JP6191136B2 - 画像生成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、画像生成方法に係り、特に、関節部分の撮影を行うのに適した走査型タルボ装置における画像生成方法に関するものである。
従来、X線の位相変化によってコントラストを得る位相コントラスト法が提案されている。位相コントラスト法はX線吸収差が小さく、吸収コントラスト法によっては画像として現れにくい***の組織や関節軟骨、関節周辺の軟部組織をも画像化することが可能であり、X線画像診断への適用が期待されている。
位相コントラスト撮影の1つとして、タルボ効果を利用するタルボ干渉計も検討されている。タルボ効果とは、一定の周期でスリットが設けられた第1の格子(G1格子)を可干渉性(コヒーレント)の光が透過すると、光の進行方向に一定周期でその格子像を結ぶ現象をいう。この格子像は自己像と呼ばれ、タルボ干渉計は自己像を結ぶ位置に第2の格子(G2格子)を配置し、この第2の格子をわずかにずらすことで生じるモアレ縞(モアレ)を測定する。第2の格子の前に物体を配置するとモアレが乱れることから、タルボ干渉計によりX線撮影を行うのであれば、第1の格子の前に被写体を配置して可干渉性X線を照射し、得られたモアレの画像を演算することによって被写体の再構成画像を得ることが可能である。
また、X線源と第1の格子との間にX線源格子(G0格子、マルチスリット)を設置したタルボ・ロー干渉計も提案されている。タルボ・ロー干渉計は、X線源格子を用いることで、より出力が高いインコヒーレントなX線源を使用することができ、単位時間当たりの照射線量を増大させる。タルボ又はタルボ・ロー干渉計を用いて再構成画像(位相情報に基づくコントラスト、小角散乱に基づくコントラスト、吸収に基づくコントラスト)を得るためには、縞走査法の原理に基づく方法(縞走査法)、フーリエ変換法など幾つかの方法が提案されているが、本発明は縞走査法の位相シフトに関するものである。従来の縞走査法とは、第1の格子又は第2の格子を他の格子に対し一定間隔で相対的に移動走査させながら、位相を変化させた複数のモアレ画像を撮影するものである。
これに対し、特許文献1には、タルボ・ロー干渉計において、X線源、または、X線源格子(G0格子、マルチスリット)を含む何れか1つの格子を、他の格子に対して移動させて撮影を行うことが記載されている。また、特許文献2には、X線源格子(G0格子、マルチスリット)を第1の格子及び第2の格子に対して相対的に移動走査させることが記載されている。
しかし、X線源格子(G0格子、マルチスリット)や第1の格子(G1格子)、第2の格子(G2格子)には、その製造工程等において、格子の一部に欠損を生じていることがある。
すなわち、これらの格子の製造には微細な加工が可能な既存のウエハ製造工程が用いられているが、この製造過程において格子の一部に偶発的に倒れや抜けが生じる場合がある。製造方法の発展・向上により、このような製造過程において生じる格子の欠損箇所は減少傾向にあるものの、欠損を完全になくすまでには至っておらず、これらの微細な欠損は、格子の製造歩留まり(コストパフォーマンス)を勘案すると、許容されることが望ましい。また、視野サイズの拡大のためには格子の大面積化が要請されるところ、格子の製造の際に用いられるウエハは、一般に径が50mmから300mm程度であり、各格子の大きさは、このウエハから切り出し可能なサイズに制限されてしまう。このため、格子をウエハサイズ以上に大サイズ化するために、複数の小格子を貼り合わせて複合化することも考えられる。しかし、この場合、小格子の貼り合わせ位置では、小格子間に隙間が生じてしまい、当該部分は格子構造が抜けた格子の欠損箇所となってしまう。
タルボ及びタルボ・ロー装置においては、格子を透過してタルボ効果、タルボ・ロー効果が生じた電磁波がもつ情報を画像化して取得(すなわちモアレ画像の取得)するところ、格子の欠損箇所を透過した電磁波に対しては十分にタルボ効果、タルボ・ロー効果が得られず、電磁波の持つ情報のうち特に位相情報と散乱情報が劣化する。このため、得られたモアレ画像において、格子の欠損箇所の影にあたる画素では信号値低下あるいは画欠を招き、画質を著しく低下させてしまう。したがって、このようなモアレ画像から被写体の再構成画像を生成した場合に、画像に格子の欠損に起因するアーチファクトが現れてしまい、診断用の画像として適さないものとなるおそれがある。
こうした格子の欠損の影響を回避するため、特許文献3には、格子の製造時に欠損が見つかった場合に、当該欠損箇所を切り取り、別の格子から切り取った正常な格子部分と置換して修復する方法が示されている。
国際公開第2006/131235号パンフレット 国際公開第2011/033798号パンフレット 特開2012−143536号公報
しかしながら、特許文献3に記載の方法では、格子1枚ごとに切り取りや置換の作業が生じてしまうために手間がかかり、格子の高コスト化につながる上に、置換部分の境界線上が新たな欠損箇所となりうるという問題がある。
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、格子に欠損箇所がある場合でも、当該欠損に起因する再構成画像におけるアーチファクトを補正して、診断に適した高品位な画像を得ることが可能な画像生成方法を提供するとともに、格子の製造歩留まりを向上せしめることを目的とするものである。
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明によれば、
X線を照射するX線源と、
前記X線の照射軸方向に設けられ、当該X線の照射軸方向と直交する方向に複数のスリットが配列された格子であって、少なくともX線を回折することによりタルボ効果を生じさせる第1の回折格子及び第2の回折格子を含む複数の格子と、
前記X線の照射軸方向に設けられ、被写体を載置する被写体台と、
前記X線源により照射され、前記複数の格子及び前記被写体を透過したX線に応じて電気信号を生成する変換素子が二次元状に配置され、当該変換素子により生成された電気信号を画像信号として読み取るX線検出器と、
前記複数の格子のうちの少なくとも1つを他の格子に対して相対的に移動させる駆動手段と、
前記駆動手段により前記複数の格子を所定の移動量P1移動せしめる毎に、前記X線検出器によって画像信号を読取り、これをn回繰返してn個のモアレ画像を生成するように制御する画像取得制御手段と、
生成されたn個のモアレ画像に基づいて再構成画像を生成する画像処理手段と、を有する走査型タルボ装置において、前記複数の格子のうちのいずれかに生じた欠損に起因する前記再構成画像におけるアーチファクトを補正する画像生成方法であって、
前記複数の格子の第1の相対位置関係において、前記所定の移動量P1の移動毎に前記X線検出器によって画像信号を読取り、n個の第1群のモアレ画像を生成せしめ、
然る後に、前記駆動手段を動作させて、前記複数の格子を前記第1の相対位置関係とは異なる第2の相対位置関係とせしめ、
再度、前記所定の移動量P1の移動毎に前記X線検出器によって画像信号を読取り、n個の第2群のモアレ画像を生成せしめ、
前記画像処理手段が、前記n個の第1群のモアレ画像及び前記n個の第2群のモアレ画像に基づいて、前記再構成画像を生成するものであり、
該各群の撮影において、前記X線の照射軸に対する複数の格子の相対位置を、該複数の格子の全ての欠損位置が重なり合わない位置を基準位置とし、該基準位置を該各群で異なるものとする画像生成方法が提供される。
請求項2に記載の発明によれば、
前記第2の相対位置関係は、前記複数の格子のうちのいずれかに生じた欠損の幅に基づいて設定される請求項1に記載の画像生成方法が提供される。
請求項3に記載の発明によれば、
前記複数の格子には、前記X線源から照射されたX線を多光源化するX線源格子がさらに含まれる請求項1又は請求項2に記載の画像生成方法が提供される。
請求項4に記載の発明によれば、
前記駆動手段は、前記X線源格子を移動させる請求項3に記載の画像生成方法が提供される。
請求項5に記載の発明によれば、
前記駆動手段は、前記第1の回折格子及び前記第2の回折格子を同時に移動させる請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の画像生成方法が提供される。
請求項6に記載の発明によれば、
X線を照射するX線源と、
前記X線の照射軸方向に設けられ、当該X線の照射軸方向と直交する方向に複数のスリットが配列された格子であって、少なくともX線を回折することによりタルボ効果を生じさせる第1の回折格子及び第2の回折格子を含む複数の格子と、
前記X線の照射軸方向に設けられ、被写体を載置する被写体台と、
前記X線源により照射され、前記複数の格子及び前記被写体を透過したX線に応じて電気信号を生成する変換素子が二次元状に配置され、当該変換素子により生成された電気信号を画像信号として読み取るX線検出器と、
前記複数の格子のうちの少なくとも1つを他の格子に対して相対的に移動させる駆動手段と、
前記駆動手段により前記複数の格子を移動せしめ、前記X線検出器によって画像信号を読取り、モアレ画像を生成するように制御する画像取得制御手段と、
前記画像取得制御手段により生成されたモアレ画像に基づいて再構成画像を生成する画像処理手段と、を有する走査型タルボ装置において、前記複数の格子のうちのいずれかに生じた欠損に起因する前記再構成画像におけるアーチファクトを補正する画像生成方法であって、
前記画像取得制御手段は、前記駆動手段により前記複数の格子を移動せしめ、前記X線検出器によって画像信号を読取り、m個のモアレ画像を生成するように制御し、
前記画像処理手段、前記m個のモアレ画像からn(n<mである整数)個のモアレ画像を抽出して、前記再構成画像を生成するものであり、
該各群の撮影において、前記X線の照射軸に対する複数の格子の相対位置を、該複数の格子の全ての欠損位置が重なり合わない位置を基準位置とし、該基準位置を該各群で異なるものとする画像生成方法が提供される。
本発明の画像生成方法によれば、格子自体に加工等を加えるのではなく、理論上再構成画像に必要とされるモアレ画像数(撮影回数)に対し撮影回数を変更(増加)することにより、格子の欠損に起因する再構成画像におけるアーチファクトを補正して、診断に適した高品位な画像を得ることができる。
このため、格子製造のコストを抑えることができ、更に格子の欠損箇所の許容範囲が広がることにより、格子製造の歩留まりを大幅に向上させることが可能となるとの効果を奏する。
本実施の形態に係る走査型タルボ装置の模式的な側面図である。 図1に示す走査型タルボ装置を構成するX線撮影装置の上面図である。 図1に示すX線撮影装置の具体的構成を示す斜視図である。 図1に示すX線撮影装置の主要な構成を模式的に示す図である。 第1のカバーユニット及び第2のカバーユニットを外してX線撮影装置を分解した状態を示す斜視図である。 X線源格子ユニットの斜視図である。 X線源格子ユニットがX線源の下方に配置された状態を示す斜視図である。 X線源格子の平面図である。 回折格子ユニットの斜視図である。 回折格子ユニットの一変形例を示す斜視図である。 指用の被写体保持部材の斜視図である。 指ホルダ部分を拡大した要部斜視図である。 指ホルダ部分を拡大した要部斜視図である。 指用の被写体保持部材において指ホルダが指先方向に引っ張られている状態を示す斜視図である。 指用の被写体保持部材において指ホルダに角度を付けた状態を示す斜視図である。 膝用の被写体保持部材の上面図である。 膝用の被写体保持部材に足を乗せた状態を示す上面図である。 (a)は、膝用の被写体保持部材を足に巻きつけた状態を示す上面図であり、(b)は、(a)の側面図である。 膝用の被写体保持部材から空気を吸引した状態を示す側面図である。 本体部の機能的構成を示すブロック図である。 タルボ干渉計の原理を説明する図である。 (a)から(c)は、格子の欠損のある第2格子の一例を示す斜視図である。 従来のX線撮影装置の要部構成を示す斜視図である。 (a)から(f)は、図23のX線撮影装置によって生成されたモアレ画像の一例を示す図であり、(g)は、再構成画像の一例を示す図である。 従来のX線撮影装置において第2格子に欠損箇所がある場合を示す斜視図である。 (a)から(f)は、図25のX線撮影装置によって生成されたモアレ画像の一例を示す図であり、(g)は、再構成画像の一例を示す図である。 (a)は、本実施形態におけるX線撮影装置の要部構成を示す斜視図であり、(b)は、第1格子及び第2格子を移動させた状態を示す斜視図である。 (a)から(f)は、図27(a)のX線撮影装置によって生成されたモアレ画像の一例を示す図である。 (a)から(f)は、図27(b)のX線撮影装置によって生成されたモアレ画像の一例を示す図であり、(g)は、再構成画像の一例を示す図である。 (a)は、本実施形態におけるX線撮影装置の一変形例の概略構成を示す正面図であり、(b)は、第1格子及び第2格子を移動させた状態を示す正面図である。 X線撮影装置の制御部によるX線撮影制御処理を示すフローチャートである。 コントローラーによる再構成画像作成処理を示すフローチャートである。 (a)は、本実施形態におけるX線撮影装置の一変形例の概略構成を示す斜視図であり、(b)は、X線源格子、第1格子及び第2格子を移動させた状態を示す斜視図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る画像生成方法の一実施形態について説明する。
本実施形態における画像生成方法は、後述するように、走査型タルボ装置において、当該走査型タルボ装置に備えられている複数の格子のうちのいずれかに欠損が生じている場合に、当該欠損に起因する再構成画像におけるアーチファクトを補正して、診断に適した高品位の画像を得ることができるものである。
図1は、本実施形態に係る走査型タルボ装置を模式的に示したものである。
図1に示すように、走査型タルボ装置1は、X線撮影装置1aとコントローラー5とを備えている。X線撮影装置1aはタルボ・ロー干渉計によるX線撮影を行い、コントローラー5は当該X線撮影により得られたモアレ画像を用いて被写体の再構成画像を作成する。
図2は、図1に示す走査型タルボ装置1のX線撮影装置1aを上方から見た模式的な平面図であり、図3は、図1及び図2に示すX線撮影装置1aの構成を具体的に示した斜視図であり、図4は、本実施形態におけるX線撮影装置1aの要部構成を模式的に示したものである。
図1から図4に示すように、X線撮影装置1aは、X線源11、X線源格子12、光照射野確認ユニット6、被写体台13、第1格子14、第2格子15、X線検出器16、支柱17、本体部18、基台部19を備えている。
本実施形態におけるX線撮影装置1aは縦型であり、X線源11、X線源格子12、被写体台13の被写体保持部材30、第1格子14、第2格子15、X線検出器16が、この順序に重力方向であるz方向(図3参照)に沿って配置されている(図1及び図4参照)。
なお、図1中、X線源11の焦点とX線源格子12間の距離をD1(mm)、X線源11の焦点とX線検出器16間の距離をD(mm)、X線源格子12と第1格子14間の距離をR(mm)、第1格子14と第2格子15間の距離をz(mm)で表す。R>zである。
ここで、距離Dは、好ましくは5〜500(mm)であり、さらに好ましくは5〜300(mm)である。
距離Dは、一般的に放射線科の撮影室の高さは3(m)程度又はそれ以下であることから、少なくとも3000(mm)以下であることが好ましい。なかでも、距離Dは400〜2500(mm)が好ましく、さらに好ましくは500〜2000(mm)である。
X線源11の焦点と第1格子14間の距離(D+R)は、好ましくは300〜2500(mm)であり、さらに好ましくは400〜1800(mm)である。
X線源11の焦点と第2格子15間の距離(D+R+z)は、好ましくは400〜2500(mm)であり、さらに好ましくは500〜2000(mm)である。
それぞれの距離は、X線源11から照射されるX線の波長から、第2格子15上に第1格子14による格子像(自己像)が重なる最適な距離を算出し、設定すればよい。
図5は、本実施形態のX線撮影装置1aの各構成部を分離した状態を示す斜視図である。
図5に示すように、本実施形態におけるX線撮影装置1aは、X線源11を支持する支柱17と、X線源格子12を含むX線源格子ユニット120、第1格子14及び第2格子15を含む回折格子ユニット140、X線検出器16が取り付けられている基台部19と、被写体台13(図5においては、被写体台13を構成する被写体台基台部130のみを示している。)とに大きく分離することができる。なお、本実施形態では、X線源11を支持する支柱17と、X線検出器16が取り付けられている基台部19とにより撮影部が構成されている。この撮影部と被写体台13とを分離できることにより、撮影前或いは撮影中に、患者から被写体台13に加えられた衝撃等が撮影部に影響を及ぼすことを防止することができる。
X線源11は、X線を発生させて重力方向(z方向、図3参照)にX線を照射する。X線源11としては、例えば医療現場で広く一般に用いられているクーリッジX線源や回転陽極X線源を用いることができる。陽極としては、タングステンやモリブデンを用いることができる。
X線源11から照射されるX線の焦点径は、0.03〜3(mm)が好ましく、さらに好ましくは0.1〜1(mm)である。
X線源11には、ほぼコ字状に形成された固定用部材111が取付用アーム112を介して取り付けられている。本実施形態において、支柱17は、四角柱形状となっており、固定用部材111は、支柱17を側面から挟み込むようにして支柱17に取り付けられ、固定されている。
取付用アーム112の一部には緩衝部材17a(図1参照)が設けられており、X線源11は、この緩衝部材17aを介して保持されている。緩衝部材17aは、衝撃や振動を吸収できる材料であれば何れの材料を用いてもよいが、例えばエラストマー等が挙げられる。X線源11はX線の照射によって発熱するため、X線源11側の緩衝部材17aは衝撃や振動を吸収できる材料であることに加えて断熱材料であることが好ましい。
なお、本実施形態では、X線源11は、取付用アーム112の一部がほぼ90度屈曲することにより、平行度及び相対距離を調整されたX線源格子12、第1格子14、第2格子15のスリットの方向に対してX線源11の取付方向がほぼ90度回転可能に構成されている。
本実施形態において、X線源11のX線源の焦点形状は完全な円形ではなく、僅かに楕円形状となっており、後述するモアレ画像を取得する際の撮影では、X線源の向きを変えることによって適切なモアレ画像を得ることができる場合がある。このため、X線源11をほぼ90度回転させることにより、X線源の焦点形状に由来する不具合を解消することができる。
なお、X線源11を、X線源格子12、第1格子14及び第2格子15のスリット方向に対する取付方向を変更可能とする構成はここに例示したものに限定されない。例えば、固定用部材111の取付位置を変えることによりX線源11の取付方向を変更可能としてもよい。また、X線源11の取付方向の変更は90度だけでなく、さらに細かく角度設定が可能となるように構成してもよい。
また、図4に示すように、X線源11の直下であって、後述するX線源格子12の下方には、照射野絞り113とフィルタ114が設けられている。
照射野絞り113は、X線源11から照射されるX線の照射野を所定の範囲に絞るものである。
フィルタ114は、X線源11から照射される光線の中から不要な波長の光線を分離するものであり、例えばAL付加フィルタ等が適用される。
光照射野確認ユニット6は、図3、図5に示すように、基台部19に取り付けられるほぼL字状の基台取付部61とこの基台取付部61の上に載置される光照射野確認部本体65とを備えている。基台取付部61は、図示しないねじ等により基台部19に固定されている。
基台取付部61における床面に対してほぼ水平に配置されている面には、光照射野確認部本体65をx方向に移動させるためのガイド63が設けられており、光照射野確認部本体65は、このガイド63に沿って手動又は自動で移動可能となっている。
光照射野確認ユニット6は、X線源11から照射されるX線の照射野を予め確認するためにX線の照射野と同じ領域を可視光で照らすものであり、光照射野確認部本体65には、可視光線を照射可能な図示しない光源等が設けられている。
また、光照射野確認部本体65には、X線撮影装置1aの奥側(すなわち、支柱17側)から手前側に床面に対してほぼ水平に突出する移動用レバー67が設けられている。移動用レバー67は、光照射野確認部本体65を手動にてガイド63に沿ってx方向に移動させるためのレバーであり、前述のように、X線撮影装置1aに第1のカバーユニット21が取り付けられた状態において、その先端部がレバー用開口部211cから前面カバー部材211の外に突出するようになっている。
本実施形態において、光照射野確認部本体65は、その光源から照射される光の光軸がX線源11から照射されるX線の光軸と一致して光照射野の確認を行うことができる光照射野確認位置と、X線源11から照射されるX線を妨げない退避位置とを取り得るようになっている。撮影を行う際等、通常の使用時には、光照射野確認部本体65は退避位置(図4において実線で示す位置)に位置し、撮影の妨げにならないようになっている。そして、光照射野の確認を行う際には、ユーザは適宜移動用レバー67を操作することにより、光照射野確認部本体65の光源から照射される光の光軸がX線源11から照射されるX線の光軸と一致する光照射野確認位置(図4において破線で示す位置)まで光照射野確認部本体65の位置を移動させる。なお、光照射野確認部本体65は、モータ等により自動でx方向に移動するように構成してもよい。
なお、本実施形態では、光照射野確認部本体65と被写体保持部材30との間に光を遮るものが存在しないため、光照射野の確認を正確に行うことができる。
図3に示すように、本実施形態において、基台部19には、X線源格子ユニット120を覆うように設けられた第1のカバーユニット21、及び回折格子ユニット140を覆うように設けられた第2のカバーユニット22が取り付けられている。
X線源格子12、第1格子14及び第2格子15は、非常に高い精度での位置調整が必要な部材であり、被写体の撮影及びそのキャリブレーションを行うための被写体なしでの撮影等、複数回に亘って一連の撮影を行う場合、その間、同じ条件が保たれていることが望ましい。
しかし、X線源格子12、第1格子14及び第2格子15の周囲に何らカバー等を設けないで雰囲気に曝した状態では、設置された撮影室内における雰囲気温度の変化(例えばエアコンによる気流変化で天井付近と床面付近とで生じる温度差)や衝撃、振動等の影響を受けやすく、これにより、複数回に亘る一連の撮影を行う間に、X線源格子12、第1格子14及び第2格子15の位置や向きが、適正状態から僅かずつずれることがありうる。第1のカバーユニット21及び第2のカバーユニット22は、X線源格子12、第1格子14及び第2格子15が外部からの影響を受けるのを避けて、例えば、エアコンの冷気流、或いは、暖気流等に直接的に曝され、部分的に熱膨張変動する等を抑制し、一連の撮影の間、撮影条件を維持するとともに、精密部材であるX線源格子12、第1格子14及び第2格子15が、患者や技師の接触等による外部からの衝撃を受けたり、塵埃の侵入等によるダメージを受けることを防止するためのものである。
第1のカバーユニット21の前面側(支柱17に対向する面側)には、光照射野確認ユニット6の移動用レバー67に対応する位置に、レバー用開口部211cが形成されている。レバー用開口部211cは、移動用レバー67の移動範囲とほぼ同じ長さとなるようにx方向に延在する長孔であり、移動用レバー67の先端部はこのレバー用開口部211cから前面カバー部材211の外に突出するようになっている。これにより、ユーザは第1のカバーユニット21を取り付けた状態でも光照射野確認ユニット6の移動用レバー67を操作することができる。なお、レバー用開口部211cの周囲や近傍等に移動用レバー67の位置によって光照射野確認部本体65が光照射野確認位置又は退避位置(後述)のいずれにあるかを示す目盛や指標等を設けてもよい。
なお、第1のカバーユニット21は、X線源格子ユニット120に対する外部からの影響を遮断できるものであればよく、その材料や形状、構成、固定手法等はここに例示したものに限定されない。また、当該第1のカバーユニット21の少なくとも内面側には断熱部材が設けられていることが好ましい。
また、第2のカバーユニット22は、回折格子ユニット140に対する外部からの影響を遮断できるものであればよく、その材料や形状、構成、固定手法等はここに例示したものに限定されない。また、当該第2のカバーユニット22の少なくとも内面側には断熱部材が設けられていることが好ましい。
さらに、第2のカバーユニット22の周囲は、被写体である手等を被写体台13に載置している患者の足等がぶつかる等により外部からの衝撃を受けやすい。このため、第2のカバーユニット22の外側には、例えば、図3に示すようなガード部材41が設けられている。ガード部材41は、例えば金属板等で形成され、第2のカバーユニットの周囲にねじ止め等により着脱可能に固定される。なお、ガード部材41の形状、第2のカバーユニット等への固定方法等は、ここに例示したものに限定されない。さらに、ガード部材41の内側に衝撃吸収用の弾性部材等を設けてもよい。
このようなガード部材41を設けることにより、撮影時に患者の足等が装置側に当たっても、その衝撃が第1格子14や第2格子15等の精密部材に影響を与えることを防止することができ、精度の高い画像撮影を行うことができる。
図3及び図5に示すように、本実施形態において、X線源格子ユニット120、回折格子ユニット140及びX線検出器16は、同一の基台部19の上に保持され、z方向における位置関係が固定されている。X線源格子ユニット120、回折格子ユニット140は、重力方向(z方向)と直交する方向に延展せしめられており、ねじ等により、それぞれ基台部19に対して着脱自在に取り付けられている。
X線検出器16は、基台部19に設けられている検出器支持台191の上に、緩衝部材192を介して載置されている。
なお、基台部19は支柱17に対してz方向に移動可能に構成されていてもよい。
図6は、X線源格子12を備えるX線源格子ユニット120の斜視図である。X線源格子12は、X線源から照射されたX線を多光源化するX線源用格子である。なお、以下においてX線源格子12を「G0格子」とも称する。
図6に示すように、X線源格子ユニット120は、基台部19に取り付けられるほぼL字状の基台取付部121とこの基台取付部121の上に載置されるX線源格子ユニット本体122を備えている。
基台取付部121は、基台部19への取り付け位置を調整することにより、X線源格子12と、第1格子14や第2格子15との間における相対距離を調整可能とするものである。また、X線源格子ユニット本体122には、相対距離微調整機構部127が設けられている。相対距離微調整機構部127は、その重力方向(上下方向)の長さを変えることでX線源格子12の重力方向(上下方向)の位置を調整するものである。本実施形態では、基台取付部121と相対距離微調整機構部127とにより、X線源格子12と、第1格子14や第2格子15との間における相対距離を調整する相対距離調整機構が構成される。
なお、比較的重量物であるX線源格子ユニットを扱う際の作業性や安全性、及び、位置調整のやり易さの両観点からは、前者と後者の機能を分離する方が好ましく、取付位置は位置決めピン等により仮固定し(調整不可)、ネジ等で基台部19に螺合(固定)する構造とし、固定終了後、作業者が両手を自由に使って、X線源格子ユニット本体122内に設けた相対距離微調整機構部127により相対距離を微調整する構造とすることが好ましい。
X線源格子ユニット本体122には、X線源格子12(G0格子)が支持されている。
本実施形態では、X線源格子12は、図7に示すように、X線源11の下方からX線源11の内部に挿入されており、X線源の焦点位置のすぐ近くに配置されるようになっている。
X線源格子12(G0格子)は回折格子であり、図8に示すように、X線照射軸方向(ここではz方向)と直交するx方向に複数のスリットが所定間隔で配列されて設けられている。X線源格子12はシリコンやガラスといったX線の吸収率が低い材質の基板上に、タングステン、鉛、金といったX線の遮蔽力が大きい、つまりX線の吸収率が高い材質により形成される。
基板上にX線源格子12を形成する手法としては、例えば、以下のような手法を用いることができる。すなわち、フォトリソグラフィーによりレジスト層がスリット状にマスクされ、UVが照射されてスリットのパターンがレジスト層に転写され、露光によって当該パターンと同じ形状のスリット構造を得る。その後、電鋳法によりスリット構造間に金属が埋め込まれて、X線源格子12が形成される。なお、X線源格子12を形成する手法はこれに限定されない。
X線源格子12のスリット周期(格子周期、図8及び後述する式においてd(μm)とする。)は1〜60(μm)である。スリット周期は、図8に示すように隣接するスリット間の距離を1周期とする(後述する第1格子14及び第2格子15においても同様)。スリットの幅(各スリットのスリット配列方向(x方向)の長さ)はスリット周期の1〜60(%)の長さであり、さらに好ましくは10〜40(%)である。また、スリットの高さ(z方向の高さ)は1〜500(μm)であり、好ましくは1〜150(μm)である。
また、図6に示すように、X線源格子ユニット本体122には、X線源格子12のx、y、z方向の位置やx、y、z軸周りの回転角度を微調整するための機構であるX線源格子調整部125として、X線源格子12をx方向に回転させるためのθx回転用モータ125b、X線源格子12をy方向に回転させるためのθy回転用モータ125c、X線源格子12をz方向に回転させるためのθz回転用モータ125dが設けられている。
なお、X線源格子調整部125の構成は、ここに示したものに限定されない。例えば、X線源格子調整部125は、手動によりX線源格子12を調整する構成であってもよい。また、X線源格子12を精度よく固定できるのであれば、X線源格子調整部125の無い構成としてもよい。
本実施形態において、第1格子14及び第2格子15は、回折格子ユニット140に設けられている。
なお、第1格子14と第2格子15間の距離z(図1参照)は、後述する(式1)をほぼ満たすことが必要である。
図9は、本実施形態における回折格子ユニット140の斜視図である。
図9に示すように、回折格子ユニット140は、第1格子14、第2格子15、保持部141、駆動部150等を備えて構成されている。
第1格子14(G1格子)は、X線源格子12と同様に、X線照射軸方向であるz方向と直交するx方向に複数のスリットが配列されて設けられた格子構造を有し、X線を回折することによりタルボ効果を生じさせる第1の回折格子である。第1格子14は、X線源格子12と同様にUVを用いたフォトリソグラフィーによって形成してもよいし、いわゆるICP法によりシリコン基板に微細細線で深掘加工を行い、シリコンのみで格子構造を形成してもよい。第1格子14のスリット周期(格子周期、後述する式においてd(μm)とする。)は1〜20(μm)である。スリットの幅はスリット周期の20〜70(%)であり、好ましくは35〜60(%)である。また、スリットの高さは1〜100(μm)である。
第2格子15(G2格子)は、X線源格子12と同様に、X線照射軸方向であるz方向と直交する方向に複数のスリットが配列されて設けられた格子構造を有し、第1格子14により回折されたX線を回折する第2の回折格子である。第2格子15もフォトリソグラフィーにより形成することができる。第2格子15のスリット周期(格子周期、後述する式においてd(μm)とする。)は1〜20(μm)である。スリットの幅はスリット周期の30〜70(%)であり、好ましくは35〜60(%)である。また、スリットの高さは1〜100(μm)である。
なお、第1格子14(G1格子)及び第2格子15(G2格子)の形成手法等は、ここに例示したものに限定されない。
第1格子14(G1格子)及び第2格子15(G2格子)は、大サイズ化のために複数の小サイズ格子を貼り合わせた複合化格子であってもよい(図22(c)参照)。
第1格子14(G1格子)及び第2格子15(G2格子)が複合化格子である場合には、X線検出器16の検出器平面と平行となるように(すなわち平面的に)各小サイズ格子を貼り合わせて複合化してもよいし、X線検出器16の検出器平面に対して所定の曲率を有するように各小サイズ格子を傾けて貼り合せ(例えば、図22(c)参照)、側面視においてほぼ凹面状となるように複合化してもよい。
なお、ここで曲率とは、曲面のおける湾曲の程度に限定されず、多角形近似の面の全体としての湾曲の程度も含むものである。「所定の曲率」をどの程度とするかは、X線源11と格子との間の距離や格子サイズや格子高さ等によって適宜設定される。
保持部141は、第1格子14及び第2格子15を一体的に保持するものである。
図9に示すように、保持部141は、保持部材141a〜141cが側面から見てほぼコ字状になるようにねじ止めされて構成されたものであり、第1格子14、第1格子調整部143、第2格子15、第2格子調整部151等を一体的に保持している。
なお、本実施形態では、保持部141が第1格子14及び第2格子15をを片側のみで保持しているが、格子の保持の仕方はこれに限定されず、第1格子14及び第2格子15を両側で保持してもよい。この場合には、例えば、保持部141に第1格子14及び第2格子15を簡易に保持する保持機構を設けて、第1格子14及び第2格子15の一方側を駆動部150により保持させ、他方側をこの簡易な保持機構に保持させる等の構成によることが好ましい。また、第1格子14及び第2格子15を3点等、さらに複数個所で保持してもよく、さらに、第1格子14及び第2格子15全体を保持する構成としてもよい。
この保持部141は、駆動部150が設けられた基台取付部142に取り付けられ、基台取付部142は基台部19に固定される。この保持部141は、当該駆動部150の駆動により、図示しないガイドレールに沿ってx方向に移動するようになっている。
なお、保持部141は、基台取付部142を基台部19に固定した後に取り付けてもよいし、予め基台取付部142に組み付け、然る後、当該組み付け体を基台部19に固定するようにしてもよい。
保持部141や基台取付部142等は、例えば鋳造により形成される。なお、保持部141や基台取付部142等を形成する手法は特に限定されないが、例えばダイカスト等の精密な加工が可能な手法によることが好ましい。
ここで、第1格子調整部143は、第1格子14のx、y、z方向の位置やx、y、z軸周りの回転角度を調整するための機構である。第2格子調整部151は、第2格子15のx、y、z方向の位置やx、y、z軸周りの回転角度を調整するための機構である。第1格子調整部143及び第2格子調整部151は、モーター等により自動的に第1格子14及び第2格子15の調整を行うものである。なお、第1格子調整部143及び第2格子調整部151の構成は、ここに例示したものに限定されない。例えば、図10に示すように、第1格子調整部144及び第2格子調整部152は、それぞれ複数の調整用ねじ等を備え、手動により第1格子14及び第2格子15を調整する構成であってもよい。
第1格子調整部143及び第2格子調整部151は、第1格子14及び第2格子15の格子面が互いに平行になるように調整するとともに、X線源格子12の格子面に対して平行になるように調整する。
なお、上記の第1格子調整部143(または第1格子調整部144)及び第2格子調整部151(または第2格子調整部152)は必ずしも必要では無く、保持部141を含む一連の部品精度アップや組立工程に於ける治具調整等によって不使用とすることもできる。この場合には装置の一層の軽量化が図られるとともに、駆動部150のモーター負荷低減を図ることができるため好ましい。
駆動部150は、保持部141をx方向に移動させることで、保持部141に保持された第1格子14及び第2格子15をX線源格子12に対してx方向に相対的に移動走査させるための駆動手段である。
駆動部150は、回折格子ユニット140の重心位置に近い位置に設けられる。本実施形態のように縦型のX線撮影装置1aにおいては、駆動部150をこのような位置に設けることにより、回折格子ユニット140を安定させることができ、回折格子ユニット140のx、y、z軸周りにおけるがたつき(すなわち、ピッチング、ローリング、ヨーイング)を最小限に抑えることができ、がたつきによる画像への影響を防ぐことができる。
本実施形態におけるX線撮影装置1aのような縦型の据置型の撮影装置の場合、X線源格子12(G0格子)を移動させる場合には、基台部19(フレーム)の剛性によっては、外乱等により格子移動方向(本実施形態ではx方向)以外の変位を拾い誤差を生み易く、送り精度が不安定になる。
また、X線源格子12が存在するX線源11の周辺には、図4に示すように、照射野絞り112、フィルター113、光照射野確認部6のように多数の部品が存在しており、これらを避けてX線源格子12の駆動機構を配置するには複雑な機構が必要となり、駆動範囲も制限される。また、X線源格子12の駆動機構のメンテナンス時に照射野絞り112や光照射野確認部6等が邪魔になり、メンテナンス性が悪い。また、X線源格子12及びその駆動機構をX線源11と独立して設計することができず、設計の自由度が狭く、拡張性が低い。更に、X線源格子12の駆動機構はX線源11近傍に配置されるのでX線源11の熱や振動の影響を受け易く、安定してX線源格子12を動かすことが難しい。
この点、本実施形態のように、基台部19(フレーム)の下部に配置されている第1格子14(G1格子)及び第2格子15(G2格子)を移動させる場合は、重心位置が低いために、外乱に対しても基台部19(フレーム)の変位量が小さく、格子移動方向(本実施形態ではx方向)以外の誤差を生じにくく、第1格子14及び第2格子1を安定して移動させることができる。なお、本実施形態では、X線源11等を基台部19(フレーム)とは別の支柱17に取り付ける構成としているが、X線源11等を基台部19(フレーム)を一体に搭載する場合等は、第1格子14(G1格子)及び第2格子15(G2格子)を移動させることによる上記メリットが、特に顕著に表れる。
また、第1格子14及び第2格子15を同時に同方向に同じ量だけX線源格子12に対して相対移動させて撮影を行う。この場合の第1格子14及び第2格子15の各ステップの移動量は、X線源格子12を相対移動させるときと同じ(方向は逆方向)であるため、X線源格子12を移動させる場合と同様に、第1格子14又は第2格子15のいずれかを単独で移動させたときに比べて、駆動部150の移動量誤差の割合を低減することができる。また、第1格子14及び第2格子15は、図1等に示すようにX線源11から離れた位置にあるため、上述のX線源格子12を移動させる場合に比べてメンテナンス性、拡張性に優れている。更に、第1格子14及び第2格子15を保持部141により一体的に保持してユニット化することで、移動させるための駆動機構が1つですみ(駆動部150)、また、狭周期の2つの格子の相対移動を抑え、撮影中及び撮影間の両者の相対的なずれにより再構成画像にのる偽像の強度を小さくすることができる。
駆動部150の駆動方式は、例えば、ボールねじ方式、リニアモーター方式、ピエゾ駆動方式などの微小な精密送り可能な方式であればいずれの方式でもよい。
また、駆動部150は、リニアスケールやエンコーダー等を用いたフィードバック機構(図示せず)を搭載していることが好ましい。
駆動部150にリニアスケールを用いたフィードバック機構を搭載する場合には、搭載するフィードバック用リニアスケールは格子の移動量(格子送り量)の10分の1程度の分解能を有するものであることが好ましい。
上記X線源格子12、第1格子14、第2格子15は、例えば下記のように構成することができる。
X線源11のX線管の焦点径;300(μm)、管電圧:40(kVp)、付加フィルター:アルミ1.6(mm)
X線源11の焦点からX線源格子12までの距離D : 240(mm)
X線源格子12から第1格子14までの距離R :1110(mm)
X線源格子12から第2格子15までの距離R+z:1370(mm)
X線源格子12のサイズ:10(mm四方)、スリット周期:22.8(μm)
第1格子14のサイズ:50(mm四方)、スリット周期:4.3(μm)
第2格子15のサイズ:50(mm四方)、スリット周期:5.3(μm)
X線検出器16は、照射されたX線に応じて電気信号を生成する変換素子が二次元状に配置され、当該変換素子により生成された電気信号を画像信号として読み取る。
X線検出器16の画素サイズは10〜300(μm)であり、さらに好ましくは50〜200(μm)である。X線検出器16は第2格子15に当接するように基台部19に位置を固定することが好ましい。第2格子15とX線検出器16間の距離が大きくなるほど、X線検出器16により得られるモアレ画像がボケるからである。
X線検出器16としては、FPD(Flat Panel Detector)を用いることができる。FPDには、X線をシンチレーターを介して光電変換素子により電気信号に変換する間接変換型、X線を直接的に電気信号に変換する直接変換型があるが、何れを用いてもよい。
なお、CCD(Charge Coupled Device)、X線カメラ等の撮影手段をX線検出器16として用いてもよい。
被写体台13は、撮影時に被写体となる患者の手指等を載置するものである。被写体台13の大きさは特に限定されないが、図1に示すように、撮影時に被写体となる患者の手指等をX線照射範囲内(撮影可能領域内)に置いた際に、患者の肘部分まで載置できる程度の長さ寸法を有し、腕レスト部を構成することが好ましい。手指から肘部分までを被写体台13に載置することにより、撮影対象である手指の位置及び姿勢を安定させることができ、撮影時の手ぶれ等の体動を防ぐことができる。
図3及び図5に示すように、本実施形態では、被写体台13は、キャスタ131を備える脚部132を有する被写体台基台部130を備え、支柱17や基台部19から独立している。脚部132は、支柱17と基台部19との間に配置されるようになっており、基台部19側の脚部132には、キャスタ131をロックするロック機構133が設けられている。
なお、被写体台13の構成はここに例示したものに限定されない。例えば被写体台基台部130の全ての脚部132にロック機構133を設けてもよいし、ロック機構133を設けず、支柱17又は基台部19の一端に被写体台13が固定されるようにしてもよい。なお、被写体台13は、支柱17又は基台部19に接触した際に衝撃を吸収することのできる衝撃吸収部材(図示せず)を備えていることが好ましい。
図3に示すように、被写体台13の上面であって、第2のカバーユニット22の上部カバー部材222の上には、樹脂あるいは金属等により形成され、被写体を保持する被写体台上面板3が図示しない固定用ピンによりピン止め固定されている。上部カバー部材222には被写体台上面板3の固定用ピンに対応する位置に貫通孔が形成されており、被写体台上面板3は、第2のカバーユニット22を基台部19に取り付けた後に上部カバー部材222の上から被写体台基台部130に固定される。
被写体台上面板3は、例えば固定用ピンの高さ方向の固定位置を複数段階に調整することにより、被写体を保持する高さを調製することができるようになっていることが好ましい。これにより、被写体台上面板3の固定用ピンの固定位置を調整することで被写体台13の上に保持される被写体とX線源11との距離を撮影に適した所定の距離に保つことができる。
被写体台上面板3のほぼ中央部には円形の切り欠き部301が設けられており、この切り欠き部301には円形の回転板302が回転可能に装着されている。回転板302を回転させることにより、この回転板302の上に載置される被写体保持部材30(図11等参照)の向きや位置等を簡易に変更・修正することができる。これにより第1格子14及び第2格子15のスリット向き、角度に対する被写体の向き、角度を簡易に変更・修正することができ、容易にポジショニングの修正等を行うことができる。
また、本実施形態におけるX線撮影装置1aのように縞走査方式により関節部分の撮影を行う場合には、干渉縞が現れたモアレ画像を得るために、X線源格子12、第1格子(第1の回折格子)14及び第2格子(第2の回折格子)15のスリットの向き・角度と被写体の向き・角度とを適切に調整する必要がある。この点、X線源格子12、第1格子14及び第2格子15は非常に精密に構成されたものであり、これを移動、調整すると精度を保つことが難しい。この点、被写体台上面板3の被写体を載置する部分を回転可能に構成することにより、被写体側を動かすことで適宜調整を行うことができる。なお、回転板302を回転させすぎるとかえってモアレ画像を得ることができなくなる。このため、回転板302は、例えば所定の初期位置から45度等、一定の範囲内で回転可能に構成してもよい。
被写体台上面板3の上であって回転板302の周縁部近傍には、回転板302を固定する回転板固定用ピン303が設けられており、回転板302を固定可能となっている。
この回転板302のほぼ中央部であって第1格子14及び第2格子15に対応する位置には、ほぼ円形の切り欠き部304が設けられており、X線源11からのX線照射を妨げないようになっている。
図3に示すように、この切り欠き部304には、アクリルやガラス等のX線低吸収材料で形成されたほぼ円形の板部材305が装着されている。
なお、この板部材305は、その上面が回転板302の上面よりも僅かに低い位置となるように配置されることが好ましい。これにより、被写体台上面板3の回転板302の上面に後述する被写体保持部材30等が載置、固定された場合に、板部材305の表面に被写体保持部材30等が接触するのを避けることができ、板部材305の表面が傷等の損傷を受けることを防いで耐久性を向上させることができる。
被写体台上面板3の回転板302の上であって板部材305を挟むほぼ対称位置には、互いにほぼ平行に形成された長孔306が設けられており、この長孔306には、それぞれ図11等に示す被写体保持部材30を固定するための保持部材固定用ピン307が設けられている。
被写体台上面板3の上には、被写体保持部材30が着脱自在に載置されるようになっている。本実施形態では、同一箇所について複数回撮影が行われるが、被写体保持部材30は、その一連の撮影の間、手指等の被写体が動いたりずれたりしないように被写体の位置を保持・固定するためのものである。
本実施形態では、被写体としての指を固定する指用の被写体保持部材30の他に、脚の膝等が被写体となる場合にこれを固定する膝用の被写体保持部材40を被写体台上面板3の上に載置することができるようになっている。
なお、被写体台上面板3の上に載置可能な被写体保持部材は、ここに例示したものに限定されない。各種の被写体保持部材を用意して、撮影部位や被写体の状態(例えば患者の指の曲がり具合)等に応じて最も撮影に適した位置、角度で被写体を固定できる被写体保持部材を適宜選択できるようにしてもよい。
図11は、指用の被写体保持部材30を示す斜視図である。なお、図11では、被写体である指及びこれに繋がる手全体を二点鎖線で示している。
図11に示すように、指用の被写体保持部材30は、ベース部材31と、ベース部材31に連設される指固定機構部32とを備えている。なお、指用の被写体保持部材30は、左右の指に共通で使用できる形状となっている。
ベース部材31における手挿入方向手前側(図11において右側)には、被写体である指に繋がる手を安定させるための手保持部311が設けられている。手保持部311は、手首及び手の平部分を載置する手載置部312と、被写体となる指以外の指を掛けることのできる指掛け部313とを備えている。また、手保持部311における手挿入方向手前側(図11において右側)には、手首を固定するベルト314が設けられている。
指固定機構部32は、被写体である指を固定する指ホルダユニット321と、指ホルダユニット321の各部を動作させるための駆動ユニット部322とを備えている。
図12は、図11の被写体保持部材30の指ホルダユニット321の要部拡大斜視図であり、図13は、図12の指ホルダを締めた状態を示した要部拡大斜視図である。
図12及び図13に示すように、指ホルダユニット321は、上下方向から指を挟み込んで押える指ホルダ323と、この指ホルダ323の側部に設けられた、板状ガイド部材324と、指ホルダ323を下面側から支持するとともに、指ホルダ323を指の延在方向に沿って案内するガイドレール部材327とを有している。
なお、ここでは被写体保持部材30が指ホルダユニット321を1つ備え、指を1本だけ保持する構成のものを例示するが、指ホルダユニット321を複数並べれて配置すれば、被写体保持部材30に複数本の指を一度に保持して撮影を行うことも可能である。
指ホルダ323は、下側の下部ホルダ部材323aとこの下部ホルダ部材323aに上側から被せられ下部ホルダ部材323aと嵌り合うように構成された上部ホルダ部材323bとを備えて構成されている。
下部ホルダ部材323aは、上面及び指の挿入方向手前側が開口した箱状の部材である。
下部ホルダ部材323aの内部下側には、指を載置する指載置部323eが設けられている。指載置部323eには、指に沿うように窪みが設けられていることが好ましい。また、指載置部323eは、挟み込まれる指に負担が掛からないようにある程度の柔軟性を有する樹脂等で形成されていることが好ましい。指載置部323eの横幅は、下部ホルダ部材323aの側壁と指載置部323eとの間に僅かな隙間ができるように、下部ホルダ部材323aの横幅よりも僅かに狭くなっている。
下部ホルダ部材323aの外側面には、ほぼ水平方向に配置された2つの係止突起323cが設けられている。また、上部ホルダ部材323bの外側面には、ほぼ水平方向に配置された2つの係止突起323dが設けられている。
上部ホルダ部材323bは、下面及び指の挿入方向手前側が開口した箱状の部材である。
上部ホルダ部材323bの側壁は外側壁323fと外側壁323fよりも高さ方向の長さの長い内側壁323gとで構成されている。内側壁323gは、下部ホルダ部材323aの側壁と指載置部323eとの間の隙間に入り込むようになっており、これにより、下部ホルダ部材323aと上部ホルダ部材323bとが嵌り合うようになっている。
板状ガイド部材324の下側であって下部ホルダ部材323aの係止突起323cに対応する位置には、それぞれ長孔324aが形成されている。また、当該長孔324aの上方であって、上部ホルダ部材323bの係止突起323dに対応する位置には、指挿入方向の奥側から手前側に向かって下向きに傾斜する長孔324bがそれぞれ設けられている。各長孔324aには係止突起323cが長孔324aに沿って移動可能に係止され、各長孔324bには係止突起323dが長孔324bに沿って移動可能に係止されている。
板状ガイド部材324には、駆動ユニット部322内の図示しない巻き上げ機構に連結されたワイヤ326が接続されている。板状ガイド部材324は、ワイヤ326の巻き上げに応じて、各長孔324a,324bにそれぞれ係止突起323c,323dが係止された状態で、指ホルダ323の外側面に沿ってスライド移動可能となっている。
図12に示すように、各長孔324bの最も高い位置に上部ホルダ部材323bの係止突起323dが位置しているときには、上部ホルダ部材323bは、下部ホルダ部材323aの上方に位置して指ホルダ323内の上下方向の幅が広く保たれた状態(すなわち、指ホルダ323内の指が自由に動ける状態)となる。また、ワイヤ326の巻き上げによって板状ガイド部材324がスライド移動すると、上部ホルダ部材323bの係止突起323dが各長孔324bの中を下方向に案内されていく。これにしたがって上部ホルダ部材323bが下方向に押し下げられ、上部ホルダ部材323bの内側壁323gが、下部ホルダ部材323aの側壁と指載置部323eとの間の隙間に入り込むことで下部ホルダ部材323aと上部ホルダ部材323bとが徐々に嵌り合う。そして、図13に示すように、係止突起323dが各長孔324bの最も低い位置に位置したときに、上部ホルダ部材323bの外側壁323fの下端面が、下部ホルダ部材323aの側壁の上端面と接する位置まで下降する。このとき、指ホルダ323内の上下方向の幅は最も狭くなり、指ホルダ323内の指がきつく挟み込まれた状態となる。
また、指ホルダ323には、駆動ユニット部322内の図示しない巻き上げ機構に連結されたワイヤ(図示せず)が接続されている。指ホルダ323は、ワイヤの巻き上げに応じて、ガイドレール部材327に沿って指の延在方向にスライド移動可能となっている。
図14は、ワイヤの巻き上げによって、指ホルダ323を指先方向(図14において左側)にスライド移動させた状態を示している。指ホルダ323に指を挟みこんだ状態で指ホルダ323を指先方向にスライド移動させることにより、被写体である指が指の延在方向に引き伸ばされ、関節軟骨を撮影しやすい状態とすることができる。
ガイドレール部材327の下部には、駆動ユニット部322に設けられている昇降アーム322aの上端が連結されている。
図15は、図11の被写体保持部材30の指ホルダユニット321に角度をつけた状態を示す斜視図である。
昇降アーム322aは、例えば、螺旋状に連続的に歯が切られた「ウォーム」(「ねじ歯車」)と、円盤の側面に「ウォーム」の歯と噛み合う円弧状の歯が切られた「ウォームホイール」とを備えるウォームギアシステムによって、昇降動作を行う。
昇降アーム322aが上方向に突出するに伴って、指ホルダユニット321がほぼ水平である状態から指の先端側が指の根元側よりも高い位置となるように徐々に傾斜する。これにより、指ホルダ323に保持されている指に所望の角度をつけることができる。
なお、昇降アーム322aを昇降させる機構は、ここに例示したものに限定されない。
関節軟骨は見えにくく、骨の裏側に重なり合うと画像として現れない等、僅かな角度の違いによって見えたり見えなかったりする。この点、指に適宜角度をつけることにより、三次元的な指のポジショニングを行うことができる。
駆動ユニット部322には、3段で構成された操作ボタン322bが設けられている。本実施形態では、操作ボタン322bはユーザが手動で回転操作を行うことで各種設定を行うダイヤルとなっており、それぞれが1又は複数の歯車やワイヤ326等と接続されている。
本実施形態において、操作ボタン322bのうちのいずれか1段は、ワイヤ326と接続され、操作ボタン322bを回転操作することでワイヤ326を巻き上げ、板状ガイド部材324を指の先端側に引っ張るようになっている。これにより、指ホルダ323による指の締め付け具合が調整される。
また、操作ボタン322bのうちの他の1段は、指ホルダ323に接続されているワイヤと接続され、操作ボタン322bを回転操作することでワイヤを巻き上げ、指ホルダ323をガイドレール部材327に沿って指の先端側に引っ張るようになっている。これにより、指ホルダ323に保持された指が指の延在方向に伸ばされる。
さらに、操作ボタン322bのうちの他の1段は、昇降アーム322aを動作させるウォームギアシステムに接続されており、操作ボタン322bを回転操作することで昇降アーム322aを昇降動作させる。これにより、指ホルダ323の角度が調整される。
なお、操作ボタン322bの構成、配置等は、これに限定されない。
本実施形態では、このように、指ホルダ323による指の締め付け具合の調整と、指ホルダ323による指の引っ張り具合の調整と、指ホルダ323の角度の調整とを1箇所に設けられた操作ボタン322bの各段をそれぞれ順番に調整することで行うことができるようになっている。このため、患者の指の固定を迅速に行うことができる。
なお、リウマチ等の症状が進んでいる場合、指を引っ張ることは痛みが激しく患者に負担を強いることになるため、指を固定する手順としては、まず指を締め付け、その後、撮影したい患部の位置や状況に応じて指ホルダ323に角度を付け、これのみでは十分に撮影に適した状態に固定できないと判断される場合に、さらに指を挟みこんだ状態で指ホルダ323を指先方向に引っ張り指の関節を伸ばすようにすることが好ましい。撮影したい患部の位置や状況によっては、指を引っ張るにしても引っ張る角度や方向によって関節部分の見え方が変わってしまう場合もある。この意味でも、指ホルダ323の角度調整を行った後に指を引っ張ることが効果的である。
また、駆動ユニット部322には、操作ボタン322bによって操作、設定された指の固定状態を解除する解除ボタン322cが3つ設けられている。
各解除ボタン322cは、操作ボタン322bの各段にそれぞれ対応しており、例えば、指ホルダ323による指の締め付け具合を調整する操作ボタン322bに対応する解除ボタン322cが押下されると、指ホルダ323による指の締め付けが解除され、指ホルダ323による指の引っ張り具合を調整する操作ボタン322bに対応する解除ボタン322cが押下されると、指ホルダ323による指の引っ張りが解除され、指ホルダ323の角度を調整する操作ボタン322bに対応する解除ボタン322cが押下されると、指ホルダ323を水平状態に戻すことができる。
なお、解除ボタン322cの構成、配置等は、これに限定されない。全ての指固定を1度で解除できるような解除ボタンを設けてもよい。
図16は、膝用の被写体保持部材40を示す平面図であり、図17は、被写体保持部材40の上に患者の足を載置した状態を示す平面図である。
図16に示すように、膝用の被写体保持部材40は、保持部材本体41と、保持部材本体41を固定するためのベルト42を備えている。なお、被写体保持部材40は図示しない固定部材により被写体台13に固定されている。
保持部材本体41は、樹脂等で形成された袋状の部材の内部に、開口413を介して、樹脂で形成された細かい小粒体(図示せず)を充填し、しかる後、蓋413aにて閉成したものである。
袋状の部材を形成する材料は、気体を通さないものであれば特に限定されない。また、内部に充填される小粒体は、袋状の部材の内部の空気を抜いていったときに、互いに隙間を埋め合って位置が固定されるものであればよく、特にその材料、形状等は限定されない。例えば、ある程度粒の細かい各種のペレット、ビーズ等を、保持部材本体41の内部に充填される小粒体として適用することができる。なお、小粒体はいくつかの袋に小分けされて当該袋ごと保持部材本体41の内部に入れられてもよい。
保持部材本体41のほぼ中央であって、膝部分にあてがわれる部分は開口部411となっており、X線の照射が阻害されないようになっている。
保持部材本体41には数箇所に仕切り部412が設けられている。仕切り部412は、袋状の部材の内部を溶着する等により設けられており、小粒体が袋状の部材の内部で偏ることを防止している。
また、保持部材本体41には、図示しない吸引口が設けられ、保持部材本体41内部の空気を吸引する際には、図示しないポンプ等がこの吸引口に接続される。更に、ポンプにより空気を吸引した後、空気が保持部材本体41の内部に逆流しないように吸引口には逆止弁が接続されている。なお、吸引口は、ポンプ等が接続しやすい位置に適宜設けられる。
保持部材本体41には、保持部材本体41を仮固定するための仮止部材43が設けられていることが好ましい。仮止部材43は、例えば雄或いは雌の起毛群よりなる面ファスナー(例えば、マジックテープ(登録商標)、ベロクロファスナー)であり、患者の膝に装着した際、内側となる面(患者の脚に接する面)及び患者の膝に装着した際にこれに対応する位置に、それぞれ縫着等により取り付けられている。なお、仮止部材43を患者の膝に装着した際に内側となる面(患者の脚に接する面)のみに設けて、これを保持部材本体41の表面に直接仮止めする構成としてもよいが、保持部材本体41の表面状態によっては、前記面ファスナーとの係合力が充分には得られない場合もあるため、対応する位置にそれぞれ雌或いは雄の被仮止部材を設けて、係合力を確保することが好ましい。
仮止部材43を設けることにより、ベルト42によって保持部材本体41を固定する前に、保持部材本体41を仮固定し、位置等の微調整を行うことができるので好ましい。
被写体保持部材40を使用する際は、図17に示すように、患者の足を膝が開口部411の上に位置するように保持部材本体41に載置する。そして、図18(a)に示すように、保持部材本体41の脚に巻きつけて、ベルト42により固定する。なお、必要に応じて、ベルト42による固定の前に仮止部材43により仮固定を行って、膝の位置や角度を調整する。また、膝を固定する際には、図18(b)に示すように、膝の裏側に、膝の角度を所定の角度に保つための膝保持部材45をあてがうことが好ましい。膝は120度程度の角度にしたときに最も撮影に適した状態となるため、膝保持部材45は、膝の角度を120度程度に固定する形状であることが好ましい。膝を単に曲げた状態で載置するだけでは安定しないが、このように膝保持部材45をあてがうことにより、所定の角度を保ったまま膝を安定させることができる。
さらに、膝の関節が撮影に適した位置、角度となるようにポジショニングをした上で、この状態で、吸引口にポンプ等を接続し、保持部材本体41内部の空気を抜くと、内部に充填されている小粒体が互いに隙間を埋め合って位置が固定され、硬く締まって保持部材本体41の形状を維持する。
図19は、保持部材本体41の内部の空気が抜かれて、保持部材本体41が硬化した状態を示した図である。図19では、保持部材本体41の内部の小粒体が袋状の部材に押し付けられて、小粒体による凹凸が袋状の部材の表面に浮き出している。この状態において、保持部材本体41内に保持された患者の脚(特に被写体となる膝部分)は、ポジショニングされた位置や角度のまま、被写体保持部材40によって固定される。なお、この固定状態において、図18(a)に示すように、膝の裏側には開口部411が配置され、膝の表側には保持部材本体41及びベルト42が掛からないため、X線撮影装置1aによる撮影の際、膝部分へのX線の照射が阻害されない。
このような被写体保持部材40によれば、ポンプにより保持部材本体41内部の空気を吸引するだけで膝の固定を行うことができるため、ポジショニングから撮影開始までの時間が短くすることができる。また、膝の関節に適宜角度をつけた状態で足を固定することができるため、三次元的な膝のポジショニングを行うことができる。さらに、膝を含む脚全体を保持部材本体41で包みこむようにして固定し、保持部材本体41が面で患者の脚に密着するようになっているため、患者が締め付けによる痛み等を感じにくくなっている。
なお、ここでは、指用の被写体保持部材30及び膝用の被写体保持部材40が手動で被写体の固定を行う場合を例としたが、指用の被写体保持部材30や膝用の被写体保持部材40による固定は手動による場合に限定されない。
例えば、指用の被写体保持部材30の場合、ワイヤの巻き上げを行うモータ等の駆動機構を設けて、これを走査型タルボ装置1の制御部181等の制御装置と接続し、駆動機構のON/OFFを自動的に制御してもよい。この場合、例えばモータ回転量を把握し、患者毎に走査型タルボ装置1に記憶させておいてもよい。リウマチ等、経過観察が重要な疾患については、毎回同一条件で撮影を行うことが必要となるところ、このようにモータ回転量を患者毎に記憶させておけば、例えば、過去に撮影を行った患者のIDが入力されると、前回撮影時と同じ回転量だけモータを回転させることで、前回と同じポジショニングを自動的に行うことができる。
また、例えば、膝用の被写体保持部材40の場合、保持部材本体41内部の空気を吸引するポンプを走査型タルボ装置1の制御部181等の制御装置と接続し、ポンプのON/OFFを自動的に制御してもよい。
また、ここでは、被写体保持部材30を指用の保持部材としたが、被写体保持部材30に設けられている指ホルダ323の大きさを変えて、肘関節や膝関節等、他の関節部分を保持する保持部材として適用してもよい。また、被写体保持部材40を膝用の保持部材としたが、被写体保持部材40は膝用に限定されず、肘関節等を固定するために用いてもよい。さらに、保持部材本体41の大きさを小さくすれば、指の関節等を固定する保持部材として適用することも可能である。
図20は、X線撮影装置1aの本体部18の要部構成を示すブロック図である。
図20に示すように、X線撮影装置1aの本体部18は、制御部181、操作部182、表示部183、通信部184、記憶部185等を備えて構成されている。
操作部182は曝射スイッチや撮影条件等の入力操作に用いるキー群の他、表示部183のディスプレイと一体に構成されたタッチパネルを備え、これらの操作に応じた操作信号を生成して制御部181に出力する。
表示部183は制御部181の表示制御に従って、ディスプレイに操作画面やX線撮影装置1aの動作状況等を表示する。
通信部184は通信インターフェイスを備え、ネットワーク上のコントローラー5と通信する。例えば、通信部184はX線検出器16によって読み取られ、記憶部185に記憶されたモアレ画像をコントローラー5に送信する。
記憶部185は、制御部181により実行されるプログラム、プログラムの実行に必要なデータを記憶している。また、記憶部185はX線検出器16によって得られたモアレ画像を記憶する。
制御部181は、CPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Memory)等から構成され、記憶部185に記憶されているプログラムとの協働により、各種処理を実行する。制御部181は、本体部18外の各部(例えば、X線源11、X線検出器16、駆動部150、X線源格子調整部125、第1格子調整部143、第2格子調整部151等)に接続されており、X線撮影装置1aの各部を制御する。例えば、制御部181は、コントローラー5から入力される撮影条件の設定情報に従って、X線源11からのX線照射のタイミングやX線検出器16による画像信号の読取タイミング等を制御する。
また、本実施形態では、制御部181は、回折格子ユニット140を移動させる駆動部150により第1格子14及び第2格子15(複数の格子)を所定の移動量P1移動せしめる毎に、X線検出器16によって画像信号を読取り、これをn回繰返してn個のモアレ画像を生成するように制御する画像取得制御手段として機能する。
より具体的には、X線源格子12と第1格子14及び第2格子15との第1の相対位置関係において(すなわち、複数の格子の第1の相対位置関係)、所定の移動量P1の移動毎にX線検出器16によって画像信号を読取り、n個の第1群のモアレ画像を生成せしめ、然る後に、駆動部150を動作させて、X線源格子12と第1格子14及び第2格子15とを第1の相対位置関係とは異なる第2の相対位置関係とせしめ、再度、所定の移動量P1の移動毎にX線検出器16によって画像信号を読取り、n個の第2群のモアレ画像を生成せしめるように、装置各部を制御する。
また、本実施形態において、制御部181は、上述の指用の被写体保持部材30又は膝用の被写体保持部材40を用いて被写体のポジショニングを完了した後、本撮影を行う前に、ポジショニングの適否確認のためのプレ撮影を行うようにX線源11、X線検出器16等を制御する。
このプレ撮影はポジショニングを確認するだけのものであるため、通常のX線撮影と同様に骨等が正しい位置に写っているか否かが確認できればよい。このため、撮影回数は1回でよく、X線源11から照射させるX線の線量は少なくてよい。例えば、本撮影=1とした場合(臨床機での実質線量は約5mGy)に、プレ撮影=1/25〜1/20(臨床機での実質線量は約0.2mGy)であることが好ましい。
なお、X線源11の管電圧を通常の撮影時よりも高くして撮影することが好ましい。例えば、本撮影における管電圧が40KV(又は50KV)である場合、プレ撮影における管電圧は、これと同じでも良いが、60KV等、本撮影の場合よりも高管電圧とすることが好ましい。X線源11の管電圧を上げた場合、被写体へのX線透過量を上げることができるため、撮影時間を短くすることができ、患者への負担を軽減することができる。
なお、上述の指用の被写体保持部材30においてワイヤの巻き上げをモータ等の駆動機構により行い、駆動機構の動作を制御部181等の制御装置により制御することとした場合や、膝用の被写体保持部材40において保持部材本体41内部の空気を吸引するポンプを制御部181等の制御装置により制御することとした場合には、プレ撮影により取得された画像の解析結果からポジショニングが適切でないと判断される場合に、その結果をフィードバックして、被写体保持部材30における駆動機構や被写体保持部材40におけるポンプを動作させて、患者の撮影部位(被写体である患部)の角度や固定状態等を自動的に調整できるように構成してもよい。
コントローラー5は、オペレーターによる操作に従ってX線撮影装置1aの撮影動作を制御し、X線撮影装置1aにより得られたモアレ画像を用いて縞走査法により被写体の再構成画像を作成するコンピュータ装置である。
本実施形態では、コントローラー5は、X線撮影装置1aの制御部181において生成されたn個の第1群のモアレ画像及びn個の第2群のモアレ画像に基づいて、被写体の再構成画像を生成する画像処理手段として機能する。
具体的には、コントローラー5は、1組目の撮影において生成されたn個(本実施形態では3個)の第1群のモアレ画像と2組目の撮影において生成されたn個(本実施形態では3個)の第2群のモアレ画像のうち、格子の欠損の影響を含まない画素情報(画素値)に基づいて被写体の再構成画像を生成する。
再構成画像としては、例えば、吸収画像、微分位相画像、小角散乱画像の3種類の被写体の再構成画像が生成される。
吸収画像(X線吸収画像)は、モアレ縞の平均成分を画像化したものであり、被写体によるX線減衰量に応じてコントラストが付く。従来から診断に用いられており、医師等の医療従事者にとってなじみのある画像である。X線の吸収コントラストがつきやすい骨部の描写に優れている。
微分位相画像は、モアレ縞の位相情報を画像化したものであり、被写体によるX線波面の傾き量に応じてコントラストが付く。吸収画像よりも軟部組織の描写に優れている。
小角散乱画像は、モアレ縞のVisibilityを画像化したものであり、被写体によるX線散乱に応じてコントラストが付く(参照文献3:Distribution of unresolvable anisotropic microstructures revealed in visibility-contrast images using x-ray Talbot interferometry Wataru Yashiro et.al. PHYSICAL REVIEW B 84, 094106 (2011)参照。)。吸収画像よりも微細構造の描写に優れている。
上記3種類の再構成画像は、例えば、参照文献4(国際公開第2012/029340号公報)に記載のように、公知の手法により生成することができる。
まず、被写体有りのモアレ画像と被写体無しのモアレ画像に、オフセット補正処理、ゲイン補正処理、欠陥画素補正処理、X線強度変動補正等が施される。次いで、補正後の被写体有りのモアレ画像に基づいて、被写体有りの3種類の再構成画像(吸収画像、微分位相画像、小角散乱画像)が生成される。また、補正後の被写体無しのモアレ画像に基づいて、被写体無しの3種類の再構成画像(吸収画像、微分位相画像、小角散乱画像)が生成される。
具体的には、複数のモアレ画像のモアレ縞を加算することにより吸収画像が生成される。また、縞走査法の原理を用いてモアレ縞の位相が計算され、微分位相画像が生成される。また、縞走査法の原理を用いてモアレ縞のVisibilityが計算され(Visibility=振幅×平均値)、小角散乱画像が生成される。
そして、生成された被写体有りの再構成画像に対し、同種の被写体無しの再構成画像を用いて(例えば、被写体有りの小角散乱画像に対し、被写体無しの小角散乱画像を用いて)、モアレ縞の位相の除去と、画像ムラを除去するための補正処理が行われ、最終的な診断用の3種類の再構成画像が生成される。
なお、本実施形態では被写体の再構成画像を生成する画像処理手段としてコントローラー5を用いた例を説明するが、X線画像に様々な画像処理を施す専用の画像処理手段をX線撮影装置1aと接続し、当該画像処理手段により再構成画像の作成を行うこととしてもよい。
次に、本実施形態における画像生成方法について説明する。
本実施形態の走査型タルボ装置1を用いて撮影を行う場合には、まず指用の被写体保持部材30又は膝用の被写体保持部材40を用いて患者の手指や膝の関節等、撮影対象となる被写体部分についてポジショニングを行い、被写体台13の上に固定する。そして、本撮影を行う前に、通常のX線撮影における1回分程度の弱い線量のX線をX線源11から照射させ、プレ撮影を行う。このプレ撮影において撮影された骨の位置等から被写体のポジショニングの適否を確認し、ポジショニングが適切でない場合には、ポジショニングの調整を行う。また、ポジショニングが撮影に適した正しいものとなっている場合には、そのまま本撮影を行う。
ここで、図21を参照しつつ、走査型タルボ装置1による本撮影、すなわち、タルボ・ロー干渉計によるX線撮影の原理について説明する。なお、図21ではX線源格子12を備えないタルボ干渉計の例を示しているが、本実施形態のようにX線源格子12を備えるタルボ・ロー干渉計でも下記の撮影原理は同様である。
図21に示すように、X線源11から照射されたX線が第1格子14を透過すると、透過したX線がz方向に一定の間隔で像を結ぶ。この像を自己像といい、自己像が形成される現象をタルボ効果という。自己像を結ぶ位置に第2格子15が自己像と概ね平行に配置され、第2格子15を透過したX線によりモアレ画像(図21においてMoで示す)が得られる。X線源11と第1格子14間に被写体(図21においてHで示す)が存在すると、被写体によってX線の位相がずれるため、図21に示すようにモアレ画像上のモアレ縞は被写体の辺縁を境界に乱れる。このモアレ縞の乱れを、モアレ画像を処理することによって検出し、被写体像を画像化することができる。これがタルボ干渉計の原理である。
本実施形態のX線撮影装置1aでは、X線源11と第1格子14との間のX線源11に近い位置に、X線源格子12が配置され、タルボ・ロー干渉計によるX線撮影が行われる。タルボ干渉計はX線源11が理想的な点線源であることを前提としているが、実際の撮影にはある程度焦点径が大きい焦点が用いられるため、X線源格子12によってあたかも点線源が複数連なってX線が照射されているかのように多光源化する。これがタルボ・ロー干渉計によるX線撮影法であり、焦点径がある程度大きい場合にも、タルボ干渉計と同様のタルボ効果を得ることができる。
タルボ・ロー干渉計において、タルボ効果とロー効果によるモアレ縞を効果的に形成するためには、以下の(1)〜(3)の条件を保つ又は近い条件が必要である(参照文献5:W.Yashiro et al.,Efficiency of capturing a phase image using cone-beam x-ray Talbot interferometry.Opt.Soc.Am.,25,2025,2008.)
(1)タルボ効果で、第1格子14の自己像が第2格子15の面上に現れる条件
Figure 0006191136
(2)第1格子14の自己像をモアレ縞に変換するため、自己像周期と第2格子15の周期(スリット周期)を一致させる条件
Figure 0006191136
(3)第1格子14の各スリットの開口部を仮想的な光源とみなし、それら仮想光源による自己像が第2格子15の格子面上で重なる条件
Figure 0006191136
ここで、dはX線源格子12の周期、dは第1格子14の周期、dは第2格子15の周期である。RはX線源格子12から第2格子15までの距離である。λはX線の波長である。pはタルボ次数であり、αは第1格子14の型により決まるものである。第1格子14の種類によってpとαは異なる。これらの代表例を以下に示す。
Figure 0006191136
ここで、nは正の整数である。
上記(1)〜(3)の拘束条件より、X線源格子12、第1格子14、第2格子15の周期の関係は以下の(式4)となる。
Figure 0006191136
本願発明者は、上記の関係からタルボ・ロー干渉計で形成されるモアレ縞の位相シフトΦは以下の(式5)で表せることを見出し、実験的に確認した。
Figure 0006191136
ここで、lはX線源格子12の移動量、lは第1格子14の移動量、lは第2格子15の移動量である。
この(式5)を用いることで、複数格子を移動させた際のモアレ縞の位相シフト量Φを算出することができる。
縞走査法の原理から、一連の撮影のうちkステップ目(k枚目。k=0、1、2・・・)に撮影された画像におけるモアレ縞の位相シフト量Φの目標値は以下の(式6)となる。
Figure 0006191136
ここで、Mは縞走査回数(移動走査の回数、撮影毎にモアレ縞の位相を2π/Mずつ変化させて撮影する回数(全ステップ数))である。
そのため、下記(式7)を満たすようにkステップ目の各格子の格子移動量(撮影開始前の基準位置からの相対移動量)m0k、m1k、m2kを設定すればよい。m0kはX線源格子12の格子移動量、m1kは第1格子14の格子移動量、m2kは、第2格子15の格子移動量である。
Figure 0006191136
上記(式7)は、各格子の撮影間の移動量が一定でない場合にも対応している。つまり、駆動部150等の機構変動等で格子が変動した場合に、格子(複数の格子でもよい)の移動量を調整することで、理想的なモアレ縞の位相にすることができる。
撮影間の格子移動量を一定として簡略化して考えると、以下の(式8)を満たすように撮影間の各格子の相対移動量l、l、lを設定すればよい。
Figure 0006191136
本実施形態では、第1格子14と第2格子15とを同方向に同量移動させるG1G2移動法により撮影を行う。
このように、第1格子14と第2格子15を動かす場合(G1G2移動法)、l=0であるので、撮影間のモアレ縞位相シフトΦは以下の(式9)で与えられる。
Figure 0006191136
ここで、第1格子14と第2格子15を同方向に同量移動させ、その移動量をlとすると、撮影間のモアレ縞の位相シフトΦは、(式9)及び(式4)より
Figure 0006191136
となる。これらから第1格子14及び第2格子15間の移動量lは縞走査の原理に基づいて下記(式11)により与えられる。
Figure 0006191136
これは、第1格子14と第2格子15を同方向に同量移動させるG1G2移動法の場合、X線源格子12のみを移動させる方法(G0移動法と呼ぶ)と移動量が同じで移動方向が逆であることを示している。
すなわち、第1格子14と第2格子15を動かす場合(G1G2移動法)において、例えば走査回数が3回である場合には、X線源格子(G0格子)のスリット周期(格子周期)d(μm)を3で除した距離が、第1格子14及び第2格子15の1回の移動量(これを「所定の移動量P1」という)となる。
なお、縞走査法においてモアレ縞を生じさせるためには、(式11)で示されるずれが存在していればよく、この移動量にスリット周期(格子周期)dの整数倍となる距離を加算した量を「所定の移動量P1」としても、同様にモアレを生じさせることができる。
次に、本実施形態における具体的な画像生成方法について説明する。
前述のように、本実施形態では、n個の第1群のモアレ画像及びn個の第2群のモアレ画像に基づいて、被写体の再構成画像が生成される。
本実施形態の画像生成方法は、このように、再構成画像を生成するために2組のn個のモアレ画像を用いることにより、複数の格子(すなわち、X線源格子12、第1格子14、第2格子15)のうちのいずれかに欠損が生じている場合でも、当該欠損に起因する再構成画像におけるアーチファクト(偽像、画像欠陥)を補正することができるものである。
格子の欠損(図22(a)から図22(c)等において格子の欠損箇所をBaとして示す)とは、図22(a)に示すように、格子構造の一部が倒れていたり、潰れていて格子として機能しない部分や、図22(b)に示すように、一部の格子が抜けていたり、割れていて格子構造が存在しない部分や、図22(c)に示すように、複数の小格子を貼り合わせて大サイズの格子を形成した場合に張り合わせ箇所に生じる格子構造の存在しない部分等をいう。なお、図22(a)から図22(c)では、第2格子15(G2格子)に欠損がある例を示しているが、X線源格子12(G0格子、マルチスリット)や第1格子14(G1格子)に欠損がある場合も同様である。
X線源格子12(G0格子、マルチスリット)や第1格子14(G1格子)、第2格子15(G2格子)には、その製造工程等において、格子の一部に偶発的に欠損を生じることがある。
また、視野サイズの拡大のためには格子の大面積化が要請されるところ、複数の小サイズ格子を貼り合わせて複合化することで大サイズ化を図ることが考えられる。特に第1格子14(G1格子)及び第2格子15(G2格子)は、X線源格子12(G0格子)よりも大きく、貼り合わせにより大サイズ化する必要性が高い。しかし、このような複合化格子では、小サイズ格子の貼り合わせ箇所において、小サイズ格子間に隙間が生じてしまい、当該部分は格子構造が抜けた格子の欠損となってしまう。
この点、例えば、3個のモアレ画像に基づいて被写体の再構成画像を生成する場合、図23に示すように、いずれの格子にも欠損が無い場合には、3個のモアレ画像を取得すれば、被写体の再構成画像を得ることができる。
すなわち、例えば、X線源格子12(G0格子、マルチスリット)を他の格子(第1格子14(G1格子)、第2格子15(G2格子))に対して相対的に移動走査させてモアレ画像を取得する場合、図24に示すように、被写体のある状態で、基準位置(初期位置)、1回目の移動後の走査位置、2回目の移動後の走査位置においてそれぞれ1回ずつ合計3回の撮影を行い、3個のモアレ画像(図24(a)から図24(c))を取得する。また、キャリブレーションを行うために、これと同一条件の下において被写体の無い状態で、基準位置(初期位置)、1回目の移動後の走査位置、2回目の移動後の走査位置においてそれぞれ1回ずつ合計3回の撮影を行い、3個のモアレ画像(図24(d)から図24(f))を取得する。
なお、前述のように、縞走査法において、モアレ画像(モアレ縞の現れた画像)を得るためには、各回の移動走査における移動量を、格子の1周期(図8参照)を移動走査の回数で除したものに設定すればよい。例えば、移動走査を3回行う場合には、1回の移動走査における移動量Pは、X線源格子12(G0格子)のスリット周期dを3で割ったd/3となる。
そして、被写体のある状態で撮影されたモアレ画像(図24(a)から図24(c))を、それぞれ対応する被写体の無い状態で撮影されたモアレ画像(図24(d)から図24(f))によってキャリブレーションを行う。そして、キャリブレーション後の3個のモアレ画像に基づいて、被写体の再構成画像(図24(g))を生成する。
しかし、3個のモアレ画像に基づいて被写体の再構成画像を生成する場合であっても、図25に示すように、いずれかの格子に欠損がある場合には、3個のモアレ画像に基づいて生成された被写体の再構成画像には、格子の欠損に起因するアーチファクト(偽像、画像欠陥)が現れてしまう。
すなわち、例えば、上記と同様にX線源格子12(G0格子、マルチスリット)を他の格子(第1格子14(G1格子)、第2格子15(G2格子))に対して相対的に移動走査させてモアレ画像を取得する場合、図25に示すように、第2格子15(G2格子)の一部に格子の欠損があると、欠損箇所Baにおいては、格子構造によるX線の吸収がないため欠損がない画素に比べてカウントが増加する。
図26(a)から図26(c)は、格子に欠損がある場合に、被写体のある状態で、基準位置(初期位置)、1回目の移動後の走査位置、2回目の移動後の走査位置において取得された3個のモアレ画像を示し、図26(d)から図26(f)は、格子に欠損がある場合に、被写体の無い状態で、基準位置(初期位置)、1回目の移動後の走査位置、2回目の移動後の走査位置において取得された3個のモアレ画像を示している。図26(a)から図26(f)に示すように、格子に欠損がある場合には、欠損箇所Baに対応する部分にモアレが発生しない。このため、これらのモアレ画像に基づいて被写体の再構成画像(図26(g))を生成した場合には、小角散乱画像では、モアレ縞の振幅が0に近づくため画欠となる。また、吸収画像では、モアレが発生しなくとも吸収情報は得られるため画欠にはならないが、格子による吸収がなくなる分、周囲の画素値との連続性が失われてしまう。
この点、本実施形態における走査型タルボ装置1では、第1格子14及び第2格子15をX線源格子12に対して相対的に移動させるとともに、図27(a)に示すように、格子の欠損箇所BaがX線検出器16の撮影エリアの中央よりも左側に位置する位置を第1の基準位置(第1の初期位置、X線源格子12と第1格子14及び第2格子15との位置関係が第1の相対位置関係となる位置)としてn個の第1群のモアレ画像を撮影した後、図27(b)に示すように、第1格子14及び第2格子15を、格子の欠損箇所BaがX線検出器16の撮影エリアの中央よりも右側に位置する位置(X線源格子12と第1格子14及び第2格子15との位置関係が第2の相対位置関係となる位置)まで大きく移動させ、この位置を第2の基準位置(第2の初期位置)としてn個の第2群のモアレ画像を撮影する。
なお、n個の第1群のモアレ画像の撮影(1組目の撮影)とn個の第2群のモアレ画像の撮影(2組目の撮影)との間にどの程度第1格子14及び第2格子15を移動させるか、すなわち、上記第2の相対位置関係をどのように設定するかは、格子の欠損箇所Baの位置やx方向における欠損箇所Baの大きさ(すなわち欠損範囲)に応じて決定される。すなわち、1組目の撮影と2組目の撮影とで、X線検出器16の撮影エリアにおける格子の欠損箇所Baの位置が重ならないようにして撮影を行う。
なお、1組目の撮影と2組目の撮影との間に第1格子14及び第2格子15を移動させる方向はx方向に限定されない。例えば、格子の欠損箇所Baがx方向に長く延在している場合には、これと直交するy方向に移動させることが好ましい。
図28(a)から図28(c)は、被写体のある状態で、第1の基準位置(第1の初期位置)、1回目の移動後の走査位置、2回目の移動後の走査位置において取得された3個の第1群のモアレ画像を示し、図28(d)から図28(f)は、被写体の無い状態で、第1の基準位置(第1の初期位置)、1回目の移動後の走査位置、2回目の移動後の走査位置において取得された3個の第1群のモアレ画像を示している。
図28(a)から図28(f)に示すように、第1群のモアレ画像の撮影(1組目の撮影)で得られた画像には、全て図中における左側に、格子の欠損に起因する画像欠陥が現れている。
また、図29(a)から図29(c)は、被写体のある状態で、第2の基準位置(第2の初期位置)、1回目の移動後の走査位置、2回目の移動後の走査位置において取得された3個の第2群のモアレ画像を示し、図29(d)から図29(f)は、被写体の無い状態で、第2の基準位置(第1の初期位置)、1回目の移動後の走査位置、2回目の移動後の走査位置において取得された3個の第2群のモアレ画像を示している。
図29(a)から図29(f)に示すように、第2群のモアレ画像の撮影(2組目の撮影)で得られた画像には、全て図中における右側に、格子の欠損に起因する画像欠陥が現れている。
このため、格子の欠損による影響を含まない、第1群のモアレ画像の撮影(1組目の撮影)で得られた画像の右側部分(図中破線で囲った部分)の画素情報と、第2群のモアレ画像の撮影(2組目の撮影)で得られた画像の左側部分(図中二点鎖線で囲った部分)の画素情報とに基づいて、被写体の再構成画像を生成することにより、図29(g)にしめすような、格子の欠損の影響を受けない、高品質の再構成画像を得ることができる。
なお、図30(a)及び図30(b)に示すように、第1格子14や第2格子15が小サイズ格子を貼り合わせた複合化格子である場合であって格子の貼り合せ箇所に格子の欠損箇所Baが生じている場合にも同様である。
すなわち、図30(a)及び図30(b)に示す第1格子14及び第2格子15は、大面積化及びそれに伴うケラレへの対策として、小サイズ格子を側面視においてほぼ凹部状(「くの字」)となるように貼り合わせている。この場合、小サイズ格子間の間隙が格子の欠損箇所Ba(格子欠損領域)となる。第1格子14及び第2格子15は平行に保たなければモアレ縞が乱れるため、小サイズ格子と小サイズ格子のくの字の貼り合わせ部分の角度は第1格子14と第2格子15とで等しく、第1格子14及び第2格子15それぞれの間隙の位置はX線検出器16上の投影像で一致するように調整される。このため、モアレ画像上では第1格子14における小サイズ格子間の間隙と第2格子15における小サイズ格子間の間隙はほぼ重なり合う。モアレ画像における2つの間隙の影響を合わせた影響領域(格子の欠損の影響を受ける領域)の幅は10〜300um程度である。一方、X線検出器16の画素ピッチは50〜200um程度である。
なお、各格子のサイズは特に限定されないが、例えば、X線源格子12(G0格子)のx方向の幅は10mmである。また、第1格子14(G1格子)は、x方向24mm幅の小サイズ格子を3枚貼り合わせており、各小サイズ格子の貼り合わせ角度(くの字角度)は、178.85度である。また、第2格子15(G2格子)は、x方向30mm幅の小サイズ格子を3枚貼り合わせており、各小サイズ格子の貼り合わせ角度(くの字角度)は、178.85度である。
この場合、まず、図30(a)に示すように第1の基準位置(第1の初期位置)から所定回数n回の撮影を行ってn個の第1群のモアレ画像を取得した後、第1格子14(G1格子)及び第2格子15(G2格子)をx方向に平行移動させる。なお、1組目の撮影と2組目の撮影とで欠損が影響する領域を明確に切り分ける必要があるため、2画素以上間が空くように移動量を設定すべきである。またこの場合は小サイズ格子のくの字貼り合せがある位置で最大限の効果が発揮されるように作られているため、それを大きく逸脱する移動量は許されない。そこでこの場合の移動量は、500〜2000um程度が望ましい。
図31は、走査型タルボ装置1の制御部181により実行されるX線撮影制御処理の流れを示すフローチャートである。X線撮影制御処理は、制御部181と記憶部185に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
図31に示すように、オペレーターにより操作部182の曝射スイッチがON操作されると(ステップS1;Y)、駆動部150により第1格子14及び第2格子15が一体的に移動され、X線源格子12と、第1格子14及び第2格子15とが、第1の相対位置関係となる第1の基準位置(第1の初期位置)から、複数ステップ(本実施形態では3ステップ)の1組目の撮影が実行され、これによりn個(本実施形態では3個)の第1群のモアレ画像が生成される(ステップS2)。
すなわち、駆動部150により、保持部141に保持された第1格子14及び第2格子15が一体的に等間隔毎に複数回移動され、ステップ毎に撮影が行われて、各ステップのモアレ画像が取得される。第1格子14及び第2格子15の移動方向は、X線の照射軸方向と直交し、かつX線源格子12のスリット延伸方向とは異なる方向であればよい。第1格子14及び第2格子15の移動量を最小にする場合は、X線の照射軸方向と直交し、かつX線源格子12のスリット延伸方向と直交する方向に移動させれば良い(X線源格子12のスリット延伸方向をyとするとx方向に移動させる。これを直交走査と呼ぶ)。またX線の照射軸方向と直交し、かつX線源格子12のスリット延伸方向及び直行方向とは異なる方向に移動させても良い(斜め走査と呼ぶ)。これはX線源格子12のスリット延伸方向をyとした場合、x−y平面内のx軸とy軸以外の方向を意味する。x軸から角度θだけ傾けた斜め走査は、直交走査よりも1/cosθ倍の移動量が必要となるが、格子の送り誤差の影響は直交走査より受けにくい。これは送り誤差によるモアレ縞の位相変化が、誤差をトータルの送り量で割ったものであることに比例することから明らかである。本実施形態におけるX線撮影装置1は、簡略化のため直交走査の構成としており、第1格子14及び第2格子15は駆動部15によりx方向に移動される。直交走査の場合、1組目の撮影における第1格子14及び第2格子15の移動量の合計は、X線源格子12のスリット周期1周期分である。
ステップS2においては、被写体台13に被写体を載置した状態(被写体有り)でのX線撮影と被写体台13に被写体を載置しない状態(被写体無し)でのX線撮影が行われ、複数の被写体有りのモアレ画像と被写体無しのモアレ画像が生成される。具体的に、各X線撮影においては、まず、第1格子14及び第2格子15が停止した状態でX線源11によるX線の照射が開始される。X線検出器16ではリセット後、X線照射のタイミングに合わせて電荷が蓄積され、X線の照射停止のタイミングに合わせて蓄積された電荷が画像信号として読み取られる。これが1ステップ分の撮影である。1ステップ分の撮影が終了するタイミングで駆動部150による、保持部141に一体的に保持された第1格子14及び第2格子15の移動が開始され、所定量移動すると停止され、次のステップの撮影が行われる。このようにして、第1格子14及び第2格子15の移動と停止が所定のステップ数分だけ繰り返され、第1格子14及び第2格子15が停止したときにX線の照射と画像信号の読み取りが行われる。
1組目の撮影における各ステップの撮影が終了すると、次に、駆動部150により第1格子14及び第2格子15が、X線源格子12と、第1格子14及び第2格子15とが、第2の相対位置関係となる第2の基準位置(第2の初期位置)に平行移動される(ステップS3)。そして、この第2の基準位置(第2の初期位置)から、複数ステップ(本実施形態では3ステップ)の2組目の撮影が実行され、これによりn個(本実施形態では3個)の第2群のモアレ画像が生成される(ステップS4)。
2組目の撮影における各ステップの撮影が終了すると、本体部18からコントローラー5に、1組目の撮影及び2組目の撮影で得られた各ステップのモアレ画像が送信される(ステップS5)。本体部18からコントローラー5に対しては各ステップの撮影が終了する毎に1枚ずつ送信することとしてもよいし、各ステップの撮影が終了し、全てのモアレ画像が得られた後、まとめて送信することとしてもよい。
図32は、モアレ画像を受信した後のコントローラー5において実行される再構成画像作成処理の流れを示すフローチャートである。
図32に示すように、まずモアレ画像の解析が行われ(ステップS11)、再構成画像の作成に使用できるか否かが判断される(ステップS12)。理想的な送り精度により第1格子14及び第2格子15を一定の送り量で移動できた場合には、1組目の3ステップの撮影及び3ステップの2組目の撮影でそれぞれX線源格子12のスリット周期1周期分のモアレ画像が3枚ずつ得られる。各ステップのモアレ画像は一定周期間隔毎に縞走査をした結果であるので、各モアレ画像の任意の1画素に注目すると、その信号値を正規化して得られるX線相対強度は、図示しないサインカーブを描く。よって、コントローラー5は得られた各ステップのモアレ画像のある画素に注目してX線相対強度を求める。各モアレ画像から求められたX線相対強度がサインカーブを形成すれば、一定周期間隔のモアレ画像が得られているので、再構成画像の作成に使用できると判断することができる。
各ステップのモアレ画像の中にサインカーブを形成できないモアレ画像がある場合、再構成画像の作成に使用できないと判断され(ステップS12;N)、撮影のタイミングを変更して再撮影するよう指示する制御情報がコントローラー5からX線撮影装置1に送信される(ステップS13)。この場合、周期がずれているステップについてのみ再撮影を行うよう指示してもよいし、3ステップ全てについて再撮影し、周期がずれていたステップについてのみずれを修正するように指示してもよい。3ステップ全てのモアレ画像が所定量ずつサインカーブからずれている場合、駆動部150の起動から停止までの間隔を増やすか、或いは減らすように指示してもよい。X線撮影装置1aでは、当該制御情報に従って撮影のタイミングが調整され、図32に示すX線撮影制御処理が再度実行される。
一方、再構成画像の作成にモアレ画像を使用できると判断された場合(ステップS12;Y)、コントローラー5によってモアレ画像が処理され、被写体の再構成画像が作成される(ステップS14)。
この場合、前述の様に、コントローラー5は、1組目の撮影において生成されたn個(本実施形態では3個)の第1群のモアレ画像と2組目の撮影において生成されたn個(本実施形態では3個)の第2群のモアレ画像のうち、格子の欠損の影響を含まない画素情報(画素値)に基づいて被写体の再構成画像を生成する。
なお、このとき、第1群のモアレ画像及び第2群のモアレ画像のいずれでも格子の欠損の影響を含まない画素については、両方の組でそれぞれ再構成した画素値を平均化して再構成画像の生成に用いることが好ましい。これにより、格子の欠損の影響を含まない画素部分については、再構成画像の粒状性を向上させることができる。本実施形態では、2組のモアレ画像群を撮影するが、このように両方の組のモアレ画像のうち格子の欠損の影響を含まない画素については全てのモアレ画像の画素情報を再構成画像の生成に用いることにより、撮影された画像をできるだけ無駄にしないように利用することができる。
以上のように、本実施形態では、複数の格子の第1の相対位置関係において1組目の撮影が行われ、n個(本実施形態では3個)の第1群のモアレ画像が生成された後、複数の格子を第1の相対位置関係とは異なる第2の相対位置関係とせしめて、2組目の撮影が行われて、さらにn個(本実施形態では3個)の第2群のモアレ画像が生成される。そして、コントローラー5は、1組目の撮影において生成されたn個(本実施形態では3個)の第1群のモアレ画像と2組目の撮影において生成されたn個(本実施形態では3個)の第2群のモアレ画像のうち、格子の欠損の影響を含まない画素情報に基づいて被写体の再構成画像を生成するようになっている。
これにより、格子の欠損の影響を受けていない再構成性画像を生成することができ、格子に欠損がある場合でも診断に適した画像を得ることができる。
さらに、本実施形態における画像生成方法によれば、X線検出器16上の視野サイズの3分の1に対応する欠損幅までであれば格子上のどの位置に欠損箇所Baがあっても補正が可能であるため、欠損領域の許容範囲が広がり、格子製造の歩留まりを大幅に向上させることが可能となる。
また、1組目の撮影と2組目の撮影の間の格子の移動量は、複数の格子のうちのいずれかに生じた欠損の幅に基づいて設定されるため、1組目の撮影と2組目の撮影の間に、格子を欠損の幅よりも大きく移動させることができ、1組目と2組目とで、欠損の影響が及ぶ画素の位置が互いに異なる画像を得ることができる。そして、それぞれの組の画像から欠損の影響を含まない画素情報(画素値)を用いて画像を再構成することで、格子の欠損の影響を受けていない高品質の再構成性画像を生成することができる。
また、本実施形態では、複数の格子として、X線源11から照射されたX線を多光源化するX線源格子12がさらに含まれている。これにより、ある程度焦点径が大きい焦点が用いられる場合でも、X線源格子12によってあたかも点線源が複数連なってX線が照射されているかのように多光源化することができ、タルボ効果を得ることができる。そして、このように複数の格子としてX線源格子12を含む場合でも、格子の欠損の影響を受けていない高品質の再構成性画像を生成することができる。
また、本実施形態では、第1の回折格子である第1格子14及び第2の回折格子である第2格子15を同時に移動させる構成としている。これにより、X線源格子12を第1格子14及び第2格子15に対して相対的に移動させる場合に比べ、メンテナンス性、拡張性に優れ、安定して格子を駆動させることが可能となる。
特に、保持部141により第1格子14及び第2格子15を一体的に保持する構成とすることで、これらを移動させるための駆動機構が1つですむようになり、装置構成の簡略化が可能となる。また、狭周期の2つの格子の相対移動を抑え、撮影中及び撮影間の両者の相対的なずれにより再構成画像にのる偽像の強度を小さくすることができる。
なお、上記実施形態は本発明の好適な一例であり、本発明の範囲はこれに限定されない。
例えば、本実施形態では、縞走査方式として、X線源格子、第1格子及び第2格子を備えるタルボ・ロー干渉計を用いた走査型タルボ装置を例として説明したが、走査型タルボ装置に用いられるのはタルボ・ロー干渉計に限定されず、縞走査方式として、X線を回折することによりタルボ効果を生じさせる第1の回折格子である第1格子14と、この第1格子14により回折されたX線を回折する第2の回折格子である第2格子15とを備えるタルボ干渉計を用いた走査型タルボ装置についても本発明を適用することができる。
さらに、走査型タルボ装置は、縞走査方式を用いたものに限定されない。例えば、一次元格子や二次元格子を用いた縞走査不要のフーリエ変換方式や、通常の位相コントラスト方式による撮影を行う走査型タルボ装置に本発明を適用してもよい。
また、本実施形態では、第1格子14及び第2格子15をX線源格子12に対して相対的に移動させる場合を例示したが、移動させる格子はいずれの格子でもよい。例えば、X線源格子12を第1格子14及び第2格子15に対して相対的に移動させてもよく、このように、X線源格子を移動させる構成とした場合にも本発明の画像生成方法を適用することで、格子の欠損の影響を受けていない高品質の再構成性画像を生成することができる。
X線源格子12を移動させる構成としては、例えば、パルス信号に正確に同期して動作するステッピングモータ(パルスモータ)等、高精度の動作制御を行うことのできるモータを用い、モータが駆動すると、当該駆動源の出力を被駆動部であるX線源格子12を含むX線源格子ユニット120の本体まで伝達する伝達系を構成する図示しないボールねじが回転し、X線源格子12を含むX線源格子ユニット120の本体がリニアガイド等にガイドされてx方向に移動するように構成する。
なお、X線源格子12を移動させる駆動源として適用されるステッピングモータとしては、例えば、オリエンタルモーター株式会社製の5相ステッピングモータ(型式:PX533MH-B)等の5相ステッピングモータが望ましく、5相でも高分解能タイプが好ましい。すなわち、一般的には基本ステップ角:0.72°であるが、高分解能タイプでは基本ステップ角:0.36°であり、このようなモータが好適に用いられる。更に、ステップ数を細分化できるマイクロステップによる制御を行うことが好ましい。
また、本実施形態では、第2格子15に格子の欠損がある場合を例示したが、格子の欠損は、第1格子14及び第2格子15等、複数の格子に存在していてもよい。この場合、1組目の撮影と2組目の撮影の間に、格子の欠損を含む全ての格子を、両方の組の撮影において全ての欠損部分が重なり合わない位置まで平行移動させて、これを第2の基準位置(第2の初期位置)とし、当該第2の基準位置(第2の初期位置)から2組目の撮影を開始する。
また、X線源格子12、第1格子14及び第2格子15の全てに格子の欠損が存在する場合でも、本発明の画像生成方法によることができる。
この場合には、図33(a)及び図33(b)に示すように、1組目の撮影と2組目の撮影の間に、X線源格子12、第1格子14及び第2格子15を、両方の組の撮影において全ての欠損部分が重なり合わない位置まで全て平行移動させて、これを第2の基準位置(第2の初期位置)とし、当該第2の基準位置(第2の初期位置)から2組目の撮影を開始する。なお、1組目の撮影と2組目の撮影の間の移動時に、格子間距離と格子面間の相対角にずれが生じるとモアレ周期が乱れ、これが再構成画像において痕跡として残り、画質の低下につながる。特に第1格子14(G1格子)と第2格子15(G2格子)との位置関係が最も感度が高く、画質に影響を与える。このため、格子間距離と格子面間の相対角にずれが生じないように移動させることが必要となる。
また、本実施形態では、被写体の再構成画像を生成するのに必要なn個のモアレ画像を2組撮影し、2n個のモアレ画像を取得して、これに基づき、被写体の再構成画像を生成する場合について説明したが、理論上再構成画像に必要とされるモアレ画像数(撮影回数)「n」に対し、実際に取得するモアレ画像数(実際の撮影回数)を何個とするか(どの程度増加させるか)は、ここで例示した「2n」に限定されない。
実際に取得するモアレ画像数(実際の撮影回数)「m」をm>nである整数となるように各撮影時の格子位置を可変制御して、画像処理手段であるコントローラー5が、このm個のモアレ画像からn個のモアレ画像を抽出して、再構成画像を生成してもよい。
また、本実施形態で示した構成に、さらに以下のような構成が備えられていてもよい。
すなわち、例えば、X線源11と被写体との間にコリメータ等を配置して、各撮影において再構成画像の生成に用いることのできない画素領域(すなわち、格子の欠損の影響を受ける画素領域)については、電磁波をカットするように構成してもよい。このようにすることにより、被写体への余分な被曝を最小限に低減させることができる。
また、撮影部のX線照射口近傍に、CCDカメラ等の撮影手段を設けて、X線照射によるプレ撮影を行う代わりに、CCDカメラ等の撮影手段によって得られた画像に基づいてポジショニングの確認や調整を行うようにしてもよい。この場合、例えば、前もって適切なポジショニングであったときの画像を記憶させておき、当該画像と今回の画像とを重ね合わせてずれがないかを見る。関節部分のポジショニングには三次元的な調整が必要となるが、二次元状の画像においてずれがなければ三次元的にもずれがないものと推定できるため、CCDカメラ等による画像をポジショニングの確認等に用いることができる。なお、CCDカメラ等の撮影手段を2個設けて、xy方向とyz方向等、異なる方向から関節部分を撮影することにより、より確実なポジショニングの確認を行うことが可能となる。
また、上記実施形態では、X線源11、X線源格子12、被写体台13、第1格子14、第2格子15、X線検出器16をこの順に配置(以下、第1の配置と呼ぶ)したが、X線源11、X線源格子12、第1格子14、被写体台13、第2格子15、X線検出器16の配置(以下、第2の配置と呼ぶ)としても、第1格子14及び第2格子15は固定のまま、X線源格子12の移動により、再構成画像を得ることが可能である。
第2の配置においては、被写体の厚み分だけ、被写体中心と第1格子14は離れることになり、上記の実施形態に比べ感度の点でやや劣ることになるが、一方で、被写体への被曝線量低減を考慮すると、当該配置の方が第1格子14でのX線吸収分だけX線を有効に活用していることになる。
また、被写***置での実効的な空間分解能は、X線の焦点径、検出器の空間分解能、被写体の拡大率、被写体の厚さ等に依存するが、上記実施例に於ける検出器の空間分解能が120μm(ガウスの半値幅)以下の場合には、第1の配置よりも第2の配置の方が実効的な空間分解能は小さくなる。
感度、空間分解能、及び、第1格子14でのX線吸収量等を考慮して、第1格子14、被写体台13の配置順をきめることが好ましい。
また、本実施形態では、被写体台13を完全に別体構成としたものを例として説明したが、被写体台13を基台部19等に固定してもよい。この場合には、被写体台13と基台部19との間に緩衝部材等を設けて、被写体台13に加えられた衝撃や振動ができる限り基台部19に伝達されないように構成する。
また、被写体台13は、その高さを患者の体型等に応じて調整できるようにしてもよい。
また、X線検出器16として、バッテリを内蔵し、無線により画像信号を本体部18に出力するケーブルレスのカセッテタイプFPDを用いてもよい。カセッテタイプFPDによれば、本体部18に接続するケーブル類を排除することができ、X線検出器16周辺の更なる小スペース化を図ることができる。小スペース化によって被写体の足下を広く構成し、より患者が接触し難い構成とすることができる。
その他、本発明が本実施形態に限定されず、適宜変更可能であることはいうまでもない。
1 走査型タルボ装置
1a X線撮影装置
5 コントローラー
11 X線源
12 X線源格子
13 被写体台
14 第1格子
15 第2格子
16 X線検出器
17 支柱
18 本体部
19 基台部
30 指用の被写体保持部材
40 膝用の被写体保持部材
181 制御部

Claims (6)

  1. X線を照射するX線源と、
    前記X線の照射軸方向に設けられ、当該X線の照射軸方向と直交する方向に複数のスリットが配列された格子であって、少なくともX線を回折することによりタルボ効果を生じさせる第1の回折格子及び第2の回折格子を含む複数の格子と、
    前記X線の照射軸方向に設けられ、被写体を載置する被写体台と、
    前記X線源により照射され、前記複数の格子及び前記被写体を透過したX線に応じて電気信号を生成する変換素子が二次元状に配置され、当該変換素子により生成された電気信号を画像信号として読み取るX線検出器と、
    前記複数の格子のうちの少なくとも1つを他の格子に対して相対的に移動させる駆動手段と、
    前記駆動手段により前記複数の格子を所定の移動量P1移動せしめる毎に、前記X線検出器によって画像信号を読取り、これをn回繰返してn個のモアレ画像を生成するように制御する画像取得制御手段と、
    生成されたn個のモアレ画像に基づいて再構成画像を生成する画像処理手段と、を有する走査型タルボ装置において、前記複数の格子のうちのいずれかに生じた欠損に起因する前記再構成画像におけるアーチファクトを補正する画像生成方法であって、
    前記複数の格子の第1の相対位置関係において、前記所定の移動量P1の移動毎に前記X線検出器によって画像信号を読取り、n個の第1群のモアレ画像を生成せしめ、
    然る後に、前記駆動手段を動作させて、前記複数の格子を前記第1の相対位置関係とは異なる第2の相対位置関係とせしめ、
    再度、前記所定の移動量P1の移動毎に前記X線検出器によって画像信号を読取り、n個の第2群のモアレ画像を生成せしめ、
    前記画像処理手段が、前記n個の第1群のモアレ画像及び前記n個の第2群のモアレ画像に基づいて、前記再構成画像を生成するものであり、
    該各群の撮影において、前記X線の照射軸に対する複数の格子の相対位置を、該複数の格子の全ての欠損位置が重なり合わない位置を基準位置とし、該基準位置を該各群で異なるものとすることを特徴とする画像生成方法。
  2. 前記第2の相対位置関係は、前記複数の格子のうちのいずれかに生じた欠損の幅に基づいて設定されることを特徴とする請求項1に記載の画像生成方法。
  3. 前記複数の格子には、前記X線源から照射されたX線を多光源化するX線源格子がさらに含まれることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像生成方法。
  4. 前記駆動手段は、前記X線源格子を移動させることを特徴とする請求項3に記載の画像生成方法。
  5. 前記駆動手段は、前記第1の回折格子及び前記第2の回折格子を同時に移動させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の画像生成方法。
  6. X線を照射するX線源と、
    前記X線の照射軸方向に設けられ、当該X線の照射軸方向と直交する方向に複数のスリットが配列された格子であって、少なくともX線を回折することによりタルボ効果を生じさせる第1の回折格子及び第2の回折格子を含む複数の格子と、
    前記X線の照射軸方向に設けられ、被写体を載置する被写体台と、
    前記X線源により照射され、前記複数の格子及び前記被写体を透過したX線に応じて電気信号を生成する変換素子が二次元状に配置され、当該変換素子により生成された電気信号を画像信号として読み取るX線検出器と、
    前記複数の格子のうちの少なくとも1つを他の格子に対して相対的に移動させる駆動手段と、
    前記駆動手段により前記複数の格子を移動せしめ、前記X線検出器によって画像信号を読取り、モアレ画像を生成するように制御する画像取得制御手段と、
    前記画像取得制御手段により生成されたモアレ画像に基づいて再構成画像を生成する画像処理手段と、を有する走査型タルボ装置において、前記複数の格子のうちのいずれかに生じた欠損に起因する前記再構成画像におけるアーチファクトを補正する画像生成方法であって、
    前記画像取得制御手段は、前記駆動手段により前記複数の格子を移動せしめ、前記X線検出器によって画像信号を読取り、m個のモアレ画像を生成するように制御し、
    前記画像処理手段、前記m個のモアレ画像からn(n<mである整数)個のモアレ画像を抽出して、前記再構成画像を生成するものであり、
    該各群の撮影において、前記X線の照射軸に対する複数の格子の相対位置を、該複数の格子の全ての欠損位置が重なり合わない位置を基準位置とし、該基準位置を該各群で異なるものとすることを特徴とする画像生成方法。
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