JP6183032B2 - リチウムイオン電池用外装材 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン電池用外装材に関する。
パソコン、携帯電話などの携帯端末装置、ビデオカメラなどに用いられる民生用途の二次電池として、高エネルギーながらも超薄型化、小型化が可能なリチウムイオン電池が盛んに開発されている。
リチウムイオン電池の外装材としては、従来の金属製の缶に代えて、軽量でかつ電池形状を自由に選択出来るという利点から、多層構成のラミネートフィルムが用いられるようになっている。また、このようなラミネートフィルムを使用した外装材は、電池形状の自由度だけでなく、軽量で放熱性が高く、更に低コストであることから、近年発展の著しい、環境負荷の小さいハイブリッド車、電気自動車のバッテリーへの適用も試みられている。
上記ラミネートフィルムの構成としては、アルミニウム箔層の一方の面に接着層を介してシーラント層(熱融着性フィルム)を積層し、他方の面に接着層を介して基材層(プラスチックフィルム)を積層する構成(基材層/接着層/アルミニウム箔層/接着層/シーラント層)が一般的であり、任意にこれらの層間に他の中間層が設けられる。基材層とアルミニウム箔層との間の接着には通常、ポリウレタン系接着剤等のドライラミネート用接着剤が用いられている(例えば特許文献1〜4)。
ラミネートフィルムタイプの外装材を用いたリチウムイオン電池は、例えば、上述したラミネートフィルムを冷間成型(深絞り成型)により深絞りした成型品中に、電池本体部分として正極材、負極材、およびセパレータと共に、電解液、もしくは該電解液を含浸させたポリマーゲルからなる電解質層が収容され、ヒートシールにより熱封止されて形成される。電解液としては、非プロトン性溶媒(炭酸プロピレン、炭酸エチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル等)にリチウム塩を溶解した電解液が使用される。
前記電解液は、シーラント層に対して浸透性が高い。そのため、リチウムイオン電池においては、シーラント層に浸透した電解液がアルミニウム箔層とシーラント層間のラミネート強度を低下させ、最終的に電解液が漏れ出すことがある。また、電解質である、LiPF、LiBF等のリチウム塩は、加水分解反応によりフッ酸を発生させることがある。フッ酸は、金属面の腐食、ラミネートフィルムの各層間のラミネート強度の低下を引き起こす。そのため、外装材には、電解液やフッ酸に対する腐食防止性能が求められる。
このような要求に対し、電解液やフッ酸に対する腐食防止性能を付与するために、アルミニウム箔表面に、脱脂処理、熱水変成処理、陽極酸化処理、化成処理等の腐食防止処理を施すことが行われている。
一方、外装材には優れた成型性が求められる。つまり、リチウムイオン電池内にセル、電解液をいかに収容できるかでエネルギー密度が決まることから、それらの収容量をより多くするため、外装材を電池形状に成型する際に、より成型深さを深くできることが求められる。
外装材の成型は一般的に金型による冷間成型(深絞り成型)で行われるが、このとき成型深さが深すぎると、成型によって延伸した部分にクラックやピンホールが発生し、電池としての信頼性が失われる。そのため、いかに信頼性を損なわずに成型深さを深くできるかが重要となる。特に、電気自動車などの大型用途では、大電流を取り出したいという電池性能面から、よりエネルギー密度を高めたいとの要望がある反面、優れた信頼性、長期保存安定性も同様に求められる。
冷間成型における成型性を高めた外装材としては、基材層として、延伸方向に対する0°、45°、90°、135°の4方向について特定の引張強度と伸びを有し、機械的性質の方向性が少ない延伸ポリアミドフィルムまたは延伸ポリエステルフィルムを用いた外装材(特許文献1)、基材層として、衝撃強度30000J/m以上の耐熱性樹脂フィルムを用いた外装材(特許文献2)、基材層として、密度1142〜1146kg/cmの2軸延伸ポリアミドフィルムを用いた外装材(特許文献3)、基材層として、収縮率が2〜20%の耐熱性樹脂延伸フィルムを用いた外装材(特許文献4)等が提案されている。
特許第3567230号公報 特許第4431822号公報 特許第4422171号公報 特開2006−331897号公報
しかし、特許文献1に記載の外装材は、所定の機械的性質の方向性を有する延伸フィルムを得るための製造プロセスの制約が大きい。例えば該延伸フィルムの製造はインフレーション法に限定され、他の方法、例えばキャスト法により製造された延伸フィルムは適用できない。なお、特許文献1の比較例1で使用されているフィルムは、上記4方向の強度が(168,135,151,141:単位N/mm)とバランスは良いが、伸び物性(112,66,89,67:単位%)と最小/最大の比率で59%のばらつきを有する(機械的性質の方向性が大きい)。このような機械的性質は、キャスト法により製造されたフィルムに特徴的なものである。
特許文献2に記載されている衝撃強度30000J/m以上という値は極めて広く、例えば市販されている延伸ポリアミド樹脂系フィルムの衝撃強度は一般的に30000J/m以上であり、優れた成型性が得られないことがある。
特許文献3に記載されている密度は一般的なポリアミドフィルムの比重値にすぎず、優れた成型性が得られないことがある。
特許文献4に記載の外装材は、基材の熱収縮率が大きいため、電池の製造におけるベーキング工程などでカール等の不具合が生じるおそれがある。
そのため、外装材の成型性を向上させ得る新たな手段に対する要求がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、優れた成型性を有するリチウムイオン電池用外装材を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]基材層の一方の面側に、少なくとも金属箔層と、内側接着層と、シーラント層とがこの順で積層し、前記金属箔層の前記接着層側の面に腐食防止処理層が設けられたリチウムイオン電池用外装材であって、
前記基材層が、下記の熱可塑性樹脂(a)と、下記の熱可塑性樹脂(b)との共押出しにより得られた二軸延伸フィルムからなり、
前記基材層中の最も前記金属箔層側に前記熱可塑性樹脂(b)の層が配置され、該層と前記金属箔層とが接していることを特徴とするリチウムイオン電池用外装材。
熱可塑性樹脂(a):芳香族ポリエステル樹脂、またはポリアミド樹脂。
熱可塑性樹脂(b):不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸の酸無水物、および不飽和カルボン酸のエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種の不飽和カルボン酸誘導体でグラフト変性した変性熱可塑性樹脂。
[2]基材層の一方の面側に、少なくとも金属箔層と、内側接着層と、シーラント層とがこの順で積層し、前記金属箔層の前記基材側の面に密着向上処理層が設けられ、前記金属箔層の前記接着層側の面に腐食防止処理層が設けられたリチウムイオン電池用外装材であって、
前記基材層が、下記の熱可塑性樹脂(a)と、下記の熱可塑性樹脂(b)との共押出しにより得られた二軸延伸フィルムからなり、
前記基材層中の最も前記金属箔層側に前記熱可塑性樹脂(b)の層が配置され、該層と前記密着向上処理層とが接していることを特徴とするリチウムイオン電池用外装材。
熱可塑性樹脂(a):芳香族ポリエステル樹脂、またはポリアミド樹脂。
熱可塑性樹脂(b):不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸の酸無水物、および不飽和カルボン酸のエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種の不飽和カルボン酸誘導体でグラフト変性した変性熱可塑性樹脂。
[3]前記基材層中、前記熱可塑性樹脂(a)の層の厚さが1μm以上50μm以下、前記熱可塑性樹脂層(b)の層の厚さが0.1μm以上5μm以下である、[1]または[2]に記載のリチウムイオン電池用外装材。
[4]前記基材層と前記金属箔層または前記密着向上処理層とが熱処理により密着している、[2]に記載のリチウムイオン電池用外装材。
本発明によれば、優れた成型性を有するリチウムイオン電池用外装材を提供できる。
本発明のリチウムイオン電池用外装材の一例を示す概略断面図である。 本発明のリチウムイオン電池用外装材の他の例を示す概略断面図である。 リチウムイオン電池の一例を示す斜視図である。 リチウムイオン電池の製造工程の一例を示す斜視図である。
≪リチウムイオン電池用外装材≫
以下、本発明のリチウムイオン電池用外装材(以下、単に「外装材」ということがある。)を、添付の図面を参照し、実施形態例を示して詳細に説明する。
<第一実施形態>
図1は、本発明の第一実施形態の外装材1の概略断面図である。
外装材1は、基材層10の一方の面に、金属箔層15と、内側接着層17と、シーラント層18とがこの順で積層したものであり、金属箔層15の内側接着層17側の面には腐食防止処理層16が設けられている。
外装材1は、基材層10を最外層、シーラント層18を最内層として使用される。
[基材層]
基材層10は、下記の熱可塑性樹脂(a)と、下記の熱可塑性樹脂(b)との共押出しにより得られた二軸延伸フィルム(以下、フィルム(A)ともいう。)からなるものであり、熱可塑性樹脂(a)の層(以下、熱可塑性樹脂(a)層)10aと、熱可塑性樹脂(b)の層(以下、熱可塑性樹脂(b)層)10bとを有する。基材層10において、熱可塑性樹脂(b)層10bは、熱可塑性樹脂(a)層10aよりも金属箔層15側に配置され、金属箔層15と接している。
熱可塑性樹脂(a):芳香族ポリエステル樹脂、またはポリアミド樹脂。
熱可塑性樹脂(b):不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸の酸無水物、および不飽和カルボン酸のエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種の不飽和カルボン酸誘導体でグラフト変性した変性熱可塑性樹脂。
熱可塑性樹脂(a)のうち、芳香族系のポリエステル樹脂は、フィルム(A)に剛性および耐薬品性を付与し、ポリアミド樹脂は、フィルム(A)に靭性を付与する。熱可塑性樹脂(b)は、フィルム(A)に応力伝搬性と、金属箔層15に対する接着性を付与する。これらの熱可塑性樹脂を共押出により製膜し、二軸延伸フィルムとしたものを基材層として用いることで、外装材1が優れた成型性を有するものとなる。例えば熱可塑性樹脂(a)のフィルムと金属箔とを、ドライラミネートにより積層する場合に比べて、冷間成型時に、延伸した部分にクラックやピンホールが発生することなく成型可能な成型深さを深くすることができる。
(熱可塑性樹脂(a)層)
熱可塑性樹脂(a)層10aは、熱可塑性樹脂(a)から形成される。
熱可塑性樹脂層(a)としては、芳香族ポリエステル樹脂、またはポリアミド樹脂が用いられる。
芳香族ポリエステル樹脂は、構造中に芳香環を有するポリエステル樹脂である。
芳香族ポリエステル樹脂としては、例えば、芳香族二塩基酸とジオールとの重合(重縮合)により得られるポリエステル樹脂が挙げられる。
芳香族二塩基酸としては、例えばイソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられ、いずれか1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ジオールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール等の脂肪族ジオール;シクロヘキサンジオール、水添キシリレングリコール等の脂環式ジオール;キシリレングリコール等の芳香族ジオール;等が挙げられ、いずれか1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記芳香族ポリエステル樹脂は、芳香族二塩基酸およびジオールとともに、脂肪族二塩基酸を重合したものであってもよい。脂肪族二塩基酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸等が挙げられ、いずれか1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
芳香族ポリエステル樹脂の具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等が挙げられる。これらはいずれか1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
芳香族ポリエステル樹脂としては、剛性に優れる点で、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
ポリアミド樹脂としては、例えば、ポリε−カプラミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセパカミド(ナイロン610)、ポリアミノウンデカミド(ナイロン11)、ポリラウリルアミド(ナイロン12)、ポリメタキシリレンジアジパミド(MXD6)、およびそれらの共重合物等が挙げられる。これらはいずれか1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ポリアミド樹脂としては、靭性に優れる点で、ナイロン6、ナイロン66が好ましい。
熱可塑性樹脂(a)には、本発明の効果を損なわない範囲で、熱可塑性樹脂(a)以外の成分が配合されてもよい。
例えば熱可塑性樹脂(a)に、軟質成分として、無水マレイン酸を共重合させたエチレン系共重合樹脂、および脂肪族ポリエステル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂(以下、軟質樹脂ともいう。)が配合されてもよい。熱可塑性樹脂(a)に軟質樹脂を配合することで、より優れた成型性が得られる。
無水マレイン酸を共重合させたエチレン系共重合樹脂としては、例えば、エチレン−α、β不飽和カルボン酸アルキルエステル−無水マレイン酸共重合体が挙げられる。
α、β不飽和カルボン酸アルキルエステルとしては、α、β不飽和カルボン酸を炭素数1〜4のアルキル基を有するアルコールでエステル化したものが挙げられる。
α、β不飽和カルボン酸としては、炭素数3〜8のモノカルボン酸もしくはジカルボン酸、またはそれらの金属塩もしくは酸無水物が挙げられる。具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸などが挙げられ、市販品としては、日本ポリエチレン社製レクスパールが挙げられる。
脂肪族ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリカプロラクトン等が挙げられ、市販品としては、ダイセル化学社製プラクセルなどが挙げられる。
熱可塑性樹脂(a)に、その他の改質効果を得ることを目的として、各種ポリエステルエラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリアミド系エラストマーなどの各種ゴム成分が配合されててもよい。
必要に応じて、熱可塑性樹脂(a)に、滑剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、無機微粒子などの各種添加剤が添加されてもよい。
熱可塑性樹脂(a)層10aの厚さは、1μm以上50μm以下が好ましく、10μm以上30μm以下がより好ましい。熱可塑性樹脂(a)層10aの厚さが上記の範囲内であると、外装材1の成型性が良好である。1μmより薄いと成型時にクラックが発生するリスクが高い。50μmより厚いと、成型性という点での機能発現が飽和してしまう。
(熱可塑性樹脂(b)層)
熱可塑性樹脂(b)層10bは、熱可塑性樹脂(b)から形成される。
熱可塑性樹脂層(b)としては、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸の酸無水物、および不飽和カルボン酸のエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種の不飽和カルボン酸誘導体でグラフト変性した変性熱可塑性樹脂が用いられる。
基材層10が熱可塑性樹脂(b)層を有することで、従来汎用されている2液硬化型ポリウレタン系接着剤を使用することなく、基材層10と金属箔層15とを直接、熱ラミネートにより密着させることができる。また、熱可塑性樹脂(b)は、2液硬化型ポリウレタン系接着剤と比較して剛性が高く、硬い材料であるため、成型時の応力を効率よく伝搬することが可能である。そのため外装材1の成型性が向上する。
前記不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6ジカルボン酸等が挙げられる。
不飽和カルボン酸の酸無水物としては、上記の不飽和カルボン酸のうち、マレイン酸等のジカルボン酸の無水物が挙げられる。
不飽和カルボン酸のエステルとしては、上記の不飽和カルボン酸をアルコールでエステル化したものが挙げられる。
熱可塑性樹脂層(b)としては、優れた応力伝搬性および接着性を有することから、ポリオレフィン系樹脂、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマーを前記不飽和カルボン酸誘導体で変性した樹脂が好ましい。
以下、不飽和カルボン酸誘導体でグラフト変性したポリオレフィン系樹脂を酸変性ポリオレフィン系樹脂、不飽和カルボン酸誘導体でグラフト変性したスチレン系エラストマーを酸変性スチレン系エラストマー樹脂、不飽和カルボン酸誘導体でグラフト変性したポリエステル系エラストマー樹脂を酸変性ポリエステル系エラストマー樹脂という。
酸変性ポリオレフィン系樹脂におけるポリオレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレンとエチレン以外のαオレフィンとの共重合体、ホモ、ブロック、あるいはランダムポリプロピレン、プロピレンとプロピレン以外のαオレフィンとの共重合体、前記のものに、アクリル酸、メタクリル酸などの極性分子を共重合した共重合体、架橋ポリオレフィン等が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂は、一種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
酸変性スチレン系エラストマーにおけるスチレン系エラストマーとしては、スチレン(ハードセグメント)と、ブタジエンあるいはイソプレンあるいはこれらの水添物(ソフトセグメント)の共重合等が挙げられる。
酸変性ポリエステル系エラストマーにおけるポリエステル系エラストマーとしては、結晶性ポリエステル(ハードセグメント)と、ポリアルキレンエーテルグリコール(ソフトセグメント)の共重合体等が挙げられる。
熱可塑性樹脂層(b)は、例えば、ベースとなる熱可塑性樹脂100質量部に対して、前記不飽和カルボン酸誘導体成分0.2〜100質量部をラジカル開始剤の存在下に加熱して反応させることにより得られる。
反応温度は、50〜200℃以上が好ましく、60〜200℃がより好ましい。反応時間は製造方法にも左右されるが、二軸押出機による溶融グラフト反応の場合、押出機の滞留時間内である2〜30分が好ましく、5〜10分がより好ましい。また、変性反応は、常圧、加圧いずれの条件下においても実施できる。
前記変性反応において使用されるラジカル開始剤としては、有機化酸化物が挙げられる。有機化酸化物は、温度条件と反応時間によって選択することができ、例えば、アルキルパーオキサイド、アリールパーオキサイド、アシルパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、パーオキシカーボネート、パーオキシエステルが好ましく、ジ−t−ブチルパーオキサイド、5−2,ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシ−ヘキシン−3,ジクミルペルオキシドがより好ましい。
熱可塑性樹脂層(b)として、市販のものを用いてもよい。
酸変性ポリオレフィン系樹脂としては、無水マレイン酸で変性したポリオレフィン系樹脂が代表的であり、三井化学社製アドマー、三菱化学社製モディック、日本ポリエチレン社性アドテックス等が挙げられる。
酸変性スチレン系エラストマーとしては、AKエラストマー社製タフテック、クレイトンポリマー社製クレイトン等が挙げられる。
酸変性ポリエステルエラストマーとしては、三菱化学社製プリマロイ等が挙げられる。
熱可塑性樹脂(b)には、本発明の効果を損なわない範囲で、熱可塑性樹脂(b)以外の成分が配合されてもよい。
例えば、必要に応じて、熱可塑性樹脂(b)10bに、滑剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、無機微粒子などの各種添加剤が添加されてもよい。
熱可塑性樹脂(b)層10bの厚さは、熱可塑性樹脂(a)層10aと金属箔層15との間の密着性が高くなる点から、0.1μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましい。また、熱可塑性樹脂(b)層10bの厚さは、応力伝搬性および成型性向上の点から、5μm以下が好ましく、3μm以下がより好ましい。
したがって、熱可塑性樹脂(b)層10bの厚さは、0.1μm以上5μm以下が好ましく、0.5μm以上3μm以下が特に好ましい。
(フィルム(A)の製造方法)
フィルム(A)は、熱可塑性樹脂(a)と熱可塑性樹脂(b)との共押出しによりフィルムを製膜し、得られたフィルムに二軸延伸処理を施すことにより製造できる。
共押出し方法、二軸延伸処理方法は特に限定されず、公知の方法を採用できる。例えば共押出しは、Tダイ、インフィレーションダイなどを備えた溶融押出機を用いて行うことができる。
例えばTダイを用いてフィルム(A)を製造する方法の例として、以下の方法が挙げられる。
熱可塑性樹脂(a)、(b)をそれぞれ溶融し、Tダイを備える押出機によって共押出することで製膜し、その製膜された溶融樹脂をエアーナイフキャスト法、静電印加キャスト法などの公知のキャスティング法によって、回転する冷却ドラム上で急冷する。その後、周速の異なる加熱ローラ群からなるローラ式縦延伸機を用いて、得られた未延伸フィルムを予熱した後、未延伸フィルムを、熱可塑性樹脂(a)のガラス転移点以上に加熱する延伸ロールと、フィルム冷却のための冷却ロールとの間で縦延伸を施す。更に、縦延伸後のフィルムをテンダーに導いて50〜70℃で予熱した後、60〜110℃で横延伸する。必要に応じて、縦延伸倍率と、横延伸倍率の比率を制御し、さらにテンダー内において210〜220℃で熱処理およびリラックス処理を施す。
なお、二軸延伸は、前記した逐次二軸延伸には限定されず、同時二軸延伸であってもよい。フィルム(A)の延伸倍率や熱固定温度は適宜選定できる。
[金属箔層]
金属箔層15を構成する金属箔としては、アルミニウム、ステンレス鋼などの各種金属箔を使用することが出来、防湿性、延展性なのど加工性、コスト面から、アルミニウム箔が好ましい。
アルミニウム箔としては、一般の軟質アルミニウム箔を用いることができ、耐ピンホール性、成型時の延展性に優れる点から、鉄を含むアルミニウム箔が好ましい。
アルミニウム箔(100質量%)中の鉄の含有量は、0.1〜9.0質量%が好ましく、0.5〜2.0質量%がより好ましい。鉄の含有量が0.1質量%以上であれば耐ピンホール性、延展性が向上する。鉄の含有量が9.0質量%以下であれば、柔軟性が向上する。
金属箔としては、耐電解液性の点から、脱脂処理を施したアルミニウム箔が好ましい。
脱脂処理としては、大きく区分するとウェットタイプとドライタイプに分けられる。
ウェットタイプの脱脂処理としては、例えば、酸脱脂、アルカリ脱脂等が挙げられる。
酸脱脂に使用する酸としては、例えば、硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸等の無機酸が挙げられる。これらの無機酸は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、これらの無機酸には、アルミニウム箔のエッチング効果が向上する点から、必要に応じてFeイオンやCeイオン等の供給源となる各種金属塩を配合してもよい。
アルカリ脱脂に使用するアルカリとしては、例えば、エッチング効果が高いものとして水酸化ナトリウム等が挙げられる。また、弱アルカリ系や界面活性剤を配合したものが挙げられる。これらの脱脂・エッチング処理は、浸漬法やスプレー法で行われる。
ドライタイプの脱脂処理としては、例えば、アルミニウムを焼鈍処理する工程で行う方法等が挙げられる。また、該脱脂処理のほかにも、フレーム処理やコロナ処理等が挙げられる。さらには、特定波長の紫外線を照射して発生する活性酸素により、汚染物質を酸化分解・除去する脱脂処理も挙げられる。
脱脂処理は、アルミニウム箔層の片面のみに行ってもよく、両面に行ってもよい。
金属箔層15の厚さは、水蒸気等に対するバリア性、耐ピンホール性、加工性の点から、9〜200μmが好ましく、15〜100μmがより好ましい。
[腐食防止処理層]
腐食防止処理層16は、電解液と水分との反応により発生するフッ酸による金属箔層15の腐食を抑制する役割、および金属箔層15との相互作用を向上させることで後述する内側接着層17との密着力を向上させる役割を果たす。
腐食防止処理層16は、金属箔層15を構成する金属箔に対し、腐食防止処理を施すことにより形成される。
腐食防止処理としては、例えば、脱脂処理、熱水変成処理、陽極酸化処理、化成処理、腐食防止性能を有するコーティング剤を塗工するコーティングタイプの腐食防止処理、あるいはこれら処理の2種以上の組み合わせが挙げられる。
上述した処理のうち、特に熱水変性処理や陽極酸化処理は、処理剤によって金属箔(アルミニウム箔)表面を溶解させ、更には耐腐食性に優れる金属化合物を形成させることから、金属箔層15から腐食防止処理層16まで共連続構造を形成した形態になるために、化成処理の定義に包含される。本発明では、後述する希土類元素酸化物ゾルを含有するコーティング剤を用いる方法のような、化成処理の定義に含まれない純粋なコーティング処理のみで腐食防止処理層16を形成させることも可能である。
脱脂処理としては、酸脱脂、アルカリ脱脂が挙げられる。酸脱脂としては上述した硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸などの無機酸を単独あるいはこれらを混合して得られたものを用いる方法などが挙げられる。また酸脱脂として、一ナトリウム二フッ化アンモニウム等のフッ素含有化合物を前記無機酸で溶解させた酸脱脂剤を用いることで、金属箔の脱脂効果だけでなく、不動態である金属のフッ化物を形成させることが可能である。このような層は、耐フッ酸性という点で有効である。アルカリ脱脂としては、水酸化ナトリウムなどを用いる方法が挙げられる。
熱水変成処理としては、例えば、トリエタノールアミンを添加した沸騰水中に金属箔を浸漬処理するベーマイト処理が挙げられる。
陽極酸化処理としては、例えば、アルマイト処理が挙げられる。
化成処理としては、例えば、クロメート処理、ジルコニウム処理、チタニウム処理、バナジウム処理、モリブデン処理、リン酸カルシウム処理、水酸化ストロンチウム処理、セリウム処理、ルテニウム処理、あるいはこれらの組み合わせからなる各種化成処理が挙げられる。
これらの熱水変成処理、陽極酸化処理、化成処理は、金属箔に事前に上述した脱脂処理を施した後に施されることが好ましい。またこれらの化成処理は湿式型に限らず、これらの処理剤を樹脂成分と混合した塗布型でもよい。
腐食防止性能を有するコーティング剤を塗工するコーティングタイプの腐食防止処理に用いられるコーティング剤としては、希土類元素酸化物ゾル、アニオン性ポリマー、カチオン性ポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有するものが挙げられる。特に、希土類元素酸化物ゾルを含有するコーティング剤を用いる方法が好ましい。
希土類元素酸化物ゾルを含有するコーティング剤を用いる方法は、純粋なコーティングタイプの腐食防止処理であり、この方法を用いることで、一般的なコーティング方法でも金属箔に腐蝕防止効果を付与させることが可能である。また、希土類元素酸化物ゾルを用いて形成される層は、金属箔の腐蝕防止効果(インヒビター効果)を有し、かつ環境側面的にも好適な材料である。
希土類元素酸化物ゾルは、液体分散媒中に希土類元素酸化物の微粒子(例えば平均粒径100nm以下の粒子)が分散したものである。
希土類元素酸化物としては、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化ネオジウム、酸化ランタン等が挙げられる。中でも酸化セリウムが好ましい。
希土類元素酸化物ゾルの液体分散媒としては、例えば水系、アルコール系、炭化水素系、ケトン系、エステル系、エーテル系など各種溶媒を用いることが可能である。これらの中でも水系が好ましい。
希土類元素酸化物ゾルは、希土類元素酸化物粒子の分散を安定化させるために、分散安定化剤を含有することが好ましい。
分散安定化剤としては、硝酸、塩酸、リン酸などの無機酸、酢酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、乳酸などの有機酸、それらの塩等が挙げられる。
これらの分散安定化剤のうち、特にリン酸やその塩は「ゾルの分散安定化」だけでなく、キレート能力による「金属箔層との密着性向上」、フッ酸の影響で溶出した金属イオンを捕獲(不動態形成)することよる「電解液耐性の付与」、低温でもリン酸の脱水縮合起こしやすいことによる「希土類元素酸化物層の凝集力アップ」などの効果が期待できることから好ましい。
分散安定化剤として用いられるリン酸又はその塩としては、オルトリン酸、ピロリン酸、メタリン酸、またはこれらのアルカリ金属塩やアンモニウム塩が挙げられる。中でも、外装材における機能発現には、トリメタリン酸、テトラメタリン酸、ヘキサメタリン酸、ウルトラメタリン酸等の縮合リン酸、またはこれらのアルカリ金属塩やアンモニウム塩が好ましい。また、希土類元素酸化物ゾルを用いて、各種コーティング法により希土類酸化物からなる層を形成させる時の乾燥造膜性(乾燥能力、熱量)を考慮すると、低温での反応性に優れる点から、ナトリウム塩がより好ましい。リン酸塩としては、水溶性の塩が好ましい。
希土類元素酸化物ゾル中、リン酸(あるいはその塩)の配合量としては、希土類元素酸化物100質量部に対し、1質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましい。1質量部以上であると、ゾルの安定化が良好であると共に、外装材としての機能を果たすことが容易である。
希土類元素酸化物100質量部に対するリン酸(あるいはその塩)の配合量は、希土類元素酸化物ゾルの機能低下を伴わない範囲であればよく、希土類元素酸化物100質量部に対し、100質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましい。
上述した希土類酸化物ゾルにより形成される腐食防止処理層は、無機粒子の集合体であるため、乾燥キュアの工程を経ても層自身の凝集力が低いおそれがある。そこで、この場合の腐食防止処理層の凝集力を補うため、下記アニオン性ポリマーで複合化されていることが好ましい。
該アニオン性ポリマーとしては、カルボキシ基を有するポリマーが挙げられ、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸(あるいはその塩)、(メタ)アクリル酸を主成分とするモノマー混合物を共重合した共重合体が挙げられる。
該共重合体の共重合成分としては、例えばアルキル(メタ)アクリレート系モノマー(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等。);(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等。)、N−アルコキシ(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルコキシ(メタ)アクリルアミド、(アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基等。)、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有モノマー;(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシラン等のシラン含有モノマー;(メタ)アクリロキシプロピルイソシアネート等のイソシアネート基含有モノマー等が挙げられる。
上記アニオン性ポリマーは、上述したように、希土類元素酸化物ゾルを用いて得られた腐食防止処理層(希土類元素酸化物層)の安定性を向上させる役割を果たす。その効果として、硬くて脆い希土類元素酸化物層をアニオン性ポリマーで保護する効果、および、希土類酸化物ゾルに任意に含まれるリン酸塩由来のカチオン(特にナトリウムイオン)を捕捉する(カチオンキャッチャー)効果が挙げられる。つまり、希土類元素酸化物ゾルを用いて得られた腐食防止処理層中に、特にナトリウム等のアルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンが含まれると、該イオンを含む場所を起点にして腐食防止処理層が劣化しやすくなる。そのため、アニオン性ポリマーによって希土類酸化物ゾルに含まれるナトリウムイオン等を固定化することで、腐食防止処理層の耐性が向上する。
アニオン系ポリマーと希土類元素酸化物ゾルと組み合わせた腐食防止処理層は、クロメート処理を施して形成した腐食防止処理層と同等の腐食防止性能を有する。かかる効果は、上記のような本質的には水溶性であるアニオン系ポリマーを架橋させることで更に向上する。
アニオン系ポリマーの架橋に用いる架橋剤としては、例えば、イソシアネート基、グリシジル基、カルボキシ基、オキサゾリン基を有する化合物が挙げられる。
イソシアネート基を有する化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートあるいはその水素添加物、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’ジフェニルメタンジイソシアネートあるいはその水素添加物、イソホロンジイソシアネート等のジイソシアネート類;あるいはこれらのイソシアネート類を、トリメチロールプロパン等の多価アルコールと反応させたアダクト体、水と反応させることで得られたビューレット体、あるいは三量体であるイソシアヌレート体等のポリイソシアネート類;あるいはこれらのポリイソシアネート類をアルコール類、ラクタム類、オキシム類等でブロック化したブロックポリイソシアネート等が挙げられる。
グリシジル基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のグリコール類と、エピクロルヒドリンを作用させたエポキシ化合物;グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール類と、エピクロルヒドリンを作用させたエポキシ化合物;フタル酸テレフタル酸、シュウ酸、アジピン酸等のジカルボン酸と、エピクロルヒドリンとを作用させたエポキシ化合物等が挙げられる。
カルボキシ基を有する化合物としては、例えば、各種脂肪族あるいは芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。また、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸のアルカリ(土類)金属塩を用いてもよい。
オキサゾリン基を有する化合物としては、例えば、オキサゾリンユニットを2つ以上有する低分子化合物、あるいはイソプロペニルオキサゾリンのような重合性モノマーを用いる場合には、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル等のアクリル系モノマーを共重合させたものが挙げられる。
また、アニオン性ポリマーには、シランカップリング剤のように、アミンと官能基を選択的に反応させ、架橋点をシロキサン結合にさせてもよい。この場合、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン等が使用できる。なかでも、特にアニオン性ポリマーあるいはその共重合物との反応性を考慮すると、エポキシシラン、アミノシラン、イソシアネートシランが好ましい。
アニオン性ポリマーに対するこれらの架橋剤の比率は、アニオン性ポリマー100質量部に対して、1〜50質量部が好ましく、10〜20質量部がより好ましい。架橋剤の比率がアニオン性ポリマー100質量部に対して1質量部以上であれば、架橋構造が充分に形成されやすい。架橋剤の比率がアニオン性ポリマー100質量部に対して50質量部以下であれば、塗液のポットライフが向上する。
アニオン性ポリマーを架橋する方法は、前記架橋剤に限らず、チタニウム、ジルコニウム化合物を用いてイオン架橋を形成する方法等であってもよい。
上述のコーティングタイプの腐食防止処理により腐食防止処理層を形成する場合は、クロメート処理に代表される化成処理とは異なり、金属箔層15と腐食防止処理層16との間で傾斜構造を形成させる必要がない。
クロメート処理に代表される化成処理では、前述のように、前記傾斜構造を形成するため、特にフッ酸、塩酸、硝酸、硫酸あるいはこれらの塩を配合した化成処理剤を用いて金属箔に処理を施し、次いでクロムやノンクロム系の化合物を作用させる。しかし、前記化成処理は、化成処理剤に酸を用いていることから、作業環境の悪化やコーティング装置の腐食を伴う。例えば六価クロムを用いたクロメート処理を施す方法は、アルミニウム箔に電解液やフッ酸に対する腐食防止性能を付与する方法として知られているが、ヨーロッパにおけるRohs規制やREACH規制のように六価クロムが環境有害物質として取り扱われるようになっている。そこで三価クロムを用いたクロメート処理が行われるようになっているが、三価クロムを得る際の出発物質として六価クロムが用いられることから、将来的にはクロム全廃の動きが出てくる可能性がある。したがって、特に環境への影響を配慮した電気自動車への応用を考慮すると、まったくクロム化合物を用いない処理によって、電解液やフッ酸に対する腐食防止性能を付与することが好ましい。
前述したコーティングタイプの腐食防止処理により形成される腐食防止処理層は、金属箔に対して傾斜構造を形成させる必要がないことから、コーティング剤の性状は、酸性、アルカリ性、中性等の制約を受けることがない。また、クロム化合物をまったく用いなくても充分な腐食防止性能を付与できる。そのため、良好な作業環境を実現でき、また、クロメート処理に用いるクロム化合物の環境衛生性を考慮すると、代替案として有効である。
腐食防止処理層16は、上述した希土類酸化物ゾルから形成される層、または希土類酸化物ゾルとアニオン性ポリマーとを複合化した層に、カチオン性ポリマーを含む層を積層した積層構造であってもよい。
カチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーからなるイオン高分子錯体、アクリル主骨格に1級アミンをグラフトさせた1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミンあるいはこれらの誘導体、アミノフェノール等が挙げられる。
カチオン性ポリマーを含む層は、カチオン性ポリマーおよび架橋剤から形成される層であることが好ましい。カチオン性ポリマーと併用する架橋剤としては、カルボキシル基やグリシジル基といったアミン/イミンと反応が可能な官能基を有するものが挙げられる。カチオン性ポリマーと併用する架橋剤としては、ポリエチレンイミンとイオン高分子錯体を形成するカルボン酸を有するポリマーも使用でき、例えば、ポリアクリル酸あるいはそのイオン塩等のポリカルボン酸(塩)、あるいはこれにコモノマーを導入した共重合体、カルボキシメチルセルロースあるいはそのイオン塩等のカルボキシ基を有する多糖類等が挙げられる。
ポリアリルアミンとしては、例えば、アリルアミン、アリルアミンアミド硫酸塩、ジアリルアミン、ジメチルアリルアミン等の単独重合体あるいは共重合体等が挙げられる。これらのアミンは、フリーのアミンであってもよく、酢酸あるいは塩酸による安定化物であってもよい。また、共重合体成分として、マレイン酸、二酸化イオウ等を使用してもよい。さらに、1級アミンを部分メトキシ化させることで熱架橋性を付与したタイプも使用でき、また、アミノフェノールも使用できる。特に、アリルアミンあるいはその誘導体が好ましい。
なお、ここではこのカチオン性ポリマーも腐食防止処理層を構成する一構成要素として記載しているが、その理由として、外装材に要求される電解液耐性、フッ酸耐性を付与させるべく様々な化合物を用い様々な検討を行った結果、カチオン性ポリマー自体にも、電解液耐性、耐フッ酸性を付与することが可能な化合物であることが判明したためである。この要因は、フッ素イオンをカチオン性基で補足する(アニオンキャッチャー)ことで、金属箔が損傷することを抑制しているためであると推測される。また、カチオン性ポリマーは、腐食防止処理層16と内側接着層17の接着性の向上の点でも非常に好ましい。
カチオン性ポリマーは、前述したアニオン性ポリマーと同様に水溶性であるため、前記架橋剤を用いて架橋構造を形成させることで耐水性を向上させることができる。このように、カチオン性ポリマーを用いても架橋構造を形成させることができることから、腐食防止処理層16の形成に希土類酸化物ゾルを用いた場合には、その保護層としてアニオン性ポリマーの代わりにカチオン性ポリマーを用いてもよい。
コーティングタイプの腐食防止処理により形成される腐食防止処理層としては、
(1) 希土類元素酸化物ゾルのみで形成される層、
(2) アニオン性ポリマーのみで形成される層、
(3) カチオン性ポリマーのみで形成される層、
(4) 希土類元素酸化物ゾルとアニオン性ポリマーで形成される層(積層複合化)、
(5) 希土類元素酸化物ゾルとカチオン性ポリマーで形成される層(積層複合化)、
(6) 希土類元素酸化物ゾルとアニオン性ポリマーで形成される層(積層複合化)上に、カチオン性ポリマーで形成される層、
(7) 希土類元素酸化物ゾルとカチオン性ポリマーで形成される層(積層複合化)上に、アニオン性ポリマーで形成される層、
などが挙げられる。
ただし、腐食防止処理層16はこれらの層には限定されない。
カチオン性ポリマーは、後述する内側接着層17の説明で挙げる変性ポリオレフィン系樹脂との接着性が良好である。そのため、内側接着層17を変性ポリオレフィン系樹脂で形成する場合、内側接着層17に接する側にカチオン性ポリマーで形成される層が設けられる形態(例えば構成(5)や構成(6)など)が好ましい。
腐食防止処理層16は、例えば、公知技術である塗布型クロメートのように、樹脂バインダー(アミノフェノール等)にリン酸とクロム化合物を配合した処理剤を用いて形成した、腐食防止性と密着性とを兼ね備えた層であってもよく、前記した脱脂処理、熱水変性処理、陽極酸化処理、化成処理、あるいはこれらの処理の組み合わせる化成処理に対して、密着性を向上させるために、カチオン性ポリマーやアニオン性ポリマーを用いて複合的な処理を施した層であってもよく、前記化成処理で形成した層にカチオン性ポリマーやアニオン性ポリマーからなる層を積層させた層であってもよい。また、希土類元素酸化物ゾルと、カチオン性ポリマーあるいはアニオン性ポリマーとを事前に一液化して得られたコーティング剤により形成した層であってもよい。
腐食防止処理層16の単位面積あたりの質量は、0.005〜0.200g/mが好ましく、0.010〜0.100g/mがより好ましい。前記単位面積当たりの質量が0.005g/m以上であれば、充分な腐食防止機能が得られる。前記単位面積当たりの質量が0.200g/mを超えても、腐食防止機能は飽和してあまり変らない。また、希土類酸化物ゾルを用いた場合には、前記腐食防止処理層16の厚さが上限値以下であることで、乾燥時の熱によるキュアが充分になりやすく、凝集力が低下し難い。
なお、前記腐食防止処理層の厚さは、単位面積あたりの質量で示しているが、その比重から厚みに換算することができる。
前記腐食防止処理層の厚さは、腐食防止機能とアンカーとしての機能から、0.1〜0.2μmが好ましい。
[内側接着層]
内側接着層17は、腐食防止処理層16が設けられた金属箔層15と、シーラント層18とを接着する層である。
内側接着層17を構成する接着成分としては、熱ラミネート構成の接着成分と、ドライラミネート構成の接着成分の2種類に大別される。
熱ラミネート構成の接着成分としては、酸変性ポリオレフィン系樹脂が好ましい。酸変性ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂(b)で挙げたものと同じものが挙げられる。
内側接着層17に用いられる酸変性ポリオレフィン系樹脂としては、無水マレイン酸でグラフト変性した無水マレイン酸変性ポリオレフィン系樹脂が好ましい。酸変性ポリオレフィン系樹脂はグラフト化させた不飽和カルボン酸誘導体成分と、各種金属あるいは各種官能基を含有するポリマーとの反応性を利用して接着性を付与する。
酸変性ポリオレフィン系樹脂には、所望の特性に応じて各種熱可塑性エラストマーを分散させてもよい。これにより、酸変性ポリオレフィン系樹脂をラミネートする際に発生する残留応力が開放され、粘弾性的な接着性が改善される。
熱可塑性エラストマーとしては、三井化学社製タフマー、住友化学社製タフセレン、三菱化学社製ゼラス、モンテル社製キャタロイ、三井化学社製ノティオや、スチレン系エラストマー、特に水添スチレン系エラストマー(AKエラストマー社製タフテック、クラレ社製セプトン/ハイプラー、JSR社製ダイナロン、住友化学社製エスポレックス、クレイトンポリマー社製クレイトンGなど)が好ましい。
前記接着成分には、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤などの各種添加物が配合されてもよい。
熱ラミネート構成の内側接着層は、例えば、前記接着成分を押出し装置で押し出すことで形成できる。
熱ラミネート構成の場合、内側接着層17の厚さは、1〜40μmが好ましく、5〜20μmがより好ましい。
ドライラミネート構成の接着成分としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、カーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオールなどの主剤に、硬化剤として、2官能基以上のイソシアネート化合物を作用させる2液硬化型のポリウレタン系接着剤が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、二塩基酸の一種以上とジオールの一種以上を反応させて得られるポリオールが挙げられる。
二塩基酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸などの脂肪族二塩基酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族系二塩基酸などが挙げられる。
ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ドデカンジオールなどの脂肪族系ジオール;シクロヘキサンジオール、水添キシリレングリコールなどの脱環式系ジオール;キシリレングリコールなどの芳香族系ジオールなどが挙げられる。
また、前記ポリエステルポリオールの両末端の水酸基をイソシアネート化合物の単体、または、少なくとも一種のイソシアネート化合物からなるアダクト体、ビューレット体もしくはイソシアヌレート体を用いて鎖伸長したポリエステルウレタンポリオールなどを用いてもよい。前記イソシアネート化合物としては、2,4−もしくは2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,2,4−もしくは2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネートなどが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのエーテル系のポリオールや、鎖伸長剤として上述したイソシアネート化合物を作用させたポリエーテルウレタンポリオールが挙げられる。
アクリルポリオールとしては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸を主成分とする共重合体が挙げられる。該共重合体に用いるモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有モノマー;アルキル(メタ)アクリレート系モノマー(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等。);(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等。)、N−アルコキシ(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルコキシ(メタ)アクリルアミド、(アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基等。)、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有モノマー;(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシラン等のシラン含有モノマー;(メタ)アクリロキシプロピルイソシアネート等のイソシアネート基含有モノマー等が挙げられる。
カーボネートポリオールとしては、カーボネート化合物とジオールとを反応させて得られるポリオールが挙げられる。カーボネート化合物としては、例えば、ジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネートなどが挙げられる。ジオールとしては、例えば、ポリエステルポリオールで挙げたジオールが挙げられる。また、前記イソシアネート化合物によって鎖伸長したポリカーボネートウレタンポリオールを用いてもよい。
ポリオレフィンポリオールとしては、例えば、オレフィンと、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有モノマーを共重合させて、ポリオレフィン骨格を変形させたポリオール、またはポリブタジエンジオールもしくはその水添物などが挙げられる。
これらの各種ポリオールは、求められる機能や性能に応じて、1種を単独で、あるいは2種以上を混合して使用できる。
硬化剤のイソシアネート化合物としては、例えば、鎖伸長剤としてとして挙げたイソシアネート化合物が挙げられる。
前記ポリウレタン系接着剤は、塗工後、例えば40℃で4日以上のエージングを行うことで、主剤の水酸基と硬化剤のイソシアネート基の反応が進行して、強固な接着が可能となる。主剤が有する水酸基に対する硬化剤が有するイソシアネート基のモル比(NCO/OH)は、1〜10が好ましく、2〜5がより好ましい。
前記ポリウレタン系接着剤には、接着促進のため、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、リン化合物、シランカップリング剤等が含有されていてもよい。
前記ポリウレタン系接着剤には、前記の成分の他、求められる性能に応じて、各種添加剤や安定剤が配合されていてもよい。
カルボジイミド化合物としては、例えば、N,N’−ジ−o−トルイルカルボジイミド、N,N’−ジフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、N,N’−ジオクチルデシルカルボジイミド、N−トリイル−N’−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,2−ジ−t−ブチルフェニルカルボジイミド、N−トリイル−N’−フェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−ニトロフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−アミノフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−ヒドロキシフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−トルイルカルボジイミド等が挙げられる。
オキサゾリン化合物としては、例えば、2−オキサゾリン、2−メチル−2−オキサゾリン、2−フェニル−2−オキサゾリン、2,5−ジメチル−2−オキサゾリン、2,4−ジフェニル−2−オキサゾリン等のモノオキサゾリン化合物、2,2’−(1,3−フェニレン)−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−(1,2−エチレン)−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−(1,4−ブチレン)−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−(1,4−フェニレン)−ビス(2−オキサゾリン)等のジオキサゾリン化合物等が挙げられる。
エポキシ化合物としては、例えば、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール等の脂肪族のジオールのジグリシジルエーテル;ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセロール、ペンタエリスリトール、ジグリセロール、グリセロール、トリメチロールプロパン等の脂肪族ポリオールのポリグリシジルエーテル;シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ポリオールのポリグリシジルエーテル;テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族、芳香族の多価カルボン酸のジグリシジルエステルまたはポリグリシジルエステル;レゾルシノール、ビス−(p−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、トリス−(p−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(p−ヒドロキシフェニル)エタン等の多価フェノールのジグリシジルエーテルもしくはポリグリシジルエーテル;N,N’−ジグリシジルアニリン、N,N,N−ジグリシジルトルイジン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−ビス−(p−アミノフェニル)メタンのようなアミンのN−グリシジル誘導体;アミノフェールのトリグリシジル誘導体;トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリグリシジルイソシアヌレート、オルソクレゾール型エポキシ、フェノールノボラック型エポキシ等が挙げられる。
リン系化合物としては、例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレンホスフォナイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジトリデシルホスファイト−5−t−ブチル−フェニル)ブタン、トリス(ミックスドモノおよびジ−ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、4,4’−イソプロピリデンビス(フェニル−ジアルキルホスファイト)等が挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ただし、前記ポリウレタン系接着剤は、電解液による膨潤やフッ酸による加水分解のおそれがあるため、加水分解され難い骨格の主剤を用いる、架橋密度を向上させる、などの組成設計などを行うことが好ましい。
架橋密度を向上させる方法としては、例えば、ダイマー脂肪酸、ダイマー脂肪酸のエステル、ダイマー脂肪酸の水素添加物、またはそれらの還元グリコールを用いる方法が挙げられる。ダイマー脂肪酸の嵩高い疎水性ユニットが接着剤の架橋密度を向上させる。
ダイマー脂肪酸とは、各種不飽和脂肪酸を二量化させたものであり、その構造としては、非環型、単環型、多環型、芳香環型が挙げられる。
ダイマー脂肪酸の出発物質である不飽和脂肪酸としては、とくに限定されず、モノ不飽和脂肪酸、ジ不飽和脂肪酸、トリ不飽和脂肪酸、テトラ不飽和脂肪酸、ペンタ不飽和脂肪酸、ヘキサ不飽和脂肪酸などが挙げられる。モノ不飽和脂肪酸としては、例えば、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸などが挙げられる。ジ不飽和脂肪酸ではリノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸などが挙げられる。トリ不飽和脂肪酸としては、リノレン酸、ビノレン酸、エレオステアリン酸、ミード酸、ジホモ−γ−リノレン酸、エイコサトリエン酸などが挙げられる。テトラ不飽和脂肪酸としてはステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、アドレン酸などが挙げられる。ペンタ不飽和脂肪酸としては、ボセオペンタエン酸、エイコサベンタエン酸、オズボンド酸、イワシ酸、テトラコサベンタエン酸などが挙げられる。ヘキサ不飽和脂肪酸としてはドコサヘキサエン酸、ニシン酸などが挙げられる。脂肪酸を二量体するときの脂肪酸の組み合わせは、どのような組み合わせでもかまわない。
また、前記ダイマー脂肪酸を必須成分として、前記ポリエステルポリオールの説明で挙げた二塩基酸を導入してもよい。
また、硬化剤としては、電解液耐性(特に電解液に対する溶解性・膨潤性)を改善させるといった目的から、クルードトリレンジイソシアネート、クルード(あるいはポリメリック)ジフェニルメタンジイソシアネートから選ばれるポリイソシアネートの単体あるいは混合物、あるいはこれらのアダクト体を用いることが有効である。該硬化剤を用いることは、接着剤塗膜の架橋密度の向上による溶解性や膨潤性の改善につながると共に、ウレタン基濃度が向上することから、基材密着性の改善も期待される。
上述したポリエステルポリオールの鎖伸張剤として、上記クルードトリレンジイソシアネート、クルード(あるいはポリメリック)ジフェニルメタンジイソシアネートからなる群の少なくとも1種のポリイソシアネート、あるいはそのアダクト体を用いることも好ましい。
さらには、上述してきたポリウレタン系接着剤だけでなく、熱ラミネート構成で記載した無水マレイン酸変性ポリオレフィンや、無水マレイン酸変性スチレン系共重合体エラストマーのような接着性樹脂を、各種有機溶剤にて溶解あるいは分散させることで得られた材料に対し、上述した、イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、リン化合物、シランカップリング剤などを配合したものを、ドライラミネート用接着剤として用いてもよい。
ドライラミネート構成の接着成分における主剤と硬化剤の比率としては、主剤100部に対し硬化剤1〜100質量部が好ましく、5〜50質量部がより好ましい。前記硬化剤の比率が下限値以上であれば、密着性および電解液耐性に優れる。前記硬化剤の比率が上限値以下であれば、未反応の硬化剤が残留して接着性や硬さに悪影響が生じることを抑制しやすい。
前記接着剤には、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤など各種添加物が配合されてもよい。
ドライラミネート構成の内側接着層は、一般的なドライラミネート法により形成できる。
ドライラミネート構成の場合、内側接着層17の厚さは、1〜10μmが好ましく、2〜5μmがより好ましい。
[シーラント層]
シーラント層18は、外装材1において、ヒートシールによる封止性を付与する層である。
シーラント層18としては、ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体またはそのエステル化物もしくはイオン化合物からなるフィルムが挙げられる。
前記ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、ホモ、ブロック、あるいはランダムポリプロピレン、プロピレン−αオレフィン共重合体等のポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体またはそのエステル化物もしくはイオン架橋物等が挙げられる。これらポリオレフィン系樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
シーラント層18を構成するフィルムは、1種以上の樹脂で形成されたフィルムであってもよく、2種以上の樹脂で形成されたフィルムであってもよい。また、単層フィルムであってもよく、多層フィルムであってもよく、必要とされる機能に応じて選択すればよい。例えば、防湿性を付与する点では、エチレン−環状オレフィン共重合体や、ポリメチルペンテンなどの樹脂を介在させた多層フィルムを使用してもよい。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分は完全ケン化物や、ポリ酢酸ビニル共重合体の部分または完全ケン化物などのガスバリア性を有する樹脂を介在させた多層フィルムを使用してもよい。
シーラント層18には、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤など各種添加物を配合してもよい。
シーラント層18の厚さは、10〜100μmが好ましく、20〜80μmがより好ましい。
[外装材1の製造方法]
外装材1は、例えば、下記工程(X1)〜(X3)を有する製造方法により製造できる。ただし、外装材1の製造方法は以下の方法には限定されない。
(X1)金属箔層15の一方の面に腐食防止処理層16を形成する工程。
(X2)金属箔層15の他方の面(腐食防止処理層16を形成しない側)と、基材層10の熱可塑性樹脂(b)層10b側の面とを熱処理により貼り合わせる工程。
(X3)腐食防止処理層16に、内側接着層17を介してシーラント層18を貼り合わせる工程。
(工程(X1))
腐食防止処理層16は、金属箔層15を構成する金属箔に対し、腐食防止処理を施すことにより形成される。腐食防止処理の前に、金属箔に対し、脱脂処理を施してもよい。
脱脂処理の詳細は前記のとおりである。脱脂処理の方法としては、焼鈍、スプレー法、浸漬法等が挙げられる。
腐食防止処理としては、例えば脱脂処理、熱水変成処理、陽極酸化処理、化成処理、腐食防止性能を有するコーティング剤を塗工するコーティングタイプの腐食防止処理、あるいはこれら処理の2種以上の組み合わせが挙げられる。これらの処理の詳細は前記のとおりである。
熱水変成処理、陽極酸化処理の方法としては、浸漬法等が挙げられる。化成処理の方法としては、化成処理のタイプに応じて、浸漬法、スプレー法、コート法等を選択できる。コーティング剤のコート法としては、グラビアコーター、グラビアリバースコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、ダイコーター、バーコーター、キスコーター、コンマコーターなど、各種方法を採用できる。乾燥キュアが必要な場合は、腐食防止処理層の種類に応じて、母材温度として、60〜300℃の範囲で行うことが出来る。
(工程(X2))
金属箔層15と基材層10との貼り合わせは、熱ラミネートや熱圧着などの熱処理により行うことができ、例えば後述する熱ラミネート構成の内層接着層によるシーラント層18の貼り合わせと同様な手法で実施できる。
(工程(X3))
工程(X3)では、工程(X1)および工程(X2)を経て得られた積層体(基材層10、金属箔層15、腐食防止処理層16がこの順に積層した積層体)の腐食防止処理層16側に、内側接着層17を介してシーラント層18を貼り合わせる。
ドライラミネート構成の場合、例えばドライラミネーション、ノンソルベントラミネーション、ウェットラミネーションなどの手法で、上述した接着成分(ポリウレタン系接着剤等)を塗布して内側接着層17を設ける。この時、接着促進のため、室温〜100℃の範囲内でエージング(養生)処理を行ってもかまわない。この時、接着促進のため、室温〜100℃の範囲内でエージング(養生)処理を行ってもよい。
内側接着層17は、接着成分のドライ塗布量として1〜10g/mの範囲内、より好ましくは3〜5g/mの範囲内で設けることが好ましい。1g/m以上であると充分なラミネート強度が得られる。10g/mより多いと、リチウム電池用外装材として求められる水分透過性能が低下するおそれがある。
熱ラミネート構成の場合、前記積層体に対し、内側接着層とシーラント層を、サンドイッチラミネーションや共押出ラミネーションにより貼り合わせてもよい。
この場合、金属箔層15とシーラント層18との間の密着性を向上させ、優れた電解液耐性およびフッ酸耐性を付与する点から、熱処理を施すことが好ましい。この場合の熱処理温度は、積層体の最高到達温度として、室温から、シーラント層の融点より40℃高い温度までの範囲が好ましい。熱処理時間は、熱処理温度に依存し、熱処理温度が低いほど長くすることが好ましい。
熱処理方法としては、生産性やハンドリングの点から、乾燥炉やベーキング炉を通過させる方法、熱ラミネーション(熱圧着)による方法、ヤンキードラム(熱ドラムに抱かせる)を用いる方法が好ましい。
上述した工程(X2)もこの方法で実施できる。ただし、工程(X2)の場合、最高到達温度の上限としては、基材層10を構成する熱可塑性樹脂(a)の融点を越えない温度が好ましい。
以上説明した工程(X1)〜(X3)により、外装材1が得られる。
なお、外装材1の製造方法は、前記工程(X1)〜(X3)を順次実施する方法に限定されない。例えば、工程(X2)を行ってから工程(X1)を行ってもよい。
また、成型性を更に向上させる目的で、得られた外装材1の基材層10側、及びシーラント層18側の少なくとも一方に、滑剤の層を設けて静摩擦係数を小さくさせてもよい。滑剤としては、例えば、シリコーン、高分子ワックス、脂肪族アミド(エルカ酸アミドなど。)などが挙げられる。また、滑剤は、予め基材層10やシーラント層18を形成するフィルムに配合しておき、ブリードアウト現象により析出させてもよい。
<第二実施形態>
図2は、本発明の第二実施形態の外装材2の概略断面図である。なお、以下に記載する実施形態において、第一実施形態に対応する構成要素には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
外装材2は、基材層10の一方の面に、金属箔層15と、内側接着層17と、シーラント層18とがこの順で積層したものであり、金属箔層15の基材10側の面には密着向上処理層19が設けられ、内側接着層17側の面には腐食防止処理層16が設けられている。
基材層10は、熱可塑性樹脂(a)層10aと熱可塑性樹脂(b)層10bとを有する。熱可塑性樹脂(b)層10bは、熱可塑性樹脂(a)層10aよりも金属箔層15側に配置され、腐食防止処理層16と接している。
本実施形態の外装材2は、金属箔層15の基材10側の面に密着向上処理層19が設けられ、密着向上処理層19が熱可塑性樹脂(b)層10bと接している以外は、第一実施形態の外装材1と同様である。
[密着向上処理層19]
密着向上処理層19は、基材層10の熱可塑性樹脂(b)層10bと金属箔層15との密着力を向上させる役割を果たす。密着向上処理層19を設けることで、基材層10と金属箔層15との間の密着性がさらに高まり、成型性がより優れたものとなる。例えばより深い成型絞り深さで、ピンホールおよび破断を生じることなく冷間成型を行うことが可能になる。
密着向上処理層19としては、例えば、前述の腐食防止処理層16と同様の腐食防止処理層が挙げられる。腐食防止処理層16の形成に用いられる各種腐食防止処理(脱脂処理、熱水変成処理、陽極酸化処理、化成処理、腐食防止性能を有するコーティング剤を塗工するコーティングタイプの腐食防止処理等)は、基材層10を構成する熱可塑性樹脂(b)層10bとの密着性を向上させる効果も有する。
[外装材2の製造方法]
外装材2は、例えば、下記工程(X1’)〜(X3’)を有する製造方法により製造できる。ただし、外装材2の製造方法は以下の方法には限定されない。
(X1’)金属箔層15の一方の面に腐食防止処理層16を形成し、他方の面に密着向上処理層19を形成する工程。
(X2’)金属箔層15上に形成された密着向上処理層19と、基材層10の熱可塑性樹脂(b)層10b側の面とを熱処理により貼り合わせる工程。
(X3’)腐食防止処理層16に、内側接着層17を介してシーラント層18を貼り合わせる工程。
工程(X1’)は、密着向上処理層19をさらに形成する以外は前記工程(X1)と同様に実施できる。密着向上処理層19の形成は、腐食防止処理層16の形成と同様に実施できる。
工程(X2’)、工程(X3’)はそれぞれ前記工程(X2)、(X3)と同様に実施できる。
以上説明した工程(X1’)〜(X3’)により、外装材2が得られる。
なお、外装材1の製造方法は、前記工程(X1’)〜(X3’)を順次実施する方法に限定されない。例えば、工程(X1’)で密着向上処理層19のみ形成した後、工程(X2’)を行い、その後、腐食防止処理層16を形成してもよい。
また、成型性を更に向上させる目的で、得られた外装材2の基材層10側、及びシーラント層18側の少なくとも一方に、滑剤の層を設けて静摩擦係数を小さくさせてもよい。滑剤としては、例えば、シリコーン、高分子ワックス、脂肪族アミド(エルカ酸アミドなど。)などが挙げられる。また、滑剤は、予め基材層10やシーラント層18を形成するフィルムに配合しておき、ブリードアウト現象により析出させてもよい。
以上、第一〜第二実施形態を示して本発明の外装材を説明したが、本発明の外装材はこれらの実施形態に限定されない。上記実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
例えば、基材層の構成は、1層の熱可塑性樹脂(a)層10aと、1層の熱可塑性樹脂(b)層10bとが積層した二層構成に限定されない。最も金属箔層側に熱可塑性樹脂(b)層が配置されていれば、三層以上の多層構成であってもよい。かかる多層構造の例としては、例えば熱可塑性樹脂(a)層/熱可塑性樹脂(b)層/熱可塑性樹脂(a)層/熱可塑性樹脂(b)層の四層構成等が挙げられる。熱可塑性樹脂(a)層または熱可塑性樹脂(b)層を複数含む場合、複数の熱可塑性樹脂(a)層または熱可塑性樹脂(b)層を構成する熱可塑性樹脂(a)または熱可塑性樹脂(b)は同じでも異なってもよい。
本発明の外装材は、基材層として、特定の熱可塑性樹脂(a)と熱可塑性樹脂(b)との共押出しにより得られた二軸延伸フィルムを用いることで、優れた成型性を有する。
例えば、本発明によれば、クラックやピンホールの発生を伴うことなく冷間成型出来る絞り深さを、従来までドライラミネート法により基材層とアルミニウム箔などの金属箔層を積層させていた構成と比較して、より深くすることが可能である。
本発明の外装材は、リチウムイオン電池の製造に用いられる。
図3に、本発明の外装材を用いて製造されるリチウムイオン電池の一例を示す。ただし本発明の外装材を用いて製造されるリチウムイオン電池はこれに限定されるものではない。
この例のリチウムイオン電池100は、外装材1により形成される封止された容器体110と、容器体110内にタブ114の一部が外部に出るようにして収容される電池部材112とを有する。
外装材1についての説明は前記のとおりである。
容器体110は、矩形状の外装材1がシーラント層18を内側にして二つ折りにされたもので、第1容器部110aと第2容器部110bと折り返し部110cとを有する。
第1容器部110aには、深絞り成型によって、シーラント層18側から基材層10側に突き出す凹部116が設けられている。
第1容器部110aと第2容器部110bにおける折り返し部110cの反対側に位置するシーラント層18同士が接触している先端縁部分118は、タブ114の一部を挟み込んだ状態でヒートシールされている。また、凹部116の両側の各々の側縁部分(第一の側縁部分120,第二の側縁部分122)もヒートシールされている。
容器体110は、このように先端縁部分118と両方の側縁部分120,122がヒートシールされていることで封止されている。また、容器体110は、凹部116内に電池部材112と共に電解液が収容された状態で封止される。
電池部材112は、正極、セパレータ及び負極を有する電池部材本体部124と、電池部材本体部124が有する正極と負極にそれぞれ接続されるタブ114,114とを有する。
電池部材本体部124としては、リチウムイオン電池に通常用いられるものであれば特に限定されず、例えば、正極、セパレータ、負極及びセパレータがこの順に積層された積層体等が挙げられる。正極、負極、及びセパレータは、リチウムイオン電池に通常使用されるものを特に制限なく使用できる。
タブ114,114は、正極と負極にそれぞれ接合されたリード126,126と、リード126,126に巻き付けられ、先端縁部分118のシーラント層18と溶着されるタブシーラント128,128を有する。タブ114,114は、リード126の基端側が正極及び負極にそれぞれ接合され、先端側が容器体110の外部に出るように設置される。
リード126の材質としては、例えば、アルミニウム、ニッケル、又はニッケルメッキした銅等が挙げられる。
タブシーラント128の材質としては、外装材1のシーラント層18と溶着できるものであればよく、例えば、シーラント層18の材質と同じ材質が挙げられる。
リチウムイオン電池100は、公知の方法を利用して製造できる。
以下に、リチウムイオン電池100の製造方法の一例を、図4に基づいて説明する。なお、リチウムイオン電池100の製造方法は以下の方法には限定されない。
リチウムイオン電池100の製造方法としては、例えば、下記工程(Y1)〜(Y4)を有する方法が挙げられる。
(Y1)矩形状の外装材1における第1容器部110aとなる部分に、冷間成型により凹部116を形成する工程。
(Y2)第1容器部110aの凹部116内に電池部材本体部124を配置し、外装材1の第2容器部110bとなる部分を折り返し、折り返し部110cと反対側の先端縁部分118をタブ114の一部が外部に出るようにしてヒートシールする工程。
(Y3)第一の側縁部分120をヒートシールする工程。
(Y4)第二の側縁部分122側の開口から凹部116内に電解液を注入した後、真空状態で第二の側縁部分122をヒートシールする工程。
工程(Y1)において、凹部116は、例えば外装材1のシーラント層18側から基材層10側に、リバウンド量を考慮して所望の絞り深さになるように金型で深絞り成型することにより形成できる。
金型としては、深絞り成型に通常用いられるものが使用でき、例えば、外装材1の総厚み以上のギャップを有する雌型と雄型からなる金型が挙げられる。深絞り成型時には、例えば滑剤等を利用して外装材1の表面の摩擦係数を低くしておくことで、金型と外装材1間の摩擦が低下し、金型のフィルム押さえから成型部分に外装材1が流れ込みやすくなる。これにより、クラックやピンホールを生じさせずに、より深い凹部116を形成することができる。
工程(Y2)では、工程(Y1)で形成した凹部116内に電池部材本体部124を収容し、外装材1の第2容器部110bとなる部分を折り返し、折り返し部110cの反対側の先端縁部分118を、タブ114を挟んでその一部が外部に出るようにしてヒートシールする。このとき、タブ114のタブシーラント128は、外装材1における第1容器部110a側のシーラント層18と第2容器部110b側のシーラント層18の両方に溶着させる。
ヒートシールは、ヒートシールバーの温度、シール時の面圧、シール時間の3条件を調節することで制御できる。ヒートシールバーの温度は、外装材1のシーラント層18の融点以上の温度であり、160〜210℃が好ましく、170〜200℃がより好ましい。シール時の面圧は、先端縁部分118の側端面にポリ球と呼ばれる溶融樹脂溜り部が形成しない程度の条件であればよく、0.01〜2MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。シール時間は、ヒートシールバーの温度、シール時の面圧によっても異なるが、0.5〜20秒が好ましく、1〜10秒がより好ましい。
工程(Y3)、(Y4)におけるヒートシールも同様にして行うことができる。
以上説明した工程(Y1)〜(Y4)によりリチウムイオン電池100が得られる。
なお、リチウムイオン電池100の製造方法は、前記工程(Y1)〜(Y4)を順次実施する方法には限定されない。例えば、工程(Y2)を行った後に工程(Y1)を行ってもよい。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
<使用材料>
本実施例で使用した材料(各層の形成に用いた材料)を以下に示す。
[基材層]
フィルムA−1:表1に示す熱可塑性樹脂(a)層と熱可塑性樹脂(b)層とが積層した二軸延伸フィルム。
フィルムA−2:表1に示す熱可塑性樹脂(a)層と熱可塑性樹脂(b)層とが積層した二軸延伸フィルム。
表1における略号は以下の意味を示す。
PET:ポリエチレンテレフタレート。
b−1:無水マレイン酸でグラフト変性したポリエステル系エラストマー。
Ny−6:ナイロン6。
Figure 0006183032
フィルムA−1〜A−2は、以下の手順で製造した。
熱可塑性樹脂(a)と熱可塑性樹脂(b)とを、共押出しにより製膜し、その製膜された溶融樹脂をTダイ法によって、回転する冷却ドラム上で20℃にて急冷し、共押しフィルムを得た。その後、周速の異なる加熱ローラ群からなるローラ式縦延伸機を用いて、得られた共押しフィルムを熱可塑性樹脂(a)のガラス転移点以上に加熱する延伸ロールと、フィルム冷却のための冷却ロールとの間で縦延伸した。更に、縦延伸後のフィルムをテンダーに導いて熱可塑性樹脂(a)のガラス転移点以上の温度で横延伸し、二軸延伸フィルム(フィルムA−1またはA−2)を得た。
フィルムA’−1:二軸延伸PETフィルム。
フィルムA’−2:二軸延伸ナイロン(Ny)フィルム。
なお、フィルムA’−1、A’−2は、比較対象として用いたもので、外側接着層(5μm)を介して金属箔と積層した。
[外側接着層]
接着剤B−1:ポリウレタン系接着剤。
[金属箔層]
金属箔C−1:軟質アルミニウム箔8079材。
[腐食防止処理層、密着向上処理層]
処理剤D−1:酸化セリウム100質量部に対してリン酸のNa塩を10質量部配合し、溶媒として蒸留水を用いて固形分濃度10質量%に調整した処理剤。
処理剤D−2:ポリアクリル酸ポリマー90質量%とオキサゾリン化合物10質量%とからなる混合物を、溶媒として蒸留水を用い、固形分濃度5質量%に調整した組成物。
処理剤D−3:ポリアリルアミンポリマー90質量%とグリシジル化合物10質量%とからなる混合物を、溶媒として蒸留水を用い、固形分濃度5質量%に調整した組成物。
[内側接着層]
接着成分E−1:ランダムポリプロピレンに対して無水マレイン酸をグラフト変性させた変性PPに対して、エチレン−αオレフィン共重合体からなるエラストマーを配合させた酸変性ポリオレフィン系樹脂。
接着成分E−2:トルエンに溶解させた無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対し、ポリイソシアネート化合物を10質量%配合した接着剤組成物。
内側接着層17の形成に際し、接着剤E−2は、ドライ塗布量4〜5g/mで塗布した。
[シーラント層]
フィルムF−1:ランダムプロピレン/ブロックプロピレン/ランダムプロピレンからなる2種3層の多層フィルム(厚さ60μm)。
<実施例1〜6>
[外装材の作製]
金属箔層となる金属箔C−1の一方の面に、処理剤D−1を塗工、乾燥し、その後、処理剤D−3を塗工、乾燥して密着向上処理層を形成し、片面に密着向上処理層を有する金属箔(以下、「金属箔C−2」という。)を得た。
別途、金属箔C−1の一方の面に、処理剤D−1を塗工、乾燥し、その後、処理剤D−2を塗工、乾燥して密着向上処理層を形成し、片面に密着向上処理層を有する金属箔(以下、「金属箔C−3」という。)を得た。
密着向上処理層の形成において、処理剤の塗工はマイクログラビアコートにより行った。塗工量は、最終的なドライ塗工量(全処理剤のトータルのドライ塗工量)として10〜200mg/mになる量とした。塗工後の乾燥(焼き付け処理)は、乾燥ユニットにおいて処理剤D−1〜D−3それぞれのタイプに応じて150〜250℃で行った。
金属箔C−1、C−2またはC−3の一方の面(C−2、C−3に関しては、前記密着向上処理層が設けられていない面)に、処理剤D−1を塗工、乾燥し、その後、処理剤D−3を塗工、乾燥して腐食防止処理層を形成した。
腐食防止処理層の形成において、処理剤の塗工はマイクログラビアコートにより行った。塗工量は、最終的なドライ塗工量として70〜100mg/mになる量とした。塗工後の乾燥(焼き付け処理)は、乾燥ユニットにおいて処理剤D−1、D−3それぞれのタイプに応じて150〜250℃で行った。
次に、金属箔C−1、C−2またはC−3の腐食防止処理層を形成した側とは反対側の面と、フィルムA−1またはA−2の熱可塑性樹脂(b)側の面とを、共押出しにより密着させた。これにより、基材(/密着向上処理層)/金属箔層/腐食防止処理層の層構成の積層体を得た。
次に、得られた積層体の腐食防止処理層側に、押出しラミネート機によって接着成分E−1を260〜300℃で厚さ20μmとなるように押出し、サンドイッチラミネーションによりフィルムF−1を貼り合わせた。その後、160℃、4kg/cm、2m/分の条件で加熱圧着した。これにより、基材(/密着向上処理層)/金属箔層/腐食防止処理層/内側接着層/シーラント層の層構成の外装材を得た。
得られた外装材について、以下の手順で成型性を評価した。結果を表2に示す。
[成型性の評価]
得られた外装材を、150mm×190mmのブランク形状に切り取り、その中央部に冷間成型により凹部を形成した。パンチとしては、形状が100mm×150mm、パンチコーナーR(RCP)が1.5mm、パンチ肩R(RP)が0.75mm、ダイ肩R(RD)が0.75mmのものを使用した。型閉め圧(エアシリンダー)は0.5〜0.8MPa、ストローク速度は5mm/秒とした。なお、Rは曲率半径を示す。
前記凹部の形成において、絞り深さを4mmから1mm刻みで深くしていき、同じ絞り深さの冷間成型を10回行って評価用のサンプルを作成した。各サンプルについてピンホールおよび破断の有無を確認し、以下の評価基準で成型性を評価した。
○:ピンホールや破断を生じさせずに、絞り深さ8mm以上の冷間成型が可能である。
△:ピンホールや破断を生じさせずに、絞り深さ5mm以上8mm未満の冷間成型が可能である。
×:ピンホールや破断を生じさせずに、絞り深さ5mmを超える冷間成型を実施することが出来ない。
また、ピンホールや破断が生じなかったサンプルのうち、最も絞り深さが深かったサンプルの絞り深さ(最大絞り深さ)を求めた。
ただし、実施例1〜6および以下の実施例7〜12、比較例1〜12において、10個のサンプルの成型性の評価結果は同じであった。
<実施例7〜12>
基材(/密着向上処理層)/金属箔層/腐食防止処理層の層構成の積層体を得るまでの工程を実施例1〜6と同様に行った。
次に、前記積層体の腐食防止処理層側に、接着成分E−2をグラビアリバースコートによりドライ塗布量4〜5g/mで塗布し、ドライラミネート法により、フィルムF−1を貼り合わせた。その後、60℃、6日間のエージングを行った。これにより、基材(/密着向上処理層)/金属箔層/腐食防止処理層/内側接着層/シーラント層の層構成の外装材を得た。
得られた外装材について、実施例1〜6と同様に成型性の評価を行った。結果を表2に示す。
<比較例1〜6>
前記金属箔C−1、C−2またはC−3の一方の面(C−2、C−3に関しては、前記密着向上処理層が設けられていない面)に、処理剤D−1を塗工、乾燥し、その後、処理剤D−2を塗工、乾燥して腐食防止処理層を形成した。
腐食防止処理層の形成において、処理剤の塗工はマイクログラビアコートにより行った。塗工量は、最終的なドライ塗工量として70〜100mg/mになる量とした。塗工後の乾燥(焼き付け処理)は、乾燥ユニットにおいて処理剤D−1、D−2それぞれのタイプに応じて150〜250℃で行った。
次に、前記金属箔C−1、C−2またはC−3の腐食防止処理層を形成した側とは反対側に、接着剤B−1を、グラビアリバースコートによりドライ塗布量4〜5g/mで塗布し、ドライラミネート法によりフィルムB−1またはB−2を貼り合わせた。その後60℃、6日間のエージングを行った。これにより、基材/外側接着層(/密着向上処理層)/金属箔層/腐食防止処理層の層構成の積層体を得た。
次に、得られた積層体の腐食防止処理層側に、実施例1〜6と同様に、サンドイッチラミネーションによりフィルムF−1を貼り合わせた。これにより、基材/外側接着層(/密着向上処理層)/金属箔層/腐食防止処理層/内側接着層/シーラント層の層構成の外装材を得た。
得られた外装材について、実施例1〜6と同様に成型性の評価を行った。結果を表2に示す。
<比較例7〜12>
基材/外側接着層(/密着向上処理層)/金属箔層/腐食防止処理層の層構成の積層体を得るまでの工程を比較例1〜6と同様に行った。
次に、前記積層体の腐食防止処理層側に、実施例1〜6と同様に、ドライラミネート法によりフィルムF−1を貼り合わせた。その後、60℃、6日間のエージングを行った。これにより、基材/外側接着層(/密着向上処理層)/金属箔層/腐食防止処理層/内側接着層/シーラント層の層構成の外装材を得た。
得られた外装材について、実施例1〜6と同様に成型性の評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 0006183032
実施例1と比較例1とを対比すると、熱可塑性樹脂(a)と熱可塑性樹脂(b)との共押出しにより製膜した二軸延伸フィルムと金属箔とを、直接または密着向上処理層を介し、熱処理により積層した実施例1の外装材は、熱可塑性樹脂(a)層に相当するフィルムと金属箔とをドライラミネート法により積層した以外は同じ構成の比較例1の外装材に比べ、成型性(ピンホールや破断を生じさせずに冷間成型できる絞り深さ)が向上した。実施例2〜12をそれぞれ対応する比較例2〜12と対比した場合においても同様の結果が確認できた。
実施例1〜12のうち、密着向上処理層を設けなかった実施例1、4、7、10と、密着向上処理層を設けた実施例2〜3、5〜6、8〜9、11〜12との対比から、密着向上処理層を設けることで、密着向上処理層無しよりも成型性が改善することが確認された。
本発明のリチウムイオン電池用外装材は、クラックやピンホールの発生を伴うことなく、深い絞り深さで冷間成型出来ることから、長期信頼性および安全性が求められる用途に好適に使用できる。特に、電気自動車などの大電流を取り出す必要のある用途に有効である。
1 リチウムイオン電池用外装材
2 リチウムイオン電池用外装材
10 基材層
10a 熱可塑性樹脂(a)層
10b 熱可塑性樹脂(b)層
15 金属箔層
16 腐食防止処理層
17 内側接着層
18 シーラント層
19 密着向上処理層
100 リチウムイオン電池
110 容器体
112 電池部材
114 タブ
116 凹部
118 先端縁部分
120 第一の側縁部分
122 第二の側縁部分

Claims (4)

  1. 基材層の一方の面側に、少なくとも金属箔層と、内側接着層と、シーラント層とがこの順で積層し、前記金属箔層の前記接着層側の面に腐食防止処理層が設けられたリチウムイオン電池用外装材であって、
    前記基材層が、下記の熱可塑性樹脂(a)と、下記の熱可塑性樹脂(b)との共押出しにより得られた二軸延伸フィルムからなり、
    前記基材層中の最も前記金属箔層側に前記熱可塑性樹脂(b)の層が配置され、該層と前記金属箔層とが接していることを特徴とするリチウムイオン電池用外装材。
    熱可塑性樹脂(a):芳香族ポリエステル樹脂、またはポリアミド樹脂。
    熱可塑性樹脂(b):不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸の酸無水物、および不飽和カルボン酸のエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種の不飽和カルボン酸誘導体でグラフト変性した変性熱可塑性樹脂。
  2. 基材層の一方の面側に、少なくとも金属箔層と、内側接着層と、シーラント層とがこの順で積層し、前記金属箔層の前記基材側の面に密着向上処理層が設けられ、前記金属箔層の前記接着層側の面に腐食防止処理層が設けられたリチウムイオン電池用外装材であって、
    前記基材層が、下記の熱可塑性樹脂(a)と、下記の熱可塑性樹脂(b)との共押出しにより得られた二軸延伸フィルムからなり、
    前記基材層中の最も前記金属箔層側に前記熱可塑性樹脂(b)の層が配置され、該層と前記密着向上処理層とが接していることを特徴とするリチウムイオン電池用外装材。
    熱可塑性樹脂(a):芳香族ポリエステル樹脂、またはポリアミド樹脂。
    熱可塑性樹脂(b):不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸の酸無水物、および不飽和カルボン酸のエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種の不飽和カルボン酸誘導体でグラフト変性した変性熱可塑性樹脂。
  3. 前記基材層中、前記熱可塑性樹脂(a)の層の厚さが1μm以上50μm以下、前記熱可塑性樹脂層(b)の層の厚さが0.1μm以上5μm以下である、請求項1または2に記載のリチウムイオン電池用外装材。
  4. 前記基材層と前記金属箔層または前記密着向上処理層とが熱処理により密着している、請求項に記載のリチウムイオン電池用外装材。
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