JP6175984B2 - 鋼矢板及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、土木建築分野において、土止めや水止めに用いられる仮設用の鋼矢板に関するものである。
断面形状が、ハット形、U形、Z形、直線形、H形などであり、両端に連結部(継手)を有する鋼矢板は、土木建築の分野において土止め、止水用の鋼材として広く使用されている。鋼矢板には大きく分けて本設用、仮設用の二つがあり、本設用の鋼矢板は一度地面に打ち込んだ後は永久構造物として用いられるが、仮設用の鋼矢板は数回〜数10回程度、地面への打ち込み及び引き抜きが繰り返される。
本設用の鋼矢板は、嵌合された継手部が地中で外れないように、接合強度が求められる。特に、地中への打ち込みを行う際に、鋼矢板の連結部が変形すると接合強度が低下してしまうため、爪部の強度を高めた鋼矢板が提案されている(例えば、特許文献1〜4、参照)。しかし、特許文献1には具体的に爪部の強度を高める方法については記載されていない。
特許文献2の方法は、爪部に熱処理を施すものであり、特許文献3の方法は熱間圧延後に爪部を加速冷却するものであり、特許文献4の方法は550〜700℃に保持して析出強化させるものである。また、爪部の強度上昇を図ったものではなく、爪部の形状精度を高めるために、爪部を、一端、加速冷却してから、曲げ変形させる方法が提案されている(例えば、特許文献5、参照)。
特開昭60−219319号公報 特開昭63−083313号公報 特開2001−317044号公報 特開2003−313641号公報 特開2001−170701号公報
仮設用の鋼矢板は、地中への打ち込み(打設)及び引き抜きが繰り返し行われ、その際に鋼矢板が地中で曲がると連結部の一部に応力が集中し、特に、連結部の先端の爪部では鋼材同士の接触に起因する摩耗や変形が発生し易くなる。また、打設の際には爪部の内側に半閉塞空間が形成され、土砂が脱水・固化し、土砂による鋼材(爪部)の摩耗も著しくなる。このような要因で、打設に伴って鋼材が摩耗すると、鋼矢板の爪部は変形し易くなり、使用できる回数が減ってしまう。
一方、特許文献1〜4の爪部を強化した鋼矢板は、耐摩耗性は考慮されておらず、特に、爪部の内側の硬度を高めたものではない。また、特許文献2の方法は、根入れ部(鋼矢板を打ち込む際の地面側)のみを熱処理するものであり、冷却方法について油冷、矯正空冷、水冷が挙げられているものの、特に爪部の内側の冷却方法については記載されていない。熱間圧延後、オンラインで爪部を冷却するか又はオフラインで熱処理を施す特許文献3の方法、550〜700℃で加速冷却を停止して保特する特許文献4の方法についても同様である。特許文献5の方法は、爪部は800℃程度の高温から空冷されるため、爪部の内部の硬度は上昇しないと考えられる。
しかし、本発明者らの検討の結果、爪部を外側から加速冷却した場合、爪部の内側の硬度は上昇しないことがわかった。本発明は、このような実情に鑑み、特に、繰り返し打設される仮設用の鋼矢板にも適用できるように、爪部の摩耗、及び、これに伴う変形を防止した鋼矢板、並びに、その製造方法を提供するものである。
本発明では、鋼矢板の全体を加熱するか、若しくは、爪部のみを加熱し、又は、熱間圧延後、爪部の外側だけでなく、内側をも急冷することにより、半閉塞となる爪部の全断面の硬さを向上させ、耐摩耗性及び変形抵抗を向上させた鋼矢板である。また、本発明は、オンラインで爪部の外側及び内側を急冷するため、生産性を損なわずに、鋼矢板を製造することが可能である。
本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]
質量%で、
C:0.05〜0.18%、
Si:0.10〜0.50%、
Mn:0.5〜1.5%
を含有し、残部がFe及び不可避不純物からなる鋼矢板の爪先部及び首下部の、表面から0.5mmの位置におけるビッカース硬さが200Hv以上であることを特徴とする鋼矢板。
[2]
前記鋼矢板の爪先部及び首下部の、表面から0.4〜0.6mmの位置において、マルテンサイト及びベイナイトの面積分率が30%以上である金属組織を有することを特徴とする上記[1]に記載の鋼矢板。
[3]
質量%で、更に、
Cu:0.4%以下、
Ni:1.0%以下、
Nb:0.1%以下、
Mo:1.0%以下、
Cr:1.0%以下、
V:0.20%以下
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする上記[3]に記載の鋼矢板。
[4]
質量%で、
C:0.05〜0.18%、
Si:0.10〜0.50%、
Mn:0.5〜1.5%
を含有し、残部がFe及び不可避不純物からなる鋼矢板の爪部を、金属組織がオーステナイト単相又はオーステナイトとフェライトとの二相になる温度範囲内から加速冷却する、爪先部及び首下部の、表面から0.5mmの位置におけるビッカース硬さが200Hv以上である鋼矢板の製造方法であって、
熱間圧延後、700℃以上の温度から加速冷却を開始し、500℃以下で加速冷却を停止すると共に、前記加速冷却をスプレーによる水冷で前記爪部の内側及び外側から行うことを特徴とする鋼矢板の製造方法。
[5]
鋼矢板の成分が、質量%で、更に、
Cu:0.4%以下、
Ni:1.0%以下、
Nb:0.1%以下、
Mo:1.0%以下、
Cr:1.0%以下、
V:0.20%以下
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする上記[4]に記載の鋼矢板の製造方法。
[6]
前記鋼矢板の爪部を、金属組織がオーステナイト単相又はオーステナイトとフェライトとの二相になる温度範囲に加熱し、前記爪部の内側及び外側から加速冷却することを特徴とする上記[4]または[5]に記載の鋼矢板の製造方法。
[7]
金属組織がオーステナイトになる温度範囲で鋼片を熱間圧延して鋼矢板とし、そのまま、前記爪部の内側及び外側から加速冷却することを特徴とする上記[4]または[5]に記載の鋼矢板の製造方法。
[8]
鋼片を1100〜1350℃に加熱し、800〜950℃で熱間圧延を終了することを特徴とする上記[7]に記載の鋼矢板の製造方法。
本発明によれば、鋼材への合金添加や製品厚みの増加、加熱焼き入れ等をせずに、爪部の硬さ及び変形抵抗を向上させることができ、特に、繰り返し打設される仮設用の鋼矢板の爪部の摩耗及びこれに伴う変形を防止することが可能になる。また、鋼矢板の爪部を熱間加工で成形した後、オンラインで加速冷却を行うと、アズロール材と同等の生産性で鋼矢板を製造することができる。このように、本発明によれば、耐久性に優れた鋼矢板及びその製造方法を提供することが可能になり、産業上の貢献が極めて顕著である。
鋼矢板の爪部を説明する図である。 爪先部及び首下部の表面から0.5mmの位置を説明する図である。 加速冷却装置の一例を説明する図である。
本発明の鋼矢板について説明する。
図1に、本発明の鋼矢板1、及び、爪部2の図を示す。鋼矢板1の爪部2の断面の厚み方向の中央は、ほとんど鋼材の曲げ抵抗に寄与せず、耐摩耗性にも影響しない。一方、変形抵抗及び耐摩耗性(摩耗・変形抵抗ともいう)を向上させるためには、爪部2の表面近傍における硬さを向上させる必要がある。
特に、図1に示す爪部2の爪先部3及び首下部4は、鋼材同士の接触や土砂による摩耗が生じ易い部位である。また、爪部2の内側のうち、特に首下部4は最も加速冷却が難しく、この部位の硬さが確保できていれば、爪部2の内側全体で十分な耐摩耗性が得られる。そこで、爪先部3及び首下部4の表面から厚み方向に向かって0.5mmの位置のビッカース硬さを200Hv以上とすることで硬質な組織が増え、変形抵抗及び耐摩耗性が格段に向上する。ビッカース硬さが200Hv未満では、摩耗・変形抵抗を向上させる効果を十分に発揮できない。
爪部2の爪先部3及び首下部4の表面から厚み方向に向かって0.5mmの位置におけるビッカース硬さは、JIS Z 2244に準拠して測定する。図2に示すように、爪先部3に関するビッカース硬さは、爪先部3で最も曲率の小さい部分3aにおいて、鋼材の表面から厚み方向に向かって0.5mmの位置3bのビッカース硬さで定義される。すなわち、爪先部3で最も曲率の小さい部分3a(爪先部3の先端部分)において、鋼材の表面に対する法線方向3cについて、表面から深さが0.5mmの位置3bのビッカース硬さで定義される。同様に、首下部4に関するビッカース硬さは、首下部4で最も曲率の小さい部分4aにおいて、鋼材の表面から厚み方向に向かって0.5mmの位置4bのビッカース硬さで定義される。すなわち、首下部4で最も曲率の小さい部分4a(首下部4の最奥部分)において、鋼材の表面に対する法線方向4cについて、表面から深さが0.5mmの位置4bのビッカース硬さで定義される。
なお、爪先部3に関するビッカース硬さは、爪先部3で最も曲率の小さい部分3aの近傍において、部分3aを中心とする複数点について鋼材の表面から厚み方向に向かって0.5mmの位置のビッカース硬さをそれぞれ測定し、それら複数の測定値の最大値と最小値を除いた残りの測定値の平均値で求めることができる。同様に、首下部4に関するビッカース硬さは、首下部4で最も曲率の小さい部分4aの近傍において、部分4aを中心とする複数点について鋼材の表面から厚み方向に向かって0.5mmの位置のビッカース硬さをそれぞれ測定し、それら複数の測定値の最大値と最小値を除いた残りの測定値の平均値で求めることができる。なお、このように、平均値によって各ビッカース硬さを求める場合、爪先部3および首下部4において、それぞれ例えば10点測定を行い、最大値と最小値を除いた8点の平均値で求めることができる。
次に、本発明の鋼矢板1の爪部2の爪先部3及び首下部4の金属組織について説明する。
本発明の鋼矢板1の爪部2の爪先部3及び首下部4では、表層の硬度を高めるために、表面から0.4〜0.6mmの部位に硬い低温変態組織を生成させることが好ましい。特に、ビッカース硬さを200Hv以上にするためには、低温変態組織の分率を面積分率で30%以上にすることが好ましい。金属組織は、光学顕微鏡によって観察し、低温変態組織であるマルテンサイト及びベイナイトの面積分率を求める。マルテンサイト、ベイナイトの残部は、フェライトである。
次に、本発明の鋼矢板1の成分について説明する。なお、各成分の含有量は質量%である。
Cは、鋼の強度を高めるのに有効な元素であり、本発明では、強度を確保するために、C量の下限を0.05%以上とする。一方、Cを過剰に含有すると靱性が低下するため、本発明では、C量の上限を0.18%以下とする。強度と靱性とのバランスを向上させるには、C量の下限は0.10%以上が好ましい。
Siは、脱酸元素であり、含有量の下限値を0.10%以上とする。また、Siは強度を向上させる元素でもあり、0.20%以上を含有することが好ましい。一方、Si量が過剰になると靱性が劣化するため、Si量の上限を0.50%以下とする。
Mnは、鋼の焼入れ性を向上させる元素であり、強度及び靱性を確保するために有用である。本発明では、強度を確保するために、Mn量の下限を0.5%以上とする。一方、Mn量が過剰になると焼入れ性が増大して靱性が低下するため、本発明では、Mn量の上限を1.5%以下とする。強度と靱性とのバランスを向上させるには、Mn量の下限を0.80%以上にすることが好ましい。
さらに、必要に応じて、Cu、Ni、Nb、Mo、Cr、Vの1種又は2種以上を選択成分として添加してもよい。
Cuは、鋼中に固溶して強度を向上させる元素であり、0.05%以上を添加することが好ましい。一方、Cuを過剰に添加するとCuSの析出や表面性状の悪化を招くことがあるため、Cu量の上限を0.4%以下とすることが好ましい。
Niは、焼入れ性を高め、鋼中に固溶して強度及び靭性を向上させる元素であり、0.10%以上を添加することが好ましい。一方、Niは高価な元素であるため、含有量の上限を1.0%以下にすることが好ましい。なお、Cuを添加する場合、表面性状の劣化を防止するために、同時にNiを添加することが好ましい。
Nbは、鋼に固溶して焼入れ性を高め、また、CやNと析出物を生じて、鋼の強度を向上させる元素であり、十分な強度を確保するために0.005%以上を添加することが好ましい。一方、Nbを過剰に添加すると、溶接性が低下したり、高温強度の上昇に伴う圧延ロールの割損が懸念されるため、Nb量の上限は0.1%以下とすることが好ましい。
Moは、鋼中に固溶して強度を向上させる元素であり、0.10%以上を添加することが好ましい。一方、Moは高温強度を高める元素であり、過剰に添加すると変形抵抗が上昇し、ロールの割損が懸念されるため、Mo量の上限は1.0%以下が好ましい。
Crは、鋼の焼入れ性を高め、強度上昇に有効な元素であり、0.10%以上を添加することが好ましい。一方、Crを過剰に添加すると溶接部及び母材の靱性が劣化することがあるため、Cr量の上限を1.0%以下にすることが好ましい。
Vは、CやNと化合物を形成し、鋼材の強度を向上させる元素であり、0.05%以上を添加することが好ましい。一方、Vを過剰に添加すると、母材の靱性に悪影響を及ぼすことがあるため、V量の上限を0.20%以下にすることが好ましい。
次に、本発明の鋼矢板1の製造方法について説明する。
本発明の鋼矢板1は、爪部2の金属組織がオーステナイト単相又はオーステナイトとフェライトとの二相になる温度から、爪部2の内側及び外側から加速冷却を行い、表層の硬さを上昇させたものである。オフラインで爪部2又は鋼矢板1全体を加熱し、加速冷却を行ってもよいが、生産性を考慮すると、熱間圧延後、そのまま、オンラインで加速冷却を行うことが好ましい。
加速冷却は、爪部2の外側及び内側から行うことが必要であり、例えば、図3に示すように、鋼矢板1の爪部2の形状に応じてノズル10を配置した冷却設備を用いることができる。鋼矢板1の摩耗や変形が進行し易いのは、長手方向の端部に相当する根入れ部であり、この部分にのみ加速冷却を施すこともできる。しかし、仮設用の鋼矢板1の場合、長手方向で使用できなくなった部分を切り捨て、他の鋼矢板に溶接し、再使用することがあるため、鋼矢板1の全長で加速冷却を実施することが好ましい。
オフラインで熱処理を施す場合は、加熱炉や高周波加熱装置の後に冷却装置を配置する。熱間圧延後、オンラインで加速冷却を行う場合、圧延中に冷却をすると爪部形成時の変形抵抗が増加するので爪曲げ整形後に冷却することが望ましい。そのため、冷却設備を仕上圧延機の前後に設置し、オンラインでの加速冷却を実施すればよい。生産性を考慮すれば、オンラインで加速冷却を行うことが好ましい。
また、熱間圧延後の鋼矢板1、又は、全体若しくは爪部2を加熱した鋼矢板1を水槽に浸漬して、加速冷却を施すこともできる。なお、鋼矢板1が長尺である場合は、浸漬する前に、水槽のサイズに応じて、鋼矢板1を切断しておくことが必要になる。ただし、鋼矢板1全体を加熱し、水槽に浸漬すると変形が生じることがあるため、加速冷却は図3に示す冷却設備によって行うことが好ましい。
加速冷却を開始する温度は、金属組織がオーステナイト単相となる温度域(オーステナイト単相域)、又は、オーステナイトとフェライトとの二相となる温度域(二相域)とする。十分な焼入れ効果を得て、ビッカース硬さを上昇させるためにはオーステナイト単相域から加速冷却を行うことが望ましい。
また、加速冷却を開始する温度は、700℃以上が好ましい。これは、加速冷却の開始温度が700℃未満になると、成分組成によってはフェライト変態が進行して、爪部2の表層の硬度が低下する場合があるためである。オフラインで熱処理を施す場合は、オーステナイト単相域又は二相域に加熱し、加速冷却を行う。熱間圧延後、オンラインで加速冷却を行う場合は、加熱することもできるが、生産性の観点から、そのまま加速冷却することが好ましい。
加速冷却の停止温度は500℃以下が好ましい。これは、爪部2の表層付近に硬質な低温変態組織をより多く生成させることで硬さを上昇させるためである。
加速冷却前の鋼矢板1の製造方法は、常法でよい。製鋼工程では溶鋼の化学成分を調整した後、鋳造し、鋼片を得る。生産性の観点から、鋳造は連続鋳造が好ましい。また、鋼片の厚みは生産性の観点から200mm以上とすることが好ましく、偏析の低減や加熱に要する時間を考慮すると350mm以下が望ましい。
鋼矢板1は、鋼片を熱間圧延して製造し、強度及び靱性を確保するために、圧下温度、圧下率を制御する制御圧延を行うことが好ましい。
鋼片の加熱温度は、低すぎると圧延中に鋼材の温度が低下し、変形抵抗が高くなりすぎるため、1100℃以上とすることが好ましい。一方、鋼片の加熱温度が1350℃を超えると、加熱装置の負荷が増大し、鋼片の表面に生成するスケールが増加するため、上限を1350℃以下とすることが好ましい。
熱間圧延では、仕上温度を800〜950℃とすることが好ましい。仕上温度が950℃を超えると、組織が粗大となり、靭性が低下することがある。一方、仕上温度が800℃未満になると、フェライト変態が促進され、爪部2を加速冷却しても、十分に表層の硬度が上昇しない場合がある。なお、加速冷却の開始温度が900℃を超えると、加速冷却に時間がかかり、生産性が低下する可能性があるため、オンラインで加速冷却を行う場合は熱間圧延の終了温度を900℃以下とすることが好ましい。
オフラインで鋼矢板1全体を加熱する場合は、加熱温度によって特性が制御されるため、特に熱間圧延の条件を限定しない。オフラインで、鋼矢板1全体又は爪部2を加熱し、加速冷却を行う場合、加熱温度は、700℃以上が好ましい。これは、加熱温度が700℃未満であると、フェライトが増加して爪部2の表層のビッカース硬さが低下する場合があるためである。なお、加速冷却に要する時間を短縮し、生産性を高めるには、加熱温度を900℃以下にすることが好ましい。
なお、図1では、U形の鋼矢板1を例示したが、本発明は、ハット形、U形、Z形、直線形、H形など、他の断面形状の鋼矢板についても同様に適用される。
表1に示す成分を有する鋼片を連続鋳造にて製造した。得られた鋼片を加熱炉にて昇温後、表2に示す条件で熱間圧延し、No.1〜12は爪部の内側及び外側から図3に示す装置を用いて加速冷却した。加速冷却はスプレーによる水冷で行った。No.13は熱間圧延後、空冷した例であり、No.14は図3に示す装置で爪部の外側のみから加速冷却を行った例である。
爪部の爪先部及び首下部から試料を採取し、表面から0.4〜0.6mmの部位の金属組織を観察し、表面から0.5mmの位置でビッカース硬さを測定した。ビッカース硬さは、JIS Z 2244に準拠して測定を行った。首下部は厚みが薄く、摩耗試験片の採取が困難であったため、得られた鋼矢板の爪部よりガウジング摩耗試験片を採取し、摩耗量を測定した。
No.1〜12は、いずれも硬さはHv200以上であり、硬さの増加に伴って摩耗量が軽減されていた。このことから、実施例では十分な耐摩耗性・変形抵抗を示すと考えられる。ただし、No.8はC、Si、Mn以外の合金元素を添加しておらず、No.9はSi量がやや少なく、No.10はMn量がやや少なく、No.11はC量がやや少ない。また、No.12は加速冷却の停止温度がやや高い。これらは、硬さも200Hvをわずかに超える程度であり、No.1〜8に比べて耐摩耗性がやや劣っている。
一方、No.13及び14は比較例である。No.13は加速冷却を行わずに空冷した例であり、No.14は爪部の外側からのみ加速冷却を行った例であり、いずれも爪部の爪先部及び首下部の硬さがHv200に到達しておらず、摩耗量も実施例に比べると多い。特にNo.14は、爪部の爪先部に比べて首下部の硬さが低く、首下部の摩耗量は爪先部よりも増加すると予想される。
Figure 0006175984
Figure 0006175984

Claims (8)

  1. 質量%で、
    C:0.05〜0.18%、
    Si:0.10〜0.50%、
    Mn:0.5〜1.5%
    を含有し、残部がFe及び不可避不純物からなる鋼矢板の爪先部及び首下部の、表面から0.5mmの位置におけるビッカース硬さが200Hv以上であることを特徴とする鋼矢板。
  2. 前記鋼矢板の爪先部及び首下部の、表面から0.4〜0.6mmの位置において、マルテンサイト及びベイナイトの面積分率が30%以上である金属組織を有することを特徴とする請求項1に記載の鋼矢板。
  3. 質量%で、更に、
    Cu:0.4%以下、
    Ni:1.0%以下、
    Nb:0.1%以下、
    Mo:1.0%以下、
    Cr:1.0%以下、
    V:0.20%以下
    の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の鋼矢板。
  4. 質量%で、
    C:0.05〜0.18%、
    Si:0.10〜0.50%、
    Mn:0.5〜1.5%
    を含有し、残部がFe及び不可避不純物からなる鋼矢板の爪部を、金属組織がオーステナイト単相又はオーステナイトとフェライトとの二相になる温度範囲内から加速冷却する、爪先部及び首下部の、表面から0.5mmの位置におけるビッカース硬さが200Hv以上である鋼矢板の製造方法であって、
    熱間圧延後、700℃以上の温度から加速冷却を開始し、500℃以下で加速冷却を停止すると共に、前記加速冷却をスプレーによる水冷で前記爪部の内側及び外側から行うことを特徴とする鋼矢板の製造方法。
  5. 鋼矢板の成分が、質量%で、更に、
    Cu:0.4%以下、
    Ni:1.0%以下、
    Nb:0.1%以下、
    Mo:1.0%以下、
    Cr:1.0%以下、
    V:0.20%以下
    の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項4に記載の鋼矢板の製造方法。
  6. 前記鋼矢板の爪部を、金属組織がオーステナイト単相又はオーステナイトとフェライトとの二相になる温度範囲に加熱し、前記爪部の内側及び外側から加速冷却することを特徴とする請求項4または5に記載の鋼矢板の製造方法。
  7. 金属組織がオーステナイトになる温度範囲で鋼片を熱間圧延して鋼矢板とし、そのまま、前記爪部の内側及び外側から加速冷却することを特徴とする請求項4または5に記載の鋼矢板の製造方法。
  8. 鋼片を1100〜1350℃に加熱し、800〜950℃で熱間圧延を終了することを特徴とする請求項7に記載の鋼矢板の製造方法。
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