JP6195545B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、排気還流機構を備える内燃機関の制御装置に関し、特に燃焼室内の混合気の空燃比を理論空燃比近傍の空燃比及び理論空燃比よりリーン側のリーン空燃比に制御する制御装置に関する。
特許文献1には、空燃比を理論空燃比に制御するストイキ運転と、理論空燃比よりリーン側のリーン空燃比に制御するリーン運転とを行う内燃機関の制御方法が示されている。この制御方法によれば、ストイキ運転からリーン運転へ切り換えるときは、先ず吸入空気量の増量制御が開始され、その後実際の吸入空気量の増加が開始されたタイミングで点火時期が遅角側に変更され、次いで空燃比がリーン空燃比に変更されるとともに、点火時期が進角側に変更される。これにより、機関出力の変動及び窒素酸化物の発生を抑制しつつ、運転の切換を行うことが可能となる。
特許第3064782号公報
窒素酸化物の発生量を抑制するために排気還流機構を設けることは周知であるが、特許文献1には、排気還流を行うことを前提とし、排気還流率を考慮した空燃比切換制御は示されていない。
本発明はこの点に着目してなされたものであり、リーン運転とストイキ運転の切換を行う際に吸入空気量及び排気還流率を適切の制御し、機関出力の変動及び窒素酸化物の発生を抑制して円滑な切換を行うことができる制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため請求項1に記載の発明は、内燃機関(1)の制御装置であって、前記機関の吸入空気量を制御する吸入空気量制御弁(3)と、前記機関の排気を吸気系に還流する排気還流通路(20)、及び該排気還流通路に設けられ、排気還流量を制御する排気還流制御弁(21)を備える排気還流機構と、前記燃焼室内の混合気の火花点火を行う火花点火手段(7,8)とを備える内燃機関の制御装置において、前記機関の運転状態に応じて、前記燃焼室内の混合気の空燃比を理論空燃比近傍のリッチ空燃比(AFST)と、理論空燃比よりリーン側のリーン空燃比(AFLN)とに制御する空燃比制御手段と、前記空燃比を前記リッチ空燃比から前記リーン空燃比へまたはその逆に切り換えるときに空燃比移行制御を行う過渡制御手段とを備え、前記過渡制御手段は、前記機関の燃焼室内における燃焼ガスの層流燃焼速度(VLF)を算出する層流燃焼速度算出手段を有し、前記層流燃焼速度(VLF)がほぼ一定に保持されるように、前記吸入空気量制御弁及び前記排気還流制御弁の開度を制御することによって前記空燃比移行制御を実行し、前記空燃比移行制御では、前記空燃比が増加するほど前記排気還流制御弁(21)の開度を減少させるように制御すること特徴とする。
この構成によれば、機関の運転状態に応じて、空燃比をリッチ空燃比からリーン空燃比へまたはその逆に切り換えるときに空燃比移行制御が行われる。空燃比移行制御では、機関の燃焼室内における燃焼ガスの層流燃焼速度が算出され、その層流燃焼速度がほぼ一定に保持されるように、吸入空気量制御弁及び排気還流制御弁の開度が制御される。層流燃焼速度がほぼ一定に保持されるように、吸入空気量及び排気還流率を制御することにより、空燃比移行制御中における点火時期の補正を行うことなく、機関出力の変動及び窒素酸化物の発生を抑制して円滑な切換を行うことができる。また空燃比が増加するほど排気還流制御弁の開度を減少させるように制御される。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関の制御装置において、前記混合気の空燃比を検出する空燃比検出手段(17)と、前記火花点火手段による点火時期(IG)における筒内圧(PIG)を算出する筒内圧算出手段と、前記点火時期における筒内温度(TIG)を算出する筒内温度算出手段とを備え、前記層流燃焼速度算出手段は、前記空燃比移行制御開始時の初期空燃比(AFLN,AFST)、前記空燃比移行制御開始時の初期排気還流率(REGRLN,REGRST)、前記筒内圧、及び前記筒内温度に応じて前記空燃比移行制御開始時の層流燃焼速度(VLF0)を算出し、前記過渡制御手段は、前記空燃比移行制御終了時の終了空燃比(AFST,AFLN)及び前記層流燃焼速度(VLF0)に応じて、前記空燃比移行制御終了時の終了排気還流率(REGRST,REGRLN)を算出する終了排気還流率算出手段を有し、実排気還流率(REGR)が前記終了排気還流率(REGRST,REGRLN)と一致するように前記吸入空気量制御弁及び前記排気流制御弁の開度を制御することを特徴とする。
この構成によれば、空燃比移行制御開始時の初期空燃比、空燃比移行制御開始時の初期排気還流率、筒内圧、及び筒内温度に応じて空燃比移行制御開始時の層流燃焼速度が算出され、空燃比移行制御終了時の終了空燃比及び層流燃焼速度に応じて、空燃比移行制御終了時の終了排気還流率が算出され、実排気還流率が終了排気還流率と一致するように吸入空気量制御弁及び排気流制御弁の開度が制御される。この制御によって、排気還流率を適切に制御し、層流燃焼速度をほぼ一定に保持した状態で空燃比の切換を行うことが可能となる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の内燃機関の制御装置において、前記終了排気還流率算出手段は、前記層流燃焼速度(VLF0)の算出に適用した前記筒内圧(PIG)及び筒内温度(TIG)を用いて前記終了排気還流率(REGRST)を算出することを特徴とする。
この構成によれば、空燃比移行制御開始時の層流燃焼速度の算出に適用した筒内圧及び筒内温度を用いて終了排気還流率が算出されるので、筒内圧及び筒内温度を再度算出する必要が無くなり、制御装置の演算負荷を軽減することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の内燃機関の制御装置において、前記過渡制御手段は、前記初期空燃比(AFLNまたはAFST)と前記終了空燃比との間に1または2以上の中間空燃比(AFMD)を設定し、前記初期空燃比から前記中間空燃比を経由して前記終了空燃比(AFSTまたはAFLN)へ移行する制御を行うことを特徴とする。
この構成によれば、初期期空燃比と終了空燃比との間に1または2以上の中間空燃比が設定され、初期空燃比から中間空燃比を経由して終了空燃比へ移行する制御が行われる。例えば、初期期空燃比と終了空燃比との変化量が比較的大きい場合には、移行制御の途中における排気還流率及び空燃比が適切な値からずれる可能性があるが、中間空燃比を設定し、初期空燃比から中間空燃比を経由して終了空燃比へ移行する制御を行うことで、移行途中の層流燃焼速度、排気還流率、及び空燃比のずれを防止することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1から4の何れか1項に記載の内燃機関の制御装置において、燃料を微粒化して前記機関の吸気通路(2)内に噴射可能な燃料噴射弁(6)を備え、前記火花点火手段は、点火プラグ(8)と、該点火プラグに放電を発生させるための複数の点火コイル対(71,72)とを備え、前記点火プラグにおける放電の継続時間(TSKP)を変更可能なものであり、前記空燃比を前記リーン空燃比(AFLN)に制御するときは、前記リーン空燃比(AFLN)が増加するほど、点火時期(IG)を進角させるとともに前記放電継続時間(TSPK)を長く設定することを特徴とする。
この構成によれば、微粒化された燃料が吸気通路内に噴射されるので、比較的均質な混合気が吸気通路内において形成され、さらに燃焼室内に吸入されることによって、より均質度の高い混合気を形成することができる。また点火プラグにおける放電継続時間が変更可能であるため、点火時期及び放電継続時間を適切に設定することにより、すなわち、点火時期を比較的進角側に設定することによって、放電継続時間を長く設定することを可能とし、空燃比を「30」程度に設定しても確実に着火させることができる。また目標空燃比がリーン空燃比であるときは、リーン空燃比が増加するほど、点火時期を進角させるとともに放電継続時間を長く設定することによって、目標空燃比が変化しても確実に着火させることができる。
本発明の一実施形態にかかる内燃機関及びその制御装置の構成を示す図である。 吸気通路に設けられるタンブル流動制御弁(4)の配置を説明するための図である。 吸気弁の作動特性を説明するための図である。 1つの気筒に対応する点火回路ユニット(7)の構成を示す回路図である。 燃料噴射弁(6)によって噴射される燃料の噴射状態を説明するための図である。 空燃比(AF)と排気中のNOx濃度(CNOx)との関係を示す図である。 ガス燃比(GF)または空燃比(AF)と、層流燃焼速度(VLF)との関係を示す図である。 空燃比移行制御を説明するためのフローチャートである。 層流燃焼速度(VLF)算出用マップを示す図である(排気還流率=0)。 層流燃焼速度(VLF)算出用マップを示す図である(空燃比=理論空燃比)。 制御動作例を説明するための図である。
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる内燃機関(以下「エンジン」という)及びその制御装置の構成を示す図であり、例えば4気筒のエンジン1の吸気通路2の途中にはスロットル弁(吸入空気量制御弁)3が配置されている。スロットル弁3はアクチュエータ19によって駆動可能に構成されており、アクチュエータ19は電子制御ユニット(以下「ECU」という)5に接続されている。スロットル弁3の開度は、アクチュエータ19を介してECU5によって制御される。吸気通路2のスロットル弁3の下流側には、燃料噴射弁6が各気筒に対応して設けられており、その作動はECU5により制御される。
図2に示すように、吸気通路2の、吸気弁22の直ぐ上流側には、隔壁2aと、隔壁2aによって形成される一方の流路に配置されたタンブル流動制御弁4とが設けられており、タンブル流動制御弁4はアクチュエータ4aによって開閉駆動可能に構成されている。アクチュエータ4aはECU5に接続されており、その作動はECU5によって制御される。タンブル流動制御弁4によって、燃焼室1a内に混合気のタンブル流動が生成される。
エンジン1の各気筒には点火プラグ8が装着されており、点火プラグ8は点火回路ユニット7を介してECU5に接続されている。ECU5は、後述するように点火プラグ8における放電開始時期CAIG及び放電継続時間TSPKの制御を行う。なお、放電開始時期CAIGは、「点火時期IG」と表記する場合もある。
ECU5には、エンジン1の吸入空気流量GAIRを検出する吸入空気流量センサ11、吸気温TAを検出する吸気温センサ12、スロットル弁開度THを検出するスロットル弁開度センサ13、吸気圧PBAを検出する吸気圧センサ14、エンジン冷却水温TWを検出する冷却水温センサ15、及び図示しない他のセンサ(例えばエンジン1により駆動される車両のアクセルペダル操作量APを検出するアクセルセンサ、車速センサなど)が接続されており、これらのセンサの検出信号がECU5に供給される。
ECU5には、エンジン1のクランク軸(図示せず)の回転角度を検出するクランク角度位置センサ16が接続されており、クランク軸の回転角度に応じたパルス信号がECU5に供給される。クランク角度位置センサ16は、クランク角度位置を示す複数のパルス信号を出力するものであり、このパルス信号は、燃料噴射時期、点火時期(点火プラグ8の放電開始時期)等の各種タイミング制御、及びエンジン回転数NEの検出に使用される。エンジン1は、後述するように吸気弁作動位相を連続的に変更する機構を備えており、クランク角度位置センサ16より出力されるパルス信号に基づいて、吸気弁22を駆動するカム軸の実際の作動位相(吸気弁作動位相)CAINを検出することができる。本実施形態では、吸気弁作動位相CAINの増加は位相の進角に対応する。
排気通路9には排気浄化用のパラジウムを含む三元触媒10が設けられている。三元触媒10の上流側であって各気筒に連通する排気マニホールドの集合部より下流側には、比例型酸素濃度センサ17(以下「LAFセンサ17」という)が装着されており、このLAFセンサ17は排気中の酸素濃度(空燃比AF)にほぼ比例した検出信号を出力する。またLAFセンサ17の近傍には排気圧PEXを検出する排気圧センサ18が装着されている。これらのセンサ17,18の検出信号は、ECU5に供給される。
エンジン1は排気還流機構を備えており、この排気還流機構は、排気通路9と吸気通路2と接続する排気還流通路20と、排気還流通路20を通過する排気の流量を制御する排気還流制御弁(以下「EGR弁」という)21とを有する。EGR弁21の作動は、ECU5によって制御される。
エンジン1は、吸気弁22の作動位相を連続的に変更する弁作動特性可変機構41と、弁作動特性可変機構41を駆動するための油圧制御機構42とを備えている。油圧制御機構42の作動はECU5により制御される。
弁作動特性可変機構41によれば、吸気弁22は、図3に実線L1で示す作動特性を最遅角位相として、カムの作動位相(CAIN)の進角に伴って破線L2で示す最進角位相までの間の位相で駆動される。なお、排気弁は実線L3で示す一定の作動特性で駆動される。
ECU5は、各種センサからの入力信号波形を整形し、電圧レベルを所定レベルに修正し、アナログ信号値をデジタル信号値に変換する等の機能を有する入力回路、中央演算処理ユニット(CPU)、該CPUで実行される各種演算プログラム及び演算結果等を記憶する記憶回路、燃料噴射弁6、点火回路ユニット7、アクチュエータ4aなどに駆動信号を供給する出力回路等から構成される。
燃料噴射弁6による燃料噴射量は、吸入空気流量GAIRに応じて算出される基本燃料量を、LAFセンサ17により検出される空燃比AFに応じた空燃比補正係数KAFによって補正することによって制御される。空燃比補正係数KAFは、検出される空燃比AFが目標空燃比AFCMDと一致するように算出される。
ECU5は、アクセルペダル操作量APなどに応じてスロットル弁3の目標開度THCMDを算出し、検出されるスロットル弁開度THが目標開度THCMDと一致するようにアクチュエータ19の駆動制御を行う。
図4は、1つの気筒に対応する点火回路ユニット7の構成を示す回路図であり、点火回路ユニット7は、一次コイル71a及び二次コイル71bからなる第1コイル対71と、一次コイル72a及び二次コイル72bからなる第2コイル対72と、バッテリ30の出力電圧VBATを昇圧して昇圧電圧VUPを出力する昇圧回路73と、一次コイル71a,72aの通電制御を行うトランジスタQ1,Q2と、二次コイル71b,72bと点火プラグ8との間に接続されたダイオードD1,D2とを備えている。
トランジスタQ1,Q2のベースはECU5に接続されており、ECU5によってオンオフ制御(一次コイルの通電制御)が行われる。2つの一次コイルの通電期間の一部を重複させつつ交互に通電を行うことによって、点火プラグ8における放電の継続時間(放電継続時間)TSPKをエンジン1の運転状態に応じて変更することができる。また一次コイルの最初の通電終了時期が放電開始時期CAIGに相当し、放電開始時期CAIGもエンジン1の運転状態に応じて変更可能である。
燃料噴射弁6は、燃料を微粒化して噴射可能なものであり、SMD(Sauter Mean Diameter:ザウター平均直径)が35μm程度(燃圧350kPaで噴射し、噴射口からの50mm下におけるSMD)の特性を有する。図5(a)は、この燃料噴射弁6による燃料の噴射状態(噴射された燃料の拡散状態)を模式的に示し、図5(b)は比較のために示す通常の燃料噴射弁による燃料の噴射状態を示す。通常の燃料噴射弁では、円錐状に分布する燃料の周辺部の燃料濃度が高くなるのに対し、燃料噴射弁6では微粒化した燃料の到達距離が短くなり、かつ拡散領域内における濃度分布の均質度が高く(濃度差が少なく)なる。
燃料を微粒化して噴射可能な燃料噴射弁6を用いることによって、検出空燃比AFを目標空燃比AFCMDと一致させるために必要とされる量の燃料を燃焼室に供給し、しかも燃焼室内における空燃比分布がほぼ一様な(均質度の高い)均質混合気を形成することができる。
本実施形態では、暖機完了後の目標空燃比AFCMDは、エンジン1の運転状態(主として要求トルク及びエンジン回転数NE)に応じて設定される。通常は、目標空燃比AFCMDを例えば「24」から「35」程度の範囲(以下「超希薄空燃比範囲」という)に設定するリーン運転が行われ、例えばエンジン1の要求トルクが大きい高負荷運転状態などにおいては、目標空燃比AFCMDを理論空燃比(14.7)に設定するストイキ運転が行われる。
リーン運転時の最小空燃比AFL1(例えば「24」)は、エンジン1からのNOx排出量が許容上限値CNOxHL(例えば120ppm)以下となるように設定される。最大空燃比AFL2(例えば「35」)は、必要なエンジン出力を得るための限界値として設定される空燃比である。
図6は、空燃比AFと排気中のNOx濃度CNOxとの関係を示す図であり、空燃比AFが「16」以上の範囲では、空燃比AFが増加するほど(リーン化するほど)、NOx濃度CNOxが低下する。したがって、リーン運転中の最小空燃比AFL1は、許容上限値CNOxHLが低下するほど増加するように設定する必要がある。
点火プラグ8における放電開始時期CAIGは、超希薄空燃比範囲における目標空燃比AFCMDに対応して、上死点前50度から15度の範囲に設定され、放電継続時間TSPKは均質希薄混合気を確実に着火させるべく、1.8〜3msecに設定される。このように放電継続時間TSPKを設定したときの放電エネルギが150〜600mJとなるように昇圧電圧VUPが設定されている。従来の火花点火による希薄混合気燃焼は、点火プラグ近傍の空燃比が相対的に小さくなるように燃焼室内の流動を生成することによって実現される成層混合気燃焼であるのに対し、本実施形態の均質希薄混合気燃焼は、放電継続時間TSPKを比較的長く設定し、その放電継続時間TSPKを確保できるように放電開始時期CAIGは、成層混合気燃焼の点火時期(例えば8.0度)より進角側に設定されている。超希薄空燃比範囲では、目標空燃比AFCMDが増加するほど放電開始時期CAIGを進角させるとともに放電継続時間TSPKを長く設定する。
さらにエンジン1の幾何学的圧縮比(ピストンが下死点に位置するときの燃焼室容積と、上死点に位置するときの燃焼室容積との比)は、最低実効圧縮比が9.0程度となるように、通常の火花点火エンジンの幾何学的圧縮比より若干大きく設定されている。
またタンブル流動制御弁4の開度を変更することによって、流速5〜15m/sec程度(エンジン回転数NEが1500rpmであるとき流速)のタンブル流動を発生させるタンブル流動生成制御が行われる。
放電継続時間TSPKを比較的長く設定するとともに、燃焼室内にタンブル流動を生成することによって、希薄混合気燃焼において強力な初期火炎核を形成し、その火炎核を成長させることによって、圧縮上死点における未燃混合気の温度を1000度K以上の温度まで高めて、圧縮上死点後において燃焼を確実に完結させることが可能となる。
上述したようにリーン運転を行うときは、排気還流を行うことなくNOx排出量を許容上限値以下とすることができるので、排気還流通路20を介して還流される排気の割合を示す排気還流率REGRは「0」に設定される。一方、ストイキ運転を行うときは、NOx排出量を低減するために排気還流率REGRはエンジン運転状態に応じた値に設定され、還流される排気と空気とが混合された吸入ガスと燃料との混合気が燃焼室に供給される。
そこで、以下の説明では、空燃比AFの他に、ガス燃比GFというパラメータを導入する。ガス燃比GFは、下記式(1)で定義される。式(1)のMAIRは吸入空気量、MEGRは還流排気量、MFUELは燃料量(何れも単位時間(例えば1吸気行程)当たりに換算した質量で示される)である。式(1)は式(2)のように変形できるので、排気還流率REGRが「0」であるときは、ガス燃比GFは空燃比AFと等しくなる。
GF=(MAIR+MEGR)/MFUEL (1)
GF=MAIR/MFUEL+MEGR/MFUEL
=AF+MEGR/MFUEL (2)
図7は、燃焼室内の混合気が燃焼する際の燃焼ガスの層流燃焼速度VLFとガス燃比GFとの関係を示す(エンジン回転数NE及びエンジン出力が一定であるとき)。実線L11は排気還流率REGRが「0」である状態におけるガス燃比GF(=空燃比AF)と層流燃焼速度VLFとの関係を示し、破線L12が空燃比AFを理論空燃比AFST(=14.7)に固定し、排気還流率REGRを変化させたときのガス燃比GFと層流燃焼速度VLFとの関係を示す。空燃比AFが一定であるため、排気還流率REGRを増加させるほど、ガス燃比GFが増加する。図7から明らかなように、ガス燃比GF(空燃比AF)が増加するほど、層流燃焼速度VLFは低下する。
なお、層流燃焼速度VLFは、燃焼ガスの層流状態での燃焼速度であり、簡易的な算出手法は例えば特許4066866号公報に示されている。
本実施形態では、リーン運転からストイキ運転への切換またはその逆の切換を行う際に、層流燃焼速度VLFをほぼ一定に保持しつつ、空燃比を切り換える空燃比移行制御を行う。例えば図7においてリーン動作点PLN(AF≒29,REGR=0)からストイキ動作点PST(AF=14.7,REGR≒39%)への移行を、矢線(矢印を付した線)ARで示すように行うことによって、層流燃焼速度VLFを一定に保持しつつ、リーン運転から排気還流を伴うストイキ運転へ移行することができる。また、矢線ARの向きを逆にすれば、層流燃焼速度VLFを一定に保持しつつ、ストイキ動作点PSTからリーン動作点PLNへ移行することができる。以下の説明では、移行前の動作点を「初期動作点」といい、移行後の動作点を「目標動作点」といい、ガス量を示すパラメータは何れも単位時間当たりの質量で示す。
図8は、本実施形態における空燃比移行制御を説明するためのフローチャートである。
ステップS11では、吸気弁閉弁時期CAIVCにおける燃焼室内の吸入ガス量MGASを算出する。具体的には、吸気弁閉弁時期CAIVCにおける燃焼室容積(以下「圧縮開始容積」という)V0を燃焼室容積テーブルを検索することによって算出し、圧縮開始容積V0を下記式(3)に適用することによって、吸入ガス量MGASを算出する。
MGAS=P0×V0/(R×TAK) (3)
式(3)のP0は圧縮開始筒内圧であり、検出される吸気圧PBAと等しいと近似する。Rは気体定数、TAKは吸気温TAの絶対温度換算値である。燃焼室容積テーブルは、クランク角度に応じて燃焼室容積を算出するためのテーブルであり、エンジン1の仕様に応じて予め設定されている。
ステップS12では、空燃比及び排気還流率に応じて比熱比κが設定されている比熱比マップを、検出される空燃比AF及び排気還流率REGRに応じて検索し、吸入ガスの比熱比κを算出する。実際の排気還流率REGRは、例えば特許第5270008号公報に示される手法を用いて算出することができる。なお、初期動作点がリーン動作点PLNであるときは、排気還流率REGRは「0」である。
ステップS13では、圧縮開始筒内圧P0、圧縮開始容積V0、及び比熱比κを下記式(4)に適用して点火時期IGにおける筒内圧PIGを算出し、さらに筒内圧PIG及び吸入ガス量MGASを下記式(5)に適用して、点火時期IGにおける筒内温度TIGを算出する。
PIG=P0×(V0/VIG)κ (4)
TIG=PIG×VIG/(R×MGAS) (5)
ここでVIGは、点火時期IGにおける燃焼室容積であり、上記燃焼室容積テーブルを用いて算出される。
ステップS14では、初期動作点における層流燃焼速度(以下「初期層流燃焼速度」という)VLF0を算出する。具体的には、検出される空燃比AF、排気還流率REGR、筒内圧PIG、及び筒内温度TIGに応じて図9及び図10に示すように設定されるVLFマップを検索することにより、初期層流燃焼速度VLF0を算出する。
図9は、排気還流率REGRが「0」である状態に対応し、図9(a)は、筒内圧PIGが第1圧力値P1(例えば500kPa)である状態における筒内温度TIGと、層流燃焼速度VLFとの関係を示し、図9(b)は筒内圧PIGが第2圧力値P2(例えば1000kPa)である状態における筒内温度TIGと、層流燃焼速度VLFとの関係を示し、複数の曲線は当量比Φが「1.0」、「0.9」、…、「0.4」である状態に対応する。当量比Φは「1.0」が理論空燃比AFSTに相当し、空燃比AFの逆数に比例するパラメータである。すなわち、当量比Φ=0.4は、空燃比AF=36.75に対応し、Φ=0.5はAF=29.4に相当する。
図10は、空燃比AFが理論空燃比AFST(Φ=1.0)である状態に対応し、図10(a)は、筒内圧PIGが第1圧力値P1である状態における筒内温度TIGと、層流燃焼速度VLFとの関係を示し、図10(b)は筒内圧PIGが第2圧力値P2である状態における筒内温度TIGと、層流燃焼速度VLFとの関係を示し、複数の曲線は排気還流率REGRが0,10,…,50%である状態に対応する。
例えば初期動作点がリーン動作点PLNであり、筒内圧PIGが第1圧力値P1である場合には、筒内温度TIG及び空燃比AF(当量比Φ)に応じて、図9(a)に示すVLFマップの検索(及び補間演算)を行うことによって、初期層流燃焼速度VLF0を算出する。図9(a)には、筒内温度が温度TIG0で、当量比Φが0.5である場合の例が示されている。また初期動作点がストイキ動作点PSTであるときは、そのときの排気還流率REGR、筒内圧PIG、及び筒内温度TIGに応じて例えば図10(a)に示すVLFマップの検索(及び補間演算)を行うことによって、初期層流燃焼速度VLF0を算出する。
ステップS15では、リーン運転からストイキ運転への切換か否かを判別し、その答が肯定(YES)であるときは、初期層流燃焼速度VLF0に応じて、ストイキ動作点PST(AF=AFST)における排気還流率REGRであるストイキ運転排気還流率REGRSTを算出する(ステップS16)。ステップS14で算出された初期層流燃焼速度VLF0及びステップS14と同一の筒内温度TIGを、例えば筒内圧PIGが第1圧力値P1である図10(a)に示すマップに適用し、ストイキ運転排気還流率REGRSTを算出する。ストイキ運転排気還流率REGRSTは、例えば図10(a)における動作点PX0に対応する排気還流率(25%程度)として算出される。
ステップS17では、目標動作点における吸入ガス量であるストイキ運転ガス量MGASSTを以下のようにして算出する。エンジン1の要求出力TRQCMDに応じて燃料量MFUELが決定されるので、燃料量MFUELを下記式(6)に適用することによって、ストイキ運転空気量MAIRSTを算出し、算出されたストイキ運転空気量MAIRST及びストイキ運転排気還流率REGRSTを式(7)に適用することによって、ストイキ運転還流排気量MEGRSTを算出し、式(8)によって、ストイキ運転ガス量MGASSTを算出する。なお、式(7)における「REGRST」は、[%]ではなく「0」から「1」までの値をとる比率そのものである。
MAIRST=MFUEL×AFST (6)
MEGRST=REGRST×MAIRST/(1−REGRST) (7)
MGASST=MAIRST+MEGRST (8)
ステップS18では、吸入ガス量MGASとエンジン回転数NEとに応じて吸気圧PBAを算出するために予め設定されているPBAマップを、ストイキ運転ガス量MGASST及びエンジン回転数NEに応じて検索することにより、ストイキ運転吸気圧PBASTを算出する。
ステップS19では、吸気圧PBAとエンジン回転数NEとに応じてスロットル弁開度THを算出するために予め設定されているTHマップを、ストイキ運転吸気圧PBAST及びエンジン回転数NEに応じて検索し、ストイキ運転目標開度THCMDSTを算出する。
ステップS20では、排気還流率REGR及びEGR弁21の上流側と下流側との差圧DPに応じてEGR弁リフト量LFTを算出するためのLFTマップを、ストイキ運転排気還流率REGRST及び差圧DP(=排気圧PEX−吸気圧PBA)に応じて検索し、ストイキ運転リフト量指令値LFTCMDSTを算出する。
ステップS21では、スロットル弁の目標開度THCMDをストイキ運転目標開度THCMDSTに設定し、EGR弁リフト量指令値LFTCMDをストイキ運転リフト量指令値LFTCMDSTに設定する。このとき、目標開度THCMDを、現在値からストイキ運転目標開度THCMDSTに向かって徐々に変更し、EGR弁リフト量指令値LFTCMDを現在値(=0)からストイキ運転リフト量指令値LFTCMDSTへ向かって徐々に変更することが望ましい。
ステップS27では、スロットル弁開度TH及びEGR弁リフト量LFTがそれぞれストイキ運転目標開度THCMDST及びストイキ運転リフト量指令値LFTCMDSTと一致するように、スロットル弁3及びEGR弁21を駆動する。
ステップS15の答が否定(NO)であって、ストイキ運転からリーン運転への切換を行うときは、ステップS22に進み、リーン運転排気還流率REGRLNを「0」に設定するとともに、EGR弁リフト量指令値LFTCMDを「0」に設定する。
なお、EGR弁リフト量指令値LFTCMDは、現在値から「0」に向かって徐々に変更することが望ましい。
ステップS23では、目標動作点(空燃比=AFLN)における吸入ガス量であるリーン運転ガス量MGASLNを下記式(6a)〜(8a)を用いて算出する。リーン運転では排気還流を行わないため、リーン運転ガス量MGASLNはリーン運転空気量MAIRLNと等しくなる。
MAIRLN=MFUEL×AFLN (6a)
MEGRLN=0 (7a)
MGASLN=MAIRLN (8a)
ステップS24では、リーン運転ガス量MGASLN(=MAIRLN)及びエンジン回転数NEに応じてPBAマップを検索することにより、リーン運転吸気圧PBALNを算出し、ステップS25では、リーン運転吸気圧PBALN及びエンジン回転数NEに応じてTHマップを検索し、リーン運転目標開度THCMDLNを算出する。ステップS26では、目標開度THCMDをリーン運転目標開度THCMDLNに設定する。その後ステップS27に進む。
なお、目標開度THCMDは、現在値からリーン運転目標開度THCMDLNに向かって徐々に変更することが望ましい。
通常は、運転切換の前後で燃料量MFUELは同一であるため、リーン運転からストイキ運転への切換時は、スロットル弁開度THが減少方向に制御され、EGR弁リフト量LFTは増加方向に制御される。また逆にストイキ運転からリーン運転への切換時は、スロットル弁開度THが増加方向に制御され、EGR弁リフト量LFTは減少方向に制御される。
図8には示していないが、目標空燃比AFCMDは、リーン空燃比AFLNから理論空燃比AFSTに向かってまたはその逆に徐々に変更される。空燃比移行制御の実行時間が所定移行時間TTR(例えば2〜3秒程度)となるように各制御パラメータ(THCMD,LFTCMD,AFCMD)の変更速度が設定される。以上説明した制御によって、層流燃焼速度VLFをほぼ一定に保持しつつ吸入空気量を徐々に減少させるとともに排気還流率を徐々に増加させ、リーン運転からストイキ運転への移行を円滑に行うことができ、また層流燃焼速度VLFをほぼ一定に保持しつつ吸入空気量を徐々に増加させるとともに排気還流率を徐々に減少させ、ストイキ運転からリーン運転への移行を円滑に行うことができる。
なお空燃比移行制御中は、タンブル流動制御弁4の開度を流動強度が高くなるように設定することが望ましい。これにより、移行制御中の燃焼をより安定化することが可能となる。
図11は、リーン運転からストイキ運転への切換動作例を説明するための図である。図11(a)は、エンジン回転数NE及びエンジン出力(IMEP)を一定という条件の下で、上述したスロットル弁開度THとEGR弁リフト量LFTの協調制御を行うことによって、リーン動作点PLF(AF=28,REGR=0%)からストイキ動作点PST(AF=14.7,REGR=35%)への移行を行った場合における、空燃比AFと排気還流率REGRとの関係を示し、図11(b)〜(f)は、それぞれ、移行制御中のスロットル弁開度THと、排気還流率REGR、図示熱効率ηi、点火時期IG、燃焼角度期間MBF10-90、及び燃焼変動率COVとの関係を示す。
図11(b)によれば、スロットル弁開度THを約35度から約11度まで減少させたことが確認できる。また燃焼角度期間MBF10-90は、混合気の燃焼質量割合が10%から90%までのクランク角度期間であり、層流燃焼速度VLFと相関のあるパラメータである。すなわち、図11(e)により、リーン動作点PLFからストイキ動作点PSTへの切換時において、層流燃焼速度VLFがほぼ一定に保持されていることが確認でき、点火時期IGもほぼ一定に制御した状態(図11(d))で、燃焼変動率COVを低い値に保持し(図11(f))、かつ図示熱効率ηiも比較的良好な値に保持されること(図11(c))が確認できる。また上述したように、リーン運転では空燃比AFが超希薄空燃比範囲に設定されるのでNOx排出量が低く抑えられ、空燃比AFを理論空燃比AFSTに移行する移行制御において排気還流率REGRが徐々に増加するように制御されるので、NOx排出量の増加を抑制することができる。
以上のように本実施形態では、エンジン運転状態に応じて、空燃比AFを理論空燃比AFSTからリーン空燃比AFLNへまたはその逆に切り換えるときに空燃比移行制御が行われる。空燃比移行制御では、燃焼室内における燃焼ガスの層流燃焼速度VLFが算出され、層流燃焼速度VLFがほぼ一定に保持されるように、スロットル弁開度TH及びEGR弁リフト量LFTが制御される。層流燃焼速度VLFがほぼ一定に保持されるように、スロットル弁開度TH及びEGR弁リフト量LFTを制御することにより、空燃比移行制御中における点火時期IGの補正を行うことなく、エンジン出力の変動及びNOxの排出量を抑制して円滑な切換を行うことができる。
また空燃比移行制御開始時に検出される初期空燃比、空燃比移行制御開始時の初期排気還流率、点火時期IGにおける筒内圧PIG及び筒内温度TIGに応じて空燃比移行制御開始時の初期層流燃焼速度VLF0が算出され、リーン運転からストイキ運転への切換時は、理論空燃比AFST及び初期層流燃焼速度VLF0に応じて、ストイキ運転排気還流率REGRSTが算出され、実排気還流率REGRがストイキ運転排気還流率REGRSTと一致するようにスロットル弁開度TH及びEGR弁リフト量LFTが制御される。また、ストイキ運転からリーン運転への切換時は、リーン運転排気還流率REGRLNは「0」に設定され、層流燃焼速度VLFを初期層流燃焼速度VLF0に維持しつつ、排気還流率REGRがストイキ運転排気還流率REGRSTから「0」に向かって漸減するようにスロットル弁開度TH及びEGR弁リフト量LFTが制御される。この制御によって、吸入空気量及び排気還流率REGRを適切に制御し、層流燃焼速度VLFをほぼ一定に保持した状態で空燃比の切換を行うことが可能となる。
また空燃比移行制御開始時の初期層流燃焼速度VLF0の算出に適用した筒内圧PIG及び筒内温度TIGを用いて終了排気還流率であるストイキ運転排気還流率REGRSTが算出されるので、筒内圧PIG及び筒内温度TIを再度算出する必要が無くなり、制御装置の演算負荷を軽減することができる。
また燃料噴射弁6によって微粒化された燃料が吸気通路2内に噴射されるので、比較的均質な混合気が吸気通路2内において形成され、さらに燃焼室内に吸入されることによって、より均質度の高い混合気を形成することができる。また点火プラグ8における放電継続時間TSPKが変更可能であるため、点火時期IG(放電開始時期CAIG)及び放電継続時間TSPKを適切に設定することにより、すなわち、点火時期IGを比較的進角側に設定することによって、放電継続時間TSPKを長く設定することを可能とし、空燃比を「30」程度に設定しても確実に着火させることができる。また目標空燃比AFCMDがリーン空燃比AFLNであるときは、リーン空燃比AFLNが増加するほど、点火時期IGを進角させるとともに放電継続時間TSPKを長く設定することによって、目標空燃比AFCMDが変化しても確実に着火させることができる。
本実施形態では、スロットル弁3が吸入空気量制御弁に相当し、点火回路ユニット7及び点火プラグ8が火花点火手段を構成し、酸素濃度センサ17が空燃比検出手段に相当し、ECU5が,筒内圧算出手段、筒内温度算出手段、層流燃焼速度算出手段、空燃比制御手段、過渡制御手段、及び終了排気還流率算出手段を構成する。
[変形例]
上述した実施形態では、空燃比が超希薄空燃比範囲に設定されるリーン運転と、ストイキ運転との切換を行うようにしたが、このように移行前後の空燃比変化量が大きいときは、リーン空燃比AFSTと、理論空燃比AFSTとの間に1または2以上の中間空燃比AFMD(例えば、空燃比「20」と「24」)と、中間空燃比AFMDを経由して、運転切換を行うようにしてもよい。空燃比変化量が比較的大きい場合は、移行制御の途中における排気還流率REGR及び空燃比AFが適切な値(例えば図11(a)に示すような値)からずれる可能性があるが、中間空燃比を設定し、初期空燃比から中間空燃比を経由して終了空燃比へ移行する制御を行うことで、移行途中の層流燃焼速度VLF、排気還流率REGR及び空燃比AFのずれを防止することができる。
この変形例においては、図10に示す、理論空燃比に対応する層流燃焼速度マップと同様に設定された、中間空燃比AFMDに対応する層流燃焼速度マップを用いることによって、初期層流燃焼速度VLF0及び中間空燃比AFMDに対応する中間排気還流率REGRMDを算出する。
なお本発明は上述した実施形態に限るものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上述した実施形態では、リーン運転における空燃比AFは、超希薄空燃比範囲(例えば24〜35)に設定するようにしたが、本発明はリーン運転における空燃比AFがより理論空燃比に近い値(例えば16〜22)に設定する制御装置にも適用可能である。また、上述した実施形態では、空燃比を理論空燃比に設定するとストイキ運転と、理論空燃比よりリーン側の空燃比に設定するリーン運転との切換時における空燃比移行制御を示したが、本発明は、空燃比を理論空燃比近傍で理論空燃比より若干リッチ側の空燃比に設定するリッチ運転と、リーン運転との切換時にも適用可能である。
また上述した実施形態では、図8のステップS16におけるストイキ運転排気還流率REGRSTの算出には、初期層流燃焼速度VLF0の算出に適用した筒内圧PIG及び筒内温度TIGをそのまま適用したが、運転状態の変化に対応した補正を行うようにしてもよい。例えば還流される排気の温度TEGRを検出し、排気温度TEGRが高くなるほど、筒内圧PIGが高くなるように補正することにより、補正筒内圧PIGCを算出し、補正筒内圧PIGCを式(5)に適用することによって、補正筒内温度TIGCを算出する。そして、補正筒内圧PIGC及び補正筒内温度TIGCを用いてストイキ運転排気還流率REGRSTを算出する。また、還流排気温度TEGRが高くなるほど還流排気体積が膨張し、同じEGR弁リフト量LFTに対応する還流排気量(質量)MEGRが減少するので、ストイキ運転リフト量指令値LFTCMDSTは、還流排気温度TEGRが高くなるほど増加するように補正することが望ましい。
また上述した実施形態では4気筒エンジンの例を示したが、本発明は気筒数に関わらず適用可能である。また本発明は、クランク軸を鉛直方向とした船外機などのような船舶推進機用エンジンなどの制御装置にも適用が可能である。
1 内燃機関
3 スロットル弁(吸入空気量制御弁)
5 電子制御ユニット(筒内圧算出手段、筒内温度算出手段、層流燃焼速度算出手段、空燃比制御手段、過渡制御手段、終了排気還流率算出手段)
7 点火回路ユニット(火花点火手段)
8 点火プラグ(火花点火手段)
AF 空燃比
LFT EGR弁リフト量
REGR 排気還流率
TH スロットル弁開度
VLF 層流燃焼速度
IG 点火時期

Claims (5)

  1. 内燃機関の制御装置であって、前記機関の吸入空気量を制御する吸入空気量制御弁と、前記機関の排気を吸気系に還流する排気還流通路、及び該排気還流通路に設けられ、排気還流量を制御する排気還流制御弁を備える排気還流機構と、前記燃焼室内の混合気の火花点火を行う火花点火手段とを備える内燃機関の制御装置において、
    前記機関の運転状態に応じて、前記燃焼室内の混合気の空燃比を理論空燃比近傍のリッチ空燃比と、理論空燃比よりリーン側のリーン空燃比とに制御する空燃比制御手段と、
    前記空燃比を前記リッチ空燃比から前記リーン空燃比へまたはその逆に切り換えるときに空燃比移行制御を行う過渡制御手段とを備え、
    前記過渡制御手段は、前記機関の燃焼室内における燃焼ガスの層流燃焼速度を算出する層流燃焼速度算出手段を有し、
    前記層流燃焼速度がほぼ一定に保持されるように、前記吸入空気量制御弁及び前記排気還流制御弁の開度を制御することによって前記空燃比移行制御を実行し、
    前記空燃比移行制御では、前記空燃比が増加するほど前記排気還流制御弁の開度を減少させるように制御すること特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記混合気の空燃比を検出する空燃比検出手段と、
    前記火花点火手段による点火時期における筒内圧を算出する筒内圧算出手段と、
    前記点火時期における筒内温度を算出する筒内温度算出手段とを備え、
    前記層流燃焼速度算出手段は、前記空燃比移行制御開始時の初期空燃比、前記空燃比移行制御開始時の初期排気還流率、前記筒内圧、及び前記筒内温度に応じて前記空燃比移行制御開始時の層流燃焼速度を算出し、
    前記過渡制御手段は、前記空燃比移行制御終了時の終了空燃比及び前記層流燃焼速度に応じて、前記空燃比移行制御終了時の終了排気還流率を算出する終了排気還流率算出手段を有し、
    実排気還流率が前記終了排気還流率と一致するように前記吸入空気量制御弁及び前記排気流制御弁の開度を制御することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記終了排気還流率算出手段は、前記層流燃焼速度の算出に適用した前記筒内圧及び筒内温度を用いて前記終了排気還流率を算出することを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記過渡制御手段は、前記初期空燃比と前記終了空燃比との間に1または2以上の中間空燃比を設定し、前記初期空燃比から前記中間空燃比を経由して前記終了空燃比へ移行する制御を行うことを特徴とする請求項2または3に記載の内燃機関の制御装置。
  5. 燃料を微粒化して前記機関の吸気通路内に噴射可能な燃料噴射弁を備え、
    前記火花点火手段は、点火プラグと、該点火プラグに放電を発生させるための複数の点火コイル対とを備え、前記点火プラグにおける放電の継続時間を変更可能なものであり、
    前記空燃比を前記リーン空燃比に制御するときは、前記リーン空燃比が増加するほど、点火時期を進角させるとともに前記放電継続時間を長く設定することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の内燃機関の制御装置。
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