JP6190577B2 - ヒートポンプの着霜判定方法及びその方法を採用したヒートポンプ - Google Patents
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そして、蒸発器表面への着霜が進行するほど、除霜運転に長い時間を要するので、除霜運転の時間を短縮するには、蒸発器表面への着霜が進行する前に除霜運転を開始するのが有効である。そのため、蒸発器表面への着霜が始まったタイミングを正確に検知することが重要であり、蒸発器表面への着霜が生じたタイミングを検知する方法の具体例が、特許文献1に記載されている。
これは、着霜の進行速度が緩やかな場合、湯の沸き上げ能力の積算平均値が連続して低下しないことがあることによる。
また、湯の沸き上げ能力はあくまで推定値であるため、実際の値と必ずしも一致しているとはいえず、このことによって、蒸発器への着霜を正確に検出できないことがあると考えられる。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされるもので、蒸発器表面への着霜を安定的に検出するヒートポンプの着霜判定方法とその方法を採用したヒートポンプを提供することを目的とする。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係るヒートポンプの着霜判定方法を採用したヒートポンプ10は、蒸発器11、圧縮機12、放熱器13及び膨張弁14が設けられた冷媒循環回路15を備え、蒸発器11で外気から吸収した熱を、放熱器13で放熱して水あるいは空気を加熱する。以下、詳細に説明する。
放熱器13は、貯湯タンク17の下部から放熱器13に送られる水と冷媒循環回路15を流れる冷媒を熱交換して、貯湯タンク17の下部から放熱器13に送られる水を加熱する。放熱器13の通過によって加熱された湯は、湯水循環回路16を介して貯湯タンク17の上部から貯湯タンク17内に流入する。
三方弁19には、三方弁19と貯湯タンク17の下部を接続するバイパス管20が連結され、三方弁19は、放熱器13を通過した湯水の温度に応じて、湯水の行先を切り替える。
このように、放熱器13を通過した湯水の行先を切り替えることによって、貯湯タンク17の上部に低温水が流入するのを防止している。
そして、貯湯タンク17の異なる高さ位置には、複数の温度センサ23が配置され、この複数の温度センサ23には、循環ポンプ18及び三方弁19に接続されたタンク側制御装置24が信号接続されている。タンク側制御装置24は、例えばマイクロコンピュータである。
なお、温度センサ21、22は、蒸発器11、圧縮機12、放熱器13、膨張弁14及び冷媒循環回路15と共にヒートポンプ10の筺体内に収容されている。
蒸発器11は、冷媒の流れに沿って圧縮機12の上流側に配置され、外気から熱を取り込んで液状の冷媒を蒸発させる。蒸発器11の近傍には、蒸発器11による冷媒の蒸発を促進するプロペラファン28が設けられている。そして、蒸発器11には、蒸発器11を通過中の冷媒の温度を計測する温度センサ29(温度センサA)が取り付けられている。
アキュムレータ30によって気液混合状態の冷媒から取り除かれた液体の冷媒は、アキュムレータ30内に蓄えられ、時間の経過に伴って蒸発しガス状となって圧縮機12に流入する。
冷媒循環回路15には、アキュムレータ30の上流側に、圧縮機12に流入する冷媒の温度を計測する温度センサ31(温度センサB)が設けられ、圧縮機12の下流側に、圧縮機12から吐出された冷媒の温度を計測する温度センサ32が設けられている。
また、冷媒循環回路15には、放熱器13から膨張弁14に送られる冷媒と蒸発器11から圧縮機12に送られる冷媒を熱交換する内部熱交換器34が設けられている。冷媒は、膨張弁14を通過することによって温度が低下するため、膨張弁14を通過する前の冷媒は、膨張弁14及び蒸発器11を通過した冷媒に比べて高温である。このため、内部熱交換器34は、放熱器13から膨張弁14に送られる冷媒の熱を蒸発器11から圧縮機12に送られる冷媒に与えることができる。
HP側制御装置36は、例えばマイクロコンピュータであり、温度センサ35の他、温度センサ21、22、29、31、32、膨張弁14、プロペラファン28、圧縮機12及び圧力スイッチ33とタンク側制御装置24とに接続されている。このため、HP側制御装置36及びタンク側制御装置24は、相互に通信可能であり、HP側制御装置36は、温度センサ22の計測温度を取得し、取得した温度センサ22の計測温度を基に、貯湯タンク17の下部から送り出され放熱器13を通過した湯水の行先を決定し、必要に応じてタンク側制御装置24を介して三方弁19に指令信号を送信する。
蒸発器11の表面温度が低下すると、外気温度と湿度によっては、蒸発器11の表面に霜が生じ、蒸発器11における冷媒と外気の熱交換効率が低下する。
なお、除霜運転中、貯湯タンク17の下部から湯水循環回路16に送り出される水は極少量であるので、図2においては、貯湯タンク17の下部から湯水循環回路16に送り出される水の流れの記載を省略している。
具体的には、除霜運転を行わないときには閉じられているバイパス管を、除霜運転を行う際に開いて、圧縮機から吐出されたガス状で高温の冷媒を、直接、蒸発器に供給して蒸発器の表面に生じた霜を除去するものである。
冷媒は、気液混合状態で外部から熱を吸収して蒸発を行っている間、温度が上昇せず、蒸発が終了し全てガス状になった状態で外部から熱を吸収することにより昇温する。
従って、冷媒は、蒸発器11の表面に霜がある場合、蒸発器11の表面に霜がない場合に比べ、蒸発器11を出る際の温度が低くなる。条件1は、この事象を利用して、蒸発器11の表面に霜が生じているのを判定する。
全てがガス状となって蒸発器11を出た冷媒は、内部熱交換器34を通過する際に昇温する。よって、内部熱交換器34が有る場合、内部熱交換器34が無い場合に比べ、温度センサ31の計測温度は高くなる。
そして、気液混合状態で蒸発器11を出た冷媒は、内部熱交換器34を通過中に全てガス状になったとしても、冷媒が全てガス状となって蒸発器11を出た場合に比べ、温度センサ31によって計測される温度が低くなる。
よって、判定対象温度が、予め定められた温度△T1以下で所定時間Pの間維持されると、蒸発器11表面に霜が生じていると判断することができる。
時間Pを設けているのは、蒸発器11表面に霜が生じていない場合でも、判定対象温度≦温度△T1になることが実験的検証によって確認されたためである。除霜運転が行われている間、貯湯タンク17の湯の沸き上げはなされないので、除霜運転は必要以上に行われないのが好ましい。そのため、蒸発器11表面に霜が生じているのを安定的に検出すべく、この時間Pを設けている。
蒸発器11から出た冷媒が気液混合状態の場合、蒸発器11から出た冷媒が100%ガス状である場合に比べ、温度センサ31が取り付けられている位置の管内の圧力は低くなる。そして、温度センサ31が取り付けられている位置の管内の圧力は、蒸発器11から出た冷媒に液体が含まれているか否かに加え、外気温度によっても左右されるため、温度センサ35の計測温度のみだけでなく、温度センサ31の計測温度を加味した値を判断基準にしている。
条件4は考慮せず、条件1と同時に条件3を満たした際に、蒸発器11表面に霜が生じているとの判定を行うようにしてもよく、条件3は考慮せず、条件1と同時に条件4を満たした際に、蒸発器11表面に霜が生じているとの判定を行うようにしてもよい。
温度△T2は、2℃以上13℃以下の範囲であり、本実施の形態では、△T2=7℃である。温度T3は、3℃以上7℃以下の範囲であり、本実施の形態では、T3=5℃である。温度△T2及び温度T3は、ヒートポンプの機種ごとに試験により定められる。
加熱能力は、温度センサ22の計測温度から温度センサ21の計測温度を差し引いた値に、循環ポンプ18の出力値と係数とを乗算することで算出できる。そして、加熱能力はHP側制御装置36(タンク側制御装置24であってもよい)によって算出される。
新たな加熱能力の積算平均値がその前の加熱能力の積算平均値より小さくなるのが1回だけでなく、連続してN回続いたとしているのは、蒸発器11の表面に霜が生じていないときでも、新たに導出した加熱能力の積算平均値がその前に導出した加熱能力の積算平均値より小さくなることがあるためである。
なお、Q=10秒に限定されず、Qとして、5秒以上20秒以下の範囲の時間が設定可能であり、N=3回に限定されず、Nとして、2回以上5回以下の範囲の回数が設定できる。
このため、条件1又は条件2を満たすことによって、蒸発器11に霜が生じたとの判定を行い、条件2を満たしていなくとも、条件1を満たすことで、霜が生じたとの判定を行うようにした。このようにすることによって、結果として、除霜運転の時間を短縮でき、放熱器13による貯湯タンク17の湯の沸き上げ時間を短くすることが可能となった。蒸発器11に生じた霜が少量であると、除霜運転の時間が短くなることによる。
なお、条件1と同時に条件3及び条件4を満たすか、又は条件2を満たすことによって、蒸発器11に霜が生じたとの判定を行うこともできる。
図3、図4は、除霜運転の時間を調べた実験結果を示すグラフであり、図3のX1及び図4のX2が除霜運転を行っていた時間をそれぞれ示している。
図3、図4において、「推定能力」は放熱器の加熱能力の算出値を示し、除霜運転を開始することによって、この「推定能力」の値は急激に低下する。従って、「推定能力」の値が急激に低下したタイミングで除霜運転が開始されている。なお、「推定能力」は、除霜運転の開始を示すために記載したものであるため、図3、図4では、「推定能力」が急激に低下した以降の「推定能力」は記載していない。
そして、「過熱度」は、判定対象温度に当たり、「吸入」の温度から「熱交」の温度を差し引いた値である。
なお、除霜運転は、図3の実験及び図4の実験において、「熱交」の温度が2℃まで上昇したタイミングで終了している。
また、実験の結果、図3、図4のいずれの場合も、蒸発器の表面に霜が生じていると判定されたタイミングで、蒸発器の表面には実際に霜が生じていたことが確認されている。
例えば、ヒートポンプは、室内の温度を調整する空気温調機に使用されるものであってもよい。空気温調機の場合、放熱器の加熱能力とは、室内を暖房する能力であり、放熱器は室内機に設けられ、蒸発器は室外機に設けられることになる。
また、冷媒循環回路に内部熱交換器を設けなくともよい。
そして、条件1のみを蒸発器に霜が生じたと判定する判定基準にすることもできる。
Claims (4)
- 冷媒の流れに沿って圧縮機の上流側に配置され外気から熱を取り込んで液状の該冷媒を蒸発させる蒸発器に、霜が生じたのを検出するヒートポンプの着霜判定方法において、
前記蒸発器内の前記冷媒が流れる流路の長さをL、該流路の該冷媒の入口を0位置、該流路の該冷媒の出口をL位置とし、L/4位置から3L/4位置の間で計測した前記冷媒の温度を前記圧縮機に流入する前記冷媒の温度から差し引いた温度が、予め定められた温度△T1以下で所定時間Pの間維持された際に、前記蒸発器に霜が生じたと判定することを特徴とするヒートポンプの着霜判定方法。 - 冷媒の流れに沿って圧縮機の上流側に配置され外気から熱を取り込んで液状の該冷媒を蒸発させる蒸発器に、霜が生じたのを検出するヒートポンプの着霜判定方法において、
前記蒸発器内の前記冷媒が流れる流路の長さをL、該流路の該冷媒の入口を0位置、該流路の該冷媒の出口をL位置とし、L/4位置から3L/4位置の間で計測した前記冷媒の温度を前記圧縮機に流入する前記冷媒の温度から差し引いた温度が予め定められた温度△T1以下であり、かつ、前記圧縮機に流入する前記冷媒の温度を外気温度から差し引いた温度が予め定められた温度△T2以上であり、かつ、前記外気温度が予め定められた温度T3以下である状態が、所定時間Pの間維持された際に、前記蒸発器に霜が生じたと判定することを特徴とするヒートポンプの着霜判定方法。 - 蒸発器を通過中の冷媒の温度を計測する温度センサAと、圧縮機に流入する前記冷媒の温度を計測する温度センサBとを備え、前記蒸発器で外気から吸収した熱を、放熱器で放熱して水あるいは空気を加熱するヒートポンプにおいて、
前記蒸発器内の前記冷媒が流れる流路の長さをL、該流路の該冷媒の入口を0位置、該流路の該冷媒の出口をL位置とし、前記温度センサAは、L/4位置から3L/4位置の間に配置され、前記温度センサBの計測温度から前記温度センサAの計測温度を差し引いた温度が、予め定められた温度△T1以下で所定時間Pの間維持された際に、前記蒸発器に霜が生じたと判定することを特徴とするヒートポンプ。 - 蒸発器を通過中の冷媒の温度を計測する温度センサAと、圧縮機に流入する前記冷媒の温度を計測する温度センサBと、外気の温度を計測する温度センサCとを備え、前記蒸発器で外気から吸収した熱を、放熱器で放熱して水あるいは空気を加熱するヒートポンプにおいて、
前記蒸発器内の前記冷媒が流れる流路の長さをL、該流路の該冷媒の入口を0位置、該流路の該冷媒の出口をL位置とし、前記温度センサAは、L/4位置から3L/4位置の間に配置され、前記温度センサBの計測温度から前記温度センサAの計測温度を差し引いた温度が予め定められた温度△T1以下であり、かつ、前記温度センサCの計測温度から前記温度センサBの計測温度を差し引いた温度が予め定められた温度△T2以上であり、かつ、前記温度センサCの計測温度が予め定められた温度T3以下である状態が、所定時間Pの間維持された際に、前記蒸発器に霜が生じたと判定することを特徴とするヒートポンプ。
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