JP6176194B2 - 車線維持支援システム - Google Patents

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Description

本発明は、車線維持支援システムに関するものである。
車両、特に自動車にあっては、走行中での車線維持を支援するため、つまり車線逸脱を防止するために、車線を逸脱する方向とは反対方向(つまり車線中心位置に向かう方向)へ操舵を行うための車線維持用アシストトルクを付与するようにしたものが増加する傾向にある。この車線維持用アシストトルクを付与された方向への操舵力が軽くなるので、運転者は自然と、車線中心位置に戻るように促されることになる。勿論、車線維持用アシストトルクの大きさは、運転者が積極的に車線変更する際等に行なう操舵の妨げとならないように、運転者が打ち勝てる範囲の大きさに設定されることになる。
車線維持制御のために、自車両前方の道路をカメラによって撮影して、撮影された画像中から自車両の走行車線を規定する左右の走行区分線(いわゆる白線)を検出して、この左右の白線の中央を自車両が走行するように、車線維持用アシストトルクが付与されることになる。なお、特許文献1には、ロードインフォメーションを得やすくするために、車輪のグリップ力(つまり横G)に応じて操舵アシストトルクの保持ヒステリシス幅を変更するものが開示されている。
特開2011−201388号公報
ところで、車線維持制御による車線維持用アシストトルクの付与は、カーブを走行する際にも実行されるが、横Gが大きくなるのに伴って、車線維持用アシストトルクが増大されることになる。しかしながら、旋回中に車線維持用アシストトルクがある程度以上の大きさになると、運転姿勢がとりにくくて疲れやすいという問題を生じることが判明した。
このような原因を追及したところ、車線維持用アシストトルクが大きくなることにより、ハンドルから運転者への操舵反力が小さくなり、これに伴ってシートバックによって運転者を左右方向に保持する横方向摩擦力が小さくなるためである、ということが判明した。すなわち、上記操舵反力は、運転者の上半身をシートバックに押しつける作用を行うが、車線維持用アシストトルクの増大により操舵反力が小さくなると、上記横方向摩擦力よりも横Gに基づく遠心力が大きくなって、運転者の上半身が旋回外側にかなり大きく傾けられ、これに応じて運転者の首もすくなからず傾くことになる。そして、このような身体の傾きを抑制するように働く運転者の首の筋肉(胸鎖乳突筋)や旋回外側に位置する太股(大腿四頭筋)の筋力が増大され、これが疲れの原因となっている、ということが判明した。
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、車線維持制御を行いつつ旋回中における運転者の疲労を低減できるようにした車線維持支援システムを提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明にあっては、次のような解決手法を採択してある。すなわち、請求項1に記載のように、
自車両が走行車線から逸脱するのを防止する方向への車線維持用アシストトルクを、運転者が打ち勝てる範囲の大きさで付与するようにした車線維持支援システムにおいて、
自車両に作用する横Gを検出する横G検出手段と、
前記横G検出手段で検出される横Gがあらかじめ設定された所定値以上のときに、運転者とシートバックとの間の横方向摩擦力が、横Gに基づいて運転者に作用する遠心力以上となるように、前記車線維持用アシストトルクの増大を抑制するアシストトルク補正手段と、
を備えているようにしてある。
上記解決手法によれば、車線維持用アシストトルクがいたずらに大きくされるが抑制されて、その分運転者が発揮すべき操舵力が大きくなって、操舵反力に基づく運転者とシートバックとの間の横方向摩擦力を大きいものに保持できる。これにより、運転者は、その上半身や首が好ましい運転姿勢から傾くことが防止あるいは抑制されて、旋回時における疲労を低減することができる。以上に加えて、車線維持用アシストトルクを、運転者を疲労させない範囲で十分に大きい値に設定する上で好ましいものとなる。
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2以下に記載のとおりである。すなわち、
前記アシストトルク補正手段は、前記横G検出手段で検出される横Gが前記所定値以上のとき、横Gの増大に応じて車線維持用アシストトルクを演算するゲイン量を徐々に減少させる、ようにしてある(請求項2対応)。この場合、車線維持の要求と運転者の疲労軽減とを共に高い次元で満足させることができる。
前記アシストトルク補正手段は、前記横G検出手段で検出される横Gが前記所定値以上のとき、車線維持用アシストトルクを直前の車線維持用アシストトルクに保持させる、ようにしてある(請求項3対応)。この場合、運転者の疲労低減を極めて高い次元で満足させることができる。
前記横方向摩擦力が、運転者とシートバックとの間の静摩擦力と、運転者の上半身の自重によりシートバックに作用する荷重と、ハンドルを握る腕を通してシートバックに作用する操舵反力とに基づいて決定される、ようにしてある(請求項4対応)。この場合、請求項1に対応した横方向摩擦力を精度よく決定して、請求項1に対応した効果を十分に発揮させることができる。
本発明によれば、車線維持制御を行いつつ旋回中における運転者の疲労低減を図ることができる。
本発明が適用された車線維持支援システムの制御系統例を示すブロック図。 車線維持用アシストトルクの有無に応じたヒステリシスの幅の変更例を示す特性図。 目標ヨーレートの決定を説明するための図。 図3における前方注視時間Tの設定例を示す図。 目標ヨーレートに応じて運転者に発揮させる目標操舵トルクの設定例を示す特性図。 操舵角速度に応じた基準ヒステリシス幅の設定例を示す特性図。 粘性トルクの設定例を示す図。 本発明の制御例を示すフローチャート。 本発明の制御例を示すフローチャート。 図9の制御に用いる特性図。 旋回中に運転者が発揮する筋肉部位を説明するための図。 横方向摩擦力を決定するための説明図で、運転者とシートバックとを側方から見た図。 横方向摩擦力と遠心力との関係を示す図で、運転者とシートバックとを情報から見た図。 図12、図13での説明図で用いた符号の具体的な数値例をまとめて示す図。 車線維持用アシストトルクと横力との関係を示す特性図。 本発明の車線維持制御において、運転者が発揮している筋力の様子を示す図。 従来の車線維持制御において、運転者が発揮している筋力の様子を示す図。
図1は、車両(自動車)に搭載された本発明の制御系統例をブロック図的に示すものである。この図1において、Uは、マイクロコンピュータを利用して構成されたコントローラ(制御ユニット)である。コントローラUは、記憶手段Mを有して、制御に必要なプログラム以外に、後述する制御を実行するために用いられる各種特性図等を記憶している。
コントローラUには、各種センサや装置S1〜S6からの信号が入力される。S1は、運転者により操作されるステアリングハンドルの操作量つまり舵角(操作方向を含む舵角)を検出する舵角センサである。S2は、例えば、ステアリングシャフトに取付けられて、ステアリングシャフトのねじり量に応じて操舵トルクを検出するトルクセンサである。
S3は、自車両の前方を撮影するカメラであり、自車両が走行している車線を区分する左右の白線位置の検出と、左右白線位置に対する自車両の横方向位置との検出のために用いられる(物理的車線中心位置の検出ともなる)。S4は、車速を検出する車速センサである。S5は、ナビゲーション装置で、自車両の現在位置を検出すると共に、地図情報を利用して自車両が走行している現在の道路状況や前方の道路状況等を検出するためのものとなっている。S6は、切替スイッチで、運転者によりマニュアル操作されて、後述する車線維持制御のオン(実行)とOFF(実行禁止)とを選択するためのものである。
コントローラUは、モータS11と、ディスプレイやランプ等の表示手段S12を制御する。モータS11は、操舵系に組み込まれて、パワーアシストを行うためのものであるすなわち、実施形態では、パワーステアリング機構がモータS11によってアシスト力が発生される電動式とされて、このモータS11への供給電流を調整(変更)することにより、操舵アシスト力が変更されることになる。表示手段S12は、前記切替スイッチS6のオン、OFF状態を運転者に報知するためのものである。
図2は、車線維持用アシストトルクの有無に応じた操舵角と操舵トルクとの関係を図式的に示すものであり、同じ操舵角のときに、舵角が増大する方向への操舵トルクに対して、舵角が減少する方向の操舵トルクが小さく設定され、その差がヒステリシスの幅を示す。ヒステリシスの幅は、破線で示す車線維持用アシストトルクが付与されない場合は大きく設定され、実線で示す車線維持用アシストトルクが付与された場合は小さく設定される。車線維持用アシストトルクの有無に応じてヒステリシスの幅を相違させることにより、ハンドルの戻り感を、車線維持用アシストトルクが有る場合と無い場合とでほぼ同じにようにすることができる(物理的操舵トルクの変化量が同じであっても、物理的操舵トルクが大きいときは小さいときに比して、運転者が近くする知覚操舵トルクの変化量が小さいものとなることを考慮)。
次に、車線維持のための車線維持用アシストトルクの決定例について説明する。まず、実施形態では、左カーブでの走行状態となる図3に示すように、自車両Xの前方に物理的車線中心位置となる誘導目標点αに誘導するために要求される目標ヨーレート演算が行われる。この誘導目標点αまでの自車両前方方向への距離がVTとされる。この場合、Vは車速であり、Tは前方注視時間である。前方注視時間は、例えば図4に示すような特性として設定されるが、要は、誘導目標点αに到達させるまでの目標時間であり、基本的に、車速が大きくなるほど前方注視時間Tが小さくされる(上限値、下限値の設定あり)。
誘導目標点αに誘導するのに要求される目標ヨーレートΥtargetは、車速、自車両の横位置、ヨー角、車線の曲率、クロソイドパラメータに基づいて、次式(1)によって求められる。式(1)中、Vは車速、Tは前方注視時間、Rは車線の曲率、Ψ0は自車両Xのヨー角、y0は自車両Xの横方向位置、Aはクロソイドパラメータである。なお、曲率R等は、カメラS3での検出結果に基づいて決定することもできるが、例えばナビゲーション装置S5での地図情報や道路脇に設定されているインフラ施設からの情報に基づいて入手する等、適宜の手法で入手することができる。なお、自車両のヨーレートを、別途設けた専用のヨーレートセンサにより検出することもできる。
Figure 0006176194
目標ヨーレートΥtargetが決定されると、この目標ヨーレートΥtargetと車速とを図5に示す特性に照合して、運転者が発揮すべき目標操舵トルクTDriverが決定される。次いで、操舵角速度を図6に示す特性図に照合して、ヒステリシス幅が決定される。なお、ヒステリシス幅は、操舵角速度が小さい領域(例えば0.00001rad/s以下)では、不感帯を設定してある(操舵のがたつき防止)。このヒステリシス幅は、車線維持用アシストトルクが無い基準値を設定する場合に対応しており、車線維持用アシストトルクが有るときは、図2について説明したように、ヒステリシス幅が小さくなるように減少補正される。
パワーステアリング装置に対する最終出力決定のために、次のような操舵トルクが決定される。まず、図3で説明した旋回に必要な操舵トルクTNormalが演算される。前述した運転者に発揮させるべき操舵トルクをTDriverに応じた標準アシストトルクがTESPとして決定される(TESPを、トルクセンサS2での検出トルクに応じて決定することもできる)。そして、基本の車線維持用アシストトルクTBaseが、次式(2)に基づいて算出される。
TBase=TNormal−TDriver−TESP (2)
上記基本の車線維持用アシストトルクTBaseが、車線維持制御なしの場合に対して、追加的に付与されることになる。そして、車線維持用アシストトルクTBaseが付与されるときは、付与されない場合に比して、ヒステリシス幅が減少補正されることになる。
以上に加えて、粘性トルクTViscosityが決定される。この粘性トルクTViscosityは、操舵角速度に対してゲイン係数C(>0)を乗算することにより演算される。そして、ゲイン計数Cは、図7に示すような特性に基ずいて決定される。すなわち、図3で説明した目標ヨーレートから自車両Xの現在のヨーレートを差し引いた偏差の絶対値が大きいほど、ゲイン係数Cが小さくなるように決定される。また、ゲイン係数Cは、上記偏差の絶対値が同じであっても、車速が大きいほど小さくなるように決定される。このように、粘性トルクTViscosityは、操舵角速度が大きいほど大きく、前記偏差(の絶対値)が小さいほど大きく、車速が小さいほど大きくなるように決定される。
上記のようにして決定された粘性トルクTViscosityが、前述した基本の車線維持用アシストトルクTBaseから減算されて、最終的な車線維持用アシストトルクTLKAとされ、この最終的な車線維持用アシストトルクTLKAが出力される(モータS11からのTLKAの出力)。特に、目標ヨーレートと実際のヨーレートとの偏差の絶対値が小さいということは、保舵時あるいはほぼ保舵時となるが、このときは、粘性トルクTViscosityが大きく設定されるために最終的な車線維持用アシストトルクTLKAが小さくされて、ハンドルの安定性が向上された状態となる(拮抗筋の働きを防止あるいは抑制)。
図8は、コントローラUによって、前述した最終的なTLKAを決定(出力)するための制御例を示すフローチャートである。以下このフローチャートについて説明するが、切替スイッチS6がONのとき(車線維持用アシストトルク制御有り−粘性トルク有り)を前提としている。また、以下の説明でQはステップを示す。勿論、図2、図4、図6、図7や、式(1)、式(2)等は、記憶手段Mに記憶されているものである。
以上のことを前提として、まず、Q1において、各種センサ等S1〜S6からの信号が読み込まれる。次いでQ2において、図3で説明したように、目標ヨーレートΥtaegetが演算される。この後、Q3において、図5に基づいて、運転者に発揮させる目標操舵トルクTDriverが演算される。この後、Q4において、図3の誘導目標点αに誘導するための旋回に必要な操舵トルクTNormalが演算される。
Q4の後、Q5において、Q3で演算された目標操舵トルクTDriverに基づいて、標準アシストトルクTESPが演算される。この後、Q6において、式(2)に基づいて、基本の車線維持用アシストトルクTBaseが演算される。この後、Q7において、図6に基づいて、基準のヒステリシス幅が決定される。
Q7の後、Q8において、目標となる粘性トルクTViscosityが決定される(図7に基づいてゲイン係数Cが決定され、このゲイン係数Cに対して操舵角速度が乗算される)。この後、Q9において、Q6で決定された基本の車線維持用アシストトルクTBaseから粘性トルクKTViscosityを減算して、最終的な車線維持用アシストトルクTLKAが決定される。そして、Q10において、最終的な車線維持用アシストトルクTLKAとなるように、モータS11に制御信号(駆動信号)が出力される。なお、最終的な車線維持用アシストトルクTLKAが0でないときは、基準のヒステリシス幅が減少補正される。
次に、図9以下を参照しつつ、旋回時における運転者の疲労低減のための制御について説明する。まず、図9は、上述した車線維持制御における車線維持用アシストトルクを補正するための制御例を示し、図8のフローチャートに対する割り込み処理、あるいは図8のQ6(またはQ9)での処理後に実行される。
図9において、Q21において横Gが検出される。横Gの検出は、横Gセンサにより直接的に検出してもよいが、舵角と車速とに基づいて演算により検出(算出)する等、適宜の手法でなし得る。Q22では、検出された横Gが、あらかじめ設定された所定値以上であるか否かが判別される。上記所定値は、実施形態では0.2Gで、例えば曲率半径300mのカーブを100km/hで旋回しているときに対応した値とされている。
上記Q22の判別でYESのときは、車線維持用アシストトルクを演算する際のゲインGが、図10に示すように、1から徐々に低減される(下限値設定あり)。これにより、車線維持用アシストトルクが、図8の制御で要求されるトルク値よりも小さい値となり、その分、運転者自信が操舵する操舵力が増大されることになる。このように車線維持用アシストトルクの増大が抑制されることにより、旋回中における運転者の疲労が低減されるが、この疲労低減の点について後に詳述する。上記Q22の判別でNOのときは、Q23において、ゲインGが1に設定される(図8の制御どおりの車線維持用アシストトルクの設定)。
次に、車線維持用アシストトルクの増大を抑制することによる運転者の疲労低減の点について説明する。まず、図11、図12において、11はハンドル、12は運転席のシートクッション、13は運転席のシートバックである。図11において、運転者20がハンドル11を左操作している状態が示される。このとき、従来の車線維持制御にあっては、図17に示すように、腕(上腕三頭筋)の筋力は低減されるが、首(左右の胸鎖乳突筋)および右(旋回外側)の大腿四頭筋(図11ではその具体的な部位は図示略)の筋力が大きく増大される。より具体的には、図17は、100km/hの車速で、順次、直線路走行、曲率半径1000mから300mへと変化するカーブ入口路、曲率半径300mのカーブ、曲率半径300mから1000mへと変化するカーブ出口路での走行を行った場合に、図11に示す筋肉部位が発揮している筋力が変化する様子を示す。この図17中、破線が車線維持制御なしの場合を、実線が車線維持制御有りの場合を示している。なお、上記以外の筋肉での筋力については、車線維持制御ありの場合となしの場合とで殆ど相違しないものである。
図17から明かなように、曲率半径300mを走行しているときおよびその付近では、右上腕三頭筋の筋力は低減されるものの、首(左右の胸鎖乳突筋)および右(旋回外側)の大腿四頭筋の筋力が大きく増大され、これが疲労の原因となる。このように、首(左右の胸鎖乳突筋)および右(旋回外側)の大腿四頭筋の筋力が大きく増大されるのは、遠心力により運転者の上半身が旋回外側に向けて傾き、これに伴って首が傾くのを、上記筋力が増大した筋肉によって抑制(対抗)しようとしているためである。
図16は、図17に対応するもので、横Gが所定値(実施形態では0.2G)以上のときは、車線維持用アシストトルクの増大を抑制した場合の制御に対応している(図9の制御を行った場合のもの)。この図16から明かなように、本発明による車線維持制御によれば、右上腕三頭筋の筋力を低減しつつ、首(左右の胸鎖乳突筋)および右(旋回外側)の大腿四頭筋の筋力がほとんど増大されないものとなり、この結果疲労低減となる。
次に、車線維持用アシストトルクの増大を抑制することによる疲労低減の理由について説明するが、基本的に、運転者20とシートバック13の間の横方向摩擦力が、横Gに基づく遠心力(横力)以上であれば、シートバック13によって運転者の上半身が旋回外側に移動する現象を防止でき、その分、前述した首(左右の胸鎖乳突筋)および右(旋回外側)の大腿四頭筋の筋力を増大させる必要のないものとなる。
上記横方向摩擦力は、次のようにして演算することができる。まず、図12に示すように、運転者20によるハンドル11の操舵トルクをTとし、その他のパラメータを図14に示すように意味づけする。このとき、運転者20の上半身の荷重mgのうち、シートバック13に垂直が作用する力がmg・sinθ1となる。また、ハンドル操舵力Tの反力が運転者20の腕を通してシートバック13に垂直に作用する成分が、F・cosθ2となる(F=T・3/r)。運転者20とシートバック13との横方向摩擦力Mは、次式で表される。
M=μ(mg・sigθ1+F・cosθ2)
上記横方向摩擦力Mが、運転者20の上半身に作用する横力Y以上であれば、運転者の上半身はシートバック13により保持されて、旋回外側に滑って移動してしまう事態が防止されることになる。横方向摩擦力Mは、運転者20が発揮する操舵トルクTが大きくなるほど大きくなる。そして、車線維持用アシストトルクの増大を抑制することにより、その分操舵トルクTが大きくなって、横方向摩擦力Mが大きくなる。このように、本発明では、運転者20の上半身がシートバック13から旋回方向外側に向けて滑り移動してしまう事態を防止あるいは低減して、その分この滑り移動を防止しようと働いていた首(左右の胸鎖乳突筋)および右(旋回外側)の大腿四頭筋の筋力が低減されることになる(疲労低減)。
図15は、操舵トルクTが、2.5Nmを下回ると、横方向摩擦力Mよりも横力Yが大きくなって、運転者20の姿勢を維持することが難しくなることを示している。なお、車線維持用アシストトルクの増大を抑制するときのしきい値としての横Gの大きさとして0.2Gを採択したのは、運転者20が標準体格で、運転席を標準位置とし、シートバック13の表皮が布製で、運転者20の上半身にまとった衣服も布製であることを前提としている。よって、上記所定値としての0.2Gはあくまで一例であり、車種等に応じて所定値としての横Gの大きさを変更することができる。
ここで、横Gが所定値以上となったときの車線維持用アシストトルクの増大抑制を、次のように行うこともできる。まず、横Gが所定値となった時点での車線維持用アシストトルクをそのまま保持することである(車線維持用アシストトルクのそれ以上の増大を規制)。次に、横方向摩擦力Mが横力Yと一致した時点での横Gを所定値として、このときの車線維持用アシストトルクを保持することである。勿論、上記以外にも、適宜の手法で車線維持用アシストトルクの増大を抑制することができる。
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能である。パワーアシスト装置としては、電動式に限らず、油圧式であってもよい。自車両の車線に対する横方向位置の検出は、カメラS3を利用する以外に、レーダ等の別のセンサを代替的にあるいは協働し使用したり、高精度のナビゲーション装置を利用したり、路車間通信による道路脇からのインフラ施設からの情報入手等によって行ったり、これらを組み合わせせて行う等、適宜選択できるものである。粘性トルクの決定のパラメータとしては、少なくとも操舵角速度が含まれていればよく、目標ヨーレートと実ヨーレートとの偏差や車速をパラメータとして有しない場合であってもよく、また、操舵角速度に加えて、上記偏差あるいは車速のいずれか一方をパラメータとして付加してもよい。また、粘性トルクは、連続可変式に変更する場合に限らず、段階的に変更するものであってもよい。この他、粘性トルクを用いない設定とすることもできる。ヒステリシス幅を、常に同じ大きさに設定するようにしてもよい。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
本発明は、車両の車線維持支援システムとして好適である。
11:ハンドル
13:シートバック
20:運転者
U:コントローラ(制御手段)
S1:舵角センサ
S2:トルクセンサ
S3:カメラ
S4:車速センサ
S5:ナビゲーション装置
S6:切替スイッチ(車線維持制御のON、OFF用)
S11:モータ(パワーアシスト用)
M:横方向摩擦力
Y:横力

Claims (4)

  1. 自車両が走行車線から逸脱するのを防止する方向への車線維持用アシストトルクを、運転者が打ち勝てる範囲の大きさで付与するようにした車線維持支援システムにおいて、
    自車両に作用する横Gを検出する横G検出手段と、
    前記横G検出手段で検出される横Gがあらかじめ設定された所定値以上のときに、運転者とシートバックとの間の横方向摩擦力が、横Gに基づいて運転者に作用する遠心力以上となるように、前記車線維持用アシストトルクの増大を抑制するアシストトルク補正手段と、
    を備えていることを特徴とする車線維持支援システム。
  2. 請求項1において、
    前記アシストトルク補正手段は、前記横G検出手段で検出される横Gが前記所定値以上のとき、横Gの増大に応じて車線維持用アシストトルクを演算するゲイン量を徐々に減少させる、ことを特徴とする車線維持支援システム。
  3. 請求項1において、
    前記アシストトルク補正手段は、前記横G検出手段で検出される横Gが前記所定値以上のとき、車線維持用アシストトルクを直前の車線維持用アシストトルクに保持させる、ことを特徴とする車線維持支援システム。
  4. 請求項1において、
    前記横方向摩擦力が、運転者の上半身の自重によりシートバックに作用する荷重と、ハンドルを握る腕を通してシートバックに作用する操舵反力とに基づいて決定される、ことを特徴とする車線維持支援システム。


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