以下、具体例を挙げて本発明の昇降式容器ホルダを説明する。以下、必要に応じて、後述する脚部が昇位置にあるときの昇降式容器ホルダを「昇状態」と呼び、脚部が降位置にあるときの昇降式容器ホルダを「降状態」と呼ぶ。また、実施例1において上、下、左、右、前、後とは、図1に示す上、下、左、右、前、後を指す。
(実施例1)
実施例1の昇降式容器ホルダは、車両のコンソールボックスに配設されるドリンクホルダである。実施例1の昇降式容器ホルダを模式的に表す分解斜視図を図1に示す。実施例1の昇降式容器ホルダにおけるパンタグラフ型昇降要素およびロック要素を模式的に表す要部拡大斜視図を図2に示す。実施例1の昇降式容器ホルダの動作を説明する説明図を図3〜図5に示す。なお、図3において昇降式容器ホルダは昇状態にあり、図5において昇降式容器ホルダは降状態にあり、図4において昇降式容器ホルダは昇状態と降状態との間の状態にある。
図1に示すように、実施例1の昇降式容器ホルダは、ケース部複合体1、トレイ部3およびパンタグラフ型昇降要素5を持つ。
ケース部複合体1は前後二分割された二つの分体10が組み合わされてなる。2つの分体10を組み合わせてなるケース部複合体1は、有底の略円筒状をなすケース部11と、有底の略筒状をなしケース部11よりも浅型の副ケース部18と、が左右方向に2つ配列してなる。ケース部11および副ケース部18は各々上方に開口する。ケース部11は内部に収容空間12を持ち、副ケース部18もまた内部に収容空間19を持つ。ケース部11は、上下に延びる略円筒状をなす側壁13と側壁13の下端を覆う略平板状の底壁14と、を持つ。
図1および図2に示すように、ケース部11の底壁14の上面(つまり、収容空間12側の面)には、第1下側副軸受部21および第2下側副軸受部23が設けられている。また、図3、図4に示すように底壁14の上面にはさらに第1下側軸受部20が設けられている。第1下側軸受部20および第1下側副軸受部21は、略同形状であり、前後方向に開口する孔状をなす。第1下側軸受部20および第1下側副軸受部21は前後方向に配列し、第1下側軸受部20および第1下側副軸受部21の左右方向の位置は略同位置である。なお、第1下側軸受部20は第1下側副軸受部21の後側に位置する。
第2下側副軸受部23は左右方向に延びる長孔状をなす。さらに、ケース部11の底壁14の上面には、後述するダンパ部90を保持するダンパ保持部25、および、後述するベース部55を案内するベースガイド26が設けられている。
トレイ部3およびパンタグラフ型昇降要素5は、ケース部11の収容空間12に配置されている。
トレイ部3は浅型の略筒状をなす。トレイ部3の外径はケース部11の内径よりも小さい。トレイ部3の内部には、滑り止めシート30が載置されている。
トレイ部3は、第1上側軸受部31、図略の第1上側副軸受部、第2上側軸受部32および図略の第2上側副軸受部を持つ。第1上側軸受部31、第1上側副軸受部、第2上側軸受部32および第2上側副軸受部は、トレイ部3における底壁35の下面に設けられている。第1上側軸受部31および図略の第1上側副軸受部は、略同形状であり、前後方向に開口し左右方向に延びる長孔状をなす。第1上側軸受部31および図略の第1上側副軸受部は前後方向に配列し、第1上側軸受部31および第1上側副軸受部の左右方向の位置は略同位置である。第1上側軸受部31は、第1上側副軸受部の後側に位置する。第2上側軸受部32および図略の第2上側副軸受部は、略同形状であり、前後方向に開口する孔状をなす。第2上側軸受部32および第2上側副軸受部は前後方向に配列し、第2上側軸受部32および第2上側副軸受部の左右方向の位置は略同位置である。第2上側軸受部32は第2上側副軸受部の後側に位置する。
パンタグラフ型昇降要素5は、昇降部50と、付勢部94と、ロック要素7と、ダンパ部90と、で構成されている。
昇降部50は、一対の脚部(第1脚部51、第2脚部52)およびベース部55を持つ。第1脚部51および第2脚部52は、長手方向の略中央部で互いに軸支され、パンタグラフ機構53を構成している。第1脚部51には略同形状の第1副脚部58が一体化されている。第1脚部51および第1副脚部58は前後方向に配列し、第1脚部51は第1副脚部58の後側に位置する。第2脚部52には略同形状の第2副脚部59が一体化されている。第2脚部52および第2副脚部59もまた前後方向に配列し、第2脚部52は第2副脚部59の後側に位置する。第1副脚部58および第2副脚部59もまた長手方向の略中央部で互いに軸支されている。第1副脚部58は第1脚部51に追従して動作し、第2副脚部59は第2脚部52に追従して動作する。
第1脚部51は第1上側軸部60および第1下側軸部61を持つ。第1上側軸部60は第1脚部51における長手方向の一端部に設けられ、第1下側軸部61は第1脚部51における長手方向の他端部に設けられている。第1副脚部58は第1上側副軸部64および第1下側副軸部65を持つ。第1上側副軸部64は第1副脚部58における長手方向の一端部に設けられ、第1下側副軸部65は第1副脚部58における長手方向の他端部に設けられている。
第2脚部52は第2上側軸部62および第2下側軸部63を持つ。第2上側軸部62は第2脚部52における長手方向の一端部に設けられ、第2下側軸部63は第2脚部52における長手方向の他端部に設けられている。第2副脚部59は第2上側副軸部66および第2下側副軸部67を持つ。第2上側副軸部66は第2副脚部59における長手方向の一端部に設けられ、第2下側副軸部67は第2副脚部59における長手方向の他端部に設けられている。
ベース部55は長尺の略板状をなし、長手方向を左右に向けてケース部11の底壁14の上面に載置されている。ベース部55の右端はベースガイド26に収容保持されている。ベースガイド26により、ベース部55のスライド方向は左右方向に規制されている。ベース部55の左端後側には第2下側軸受部22が設けられている。第2下側軸受部22は前後方向に開口する孔状をなす。ベース部55の右端側にはロック受け部41が設けられている。
ロック受け部41は、各々立面状をなし左右に配列する上ロック受け面40および下ロック受け面45と、上ロック受け面40と下ロック受け面45との間に設けられているガイド面42とを持つ。図3に示すように、上ロック受け面40および下ロック受け面45は上下に延びる。また、上ロック受け面40の上端部および下ロック受け面45の上端部の上下方向の位置は略一致し、上ロック受け面40の下端部および下ロック受け面45の下端部の上下方向の位置もまた略一致している。ガイド面42は上ロック受け面40の右方に連続する。具体的には、ガイド面42は上ロック受け面40の下端部に連続し、左下側から右上側に向けて傾斜する傾斜面状をなす。ガイド面42の上端部、上ロック受け面40の上端部および下ロック受け面45の上端部の上下方向の位置は略一致している。ガイド面42の上端部と下ロック受け面45の上端部とは平坦面で連絡されている。さらに、下ロック受け面45の右方には傾斜面が連続している。より具体的には、下ロック受け面45の下端部は、左下側から右上側に向けて傾斜する傾斜面に連続している。
図1および図2に示すように、ベース部55の左端前側にはラック49が形成されている。ラック49はダンパ部90のピニオン91に噛合する。このためベース部55の左右方向のスライド速度は、ダンパ部90によって減速される。つまり、ダンパ部90の緩衝作用によって、ベース部55の急激なスライドが抑制される。
付勢部94はコイルバネ状をなし、付勢部94の一端はベース部55に固定され、他端はケース部11の底壁14に固定されている。付勢部94はベース部55を右方に付勢する。
ロック要素7は、入力部70およびロック可動部7aで構成されている。ロック可動部7aは、ロック棹部72、入力座部75、第1ロック付勢部92、第2ロック付勢部93、およびピン79で構成されている。
入力部70は接続脚部71を持つ釦状をなす。接続脚部71は前後方向に延びる角筒状をなす。入力座部75は略枠状をなし、ケース部複合体1の座部取り付け孔15に取り付けられている。入力座部75には前後方向に延びる角筒状をなす接続受け部76が設けられている。接続受け部76には接続脚部71が収容される。入力部70は、接続脚部71を図1中前側に向けつつ入力座部75に保持されている。接続脚部71は接続受け部76に対してスライド可能である。接続受け部76と接続脚部71との間には、コイルバネ状の第1ロック付勢部92が介在している。第1ロック付勢部92は、接続脚部71を図中後側に向けて付勢する。接続受け部76には、左右方向に開口し上下方向に延びる長孔状をなす固定側ピンガイド80が設けられている。固定側ピンガイド80にはピン79が挿通されている。接続脚部71には、左右方向に開口し前下方から後上方に向けて傾斜して延びる長孔状の可動側ピンガイド81が設けられている。可動側ピンガイド81にもまた、ピン79が挿通されている。
ロック棹部72は長手方向を上下に向けた棹状をなす。ロック棹部72の下端部であるロック部73は、左端にロック面74aを持ち先端にガイド受け面74bを持つ凸状をなす。より具体的には、ロック面74aは上下方向に延びる立面状をなす。ガイド受け面74bはロック面74aの下端部に連続して左下側から右上側に向けて傾斜する傾斜面状をなす。したがって、ロック部73の突出長さは左側から右側に向けて小さくなる。後述するように、ロック面74aと上ロック受け面40とが係合状態にあるときに、ガイド受け面74bはガイド面42に対面する。なお、実施例1の昇降式容器ホルダにおいて、ガイド受け面74bの傾斜角度とガイド面42の傾斜角度とは略一致している。
ロック棹部72の下側部分は、ベースガイド26の上面に開口するロック出入口27に挿入され、ベースガイド26の内部においてベース部55に対面している。ロック棹部72の下側部分には、長孔状をなすガイド凹部88が設けられている。ガイド凹部88には、ケース部11の外面に設けられているガイド凸部89が挿入される。ガイド凹部88およびガイド凸部89によって、ロック棹部72の可動方向が上下方向に規制されている。
ロック棹部72におけるロック部73と逆側の端部には入力側可動端部77が設けられている。入力側可動端部77には、左右方向に貫通するピン接続部82が設けられている。接続脚部71には上下方向に開口する第1ガイド孔83が設けられ、入力座部75の接続受け部76にもまた上下方向に開口する第2ガイド孔84が設けられている。そして、入力側可動端部77は第1ガイド孔83および第2ガイド孔84に挿通されている。入力側可動端部77と入力座部75との間にはコイルバネ状の第2ロック付勢部93が介在している。第2ロック付勢部93は、ロック棹部72を下方に付勢する。第2ロック付勢部93は、本発明の昇降式容器ホルダにおけるロック付勢部を構成する。
なお、第1ガイド孔83の前後方向の長さは第2ガイド孔84の前後方向の長さよりも長い。したがって、後述するように、入力側可動端部77が接続脚部71の第1ガイド孔83および接続受け部76の第2ガイド孔84に挿通された状態で、入力部70は前後方向にスライド可能である。ピン接続部82にもまたピン79が挿通されている。したがって、ピン79は固定側ピンガイド80、可動側ピンガイド81およびピン接続部82に挿通されている。なお、ピン79は固定側ピンガイド80および可動側ピンガイド81に対してスライド可能であるが、ピン接続部82に対してはスライドしない。
図2に示すように、トレイ部3の第1上側軸受部31は、第1脚部51の第1上側軸部60をスライド可能に軸支している。また、トレイ部3の第1上側副軸受部(図略)は、図1に示す第1副脚部58の第1上側副軸部64をスライド可能に軸支している。図1に示すトレイ部3の第2上側軸受部32は、第2脚部52の第2上側軸部62を軸支している。また、トレイ部3の第2上側副軸受部(図略)は、第2副脚部59の第2上側副軸部66を軸支している。
図3に示すように、ケース部11の第1下側軸受部20は、第1脚部51の第1下側軸部61を軸支している。図1に示すケース部11の第1下側副軸受部21は、第1副脚部58の第1下側副軸部65を軸支している。図1に示すケース部11の第2下側副軸受部23は第2副脚部59の第2下側副軸部67をスライド可能に軸支している。ベース部55の第2下側軸受部22は、第2脚部52の第2下側軸部63を軸支している。ベース部55は左右方向にスライド可能であるため、第2下側軸部63はベース部55とともに左右方向に位置変化可能である。
図2に示すように、ケース部11および副ケース部18には、それぞれ、略矩形の開口95が設けられている。各開口95には、サポート部材96が取り付けられている。また、各開口95は略箱状をなす蓋部97で覆われている。サポート部材96は蓋部97に軸支され、図3中実線で示す展開位置と図3中2点鎖線で示す退避位置と、の間を回動可能である。また、サポート部材96は図略のサポート付勢部によって展開位置に向けて付勢されている。サポート付勢部はトーションバネからなり、一端がサポート部材96に固定されるとともに他端が蓋部97に固定されている。サポート部材96は、昇降式容器ホルダに保持された容器98、99の側面を支持する。
以下、実施例1の昇降式容器ホルダの動作を説明する。
実施例1の昇降式容器ホルダは、図3に示す昇状態と、図5に示す降状態と、の間を状態変化する。第1脚部51および第2脚部52は、互いに同期して立ち上がり、かつ互いに同期して倒れるパンタグラフ機構53を構成する。第1脚部51および第2脚部52で構成されるパンタグラフ機構53は、第1下側軸部61によってケース部11に固定され、第1下側軸部61を始点として、第1下側軸部61よりも上側で上下方向に伸縮し、かつ、第1下側軸部61よりも左側で左右方向に伸縮する。第1脚部51および第2脚部52が立ち上がり、第1脚部51と第2脚部52との交叉角θが小さくなると、パンタグラフ機構53は右方に向けて収縮する。そして、パンタグラフ機構53の高さは高くなる。また、第1脚部51および第2脚部52が倒れ、交叉角θが大きくなると、パンタグラフ機構53は左方に向けて拡大する。そして、パンタグラフ機構53の高さは低くなる。パンタグラフ機構53の上部に支持されているトレイ部3は、パンタグラフ機構53の状態変化に伴って上下に位置変化する。なお、第1脚部51と第2脚部52との交叉角とは、2つの上側軸部(第1上側軸部60および第2上側軸部62)の間に形成される交叉角θ、または、2つの下側軸部(第1下側軸部61および第2下側軸部63)の間に形成される交叉角θを指す。
図3に示す昇状態において、昇降部50は昇位置にある。このとき第1脚部51および第2脚部52は立ち上がり、第1脚部51と第2脚部52との交叉角θは最小となり、パンタグラフ機構53の高さは最大となる。このとき、第1上側軸部60は第1上側軸受部31の右端に位置する。ベース部55は右側にスライドし、第2下側軸部63は第2下側軸受部22に伴って右側に位置変化している。ロック部73のロック面74aは、ベース部55の上ロック受け面40に係合している。なお、このときロック部73(より具体的にはロック棹部72)は、第2ロック付勢部93によって下方に向けて付勢されている。また、ベース部55は、付勢部94によって、右方に向けて付勢されている。つまりこのとき、ロック部73はロック面74aと上ロック受け面40とが対面する方向に(つまり、ロック位置に向けて)付勢され、かつ、ベース部55は上ロック受け面40とロック面74aとが係合する方向に付勢されている。したがって、このときロック面74aと上ロック受け面40とは安定して係合する。このため、昇降部50は昇位置に安定してロックされる。
またこのとき、昇降部50に支持されるトレイ部3もまた、最大に高い位置(最上位置)にロックされる。したがって、このときトレイ部3によって小型容器98を収容空間12における高い位置で支持できる。つまり、昇状態においては、小型容器98の上側部分が収容空間12の上方に露出するため、小型容器98を昇降式容器ホルダから容易に取り出すことができる。
さらにこのとき、第1上側軸部60および第2上側軸部62は、トレイ部3の中心線L1を挟んで左右に配置されている。このためトレイ部3はパンタグラフ機構53によって安定して支持される。つまり、第1上側軸部60および第2上側軸部62が、トレイ部3の左側のみまたは右側のみに偏って配置される場合には、トレイ部3をパンタグラフ機構53によって安定して支持し難い場合がある。しかし、第1上側軸部60および第2上側軸部62が、トレイ部3の中心線L1を挟んで左右に配置されていれば、例え荷重がトレイ部3の一部に偏って作用した場合にも、パンタグラフ機構53が安定して動作する。
昇降式容器ホルダが図3に示す昇状態にあるときに、トレイ部3に大型容器99を載置する等して、トレイ部3に下方向の荷重を加えると、トレイ部3は下方に位置変化する。
図3に示すように、ロック部73は第2ロック付勢部93によって下方つまりロック位置に向けて付勢され、かつ、ベース部55は付勢部94によって右方つまり上ロック受け面40がロック面74aに係合する方向に付勢されている。換言すると、このとき上ロック受け面40とロック受け面74aとは互いに近接する方向に付勢されている。したがって、第2ロック付勢部93および付勢部94の付勢力に抗して、ベース部55に左方向の力を作用させると、ロック面74aと上ロック受け面40とが互いに離れ、ロック面74aと上ロック受け面40との係合が解除される。
ところで、上述したように、上ロック受け面40には左下側から右上側に向けて傾斜するガイド面72が連続している。また、ロック要素7のロック部73は先端にガイド受け面74bを持つ凸状をなし、ガイド受け面74bの傾斜角およびガイド面72の傾斜角は略一致している。このため、ベース部55に左方向の力が作用すると、ロック面74aと上ロック受け面40との係合が解除され、かつ、ロック部73のガイド受け面74bとロック受け部41のガイド面42とが相対的に摺動する。そしてロック部73は、ガイド面42の傾斜方向つまり上方に向けてガイドされ、図3に示すロック位置から図4に示すロック解除位置に位置変化する。このように、係合状態にあるロック要素7およびロック受け部41は、ベース部55の左方への位置変化を許容し、右方への位置変化を妨げるラチェット機構を構成する。
このように、ロック要素7およびロック受け部41がベース部の左方への位置変化を許容するため、昇降式容器ホルダは昇位状態から降状態に状態変化する。つまり、昇降式容器ホルダが図3に示す昇状態にあるときに、トレイ部3に下方向の荷重を加えると、第1脚部51および第2脚部52に対して倒れる方向の荷重が作用する。そして第1脚部51および第2脚部52が倒れると、第1脚部51と第2脚部52との交叉角θが大きくなり、パンタグラフ機構53の高さは低くなる。そしてこのとき、第2脚部52の第2下側軸部63が左方に位置変化し、第2下側軸部63を軸支するベース部55には左方向への荷重が作用する。つまり、このとき同時にベース部55が左方に位置変化し、ロック面74aと上ロック受け面40との係合は解除される。したがって、トレイ部3が下降し、昇降部50が降位置に配置され、昇降式容器ホルダは図5に示す降状態になる。
図5に示すように、昇降部50が降位置に配置されると、ベース部55の下ロック受け面45がロック面74aに対面する位置、つまり、下ロック受け位置にまでスライドする。ロック部73は第2ロック付勢部93によって下方向に付勢され、ベース部55は付勢部94によって図中右方向に付勢されているため、このとき下ロック受け面45とロック面74aとは互いに近づき、係合する。したがって、昇降部50は図5に示す降状態にロックされ、昇降部50に支持されるトレイ部3もまた最下位置にロックされる。なお、図5に示すように、このときロック面74aと下ロック受け面45とが係合することで、ベース部55は右方向へスライドできない。換言すると、このときロック面74aと下ロック受け面45は下ロック受け位置から上ロック受け位置に向けたベース部55のスライドに干渉する。
またこのとき、第1脚部51および第2脚部52は略水平になるまで倒れ、第1脚部51と第2脚部52との交叉角θは最大となる。つまり、第1上側軸部60および第2上側軸部62は、上下方向において、第1下側軸部61および第2下側軸部63と略同位置に配置される。このため、パンタグラフ機構53の第1上側軸部60および第2上側軸部62に支持されているトレイ部3は最大に下降し、最下位置に配置される。したがって、このときトレイ部3よりも上側には充分に深い収容空間12が形成され、トレイ部3に載置した大型容器99を昇降式容器ホルダによって安定して支持できる。
また、トレイ部3が最下位置にロックされるため、例えば容器98、99に入っている飲料の量が減り、トレイ部3に作用する荷重が小さくなったときにも、トレイ部3が勝手に上昇することはない。このため、容器98、99が急に飛び出す等の不具合も生じ得ない。
昇降式容器ホルダを図5に示す降状態から図3に示す昇状態に状態変化させる際には、ロック要素7の入力部70を押圧操作する。図6および図7に示すように、入力部70を後方から前方に押圧操作すると、入力部70に設けられている可動側ピンガイド81もまた後方から前方に位置変化する。このとき可動側ピンガイド81は、入力座部75に設けられている固定側ピンガイド80およびピン79に対しても位置変化する。
ピン79は、下前方から上後方に向けて延びる可動側ピンガイド81と、上下方向に延びる固定側ピンガイド80と、によって位置規制されている。したがって可動側ピンガイド81が前方に向けて位置変化すると、ピン79は、可動側ピンガイド81の壁面によって前上方に押されるものの、固定側ピンガイド80に規制されて前後方向には位置変化しない。したがって、このときピン79は下方から上方に向けて位置変化する。そして、ピン79の位置変化に伴って、ピン79に取り付けられているロック棹部72もまた下方から上方に位置変化し、ロック棹部72の端部であるロック部73もまた上方つまりロック解除位置に位置変化し、ロック面74aと下ロック受け面45との係合が解除される。よって、ベース部55は付勢部94の付勢力によって右方にスライドし、それに付随して第1脚部51および第2脚部52が立ち上がり、第1脚部51と第2脚部52との交叉角θは小さくなり、パンタグラフ機構53の高さが高くなる。そして、パンタグラフ機構53に支持されているトレイ部3が上昇し、昇降式容器ホルダは、図3に示す昇状態に状態変化する。
実施例1の昇降式容器ホルダによると、図3に示す昇状態において小型容器98を収容空間12の上側で支持でき、図5に示す降状態において大型容器99を収容空間12の下側で支持できる。このため、実施例1の昇降式容器ホルダは種々の容器を安定して支持でき、かつ、収容した容器を取り出し易い。
また、実施例1の昇降式容器ホルダによると、昇降部50によってトレイ部3が略垂直に上下動する。このためトレイ部3は常に収容空間12に露出し、トレイ部3が最上位置にあるときにも、最下位置にあるときにも、容器の底部はトレイ部3によって支持される。このため、昇降式容器ホルダが降状態にあるときにトレイ部3に小型容器98を載置し、小型容器98が収容空間12の下側にはまり込んだ場合にも、トレイ部3を上昇させれば容器を容易に取り出すことができる。さらに、トレイ部3は付勢部94により最上位置に付勢され、ロック要素7によって最下位置にロックされるため、ロック要素7によるロックを解除すれば、トレイ部3は自動的に上昇する。
また、トレイ部3が回動する従来の昇降式容器ホルダ(図10および図11に示す)とは異なり、実施例1の昇降式容器ホルダにおいては、トレイ部3とともに容器が位置変化する。このため、容器がトレイ部3の動作に干渉することはない。
また、トレイ部3を上下動させる昇降部50は、パンタグラフ機構53を構成し、非常に省スペースである。このような昇降部50を収容空間12におけるトレイ部3の下方に配置したことで、昇降式容器ホルダを小型化できる。
また、トレイ部3を上下動させる昇降部50は、ロック要素7によって降位置にロック可能であり、トレイ部3もまた最下位置にロック可能である。このためトレイ部3は、小型容器98や軽い容器を最下位置で支持する際にも、勝手に上昇しない。
また、第1脚部51および第2脚部52からなるパンタグラフ機構53において、第1脚部51の第1下側軸部61および第2脚部52の第2上側軸部62は左右方向つまりスライド方向に位置変化せず、第1脚部51の第1上側軸部60および第2脚部52の第2下側軸部63のみが左右方向に位置変化する。このため、実施例1の昇降式容器ホルダにおけるパンタグラフ機構53は、左右方向にガタつき難く、安定して動作する。
実施例1の昇降式容器ホルダは、第1脚部51に一体化された第1副脚部58と、第2脚部52に一体化された第2副脚部59と、を持つ。このため、第1脚部51と第2脚部52とで構成されるパンタグラフ機構53は安定して動作する。つまり、副脚部58、59は、パンタグラフ機構53のスライド方向(つまり左右方向)に対して交叉する方向(つまり前後方向)において、脚部51、52(つまりパンタグラフ機構53)と離間している。このような副脚部58、59を直接的または間接的にパンタグラフ機構53に一体化することで、パンタグラフ機構53に加わる荷重が副脚部58、59にも分散されてパンタグラフ機構53が安定して動作する。また、パンタグラフ機構53および副脚部58、59によってトレイ部3を広い範囲で安定に支持でき、トレイ部3に載置された容器98、99もまた、昇降式容器ホルダに安定して支持される。しかし、本発明の昇降式容器ホルダにおいて第1副脚部58および第2副脚部59は必須ではない。また、パンタグラフ機構53の更なる動作安定化のために、更に多くの副脚部を設けても良いし、その他の補助構造を設けても良い。
実施例1の昇降式容器ホルダにおけるロック要素7およびロック受け部41は、トレイ部3の最下位置への位置変化を許容しかつトレイ部3の最上位置への位置変化を妨げるラチェット機構を構成するものであるが、ロック要素7およびロック受け部41はこれに限定されない。例えば、ロック要素7はトレイ部3を最下位置にロックするだけでも良い。この場合には、例えば、付勢力の大きな付勢部94を用い、トレイ部3が小型容器98を支持する際に、付勢部94の付勢力だけでトレイ部3および小型容器98を最上位置に保持すれば良い。また、ロック受け部41を昇降部50に設けずトレイ部3に設けても良い。
(実施例2)
実施例2の昇降式容器ホルダは、第1脚部51の第1下側軸部61および第2脚部52の第2上側軸部62が左右方向に位置変化すること以外は、実施例1の昇降式容器ホルダと概略同じものである。実施例2の昇降式容器ホルダの動作を説明する説明図を図8および図9に示す。なお、図8において昇降式容器ホルダは昇状態にあり、図9において昇降式容器ホルダは昇状態と降状態との間の状態にある。
図8および図9に示すように、第1下側軸部61を軸支する第1下側軸受部20は前後方向に開口し左右方向に延びる長孔状をなす。第2上側軸部62を軸支する第2上側軸受部32もまた、前後方向に開口し左右方向に延びる長孔状をなす。実施例1と同様に、第1上側軸受部31もまた前後方向に開口し左右方向に延びる長孔状をなす。さらに、第2下側軸受部22はベース部55に従動して左右方向に位置変化する。したがって、実施例2の昇降式容器ホルダにおいては、第1上側軸部60、第1下側軸部61、第2上側軸部62および第2下側軸部63の全てが左右方向に位置変化可能である。
また、実施例2の昇降式容器ホルダにおいては、第1脚部51と第2脚部52との軸支部57は、ケース部11の側壁13に向けて延びる凸状をなす。そして、ケース部11の側壁13には、上下方向に延びる脚ガイド孔16が設けられている。凸状の軸支部57は脚ガイド孔16に挿通され、脚ガイド孔16に沿って上下にスライド可能である。したがって、この軸支部57および脚ガイド孔16によって、第1脚部51および第2脚部52からなるパンタグラフ機構53の左右方向の位置が規制される。脚ガイド孔16は、トレイ部3の中心線L1に沿って設けられている。このため、第1脚部51および第2脚部52は、トレイ部3の下方においてトレイ部3の中心線L1に対し略対称に配置される。このため実施例2の昇降式容器ホルダは、トレイ部3に作用した荷重を第1脚部51および第2脚部52によって略均等に分散して支持できる。よって、実施例2の昇降式容器ホルダもまた容器を安定して支持できる。また、軸支部57および脚ガイド孔16によってパンタグラフ機構53の左右方向の位置を規制したことで、第1上側軸部60、第1下側軸部61、第2上側軸部62および第2下側軸部63の全てが左右方向に位置変化可能であるにも拘わらず、パンタグラフ機構53の左右方向のガタつきを抑制できる。このため実施例2の昇降式容器ホルダにおいても、パンタグラフ機構53は安定して動作する。
実施例3の昇降式容器ホルダは、ロック部73およびロック受け部41の形状以外は、実施例2の昇降式容器ホルダと概略同じものである。したがって、実施例3では、実施例1および実施例2の昇降式容器ホルダと実施例3の昇降式容器ホルダとの相違点を説明する。実施例3の昇降式容器ホルダの動作を説明する説明図を図10および図11に示す。なお、図10において昇降式容器ホルダは昇状態にあり、図11において昇降式容器ホルダは昇状態と降状態との間の状態にある。
実施例3の昇降式容器ホルダにおけるロック受け部41は、ベース部55に突設された立面状の上ロック受け面40および下ロック受け面45と、下ロック受け面45の左側(つまり上ロック受け面40側)に連続するガイド面42とで構成されている。図10および図11に示すように、上ロック受け面40および下ロック受け面45は、左右に配列し各々上下方向に延びる。上ロック受け面40の下端部には右方に延びる平坦面が連続し、当該平坦面の右端部にはガイド面42が連続している。ガイド面42は左下側から右上側に傾斜する傾斜面状をなし、ガイド面42の上端部(右端部)は下ロック受け面45の上端部に連続している。
ロック部73のロック面74aは、上下に延びる立面状をなす。ロック面74aの下端部は平坦面状をなし右方に延びるガイド受け面74bが連続している。なお、実施例3の昇降式容器ホルダにおいて、ガイド受け面74bの傾斜角度とガイド面42の傾斜角度とは一致していない。
図10に示す昇状態において、パンタグラフ機構53の高さは最大となる。このとき、ベース部55は上ロック受け位置に配置されている。そしてこのとき、図略の第2ロック付勢部93の付勢力および図略の付勢部94の付勢力によって、ロック部73のロック面74aと、ベース部55の上ロック受け面40とは、互いに係合する方向に付勢されている。つまりこのときロック面74aと上ロック受け面40とは係合し、昇降部50は図10に示す昇状態にロックされ、昇降部50に支持される図略のトレイ部3もまた最上位置にロックされる。
そして、昇降式容器ホルダが図10に示す昇状態にあるときに、トレイ部3に下方向の荷重が作用すると、第2ロック付勢部93および付勢部94の付勢力に抗して、ベース部55が左方向にスライドし、ロック面74aと上ロック受け面40との係合が解除される。そして、ガイド面72とガイド受け面74bとが互いに相対的に摺動することで、ロック部73は上方に向けてガイドされる。つまりこのときロック部73は、図10に示すロック位置から図11に示すロック解除位置に位置変化する。ベース部55がさらに左方にスライドすると、ロック面74aと下ロック受け面45とが対面して係合する。したがって、このとき昇降部50は降状態にロックされ、トレイ部3もまた最下位置にロックされる。
実施例3の昇降式容器ホルダにおいても、実施例1および実施例2の昇降式容器ホルダと同様に、昇降部式容器ホルダを昇状態から降状態に容易に状態変化させることができ、かつ、昇降式容器ホルダを降状態にロックできる。したがって、実施例2の昇降式容器ホルダもまた種々の容器を安定して支持でき、かつ、収容した容器を取り出し易い。
(実施例4)
実施例4の昇降式容器ホルダは、ロック部73およびロック受け部41の形状以外は、実施例2の昇降式容器ホルダと概略同じものである。したがって、実施例4でもまた、実施例1および実施例2の昇降式容器ホルダと実施例4の昇降式容器ホルダとの相違点を説明する。実施例4の昇降式容器ホルダの動作を説明する説明図を図12〜図14に示す。なお、図12において昇降式容器ホルダは昇状態にあり、図14において昇降式容器ホルダは降状態にある。図13において昇降式容器ホルダは昇状態と降状態との間の状態にある。
実施例4の昇降式容器ホルダにおけるロック受け部41は、ベース部55に突設された立面状の上ロック受け面40および下ロック受け面45と、上ロック受け面40の左方に連続する第1ガイド面42aと、上ロック受け面40の右方かつ下ロック受け面45の左方に位置する第2ガイド面42bと、で構成されている。より詳しくは、第2ガイド面42bは上ロック受け面40の下端部と下ロック受け面45の上端面とに連続する傾斜面であり、第1ガイド面42aは上ロック受け面40の上端部に連続する傾斜面である。第1ガイド面42aの傾斜角度と第2ガイド面42bの傾斜角度とは略一致している。
ロック部73のロック面74aは、上下に延びる立面状をなす。ロック面74aの上端部には、右上側から左下側に向けて傾斜する傾斜面状の第1ガイド受け面74cが連続している。さらに、ロック面74aの下端部には平坦面状をなし右方に延びる第2ガイド受け面74dが連続している。第1ガイド受け面74cの傾斜角度、第1ガイド面42aの傾斜角度および第2ガイド面42bの傾斜角度は一致している。また、第2ガイド受け面74dの傾斜角度は、第1ガイド面42aの傾斜角度および第2ガイド面42bの傾斜角度と一致していない。
図12に示す昇状態において、パンタグラフ機構53の高さは最大となり、ベース部55は上ロック受け位置に配置され、ロック面74aは上ロック受け面40に係合する。したがって、このとき昇降部50は昇状態にロックされ図略のトレイ部3もまた最上位置にロックされる。なお、このとき第1ガイド受け面74cと第1ガイド面42aとが対面し、第2ガイド受け面74dと第2ガイド面42bとが対面する。
そして、昇降式容器ホルダが図12に示す昇状態にあるときに、トレイ部3に下方向の荷重を作用させると、図略の第2ロック付勢部93および付勢部94の付勢力に抗してベース部55が左方向にスライドし、ロック面74aと上ロック受け面40との係合が解除される。そして、図13に示すように、第1ガイド受け面74cと第1ガイド面42aとが互いに相対的に摺動するとともに、第2ガイド受け面74dと第2ガイド面42bとが互いに相対的に摺動することで、ロック部73は上方に向けてガイドされる。そして図13に示すように、ロック部73は図12に示すロック位置から図略のロック解除位置に向けて位置変化する。ベース部55がさらに左方にスライドすると、ロック面74aと下ロック受け面45とが対面して係合し、昇降部50が降状態にロックされトレイ部3もまた最下位置にロックされる。
実施例4の昇降式容器ホルダにおいても、実施例1〜実施例3の昇降式容器ホルダと同様に、昇降部式容器ホルダを昇状態から降状態に容易に状態変化させることができ、かつ、昇降式容器ホルダを降状態にロックできる。したがって、実施例3の昇降式容器ホルダもまた種々の容器を安定して支持でき、かつ、収容した容器を取り出し易い。
(その他)
本発明は、上記し且つ図面に示した実施形態にのみ限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。また、実施形態に示した各構成要素は、それぞれ任意に抽出し組み合わせて実施できる。