JP6198681B2 - 反射フィルムおよび反射フィルムを有するディスプレイ - Google Patents
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Description
[1]右円偏光を選択反射する右円偏光反射層および左円偏光を選択反射する左円偏光反射層からなる群より選択されるいずれか一方の円偏光反射層を含み、
上記円偏光反射層は、コレステリック液晶相を固定した層を含み、
上記円偏光反射層が選択反射を示す波長域において非偏光に対する拡散反射率が25%以上となる反射波長を有し、
上記反射波長の非偏光に対して、右円偏光または左円偏光の一方を選択的に反射し、
上記反射波長が赤外線波長域にあり、
非偏光可視光の直透過率が50%以上であって、
ヘイズ値が5%以下である反射フィルム。
[2]上記反射波長の非偏光に対する正反射率が15%以下である[1]に記載の反射フィルム。
[3]上記円偏光反射層が、液晶化合物、キラル剤、および水平配向剤を含む液晶組成物から形成された層である[1]または[2]に記載の反射フィルム。
[4]上記円偏光反射層の最表面の液晶分子の面内配向方位がランダムである[3]に記載の反射フィルム。
[5]上記円偏光反射層の少なくとも一方の最表面でコステリック液晶相の螺旋軸の傾きを有し、
上記の螺旋軸の傾きはそれぞれ面内で変化しており、
上記螺旋軸の傾きの最大値が20°以下である[1]〜[4]のいずれか一項に記載の反射フィルム。
上記透明層と上記円偏光反射層とが直接接している[1]〜[5]のいずれか一項に記載の反射フィルム。
[7]上記円偏光反射層が、重合性液晶化合物、キラル剤、および水平配向剤を含む液晶組成物から形成された層であり、
上記円偏光反射層が上記透明層の表面に直接塗布された上記液晶組成物から形成されている[6]に記載の反射フィルム。
[8]上記透明層が(メタ)アクリレートモノマーを含む非液晶性組成物を塗布硬化して得られた層である[6]または[7]に記載の反射フィルム。
[9]基材を含み、
上記基材、上記透明層、上記円偏光反射層を、この順に含む[6]〜[8]のいずれか一項に記載の反射フィルム。
[10][1]〜[9]のいずれか一項に記載の反射フィルムを有するディスプレイ。
なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、例えば、「45°」、「平行」、「垂直」あるいは「直交」等の角度は、特に記載がなければ、厳密な角度との差異が5度未満の範囲内であることを意味する。厳密な角度との差異は、4度未満であることが好ましく、3度未満であることがより好ましい。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレートおよびメタクリレートのいずれか一方または双方」の意味で使用される。
理論上は、ヘイズ値は、以下式で表される値を意味する。
(380〜780nmの非偏光の散乱透過率)/(380〜780nmの非偏光の散乱透過率+自然光の直透過率)×100%
散乱透過率は分光光度計と積分球ユニットを用いて、得られる全方位透過率から直透過率を差し引いて算出することができる値である。
本明細書において、単に「反射光」または「透過光」というときは、散乱光および回折光を含む意味で用いられる。
また、照度計や光スペクトルメータに、反射フィルムを取り付けても測定することができる。右円偏光透過板をつけ、右円偏光量を測定、左円偏光透過板をつけ、左円偏光量を測定することにより、比率を測定できる。
本発明の反射フィルムは、赤外線を反射することができるフィルムであり、非偏光に対する拡散反射率が25%以上となる反射波長を赤外線波長域に有する。また、本発明の反射フィルムは、上記反射波長の非偏光が入射したとき、右円偏光または左円偏光の一方を選択的に反射する。
本発明の反射フィルムが反射する赤外線の波長は特に限定されないが、反射フィルムの透過率スペクトルを確認したときに、750〜2000nmの範囲、好ましくは800〜1500nmの範囲に中心波長を有する反射波長帯域が確認できることが好ましい。上記反射波長は、組み合わせて用いられる光学ペンなどの光源の波長や撮像素子のセンサーが感知する赤外線の波長に従って選択されていることも好ましい。反射波長帯域の半値幅は50〜500nm、好ましくは100〜300nmであることが好ましい。
上記の拡散反射率が25%以上となる反射波長は、後述のコレステリック液晶層が選択反射を示す波長域のいずれかにあればよく、選択反射の中心波長に該当していてもよい。
本発明の反射フィルムは上記の反射波長において非偏光に対する正反射率が15%以下であることが好ましい。正反射率は、13%以下であることもより好ましい。
本発明の反射フィルムは、赤外線領域の光に対して高い拡散反射率を有するとともに、ヘイズ値(可視光領域)が低い。そのため赤外線を照射する光学ペンとともに組み合わせて用いられる上述の手書き入力シートを特にテレビ等のディスプレイ表面に貼付して用いる場合に好ましく適用できる。
本発明の反射フィルムは、円偏光反射層として右円偏光を選択反射する右円偏光反射層または左円偏光を選択反射する左円偏光反射層のいずれかを含む。
本発明の反射フィルムは、右円偏光反射層または左円偏光反射層のいずれかを含んでいることによって、右円偏光または左円偏光のいずれか一方を選択的に反射することが可能である。
円偏光反射層はコレステリック液晶相を固定した層を含む。コレステリック液晶相は、右円偏光または左円偏光のいずれか一方を選択的に反射する円偏光選択反射性を有することが知られている。円偏光選択反射性を示すフィルムとして、重合性液晶化合物を含む組成物から形成されたフィルムは従来から数多く知られており、コレステリック液晶相を固定した層については、それらの従来技術を参照することができる。
本明細書においてコレステリック液晶相を固定した層をコレステリック液晶層または液晶層ということがある。
は、Δλが液晶化合物の複屈折Δnと上記ピッチ長Pに依存し、Δλ=Δn×Pの関係に従う。そのため、選択反射帯の幅の制御は、Δnを調整して行うことができる。Δnの調整は重合性液晶化合物の種類やその混合比率を調整したり、配向固定時の温度を制御したりすることで行うことができる。
分光光度計UV3150(島津製作所)を用いて光反射層の透過スペクトルを測定すると、選択反射領域に透過率の低下ピークがみられる。この最も大きいピーク高さの1/2の高さの透過率となる2つの波長のうち、短波側の波長の値をλ1(nm)、長波側の波長の値をλ2(nm)とすると、反射中心波長と半値幅は下記式で表すことができる。
反射中心波長=(λ1+λ2)/2
半値幅=(λ2−λ1)
以下、コレステリック液晶層の作製材料および作製方法について説明する。
上記コレステリック液晶層の形成に用いる材料としては、重合性液晶化合物を含む液晶組成物などがあげられる。液晶組成物は、キラル剤および水平配向剤を含んでいることが好ましい。液晶組成物は、さらに界面活性剤や重合開始剤を含んでいてもよい。
液晶組成物を、基材、透明層、または、下層となるコレステリック液晶層などに塗布し、コレステリック配向熟成後、固定化してコレステリック液晶層を形成することができる。
重合性液晶化合物は、棒状液晶化合物であっても、円盤状液晶化合物であってもよいが、棒状液晶化合物であることが好ましい。
コレステリック液晶層を形成する棒状の重合性液晶化合物の例としては、棒状ネマチック液晶化合物があげられる。棒状ネマチック液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。低分子液晶化合物だけではなく、高分子液晶化合物も用いることができる。
キラル剤はコレステリック液晶相の螺旋構造を誘起する機能を有する。キラル化合物は、化合物によって誘起する螺旋のセンスまたは螺旋ピッチが異なるため、目的に応じて選択すればよい。
キラル剤としては、特に制限はなく、公知の化合物(例えば、液晶デバイスハンドブック、第3章4−3項、TN、STN用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989に記載)、イソソルビド、イソマンニド誘導体を用いることができる。
キラル剤は、一般に不斉炭素原子を含むが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物あるいは面性不斉化合物もキラル剤として用いることができる。軸性不斉化合物または面性不斉化合物の例には、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファンおよびこれらの誘導体が含まれる。キラル剤は、重合性基を有していてもよい。キラル剤と液晶化合物とがいずれも重合性基を有する場合は、重合性キラル剤と重合性液晶化合物との重合反応により、重合性液晶化合物から誘導される繰り返し単位と、キラル剤から誘導される繰り返し単位とを有するポリマーを形成することができる。この態様では、重合性キラル剤が有する重合性基は、重合性液晶化合物が有する重合性基と、同種の基であることが好ましい。従って、キラル剤の重合性基も、不飽和重合性基、エポキシ基またはアジリジニル基であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基であることが特に好ましい。
また、キラル剤は、液晶化合物であってもよい。
液晶組成物における、キラル剤の含有量は、重合性液晶性化合物量の0.01モル%〜200モル%が好ましく、1モル%〜30モル%がより好ましい。
液晶組成物は、重合開始剤を含有していることが好ましい。紫外線照射により重合反応を進行させる態様では、使用する重合開始剤は、紫外線照射によって重合反応を開始可能な光重合開始剤であることが好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)等があげられる。
液晶組成物中の光重合開始剤の含有量は、重合性液晶化合物の含有量に対して0.1〜20質量%であることが好ましく、0.5質量%〜5質量%であることがさらに好ましい。
液晶組成物は、硬化後の膜強度向上、耐久性向上のため、任意に架橋剤を含有していてもよい。架橋剤としては、紫外線、熱、湿気等で硬化するものが好適に使用できる。
架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の多官能アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物;2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、4,4−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等のアジリジン化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、ビウレット型イソシアネート等のイソシアネート化合物;オキサゾリン基を側鎖に有するポリオキサゾリン化合物;ビニルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物などがあげられる。また、架橋剤の反応性に応じて公知の触媒を用いることができ、膜強度および耐久性向上に加えて生産性を向上させることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
架橋剤の含有量は、3質量%〜20質量%が好ましく、5質量%〜15質量%がより好ましい。架橋剤の含有量が、3質量%未満であると、架橋密度向上の効果が得られないことがあり、20質量%を超えると、コレステリック液晶層の安定性を低下させてしまうことがある。
液晶組成物中には、安定的にまたは迅速にプレーナー配向のコレステリック液晶層とするために寄与する配向制御剤としての水平配向剤を添加してもよい。水平配向剤の例としては特開2007−272185号公報の段落〔0018〕〜〔0043〕等に記載のフッ素(メタ)アクリレート系ポリマー、特開2012−203237号公報の段落〔0031〕〜〔0034〕等に記載の式(I)〜(IV)で表される化合物などがあげられる。
なお、水平配向剤としては1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
その他、液晶組成物は、塗膜の表面張力を調整し膜厚を均一にするための界面活性剤、および重合性モノマー等の種々の添加剤から選ばれる少なくとも1種を含有していてもよい。また、液晶組成物中には、必要に応じて、さらに重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、色材、金属酸化物微粒子等を、光学的性能を低下させない範囲で添加することができる。
有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばケトン類、アルキルハライド類、アミド類、スルホキシド類、ヘテロ環化合物、炭化水素類、エステル類、エーテル類、などがあげられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、環境への負荷を考慮した場合にはケトン類が特に好ましい。
重合反応率は、重合性の官能基の消費割合を、IR吸収スペクトルを用いて決定することができる。
本発明の反射フィルムのコレステリック液晶層の膜厚の総計は好ましくは2.0μm以上、300μm以下の範囲、より好ましくは8.0μm以上、200μm以下の範囲である。2.0μm以上の厚みで周期構造に基づく選択反射を十分に確保することができる。また、300μm以下の厚みで、可視光の透過性も十分確保することができる。
本発明者らの検討の結果、選択反射波長(赤外線波長域)における拡散反射率が高く、ヘイズ値が低いコレステリック液晶層は、層の少なくとも一方の表面、好ましくは層の両表面で液晶分子のチルト角が小さく、且つ液晶分子の面内配向方位をランダムとすることにより得られることが判明した。すなわち、上記のチルト角および面内配向方位を調整することにより、選択反射波長における拡散反射率を50%以上でありかつ非偏光可視光に対するヘイズ値が低い5%以下であるコレステリック液晶層を形成することができる。コレステリック液晶層表面近傍の液晶配向方向、チルト角はコレステリック液晶層断面の膜表面近傍を透過電子顕微鏡(TEM)像などで確認すればよい。
コレステリック液晶層表面の液晶分子のチルト角と面内配向方位とを上記のように調整することにより、最表面でコステリック液晶相の螺旋軸の傾きを有する構成を実現することができる。螺旋軸の傾きを有するとは、後述の螺旋軸の傾きが2°以上である面内の位置があることを意味する。最表面でコステリック液晶相の螺旋軸の傾きを有する構成によりコレステリック液晶相の螺旋軸は面内で僅かなうねりを持って分布させることができると考えられる。すなわち、層の法線方向から螺旋軸のずれを、生じさせることができる。この螺旋軸のずれにより、散乱性の層となる。この層の内部には、複数の配向欠陥が存在しうる。
コレステリック液晶層断面をTEM観察すると、明部と暗部との縞模様が観察できる。縞模様は、層面に略平行な方向に明部と暗部とが繰り返されるように観察される。図2に模式図を示す。この明部と暗部の繰り返し2回分(明部2つおよび暗部2つ)が螺旋1ピッチ分に相当する。縞模様の法線方向が螺旋軸となる。コレステリック液晶層の最表面の螺旋軸の傾きは、最表面11から1本目の暗部がなす線と同じ側の最表面との角度として得ることができる(図2の101)。
コレステリック液晶層を、最表面の螺旋軸の傾きが面内で変化しているように構成することにより、拡散反射率が高い散乱性の層とすることができる。なお、「螺旋軸の傾きが変化している」とは、例えば、表面の任意の直線上で一定間隔で螺旋軸の傾きを測定すると、直線進行方向で増加および減少が確認される状態を示す。増加および減少は、好ましくは繰り返されており、変化は好ましくは連続的である。
最表面はコレステリック液晶層の少なくともいずれか一方(最上面または最下面)であってもよく、両方(最上面まおよび最下面)であってもよいが、両方であることが好ましい。
さらに螺旋軸の傾きの最大値を20°以下とすることにより、ヘイズ値(可視光波長域)を5%以下程度に低く調整することができる。螺旋軸の傾きの最大値は2°以上20°以下であればよく、5°以上20°以下であることが好ましい。
液晶分子の面内配向方位とは、液晶分子の上記の最大の屈折率の方向最大の屈折率の方向の、層と平行な面内での方位を意味する。面内配向方位がランダムであるとは、面内の液晶化合物分子の面内配向方位の平均方位と4°以上異なる面内配向方位を有する液晶分子がTEMにて10%以上20%以下で確認できる状態を意味する。
なお、本明細書において、液晶分子というとき、液晶組成物においては重合性液晶化合物の分子を意味し、重合性液晶化合物が液晶組成物の硬化反応により高分子化している場合は、上記重合性液晶化合物分子に該当する部分構造を意味する。
本発明の反射フィルムは、コレステリック液晶層の形成の際に液晶組成物が塗布される下層として、透明層を含んでいてもよい。透明層は、その表面に設けられる液晶組成物中の重合性液晶化合物分子に対して低いプレチルト角を与える材料からなる層を好ましく用いることができる。
透明層としては、例えば、(メタ)アクリレートモノマー、ゼラチン、ウレタンモノマーなどを含む非液晶性の重合性組成物を塗布硬化したものを用いることができる。例えば、(メタ)アクリレートモノマーを含む層を塗布硬化して得られるアクリル層は面内において等方的であるため、アクリル層表面にラビング処理を施さずに液晶層を形成すると、アクリル層に接している液晶の面内配向方位はランダムとなる。
そのためアクリル層表面に液晶組成物を塗布して形成されるコレステリック液晶層を配向欠陥を有する層とすることができる。
そして、配向欠陥を有する液晶層上に液晶層を形成すると、同様に配向欠陥を有する液晶層を形成することができる。
透明層としてはそのほか、ポリイミド(日産化学社製ポリイミドワニスのサンエバー130など)、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、変性ポリアミドなどの樹脂などを用いてもよい。拡散反射率の高いコレステリック液晶層の形成のため、液晶組成物を塗布する透明層の表面はラビング処理(例えば、ポリマー層の表面を、紙または布等で一定方向に、擦ることによるラビング処理)を行わないことが好ましい。
透明層の厚さは0.01〜50μmであることが好ましく、0.05〜20μmであることがさらに好ましい。
本発明の反射フィルムは、コレステリック液晶層の支持体として基材を含んでいてもよい。基材は上記の透明層を兼ねていてもよい。
基材は特に限定されない。基材としては、プラスチックフィルムを用いることができる。プラスチックフィルムの例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオレフィン、セルロース誘導体、シリコーンなどがあげられる。
基材の膜厚としては、5μm〜1000μm程度であればよく、好ましくは10μm〜250μmであり、より好ましくは15μm〜90μmである。
なお、コレステリック液晶層の形成のために用いられる支持体は、コレステリック液晶層形成後に剥離される仮支持体であってもよく、コレステリック液晶層形成の後、コレステリック液晶層が基材に転写されてもよい なお、仮支持体としては上記のプラスチックフィルムの他、ガラス等を用いてもよい。
本発明の反射フィルムは、各層の接着のための接着層を含んでいてもよい。
接着層は接着剤から形成されるものであればよい。
接着剤としては硬化方式の観点からホットメルトタイプ、熱硬化タイプ、光硬化タイプ、反応硬化タイプ、硬化の不要な感圧接着タイプがあり、それぞれ素材としてアクリレート系、ウレタン系、ウレタンアクリレート系、エポキシ系、エポキシアクリレート系、ポリオレフィン系、変性オレフィン系、ポリプロピレン系、エチレンビニルアルコール系、塩化ビニル系、クロロプレンゴム系、シアノアクリレート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリスチレン系、ポリビニルブチラール系などの化合物を使用することができる。作業性、生産性の観点から、硬化方式として光硬化タイプが好ましく、光学的な透明性、耐熱性の観点から、素材はアクリルレート系、ウレタンアクリレート系、エポキシアクリレート系などを使用することが好ましい。
本発明の反射フィルムの用途としては特に限定されないが、例えば、手書き情報をデジタル化して情報処理装置に入力する光学ペンを使用したシステムで用いられる手書き入力シートの反射フィルムとして用いることができる。使用の際は光学ペンから照射される赤外線の波長が反射フィルムが反射を示す波長となるように、コレステリック液晶層の組成を調整して用いられる。具体的にはコレステリック液晶相の螺旋ピッチを上述の方法で調整すればよい。
富士フイルム製PET(厚み75μm)のPET面に、表1に示す塗布液Bを乾燥後の乾膜の厚みが8μmになるように室温にてワイヤーバーを用いて塗布した。塗布層を室温にて30秒間乾燥させた後、85℃の雰囲気で2分間加熱し、その後30℃でフュージョン製Dバルブ(ランプ90mW/cm)にて出力60%で6〜12秒間UV照射しアクリル層を得た。上記で得られたアクリル層上にラビング処理を施さずに表1に示す塗布液A−1を乾燥後の乾膜の厚みが5μmになるように室温にて塗布した。得られた塗布膜を上記と同様に乾燥、加熱、UV照射を行い、液晶層を作製し、反射フィルムを得た。
JASCO製の分光光度計V−670を用い、作製した反射フィルムの透過スペクトルを測定した。得られた透過スペクトルを図1に示す。波長850nmを中心波長とし、半値幅が117nmとなる反射を示す透過率の減少が見られた。
直透過率、直透過率は入射角0°での測定値であり、波長380〜780nmの非偏光の直透過率は、測定した380〜780nmの透過率を平均して算出した。
結果は以下の通りであった。
正反射率(850nm):11.0%
拡散反射率(850nm):35.6%
波長380〜780nmの非偏光の直透過率:85.5%
ヘイズ値:2.2%
101 最表面の螺旋軸の傾き
Claims (9)
- 右円偏光を選択反射する右円偏光反射層および左円偏光を選択反射する左円偏光反射層からなる群より選択されるいずれか一方の円偏光反射層を含み、
前記円偏光反射層は、コレステリック液晶相を固定した層を含み、
前記円偏光反射層が選択反射を示す波長域において非偏光に対する拡散反射率が25%以上となる反射波長を有し、
前記反射波長の非偏光に対して、右円偏光または左円偏光の一方を選択的に反射し、
前記反射波長が赤外線波長域にあり、
非偏光可視光の直透過率が50%以上であって、
ヘイズ値が5%以下であり、
前記円偏光反射層が、液晶化合物、キラル剤、および水平配向剤を含む液晶組成物から形成された層であり、
前記円偏光反射層の最表面の液晶分子の面内配向方位がランダムである、
反射フィルム。 - 透明層を含み、
前記透明層と前記円偏光反射層とが直接接している請求項1に記載の反射フィルム。 - 前記円偏光反射層が前記透明層の表面に直接塗布された前記液晶組成物から形成されている請求項2に記載の反射フィルム。
- 前記透明層が(メタ)アクリレートモノマーを含む非液晶性組成物を塗布硬化して得られた層である請求項2または3に記載の反射フィルム。
- 右円偏光を選択反射する右円偏光反射層および左円偏光を選択反射する左円偏光反射層からなる群より選択されるいずれか一方の円偏光反射層を含み、
前記円偏光反射層は、コレステリック液晶相を固定した層を含み、
前記円偏光反射層が選択反射を示す波長域において非偏光に対する拡散反射率が25%以上となる反射波長を有し、
前記反射波長の非偏光に対して、右円偏光または左円偏光の一方を選択的に反射し、
前記反射波長が赤外線波長域にあり、
非偏光可視光の直透過率が50%以上であって、
ヘイズ値が5%以下であり、
さらに透明層を含み、
前記透明層と円偏光反射層とが直接接しており、
前記透明層が(メタ)アクリレートモノマーを含む非液晶性組成物を塗布硬化して得られた層であり、
前記円偏光反射層が、重合性液晶化合物、キラル剤、および水平配向剤を含む液晶組成物から形成された層であり、
前記円偏光反射層が前記透明層の表面に直接塗布された前記液晶組成物から形成されている、反射フィルム。 - 基材を含み、
前記基材、前記透明層、前記円偏光反射層を、この順に含む請求項2〜5のいずれか一項に記載の反射フィルム。 - 前記反射波長の非偏光に対する正反射率が15%以下である請求項1〜6のいずれか一項に記載の反射フィルム。
- 前記円偏光反射層の少なくとも一方の最表面でコレステリック液晶相の螺旋軸の傾きを有し、
前記螺旋軸の傾きはそれぞれ面内で変化しており、
前記螺旋軸の傾きの最大値が20°以下である請求項1〜7のいずれか一項に記載の反射フィルム。 - 請求項1〜8のいずれか一項に記載の反射フィルムを有するディスプレイ。
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