JP6188002B1 - 単層紙 - Google Patents
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Abstract
Description
紙おしぼりは、水分を含んだ状態で使用されるため、積層紙に水分を含ませた後、袋に封入される。一方、ペーパータオルは、例えば、テーブルにこぼれた水分を拭き取るために使用される。このペーパータオルは、水分を含んでいない状態で保管され、使用時に拭き取る対象に接触することで水分を含む。
紙おしぼりやペーパータオルには、厚さが薄い積層紙が使用されているため、これらの積層紙は、水分を含むと強度が小さくなり、大きな外力が加わった場合に破れてしまうという課題がある。
特許文献1の積層紙では、一方向に延びる皺を有するクレープ紙が、熱融着性シートに積層され、熱融着部によりクレープ紙及び熱融着性シートが部分的に熱融着されている。そして、この熱融着部は、クレープ紙の皺方向と直交する方向に一定間隔で配置される多数の長点からなる破線状であり、互いに略平行となるよう皺方向に一定間隔を置いて複数配置されている。
また、皺方向に隣接する熱融着部では、一方の熱融着部の長点間の非融着部の長さ方向の中間部が、他方の熱融着部の長点の長さ方向中間部と一致するよう、複数の熱融着部を皺方向に一定間隔を置いて配置され、熱融着部の長点の長さ方向の端部が、隣接する熱融着部の長点の長さ方向の端部と、皺方向と直交する方向において所定長重複するように形成されている。
一般的に、クレープ紙の皺は、積層紙の製造の過程で、クレープ紙を構成する繊維が配列されている繊維方向に対して直交する方向に形成されている。そのため、特許文献1の積層紙の熱融着部の長点はクレープ紙の繊維方向と同じ向きに形成される。
上述の通り、特許文献1の積層紙では、熱融着部の長点が、積層紙の繊維方向に対して同じ方向に形成されているため、この積層紙は、繊維方向に対して直交方向に加わる外力に弱く、破れてしまうおそれがある。
そのため、使い捨て紙製品には、廉価で、水分を含んだ状態でも強度が大きいことが望まれている。
そのため、単層紙に大きな外力が加わった場合でも、破れることなく使用でき、多様な使用態様に適用できる。
そのため、熱融着部の面積が小さい場合でも、繊維方向と直交する方向の強度を大きくできる。
非熱融着部に第一熱融着部を形成することで、非熱融着部に大きな外力が加わった場合、第一熱融着部は、その外力の一部を吸収するため、非熱融着部と第二熱融着部との境目部分に加わる力が低減され、非熱融着部と第二熱融着部との境目部分が破れることを防止できる。
本実施形態に係る衛生紙1(単層紙)を、図1〜図7を参照し、説明する。
衛生紙1は、単層で構成され、使い捨て紙製品、例えば、紙おしぼりやキッチンペーパに使用される。
衛生紙1は、図1(a)に示すように、一方向に配列された繊維2、及び熱融着繊維3を含む。この衛生紙1には、図1(b)に示すように、衛生紙1の繊維2が配列されている方向X(以下、繊維方向Xと記す。)に対して、所定の角度θで形成される複数の第一熱融着部としての熱融着部4(以下、第一熱融着部4とも記す。)が形成されている。
なお、本実施形態の熱融着部4とは、熱融着繊維3に熱が加えられ、衛生紙1を構成する繊維同士が融着した部分を指す。
なお、衛生紙1には、熱融着性繊維3の代わりに熱融着剤を混ぜ込んでおくこともでき、衛生紙1の厚みは、用途や目的に応じて適宜変更できる。
角度θは、非熱融着部の繊維2に対して熱融着部4の一方の長辺5(図2中左側)がなす角度であり、例えば、図2(a)は、熱融着部4が、その左側の長辺5と繊維6の角度θが60度で形成された例を示し、図2(b)は、熱融着部4の角度θが90度で形成された例を示し、図2(c)は、熱融着部4の角度θが120度で形成された例をそれぞれ示している。
この角度θは、40度から140度が好ましく、40度から50度又は130度から140度がさらに好ましく、60度から80度又は100度から120度が最も好ましい。
なお、図2では、熱融着部4の左側の長辺5と繊維6がなす角度θについて説明したが、熱融着部4の右側の長辺5と繊維6がなす角度を角度θとしてもよい。
衛生紙1において、熱融着部4は、角度θが同一で、繊維方向X、交差方向Yに一定の間隔で形成することができる(図3(a))。繊維方向Xの列の熱融着部4と交差方向Yに形成されている熱融着部は、それぞれ隣り合っている。
また、衛生紙1において、熱融着部4は、図3(a)に示した衛生紙1の交差方向Yの熱融着部4を、繊維方向Xに所定の距離ずらして形成されている(図3(b))。この場合、交差方向Yにおいて、熱融着部4が必ず形成されている。
さらに、図5(b)に示すように、熱融着部4は、矩形状で角度θが90度の熱融着部4と、直線状で所定の角度θ(40度から140度)で形成された熱融着部4とを組み合わせて形成することもできる。
また、熱融着部4を、多角形の模様の一部又は全部に含ませることができる。例えば、六角形状(図6(b))、四角形状(図7(a))、三角形状(図7(b))の模様の構成に含ませることができる。
本実施形態に係る衛生紙1は、図8に示すヒートシール部10を備える衛生紙製造装置によって製造できる。このヒートシール部10は、上側ローラ11と、この上側ローラ11と対向する下側ローラ12とを備えている。この上側ローラ11のローラ面11Aには、上側突起部13が形成されている。この上側突起部13は、矩形であり、この上側突起部13の長辺は、上側ローラ11の周方向に対し、40度から140の角度で形成されている。
この上側ローラ11と下側ローラ12との間に、衛生紙1を挿入し、上側ローラ11、下側ローラ12から熱が加えられ、衛生紙1が部分的に熱融着され、熱融着部4が形成される。その後、衛生紙1は、巻き取りローラ(図示しない)によって巻き取られ、ロール巻きされる。
ヒートシール部10Aでは、上側ローラ11のローラ面11Aに矩形状の上側突起部13および下側ローラ12のローラ面12Aに矩形状の下側突起部14がそれぞれ複数形成されている(図8(a))。上側突起部13と下側突起部14は、同じ形状に設計され、周方向に対し、上側突起部13と下側突起部14を設ける間隔は同じとする。このヒートシール部10Aでは、上側突起部13と下側突起部14が、衛生紙1を上下から挟み込むことで、複数の熱融着部4が形成される。なお、下側突起部14の長辺も、下側ローラ12の周方向に対し、40度から140の角度で形成されている。
このヒートシール部10Bでは、ローラ面11Aに形成された上側突起部13とローラ面12Aに形成された下側突起部14が、衛生紙1をギアのように上下から挟み込むことで、複数の熱融着部4が形成される。
なお、上側突起部13および下側突起部14は、各ローラ11,12の周方向に連続してそれぞれ形成されている。
実施例1〜実施例22では、衛生紙1に、プレーン紙、又はクレープ紙を使用した。クレープ紙には、交差方向Yに皺が複数形成されているものを使用した。
熱融着部4は、図3(a)に示した配列で、繊維方向X、交差方向Yにそれぞれ一定の間隔で形成させた。
水分を含ませた衛生紙1に対し、交差方向Y又は、図1(b)に示した交差方向Yに対して斜めの方向(以下、斜め方向Zと記す。)から外力を加えたときの強度(破れにくさ)を調べた。
強度試験は、衛生紙1の両端をそれぞれ挟み、交差方向Y、斜め方向Zに所定の外力を加えた。所定の外力は、熱融着部4が、繊維方向Xに対して0度(180度)で形成された積層紙1が破れるときに必要な力とした。
強度評価は、衛生紙1に外力を加えた後、衛生紙1に破れ目が生じているかを目視で観察した。強度評価の基準は、以下の通りとした。
◎:破れにくい(破れ目なし)
〇:やや破れにくい(一部に小さな破れ目あり)
△:やや破れやすい(一部に大きな破れ目あり)
×:破れやすい
プレーン紙を使用した衛生紙1において、熱融着部4の角度θを40度から140度で形成させた場合、衛生紙1の強度が大きいことが分かった(実施例1から実施例11)。
交差方向Yからの引っ張り力に関しては、熱融着部4の角度θを60度から120度で形成した衛生紙1では、破れ目は観察されなかった。
一方、斜め方向Zに対する引っ張り力に関しては、熱融着部4の角度θを50度から80度、100度から130度で形成した衛生紙1では、破れ目が観察されなかった。
これらの結果から角度θが60度から80度、100度から120度で、熱融着部4を形成させた場合、衛生紙1は、交差方向Yおよび斜め方向Zからの引っ張り力に対し、特に大きな強度を示すことが分かった。
また、この熱融着部4を形成する角度θに対する衛生紙1の強度は、衛生紙1にクレープ紙を使用した場合でも同じであった(表1:実施例12から実施例22)。
衛生紙1の強度は、熱融着部4を図3(a)に示した配列で形成した衛生紙1とほぼ同じ結果だった。熱融着部4の角度θを40度から140度で形成した場合、強度が大きいことが分かった(実施例23から実施例44)。
交差方向Yに対する引っ張り力に関しては、熱融着部4の角度θを60度から120度で形成した衛生紙1では破れ目が観察されず、一方、斜め方向Zに対する引っ張り力に関しては、熱融着部4の角度θを50度から80度、100度から130度で形成した衛生紙1では破れ目が観察されなかった。
これらの結果から、熱融着部4の配列を変えた場合でも、角度θが60度から80度、100度から120度で、熱融着部4が形成された衛生紙1は、交差方向Yおよび斜め方向Zからの引っ張り力に対し、特に大きな強度を示すことが分かった。
また、角度θが0度から30度、150度から180度で熱融着部4を形成させた場合、衛生紙1では、大きな破れ目が生じたり、衛生紙1が完全に破れてしまうことが分かった。
本実施形態に係る衛生紙1は、熱融着部4の角度θを40度から140度で形成することで、水分を含んだ状態において、交差方向Yや斜め方向Zから外力を加えても、破れにくい。そのため、衛生紙1は、様々な方向から外力を加えても、機能を維持することができ、衛生紙1を使用する作業範囲を広くすることができ、紙おしぼりやペーパータオルの多様な使用態様に適用できる。
さらに、衛生紙1を廉価で作製できるため、使い捨ておしぼり等の使い捨て紙製品を広く普及することができる。
また、模様の一部(あるいは全部)として熱融着部4を形成した場合(図6及び図7)、衛生紙1の強度を大きくしつつ、衛生紙1の清潔的美観を付与することができ、衛生紙1の意匠性を向上させることもできる。
衛生紙1は、用途に応じて、求められる強度が異なるが、熱融着部4の繊維方向Xに対する形成角度、面積、形成する個数を適宜変更して、所望の強度の衛生紙を設計できる。
本実施形態に係る衛生紙1は、第二熱融着部20が形成されることで、所定の形状の非熱融着部21が形成され、その非熱融着部21に第一熱融着部4が形成されている点で、第一実施形態に係る衛生紙1と相違する。
以下、本実施形態に係る衛生紙1について、第一実施形態に係る衛生紙1と相違する部分を中心に説明する。
図9(a)及び(b)に示す衛生紙1において、非熱融着部21及び第一熱融着部4以外の部分は、第二融着部20によって、全て熱融着されている。つまり、第二熱融着部20は、繊維方向X及び交差方向Yを含む全方向に向けて形成されている。
本実施形態に係る衛生紙1において、第二熱融着部20は、繊維方向Xや交差方向Yを含む全方向に向けて形成されているため、衛生紙1の強度は、主として第二熱融着部20によって確保され、水分を含んだ状態でも強度を確保することができる。
本実施形態の衛生紙1に大きな外力が加わった場合、非熱融着部21に第一熱融着部4が形成されているため、非熱融着部21と第二熱融着部20との境目部分に加え、第一熱融着部4にも大きな外力が加わる。第一熱融着部4は、外力の一部を吸収するため、非熱融着部21と第二熱融着部20との境目部分に加わる力が低減される。
したがって、衛生紙1に大きな外力が加わった場合でも、非熱融着部21と第二熱融着部20との境目部分が破れることを防止できる。また、第一熱融着部4が形成されていることで、非熱融着部21の強度を確保することもできる。
また、第一熱融着部4は、図10(b)に示すように、全ての非熱融着部21に形成されていなくてもよく、繊維方向X及び交差方向Yに複数形成されていればよい。
本実施形態に係る衛生紙1は、水分を含んだ状態でも強度の大きい使い捨て紙製品として使用することができる。また、衛生紙1は、単層紙であるため、積層紙と比べ、廉価で提供することができる。
したがって、この衛生紙1が普及されることにより、使い捨て紙製品を広く普及することができ、衛生紙1は、使い捨て紙製品関連の産業への貢献することが大きく期待される。
第一実施形態では、衛生紙1にプレーン紙、クレープ紙を使用した例を示したが、衛生紙1には、不織布(例えば、メッシュシート、多孔質シート、エアレイド不織布)を使用することもできる。例えば、衛生紙1に不織布を使用した場合、不織布の極細繊維に細かいゴミが絡むため、衛生紙1をペーパータオルとして使用した場合、不織布の面で、細かいゴミを拭き取ることができ、さらに、手に付着した細かいゴミを除去することができる。さらに、衛生紙1を顔や口を拭くために使用する場合、衛生紙1は、不織布のソフトな感触で顔や口を拭くことができ、幼児や高齢者に優しい肌触りで顔や口を拭くことができる。
なお、第二実施形態の衛生紙1における非熱融着部21は、必ずしも第二熱融着部20によって閉じられた領域に限定されない。
2 繊維
3 熱融着繊維
4 熱融着部(第一熱融着部)
5 長辺
10 ヒートシール部
11 上側ローラ
11A ローラ面
12 下側ローラ
12A ローラ面
13 上側突起部
14 下側突起部
20 第二熱融着部
21 非熱融着部
X 繊維方向
Y 交差方向
Z 斜め方向
θ 角度
Claims (4)
- 一方向に配列された繊維、及び熱融着繊維を含む単層紙であって、
前記熱融着繊維に熱が加えられ、前記繊維同士が融着することによって形成される第一熱融着部を備え、
この第一熱融着部は、矩形であり、その長辺が前記繊維に対して、60度から80度又は100度から120度の角度で、前記繊維が配列されている繊維方向及びこの繊維方向に直交する交差方向に複数かつ独立して形成されている、
ことを特徴とする単層紙。 - 模様が施され、
前記第一熱融着部が、少なくとも前記模様の一部を構成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の単層紙。 - 前記熱融着繊維に熱が加えられ、前記繊維同士が融着することで形成された第二熱融着部に囲まれた非熱融着部に、前記第一熱融着部が形成されている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の単層紙。 - 紙おしぼり又はペーパータオルに使用される、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の単層紙。
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