JP6183646B2 - モータ制御装置 - Google Patents
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Description
請求項2記載の発明は、前記駆動電流演算手段は、前記モータのモータ電流と励磁電流との関係を記憶したテーブル(40a,340a)と、前記電流検出手段によって検出されるモータ電流に対応する励磁電流を前記テーブルから求める励磁電流演算手段(61,62;362)と、前記電流検出手段によって検出されるモータ電流から、前記励磁電流演算手段によって求められる励磁電流を除去することにより、駆動電流を求める手段(61,62;362)とを含む、請求項1に記載のモータ制御装置である。
請求項4記載の発明は、回転磁界を発生するための駆動電流とロータを励磁するための励磁電流とがモータ電流に含まれているシンクロナスリラクタンスモータ(18)を制御するモータ制御装置(12A;12C)であって、前記モータに流れるモータ電流を検出する電流検出手段(33;333)と、前記モータに発生させるべきモータトルクに対応する駆動電流指令値を設定する電流指令値設定手段(41)と、前記電流指令値設定手段によって設定される駆動電流指令値を、dq軸上のモータ電流指令値に変換する電流指令値変換手段(63,43,44;363,344)と、前記電流検出手段によって検出されるモータ電流に対応するdq軸電流値が、前記電流指令値変換手段によって得られたdq軸上のモータ電流指令値に等しくなるように、前記モータを制御する制御手段(45,46,47,48;346,348)とを含むモータ制御装置である。
請求項5記載の発明は、前記電流指令値変換手段は、前記モータの駆動電流と励磁電流との関係を記憶したテーブル(40c;340c)と、前記駆動電流指令値設定手段によって設定される駆動電流指令値に対応する励磁電流を前記テーブルから求める励磁電流演算手段(63;363)と、前記駆動電流指令値設定手段によって設定される駆動電流指令値に、前記励磁電流演算手段によって求められる励磁電流を加えた値に対応するdq軸電流値を、モータ電流指令値として設定する手段(63,43,44;363,344)とを含む、請求項4に記載のモータ制御装置である。
図1は、本発明の第1実施形態に係るモータ制御装置が適用された電動パワーステアリング装置の概略構成を示す模式図である。
電動パワーステアリング装置1は、車両を操向するための操舵部材としてのステアリングホイール2と、このステアリングホイール2の回転に連動して転舵輪3を転舵する転舵機構4と、運転者の操舵を補助するための操舵補助機構5とを備えている。ステアリングホイール2と転舵機構4とは、ステアリングシャフト6および中間軸7を介して機械的に連結されている。
転舵機構4は、ピニオン軸13と、転舵軸としてのラック軸14とを含むラックアンドピニオン機構からなる。ラック軸14の各端部には、タイロッド15およびナックルアーム(図示略)を介して転舵輪3が連結されている。ピニオン軸13は、中間軸7に連結されている。ピニオン軸13は、ステアリングホイール2の操舵に連動して回転するようになっている。ピニオン軸13の先端には、ピニオン16が連結されている。
操舵補助機構5は、操舵補助用の電動モータ18と、電動モータ18の出力トルクを転舵機構4に伝達するための減速機構19とを含む。電動モータ18は、シンクロナスリラクタンスモータからなる。減速機構19は、ウォーム軸20と、このウォーム軸20と噛み合うウォームホイール21とを含むウォームギヤ機構からなる。減速機構19は、伝達機構ハウジングとしてのギヤハウジング22内に収容されている。
電動モータ18によってウォーム軸20が回転駆動されると、ウォームホイール21が回転駆動され、ステアリングシャフト6が回転する。そして、ステアリングシャフト6の回転は、中間軸7を介してピニオン軸13に伝達される。ピニオン軸13の回転は、ラック軸14の軸方向移動に変換される。これにより、転舵輪3が転舵される。すなわち、電動モータ18によってウォーム軸20を回転駆動することによって、転舵輪3が転舵されるようになっている。
図2は、電動モータ18の構成を説明するための図解図である。
電動モータ18は、前述したようにシンクロナスリラクタンスモータであり、図2に図解的に示すように、周方向に間隔をおいて配置された複数の突極部を有するロータ100と、電機子巻線を有するステータ105とを備えている。電機子巻線は、U相のステータ巻線101、V相のステータ巻線102およびW相のステータ巻線103が星型結線されることにより構成されている。
この明細書では、電機子巻線に流れる電流を、「電機子電流」または「モータ電流」ということにする。dq座標系における電流ベクトルIaは、電機子巻線に流れる電流のベクトル(電機子電流ベクトル)である。βは電流位相角であり、電機子電流ベクトルIaとd軸との位相差である。
図9は、本出願人が既に開発しているモータ制御装置200の電気的構成を示す概略図である。
マイクロコンピュータ231は、CPUおよびメモリ(ROM,RAMなど)を備えており、所定のプログラムを実行することによって、複数の機能処理部として機能するようになっている。この複数の機能処理部には、電流指令値設定部41と、電流位相角演算部42と、d軸電流指令値演算部43と、q軸電流指令値演算部44と、d軸電流偏差演算部45と、q軸電流偏差演算部46と、d軸PI(比例積分)制御部47と、q軸PI(比例積分)制御部48と、d軸指示電圧生成部49と、q軸指示電圧生成部50と、二相/三相座標変換部51と、PWM制御部52と、回転角演算部53と、三相/二相座標変換部56とが含まれている。
電動モータ18を高効率で駆動するためには、電機子電流に対するモータトルクの比が大きくなるように電動モータ18を制御すればよい。
T=Pn・(Ld−Lq)・id・iq …(1)
Ldはd軸インダクタンス[H]であり、Lqはq軸インダクタンス[H]である。また、idはd軸電流[A]であり、iqはq軸電流[A]である。
T=(1/2)・Pn・(Ld−Lq)・Ia 2sin2β …(2)
したがって、d軸インダクタンスLdおよびq軸インダクタンスLqが電流位相角βによって変動しなければ、電流位相角βが45度のときにモータトルクTは最大となる。しかしながら、シンクロナスリラクタンスモータでは、d軸インダクタンスLdおよびq軸インダクタンスLqがロータコアの磁気飽和の影響を受けて変動するため、モータトルクTは電流位相角βが45度のときに必ずしも最大にならない。
図11は、複数の電機子電流Ia毎に取得した電流位相角βに対するモータトルクTの特性データの一例を示すグラフである。図11の特性データは、前記非特許文献1に掲載のデータを転用したものである。ただし、図11では、横軸に電流位相角βをとり、縦軸にモータトルクTをとり、各電機子電流Iaの電流位相角βに対するモータトルクTの特性を、それぞれ曲線で表している。
Iamaxは、電機子電流Iaの最大値であり、この例では、Iamax=50[A]である。βmaxは、電機子電流Iaが最大値Iamaxである場合に、モータトルクTが最大値となる電流位相角βであり、この例では、βmax=66[deg]であるとする。βminは、電機子電流Iaが最小値(零)である場合に、モータトルクTが最大値となる電流位相角βであり、この例では、βmin=45[deg]であるとする。
β=(21/50)・Ia+45 …(4)
式(4)が、電機子電流Iaから電流位相角βを演算するための演算式(電流位相角演算式)となる。
前記近似式(4)内の電機子電流Iaを電流指令値I*の絶対値|I*|に置き換えることにより、次式(5)で示されるように、電流指令値I*から電流位相角βを演算するための演算式(電流位相角演算式)が得られる。
電流位相角演算部42には、前述のようにして求められた電流位相角演算式(例えば前記式(5))が予め設定されている。電流位相角演算部42は、予め設定されている電流位相角演算式と、電流指令値設定部41から与えられた電流指令値I*とに基いて、電流指令値I*に対してモータトルクが最大値に近い値となる電流位相角βを演算する。電流位相角演算部42によって演算された電流位相角βは、d軸電流指令値演算部43およびq軸電流指令値演算部44に与えられる。
id *=|I*|・cosβ …(6)
q軸電流指令値生成部44は、電流指令値設定部41から与えられた電流指令値I*と電流位相角演算部42から与えられた電流位相角βとを用い、次式(7a)または(7b)に基いてq軸電流指令値iq *を演算する。
I*<0である場合 iq *=|I*|・sin(−β) …(7b)
d軸電流指令値id *およびq軸電流指令値iq *を総称して、「二相指示電流id *,iq *」という場合がある。
回転角演算部53は、回転角センサ25の出力信号に基いて、電動モータ18のロータの回転角(ロータ回転角)θを演算する。
q軸電流偏差演算部46は、q軸電流指令値iq *に対するq軸電流iqの偏差を演算する。q軸電流偏差演算部46によって演算された電流偏差は、q軸PI制御部48に与えられて、PI演算処理を受ける。q軸指示電圧生成部50は、q軸PI制御部48の演算結果に応じて、q軸指示電圧vq *を生成する。以下、d軸指示電圧vd *およびq軸指示電圧vq *を総称するときには「二相指示電圧vd *,vq *」という。
駆動回路32は、U相、V相およびW相に対応した三相インバータ回路からなる。このインバータ回路を構成するパワー素子がPWM制御部52から与えられるPWM制御信号によって制御されることにより、三相指示電圧vU *,vV *,vW *に相当する電圧が電動モータ18の各相のステータ巻線に印加されることになる。
前述したように、電流指令値I*は、電動モータ18によって発生させるべきモータトルクに対応した電流の指令値である。ブラシレスモータでは、電機子巻線に流れる電機子電流が、回転磁界を発生するための電流となる。このため、ブラシレスモータでは、モータトルクは、電機子電流にトルク定数を乗算した値となる。したがって、ブラシレスモータでは、電流指令値によって制御されるべき電流は電機子電流(モータ電流)となる。
図3は、図1のECU12の電気的構成を示す概略図である。図3において、前述の図9に示された各部に対応する部分には、図9中と同一参照符号を付して示す。
このECU12は、精度の高い電流制御を実現するために開発されたものである。ECU12は、マイクロコンピュータ31と、このマイクロコンピュータ31によって制御され、電動モータ18に電力を供給する駆動回路(インバータ回路)32と、電動モータ18の各相のステータ巻線101,102,103に流れる電流を検出する電流検出部33とを備えている。
モータ電流/励磁電流変換テーブル40aは、電動モータ18として用いられるシンクロナスリラクタンスモータのモータ電流(電機子電流)と励磁電流との関係を記憶したテーブルである。モータ電流/駆動電流変換テーブル40bは、電動モータ18として用いられるシンクロナスリラクタンスモータのモータ電流と駆動電流との関係を記憶したテーブルである。これらのテーブル40a,40bの作成方法について説明する。
次に、図4の速度−トルク特性および速度−モータ電流特性に基いて、図5に曲線Sで示すようなモータ電流−トルク特性を作成する。そして、図5のモータ電流−トルク特性に対応した近似直線Lを引き、近似直線Lの傾きをトルク定数推定値KT[Nm/A]として求める。近似直線Lは、モータトルクをTとし、モータ電流をIaとすると、たとえば、「T=0.0511・Ia−0.9214」で表される。
d軸励磁電流除去部61は、三相/二相座標変換部56によって得られたd軸電流idに含まれているd軸駆動電流を演算するものである。具体的には、d軸励磁電流除去部61は、d軸電流idからそれに含まれているd軸励磁電流を除去することにより、d軸電流idに含まれているd軸駆動電流を演算する。より具体的には、d軸励磁電流除去部61は、まず、三相/二相座標変換部56によって得られたd軸電流idおよびq軸電流iqに基いて、次式(8)により、モータ電流Iaを求める。
Ia=(id 2+iq 2)1/2 …(8)
次に、d軸励磁電流除去部61は、演算されたモータ電流Iaとモータ電流/励磁電流変換テーブル40aとに基いて、演算されたモータ電流Iaに対応する励磁電流ieを求める。
ied=ie・cosβ …(9)
最後に、d軸励磁電流除去部61は、次式(10)に示すように、d軸電流idからd軸励磁電流iedを減算することにより、d軸駆動電流imdを演算する。このd軸駆動電流imdがd軸電流偏差演算部45に与えられる。
q軸励磁電流除去部62は、三相/二相座標変換部56によって得られたq軸電流iqに含まれているq軸駆動電流を演算するものである。具体的には、q軸励磁電流除去部62は、q軸電流iqからそれに含まれているq軸励磁電流を除去することにより、q軸電流iqに含まれているq軸駆動電流を演算する。
最後に、q軸励磁電流除去部62は、次式(12a)または(12b)により、q軸駆動電流imqを演算する。このq軸駆動電流imqがq軸電流偏差演算部46に与えられる。
iq≧0である場合 imq=iq−ieq …(12a)
iq<0である場合 imq=iq+ieq …(12b)
この第1実施形態では、d軸電流偏差演算部45は、d軸電流指令値id *とd軸駆動電流imdとの偏差(id *−imd)を演算する。また、q軸電流偏差演算部46は、q軸電流指令値iq *とq軸駆動電流imqとの偏差(iq *−imq)を演算する。
imd=im・cosβ …(13)
同様に、q軸励磁電流除去部62は、モータ電流/駆動電流変換テーブル40bを用いて、q軸駆動電流imqを演算するものであってもよい。この場合には、q軸励磁電流除去部62は、前記式(8)により、モータ電流Iaを求める。次に、q軸励磁電流除去部62は、演算されたモータ電流Iaとモータ電流/駆動電流変換テーブル40bを用いて、演算されたモータ電流Iaに対応する駆動電流imを求める。
iq≧0である場合 imq=im・sinβ …(14a)
iq<0である場合 imq=−im・sinβ …(14b)
図6は、この発明の第2実施形態に係るモータ制御装置としてのECU12Aの電気的構成を示す概略図である。図6において、前述の図9に示された各部に対応する部分には、図9中と同一参照符号を付して示す。
駆動電流/励磁電流変換テーブル40cは、電動モータ18として用いられるシンクロナスリラクタンスモータの駆動電流と励磁電流との関係を記憶したテーブルである。駆動電流/モータ電流変換テーブル40dは、電動モータ18として用いられるシンクロナスリラクタンスモータの駆動電流とモータ電流との関係を記憶したテーブルである。これらのテーブル40c,40dの作成方法について説明する。
励磁電流加算部63は、電流指令値設定部41によって設定された電流指令値(駆動電流の指令値)I*を、モータ電流指令値に変換するものである。具体的には、励磁電流加算部63は、電流指令値I*にそれに応じた励磁電流を加算することにより、モータ電流指令値を演算する。より具体的には、励磁電流加算部63は、電流指令値I*の絶対値|I*|を駆動電流指令値として、駆動電流/励磁電流変換テーブル40cから駆動電流指令値(=|I*|)に対応する励磁電流ieを求める。次に、励磁電流加算部63は、得られた励磁電流ieと電流指令値I*とを用い、次式(15a)または(15b)により、電流指令値I*を、それに対応するモータ電流指令値Ia *に変換する。
I*<0である場合 Ia *=I*−ie …(15b)
励磁電流加算部63によって得られたモータ電流指令値Ia *が、d軸電流指令値演算部43およびq軸電流指令値演算部44に与えられる。d軸電流指令値演算部43は、電流指令値設定部41から与えられたモータ電流指令値Ia *と電流位相角演算部42から与えられた電流位相角βとを用い、次式(16)に基いてd軸モータ電流指令値id *を演算する。
q軸電流指令値生成部44は、電流指令値設定部41から与えられたモータ電流指令値Ia *と電流位相角演算部42から与えられた電流位相角βとを用い、次式(17a)または(17b)に基いてq軸モータ電流指令値iq *を演算する。
Ia *≧0である場合 iq *=|Ia *|・sinβ …(17a)
Ia *<0である場合 iq *=|Ia *|・sin(−β) …(17b)
この第2実施形態では、三相/二相座標変換部56によって演算されるd軸電流(d軸モータ電流)idがd軸モータ電流指令値id *に等しくなり、三相/二相座標変換部56によって演算されるq軸電流(q軸モータ電流)iqがq軸モータ電流指令値iq *に等しくなるように、電動モータ18が制御される。このように、第2実施形態では、駆動電流指令値I*に対応したモータ電流指令値id *,iq *にモータ電流id,iqを導くように、電動モータ18が制御されるので、精度の高い電流制御を行えるようになる。
モータ制御装置300は、マイクロコンピュータ331と、このマイクロコンピュータ331によって制御され、電動モータ18に電力を供給する駆動回路(インバータ回路)332と、電動モータ18の各相のステータ巻線101,102,103に流れる電流を検出する電流検出部333とを備えている。電動モータ18は、シンクロナスリラクタンスモータである。
マイクロコンピュータ331は、CPUおよびメモリ(ROM、RAM、不揮発性メモリなど)を備えており、所定のプログラムを実行することによって、複数の機能処理部として機能するようになっている。この複数の機能処理部には、電流指令値設定部341と、d軸電流指令値設定部343と、q軸電流指令値設定部344と、d軸電流偏差演算部345と、q軸電流偏差演算部346と、d軸PI(比例積分)制御部347と、q軸PI(比例積分)制御部348と、d軸指示電圧生成部349と、q軸指示電圧生成部350と、二相/三相座標変換部351と、PWM制御部352と、回転角演算部353と、電流位相角演算部354と、座標変換用回転角設定部355と、三相/二相座標変換部356とが含まれている。
電流位相角演算部354は、電流検出部333によって検出された三相検出電流iU,iV,iWに基いて、電流位相角β(電気角)[deg]を演算する。電流位相角演算部354の動作の詳細については、後述する。電流位相角演算部354によって演算された電流位相角βは、座標変換用回転角設定部355に与えられる。
d軸電流偏差演算部345は、d軸電流指令値id *に対するd軸電流idの偏差を演算する。d軸電流偏差演算部345によって演算された電流偏差は、d軸PI制御部347に与えられて、PI演算処理を受ける。d軸指示電圧生成部349は、d軸PI制御部347の演算結果に応じて、d軸指示電圧vd *を生成する。
駆動回路332は、U相、V相およびW相に対応した三相インバータ回路からなる。このインバータ回路を構成するパワー素子がPWM制御部352から与えられるPWM制御信号によって制御されることにより、三相指示電圧vU *,vV *,vW *に相当する電圧が電動モータ18の各相のステータ巻線に印加されることになる。
次に電流位相角演算部354の動作について説明する。電流位相角演算部354は、電流検出部333によって検出された三相検出電流iU,iV,iWから演算される電機子電流と、予め設定された電流位相角演算式とに基いて、電機子電流に対してモータトルクが最大値に近い値となる電流位相角β(電気角)[deg]を演算する。
δ=θ−(90−β) …(18)
一方、電流指令値I*が零未満の値である場合には、つまり電動モータ18を回転させるべき方向が逆転方向である場合には、座標変換用回転角設定部355は、次式(19)に基いて、座標変換用回転角δを設定する。
このように、電動モータ18を回転させるべき方向に応じて、座標変換用回転角δが{θ−(90−β)}または{θ+(90−β)}に設定されることにより、電動モータ18をそれを回転させるべき方向に回転駆動することができる。
以下、この理由について説明する。以下において、図9のモータ制御装置200のように、演算式id *=|I*|cosβおよび演算式iq *=|I*|sinβに基いてd軸電流指令値id *およびq軸電流指令値iq *を設定するとともに、dq座標系とUVW座標系との間の座標変換をロータ回転角θを用いて行うような制御方法を基本制御方法ということにする。基本制御方法においては、シンクロナスリラクタンスモータの回転方向を反転させる場合には、電流指令値I*の極性を変えずに、βが−βに置き換えられる。
次に、二相/三相座標変換部および三相/二相座標変換部は基本制御方法と同様に回転角演算部によって演算されたロータ回転角θをそのまま用いて座標変換を行うが、d軸電流指令値id *を零に設定し、q軸電流指令値iq *を図14Aの電流指令値I*(>0)と同じ値に設定する場合を想定する。この場合には、d軸電流成分idが0となりかつq軸電流成分iqが電流指令値I*に等しくなるように電流制御が行われるので、電機子電流ベクトルIaは図14Bに示すようになる。このような制御では、電機子電流ベクトルIaを、図14Aに示すような本来発生させるべき角度(方向)に発生させることができない。
このECU12Bは、精度の高い電流制御を実現するために開発されたものである。ECU12Bは、マイクロコンピュータ31Bと、このマイクロコンピュータ31Bによって制御され、電動モータ18に電力を供給する駆動回路(インバータ回路)332と、電動モータ18の各相のステータ巻線101,102,103に流れる電流を検出する電流検出部333とを備えている。
この実施形態では、d軸電流idは零になるように制御されるため、三相/二相座標変換部356によって演算されたq軸電流iqがモータ電流Iaとなる。そこで、励磁電流除去部362は、三相/二相座標変換部356によって演算されたq軸電流iqの絶対値|iq|をモータ電流Iaとして、モータ電流/励磁電流変換テーブル340aから、モータ電流Ia(=|iq|)に対応する励磁電流ieを求める。そして、励磁電流除去部362は、次式(20a)または(20b)に基いて、q軸電流iq(モータ電流Ia)をそれに対応する駆動電流imに変換する。この駆動電流imがq軸電流偏差演算部346に与えられる。
iq<0である場合 im=iq+ie …(20b)
この第3実施形態では、q軸電流偏差演算部346は、q軸電流指令値iq *と駆動電流imとの偏差(iq *−im)を演算する。図13の制御装置300と同様に、第3実施形態においても、q軸電流指令値iq *は駆動電流imの指令値である。したがって、第3実施形態では、駆動電流imが駆動電流の指令値であるq軸電流指令値iq *に等しくなるように、電動モータ18が制御される。このように、第3実施形態では、モータ電流に含まれている駆動電流imを駆動電流の指令値iq *に導くように電動モータ18が制御されるので、精度の高い電流制御を実現できる。
このECU12Cは、精度の高い電流制御を実現するために開発されたものである。ECU12Cは、マイクロコンピュータ31Cと、このマイクロコンピュータ31Cによって制御され、電動モータ18に電力を供給する駆動回路(インバータ回路)332と、電動モータ18の各相のステータ巻線101,102,103に流れる電流を検出する電流検出部333とを備えている。
I*<0である場合 Ia *=I*−ie …(21b)
励磁電流加算部363によって得られたモータ電流指令値Ia *が、q軸電流指令値演算部344に与えられる。q軸電流指令値演算部344は、励磁電流加算部363によって得られたモータ電流指令値Ia *を、そのままq軸電流指令値iq *として出力する。
Claims (6)
- 回転磁界を発生するための駆動電流とロータを励磁するための励磁電流とがモータ電流に含まれているシンクロナスリラクタンスモータを制御するモータ制御装置であって、
前記モータに流れるモータ電流を検出する電流検出手段と、
前記モータに発生させるべきモータトルクに対応した駆動電流指令値を設定する電流指令値設定手段と、
前記電流検出手段によって検出されるモータ電流に含まれている駆動電流を演算する駆動電流演算手段と、
前記駆動電流演算手段によって演算される駆動電流が、前記電流指令値設定手段によって設定される駆動電流指令値に等しくなるように、前記モータを制御する制御手段とを含むモータ制御装置。 - 前記駆動電流演算手段は、
前記モータのモータ電流と励磁電流との関係を記憶したテーブルと、
前記電流検出手段によって検出されるモータ電流に対応する励磁電流を前記テーブルから求める励磁電流演算手段と、
前記電流検出手段によって検出されるモータ電流から、前記励磁電流演算手段によって求められる励磁電流を除去することにより、駆動電流を求める手段とを含む、請求項1に記載のモータ制御装置。 - 前記駆動電流演算手段は、
前記モータのモータ電流と駆動電流との関係を記憶したテーブルと、
前記電流検出手段によって検出されるモータ電流に対応する駆動電流を前記テーブルから求める手段とを含む、請求項1に記載のモータ制御装置。 - 回転磁界を発生するための駆動電流とロータを励磁するための励磁電流とがモータ電流に含まれているシンクロナスリラクタンスモータを制御するモータ制御装置であって、
前記モータに流れるモータ電流を検出する電流検出手段と、
前記モータに発生させるべきモータトルクに対応する駆動電流指令値を設定する電流指令値設定手段と、
前記電流指令値設定手段によって設定される駆動電流指令値を、dq軸上のモータ電流指令値に変換する電流指令値変換手段と、
前記電流検出手段によって検出されるモータ電流に対応するdq軸電流値が、前記電流指令値変換手段によって得られたdq軸上のモータ電流指令値に等しくなるように、前記モータを制御する制御手段とを含むモータ制御装置。 - 前記電流指令値変換手段は、
前記モータの駆動電流と励磁電流との関係を記憶したテーブルと、
前記駆動電流指令値設定手段によって設定される駆動電流指令値に対応する励磁電流を前記テーブルから求める励磁電流演算手段と、
前記駆動電流指令値設定手段によって設定される駆動電流指令値に、前記励磁電流演算手段によって求められる励磁電流を加えた値に対応するdq軸電流値を、モータ電流指令値として設定する手段とを含む、請求項4に記載のモータ制御装置。 - 前記電流指令値変換手段は、
前記モータの駆動電流とモータ電流との関係を記憶したテーブルと、
前記駆動電流指令値設定手段によって設定される駆動電流指令値に対応するモータ電流を前記テーブルから求め、得られたモータ電流に対応するdq軸電流値をモータ電流指令値として設定する手段とを含む、請求項4に記載のモータ制御装置。
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