JP6174517B2 - ハニカム構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、ハニカム構造体に関する。更に詳しくは、排ガス中に含まれる粒子状物質を良好に捕集することができ、且つ、一旦捕集した粒子状物質の外部への流出を有効に抑制することが可能なハニカム構造体に関する。
近年、自動車、鉄道、建設機械、農業用機械、等の内燃機関、特にディーゼルエンジンから排出される、「炭素を主成分とする粒子状物質」を捕集することが求められている。以下、粒子状物質のことを、「PM」又は「パティキュレートマター」ということがある。また、GDI(Gasoline Direct Injection)エンジン等のガソリンエンジンから排出されるPMを捕集することも求められている。これに対して、近時では、所定のセルの一方の端部と残余のセルの他方の端部とが目封止され、当該所定のセルと当該残余のセルとが交互に配置された目封止ハニカム構造体を、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)として使用している。そして、このようなDPFによって、ディーゼル機関等から排出されるPMを捕集する方法が盛んに用いられている(例えば、特許文献1を参照)。
このようなDPFによれば、排ガスの入口側の端面からセル内に排ガスが流入し、セル内に流入した排ガスが隔壁を通過し、隔壁を通過した排ガス(別言すれば、浄化ガス)が排ガスの出口側の端面から排出される。そして、排ガスが隔壁を通過するときに、排ガス中に含有されるPMが隔壁により捕集され、排ガスが浄化される。
しかし、従来の、「両端面に目封止部が形成されたハニカム構造体」においては、流入した排ガスの全てが隔壁を通過し、排ガス中の粒子状物質のほとんどが、隔壁で捕集されるため、圧力損失が増大し易いものであった。また、エンジンオイルや燃料中に微量に含まれる不純物(S、Ca等)により、灰分(Ash)が生成し、長時間の運転により、当該灰分がDPFのセル内に堆積し、圧力損失が増大するという問題があった。
このような問題点を解決するために、排ガスが流出する側の端面のみに目封止部を形成するハニカム構造体(ハニカムフィルタ)が提案されている(例えば、特許文献2〜4を参照)。また、排ガスが流入する側の端面のみに目封止部を形成するハニカム構造体も提案されている(例えば、特許文献5を参照)。
特開2003−254034号公報 特表2002−537965号公報 特許第3942086号公報 特開2004−251137号公報 国際公開第2012/046484号
しかし、特許文献2〜4に記載されたハニカムフィルタは、目封止部が形成されたセル内に灰分が堆積し、セル内の空間が灰分によって埋められていくため、ハニカムフィルタの使用に伴い圧力損失が上昇してしまうという問題があった。また、特許文献2〜4に記載されたハニカムフィルタは、目封止部が形成されたセルの流出端面側に、排ガス中のPMが順次堆積していく。そのため、例えば、流出端面側に堆積したPMが一度に燃焼した場合などには、ハニカムフィルタが局所的に極めて高温となり、ハニカムフィルタの流出端面側近傍にてクラック等の破損を生じることがある。
また、特許文献5に記載されたハニカム構造体は、図9Aに示すように、ハニカム構造体800の流入端面811側の開口部に、粒子状物質813が堆積しやすい傾向がある。ここで、図9Aは、従来のハニカム構造体のセルの延びる方向に平行な断面を示す模式図である。図9Aに示すハニカム構造体800は、流入端面811のみに目封止部805が設けられたハニカム構造体800である。このようなハニカム構造体800においては、流入端面811側の目封止部805が途切れる箇所から、貫通セル802aと入口目封止セル802bとに差圧が生じることとなる。そして、このハニカム構造体800では、流入端面811側の目封止部805が途切れる箇所の近傍に、排ガスGに含まれる粒子状物質813が多く堆積する。したがって、上述した粒子状物質813の堆積が一定の量を超えた場合に、図9Bに示すように、流入端面811側に局所的に堆積した粒子状物質813が隔壁801から剥がれ落ちてしまうことがある。また、流入端面811から流入する排ガスGの流量が多くなった場合にも、流入端面811側に局所的に堆積した粒子状物質813が隔壁801から剥がれ落ちてしまうことがある。更に、粒子状物質813により貫通セル802aの流路が閉塞し易いため、閉塞箇所にて排ガスGの流速が上がり、上述した粒子状物質813の剥がれ落ちがより起こり易くなることもある。そして、隔壁801から剥がれ落ちた粒子状物質813は、貫通セル802a内を通過し、ハニカム構造体800の流出端面812から流出してしまう。このように、隔壁801から剥がれ落ちた粒子状物質813が、ハニカム構造体800の流出端面812から流出してしまうことを、以下、「ブローオフ」ということがある。このようなブローオフの問題は、貫通セル802aを有し、この貫通セル802aを区画する隔壁801にて粒子状物質813を捕集するハニカム構造体800に特有の問題である。そして、現在、このようなブローオフの抑制されたハニカム構造体の開発が要望されている。図9Bは、図9Aに示すハニカム構造体が、ブローオフを生じている状態を示す模式図である。図9A及び図9Bにおいて、符号803は外周壁を示し、符号804はハニカム基材を示す。
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、排ガス中に含まれる粒子状物質を良好に捕集することができ、且つ、一旦捕集した粒子状物質の外部への流出を有効に抑制することが可能なハニカム構造体を提供する。
本発明によれば、以下に示す、ハニカム構造体が提供される。
[1] 排ガスが流入する側の端面である流入端面から排ガスが流出する側の端面である流出端面まで延びる流体の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁、を有するハニカム基材を備え、前記セルが、前記流入端面側から前記流出端面側まで実質的に貫通する貫通セルと、前記ハニカム基材の前記流入端面側において前記セルの端部が目封止部によって実質的に塞がれた入口目封止セルと、を含み、前記貫通セルの個数が、全ての前記セルの個数に対して、50〜85%であり、前記貫通セルが、少なくとも2つの前記入口目封止セルと前記隔壁を隔てて隣接するように配置され、且つ、当該少なくとも2つの前記入口目封止セルのうちの2つ以上の前記入口目封止セルの前記目封止部の長さが異なっている、特定貫通セルを含み、前記特定貫通セルの個数が、全ての前記貫通セルの個数に対して、50%以上である、ハニカム構造体。
[2] 前記特定貫通セルと前記隔壁を隔てて隣接する、前記少なくとも2つの前記入口目封止セルのうちの2つ以上の前記入口目封止セルの前記目封止部の長さの差の最大値が、5mm以上、17mm以下である、前記[1]に記載のハニカム構造体。
[3] 前記入口目封止セルの前記目封止部の長さが、3mm以上、20mm以下である、前記[1]又は[2]に記載のハニカム構造体。
[4] 前記セルが、前記貫通セルと、前記ハニカム基材の前記流入端面側においてのみ前記セルの端部が前記目封止部によって実質的に塞がれた前記入口目封止セルとのいずれか一方のセルである、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のハニカム構造体。
[5] 前記特定貫通セルと前記隔壁を隔てて隣接する前記入口目封止セルを2つ以上有し、当該特定貫通セルの一の角部を形成する2つ隔壁を第一隔壁及び第二隔壁とした場合に、当該特定貫通セルと前記第一隔壁を隔てて隣接する前記入口目封止セルの前記目封止部の長さと、当該特定貫通セルと前記第二隔壁を隔てて隣接する前記入口目封止セルの前記目封止部の長さとが、異なっている、前記[1]〜[4]のいずれかに記載のハニカム構造体。
[6] 前記特定貫通セルと前記隔壁を隔てて隣接する前記入口目封止セルのうち、当該特定貫通セルを挟んで対向する2つの前記入口目封止セルの前記目封止部の長さが異なっている、前記[1]〜[5]のいずれかに記載のハニカム構造体。
[7] 前記貫通セルと前記隔壁を隔てて隣接する全ての前記入口目封止セルが、それぞれの前記目封止部の長さが異なるものである、前記[1]〜[6]のいずれかに記載のハニカム構造体。
[8] 前記隔壁の厚さが、150〜360μmである、前記[1]〜[7]のいずれかに記載のハニカム構造体。
[9] 前記ハニカム基材のセル密度が、20〜100セル/cmである、前記[1]〜[8]のいずれかに記載のハニカム構造体。
本発明のハニカム構造体によれば、排ガス中に含まれる粒子状物質を良好に捕集することができ、且つ、一旦捕集した粒子状物質の外部への流出を有効に抑制することができる。すなわち、目封止部が配設されていない貫通セルに排ガスが流入すると、当該貫通セル内の圧力が上昇し、貫通セルに隣接する入口目封止セル内の圧力が貫通セル内の圧力に対して相対的に低くなる。このため、排ガスの一部が貫通セルから隔壁を透過して入口目封止セルに流入し、入口目封止セルの、目封止部が配設されていない側(ハニカム基材における流出端面側)の端部から、隔壁を透過した排ガスが排出される。そして、このように、排ガスの一部が隔壁を透過することにより、貫通セル内の隔壁に、排ガスに含有される粒子状物質が堆積するため、粒子状物質を良好に捕集することができる。
そして、本発明においては、「貫通セル」が、少なくとも2つの入口目封止セルと隣接するように配置され、且つ、当該少なくとも2つの入口目封止セルのうちの2つ以上の入口目封止セルの目封止部の長さが異なっている「特定貫通セル」を含んでいる。このため、特定貫通セル内の隔壁において、粒子状物質が堆積し始める流入端面側からの開始点に差異を設けることができる。すなわち、通常、特定貫通セルでは、目封止部が配設された部分の隔壁では排ガスが殆ど透過せず、隔壁における目封止部が配設されていない部分(別言すれば、目封止部が途切れた箇所)から、粒子状物質が堆積し始めることとなる。したがって、本発明のハニカム構造体においては、特定貫通セルと一の入口目封止セルとを隔てて配置されている隔壁と、特定貫通セルと他の入口目封止セルとを隔てて配置されている隔壁とで、粒子状物質が堆積し始める位置が異なることとなる。このため、ハニカム構造体の流入端面近傍における、粒子状物質の堆積箇所がずれることとなり、排ガスの流路(別言すれば、特定貫通セル内)が、粒子状物質の堆積により狭くなることを有効に抑制することができる。そして、セル内の流路を広く確保することができれば、排ガスの流量が増大しても、堆積した粒子状物質にかかる圧力を抑制することができ、粒子状物質の隔壁からの剥がれ落ちを防止することができる。したがって、本発明のハニカム構造体は、一旦捕集した粒子状物質の外部への流出を有効に抑制することができる。
本発明のハニカム構造体の第一実施形態を模式的に示す、流入端面側からみた斜視図である。 本発明のハニカム構造体の第一実施形態を模式的に示す、流出端面側からみた斜視図である。 本発明のハニカム構造体の第一実施形態を模式的に示す、流入端面側からみた平面図である。 本発明のハニカム構造体の第一実施形態を模式的に示す、流出端面側からみた平面図である。 本発明のハニカム構造体の第一実施形態の、排ガスの流れる方向に平行な断面を示す模式図である。 本発明のハニカム構造体の第一実施形態の、排ガスの流れる方向に平行な断面を示す模式図である。 図6Aの符号Xに示す破線で囲われた範囲を拡大して示す、拡大図である。 特定貫通セルと入口目封止セルの配列の一例を示す模式図である。 特定貫通セルと入口目封止セルの配列の他の例を示す模式図である。 特定貫通セルと入口目封止セルの配列の更に他の例を示す模式図である。 特定貫通セルと入口目封止セルの配列の更に他の例を示す模式図である。 特定貫通セルと入口目封止セルの配列の更に他の例を示す模式図である。 特定貫通セルと入口目封止セルの配列の更に他の例を示す模式図である。 従来のハニカム構造体のセルの延びる方向に平行な断面を示す模式図である。 図9Aに示すハニカム構造体が、ブローオフを生じている状態を示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
(1)ハニカム構造体:
図1〜図5に示すように、本発明のハニカム構造体の第一実施形態は、流体(すなわち、排ガスG)の流路となる複数のセル2を区画形成する多孔質の隔壁1を有するハニカム基材4を備えたハニカム構造体100である。この隔壁1によって、排ガスGが流入する側の端面である流入端面11から排ガスGが流出する側の端面である流出端面12まで延びる複数のセル2が区画形成されている。本実施形態のハニカム構造体100においては、複数のセル2が、貫通セル2aと、入口目封止セル2bと、を含んでいる。貫通セル2aとは、流入端面11側から流出端面12側まで実質的に貫通するセル2のことである。入口目封止セル2bとは、ハニカム基材4の流入端面11側において当該セル2の端部が目封止部5によって実質的に塞がれたセル2のことである。本実施形態のハニカム構造体100においては、貫通セル2aの個数が、全てのセル2の個数に対して、50〜85%である。また、本実施形態のハニカム構造体100は、貫通セル2aが、特定貫通セル2aaを含む。特定貫通セル2aaとは、少なくとも2つの入口目封止セル2bと隔壁1を隔てて隣接するように配置され、且つ、当該少なくとも2つの入口目封止セル2bのうちの2つ以上の入口目封止セル2bの目封止部5の長さが異なっているセル2のことである。すなわち、「特定貫通セル2aa」とは、目封止部5の長さがそれぞれ異なる2つ以上の入口目封止セル2bと、隔壁1を隔てて隣接するように配置された貫通セル2aのことをいう。以下、貫通セル2aと入口目封止セル2bとが「隔壁1を隔てて隣接して配置される」ことを、貫通セル2aと入口目封止セル2bとが「隣接して配置される」、或いは、単に「隣接する」ということがある。隣接して配置される2つのセル2を隔てる隔壁1とは、ハニカム基材4のセル2の延びる方向に垂直な断面において、セル2の形状が多角形の場合に、以下のような位置に配置される隔壁1のことである。すなわち、隣接して配置される2つのセル2を隔てる隔壁1とは、上記断面において、1つのセル2における多角形の一辺と、もう1つのセル2における多角形の一辺とに挟まれた位置に配置される隔壁1のことである。例えば、「隔壁1を隔てて隣接して配置される2つのセル」は、それぞれの重心間の距離が最も短くなるように配置された状態となっている。図5においては、特定貫通セル2aaが、目封止部5の長さがT1の第一入口目封止セル2ba、及び目封止部5の長さがT2(ここで、T1≠T2)の第二入口目封止セル2bbの、2種類の入口目封止セル2bと隣接している。そして、本実施形態のハニカム構造体100においては、特定貫通セル2aaの個数が、全ての貫通セル2aの個数に対して、50%以上である。
ここで、「セルの端部が目封止部によって「実質的」に塞がれる」とは、セルの端部が目封止部によって塞がれ、それにより排ガスが当該セルを通過し難い状態であることを意味する。目封じ形成時にできるわずかな隙間や、目封止部5が多孔体であることにより、目封止部を通過する微量のガス流れがあってもよい。また、「セルが「実質的」に貫通する」とは、排ガスが当該セルを通過することができる状態を意味する。これは、目封止部等がセル内に配設されていても、当該目封止部等に孔が開いている等の状態により、排ガスが当該セルを通過できるような場合も含むものである。また、図1に示すような円柱形のハニカム構造体100において、「セルの延びる方向」とは、円柱形のハニカム構造体100の中心軸方向のことを意味する。「目封止部5の長さ」とは、目封止部5の、セルの延びる方向の長さのことを意味する。
図1は、本発明のハニカム構造体の第一実施形態を模式的に示す、流入端面側からみた斜視図である。図2は、本発明のハニカム構造体の第一実施形態を模式的に示す、流出端面側からみた斜視図である。図3は、本発明のハニカム構造体の第一実施形態を模式的に示す、流入端面側からみた平面図である。図4は、本発明のハニカム構造体の第一実施形態を模式的に示す、流出端面側からみた平面図である。図5は、本発明のハニカム構造体の第一実施形態の、排ガスの流れる方向に平行な断面を示す模式図である。
本実施形態のハニカム構造体100によれば、排ガス中に含まれる粒子状物質を良好に捕集することができ、且つ、一旦捕集した粒子状物質の外部への流出を有効に抑制することができる。すなわち、図6Aに示すように、本実施形態のハニカム構造体100によれば、ハニカム基材4の流入端面11から排ガスGを流入させたときに、排ガスG中に含まれる粒子状物質を、貫通セル2aを区画形成する隔壁1によって捕集することができる。すなわち、ハニカム構造体100は、ハニカム基材4の流入端面11における、入口目封止セル2bの端部に目封止部5が配設されている。この構造により、目封止部5が配設されていないセル(すなわち、貫通セル2a)に排ガスGが流入すると、当該貫通セル2a内の圧力が上昇し、貫通セル2aに隣接する入口目封止セル2b内の圧力が貫通セル2a内の圧力に対して相対的に低くなる。このため、排ガスGの一部が、貫通セル2aから多孔質の隔壁1を透過して入口目封止セル2bに流入し、この入口目封止セル2bに流入した排ガスGが、入口目封止セル2bの、目封止部5が配設されていない側(ハニカム基材4における流出端面12側)の端部から排出される。貫通セル2aと入口目封止セル2bとが隣接することにより、貫通セル2aと入口目封止セル2bとの間に位置する多孔質の隔壁1を透過して、排ガスGが「貫通セル2aから入口目封止セル2bへと」移動することができる。そして、このように、排ガスGの一部が隔壁1を透過することにより、貫通セル2a内の隔壁1に、排ガスGに含有される粒子状物質が堆積するため、粒子状物質を捕集することができる。図6Aは、本発明のハニカム構造体の第一実施形態の、排ガスの流れる方向に平行な断面を示す模式図である。
そして、本実施形態のハニカム構造体100においては、上述したように、特定貫通セル2aaが、それぞれの目封止部5の長さが異なっている2つ以上の入口目封止セル2bと隣接するように構成されている。このように構成することによって、図6Bに示すように、特定貫通セル2aa内の隔壁1において、粒子状物質13が堆積し始める流入端面11側からの開始点に差異を設けることができる。すなわち、特定貫通セル2aaにおいて、目封止部5が配設された部分の隔壁1では排ガスGが殆ど透過できず、隔壁1の目封止部5が配設されていない部分(別言すれば、目封止部5が途切れた箇所)から、粒子状物質13が堆積し始めることとなる。ここで、目封止部5の長さが異なっている2つの入口目封止セル2bを、第一入口目封止セル2ba及び第二入口目封止セル2bbとする。本実施形態のハニカム構造体100によれば、特定貫通セル2aaと第一入口目封止セル2baとを隔てている隔壁1と、特定貫通セル2aaと第二入口目封止セル2bbとを隔てている隔壁1とで、粒子状物質13の堆積し始める位置に差異を設けることができる。このため、ハニカム構造体100の流入端面11近傍における、粒子状物質13の堆積開始位置がずれることとなり、特定貫通セル2aaの流入端面11側が、粒子状物質13の堆積によって狭くなり難くなる。そして、特定貫通セル2aa内の流路を広く確保することができれば、排ガスGの流量が増大しても、堆積した粒子状物質13にかかる圧力を抑制することができ、粒子状物質13の隔壁1からの剥がれ落ちを防止することができる。したがって、本実施形態のハニカム構造体100によれば、一旦捕集した粒子状物質13の外部への流出(別言すれば、ブローオフ)を有効に抑制することができる。このようなブローオフを有効に抑制するという効果は、貫通セル2aを有し、この貫通セル2aを区画する隔壁1にて粒子状物質13を捕集するハニカム構造体100に特有の顕著な効果である。
尚、図示は省略するが、本実施形態のハニカム構造体においては、特定貫通セルが、3つの入口目封止セルと隣接するように配置され、且つ、当該3つの入口目封止セルのうちの少なくとも2つの目封止部の長さが異なっていてもよい。また、特定貫通セルが、3つの入口目封止セルと隣接するように配置され、且つ、当該3つの入口目封止セルの目封止部の長さがそれぞれ異なっていてもよい。更に、特定貫通セルが、4つの入口目封止セルと隣接するように配置され、且つ、当該4つの入口目封止セルのうちの少なくとも2つの目封止部の長さが異なっていてもよい。このように、特定貫通セルに隣接する入口目封止セルの数は、2つ以上であれば、特定貫通セルと隣接し得るセルの個数まで増やすことができる。また、特定貫通セルに隣接する入口目封止セルにおいて、2つの入口目封止セルにおける目封止部の長さが異なっていれば、目封止部の長さが同じ入口目封止セルが複数存在してもよい。もちろん、特定貫通セルに隣接する入口目封止セルの全てにおいて、目封止部の長さが異なっていてもよい。
本実施形態のハニカム構造体においては、貫通セルの個数が、全てのセルの個数に対して、50〜85%である。以下、「全てのセルの個数に対する貫通セルの個数の割合」を、単に、「貫通セルの個数割合」又は「貫通セルの割合」ということがある。貫通セルの割合が、50%未満であると、ハニカム構造体の圧力損失が大きく増加してしまう。貫通セルの割合が、85%を超えると、ハニカム構造体の粒子状物質を捕集する捕集効率が低下してしまう。貫通セルの割合は、50〜83%であることが好ましく、50〜67%であることが更に好ましい。
また、上述した、一旦捕集した粒子状物質の隔壁からの剥がれ落ちを有効に防止するためには、特定貫通セルの個数が、全ての貫通セルの個数に対して、50%以上であることが重要である。以下、「全ての貫通セルの個数に対する特定貫通セルの個数の割合」を、単に、「特定貫通セルの個数割合」又は「特定貫通セルの割合」ということがある。特定貫通セルの割合が、50%未満であると、一旦捕集した粒子状物質の流出を抑制する効果が十分に発現しないことがある。特定貫通セルの割合は、50〜100%であることが好ましく、50〜75%であることが更に好ましい。特定貫通セルの割合を上記のような数値範囲とすることで、粒子状物質の外部への流出を特に有効に抑制することができる。
本実施形態のハニカム構造体においては、特定貫通セルと隔壁を隔てて隣接する、少なくとも2つの入口目封止セルのうちの2つ以上の入口目封止セルの目封止部の長さの差が、粒子状物質の堆積開始点の差となる。上記目封止部の長さの差の最大値が、5mm以上、17mm以下であることが好ましい。このように構成することによって、粒子状物質の堆積開始点の差を十分に確保することができるとともに、ハニカム構造体の捕集効率の過度な低下を抑制することができる。例えば、目封止部の長さの差の最大値が、5mm未満であると、粒子状物質の堆積開始点の差を十分に確保することができず、特定貫通セル内の流路が閉塞し易くなることがある。一方、目封止部の長さの差の最大値が、17mmを超えると、目封止部によってフィルタ機能の発現しない部分の長さが長くなり過ぎて、ハニカム構造体の捕集効率が低下したり、ハニカム構造体の圧力損失が増大したりすることがある。例えば、図5に示すハニカム構造体100においては、第一入口目封止セル2baの目封止部5の長さT1と、第二入口目封止セル2bbの目封止部5の長さT2との差T1−T2が、5mm以上、17mm以下であることが好ましい。目封止部の長さの差の最大値は、5mm以上であることが更に好ましく、10mm以上であることが特に好ましい。また、目封止部の長さの差の最大値は、15mm以下であることが更に好ましい。また、目封止部の長さの差の最大値は、20mm以下であってもよい。
本実施形態のハニカム構造体においては、入口目封止セルの目封止部の長さが、3mm以上、20mm以下であることが好ましく、5mm以上、17mm以下であることが更に好ましく、5mm以上、15mm以下であることが特に好ましい。入口目封止セルの目封止部の長さが、3mm未満であると、煤が入口近くに堆積しガスに流されやすく、また目封じ深さが浅いと目封じが外れ易くなるのであり好ましくない。入口目封止セルの目封止部の長さが、20mmを超えると、目封止部によってフィルタ機能の発現しない部分の長さが長くなり過ぎて、ハニカム構造体の捕集効率が低下したり、ハニカム構造体の圧力損失が増大したりすることがある。
本実施形態のハニカム構造体においては、ハニカム基材に形成されたセルが、貫通セルと、ハニカム基材の流入端面側においてのみ目封止部によって実質的に塞がれた入口目封止セルとのいずれか一方のセルであることが好ましい。このように構成することによって、本実施形態のハニカム構造体を、粒子状物質を捕集するフィルタとして有効に使用することができる。もちろん、本実施形態のハニカム構造体においては、ハニカム基材に形成されたセルの一部のセルが、ハニカム基材の流出端面側が目封止部によって塞がれたものであってもよい。
また、特定貫通セルと隔壁を隔てて隣接する入口目封止セルの態様として、以下のような第一の態様、及び第二の態様を挙げることができる。第一の態様においては、特定貫通セルと隔壁を隔てて隣接する入口目封止セルを2つ以上有することとする。そして、この第一の態様において、上記特定貫通セルの一の角部を形成する2つ隔壁を、第一隔壁及び第二隔壁とする。第一の態様では、特定貫通セルと第一隔壁を隔てて隣接する入口目封止セルの目封止部の長さと、特定貫通セルと第二隔壁を隔てて隣接する入口目封止セルの目封止部の長さとが、異なっていることが好ましい。第二の態様においては、特定貫通セルと隔壁を隔てて隣接する入口目封止セルのうち、当該特定貫通セルを挟んで対向する2つの入口目封止セルの目封止部の長さが異なっていることが好ましい。
上述した第一の態様及び第二の態様の構成を採用することによって、特定貫通セル内の流路がより閉塞し難くなる。第一の態様においては、特定貫通セルの一の角部を形成する第一隔壁及び第二隔壁と隣接する第一入口目封止セル及び第二入口目封止セルにて、上記構成が満たされていればよい。例えば、第一の態様においては、特定貫通セルの二つ以上の角部において、上記構成が満たされていてもよい。また、特定貫通セルを挟んで対向する2つの入口目封止セルの目封止部の長さが異なっている場合、当該対向する2つの入口目封止セル以外の入口目封止セルの目封止部の長さが更に異なっていてもよい。例えば、貫通セルと隔壁を隔てて隣接する全ての入口目封止セルが、それぞれの目封止部の長さが異なるものであってもよい。ここで、特定貫通セルと、入口目封止セルの配列について、図7A〜図7Dに参照しつつ説明する。ここで、図7Aは、特定貫通セルと入口目封止セルの配列の一例を示す模式図である。図7Bは、特定貫通セルと入口目封止セルの配列の他の例を示す模式図である。図7Cは、特定貫通セルと入口目封止セルの配列の更に他の例を示す模式図である。図7Dは、特定貫通セルと入口目封止セルの配列の更に他の例を示す模式図である。
図7Aにおいては、貫通セル2aとしての特定貫通セル2aaが、4つの入口目封止セル2bと隔壁1を隔てて隣接するように配置されている。図7Aにおいて、一の特定貫通セル2aaに対して、紙面の左右に隣接する2つの入口目封止セル2bが、第一入口目封止セル2baであり、紙面の上下に隣接する2つの入口目封止セル2bが、第二入口目封止セル2bbである。第一入口目封止セル2baと第二入口目封止セル2bbとは、目封止部の長さが異なっている。図7Aにおいては、例えば、特定貫通セル2aaと第一隔壁を隔てて隣接する入口目封止セル2bが、第一入口目封止セル2baであり、特定貫通セル2aaと第二隔壁を隔てて隣接する入口目封止セル2bが、第二入口目封止セル2bbとなる。
図7Bにおいては、貫通セル2aとしての特定貫通セル2aaが、4つの入口目封止セル2bと隔壁1を隔てて隣接するように配置されている。図7Bにおいて、一の特定貫通セル2aaに対して、紙面の上側と右側に隣接する2つの入口目封止セル2bが、第一入口目封止セル2baであり、紙面の下側と左側に隣接する2つの入口目封止セル2bが、第二入口目封止セル2bbである。第一入口目封止セル2baと第二入口目封止セル2bbとは、目封止部の長さが異なっている。図7Bにおいては、特定貫通セル2aaと隔壁1を隔てて隣接する入口目封止セル2bのうち、当該特定貫通セル2aaを挟んで対向する2つの入口目封止セル2bが、第一入口目封止セル2ba及び第二入口目封止セル2bbとなる。すなわち、「特定貫通セル2aaを挟んで対向する2つの入口目封止セル2b」は、以下のように配置されたセルのことをいう。まず、特定貫通セル2aaを区画形成する隔壁1のうち、互いに向かい合うように配置された2つの隔壁1が存在する。そして、互いに向かい合うように配置された一の隔壁1を挟んで隣接する入口目封止セル2bと、互いに向かい合うように配置された他の隔壁1を挟んで隣接する入口目封止セル2bとが、「特定貫通セル2aaを挟んで対向する2つの入口目封止セル2b」となる。
図7Cにおいては、貫通セル2aとしての特定貫通セル2aaが、4つの入口目封止セル2bと隔壁1を隔てて隣接するように配置されている。図7Cにおいて、一の特定貫通セル2aaに対して、紙面の左右に隣接する2つの入口目封止セル2bが、第一入口目封止セル2baとなっている。そして、一の特定貫通セル2aaに対して、紙面の上側に隣接する1つ入口目封止セル2bが、第二入口目封止セル2bbであり、紙面の下側に隣接する1つ入口目封止セル2bが、第三入口目封止セル2bcである。第一入口目封止セル2baと第二入口目封止セル2bbと第三入口目封止セル2bcとは、目封止部の長さが異なっている。
図7Dにおいては、貫通セル2aとしての特定貫通セル2aaが、4つの入口目封止セル2bと隔壁1を隔てて隣接するように配置されている。図7Dにおいて、一の特定貫通セル2aaに対して、隣接する4つの入口目封止セル2bの全てにおいて、目封止部の長さが異なっている。すなわち、図7Dにおいて、符号2aaにて示す一の特定貫通セル2aaに対して、紙面の上側に隣接する入口目封止セル2bが、第一入口目封止セル2baである。また、この一の特定貫通セル2aaに対して、紙面の右側に隣接する入口目封止セル2bが、第二入口目封止セル2bbであり、紙面の左側に隣接する入口目封止セル2bが、第三入口目封止セル2bcである。そして、この一の特定貫通セル2aaに対して、紙面の下側に隣接する入口目封止セル2bが、第四入口目封止セル2bdである。第一入口目封止セル2ba、第二入口目封止セル2bb、第三入口目封止セル2bc、及び第四入口目封止セル2bdは、目封止部の長さがそれぞれ異なっている。
ハニカム基材のセルの形状は、特に限定されないが、セルの延びる方向に直交する断面において、三角形、四角形、五角形、六角形、八角形等の多角形、円形、又は楕円形であることが好ましく、その他不定形であってもよい。
例えば、セルの形状が六角形の場合には、特定貫通セルと入口目封止セルの配列として、図8A及び図8Bに示すような態様を挙げることができる。図8A及び図8Bは、特定貫通セルと入口目封止セルの配列の更に他の例を示す模式図である。図8A及び図8Bにおいては、貫通セル32aとしての特定貫通セル32aaが、6つのセル32と隔壁31を隔てて配置されている。そして、図8A及び図8Bに示す態様では、一の特定貫通セル32aaと隣接する6つのセル32が、当該特定貫通セル32aaの周囲を、貫通セル32aと入口目封止セル32bとが交互に配列するように配置されている。そして、図8Aにおいて、一の特定貫通セル32aaに対して、紙面の上側に隣接する入口目封止セル32bが、第一入口目封止セル32baである。また、図8Aにおいて、一の特定貫通セル32aaに対して、紙面の右下側及び左下側に隣接する入口目封止セル32bが、第二入口目封止セル32bbである。図8Aにおいて、第一入口目封止セル32ba、及び第二入口目封止セル32bbは、目封止部の長さがそれぞれ異なっている。また、図8Bにおいて、一の特定貫通セル32aaに対して、紙面の上側に隣接する入口目封止セル32bが、第一入口目封止セル32baである。図8Bにおいて、一の特定貫通セル32aaに対して、紙面の右下側に隣接する入口目封止セル32bが、第二入口目封止セル32bbである。図8Bにおいて、一の特定貫通セル32aaに対して、紙面の左下側に隣接する入口目封止セル32bが、第三入口目封止セル32bcである。図8Bにおいて、第一入口目封止セル32ba、第二入口目封止セル32bb、及び第三入口目封止セル32bcは、目封止部の長さがそれぞれ異なっている。
隔壁の気孔率は、50〜80%であることが好ましく、55〜67%であることが更に好ましい。50%より小さいと、捕集性能が著しく低下することがあり、80%より大きいと、ハニカム基材の強度が低くなるため、キャニングが難しくなる(収納容器に収納する際に破損したりする)ことがある。更に、気孔率が55〜67%であると、ハニカム構造体の捕集効率(100×[捕集した粒子状物質の質量]/[流入した粒子状物質の質量])を、フィルタとして良好な値とすることができる。また、気孔率が55〜67%であると、ハニカム構造体の強度も向上し、キャニングも、し易くなる。隔壁の気孔率は、水銀ポロシメータにより測定した値である。
隔壁の厚さは、150〜360μmであることが好ましく、180〜360μmであることが更に好ましい。150μmより薄いと、ハニカム基材の強度が低下することがある。360μmより厚いと、捕集性能が低下し、圧力損失が増大することがある。また、ディーゼルエンジンから排出される排ガスを処理する場合には、ディーゼルエンジンから排出される排ガス中のPM量が比較的多いため、通常、セル数を少なくする(セル密度を小さくする)傾向がある。そのため、隔壁1の厚さを200〜360μmとすることが、強度と捕集性能のバランスをよくするために好ましい。また、ガソリンエンジンから排出される排ガスを処理する場合には、ガソリンエンジンから排出される排ガス中のPM量が比較的少ないため、通常、セル数を多くする(セル密度を大きくする)傾向がある。そのため、隔壁の厚さを150〜250μmとすることが、強度と捕集性能のバランスをよくするために好ましい。隔壁の厚さは、ハニカム基材の軸方向の断面を顕微鏡観察する方法で測定した値である。
ハニカム基材は、隔壁の気孔率が50〜80%であり、且つ、隔壁の厚さが100〜400μmである場合に、より効果的に、圧力損失の増大を抑制しながら、排ガス中の粒子状物質を捕集することができる。また、上記のような気孔率及び隔壁の厚さを採用することにより、ハニカム基材の強度を低下させることもない。
ハニカム基材のセル密度(ハニカム基材のセルの延びる方向に直交する断面における、単位面積当たりのセルの個数)は、20〜100セル/cmであることが好ましい。20セル/cmより小さいと、捕集性能が低下することがある。100セル/cmより大きいと、ハニカム基材の流入端面付近にPMが堆積し、セルがPMによって閉塞していくため、圧力損失が大きくなることがある。また、ディーゼルエンジンから排出される排ガスを処理する場合には、30〜70セル/cmであることが更に好ましい。30セル/cmより小さいと、捕集性能が低くなることがある。70セル/cmより大きいと、圧力損失が大きくなることがある。また、ガソリンエンジンから排出される排ガスを処理する場合には、45〜100セル/cmであることが更に好ましい。ガソリンエンジンから排出される排ガスは、PM量が少ないため、セルが閉塞するリスクが低いため、セル密度を高くすることが可能であり、セル密度を高くすることにより捕集性能を高くすることができる。また、セルが閉塞し難いため、連続再生も行い易い。45セル/cmより小さいと、捕集性能が低くなることがあり、100セル/cmより大きいと、PM捕集時の圧力損失が大きくなることがある。
隔壁の平均細孔径は、80μm以下であることが好ましく、0.1〜80μmであることが更に好ましく、1〜80μmであることがより更に好ましく、5〜25μmであることが特に好ましい。80μmより大きいと、ハニカム基材が脆くなり欠落し易くなり、また、隔壁内に粒子状物質が入り込み、深層ろ過となることがある。そして、このような平均細孔径の大きな隔壁は、PM捕集に伴って、粒子状物質捕集性能が低下しやすいため好ましくない。また、隔壁の平均細孔径が、0.1μmより小さいと、粒子状物質の堆積が少ない場合でも圧力損失が増大するため好ましくない。更に、隔壁の平均細孔径が、5μmよりも小さいと、酸化触媒を担持した場合の壁透過抵抗(排ガスが隔壁を透過する際の抵抗)が大きくなることがある。また、隔壁の平均細孔径が、25μmよりも大きいと、隔壁内部に灰分(Ash)が堆積し、長期間の使用の後、捕集性能が悪化する可能性が高くなることがある。隔壁の平均細孔径は、水銀ポロシメータで測定した値である。
ハニカム基材4の外周壁3の厚さは、特に限定されないが、0.5〜6mmが好ましい。0.5mmより薄いと、外周近傍のセルが欠けやすく、強度が低下することがある。6mmより厚いと、圧力損失が増大することがある。
ハニカム基材の形状(別言すれば、ハニカム構造体の形状)は、特に限定されないが、円柱形状、底面が楕円形の柱状、底面が四角形、五角形、六角形等の多角形の柱形状等が好ましい。ハニカム構造体は、セルの延びる方向を中心軸方向とする柱形状であることが好ましい。また、ハニカム基材(別言すれば、ハニカム構造体)の大きさは、特に限定されないが、セルの延びる方向における長さが15〜200mmであることが好ましい。ハニカム基材の長さがこのような範囲であるため、ハニカム構造体によって、圧力損失を増大させずに、優れた捕集性能で排ガスを処理することができる。15mmより短いと、捕集性能が悪化することがある。また、200mmより長いと、捕集性能向上はあまり期待できず、むしろ、圧力損失が増大することがある。捕集性能と圧力損失のバランスを考えると、ハニカム基材の長さは、50〜120mmが更に好ましい。特に複数個のハニカム構造体を、収納容器内に直列に配置する場合において、効果的である。また、例えば、ハニカム基材(別言すれば、ハニカム構造体)の外形が円柱形の場合、その底面(端面)の直径は、80〜400mmであることが好ましい。ハニカム基材の底面の直径は、上記範囲内において、エンジン排気量や出力に合わせて、適宜選定される。
ハニカム基材の隔壁及び外周壁は、セラミックを主成分とするものであることが好ましい。隔壁及び外周壁の材質としては、具体的には、炭化珪素、珪素−炭化珪素系複合材料、コージェライト、ムライト、アルミナ、スピネル、炭化珪素−コージェライト系複合材料、リチウムアルミニウムシリケート、及びアルミニウムチタネートからなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。これらの中でも、熱伝導率に優れた炭化珪素、及び、熱膨張係数が小さく、耐熱衝撃性に優れたコージェライトが好ましい。通常のDPFでは、PM堆積量を増やし、再生間隔を長くすることが必要であるため、炭化珪素のように熱容量の大きい材質が好ましいが、本発明においては、連続再生しやすい熱容量の比較的小さいコージェライトが特に好ましい。隔壁と外周壁の材質は、同じであることが好ましいが、異なっていてもよい。また、「セラミックを主成分とする」というときは、セラミックを全体の90質量%以上含有することを意味する。
図1〜図5に示すように、本実施形態のハニカム構造体100においては、ハニカム基材4の流入端面11側における、一部のセル2の端部を塞ぐように目封止部5が配設されている。本実施形態のハニカム構造体100においては、目封止部5が配設される一部のセル(入口目封止セル2b)と、目封止部が配設されない残余のセル(貫通セル2a)とは、隣接して配置されている。更に、入口目封止セル2bと、貫通セル2aとが交互に並び、ハニカム基材4の流入端面11において、貫通セル2aの開口部と、入口目封止セル2bの端部に配設された目封止部とにより市松模様が形成されることが好ましい。
目封止部5の材質は、ハニカム基材4の隔壁1の材質と同じであることが好ましい。
本実施形態のハニカム構造体は、隔壁の少なくとも一部に酸化触媒が担持されたものであってもよい。更に詳細には、ハニカム構造体を構成するハニカム基材の隔壁に触媒が担持されていることが好ましい。触媒の、単位体積当りの担持量は、0.1〜150g/リットルであることが好ましく、10〜80g/リットルであることが更に好ましい。「g/リットル」は、ハニカム構造体1リットル当たりの触媒のグラム数(g)を示す。0.1g/リットルより少ないと、触媒効果が発揮され難くなることがある。150g/リットルより多いと、隔壁の細孔が閉塞することにより、圧力損失が大きくなり、捕集効率が著しく低下することがある。また、ウォッシュコート層を形成する酸化触媒の場合、触媒の単位体積当たりの担持量は、10〜150g/リットルであることが好ましい。触媒担持量が10g/リットルより少ないと、ウォッシュコート層を形成し難くなることがある。
酸化触媒としては貴金属を含有するものを挙げることができ、具体的には、Pt、Rh及びPdからなる群より選択される少なくとも一種を含有するものが好ましい。貴金属の合計量は、ハニカム構造体の単位体積当り、0.1〜5g/リットルであることが好ましい。
(2)ハニカム構造体の製造方法:
本発明のハニカム構造体を製造する方法について、以下に説明する。
まず、多孔質の隔壁を有するハニカム基材を作製する。具体的には、まず、成形原料を混練して坏土とする。次に、得られた坏土をハニカム形状に押出成形してハニカム成形体を得る。
成形原料は、セラミック原料に分散媒及び添加剤を加えたものであることが好ましい。添加剤としては、有機バインダ、造孔材、界面活性剤等を挙げることができる。分散媒としては、水等を挙げることができる。
セラミック原料としては、炭化珪素、珪素−炭化珪素系複合材料、コージェライト化原料、ムライト、アルミナ、スピネル、炭化珪素−コージェライト系複合材料、リチウムアルミニウムシリケート、及びアルミニウムチタネートからなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。これらの中でも、熱膨張係数が小さく、耐熱衝撃性に優れたコージェライト化原料が好ましい。
有機バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。これらの中でも、メチルセルロースとヒドロキシプロポキシルセルロースとを併用することが好ましい。有機バインダの含有量は、セラミック原料100質量部に対して、5〜25質量部であることが好ましい。
造孔材としては、焼成後に気孔となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、澱粉、発泡樹脂、吸水性樹脂、シリカゲル等を挙げることができる。造孔材の含有量は、セラミック原料100質量部に対して、10〜20質量部であることが好ましい。
界面活性剤としては、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等を用いることができる。これらは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を組合せて使用してもよい。界面活性剤の含有量は、セラミック原料100質量部に対して、3〜20質量部であることが好ましい。
分散媒の含有量は、セラミック原料100質量部に対して、10〜30質量部であることが好ましい。
使用するセラミック原料(骨材粒子)の粒子径及び配合量、並びに添加する造孔材の粒子径及び配合量を調整することにより、所望の気孔率、平均細孔径の多孔質基材(ハニカム基材)を得ることができる。
成形原料を混練して坏土を形成する方法としては、特に制限はなく、例えば、ニーダー、真空土練機等を用いる方法を挙げることができる。押出成形は、所望のセル形状、隔壁厚さ、セル密度を有する口金を用いて行うことができる。口金の材質としては、摩耗し難い超硬合金が好ましい。
次に、得られたハニカム成形体の一方の端面(流入端面)における一部のセルの開口部を目封止する。セルの開口部を目封止する方法としては、セルの開口部に目封止材を充填する方法を挙げることができる。目封止材を充填する方法としては、まず、ハニカム成形体の一方の端面に、貫通セルとなるセルの開口部を塞ぐようにマスクを施す。ここで、マスクの施し方には、特に制限はないが、ハニカム構造体の一方の端面(流入端面)において、端部が目封止された所定のセルと端部が目封止されない残余のセルとが交互に配置されて、市松模様を形成するようにマスクを施すことが好ましい。本実施形態のハニカム構造体を作製する際には、以下の方法で、貫通セルとなるセルの開口部を塞ぐようにマスクを施すことが好ましい。まず、ハニカム成形体の一方の端面全域を覆うようにマスクとなるシートを被せる。この状態では、貫通セルとなるセル、及び入口目封止セルとなるセルの双方の開口部が、シートにより塞がれている。次に、このシートの、入口目封止セルとなるセルの開口部分に該当する箇所に、孔を開ける。このようにシートに孔を開けたものが、マスクとなる。この際、貫通セルと隣接する2つの入口目封止セルとなるセルについて、シートに開ける孔の大きさを変えることが好ましい。シートに開ける孔の大きさを変えると、以下に説明する目封止材を充填して目封止部を形成する工程において、それぞれの孔から充填される目封止材の量が変化する。このため、シートに開ける孔の大きさにより、入口目封止セルの目封止部の長さを、各セル毎に調節することができる。尚、目封止材を充填する方法については、上述した方法に限定されることはなく、例えば、目封止部の長さが異なる入口目封止セル毎に、目封止材を数回に分けて、セルの開口部に充填する方法などを用いてもよい。
また、別途、セラミック原料、水又はアルコール、及び有機バインダを含むスラリー状の目封止材を、貯留容器に貯留しておく。セラミック原料としては、ハニカム成形体の原料として用いられるセラミック原料と同じであることが好ましい。セラミック原料は、目封止材全体の68〜90質量%であることが好ましい。また、水又はアルコールは、目封止材全体の8〜30質量%であることが好ましく、有機バインダは、目封止材全体の0.1〜2.0質量%であることが好ましい。有機バインダとしては、ヒドロキシプロポキシルメチルセルロース、メチルセルロース等が挙げられる。
そして、上記マスクを施した方の端部を、貯留容器中に浸漬して、マスクが施されていないセルの開口部に目封止材を充填して目封止部を形成する。マスクに開ける孔の大きさを変えた場合には、浸入する目封止材の量が、各孔毎に変化し、目封止材の充填深さを調節することができる。目封止材の粘度は、600〜1200Pa・sであることが好ましい。尚、目封止材の粘度は、温度30℃において回転式粘度計で30rpmの回転数で測定した値である。
次に、目封止材をセルの開口部に充填したハニカム成形体を焼成する。焼成温度は、ハニカム成形体の材質よって適宜決定することができる。例えば、ハニカム成形体の材質がコージェライトの場合、焼成温度は、1380〜1450℃が好ましく、1400〜1440℃が更に好ましい。また、焼成時間は、3〜10時間程度とすることが好ましい。
ハニカム成形体を焼成する前に乾燥させてもよい。乾燥方法は、特に限定されるものではないが、例えば、熱風乾燥、マイクロ波乾燥、誘電乾燥、減圧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等を挙げることができ、これらの中でも、誘電乾燥、マイクロ波乾燥又は熱風乾燥を単独で又は組合せて行うことが好ましい。また、乾燥条件としては、乾燥温度30〜150℃、乾燥時間1分〜2時間とすることが好ましい。
また、ハニカム成形体に目封止部を形成する前に、ハニカム成形体を焼成してハニカム焼成体を得、得られたハニカム焼成体の一方の端面における一部のセルの開口部に目封止部を形成した後、更に焼成することによってハニカム構造体を得ることもできる。以上のようにして、本実施形態のハニカム構造体を製造することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(ハニカム構造体)
まず、コージェライト化原料100質量部に、造孔材を13質量部、分散媒を35質量部、有機バインダを6質量部、分散剤を0.5質量部、それぞれ添加し、混合、混練して坏土を調製した。コージェライト化原料としては、アルミナ、水酸化アルミニウム、カオリン、タルク、及びシリカを使用した。分散媒としては水を使用し、造孔材としては平均粒子径1〜10μmのコークスを使用し、有機バインダとしてはヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用し、分散剤としてはエチレングリコールを使用した。造孔材の粒子径と量をコントロールすることにより、隔壁の細孔径及び気孔率をコントロールした。
次に、所定の金型を用いて坏土を押出成形し、セル形状が四角形で、全体形状が円柱形のハニカム成形体を得た。
次に、ハニカム成形体をマイクロ波乾燥機で乾燥し、更に熱風乾燥機で完全に乾燥させた後、ハニカム成形体の両端面を切断し、所定の寸法に整えた。次に、ハニカム成形体の一方の端面全域を覆うようにシートを被せ、当該シートの、入口目封止セルとなるセルの開口部分に該当する箇所に孔を開ける方法にて、ハニカム成形体の一方の端面(流入端面)の一部のセルの開口部にマスクを施した。マスクを施した側の端部を、コージェライト化原料を含有する目封止スラリーに浸漬することによって、流入端面における所定のセル(マスクが施されていないセル)に目封止スラリーを充填した。
実施例1においては、貫通セルの割合が50%となり、特定貫通セルの割合が100%となるように、目封止スラリーの充填深さを調整した。目封止スラリーの充填深さの調整は、シートに開けた孔の大きさによって調節した。目封止のパターン、すなわち、特定貫通セルと入口目封止セルの配列は、図7Aに示すような態様とした。具体的には、図7Aに示すように、一の特定貫通セル2aaに対して、左右に隣接する2つの入口目封止セル2bが、第一入口目封止セル2baとなり、且つ、上下に隣接する2つの入口目封止セル2bが、第二入口目封止セル2bbとなるように目封止スラリーの充填深さを調整した。ここで、「左右に隣接する」及び「上下に隣接する」とは、目封止スラリーを充填したハニカム成形体の流入端面を、例えば、図7Aの紙面と同じ状態からみた場合の、左右又は上下に隣接することを意味する。
次に、目封止部を形成したハニカム成形体を熱風乾燥機で乾燥し、更に、1410〜1440℃で、5時間、焼成した。このようにして、複数のセルが多孔質の隔壁1によって区画形成されたハニカム基材を備え、貫通セルと入口目封止セルとが隔壁を挟んで隣接したハニカム構造体を得た。
得られたハニカム構造体のハニカム基材は、中心軸に直交する断面の直径が228.6mmであり、中心軸方向の長さが76.2mmの円筒形であった。隔壁の厚さは、0.3mmであり、セル密度は、46.5セル/cmであった。セルの形状は、四角形であった。表1に、ハニカム基材の直径(mm)及び長さ(mm)、隔壁の厚さ(mm)、セル密度(セル/cm)、及びセルの形状を示す。
また、実施例1のハニカム構造体は、貫通セルの割合が50%であり、特定貫通セルの割合が100%であった。表2に、貫通セルの割合(%)、及び特定貫通セルの割合(%)を示す。また、表2の「目封止のパターン」の欄に、ハニカム構造体の流入端面及び流出端面における態様を示す。表2の「流入端面」の「割合(%)」の欄に、全てのセルに対する、流入端面にて目封止が施されているセルの割合を記す。表2の「流入端面」の「パターン」の欄に、この目封止が施されているセル(ここでは、入口目封止セル)の配列を、1〜6の6個のパターンに分類し、該当するパターンを記す。上記「パターン」の欄の「1」で示されるパターンは、図7Aに示すようなセルの配列である。上記「パターン」の欄の「2」で示されるパターンは、図7Bに示すようなセルの配列である。上記「パターン」の欄の「3」で示されるパターンは、図7Cに示すようなセルの配列である。上記「パターン」の欄の「4」で示されるパターンは、図7Dに示すようなセルの配列である。上記「パターン」の欄の「5」で示されるパターンは、目封止が施された全てのセルにおいて、目封止部の長さが全て同じ場合の配列である。上記「パターン」の欄の「6」で示されるパターンは、図8Aに示すようなセルの配列である。表2の「流出端面」の「割合(%)」の欄に、全てのセルに対する、流出端面にて目封止が施されているセルの割合を記す。表2の「流出端面」の「パターン」の欄に、流出端面にて目封止が施されているセルの配列のパターンを記す。上記「パターン」の欄の「なし」で示される場合は、流出端面にて目封止が施されていないことを意味する。上記「パターン」の欄の「5」で示されるパターンは、目封止が施された全てのセルにおいて、目封止部の長さが全て同じ場合の配列である。上記「パターン」の欄の「均一分散」で示されるパターンは、流出端面にて目封止が施されたセルが、流出端面にて、「流出端面」の「割合(%)」の欄に記載された値を満たすように、均一に分散した配列である。
また、表2に、流入端面の目封止部の長さを示す。「流入端面の目封止部の長さ」とは、流入端面側にて、セルの開口部を封止している目封止部の長さのことである。「流入端面の目封止部の長さ」の欄の「第一」、「第二」、「第三」及び「第四」は、図7A〜図7D、図8A及び図8Bに示された「入口目封止セル」に対応するものである。すなわち、「流入端面の目封止部の長さ」の欄の「第一」とは、図7A〜図7D等に示す、第一入口目封止セルの目封止部のことを意味する。同様に、「流入端面の目封止部の長さ」の欄の「第二」とは、図7A〜図7D等に示す、第二入口目封止セルの目封止部のことを意味する。「流入端面の目封止部の長さ」の欄の「第三」とは、図7B及び図7D等に示す、第三入口目封止セルの目封止部のことを意味する。「流入端面の目封止部の長さ」の欄の「第四」とは、図7Dに示す、第四入口目封止セルの目封止部のことを意味する。また、表2に、目封止部の長さの差の最大値(mm)を示す。
Figure 0006174517
Figure 0006174517
得られたハニカム構造体について、以下の方法で、「圧力損失」、「捕集効率」、及び「ブローオフ」の評価を行った。結果を、表3に示す。
(圧力損失)
ディーゼルエンジン(3.0リットル、直噴コモンレール、直列6気筒)から排出される排気ガスをハニカム構造体に流入させて、ハニカム構造体の体積に対する煤の堆積量が4g/Lとなるように、ハニカム構造体の隔壁にて煤を捕集する。そして、煤の堆積量が4g/Lとなった状態で、200℃のエンジン排ガスを3.0Nm/minの流量で流入させてハニカム構造体の流入端面側と流出端面側との圧力を測定し、その圧力差を算出することにより、圧力損失(kPa)を求める。
評価A:圧力損失が4kPa以上、5kPa以下の場合を評価Aとする。
評価B:圧力損失が5kPaを超え、6kPa以下の場合を評価Bとする。
評価C:圧力損失が6kPaを超え、7kPa以下の場合を評価Cとする。
評価D:圧力損失が7kPaを超え、8kPa以下の場合を評価Dとする。
評価E:圧力損失が8kPaを超え、9kPa以下の場合を評価Eとする。評価Eの場合は、圧力損失の評価について不合格(NG)とする。
(捕集効率)
軽油を燃料とするバーナーを用いて煤を発生させる。ガス全体の流量が1.5Nm/分となるように、燃焼ガスに所定量の空気を混合し、得られた混合ガスをハニカム構造体に導入する。混合ガスの温度は、200℃とする。また、混合ガス中の粒子状物質の濃度が、4g/時間となるように設定する。ハニカム構造体の上流側及び下流側に設けたサンプリング用の配管から、真空ポンプにより排ガスを約2分間サンプリングする。そして、排ガスをサンプリングする際に、排ガスを、ろ紙をセットしたホルダーに通すことにより、PMをろ紙に捕集する。尚、予め、ろ紙の質量を測定しておく。ハニカム構造体の上流側からサンプリングした排ガス中のPMの質量(ろ紙に捕集されたPMの質量)と、ハニカム構造体の下流側からサンプリングした排ガス中のPMの質量(ろ紙に捕集されたPMの質量)とから、捕集効率(%)を算出する。具体的には、下記式(1)により、測定開始から120分の時の捕集効率(%)を求める。
捕集効率(%)={(PM質量A−PM質量B)/PM質量A}×100 ・・・ (1)
(ただし、上記式(1)において、「PM質量A」は、ハニカム構造体の上流側からろ紙に捕集されたPMの質量(g)を示す。「PM質量B」は、ハニカム構造体の下流側からろ紙に捕集されたPMの質量(g)を示す。)
上述した方法にて測定された捕集効率(%)の値から、以下の基準で、捕集効率の評価を行った。
評価AA:捕集効率が55%を超え、65%以下の場合を評価AAとする。
評価A:捕集効率が45%を超え、55%以下の場合を評価Aとする。
評価B:捕集効率が35%を超え、45%以下の場合を評価Bとする。
評価C:捕集効率が25%を超え、35%以下の場合を評価Cとする。
評価D:捕集効率が15%を超え、25%以下の場合を評価Dとする。
評価E:捕集効率が0%以上、15%以下の場合を評価Eとする。評価Eの場合は、捕集効率の評価について不合格(NG)とする。
(ブローオフ)
ディーゼルエンジン(3.0リットル、直噴コモンレール、直列6気筒)から排出される排気ガスをハニカム構造体に流入させて、ハニカム構造体に10.0g/Lの煤を堆積させる。次に、エンジン始動後アイドリング運転を行い、5秒後に回転数2000rpm、トルク178N・mとし2分間運転した。運転開始後、AVL社製のスートセンサーにて、ハニカム構造体の流出端面から排出されるガス中の煤の量を測定する。スートセンサーに計測された最大値を、ブローオフ量(mg/m)とする。ブローオフの計測結果から、以下の基準で、ブローオフの評価を行った。
評価AA:煤の漏れ量が200mg/m以下の場合を評価AAとする。
評価A:煤の漏れ量が200mg/mを超え、300mg/m以下の場合を評価Aとする。
評価B:煤の漏れ量が300mg/mを超え、500mg/m以下の場合を評価Bとする。
評価C:煤の漏れ量が500mg/mを超え、700mg/m以下の場合を評価Cとする。
評価D:煤の漏れ量が700mg/mを超え、1000mg/m以下の場合を評価Dとする。
評価E:煤の漏れ量が1000mg/mを超える場合を評価Eとする。評価Eの場合は、ブローオフの評価について不合格(NG)とする。
Figure 0006174517
(実施例2〜16、比較例1〜8)
ハニカム基材の構成、及び目封止を施すセルの配列等を、表1及び表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様の方法でハニカム構造体を作製した。得られたハニカム構造体について、実施例1と同様の方法で、「圧力損失」、「捕集効率」、及び「ブローオフ」の評価を行った。結果を、表3に示す。
(結果)
表3に示すように、実施例1〜16のハニカム構造体は、「圧力損失」、「捕集効率」、及び「ブローオフ」の評価において、全て良好な結果を得ることができた。比較例1のハニカム構造体は、貫通セルが存在せず、流入端面と流出端面とに50%ずつ目封止部が配設されたものであったため、圧力損失が大きく、「圧力損失」の評価が不合格であった。比較例2,8のハニカム構造体は、特定貫通セルが存在しないため、流入端面側の目封止部が途切れる箇所にて、粒子状物質が集中して堆積し、ブローオフが起こり易いものであった。このため、比較例2,8のハニカム構造体は、「ブローオフ」の評価が不合格であった。また、比較例3のハニカム構造体は、貫通セルの割合が40%であるため、「圧力損失」の評価もあまり好ましくない結果となった。
比較例4のハニカム構造体は、貫通セルの割合が40%であり、更に、流出端面側にも10%の割合で目封止が施されていたため、圧力損失が大きくなり、「圧力損失」の評価が不合格であった。比較例5のハニカム構造体は、貫通セルの割合が88%であり、貫通セルの数に対して、極端に入口目封止セルの数が少なかったため、フィルタとしての機能が十分発現せず、「捕集効率」の評価が不合格であった。比較例6,7のハニカム構造体は、特定貫通セルの割合が45%であるためブローオフが起こり易く、「ブローオフ」の評価が不合格であった。
本発明のハニカム構造体は、排ガスの浄化用のフィルタとして利用することができる。
1,31:隔壁、2,32:セル、2a,32a:貫通セル、2aa,32aa:特定貫通セル、2b,32b:入口目封止セル、2ba,32ba:入口目封止セル(第一入口目封止セル)、2bb,32bb:入口目封止セル(第二入口目封止セル)、2bc,32bc:入口目封止セル(第三入口目封止セル)、2bd:入口目封止セル(第四入口目封止セル)、3:外周壁、4:ハニカム基材、5:目封止部、11:流入端面、12:流出端面、13:粒子状物質、100,800:ハニカム構造体、801:隔壁、802:セル、802a:貫通セル、802b:入口目封止セル、803:外周壁、804:ハニカム基材、805:目封止部、811:流入端面、812:流出端面、813:粒子状物質、G:排ガス。

Claims (9)

  1. 排ガスが流入する側の端面である流入端面から排ガスが流出する側の端面である流出端面まで延びる流体の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁、を有するハニカム基材を備え、
    前記セルが、前記流入端面側から前記流出端面側まで実質的に貫通する貫通セルと、前記ハニカム基材の前記流入端面側において前記セルの端部が目封止部によって実質的に塞がれた入口目封止セルと、を含み、
    前記貫通セルの個数が、全ての前記セルの個数に対して、50〜85%であり、
    前記貫通セルが、少なくとも2つの前記入口目封止セルと前記隔壁を隔てて隣接するように配置され、且つ、当該少なくとも2つの前記入口目封止セルのうちの2つ以上の前記入口目封止セルの前記目封止部の長さが異なっている、特定貫通セルを含み、
    前記特定貫通セルの個数が、全ての前記貫通セルの個数に対して、50%以上である、ハニカム構造体。
  2. 前記特定貫通セルと前記隔壁を隔てて隣接する、前記少なくとも2つの前記入口目封止セルのうちの2つ以上の前記入口目封止セルの前記目封止部の長さの差の最大値が、5mm以上、17mm以下である、請求項1に記載のハニカム構造体。
  3. 前記入口目封止セルの前記目封止部の長さが、3mm以上、20mm以下である、請求項1又は2に記載のハニカム構造体。
  4. 前記セルが、前記貫通セルと、前記ハニカム基材の前記流入端面側においてのみ前記セルの端部が前記目封止部によって実質的に塞がれた前記入口目封止セルとのいずれか一方のセルである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
  5. 前記特定貫通セルと前記隔壁を隔てて隣接する前記入口目封止セルを2つ以上有し、当該特定貫通セルの一の角部を形成する2つ隔壁を第一隔壁及び第二隔壁とした場合に、当該特定貫通セルと前記第一隔壁を隔てて隣接する前記入口目封止セルの前記目封止部の長さと、当該特定貫通セルと前記第二隔壁を隔てて隣接する前記入口目封止セルの前記目封止部の長さとが、異なっている、請求項1〜4のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
  6. 前記特定貫通セルと前記隔壁を隔てて隣接する前記入口目封止セルのうち、当該特定貫通セルを挟んで対向する2つの前記入口目封止セルの前記目封止部の長さが異なっている、請求項1〜5のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
  7. 前記貫通セルと前記隔壁を隔てて隣接する全ての前記入口目封止セルが、それぞれの前記目封止部の長さが異なるものである、請求項1〜6のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
  8. 前記隔壁の厚さが、150〜360μmである、請求項1〜7のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
  9. 前記ハニカム基材のセル密度が、20〜100セル/cmである、請求項1〜8のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
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