JP6184766B2 - 多孔質積層体、吸着緩衝材、及び吸着方法 - Google Patents

多孔質積層体、吸着緩衝材、及び吸着方法 Download PDF

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Description

本発明は、多孔質積層体、該多孔質積層体を含む吸着緩衝材、及び該吸着緩衝材を用いた吸着方法に関する。
液晶用ガラス板や積層セラミックコンデンサ用のグリーンシート等、薄膜状、板状、又はフィルム状の物を固定又は搬送するための手段のひとつに、減圧吸引により上記薄膜等を吸着ステージ上に吸着固定又は吸着搬送する方法がある。その吸着ステージには、吸着面に吸着緩衝材として通気性を有する樹脂多孔体が装着される。これにより、被吸着部材に傷や接触痕が生じるのを防ぐことができる。このような樹脂多孔体としては、剛性やクッション性等の観点から、ポリエチレン粉末を焼結成形して得られる焼結成形体が用いられることがある。
近年、液晶や積層セラミックコンデンサは小型化及び高性能化が急激に進行しており、その原料であるガラス板やセラミックグリーンシートの薄型化が進んでいる。このため非常に精密な吸着固定又は吸着搬送を行う必要が生じている。したがって、減圧吸引での吸着ステージに装着する吸着緩衝材としても、優れた表面平滑性や強度剛性、帯電防止性等が求められている。
このような、表面平滑性に優れる多孔質シートとして、少なくとも一方の面にプラスチックの微粒子を含み構成される粒子層を設けた多孔質シートが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、強度剛性に優れ、吸引物の変形を防ぐ吸着固定板として、吸着孔を有する金属板あるいは樹脂板に網目スクリーンを添着させた吸着固定板の提案もなされている(例えば、特許文献2参照。)。さらに、通気性や強度などを維持しつつ、十分な帯電防止性を有する多孔質体の提案もなされている(例えば、特許文献3参照。)。
特開2006−26981号公報 特開平9−57561号公報 特開2003−103723号公報
液晶や積層セラミックコンデンサ等の精密部品では、異物の混入が極めて制限されている。そのため、製造工程で使用される各種部品にも異物を発生させないことが求められている。吸着固定や吸着搬送時に使用される吸着緩衝材として使用される樹脂粉末の焼結体にも、原料樹脂粉末の脱落がないこと等が求められている。
しかしながら、上記特許文献1に開示されている多孔質シートは、樹脂粉末の脱落については検討がなされていない。また、上記特許文献2に開示されているフィルム吸着保持治具は、表面平滑性に関する検討がなされていない。さらに、上記特許文献3に開示されている帯電防止性を有する多孔質体は、樹脂粉末の脱落や表面平滑性に関する検討がなされていない。
さらには、吸着緩衝材には、表面平滑性の部分的なバラつきがないことも求められており、これらをすべて解決する技術が求められている。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、優れた表面平滑性を有し、その表面平滑性に部分的なバラつきが少なく、かつ帯電防止性を有し、さらに原料粒子の脱落のない多孔質積層体、該多孔質積層体を含む吸着緩衝材、及び該吸着緩衝材を用いた吸着方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、樹脂多孔体の少なくとも片面に通気性を有し、所定の表面粗さと所定の表面低効率とを有するシートが積層された多孔質積層体であれば、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕
樹脂多孔体(a)を有し、
該樹脂多孔体(a)の少なくとも片面に、通気性を有し、表面粗さ(Ra)が0.1〜20μmであり、表面抵抗率が1.0×1012Ω以下であるシート(b)が積層されている、
多孔質積層体。
〔2〕
前記樹脂多孔体(a)が、ポリオレフィン系樹脂を含む、前項〔1〕に記載の多孔質積層体。
〔3〕
前記ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレンを含む、前項〔2〕に記載の多孔質積層体。
〔4〕
前記ポリエチレンの密度が、890〜970kg/m3である、前項〔3〕に記載の多孔質積層体。
〔5〕
前記樹脂多孔体(a)が、樹脂粉末の焼結成形体を含む、前項〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の多孔質積層体。
〔6〕
前記シート(b)が、織布、不織布、又は細孔シートのいずれかである、前項〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の多孔質積層体。
〔7〕
前記シート(b)の表面粗さ(Ra)が、0.1〜10μmである、前項〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の多孔質積層体。
〔8〕
前記シート(b)の表面抵抗率が、1.0×106Ω以下である、前項〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の多孔質積層体。
〔9〕
厚さが0.06〜15mmである、前項〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の多孔質積層体。
〔10〕
曲げ弾性率が30〜3000MPaであり、
通気量が0.3〜30cm3/cm2/sである、前項〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の多孔質積層体。
〔11〕
前項〔1〕〜〔10〕のいずれか1項に記載の多孔質積層体を含む、吸着緩衝材。
〔12〕
前項〔11〕に記載の吸着緩衝材を用いて薄膜を吸着する、吸着方法。
〔13〕
前記吸着緩衝材を吸着ステージの吸着面に装着し、前記吸着緩衝材上に薄膜を吸着する、前項〔12〕に記載の吸着方法。
〔14〕
樹脂多孔体(a)を吸着ステージの吸着面に装着し、前記樹脂多孔体(a)上にシート(b)を積層させて前記吸着緩衝材とし、該吸着緩衝材上に薄膜を吸着する、前項〔12〕に記載の吸着方法。
〔15〕
薄膜がセラミックグリーンシートである、前項〔12〕〜〔14〕のいずれか1項に記載の吸着方法。
本発明によれば、優れた表面平滑性を有し、その表面平滑性に部分的なバラつきが少なく、かつ帯電防止性を有し、さらに原料粒子の脱落のない多孔質積層体、該多孔質積層体を含む吸着緩衝材、及び該吸着緩衝材を用いた吸着方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の本実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
〔多孔質積層体〕
本実施形態に係る多孔質積層体は、
樹脂多孔体(a)を有し、
該樹脂多孔体(a)の少なくとも片面に、通気性を有し、表面粗さ(Ra)が0.1〜20μmであり、表面抵抗率が1.0×1012Ω以下であるシート(b)が積層されている。
〔樹脂多孔体(a)〕
樹脂多孔体(a)を構成する樹脂としては、特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂、又は熱硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、具体的には、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアリレート、液晶ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール、ポリカーボネート、フッ素系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド等が挙げられる。
また、熱硬化性樹脂としては、特に限定されないが、具体的には、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アリル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、賦形性、二次加工性等の観点から熱可塑性樹脂が好ましい。さらに熱可塑性樹脂のなかでも、ポリエチレン、ポリプロピレンに代表されるポリオレフィン系樹脂がより好ましい。樹脂多孔体(a)がポリオレフィン系樹脂を含むことにより、より安価となり、耐薬品性及び加工性により優れ、素材の吸湿性及び吸水性がより低くなる傾向にある。このようなポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されないが、具体的には、ポリエチレン等のエチレンの単独重合体、エチレンと、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等の1種以上のα−オレフィンと、の共重合体、エチレンと、酢酸ビニル、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル等と、の共重合体、プロピレンの単独重合体、及び、プロピレンと、エチレン、ブテン−1等の1種以上のα−オレフィンと、の共重合体等が挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂の中でも、ポリエチレンが好ましい。ポリエチレンを用いることにより、より安価となり、焼結成形がより容易となり、成形後の加工性及び耐薬品性により優れ、素材自身の吸湿性及び吸水性がより低くなる等の傾向にある。
ポリエチレンの密度は、890〜970kg/m3であることが好ましい。樹脂多孔体(a)に十分な剛性を持たせるという観点から、密度の下限は890kg/m3が好ましく、920kg/m3がより好ましく、930kg/m3がさらに好ましく、940kg/m3がよりさらに好ましい。また、取扱い性の容易さの観点から、密度の上限は970kg/m3が好ましく、960kg/m3がより好ましい。ここでポリエチレンの密度は、JIS K 7112:1999に準拠し、密度勾配管法(23℃)により測定して得ることができる。
またポリエチレンの粘度平均分子量は、1000〜10000000が好ましく、10000〜10000000がより好ましく、100000〜10000000がさらに好ましい。粘度平均分子量が上記範囲内であることにより、焼結成形時に空孔の形成を阻害する要因となる樹脂の流動がより少なくなり、かつ、隣り合う樹脂粒子の融着性により優れる傾向にある。粘度平均分子量は、例えば、以下に示す方法によって求めることができる。まず、ポリエチレンをデカリン(デカヒドロナフタレン)に溶解させ、濃度の異なる複数の溶液を作製する。それらの溶液を135℃の恒温槽で、ウベローデタイプの粘度計を用いて、それぞれの還元粘度(ηsp/C)を求める。濃度(C)とポリマーの還元粘度(ηsp/C)の直線式を導き、濃度0に外挿した極限粘度([η])を求める。この極限粘度([η])から以下の式に従い、粘度平均分子量(Mv)を求めることができる。
Mv=5.34×104×[η]1.49
樹脂多孔体(a)の原料樹脂は、密度及び/又は粘度平均分子量等が異なるポリエチレンの混合原料であってもよく、ポリエチレンとポリエチレン以外の原料樹脂との混合原料であってもよい。
樹脂多孔体(a)は、樹脂粉末の焼結成形体を含むことが好ましい。上記のような樹脂の粉末の焼結成形体を含むことにより、剛性やクッション性により優れる傾向にある。
樹脂多孔体(a)を形成する方法としては、特に限定されず公知の方法を用いることができ、例えば、発泡成形、焼結成形等が挙げられる。そのほかに、例えば抽出可能な成分と溶融させた樹脂とを混合して成形体を作った後、抽出可能な成分を成形体から抽出して連続気孔の多孔質体を形成することも可能である。このなかでも、焼結成形は金型に原料を充填し、加圧又は無加圧状態で融点以上に温度維持された加熱炉内に投入して焼結させ、その後冷却し、金型から成形体を取り出すことで、連続気孔の多孔質体をより容易に形成できるためより好ましい。シート状の多孔質体を得る場合、金型での焼結成形法、押出し成形法、無端ベルト上に原料樹脂を堆積後加熱することで焼結する成形法、もしくは上記成形法を用いて成形した多孔質体をスライス加工、又はスカイブ加工する方法等が好適に用いられる。また、本実施形態において「連続気孔」とは、成形体のある面から他の面へ気孔が連続しているものをいう。この気孔は直線的でもよいし曲線的でもよい。尚、気孔は、全体が均一な寸法であってもよいし、例えば表層と内部、或いは一つの表層と他の表層とで気孔の寸法を変えたものでもよい。
樹脂多孔体(a)を焼結成形によって得る場合は、原料樹脂として粉状の樹脂が用いられる。この場合、原料樹脂の平均粒径は、30μm〜1000μmであることが好ましく、30μm〜300μmであることがより好ましく、100μm〜300μmがさらに好ましく、120μm〜250μmがよりさらに好ましい。原料樹脂の平均粒径が上記範囲内であることにより、樹脂多孔体(a)の気孔径が制御され、通気性を有するシート(b)が、樹脂多孔体(a)の内部に吸引され撓むことを抑制できる傾向にある。なお、原料樹脂の平均粒径は、累積重量が50%となる粒子径、すなわちメディアン径であり、レーザ回析式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製「SALD−2100」)を用い、メタノールを分散媒として測定することができる。
樹脂多孔体(a)は、取扱い性に優れるという観点から、厚さが0.05〜10mmであることが好ましく、0.05〜3mmであることがより好ましく、0.1mm〜3mmがさらに好ましく、0.2〜3mmがよりさらに好ましい。ここでいう樹脂多孔体(a)の厚さとは、シート(b)を積層する前の厚さであってもいいし、シート(b)を積層した後に樹脂多孔体(a)のみの厚さを測ったものであってもよい。シート(b)を積層した後の樹脂多孔体(a)のみの厚さは、多孔質積層体を厚さ方向に沿って切断し、その切断面を光学顕微鏡(株式会社キーエンス社製「マイクロスコープVH−Z100UR」)を用い観察することで求めることができる。
通気性を有するシート(b)と同様に、樹脂多孔体(a)の表面抵抗率は、1.0×1012Ω以下が好ましく、1.0×109Ω以下がより好ましく、1.0×106Ω以下がさらに好ましい。樹脂多孔体(a)の表面低効率が上記範囲内であることにより、帯電によるパーティクルの付着をより抑制することができる傾向にある。なお、1.0×106Ω〜1.0×1012Ωの範囲の表面抵抗率は、JIS K 6911:1995に準拠し、二重リング方式にて測定することができる。また、1.0×106Ω以下の範囲の表面抵抗率は、JIS K 7194:1994に準拠し、四端子方式にて測定することができる。
〔通気性を有するシート(b)〕
本実施形態に係る多孔質積層体は、上記樹脂多孔体(a)の少なくとも片面に、通気性を有し、表面粗さ(Ra)が0.1〜20μmであり、表面抵抗率が1.0×1012Ω以下であるシート(b)が積層されたものである。このようなシート(b)を用いることにより、表面平滑性の部分的なバラつきが少なく、優れた表面平滑性を有し、樹脂多孔体(a)からの原料粒子の脱落をより抑制することができる。
ここで「通気性」とは、シート(b)の片面側とその反対の面側に空気の圧力差があるとき、高い圧力の面側から低い圧力の面側に空気が通過する性質(空気を通す性質)をいう。
シート(b)としては、特に限定されないが、織布、不織布、細孔シート、スポンジ、多孔質膜が挙げられる。その中でも、織布、不織布、又は細孔シートのいずれかが好ましい。一般に、織布、不織布又は細孔シートは、均一な厚み、均一な開口部を持つことが知られており、これらをシート(b)として用いることにより、一定の品質が保たれ、表面平滑性に部分的なバラつきがより少ない多孔質積層体を得ることができる。
「織布」とは、繊維を経緯に組み合わせて作った織物、もしくは繊維を編みあげた編物をいう。織布は従来公知の方法により得ることができる。
「不織布」とは、繊維同士を織らないで積層して重ね合わせ、種々の方法により結合させて得たシートをいう。上記不織布を製造する方法としては、特に限定されないが、例えば、湿式法、スパンレース法、メルトブロー法、電気紡糸法等が挙げられる。不織布のなかでも、脱落繊維がないことから、耐摩耗性に優れ、強度の高い長繊維不織布が好ましい。
「細孔シート」とは、薄膜もしくは板状、フィルム状のシートにパンチ等を用いて穴を打つことにより製造したものをいう。細孔シートの細孔は特に限定されず、円状のほか、多角形等の種々の形状であってよい。配列も格子状、千鳥状等の種々の配列であってよい。
なかでも、織布や細孔シートは、篩の篩網として使用されることが広く知られている。さらに織布の中でも繊維を経緯に組み合わせて作った織物は、スクリーン印刷の版にも使用されていることが広く知られている。
織布又は不織布の場合にシート(b)に用いられる材質としては、特に限定されないが、例えば、ナイロン6、ナイロン66、共重合ポリアミド等のポリアミド系繊維;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、共重合ポリエステル等のポリエステル系繊維;ポリエチレン、ポリプロピレン、共重合ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維;ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリジンフルオリド、ペルフルオロポリマー等のフッ素系繊維;ポリエーテルウレタン等のポリウレタン繊維;ビニロン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、アクリル繊維、ポリイミド繊維、ポリエーテルイミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリカーボネート繊維、ポリ乳酸繊維、ポリオキシド繊維、ポリエチレンオキシド繊維、ポリスチレン繊維、ポリエチレングリコール誘導体繊維、ポリホスファゼン繊維等に代表される合成繊維;セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、プロミックス等に代表される半合成繊維;ガラス繊維、炭素繊維等に代表される無機繊維;レーヨン、キュプラ等に代表される再生繊維;綿、木綿、石綿、羊毛、麻、絹等に代表される天然繊維;あるいは金属繊維が挙げられる。これらは単独で用いても2種類以上混合して用いてもよい。また、鞘部分がポリエチレン、ポリプロピレン、共重合ポリエステル等からなり、芯部分がポリプロピレン、ポリエステル等からなる複合繊維等であってもよい。さらに、繊維の互いに交差する部分が、溶融させることで接合されていてもよく、接着物質で接合されていてもよい。
また、細孔シートの場合にシート(b)に用いられる材質としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、環状オレフィンコポリマー、ポリメチルペンテン等に代表されるポリオレフィン系樹脂;エチレン−四フッ化エチレン共重合体、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル等に代表されるフッ素系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、共重合ポリアミド等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、共重合ポリエステル等のポリエステル系樹脂;アイオノマー、ポリウレタン、セロファン、ポリ乳酸、トリアセチルセルロース、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフェニレンサルファイド、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル等が挙げられる。これらは単独で用いても2種類以上混合して用いてもよい。
本実施形態で用いるシート(b)の表面粗さ(Ra)は、0.1〜20μmであり、0.1〜10μmが好ましく、0.1〜5μmがより好ましく、0.1〜3μmがさらに好ましい。表面粗さ(Ra)が上記範囲内であることにより、表面平滑性の部分的なバラつきが少なく、表面平滑性により優れる。表面粗さ(Ra)は、触針式表面粗さ計(株式会社東京精密社製「ハンディサーフE−35B」)を用い、先端径R:5μm、速度:0.6mm/s、測定長:12.5mm、カットオフ値λc:2.5mm、測定回数:n=5の条件にて測定することができる。より詳細には、表面粗さ(Ra)は実施例に記載の方法により測定することができる。
シートの表面粗さ(Ra)は、織布であれば用いる繊維の繊維径やメッシュ数で、不織布であれば気孔径で、細孔シートであれば細孔の形状やサイズによって調整することができる。用いる材質によっても異なるが、平織の織布であればメッシュ数を150メッシュ以上とすることにより、表面粗さ(Ra)を20μm以下にすることができる。また不織布であればパームポロメーターにて測定できる平均気孔径を100μm以下とすることにより、表面粗さ(Ra)を20μm以下にすることができる。繊維を経緯に組み合わせて作った織布であれば、メッシュ数は150メッシュ以上が好ましく、250メッシュ以上がより好ましく、420メッシュ以上がさらに好ましい。メッシュ数が150メッシュ以上であることにより、表面平滑性により優れる傾向にある。さらに、420メッシュ以上の織物に表面平滑性を向上させるカレンダー加工や開口部を小さくするシュリンク加工を行ったシート(b)も好ましい。このような加工を施したシート(b)を用いることにより、表面平滑性にさらに優れる傾向にある。ここでいう「メッシュ数」とは、1インチあたりの糸の本数である。
一方、細孔シートであればシートの厚みによっても異なるが、例えば厚み0.05mmであれば開口径100μm以下とすることにより、表面粗さ(Ra)を20μm以下にすることができる。
本実施形態で用いるシート(b)の表面抵抗率は、1.0×1012Ω以下であり、1.0×109Ω以下が好ましく、1.0×106Ω以下がより好ましい。表面抵抗率が1.0×1012Ω以下であることにより帯電防止性を有する。また、1.0×109Ω以下であることにより帯電した物体が接触した場合、その帯電を比較的すみやかに消散させることができる。さらに、1.0×106Ω以下であることにより導電性を有する。なお、1.0×106Ω〜1.0×1012Ωの範囲の表面抵抗率は、JIS K 6911:1995に準拠し、二重リング方式にて測定することができる。また、1.0×106Ω以下の範囲の表面抵抗率は、JIS K 7194:1994に準拠し、四端子方式にて測定することができる。
表面抵抗率を1.0×1012Ω以下に制御する方法としては、帯電防止剤、導電性高分子、親水性化合物溶液、カーボン、導電材料を、スプレー法、コーティング法、浸漬法等を用いてシート(b)の表面に担持する方法、内部に練り込む方法等が挙げられる。
帯電防止剤としては、特に限定されないが、例えば、非イオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
導電性高分子としては、特に限定されないが、例えば、ポリアニリン、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリ(p−フェニレンスルフィド)、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン等が挙げられる。
親水性化合物溶液に含まれる親水性化合物としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレンを含む炭素数8〜26の多価アルコールのアルキル−エステル系、アルキル−エーテル系、脂肪酸アミド基含有ポリエーテル、脂肪酸モノグリセリド、ソルビタンエステル誘導体、アツキルホスフェート金属塩、アルキルサルフェート金属塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート金属塩、アルキルスルホサクシネート金属塩、グルコース環を有する糖誘導体等が挙げられる。
カーボンとしては、特に限定されないが、例えば、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック;ポリアクリロニトリル系、ピッチ系等の炭素繊維;黒鉛等が挙げられる。また、導電材料としては、特に限定されないが、例えば、銀、銅、ニッケル等の金属微粉末;亜鉛、スズ、アンチモン等の金属酸化物;アルミニウム、ステンレス等の金属繊維等が挙げられる。
表面抵抗率を1.0×109Ω以下に制御する方法としては、上記表面抵抗率を1.0×1012Ω以下に制御する方法において、帯電防止剤や導電性高分子、親水性化合物溶液の濃度や塗布量を調整する方法、導電性高分子の種類に応じたドーパントを用いてドーピングを行う方法、カーボンや導電材料の含有量を増やす方法等が挙げられる。
表面抵抗率を1.0×106Ω以下にする方法としては、シート(b)の材質に金属、または金属コーティングが施されたものを使用する方法等が挙げられる。
シート(b)に用いられる金属の材質としては、特に限定はされないが、例えば、SUS304、SUS316等に代表されるステンレス鋼;青銅、リン青銅、黄銅等に代表される銅合金;アルミニウム、アルミニウム合金、金、銀、鉄、真鍮、銅、亜鉛メッキ鋼、チタン、インコネル、タングステン、ハステロイ、ニッケル等が挙げられる。これらは単独で用いても2種類以上混合して用いてもよい。また、硬度を上げることや、耐熱性、耐食性、切削性の向上という観点から、黒鉛、モリブテン、二硫化モリブテン、炭化タングステン、コバルト、ニッケル、マンガン、チタン、タンタル、ジルコニウム、フッ化ストロンチウムなどに代表される金属フッ化物、バリウム、カルシウム等を混合することもできる。
シート(b)に用いられる金属コーティングを施されたものの材質としては、特に規定はされないが、例えば、表面にSUS304、SUS316等に代表されるステンレス鋼;青銅、リン青銅、黄銅等に代表される銅合金;導電性カーボン、銅・ニッケル合金、亜鉛・ニッケル合金、ニッケル・タングステン合金、亜鉛・鉄合金、錫・亜鉛合金、錫・銀合金、錫・コバルト合金、アルミニウム、アルミニウム合金、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタン、酸化チタン、二酸化ケイ素、マグネシウム、フッ化マグネシウム、白金、金、銀、銅、鉄、亜鉛、カドミウム、錫、パラジウム、ニッケル、クロム、ハフニウム、イリジウム、モリブテン、ロジウム、ルテニウム、タンタル、コバルト、テルビウム、テルル、バナジウム、タングステン、銅・ガリウム合金、銅・インジウム・ガリウム合金、インジウム・錫酸化物等を物理蒸着膜、または化学蒸着膜で被覆したものが挙げられる。これらは単独で用いても2種類以上混合して用いてもよい。
シート(b)が繊維を経緯に組み合わせて作った織物である場合に、導電性に異方性を有する織物を使用することもできる。導電性に異方性を有する織物は、経糸、または緯糸に金属、または金属コーティング糸を用い、その垂直方向の糸を化学繊維、または天然繊維を用いることで実現できる。
シート(b)が帯電防止性を有することで、帯電によるパーティクルの付着を防ぐことや、静電気が発生することにより電荷が残留し、回路をショートさせることを防ぐことができる。また、被吸着部材がシリコンウェハのとき、通常、その処理ウェハに形成されたデバイスの電気的特性を評価するためにプロ―ビング処理を行うが、この際、縦型Insulated Gate Bipolar Transistor(IGBT)や縦型metal−oxide−semiconductor field−effect transistor(MOSFET)などのデバイスにおいては、処理ウェハの裏面側に電極端子が必要となる。吸着ステージに貼着する吸着緩衝材の処理ウェハに接する面が導電性の場合、その面に電流を流すことができるため、吸着ステージに処理ウェハを設置したままプロ―ビング処理を行うことができる。
シート(b)の厚さは、0.001〜5mmが好ましく、0.01〜2mmがより好ましく、0.01〜0.2mmがさらに好ましく、0.02〜0.1mmがよりさらに好ましい。厚さが上記範囲内にあることにより、取扱の簡便さ、及びコストにより優れる傾向にある。多孔質積層体中のシート(b)の厚みを測定する場合は、多孔質積層体を厚さ方向に沿って切断し、その切断面を光学顕微鏡(株式会社キーエンス社製「マイクロスコープVH−Z100UR」)を用いて観察することで測定することができる。
シート(b)は、同じ開口部の面積でも空隙率の異なる仕様のシートの製造が容易で、またその開口部の面積や厚みの安定性という観点で、産業上極めて有効である。
〔多孔質積層体の製造方法〕
樹脂多孔体(a)とシート(b)を積層させるには、接着剤等を用いて接着してもよいし、熱によって融着させてもよい。
通気性を確保するために、樹脂多孔体(a)とシート(b)とを部分的に接着、及び/又は熱による融着をすることが好ましい。このような積層方法としては、特に限定されないが、例えば、スプレー式粘着剤、接着剤を用いて点状、繊維状等の接着面の形成する方法、グラビアコータ、ロールコータ、スクリーン印刷機等を用いて点状、網目状、筋状等に接着面を形成する方法、粒子形状、ネット形状の熱可塑性樹脂を介して、加圧加熱して融着させる方法、超音波ウエルダー機、超音波ミシン等を用いスポット溶接させる方法、シート(b)と接する樹脂多孔体(a)の表面をわずかに溶融することで融着させる方法等により行うことができる。中でも、スプレー式接着剤を用い点状、繊維状等の接着面を形成する方法は簡便であるため好ましい。
スプレー式粘着剤及び接着剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、α−オレフィン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、エーテル系セルロース、ニトロセルロース、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリベンズイミダソール系樹脂、ポリメタクリレート系樹脂、メラミン系樹脂、ユリア系樹脂、レゾルシノール系樹脂、エチレン酢酸ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂、クロロプレンゴム系樹脂、スチレンブタジエンゴム系樹脂、ニトリルゴム系樹脂、シアノアクリレート系樹脂、水性高分子、イソシアネート系樹脂、シリコーン系樹脂、変性シリコーン系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、もしくはエチレン酢酸ビニル樹脂ホットメルト、反応性ホットメルト、ポリアミド樹脂ホットメルト、ポリウレタンホットメルト、ポリオレフィンホットメルト等の既存のものを採用可能である。
樹脂多孔体(a)とシート(b)を積層させるには、接着剤付き織布を使用することもできる。接着剤層を織布の線状部分上のみに設ける製法が公知の方法(例えば、特開2009−167275号公報に記載)を用いることもできる。
本実施形態に係る多孔質積層体の厚さは、0.06〜15mmが好ましく、0.06〜5mmがより好ましく、0.1〜3mmがさらに好ましく、0.2〜3mmがよりさらに好ましい。厚さが上記範囲内であることにより、取扱の簡便さやコストにより優れる傾向にある。ここで、「厚さ」とは、1/1000mm読みのマイクロメータ(株式会社ミツトヨ社製「MDC−SB」)を用いて測定したものである。
本実施形態に係る多孔質積層体の曲げ弾性率は、30〜3000MPaが好ましく、200〜3000MPaがより好ましく、200〜1000MPaがさらに好ましく、200〜800MPaがよりさらに好ましい。曲げ弾性率が上記範囲内であることにより、吸着緩衝材としての剛性と適度なクッション性により優れる傾向にある。ここで、「曲げ弾性率」とは、JIS K 7171:1994に従い、試験速度5mm/min、支持点間30mmの条件にて測定したものである。
本実施形態に係る多孔質積層体の通気量は、0.3〜30cm3/cm2/sが好ましく、0.3〜10cm3/cm2/sがより好ましく、1〜10cm3/cm2/sがさらに好ましい。通気量が上記範囲内であることにより、吸着緩衝材としての通気性により優れる傾向にある。ここで、「通気量」とは、通気度測定機(TEXTEST社製「FX3360PORTAIR」)を用い、測定範囲20cm2、測定差圧125Paの条件にて測定したものである。
〔吸着緩衝材〕
本実施形態に係る吸着緩衝材は、上記多孔質積層体を含む。本実施形態に係る多孔質積層体は、優れた表面平滑性、その表面平滑性に部分的なバラつきが少ないこと、帯電防止性を有すること、原料粒子の脱落がないことから、吸着緩衝材として好適に用いることができる。吸着緩衝材とは、液晶用ガラス板や積層セラミックコンデンサ用のシート等の、薄膜状、板状、又はフィルム状の物を固定又は搬送するための手段のひとつに、減圧吸引での吸着ステージで吸着固定又は吸着搬送する方法があるが、その吸着ステージの吸着面に装着するものである。
吸着緩衝材としては、上記多孔質積層体をそのまま用いてもよい。また、吸着緩衝材として加工する方法としては、特に限定されないが、例えば、吸着ステージに装着する際、必要に応じて、吸着ステージ、もしくは多孔質積層体に部分的な粘着加工を施すことや、多孔質積層体を所定のサイズにカット、溶断、レーザーカットする方法が挙げられる。
〔吸着方法〕
本実施形態に係る吸着方法は、吸着緩衝材を用いて薄膜を吸着する工程を有する。より具体的には、吸着緩衝材を吸着ステージの吸着面に装着し、吸着緩衝材上に薄膜状、板状、又はフィルム状の物を減圧吸引などにより吸着固定し、吸着搬送することができる。
なお、吸着緩衝材を装着する方法としては、特に限定されないが、例えば、樹脂多孔体(a)とシート(b)を積層した多孔質積層体を有する吸着緩衝材を吸着ステージの吸着面に装着する方法、樹脂多孔体(a)を吸着ステージの吸着面に装着した後に、樹脂多孔体(a)上にシート(b)を積層する方法、装着する直前に、樹脂多孔体(a)にシート(b)を積層させる方法、シート(b)を装着した後に樹脂多孔体(a)を装着する方法等が挙げられる。また、シート(b)は織布、不織布又は細孔シートのいずれか単独で装着しても、2種類以上の複層として装着してもよい。
ここで、固定又は搬送される薄膜としては、特に限定されないが、例えば、セラミックグリーンシートが挙げられる。セラミックグリーンシートは、通常、セラミック粉体、バインダ(アクリル系樹脂、ブチラール系樹脂等)、可塑剤(フタル酸エステル類、グリコール類、アジピン酸、燐酸エステル類)及び有機溶剤(トルエン、MEK、アセトン等)からなるセラミック塗料を準備し、このセラミック塗料を、ドクターブレード法等によりキャリアシート上に塗布し、加熱乾燥させたものである。
積層セラミックコンデンサは、スマートフォンやタブレット端末等の電子機器や自動車に使用されており、その生産台数が増加していくだけでなく、電子機器の高性能化、自動車の電子制御化が進むことで、1台当たりの使用数も増加している。拡大する需要と高性能化に対応する為、セラミックグリーンシートを非常に精密に吸着固定、吸着搬送することは、産業上極めて重要である。
本実施形態に係る多孔質積層体は、上記吸着固定、吸着搬送を行う際の吸着ステージの吸着面に装着する吸着緩衝材として用いることで、非常に精密な吸着固定、吸着搬送が可能となる。
次に、実施例及び比較例を挙げて本実施形態をより具体的に説明するが、本実施形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
各材料の各物性の測定は以下のとおりに行った。
[表面粗さ(Ra)平均及び表面粗さ(Ra)バラつきの測定方法]
多孔層積層体とシート(b)の表面粗さ(Ra)の測定は、触針式表面粗さ計(株式会社東京精密社製「ハンディサーフE−35B」)を用い、先端径R:5μm、速度:0.6mm/s、測定長:12.5mm、カットオフ値λc:2.5mmの条件にて測定した。測定位置は、被測定物の面の中心1箇所と、面をできるだけ同じ形状になるように4等分した際、その4等分された面の中心1箇所ずつ、合計5箇所を測定した。
表面粗さ(Ra)平均は、上記5箇所の測定の平均値として求めた。
表面粗さ(Ra)バラつきは、上記5箇所の測定の最大値と最小値の差であり、以下の判定基準に基づき、評価した。
○:最大値と最小値の差が、平均値の10%以下のもの。
×:最大値と最小値の差が、平均値の10%を超えるもの。
[表面抵抗率]
多孔層積層体とシート(b)の表面抵抗率の測定は、1.0×106Ω〜1.0×1012Ωの範囲内においては、JIS K 6911:1995に準拠し、二重リング方式にて測定し、1.0×106Ω以下の範囲においては、JIS K 7194:1994に準拠し、四端子方式にて測定した。そして、以下の判定基準に基づき、評価した。
◎:1.0×106Ω以下であった。
○:1.0×106Ωより大きく1.0×1012Ω以下であった。
×:1.0×1012Ωより大きかった。
[ダスト付着量]
ダスト付着量の測定は、実施例及び比較例で作製した、200mm×200mmサイズの1枚の多孔層積層体の重量を測定しておき、その後、温度26℃、湿度35%の環境下にて、JIS試験用粉体1−10種(フライアッシュ)を敷き並べた上に置き、取り上げた多孔層積層体をバイブレータ(神鋼電機株式会社製「バイブレートリパッカVP−15D」)に垂直に立てた状態で固定した。多孔層積層体に対してバイブレータの振動を3秒加えた後、多孔層積層体の重量を測定して、JIS試験用粉体1−10種付着前と付着後の多孔層積層体の重量差を評価した。
[粉落ち性]
粉落ち性の測定は、樹脂多孔体(a)の原料粒子の色と反対色の紙の上で、200mm×200mmサイズの1枚の多孔層積層体をバイブレータ(神鋼電機株式会社製「バイブレートリパッカVP−15D」)を用いて2分間振動を加えた後、反対色の紙の上に原料粒子があるか否かを目視で確認し、以下の判定基準に基づき、評価した。
◎:原料樹脂の脱落が殆どなかった。
○:原料樹脂の脱落が極少量であった。
×:原料樹脂の脱落が多数あった。
[曲げ弾性率]
曲げ弾性率の測定は、JIS K 7171:1994に従い、試験速度5mm/min、支持点間30mmの条件にて測定した。
[通気量]
通気量の測定は、通気度測定機(TEXTEST社製「FX3360PORTAIR」)を用い、測定範囲20cm2、測定差圧125Paの条件にて測定した。
[厚さ]
本実施形態における多孔質積層体の厚さは、1/1000mm読みのマイクロメータ(株式会社ミツトヨ社製「MDC−SB」)を用いて測定した。なお、測定数値は、小数点以下第3位まで測定し、小数点以下第3位の値を四捨五入した。
積層された後の樹脂多孔体(a)と、シート(b)の厚さは、積層された多孔質積層体を厚さ方向に沿って切断し、その切断面を光学顕微鏡(株式会社キーエンス社製「マイクロスコープVH−Z100UR」)を用い観察することで測定した。なお、測定数値は、小数点以下第3位まで測定し、小数点以下第3位の値を四捨五入した。
[実施例1]
高密度ポリエチレン粉末サンファイン(商標)SH801(旭化成ケミカルズ株式会社製、密度955kg/m3)を金属の平板上に厚さ2.1mm以上堆積させ、金属の平板上から2.1mmのクリアランスを設けた擦切り部を通過させることで、2.1mmの厚さで均一に堆積させたものを180℃にセットされた加熱炉に投入し、10分間静置させた後、加熱炉から取り出し、室温で冷却することで厚み2.0mmの焼結成形体を樹脂多孔体(a)として得た。該樹脂多孔体にポリオレフィン系ホットメルト接着剤を160℃に設定したホットメルトアプリケーターを用い20g/mで繊維状にスプレー塗布した。シート(b)として、織物(経糸/緯糸:ポリエチレンテレフタレートモノフィラメント)L−screen165−027/420PWに帯電防止処理を施したAS L−screen165−027/420PW(株式会社NBCメッシュテック社製)を用い、これを樹脂多孔体(a)上に積層させることで多孔質積層体を得た。多孔質積層体の特性を表1に示す。
[実施例2]
シート(b)として、L−screen165−027/420PWに帯電防止処理を施したAS L−screen165−027/420PW(株式会社NBCメッシュテック社製)の代わりに、L−screen165−027/420PW(株式会社NBCメッシュテック社製)に金属コーティングを施した織物masa420(積水ナノコートテクノロジー株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で多孔質積層体を得た。実施例1と同様の評価を行い、その測定結果を表1に示す。
[実施例3]
シート(b)として、L−screen165−027/420PWに帯電防止処理を施したAS L−screen165−027/420PW(株式会社NBCメッシュテック社製)の代わりに、織物(経糸/緯糸:ステンレス材)BS−400/25(アサダメッシュ株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で多孔質積層体を得た。実施例1と同様の評価を行い、その測定結果を表1に示す。
[実施例4]
シート(b)として、L−screen165−027/420PWに帯電防止処理を施したAS L−screen165−027/420PW(株式会社NBCメッシュテック社製)の代わりに、織物(経糸/緯糸:ステンレス材)BS−200/40(アサダメッシュ株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で多孔質積層体を得た。実施例1と同様の評価を行い、その測定結果を表1に示す。
[比較例1]
高密度ポリエチレン粉末サンファイン(商標)SH801(旭化成ケミカルズ株式会社製)を用い、実施例1と同様に厚み2mmの焼結成形体を樹脂多孔体として得た。該樹脂多孔体にシート(b)を積層させずにそのまま用いて、実施例1と同様の特性を評価した。結果を表1に示す。
[比較例2]
樹脂多孔体(a)として、超高分子量ポリエチレン粉末XM−220(三井化学株式会社製)を用いたこと以外は比較例1と同様の操作、評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例3]
シート(b)として、織物(経糸/緯糸:ポリエチレンテレフタレートモノフィラメント)L−screen165−027/420PW(株式会社NBCメッシュテック社製)を用い、樹脂多孔体(a)を積層させずに、実施例1と同様の特性の評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例4]
シート(b)として、L−screen165−027/420PWに帯電防止処理を施したAS L−screen165−027/420PW(株式会社NBCメッシュテック社製)の代わりに、L−screen165−027/420PW(株式会社NBCメッシュテック社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で多孔質積層体を得た。実施例1と同様の評価を行い、その測定結果を表1に示す。
Figure 0006184766
表1が示す結果より、通気性を有する樹脂多孔体において、少なくとも片面に通気性を有し表面平滑性に優れたシートを実質一体化されて成る多孔質積層体は、優れた表面平滑性、帯電防止性、剛性、及び通気性を有し、その表面平滑性に部分的なバラつきが少なく、原料粒子の脱落が少ないことが分かった。
本発明の多孔質積層体は、液晶用ガラス板や積層セラミックコンデンサ用のグリーンシート等、薄膜状、板状、又はフィルム状の物を固定又は搬送するための方法において産業上の利用可能性を有する。

Claims (13)

  1. 樹脂多孔体(a)を有し、
    該樹脂多孔体(a)の少なくとも片面に、通気性を有し、表面粗さ(Ra)が4.7〜12.9μmであり、表面抵抗率が1.0×1012Ω以下であり、織布、不織布、又は細孔シートのいずれかであるシート(b)が積層されている、
    多孔質積層体。
  2. 前記樹脂多孔体(a)が、ポリオレフィン系樹脂を含む、請求項1に記載の多孔質積層体。
  3. 前記ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレンを含む、請求項2に記載の多孔質積層体。
  4. 前記ポリエチレンの密度が、890〜970kg/m3である、請求項3に記載の多孔質積層体。
  5. 前記樹脂多孔体(a)が、樹脂粉末の焼結成形体を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の多孔質積層体。
  6. 前記シート(b)の表面抵抗率が、1.0×106Ω以下である、請求項1〜のいずれか1項に記載の多孔質積層体。
  7. 厚さが0.06〜15mmである、請求項1〜のいずれか1項に記載の多孔質積層体。
  8. 曲げ弾性率が30〜3000MPaであり、
    通気量が0.3〜30cm3/cm2/sである、請求項1〜のいずれか1項に記載の多孔質積層体。
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載の多孔質積層体を含む、吸着緩衝材。
  10. 請求項に記載の吸着緩衝材を用いて薄膜を吸着する、吸着方法。
  11. 前記吸着緩衝材を吸着ステージの吸着面に装着し、前記吸着緩衝材上に薄膜を吸着する、請求項10に記載の吸着方法。
  12. 樹脂多孔体(a)を吸着ステージの吸着面に装着し、前記樹脂多孔体(a)上にシート(b)を積層させて前記吸着緩衝材とし、該吸着緩衝材上に薄膜を吸着する、請求項10に記載の吸着方法。
  13. 薄膜がセラミックグリーンシートである、請求項1012のいずれか1項に記載の吸着方法。
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