JP6179362B2 - ブライトバーンの消去方法およびブライトバーン消去機能を有する放射線画像撮影装置 - Google Patents

ブライトバーンの消去方法およびブライトバーン消去機能を有する放射線画像撮影装置 Download PDF

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Description

本発明は放射線画像撮影装置に発生するブライトバーンを消去する方法およびこのようなブライトバーンを消去する機能を有する放射線画像撮影装置に関する。さらに詳しくは本発明は、放射線画像撮影装置に発生するブライトバーンを特定の可視光線を用いて消去する方法およびこのような可視光線を使用してブライトバーンを消去する機能を発現させた放射線画像撮影装置に関する。
従来、X線画像のような放射線画像は医療現場において病状の診断に広く用いられている。特に、増感紙−フィルム系による放射線画像は、長い歴史のなかで高感度化と高画質化が図られた結果、高い信頼性と優れたコストパフォーマンスを併せ持った撮像システムとして、今なお、世界中の医療現場で用いられている。しかしながら、これら画像情報はいわゆるアナログ画像情報であって、近年発展を続けているデジタル画像情報のように自由な画像処理および瞬時の電送ができない。
そこで、近年ではコンピューテッドラジオグラフィ〔CR〕およびフラットパネル型の放射線ディテクター(フラットパネルディテクタ)〔FPD〕等に代表されるデジタル処理された放射線画像検出装置が登場している。これらは、デジタル化された放射線画像が直接得られ、陰極管や液晶パネル等の画像表示装置に画像を直接表示することが可能なので、必ずしも写真フィルム上への画像形成が必要なものではない。その結果、これらのX線画像検出装置は、銀塩写真方式による画像形成の必要性を低減させ、病院や診療所での診断作業の利便性を大幅に向上させている。
X線画像のデジタル技術の一つとしてコンピューテッドラジオグラフィ〔CR〕が現在医療現場で受け入れられている。しかしながら、このコンピューテッドラジオグラフィ〔CR〕は、鮮鋭性が充分でなく空間分解能も不充分であり、スクリーン・フィルムシステムの画質レベルには到達していない。そして、さらに新たなデジタルX線画像技術として、例えば、非特許文献1(Physics Today;1997,11 P24頁のジョン・ローランズ論文“Amorphous Semiconductor Usher in Digital X-ray Imaging”)および非特許文献2(SPIE;1997,32,P2のエル・イー・アントヌク論文”Development of a High Resolution, Active Matrix, Flat-Panel Imager with Enhanced Fill Factor”)等に記載された薄膜トランジスタ〔TFT〕を用いたフラットパネルディテクタ〔FPD〕が開発されている。
このような医療用の用途とは別に、放射線画像撮影技術は、非破壊検査にも使用されている。非破壊検査とは機械部品や構造物の有害なきずを対象を破壊することなく検出する技術である。このような非破壊検査においても、対象にX線を照射し、増感紙−フィルム系による放射線画像によって対象物に生じているきずを検出することが行われてきたが、得られる画像がアナログであるために、デジタル画像情報のような自由な画像処理および瞬時の電送ができないとの問題があり、近年ではコンピューテッドラジオグラフィ〔CR〕およびフラットパネル型の放射線ディテクター(フラットパネルディテクタ)〔FPD〕等に代表されるデジタル処理された放射線画像検出装置が使用されるようになってきている。
上記のような非特許文献1〜2では、X線からの可視化手段としてヨウ化セシウム(CsI)が使用されており、ヨウ化セシウム(CsI)はX線から可視光への変換効率が比較的高いことから、ヨウ化セシウム(CsI)と薄層トランジスタ(TFT)とを組合わせたフラットパネルは、高感度のX線画像可視化システムとして着目されている。
しかしながら、CsIシンチレータに多量のX線が照射されることにより、CsIシンチレータに一時的な感度上昇(ブライトバーン現象)が発生し、FPD画像でのアーチファクトまたは残像を生じさせる。この感度上昇は経時とともに元の感度に戻るが、撮影のたびにFPDのゲイン補正(感度補正)を実施することでは対応が難しい。また感度上昇は画像領域内で不均一に発生してしまうため、コントラストの低下等を招き、画質を劣化させるという問題もあるため、改善が望まれている。
このようなブライトバーン現象を解消する為に特許文献1(特開2003-107163号公報)にはシンチレータを加熱してブライトバーン現象の発生を防止する方法が開示されている。
しかしながら、このような加熱によって発生したブライトバーン現象を消去しようとすると、加熱・冷却に時間を要するので、この方法はシンチレータの短時間に繰返し使用する用途には適していない。
また、特許文献2(特許第4790863号公報)には、反射板に多数の小さな孔を明けてこの孔から紫外線をシンチレータに照射してシンチレータをリフレッシュしてブライトバーン現象の発生を防止することが示されている。
しかしながら、このようにシンチレータに紫外線を照射するとブライトバーンは消去することができるものの、紫外線の照射によってシンチレータ自体の感度が低下するとの新たな問題を生ずる。そもそも、特許文献2にはブライトバーンの消去効果があったかどうかを確認した数値データが一切開示されておらず、本当に消去効果があるかどうかは立証されていない。
このようにシンチレータにおけるブライトバーン現象を防止する有効な方法はこれまでのところ提案されていない。
ところで、特許文献3(特開2012-28617号公報)には、入射したX線を光に変換し、この光に応じた電荷を発生させる光電変換素子と、光電変換素子で発生した検出信号を出力するトランジスタと、このトランジスタに入射する前記X線を紫外線(波長10〜400nm)に変換する紫外線変換部を有する放射線画像撮影装置の発明が開示されている。
このように放射線画像撮影装置内に入射したX線を紫外線に変換する紫外線変換部(紫外線シンチレータ)を形成することにより、入射したX線から変換された紫外線によってトランジスタであるTFT電荷残りをリフレッシュしてTFTの閾値を正常な値にリセットしており、TFTから一定の条件で出力信号を得ることができるようになる。
このように紫外線をTFTに照射することにより、TFTの閾値を正常な値に戻すという特性を有するが、入射したX線を可視光に変換するシンチレータに紫外線が照射された際にこの可視光に変換するシンチレータに及ぼす影響に関しては特許文献3には何等の記載もない。
そして、本願の発明者の検討によると、X線を可視光に変換するシンチレータに紫外光を照射すると、このシンチレータの感度が低くなるという現象が生ずることがあることが判った。
非特許文献3では、文献中のFig2において、ヨウ化セシウム結晶に、紫外光成分(253.7, 365.0nm)を含むフィルタ無しの水銀ランプ光を照射することで、長時間の残光が見られることが確認されている。すなわち、図のln(t)を発光の減衰時間(秒)の自然対数、ln(I)を発光強度自然対数とすると、ln(t)=6すなわちt=403秒後も発光が続いており、残光ありと見なすことが出来る。残光はブライトバーン現象と共に発光遅延の一形態であり、ブライトバーンと同様にコントラストの低下による画質劣化を引き起こす原因であるため、好ましくない結果と言える。
また、非特許文献4のIntroductionでは、ガンマ線と同じく紫外光による着色(coloration)で生じる欠陥が、高温環境で移動できると言及されており、紫外光照射によって結晶の着色と欠陥の生成が起こることが示されている。欠陥の存在が発光遅延に影響を及ぼすことは、非特許文献5などによって周知であるから、やはり発光遅延によるコントラスト低下、画質劣化が考えられる。
よって、画質劣化を抑制するためには、シンチレータへの紫外光照射は好ましくなく、むしろ紫外光より長波長側の(=光の持つエネルギーが紫外光より小さい)光を照射する必要がある。
なお、特許文献4(WO 2013/002327号パンフレット)では、ブライトバーン現象の発生部位を避けて撮像することができるよう一連の撮影における撮影順序を設定しており、ブライトバーン現象に何ら手を加えることなく、撮影順序を特定することによりブライトバーン現象による画像の低下を回避しているに過ぎない。
特開2003-107163号公報 特許第4790863号公報 特開2012-28617号公報 WO201/3002327号パンフレット
Physics Today;1997,11 P24頁のジョン・ローランズ論文"Amorphous Semiconductor Usher in Digital X-ray Imaging" SPIE;1997,32,P2のエル・イー・アントヌク論文"Development of a High Resolution, Active Matrix, Flat-Panel Imager with Enhanced Fill Factor" L. Trefilova, B. Grinyov, L. Kovaleva, N. Kosinov, O. Shpylynska, "Transformation of defects arising in CsI(Tl) crystals under daylight", Phys. Stat. Sol., 2(1), p101- (2005). M.A.H. Chowdhury, D.C. Imrie, "Thermal annealing and optical darkening effects in CsI(Tl) crystals", Nucl. Inst. Methods Phys. Res. A, 432, p138- (1999). V. Babin, K. Kalder, A. Krasnikov, S. Zazubovich, "Luminescence and defects creation under photoexcitation of CsI :Tl crystals in Tl+-related absorption bands", J. Luminescence, 96, p75- (2002). L. A. Kappers, R. H. Bartram, D. S. Hamilton, A. Lempicki, C. Brecher, V. Gaysinskiy, E. E. Ovechkina, S. Thacker, V. V. Nagarkar, "A tunnering model for afterglow suppression in CsI:Tl,Sm scintillation materials", Radiat. Meas., 45(3-6), p426- (2009). M. A. H. Chowdhury, A. Holmes-Siedle, A. K. McKemey, S. J. Watts, D. C. Imrie, "Radiation effects in CsI(Tl) crystals from a controlled growth process", Nucl. Inst. and Meth. in Phys. Res. A, 413, p471- (1998). 神野賢一, 松本珠緒, "アルカリハライド結晶の固有発光と励起子の緩和状態", 放射光, 4(4), p31- (1991). 佐藤勝昭, 応用物理学会編, "応用物理学シリーズ 応用物性", オーム社, p132- (1991).
本発明はX線を可視光に変換するシンチレータにおけるブライトバーンを消去すると同時に、このシンチレータの感度劣化を抑制する方法を提供することを目的としている。
また、本発明は、上記のようなブライトバーンを消去するために使用されるブライトバーン消去機能付き放射線画像撮影装置を提供することを目的としている。
本発明のブライトバーンの消去方法は、ヨウ化セシウムからなるシンチレータおよび光電変換素子を有する放射線画像撮影装置の少なくとも該シンチレータに、波長の強度ピークが405nm〜500nmの範囲内にある可視光を照射することを特徴としている。 本発明の方法では、上記放射線画像撮影装置が、ヨウ化セシウムからなるシンチレータ、光電変換素子およびブライトバーン消去光発生手段を含むことが好ましい。
本発明の方法では、上記ブライトバーンを消去するために照射されるブライトバーン消去光の強度ピークが410〜490nmの範囲内にあることが好ましい。
本発明の方法では、上記ブライトバーン消去光の照射時間が1msec.〜5sec.の範囲内にあることが好ましい。
本発明の方法では、上記フライトバーン消去光の照度が、0.1μW/cm2〜1mW/cm2の範囲内にあることが好ましい。
本発明のブライトバーン消去機能付き放射線画像撮影装置は、ヨウ化セシウムからなるシンチレータと、該シンチレータの発光を検知して電気信号に変換する光電変換素子と、該シンチレータに波長の強度ピークが405nm〜500nmの範囲内にある可視光を照射可能に配置されたブライトバーン消去手段とを有することを特徴としている。
本発明の装置では、上記ブライトバーンを消去するために照射されるフライトバーン消去光の強度ピークが410〜490nmの範囲内にあることが好ましい。
本発明の装置では、上記ブライトバーン消去光の照射時間が1msec.〜5sec.の範囲内にあることが好ましい。
本発明の装置では、上記フライトバーン消去光の照度が、0.1μW/cm2〜1mW/cm2の範囲内にあることが好ましい。
本発明において、ブライトバーンを消去するために照射される光の波長は、その半値幅が通常は±3nm以下、好ましくは±2nm以下のものであある。
本発明によれば、ブライトバーン現象はシンチレータに特定の可視光を照射することにより消去することができると共に、シンチレータにこのような特定の波長の可視光を照射しても、シンチレータの感度の劣化を有効に抑制するとの効果を達成することができる。
即ち、特定の範囲内に波長の強度ピークを有する可視光線をシンチレータに照射することにより、ブライトバーンを消失させることができる。そして、シンチレータに紫外線を照射すれば、シンチレータの感度が劣化するが、本発明で用いるのは紫外線ではなく可視光線なので、シンチレータに照射してもシンチレータの感度が低下することはない。
このような作用効果を有する可視光線は強度ピークの位置が405nm〜500nmの範囲内、好ましくは410nm〜490nmの極めて狭い範囲にあるものであることが必要であり、この範囲を逸脱するとブライトバーンの消失とシンチレータの感度の低下防止という二つの効果を同時に奏させることはできない。
図1は、本発明のブライトバーンの消去方法を実施するための放射線画像形成装置の一例を示す断面図である。 図2は、図1のA−A断面図である。 図3は、本発明で使用するブライトバーンを実施するための放射線が造形性装置を、放射線の照射側とは逆の方向から見た平面図である。 図4は、放射線画像撮影装置の構成を示す平面図である。 図5は、図4の基板上の小領域に形成された放射線検出素子とTFT等との構成を拡大して示す拡大図である。 図6は、COFおよびPCB基板等が取り付けられた基板を説明する側面図である。 図7は、本発明の放射線画像撮影装置の回路構成の例を示す回路図である。
次に本発明のブライトバーンの消去方法について、図面に基づいて装置を参照しつつ説明する。
本発明のブライトバーンの消去方法で用いられるシンチレータは、ヨウ化セシウム(CsI)を主成分として含むものである。このようなシンチレータは、例えばヨウ化セシウム(CsI)にタリウム(Tl)を添加したものを好適に使用することができる。このようなシンチレータはX線を緑色(中心波長:550nm)に発光させることができる。このときのタリウム(Tl)の相対含有量は0.1〜5モル%が好ましい。このうち、下引層における相対含有量は、0.01〜1モル%が好ましく、0.1〜0.7モル%がより好ましい。なお、賦活剤の相対含有量は、蛍光体母体化合物1モルに対する賦活剤のモル%で示される。タリウム(Tl)の量が上記範囲内であるとX線を照射したときの蛍光の波長がずれることがなく、光電変換素子による蛍光の検出精度が向上する点で好ましい。
なお、上述のようにヨウ化セシウムは、タリウム(Tl)を配合することによりX線を緑色に発色させるが、タリウム(Tl)以外にも、ナトリウムイオン(Na+)、ユーロピウムイオン(Eu2++)を配合することによりX線を発色させたものであってもよい。即ち、本発明におけるヨウ化セシウムを含むシンチレータは、ヨウ化セシウムの他に上記のような他の成分を含有するものであってもよい。
本発明においては、上記のようなシンチレータは、筐体内に収納して使用する。
図1には、上記のようなシンチレータを収納した筐体内に収納した放射線画像撮影装置1の例を示す外観斜視図であり、図2は図1におけるA−A断面図である。
図1に示すように、筐体状の放射線画像撮影装置1の内部には,シンチレータ3および基板4等で構成されるセンサパネルが収納されている。
図1に示すように、本発明で使用するシンチレータ3は、放射線入射面Rを有する長辺側の両端部に開口部を有する中空の角筒状のハウジング本体部2Aと、このハウジング本体部2Aの両側の開口部を閉塞する蓋部材2B、2Cとを有する筐体2内に配置されて使用される。
ここで使用されるハウジング本体部2Aは、例えば放射線を透過するカーボン板あるいはプラスチック等の放射線透過性材料で形成されている。このハウジング本体部2Aの両側の開口部を蓋部材2B、2Cで閉塞することにより筐体2が形成されている。
なお、ハウジング本体部2Aの開口部は長辺側に設けられているものに限定されない。また、筐体2は、図1に示した所謂モノコック型に限定されない。このようなモノコック型として形成する代わりに、例えば、フレーム板とバック板とで形成された、所謂弁当箱型とすることも可能である。
図1に示すように、筐体2の一方側の蓋部材2Bには、電源スイッチ37、選択スイッチ38、クレイドルおよび通知手段へのコネクタ39、インジケータ40等が形成されている。インジケータ40は、内蔵されるバッテリ24の充電状態および放射線画像撮影装置1の稼働状態等を表示するLED等で構成されている。
上記のコネクタ39の周囲には、溝部39aが形成されている。この溝部39aは、放射線画像撮影装置1のコネクタ39が、この放射線画像撮影装置1を収容し充放電するクレイドル側のコネクタに接続された際にクレイドル側のコネクタの周囲に形成されている保護枠部材(図示なし)と嵌合可能に形成されている。
なお、このコネクタ39に通信用のケーブル等の各種ケーブル等を接続することができ、これら接続先のコネクタにもクレイドル側のコネクタと同様の保護枠部材を設け、溝部はこれらの保護枠部材とも同様に嵌合可能に構成されることが好ましい。
また、蓋部材2B、蓋部材2Cの一端部には、画像データ等をコンソールに無線で転送するための通信手段であるアンテナ装置(図示なし)を内包することができる。この場合、アンテナ装置の数は特に限定されないが、各種の設置状況に対応できるように複数個所に設けられていることが好ましい。なお、画像データ等をコンソールに有線方式で転送するように構成することも可能であり、その場合、例えば、前述したコネクタ39にケーブル等を接続して送受信するように構成される。
筐体2の内部には、図2に示すように、ガラスなどからなる基板4の下部に鉛の薄板79等を介して基台31が配置されている。
この基台31には、例えば、図3に示されるようなシグナルインターフェース基板32a、ゲートインターフェース基板32b、コントロール基板32cおよび電源基板32d等の電子部品32が配設されたPCB基板33並びに放射線画像撮影装置1の各機能部に電力を供給するバッテリ24等が配置されている。また、基台31には、センサパネル等に衝撃が加わって筐体内部に衝突するのを防止するために、筐体2内部の側壁との間に緩衝部材36等が適宜取り付けられる。
放射線撮影装置1内の放射線入射側Rに設けられた支持体4の表面にはシンチレータ3に所定の可視光を照射するための導光層73が配置されており、この導光層73の両側端部には導光層73に可視光を供給する光源77が設けられている。
この導光層73はシンチレータ3に発生するブライトバーンを消去するための特定波長の可視光をシンチレータ3に供給できるものであれば特に限定はないが、ポリカーボネート、アクリル樹脂のような光透過性の樹脂層および側面発光型のガラスファイバであることが好ましい。側面発光型のガラスファイバはガラス繊維を布状に編んで、所謂シート状にして導光層として用いることができる。この導光層73の厚さに特に制限はないが,通常は1〜1000μm、好ましくは1〜500μmの範囲に設定される。このような厚さの導光層73は光源77からの特定波長の光を均一にシンチレータ3に供給することができる。
このようにシンチレータ3の下層、好ましくは上下層に導光層を配置する場合、導光層の腐蝕あるいは導光層がシンチレータを形成する結晶間に浸入しないように一層以上の中間層を形成してもよい。こうした中間層は、中間層を形成する成分を塗布して形成することもできるし、蒸着により形成することもでき、さらに予めシート状に成形してシートを得、これを貼着することにより形成することもできるし、仮支持体を成膜し、この仮支持体状でシートを形成し、次いで仮支持体を除去してシートを貼着する方法など種々の方法を採用することができる。
なお、導光層は、上記のような態様の他に、シンチレータ接合面とは反対側の面に設けてTFTガラス基板を透過するようにしてシンチレータに消去光を照射できるようにしてもよい。
上記の説明は、光源77と導光層73を用いてシンチレータ3に特定の波長の可視光を照射する方法であるが、本発明はこの方法に限定されるものではなく、シンチレータ3に特定の波長の可視光を照射することができる他の方法を採用することもできる。
シンチレータを形成するヨウ化セシウムは柱状結晶を形成するので、この柱状結晶体間に発光体を挿入することにより、シンチレータを形成するヨウ化セシウム結晶に横方向から特定の波長の可視光を照射することができる。具体的には、例えば小さな区画に分割された枠体をヨウ化セシウムの結晶を成長させようとする下引層74の上に載置し、通常の条件に従ってヨウ化セシウムの結晶を成長させる。結晶が一定長さに成長した後、枠体を除去すればヨウ化セシウムは枠体に形成された区画に沿って成長し、区画の部分に間隙が形成される。この間隙の部分に消光性物質を充填することにより、消光性物質の発光あるいは光源の発光に伴ってヨウ化セシウムの結晶の成長方向と同一の方向に立設された消光性の物質によりヨウ化セシウム結晶の横方向から特定波長の可視光を照射することができる。
また、ヨウ化セシウムの柱状結晶を密に析出させることは困難であることを利用して、成長したヨウ化セシウムの柱状結晶間に侵入させてヨウ化セシウム結晶の横方向から特定波長の可視光線をヨウ化セシウム結晶(シンチレータ)に照射することができる。
さらに、上記のようにブライトバーンを消失させる層(例えば導光層73)を設けると共にあるいは設けずに支持体75上に下引層74、蛍光体保護層78、光学補償層71、筐体2等の既存の層に発光性を賦与してブライトバーンを消失させる層とすることもできる。
上記のような導光層73の表面には光電変換素子層72が形成され、シンチレータ3で発光した蛍光を感知する。
光源77は、シンチレータ3に導光層を介して特定波長の可視光を照射できるものであれば特に限定されるものではなく、フォト/カソードルミネッセンス(PL/CL:例:蛍光灯、PDP、ブラウン管、青色シンチ発光材料等)、エレクトロルミネッセンス(EL:例:無機EL、有機EL、発光ダイオード、レーザーダイオードなど)、化学発光素子、生物発光素子などを挙げることができる。特に本発明においては、LED発光素子を用いることが好ましい。このように光源77を発光させることにより、特定波長の光が導光層73に導入され、次いでシンチレータ3を照射するように形成されている。
なお、上記の説明では、カセッテ内に光源を搭載する態様を中心にして説明したが、この光源はカセッテ内に設けることを必ずしも必要とするものではなく、クレイドル内に光源を設けてカセッテ内にクレイドル内に配置された導光路を介してカセッテ内に設けられた導光路によってシンチレータに光を照射するようにしてもよい。
また、本発明において光源は、この放射線撮影装置1に搭載されたバッテリ24から電力の供給を受けるように形成されているが、例えば、非破壊検査の際に使用される放射線撮影装置1はこのようなコンパクトな構成を採用する必然性が低く、放射線撮影装置1がバッテリを搭載していないこともあり、このような場合には電力は放射線撮影装置1の外部から供給することもできる。
基板4の上に形成されたこの導光層73のさらに上には光電変換素子層72が配置されており、上述のように放射線照射方向R方向から照射されたX線がシンチレータ3層で変換された可視光線を検知して電気信号に変換する。
上記の基板4は、多くの場合、ガラス基板で構成されており、光電変換素子層72が形成されている。光電変換素子層72は、図4に示すように、基板4のシンチレータ3に対向する側の光電変換素子層72の面4a上に、導光層73を介して、複数の走査線5と複数の信号線6とが互いに交差するように配設されている。基板4の面4a上の複数の走査線5と複数の信号線6により区画された各小領域rには、可視光線検出素子7がそれぞれ設けられている。
このように、走査線5と信号線6とで区画された各小領域rに二次元状に配列された複数の可視光線検出素子7が設けられた領域r全体、すなわち図3に一点鎖線で示される領域が検出部Pである。
本発明においては、可視光線検出素子7としてフォトダイオードが用いられているが、この他にも例えばフォトトランジスタ等を用いることも可能である。各可視光線検出素子7は、図4の拡大図である図5に示すように、スイッチ手段であるTFT8のソース電極8sに接続している。また、TFT8のドレイン電極8dは信号線6に接続されている。本発明において、スイッチ手段として有機TFTを使用することができることは勿論であり、以下「有機TFT」も「TFT」と同様に用いることができる。また、TFTの代わりにCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor;相補型金属酸化膜半導体)を配置することもできる。ここでCMOSとは、MOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)を相補形に配置したゲート構造を意味する。
なお、本発明において、TFTを使用する場合、半導体活性層上面に設けられたソース電極とドレイン電極とを覆うように保護層を形成することが好ましい。このとき保護層は、Ga23、MgO、CaO、AlNなどを用いて、半導体活性層のハンドギャップよりも高いハンドギャップを有するようにする。具体的には半導体活性層が、In、Sn、Zn、Cdなどを含有して形成すると、半導体活性層のハンドギャップは2.5eV以上4.0eV未満に調整することができるが、このときの保護層のハンドギャップは、4.0eV以上8.0eVの範囲内に調整される。
上述のように本発明ではTFTとして、有機TFTを使用することもできる。
本発明で使用する有機TFTは如何なるタイプの構造でもよいが、好ましくは電界効果型トランジスタ(FET)構造のものである。通常は、半導体活性層に有機化合物を用いる以外は電界効果型トランジスタ(FET)構造が採用される。このFET構造は、最下層に基板を配置し、その上面の一部にゲート電極が配置されている。さらに、このゲート電極を覆い、かつこのゲート電極以外の部分で基板と接するように絶縁層が配置されている。さらに、この絶縁層の上面には半導体活性層が設けられており、この半導体活性層の上面の一部には、ソース電極とドレイン電極とが離間して配置されている。なお、この構造はトップコンタクト型素子と呼ばれる構造であるが、ソース電極とドレイン電極とが半導体活性層の下部にあるボトムコンタクト型素子であってもよい。
また、互いに離間して形成されたソース電極とドレイン電極とを覆うように保護層を形成することが好ましい。このとき保護層は、半導体活性層のハンドギャップよりも高いハンドギャップを有するようにする。
ここで使用される半導体活性層には、p型有機半導体材料を用いてなる。このp型有機半導体材料は実質的に無色透明である。
ここでいう有機半導体材料とは、半導体の特性を有する有機材料のことであり、無機材料からなる半導体と同様に、正孔〔ホール〕をキャリアとして伝導するp型半導体材料(あるいは単にp型材料、正孔輸送材料とも謂う。)と、電子をキャリアとして伝導するn型有機半導体材料(あるいは単にn型材料、電子輸送材料とも謂う。)がある。有機半導体材料は一般にp型材料の方が良好な特性を示すものが多く、また、一般に大気下でのトランジスタ動作安定性もp型トランジスタの方が優れる。
有機薄膜トランジスタの特性の一つに、有機半導体層中のキャリアの動き易さを示すキャリア移動度(単に移動度とも謂う。)がある。用途によっても異なるが、一般には移動度が高いことが好ましく、1.0×10-7cm2/Vs以上であることが好ましく、特に1.0×10-6cm2/Vs以上であることが特に好ましく、1.0×10-5m2/Vs以上であることが更に好ましい。この移動度は電界効果トランジスタ(FET)素子を作製したときの特性或は飛行時間の測定(TOF)法により求めることができる。
前記p型有機半導体材料は、低分子材料でも高分子剤量でもよいが、低分子材料を使用することが好ましい。低分子材料は昇華精製或は再結晶、カラムクロマトグラフィなどの種々の精製法により精製することができ、高純度化が容易であること、分子構造が定まっているため秩序高い結晶構造を形成することができることなどの理由による。低分子材料の分子量は、通常は100〜5000、好ましくは150〜3000、特に好ましくは200〜2000である。
このようなp型有機半導体材料の好ましい具体例を示す。なお、以下に示す表においてBuはブチル基、Prはプロピル基、Etはエチル基、Phはフェニル基をそれぞれ表す。
Figure 0006179362
Figure 0006179362
半導体中間層を上記のように有機物を用いる以外の有機薄膜トランジスタの構成は、通常の薄膜トランジスタと同様にすることができる。
これらの素材は、いずれも可視光又は赤外光の透過率が60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることが特に好ましい。
ここで使用する基板は、必要な平滑性を有するものであれば特に制限はないが、例えば、ガラス、石英、光透過性プラスチックフィルムなどを挙げることができる。ここで使用される光透過性プラスチックの例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルロースアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等を挙げることができる。また、これらの樹脂から形成されるフィルムに有機或は無機のフィラーを含有させてもよい。なお、基板として、アラミドバイオナノファイバーなどを用いて形成されたフレキシブル基板も好適に使用することができる。
ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極を構成する材料は、必要な導電性を有するものであれば特に制限されないが、例えばITO(インジウムドープ酸化錫)、IZO(インジウムドープ酸化亜鉛)、SnO2、ATO(アンチモンドープ酸化錫)、ZnO、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)、GZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)、TiO2、FTO(フッ素ドープ酸化亜鉛)、PEDOT/PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸)などの導電性ポリマー、カーボンナノチューブなどの炭素材料を挙げることができる。これらの電極材料は、例えば真空蒸着法、スパッタリング、溶液塗布法などの方法を使用することにより成膜することができる。
絶縁層は、必要な絶縁硬化を有するものであれば特に制限なく材料を選定して形成することができるが、例えば、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナなどの無機材料、ポリエステル化合物(例;ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)など)、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリアクリレート、エポキシ樹脂、ポリパラキシリレン樹脂、ノボラック樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリスチレン(PS)等の有機材料を挙げることができる。これらの絶縁材料は、例えば真空蒸着法、スパッタリング、溶液塗布法などの方法で成膜することができる。
上記のようにして形成された有機TFTには半導体活性層上面にゲート電極とソース電極とが存在するが、この半導体活性層上面に設けられたソース電極とドレイン電極とを覆うように保護層を形成することが好ましい。このとき保護層は、半導体活性層のハンドギャップよりも高いハンドギャップを有するようにする。
なお、これらのTFT或は有機TFTに関しては特開2010-186860号公報、特開2012-173276号公報を参照することができる。
上記のような有機TFT或はTFT8は、走査駆動手段15から走査線5を介してゲート電極8gにオン電圧が印加されるとオン状態となり、ソース電極8sおよびドレイン電極8dを介して可視光線検出素子7内に蓄積されている電荷を信号線6に放出する。このときTFT8は、接続された走査線5を介してゲート電極8gにオフ電圧が印加されるとオフ状態となり、可視光線検出素子7から信号線6への電荷の放出が停止され、可視光線検出素子7内に電荷が保持される。
本発明では、図5に示すように、列状に配置された複数の可視光線検出素子7にそれぞれバイアス線9が接続されており、図7に示すように、各バイアス線9は、基板4の検出部Pの外側の位置で1本の結線10に結束されている。
また、図5に示すように、各走査線5、各信号線6およびバイアス線9の結線10は、それぞれ基板4の端縁部付近に設けられた入出力端子(パッドともいう)11に接続されている。各入出力端子11には、図5に示すように、IC12a等のチップが組み込まれたCOF(Chip On Film)12、S-COF(source-COF)あるいはG-COF(Gate -COF)が、異方性導電接着フィルム(Anisotropic Conductive Film)あるいは異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste)等の異方性導電性接着材料13を介して接続されている。
また、COF12は、図6に示されるように、基板4の裏面4b側に引き回され、裏面4b側で前述したPCB基板33に接続されるようになっている。なお、図6では、電子部品32等の図示が省略されている。
また、発明において支持体75とは、シンチレータパネルの構成要素において、蛍光体層を保持するために、支配的な役割を果たす部材をすると共に蛍光体層を形成する。本発明の支持体75を構成する材料としては、例えば、(1)炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced /Plastics)、(2)カーボン(アモルファスカーボン、木炭及び紙を炭化処理して固めたもの等)、(3)プラスチック、(4)ガラス、(5)金属(アルミニウム)、(6)上記(1)〜(5)の材料を薄く形成し発泡樹脂でサンドイッチしたもの等を使用することができる。これらは単独で用いても積層して用いてもよい。
支持体75の表面には、反射層76が形成されているのが一般的であり、この反射層76は、シンチレータ3で発光した蛍光を感光層である光電変換素子層72に戻すためアルミニウム、銀、アルミニウム合金、銀合金などの金属薄膜等、または光散乱粒子をバインダーに分散させた薄膜で形成されている。光散乱粒子としては、例えば、TiO2(アナターゼ型、ルチル型)、MgO、PbCO3・Pb(OH)2、BaSO4、Al23、M(II)FX(ただし、M(II)は、Ba、SrおよびCaから選ばれる少なくとも一種の原子であり、Xは、Cl原子またはBr原子である。)、CaCO3、ZnO、Sb23、SiO2、ZrO2、リトポン〔BaSO4・ZnS〕、珪酸マグネシウム、塩基性珪硫酸塩、塩基性燐酸鉛、珪酸アルミニウムなどの白色顔料を使用することができる。これらの白色顔料は、隠蔽力が強く、屈折率が大きいため、光を反射し、屈折させることによりシンチレータの発光を容易に散乱し、得られる放射線像変換パネルの感度を顕著に向上させることができる。
上記のような反射層76の表面には下引層74を設けることが好ましい。下引層74は、シンチレータプレートにおいて、蛍光体柱状結晶の土台となるものであり、また、基板と蛍光体層との接着性も向上させることができる。
下引層74を構成する具体的な材料としては、易接着性のポリマー、すなわち高分子結合材(バインダー)であり、例えば、ポリウレタン、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、アラミドおよびナイロン、ポリビニルブチラール、ポリエステル、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、尿素ホルムアミド樹脂などが挙げられる。バインダーのガラス転移点〔Tg〕は100℃以下であることが、基板と蛍光体層の接着性向上の観点から好ましい。また融点を有する材料であれば、常圧環境下での融点が300℃以下であることから基板と蛍光体層の接着性向上の観点から好ましい。
下引層74の厚さは、0.1〜10μmが好ましく、0.5〜5μmがより好ましい。下引層の厚さが0.1μm以上であると、蛍光体層との接着性が向上し、下引層の厚さが5μm以下であると、下引層74内での光散乱が抑制され鮮鋭性が向上する。
下引層74には、蛍光体(シンチレータ)が発光する光の散乱を防止し、鮮鋭性等を向上させるために、顔料や染料などを含有させてもよい。
このようなヨウ化セシウムを含むシンチレータ3は、上記のような下引層74の表面にシンチレータ3を構成するヨウ化セシウム組成物(Tlなどの賦活剤を含むことがある)を窒素、アルゴンなどの不活性ガスの雰囲気下、減圧下で加熱して蒸着させることにより形成することができる。このようにして形成されるシンチレータ3の厚さ、すなわち蒸着したヨウ化セシウムの柱状結晶層の厚さは、100〜800μmが好ましく、輝度と鮮鋭性の特性をバランスよく得られる点から、120〜700μmがより好ましい。
上記のようなシンチレータ3の表面には通常は蛍光体保護層78形成する。この蛍光体保護層78は、蛍光体層を物理的または化学的に保護することを主眼とするものである。すなわち、ヨウ化セシウム(CsI)は、吸湿性が高く露出したままにしておくと空気中の水蒸気を吸湿して潮解してしまうため、これを防止することを目的とする。このため蛍光体保護層78は、水分を透過しない樹脂等で形成することが望ましく、このような樹脂の例としてはポリパラキシリレンなどを挙げることができる。
この蛍光体保護層78の厚さは、保護機能と鮮鋭性特性のバランスの観点から、通常は3〜20μm、好ましくは10μmである。
また、この蛍光体保護層78の表面には光学補償層71を形成することができる。この光学補償層71は通常は樹脂で形成されており、ここで使用することができる樹脂の例としては熱硬化性の樹脂が挙げられる。熱硬化性の樹脂としては、アクリル樹脂やエポキシ樹脂、シリコーン樹脂等を挙げることができる。この光学補償層71の厚さは界面接着力と鮮鋭性のバランスの観点から通常は5〜30μm、好ましくは10〜20μmである。
平面受光素子と接着する場合の接着剤層がさらに保護層上に存在してもよく、その厚さは、接着力確保の観点から10μm以上が好ましく、かつ保護層の厚さと接着剤層の厚さとの合計が100μm以下、より好ましくは50μm以下であると、平面受光素子とシンチレータパネルとの間隙でシンチレータからの発光の拡散が大きくなりフラットパネルディテクタとしての鮮鋭性が低下するのを防止できる点で好ましい。
また、別の態様の保護層として、ホットメルト樹脂を用いて形成することもできる。ホットメルト樹脂は、シンチレータプレートと平面受光素子面との接着も兼ねることができる。
本発明におけるホットメルト樹脂とは、水や溶剤を含まず、室温で固体であり、不揮発性の熱可塑性材料からなる接着性樹脂である。樹脂温度が上昇すると溶融し、樹脂温度が低下すると固化する。また、加熱溶融状態で接着性が有り、常温で固体状態となり接着性を持たないものである。
また、本発明では、光検出素子として、上記のようにPDとTFTとを組合わせた光検出素子の代わりに、CMOSイメージセンサーを用いることもできる。
さらに、本発明では、光検出素子としてし、上記のようにPDとTFTとを組合わせた光検出素子の代わりに、CCDイメージセンサーを用いることもできる。
これらCMOSイメージセンサー或はCCDイメージセンサーは、小さいサイズの放射線画像撮影装置に対して有用性が高い。
また、これらCMOSイメージセンサー或はCCDイメージセンサーをタイル貼に複数個並べることにより、大きいサイズの放射線画像撮影装置に対しても使用することが可能である。
ところで、基板4の裏面側には鉛の薄板79を介して基台31が配置されている。図3には、本発明の放射線画像撮影装置1の裏面側の平面図を示す。
本発明においては、放射線画像撮影装置1の短辺側の両端には読み出しIC16が複数並んで配置されている。また、放射線画像撮影装置1の長辺側の一端にはゲートドライバ15b(ゲートIC)が複数並んで配置されている。
各読み出しIC16は、シグナルインターフェース基板32aを介して図7に示す制御手段22を構成するコントロール基板32cと接続されている。また、各ゲートドライバ15b(ゲートIC)は、ゲートインターフェース基板32bを介してコントロール基板32cと接続されている。さらに、この放射線画像撮像装置には、SIF(Source Interface)基板、GIF(Gate Interface)基板、CTRL(Controll)基板、電源基板が備え付けられている。
裏面に配置されるバッテリ24は、充電可能なものであり、例えばニッカド電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、小型シール鉛電池、鉛蓄電池等の充電自在な二次電池、リチウムイオンキャパシタ(LIC)および電気二重層コンデンサ等の蓄電素子等を適用することができる。
このうち、特に、リチウムイオンキャパシタは、蓄電効率に優れるとともに、大電流(例えば5〜10アンペア)による高速充電が可能であり、充電時間を大幅に短縮することができるため、本発明において好適に使用することができる。すなわち、充電時間は、充電電流の大きさにほぼ反比例するため、充電電流を大きくすれば、その分充電時間を短くすることができる。
バッテリ24は、電源基板32dと接続されており、充電時にバッテリ24に対して送られる電流の電流値や各機能部に供給される電力等が調整することができるように配置されている。
次いで、図7を用いて放射線画像撮影装置1の回路構成について説明する。
図7に示すように、各放射線検出素子7の一方の電極にはそれぞれバイアス線9が接続されており、各バイアス線9は結線10に結束されてバイアス電源14に接続されている。バイアス電源14は、結線10および各バイアス線9を介して各放射線検出素子7の電極にそれぞれバイアス電圧(図7では逆バイアス電圧)を印加するように構成されている。
また、各放射線検出素子7の他方の電極はTFT8のソース電極8s(図7中ではSと表記されている。)に接続されており、各TFT8のゲート電極8g(図7中ではGと表記されている。)は、走査駆動手段15のゲートドライバ15bから延びる走査線5の各ラインL1〜Lxにそれぞれ接続されている。また、各TFT8のドレイン電極8d(図7中ではDと表記されている。)は各信号線6にそれぞれ接続されている。
走査駆動手段15は、ゲートドライバ15bにオン電圧或はオフ電圧を供給する電源回路15a、および、走査線5の各ラインL1〜Lxに印加する電圧をオン電圧とオフ電圧との間で切り替えるゲートドライバ15bを備えている。ゲートドライバ15bは、前述したように、走査線5の各ラインL1〜Lxを介してTFT8のゲート電極8gに印加する電圧をオン電圧とオフ電圧との間で切り替えて、各TFT8のオン状態とオフ状態とを制御可能に形成されている。
また、各信号線6は、読み出しIC16内に形成された各読み出し回路17にそれぞれ接続されている。読み出し回路17は、増幅回路18と、相関二重サンプリング(CDS;Correlated Double Sampling)回路19と、アナログマルチプレクサ21と、A/D変換器20とで構成されている。
例えば、放射線画像撮影で被写体を介して放射線画像撮影装置1に放射線が照射され、シンチレータ3で放射線が他の波長の電磁波に変換されて、その直下の放射線検出素子7に照射される。そして、放射線検出素子7で照射された放射線の線量(電磁波の光量)に応じて電荷(電気信号)が発生する。
各放射線検出素子7からの電荷の読み出し処理においては、走査駆動手段15のゲートドライバ15bから走査線5の各ラインL1〜Lxを介してゲート電極8gにオン電圧が印加されたTFT8がオン状態となり、放射線検出素子7から信号線6に電荷が放出される。そして、放射線検出素子7から放出された電荷量に応じて増幅回路18から電圧値が出力され、それを相関二重サンプリング回路19で相関二重サンプリングしてアナログ値の画像データがマルチプレクサ21に出力される。マルチプレクサ21から順次出力された画像データは、A/D変換器20で順次デジタル値の画像データに変換され、記憶手段23に出力されて順次保存される。
制御手段22は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、および入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピュータであってもよいし、FPGA(Field Programmable Gate Array)等により構成されていてもよい。さらに専用の制御回路で構成されていてもよい。
制御手段22は、放射線画像撮影装置1の各部材の動作等を制御可能にされている。また、各放射線検出素子7のリセット処理あるいは各放射線検出素子7からの電荷の読み出し処理、オフセット補正値を算出するために放射線を照射しない状態で放射線画像撮影装置1を放置した後に読み出し処理と同様に各放射線検出素子7に蓄積された暗電荷を読み出すダーク読取処理等の各処理をする。
制御手段22には、DRAM(Dynamic RAM)等で構成される記憶手段23あるいは放射線画像撮影装置1の各機能部に電力を供給するバッテリ24が接続されている。
また、制御手段22には、前述したアンテナ装置41が接続されており、また、図7では図示を省略するが、前述した光源、電源スイッチ、選択スイッチ、コネクタ等が接続されている。
制御手段22は、放射線技師等の操作者により選択スイッチ38がオンにされると、自らが選択されたことを示す選択信号をアンテナ装置41を介してコンソールに送信する。また、放射線画像撮影装置1がクレイドルに挿入された際に、コネクタ39がクレイドル側のコネクタに接続されると、制御手段22は、当該放射線画像撮影装置1の識別情報であるカセッテID等の情報をクレイドルに通知する。
また、コネクタ39のコネクタ51cに通知手段(図示無し)が接続されると、制御手段22は、通知手段からブッキー装置の識別情報であるブッキーID等の情報を取得し、ブッキーIDと当該放射線画像撮影装置1のカセッテIDとをともにコンソールに送信する。
上記のように作動する放射線画像撮影装置1を繰り返し使用していると、形成される画像にブライトバーンと呼ばれる一種のゴーストが発生する。
すなわち、本発明の放射線画像撮影装置1で形成された可視画像を出力してしまえば放射線画像撮影装置1内には電力は残存しないはずであるが、実際に画像を形成された部分の輝度が僅かに高くなり、新たな画像にゴーストのように表示される。これがブライトバーンであり、前の回に画像を形成した部分のシンチレータに僅かに深いトラップに捕捉されているキャリアが残存していることからこうしたブライトバーンが発生すると考えられる。ブライトバーンは時間の経過と共に消失するがこうした自然消失を待っていたのでは連続的な撮影はできない。
このようなブライトバーンを消去するために本発明では、上記のような放射線画像撮影装置1に内蔵されているシンチレータ3に波長の強度ピークが405nm〜500nm、好ましくは410nm〜490nmの範囲内にある可視光を照射する。
本発明において、ブライトバーンを消去するために照射される光の波長は、その半値幅が通常は±3nm以下、好ましくは±2nm以下のものである。
上記のような範囲内の波長に強度ピークを有する可視光を照射することにより、シンチレータの深いトラップに捕捉されているキャリアが再励起され、発光または熱損失を経ることで、ブライトバーンが消去できる。特に本発明では波長の最大ピークが410nm〜490nmの波長域に存在する可視光を照射したときに均一な発光と均一な発光の減衰が図られて上記の効果が顕著に表れる。
本発明で用いられる、ヨウ化セシウムを母材結晶とするシンチレータのうち、特にタリウムを賦活剤として用いるものに関しては、数多くの研究が行われている。それらの研究結果を踏まえることで、本特許の波長範囲における上限値である500nmの根拠について、以下の通り説明することが可能である。
非特許文献6には、タリウム及びサマリウムを賦活剤としたヨウ化セシウムのバンドが、文献中のFig.1に図示されており、ヨウ化セシウム結晶の価電子帯から伝導帯までのエネルギー準位差(バンドギャップ)が6.2eV程度であることが容易に読み取れる。本明細書では、この準位差を〔1〕と置く。
一方、非特許文献7では、ヨウ化セシウム内のF中心と呼ばれる欠陥準位に起因する吸収スペクトルのピーク波長が355nm〜560nmの範囲に出現することが示されている。ある波長の電磁波が持つエネルギーは、E=hν=hc/λ(h:Planck定数、ν:電磁波の振動数、c:光速、λ:電磁波の波長)で求められるため、前述のピーク波長を有する電磁波は、2.21〜3.49eVのエネルギーを有していることが分かる。このエネルギーは、ヨウ化セシウムの価電子帯から、F中心の欠陥準位までのエネルギー準位差に相当する。本明細書では、この準位差を〔2〕と置く。
非特許文献8によれば、ブライトバーン現象は、照射されたX線により結晶内で発生した電子・正孔が、結晶内のF中心とH中心にそれぞれ捕捉され、発光のために必要な電子−正孔再結合が阻害されるために生ずると考えられている。このときの電子は、伝導帯よりもずっと低い準位のF中心に捕捉されるため、再びF中心を脱出して正孔と再結合するためには、伝導帯とF中心欠陥準位との準位差に相当するエネルギーを得る必要がある。このエネルギー差は、前述の〔1〕・〔2〕を用いると、〔1〕―〔2〕で求めることができる。
タリウムを賦活剤としたヨウ化セシウムでは、〔1〕―〔2〕は2.71〜3.99eVとなっており、前述のE=hν=hc/λを用いると、311nm〜457nmの波長の電磁波の持つエネルギーに相当する。よって、電子をF中心から脱出させ、ブライトバーンの発生を抑制するためには、450nm程度以下(2.75eV以上のエネルギー相当)の波長を有する電磁波を照射する必要がある。
ただし、上記の説明は、「トンネル効果」や「熱による振動準位の影響」を考慮していないため、実際にはこの影響を考慮する必要がある。以下にその詳細を説明する。
トンネル効果とは、隣接原子との間に生ずるポテンシャル障壁の厚みが充分薄い場合に、電子が障壁を乗り越えることなく通過し、結果的に電子の移動が起こる現象である。トンネル効果の起きる確率は、障壁が薄いほど、伝導帯とのエネルギー準位差が小さいほど、それぞれ高くなることが知られており、伝導帯とF中心欠陥準位との準位差よりも小さいエネルギーしか与えられない場合でも、トンネル効果との組み合わせで、自由電子の様な移動が可能になる。
また、非特許文献9で記載された配位座標モデルで発光過程を解釈すると、遷移がポテンシャル曲線の底で起こるとは限らず、熱エネルギーで変化する格子振動準位間で遷移が行われるため、基底状態・励起状態のポテンシャル曲線の重なりによっては、必ずしも上述のエネルギー準位差を必要とせずに、電子を脱出させることが可能である。
発明者は、鋭意検討を行った結果、波長450nmよりもエネルギーの小さい(長波長の)電磁波として、波長500nmの光まで、ブライトバーンを消去する効果を有していることを確認した。これは、上述のトンネル効果の影響・熱による振動準位の影響と考えられる。
これに比し、中心波長が405nmよりも短い波長の光線を照射すると、形成画像の感度低下を引き起こす。この理由は明らかではないが、中心波長が405nmよりも短い波長の光の照射によってシンチレータに何らかの変化が起こっていることが予測され、その感度低下の変化率は極めて大きい。表2に示す結果から明らかなように、中心波長が405〜500nmのブライトバーン照射光を照射したときにブライトバーンが消失していることが明らかである。
本発明のブライトバーンの消去方法では、ブライトバーン消去機能付き放射線画像撮影装置に上記のようなブライトバーン消去光を、通常は1msec.〜5sec.の範囲内、好ましくは100msec.〜1secの範囲内の時間照射する。上記の時間ブライトバーン照射光を照射することにより、ブライトバーンをほぼ完全に消去することができる。
また、ブライトバーン消去光の照度は、通常は、0.1μW/cm2〜1mW/cm2の範囲内、好ましくは1μW/cm2〜0.1mW/cm2の範囲内に設定される。上記のような照度のブライトバーン消去光の照射でブライトバーンの消去には充分である。
本発明のブライトバーン消去法には、上記波長の強度ピークが上記特定の範囲にある光を蛍光体からなるシンチレータに照射すればよく、照射方法に特に制限はないが、大別するとブライトバーン消去光を発生させる手段を蛍光体層内に配置して内部から消去光を照射する方法と、蛍光体の外部から消去光を照射させる方法がある。
上述の方法により柱状の蛍光体の間隙に縦方向に消去媒体を充填した場合には、柱状結晶の蛍光体の横方向からブライトバーン消去光を照射することができる。
また、例えば蛍光体の柱状結晶の下部または上部から導光層を設けてブライトバーン照射光を照射してもよく、上下両方向から照射してもよい。
さらに、上記のように特別に導光層を設けなくとも、筐体、基板、下引層、光学保障層、クッション部材、支持体、反射層、腐食防止層、光学結合層、パス層などから発光させてブライトバーン消去光を照射することができる。
上記の説明は本発明のブライトバーンを消去する方法を主に医療分野に使用する場合について説明したが、本発明の方法は医療分野に限らず、X線画像を使用する分野、例えば非破壊検査などの分野においても利用することができる。
次に本発明の実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが本発明はこれらによって限定されるものではない。
なお、以下に示す実施例及び比較例における用語の意味は下記の通りである。
<消去光波長>
消去光波長は、LED光源と波長選択フィルタとの組合わせで得られるスペクトルの最大強度波長である。なお、このスペクトルの半値幅は±2nmである。
<感度上昇率>
感度上昇率は、パネルに管電圧80kVpのX線を30R照射した際のパネル感度の変化率である。X線照射前から変化しない場合は0%とした。ブライトバーンがあれば感度上昇はたかくなり、感度上昇率が0%であることはブライトバーンが消去されたことを意味する。
<シンチレータの光耐性>
シンチレータ光耐性は、消去光波長を強度1.0mW/cm2、24時間の照射条件で照射した際のパネル感度の変化率である。なお、ここでパネル感度は、RQA5(IEC61267)に準拠したX線照射条件にて得られた単位線量辺りの信号値(Count/mR)であり、パネル感度の変化率は、この値から求めた。
〔比較例1〕
<照射光の最大強度波長が400nmの例>
図2および図3に示すように、基台31の一方の面にシグナルインターフェース基板32a、ゲートインタフェース基板32b、コントロール基板32cおよび電源基板32d並びにバッテリ24等を配置すると共に、基台31の他方の面に厚さ300μmの鉛の薄板79を配置した。
これとは別に、上記基台31に配置された鉛の薄板79の上に配置するガラス基板4を用意した。
ガラス基板4の表面には、反射層76、導光層73、光電変換素子層72をこの順序で積層した。
ここで反射層76は、厚さ100μmのアルミニウム箔を使用した。また、導光層72として厚さ400μmのポリカーボネート層を形成するとともに、このポリカーボネート層の端部には光源77としてLED発光素子を配置した。
光電変換素子層72には、図4に示すように、複数の走査線と複数の信号線を配置し、この走査線と信号線によって区画された小領域が可視光線検出素子7である。この可視光線検出素子7はスイッチ手段としてTFTのソース電極と接続し、TFTのドレイン電極は信号線と接続し、ドレイン電極は走査線と接続している。
次に、アルミニウムからなる支持体75上にポリエステルからなる下引層74を設けた。この下引層の表面にタリウムを0.5モル%の量で含むヨウ化セシウムからなるタリウム賦活ヨウ化セシウムからなる柱状結晶を平均高さ500μmに成長させてシンチレータ3とした。
このタリウム賦活ヨウ化セシウムの柱状結晶からなるシンチレータの表面にポリパラキシリレンからなる厚さ10μmの蛍光体保護層78を形成し、さらにこの蛍光体保護層の表面に、ホットメルト樹脂からなる厚さ20μmの光学補償層71を形成した。
上記のようにして各層が積層されたガラス基板を、図2に示すように、上述の鉛の薄板79が配置された基板4の上に上記記載のシンチレータ3を含む積層体を配置し、これを既存の放射線画像撮影装置の筐体内に、側部が筐体2内壁と直接接触しないように緩衝部材36を介して配置すると共に、必要な配線を引き回して、図1に示す放射線画像撮影装置(パネル)を製造した。
撮影対象物をパネル前面に置き、パネルに管電圧80kVpのX線を照射して撮影対象物の放射線画像を撮影し、シンチレータを介して蛍光画像の電子信号に変換した。
次いで、このパネルをクレイドルに装着して、パネルに形成された蛍光画像の電子信号をクレイドルを介して記憶装置に記憶させた。
こうして処理されたパネルのシンチレータに光源から予め配置したフィルタを用いて最大強度波長が400nmの可視光(このスペクトルの半値幅は±2nmである。)を0.5sec.照射した。このブライトバーン消去光の照度は10μW/cm2であった。また、このパネルの感度上昇を測定した。
結果を表2に記載する。
〔実施例1〕
<照射光の最大強度波長が405nmの例>
比較例1において、フィルタを用いて照射する光の最大強度波長が405nm(このスペクトルの半値幅は±2nmである。)である可視光に代えた以外は比較例1と同様にしてブライトバーンの消去を行った。ブライトバーン消去光の照射時間、照度は比較例1同一とした。また、このパネルの感度上昇を測定した。
結果を表2に記載する。
〔実施例2〕
<照射光の最大強度波長が430nmの例>
比較例1において、フィルタを用いて照射する光の最大強度波長が430nm(このスペクトルの半値幅は±2nmである。)である可視光に代えた以外は比較例1と同様にしてブライトバーンの消去を行った。ブライトバーン消去光の照射時間、照度は比較例1同一とした。また、このパネルの感度上昇を測定した。
結果を表2に記載する。
〔実施例3〕
<照射光の最大強度波長が450nmの例>
比較例1において、フィルタを用いて照射する光の最大強度波長(このスペクトルの半値幅は±2nmである。)が450nmである可視光に代えた以外は比較例1と同様にしてブライトバーンの消去を行った。ブライトバーン消去光の照射時間、照度は比較例1同一とした。また、このパネルの感度上昇を測定した。
結果を表2に記載する。
〔実施例4〕
<照射光の最大強度波長が500nmの例>
比較例1において、フィルタを用いて照射する光の最大強度波長(このスペクトルの半値幅は±2nmである。)が500nmである可視光に代えた以外は比較例1と同様にしてブライトバーンの消去を行った。ブライトバーン消去光の照射時間、照度は比較例1同一とした。また、このパネルの感度上昇を測定した。
結果を表2に記載する。
〔比較例2〕
<照射光の最大強度波長が550nmの例>
比較例1において、フィルタを用いて照射する光の最大強度波長(このスペクトルの半値幅は±2nmである。)が550nmである可視光に代えた以外は比較例1と同様にしてブライトバーンの消去を行った。ブライトバーン消去光の照射時間、照度は比較例1同一とした。また、このパネルの感度上昇を測定した。
〔比較例3〕
<照射光の最大強度波長が400nmかつ半値幅が±100nmの例>
比較例1において、フィルタを用いて照射する光の最大強度波長を400nmであり、このスペクトルの半値幅が±100nmである可視光に代えた以外は比較例1と同様にしてブライトバーンの消去を行った。ブライトバーン消去光の照射時間、照度は比較例1同一とした。また、このパネルの感度上昇を測定した。
〔比較例4〕
<照射光の最大強度波長が400nmかつ半値幅が±50nmの例>
比較例1において、フィルタを用いて照射する光の最大強度波長を400nmであり、このスペクトルの半値幅が±50nmである可視光に代えた以外は比較例1と同様にしてブライトバーンの消去を行った。ブライトバーン消去光の照射時間、照度は比較例1同一とした。また、このパネルの感度上昇を測定した。
結果を表2に記載する。
Figure 0006179362
上記表2から明らかなように、照射する光の最大強度波長が本発明で規定する405nmに満たない400nmの可視光を照射した場合にはブライトバーンは消失するものの、シンチレータの光耐性が低下する。同様に400nm以下の波長成分を有する可視光を照射した場合においてもブライトバーンは消失するものの、シンチレータの光耐性が低下する。
また照射する光の最大強度波長が本発明で規定する500nmを超える550nmの可視光を照射してもブライトバーンは消失しない。
1 ・・・放射線画像撮影装置
2 ・・・筐体
2A・・・ハウジング本体部
2B、2C・・・蓋部材
3 ・・・シンチレータ
4 ・・・基板
4a・・・基板の面
4b・・・裏面
5 ・・・走査線
6 ・・・信号線
7 ・・・可視光線検出素子
8 ・・・TFT
8d・・・ドレイン電極
8g・・・ゲート電極
8s・・・ソース電極
9 ・・・バイアス線
10 ・・・結線
12 ・・・COF
13 ・・・異方性導電性接着材料
15 ・・・走査駆動手段
15b・・・ゲートドライバ
16 ・・・IC
17 ・・・読み出し回路
18 ・・・増幅回路
19 ・・・相関二重サンプリング(CDS;Correlated Double Sampling)回路
20 ・・・A/D変換器
21 ・・・マルチプレクサ
22 ・・・制御手段
23 ・・・記憶手段
24 ・・・バッテリ
31 ・・・基台
32 ・・・電子部品
32a・・・シグナルインターフェース基板
32b・・・ゲートインターフェース基板
32c・・・コントロール基板
32d・・・電源基板
33 ・・・PCB基板
36 ・・・緩衝部材
37 ・・・電源スイッチ
38 ・・・選択スイッチ
39 ・・・コネクタ
40 ・・・インジケータ
41 ・・・アンテナ装置
71 ・・・光学補償層
72 ・・・光電変換素子層
73 ・・・導光層
74 ・・・下引層
75 ・・・支持体
76 ・・・反射層
77 ・・・光源
78 ・・・蛍光体保護層
79 ・・・鉛の薄板

Claims (11)

  1. ヨウ化セシウムからなるシンチレータおよび光電変換素子を有する放射線画像撮影装置の少なくとも該シンチレータに、波長の強度ピークが405nm〜500nmの範囲内にある可視光を照射することを特徴とするブライトバーンの消去方法。
  2. 上記放射線画像撮影装置が、ヨウ化セシウムからなるシンチレータ、光電変換素子およびブライトバーン消去光発生手段を含むことを特徴とする請求項1に記載のブライトバーン消去方法。
  3. 上記ブライトバーンを消去するために照射されるブライトバーン消去光の強度ピークが410〜490nmの範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載のブライトバーンの消去方法。
  4. 上記ブライトバーン消去光が波長400nm以下の光成分を含んでいないことを特徴とする請求項1または請求項3に記載のブライトバーンの消去方法。
  5. 上記ブライトバーン消去光の照射時間が1msec.〜5sec.の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載のブライトバーンの消去方法。
  6. 上記フライトバーン消去光の照度が、0.1μW/cm2〜1mW/cm2の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載のブライトバーンの消去方法。
  7. ヨウ化セシウムからなるシンチレータと、該シンチレータの発光を検知して電気信号に変換する光電変換素子と、該シンチレータに波長の強度ピークが405nm〜500nmの範囲内にある可視光を照射可能に配置されたブライトバーン消去手段とを有することを特徴とするブライトバーン消去機能付き放射線画像撮影装置。
  8. 上記ブライトバーンを消去するために照射されるブライトバーン消去光の強度ピークが410〜490nmの範囲内にあることを特徴とする請求項7に記載のブライトバーン消去機能付き放射線画像撮影装置。
  9. 上記ブライトバーン消去光が波長400nm以下の光成分を含んでいないことを特徴とする請求項7または請求項8に記載のブライトバーン消去機能付き放射線画像撮影装置。
  10. 上記ブライトバーン消去光の照射時間が1msec.〜5sec.の範囲内にあることを特徴とする請求項7に記載のブライトバーン消去機能付き放射線画像撮影装置。
  11. 上記フライトバーン消去光の照度が、0.1μW/cm2〜1mW/cm2の範囲内にあることを特徴とする請求項7に記載のブライトバーン消去機能付き放射線画像撮影装置。
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