実施の形態
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図16、および図18は本発明によるキャリアテープ巻取収納装置の実施の形態を示す図である。
ここで図1はキャリアテープ巻取収納装置の正面図である。キャリアテープ巻取収納装置1は、複数の空リールR0を積載して収納する空リールストック部102と、空リールストック部102から供給された空リールR0を垂直に支持してキャリアテープを巻取る巻取手段としての巻取部103と、キャリアテープTを巻取部103に保持されたリールRまで予め規定された長さだけ送り込んでから切断するテープ送出切断部104と、シールテープを作成してキャリアテープの巻終わり部分に貼付するシールテープ作成貼付部105と、巻取りを完了したリールRを巻取部103から取り外して次の空リールR0を巻取部103に保持するまでの間に流れてくるキャリアテープを蓄積しておくテープストック部106と、巻取りを完了して巻取部103から取り外したリールRを積載して収納するストッカ7と、リールRを巻取部103からストッカ7まで搬送する搬送手段としての昇降自在の搬送ユニット8とを備えている。
ここでストッカ7は巻取部103の下方に配置され、搬送ユニット8は巻取部103とストッカ7との間を上下方向に昇降するようになっている。
次にキャリアテープ巻取収納装置1が取り扱うリールについて、図2(a)(b)(c)を用いて説明する。図2(a)はリールの上面図、図2(b)はリールの正面図、図2(c)はリールの背面図である。図2(a)(b)(c)に示すように、リールRは樹脂等を薄い円板状に成形した第1の側板Rs1と第2の側板Rs2とを有し、第1の側板Rs1とRs2は平行に配置され、両側板Rs1、Rs2間は中心付近において円柱状に成形した巻芯Rcにより接続されている。巻芯Rcは後述するキャリアテープTを巻回する部材であり、第1の側板Rs1および第2の側板Rs2は、巻芯Rcに巻回されたキャリアテープTをガイドして型崩れを防止するための部材である。
キャリアテープTの上面図を図3(a)に示す。キャリアテープTは、長手のテープからなり、長手方向に沿って等間隔に形成された複数の凹部Tcおよび複数の送り穴Thを有している。凹部Tcの上面は開口しており、下面は塞がっている。すなわち、図3(a)において、凹部Tcは紙面の手前から奥に向けてくぼんでいる。また、送り穴ThはキャリアテープTを紙面の手前から奥に向けて貫通して形成されている。
図示されないテーピング装置により、凹部Tcにチップ形電子部品Wが挿入される。チップ形電子部品Wを凹部Tcに挿入した様子を図3(b)の上面図に示す。その後、キャリアテープTと同様の形状を有する長尺のトップテープ(図示されない)をキャリアテープTに貼付して、凹部Tcの上面が塞がれる。この状態で、チップ形電子部品Wを保持したキャリアテープTは図2(a)に示すリールRの巻芯Rcに巻回される。この時、モーター等の回転によりリールRを回転させるために、リールRの中心位置にはモーター等で回転する回転軸を挿通させるための中心穴Ra(図2(b)(c))が形成されている。
以後、簡単のために、キャリアテープTをリールRの巻芯Rcに巻回することを、「キャリアテープTをリールRに巻取る」と記載する。なお、上記テーピング装置においては、外周に複数の歯形を有する円板状のプーリをその中心軸のまわりに回転させ、その歯形を送り穴Thに挿入してキャリアテープTを搬送する。
ここで、上述のように、リールRに巻取られたキャリアテープTの凹部Tcにはチップ形電子部品Wが保持されている。このチップ形電子部品Wを使用するたびにキャリアテープTの長さは短くなり、リールRに巻回されたキャリアテープTの量は減少する。このため、図2(b)に示すように、リールRに巻取られたキャリアテープの残量を目視により確認するための4個の穴Rh1、Rh2、Rh3、Rh4が、第1の側板Rs1に形成されている。同様に、図2(c)に示すように、4個の穴Rh5、Rh6、Rh7、Rh8が、第2の側板Rs2に形成されている。なお、これらの穴の形状は規格に基づいて形成されており、1種類に限定されるものではない。図2に示すリールRの穴の形状は、それらの規格の中の一例である。
次に、図18を用いて、巻取部103の構成について説明する。巻取部103は、図3(b)に示すようなチップ形電子部品Wを凹部Tcに収納したキャリアテープTを、図2(a)(b)(c)に示すリールRを垂直に保持した状態で巻取る機能を有する。
図18に示すように、巻取部103はベース103bと、図1におけるベース103bの手前側に垂直方向に配置され、平板状に形成されてリールRを垂直に位置決めする第1のガイド板103g1と、位置決めされたリールRを保持する断面が円板状の第1の保持部103h1と、第1の保持部103h1を駆動する第1のシリンダ103c1とを有する。
また、第1のガイド板103g1の下方には、互いに鈍角をなす3枚の細長い長方形の平板により形成されるリールストッパ103sが設けられ、リールストッパ103sの各平板の長手方向がベース103bに平行となり、かつ各平板の鈍角をなす3面が巻取部103の上方を向くようになっている。
また、図18において、第1の連結柱103j1および第2の連結柱103j2が螺子止めされている。図18に示すように、第1の連結柱103j1は第1のガイド板103g1とベース103bを連結している。また、第1のガイド板103g1のベース103b側には、第1のガイド板103g1と同様にリールRを垂直に位置決めする平板状の第2のガイド板103g2が配置されている。そして、第2の連結柱103j2が第1のガイド板103g1と第2のガイド板103g2を連結している。なお、第2のガイド板103g2の下部103d2は第1のガイド板103g1と平行になっており、上部103u2はベース103b側に傾斜している。
また、図1に示すように、第1のガイド板103g1の左側の縦の辺には、第1の連結柱103j1および第2の連結柱103j2と同様の機能を有する第3の連結柱103j3および第4の連結柱103j4が螺子止めされている。
第1の保持部103h1は第1のシリンダ103c1のロッド103r1に連結され、第1のシリンダ103c1の作用により、矢印S1およびS2方向に進退自在である。また、第1の保持部103h1のベース103b側には、第1の保持部103h1と同様の断面が円板状の第2の保持部103h2が、第1の保持部103h1に対向して配置されている。第2の保持部103h2には、その第1の保持部103h1と対向する側における円板の中心位置に、図2(b)(c)に示すリールRの中心穴Raに嵌合する固定突起103fが突出している。
また、当該中心位置のベース103b側には、図示されないシャフトがベース103bを貫通して延びている。そして、このシャフトは図示されないモーターの回転軸に接続され、第2の保持部103h2はモーターの作用により、図17においてその中心位置の周囲に矢印P方向に回転可能である。そして、第2の保持部103h2は図示されない駆動機構のロッド103r2に連結され、当該駆動機構の作用により、矢印U1およびU2方向に進退自在である。また、第1のガイド板103g1には第1の保持部103h1が通過可能な開口103g1hが形成されている。同様に、第2のガイド板103g2には第2の保持部103h2が通過可能な開口103g2hが形成されている。さらに、リールストッパ103sは、図示されない駆動機構のロッド103r3に連結され、当該駆動機構の作用により、矢印V1およびV2方向に進退自在となっている。
図1に示すようにストッカ7は、上述のように巻取部103の直下に配置されている。そして、ストッカ7の最下部には、リール受板7aが配置されている。リール受板7aの正面は開放されており、残り三方はそれぞれ左側面7s1、右側面7s2、背面7bによって囲まれている。また、リール受板7aの下方には、曲げ加工によりリール受板7aと一体に成形された垂直面7avが連なる。垂直面7avは、背面7bに固定されている。そして、リール受板7aは搬送ユニット8の昇降方向に対して、後述のように上向きに鋭角αをなして固定されている。
背面7bには垂直方向に2本の細長い開口7o1、7o2が形成されている。ストッカ7の最上部には、左側面7s1にリールセンサ光源7rsが配置され、リールセンサ光源7rsに対向する右側面7s2にリールセンサ検出部7rdが配置されている。リールセンサ光源7rsとリールセンサ検出部7rdの位置関係は、後述する図20(b)における載置センサ光源107psと載置センサ検出部107pdの位置関係、および上限センサ光源107usと上限センサ検出部107udとの位置関係と同一である。搬送ユニット8は、後述する駆動機構の作用により図1の矢印A1およびA2方向に昇降自在である。図1において、搬送ユニット8はストッカ7の最上部に位置しており、これが待機位置である。搬送ユニット8は、2個のガイド8a1、8a2を有している。
ストッカ7および搬送ユニット8の上面図、正面図、側面図を図4(a)(b)(c)に示す。また、搬送ユニット8の斜視図を図5に示す。図4(a)(b)(c)に示すように、搬送ユニット8は、ガイド8a1、8a2が開口7o1、7o2を貫通して、左側面7s1、右側面7s2、背面7bによって囲まれたストッカ7の内側と、背面7bの外側との両方に位置している。
なお、背面7bの外側は、図1に示す巻取部103のベース103bとストッカ7の背面7bとの間にある空間となっているが、図4(a)(b)(c)においては、簡単のため、上記ベース103bは省略している。また、図4(c)の側面図は、図1における右側面7s2を省略した透視図としてある。ここで、以下に引用する側面図は、特に断り書きのない場合には、図1における右側面7s2を省略した透視図である。
また、ストッカ7の最下部には、リール受板7aが配置されている。リール受板7aは、図4(b)(c)に示すように、その下方に曲げ加工によりリール受板7aと一体に成形された垂直面7avを有し、垂直面7avが背面7bに固定されている。これにより、リール受板7aは、図4(c)に示すように、搬送ユニット8の昇降方向である矢印A1、A2に対して上向きに鋭角αをなして配置されている。また、ストッカ7の背面7bの外側には、搬送ユニット8の駆動機構としてのシリンダ9が長手方向を垂直にして取付けられている。
シリンダ9は、後述するシリンダ9の駆動作用により矢印A1、A2方向に昇降自在のテーブル9tを備える。なお、図4(b)に示すように、上述のリールセンサ光源7rsとリールセンサ検出部7rdにより、リールセンサ7rが構成されている。テーブル9tは、後述のように搬送ユニット8と接続され、これにより、テーブル9tがシリンダ9の作用により駆動されて、矢印A1、A2方向に昇降すると、搬送ユニット8は矢印A1、A2方向に昇降する。
次に、図5を用いて、搬送ユニット8について詳細に説明する。図5に示すように、搬送ユニット8は2個の縦に長い長方形状のガイド8a1、8a2を有している。そして、ガイド8a1、8a2はそれぞれの上部に傾斜面8a1s、8a2sを有し、該傾斜面が傾斜する方向の反対側にリール搬送バー8rt1、8rt2が接続されている。
リール搬送バー8rt1、8rt2は互いに略平行で、それらの間を略直角につなぐ固定バー8fと一体に成形されている。すなわち、リール搬送バー8rt1、固定バー8f、リール搬送バー8rt2はコの字形状に成形されている。そして、ガイド8a1、8a2の傾斜面8a1s、8a2sは同一方向に傾斜し、その方向は上記コの字の外側である。
また、リール搬送バー8rt1、8rt2のガイド8a1、8a2に近い側には、リール保持板8h1、8h2が接続されている。リール保持板8h1、8h2はガイド8a1、8a2と同様に上部に傾斜面8h1s、8h2sを有している。リール保持板8h1、8h2の傾斜面8h1s、8h2sは互いに逆方向に傾斜し、かつ傾斜面の先端辺が互いに離間する方向に、すなわち上記コの字の外側に向けて傾斜している。ガイド8a1、8a2およびリール保持板8h1、8h2により、保持手段が構成されている。
また、図4(a)(b)に示すように、リール受板7aの4つの辺のうち、搬送ユニット8の昇降経路に近い側に位置する辺、すなわち背面7bに接する辺には、両端の隅部に切欠き7ac1、7ac2が形成されている。この切欠きは、搬送ユニット8のガイド8a1、8a2およびリール保持板8h1、8h2が上下方向に通過することができる大きさを有している。
図1において、搬送ユニット8を矢印A1、A2方向に昇降させる機構について、図6を用いて説明する。図6は、図4(c)のY方向矢視図である。ただし、簡単のため、シリンダ9の上端近傍および下端近傍のみを記載している。図6において、シリンダ9は長手方向両端にエア供給排出口9io1、9io2を備えている。また、長手方向に沿ってシリンダ9の内部をレール9rが伸びている。
そして、エア供給排出口9io1、9io2の一方からシリンダ9に供給されたエアが他方から排出されることにより発生するエア推進力の作用により、レール9r上を矢印A1、A2方向に昇降自在のテーブル9tがレール9r上に配置されている。また、テーブル9tは、2本のねじ8fs1、8fs2によって搬送ユニット8の固定バー8fに接続されている。このため、テーブル9tの昇降によって、搬送ユニット8が昇降する。
次に、シリンダ9がレール9rを昇降させる作用について説明する。エア供給排出口9io1、9io2には、それぞれ図示されないエアチューブの一端が接続されている。そして、それぞれのエアチューブの他端は図示されないエア発生排出部に接続されている。エア発生排出部は圧縮エアをエアチューブに向けて噴出する機能と、エアチューブから到来した圧縮エアを排気する機能を、例えば切替弁によって選択することができる。
図6において、搬送ユニット8はエア供給排出口9io1近傍の待機位置P1にある。この状態から、シリンダ9の上端に位置するエア供給排出口9io1に接続されたエア発生排出部が圧縮エアをエアチューブに向けて噴出し、シリンダ9の下端に位置するエア供給排出口9io2に接続されたエア発生排出部がエアチューブから到来した圧縮エアを排気する。
このときエア供給排出口9io1からシリンダ9内に圧縮エアが供給され、それがシリンダ9内を上方から下方に向けて流れ、エア供給排出口9io2から排気される。その作用により、テーブル9tは矢印A1方向に下降する。これに伴い搬送ユニット8もまた下降して、エア供給排出口9io2近傍の下端位置P2(図11参照)で停止する。その状態から、逆にシリンダ9の下端に位置するエア供給排出口9io2に接続されたエア発生排出部が圧縮エアをエアチューブに向けて噴出し、シリンダ9の上端に位置するエア供給排出口9io1に接続されたエア発生排出部がエアチューブから到来した圧縮エアを排気する。
この場合、エア供給排出口9io2からシリンダ9内に圧縮エアが供給され、それがシリンダ9内を下方から上方に向けて流れ、エア供給排出口9io1から排気される。その作用により、テーブル9tは矢印A2方向に上昇する。
これに伴い搬送ユニット8もまた上昇して、図6と同じエア供給排出口9io1近傍の待機位置で停止する。すなわち、図示されないエアチューブによりエア供給排出口9io1、9io2に接続された、図示されないエア発生排出部の一方が圧縮エアをエアチューブに向けて噴出し、他方がエアチューブから到来した圧縮エアを排気することで、搬送ユニット8は待機位置と下端位置の間を昇降する。その際、搬送ユニット8が途中で停止することはない。なお、エア供給排出口9io1、9io2には、それぞれシリンダ9に供給する圧縮エアの量を調整するための調整螺子9io1a、9io2aが設けられている。
次に以上のような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。まず、巻取部103の作用について、図21乃至図25を用いて説明する。図21は巻取部103の初期状態である。第1の保持部103h1、第2の保持部103h2、リールストッパ103sの位置は図18と同一である。
この状態から、図22に示すように、リールストッパ103sが図示されない駆動機構の作用により、矢印V1方向に進出する。そして、第1のガイド板103g1と第2のガイド板103g2の間に設けられた空間の直下位置で停止する。次に、図23において、図17に示す空リールストック部102に積載して収納されている空リールR0が、空リールストック部102に配置された図示されない斜面を滑落して、矢印D方向から落下する。これにより、空リールR0が巻取部103に供給される。
この場合、第1のガイド板103g1は略垂直に配置され、かつ第2のガイド板103g2の下部103d2は第1のガイド板103g1と平行すなわち略垂直に配置され、上部103u2はベース103b側に傾斜している。このため、矢印D方向から斜めに落下した空リールR0は、略垂直な第1のガイド板103g1と第2のガイド板103g2の傾斜した上部103u2にガイドされて、第1のガイド板103g1と第2のガイド板103g2の間に設けられた空間に入って、下端をリールストッパ103s上に載置した状態で安定して停止する。
この時、空リールR0は図23において、第1のガイド板103g1側に第1の側板Rs1(図2(b))が対向する。次に、図24において、第1の保持部103h1が第1のシリンダ103c1の作用により、矢印S1方向に進出する。同時に、第2の保持部103h2が図示されない駆動機構の作用により、矢印U1方向に進出する。そして、第1のガイド板103g1の開口103g1hを通過した第1の保持部103h1と、第2のガイド板103g2の開口103g2hを通過した第2の保持部103h2によって、空リールR0は挟持されて固定される。この時、第2の保持部103h2に形成された固定突起103fが空リールR0の中心穴Raに嵌合する。
次に、図25に示すように、リールストッパ103sが図示されない駆動機構の作用により、矢印V2方向に退出して、図21に示す位置で停止する。この状態から、図示されないモーターの作用により、第2の保持部103h2が図1においてその中心位置の周囲に矢印P方向に回転する。これによって、図25に示す第1の保持部103h1と空リールR0も図1においてその中心位置の周囲に矢印P方向に回転する。次に、チップ形電子部品Wを収納したキャリアテープT(図3(b))を空リールR0に巻取り、図1に示すテープ送出切断部104の作用により、予め規定された長さのキャリアテープTを空リールR0まで送り込んでから切断する。その後、図1に示すシールテープ作成貼付部105の作用により、シールテープを作成してキャリアテープTの巻終わり部分に貼付する。これで、キャリアテープTを巻取ったリールRが完成する。
巻取部103においてキャリアテープTを巻取ったリールRが完成すると、次にこのリールRを巻取部103からはずして、ストッカ107に収納する。この時のストッカ107の作用について、図7乃至図15を用いて説明する。
図7(a)は、巻取部103がキャリアテープT(図3(b))のリールRへの巻取りを完了した状態で、ストッカ7のリール受板7a上にリールRが載置されておらず、搬送ユニット8が待機位置P1にある状態を示す正面図である。また、図7(b)は図7(a)の斜視図である。なお、図7(a)においては、巻取部103のベース103bの記載は省略してある。この状態から、第1の保持部103h1が第1のシリンダ103c1の作用により、図18における矢印S2方向に退出する。同時に、図18に示す第2の保持部103h2が図示されない駆動機構の作用により、矢印U2方向に退出する。そして、リールRの中心穴Raに嵌合していた固定突起103fも、第2の保持板103h2とともに上記矢印U2方向に退出して、中心穴Raから抜ける。
これにより、リールRは何物にも支持されない状態となり、重力の作用によって図7(a)(b)における矢印Bの方向に落下する。落下したリールRは、直下に位置する搬送ユニット8のリール保持板8h1、8h2(図5)およびガイド8a1、8a2に当接して保持される。
この状態を、上面図、正面図、側面図として図8(a)(b)(c)に示す。また、図8(b)における領域N1の拡大斜視図を図9に示す。
ここで、図8(a)(b)(c)および以降の同一箇所の上面図、正面図、側面図においては、簡単のため、巻取部103のベース103bは記載を省略してある。また、図9においては、やはり簡単のため、搬送ユニット8とリールRのみを記載してある。図8(a)(b)(c)および図9に示すように、落下したリールRは、周縁の下部の離間する2箇所がリール保持板8h1、8h2上部の傾斜面8h1s、8h2sに当接して、個別に保持されている。同時に、第1の側板Rs1の下部の離間する2箇所がガイド8a1、8a2に形成された傾斜面8a1s、8a2sに当接して個別に保持されている。
このように傾斜面8a1s、8a2sに保持されることにより、図8(c)に示すように、リールRはストッカ7の最下部に配置されるリール受板7aの方向に傾斜している。搬送ユニット8が巻取部103からリールRを受取ると、シリンダ9の作用により、搬送ユニット8がリールRを保持したままで図1に示す矢印A1方向に下降する。その様子を図10(a)(b)に正面図および側面図として示す。下降した搬送ユニット8は、リール受板7aを上から下へと通過する。
この時の状態を、上面図、正面図、側面図として図11(a)(b)(c)に示す。また、図11(b)における領域N2の拡大斜視図を図12に示す。
上述のように、リール受板7aの4つの辺のうち、背面7bに接する辺には、両端の隅部に切欠き7ac1、7ac2が形成されている。この切欠きは、搬送ユニット8のガイド8a1、8a2およびリール保持板8h1、8h2が上下方向に通過することができる大きさを有している。このため、図11(a)(b)(c)および図12に示すように、リールRを保持した搬送ユニット8がリール受板7aを上から下に通過してリール受板7aの直下の下端位置(P2)に達すると、搬送ユニット8のガイド8a1、8a2およびリール保持板8h1、8h2は切欠き7ac1、7ac2を通過する。他方、ガイド8a1、8a2およびリール保持板8h1、8h2によって保持されていたリールRは、切欠き7ac1、7ac2の間にあるリール受板7aと背面7bの境界線7ax付近に当接する。そして、当接したリールRはガイド8a1、8a2およびリール保持板8h1、8h2から離間して、そのままリール受板7a上に残る。すなわち、リールRを保持した搬送ユニット8がリール受板7aを上から下に通過すると、搬送ユニット8だけが下に通過して、リールRは搬送ユニット8から離間してリール受板7a上に残る。
この時、リールRは搬送ユニット8に保持されて境界線7ax付近に当接するが、重力の作用によりリール受板7a上に落下して境界線7ax付近に当接することはない。従って、後述する比較例に比べて当接時の衝撃はほとんどなく、リールRが当接後に上方に跳ね上がることがない。よって、リールRが跳ね上がった後で姿勢が変わった状態で再度リール受板7a上に載置されて、ストッカ7の背面7bに寄りかかるなどの倒れにくい姿勢を保持することもない。
ところでリール受板7a上に既にリールRが載置されている場合、次のリールRがその上に当接しても、上述の理由により当接時の衝撃はほとんどないので、既に載置されていたリールRの第2の側板Rs2(図2(c))が傷付くことはない。また、リール受板7a上に既にリールRが載置されており、かつそのリールRの穴Rh5、Rh6、Rh7、Rh8(図2(c))のいずれかが当接位置に位置している場合でも、上述の理由により、当接時の衝撃はほとんどない。このため、リール受板7a上に既に載置されているリールRの穴Rh5、Rh6、Rh7、Rh8のいずれかに後から当接するリールRの下端が嵌りこみ、そのまま略垂直に立った姿勢となることはない。
さらに、上述のように、リールRはリール受板7aの方向に傾斜した姿勢で搬送ユニット8に保持されるので、リール受板7a上に残ったリールRは、重力の作用によって、より確実に図11(c)および図12における矢印C方向に倒れる。
このため、本実施の形態によれば、後述する比較例で述べる押出板103p(図17)は不要となる。また、リール受板7a上に残ったリールRが倒れて、既にリール受板7a上に載置されているリールR上に載置される際には、先にリール受板7a上に載置されているリールRの第2の側板Rs2の上に、リール受板7a上に残ったリールRの第1の側板Rs1が斜めに倒れて当接する。このため、当接時に両方のリールRには衝撃がほとんど発生せず、この場合もリールが傷付くことがない。
次にリール受板7aを上から下に通過した搬送ユニット8は、下端位置において停止する。この様子を、上面図、正面図、側面図として図13(a)(b)(c)に示す。リールRは上述のように、図11(c)及び図12における矢印C方向に確実に倒れて、リール受板7a上に第2の側板Rs2を上に向けて載置されている。次に、この下端位置で停止した搬送ユニット8は、リールRを保持しない状態で図1に示す矢印A2方向に上昇する。この時も、ガイド8a1、8a2およびリール保持板8h1、8h2はリール受板7aに形成された切欠き7ac1、7ac2を通過するので、搬送ユニット8はリール受板7aおよびリール受板7a上に載置されたリールRに当接することなく下から上に通過する。そのため、搬送ユニット8の上昇時にもリールRが傷付くことがない。
次に搬送ユニット8は、上面図、正面図、側面図として図14(a)(b)(c)に示すように、待機位置に復帰して停止する。そして、搬送ユニット8はこの位置で待機し、その間に図1に示す巻取部103には、空リールストック部102から次の空リールR0が供給されて保持され、図3(b)に示すキャリアテープTがリールRに巻取られる。そして、上述の手順により、搬送ユニット8が巻取部103からキャリアテープTの巻取りを完了したリールRを受取って保持する。以下同様に、これを繰り返す。
この繰り返しの結果、図1においてリール受板7a上にリールRが1個載置されるたびに、載置された最上のリールRの位置は概ねリールRの1枚分の厚さに相当する距離だけ上昇する。このため、リール受板7a上に載置されたリールRが予め規定された数量に到達した時点でキャリアテープ巻取収納装置1の動作を停止して、作業者に通知する必要がある。その手順について、以下に説明する。
予め規定された数量のリールRがリール受板7a上に載置された様子を、側面図として図15(a)に示す。また、斜視図を図15(b)に示す。
図15(a)において、リール受板17a上に載置されたリールRのうち最上のリールRは、リールセンサ光源7rsの開口部7rsoの位置と重なっている。これに対して、リール受板7a上に載置されたリールRが予め規定された枚数未満の場合を示す図8(c)、図10(b)、図11(c)、図13(c)、図14(c)等においては、リールセンサ光源7rsの開口部7rsoをさえぎる物はない。すなわち、リールRがリールセンサ光源7rsの開口部7rsoをさえぎった時に、図4(b)に示すリールセンサ7rがそれを検出する。
すなわち、リールセンサ7rはリール受板7a上に載置されたリールRが予め規定された数量に到達したこと、すなわちストッカ7に収納されたリールRが予め規定された数量に到達したことを検出する。この状態になると、キャリアテープ巻取収納装置1(図1)は動作を停止するとともに、ブザーを鳴動したり、ランプを点灯させたりして、作業者に通知する。
作業者は、次にキャリアテープ巻取収納装置1のストッカ7内からリールRを搬出する。これによって、リール受板7a上にはリールRが載置されていない状態となる。そして、キャリアテープ巻取収納装置1の再立上げを行う。再立上げの方法は、例えば押しボタンスイッチ(図示されない)の押下による。
再立上げによって、図1に示す巻取部103においてキャリアテープT(図3(b))を巻き取ったリールR(図2(a)(b)(c))が、上述の手順によってリール受板7a上に載置される。
以上のように本実施の形態によれば、キャリアテープTを巻き取ったリールRを傷付けることなく安全にリール受板上に載置することができる。
比較例
次に比較例としてのキャリアテープ巻取収納装置101について述べる。キャリアテープ巻取収納装置101のストッカ107は、図17において巻取部103の直下に配置されている。ストッカ107の最下部にはモーター107mが配置され、モータ107mの駆動により矢印A1およびA2方向に昇降されるリール受板107aが設けられている。リール受板107aは、後述のように、その昇降経路に対して上向きに鋭角をなして形成されている。リール受板107aの正面は開放されており、残り三方はそれぞれ左側面107s1、右側面107s2、背面107bによって囲まれている。背面107bには垂直方向に2本の細長い開口107o1、107o2が形成されている。ストッカ107の最上部には、左側面107s1に載置センサ光源107psが配置され、載置センサ光源107psに対向する右側面107s2に載置センサ検出部107pdが配置されている。さらに、左側面107s1において、載置センサ光源107psのやや下方となる位置に上限センサ検出部107udが配置され、上限センサ検出部107udに対向する右側面107s2に上限センサ光源107usが配置されている。また、ストッカ107の最下部には、左側面107s1に満載センサ107fが配置されている。
比較例としてのストッカ107の詳細を、上面図、正面図、側面図として図19(a)(b)(c)に示す。ここに、リール受板107aはその上限位置にある状態を記してある。また、図19(c)の側面図は、図17における右側面107s2を省略した透視図としてある。ここで、以下に引用する側面図は、特に断り書きのない場合には、図17における右側面107s2を省略した透視図である。また、図19(a)における領域Eの拡大図を図20(a)に、図19(b)における領域Fの拡大図を図20(b)に、図19(c)における領域GのJ方向矢視拡大図を図20(c)に示す。さらに、図19(c)における領域Gの拡大図を図20(d)に示す。
図19(a)(c)および図20(a)(c)に示すように、背面107bの上端近傍には円形の回転自在のローラー107rが配置されている。ローラー107rの周囲は滑らかに形成され、そこには、図19(c)および図20(c)に示すように、チェーン107cが掛けられている。そして、図19(c)に示すように、チェーン107cは背面107bの下端近傍に配置されたモーター107mの回転軸に嵌合する歯車107gの周囲に掛けられている。チェーン107cのピッチと歯車107gのピッチは一致しており、チェーン107cは歯車107gに嵌合する。このため、モーター107mが双方向に回転することにより、チェーン107cは歯車107gとローラー107rの間で上下に移動する。
このチェーン107cの移動により、後述のようにリール受板107aが図19(c)に示す矢印A1、A2方向に昇降する。なお、リール受板107aは、前記チェーンの移動方向すなわち昇降方向である矢印A1、A2に対して上向きに鋭角αをなして配置されている。また、図19(b)(c)および図20(b)(d)に示すように、リール受板107aの下面のうち左側面107s1に近い一辺には、左側面107s1および右側面107s2に略平行な平面を有する検出板107dが、当該下面から垂直に下方に向けて突出している。
ここで、比較例としてのリール受板107aを昇降させる機構について説明する。図19(b)(c)および図20(b)(d)に示すように、リール受板107aの下方には、曲げ加工によりリール受板107aと一体に成形された垂直面107avが連なる。図20(a)(d)に示すように、垂直面107avは、背面107b側において、長方形状の搬送固定面107tfに固定されている。また、搬送固定面107tfの左右両端は略直角に曲がって、それぞれ第1搬送面107t1、第2搬送面107t2を形成している。
第1搬送面107t1および第2搬送面107t2は、図20(a)(c)に示すように、それぞれ開口107o1と開口107o2を貫通して、背面107bの外側に突出している。なお、背面107bの外側は、図17に示す巻取部103のベース103bとストッカ107の背面107bとの間にある空間となっているが、図19(a)(b)(c)および以降の同一箇所の上面図、正面図、側面図においては、簡単のため、上記ベース103bは省略している。
図20(a)に示すように、背面107bの外側において、第1搬送面107t1と第2搬送面107t2の間にチェーン107cが位置する。ここに、簡単のため、図20(a)におけるチェーン107cは、水平方向の断面のみを示している。そして、第1搬送面107t1に接続されたコの字形の接続体107jがチェーン107cに接続されることで、リール受板107aとチェーン107cが一体となっている。ここに、図20(c)に示すように、接続体107jは螺子107s1および107s2によって第1搬送面107t1に接続され、螺子107s3および107s4によってチェーン107cに接続される。
また、図20(c)において、第1搬送面107t1の上端近傍には第1の車輪107w1が、また下端近傍には第2の車輪107w2が取り付けられている。同様に、第2搬送面107t2の上端近傍には第3の車輪107w3が、また下端近傍には第4の車輪107w4が取り付けられている。
図20(d)には、これらの4個の車輪のうち、第2搬送面107t2に取り付けられた第3の車輪107w3および第4の車輪107w4が示されている。第3の車輪107w3および第4の車輪107w4はいずれも円柱状に形成され、中心側の固定部107w3fおよび107w4fはいずれも第2搬送面107t2に固定されている。そして、外周側の回転部107w3rおよび107w4rはそれぞれ固定部107w3fおよび107w4fの周囲に回転自在である。これらの回転部107w3rおよび107w4rは、背面107bの外側面に当接している。第1の車輪107w1および第2の車輪107w2の構造も同様である。
上述のように第1搬送面107t1に接続されたコの字形の接続体107jがチェーン107cに接続されている。また、第1搬送面107t1と一体に成形されている搬送固定面107tfがリール受板107aと一体に成形されている垂直面107avに固定されている。このため、図19(c)に示すモーター107mの回転により、チェーン107cが上下に移動すると、第1の車輪107w1、第2の車輪107w2、第3の車輪107w3、第4の車輪107w4は背面107bの外側面上に当接したまま同時に回転しながら、リール受板107aを円滑に昇降させる。
次に、図20(b)(d)を用いて、リール受板107aの上限位置近傍のセンサの構成および作用について説明する。図20(b)において、左側板107s1上に配置された載置センサ光源107psと右側板107s2に配置された載置センサ検出部107pdとにより載置センサ107pが構成されている。ここに、載置センサ光源107psと載置センサ検出部107pdは対向位置に配置され、載置センサ光源107psが発出した光を載置センサ検出部107pdが検出する。両者の中間に物体があると、その物体によって光がさえぎられるので、載置センサ検出部107pdは光を検出しない。このことにより、両者の中間に物体があることを検出する。同様に、右側板107s2に配置された上限センサ光源107usと左側板107s1上に配置された上限センサ検出部107udとにより、上限センサ107uが構成されている。
上限センサ光源107usと上限センサ検出部107udの機能は、それぞれ載置センサ光源107psと載置センサ検出部107pdと同一であり、上限センサ光源107usと上限センサ検出部107udの中間に物体があることを検出する。
なお、載置センサ107pと上限センサ107uにおいて、光源と検出部の配置が左右逆になっている。これは、これら2つのセンサ107p、107uの配置位置が非常に近接しているので、両センサ107p、107uにおいて光源と検出部の配置を左右同一にすると、載置センサ検出部107pdが上限センサ光源107usから発出した光を誤検出したり、逆に上限センサ検出部107udが載置センサ光源107psから発出した光を誤検出したりするおそれがあるためである。
次に図20(b)における載置センサ107pおよび上限センサ107uとリール受板107aの位置関係を、図20(d)を用いて説明する。図20(d)においてリール受板107aは上限位置にあり、左側面107s1に配置された上限センサ検出部107udの開口部107iの位置と重なっている。
開口部107iは、右側面107s2(図20(b))に配置された上限センサ光源107us(図20(b))の開口部(図示されない)と同一形状であり、かつ対向位置にある。このため、上限センサ光源107us(図20(b))の開口部(図示されない)から発出された光はリール受板107aによってさえぎられ、上限センサ検出部107udの開口部107iに到達しない。これにより、上限センサ107u(図20(b))はリール受板107aが上限位置にあることを検出する。
また、図20(d)において、左側面107s1には上限センサ検出部107udの直上位置に載置センサ光源107psが配置されている。そして、リール受板107a上にリールR(図2(a)(b)(c))が載置されていないので、載置センサ光源107psの開口部107oをさえぎる物体は存在しない。開口部107oは、右側面107s2(図20(b))に配置された載置センサ検出部107pd(図20(b))の開口部(図示されない)と同一形状であり、かつ対向位置にある。このため、載置センサ光源107psの開口部107oから発出された光はさえぎられることなく、載置センサ検出部107pd(図20(b))の開口部(図示されない)に到達する。これにより、載置センサ107p(図20(b))はリール受板107a上にリールR(図2(a)(b)(c))が載置されていないことを検出する。
次に比較例の作用について述べる。図26(a)は、巻取部103がキャリアテープT(図3(b))のリールRへの巻取りを完了した状態で、ストッカ107のリール受板107aが上限位置にあり、リール受板107a上にリールRが載置されていない状態を示す正面図である。また、図26(b)は図26(a)の領域Kの拡大斜視図である。ここで、図26(a)のX方向矢視図は、図25において空リールR0がキャリアテープTの巻取りを完了したリールRになったものである。
なお、図26(a)においては、巻取部103のベース103bは記載を省略してある。この状態から、第1の保持部103h1が第1のシリンダ103c1の作用により、図18に示す矢印S2方向に退出する。同時に、図18に示す第2の保持部103h2が図示されない駆動機構の作用により、矢印U2方向に退出する。そして、リールRの中心穴Raに嵌合していた固定突起103fも、第2の保持板103h2とともに上記矢印U2方向に退出して、中心穴Raから抜ける。これにより、リールRは何物にも支持されない状態となり、重力の作用によって図26(a)(b)に示す矢印Bの方向に落下する。落下したリールRは、直下に位置するリール受板107aに直立状態で当接する。この状態を、上面図、正面図、側面図として図27(a)(b)(c)に示す。また、図27(c)における領域M1の拡大斜視図を図28に示す。なお、図28においては、簡単のため、巻取部103については、リールストッパ103sとその周辺以外の記載をすべて省略してある。
図26(b)および図27(c)に示すように、落下したリールRはリール受板107a上の背面107bに近いリール当接位置107apに当接する。そして、図27(c)および図28に示す矢印Cの方向に倒れて、リール受板107a上に載置される。
ここで、図26(b)においてリールRの直径をDとし、同じく図26(b)において第1のガイド板103g1の下辺103e1とリール当接位置107apとの高さの差をHとする。この時、D≧Hの場合には、矢印B方向に落下したリールRがリール当接位置107apに当接した際に、リールRの上端近傍が第1のガイド板103g1と第2のガイド板103g2との間に挿入された状態となる。その場合、図27(c)および図28において、リールRが矢印Cの方向に倒れることができなくなる。このため、図26(b)において、リールRの直径Dと、第1のガイド板103g1の下辺103e1とリール当接位置107apとの高さの差Hとの間に、D<Hという関係が成り立つようにHの長さを設定している。
また、図27(c)の状態から、リールRが矢印Cの方向に倒れる動作を補助するために、リールストッパ103sと押出板103pが図示されない駆動機構の作用により、図18に示す矢印V1方向に進出する。この時、押出板103pに押されてリールRが矢印Cの方向に倒れる。そして、リールストッパ103sと押出板103pは図25の位置で停止するので、ここから、次の空リールR0を、上述の手順により、図17に示す空リールストック部102から巻取部103に供給して保持する。そして、巻取部103はこの空リールR0に、図3(b)に示すキャリアテープTを巻取る。なお、巻取部103がキャリアテープTの巻取りを完了してから、次の空リールR0を巻取部103に保持するまでの間も、キャリアテープTは巻取部103に向けて送り出されている。このため、図17に示すテープストック部106の作用により、キャリアテープ巻取りを完了したリールRを巻取部103から取り外して次の空リールR0を巻取部103に保持するまでの間に流れてくるキャリアテープを蓄積しておく。
図27(c)および図28において、リールRが矢印Cの方向に倒れると、リールRはリール受板107a上に載置される。この状態を、上面図、正面図、側面図として図29(a)(b)(c)に示す。上述のように、図23において巻取部103に供給された空リールR0は、第1のガイド板103g1側に第1の側板Rs1(図2(b))が対向する。このため、図28において、リール受板107a側に第1の側板Rs1が位置している。
図27(c)および図28において、リールRが矢印C方向に倒れると、第2の側板Rs2(図2(c))を上に向けてリール受板107a上に載置される。また、図29(c)における領域M2の拡大図を図30に示す。図30において、図20(d)と同様にリール受板107aは上限位置にある。そして、左側面107s1に配置された上限センサ検出部107udの開口部107iの位置と重なっている。これにより、図20(d)と同様に、上限センサ107u(図20(b))はリール受板107aが上限位置にあることを検出する。
また、図30において、リール受板107a上にリールRが載置されており、載置センサ光源107psの開口部107oの位置と重なっている。これにより、載置センサ光源107psの開口部107oから発出された光はさえぎられ、載置センサ検出部107pd(図20(b))の開口部(図示されない)に到達しない。これにより、載置センサ107p(図20(b))はリール受板107a上にリールRが載置されていることを検出する。
このように、上限センサ107u(図20(b))および載置センサ107p(図20(b))の両方が光をさえぎる物体を検出すると、図29(c)に示すモーター107mが回転して、歯車107gを介してチェーン107cが、リール受板107aを図19(c)に示す矢印A1方向に下降させるように移動する。そして、図30の状態から載置センサ107p(図20(b))が光をさえぎる物体を検出しなくなるまで、すなわち載置センサ光源107psの開口部107oがリールRの位置と重ならなくなるまでリール受板107aが下降する。そして、モーター107m(図29(c))は停止し、これにより、リール受板107aもまた停止する。この状態を、上面図、正面図、側面図として図31(a)(b)(c)に示す。また、図31(c)における領域M3の拡大図を図32に示す。図31(b)(c)には、これらの図の状態になるまでリール受板107aが下降したことを示す矢印A1を併記している。
図32においてリール受板107a上に最初に載置されたリールRは、左側面107s1に配置された上限センサ検出部107udの開口部107iの位置と重なっている。このため、上限センサ光源107us(図20(b))の開口部(図示されない)から発出された光はリールRによってさえぎられ、上限センサ検出部107udの開口部107iに到達しない。これにより、上限センサ107u(図20(b))はリールRが存在することを検出する。そして、リールR上には何も載置されていないので、載置センサ光源107psの開口部107oをさえぎる物体は存在しない。このため、載置センサ光源107psの開口部107oから発出された光はさえぎられることなく、載置センサ検出部107pd(図20(b))の開口部(図示されない)に到達する。このとき、載置センサ107p(図20(b))はリールR上に何も載置されていないことを検出する。
リール受板107aはこの位置で待機し、その間に図17に示す巻取部103には、空リールストック部102から次の空リールR0が供給されて保持され、図3(b)に示すキャリアテープTがリールRに巻取られる。そして、キャリアテープTの巻取りを完了したリールRが、上述の手順により図32に示すリールRの上に載置されて開口部107oの位置と重なる。そして、開口部107oが新たに載置されたリールRの位置と重ならなくなるまでリール受板107aが下降して停止する。以下同様にこれを繰り返す。
この繰り返しの結果、図17においてリール受板107a上にリールRが1個載置されるたびに、リール受板107aは概ねリールRの1枚分の厚さに相当する距離だけ下降する。このため、リール受板107a上に載置されたリールRが予め規定された数量に到達した時点でキャリアテープ巻取収納装置101の動作を停止して、作業者に通知する必要がある。その手順について、以下に説明する。予め規定された数量のリールRがリール受板107a上に載置された様子を、上面図、正面図、側面図として図33(a)(b)(c)に示す。また、斜視図を図34に示す。
図33(a)(b)(c)および図34において、リール受板107aは下限位置にあり、後述のように、満載センサ107fによってこの状態が検出される。また、リール受板107a上に載置されたリールRのうち最上のリールRは、図30のリールRと同様に、載置センサ光源107psの開口部107oの位置と重なっている。ここで、図33(c)の領域Qの拡大図を、図35(b)に示す。
図35(b)に対して図35(a)は、あと1枚のリールRがリール受板107a上に載置されて、図33(c)に示すモーター107mの作用によってリール受板107aが下降すると下限位置に到達する状態を示す。すなわち、図35(a)の状態からリールRがリール受板107a上に載置されて、リール受板107aが図31に示す矢印A1の方向に下降すると、図35(b)の状態となる。
図35(a)において、満載センサ107fの検出窓107fwの前面は開放されている。この検出窓107fwの内部には、検出窓107fwの外部に向けて光を送出する光源(図示されない)と、光源から送出された光が検出窓107fwの外部に存在する物体に反射して検出窓107fwから入射したことを検出する検出器(図示されない)が配置されている。図35(a)においては、上述のように検出窓107fwの前面は開放されているので、検出器は光を検出することはない。これに対して、図35(b)においては、リール受板107aの下面に突出する検出板107dが検出窓107fwの前面を覆う。この時、上記光源から検出窓107fwを通って外部に出た光が、検出板107dにより反射して再び検出窓107fwを通って内部の検出器により検出される。すなわち、満載センサ107fは、図35(b)の状態になると、リール受板107aが下限位置にあることを検出する。
この場合、上述のように、図33(c)において、図30と同様に、載置センサ光源107psの開口部107oの位置と、リール受板107a上に載置されたリールRのうち最上のリールRの位置は一致している。このため、図20(b)における載置センサ107pは、リールRが載置されたことを検出する。すなわち、図35(b)のように、満載センサ107fによってリール受板107aが下限位置にあることを検出する。併せて図30のように、載置センサ107p(図20(b))によってリールRがリール受板107aに載置されたことを検出すると、ストッカ107に収納されたリールRが予め規定された数量に到達したことになる。
この状態になると、キャリアテープ巻取収納装置101(図17)は動作を停止するとともに、ブザーを鳴動したり、ランプを点灯させたりして、作業者に通知する。作業者は、当該のキャリアテープ巻取収納装置101のストッカ107内からリールRを搬出する。これによって、リール受板107a上にはリールRが載置されていない状態となる。そして、キャリアテープ巻取収納装置101の再立上げを行う。再立上げの方法は、例えば押しボタンスイッチ(図示されない)の押下による。
再立上げによって、リールRが載置されていないリール受板107aは、図36(a)(b)(c)に示すように、モーター107mの作用によって矢印A2方向に上昇する。そして、図19(a)(b)(c)と同じ上限位置に復帰して停止する。この状態から、図17に示す巻取部103においてキャリアテープT(図3(b))を巻取ったリールR(図2(a)(b)(c))が、上述の手順によってリール受板107a上に載置される。
ところで、このような比較例におけるキャリアテープ巻取収納装置101には、以下のような問題点がある。上述のように、図26(b)において、リールRが矢印B方向に落下してリール受板107a上に当接した後、図27(c)に示す矢印Cの方向に倒れることができるようにするため、図26(b)において、リールRの直径Dと、第1のガイド板103g1の下辺103e1とリール当接位置107apとの高さの差Hとの間に、D<Hという関係が成り立つようにHの長さを設定している。
ここに、リールRの直径Dは規格に基づいて定められており、最小で18cmである。すなわち、図26(b)において、リールRが巻取部103からリール受板107aまで落下する距離は、18cmより大きい。リール受板107a上に既にリールRが載置されている状態において、それらの最上位置にあるリールRの上に次のリールRが落下する場合に、次のリールRは18cm以上の距離を落下することになる。この時、落下したリールRの円弧状の下端が最上位置にあるリールRの上面、すなわち第2の側板Rs2(図2(c))に当接する。このため、落下時の加速度によって生じる衝撃が当接箇所の一点に集中して、第2の側板Rs2に傷を生じる場合がある。
この傷を防止するためには、リールRを落下させる際にリール受板107aの位置をもっと上方にすることで、落下距離を短くして上記当接時の衝撃を低減することが考えられる。しかし、そのようにすると、リールRの直径Dと、第1のガイド板103g1の下辺103e1とリール当接位置107apとの高さの差Hとの間に、D>Hという関係が成り立つことになる。その場合、上述のように、リールRがリール受板107a上に落下して、略垂直な姿勢を保ったままで、リールRの上端近傍が第1のガイド板103g1と第2のガイド板103g2との間に挿入された状態となる。
この場合、上述のように、その状態では、リールRが図27(c)に示す矢印Cの方向に倒れることができなくなる。そこで、リールRがリール受板107a上に落下した後で、図26(a)に示すモーター107mの作用により、リール受板107aを図17における矢印A1方向に下降させ、上記Dと上記Hの関係がD<Hとなる位置で停止させる。すると、リールRの上端近傍が第1のガイド板103g1と第2のガイド板103g2との間から抜け出して、巻取部103から下方へ離間し、図27(a)(b)(c)の状態となる。この状態で、リールRは上記矢印Cの方向に倒れることができる。ただし、この場合、図26(b)の状態においてリールRが巻取部103から落下してから、巻取部103から離間した位置、すなわち図27(c)の状態となるまでに時間を要する。この時間が経過するまでは、図17に示す空リールストック部102から巻取部103に次の空リールR0が供給されて保持され、キャリアテープT(図3(b))をリールRに巻取る作業を開始することができない。すなわち、処理速度が低下する。
また、図27(a)(b)(c)において、リールRが落下してリール受板107aに当接した時に、すぐにそのまま図27(c)の矢印C方向に倒れるのが正常であるが、そのようにならない場合がある。そのような場合について、図37(a)(b)を用いて説明する。
図37(a)(b)は、図27(c)の領域M1の拡大図であるが、図27(c)とは異なり、リールRが矢印C方向に倒れない場合の説明図である。図37(a)において、リール受板107aの上にはリールRは載置されていない。そこに、リールRが巻取部103(図26(a)(b))から落下して、当接位置107apにおいてリール受板107aに当接する。この時、当接時の衝撃のために、当接位置107apにおいてリールRが上方に跳ね上がってリール受板107aからわずかに離間することがあり、その後姿勢が変化して、リールRの上部が背面107b側に傾いて再びリール受板107a上に載置される(図37(b))。
この時、リールRがリール受板107a上で押出板103pと角度βをなして、押出板103pに寄りかかる姿勢で安定しており、図27(c)に示す矢印Cの方向に倒れることはない。
なお、図37(a)(b)においては、リール受板107aの上にはリールRが載置されていないとして説明したが、リール受板107aの上にリールRが載置され、その最上位置のリールRの上に次のリールRが落下した場合にも、同様の状態になることがある。この状態について、以下に説明する。
上述のように、リール受板107a上に載置されたリールRは、例えば図29(a)に示すように、第2の側板Rs2を上に向けている。すなわち、図2(c)に示す4個の穴Rh5、Rh6、Rh7、Rh8を上に向けている。
しかしながら、載置されたリールRを上から見たときに、これらの穴Rh5、Rh6、Rh7、Rh8の位置はリールRごとに異なっている。すなわち、リール受板107a上に既にリールRが載置されている状態において、それらの最上位置にあるリールRの上に次のリールRが落下する場合に、落下位置には最上位置にあるリールRの上記穴Rh5、Rh6、Rh7、Rh8以外の箇所が位置しているか、または上記穴Rh5、Rh6、Rh7、Rh8のいずれかが位置しているかについては、完全にランダムである。
このうち、最上位置のリールRの上記穴Rh5、Rh6、Rh7、Rh8以外の箇所が落下位置に位置している場合に、図37(a)(b)と同様の状態になり得る。そして、最上位置のリールRの上記穴Rh5、Rh6、Rh7、Rh8のいずれかが落下位置に位置している場合には、落下時の衝撃によって落下したリールRの下端が当該穴に嵌りこみ、そのまま略垂直に立った姿勢となることがある。その場合もまた、落下したリールRはその姿勢のままで安定し、図27(c)に示す矢印Cの方向に倒れることはない。
以上のような、リール受板107a上に落下したリールRが、図27(c)に示す矢印Cの方向に倒れない姿勢で安定した時に、矢印C方向に強制的に倒すために、押出板103pが配置されている(図17参照)。すなわち、巻取部103において、図22のように空リールR0の落下に備えてリールストッパ103sが矢印V1方向に進出する時に、リールストッパ103sと一体化された押出板103pもまた矢印V1方向に進出する。これにより、図37(b)のように押出板103pに寄りかかった姿勢で安定していたリールR0が、図27(c)の矢印C方向に倒される。
同様に、上述のようにリール受板107aの最上位置のリールRの上記穴Rh5、Rh6、Rh7、Rh8のいずれかに、落下したリールRの下端が嵌りこんで、そのまま略垂直に立った姿勢となって安定した場合にも、図22における矢印V1方向に進出する押出板103pにより、略垂直に立った姿勢となっていたリールRが図27(c)の矢印C方向に倒される。このように、リール受板107a上で図27(c)の矢印C方向に倒れない姿勢となったリールRを、押出板103pの作用によって強制的に倒している。
ところで、リールRの重量は、図3に示すキャリアテープTの材質および凹部Tcに収納されたチップ形電子部品Wの重量によって、様々な値をとる。また、図37(a)の当接位置108apにおいて当接するリールRの下端あるいはリール受板107aの表面には、微妙な凹凸がある。このため、落下するリールRの重量によって、また落下するリールRの下端のどの箇所がリール受板107a上のどの箇所に当接するかによって、図37(a)の状態からリールRが跳ね上がる時の角度、方向、高さは様々である。
従って、図37(b)においてリールRと押出板103pのなす角βもまた、様々である。そして、βがある程度より大きくなると、押出板103pによりリールRを矢印C(図27(c))方向に倒すことができなくなる。その場合、図30のようにリールRがリール受板107a上に載置されないので、図20(b)に示す載置センサ107pがリールRを検出することができない。
このため、リール受板107aが図31(b)(c)に示す矢印A1方向に下降することがない。そして、その状態のままで図26(b)に示す巻取部103が次の空リールR0(図25)を垂直に保持して、キャリアテープT(図3(b))を巻取った後、図37(b)の状態を保ったリール受板107a上に次のリールRとして落下させる。
このような状況が続くと、リール受板107aが停止したままで、その上に図37(b)の姿勢のリールRが増加し続ける。これを防止するには、リールRが図37(b)の状態にあることを検出するセンサを追加する必要があるが、上述のように、リールRと押出板103pのなす角βが様々であるため、センサによる検出は極めて困難である。
また、図17に示す比較例としてのキャリアテープ巻取収納装置101は、ストッカ107の最上部に、図20(b)に示す載置センサ107pおよび上限センサ107uを有し、最下部に図35(a)(b)に示す満載センサ107fを有する。このうち、満載センサ107fは、上述のように図35(a)(b)に示す検出窓107fwの内部に光源(図示されない)と、検出器(図示されない)が配置されている。これは反射形センサと呼ばれるもので、安価である。ただし、光源から出た光を検出対象物に反射させるため、図35(a)(b)に示すリール受板107aのような、検出窓107fwに平行方向の長さが極めて短い検出対象物の場合は、検出精度が低くなる。
このため、検出窓107fwに平行方向にある程度の長さを有する検出板107dをリール受板107aの下方に突出させることが必要になる。また、図20(b)に示す載置センサ107pおよび上限センサ107uについては、図30および図32に示すように、リール受板107a上に載置されたリールRを検出する必要がある。
リールRは図2(a)(b)(c)に示すように、外周が円形であり、この形状の検査対象物の場合には、満載センサ107fのような反射形センサは使用することができない。従って、図20(b)に示す載置センサ107pおよび上限センサ107uのように、光源と検出部を対向させるセンサが使用されている。これは対向形センサと呼ばれ、価格は反射形センサの約6倍と、高価である。キャリアテープ巻取収納装置101が有する3箇所のセンサのうち、2箇所が高価な対向形センサであるため、全体としてコストが高くなる。
また、図19(c)に示す矢印A1、A2方向にリール受板107aを昇降させるための駆動機構も部品数が多く、高価である。具体的には、駆動機構の部品としては、図19(c)に示すモーター107m、歯車107g、チェーン107c、ローラー107r、および図20(c)に示す搬送固定面107tfおよび第1搬送面107t1、第2搬送面107t2、接続体107j、第1の車輪107w1、第2の車輪107w2、第3の車輪107w3、第4の車輪107w4等があり、リール受板107aの昇降に関連する箇所の構成要素すなわち部材が非常に多い。しかも、部材相互の組立箇所が多く、製造に時間を要する。
また、図19(c)に示すチェーン108cを歯車107gおよびローラー107rの周囲に掛ける際、図示されない調整機構を用いて、まずモーター107mの位置を上に移動させ、チェーン107cを緩めた状態で歯車107gおよびローラー107rの周囲に掛け、その後、上記調整機構によりモーター107mの位置を下に移動させて、チェーン107cに十分な張力を付与して、確実に歯車107gに嵌合させている。このような調整作業にも時間を要する。すなわち、比較例におけるリール受板107aの昇降に関連する箇所は、部材数が多く、組立および調整に時間を要するため、コストが高くなる。
さらに、上記昇降の制御も複雑である。上述のように、リールRをリール受板107aに載置する時には、ストッカ107の最上部に配置された載置センサ107p、上限センサ107uおよび最下部に配置された満載センサ107fの検出情報を確認しながらモーター107mを駆動するが、この際リール受板107a上にリールRが1数載置されるたびに、リール受板107aを上限位置から下限位置に向けて、概ねリールRの1枚分の厚さに相当する距離だけ下降させては停止させている。そして、上述のように、ストッカ107にリールRが予め規定された数量だけ収納されて、作業者がストッカ107内からリールRを搬出した後の再立上げにおいては、リール受板107aを下限位置から上限位置まで一気に上昇させている。このような制御はソウトウェアにより行うが、載置センサ107p、上限センサ107uおよび満載センサ107fの検出情報を確認しながら、リールRがリール受板107aに載置されるたびにリール受板107aを小刻みに下降させては停止させている。さらにリール受板107a上に載置されたリールRが予め規定された数量に到達した時点を検出する際には、載置センサ107pと満載センサ107fの両方の検出情報を確認しなければならない。すなわち、ソフトウェアが複雑であり、その規模が大きくなる。これもまた、コストが高くなる要因となっている。
次に本発明によるキャリアテープ巻取収納装置1と、比較例によるキャリアテープ巻取収納装置101について、部材費、製造および調整時間、ソフトウェア規模を比較した結果を図16に示す。
図16においては、比較例の機構における各項目の値を1とした時の、本発明の機構における対応する項目の値を比で示している。
図16に示すように、第1の差異は、本発明のキャリアテープ巻取収納装置1の機構が比較例のキャリアテープ巻取収納装置の機構に比べて、部材の数量が大きく減少し、それに伴って部材費が大きく減少していることである。
比較例における部材は、上述のように、図19(c)に示すモーター107m、歯車107g、チェーン107c、ローラー107r、および図20(c)に示す搬送固定面107tfおよび第1搬送面107t1、第2搬送面107t2、接続体107j、第1の車輪107w1、第2の車輪107w2、第3の車輪107w3、第4の車輪107w4等である。
これに対して、本発明における部材は、図5における搬送ユニット8、すなわちガイド8a1sおよび8a2s、リール保持板8h1および8h2、リール搬送バー8rt1および8rt2、リール固定バー8f、そして図6におけるシリンダ9等である。明らかに本発明の機構における部材の方が少ない。さらに、比較例においては、高価な対向形センサを2個と安価な反射形センサを1個という合計3個のセンサを使用していたが、本発明においては、高価な対向形センサ1個となり、全体として部材費の減少に寄与している。そして部材費は、図16に示すように、比較例の機構に対して、本発明の機構は38%削減されている。
第2の差異は、本発明のキャリアテープ巻取収納装置の機構が比較例のキャリアテープ巻取収納装置の機構に比べて、製造および調整に要する時間が減少していることである。その第1の理由は、部材の数量が減少していることである。部材の数量が減少することにより、製造時間は減少する。第2の理由は、比較例の機構においては、図17に示すリール受板107aを昇降させるための駆動機構として、図19(c)に示すモーター107mを使用しているのに対して、本発明の機構においては、図1に示す搬送ユニット8を昇降させるための駆動機構として、図6に示すシリンダ9を使用していることである。
比較例の機構におけるモーター107mに関連する製造においては、上述のように図19(c)に示すチェーン108cを歯車107gおよびローラー107rの周囲に掛ける時に、モーター107mの位置を上下に移動させることで、チェーン107cを緩めた状態で歯車107gおよびローラー107rの周囲に掛けてから、チェーン107cに十分な張力を付与して、確実に歯車107gに嵌合させる必要がある。この調整には、かなりの時間を要する。
これに対して、本発明の機構におけるシリンダ9に関連する製造においては、図9に示すエア供給排出口9io1、9io2からシリンダ9内に供給する圧縮エアの量を調整する。その方法は、まずエア供給排出口9io1、9io2に備えられた調整螺子9io1a、9io2aを回転させて上記圧縮エアの量を設定し、次にエア供給排出口9io1、9io2によりシリンダ9に圧縮エアの供給および排出を行い、その時の待機位置と下端位置との間のテーブル9tの昇降時間をストップウォッチで計測して、予め規定された時間範囲内に入るようにするというものである。ただし、これは試行錯誤による調整ではなく、テーブル9tの昇降時間が上記時間範囲内に入るような調整螺子9io1a、9io2aの回転数が、過去の調整実績に基づいて、例えば「調整螺子を一杯に締め込んだ位置から2回転させる」のように決められている。よって、調整に要する時間は、上述の比較例の機構におけるモーター107mに関連する調整に比べて遥かに少ない。これら2つの理由により、図16に示すように、製造および調整時間は、比較例の機構に対して、本発明の機構は47%削減されている。これは、コストが47%削減されたことと等価である。
第3の差異は、本発明のキャリアテープ巻取収納装置の機構が比較例のキャリアテープ巻取収納装置の機構に比べて、ソフトウェアの規模が減少していることである。比較例の機構においては、図17に示すモーター107mを駆動してリール受板107aを昇降させる際に、図20(b)に示す載置センサ107p、上限センサ107uおよび図17に示す満載センサ107fの計3個のセンサの検出結果に基づいて、ソフトウェアが駆動の制御を行っている。その際、上述のように、受板107aを下降させる際には、リール受板107a上にリールRが1数載置されるたびに、リール受板107aを上限位置から下限位置に向けて、概ねリールRの1枚分の厚さに相当する距離だけ下降させては停止させている。さらに、リール受板107a上に載置されたリールRが予め規定された数量に到達した時点を検出する際に、載置センサ107pと満載センサ107fの両方の検出情報を確認している。また、ストッカ107にリールRが規定の数量だけ収納されて、作業者がストッカ107内からリールRを搬出した後の再立上げにおいては、モーター107mを駆動してリール受板107aを下限位置から上限位置まで一気に上昇させている。これらの制御を行うソフトウェアは複雑であり、その規模は大きい。
これに対して、本発明の機構においては、図6に示すシリンダ9を駆動して搬送ユニット8を昇降させる際に、搬送ユニット8を待機位置と下端位置との間で昇降させるだけであり、途中で停止させることがない。また、リール受板7a上に載置されたリールRが予め規定された数量に到達した時点を検出する際には、図4(b)に示すリールセンサ7rの検出情報のみを確認すればよい。そして、搬送ユニット8の昇降は、リールセンサ7rの検出情報とは無関係である。さらに、再立上げの際に搬送ユニット8は待機位置にあるため、これを昇降させる必要がない。これらの制御を行うソフトウェアは非常に単純であり、その規模は小さい。
このように、本発明の機構における搬送ユニット8の昇降に関連するソフトウェア規模は、比較例の機構におけるリール受板107aの昇降に関連するソフトウェア規模に比べて非常に小さくなる。図16に示すように、ソフトウェア規模は、比較例の機構に対して、本発明の機構は57%削減されている。これは、コストが57%削減されたことと等価である。
上記本実施の形態において、リールRは搬送ユニット8のガイドに形成された傾斜面に当接して、リール受板7aの方向に傾斜して保持されるとしたが、搬送ユニット8にリールRを保持する際に、ガイドに傾斜面を形成せずに、リールを略垂直に保持してもよい。