JP6177464B1 - 工作機械用シール部材 - Google Patents

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Abstract

長期間に渡ってシール性能を維持することができる工作機械用シール部材を提供する。上記工作機械用シール部材は、支持部材と、工作機械の摺動面と摺接するエッジ部を有する平板状の弾性部材とを備え、前記支持部材は、前記弾性部材のおもて面の一部と対向する支持面を有し、前記工作機械には、前記弾性部材が、前記工作機械の取付部と前記支持部材の前記支持面とで挟まれるように取り付けられ、前記弾性部材は、前記工作機械に取り付けられた際に前記取付部と前記支持部材とで挟まれる固定部と、前記取付部と前記支持部材とで挟まれず、前記エッジ部を含み、かつ、湾曲可能なリップ部とを有する。

Description

本発明は、工作機械用シール部材に関する。
旋盤やマシニングセンタなどの工作機械は、製造産業で汎用されている最も基本的な機械装置である。これらの工作機械では、駆動機構等を切り粉やクーラント(切削油)等から保護したり、切り粉やクーラントを除去したりするために、リップシール、スライドシール、テレスコシール、カバーシール等の工作機械用シール部材(工作機械用ワイパーと称することもある)が使用されている。
工作機械用シール部材(工作機械用ワイパー)としては、例えば、特許文献1に記載されたものがある。
特許文献1には、図10に示したような工作機械用シール部材(工作機械用ワイパー)130が開示されている。図10は、従来の工作機械用シール部材の一例を示す断面図である。
工作機械用ワイパー(以下、単にワイパーともいう)130は、図10に示すように、板形状を有し、ワイパー130を工作機械に取り付けるための取付部131と、取付部131に対して屈曲して形成された板形状のリップ部132とを有している。
ワイパー130において、取付部131は、ゴム体から形成されるとともに、その前面側には金属製の補強板134が埋設され、ゴム体と補強板134とは加硫接着されている。リップ部132は、取付部131のゴム体と一体的にゴムから形成されている。取付部131とリップ部132の接続部の前面側には、断面が円弧状で、長手方向(紙面を貫く方向)に延びる溝135が形成されている。更に、取付部131には複数のネジ穴133が設けられている。
リップ部132の背面132A側には、金属板136が設けられている。金属板136の前面は、リップ部132の背面132Aに貼付されるとともに、リップ部132によって完全に覆われている。
ワイパー130は、取付部131のネジ穴133にネジ141を挿通して工作機械の固定カバー128に取り付けられる。このとき、取付部131は垂直面131Aが固定カバー128に沿うように取り付けられ、取付部131の垂直面131A、131Cは工作機械の摺動面124に対して垂直になる。
また、リップ部132は摺動面124に対して傾くので、これによりリップ部132の背面132Aは摺動面124に対向させられ、背面132Aに貼付される金属板136は、リップ部132の下側に位置する。
ワイパー130について、特許文献1は下記の主張をしている。
ワイパー130は、取付部131とリップ部132との接続部に溝135が設けられているため、リップ部132は取付部131との接続部を支点に、比較的小さな力で上下に揺動することができる。従って、摺動面124が上下にうねり変位する場合でも、リップ部132は摺動面124に応答性良く追従し、摺動面124から離れてしまうことはない。
特許文献2は、リップ部に、金属板に代えて帆布等を設けた以外は、特許文献1の工作機械用ワイパーと同様の構成の工作機械用ワイパーを提案している。
特開2007−290070号公報 特開2007−83344号公報
工作機械用シール部材は、弾性部材の端部(リップの先端部)を工作機械の摺動面に所定の接触圧(工作機械の摺動面から弾性部材が受ける圧力)で押し付けて使用する。上記所定の接触圧は、通常、工作機械用シール部材を工作機械に取り付ける際の先端押し込み量を所定値とすることによって確保される。
一方、工作機械の摺動面は、平滑ではなく、うねり(凹凸)を有するのが一般的である。そのため、工作機械用シール部材は、使用時に上記摺動面のうねりによって、所定の接触圧を維持することが困難となる。
この問題に対処するために、特許文献1に記載の工作機械用シール部材(工作機械用ワイパー)130は、取付部131とリップ部132との接続部に溝135が設けられている。特許文献1では、リップ部132が取付部131との接続部を支点に、比較的小さな力で上下に揺動することができ、工作機械の摺動面がうねりを有する場合でも、応答性良く追従することが主張されている。
一方、特許文献1に記載の工作機械用シール部材は、弾性部材の上記摺動面との接触部分が摩耗しやすいことが、本発明者らの検討で明らかとなった。この理由は、特許文献1の技術では、取付部とリップ部との接続部で摺動面のうねりを吸収しようとしているため、上記摺動面のうねりが大きくなると、充分に摺動面に追従することができず、その結果、弾性部材(リップ部)の接触圧を一定に維持することができなくなるためと考えられた。
なお、上記接触圧を低くすれば、上記接触部分における摩耗は回避することができるものの、工作機械用シール部材によるシール性能自体が低下する。そのため、接触圧を低くすると、工作機械の駆動機構等を切り粉やクーラント等から保護する工作機械用シール部材の本来の目的を達成することが困難となる。
本発明者らは、このような課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、工作機械の摺動面にうねりがあっても、当該摺動面との接触圧の変化が小さく、耐摩耗性に優れた工作機械用シール部材を新たに見出し、本発明を完成した。
本発明の工作機械用シール部材は、支持部材と、工作機械の摺動面と摺接するエッジ部を有する平板状の弾性部材とを備え、
上記支持部材は、上記弾性部材のおもて面の一部と対向する支持面を有し、
上記工作機械には、上記弾性部材が、上記工作機械の取付部と上記支持部材の支持面とで挟まれるように取り付けられ、
上記弾性部材は、上記工作機械に取り付けられた際に上記取付部と上記支持部材の上記支持面とで挟まれる固定部と、上記取付部と上記支持面とで挟まれず、上記エッジ部を含み、かつ、湾曲可能なリップ部とを有することを特徴とする。
本発明の工作機械用シール部材は、工作機械に取り付ける前(弾性部材のエッジ部が工作機械の摺動面と接触する前)には平板状である弾性部材が、上記エッジ部を工作機械の摺動面に押し付けた際に、上記リップ部が湾曲した状態となるように工作機械に取り付けられる。そして、上記工作機械用シール部材は、上記リップ部が湾曲した状態で使用される。
上記工作機械用シール部材は、工作機械の摺動面にうねりがあった場合でも、上記弾性部材のリップ部全体でうねりを吸収するように変形することができる。そのため、上記工作機械用シール部材は、工作機械の摺動面にうねりがある場合でも、上記エッジ部における接触圧の変化を極めて小さくすることができる。従って、上記工作機械用シール部材は、弾性部材のエッジ部が摩耗しにくく、長期間に渡って性能を維持することができる。
このような効果は、工作機械用シール部材を工作機械に取り付ける際の上記リップ部の先端押し込み量が大きくなるとより顕著になる。
また、上記工作機械用シール部材は、弾性部材が平板状であるため、特許文献1、2に記載された工作機械用シール部材の弾性部材(本体部及びリップ部からなるゴム体)のように製品毎に金型を準備して作製する必要がない。上記平板状の弾性部材は、弾性素材からなるシート状物を作製した後、得られたシート状物を所定のサイズに裁断することで作製することができる。そのため、上記工作機械用シール部材は、生産性に優れるとともに、設計変更に対しても容易に対応することができる。
上記工作機械用シール部材において、上記支持部材は、上記支持面と反対側に設けられた保護部を有することが好ましい。
この場合、工作機械用シール部材の使用時に、上記弾性部材の露出したおもて面を切り粉から保護することができる。そのため、使用時に弾性部材が切り粉の衝突によって破損することを抑制することができる。
上記工作機械用シール部材において、上記支持部材の支持面と上記弾性部材のおもて面とは、接着剤層を介して接合されていることが好ましい。
この場合、支持部材と弾性部材との間を通って、クーラントが工作機械の駆動機構等に侵入することがより発生しにくくなる。従って、上記工作機械用シール部材は、より優れたシール性能を有する。
上記工作機械用シール部材は、上記弾性部材の裏面側に、湾曲補助部材をさらに備え、
上記湾曲補助部材は、平板状の本体部と、上記本体部から上記弾性部材の湾曲側に向かって延設された補助部とを含むことが好ましい。
この場合、工作機械用シール部材を工作機械に取り付ける際に、上記弾性部材を所定の向きに湾曲させやすくなり、かつ、湾曲させる向きを間違えることもない。
更に、上記湾曲補助部材を備えることにより、弾性部材の湾曲の向きが反転する、工作機械用シール部材(弾性部材)のめくれがより発生しにくくなる。
上記工作機械用シール部材において、上記弾性部材の裏面と上記湾曲補助部材の本体部とが接着剤層を介して接合されていることが好ましい。
この場合、弾性部材と湾曲補助部材との間を通って、クーラントが工作機械の駆動機構等に侵入することがより発生しにくくなる。従って、上記工作機械用シール部材は、より優れたシール性能を有する。
本発明の工作機械用シール部材は、工作機械の摺動面と摺接するエッジ部が摩耗しにくく、長期間に渡ってシール性能を維持することができる。
図1(a)は、第1実施形態に係る工作機械用シール部材を示す部分斜視図であり、図1(b)は図1(a)の側面図である。 第1実施形態に係る工作機械用シール部材を工作機械に取り付けた状態を示す断面図である。 第1実施形態に係る工作機械用シール部材の使用状態を模式的に示す断面図である。 図4(a)は、第2実施形態に係る工作機械用シール部材を示す部分斜視図であり、図4(b)は図4(a)の側面図である。 第3実施形態に係る工作機械用シール部材を示す側面図である。 実施例及び比較例の評価における工作機械用シール部材の取り付け箇所を説明するための模式図である。 図7(a)は、実施例1の工作機械用シール部材の動摩擦係数を測定する方法を示す模式図であり、図7(b)は、比較例1の工作機械用シール部材の動摩擦係数を測定する方法を示す模式図である。 実施例1の工作機械用シール部材の評価後のエッジ部の様子を示す写真である。 比較例1の工作機械用シール部材の評価後のエッジ部の様子を示す写真である。 従来の工作機械用シール部材の一例を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態に係る工作機械用シール部材ついて、図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
図1(a)及び(b)は、第1実施形態に係る工作機械用シール部材を示す図であり、図1(a)は斜視図、図1(b)は側面図である。図2は、第1実施形態に係る工作機械用シール部材を工作機械に取り付けた状態を示す断面図である。図3は、第1実施形態に係る工作機械用シール部材の使用状態を模式的に示す断面図である。
図1(a)及び(b)に示すように、第1実施形態の工作機械用シール部材10は、平板状の支持部材11と、平板状の弾性部材21とを備える。支持部材11は、弾性部材21のおもて面21aの一部と対向する支持面11aを有する。支持面11aは、弾性部材21のおもて面21aと接着剤層31を介して接合されている。工作機械用シール部材10は、図2に示したように、工作機械が備える取付部35に取付けられる。
弾性部材21は、工作機械に取付ける前の自然状態では、平板状の部材である。弾性部材21は、工作機械用シール部材10を工作機械に取り付けた際に、取付部35と支持部材11の支持面11aとで挟まれる固定部22と、取付部35と支持面11aとで挟まれないリップ部23とからなる。リップ部23は、エッジ部24を含み、かつ、湾曲可能である。
従って、弾性部材21は、エッジ部24側の側面21cから対向する反対側の側面21dまでの距離L2が、支持面11aの同方向の距離L1よりも長くなっている。
また、工作機械用シール部材10は、工作機械用シール部材10を工作機械に取り付けるための複数のボルト穴32を備えている。ボルト穴32は、支持部材11及び弾性部材21を貫通するように設けられている。
工作機械用シール部材10は、図2に示すように、弾性部材21が工作機械の取付部35と支持部材11とで挟まれるように、ボルト33とナット34とを用いて、工作機械の取付部35に取り付けられる。
このとき、工作機械用シール部材10は、弾性部材21のリップ部23が工作機械の取付部35と反対側に湾曲し、弾性部材21のエッジ部24が工作機械の摺動面36と接触するように工作機械に取り付けられる。
工作機械に取り付けられた工作機械用シール部材10は、弾性部材21のエッジ部24が工作機械の摺動面36上を摺動し、工作機械の駆動機構等にクーラントや切り粉が侵入することを防止する。
工作機械用シール部材10は、上述した構成を備えているため、使用時(工作機械の摺動面36との摺接時)にエッジ部24と摺動面36との接触圧が変化しにくい。そのため、エッジ部24は摩耗しにくい。従って、工作機械用シール部材10は、従来の工作機械用シール部材と比べて、シール性能を維持することができる期間が、格別に長くなる。
この理由については、下記にように推測している。
図3に示すように、工作機械の摺動面36には、通常、うねり(凹凸)が存在する。そのため、工作機械の取付部35(例えば、工作機械用シール部材10を固定するためのボルト穴35a)から摺動面36までの距離(図3中、L3参照)は一定ではない。
そのため、摺動面36の凸の部分(例えば、図3中、36aの部分)を工作機械用シール部材10が摺動する際には、エッジ部24の接触圧が大きくなってしまう。従来の工作機械用シール部材では、弾性部材の物性や、弾性部材の一部に溝部を設けることで、摺動面36のうねりを吸収し、接触圧の増加を回避しようとしていた。しかしながら、既に説明した通り、従来の手法では接触圧の増加を充分に回避することが困難であった。
これに対して、本実施形態に係る工作機械用シール部材10では、図3に示すように、工作機械用シール部材10が摺動面の凸の部分(例えば、36a)を摺動する際に、弾性部材21のリップ部23全体のそれぞれが少しずつ変形することができる。そのため、工作機械用シール部材10は、リップ部23の特定の箇所のみでなく、リップ部23全体が少しずつ変形する(リップ部全体の湾曲状態が変化する)ことで、摺動面36のうねりを吸収し、エッジ部24における接触圧の増加を回避することができる。この場合、工作機械用シール部材10は、使用時における接触圧の変動が少なく、耐摩耗性に優れる。
また、工作機械用シール部材10は、使用時に工作機械用シール部材10のエッジ部24が摩耗したとしても、リップ部23全体が少しずつ変形する。この場合も、エッジ部24の接触圧の変動を小さくすることができる。
このような効果は、上記工作機械用シール部材を工作機械に取り付ける際の先端押し込み量(エッジ部の押し込み量)の設定値が大きくなるとより顕著になる。初期の先端押し込み量が大きくなると、工作機械用シール部材にとって、エッジ部がより摩耗しやすい条件となるからである。
また、本実施形態に係る工作機械用シール部材10は、弾性部材21の裏面21bと側面21cとに挟まれた一辺をエッジ部24とする。このような工作機械用シール部材10は、弾性部材21のリップ部23を湾曲させた状態でエッジ部24を工作機械の摺動面36に接触させた際に、弾性部材21の裏面21bのエッジ部24近傍部分も摺動面36に接触する。すなわち、工作機械用シール部材10は、弾性部材21(リップ部)と工作機械の摺動面36とが面接触する。そのため、工作機械用シール部材10は、両者が線接触する場合に比べて、シール性能により優れる。
(第2実施形態)
図4(a)及び(b)は、第2実施形態に係る工作機械用シール部材を示す図であり、図4(a)は斜視図、図4(b)は側面図である。なお、図4中、第1実施形態の工作機械用シール部材と同一の部材については、同一の符号を付与している。
第2実施形態に係る工作機械用シール部材40は、図4に示すように、支持部材41の形状が第1実施形態と異なり、その他の構成は、第1実施形態の工作機械用シール部材と同様である。
工作機械用シール部材40が備える支持部材41は、弾性部材21のおもて面21aと対向する支持面41aを有する平板状の支持部42と、支持部42の支持面41aと反対側に立設された平板状の保護部43とを有している。
工作機械用シール部材40は、支持部材41が保護部43を備えるため、使用時に弾性部材21のおもて面21aを切り粉から保護することができる。そのため、使用時に弾性部材21が切り粉の衝突によって破損することを抑制することができる。
支持部42と保護部43とを備えた支持部材41としては、例えば、折り曲げ加工された金属板を用いることができる。支持部材41において、保護部43の支持部42に対する折り曲げ角度θ1は、特に限定されないが、通常、80〜150°程度である。
工作機械用シール部材40は、第1実施形態の工作機械用シール部材10と同様の手法で工作機械に取り付けて使用する。
(第3実施形態)
図5は、第3実施形態に係る工作機械用シール部材を示す断面図である。なお、図5中、第1及び第2実施形態の工作機械用シール部材と同一の部材については、同一の符号を付与している。
第3実施形態に係る工作機械用シール部材50は、図5に示すように、第2実施形態の工作機械用シール部材40において、更に、弾性部材21の裏面21b側に、湾曲補助部材51を備えている。
湾曲補助部材51は、平板状の本体部52と平板状の補助部53とを有する。補助部53は、本体部52の下端部から弾性部材21(リップ部23)の湾曲側(支持部材41側)に向かって斜めに延設されている。なお、上記補助部は湾曲していてもよい。
湾曲補助部材51の本体部52は、弾性部材21の裏面21bの一部と接着剤層38を介して接合されている。
本体部52と補助部53とを備えた湾曲補助部材51としては、例えば、折り曲げ加工された金属板を用いることができる。湾曲補助部材51において、補助部53の本体部52に対する折り曲げ角度θ2は、特に限定されないが、通常、15〜60°程度である。
本実施形態の工作機械用シール部材50は、工作機械の取付部(図示せず)側から順に、湾曲補助部材51、弾性部材21及び支持部材41が位置するように取り付けて使用する。
工作機械用シール部材50は、湾曲補助部材51を備えているため、工作機械用シール部材50の取り付け向きを誤ることなく、工作機械に取り付けるのに適している。
また、工作機械用シール部材50は、弾性部材21のリップ部23の湾曲が湾曲補助部材51によってサポートされている。そのため、使用時に工作機械用シール部材のめくれ(弾性部材21のリップ部23の反転)がより発生しにくくなる。但し、使用時において、補助部53のおもて面53aと弾性部材21の裏面21bとは必ずしも接触していなくてもよい。
更に、工作機械用シール部材50は、弾性部材21と湾曲補助部材51(本体部52)とが接着剤層38を介して接合されているため、両者の間を通って、クーラントが侵入すること防止するのにより適している。
(その他の実施形態)
第1〜第3の実施形態に係る工作機械用シール部材は、支持部材と弾性部材、及び、弾性部材と湾曲補助部材が接着剤層を介して接合されている。しかしながら、本発明の実施形態に係る工作機械用シール部材は、支持部材と弾性部材、及び、弾性部材と湾曲補助部材が必ずしも接着剤層を介して接合されている必要はなく、単に物理的に密着しているだけであってもよい。この場合、支持部材、弾性部材及び湾曲補助部材のそれぞれを別々に交換することができる。
本発明の実施形態に係る工作機械用シール部材は、第3実施形態の工作機械用シール部材において、支持部材として、第1実施形態の工作機械用シール部材の支持部材と同様の平板状の支持部材を備えていてもよい。
本発明の実施形態に係る工作機械用シール部材において、平板状の弾性部材は完全な直方体に限定されるわけではなく、例えば、上記エッジ部にC面取りや、R面取りを施された形状であってもよい。上記弾性部材は、また、断面形状(長手方向に垂直な面の形状)がエッジ部に向かって連続的に又は断続的に先細りしていく(厚さが減少していく)形状であってもよい。
次に、上記工作機械用シール部材の構成部材について説明する。
(支持部材)
上記支持部材は、上記弾性部材を工作機械に確実に取り付けるための部材である。上記支持部材の材質は、耐久性や強度の点から一般にスチールやアルミニウム等の金属材料が適当である。上記支持部材の材質は、セラミックや剛性プラスチック等であってもよい。
また、上記支持部材の材料としては、表面無処理の鋼板、リン酸亜鉛処理やクロメート処理や錆止め樹脂処理等の表面処理の施された鋼板、りん青銅やばね鋼などの弾性金属板等を使用することもできる。
上記支持部材は、弾性部材のおもて面との間に介在させる接着剤層とのなじみ性を向上させるために、プライマーによる表面処理が施されていてもよい。
更に、上記支持部材の表面(特に接着剤層を介して弾性部材と接する領域)には、アンカー効果により密着性を向上させるべく粗面化処理が施されていてもよい。
(弾性部材)
上記弾性部材は、工作機械の摺動面と摺接する部材である。上記弾性部材は、エッジ部が工作機械の摺動面と接触する。
上記工作機械用シール部材は、通常、耐油性が求められることから、上記弾性部材の材質としては、例えば、NBR(ニトリルブタジエンゴム)、ウレタンエラストマー、フッ素ゴム、シリコーンゴム、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)等が挙げられる。
これらのなかでは、ウレタンエラストマーが好ましい。耐久性(耐摩耗性)に優れるため、長期間に渡って所望の性能を維持するのにより適しているからである。
上記ウレタンエラストマーとしては、例えば、ポリオール、ポリイソシアネート及び必要に応じて架橋剤を反応させて得られたもの等が挙げられる。
上記ポリオールとしては特に限定されず、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等が挙げられる。
上記ポリオールは、数平均分子量が1000〜3000であることが好ましい。上記範囲内のポリオールを用いることにより、使用時に切り粉やクーラント等の侵入をより確実に防止することができる。
上記数平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)測定によるポリスチレン換算の測定値である。
上記ポリエステルポリオールとしては、例えば、ジカルボン酸とグリコールとを常法に従って反応させることにより得られたもの等が挙げられる。
上記ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸、それらのエステル形成性誘導体等が挙げられる。これらのなかでは、耐摩耗性が良好な点から、アジピン酸が好ましい。
上記グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、トリエチレングリコール等の脂肪族グリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、p−キシレンジオール等の芳香族ジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール等が挙げられる。上記グリコールとしては、脂肪族グリコールが好ましく、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールが更に好ましい。
ジカルボン酸及びグリコールの反応物であるポリエステルポリオールは、線状構造であるが、3価以上のエステル形成成分を用いた分枝状ポリエステルであってもよい。
上記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、それらの共重合体などのポリアルキレングリコール等が挙げられる。これらのなかでは、耐摩耗性が良好な点から、ポリテトラメチレングリコールが好ましい。
上記ポリカプロラクトンポリオールとしては、例えば、触媒の存在下で低分子量グリコールを開始剤としてε−カプロラクトンを開環付加させることにより得られるものが挙げられる。
上記低分子量グリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの2価のアルコール、及び、トリメチレングリコール、グリセリンなどの3価のアルコールが好ましく用いられる。
上記触媒としては、例えば、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラエチルチタネートなどの有機チタン系化合物、オクチル酸スズ、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズラウレート、塩化第1スズ、臭化第1スズなどのスズ系化合物等が挙げられる。
なお、上記ε−カプロラクトンを開環付加させる際には、上記ε−カプロラクトン以外に、トリメチルカプロラクトン、バレロラクトン等の他の環状ラクトンを一部混合してもかまわない。
上記ポリオールは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ポリイソシアネートとしては特に限定されず、従来公知のものを使用することができ、例えば、脂肪族イソシアネート、脂環族イソシアネート、芳香族イソシアネート等が挙げられる。これらのなかでは、耐摩耗性が良好な点から、芳香族イソシアネートが好ましい。
上記脂肪族イソシアネートとしては、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。また、上記脂肪族イソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネートやイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ビウレット体、アダクト体の変性体等も挙げられる。
上記脂環族イソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)等が挙げられる。
上記芳香族イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、フェニレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート,ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート,ジフェニルメタンジイソシアネートとポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートとの混合物(以下、これらを総称してMDIともいう)、1,5−ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、カルボジイミド変性されたMDI、ウレタン変性されたMDI等が挙げられる。
上記ポリイソシアネートは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記架橋剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ヒドラジン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アニリン、水等が挙げられる。
これらのなかでは、耐油性が良好な点から、ブタンジオール、トリメチロールプロパンが好ましい。
上記架橋剤は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
上記ポリウレタンエラストマーは、上記原料を使用して、公知の方法によって製造することができる。具体的には、例えば、適当な有機溶剤中で必要に応じて触媒を使用し、各原料の当量比をNCO/OH=0.9〜1.1に調整して反応させること、無溶剤で溶融反応させること等により製造することができる。
また、上記ポリウレタンエラストマーは、ワンショット法、プレポリマー法等により製造することができる。
上記弾性部材の成形方法としては特に限定されず、例えば、常圧注型成形、減圧注型成形、遠心成形、連続回転成形、押出成形、射出成形、反応射出成形(RIM)、スピンコーティング等が挙げられる。
これらのなかでは、遠心成形、連続回転成形が好ましい。
上記弾性部材の硬さ(JIS−A硬さ)は、55〜90°が好ましい。
上記弾性部材の硬さが55°未満では、工作機械の摺動面上を摺動する際に大きく変形してしまい、切り粉等の侵入を確実に防止することができないことがある。一方、上記弾性部材の硬さが90°を超えると弾性部材が硬すぎるため、摺動時に破損してしまうことがある。より好ましい弾性部材の硬さは、60〜75°である。
上記JIS−A硬さは、JIS K 7312に準じて、スプリング式タイプA硬さ試験機により測定される値である。
上記弾性部材の反発弾性は、10%〜50%が好ましい。
上記弾性部材の反発弾性を上記範囲とすることにより、摺動面のうねりにさらに追随しやすくなり、加えて、摺動時に異音(ビビり音)の発生を抑制しやすくなる。より好ましい反発弾性は、20%〜40%である。
上記反発弾性は、JIS K 7312に準拠して測定された値である。
上記弾性部材は、各種添加剤を含有していても良い。添加剤を含有させることによって、例えば、弾性部材の硬さや摩擦係数等を調整することができる。
上記添加剤としては、例えば、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化鉄、シリカなどの金属酸化物や、銅、ニッケル、鉄、アルミなどの金属等からなる粉末;アルミニウム、ステンレス、鉄等の金属製の短繊維や、ポリアミド等の樹脂製の短繊維;ガラスバルーンやフライアッシュバルーン等の中空粒子などが挙げられる。
上記添加剤の含有量はゴム成分(エラストマー成分)100重量部に対して1〜100重量部程度が好ましい。
上記添加剤としては、ゴム成分(エラストマー成分)となじみやすく化学的安定であることから、金属酸化物の粉末が好ましく、酸化セリウムの粉末がより好ましい。
上記弾性部材は、上述した添加剤以外にも、例えば、原料中に配合される鎖延長剤、架橋促進剤や架橋遅延剤等の反応助剤、加水分解防止剤、着色剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、防黴剤、難燃剤、増量剤等を含有していてもよい。
(接着剤層)
上記弾性部材と上記支持部材とを固定する接着剤層、及び、上記弾性部材と上記湾曲補助部材とを固定する接着剤層は、特に限定されず、各部材の材質を考慮して適宜選択すればよい。
上記接着剤層としては、例えば、EVA系、ポリアミド系又はポリウレタン系のホットメルト接着剤や、硬化型接着剤等により形成されたもの等が挙げられる。また、上記接着剤層としては、例えば、両面テープからなるもの等も挙げられる。
上記弾性部材及び上記支持部材を接合する接着剤層と、上記弾性部材及び上記湾曲補助部材を接合する接着剤層とは、その材質が同一であっても良いし、異なっていても良い。
上記接着剤層の厚さは特に限定されないが、50〜500μmが好ましい。
本発明の実施形態に係る工作機械用シール部材は、旋盤やマシニングセンタ等の種々の工作機械において、工作機械の稼働箇所、駆動機構等を切り粉やクーラント等から保護するためのシール部材として使用することができる。上記工作機械用シール部材は、例えば、リップシール、スライドシール、テレスコシール、カバーシール等として使用することができる。
本発明の実施形態に係る工作機械用シール部材は、特にリップシールとして好適である。
以下、実施例によって本発明の実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明の実施形態は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
支持部材の作製
厚さ0.8mmの鋼板((株)神戸製鋼所製、グリーンコートGX−K2)を34mm×600mmに裁断し、一方の長辺から18mmの部分で長辺に平行に90°折り曲げて、図5に示したようなL字形状の支持部材41(θ1=90°)を作製した。支持部材41は、上記一方の長辺から18mmの部分が支持部42であり、残りの部分が保護部43である。
弾性部材の作製
ポリエチレンアジペートエステルジオール(三洋化成工業(株)製、サンエスター2620、水酸基価56.1mgKOH/g)100重量部に、ピュアMDI(東ソー(株)製、ミリオネートMT)を39.5重量部添加し、75℃雰囲気下で減圧脱泡した後、同温度雰囲気下で撹拌しながら8時間反応させて、プレポリマーを得た。このプレポリマーのNCO濃度は、6.5%であった。
その後、得られたプレポリマーに、酸化セリウム粉末(太陽鉱工(株)製、セリコCH−BS302)4.0重量部、1,4−ブタンジオール(三井化学(株)製)6.14重量部、トリメチロールプロパン(三菱ガス化学(株)製)0.683重量部を添加し、撹拌混合してウレタン組成物を調製した。
直後に得られたウレタン組成物を遠心成形機に投入し、金型温度150℃、架橋時間60分間の条件で架橋させ、厚さ1.6mmで円筒状の硬化物を成型した後、脱型した。その後、円筒状の硬化物の一か所を切断して板形状に展開し、送風オーブン内にて120℃、12時間の条件で後架橋を行い、ポリウレタン製原反シートを得た。
次に、上記原反シートを縦36mm×横600mmにカットし、ウレタンシートからなる弾性部材とした。上記ウレタンシートのJIS−A硬さは、78°であった。
なお、ウレタンシートのJIS−A硬さは、JIS K 7312に準拠して測定した。上記JIS−A硬さは、厚さ1.6mmのウレタンシートを10枚重ねて測定した。
湾曲補助部材の作製
厚さ0.8mmの鋼板((株)神戸製鋼所製、グリーンコートGX−K2)を24mm×600mmに裁断し、一方の長辺から20mmの部分で長辺に平行に30°折り曲げて、図5に示したような湾曲補助部材51(θ2=30°)を作製した。湾曲補助部材51は、上記一方の長辺から20mmの部分が本体部52であり、残りの部分が補助部53である。
工作機械用シール部材の製造
弾性部材のおもて面の所定に位置に、5mm幅の両面テープ(日東電工社製、No.500)を用いて支持部材を固定した。次に、弾性部材の裏面の所定に位置に上記両面テープを用いて、湾曲補助部材を固定した。その後、複数のボルト穴を形成し、図5に示した形状を有する工作機械用シール部材を作製した。
なお、作製した工作機械用シール部材の高さ寸法(図5中、H)は32mmである。
(比較例1)
ニッタ社製のスライドシール(ニッタスライドシール GW−LPV1)を本比較例に係る工作機械用シール部材とした。
[評価]
実施例及び比較例で作製した工作機械用シール部材を、CNC旋盤(DMG森精機社製、NLX3000)に取り付けた。その後、下記の条件で約7か月間使用し、使用後のエッジ部の状態を観察した。
使用条件
稼働時間:7.5hr/day、稼働率:約50%
切削材:鉄又はアルミ(それぞれ鋳物を含む。)
クーラント:シンセティック系クーラント(モレスコ社製、モレスコBio60E)。なお、クーラントは、原液を水道水で20倍に希釈(体積基準)して使用した。
装着箇所:図6参照
図6は、工作機械用シール部材の取り付け箇所を説明するための模式図である。
本評価で使用した旋盤100は、主軸台(図示せず)に回転可能に軸支された主軸101と、案内レール(図示せず)上に主軸101の軸線方向に沿って移動可能に取り付けられた刃物台102とを備えている。旋盤100には、主軸台を保護する固定カバー103、104と、刃物台102とともに移動する移動カバー105とが設置されている。旋盤100は、これらのカバー103〜105によって、切り粉やクーラントが切削空間外へ飛散し、切り粉やクーラントが主軸台や案内レールに付着することを防止している。
本評価では、固定カバー103の移動カバー105と対向する側端面に、固定カバー103と移動カバー105との隙間を塞ぎ、隙間内への切り粉やクーラントの進入を防止する工作機械用シール部材110を取り付けて評価を行った。
また、工作機械用シール部材110をCNC旋盤への取り付ける前後(工作機械用シール部材110の使用前後)において、実施例及び比較例のそれぞれの工作機械用シール部材のエッジ部の動摩擦係数を下記の方法で測定した。
上記動摩擦係数は、ヘイドン式表面性試験機(HEIDON−14DR型)を用いて測定した。図7(a)は、実施例1の工作機械用シール部材の動摩擦係数を測定する方法を示す模式図である。図7(b)は、比較例1の工作機械用シール部材の動摩擦係数を測定する方法を示す模式図である。
実施例1の工作機械用シール部材の動摩擦係数(図7(a)参照)
工作機械用シール部材50のエッジ部24を、弾性部材21の裏面21bとPETシート60の表面(鏡面)60aとのなす角が25°となるようにPETシート60に接触させた。更に、工作機械用シール部材50に、湾曲補助部材51の上側から鉛直方向下向きに、垂直荷重0.98Nをかけてエッジ部24をPETフィルム60に押し付けた。なお、図7(a)中、11は支持部材である。
その後、PETシート60を、1500mm/分の移動速度で水平移動させた(移動方向は、図7(a)中、左から右)。このときの初期ピーク抵抗を除いた安定摺動時の水平荷重F(N)をロードセルで検出し、記録した。続いて、記録チャートをアナライザーで演算平均化処理して動摩擦係数を算出した。
比較例1の工作機械用シール部材の動摩擦係数(図7(b)参照)
工作機械用シール部材70のエッジ部74を、リップ部72の裏面72bとPETシート60の表面(鏡面)60aとのなす角が25°となるようにPETシート60に接触させた。更に、工作機械用シール部材70に、補強板71の上側から鉛直方向下向きに、垂直荷重0.98Nをかけてエッジ部74をPETフィルム60に押し付けた。
その後、PETシート60を、1500mm/分の移動速度で水平移動させた(移動方向は、図7(b)中、左から右)。このときの初期ピーク抵抗を除いた安定摺動時の水平荷重F(N)をロードセルで検出し、記録した。続いて、記録チャートをアナライザーで演算平均化処理して動摩擦係数を算出した。
上述した動摩擦係数の測定は、いずれも温度20〜25℃、相対湿度40〜55%の環境下で行った。
また、いずれの測定においても、使用前の工作機械用シール部材の動摩擦係数の測定は、PETシート60の表面60aが清浄な状態にある乾式条件下で行い、使用後の工作機械用シール部材の動摩擦係数の測定は、PETシート60の表面60aがクーラントで濡れている湿式条件下で行った。上記湿式条件は、PETシートの工作機械用シール部材のエッジ部との接触部分に、モレスコBio−60Eの20倍希釈水溶液を約5ml滴下した状態とした。
(結果)
動摩擦係数
使用前の動摩擦係数:実施例1=0.44、比較例1=0.23
使用後の動摩擦係数:実施例1=0.49、比較例1=0.81
であった。
CNC旋盤での稼働
実施例1の工作機械用シール部材は、7か月間の使用後、弾性部材のリップ部において、エッジ部24の近傍に擦れた痕は観察されたものの、エッジ部24の摩耗はほぼ観察されなかった(図8参照)。
一方、比較例1の工作機械用シール部材は、7か月間の使用後、エッジ部の摩耗がみられ、ゴムの消失による繊維の露出が観察された(図9参照)。
また、評価後、工作機械用シール部材を取り外し、工作機械の状態を観察した。
その結果、実施例1では、固定カバー103と移動カバー105との隙間に切り粉の侵入が観察されたものの、その数は数個程度であった。一方、比較例1では、固定カバー103と移動カバー105との隙間に多数の切り粉の侵入しているのが観察された。
10、40、50 工作機械用シール部材
11、41 支持部材
11a、41a 支持面
21 弾性部材
21a おもて面
22 固定部
23 リップ部
24 エッジ部
31、38 接着剤層
35 取付部
36 摺動面
42 支持部
43 保護部
51 湾曲補助部材
52 本体部
53 補助部
100 旋盤

Claims (5)

  1. 支持部材と、工作機械の摺動面と摺接するエッジ部を有する平板状の弾性部材と、前記支持部材の支持面と前記弾性部材のおもて面との間に介在し、両者を接合する接着剤層とで実質的に構成され、
    前記支持部材は、前記弾性部材のおもて面の一部と対向する支持面を有し、
    前記工作機械には、前記弾性部材が、前記工作機械の取付部と前記支持部材の前記支持面とで挟まれるように取り付けられ、
    前記弾性部材は、前記工作機械に取り付けられた際に前記取付部と前記支持部材とで挟まれる固定部と、前記取付部と前記支持部材とで挟まれず、前記エッジ部を含み、かつ、湾曲可能なリップ部とを有することを特徴とする工作機械用シール部材。
  2. 前記支持部材は、前記支持面と反対側に設けられた保護部を有する請求項1に記載の工作機械用シール部材。
  3. 支持部材と、工作機械の摺動面と摺接するエッジ部を有する平板状の弾性部材とを備え、
    前記支持部材は、前記弾性部材のおもて面の一部と対向する支持面を有し、
    前記工作機械には、前記弾性部材が、前記工作機械の取付部と前記支持部材の前記支持面とで挟まれるように取り付けられ、
    前記弾性部材は、前記工作機械に取り付けられた際に前記取付部と前記支持部材とで挟まれる固定部と、前記取付部と前記支持部材とで挟まれず、前記エッジ部を含み、かつ、湾曲可能なリップ部とを有し、
    前記弾性部材の裏面側に、湾曲補助部材をさらに備え、
    前記湾曲補助部材は、平板状の本体部と、前記本体部から前記弾性部材の湾曲側に向かって延設された補助部とを含むことを特徴とする工作機械用シール部材。
  4. 前記弾性部材の裏面と前記湾曲補助部材の本体部とが接着剤層を介して接合されている請求項3に記載の工作機械用シール部材
  5. 前記支持部材は、前記支持面と反対側に設けられた保護部を有する請求項3又は4に記載の工作機械用シール部材。
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