面ではなく、マスクブランク用基板の表面形状に応じて投影レンズに収差を与えることである程度の自由度を持って決めることができる。従って、機械的平坦度に比して、光学的平坦度を高めることが容易になる。
また、本発明は、この光学的平坦面の記述に極座標系であるゼルニケ多項式近似面を使用している。その極座標の原点は、マスクブランク用基板の中心である。ArF露光装置などに用いられるマスクブランク用基板は、一部隅の部分で面取りはされているものの、縦横とも約152mm幅の四角形であり、またマスクパターン図形のレイアウトもXY座標表示となっていることから、座標系表示として、一般的にはXY座標系が用いられている。あえて四角形のマスクブランク用基板を極座標系で記述したところに本発明の特徴的な点がある。ゼルニケ多項式は直交系の多項式であり、各変数が独立関係にあって取り扱いが容易である。そして、投影レンズの収差特性が、フーリエ変換面である投影レンズの瞳面での波面のゼルニケ多項式展開の各項と対応付けられるため、投影レンズ収差補正とブランク基板面の光学的平坦面を結びつけるのに大変好適である。なお、ArF露光装置としては、現在の主流はArFスキャナであるが、スキャナに限るものではなく、ステッパでも構わない。また、光源もArFエキシマレーザ(波長193nm)に限るものではなく、例えばKrFエキシマレーザ(波長248nm)などでも構わない。
このように、光学的平坦面を仮想基準面として、その表面形状をゼルニケ多項式近似で表した形状に対して、研磨された透光性基板の主表面形状とフィッティングをとって、その差が基準値以下のものをマスクブランク用基板として選定することが本発明の骨子である。ここで、このフィッティングにおいては、マスクブランク用基板から製造された転写用マスクを露光装置のマスクステージにチャックする時に発生する応力に伴う転写用マスクの基板部分(透光性基板やマスクブランク用基板と実質同じ、以下、透光性基板あるいはマスクブランク用基板と記載する。)の変形やマスクブランク用基板の自重撓み変形も考慮する。すなわち、研磨された透光性基板の主表面形状をフリースタンディング状態で計測した場合は、その主表面形状の計測データを用いて露光装置のマスクステージにチャックした時に発生する応力に伴う透光性基板の変形や透光性基板の自重撓み変形をシミュレーションにより求め、露光装置で露光する時の透光性基板の主表面形状(転写主面形状)に対して、前記仮想基準面とのフィッティングを行う。このシミュレーションの代表的な手法は有限要素法であるが、この方法に限定されるものではない。また、このシミュレーションにあたっては、マスクステージのチャック形状、チャックが接触する領域を含む透光性基板の主表面形状、透光性基板の弾性係数、及び透光性基板の比重などを考慮すると良い。ここで、チャックされる領域よりも外側の領域まで透光性基板の主表面形状をシミュレーションに組み入れておくことが好ましい。
上記フィッティングによってマスクブランク用基板を選定する指標としては、透光性基板の主表面における所定の直径を有する円の内側の算出領域で算出される仮想基準面と透光性基板の主表面形状の差分の最高高さと最低高さの差、いわゆるPV値が好適であることが、検討の結果わかった。一点でもPV値が外れると、その場所では波面がその分ずれるので、その場所での転写特性に悪影響が出る。
上記算出領域は、露光装置のスキャン露光時の露光スリット長を考慮して設定されるべきである。算出領域(仮想基準面の大きさと等価。)は、84mm以上の直径を有する円の内側領域であることが少なくとも望まれる。また、算出領域は、94mm以上の直径を有する円の内側領域であると好ましく、露光スリット長の最大値である104mmの直径を有する円の内側領域であるとより好ましい。
マスクブランク用基板の選定の基準値は、その選定されたマスクブランク用基板から作製される転写用マスクに対する要求精度に応じて定めれば良いが、十分な波面制御が求められる場合は、位相差による投影露光時の悪影響が充分小さく、波面計測測定装置の計測精度基準の1つとなっている露光波長λの1/8、すなわちλ/8とすることが好ましい。転写評価の結果、通常はこの基準で十分な転写精度が得られた。露光装置の調整時や品質管理(QC:Quality Control)を行うとき等、より高い精度が求められるときは、選別の基準値をλ/10とすることがさらに好ましい。
フィッティングによってマスクブランク用基板を選定する第2の指標は、前述の差分形状から算出される決定係数Rである。決定係数Rとは、重相関係数の2乗で、寄与率とも呼ばれるもので、標本値から求めた回帰方程式の当てはまりの良さの尺度として良く用いられる指標である。その定義式は、実測値をy、回帰方程式による推定値をfとすると、
Figure 0006199115
であり、この値が1に近いほど相対的な残差が少ないことを表す。PV値がポイントでの異常を選別する指標に対し、決定係数Rは形状全体の残差の大きさを表す指標となる。マスクを作成して転写との相関をとって種々調べた結果、決定係数Rが0.9以上で十分な転写精度が得られた。
加えて、より好ましい転写性能を与えるマスクブランク用基板を製造するために、以下の点について詳細な検討を行った。
投影レンズの収差補正機能は、ゼルニケ多項式における半径に係わる変数の次数が3次以降の高次の項も可能である。このため、仮想基準面を定義するゼルニケ多項式における半径に係わる変数の次数についても、露光装置の投影レンズの収差補正機能で補正可能な形状の次数であること以外の制約はない。たとえば、仮想基準面を定義するゼルニケ多項式は、半径に係わる変数の次数が4次である項を1つ以上含むものであってもよく、半径に係わる変数の次数が3次である項を1つ以上含むものであってもよい。
一方、高次の項まで使ってフィッティングを行うと、ある時点では良いが、露光状況によっては投影レンズの高次の収差が変動して、不都合が生じる場合があるということもわかった。この点については、[露光方法及びそれを用いたデバイスの製造方法]において詳細を後述する。また、次数が1次の項のみでは1次元的なティルト補正であり、これでは十分な光学平坦性を得ることができないこともわかった。よって半径に係わる変数の次数が2次以下の項のみで構成され、かつ半径に係わる変数の次数が2次の項を1つ以上含むことが好ましいことが、詳細な検討の結果わかった。その必要な代表の2次の項はデフォーカスの項であり、デフォーカスの項は、アリゾナ大学表記では第4項、標準形では第5項にあたる。なお、ゼルニケ多項式近似は標準形、アリゾナ大学方式、及びフリンジゼルニケ方式など各種の方式があるが、本発明の適用にあたっては、どの形式のゼルニケ多項式近似を用いても問題はない。
前述の手法では、マスクブランクの中心を基準とした所定の直径(最大で104mm)の内側領域における光学的平坦度は十分確保されるが、チップ露光は最大104mm×132mm領域で行われる。そこで前述の光学的平坦度選別に加え、マスクブランク用基板の中心を基準とした一辺が132mmの四角形の内側領域において、露光装置のマスクステージにチャックしたときにおけるチャック後主表面形状(転写主面形状)を前記シミュレーションした後の平坦度を0.2μm以下とする基準を併用すると、全面にわたってさらに良い転写結果が得られた。なお、チップ露光は最大でも104mm×132mmと、本測定基準領域の132mm×132mmより小さいが、これはマスクブランクの向きを限定しないためである。また、マスクブランク用基板の主表面は、所定以上の表面粗さに鏡面研磨されている必要がある。主表面は、一辺が5μmの四角形の内側領域で算出される自乗平方根平均粗さRqが0.2nm以下であることが好ましく、0.15nm以下であるとより好ましい。なお、表面粗さは、例えば原子間力顕微鏡(AFM)によって測定できる。
次に本発明の概念に沿って高平坦度なマスクブランク用基板を製造する工程を、図2のマスクブランク用基板の製造工程フローチャート図を参照しながら説明する。
最初は、図2の工程S1に示すように、合成石英インゴットからマスクブランク用基板の形状に透光性基板を切り出し、次に同図の工程S2に示すように、切り出した透光性基板の主表面、端面及び面取り面に対して研磨を行う研削工程、続いて同図の工程S3に示すように、主表面に対してその表面を精密に研磨する工程を行う。この研磨は通常多段階で行われる。研磨の方法は様々であってここでは特に制限を設けるわけではないが、酸化セリウム等の研磨剤を用いたCMP(Chemical Mechanical Polishing)やコロイダルシリカ等の研磨剤を用いたポリッシングが好適に行われる。その後、同図の工程S4に示すように、主表面の精密な形状測定を行う。以上の工程S4までは、通常の方法であってよい。なお、ここではマスクブランク材料として一般的な合成石英ガラスの場合を示したが、露光光に対して透明であって、転写用マスクの基板として用いることができるものであれば、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、露光波長によっては、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、ボロシリケートガラス、無アルカリガラス、フッ化カルシウムガラスなども適用可能である。
本発明の特徴は、図2の工程S5以降にある。まず、工程S5で、露光装置のマスクステージに前記透光性基板をチャックした時の主表面(転写主面)の変形を計算して、後工程で選定されたマスクブランク用基板を基に作製される転写用マスクの露光時の状態での基板部分の主表面の表面形状をシミュレーションにより取得する。
図3は、透過型の転写用マスクを露光装置のマスクステージにチャックした時の断面図である。この場合、マスクステージ50の上に透過型の転写用マスク51を載置し、吸着部52により真空吸着あるいは減圧吸着する。これは、特に露光装置がスキャナの場合、ウエハと同期してマスクを高速にスキャンする必要があり、マスクステージ50から転写用マスク51がずれないように固定するためである。マスクステージ50と転写用マスク51とが接触する部分(接触部)55は転写用マスクの周辺部であり、且つ、マスクパターン53が形成されている主表面(転写主面)54の側である。このような使用法となるため、この透光性基板の主表面形状をシミュレーションするにあたっては、マスクステージと接触する可能性のある外周部分まで含めたマスクブランク用基板の主表面形状、真空吸着あるいは減圧吸着するためのチャック部の形状、チャック部が接触する部分のマスクブランク用基板の表面形状を、計算に取り込むことが望ましい。転写用マスク51は、外周部の一部を支えられた状態で水平に置かれるため、自重による撓みも発生する。そこで、真空吸着あるいは減圧吸着とマスクステージとの接触部によって発生する応力と自重撓みを考慮して、シミュレーションを行う。ここで、工程S4で取得した主表面形状を基にこのシミュレーションが行われるが、この形状の測定法に留意しておく必要がある。透光性基板の主表面の形状が、透光性基板の自重や外部応力により変形することが少ないフリースタンディング状態での計測の場合は実計測値の適用で良いが、複数箇所のピン上に透光性基板を水平に載置して測定する場合は、自重撓みなどによりフリー状態から変形するので、その変形を考慮してシミュレーションを行うのが望ましい。なお、フリースタンディングでの計測とは、例えば、透光性基板の側面を底部にして透光性基板を垂直に立てた状態で計測する方法である。
次に、仮想基準面の算出計算を行う。この仮想基準面は、前述のように、極座標系で表現されたゼルニケ多項式によって決定される光学的平坦面である。前述のように効率を鑑みると、この仮想基準面は、半径に係わる変数の次数が2次以下の項のみで構成され、かつ半径に係わる変数の次数が2次の項を1つ以上含むゼルニケ多項式によって定義されるのが実用的であるが、より高次の項を含んで精度を上げても良い。範囲は、例えば透光性基板の中央を中心とした直径104mmの円内とする。この仮想基準面の算出にあたっては、工程S5でシミュレーションされた透光性基板の主表面の表面形状(転写主面)を参考にして算出計算される。次に、図2の工程S7に示すように、工程S5で算出計算された仮想基準面形状と工程S5でシミュレーションされた透光性基板の主表面形状との差分を計算し、差分形状のデータ(差分データ)を取得する。その後、図2の工程S8に示すように、工程S7で得られた差分データから最高高さと最低高さの差、いわゆるPV値を計算する。その後、図2の工程S9に示すように、工程S8で求めたPV値が予め定めた所定値X以下であるか、それを超える値であるかを判定し、X以下の透光性基板は高平坦マスクブランク用基板として選別して終了する(図2の工程S10)。それを超える透光性基板は、低・中平坦品として、ミドルレイヤーやラフレイヤー用のマスクブランク用基板としての活用を考えるか、工程S3の研磨工程に戻すか、局所加工工程を経て工程S4以降再度同様の工程を踏むか、あるいはこの透光性基板を廃棄する(図2の工程S11)。ここで、所定値Xは、この基準で選定されたマスクブランク用基板を使って作製される透過型の転写用マスクの適用層、例えば、ポリ層(ゲート層)であるとか、配線層であるとか、拡散層であるとかによって求められる精度が異なるため、要求される必要精度に応じて値を定めるのが実用的である。光学的な見地に立つと、所定値Xとしては、例えば、露光波長λの1/8が挙げられる。光学計測で公知のように、露光波長λの1/8という値は波面制御の代表的な基準値であり、その値を境に結像性能等に大きな違いがあるためである。
以上のマスクブランク用基板の製造方法により、実用的に極めて高い平坦度を有するマスクブランク用基板が、高いスループットを持って製造することが可能となる。ArFエキシマ露光の場合のλ/8は25nm(小数点以下切上げ)であり、従来法より格段に高い光学的平坦度が、マスクブランク用基板の加工時のスループットを低下させることなく得られ、また、製造装置設備負担も抑えることが可能となる。
次に、決定係数Rを用いたもう一つのマスクブランク用基板を製造する工程を、図4のマスクブランク用基板の製造工程フローチャート図を参照しながら説明する。工程S9までは前述の図2のマスクブランク用基板の製造方法と同一である。違いは工程S9以降で、PV値が予め定めた所定値X以下の透光性基板であった場合、図4の工程S12に示すように、差分形状(差分データ)から算出される決定係数Rを計算する。そして図4の工程S13に示すように、決定係数Rが0.9以上の透光性基板は高平坦マスクブランク用基板として選別し、終了する。0.9未満の透光性基板は、低・中平坦品として、ミドルレイヤーやラフレイヤー用のマスクブランク用基板としての活用を考えるか、工程S3の研磨工程に戻すか、局所加工工程を経て工程S4以降再度同様の工程を踏むか、あるいはこの透光性基板を廃棄する。この方法では、1点異常点のみの判定ではなく、形状全体の光学平坦面とのフィッティング度をも併用して選別するため、そのマスクブランク用基板を使って製造された転写用マスクの転写精度は高い。
なお、工程S12及びS13は、差分形状を算出する工程S7が行われた後であれば、どの段階で行われてもよい。たとえば、工程S12を工程S8と工程S9の間で行ってもよいし、工程S12とS13を工程S9よりも先に行ってもよい。また、PV値の計算と所定値(基準値)との比較判定(工程S8及びS9)と、決定係数Rの計算と基準値との比較判定(工程S12及びS13)の順番を入れ替えることも可能である。なお、ここで決定した仮想基準面の情報は保持しておいて、露光装置のレンズ収差補正機能に反映させることが、投影レンズの共役面での露光が容易に可能になるので、好ましい。
[マスクブランクの製造方法]
本発明のマスクブランクの製造方法は、前述のマスクブランク用基板の製造方法で製造されたマスクブランク用基板の一方の主表面に転写パターン形成用の薄膜を設ける工程を備えることを特徴としている。
ここで重要となるのは薄膜の応力の制御で、この薄膜による応力でマスクブランク用基板が歪むと、基板表面の平坦度は変化する。この膜応力による基板主表面の変形は、同心円状の2次曲面という比較的単純な変形であり、露光機の収差補正によって対応できるが、一方で、薄膜の応力が大きすぎると、マスクブランクから転写用マスクを製造する際に行われる薄膜のパターンニング時に、薄膜パターンの位置ずれが起こるという問題が生じる。マスクブランクの中心を基準とし、一辺が132mmの四角形の内側領域の機械的平坦度の変化量と膜応力の関係を調べたところ、平坦度変化量10nm、20nm、25nm、30nm、40nm、及び50nmに対応する膜応力は、それぞれ55MPa、110MPa、137MPa、165MPa、220MPa、及び275MPaであった。この結果から、薄膜の応力は、275MPa以下が望ましく、165MPa以下だとさらに望ましく、110MPa以下だとさらに一層望ましいことがわかる。
したがって、薄膜の膜応力を調整する必要があるが、その方法としては、例えば、加熱処理(アニール)を行う方法やフラッシュランプ等の高エネルギー光を薄膜に対して照射する光照射処理を行う方法などがある。この膜応力調整に留意して薄膜形成を行えば、露光波長λの1/8という光学的に高平坦なマスクブランクを製造することができ、そのマスクブランクを使って製造された転写用マスクを用いて露光を行うと、焦点深度、位置ずれ、及び解像度に優れ、それを使って製造される半導体デバイスの回路特性も安定する。
本発明のマスクブランク及び本発明のマスクブランクの製造方法で製造されるマスクブランクは、以下の(1)〜(3)の構成のものを適用することができる。
(1)遷移金属を含む材料からなる遮光膜を備えたバイナリマスクブランク
かかるバイナリマスクブランクは、透光性基板上に遮光膜(転写パターン形成用の薄膜)を有する形態のものであり、この遮光膜は、クロム、タンタル、ルテニウム、タングステン、チタン、ハフニウム、モリブデン、ニッケル、バナジウム、ジルコニウム、ニオブ、パラジウム、ロジウム等の遷移金属単体あるいはその化合物を含む材料からなる。例えば、クロムや、クロムに酸素、窒素、炭素などの元素から選ばれる1種以上の元素を添加したクロム化合物で構成した遮光膜が挙げられる。また、例えば、タンタルに、酸素、窒素、ホウ素などの元素から選ばれる1種以上の元素を添加したタンタル化合物で構成した遮光膜が挙げられる。かかるバイナリマスクブランクは、遮光膜を、遮光層と表面反射防止層の2層構造や、さらに遮光層と基板との間に裏面反射防止層を加えた3層構造としたものなどがある。また、遮光膜の膜厚方向における組成が連続的又は段階的に異なる組成傾斜膜としてもよい。
(2)遷移金属及びケイ素(遷移金属シリサイド、特にモリブデンシリサイドを含む)の化合物を含む材料からなる光半透過膜を備えた位相シフトマスクブランク
かかる位相シフトマスクブランクとしては、透光性基板(ガラス基板)上に光半透過膜(転写パターン形成用の薄膜)を有する形態のものであって、該光半透過膜をパターニングしてシフタ部を設けるタイプであるハーフトーン型位相シフトマスクが作製される。かかる位相シフトマスクにおいては、光半透過膜を透過した光に基づき転写領域に形成される光半透過膜パターンによる被転写基板のパターン不良を防止するために、透光性基板上に光半透過膜とその上の遮光膜(遮光帯)とを有する形態とするものが挙げられる。また、ハーフトーン型位相シフトマスクブランクのほかに、透光性基板をエッチング等により掘り込んでシフタ部を設ける基板掘り込みタイプであるレベンソン型位相シフトマスク用やエンハンサー型位相シフトマスク用のマスクブランクが挙げられる。
前記ハーフトーン型位相シフトマスクブランクの光半透過膜は、実質的に露光に寄与しない強度の光(例えば、露光波長に対して1%〜30%)を透過させるものであって、所定の位相差(例えば180度)を有するものである。この光半透過膜をパターニングした光半透過部と、光半透過膜が形成されていない実質的に露光に寄与する強度の光を透過させる光透過部とによって、光半透過部を透過して光の位相が光透過部を透過した光の位相に対して実質的に反転した関係になるようにすることによって、光半透過部と光透過部との境界部近傍を通過し回折現象によって互いに相手の領域に回り込んだ光が互いに打ち消しあうようにし、境界部における光強度をほぼゼロとし境界部のコントラスト即ち解像度を向上させるものである。
この光半透過膜は、例えば遷移金属及びケイ素(遷移金属シリサイドを含む)の化合物を含む材料からなり、これらの遷移金属及びケイ素と、酸素及び/又は窒素を主たる構成要素とする材料が挙げられる。遷移金属には、モリブデン、タンタル、タングステン、チタン、ハフニウム、ニッケル、バナジウム、ジルコニウム、ニオブ、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、クロム等が適用可能である。また、光半透過膜上に遮光膜を有する形態の場合、上記光半透過膜の材料が遷移金属及びケイ素を含むので、遮光膜の材料としては、光半透過膜に対してエッチング選択性を有する(エッチング耐性を有する)特にクロムや、クロムに酸素、窒素、炭素などの元素を添加したクロム化合物で構成することが好ましい。
レベンソン型位相シフトマスクは、バイナリマスクブランクと同様の構成のマスクブランクから作製されるため、転写パターン形成用の薄膜の構成については、バイナリマスクブランクの遮光膜と同様である。エンハンサー型位相シフトマスク用のマスクブランクの光半透過膜は、実質的に露光に寄与しない強度の光(例えば、露光波長に対して1%〜30%)を透過させるものではあるが、透過する露光光に生じさせる位相差が小さい膜(例えば、位相差が30度以下。好ましくは0度。)であり、この点が、ハーフトーン型位相シフトマスクブランクの光半透過膜とは異なる。この光半透過膜の材料は、ハーフトーン型位相シフトマスクブランクの光半透過膜と同様の元素を含むが、各元素の組成比や膜厚は、露光光に対して所定の透過率と所定の小さな位相差となるように調整される。
(3)遷移金属、遷移金属及びケイ素(遷移金属シリサイド、特にモリブデンシリサイドを含む)の化合物を含む材料からなる遮光膜を備えたバイナリマスクブランク
この遮光膜(転写パターン形成用の薄膜)は、遷移金属及びケイ素の化合物を含む材料からなり、これらの遷移金属及びケイ素と、酸素又は窒素のうちの少なくとも1つ以上を主たる構成要素とする材料が挙げられる。また、遮光膜は、遷移金属と、酸素、窒素又はホウ素のうちの少なくとも1つ以上を主たる構成要素とする材料が挙げられる。遷移金属には、モリブデン、タンタル、タングステン、チタン、ハフニウム、ニッケル、バナジウム、ジルコニウム、ニオブ、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、クロム等が適用可能である。特に、遮光膜をモリブデンシリサイドの化合物で形成する場合であって、遮光層(MoSi等)と表面反射防止層(MoSiON等)の2層構造や、さらに遮光層と基板との間に裏面反射防止層(MoSiON等)を加えた3層構造がある。また、遮光膜の膜厚方向における組成が連続的又は段階的に異なる組成傾斜膜としてもよい。
また、レジスト膜の膜厚を薄膜化して微細パターンを形成するために、遮光膜上にエッチングマスク膜を有する構成としてもよい。このエッチングマスク膜は、遷移金属シリサイドを含む遮光膜のエッチングに対してエッチング選択性を有する(エッチング耐性を有する)特にクロムや、クロムに酸素、窒素、炭素などの元素を添加したクロム化合物からなる材料で構成することが好ましい。このとき、エッチングマスク膜に反射防止機能を持たせることにより、遮光膜上にエッチングマスク膜を残した状態で転写用マスクを作製してもよい。
なお、上記(1)〜(3)において、透光性基板(ガラス基板)と遮光膜との間、又は
光半透過膜と遮光膜との間に、遮光膜や光半透過膜に対してエッチング耐性を有するエッ
チングストッパー膜を設けてもよい。エッチングストッパー膜は、エッチングストッパー
膜をエッチングするときにエッチングマスク膜を同時に剥離することができる材料として
もよい。
[転写用マスクの製造方法]
本発明の転写用マスクの製造方法は、前記のマスクブランクの製造方法で製造されたマスクブランクの薄膜に転写パターンを形成する工程を備えることを特徴としている。以下、マスクブランクから転写用マスクを製造する工程について説明する。なお、ここで使用するマスクブランクは、前述(2)の位相シフトマスクブランクであり、透光性基板上に、光半透過膜(転写パターン形成用の薄膜)と遮光膜が順に積層した構造を備える。また、この転写用マスク(位相シフトマスク)の製造方法は一例であり、一部の手順を変えても製造することは可能である。
まず、位相シフトマスクブランクの遮光膜上に、レジスト膜をスピン塗布法によって形成する。このレジスト膜には、電子線露光描画用の化学増幅型レジストが好ましく用いられる。次に、レジスト膜に対して、光半透過膜に形成すべき転写パターンを電子線で露光描画し、現像等の所定の処理を施し、転写パターンを有するレジストパターンを形成する。続いて、遮光膜に対してレジストパターンをマスクとしたドライエッチングを行い、遮光膜に光半透過膜に形成すべき転写パターンを形成する。ドライエッチング後、レジストパターンを除去する。次に、光半透過膜に対し、転写パターンを有する遮光膜をマスクとしたドライエッチングを行い、光半透過膜に転写パターンを形成する。続いて、レジスト膜をスピン塗布法で再度形成し、遮光膜に形成すべきパターン(遮光帯等のパターン)を電子線で露光描画し、現像等の所定の処理を施し、レジストパターンを形成する。遮光膜に対し、遮光帯等のパターンを有するレジストパターンをマスクとするドライエッチングを行い、遮光膜に遮光帯等のパターンを形成する。そして、所定の洗浄処理等を施し、転写用マスク(位相シフトマスク)が出来上がる。
本方法で製造された転写用マスクの基板露出面(パターン形成用薄膜が残されていない開口部の基板主表面)の光学的平坦度は所望の所定値X、あるいは露光波長λの1/8以下と極めて高く、十分な波面コントロールがなされた転写用マスクを製造することが可能となった。波面コントロールが十分なされるため、この転写用マスクを用いて露光を行うと、焦点深度、位置ずれ、及び解像度に優れ、それを使って製造される半導体デバイスの回路特性も安定していた。
本発明は、転写用マスクの種類によらずに効果的で、バイナリマスク、ハーフトーン型位相シフトマスク、エンハンサーマスク、及びレベンソン型位相シフトマスクともに効果がある。
この中で、バイナリマスクは最も汎用に用いられ、特別な方法で遮光帯を作る必要もないので、量産上効果が大きい。また、ハーフトーン型位相シフトマスクに関しては、パターン開口部はもとより光半透過部からも露光光が透過するため、波面制御の転写性能への影響が大きいので、本方法で製造された転写用マスクは特に効果が大きい。
[露光方法及びそれを用いたデバイスの製造方法]
ここでは、前述の方法で製造したマスクを用いた露光方法及びそれを用いたデバイスの製造方法について述べる。
最初に、露光装置の光学系部分の概要を装置構成の概要を断面図にして示した装置構成概要図である図9を参照しながら説明する。露光装置の光学系部分は以下の構成になっている。光源31から露光光32が発せられ、照明光学系33を介して転写用マスク34に露光光が照射される。転写用マスク34を透過した露光光は投影レンズ35及び38を介してウエハステージ39上に載置されたウエハ40上に照射されて露光が行われる。投影レンズ35及び38の間にある瞳36部分には一般的に可動絞りが設置されていて投影レンズの開口数(NA:Numerical Aperture)が調整できるようになっている。投影レンズ35及び38はこの図では各々1枚のレンズで描かれているが実際には多数のレンズ群から成り立っており、その相互位置は一部微動できるようになっていて低次を中心としたレンズ収差の補正ができる機構が組み込まれている。また、瞳36の近傍には位相フィルタ37が組み込まれていて、この位相フィルタ37を調整することによって高次のレンズ収差、特にレンズ部分ヒーティングによる高次収差のリアルタイム補正が可能なようになっている。
この低次のレンズ収差補正はティルト、非点収差などゼルニケの多項式の6項までを含む。すなわち、半径に係る変数の次数が2次以下の項のみで構成され、かつ半径に係る変数の次数が2次の項を1以上含むゼルニケ多項式によって規定される項を補正する機能がある。本発明の転写用マスクを用いると、この低次のレンズ収差補正によって投影レンズ35、38にとってウエハ40上と共役の位置に転写用マスクの主表面を持ってくることができ、この転写用マスクの主表面は光学的平坦面となる。このため、この転写用マスクを用いて露光を行うと、焦点深度、位置ずれ、及び解像度に優れ、それを使って製造される半導体デバイスの回路特性も安定する。
照明光学系33にはズーミング機構や可動式マルチミラー光学系などが組み込まれていて、所望の形状の照明を設定できるようになっている。通常照明は照明部と遮光部(光が遮断される部分)からなっている。照明部は中央を中心とした円形で、その円の大きさで照明条件を定義する。(これをコヒーレンシーと呼んでいる)一方、メモリ系デバイスを中心に最近よく使われるようになってきているのがダイポール照明と呼ばれるものである。中央からX軸上に離れて円形状の小さな照明部が配置され、その周りは遮光部となっているのがXダイポールと呼ばれるものである。照明部が円形から扇型などに変形された変形ダイポール照明も使われることがある。このXダイポール照明はX方向の解像度が高く、X方向に密で微細なパターンの形成に適している。このXダイポール照明の際、照明光を、通常なら遮光部(フィールド部)に回る光もこの照明部に集中させ、照射効率を上げる機構が照明光学系33に組み込まれている。したがって投影レンズ35及び38においては、レンズの一部分に集中的に強い露光光が通り、部分的レンズヒーティングが起こる。この熱によってレンズは歪むので複雑な高次のレンズ収差が発生する。また、デバイス製造においては、Xダイポール照明ばかりでなく、Yダイポール照明も多用される。この場合は、Y方向に密で微細なパターンの形成に適している。メモリでは、特に微細なパターン形成が要求されるのがワード線とビット線であるが、一般にその両者は直行関係の配置、すなわちX方向に密な配線と、Y方向に密な配線とからなる。そのようなこともあってXダイポール照明とYダイポール照明が両者多用して用いられる。また、ロジックパターンなどでの様々な形状のパターン形成には、通常照明が多用される。このように様々な照明が使われるので、レンズヒーティングが起こる場所も様々で、レンズ高次収差の発生も様々である。ヒーティングなので露光を始めた時と続けて多量処理をしている時でも異なり、高次のレンズ収差補正は経時変化に追従する必要もある。この高次の収差補正は、ゼルニケの多項式で表すと半径方向3次以上の項であり、その項は逐次補正がなされることになる。よって、転写用マスクの光学平坦面を、半径方向3次以上のゼルニケ多項式の項まで補正しても、ある時点でのある照明状態での光学的平坦に過ぎず、様々な使用状況の中では十分な波面コントロールにはならない。したがって、前述したように、半径に係る変数の次数が2次以下の項のみで構成され、かつ半径に係る変数の次数が2次の項を1以上含むゼルニケ多項式によって転写用マスクの仮想基準面である光学平坦面を設定するのが効率的で、効果的である。但し、これは露光装置を汎用な層やデバイスに適用した場合であり、特定層に特化利用したり、逐次補正を必要としてもより高い精度を要求したりする時はより高次の項まで取り込むことが効果的である。
以下、露光適用の応用例3例を以下に示す。
<ハーフトーン型位相シフトマスクのサブピーク転写回避例>
ここで示すのは、ハーフトーン型位相シフトマスクを用いた時にしばしば問題となるサブピーク転写不良を改善した例である。ウエハ用レジストとしてポジレジストを用いた場合、サブピーク現象によってレジスト部であるべき場所にレジストくぼみが生じることがある。このくぼみは被加工膜のエッチングの際に突き抜けを起こし、デバイス回路の欠陥の巣となって、デバイスの製造歩留まりを落としたり、回路動作の不安定要因になったりする。レジスト膜厚を厚くできればこの問題は解消されるが、レジスト解像度の問題やパターン倒れの問題などがあってレジストを厚くすることは困難である。この問題の解決法の一つはレンズに低次の収差を与え、サブピークが出にくくすることであるが、一方でこの方法では露光裕度、特にフォーカス裕度が小さくなる。したがってマスクブランク用基板や転写用マスクに対してはより厳しい平坦度が要求される。そこで、本実施の形態のマスクブランク用基板及び転写用マスクを用い、このマスクブランク用基板や転写用マスクに対して光学平坦面を与えるべく投影レンズに対し、極座標表示のゼルニケ多項式によって定義される収差補正を加え、さらにその補正の上にサブピーク転写防止の低次の補正を加えて露光を行った。その結果、必要な焦点裕度を確保した上で、上記ハーフトーン型位相シフトマスクを用いた時のサブピーク転写の問題を回避することができた。これは、本実施の形態のマスクブランク用基板及び転写用マスクでは、光学平坦度λ/8以下が達成されることによる。
<露光装置QC適用例>
ここで示すのは、露光装置の品質管理(QC:Quality Control)に適用した例である。露光装置の投影レンズの高次の収差補正は前述の通り、露光状況に応じて逐次調整されるものであるが、半径に係る変数の次数が2次以下の項のみで構成され、かつ半径に係る変数の次数が2次の項を1以上含むゼルニケ多項式で記述されるような低次の項は、前述のように半導体デバイスの適用層によっては変化させるが、露光装置管理という観点では基準値は半固定で運用すべきものである。通常はこれらの低次のレンズ収差補正は経時的に変化しないものであるが、停電や、温度調整チャンバーの異常停止による露光装置の温度環境変化、及び地震などが起こると変化が生じる。そこで、露光装置の低次のレンズ収差補正管理のQCが必要になるが、このQCには極めて平坦で、波面の揃った基準マスクが必要となる。レンズ収差の評価であるため、そこで使用する基準マスクに関しては、高度な光学測定器に要求されるのと同様の光学平坦度λ/8以下の平坦性が要求される。本実施の形態のマスクブランク用基板及び転写用マスクはこの要求を満たすので、露光装置のレンズ収差補正機能調整に最適であった。
<露光装置レンズ収差補正機能調整適用例>
ここでは、露光装置のレンズ収差補正機能調整に適用した例を示す。上記の通り、露光装置にはレンズ収差補正機能が組み込まれている。この機能を調整、評価するにあたっては極めて平坦で、波面収差の源とならない基準マスクが必要となる。レンズ収差の評価であるため、そこで使用する基準マスクに関しては、高度な光学測定器に要求されるのと同様の光学平坦度λ/8以下の平坦性が要求される。本実施の形態のマスクブランク用基板及び転写用マスクはこの要求を満たすので、露光装置のレンズ収差補正機能調整に最適であった。
[マスクブランク用基板の製造]
本実施の形態のマスクブランク用基板の製造方法に従って3枚のマスクブランク用基板のサンプルを作成し、評価を行った。サンプルAが実施例、サンプルB及びCの2枚が参考例の位置づけとなる。マスクブランク用基板選別まで、この3枚は全て以下に示す同一の工程で製造した。
まず、合成石英ガラス基板(大きさ152.4mm×152.4mm、厚さ6.75mm)を切り出し、この合成石英ガラス基板の端面を面取加工、及び研削加工し、さらに酸化セリウム砥粒を含む研磨液で粗研磨処理及び精密研磨した。その後、このガラス基板を両面研磨装置のキャリアにセットし、下記条件で超精密研磨を行った。
研磨パッド:軟質ポリシャ(スウェードタイプ)
研磨液:コロイダルシリカ砥粒(平均粒径100nm)と水
加工圧力:50〜100g/cm
加工時間:60分
超精密研磨終了後、ガラス基板を希フッ酸液中に浸漬させてコロイダルシリカ砥粒を除去する洗浄を行った。その後、ガラス基板の主表面及び端面に対してスクラブ洗浄を行い、その後純水によるスピン洗浄、及びスピン乾燥を行って、表面が研磨加工されたガラス基板を3枚準備した。そしてそのガラス基板の表面形状(フラットネス)をフリースタンディング状態で平坦度測定装置(Corning Tropel社製 UltraFlat200M)を用いて実測した。
その実測データを図5に示す。(a)、(b)及び(c)は順に、サンプルA、B及びCの場合で、ガラス基板の中心を基準とした直径104mmの円領域で実測した主表面形状の等高線分布図を示す。ここで、図の縦軸、横軸は半径52mmを1に規格化した表示としている。右側に示したZ値は高さを表し、その単位はμmとなっている。
サンプルA、B及びCの機械的平坦度の実測値、すなわち、マスクステージへチャックする前のフリー状態の機械的平坦度は、最高点の絶対値と最低点での絶対値の和であるTIR(Total Indicator Reading)で表して、転写露光領域(ショット領域)が収まる132mm×132mm領域の場合は、順番に、358nm、195nm及び266nmであり、また、104mm直径の円領域の場合は順番に、190nm、87nm及び147nmであった。
この3つのサンプルに対して、実施の形態で示した方法により、露光装置のマスクステージにチャックした時における薄膜が設けられる側の主表面(転写主面)の形状をシミュレーションした。また、半径に係る変数の次数が2次以下の項のみで構成され、かつ半径に係る変数の次数が2次の項を1以上含むゼルニケ多項式によって定義された仮想基準面を求め、さらに前記シミュレーションされた主表面形状と仮想基準面との差分形状(差分データ)を求めた。その結果を等高線分布図で表したものを、サンプルA、B及びCの順に、図6、図7及び図8に示す。各図の(a)はチャック後の形状をシミュレーションにより求めた主表面(転写主面)の形状、(b)はゼルニケ多項式によって定義された仮想基準面の形状、そして(c)は両者の差分の形状(差分データ)である。ここで、図の縦軸、横軸は半径52mmを1に規格化した表示としている。右側に示したZ値は高さを表し、その単位はμmとなっている。ちなみに、ここでのゼルニケ多項式としてはアリゾナ大学表記のものを用い、その1項から6項まで使ってマスクステージチャック後のシミュレーション形状に近づけるようにフィッティングを行って仮想基準面を生成した。ただし、前述のように、これは一実施例であり、ゼルニケ多項式としては、アリゾナ大学表記のものに限るものではない。標準ゼルニケ表記やフリンジゼルニケ表記等のほかの表記方式を適用した場合であっても、同様の仮想基準面を得ることは可能である。
本実施例等で使用したアリゾナ大学表記のゼルニケ多項式の各項は、表1のとおりである。各項は半径がρ、位相(方位角)がθである極座標系で表記されている。表1において、jは項の番号(第j項)であり、Zj(ρ,θ)はその番号の項の内容である。表1では参考までに第10項まで表記したが、本実施例等で使用したのは第6項までである。
Figure 0006199115
サンプルAの場合、マスクブランク用基板をマスクステージにチャックしたとしてシミュレーションによって求めた機械的平坦度は、その平坦度指標の1つであるPV値で表して、104mm直径の円領域で97nmであった。一方、シミュレーションによるマスクステージチャック後の主表面形状とゼルニケ多項式で記述された仮想基準面形状との差分形状(差分データ)から算出される本発明による光学的平坦度の観点に立つと、PV値は24nmであり、ArF露光の露光波長λ(193nm)のλ/8である25nm(小数点以下切上げ)以下の値となった。すなわち、本発明を適用することにより、露光時の環境であるマスクステージにチャックした状態でλ/8以下の極めて高い平坦度を得ることができた。また、シミュレーションによるマスクステージチャック後の主表面形状とゼルニケ多項式で記述された仮想基準面形状との差分形状(差分データ)から算出された決定係数Rは0.974であり、0.9以上の十分な値であった。加えて、転写露光領域(ショット領域)が収まる132mm×132mm領域のシミュレーションによって求めたマスクステージチャック後の機械的平坦度は172nmであった。サンプルAは、104mm直径の円領域及び132mm×132mm領域の平坦度も、決定係数Rも極めて十分な値を有していた。
サンプルBの場合、マスクブランク用基板をマスクステージにチャックしたとしてシミュレーションによって求めた機械的平坦度は、PV値で表して、104mm直径の円領域で54nmであった。一方、シミュレーションによるマスクステージチャック後の主表面形状とゼルニケ多項式で記述された仮想基準面形状との差分形状(差分データ)から算出される本発明による光学的平坦度の観点に立つと、PV値は24nmであり、ArF露光の露光波長λ(193nm)のλ/8である25nm(小数点以下切上げ)以下の値となった。すなわち、本発明を適用することにより、露光時の環境であるマスクステージにチャックした状態でλ/8以下の極めて高い平坦度を得ることができた。一方、シミュレーションによるマスクステージチャック後の主表面形状とゼルニケ多項式で記述された仮想基準面形状との差分形状(差分データ)から算出された決定係数Rは0.745であり、0.9を下回って104mm直径の円領域全体での光学的平坦面(仮想基準面)とのフィッティング乖離が目立った。なお、転写露光領域(ショット領域)が収まる132mm×132mm領域のシミュレーションによって求めたマスクステージチャック後の機械的平坦度は152nmであった。
サンプルCの場合、マスクブランク用基板をマスクステージにチャックしたとしてシミュレーションによって求めた機械的平坦度は、PV値で表して、104mm直径の円領域で99nmであった。一方、シミュレーションによるマスクステージチャック後の主表面形状とゼルニケ多項式で記述された仮想基準面形状との差分形状(差分データ)から算出される本発明による光学的平坦度の観点に立つと、PV値は48nmであり、ArF露光の露光波長λ(193nm)の約λ/4という値であった。また、シミュレーションによるマスクステージチャック後の主表面形状とゼルニケ多項式で記述された仮想基準面形状との差分形状(差分データ)から算出された決定係数Rは0.820であり、0.9を下回った。なお、転写露光領域(ショット領域)が収まる132mm×132mm領域のシミュレーションによって求めたマスクステージチャック後の機械的平坦度は245nmであった。サンプルCは、本発明の方法を用いてもサンプルAやBより平坦度が劣るサンプルである。
[マスクブランクの製造]
ここでは、ハーフトーン用マスクブランクを製造した例を示す。まず前述の方法で製造し、選別基準を通過したマスクブランク用基板(実施例サンプルA、B)を準備し、その上に窒化されたモリブデン及びシリコンからなる光半透過膜を形成した。具体的には、モリブデン(Mo)とシリコン(Si)との混合ターゲット(Mo:Si=10mol%:90mol%)を用い、アルゴン(Ar)と窒素(N)とヘリウム(He)との混合ガス雰囲気(ガス流量比 Ar:N:He=5:49:46)で、ガス圧0.3Pa、DC電源の電力を3.0kWとして、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、モリブデン、シリコン及び窒素からなるMoSiN膜を69nmの膜厚で形成した。次いで、上記MoSiN膜が形成された基板に対して、加熱炉を用いて、大気中で加熱温度を450℃、加熱時間を1時間として、加熱処理を行った。なお、このMoSiN膜は、ArFエキシマレーザーにおいて、透過率は6.16%、位相差が184.4度となっていた。
次に、上記光半透過膜の上に、遮光膜を成膜した。具体的には、スパッタターゲットにクロム(Cr)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)と二酸化炭素(CO)と窒素(N)とヘリウム(He)との混合ガス雰囲気(ガス圧0.2Pa,ガス流量比 Ar:CO:N:He=20:35:10:30)とし、DC電源の電力を1.7kWとし、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、膜厚30nmのCrOCN層を成膜した。続いて、アルゴン(Ar)と窒素(N)との混合ガス雰囲気(ガス圧0.1Pa,ガス流量比 Ar:N=25:5)とし、DC電源の電力を1.7kWとし、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、膜厚4nmのCrN層を成膜した。最後に、アルゴン(Ar)と二酸化炭素(CO)と窒素(N)とヘリウム(He)との混合ガス雰囲気(ガス圧0.2Pa,ガス流量比Ar:CO:N:He=20:35:5:30)とし、DC電源の電力を1.7kWとし、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、膜厚14nmのCrOCN層を成膜し、合計膜厚48nmの3層積層構造のクロム系遮光膜を形成した。その後、280℃で15分間の加熱処理を加えて、膜応力を0近くまで軽減した。
本方法によって製造したマスクブランクの表面の光学的平坦度は、マスクステージにチャックされた露光時の状態で、ArF露光の露光波長λ(193nm)のλ/8である25nm以下となり、λ/8という十分な波面コントロールがなされたマスクブランクとなった。
なお、上記マスクブランクの製造方法では、マスクブランク用基板の平坦度を測定し、マスクステージにチャックした時の主表面形状をシミュレーションし、前記の仮想基準面と差分形状のデータをとって、光学平坦度選別を行った後、薄膜を形成してマスクブランクを製造したが、薄膜形成と光学平坦度選別の順番を逆にしてもよい。すなわち、マスクブランク用基板上に薄膜を形成した後、マスクブランクの平坦度を測定し、マスクステージにチャックした時の主表面形状をシミュレーションし、前記の仮想基準面と差分形状データをとって、光学平坦度選別を行ってもよい。
[転写用マスクの製造および半導体デバイスの製造]
ここでは、前述の方法で製造したマスクブランク上の薄膜に対してパターン形成を行って転写用マスクを製造した。転写用マスクの製造工程については、上記[転写用マスク及びその製造方法]で記載した方法と同様であるので説明は省略する。また、この転写用マスクを用いた露光にあたっては、適用したゼルニケ多項式のパラメータを露光装置のレンズ収差補正機能に反映させて、転写用マスクの転写主面54が光学的平坦面になる設定とした。
本方法で製造された転写用マスクの転写主面54の光学的平坦度は、マスクステージにチャックされた露光時の状態で、露光波長λの1/8以下と極めて高く、十分な波面コントロールがなされた転写用マスクを製造することが可能となった。波面コントロールが十分なされるため、この転写用マスクを用いて露光を行うと、焦点深度、位置ずれ、及び解像度に優れ、それを使って製造される半導体デバイスの回路特性も安定していた。
なお、本発明のマスクブランク用基板およびマスクブランクでは、露光装置における収差補正機能への負荷を考慮し、ゼルニケ多項式の次数が2次の項までの収差補正機能を使用した場合の表面形状がλ/8以下であるものとしている。しかし、露光装置の収差補正機能等の性能向上や投影レンズの品質向上等によって、より多くの負荷を基板やマスクブランクの表面形状に係る波面収差の補正に割いても、露光転写への影響が小さい場合においては、仮想基準面の範囲を半径に係る変数の次数が3次以下の項のみで構成され、かつ半径に係る変数の次数が3次の項を1以上含むゼルニケ多項式で定義される表面形状まで広げてもよい。このようなゼルニケ多項式で定義される表面形状を仮想基準面とすることにより、本発明のマスクブランク用基板やマスクブランクを製造する際の歩留まりを大幅に向上させることができる。
[比較例]
ここでは、実施例で作製した3枚のサンプルA、B及びCを用いて、機械的平坦面による従来技術によって評価した場合を示す。したがって物自体はマスクブランク用基板の段階から、転写用マスクに至るまで実施例と同じものである。マスクステージへのチャック時のマスクブランク用基板の主表面(転写用主面)形状のシミュレーションも実施例と同様に行っている。実施例との違いは、機械的平坦面を利用したか光学的平坦面を利用したかにある。実施例で行ったゼルニケ多項式で記述される仮想基準面を算出し、シミュレーションによって求めたマスクステージにチャックした時のマスクブランク用基板の主面形状(転写主面形状)との差分形状データを取得し、PV計算値から選定を行うという工程は比較例では行っていない。比較例ではチャックのシミュレーションで求めた機械的平坦面を用いている。したがってこの転写用マスクを用いた露光においても、露光装置へこの転写用マスク固有のレンズ収差補正、すなわち光学的平坦面とするためのゼルニケ多項式パラメータの反映を行っていない。
サンプルA、B及びCのマスクブランク用基板をマスクステージへチャックした時の主表面(転写主面)の直径104mm領域の機械的表面形状は、前述のように、図6、図7及び図8の(a)に示されている。その機械的平坦度をPV値を用いて表すと、104mm直径の円領域の場合は、サンプルAで97nm、サンプルBで54nm、そしてサンプルCで99nmであった。最良のサンプルBの場合でも54nmであり、光学的平坦面を使った実施例の24nmの倍以上の値となった。54nmという値は、ArF露光の露光波長λ(193nm)の約λ/4で、十分な波面制御はできなかった。サンプルAやCに至ってはさらにその倍近い値であり、これは約λ/2に相当して、不十分なものであった。なお、転写露光領域(ショット領域)が収まる132mm×132mm領域の場合は、サンプルAで172nm、サンプルBで152nm、そしてサンプルCで245nmであった。このように波面コントロールが不十分なため、この転写用マスクを用いて露光を行うと、焦点深度、位置ずれ、及び解像度に面内分布が生じ、それを使って製造される半導体デバイスの回路特性も不安定となった。
1…マスクブランク用基板、2…機械的平坦面、3…基板主表面、4…光学的平坦面、31…光源、32…露光光、33…照明光学系、34…マスク、35…投影レンズ、36…瞳、37…位相フィルタ、38…投影レンズ、39…ウエハステージ、40…ウエハ、50…マスクステージ、51…転写用マスク、52…吸着部、53…マスクパターン、54…主表面、55…接触部。

Claims (20)

  1. 対向する1組の主表面を有する透光性基板の一方の主表面に転写パターン形成用の薄膜が設けられたマスクブランクの製造に用いられるマスクブランク用基板の製造方法であって、
    前記透光性基板における薄膜が設けられる側の主表面の表面形状を取得する形状測定工程と、
    前記透光性基板を露光装置のマスクステージにチャックしたときにおけるチャック後主表面形状をシミュレーションにより得るシミュレーション工程と、
    前記チャック後主表面形状を、前記透光性基板の中心を基準とした所定の直径を有する円の内側の算出領域で、極座標系で表現されたゼルニケ多項式によって前記マスクブランク用基板に対して個別に定義される仮想基準面に対して形状フィッティングを行い、前記チャック後主表面形状と前記仮想基準面との差分データを取得する工程と、
    前記差分データの前記算出領域内での最高高さと最低高さとの差が、所定値以下となる表面形状を有する前記透光性基板を選定する工程と
    を有することを特徴とするマスクブランク用基板の製造方法。
  2. 前記所定値は、露光転写に用いられる露光光の波長λの1/8であることを特徴とする請求項1記載のマスクブランク用基板の製造方法。
  3. 前記所定の直径は、104mmであることを特徴とする請求項1または2記載のマスクブランク用基板の製造方法。
  4. 前記仮想基準面は、半径に係る変数の次数が2次以下の項のみで構成され、かつ半径に係る変数の次数が2次の項を1以上含むゼルニケ多項式によって定義される形状を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のマスクブランク用基板の製造方法。
  5. 前記差分データから算出される決定係数Rが0.9以上であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のマスクブランク用基板の製造方法。
  6. 前記チャック後主表面形状における前記透光性基板の中心を基準とした一辺が132mmの四角形の内側領域で算出された平坦度は0.2μm以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のマスクブランク用基板の製造方法。
  7. 前記選定された透光性基板と、当該透光性基板に対して形状フィッティングを行った前記仮想基準面におけるゼルニケ多項式に係る情報とを対応付けして記録装置に記録する工程を有することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のマスクブランク用基板の製造方法。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載のマスクブランク用基板の製造方法で製造されたマスクブランクの一方の主表面に前記転写パターン形成用の薄膜を設ける工程を備えることを特徴とするマスクブランクの製造方法。
  9. 対向する1組の主表面を有する透光性基板の一方の主表面に転写パターン形成用の薄膜が設けられたマスクブランクの製造方法であって、
    前記マスクブランクにおける前記薄膜の表面形状を取得する形状測定工程と、
    前記マスクブランクを露光装置のマスクステージにチャックしたときにおけるチャック後表面形状をシミュレーションにより得るシミュレーション工程と、
    前記チャック後表面形状を、前記透光性基板の中心を基準とした所定の直径を有する円の内側の算出領域で、極座標系で表現されたゼルニケ多項式によって前記マスクブランクに対して個別に定義される仮想基準面に対して形状フィッティングを行い、前記チャック後表面形状と前記仮想基準面との差分データを取得する工程と、
    前記差分データの前記算出領域内での最高高さと最低高さとの差が、所定値以下となる表面形状を有する前記マスクブランクを選定する工程と
    を有することを特徴とするマスクブランクの製造方法。
  10. 前記所定値は、露光転写に用いられる露光光の波長λの1/8であることを特徴とする請求項9記載のマスクブランクの製造方法。
  11. 前記所定の直径は、104mmであることを特徴とする請求項9または10記載のマスクブランクの製造方法。
  12. 前記仮想基準面は、半径に係る変数の次数が2次以下の項のみで構成され、かつ半径に係る変数の次数が2次の項を1以上含むゼルニケ多項式によって定義される形状を有することを特徴とする請求項9から11のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法。
  13. 前記差分データから算出される決定係数Rが0.9以上であることを特徴とする請求項9から12のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法。
  14. 前記チャック後表面形状における前記透光性基板の中心を基準とした一辺が132mmの四角形の内側領域で算出された平坦度は0.2μm以下であることを特徴とする請求項9から13のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法。
  15. 前記選定されたマスクブランクと、当該マスクブランクに対して形状フィッティングを行った前記仮想基準面におけるゼルニケ多項式に係る情報とを対応付けして記録装置に記録する工程を有することを特徴とする請求項9から14のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法。
  16. 請求項8から15のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法で製造されたマスクブランクの前記薄膜に転写パターンを形成する工程を備えることを特徴とする転写用マスクの製造方法。
  17. 請求項16に記載の転写用マスクの製造方法で製造された転写用マスクを露光装置のマスクステージにチャックし、リソグラフィー法により前記転写用マスクの転写パターンを半導体基板上にパターン転写する露光工程を有することを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
  18. 前記露光装置は、前記転写用マスクの転写パターンから透過した透過光の波面に対し、ゼルニケ多項式で定義される形状の波面補正を行う機能を有し、かつ、マスクステージが前記シミュレーション工程で用いたものと同じ形状を有するものであることを特徴とする請求項17記載の半導体デバイスの製造方法。
  19. 請求項7記載のマスクブランク用基板の製造方法で製造されたマスクブランク用基板の一方の主表面に前記転写パターン形成用の薄膜を設けてマスクブランクを製造する工程と、
    前記製造されたマスクブランクの前記転写パターン形成用の薄膜に転写パターンを形成して転写用マスクを製造する工程と、
    製造された前記転写用マスクを露光装置のマスクステージにチャックし、リソグラフィー法により前記転写用マスクの転写パターンを半導体基板上にパターン転写する露光工程とを有し、
    前記露光装置は、前記転写用マスクの転写パターンから透過した透過光の波面に対し、ゼルニケ多項式で定義される形状の波面補正を行う機能を有し、かつ、マスクステージが前記シミュレーション工程で用いたものと同じ形状を有するものであり、
    前記露光工程は、前記マスクブランク用基板に対応付けされている前記仮想基準面におけるゼルニケ多項式に係る情報を用い、前記転写用マスクの転写パターンから透過した透過光の波面に対して補正を行うことを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
  20. 請求項15記載のマスクブランクの製造方法で製造されたマスクブランクの前記転写パターン形成用の薄膜に転写パターンを形成して転写用マスクを製造する工程と、
    製造された前記転写用マスクを露光装置のマスクステージにチャックし、リソグラフィー法により前記転写用マスクの転写パターンを半導体基板上にパターン転写する露光工程とを有し、
    前記露光装置は、前記転写用マスクの転写パターンから透過した透過光の波面に対し、ゼルニケ多項式で定義される形状の波面補正を行う機能を有し、かつ、マスクステージが前記シミュレーション工程で用いたものと同じ形状を有するものであり、
    前記露光工程は、前記マスクブランクに対応付けされている前記仮想基準面におけるゼルニケ多項式に係る情報を用い、前記転写用マスクの転写パターンから透過した透過光の波面に対して補正を行うことを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
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