JP6197448B2 - 液体噴射ヘッドおよび液体噴射装置 - Google Patents
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Description
このようなインクジェット式記録ヘッドの構造は、様々提案されているが、一般的に、複数の部材が接着剤等によって固定されてなる(例えば、特許文献1参照)。
なお、このような問題はインクを噴射するインクジェット式記録ヘッドだけではなく、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにおいても同様に存在する。
すなわち、壁材の端部を正確な精度で所望の高さに維持するのは困難を伴うのに対し、突起を形成して高さ調整をするのであれば非常に容易となる。例えば、突起であると、樹脂成形の際に、金型の微調整によって微細な高さ設定が可能となる。
図1と図2は、本発明の一実施形態に係る液体噴射ヘッドの一例を示すインクジェット式記録ヘッドの展開図であり、図3は、インクジェット式記録ヘッドのヘッドチップの周辺の断面図である。
図1及び図2に示すように、インクジェット式記録ヘッド1は、上側ケース部材11と、下側ケース部材12とからなるケース部材10内に、各パーツを収容して形成されている。下側ケース部材12内は上方の空間と下方の空間が形成されており、上方の空間内では、上方から第1の流路部材21とフィルター22と第2の流路部材23とからなる流路部材24と、シール部材25と、回路基板26とが順次積層されて収容されている。
また、下方の空間内では、上方からフレキシブル基板27、第3の流路部材28、ヘッドチップ30、蓋部材29が収容されている。なお、ヘッドチップ30は圧電アクチュエータパーツ31と、流路形成板32と、ノズルプレート33と、コンプライアンス部材40とを備えている。
ノズルプレート33はノズル穴32b,32bの形成位置に沿って貼付されるので、その外側に二列に形成される中央流路32a3,32a3は開口したままとなる。これらを覆蓋するのがコンプライアンス部材40である。
このように下側ケース部材12の撓み難くなった空間に設けられたヘッドチップ30および第3の流路部材28には外力が掛かりにくくなるうえ、弾性を有す蓋部材29がヘッドチップ30と下側ケース部材12の間に生じるねじれを吸収してヘッドチップ30には外力が一層掛かりにくくなるので、ヘッドチップ30を構成する部材同士が剥離を起こすのを抑制でき、ひいてはインク漏れの発生を抑制できる。さらに、ヘッドチップ30や第3の流路部材28、換言すればインクの流通経路を構成する部材の接合にあたり柔軟性のある接着剤を用いれば一層効果がある。
なお、壁材12cにおける蓋部材29の接合位置は、上記した壁材12cの先端の開口に限らず、壁材12cの内外の側面であっても良い。また、蓋部材29はステンレス製に限らず弾性を有する部材であれば良い。
このようにヘッドチップ30のインクの流通経路を構成するノズルプレート33は印刷媒体が当たる可能性をなるべく抑えられ、インクの流通経路を構成しない蓋部材29に印刷媒体が当たるようにすることで、インクの流通経路を構成する部材に剥離が発生するのを抑制でき、ひいてはインク漏れが発生するのを抑制できる。
上述したように壁材12cは肉厚となるように形成されている。下側ケース部材12自体は樹脂による一体成形品であり、肉厚の部分では樹脂の冷却時の収縮の影響を受けて設計通りの精度を維持できないことが多々ある。これは個々のばらつきがあるというのではなく、成型された全ての壁材12cに同様のずれが発生するということである。設計上では壁材12cの先端が平面を形成するようになっていても、樹脂のひけや成形時の樹脂の収縮などによって全ての成形品でわずかに平面にならないことが起きる。このような壁材12cの先端の全体に亘って平面を形成するように仕上げるのは容易ではない。
なお、突起を壁材12cの側でなく蓋部材29の側に設ける場合、蓋部材29に突起を形成する工程で蓋部材29に歪みが生じて平面さが損なわれるおそれが高いため壁材12cの側に設けるのが良い。
この壁材12fの先端部には、上述した複数の突起12c1が形成される先端面12f1とともに、この先端面12f1よりも前記空間(第3の流路部材28を収容できる空間)を基準として外周側に形成されて前記壁材12fの突出方向に向けて突出する突部12f2が形成されている。この変形例の場合、突部12f2はいわゆる土手あるいは堤防のように先端面12f1から盛り上がるように形成されている。壁材12f自体は内側に前記第3の流路部材28を収容できる空間を形成する角筒状となっており、図5に示す壁材12cと同様である。そして、堤防状の突部12f2は、先端面12f1よりも外側の位置に、図16に示すように、底面側から見てL字型となるように形成されている。すなわち、角筒状の壁材12fの先端部分で二辺を外側から覆うように形成されている。なお、壁材12fの先端部とは、先端面12f1に加えて、突部12f2、および後述する凹部12f3などが含まれ、図15において、一点鎖線の楕円で示す領域を指している。
凹部12f3の具体的な形状は、図15に示すように、先端面12f1の内周縁から壁材12fの奥側に伸びる第二斜面12f3aと、この第二斜面12f3aの端部に接しつつ壁材12fの内周表面に接続する載置面12f3bとの二面を備えて形成されている。言い換えると、先端面12f1と壁材12fの内周表面とが接する角部を削り取るようにして第二斜面12f3aと載置面12f3bとを形成している。
図19は、突部の変形例を示す底面図である。この例では、矩形の枠状に形成される先端面12f1の全外周を覆うように突部12f2が形成されている。このような配置であっても構わない。
図20と図21は、離散的に形成した円柱形状で形成した突部12f5を示している。この変形例でも、蓋部材29を突起12c1の上に当接させたとき、蓋部材29の側面が円柱状とした突部12f5の側面に突き当たることで上述したような位置決めの作用を発揮する。また、凹部12f3が形成されているので、蓋部材29を載置したときに余分な接着剤12gが流れ出るのは、ほぼ壁材12fの内側となる。むろん、図15や図18に示す堤防状の突部12f2であれば、僅かなりにも外側に流れ出ようとしても、堤防形状が行く手を阻み、外側に流れ出させないのに対し、離散的な突部12f5の場合はそこまでの効果は望めない。それでも、凹部12f3によって殆どの接着剤12が内側に流れ出るので、外側に漏れ出た接着剤12gはほぼ無視できるといえる。そして、円柱状の突部12f5の方が形成しやすい条件であれば、堤防状でない突部12f5であっても同様の効果を享受できる。
下側ケース部材12は、貫通孔12aやケース部材連通路12bを形成した底壁12dよりも上方側に、上側ケース部材11と合体したときに所定の収容空間を形成する。底壁12dからは上方に向けて断面矩形形状となる内側リブ12eが突出して形成されており、貫通孔12aやケース部材連通路12bはこの内側リブ12eよりも内側に形成されている。そして、内側リブ12eの先端上には回路基板26が載置され、その上にシール部材25と流路部材24とが載置されている。内側リブ12eの先端は回路基板26と密接できる平面を特定している。この意味で先端ではあるが平面部を形成しており、この平面部上で回路基板を載置する。
非常に細い溝状とすることで多量の気体が急速に内外に通じるものではないが、微少量の気体は内外に通じる。本発明ではこの程度の気体の移動を許容した封止状態を得ている。これは上述したコンプライアンス部材40が変位する時に生じる微少な圧力変化を外部に伝達して開放するために使われる。
図10は、ワイプ過程を模式的に示す断面図である。
上述したように、ノズルプレート33は蓋部材29の開口29a内で蓋部材29の表面よりも奥まった位置に保持されている。
図11は、ノズルプレートと蓋部材を模式的に示す断面図であり、図12は、充填材の量が異なる状態を模式的に示す断面図である。
充填材が充填される空間は、ノズルプレート33の側面とヘッドチップ30の下面とコンプライアンス部材40の側面と蓋部材29の下面のごく一部および側面とによって囲まれる部分である。充填材の量が多いとあふれ出てしまって充填剤がインクを捕捉する原因にもなる。一方、充填材の量が少なくても必要な部位に浸透せず、凹部を形成してしまって凹部がインクを捕捉する結果になりかねない。また、この充填材の量が少ないとノズルプレート33の側面が露出した状態となり、上述したようにノズルプレート33はシリコンで形成されていて静電気に対して弱いため、ノズルプレート33が静電破壊されるおそれがある。このため、充填材は所定量よりも少なめに充填しつつ、図11に示すように、ノズルプレート33と蓋部材29の下面の表面は撥水面となり、ノズルプレート33と蓋部材29の側面の表面は下面の表面に対して相対的に親水面となるように表面と側面の両方、あるいは少なくとも一方にコーティング処理を施しておく。すると、少なめの充填材を前記空間に充填し始めた時、まだ量が十分でないときからノズルプレート33と蓋部材29の側面の親水面に対して充填材は染み広がり、側面上を側面全体を覆うように這い上がることになる。いわゆる表面張力の原理で染み広がる。充填材が少ない時からこの染み広がりは開始する。
なお、この充填材としては、例えばエポキシや接着剤などが適用できるがこれらに限定されない。
ノズルプレート33は帯板状に長い形状となっており、上述した隙間は長辺と短辺のそれぞれ二辺に沿って生じる。ノズル33aは長辺方向に沿って形成されており、液体噴射ヘッドは長辺と直交方向である。ワイパー50は相対的に長辺と直交する方向に移動するので、インクは長辺の隙間に入り込みやすい。この意味で液体噴射ヘッドの移動方向との交差方向において上述した充填剤にて表面の段差を滑らかにしておくと効果的である。
・前記実施例の中で開示した相互に置換可能な部材および構成等を適宜その組み合わせを変更して適用すること
・前記実施例の中で開示されていないが、公知技術であって前記実施例の中で開示した部材および構成等と相互に置換可能な部材および構成等を適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
・前記実施例の中で開示されていないが、公知技術等に基づいて当業者が前記実施例の中で開示した部材および構成等の代用として想定し得る部材および構成等と適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
は本発明の一実施例として開示されるものである。
Claims (16)
- インクを上流側から下流側に連通させる連通路を有し、樹脂成形されたケース部材と、
弾性を有し、ヘッドチップが固定された蓋部材と、
を備え、
前記ケース部材には、複数の突起が形成された壁材が、前記ケース部材と一体成形で設けられ、
前記複数の突起は、互いに離間し、前記蓋部材と接合され、
前記ヘッドチップは、前記壁材で形成される空間内で前記連通路と連通していることを特徴とする液体噴射ヘッド。 - インクを上流側から下流側に連通させる連通路を有し、樹脂成形されたケース部材と、
ステンレス製であり、ヘッドチップが固定された蓋部材と、
を備え、
前記ケース部材には、複数の突起が形成された壁材が、前記ケース部材と一体成形で設けられ、
前記複数の突起は、互いに離間し、前記蓋部材と接合され、
前記ヘッドチップは、前記壁材で形成される空間内で前記連通路と連通していることを特徴とする液体噴射ヘッド。 - 前記壁材は、前記空間を形成する断面が概略四角形状となる筒状に形成され、
前記突起は、少なくとも前記壁材の四隅に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体噴射ヘッド。 - 前記複数の突起の先端で平面を特定しており、この平面が前記ヘッドチップにおけるノズル面と平行となっていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の液体噴射ヘッド。
- 前記突起の先端は、平面であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の液体噴射ヘッド。
- 前記突起の先端は、円錐形状であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の液体噴射ヘッド。
- 前記壁材の先端部には、前記複数の突起が形成される先端面とともに、この先端面よりも前記空間を基準として外周側に形成されて前記壁材の突出方向に向けて突出する突部が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の液体噴射ヘッド。
- 前記突部は、前記蓋部材の表面より突出しない高さとなるように形成されていることを特徴とする請求項7に記載の液体噴射ヘッド。
- 前記突部は、前記蓋部材を所定位置に装着する状態で同蓋部材の側面が当接可能であることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の液体噴射ヘッド。
- 前記突部は、先端側から前記先端面へと接続する第一斜面を有することを特徴とする請求項7〜請求項9のいずれかに記載の液体噴射ヘッド。
- 前記突部は、前記先端面の外周の一部に形成されていることを特徴とする請求項7〜請求項10のいずれかに記載の液体噴射ヘッド。
- 前記壁材の先端部には、前記先端面よりも内周側に、前記壁材の突出方向を基準として奥側に下がるように形成される環状の凹部を形成されていることを特徴とする請求項7〜請求項11のいずれかに記載の液体噴射ヘッド。
- 前記凹部は、前記先端面の内周縁から前記壁材の奥側に伸びる第二斜面と、この第二斜面の端部に接しつつ前記壁材の内周表面に接続する載置面との二面を備えて形成されていることを特徴とする請求項12に記載の液体噴射ヘッド。
- 液体噴射ヘッドと印刷媒体を相対的に移動させて印刷を行う液体噴射装置であって、
前記液体噴射ヘッドは、
インクを上流側から下流側に連通させる連通路を有し、樹脂成形されたケース部材と、
弾性を有し、ヘッドチップが固定された蓋部材と、
を備え、
前記ケース部材には、複数の突起が形成された壁材が、前記ケース部材と一体成形で設けられ、
前記複数の突起は、互いに離間し、前記蓋部材と接合され、
前記ヘッドチップは、前記壁材で形成される空間内で前記連通路と連通していることを特徴とする液体噴射装置。 - 液体噴射ヘッドと印刷媒体を相対的に移動させて印刷を行う液体噴射装置であって、
前記液体噴射ヘッドは、
インクを上流側から下流側に連通させる連通路を有し、樹脂成形されたケース部材と、
ステンレス製であり、ヘッドチップが固定された蓋部材と、
を備え、
前記ケース部材には、複数の突起が形成された壁材が、前記ケース部材と一体成形で設けられ、
前記複数の突起は、互いに離間し、前記蓋部材と接合され、
前記ヘッドチップは、前記壁材で形成される空間内で前記連通路と連通していることを特徴とする液体噴射装置。 - 前記壁材の先端部には、前記複数の突起が形成される先端面とともに、この先端面よりも前記空間を基準として外周側に形成されて前記壁材の突出方向に向けて突出する突部が形成されていることを特徴とする請求項14または請求項15に記載の液体噴射装置。
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