JP6175781B2 - 成形材料および繊維強化複合材料 - Google Patents

成形材料および繊維強化複合材料 Download PDF

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Description

本発明は、耐熱性、弾性率、伸度に優れるエポキシ樹脂硬化物を与える、エポキシ樹脂組成物、およびそれを用いた成形材料ならびに繊維強化複合材料に関する。
炭素繊維やアラミド繊維などを強化繊維として用いた繊維強化複合材料は、その高い比強度、比弾性率を利用して、航空機や自動車などの構造材料や、テニスラケット、ゴルフシャフト、釣り竿、自転車、筐体などのスポーツ、一般産業用途などに広く利用されている。繊維強化複合材料の製造方法には、強化繊維に未硬化のマトリックス樹脂が含浸されたシート状の成形材料であるプリプレグを複数枚積層した後、加熱硬化させる方法や、モールド中に配置した強化繊維に液状の樹脂を流し込み加熱硬化させるレジントランスファーモールディング法などが用いられている。これらの製造方法のうちプリプレグを用いる方法は、強化繊維の配向を厳密に制御でき、また積層構成の設計自由度が高いことから、高性能な繊維強化複合材料を得やすい利点がある。このプリプレグに用いられるマトリックス樹脂としては、耐熱性や生産性の観点から、主に熱硬化性樹脂が用いられ、中でも強化繊維との接着性などの力学特性の観点からエポキシ樹脂が好ましく用いられる。
繊維強化複合材料は、近年、さらなる軽量化が求められるゴルフシャフト、釣竿、自転車、自動車用部材、産業用部材等の要求に答えるために、各種物性の向上が求められるようになってきた。また、自転車のリム、自動車部材、産業用部材等の用途では、さらなる耐熱性向上が求められている。
繊維強化複合材料の耐熱性と圧縮強度を向上させる方法として、テトラグリシジルアミン型エポキシ樹脂とジシアンジアミドをマトリックス樹脂に適用する方法がある。この方法で調製されたエポキシ樹脂組成物は、優れた耐熱性と弾性率を有するため、優れた耐熱性と圧縮強度を有する繊維強化複合材料を与えるものの、樹脂硬化物の伸度が低下するため、引張強度が不足するという問題がある(特許文献1)。
繊維強化複合材料の耐熱性、圧縮強度、引張強度を向上させる方法として、アミン型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルスルホン、ジシアンジアミドをマトリックス樹脂として適用する方法がある。この方法で調製されたエポキシ樹脂組成物は、優れた圧縮強度と引張強度を有する繊維強化複合材料を与えるものの、近年求められている耐熱性を満足するものではなかった(特許文献2)。
さらに繊維強化複合材料の耐熱性を向上する方法としては、剛直骨格を有するエポキシ樹脂を用いる方法がある(特許文献3)。この方法では、2官能のナフタレン型エポキシ樹脂などの剛直骨格を有するエポキシ樹脂を用いて、優れた耐熱性を有する繊維強化複合材料が得られているが、この方法でも、得られる樹脂硬化物の伸度が不十分であったため、耐熱性と強度が十分でなかった。
また、さらに繊維強化複合材料の耐熱性と強度を向上させる方法としては、ビナフタレン型エポキシ樹脂を用いる方法がある(特許文献4)。この方法では、近年の要求を満足する耐熱性を有する樹脂硬化物は得られるものの、その伸度が充分でないため、得られる繊維強化複合材料の引張強度が十分でなかった。
特開2000−017090号公報 特開2010−053278号公報 特開2003−096158号公報 特開2005−298815号公報
本発明は、耐熱性、弾性率、伸度に優れるエポキシ樹脂硬化物を与える、エポキシ樹脂組成物、およびそれを用いた成形材料ならびに繊維強化複合材料を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、3官能以上のビナフタレン型エポキシ樹脂に特定のエポキシ樹脂を組み合わせることにより、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち本発明は、以下の構成からなる。
(1)下記[A]〜[C]を含むエポキシ樹脂組成物と炭素繊維を含む、成形材料。
[A]3官能以上のビナフタレン型エポキシ樹脂
[B]ビフェニル型エポキシ樹脂(下記式(IV)で示されるエポキシ樹脂に限る。)、および/または2個を超えるエポキシ基を有する脂肪族エポキシ樹脂
[C]ジシアンジアミドまたはジアミノジフェニルスルホン。
Figure 0006175781
Figure 0006175781
(式(IV)中、Gは上記の一般式(III)で示される基であり、それぞれのベンゼン環にひとつずつ付加していれば、いずれの場所に付加しても良い。R,Rは、炭素数が1〜4のアルキル基、またはフェニル基、ハロゲン原子のいずれかを表す。それぞれのRは互いに同一であっても異なっていても良い。)
(2)エポキシ樹脂の全成分100質量部に対して、構成要素[A]を10〜50質量部含む、上記(1)に記載の成形材料
(3)エポキシ樹脂の全成分100質量部に対して、構成要素[B]のビフェニル型エポキシ樹脂を5〜35質量部含む、上記(1)または(2)のいずれかに記載の成形材料
(4)エポキシ樹脂の全成分100質量部に対して、構成要素[B]の2個を超えるエポキシ基を有する脂肪族エポキシ樹脂を3〜20質量部含む、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の成形材料
)[D]硬化促進剤を含む、上記(1)〜()のいずれかに記載の成形材料
)構成要素[D]が、ウレア化合物である、上記()に記載の成形材料
)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の成形材料を成形して得られる、繊維強化複合材料。
本発明によれば、耐熱性、弾性率、伸度に優れるエポキシ樹脂を与える、エポキシ樹脂組成物が得られる。すなわち、本発明のエポキシ樹脂組成物は、自転車リム材や自動車用部材、産業用部材に優れた耐熱性と強度を有する繊維強化複合材料を提供できる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。本発明の成形材料は、次の構成要素[A]〜[C]を含むエポキシ樹脂組成物と炭素繊維を含む、成形材料である。
[A]3官能以上のビナフタレン型エポキシ樹脂
[B]ビフェニル型エポキシ樹脂(上記式(IV)で示されるエポキシ樹脂に限る。)、および/または2個を超えるエポキシ基を有する脂肪族エポキシ樹脂
[C]ジシアンジアミドまたはジアミノジフェニルスルホン。
構成要素[A]の3官能以上のビナフタレン型エポキシ樹脂は、樹脂硬化物に優れた耐熱性を与えるために必要な要素であり、次の一般式(I)で示されるエポキシ樹脂である。
Figure 0006175781
(式中、Xは、炭素数が1〜8のアルキレン基または下記の一般式(II)で示される基のいずれかを表す。R〜Rは、下記の一般式(III)で示される基、水素原子、ハロゲン原子、フェニル基、炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。R〜Rは、ナフタレン骨格のいずれの環に付加してもよく両リングに同時に付加してもよい。Rは、ベンゼン骨格のいずれの場所に付加してもよい。R〜Rのうち、平均して少なくとも3つ以上の下記の一般式(III)で示される基を含む必要があり、それ以外のRは、それぞれ互いに同一であっても異なっていてもよい。)
Figure 0006175781
Figure 0006175781
本発明で用いられる一般式(I)で示されるエポキシ樹脂は、どのような製造方法で得られるものであってもよいが、例えば、ヒドロキシナフタレン類とエピハロヒドリンとの反応により得ることができる。
また、かかる構成要素[A]は、全エポキシ樹脂100質量部に対して、10〜50質量部含むことが好ましく、より好ましくは15〜30質量部である。構成要素[A]が10質量部以上であると、樹脂硬化物の耐熱性に優れるため好ましい。一方、構成要素[A]が50質量部以下であると、樹脂硬化物の伸度と弾性率に優れるため好ましい。
構成要素[A]の市販品としては、“エピクロン(登録商標)”EXA−4701、HP−4700、HP−4710、EXA−4750(以上、DIC(株)製)等が挙げられる。
構成要素[B]はビフェニル型エポキシ樹脂、および/または2個を超えるエポキシ基を有する脂肪族エポキシ樹脂である。これらは、単独で使用しても良いし、組み合わせて使用しても良い。
かかるビフェニル型エポキシ樹脂は、下記式(IV)で示されるエポキシ樹脂であり、優れた耐熱性、弾性率、伸度のバランスに優れた樹脂硬化物を与える。
Figure 0006175781
(式中、Gは上記の一般式(III)で示される基であり、それぞれのベンゼン環にひとつずつ付加していれば、いずれの場所に付加しても良い。R,Rは、炭素数が1〜4のアルキル基、またはフェニル基、ハロゲン原子のいずれかを表す。それぞれのRは互いに同一であっても異なっていても良い。)
かかるビフェニル型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”YX4000H、YX4000、YL6616(以上、三菱化学(株)製)が挙げられる。
構成要素[B]の2個を超えるエポキシ基を有する脂肪族エポキシ樹脂は、樹脂硬化物に優れた伸度を与える。かかる2個を超えるエポキシ基を有する脂肪族エポキシ樹脂としては、例えば、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテルなどを使用することができる。
また、かかる2個を超えるエポキシ基を有する脂肪族エポキシ樹脂は、全エポキシ樹脂100質量部に対して、3〜20質量部含むことが好ましく、より好ましくは5〜15質量部である。かかる2個を超えるエポキシ基を有する脂肪族エポキシ樹脂が3質量部以上であると、樹脂硬化物の伸度に優れるため好ましい。一方、かかる2個を超えるエポキシ基を有する脂肪族エポキシ樹脂が20質量部以下であると、樹脂硬化物の耐熱性と弾性率に優れるため好ましい。
かかる2個を超えるエポキシ基を有する脂肪族エポキシ樹脂の市販品としては、“デナコール(登録商標)”EX−313、EX−314、EX−321、EX−411、EX−421、EX−512、EX−521、EX−611、EX−612、EX−614、EX−614B、EX−622(以上、ナガセケムテックス(株)製)等が挙げられる。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物には、本発明の効果を失わない範囲で、構成要素[A]、[B]以外エポキシ樹脂を配合することができ、好ましい配合量は、全エポキシ樹脂100質量部に対して、80質量部以下であり、より好ましくは70質量部以下である。これらは1種類だけでなく、複数種組み合わせて添加しても良い。具体的には、ビスフェノール型エポキシ樹脂、アミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、2官能以下の脂肪族エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレンアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂などが挙げられる。
ビスフェノール型エポキシ樹脂として、ビスフェノール化合物の2つのフェノール性水酸基をエピクロルヒドリンと反応させグリシジルオキシ基に変換されたものであれば特に限定されるものではなく、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールS型、もしくはこれらビスフェノールのハロゲン、アルキル置換体、水添品等が用いられる。また、単量体に限らず、複数の繰り返し単位を有する高分子量体も好ましく使用することができる。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”825、828、834、1001、1002、1003、1003F、1004、1004AF、1005F、1006FS、1007、1009、1010(以上、三菱化学(株)製)などが挙げられる。臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、“jER(登録商標)”505、5050、5051、5054、5057(以上、三菱化学(株)製)などが挙げられる。水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、ST5080、ST4000D、ST4100D、ST5100(以上、新日鉄住金化学(株)製)などが挙げられる。
ビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”806、807、4002P、4004P、4007P、4009P、4010P(以上、三菱化学(株)製)、“エポトート(登録商標)”YDF2001、YDF2004(以上、新日鉄住金化学(株)製)などが挙げられる。テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、YSLV−80XY(新日鉄住金化学(株)製)などが挙げられる。
ビスフェノールS型エポキシ樹脂としては、“エピクロン(登録商標)”EXA−1514(DIC(株)製)などが挙げられる。
アミン型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、テトラグリシジルジアミノジフェニルスルホン、トリグリシジルアミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾール、テトラグリシジルキシリレンジアミン、グリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジンや、これらのハロゲン、アルキル置換体、水添品などを使用することができる。
テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンとしては、“スミエポキシ(登録商標)”ELM434(住友化学(株)製)、YH434L(新日鉄住金化学(株)製)、“jER(登録商標)”604(三菱化学(株)製)、“アラルダイド(登録商標)”MY720、MY721(ハンツマン(株)製)等を使用することができる。テトラグリシジルジアミノジフェニルスルホンとして、TGDDS(小西化学(株)製)等を使用することができる。トリグリシジルアミノフェノールまたはトリグリシジルアミノクレゾールとしては、“スミエポキシ(登録商標)”ELM100、ELM120(住友化学(株)製)、“アラルダイド(登録商標)”MY0500、MY0510、MY0600(ハンツマン(株)製)、“jER(登録商標)”630(三菱化学(株)製)等を使用することができる。テトラグリシジルキシリレンジアミンおよびその水素添加品として、“TETRAD(登録商標)”−X、“TETRAD(登録商標)”−C(三菱ガス化学(株)製)等を使用することができる。グリシジルアニリンとしては、GAN(日本化薬(株)製)等を使用することができる。ジグリシジルトルイジンとしては、GOT(日本化薬(株)製)等を使用することができる。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては“エピコート(登録商標)”152、154(以上、三菱化学(株)製)、“エピクロン(登録商標)”N−740、N−770、N−775(以上、DIC(株)製)などが挙げられる。
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、“エピクロン(登録商標)”N−660、N−665、N−670、N−673、N−695(以上、DIC(株)製)、EOCN−1020、EOCN−102S、EOCN−104S(以上、日本化薬(株)製)などが挙げられる。
2官能以下の脂肪族エポキシ樹脂の具体例としては、“デナコール(登録商標)”EX−111、121、141、145、146、147、171、192、201、211、212、252、810、811、821、830、832、841、850、851、861、911、920、931、941(以上、ナガセケムテックス(株)製)などが挙げられる。
ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂の市販品としては、NC−3000、3000L(日本化薬(株)製)などが挙げられる。
ナフタレンアラルキル型エポキシ樹脂としては、“エポトート(登録商標)”ESN−155、ESN−355、ESN−375、ESN−475V、ESN−485、ESN−175(以上、新日鉄住金化学(株)製)、NC−7000、NC−7300、NC−7300L(以上、日本化薬(株)製)などが挙げられる。
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂の市販品としては“エピクロン(登録商標)”HP7200、HP−7200L、HP−7200H、HP−7200HH、HP−7200HHH(以上、DIC(株)製)、Tactix558(ハンツマン(株)製)、XD−1000−1L、XD−1000−2L(以上、日本化薬(株)製)などが挙げられる。
ウレタン変性エポキシ樹脂の市販品としては、オキサゾリドン環を有するAER4152(旭化成エポキシ(株)製)やACR1348(ADEKA(株)製)などが挙げられる。
テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”1031(三菱化学(株)製)、GTR−1800(日本化薬(株)製)などが挙げられる。
トリフェニルメタン型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”1032S50(三菱化学(株)製)、“タクチックス(登録商標)”742(ハンツマン(株)製)、EPPN−501H(日本化薬(株)製)などが挙げられる。
フルオレン型エポキシ樹脂の市販品としては、PG−100、CG−200、EG−200(大阪ガスケミカル(株)製)、LME10169(ハンツマン(株)製)などが挙げられる。
中でも、構成要素[A]、[B]以外のエポキシ樹脂として、弾性率、耐熱性、靱性および撓み量のバランスが良いことから、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、またはビスフェノールS型エポキシ樹脂を含んでいることが好ましい。さらに耐熱性の面から、平均エポキシ当量が小さいビスフェノール型エポキシ樹脂を用いることが、樹脂硬化物の架橋密度が高くなり、樹脂硬化物の耐熱性が向上するため、好ましい。
また、構成要素[A]、[B]以外のエポキシ樹脂として、耐熱性と弾性率のバランスが良いことから、アミン型エポキシ樹脂を含んでいることが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、硬化剤[C]はエポキシ樹脂組成物を硬化させるために必要である。
かかる構成要素[C]としては、芳香族アミンや、脂肪族アミンなどのアミン類、酸無水物類、ポリアミノアミド類、有機酸ヒドラジド類、フェノール樹脂、イソシアネート類、およびジシアンジアミド類などが挙げられる。
中でも、本発明のエポキシ樹脂組成物の構成要素[C]として、ジシアンジアミドまたはその誘導体を用いることが好ましい。ジシアンジアミドまたはその誘導体は、低温での硬化性、弾性率、耐熱性のバランスに優れ、エポキシ樹脂組成物の保存安定性にも優れる。ジシアンジアミドの誘導体とは、ジシアンジアミドに各種化合物を結合させたものであり、エポキシ樹脂との反応物、ビニル化合物やアクリル化合物との反応物などが挙げられる。
ジシアンジアミドの市販品としては、DICY−7、DICY−15(以上、三菱化学(株)製)などが挙げられる。
さらに、構成要素[C]として、ジアミノジフェニルスルホンを用いることが好ましい。ジアミノジフェニルスルホンを用いることで、樹脂硬化物に高い耐熱性を与える。
ジアミノジフェニルスルホンは、微粒子状のものを使用することが好ましい。ジアミノジフェニルスルホンには芳香環上のアミノ基の置換位置により、構造異性体が存在する。本発明においては、いずれの異性体も使用することができるが、異性体の種類を選択することにより、マトリックス樹脂、および得られる複合材料の特性を制御することができる。例えば、3,3’−ジアミノジフェニルスルホンを用いると、4,4’−ジアミノジフェニルスルホンを用いた場合に比べて、弾性率と伸度が向上する。
さらに、本発明のエポキシ樹脂組成物の構成要素[C]の総量は、エポキシ樹脂全成分のエポキシ基1当量に対し、活性水素基が0.6〜1.0当量の範囲となる量を含むことが好ましい。ここで、活性水素基とは、エポキシ基と反応しうる官能基を意味する。構成要素[C]の活性水素基の総量が、エポキシ樹脂全成分のエポキシ基1当量に対し0.6当量以上の場合は、樹脂硬化物の耐熱性が向上する傾向にある。また、構成要素[B]の活性水素基の総量がエポキシ樹脂全成分のエポキシ基1当量に対し、活性水素基が1.0当量以下である場合、未反応のまま残る構成要素[C]が少なく、欠陥が少なくなる。
構成要素[C]は、構成要素[D]の硬化促進剤と組み合わせて用いても良い。組み合わせる構成要素[D]としては、ウレア類、第三級アミン類とその塩類、イミダゾールとその塩類、リン系硬化促進剤、カルボン酸金属塩や、ルイス酸類やブレンステッド酸類とその塩類などが挙げられる。かかる構成要素[D]として、本発明の効果を失わない範囲であれば、これら以外のその他の硬化促進剤との組み合わせが含まれていても良い。
かかるウレア化合物としては、例えば、N,N-ジメチル-N’-(3,4-ジクロロフェニル)ウレア、トルエンビス(ジメチルウレア)、4,4’-メチレンビス(フェニルジメチルウレア)、3-フェニル-1,1-ジメチルウレアなどを使用することができる。ウレア化合物の市販品としては、DCMU99(保土ヶ谷化学(株)製)、“Omicure(登録商標)”24、52、94(以上、CVC SpecialtyChemicals,Inc.製)などが挙げられる。
イミダゾール類の市販品としては、2MZ、2PZ、2E4MZ(以上、四国化成(株)製)などが挙げられる。ルイス酸触媒としては、三フッ化ホウ素・ピペリジン錯体、三フッ化ホウ素・モノエチルアミン錯体、三フッ化ホウ素・トリエタノールアミン錯体、三塩化ホウ素・オクチルアミン錯体などのハロゲン化ホウ素と塩基の錯体が挙げられる。
構成要素[C]としてジシアンジアミドまたはその誘導体を用いる場合は、構成要素[D]としてウレア化合物を組み合わせることが好ましい。ジシアンジアミドまたはその誘導体とウレア化合物との組み合わせは、成形性と保存安定性に優れ、ジシアンジアミドを単独で用いるよりもエポキシ樹脂とジシアンジアミドとの反応が促進し、樹脂硬化物の耐熱性が向上する。
かかる構成要素[D]は、エポキシ樹脂全成分100質量部に対して、2〜5質量部含むことが好ましい。かかる[D]の配合量が2質量部以上である場合は、反応が充分に進行し、樹脂硬化物の弾性率と耐熱性が向上する傾向にある。また、構成要素[D]の配合量が5質量部以下である場合は、エポキシ樹脂の自己重合反応が抑えられる。
本発明によるエポキシ樹脂組成物には、レオロジー特性の制御、後述するプリプレグのタック制御、樹脂硬化物の弾性率や靭性の向上、また繊維強化複合材料における強化繊維とマトリックス樹脂との接着性向上などの改良効果をもたせるために、熱可塑性樹脂を含んでもよい。熱可塑性樹脂は、エポキシ樹脂の全成分100質量部に対して0.1〜15質量部含むことが好ましい。かかる範囲で熱可塑性樹脂を配合することで、上記効果が充分に得られる傾向にある。
熱可塑性樹脂としては、エポキシ樹脂に可溶性の熱可塑性樹脂や、ゴム粒子および熱可塑性樹脂粒子等の有機粒子等を配合することができる。エポキシ樹脂に可溶性の熱可塑性樹脂としては、エポキシ樹脂組成物と強化繊維との接着性改善効果が期待できる水素結合性の官能基を有する熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。
エポキシ樹脂可溶で、水素結合性官能基を有する熱可塑性樹脂として、アルコール性水酸基を有する熱可塑性樹脂、アミド結合を有する熱可塑性樹脂やスルホニル基を有する熱可塑性樹脂を使用することができる。
アルコール性水酸基を有する熱可塑性樹脂としては、ポリビニルホルマールやポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール、フェノキシ樹脂を挙げることができる。また、アミド結合を有する熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリイミド、ポリビニルピロリドンを挙げることができる。さらに、スルホニル基を有する熱可塑性樹脂としては、ポリスルホンを挙げることができる。ポリアミド、ポリイミドおよびポリスルホンは主鎖にエーテル結合、カルボニル基などの官能基を有してもよい。ポリアミドは、アミド基の窒素原子に置換基を有してもよい。
エポキシ樹脂可溶で、水素結合性官能基を有する熱可塑性樹脂の市販品としては、ポリビニルアセタール樹脂として、デンカブチラールおよび“デンカホルマール(登録商標)”(電気化学工業(株)製)、“ビニレック(登録商標)”(jNC(株)製)、フェノキシ樹脂として、“UCAR(登録商標)”PKHP(ユニオンカーバイド社製)、ポリアミド樹脂として“マクロメルト(登録商標)”(ヘンケルジャパン(株)製)、“アミラン(登録商標)”(東レ(株)製)、ポリイミドとして“ウルテム(登録商標)”(ジェネラル・エレクトリック社製)、ポリスルホンとして“Victrex(登録商標)”(三井化学(株)製)、“UDEL(登録商標)”(ユニオンカーバイド社製)、ポリエーテルスルホンとして、“スミカエクセル(登録商標)”(住友化学(株)製)、ポリビニルピロリドンとして、“ルビスコール(登録商標)”(ビーエーエスエフジャパン(株)製)を挙げることができる。
また、アクリル系樹脂はエポキシ樹脂との相溶性が高く、粘弾性制御のために好ましく用いられる。アクリル樹脂の市販品を例示すると、“ダイヤナール(登録商標)”BRシリーズ(三菱レイヨン(株)製)、“マツモトマイクロスフェアー(登録商標)”M,M100,M500(以上、松本油脂製薬(株)製)などを挙げることができる。
ゴム粒子としては、架橋ゴム粒子、および架橋ゴム粒子の表面に異種ポリマーをグラフト重合したコアシェルゴム粒子が、取り扱い性等の観点から好ましく用いられる。
架橋ゴム粒子の市販品としては、カルボキシル変性のブタジエン−アクリロニトリル共重合体の架橋物からなるFX501P(JSR(株)製)、アクリルゴム微粒子からなるCX−MNシリーズ(日本触媒(株)製)、YR−500シリーズ(新日鉄住金化学(株)製)等を使用することができる。
コアシェルゴム粒子の市販品としては、例えば、ブタジエン・メタクリル酸アルキル・スチレン共重合物からなる“パラロイド(登録商標)”EXL−2655(クレハ(株)製)、アクリル酸エステル・メタクリル酸エステル共重合体からなる“スタフィロイド(登録商標)”AC−3355、TR−2122(武田薬品工業(株)製)、アクリル酸ブチル・メタクリル酸メチル共重合物からなる“PARALOID(登録商標)”EXL−2611、EXL−3387(Rohm&Haas社製)、“カネエース(登録商標)”MXシリーズ(カネカ(株)製)等を使用することができる。
熱可塑性樹脂粒子としては、ポリアミド粒子やポリイミド粒子が好ましく用いられ、ポリアミド粒子の市販品として、SP−500(東レ(株)製)、“オルガソール(登録商標)”(アルケマ社製)等を使用することができる。
さらに、本発明のエポキシ樹脂組成物には、本発明の効果が失われない範囲において、無機粒子を配合することができる。無機粒子としては、金属酸化物、金属、鉱物などが挙げられ、これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。無機粒子は、得られる硬化物の機能向上および機能付与に用いられ、具体的な機能としては、表面硬度、アンチブロッキング、耐熱性、バリア性、導電性、帯電防止性、電磁波吸収、紫外線カット、強靱化、耐衝撃性、低熱線膨張などが挙げられる。金属酸化物としては、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化錫、フッ素ドープ酸化スズ、などが挙げられる。金属としては、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、亜鉛、ステンレスなどが挙げられる。鉱物としては、モンモリロナイト、タルク、マイカ、ベーマイト、カオリン、スメクタイト、ゾノライト、バーキュライト、セリサイトなどの粘土鉱物が挙げられる。その他には、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブなどの炭素化合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスバルーンなどの各種ガラス、などのフィラーを挙げることができる。用いる無機粒子の大きさには特に規定はなく、例えば、1nm〜10μm程度の大きさのものを用いることができ、球状、針状、板状、バルーン状、中空状等のいずれの形状であってもよい。また、無機粒子は、粉体をそのまま使用してもよく、ゾルやコロイドの様に溶媒に分散したものを用いてもよい。
さらに、分散性や界面親和性向上を目的とし、フィラー表面にカップリング剤などにより表面処理されたものを用いてもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記したような構成成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、離型剤、表面処理剤、難燃剤、抗菌剤、レベリング剤、消泡剤、揺変剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、カップリング剤、金属アルコキサイドなどが挙げられる。
耐熱性を表す数値として、ガラス転移温度が一般的によく用いられるが、本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化して得られる樹脂硬化物のガラス転移温度は、140〜230℃であることが好ましく、より好ましくは160〜230℃、さらにこのましくは、170〜230℃、もっとも好ましくは、190〜230℃である。樹脂硬化物のガラス転移温度が140℃以上であれば、自転車リム材、自動車用部材、産業用部材に用いる場合、得られる繊維強化複合材料の耐熱性が十分である。また、ガラス転移温度が230℃以下であれば、樹脂硬化物の伸度に優れ、得られる繊維強化複合材料の引張強度に優れる傾向がある。
かかるガラス転移温度が140℃に満たない場合は、本発明の範囲内で、構成要素[A]や構成要素[B]のビフェニル型エポキシ樹脂を増量したり、構成要素[B]の2個を超えるエポキシ基を有する脂肪族エポキシ樹脂を減量したりすることにより、ガラス転移温度を向上させることができる。一方、かかるガラス転移温度が230℃を超える場合は、本発明の範囲内で、構成要素[A]や構成要素[B]のビフェニル型エポキシ樹脂を減量したり、構成要素[B]の2個を超えるエポキシ基を有する脂肪族エポキシ樹脂を増量したりすることにより、ガラス転移温度を低下させることができる。
また、かかる樹脂硬化物の曲げ弾性率は、3.0〜4.5GPaであることが好ましく、より好ましくは3.2〜4.5GPa、さらに好ましくは、3.5〜4.5GPaである。かかる曲げ弾性率が3.0GPa以上であれば、自転車リム材、自動車用部材、産業用部材に用いる場合、得られる繊維強化複合材料の圧縮強度が十分である。また、弾性率が4.5GPa以下であれば、樹脂硬化物の伸度に優れ、得られる繊維強化複合材料の引張強度に優れる傾向がある。
かかる曲げ弾性率が3.0GPaに満たない場合は、構成要素[B]のビフェニル型エポキシ樹脂を増量したり、構成要素[B]の2個を超えるエポキシ基を有する脂肪族エポキシ樹脂を減量したりすることにより、弾性率を向上することができる。一方、かかる弾性率が4.5GPaを超える場合は、構成要素[B]のビフェニル型エポキシ樹脂を減量したり、構成要素[B]の2個を超えるエポキシ基を有する脂肪族エポキシ樹脂を増量したりすることにより、曲げ弾性率を向上することができる。
さらに、かかる樹脂硬化物の曲げたわみ量は、4〜15mmであることが好ましく、より好ましくは6〜15mm、さらに好ましくは8〜15mm、もっとも好ましくは10〜15mmである。かかる曲げたわみ量が4mm以上であれば、自転車リム材、自動車用部材、産業用部材に用いる場合、得られる繊維強化複合材料の引張強度が十分である。また、曲げたわみ量が15mm以下であれば、樹脂硬化物の耐熱性と弾性率に優れ、得られる繊維強化複合材料の耐熱性と圧縮強度に優れる傾向がある。
かかる曲げたわみ量が4mmに満たない場合は、本発明の範囲内で、構成要素[A]を減量したり、構成要素[B]の2個を超えるエポキシ基を有する脂肪族エポキシ樹脂を増量したりすることにより、たわみ量を向上させることができる。一方、かかるたわみ量が15mmを超える場合は、本発明の範囲内で、構成要素[A]を増量したり、構成要素[B]の2個を超えるエポキシ基を有する脂肪族エポキシ樹脂を減量したりすることにより、たわみ量を低下させることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物の調製には、ニーダー、プラネタリーミキサー、3本ロールおよび2軸押出機などが好ましく用いられる。構成要素[C]および[D]以外を投入した後、撹拌しながらエポキシ樹脂組成物の温度を100〜180℃の任意の温度まで昇温することにより、かかる構成要素[C]および[D]以外の樹脂を溶解させ、次に、撹拌しながら好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下の温度まで下げて、かかる構成要素[C]および[D]を添加し混練する方法は、エポキシ樹脂組成物の保存安定性に優れるため好ましく用いられる。
樹脂硬化物の作製は次のようにして行う。エポキシ樹脂組成物を気圧0.3kPa以下、温度80℃以下で脱泡した後、2mm厚の“テフロン(登録商標)”製スペーサーにより厚み2mmになるように設定したモールド中で、200℃の範囲の温度で1時間硬化させることで、ボイドのない板状樹脂硬化物が得られる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、強化繊維と組み合わせて成形材料として使用することができる。かかる強化繊維としては、特に限定されるものではなく、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維等が用いられる。これらの繊維を2種以上混合して用いても構わない。この中で、軽量かつ高剛性な繊維強化複合材料が得られる炭素繊維を用いることが好ましい。
炭素繊維としては、X線光電子分光により測定される表面酸素濃度O/Cが、0.02〜0.20であることが好ましく、より好ましくは0.04〜0.15、さらに好ましくは0.06〜0.10であることである。O/Cが、0.02以上であると、エポキシ樹脂組成物や後述のカップリング剤やサイジング剤と炭素繊維最表面との化学結合が強固になり、本発明の残留応力の低減が、成形材料の強度向上に大きく貢献しやすくなる。また、O/Cが、0.20以下であると、本来炭素繊維基質自身が有する強度を維持したまま、エポキシ樹脂組成物の官能基と炭素繊維最表面との化学結合は強固にできるため、本発明の残留応力の低減が、成形材料の強度向上に大きく貢献しやすくなる。
また、X線光電子分光により測定される表面窒素濃度N/Cが、0.02〜0.30であることが好ましく、好ましくは0.03〜0.25、さらに好ましくは0.10〜0.20であることである。N/Cが0.02以上であると、エポキシ樹脂組成物や後述のカップリング剤やサイジング剤と炭素繊維最表面との化学結合が強固になり、本発明の残留応力の低減が、成形材料の強度向上に大きく貢献しやすくなる。また、N/Cが0.30以下であると、本来炭素繊維基質自身が有する強度を維持したまま、エポキシ樹脂組成物の官能基と炭素繊維最表面との化学結合は強固にできるため、本発明の残留応力の低減が、成形材料の強度向上に大きく貢献しやすくなる。
ここで、表面酸素濃度O/Cとは、次の手順に従ってX線光電子分光法により求めた値をいう。先ず、溶媒でサイジング剤などを除去した炭素繊維束をカットしてステンレス製の試料支持台上に拡げて並べた後、光電子脱出角度を90度とし、X線源としてMgKα1,2を用い、試料チャンバー内を1×10−8Torrの真空度に保つ。測定時の帯電に伴うピークの補正として、まずC1Sの主ピークの結合エネルギー値を284.6eVに合わせる。C1Sピーク面積は、282〜296eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求め、O1Sピーク面積は、528〜540eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求めた。表面酸素濃度O/Cは、上記O1Sピーク面積とC1Sピーク面積の比を、装置固有の感度補正値で割ることにより算出した原子数比で表した。なお、本発明の実施例では島津製作所(株)製ESCA−750を用い、上記装置固有の感度補正値は2.85であった。
また、表面酸素濃度N/Cとは、次の手順に従ってX線光電子分光法により求めた値をいう。先ず、溶媒でサイジング剤などを除去した炭素繊維束をカットしてステンレス製の試料支持台上に拡げて並べた後、光電子脱出角度を90度とし、X線源としてMgKα1,2を用い、試料チャンバー内を1×10−8Torrの真空度に保つ。測定時の帯電に伴うピークの補正として、まずC1Sの主ピークの結合エネルギー値を284.6eVに合わせる。C1Sピーク面積は、282〜296eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求め、N1Sピーク面積は、398〜410eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求めた。表面窒素濃度N/Cは、上記N1Sピーク面積とC1Sピーク面積の比を、装置固有の感度補正値で割ることにより算出した原子数比で表した。なお、本発明の実施例では島津製作所(株)製ESCA−750を用い、上記装置固有の感度補正値は1.7であった。
また、炭素繊維の表面には、公知の表面処理、カップリング剤やサイジング剤を付与することができるが、二価以上のエポキシ樹脂、アルコキシシリル基を有する樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリ酢酸ビニル、エチレンアイオノマー、不飽和ポリエステルのうち、いずれか1つ以上が付着していることが好ましい。
炭素繊維の表面処理としては、電解処理が好ましい。電解処理に用いられる電解液としては、硫酸、硝酸、塩酸などの酸や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム等の水酸化物、アンモニア、または、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩類、酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム等の有機塩類の水溶液、さらにこれらのカリウム塩、バリウム塩あるいは他の金属塩、およびアンモニウム塩、またヒドラジン等の有機化合物が挙げられる。
かかる強化繊維の形態は特に限定されるものではなく、たとえば、一方向に引き揃えた長繊維、トウ、織物、マット、ニット、組み紐、ブレード、10mm未満の長さにチョップした短繊維などが用いられる。ここでいう、長繊維とは実質的に10mm以上連続な単繊維もしくは繊維束のことをさす。また、短繊維とは10mm未満の長さに切断された単繊維もしくは繊維束である。この中でも、比強度、比弾性率が高い繊維強化複合材料が求められる用途には、一方向に引き揃えた長繊維、トウ、織物、マット、ニット、組み紐が好ましく、さらに好ましくは、一方向に引き揃えた長繊維、トウ、織物である。
本発明のエポキシ樹脂組成物と強化繊維を組合せた成形材料を用いて繊維強化複合材料に成形する方法としては、予めエポキシ樹脂組成物と強化繊維を組み合わせた後に成形する方法、または成形時にエポキシ樹脂組成物と強化繊維を組合せて成形する方法等が挙げられる。予めエポキシ樹脂組成物と強化繊維を組合せる方法としては、シートモールディングコンパウンド(SMC)を用いて成形する方法、プリプレグを用いて成形する方法、フィラメントワインディング法(乾式法)を用いて成形する方法等が挙げられる。成形時にエポキシ樹脂組成物と強化繊維を組合せて成形する方法としては、ハンドレイアップ法、スプレーアップ法、レジントランスファーモールディング法、レジンフィルムインフュージョン法、フィラメントワインディング法(湿式法)、プルトルージョン法等が挙げられる。
中でも、軽量かつ高剛性な繊維強化複合材料が求められる用途には、プリプレグを用いて成形する方法が好ましく、繊維強化複合材料の強度、形状の自由度、成形コストのバランスの観点から、ヤーンプリプレグを用いて成形する方法、レジントランスファーモールディング法、レジンフィルムインフュージョン法、フィラメントワインディング法、プルトルージョン法が好ましく用いられる。
SMCとは、短繊維からなる強化繊維と樹脂から構成され、短繊維からなる強化繊維に樹脂組成物を含浸させてシート状にしたものをBステージ化したものである。そして、SMCは、主として、金型内で加熱圧縮し硬化させて本発明の繊維強化複合材料を与える。
プリプレグとは、前記強化繊維からなる一方向に引き揃えた長繊維、織物、マット等の繊維基材に樹脂組成物を含浸させてシート状にしたものである。含浸させる方法としては、樹脂組成物をメチルエチルケトン、メタノール等の溶媒に溶解することにより低粘度化して含浸させるウェット法と、加熱により低粘度化して含浸させるホットメルト法(ドライ法)等を挙げることができる。
前記ウェット法は、強化繊維を樹脂組成物の溶液に浸漬した後、引き上げ、オーブン等を用いて溶媒を蒸発させる方法である。ホットメルト法は、加熱により低粘度化した樹脂組成物を、直接、強化繊維からなる繊維基材に含浸させる方法、又は一旦、樹脂組成物を離型紙等の上にコーティングしたフィルムを作製しておき、次いで前記強化繊維からなる繊維基材の両側又は片側から前記フィルムを重ね、加熱加圧することにより、前記強化繊維からなる繊維基材に樹脂を含浸させる方法である。ホットメルト法によれば、プリプレグ中に残留する溶媒が実質上皆無となるため好ましい。
プリプレグを賦形および/または積層後、賦形物および/または積層物に圧力を付与しながら本発明のエポキシ樹脂組成物を加熱硬化させる方法等により、本発明の繊維強化複合材料が作製される。
ここで熱及び圧力を付与する方法には、プレス成形法、オートクレーブ成形法、バッギング成形法、ラッピングテープ法、内圧成形法等を適宜使用することができる。
ラッピングテープ法は、マンドレル等の芯金にプリプレグを捲回して、繊維強化複合材料製の管状体を成形する方法であり、ゴルフシャフト、釣り竿等の棒状体を作製する際に好適な方法である。より具体的には、マンドレルにプリプレグを捲回し、プリプレグの固定及び圧力付与のため、プリプレグの外側に熱可塑性フィルムからなるラッピングテープを捲回し、オーブン中で樹脂を加熱硬化させた後、芯金を抜き取って管状体を得る方法である。
また、内圧成形法は、熱可塑性樹脂製のチューブ等の内圧付与体にプリプレグを捲回したプリフォームを金型中にセットし、次いで内圧付与体に高圧の気体を導入して圧力を付与すると同時に金型を加熱せしめ、成形する方法である。本方法は、ゴルフシャフト、バッド、テニスやバドミントン等のラケットや、自転車用ホイールの如き複雑な形状物を成形する際に好ましく用いられる。
かかるプリプレグは、単位面積あたりの強化繊維量が50〜300g/mであることが好ましい。かかる強化繊維量が50g/m以上であると、繊維強化複合材料成形の際に所定の厚みを得るために積層枚数が少なく、作業効率がよいため好ましい。一方で、強化繊維量が300g/m以下であると、プリプレグのドレープ性が良好な傾向にあるため好ましい。また、繊維重量含有率は、好ましくは60〜90質量%であり、より好ましくは65〜85質量%であり、さらに好ましくは70〜80質量%である。繊維質量含有率が60質量%以上の場合、強化繊維含有量が多いため、比強度と比弾性率に優れる繊維強化複合材料をあたえることができるというプリプレグの利点が得られやすい。また、繊維重量含有率が90質量%以下であると、エポキシ樹脂組成物の含浸不良が起こりにくく、得られる複合材料がボイドの少ないものとなる傾向があるため、好ましい。
本発明の繊維強化複合材料の製造方法としては、150〜200℃、2時間以内でエポキシ樹脂組成物を硬化させる工程を含むことが好ましい。硬化温度が150℃以上であると、製造時間が短くなる傾向があるため好ましい。一方、硬化温度が200℃以下である場合は、エポキシ樹脂組成物の残留応力が小さくなる傾向があるため好ましい。さらに、硬化時間が2時間以内である場合は、使用するエネルギー量が少なく、高速生産しやすいため好ましい。
フィラメントワインディング法とは、強化繊維が一方向に配列した連続繊維束に樹脂を含浸させたものを、所望の形状に巻きつけた後、樹脂を硬化させる方法である。乾式法とは、予め樹脂を上記連続繊維束に含浸しBステージ化したものを使って、成形する方法であり、湿式法とは、上記連続繊維束に樹脂を含浸させながら、所望の形状に巻きつけ、硬化する方法である。
ハンドレイアップ法とは、成形型に強化繊維基材をあらかじめ賦形し、樹脂をハケやローラーで含浸させ、脱泡しながら所定の厚さまで積層した後、樹脂を硬化させる方法である。
スプレーアップ法とは、スプレーアップ機を使用して、強化繊維を適当な長さに切断しながら、樹脂を同時に成形型に吹き付けて所定の厚さになった後、樹脂を硬化させる方法である。
レジントランスファーモールディング(RTM)法とは、成形型に強化繊維基材をあらかじめ賦形し、型締め後、密閉系のなかに樹脂を注入して強化繊維基材に樹脂を含浸させ、樹脂を硬化することにより成形する方法である。成形型や樹脂は、予め加温されていることが好ましい。成形型や樹脂を加温する温度は、強化繊維基材への含浸性の観点から、樹脂の初期粘度と粘度上昇の関係から決められ、40〜70℃が好ましく、より好ましくは50〜60℃である。
RTM法では、強化繊維をマット、織物、ニット、ブレード、一方向に引き揃えた長繊維等の形態に加工した強化繊維基材が好適に用いられる。中でも、高い繊維含有率の繊維強化複合材料が得やすく、かつ取扱い性に優れた織物が好適に用いられる。
また、RTM法においては、成形型に複数の注入口を有するものを用い、樹脂を複数の注入口から同時に、または時間差を設けて順次注入するなど、得ようとする繊維強化複合材料に応じて適切な条件を選ぶことが、様々な形状や大きさの成形体に対応できる自由度が得られるために好ましい。かかる注入口の数や形状に制限はないが、短時間での注入を可能にするために注入口は多い程良く、その配置は、成形品の形状に応じて樹脂の流動長を短くできる位置が好ましい。
RTM法に用いられる樹脂は、エポキシ樹脂を含むa液と、構成要素[C]単独、または構成要素[C]と構成要素[D]を含むb液とを別々に加温しておき、注入の直前にミキサーを用いて混合した後、注入することが樹脂の可使時間の点から好ましい。硬化促進剤や他の配合成分は、a液、b液のどちらに配合しても良く、あらかじめどちらかあるいは両方に混合して使用できる。
RTM法において、樹脂組成物の注入圧力は、通常0.1〜1.0MPaで、型内を真空吸引して樹脂を注入するVaRTM(vacuum assist resin transfer molding)法も用いることができるが、注入時間と設備の経済性の点から0.1〜0.6MPaが好ましい。また、加圧注入を行う場合でも、樹脂組成物を注入する前に型内を真空に吸引しておくと、ボイドの発生が抑えられ好ましい。
レジンフィルムインフュージョン法とは、密閉した型内に強化繊維基材と未硬化の樹脂フィルムを設置し、全体を加熱することによって樹脂を溶融させ、次に型内の減圧と外部からの加圧によって樹脂を強化繊維基材に含浸し、さらに加熱してこれを硬化させる方法である。
プルトルージョン法とは、連続した強化繊維束に樹脂を含浸した後、これを金型内へ導入して加熱硬化させ、引抜装置で引き抜くことによって、連続的に繊維強化複合材料を成形する方法である。
本発明の繊維強化複合材料は、スポーツ用途、一般産業用途および航空宇宙用途に好適に用いられる。より具体的には、スポーツ用途では、ゴルフシャフト、釣り竿、テニスやバドミントンのラケット用途、ホッケー等のスティック用途、およびスキーポール用途に用いられる。また、一般産業用途では、自動車、船舶および鉄道車両等の移動体の構造材、ドライブシャフト、板バネ、風車ブレード、圧力容器、フライホイール、製紙用ローラー、屋根材、ケーブル、および補修補強材料等に用いられる。さらに、航空宇宙用途では、胴体、主翼、尾翼、動翼、フェアリング、カウル、ドア、座席、内装材、モーターケース、アンテナ等に用いられる。
以下、実施例を挙げて本発明の効果をさらに具体的に説明する(ただし、実施例35は参考例である。)。なお、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。なお、組成比の単位「部」は、特に注釈のない限り質量部を意味する。また、各種特性(物性)の測定は、特に注釈のない限り温度23℃、相対湿度50%の環境下で行った。
本実施例および比較例に用いた熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂および強化繊維は、以下の通りである。
<エポキシ樹脂>
構成要素[A]
・ビナフタレン型エポキシ樹脂(“エピクロン(登録商標)”EXA−4701、DIC(株)製、5官能、エポキシ当量:167)
・ビナフタレン型エポキシ樹脂(“エピクロン(登録商標)”HP−4700、DIC(株)製、4官能、エポキシ当量:165)
・ビナフタレン型エポキシ樹脂(“エピクロン(登録商標)”HP−4710、DIC(株)製、4官能、エポキシ当量:171)
・ビナフタレン型エポキシ樹脂(“エピクロン(登録商標)”EXA−4750、DIC(株)製、3官能、エポキシ当量:185)。
構成要素[B]
・ビフェニル型エポキシ樹脂(“jER(登録商標)”YX4000、三菱化学(株)製、2官能、エポキシ当量:186)
・脂肪族エポキシ樹脂(“デナコール(登録商標)”EX−321、ナガセケムテックス(株)製、官能基数;2を超えて3以下、エポキシ当量:140)
・脂肪族エポキシ樹脂(“デナコール(登録商標)”EX−313、ナガセケムテックス(株)製、官能基数;2を超えて3以下、エポキシ当量:141)
・脂肪族エポキシ樹脂(“デナコール(登録商標)”EX−314、ナガセケムテックス(株)製、3官能、エポキシ当量:144)
・脂肪族エポキシ樹脂(“デナコール(登録商標)”EX−421、ナガセケムテックス(株)製、3官能、エポキシ当量:159)
・脂肪族エポキシ樹脂(“デナコール(登録商標)”EX−521、ナガセケムテックス(株)製、3官能、エポキシ当量:183)
・脂肪族エポキシ樹脂(“デナコール(登録商標)”EX−411、ナガセケムテックス(株)製、4官能、エポキシ当量:229)
・脂肪族エポキシ樹脂(“デナコール(登録商標)”EX−614B、ナガセケムテックス(株)製、4官能以上、エポキシ当量:173)。
その他のエポキシ樹脂
・ビナフタレン型エポキシ樹脂(“エピクロン(登録商標)”HP−4770、DIC(株)製、2官能、エポキシ当量:204)
・ナフタレン型エポキシ樹脂(“エピクロン(登録商標)”HP−4032D、DIC(株)製、2官能、エポキシ当量:140)
・脂肪族エポキシ樹脂(“デナコール(登録商標)”EX−211、ナガセケムテックス(株)製、2官能、エポキシ当量:138)
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂(“jER(登録商標)”825、三菱化学(株)製、エポキシ当量:175)
・テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(“スミエポキシ(登録商標)”ELM434、住友化学(株)製、エポキシ当量:125)
・ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC−3000L、日本化薬(株)製、エポキシ当量:269)
・ナフタレンアラルキル型エポキシ樹脂(NC−7000、日本化薬(株)製、エポキシ当量:230)。
<硬化剤>
構成要素[C]
・ジシアンジアミド(DICY7、三菱化学(株)製、活性水素当量:12)
・4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(“セイカキュカ(登録商標)”−S、和歌山精化工業(株)製、活性水素基当量:62)
・メチルテトラヒドロ無水フタル酸(HN−2200、日立化成工業(株)製、活性水素当量:151)。
<硬化促進剤>
構成要素[D]
・2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ、四国化成工業(株)製)
・3−(3,4‐ジクロロフェニル)1,1‐ジメチルウレア(DCMU99、保土ヶ谷化学工業(株)製)
・2,4−トルエンビス(ジメチルウレア)(“Omicure(登録商標)”24、Emerald Performance Materials, LLC製)。
<熱可塑性樹脂>
・ポリエーテルスルホン(“スミカエクセル(登録商標)”PES5003P、住友化学(株)製)。
<強化繊維>
・炭素繊維(“トレカ(登録商標)”T700S、東レ(株)製、引張弾性率:230GPa、引張強度:4900MPa)。
<強化繊維基材>
・炭素繊維織物(CO7373、東レ(株)製、炭素繊維:“トレカ(登録商標)”T300B−3K、組織:平織、目付:192g/m)。
(1)エポキシ樹脂組成物の調製
ニーダー中に、[C]および[D]以外の成分を所定量加え、混練しつつ170℃まで昇温し、170℃で1時間混練することにより、粘凋液体を得た。80℃まで混練しつつ降温させ、80℃以下で[C]および[D]を添加し、さらに混練することによりエポキシ樹脂組成物を得た。
(2)樹脂硬化物の作製方法
上記(1)で得られたエポキシ樹脂組成物を真空中で脱泡した後、2mm厚の“テフロン(登録商標)”製スペーサーにより厚み2mmになるように設定したモールド中に注入し、室温から200℃まで1.5℃/分で昇温し、その後200℃で1時間保温し、厚さ2mmの板状の樹脂硬化物を得た。
(3)樹脂硬化物の曲げ弾性率および曲げたわみ量の測定方法
上記(2)で得られた樹脂硬化物から、ダイヤモンドカッターを用い、幅10mm、長さ60mmの試験片を切り出し、インストロン万能試験機(インストロン社製)を用い、スパン間長さを32mm、クロスヘッドスピードを100mm/分とし、JIS K7171(1994)に従って3点曲げを実施し、曲げ弾性率および曲げたわみ量を測定した。
(4)樹脂硬化物のガラス転移温度の測定方法
上記(2)の方法で作製した樹脂硬化物から、ダイヤモンドカッターを用い、幅13mm、長さ50mmのサンプルを切り出した。このサンプルを、動的粘弾性測定装置(レオメーターRDA2:レオメトリックス社製)を用い、昇温速度5℃/minで昇温し、周波数1.0Hzのねじりモードで貯蔵弾性率の測定を行った。このときの貯蔵弾性率のオンセット温度をガラス転移温度とした。
(5)一方向プリプレグの作製方法
上記(1)の方法で調製したエポキシ樹脂組成物を、リバースロールコーターを使用し離型紙状に塗布し、樹脂フィルムを作製した。次に、シート状に一方向に整列させた炭素繊維に樹脂フィルム2枚を炭素繊維の両面から重ね、加熱加圧して樹脂組成物を含浸させ、単位面積辺りの炭素繊維重量125g/m、繊維重量含有率68%の、T700S使い一方向プリプレグを作製した。
(6)オートクレープ法による繊維強化複合材料の製造方法
上記(5)に従い作製した一方向プリプレグを、所望の厚みになるように一方向に積層した後、オートクレーブ内で、200℃、0.3MPaで1時間加熱加圧して硬化し、繊維強化複合材料を作製した。
(7)RTM法による繊維強化複合材料の作製方法
長さ350mm×幅350mm×厚み2mmの板状キャビティーを持つ金型に、強化繊維基材を、炭素繊維の経糸繊維方向を0°方向として、同一方向に引き揃えて10枚積層して、プリフォームを作製し、型締めを行った。続いて、金型を 60℃の温度に加温した後、予め別途60℃の温度に加温した、上記(1)に従い調製されたエポキシ樹脂組成物を、樹脂注入装置を用い、注入圧0.2MPaで型内に注入し、強化繊維基材に含浸させた。含浸後、金型を速度1.5℃/minで180℃の温度まで昇温し、180℃の温度で2時間保持した後、30℃の温度にまで降温し、脱型し、厚さ2mmの繊維強化複合材料を得た。
(8)繊維強化複合材料の引張試験方法
繊維強化複合材料の引張強度の指標として、一方向材の場合は、繊維強化複合材料の0°引張強度を測定し、織物の場合は、どちらか一方の繊維方向に平行になる方向の引張強度を測定した。上記(6)の方法で作製した厚さ1mmの繊維強化複合材料からは、ダイヤモンダカッターを用い、一方向材の場合は、幅12.5mm、長さ200mmのサンプルを切り出した。また、上記(7)の方法で作製した厚さ2mmの繊維強化複合材料からは、ダイヤモンダカッターを用い、幅25mm、長さ200mmのサンプルを切り出した。これらのサンプルを、インストロン万能試験機(インストロン社製)を用い、JIS K7073(1988)に従って引張試験を実施し、引張強度を測定した。
(9)繊維強化複合材料の圧縮試験方法
繊維強化複合材料の圧縮強度の指標として、一方向材の場合は、繊維強化複合材料の0°圧縮強度を測定し、織物の場合は、どちらか一方の繊維方向に垂直になる方向の圧縮強度を測定した。上記(6)の方法で作製した厚さ1mmの繊維強化複合材料、ないし上記(7)の方法で作製した厚さ2mmの繊維強化複合材料から、ダイヤモンダカッターを用い、幅12.5mm、長さ78mmのサンプルを切り出した。このサンプルを、インストロン万能試験機(インストロン社製)を用い、JIS K7076(1991)に従って圧縮試験を実施し、圧縮強度を測定した。また、試験片からJIS7075(1991)に記載の燃焼法に基づいて、実Vfを求めた後、得られた曲げ強度をVf60%に換算した。
上記方法により各実施例、比較例についてエポキシ樹脂組成物、成形材料および繊維強化複合材料を作製し、特性を測定した結果を表1〜3にまとめて示す。
(10)繊維強化複合材料のガラス転移温度の測定
上記(6)(7)に従い作製した繊維強化複合材料から、ダイヤモンドカッターを用い幅13mm、長さ50mmのサンプルを切り出した。このサンプルを、動的粘弾性測定装置(レオメーターRDA2:レオメトリックス社製)を用い、昇温速度5℃/minで昇温し、周波数1.0Hzのねじりモードで貯蔵弾性率の測定を行った。このときの貯蔵弾性率のオンセット温度をガラス転移温度とした。
(実施例1)
HP−4700を30質量部、構成要素[B]として、YX−4000を35質量部、その他のエポキシ樹脂としてjER825を35質量部、構成要素[C]として、DICY7を1当量、構成要素[D]として、DCMU99を3質量部用いて、エポキシ樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組成物を硬化し、樹脂硬化物を得た。得られた樹脂硬化物の曲げ弾性率、曲げたわみ量、ガラス転移温度は良好であった。また、得られたエポキシ樹脂組成物と強化繊維を用いてプリプレグを作製し、このプリプレグを積層、硬化し、繊維強化複合材料を得た。得られた繊維強化複合材料の0度引張強度、0度圧縮強度は良好であった。
(実施例2〜4)
構成要素[A]をそれぞれ、EXA−4701、HP−4710、EXA−4750に変えた以外は、実施例1と同様に、エポキシ樹脂組成物、樹脂硬化物、繊維強化複合材料を得た。得られた樹脂硬化物および繊維強化複合材料の物性は、良好であった。
(実施例5)
構成要素[A]として、HP−4700を55質量部、構成要素[B]として、EX−321を25質量部、その他のエポキシ樹脂としてjER825を20質量部、構成要素[C]として、DICY7を1当量、構成要素[D]として、DCMU99を3質量部用いて、エポキシ樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組成物を硬化し、樹脂硬化物を得た。得られた樹脂硬化物の曲げ弾性率、曲げたわみ量、ガラス転移温度は良好であった。また、得られたエポキシ樹脂組成物と強化繊維を用いてプリプレグを作製し、このプリプレグを積層、硬化し、繊維強化複合材料を得た。得られた繊維強化複合材料の0度引張強度、0度圧縮強度は良好であった。
(実施例6〜11)
構成要素[B]をそれぞれ、EX−313、EX−314、EX−421、EX−521、EX−411、EX−614Bに変えた以外は、実施例5と同様に、エポキシ樹脂組成物、樹脂硬化物、繊維強化複合材料を得た。得られた樹脂硬化物および繊維強化複合材料の物性は、良好であった。
(実施例12)
構成要素[A]として、HP−4700を5質量部、その他のエポキシ樹脂としてjER825を60質量部とし、熱可塑性樹脂としてPES5003Pを7質量部用いた以外は、実施例1と同様に、エポキシ樹脂組成物、樹脂硬化物、繊維強化複合材料を得た。得られた樹脂硬化物および繊維強化複合材料の物性は、良好であった
(実施例13)
構成要素[A]として、HP−4700を55質量部、その他のエポキシ樹脂としてjER825を10質量部とした以外は、実施例1と同様にエポキシ樹脂組成物、樹脂硬化物、繊維強化複合材料を得た。得られた樹脂硬化物および繊維強化複合材料の物性は、良好であった
(実施例14)
構成要素[A]として、HP−4700を10質量部、その他のエポキシ樹脂としてjER825を55質量部とした以外は、実施例12と同様にエポキシ樹脂組成物、樹脂硬化物、繊維強化複合材料を得た。構成要素[A]を好ましい配合量にすることにより、実施例12対比、樹脂硬化物と繊維強化複合材料のガラス転移温度が向上し、より好ましい範囲となった。
(実施例15)
構成要素[A]として、HP−4700を15質量部、その他のエポキシ樹脂としてjER825を50質量部、熱可塑性樹脂としてPES5003Pを5質量部に変えた以外は、実施例14と同様にエポキシ樹脂組成物、樹脂硬化物、繊維強化複合材料を得た。構成要素[A]をより好ましい配合量にすることにより、実施例14対比、樹脂硬化物と繊維強化複合材料のガラス転移温度が向上し、さらに好ましい範囲となった。
(実施例16)
構成要素[A]として、HP−4700を50質量部、その他のエポキシ樹脂としてjER825を15質量部とした以外は、実施例13と同様にエポキシ樹脂組成物、樹脂硬化物、繊維強化複合材料を得た。構成要素[A]を好ましい配合量にすることより、実施例13対比、樹脂硬化物の曲げたわみ量が向上し、より好ましい範囲となった。また、実施例13対比、繊維強化複合材料の0度引張強度が向上し、良好であった。
(実施例17)
構成要素[A]として、HP−4700を5質量部、構成要素[B]として、EX−411を2質量部、その他のエポキシ樹脂としてjER825を83質量部、ELM434を10質量部、成要素[C]として、DICY7を1当量、構成要素[D]として、DCMU99を3質量部、熱可塑性樹脂として、PES5003Pを7質量部用いて、エポキシ樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組成物を硬化し、樹脂硬化物を得た。得られた樹脂硬化物の曲げ弾性率、曲げたわみ量、ガラス転移温度は良好であった。また、得られたエポキシ樹脂組成物と強化繊維を用いてプリプレグを作製し、このプリプレグを積層、硬化し、繊維強化複合材料を得た。得られた繊維強化複合材料の0度引張強度、0度圧縮強度は良好であった。
(実施例18)
構成要素[A]として、HP−4700を55質量部、その他のエポキシ樹脂としてjER825を33質量部とし、熱可塑性樹脂を用いなかった以外は、実施例17と同様にエポキシ樹脂組成物、樹脂硬化物、繊維強化複合材料を得た。得られた樹脂硬化物の曲げ弾性率、曲げたわみ量、ガラス転移温度は良好であった。
(実施例19)
構成要素[A]として、HP−4700を10質量部、その他のエポキシ樹脂としてjER825を78質量部とした以外は、実施例17と同様にエポキシ樹脂組成物、樹脂硬化物、繊維強化複合材料を得た。構成要素[A]をより好ましい配合量にすることにより、実施例17対比、樹脂硬化物と繊維強化複合材料のガラス転移温度が向上し、より好ましい範囲となった。
(実施例20)
構成要素[A]として、HP−4700を15質量部、その他のエポキシ樹脂としてjER825を73質量部とした以外は、実施例19と同様にエポキシ樹脂組成物、樹脂硬化物、繊維強化複合材料を得た。構成要素[A]をより好ましい配合量にすることにより、実施例19対比、樹脂硬化物と繊維強化複合材料のガラス転移温度が向上し、さらに好ましい範囲となった。
(実施例21)
構成要素[A]として、HP−4700を50質量部、その他のエポキシ樹脂としてjER825を38質量部に変えた以外は、実施例18と同様にエポキシ樹脂組成物、樹脂硬化物、繊維強化複合材料を得た。構成要素[A]を好ましい配合量にすることより、実施例18対比、樹脂硬化物の曲げたわみ量が向上し、さらに好ましい範囲となった。また、繊維強化複合材料の物性も、実施例18対比、0度引張強度が向上し、良好であった。
(実施例22)
構成要素[A]として、HP−4700を30質量部、その他のエポキシ樹脂としてjER825を58質量部、熱可塑性樹脂としてPES5003Pを5質量部に変えた以外は、実施例21と同様にエポキシ樹脂組成物、樹脂硬化物、繊維強化複合材料を得た。構成要素[A]をより好ましい配合量にすることより、実施例21対比、樹脂硬化物の曲げ弾性率と曲げたわみ量が向上し、好ましい範囲となった。また、繊維強化複合材料の物性も、実施例21対比、両方の強度が向上し、良好であった。
(実施例23)
構成要素[A]として、HP−4700を15質量部、構成要素[B]として、YX−4000を2質量部、その他のエポキシ樹脂としてjER825を58質量部、ELM434を25質量部、構成要素[C]として、DICY7を1当量、構成要素[D]として、DCMU99を3質量部、熱可塑性樹脂としてPES5003Pを7質量部用いて、エポキシ樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組成物を硬化し、樹脂硬化物を得た。得られた樹脂硬化物の曲げ弾性率、曲げたわみ量、ガラス転移温度は良好であった。また、得られたエポキシ樹脂組成物と強化繊維を用いてプリプレグを作製し、このプリプレグを積層、硬化し、繊維強化複合材料を得た。得られた繊維強化複合材料の0度引張強度、0度圧縮強度は良好であった。
(実施例24)
構成要素[B]として、YX−4000を5質量部、その他のエポキシ樹脂としてjER825を55質量部とした以外は、実施例23と同様にエポキシ樹脂組成物、樹脂硬化物、繊維強化複合材料を得た。構成要素[B]のYX−4000の配合量を好ましい範囲にすることにより、実施例23対比、樹脂硬化物と繊維強化複合材料のガラス転移温度が向上し、もっとも好ましい範囲となった。
(実施例25)
構成要素[B]として、YX−4000を20質量部、その他のエポキシ樹脂としてjER825を40質量部とした以外は、実施例24と同様にエポキシ樹脂組成物、樹脂硬化物、繊維強化複合材料を得た。構成要素[B]のYX−4000の配合量をより好ましい範囲にすることにより、実施例24対比、樹脂硬化物の曲げ弾性率が向上し、さらに好ましい範囲となった。また、繊維強化複合材料の0度圧縮強度も、実施例24対比、向上した。
(実施例26)
構成要素[B]として、YX−4000を35質量部、その他のエポキシ樹脂としてjER825を25質量部とした以外は、実施例24と同様にエポキシ樹脂組成物、樹脂硬化物、繊維強化複合材料を得た。構成要素[B]のYX−4000の配合量をより好ましい範囲にすることにより、実施例24対比、樹脂硬化物の曲げ弾性率が向上し、さらに好ましい範囲となった。また、繊維強化複合材料の0度圧縮強度が実施例24対比、向上した。
(実施例27)
構成要素[A]として、HP−4700を30質量部、構成要素[B]として、EX−411を1質量部、その他のエポキシ樹脂としてjER825を69質量部、構成要素[C]として、DICY7を1当量、構成要素[D]として、DCMU99を3質量部用いて、エポキシ樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組成物を硬化し、樹脂硬化物を得た。得られた樹脂硬化物の曲げ弾性率、曲げたわみ量、ガラス転移温度は良好であった。また、得られたエポキシ樹脂組成物と強化繊維を用いてプリプレグを作製し、このプリプレグを積層、硬化し、繊維強化複合材料を得た。得られた繊維強化複合材料の0度引張強度、0度圧縮強度は良好であった。
(実施例28)
構成要素[B]として、EX−411を25質量部、その他のエポキシ樹脂としてjER825を45質量部に変えた以外は、実施例27と同様にエポキシ樹脂組成物、樹脂硬化物、繊維強化複合材料を得た。得られた樹脂硬化物と繊維強化複合材料の物性は、良好であった。
(実施例29)
構成要素[B]として、EX−411を3質量部、その他のエポキシ樹脂としてjER825を67質量部に変えた以外は、実施例28と同様にエポキシ樹脂組成物、樹脂硬化物、繊維強化複合材料を得た。構成要素[B]のEX−411の配合量を好ましい範囲にすることにより、実施例28対比、樹脂硬化物の曲げたわみ量が向上し、さらに好ましい範囲となった。また、繊維強化複合材料の0度引張強度も、実施例28対比、向上した。
(実施例30)
構成要素[B]として、EX−411を5質量部、その他のエポキシ樹脂としてjER825を65質量部に変えた以外は、実施例29と同様にエポキシ樹脂組成物、樹脂硬化物、繊維強化複合材料を得た。構成要素[B]のEX−411の配合量をより好ましい範囲にすることにより、実施例29対比、樹脂硬化物の曲げたわみ量が向上し、もっとも好ましい範囲となった。また、繊維強化複合材料の0度引張強度も、実施例29対比、向上した。
(実施例31)
構成要素[B]として、EX−411を20質量部、その他のエポキシ樹脂としてjER825を50質量部に変えた以外は、実施例28と同様にエポキシ樹脂組成物、樹脂硬化物、繊維強化複合材料を得た。構成要素[B]のEX−411の配合量を好ましい範囲にすることにより、実施例28対比、樹脂硬化物と繊維強化複合材料のガラス転移温度が向上し、さらに好ましい範囲となった。
(実施例32)
構成要素[B]として、EX−411を15質量部、その他のエポキシ樹脂としてjER825を55質量部に変えた以外は、実施例31と同様にエポキシ樹脂組成物、樹脂硬化物、繊維強化複合材料を得た。構成要素[B]のEX−411の配合量をより好ましい範囲にすることにより、実施例31対比、樹脂硬化物の曲げ弾性率が向上し、さらに好ましい範囲となった。また、繊維強化複合材料の0度圧縮強度も、実施例31対比、向上した。
(実施例33)
構成要素[A]として、HP−4700を30質量部、構成要素[B]として、YX−4000を20質量部、EX−411を15質量部、その他のエポキシ樹脂として、jER825を35質量部、構成要素[C]として、DICY7を1当量、構成要素[D]として、DCMU99を3質量部、熱可塑性樹脂として、PES5003Pを5質量部用いて、エポキシ樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組成物を硬化し、樹脂硬化物を得た。得られた樹脂硬化物の曲げ弾性率、曲げたわみ量、ガラス転移温度は良好であった。また、得られたエポキシ樹脂組成物と強化繊維を用いてプリプレグを作製し、このプリプレグを積層、硬化し、繊維強化複合材料を得た。得られた繊維強化複合材料の0度引張強度、0度圧縮強度は良好であった。
(実施例34)
構成要素[C]として、セイカキュア−Sを用い、構成要素[D]を用いなかった以外は、実施例30と同様にエポキシ樹脂組成物、樹脂硬化物、繊維強化複合材料を得た。DICY7のかわりにセイカキュア−Sを用いることで、樹脂硬化物と繊維強化複合材料のガラス転移温度が向上した。
(実施例35)
構成要素[C]として、HN−2200、構成要素[D]として、2E4MZを用いた以外は、実施例30と同様にエポキシ樹脂組成物、樹脂硬化物、を得た。DICY7のかわりにHN−2200を用いることで、樹脂硬化物と繊維強化複合材料のガラス転移温度が向上した。一方、樹脂硬化物の曲げたわみ量が低下したが、さらに好ましい範囲であった。また、得られた樹脂組成物と強化繊維基材を用いて、RTM法で繊維強化複合材料を作製した。得られた繊維強化複合材料の強度は良好であった。
(実施例36)
構成要素[D]として、Omicure24を2質量部用いた以外は、請求項30と同様にエポキシ樹脂組成物、樹脂硬化物、繊維強化複合材料を得た。DCMU99のかわりにOmicure24を用いることで、エポキシ樹脂硬化物と繊維強化複合材料のガラス転移温度が低下したが、各種物性は良好であった。
(実施例37)
構成要素[A]として、HP−4700を65質量部、構成要素[B]として、EX−411を3質量部、その他のエポキシ樹脂としてjER825を32質量部、構成要素[C]として、DICY7を0.6当量、構成要素[D]として、DCMU99を3質量部用いて、エポキシ樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組成物を硬化し、樹脂硬化物を得た。得られた樹脂硬化物の曲げ弾性率、曲げたわみ量、ガラス転移温度は良好であった。また、得られたエポキシ樹脂組成物と強化繊維を用いてプリプレグを作製し、このプリプレグを積層、硬化し、繊維強化複合材料を得た。得られた繊維強化複合材料の0度引張強度、0度圧縮強度は良好であった。
(比較例1)
構成要素[A]を用いず、その他のエポキシ樹脂としてjER825を75質量部、熱可塑性樹脂として、PES5003Pを10質量部とした以外は、実施例28と同様にエポキシ樹脂組成物、樹脂硬化物、繊維強化複合材料を得た。構成要素[A]を用いなかったため、樹脂硬化物と繊維強化複合材料のガラス転移温度が大きく低下し、好ましくなかった。
(比較例2)
構成要素[B]を用いず、その他のエポキシ樹脂として、jER825を35質量部とした以外は、実施例37と同様にエポキシ樹脂組成物、樹脂硬化物、繊維強化複合材料を得た。構成要素[B]を用いなかったため、樹脂硬化物の曲げたわみ量が低下し、好ましくなかった。
(比較例3)
構成要素[A]の代わりに、その他のエポキシ樹脂として、HP−4770を用いた以外は、実施例28と同様にエポキシ樹脂組成物、樹脂硬化物、繊維強化複合材料を得た。構成要素[A]の代わりに2官能のビナフタレン型エポキシ樹脂を用いたため、樹脂組成物と繊維強化複合材料のガラス転移温度が大きく低下し、好ましくなかった。
(比較例4)
構成要素[A]の代わりに、その他のエポキシ樹脂として、HP−4032Dを用いた以外は、実施例28と同様にエポキシ樹脂組成物、樹脂硬化物、繊維強化複合材料を得た。構成要素[A]の代わりに2官能のナフタレン型エポキシ樹脂を用いたため、樹脂組成物と繊維強化複合材料のガラス転移温度が大きく低下し、好ましくなかった。
(比較例5)
構成要素[B]の2個を超えるエポキシ基を有する脂肪族エポキシ樹脂の代わりに、その他のエポキシ樹脂として、EX−211を用いた以外は、実施例10と同様にエポキシ樹脂組成物、樹脂硬化物、繊維強化複合材料を得た。構成要素[B]の2個を超えるエポキシ基を有する脂肪族エポキシ樹脂代わりに2官能の脂肪族エポキシ樹脂を用いたため、樹脂組成物の曲げ弾性率が大きく低下し、好ましくなかった。また、繊維強化複合材料の0度圧縮強度が低下し、好ましくなかった。
(比較例6)
構成要素[B]のビフェニル型エポキシ樹脂の代わりに、その他のエポキシ樹脂として、NC−3000Lを用い、熱可塑性樹脂として、PES5003Pを3質量部用いた以外は、実施例12と同様にエポキシ樹脂組成物、樹脂硬化物、繊維強化複合材料を得た。構成要素[B]の代わりに、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂を用いたため、樹脂組成物と繊維強化複合材料のガラス転移温度が大きく低下し、好ましくなかった。
(比較例7)
構成要素[A]の代わりに、その他のエポキシ樹脂として、NC−7000を用いた以外は、実施例28と同様にエポキシ樹脂組成物、樹脂硬化物、繊維強化複合材料を得た。構成要素[A]の代わりにナフタレンアラルキル型エポキシ樹脂を用いたため、樹脂硬化物と繊維強化複合材料の耐熱性が大きく低下し、好ましくなかった。
(比較例8)
構成要素[A]を用いず、その他のエポキシ樹脂として、jER825を95質量部とした以外は、実施例35と同様にエポキシ樹脂組成物、樹脂硬化物、繊維強化複合材料を得た。構成要素[A]を用いなかったため、樹脂硬化物と繊維強化複合材料のガラス転移温度が大きく低下し、好ましくなかった。
Figure 0006175781
Figure 0006175781
Figure 0006175781

Claims (7)

  1. 下記[A]〜[C]を含むエポキシ樹脂組成物と炭素繊維を含む、成形材料。
    [A]3官能以上のビナフタレン型エポキシ樹脂
    [B]ビフェニル型エポキシ樹脂(下記式(IV)で示されるエポキシ樹脂に限る。)、および/または2個を超えるエポキシ基を有する脂肪族エポキシ樹脂
    [C]ジシアンジアミドまたはジアミノジフェニルスルホン
    Figure 0006175781
    Figure 0006175781
    (式(IV)中、Gは上記の一般式(III)で示される基であり、それぞれのベンゼン環にひとつずつ付加していれば、いずれの場所に付加しても良い。R,Rは、炭素数が1〜4のアルキル基、またはフェニル基、ハロゲン原子のいずれかを表す。それぞれのRは互いに同一であっても異なっていても良い。)
  2. エポキシ樹脂の全成分100質量部に対して、構成要素[A]を10〜50質量部含む、請求項1に記載の成形材料。
  3. エポキシ樹脂の全成分100質量部に対して、構成要素[B]のビフェニル型エポキシ樹脂を5〜35質量部含む、請求項1または2のいずれかに記載の成形材料。
  4. エポキシ樹脂の全成分100質量部に対して、構成要素[B]の2個を超えるエポキシ基を有する脂肪族エポキシ樹脂を3〜20質量部含む、請求項1〜3のいずれかに記載の成形材料。
  5. [D]硬化促進剤を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の成形材料。
  6. 構成要素[D]が、ウレア化合物である、請求項5に記載の成形材料。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の成形材料を成形して得られる、繊維強化複合材料。
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