JP6189602B2 - 流体圧力調節機構を備えた連続式反応装置、及び、連続式反応装置を用いたβグルカン製造方法 - Google Patents

流体圧力調節機構を備えた連続式反応装置、及び、連続式反応装置を用いたβグルカン製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、粒子を含んだ流体(スラリー)を連続的に送液するとき、その圧力を調節するための流体圧力調節機構を備えた連続式反応装置、及び、連続式反応装置を用いたβグルカン製造方法に関する。特に、有機物、無機物等の粒子を含むスラリー状のものを、連続的に加圧、加熱処理するときに使用するものであり、このための流体圧力調節機構を備えた連続式反応装置、及び、連続式反応装置を用いたβグルカン製造方法に関する。
一般に、高圧で流れる流体の圧力を制御するための装置には、フロータイプ(流通式)の圧力調節機構が必須である。化学プラント等で用いられている一般的な圧力調節機構は、バネ等を使った自力式自動調整弁(ポペットタイプ)が多い。また、圧力調節機構としては、ダンパー又は球型弁をエアー・油圧・ソレノイド等で駆動する他力式調節弁が用いられる。これらの圧力調節機構による圧力調節の方法は、対象物が粒子等の懸濁物を含まない流体の時には、問題がなく、十分な圧力調節機能又は保圧機能をする。
粒子を含む流体(スラリー)を送液するための手段として、スラリーの粘度、固形分濃度、固形分の粒度等の特性を考慮して、様々なポンプが利用されている。例えば、スネークポンプという螺旋状ローターを有したポンプがスラリー送液に用いられることが多い。その用途としては、スネークポンプは、土木現場では泥漿の輸送に、食品分野ではサンドビスケットのクリームの輸送等に使用されている。また、植物系バイオマスの水熱処理では、植物系バイオマスを粉砕し、水熱処理用のスラリーを調製している。
植物の構成成分であるヘミセルロースは140℃〜200℃で、セルロースは250℃以上の温度で、加圧熱水中で加水分解し、水に溶けるサイズの分子量になる。このような多糖の水熱処理に於ける所要時間は、一般的に200℃近傍で行うヘミセルロースの加水分解では数分〜数十分のオーダー、300℃で行うヘミセルロースの場合は1分以内である。ただしこの所要時間は、少しの温度で大きく変化し、また原料の大きさや形状等でも変化するため、処理に必要な時間にはかなりの幅がある。
この加水分解の処理には、従来、パーコレータ式や回分式等の装置が利用されることが多い。パーコレータ式の装置の場合は、リアクタ内に原料を閉じ込め、原料に熱水を通水して接触させ、可溶化した分子のみが、リアクタのフィルターを通過してリアクタから流出する。このパーコレータ式では、下流の冷却器で流出液を冷却するので過分解を抑制しやすい利点があるが、一般に流出液中に含まれる可溶化物の濃度が低く、のちの濃縮工程などに大きなエネルギーやコストを要する場合がある。
回分式は、装置をシンプルにできるメリットがあるが、一回当たりに処理するスラリーの容積が大きくなると耐圧容器の肉厚が厚くなり熱容量が増加し、昇降温に長時間を要するようになる。すなわち、反応初期の生成物が長く高温のリアクタ内に留まることになり、生成物の耐熱性次第では過分解してしまう場合もある。このようにパーコレータ式と回分式はそれぞれ長所短所があるが、さらに工業的な生産を考えた場合、パーコレータ式や回分式より、連続式の装置が大量生産に向いており、その制御の面、生産効率から見ると有利である。
従って、植物系バイオマスの水熱処理ではバイオマスを粉砕し、スラリーとして連続式の反応器に流し込み、必要な温度および時間の加熱を行った後に反応器から流出させる連続処理が最も望ましい。圧力調節機構を備えた装置の例を図11に図示している。図11には、背圧弁9に代表されるような圧力調節機構を備えた、従来の連続水熱処理に利用されている連続式反応装置10の概要を図示している。連続式反応装置10は、粒子を含まない流体又は固形分濃度が低いスラリーに適している。
しかし、このままの状態でスラリーを用いると、従来の背圧調整機構では背圧弁の閉塞などのトラブルにつながりやすく、扱う固形分の粒度と濃度には限界がある。図11の連続式反応装置10は、流体が供給口2aから注入され、例えは、モアノポンプ(別名では「モーノポンプ」という。)である供給ポンプ4によって、反応路2に送液される。反応路2の一部は、オイルバス3の中を通っており、ここで、熱交換され流体が加熱される。
ここでは一例としてオイルバスによる加熱方法を示したが、加熱された塩浴やサンドバス、電気ヒータ、水蒸気等の種々の加熱方法がある。反応路2は、オイルバス3から出た直後に、冷却器6に連結される。冷却器6は、加熱された流体を所定の温度までに冷却して、排出口2eから排出するものである。冷却器6の後段には、反応路2の出力側に、流体の圧力調節機構として機能する背圧弁9が設置されている。背圧弁9は、反応路2内の流体の圧力を調整するものである。
連続式反応装置10は、送液の圧力を測定するために圧力計5を備える。圧力計5は、背圧弁9と供給ポンプ4の間なら反応路2の任意の場所で設置できるが、図11の例では、オイルバス3と供給ポンプ4の間に設置されている。連続式反応装置10は、圧力計5で測定した圧力を参照して、背圧弁9を手動で調整し、送液の圧力が所定の圧力で一定になるように調整している。連続式反応装置10に使用されているモアノポンプは、その特性上、高粘性流体の送液によく利用される。
モアノポンプは、基本的な構造は、雄ねじにあたるローターと雌ねじにあたるステーターからなっており、ステーターの中にローターが差し込まれると、その隙間に「キャビティー」という独立した一連の密閉空間が形成される。ローターがステーター内で回転することにより、強い吸引力を発生させながら、キャビティーが吐出側へと移動する。この原理で、キャビティー内に吸い込まれた流体は、密閉された空間ごと、前へ、前へと連続移送される。モアノポンプは、キャビティーの断面積は、ローターの位置に関わらず、どの瞬間でも一定であるため、吐出される量も常に一定になり、時間あたりの吐出量はローターの回転速度に正比例する。また、ローターの回転方向を反転させるだけで、吸込・吐出の方向を逆にすることができる。
〔水熱処理の例〕
圧力調節機構を備えた反応系の応用としては、精製された黒酵母βグルカンを製造するための水熱処理を一例として示す。黒酵母(Aureobasidium pullulans)は、培養条件を工夫することにより培地中に高濃度で機能性多糖であるβ−1,3−1,6−グルカンを生産する。水熱処理により、培地中のβグルカンが高収率で容易に精製できる技術が特許文献1に開示されている。
実施例として、特許文献1で開示された条件をもとに処理方法を更に発展改良させ、かつ連続的な処理を行うために図11に図示した連続式反応装置10を試作し、実証試験を行った。まず、培養液に明礬を添加し、培養液中の固形分を凝集後、再度解膠してスラリーを調製している。スラリーは、供給ポンプ4によって反応路2内へ高圧で供給される。反応路2内のスラリーの送液時の圧力は、反応路2の出口側に設置された背圧弁9によって行われている。この例では、背圧弁9は、ポペットタイプのスプリング式自動調整弁が用いられている。
スラリーは、反応路2内で170℃までに加熱されて加熱処理され、その後冷却器6で急冷される。反応路2の加熱手段には、オイルバス3内のオイルを利用している。これにより反応路2から排出され得られたスラリーである水熱処理液に、珪藻土濾過等の後処理を施し、凍結乾燥して精製粉末を得ている。反応路2でスラリーを送液する運転圧力は、1.0MPaになるように背圧弁9で圧力を調整して保圧している。温度170℃の水の蒸気圧は0.79MPaであり、連続式反応装置10内を確実に液相に保ちながら、スラリーの水熱反応を行わせるために、1.0MPaに保圧している。
連続式反応装置10は、スラリーを反応路2に高圧で供給する手段として、供給ポンプ4を用いる。供給ポンプ4は、スラリーの特性に合わせて様々な形式のポンプが利用されるが、例えば、モアノポンプが利用することができる。供給ポンプ4の出口側には、圧力計5を備え、反応路2内の圧力を測定する。反応路2内の圧力は、圧力計5の測定値に基づき、背圧弁9と、供給ポンプ4を連動させながら調整する。
上述のように、被処理流体を連続的に処理する装置には様々な構成のものが提案されている。例えば、特許文献2には、亜臨界状態の水により被処理物を連続的に処理する亜臨界水処理装置を開示している。この亜臨界水処理装置は、供給ポンプ、反応塔、抜き出しポンプ、冷却器、それらの間に被処理物を送液するための原料導入管、導出管等からなっている。供給ポンプは、原料を加圧して、原料導入管経由で反応塔に供給している。反応塔内で処理された処理物は導出管によって、冷却器へ送液されている。
抜き出しポンプは、反応塔内が所定の圧力になるように、制御するものである(引用文献2の段落[0024]、[0025]を参照。)。抜き出しポンプは、容積式ポンプを用いることができるが、減圧装置として、抜き出しポンプの替わりに、圧力コントロールバルブ(背圧弁)を用いることもできる。このように、特許文献2の亜臨界水処理装置は、スチームを反応塔等に直接供給して加熱する方式を用いているが、上述の図11の連続式反応装置10のように、反応塔内の圧力を抜き出しポンプ又は排圧弁で制御している。
特許5172930号(特開2011−103877号公報、発明の名称:「高粘性培養液の粘性低下方法、及び、その方法で製造された多糖含有培養液」) 特開2011−194301号公報
植物系バイオマスの連続的な水熱処理のための反応器・処理装置では、高温高圧のスラリーの安定した圧力制御が望まれているが、充分な安定性、信頼性を有する方法がないことが実用化に於けるネックとなっている。このような高温高圧のスラリーの圧力制御には、従来は、ポペット式、スプール式、スライド式等の背圧弁からなる機構が用いられてきた。また、上述のような従来の自力式自動調整弁又は他力式調節弁を用いた圧力調節機構は、粒子のような固形物を含む懸濁液の場合は、トラブルに繋がりやすい。
例えば、ポペット式では、狭い流路での粒子の閉塞や、ニードル部分と弁座の間に粒子の咬み込み等が起こり、硬い粒子を含むようなスラリーには適用できない。スプール式とスライド式の背圧弁の場合は、粒子に対しての安定性はポペット式の背圧弁より向上するが圧力の変動が大きく、駆動速度に応じて脈動が発生する。これを解決するために、圧力ダンパーを挟んで排圧弁を2連で装着するが、処理対象が非圧縮性の流体であるため、これでも脈動は大きく残る。
また、圧力調節機構の調整弁の構造によっては、スラリーの固形分の粒子によって、調整弁の破損に繋がる場合もある。これが原因で、圧力の調節又は保圧が不十分になったり、狭い流路が閉塞して圧力が上昇、又は低下したりというトラブルが生じやすい。保圧が不十分になって蒸気圧以下まで低下した場合、反応路内に気相の部分が生じ、焦げ等の発生の危険性が出てくる。逆に、圧力調節機構として用いられる背圧弁等の閉塞による圧力の増加は、反応装置や反応系全体の運転停止に繋がる。
特に、固形分が高濃度のスラリーを流通させる条件下で、従来の圧力調節機構は、信頼性が大きく低下する。圧力調節機構のトラブルを回避するために、水熱処理に用いるスラリーは、それに含有される固形分の粒径を小さくし、かつ、その固形分濃度をできるだけ少なくしている。例えば、上述の連続式反応装置10の場合は、スラリーの固形分濃度を2%以下とし、ジューサーで調製後に篩を通してスラリー中に存在する大きな粒子(24メッシュ(mesh)上)を除去してから、水熱処理原液のスラリーとしている。
しかしながら、このような操作は、多数の処理工程からなり、非常に面倒で、時間を要する。従って、連続式反応装置10全体工程の効率を大きく低下させる一因になっている。このように、スラリーの送液が高圧を要求する環境で、スラリーの圧力制御が望まれている。特に、高濃度のスラリーを高圧で送液する環境で、スラリーの圧力制御が望まれている。
引用文献2の亜臨界水処理装置は、抜き出しポンプを反応塔の圧力制御に用いているが、この反応塔の構造は、スチームを供給し加圧する構成で、且つ、反応塔が撹拌手段を有する複雑な構成である。このような機械手段を内蔵する反応塔は、小型化が難しく、スチームを供給して温度制御しているので高圧で流体の均一温度管理には限界がある。このように、植物系バイオマスの水熱加水分解用の連続式装置において、高圧のスラリーを安定的に圧力制御する機構、それを備えた装置、反応系が望まれている。
本発明は上述のような技術背景のもとになされたものであり、下記の目的を達成する。
本発明の目的は、粒子を含む流体(スラリー)を、圧力制御することができる流体圧力
調節機構を備えた連続式反応装置、及び、連続式反応装置を用いたβグルカン製造方法を提供する。
本発明の他の目的は、粒子を含む流体(スラリー)を、高圧条件下においても、安定的
に、圧力制御することができる流体圧力調節機構を備えた連続式反応装置、及び、連続式反応装置を用いたβグルカン製造方法を提供する。
〔流体圧力調節機構を備えた連続式反応装置〕
本発明の流体圧力調整機構を備えた連続式反応装置は、
スラリーを連続的に送液するための送液手段、
前記送液手段に前記スラリーを連続的に供給するための供給手段、及び、
前記送液手段で送液されている前記スラリーの圧力を調節するための流体圧力調節機構からなり、前記スラリーを高温高圧で水熱処理するための連続式反応装置であって、
前記流体圧力調節機構は、A)流体送液用のポンプと、B)前記送液手段の中の流体圧力を測定するための圧力計と、及び、C)前記流体圧力調節機構をPID制御するための制御器とからなり、
前記ポンプは、流体を送液する通常の使用法と逆となる逆送方向に接続した回転容積式一軸偏心螺子ポンプであり、前記ポンプの吐出口側から前記スラリーが流入し、前記ポンプの供給口側から前記スラリーが排出するように、前記送液されている前記スラリーが排出される前記送液手段の出口側に、設置され、
前記制御器は、前記送液手段の前記出口側(背圧)の圧力を、前記圧力計で測定された圧力値に基づいて、前記ポンプの回転数をPID制御しながら流量を調節し、前記圧力を設定値に維持する
ことを特徴とする。
また、前記送液手段は、前記水熱処理のための反応路からなり、前記流体圧力調節機構は、前記反応路の出口側に設置されているものが良い。
該連続式反応装置は、前記反応路と前記流体圧力調節機構の間に設置され、前記反応路を排出された前記スラリーを冷却するための冷却手段を備えていると良い。
更に、前記供給手段と前記流体圧力調節機構の間に設置され、前記反応路を加熱するための加熱手段を備えているものが良い。
〔βグルカン製造方法〕
本発明のβグルカン製造方法は、上記の流体圧力調節機構を備えた連続式反応装置を用いてβグルカンを製造するためのβグルカン製造方法であって、前記スラリーは、a)黒酵母(Aureobasidium pullulans)が生産する液体状の多糖含有培養液を、凝集剤を添加し攪拌して固形物を沈殿させ、水洗圧搾脱水することで、固形分を選別し、b)前記固形分に純水を加え、攪拌することで調製されたものであり、前記加熱手段による加熱は、140℃以上200℃以下の加熱温度で前記反応路を加熱することを特徴とする。
前記加熱手段で加熱されて反応し水熱処理された前記スラリー(装置からの流出液)を濾過手段により濾過することで、前記スラリー中の不溶物が除去され、前記濾過手段で前記濾過された濾液を、限外濾過濃縮後凍結乾燥し、高純度のβグルカンを得ると良い。
〔その他〕
上述の流体圧力機構を備えた連続式反応装置、及び、連続式反応装置を用いたβグルカン製造方法に係る本発明は、更に、次の特徴を有すると良い。
スラリーは、固形分の濃度の上限は、その用途、特徴によるが、一般的に、30%を上限とすると良い。
流体圧力調節機構の上流側の反応路は、高温の反応路であると良い。
流体圧力調節機構の上流側の反応路は、高温高圧の反応路であると良い。
反応路は、撹拌手段を備えていると良い。
送液手段は、供給手段及び/又はポンプと連結するための連結管を有すると良い。
送液手段又は反応路は、反応塔、又は、スラリーを撹拌するための撹拌手段を備えた反応塔からなると良い。
上述の送液手段又は送液手段の下流側、別の言い方で出口側、に設置された流体圧力調節機構は、流体送液又はスラリー送液の背圧制御機構とも言う。
本発明によると、次の効果が生まれる。
本発明によると、粒子を含む流体(スラリー)を、高圧条件下においても、安定的に、高精度で、圧力制御することができるようになった。特に、他力式調節弁等と比較すると構造的に脈動が非常に小さい特性を有する。
また、本発明によると、籾殻スラリーのような高濃度のスラリーを送液する場合でも安定して圧力制御が出来るようになった。
更に、本発明によると、従来の反応装置のように圧力調節機構の背圧弁に噛み込みや閉塞といったトラブルを生じさせることがなくなり、粒子を含む流体(スラリー)を圧力制御することができるようになった。
更に加えて、本発明によると、反応装置の運転が安定化し、生産効率が向上した。
図1は、本発明の第1の実施の形態の連続式反応装置1の概要を図示しているブロック図である。 図2は、本発明の第1の実施の形態の連続式反応装置1の制御器20の構成例を示すブロック図である。 図3は、本発明の第1の実施の形態の実施例1の測定結果を示すグラフで、スラリーを送液するとき、圧力計7の指示値を記録したグラフである。 図4は、本発明の第1の実施の形態の実施例1の測定結果を示すグラフで、送液中に設定の圧力値を昇圧した時の反応路2の圧力変化、並びに、圧力制御ポンプ8のインバータ周波数を示したグラフである。 図4aは、図4のグラフの一部を拡大表示したグラフである。 図4bは、図4のグラフの一部を拡大表示したグラフである。 図5は、本発明の第1の実施の形態の実施例1の測定結果を示すグラフで、スラリーを安定的に送液しているとき、供給ポンプ4の動作周波数(流速)を増加させた時の圧力計7と圧力制御ポンプ8のインバータ周波数の変化を示しているグラフである。 図6は、本発明の第1の実施の形態の実施例1の測定結果を示すグラフで、本発明の連続式反応装置1が停止状態から送液を開始した場合の挙動を示しているグラフの例である。 図7は、本発明の第1の実施の形態の実施例2の測定結果を示すグラフで、高い濃度のスラリーを送液中に設定の圧力値を昇圧した時、反応路2の圧力変化、及び、圧力制御ポンプ8のインバータ周波数を示したグラフである。 図8は、本発明の第1の実施の形態の実施例2の測定結果を示すグラフで、高い濃度のスラリーを安定的に送液しているとき、供給ポンプ4の動作周波数(流速)を増加させた時の圧力計7と圧力制御ポンプ8のインバータ周波数の変化を示しているグラフである。 図9は、本発明の第1の実施の形態の実施例2の測定結果を示すグラフで、本発明の連続式反応装置1が停止状態から送液を開始した場合の挙動を示しているグラフである。 図10は、本発明の第2の実施の形態のβグルカン精製物を製造する製造工程例を示すブロック図である。 図11は、従来の連続式反応装置10の概要を図示しているブロック図である。
〔第1の実施の形態〕
以下、本発明を実施するための第1の実施の形態を説明する。本発明の第1の実施の形態の連続式反応装置1は、スラリー送液に適したポンプを圧力調節機構として用いて、流体の送液時の圧力を調整するものである。図1は、本発明の連続式反応装置1の概要を図示している。
本発明の連続式反応装置1は、スラリーを反応路2に供給するための供給ポンプ4、スラリーを送液しながら反応させるための反応路2、反応後のスラリーを冷却するための冷却器6、反応路2内のスラリーの圧力を調節するための手段である圧力制御ポンプ8、連続式反応装置1全体の制御を行うための制御器20(図2を参照。)等からなる。本発明の連続式反応装置1の圧力調節機構は、圧力制御ポンプ8、制御器20からなる。また、連続式反応装置1は、供給ポンプ4にスラリーを供給するための供給手段を有する。
この供給手段は、流体管、タンク、ホッパー等を用いることができるが、本例では、反応路2と同じ配管を供給口2aとして用いている。反応路2は、後述するように、接続管2b、反応路2c、接続管2d等からなる。接続管2bと接続管2dは、スラリーを送液するための細いパイプ状のものである。接続管2bと接続管2dは、加熱手段で加熱されない反応路2の部分で、反応路2cは、加熱手段で適当な温度に加熱され、温度管理されている反応路2の部分である。
供給口2aから供給されたスラリーは、供給ポンプ4によって接続管2bへ高圧で供給される。反応路2cは、所定温度に保たれたオイルで満たされたオイルバス3に浸漬されている。反応路2cは、スラリーが反応する温度である、所定の温度に加熱されている。言い換えると、スラリーは、主に、この反応路2c内で反応する。反応路2cには、熱交換効率及び反応効率の向上と温度分布の不均衡を防止する目的でスタティックミキサーなどの混合部品又は混合機を挿入する場合があり、このような機械的手段を内蔵する場合、反応塔とも言うことができる。
反応路2cは、その内径を、機械的手段を内蔵するために、又は、反応時間を長くするために、接続管2b、接続管2d等より太くすることができる。同じく、反応路2cは、その送液断面を、反応時間を短くするために、接続管2b、接続管2d等より細くすることができる。後述する実施例では、熱交換部の長さの半分に相当する長さにスタティックミキサーが挿入されている。オイルバス3のオイル温度は、図示しないが、電気ヒータ等の、公知の任意のオイルバス加熱手段によって加熱される。接続管2dは、オイルバス3から出た位置で、冷却器6がこの部分に設置されている。
スラリーは、反応路2c内で、例えば、黒酵母グルカン凝集物スラリーの場合、170℃までに加熱されて加熱処理され、その後、水冷の冷却器6で急冷される。冷却器6としては、水冷、流体の冷却剤、又は空気等の気体を熱媒体とする冷却手段を用いることができる。冷却器6の後段に圧力制御ポンプ8が設置されている。なお、加熱の方法は目的温度まで加熱できればよいので、加熱方法と加熱手段は、オイルバスに限定するものではない。
例えば、加熱手段として、塩浴、サンドバス、電気ヒータ、水蒸気加熱等による方法を採用することができる。ただし、特許文献2に示されているような上記の直接吹き込みは適切ではなく行わない。また、加熱温度は、原料スラリーのpH、装置内の滞留時間(∝流速∝ポンプインバータ周波数Hz)によって増減し、概ね160℃から180℃の範囲である。圧力制御ポンプ8は、図11に図示した従来の連続式反応装置10の出口側の背圧弁9に代わるもので、反応路2内の流体圧力を調節するための機構である。
反応路2内の圧力は圧力制御ポンプ8の流量を制御することによって保たれる。圧力制御ポンプ8としては、スラリー送液用のポンプを用いると閉塞の心配が無く信頼性が高くなる。圧力制御ポンプ8は、流体を送液する通常の使用法とは逆に、その吐出口側からスラリーが流入し、その供給口側からスラリーが排出するように反応路2に装着される。ただし、圧力制御ポンプ8は、プランジャーポンプ等のようにポンプの形状によっては、通常の送液方向で使用される場合もあり、本発明の目的を達成できるものであれば、公知の任意のポンプを用いることができる。
圧力制御ポンプ8から排出されるスラリーは、反応後のスラリーである。図1に図示したように、冷却器6の出口と圧力制御ポンプ8の間には、高感度の圧力センサーである圧力計7が設置されている。圧力計7で反応路2内のスラリーの圧力を測定し、圧力計7が出力する信号で、測定圧力を示す圧力信号を制御器20(後述する)に取り込む。圧力計7は、初期設定の所定インターバルで送液の圧力を測定し、その測定結果を制御器20へ送信する。この測定結果や測定圧力等を示す圧力データに基づいて、制御器20は、圧力制御ポンプ8の回転数(インバータ出力)を制御する。
本発明の連続式反応装置1の圧力調節機構は、圧力制御ポンプ8、制御器20に加え、圧力計7からなる。圧力制御ポンプ8の回転数(インバータ出力)を制御する方法は、公知の任意の制御方法を用いることができるが、本例では、PID制御を採用している。PID制御(Proportional Integral Derivative Controller)は、フィードバック制御の一種で、入力値の制御を出力値と目標値との偏差、その積分、及び微分の3つの要素によって行うもので、本発明は、PID制御そのもののための発明ではないので詳細な説明は省略する。
制御器20は、圧力制御ポンプ8のインバータ出力をPID制御する。図1に図示したように、供給ポンプ4の出力側の接続管2bの圧力を測定するために、圧力計5を設置している。言い換えると、圧力計5は、主に、反応路2の入口側の圧力を監視するためのものである。スラリーは、圧力制御ポンプ8の、通常運転に於ける、吐出側から流入する。連続式反応装置1の運転時における設定パラメータは、供給ポンプ4のインバータ周波数、反応路2内の圧力の設定値、PID値等である。
〔制御器20の構成〕
図2は、本発明の第1の実施の形態の連続式反応装置1の制御器20の構成例を示すブロック図である。制御器20は、連続式反応装置1の全体を制御するための電子機器である。制御器20は、中央処理装置21、メモリ22、出入力インターフェース23〜29を備えたものである。中央処理装置21は、メモリ22等に格納された制御プログラムに従って、制御器20の動作を制御するものである。
メモリ22は、制御プログラムや出入力インターフェース23〜29から入力されたデータ等を格納するためのメモリ手段であり、RAMやROM等のメモリ手段からなる。制御器20は電源30を備える。電源30は、内蔵電池又は商業用電線に接続され、それを内部の機器が使用できる電圧、例えば5V等の低電圧、に変換する変圧器からなり、制御器20内の構成要素に電源供給するものである。バス27は、中央処理装置21、メモリ22、出入力インターフェース23〜29の間のデータ通信を提供するためのバスである。
出入力インターフェース23〜26は、圧力計5、圧力計7、供給ポンプ4、圧力制御ポンプ8用のインターフェースであり、これらの機器からその動作状況や測定値等を受信し、これらの機器へ制御信号を送信するものである。出入力インターフェース23〜26から受信されたデータは、メモリ22に格納される。ディスプレイ31は、制御ユニット20の動作状況を表示するためのディスプレイであり、また、ユーザとのインターフェースも兼ねることができる。
例えば、ディスプレイ31はタッチ式のディスプレイ、又は、所定の機能を有するボタンがある場合は、このディスプレイ31から、連続式反応装置1の設定値等を入力する。電子計算機35は、連続式反応装置1に接続された外部の電子計算機であり、連続式反応装置1とは有線又は無線の任意の通信回線で接続される。電子計算機35は、主に、連続式反応装置1の動作状況を監視するものであるが、制御用機器として用い連続式反応装置1へ動作指示をするようにすることもできる。電子計算機35は、汎用の電子計算機、タブレット機器、スマートフォン等の携帯端末等であることができる。
制御ユニット20による制御は、例えば、次のステップで行われる。まず、圧力計7から反応路2内の圧力を測定する。圧力計7の測定値に基づいて、圧力制御ポンプ8の動作を制御し、所定の圧力になるようにする。圧力制御ポンプ8の流量は、圧力計7からの信号を基に、そのインバータ周波数をPID制御して回転数をコントロールすることによって行い、圧力計7の測定値が設定した圧力の設定値と同一となるように連続的に制御する。
上述のように、本発明の連続式反応装置1は、スラリー送液に適した任意のポンプを、供給ポンプ4、圧力制御ポンプ8として用いる。供給ポンプ4と圧力制御ポンプ8は、異なる構造のものも、又は、同一の構造のポンプも用いることができる。供給ポンプ4と圧力制御ポンプ8のタイプは、送液するスラリーの粘度、固形分濃度、固形分の粒度等の特性を考慮して適切なポンプが選択される。
例えば、高粘度物のポンプとして一般に使用されているモアノポンプ、ホースポンプ、プランジャーポンプ等を用いることができる。圧力制御ポンプ8としては、はスラリー中に含まれる粒子を安定的に送ることが出来るポンプが望ましい。スラリー送液用に用いられる供給ポンプ4は、この要件を基本的に満たす故に選定されたものであるから圧力制御ポンプ8が同一のものであれば当然圧力制御ポンプとして利用できる。
しかし、反応路2内で、重合等のスラリーの反応によって、粒子が生成される場合があり、供給ポンプ4で問題なくスラリーを供給し送液しても、反応路2の出口、圧力制御ポンプ8の付近なると、スラリー中の粒子が供給時より大きくなることがあるので、その場合はこの点も考慮して、圧力制御ポンプ8が選択される。圧力制御ポンプ8として、スラリー送液に適した同様のポンプを用いると、スラリーの高圧に、言い換えると供給ポンプ4から加わる圧力に、十分に耐えるという利点がある。
本第1の実施の形態のように、粒子を含むようなスラリーに対して高圧を維持しなければならない反応では、例えば水熱処理等を連続的に行う場合に、背圧のコントロールを正確かつ安定的に行うことができる。本発明の第1の実施の形態の実施例1を、比較例と比較しながら説明する。比較例は、従来の反応系による実験を示すものである。実施例1は、本発明の圧力調節機構を備えた反応系を用いるものである。まず、従来の反応系を用いた比較例を説明し、その後、実施例1を説明する。
比較例
ここで、比較例として、図11に図示した連続式反応装置10を用い、黒酵母βグルカンを製造するための水熱処理を一例として示す。培養液に明礬を添加し、培養液中の固形分を凝集後、再度解膠してスラリーを調製した。このスラリーは、供給口2aから供給され、従って、供給ポンプ4によって反応路2に高圧で供給された。反応路2内のスラリーの送液時の圧力は、反応路2の出口側に設置された背圧弁9によって行われた。背圧弁9は、ポペットタイプのスプリング式自動調整弁(TESCOM社製(所在地:米国)のポペットタイプ弁:26-1766-24-01)が用いられた。
スラリーは、図11の反応路2内で170℃までに加熱されて加熱処理され、その後冷却器6で室温付近まで急冷された。反応路2の加熱手段には、オイルバス3内のオイルが利用された。これにより反応路2の排出口2eから排出され得られたスラリーである水熱処理液に、珪藻土濾過等の後処理を施し、その濾液を凍結乾燥して精製粉末を得ている。反応路2でスラリーを送液する運転圧力は、1.0MPaになるように背圧弁9で圧力を調整して保圧した。
温度170℃の水の蒸気圧は0.79MPaであるが、連続式反応装置10内を確実に液相に保ちながら、スラリーの水熱反応を行わせるために、1.0MPaに保圧している。連続式反応装置10は、スラリーを反応路2に高圧で供給する手段として、モーノポンプである供給ポンプ4を用いた。供給ポンプ4の出口側には、圧力計5を備え、反応路2内の圧力を測定した。反応路2内の圧力は、圧力計5の測定値に基づき、背圧弁9によって調整した。
供給ポンプ4は流速、即ち滞留時間(反応時間)が適切になるよう回転数(インバータ周波数)を調節する。図11のポペット式背圧弁を用いる方法では、背圧弁9が故障なく動作するためには、スラリーに含有される固形分の粒径を小さくし、かつ、その固形分濃度をできるだけ少なくしなければならなかった。ここで処理対象としている黒酵母培養液凝集物から調製したスラリーでは、スラリーに含有される固形分濃度の上限は2%が限界であった。
〔本発明の連続式反応装置1による実験〕
本発明の第1の実施の形態の実施例1は、図1に図示し、上述に説明した本発明の連続式反応装置1を用いて行われた実験である。ここで、上述の説明と異なる部分のみを説明する。本例では、反応路2の出口側の圧力制御ポンプ8は、兵神装備株式会社製(所在地:日本国兵庫県神戸市)の型番3NY06のヘイシンモーノポンプ(登録商標、ポンプ分類としては、「回転容積式一軸偏心螺子ポンプ」である。)を使用した。
ヘイシンモーノポンプの圧力制御ポンプ8は、水状から流動性のある高粘度液や高濃度液、スラリーまで脈動なく定量移送ができるもので、インバーターモーター一体型のものである。圧力計7として、株式会社キーエンス製(所在地:大阪府大阪市)の型番GM-P-025センサーを用いた。圧力計7で測定し、出力する圧力信号を制御器20(前述)に取り込んだ。
圧力計7は、初期設定の0.5秒(sec)のインターバルで、送液の圧力を測定し、その測定結果を制御器20へ送信した。この測定結果からなる圧力データに基づいて、制御器20は、圧力制御ポンプ8の回転数(インバータ出力)を制御した。制御器20は、株式会社アイナックシステム(所在地:福岡県久留米市)製で、圧力制御ポンプ8のインバータ出力をPID制御する。供給ポンプ4の出力側の接続管2bの圧力を測定するために、圧力計5を設置している。圧力計5は、株式会社キーエンス製(所在地:大阪府大阪市)の型番GM-P-025センサーを用いた。ただし、圧力計5はモニター用なのでブルドン管圧力計等でも代用できる。
供給ポンプ4は、兵神装備株式会社製(所在地:日本国兵庫県神戸市)の型式6NBL06PAポンプを用いた。圧力計5では、反応路2内の圧力を監視するためのものである。運転における設定パラメータは、基本的に、供給ポンプ4のインバータ周波数(流速)、反応路2の出口側の圧力の設定値(圧力計7の測定値)、PID値等である。本実施例1では、供給ポンプ4のインバータ周波数は、0〜60Hzにした。
反応路2内の圧力の設定値は、0.5〜1.0MPaにした。これは150℃〜180℃の蒸気圧に相当するが、加熱を伴う運転では装置内で水が水蒸気に相変化することを防ぐために余裕を見て蒸気圧+αの圧に設定される。αの値は運転時の圧力変動幅の2〜5割増の圧力値とする。本実施例1では、背圧調整機構である圧力制御ポンプ8の有効性を検証するのが目的であることから、オイルバス3による加熱は行わずに処理した。即ち、供給ポンプ4から反応路2に送液されたスラリーが分解されずに、そのまま圧力制御ポンプ8に流れ込んだ。このように過酷な状況で実験を行った。
〔測定結果〕
ここで、本実施例1の実験の測定結果を示す。実施例1の連続式反応装置1では、従来の固形分濃度2%の2.5倍の濃度にあたる5%の濃度のスラリーを調製し、かつ、スラリーに含有される大きな粒子を篩によって除去することなく実験を行った。即ち上述の比較例で示されたスラリーに含有される固形分濃度の上限2%より2倍以上固形分濃度の高いスラリーを調製した。図3は、本実施例1の測定結果を示すグラフで、スラリーを送液するとき、圧力計7の指示値を記録したグラフである。
詳しくは、固形分濃度5%のスラリーを供給ポンプ4のインバータ周波数が30Hz、反応路2の出口側の圧力値が0.9MPaで送液した時の圧力計7の指示値を、約3時間にわたって記録した図である。図3のグラフの横軸は、時間経過を示し、縦軸は、反応路2内の圧力である。図3のグラフによれば、反応路2内の圧力値は、設定値0.9MPaに一致しており、圧力変動の少ない非常に安定した送液が行われていることがわかる。
図3では、3時間分のデータが示されているが実際には8時間の運転が行われており、その間、測定値には全く変化が無く、安定的な圧力コントロールと送液が行われた。図4は、本実施例1の測定結果を示すグラフで、供給ポンプのインバータ周波数(運転速度)が60Hz、圧力の設定値が0.5MPaで安定的に送液されている時に、圧力の設定値を0.5MPaから0.7MPaに、0.7MPaから0.9MPaにと瞬間的に昇圧したときの装置内の圧力の追随性を示した図である。反応路2の圧力変化、並びに、圧力制御ポンプ8の運転速度を示すインバータ周波数を示している。
図4のグラフの横軸は、時間経過を秒(sec)単位で示し、左側の縦軸は、反応路2内の圧力をkPa(=MPa/1000)で示し、右側の縦軸は、圧力制御ポンプ8及び供給ポンプ4の運転速度を示すインバータ周波数をHzで示している。ポンプの駆動モータの回転数はインバータ周波数に比例して変化し、流速が比例的に変化する。反応路2内の圧力として、反応路2の入口側と出口側の測定圧力と、制御のための圧力の設定値を示している。この入口側の測定圧力は、図1で図示した、圧力計5で測定した値である。
この出口側の測定圧力は、同じく、圧力計7で測定した値である。設定値は、反応路2内の圧力を制御するための設定した圧力で、基本的に、反応路2の出口側の圧力である。圧力制御ポンプ8の運転速度を制御して、反応路2内の圧力を常時この設定値になるように制御する。図4の場合、供給ポンプ4が60Hzのインバータ周波数の速度条件で、送液中に設定の圧力の設定値を0.5MPaから0.7MPa、最後は0.9MPaと昇圧した時の反応路2の入口側の圧力を圧力計5で、反応路2の出口側の圧力を圧力計7で測定し、その圧力変化、並びに、圧力制御ポンプ8のインバータ周波数を示している。
供給ポンプ4のインバータ周波数は60Hzで固定されている。圧力制御ポンプ8のインバータ周波数は、26Hz前後に推移している。なお、本実施例1では、供給ポンプ4と圧力制御ポンプ8は、型式が異なる圧力制御ポンプであるため、同一流量におけるインバータ周波数は、供給ポンプ4と圧力制御ポンプ8では同一にはならない。図4のグラフからわかるように、スラリーが安定して送液されているとき、設定値の圧力を昇圧すると、圧力制御ポンプ8は、反応路2内の圧力を上昇させるために、瞬間的にインバータ周波数を落とし、圧力計7からの信号を基に、設定したPID値に従って、反応路2内の圧力を設定値に近づけていく。
この制御で、反応路2内の圧力が設定値に達し、スラリーの送液が安定するまでに要する時間は約30秒と非常に短い。詳しくは、この図4の例では、設定値の圧力が、0.5MPaから0.7MPaへ、また0.7MPaから0.9MPaへ上昇をした瞬間に、圧力制御ポンプ8のインバータ周波数が1Hz程度下がり、再び設定値へ近づいている。図4の中では、反応路2の入口側の圧力と出口側の圧力を示すグラフは、ほとんど区別できないくらい重なって見える。
設定値が変化した時の両者の変化には僅かなタイムラグがあるが、当該圧力領域では水は非圧縮性流体であるため、圧力の変化のタイムラグは管状リアクタのたわみやスラリー粒子の弾性等に起因しているものと思われる。この様子は、図4のグラフの一部を拡大表示して、図4aと図4bに詳しく図示されている。図4aは、設定値の圧力が0.5MPaから0.7MPaへ上昇をした瞬間の前後において、入口側の圧力(実線で図示。)と出口側の圧力(破線で図示。)を拡大して図示している。
図4aに図示したように、入口側の圧力と出口側の圧力は、微小に異なってはいるが、ほぼ重なっている。図4bは、設定値の圧力が0.5MPaから0.7MPaへ上昇をした瞬間の前後において、圧力制御ポンプ8のインバータ周波数を拡大表示している。図4bから分かるように、設定値の圧力が上昇した瞬間に、圧力制御ポンプ8のインバータ周波数が1〜2秒の間に、1Hz程度下がってから復帰している。この測定により、本発明の連続式反応装置1は、大きな圧力変動がある状況で、充分満足できる速度で圧力制御ができ、追随することが示された。
図5は、本実施例1の測定結果を示すグラフで、スラリーを0.9MPaで安定的に送液しているとき、供給ポンプ4のインバータ周波数(流速)を増加させた時、圧力計7と圧力制御ポンプ8のインバータ周波数の変化を示しているグラフである。図5のグラフは、詳しくは、供給ポンプ4のインバータ周波数が30Hz、設定値が0.9MPa(900kPa)の条件で、スラリーを安定的に送液しているとき、供給ポンプ4のインバータ周波数(流速)を45Hz、60Hzと増加させた時の圧力計7と圧力制御ポンプ8のインバータ周波数の変化を示している図である。
図5のグラフの横軸は、時間経過を秒(sec)単位で示し、左縦軸は、反応路2内の圧力をkPa(=MPa/1000)で示し、右側の縦軸は、圧力制御ポンプ8及び供給ポンプ4のインバータ周波数をHzで示している。図5には、図4と同じように、入口側と出口側の圧力は、そのグラフがほぼ重なっており、同じ推移を示していることが分かる。図5に図示したグラフのように、供給ポンプ4の流速が増加すると、直後には、反応路2内の圧力が上昇するが、圧力制御ポンプ8も速やかに追随して、圧力制御ポンプ8の回転速度が上昇している。この場合、反応路2内の圧力が設定値0.9MPaの圧力に復帰し圧力が設定値(0.9MPa)に復帰するまでの所要時間は30秒程度であった。
図6は、本実施例1の測定結果を示すグラフで、本発明の連続式反応装置1が停止状態から送液を開始した場合の挙動を示している図である。図6のグラフの横軸は、時間経過を秒(sec)単位で示し、左縦軸は、反応路2内の圧力をkPa(=MPa/1000)で示し、右側の縦軸は、圧力制御ポンプ8のインバータ周波数をHzで示している。図6には、図4と同じように、入口側と出口側の圧力は、そのグラフがほぼ重なっており、同じ推移を示していることが分かる。
図6のグラフにおいて、反応路2内の圧力は、設定可能範囲で条件的に最も厳しい供給ポンプ4のインバータ周波数が60Hz、設定値が0.9MPaのスタートを行った場合、反応路2内の圧力変化及び圧力制御ポンプ8のインバータ周波数の変化を示している。本実施例1の実験の制御プログラムでは、供給ポンプ4がスタートした直後に、反応路2内の圧力が上昇して設定圧である0.9MPaに到達してから、圧力制御ポンプ8が駆動を開始する。
そのため、グラフから見ると、その初期には、入口側と出口側の圧力が設定値をかなり越えるところまで圧力が上昇するが、圧力制御ポンプ8の回転が上昇すると、これらの圧力が直ちに低下する。そして、反応路2内の圧力が設定値になり、安定して送液が行われるまでの所要時間は、約1分半であった。また、図6において、図4と同じように、入口側と出口側の圧力は、そのグラフがほぼ重なっており、同じ推移を示していることが分かる。
工業生産時の運転では、このような極端な起動は行わないが、高い流速設定(供給ポンプ4のインバータ周波数が大きい場合)で、停止状態からスタートする場合等には、供給ポンプ4の回転数上昇速度(インバータ周波数の上昇速度)を緩やかにする等のプログラミングで圧力の極端な上昇は、充分に回避可能である。
図6においては、圧力が安定した100秒以降について圧力計7の測定圧力(言い換えると、出口側の圧力)の変動幅から変動係数を計算したところ、設定値の圧力0.9MPaに対して、平均圧力0.8996MPa、σ=0.008MPa、変動係数(=σ/平均)0.0086と非常に高精度で反応路2の背圧コントロールが行われていることが示された。
以上のように、反応路2の出口側にスラリー送液用の圧力制御ポンプ8を装着し、圧力制御ポンプ8の流速を圧力計7の信号をもとにコントロールして、背圧をコントロールするという機構は、充分にその役割を果たすことが出来る事が示された。このことは、黒酵母培地から得られた凝集物のみでなく他の多くのスラリーにも応用できる。
〔高濃度スラリーを用いた実験結果〕
今度は、実施例2として、粉砕籾殻の30%スラリーを調製し、上述の実施例1と同様の実験を行った。籾殻には、伝導工業株式会社で粉砕された微粉砕籾殻(200mesh下)を用いた。図7、図8、及び図9には、この実験の結果を示した。図7、図8、及び図9内のグラフの横軸、左縦軸、右縦軸、表示される入口側の圧力、出口側の圧力、インバータ周波数等は、上述の実施例1の図4〜図6と同じであり、その説明は省略する。
図7は、高い濃度のスラリーを送液中に、圧力の設定値が昇圧した時の反応路2の圧力変化、並びに、圧力制御ポンプ8のインバータ周波数変化を示したグラフである。詳しくは、供給ポンプ4がインバータ周波数60Hzで稼働し、送液中に、設定圧を0.5MPa、0.7MPa、0.9MPa、1.0MPaと昇圧した時、圧力制御ポンプ8の応答であるインバータ周波数の変化と、反応路2の入口側と出口側の圧力を示している。図7から分かるように、入口側と出口側の圧力はほぼ重なっており、出口側の圧力が入口側の圧力に追随する形で変化している。
図8は、高い濃度のスラリーを安定的に送液しているとき、供給ポンプ4のインバータ周波数を増加させたときの反応路2内の圧力変化、圧力制御ポンプ8のインバータ周波数の変化を示しているグラフである。詳しくは、設定値が0.9MPaの圧力条件下で、供給ポンプ4のインバータ周波数を15Hzから30Hz、45Hz、60Hzと増加させた時、圧力制御ポンプ8のインバータ周波数の変化と、反応路2の入口側の圧力計5、反応路2の出口側の圧力計7の測定値の変化挙動を示している。
図8から分かるように、入口側と出口側の圧力はほぼ重なっており、出口側の圧力が入口側の圧力に追随する形で変化している。供給ポンプ4のインバータ周波数が15Hzから30Hz、45Hz、60Hzへと段階的に変化するとき、圧力制御ポンプ8のインバータ周波数は、それぞれに対して6.4〜7.1Hz,13.0〜13.7Hz,19.3〜20.2Hz,26.2〜26.9Hzと変化している。
図9は、本発明の連続式反応装置1が、供給ポンプ4が停止状態から設定周波数60Hzで送液を開始した場合の挙動を示しているグラフである。詳しくは、連続式反応装置1が停止状態からスタートした場合の圧力制御ポンプ8のインバータ周波数と、反応路2内の入側口と出口側の圧力の変化を示す。設定値は0.9MPaである。
これらの図からわかるように、30%という非常に高い濃度のスラリーであるにも関わらず、前述の黒酵母凝集物スラリーの場合と、同様に非常に精度良く背圧の調整ができていることがわかる。図9によると、連続式反応装置1が停止状態からスタートし、スラリーの送液が安定化するまで約100秒かかり、その後、圧力の平均値は、0.9004MPa、σ=0.0145、変動係数=0.0161と充分に小さく、高濃度のスラリーでも安定的に圧力コントロールが出来る事が示された。
このように、本発明の連続式反応装置1は、粒子を含む流体であるスラリーを連続的に流しながらその圧力を調整することができる。上述の濃度だけではなくより高い濃度のスラリーでも、本発明の連続式反応装置1を十分に利用することができる。このようなスラリーの利用例としては、高温高圧を維持しながら処理するバイオマスの連続水熱処理、高温溶媒抽出等の高圧で背圧の調整を制御する必要がある反応系が例示できる。
〔第2の実施の形態〕
本発明の第2の実施の形態を図1及び図10を参照しながら説明する。本発明の第2の実施の形態は、図1に図示した本発明の連続式反応装置1を用いて黒酵母培養液からβ−1,3−1,6−グルカン(以下、単にβグルカンという。)の精製物を製造するものである。本第2の実施の形態は、上述の第1の実施の形態の連続式反応装置1を用いており、ここで、上述の説明と異なる部分のみを説明する。
〔黒酵母培養液からβグルカン精製物を製造する製造工程〕
水熱処理を用いて黒酵母βグルカンを製造する技術は、上述の背景技術に説明した通りで、特許文献1にも回分式反応装置が開示されている。本第2の実施の形態では、この黒酵母βグルカンを図1に図示した連続式反応装置1を用いて製造する。黒酵母βグルカンを製造する工程の概要は、図10に図示している。黒酵母βグルカン精製物の粉末を製造する工程は、培養液を用意する工程100から、最終製品のβグルカン精製物ができるまでの工程108の各工程からなる。
まず、工程100では、黒酵母(Aureobasidium pullulans)が生産する多糖含有培養液を用意する。これは発酵法により生産する。
工程101では、工程100で用意された液体状の多糖含有培養液に、明礬等の凝集剤を添加して、攪拌する。この攪拌により、多糖を中心成分とする固形物が沈殿する。この工程では、機械的な攪拌混合装置を用いて、多糖含有培養液にせん断力等の応力をかけながら混合攪拌して凝集塊を作り、これを沈殿させる。
工程102は、工程101で、多糖含有培養液に凝集剤を添加して沈殿させた固形物である凝集塊を、圧搾脱水機によって、水分を圧搾によって脱水して固形分を得る。この圧搾脱水によって得られた固形分を用いて任意の濃度かつ高濃度のスラリーを作ることができるので、後工程の水熱処理が高能率で処理できることになる。この工程で利用する圧搾脱水機は、公知の任意の圧搾脱水機が用いられる。また、工程102の凝集塊の圧搾脱水により、多糖含有培養液に含まれている不要物である、水溶性の低分子の糖類、蛋白、アミノ酸等の不純物を除去することができるという利点がある。
即ち、後工程の加熱による水熱処理により、アミノカルボニル反応によって発生する褐色物質であるメラノイジン等をつくる着色成分を除去することができる。工程103は、スラリーを調製するための工程である。工程102で圧搾脱水して得られた固形分に純水を加え、固形分が約2%から15%までの高濃度のスラリーを調製する。このとき、固形分に純水を加えて攪拌混合機等で均一の流体になるまで激しく攪拌してスラリーを作る。
このスラリーは、加熱により着色する物質がほとんど含まれず、かつ黒酵母が生産する多糖含有培養液より、高濃度のβグルカンを含む。工程104は、図1の連続式反応装置1を用いて、スラリーに水熱処理を行う工程である。連続式反応装置1を用いた水熱処理については、上述の第1の実施の形態で詳しく説明しているので省略する。この水熱処理の加熱温度は、連続式反応装置1のオイルバス3の中のオイルの温度が145℃以上180℃以下の温度に設定される。ただし、設定する流速が早く装置内滞留時間が短い場合は、反応速度を上げるために、200℃までの温度が用いられる。
黒酵母の培養液は、145℃以上の加熱温度の加熱処理により、その粘性が急速に低下する。そのため、加熱温度は、145℃以上の温度に設定される。本第2の実施の形態では、多糖含有培養液に凝集剤を加えている。そのため、多糖含有培養液を凝集剤で凝集しないスラリーを使う場合に比して、本第2の実施の形態の加熱温度は、若干高い温度であることが好ましく、特に165℃以上175℃以下で加熱処理を行うことが好ましい。このように高い温度で加熱処理する理由は、凝集剤とβグルカンの化学的結合を切断するためである。
工程105は、水熱処理後のスラリーから、不溶性固形分を濾過して除去する工程である。詳しくは、図1の連続式反応装置1を用いて水熱処理されたスラリーは、濾過剤で濾過され、水熱処理したスラリー中の不溶性固形分が除去される。濾過剤としては、不要な不要物を除去できるものであれば任意の材料を用いることができる。例えば、濾過剤としては、少量の活性炭を添加した一般的な珪藻土が用いられる。
工程106は、更に、濾液中の蛋白、多糖類等の不純物成分を除去し、βグルカンを濃縮するための工程である。工程106では、工程105の濾過剤で濾過した濾過液を、孔径が概ね分画分子量3万程度の限外濾過濃縮膜に通す。このように、限外濾過濃縮膜を透過させることにより、このβグルカンを濃縮することになる。濃縮時の濃縮倍率は、以後の凍結乾燥後に適度な粒度の粉末となるような倍率が選択され、原料スラリーの濃度によって変化するが、通常10倍程度である。
工程107は、濃縮されたβグルカンを凍結乾燥してβグルカン粉末を得る工程である。工程106で限外濾過濃縮膜を通したスラリーは、凍結乾燥されてβグルカン精製物が完成する。工程107で得られたβグルカン粉末は、乾燥した微小な粉状の粉末である。また、このβグルカン精製物は、水に溶けやすい性質を有する。βグルカン精製物を、水に溶かすと透明の液になる。
次の表1は、βグルカン精製物の組成を示す。詳しくは、黒酵母βグルカン乾燥粉末一般組成を示す表である。表1の第2行は湿量基準、第3行は乾量基準の組成を示している。表1の第3欄の糖分は、βグルカンを示すものであり、湿量基準で94.90%、乾量基準で99.27%と純度が非常に高いβグルカン粉末が得られている。表1の第4欄の脂質は、測定でその存在が確認されたものの、微量なものであった。
また、第2の実施の形態で得られたβグルカン粉末は、2%溶液の粘性係数が数cP(センチポアズ)程度と低く、従って、これを、免疫賦活性を高める健康食品としても、化粧品の添加物としても使い易い。上述のように図1の連続式反応装置1は、高濃度のバイオマス又は無機物のスラリー状物を連続的に処理できるものであり、黒酵母培養液のみならず、任意の培養液の水熱処理に利用することができる。
本発明は、粒子を含んだ流体(スラリー)を連続的に流通しながら高圧で背圧の調整を制御する必要がある反応系、その分野に利用するとよい。特に、高温高圧を維持しながら処理するバイオマスの連続水熱処理、高温溶媒抽出等の分野に利用と良い。
1,10…連続式反応装置
2…反応路
3…オイルバス
4…供給ポンプ
5、7…圧力計
6…冷却器
8…圧力制御ポンプ
9…背圧弁
20…制御器
35…電子計算機

Claims (7)

  1. スラリーを連続的に送液するための送液手段、
    前記送液手段に前記スラリーを連続的に供給するための供給手段、及び、
    前記送液手段で送液されている前記スラリーの圧力を調節するための流体圧力調節機構からなり、前記スラリーを高温高圧で水熱処理するための連続式反応装置であって、
    前記流体圧力調節機構は、A)流体送液用のポンプと、B)前記送液手段の中の流体圧力を測定するための圧力計と、及び、C)前記流体圧力調節機構をPID制御するための制御器とからなり、
    前記ポンプは、流体を送液する通常の使用法と逆となる逆送方向に接続した回転容積式一軸偏心螺子ポンプであり、前記ポンプの吐出口側から前記スラリーが流入し、前記ポンプの供給口側から前記スラリーが排出するように、前記送液されている前記スラリーが排出される前記送液手段の出口側に、設置され、
    前記制御器は、前記送液手段の前記出口側(背圧)の圧力を、前記圧力計で測定された圧力値に基づいて、前記ポンプの回転数をPID制御しながら流量を調節し、前記圧力を設定値に維持する
    ことを特徴とする流体圧力調節機構を備えた連続式反応装置。
  2. 請求項1に記載の流体圧力調節機構を備えた連続式反応装置において、
    前記送液手段は、前記水熱処理のための反応路からなり、
    前記流体圧力調節機構は、前記反応路の出口側に設置されている
    ことを特徴とする流体圧力調節機構を備えた連続式反応装置。
  3. 請求項に記載の流体圧力調節機構を備えた連続式反応装置において、
    前記反応路と前記流体圧力調節機構の間に設置され、前記反応路を排出された前記スラリーを冷却するための冷却手段を備えている
    ことを特徴とする流体圧力調節機構を備えた連続式反応装置。
  4. 請求項3に記載の流体圧力調節機構を備えた連続式反応装置において、
    前記供給手段と前記流体圧力調節機構の間に設置され、前記反応路を加熱するための加熱手段を備えている
    ことを特徴とする流体圧力調節機構を備えた連続式反応装置。
  5. 請求項1乃至4の中から選択される1項に記載の流体圧力調節機構を備えた連続式反応装置において、
    前記スラリーは、固形分の濃度が0.1%〜30%である
    ことを特徴とする流体圧力調節機構を備えた連続式反応装置。
  6. 請求項4に記載の流体圧力調節機構を備えた連続式反応装置を用いてβグルカンを製造するためのβグルカン製造方法であって、
    前記スラリーは、a)黒酵母(Aureobasidium pullulans)が生産する液体状の多糖含有培養液を、凝集剤を添加し攪拌して固形物を沈殿させ、水洗圧搾脱水することで、固形分を選別し、b)前記固形分に純水を加え、攪拌することで調製されたものであり、
    前記加熱手段による加熱は、140℃以上200℃以下の加熱温度で前記反応路を加熱する
    ことを特徴とするβグルカン製造方法。
  7. 請求項6に記載のβグルカン製造方法において、
    前記加熱手段で加熱されて反応し水熱処理された前記スラリーを濾過手段により濾過することで、前記スラリー中の不溶物が除去され、
    前記濾過手段で前記濾過された濾液を、限外濾過濃縮後凍結乾燥し、高純度のβグルカンを得る
    ことを特徴とするβグルカン製造方法。
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