JP6172850B2 - 磁気記憶素子、磁気記憶装置、磁気メモリ、および磁気記憶素子の駆動方法 - Google Patents

磁気記憶素子、磁気記憶装置、磁気メモリ、および磁気記憶素子の駆動方法 Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、磁気記憶素子、磁気記憶装置、磁気メモリ、および磁気記憶素子の駆動方法に関する。
従来、半導体メモリは各メモリセルに、記憶素子と、選択素子と、情報引き出し配線とを作製していた。それに対して、近年、メモリの大容量化を実現するために、シフトレジスタ型のメモリが提案されている。これは、記憶素子のみを高密度に配置するというコンセプトに基づいており、記憶情報を所定の場所に形成されたセンサおよび配線の位置まで転送する方法である。このため、メモリ容量を飛躍的に増大することができる可能性がある。メモリ向けのシフトレジスタにおいて、記憶情報を転送する際に、転送するための作用を各ビット(各桁)に加えることは望ましくなく、ビット列全体に対して一括して作用を加えることで、所望の桁数のシフト動作を行う必要がある。しかしながら、全桁の情報をそれぞれ正確に桁送りすることは容易ではない。
米国特許第7,626,844号明細書
本実施形態は、磁性体中の磁壁を安定して移動させることのできる磁気記憶素子、磁気記憶装置、磁気メモリ、および磁気記憶素子の駆動方法を提供する。
本実施形態の磁気記憶素子は、第1方向に延在し、前記第1方向に直交する断面積が前記第1方向に沿って変化するとともに前記断面積が極小となる位置を少なくとも2個有する磁性細線と、前記磁性細線を挟んで設けられた第1および第2電極群であって、前記第1電極群は前記第1方向に沿って離間して設けられた複数の第1電極を有し、前記第2電極群は前記第1方向に沿って離間して設けられた複数の第2電極を有し、前記第1電極と前記第2電極が前記磁性細線を挟んで重なる第1領域、前記第1電極および前記第2電極が前記磁性細線を挟んで共に存在しない第2領域のうちの少なくとも1つの領域を前記磁性細線が有し、前記磁性細線を挟んで前記第1電極が存在し前記第2電極が存在しない第3領域、および前記磁性細線を挟んで前記第1電極が存在せず前記第2電極が存在する第4領域のうちの少なくとも1つの領域を前記磁性細線が有するように、前記複数の第1電極および前記複数の第2電極が配置された第1および第2電極群と、前記複数の第1電極と前記磁性細線との間に設けられた第1絶縁膜と、前記複数の第2電極と前記磁性細線との間に設けられた第2絶縁膜と、を備えている。
図1(a)、1(b)は、第1実施形態およびその変形例による磁気記憶素子を示す断面図。 図2は、第1実施形態に係る磁性細線の形状を説明する上面図。 図3(a)乃至3(c)は、磁性細線の形状を説明する図。 図4(a)乃至4(c)は、磁性細線の形状を説明する図。 図5(a)乃至5(e)は、磁性細線の形状を説明する図。 図6(a)乃至6(c)は、磁性細線の形状を説明する図。 図7(a)乃至7(c)は、磁性細線の外形線における基準点の取り方を説明する図。 図8は、細線幅変化率を説明する図。 図9(a)乃至9(c)は、磁性細線の形状を説明する図。 図10(a)乃至10(c)は、磁性細線の形状を説明する図。 図11(a)、11(b)は、より好ましい磁性細線の形状を説明する図。 図12は、磁性細線の極大点の取り方を説明する図。 図13は、書き込み部および読み取り部を示す断面図。 図14(a)乃至14(c)は、磁壁が移動する際の磁壁内の磁化の変化を示す図。 図15(a)乃至15(c)は、磁壁が移動する際の磁壁内の磁化の変化を示す図。 図16(a)乃至16(c)は、実施例1による磁気記憶素子を説明する図。 図17(a)、17(b)は、実施例1による磁気記憶素子の駆動電圧の例を示す波形図。 図18(a)乃至18(c)は、実施例1による磁気記憶素子の磁壁を一方向にシフト動作させるための説明図。 図19(a)、19(b)は、実施例1による磁気記憶素子の磁壁を逆方向にシフト動作させるための説明図。 図20(a)乃至20(c)は、実施例3による磁気記憶素子を説明する図。 図21(a)、21(b)は、実施例3による磁気記憶素子の磁壁を逆方向にシフト動作させるための説明図。 図22(a)乃至22(c)は、実施例4による磁気記憶素子を説明する図。 図23(a)、23(b)は、実施例4による磁気記憶素子の磁壁を逆方向にシフト動作させるための説明図。 図24(a)乃至24(c)は、実施例5による磁気記憶素子を説明する図。 図25(a)、25(b)は、実施例5による磁気記憶素子の磁壁を逆方向にシフト動作させるための説明図。 図26(a)、26(b)は比較例1の磁気記憶素子を示す図。 図27(a)、27(b)は比較例2の磁気記憶素子を示す図。 図28(a)、28(b)は比較例3の磁気記憶素子を示す図。 図29(a)乃至29(c)は第1実施形態の磁気記憶素子の製造方法を示す断面図。 図30(a)乃至30(c)は、第2実施形態の磁気記憶素子を示す図。 図31(a)、31(b)は、第3実施形態の磁気記憶素子を示す図。 図32(a)、32(b)は、第3実施形態の変形例の磁気記憶素子を示す図。 図33は、第4実施形態による磁気記憶装置を示す回路図。 図34は、第4実施形態による磁気記憶装置のメモリセルアレイの斜視図。 図35は、第5実施形態による磁気メモリを示す斜視図。 シミュレーションに用いた磁性細線の形状を示す図。 図37(a)乃至37(d)は、シミュレーション結果を示す図。 図38(a)乃至38(d)は、実施例1における電圧波形の具体例を示す波形図。 図39(a)乃至39(c)は、実施例2による磁気記憶素子を説明する図。 図40(a1)乃至40(b3)は、磁性細線の外径形状を説明する図。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
第1実施形態による磁気記憶素子を図1(a)に示す。この第1実施形態の磁気記憶素子1は、磁性細線(Magnetic Nanowire)10と、複数の第1電極20(i=1,・・・)と、複数の第2電極30(i=1,・・・)と、読み出し部40と、書き込み部50と、を備えている。
本明細書では、磁性細線10とは、延在する方向(第1方向)の寸法(長さ)が、第1方向と直交する第2方向の寸法(幅)および第1および第2方向と直交する第3方向の寸法(厚さ)よりも10倍以上大きい磁性膜を意味する。
図1(a)は、第1実施形態の磁気記憶素子1の第1方向に沿った断面図である。磁性細線10を第1方向に垂直な面で切断した断面形状は、例えば四角形である。また、その断面の寸法(幅および厚さ)は断面内において、磁化方向に分布を生じさせないために、2nm以上100nm以下の範囲内とすることが望ましい。複数の第1電極20(i=1,・・・)および複数の第2電極30(i=1,・・・)はそれぞれ、磁性細線10の第1方向に沿って設けられる。また、複数の第1電極20(i=1,・・・)と、複数の第2電極30(i=1,・・・)は、第3方向において磁性細線10を挟むように設けられる。複数の第1電極20(i=1,・・・)のそれぞれと、磁性細線10との間に絶縁膜22が設けられ、複数の第2電極30(i=1,・・・)のそれぞれと、磁性細線10との間に絶縁膜32が設けられる。なお、図1(b)に示す第1実施形態の一変形例による磁気記憶素子のように、絶縁膜22は、複数の第1電極20(i=1,・・・)が設けられている側の隣接する第1電極20、20i+1間の磁性細線10に設けられていてもよい。また、同様に、絶縁膜32は、複数の第2電極30(i=1,・・・)が設けられている側の隣接する第1電極30、30i+1間の磁性細線10に設けられていてもよい。
磁性細線10は接地されているか、あるいは図示しない電極に接続されている。磁性細線10を第3方向に垂直な面で切断した断面の一部分を図2に示す。図2からわかるように、磁性細線10の幅、すなわち第2方向の長さは第1方向の位置に対して変化する。
次に、磁性細線10のより詳細な形状について図3(a)乃至図4(c)を参照して説明する。
第3方向に直交する面で磁性細線10を切断したときの、第1および第2電極が設けられている部分の断面、すなわち幅方向の断面を図3(a)に示す。図3(a)からわかるように、磁性細線10の幅を示す線、すなわち外形線12a、12bは第1方向(延在する方向)に対して変化する。
これらの外形線12a、12bの形状について詳細に説明するために、磁性細線10内に位置する、第1方向に平行な直線14を仮想的に設定する。直線14に対して一方の側(図面上では上側)に位置する外形線を外形線12aとし、他方の側(図面上では下側)に位置する外形線を外形線12bとする。
直線14から外形線12aまでの距離に関する、外形線12a上に位置する互いに隣接する極小点を極小点A、Cとする。そして、これらの極小点A、C間における外形線12a上の点であって、直線14までの距離が最大となる点を極大点Bとして選ぶ。すると、図3(b)または図3(c)に示すように、角BACまたは角BCAのうち一方の角度θが4度以上30度以下である形状を外形線12aは有している。点A、B、Cは、外形性線12aの形状を決定するための基準点となる。
また、図4(a)に示すように、直線14から外形線12bまでの距離に関する、外形線12b上に位置する互いに隣接する極小点を極小点A’、C’とする。そして、これらの極小点A’、C’間における外形線12b上の点であって、直線14までの距離が最大となる点を極大点B’として選ぶ。すると、図4(b)または図4(c)に示すように、角B’A’C’または角B’C’A’のうち一方の角度θが4度以上30度以下である形状を外形線12bは有している。点A’、B’、C’は、外形線12bの形状を決定するための基準点となる。
角BAC、 角BCA、角B’A’C’、および角B’C’A’に下限が存在する理由について、以下に説明する。後述する磁壁の移動方法により第1電極および第2電極に電圧信号を与え、磁壁位置を動かすことができるが、この電圧信号を切った直後の移動位置にはバラつきが生じうる。しかし、角BAC、 角BCA、角B’A’C’、 角B’C’A’が4度以上であれば、磁壁の位置エネルギーに十分な空間勾配が生じ、例えば細線幅の極小点Aに磁壁位置が自動修正される。
これに関してシミュレーションを行った結果を図36乃至図37(d)を参照して説明する。このシミュレーションは図36に示す細線幅に勾配を有する磁性細線10において、勾配の途中に配置された磁壁が外部からの作用の及ばない状況下でどのような位置変化を示すのかをマイクロマグネティクスにより求めたものである。この結果、図37(a)乃至37(d)に示すように、勾配角θが4度以上ならば磁壁の位置が初期条件に依らず一方向に移動することがわかる。これが角度の下限を4度とした理由である。
一方、角BAC、 角BCA、角B’A’C’、および角B’C’A’には上限も存在する。図40(a1)乃至40(b3)には角度が異なる3種類の磁性細線が示されている。図40(a1)、40(a2)(a3)は角度が30度以下の場合、図40(b1)、40(b2)、40(b3)は角度が30度を超える場合である。太線は磁壁の位置、破線の曲線は、磁壁の長さの比較をしやすくするために、図40(a1)あるいは図40(b1)の太線部を半径とする円弧を示している。後述する方法により磁壁を移動させた場合に、ある時刻において、角度が30度以下の細線中で、磁壁の位置が図40(a1)に太線で示す位置になったとする。この後右方向に磁壁が移動するような作用を加えた場合の磁壁の位置は、図40(a2)あるいは図40(a3)のようになる可能性があるが、図40(a2)は磁壁の一端が破線で示された円弧の外部にあり、したがって磁壁面の面積が増えることになるのでこのような位置をとる可能性は低い。つまり、図40(a3)のようになる。このことから、図40(a1)に示す細線において、磁壁が第1方向に垂直な方向から傾いたとしても移動中に角度が修正される可能性が高いことを示唆している。つまり、磁性細線の外形線の角度が30度以下であれば、磁壁はそもそも細線内で角度変化が生じづらく安定な移動が可能であり望ましい。
一方、磁壁を移動させた場合に、ある時刻において、角度が30度を超える細線中で、磁壁の位置が図40(b1)に太線で示す位置になったとする。この後右方向に磁壁が移動するような作用を加えた場合の磁壁の位置は、図40(b2)あるいは図40(b3)のようになる可能性があるが、図40(b3)は磁壁面の面積が増えることになるのでこのような位置をとる可能性は低い。つまり、図40(b2)のようになる。このことから、図40(b1)に示す細線において、磁壁が第1方向に垂直な方向から傾いたとしても移動中に角度が修正されず、さらに傾きが大きくなる可能性が高いことを示唆している。つまり、磁性細線の外形線の角度が30度を越える場合、磁壁は細線内で角度変化が生じやすく移動が不安定になりやすい。
磁性細線10は、磁気記憶素子1に記憶されたビットデータに対応して、複数の磁区を有している。磁性細線10の磁化容易軸は、第1方向に垂直な方向、例えば第2方向あるいは第3方向である。それぞれの磁区において、磁化が安定する方向が磁化容易軸の正方向または負方向のいずれかである。隣接する2つの磁区の境界近傍において、磁化方向は、第1方向に沿って連続的に変化する。この磁化方向が変化する領域は磁壁と呼ばれる。
磁壁は磁性体の異方性エネルギーKuおよび交換スティフネスAで決まる有限の長さ(第1方向における長さ)Ldwを有する。磁壁の長さ(磁壁幅ともいう)Ldwは、理論的にLdw=2(A/Ku)1/2で求められる。例えば、A=1μerg/cm、Ku=10erg/cmとすると、Ldw=6nmである。
第1実施形態の磁気記憶素子1においては、ビットデータは第1方向に並んだ磁性細線内の磁化方向として記憶される。典型的には、1ビットが占める第1方向の長さ(以下、ビット長という)Lは、6nm〜200nmである。このビット長Lは磁壁の長さLdwの2倍以上であることが好ましい。更に、望ましくは、15nm以上100nm以下とすることにより、隣接する磁壁間の相互作用によるそれらの磁壁間における磁区の熱的な不安定化を抑制することができる。また、磁壁の位置が磁性細線10の幅が極小となる位置に存在するようにとると、その極小となる位置に磁壁がピン止めされ、電流非通電時における意図せぬ磁壁の移動を防止することができる。例えば、磁性細線10の幅が極小となる位置xからこの極小となる位置xに隣接する極小となる位置xまでの領域に1ビットのデータを記憶することができる。この場合、xからxまでの距離をLと書く。
1ビット長の領域内に磁性細線10の幅の極小点が複数含まれていてもよい。
図1乃至図4(a)および図4(a)以降の図面では、磁性細線の幅の変化が数個分しか表現されていない。しかし、実際には例えば100〜数1000ビット程度のデータが記憶できるよう、更に長い領域に亘って磁性細線10の幅が変化する。磁性細線10の全長を長くするほど、多数のビットデータを記憶することができる。しかし、磁性細線10の全長が極端に長くなると、磁性細線10全体の電気抵抗が高くなるため、磁性細線10の全長は、典型的には100nmから10μmの範囲とすることが好ましい。
図5(a)乃至5(c)は「01101110」という8ビットのデータの保存例である。図5(a)に示すように、第3方向に磁化容易軸を持つ磁性細線10内の磁区の磁化方向として記憶することが可能である。また、図5(b)に示すように、磁化容易軸が第2方向となるようにしてもよい。図5(a)および図5(b)に示す例ではLの最小値はLに等しいが図5(c)に示すように、LがLより大きくてもよい。この場合、1ビットの磁区内(境界は含まない)に磁性細線10の幅が極小となる位置が含まれている。
また、あるビットのビット長が他のビットのビット長と同じである必要はない。例えば、図5(d)に示す例では、L=2Lとなるビットと、L=3Lとなるビットが混在している。図5(d)に示す例のように、L≧2Lとなるようにデータを記憶すると、隣接する2つの磁壁間の距離が近くなるのを防止しながら、かつ全体の長さを短くすることができるので、高密度化し易く望ましい。また、図5(e)に示すように、磁性細線10の少なくとも一部において、磁化容易軸に対して特定の磁化方向を持つ磁区として保存されるビットについてのみL≧2Lとなる場合も、高密度化し易く望ましい。
また、磁性細線10の形状は、図6(a)乃至6(c)に示すように、磁性細線10の幅に関する極大点または/および極小点の近傍において、細線幅がほぼ一定の(平坦な)領域が存在していてもよい。以下では、極大点または極小点の近傍において細線幅がほぼ一定の領域をそれぞれ極大領域または極小領域と呼ぶ。
このような、極大領域または極小領域が存在する場合の外形線上の点A、B、Cの取り方について図7(a)乃至7(c)を参照して説明する。図7(a)に示すように、2つの極小領域18a1、18a2とそれらに挟まれた極大領域19aを含む範囲において、外形線から直線14までの距離の極小値、極大値、極小値をそれぞれymin1、ymax、ymin2とする。このとき、直線14までの距離が0.9ymin1+0.1ymaxとなる直線15a1と外形線12aとの交点のうち、極大領域19aに最も近い点をAと設定する。直線14までの距離が0.9ymin2+0.1ymaxとなる直線15a2と外形線12aとの交点のうち、極大領域19aに最も近い点をCと設定する。また、直線14までの距離が0.1ymin1+0.9ymaxとなる直線16a1と外形線12aとの交点のうち、点Aに最も近い点をBと設定する。また、直線14までの距離が0.1ymin2+0.9ymaxとなる直線16a2と外形線12aとの交点のうち、点Cに最も近い点をBと設定する。この場合、角BACまたは角BCAのうち、少なくとも一方が4度以上30度以下の範囲にある形状を、磁性細線10が有している。
図7(b)に示すように、外形線12bに関する点A’、B’、B’、C’についても、同様に定義する。また、図7(c)に示すように、点Aと点A’、点Bと点B’、点Bと点B’、点Cと点C’はそれぞれ、第1方向において、同じ位置に存在していなくともよい。また、図7(b)、7(c)に示すように、外形線12aにおける極小点Aと極大点Bとの間、極小点Cと極大点Bとの間には更に極小点または極大点が存在してもよい。このことは、外形線12bに対しても同様である。
上記のように、磁性細線10の外形線は極小領域と極大領域の間において端点を結ぶことにより得られる平均値として4度以上30度以下の角度を持つが、局所的にこの範囲を外れていてもよい。具体的には、磁壁の長さLdwは典型的には6nmであるので、極小領域と極大領域の間の第1方向に沿った長さが6nmの領域内において磁性細線10の細線幅が変化したとしても、意図せぬ磁壁のピン止めサイトにはならない。このような形状変化があることで、むしろ特定の位置に生じる意図せぬ磁壁のピン止め要因を抑制することができるため、磁壁の一斉移動が容易になり好ましい。意図せぬ磁壁のピン止め要因として、例えば磁性細線10中で磁性粒界において異方性エネルギー等の磁気的な物性値が非連続に変化することなどが挙げられる。磁性細線10における極小領域と極大領域の間に存在する、第1方向に沿った長さが6nmのある領域内において、細線幅変化率が10%以上になる部分があると、異方性エネルギーが10%変化することによる磁壁の意図せぬピン止めを回避することが可能となる。ここで、領域Dにおける細線幅変化率とは、領域Dの一端での細線幅の値Wと他端での値Wの差|W−W|の平均値(W+W)/2に対する割合2|W−W|/(W+W)のことをいう。例えば、図8に示す例では長さ6nmの領域Dの一端での細線幅が32.8nm,他端での細線幅が37.9nmであり、細線幅変化率は14%となる。ただし、領域D内の細線幅の変化量|W−W|が極端に大きいとピン止め要因になるため、上記変化量|W−W|は10nmを越えないことが望ましい。
図3(a)に示す外形線12a上の基準点A、B、Cの代わりに図9(a)に示すように、基準点B、C、Dを取ってもよい。この例においては、直線14から外形線12aまでの距離に関する、外形線12a上に位置する互いに隣接する極大点を極大点B、Dとする。そして、これらの極大点B、D間における外形線12a上の点であって、直線14までの距離が最小となる点を極小点Cとして選ぶ。すると、図9(b)または図9(c)に示すように、角CBDまたは角CDBのうち一方の角度θが4度以上である形状を外形線12aは有している。点B、C、Dは、外形線12aの形状を決定するための基準点となる。
また、図4(a)に示す外形線12b上の基準点A’、B’、C’の代わりに図10(a)に示すように、基準点B’、C’、D’を取ってもよい。この例においては、直線14から外形線12bまでの距離に関する、外形線12b上に位置する互いに隣接する極大点を極大点B’、D’とする。そして、これらの極大点B’、D’間における外形線12b上の点であって、直線14までの距離が最小となる点を極小点C’として選ぶ。すると、図10(b)または図10(c)に示すように、角C’B’D’または角C’D’B’のうち一方の角度θが4度以上30度以下である形状を外形線12bは有している。点、B’、C’、D’は、外形線12bの形状を決定するための基準点となる。
これまで述べてきたように、磁性細線10の外形線12a、12bは極小点とこれとは異なる極小点とを結ぶ直線と、極小点と極大点とを結ぶ直線との成す角度が4度以上30度以下の角度を有している。さらに、外形線12aと外形線12bの少なくとも一方は、第1極大点と、この第1極大点から第2の方向に対応して存在する第2極大点とを結ぶ線分を直径とする円の周上もしくは円周の外側に位置する点を含むことが望ましい。図11(a)においては、2つの外形線12a、12bにおける極大点と極小点とがなす角度は4度以上30度以下の角度にある。さらに、第1極小点Aと第1極大点B、第2極小点A’と第2極大点B’、とに囲まれた領域19において、第1外形線と第2外形線は、第1極大点Bと第2極大点B’とを結ぶ線分を直径Dとする円30の円周(点線で示す)もしくは円周より外側に位置する点を含む。外形線12a、12bの一部が円30より内側にあってもよい。しかし、その場合には、図11(a)に示すように、外形線12aないし外形線12b上の点の、円30の中心に対して対称となる外形線12a、12b上の点は、円30の外側にあることが望ましい。このようにすることで、磁壁を第一の方向に対して垂直に維持したまま動き易くすることができ、間違いのない桁送りに効果がある。図11(b)には、5つの極大点の対をもつ磁性細線を記載している。ここでは、いずれの外形線12a、12bも各極大点から構成される円30(i=1,・・・)の外周上もしくはその外側に位置しており、より桁送りにおいて望ましい。また、上記円30(i=1,・・・)の直径Dは領域ごとに異なっていても構わない。
磁性細線の細線幅がほぼ一定の(平坦な)極大領域19aが存在する場合、第1極大点Bと第2極大点B’の取り方について図12を参照して説明する。まず、図7(a)乃至7(c)と同様の方法にて点Bおよび点Bを取る。次に点Bと点Bの中点を通り、直線14に垂直方向の直線17a1を引き、直線17a1と外形線の交点を第1極大点Bとする。第2極大点B’の取り方も同様である。すなわち、点B’と点B’の中点を通り、直線14に垂直方向の直線17b1を引き、直線17b1と外形線の交点を第1極大点B’とする。
(書き込みおよび読み出し)
書き込み部42は、非磁性層421、強磁性層422、電極423を有し、磁性細線10に接続される。電極423には図示しない信号源が接続される。書き込み時には、信号源から電極423に電位を加える。すると、電極423から電子が磁性細線10に向かって流れる際に、強磁性層422の磁化の向きにスピン偏極した電子流が流れる。このスピン偏極した電子流により、磁性細線10の磁化方向が変更される。
読み出し部44は、非磁性層441、強磁性層442、電極443を有し、磁性細線10に接続される。磁性細線10の読み出し部44が接する磁区の磁化方向が強磁性層442の磁化方向と同一方向(平行)の場合には、電極443と第2電極46との間が高抵抗状態となり、磁性細線10の読み出し部44が接する磁区の磁化方向が強磁性層442の磁化方向と反対方向(反平行)の場合には、電極443と第2電極12との間が低抵抗状態となる。そこで、この抵抗変化を読み取ることで、記録された情報を読み出すことができる。
本磁気記憶素子1において、後述する磁壁移動方法により磁性細線10内に保存されたビットデータの順序を変えることなく移動することが可能である。したがって、書き込み、読み出しを行う前に、予め必要な距離だけ磁壁位置を移動させることにより、任意のビットデータ位置について書き込みおよび読み出しを行うことが可能である。
このような構造を有する磁気記憶素子1の磁性細線10内に含まれる複数の磁壁を第1方向に意図した距離だけ移動させる磁壁移動方法について説明する。
この磁壁移動方法は、複数の第1電極20(i=1,・・・)に共通の電圧Vを与える手順1と、複数の第2電極30(i=1,・・・)に共通の電圧Vを与える手順2とを含む。この方法により磁性細線10内で起こる磁化分布の変化を図14(a)乃至14(c)に模式的に示す。
本磁壁移動方法を実施する前の電圧非印加時(t=t)における磁性細線10内の一部領域の磁化方向分布を図14(a)に示す。この例では、磁化容易軸は紙面に垂直方向であり、各磁区内での磁化方向は紙面垂直に奥から手前に向かう方向か、あるいは、手前から奥に向かう方向のいずれかである。この時点で磁壁は細線幅が極小になる位置の近傍に存在する。これは、垂直磁化材料からなる磁性細線10において、磁壁のエネルギーは主に磁気異方性に起因するエネルギーが占めているため、磁壁の体積が小さい方がエネルギー安定となるためである。磁壁中心における磁化方向は磁化容易軸方向に垂直であり、この例では紙面内のいずれかの方向である。図14(a)に示した例では、第1方向に垂直な方向を向いたブロッホ型が安定となっている。
図14(b)は磁壁が移動中のある時刻(t=t)における磁化分布を示す。この時点での磁壁中心における磁化方向はランダムな方向を向く。図14(c)は本磁壁移動方法を実施した後(時刻t=t)の磁化分布を示す。再び、磁壁は細線幅が極小になる位置の近傍に存在する。また、磁壁中心における磁化方向はブロッホ型に戻る。
(磁壁の安定状態がネール型の例)
磁性細線中の磁壁において、その中心位置での磁化方向が第1方向に沿う、いわゆるネール型磁壁になる例を図15(a)乃至15(c)を参照して説明する。この場合もブロッホ型磁壁の場合と同様に、磁壁移動が開始されると磁壁中心での磁化方向は回転し、電流を切ると再びネール型磁壁となる。図15(a)は本磁壁移動方法を実施する前の電圧非印加時(t=t)における磁性細線10内の一部領域の磁化方向分布を示し、図15(b)は磁壁が移動中のある時刻(t=t)における磁化分布を示し、図15(c)は本磁壁移動方法を実施した後(時刻t=t)の磁化分布を示す。
なお、磁壁の磁化の安定状態がネール磁壁状態となるか、ブロッホ磁壁状態となるかは、磁性細線10の断面形状に依存する。
(磁壁の移動原理)
次に、磁壁が移動する原理について説明する。磁性細線10を構成する磁性材料は、磁気異方性エネルギーが十分高く、磁性細線10内の磁化方向が第1方向に垂直方向を向く状態が安定である。このとき、磁気的なエネルギーとしては、磁気異方性エネルギーが支配的な寄与をするため、磁壁の位置エネルギーEDWを磁壁の中心位置xの関数として式(1)のように表すことが可能である。
ここで、Kは単位体積あたりの磁気異方性エネルギー、λは磁壁幅Ldwの2分の1の値、 xは磁壁中心の位置(以下、磁壁位置ともいう)、Ωは磁性細線10の占める体積領域を表す。つまり、磁壁位置xで磁性細線10の断面積がS(x)であり、磁気異方性エネルギーがK(x)ならば、磁壁の位置エネルギーは、
DW(x)=2K(x)λS(x) (2)
となる。電圧の非印加時には、磁性細線10中の磁気異方性エネルギーKはほぼ一定とみなせるため、磁壁は断面積が小さい位置に留まる。
第1電極20(i=1、・・・)に電圧Vを与える(手順1)と、絶縁膜22を介して第1電極20(i=1、・・・)に接続された磁性細線10内の界面近傍領域に電界が生じる。ここで、電圧Vは磁性細線10あるいは磁性細線10に接続された第1電極20(i=1、・・・)の電位を基準としている。以下では、この領域を第1電界発生領域と称する。第1電界発生領域において、上記電界によって磁性細線10内の電子構造が変調される結果、磁気異方性エネルギーを始めとする磁気的物性値が変化する。第1電界発生領域は、第1電極20(i=1、・・・)の近傍に限られるため、第1方向に沿った磁壁の位置エネルギー分布も変化する。したがって、第1電極20(i=1、・・・)に電圧を与えると、磁壁が、磁気エネルギーが極小となる位置、すなわちこの場合は第1電極の中心位置xまで移動する。
ここで、このような磁壁移動に適した第1電極の第1方向のサイズ(以下、第1電極のサイズ)には上限が存在することを説明する。磁壁近傍での細線断面積の変化が十分小さいとすれば、式(1)より磁壁の位置エネルギーの90%は磁壁中心を中心とする長さ3λの領域に集中している。したがって第1電極のサイズが3λを超えると、第1電極に隣接した領域内で磁壁が移動しても得られるエネルギーは小さくなるため、磁壁移動を安定的に行うことは困難になる。したがって、第1電極のサイズは3λ以下とすることが望ましい。λは磁壁幅Ldwの2分の1であるから第1電極のサイズは1.5Ldw以下とすることが望ましい。磁壁幅は典型的には6nmであるが、材料によって異なる。たとえば飽和磁化が小さく、磁気異方性の値が大きくなくても垂直磁気異方性を有する材料では、たとえば磁気異方性を2x10erg/cmとすると、磁壁幅は、14nmである。したがって第1電極のサイズはその1.5倍以下すなわち21nm以下とすることが望ましい。
また、S(x)とS(x)の比が大きい場合、磁壁を移動させるには非常に大きな磁気異方性エネルギーの変化が必要になり好ましくない。断面積Sあるいは細線幅の極大値と極小値の比が2倍を超えると、磁壁移動させるためには、例えば、局所的に異方性を完全になくす必要が生じて好ましくない。したがって断面積Sあるいは細線幅の極大値と極小値の比は2倍以下であることが好ましい。
第2電極30(i=1、・・・)に電圧Vを与える(手順2)と、手順1と同様に、絶縁膜32を介して第2電極30(i=1、・・・)に接続された磁性細線10内の界面近傍領域に電界が生じる。以下では、この領域を第2電界発生領域と称する。第2電界発生領域は、第2電極30(i=1、・・・)の近傍に限られるため、第1方向に沿った磁壁の位置エネルギー分布も変化する。したがって、第2電極30(i=1、・・・)に電圧を与えると、磁気エネルギーが極小となる磁壁の位置まで磁壁が移動する。なお、第2電極30(i=1、・・・)の第1方向のサイズは第1電極の第1方向のサイズと同様に磁壁幅Ldwの1.5倍以下であることが望ましい。具体的には21nm以下とすることが望ましい。 なお、手順1と手順2は時間的に重複していても、していなくてもかまわない。手順1と手順2をそれぞれ少なくとも1回含む一連の手順を実行した後、第1電極20(i=1、・・・)および第2電極30(i=1、・・・)に印加した電圧を0Vにすると、断面積が極小となる最寄りの位置に磁壁が移動する。
(実施例1)
第1実施形態の実施例1による磁気記憶素子について図16(a)乃至16(c)を参照して説明する。図16(a)は実施例1の第1および第2電極の配置を示す平面図、図16(b)は第1および第2電極に印加する電圧のタイミングチャート、図16(c)は磁性細線10の位置xにおける磁壁の位置エネルギーEDWの分布を示す図である。
この実施例1の磁気記憶素子においては、磁性細線10は、図16(a)に示すように、第1電極20(i=1、・・・)および第2電極30(i=1、・・・)が存在しない領域I、第1電極20(i=1、・・・)のみ存在する領域II、第1電極20(i=1、・・・)と第2電極30(i=1、・・・)の両方が存在する領域III、第2電極30(i=1、・・・)のみ存在する領域IVに分かれ、磁性細線の少なくとも一部において、第1方向に沿って領域I、領域II、領域III、領域IVがこの順に周期的に並んでいる。このうち、領域II、IIIの表面近傍領域が第1電界発生領域に、領域III、IVの表面近傍領域が第2電界発生領域にそれぞれ対応する。また、この実施例1において、磁性細線10の細線断面積が変化する周期と第1および第2電極の配置の周期が対応しているため、1周期に相当する領域での磁壁の挙動に関する説明が他の領域での磁壁の挙動と共通する。
まず、電圧の非印加時において(図16(b)、16(c)に示す期間T)、磁性細線10の断面積が小さい位置(例えば図16(a)の点A)において磁気エネルギーが極小となるので、磁壁はそこに留まっている(第1ステップ)。
この状態で、第1電極20(i=1、・・・)に電圧を印加すると(図16(b)、16(c)に示す期間T)、第1電界発生領域の磁気異方性エネルギーが低下することによりエネルギー極小位置は図16(a)に示す点Bに変化し、それに伴って磁壁は点Bまで移動する(第2ステップ)。ここで、タイミングチャート図中では正符号の電圧を印加しているが、一般に印加される電圧の符号と電界発生領域におけるエネルギーの変化の符号の関係は材料に依存するため、負符号の電圧を印加することもありうる。
その後、第2電極30(i=1、・・・)に電圧を印加すると(図16(b)、16(c)に示す期間T)、第2電界発生領域の磁気異方性エネルギーが低下することによりエネルギーの極小位置は点Cに変化し、それに伴って磁壁は点Cまで移動する(第3ステップ)。 最後に第1電極20(i=1、・・・)および第2電極30(i=1、・・・)に印加した電圧を切ると(図16(b)、16(c)に示す期間T)、磁壁エネルギーの空間分布は元の状態に戻り、磁壁はエネルギーが極小となる最寄りの位置(図16(a)の点D)まで移動する(第4ステップ)。
この一連のステップを繰り返すことにより、磁壁を所望の距離移動させることが可能となる。
また、この方法の各ステップにおいて、磁壁をエネルギーが極小となる位置に移動させることが必要になるため、第1電極20(i=1、・・・)または第2電極30(i=1、・・・)の電圧が一定以上の状態で十分な時間待機させる必要がある。したがって待機時間は、エネルギー緩和に要する時間より長いことが望ましい。エネルギー緩和に要する時間は、ダンピング定数αと磁気回転比γと異方性磁界Hkを用いて、近似的に1/(αγHk)と書けるから、例えば、典型的な値としてダンピング定数を0.01、磁気回転比を17.6MHz/Oe、異方性磁界Hk=10000Oeを用いることにより、待機時間は0.5ns以上であることが望ましい。
なお、図16(b)に示すタイミングチャートにおいて、第2ステップと第3ステップとが切り替わる時刻は多少ずれても構わない。例えば、図17(a)に示すように、第2ステップと第3ステップが時間的に離れて切り替わってもよい。また、図17(b)に示すように、第2ステップと第3ステップが時間的に重なる時間帯が存在してもよい。この場合は、図18(a)に示すように、第1電極に電圧が印加される時間Tと、図18(b)に示すように、第1電極への電圧の印加と第2電極への電圧の印加が重なる時間T’と、図18(c)に示すように、第2電極に電圧が印加される時間Tと、に分かれる。このように、第2ステップと第3ステップが時間的に重なる時間帯T’においては、第1電界発生領域における磁気異方性エネルギーの変化と、第2電界発生領域における磁気異方性エネルギーの変化が同時に起こる。このため、第2ステップや第3ステップと異なるエネルギー分布が生成される。このとき、エネルギーの極小点は点Bと点Cの間に位置する。したがって、第2ステップと第3ステップとが重なる時間帯が存在すると、エネルギーの極小位置の時間変化が緩やかになり、その結果、磁壁が円滑に移動するので好ましい。また、本実施例のように、第1電極20(i=1、・・・)と第2電極30(i=1、・・・)が磁性細線10を挟んで重なる領域III内において磁性細線10の細線幅が極大となっていると、第2ステップと第3ステップが重なる時間帯において、第1電極と第2電極の両方を使って磁性細線の断面積が極大となる位置すなわち磁壁の位置エネルギーが極大となる位置のエネルギーを変化させることになるため、それぞれの電極に印加する電圧を低減させることができ、好ましい。
なお、磁壁を逆方向に移動させるには、第2ステップと第3ステップの順序を入れ替えればよい。例えば、図19(a)に示すように、第1および第2電極にそれぞれ電圧V、Vを印加しない時間T、第2電極に電圧Vを印加する時間T、第1電極に電圧Vを印加する時間T、第1および第2電極にそれぞれ電圧V、Vを印加しない時間Tとなる。これにより、磁壁は図19(b)に示すように、点A、点E、点F、点Gに位置に順次移動する。
(電圧パルスの波形の具体例)
電圧パルスの印加の方法は、上述の例のように、エネルギー極小位置が時間的に変化することにより磁壁の位置を誘導することができれば良いため、さまざまな方法が可能である。たとえば、図16(b)において第1電極の電圧を切った後の時刻(期間Tないし期間T)において、第1電極に、期間Tに引加する電圧と逆符号の電圧を印加するステップ(第5ステップ)をさらに含んでもよい。この場合、磁壁が点Cに向かう際に誤って点Bに戻ってしまう可能性を減らすことができるため、磁壁を安定的に所望の方向に移動させることが可能になる。図38(a)にこのような効果が得られる電圧パルスのタイミングチャートの例を示す。また、図38(b)に、さらに、第1電極に逆符号の電圧を与えた後、第2電極にも逆符号の電圧を与えるステップ(第6ステップ)をさらに含んだ例を示す。このようなステップを含むことで、磁壁が点Dに向かう際に誤って点Cに戻ってしまう可能性を減らすことができるため、磁壁を安定的に所望の方向に移動させることが可能になる。なお、図38(a)、38(b)に示す例は、正符号の電圧を印加した場合に磁性細線10の磁気異方性エネルギーが低下する場合に対応する。負符号の電圧を印加した場合に磁性細線10の磁気異方性エネルギーが低下する場合は図38(a)、38(b)において、印加する電圧の符号をすべての時刻で逆転すればよい。
また、さらに、この一連のステップを複数回繰り返すことで、細線幅の複数周期の距離を磁壁移動させることが可能になる。図38(c)、38(d)に、一連のステップを2回繰り返すことで2周期分の距離を移動させることができる電圧パルスの印加方法の例をタイミングチャートとして示す。なお、図38(c)、38(d)に示す例は、負符号の電圧を印加した場合に磁気異方性エネルギーが低下する場合に対応する。正符号の電圧を印加した場合に磁性細線10の磁気異方性エネルギーが低下する場合は図38(c)、38(d)において、印加する電圧の符号をすべての時刻で逆転すればよい。
これらの例からわかるように、第1電極に第1の符号の電圧を印加するステップ(第2ステップ)の後、第2電極に第1の符号の電圧を印加するステップ(第3ステップ)を実施することにより、第1電極の重心位置から第2電極の重心位置に向かう方向に磁壁を移動させることが可能である。この方法を用いると、磁性細線10の断面積極小位置を両端とする細線断面積変化の一周期において、断面積極小領域は領域Iに含まれ、かつ、領域II,領域III,領域IVをそれぞれ含む場合に、安定的に意図通りの方向に磁壁移動を行うことができる。また、さらに、第3ステップの後、第1電極に第1の符号と逆の第2の符号の電圧を印加するステップ(第5ステップ)と第2電極に第1の符号と逆の第2の符号の電圧を印加するステップ(第6ステップ)の少なくとも一方を含んでもよい。第5ステップと第6ステップをともに含む場合には第5ステップの後に第6ステップを実行する。第5ステップや第6ステップをさらに含むことで、磁壁移動の安定性はさらに向上する。
(実施例2)
第1実施形態の実施例2による磁気記憶素子について図39(a)乃至39(c)を参照して説明する。図39(a)は実施例2の第1および第2電極の配置を示す平面図、図39(b)は第1および第2電極に印加する電圧のタイミングチャート、図39(c)は磁性細線10の位置xにおける磁壁の位置エネルギーEDWの分布を示す図である。
この実施例2の磁気記憶素子においては、実施例1の磁気記憶素子の場合と同様に、磁性細線10が、第1電極20(i=1、・・・)および第2電極30(i=1、・・・)が存在しない領域I、第1電極20(i=1、・・・)のみ存在する領域II、第1電極20(i=1、・・・)と第2電極30(i=1、・・・)の両方が存在する領域III、第2電極30(i=1、・・・)のみ存在する領域IVに分かれ、磁性細線の少なくとも一部において、第1方向に沿って領域I、領域II、領域III、領域IVがこの順に周期的に並んでいる。実施例2においては、実施例1と異なり、磁性細線10の断面積が極小となる位置は、領域IIIに含まれている。磁壁移動を行う各ステップについて説明する。
まず、電圧の非印加時においては(期間T)、磁性細線10の断面積が小さい位置(例えば図39(c)の点A)において磁気エネルギーが極小となるので、磁壁はそこに留まっている(第1ステップ)。
この状態で、第1電極20(i=1、・・・)に電圧を印加すると(図39(b)、図39(c)に示す期間T)、第1電界発生領域の磁気異方性エネルギーが増加することによりエネルギー極小位置は図39(c)に示す点Bに変化し、それに伴って磁壁は点Bまで移動する(第2ステップ)。ここで、図39(b)中では負符号の電圧を印加しているが、一般に印加される電圧の符号と電界発生領域におけるエネルギーの変化の符号の関係は材料に依存するため、正符号の電圧を印加することもありうる。
その後、第2電極30(i=1、・・・)に電圧を印加すると(図39(b)、図39(c)に示す期間T)、第2電界発生領域の磁気異方性エネルギーが増加することによりエネルギー極小位置は点Cに変化し、それに伴って磁壁は点Cまで移動する(第3ステップ)。
最後に第1電極20(i=1、・・・)および第2電極30(i=1、・・・)に印加した電圧を切ると(図39(b)、39(c)に示す期間T)、磁壁エネルギーの空間分布は元の状態に戻り、磁壁はエネルギーが極小となる最寄りの位置(図39(c)の点D)まで移動する(第4ステップ)。
この一連のステップを繰り返すことにより、磁壁を所望の距離移動させることが可能となる。
なお、磁壁を逆方向に移動させるには、第2ステップと第3ステップの順序を入れ替えればよい。
また、この方法の各ステップにおいて、磁壁をエネルギーが極小となる位置に移動させることが必要になるため、第1電極20(i=1、・・・)または第2電極30(i=1、・・・)の電圧が一定以上の状態で十分な時間待機させる必要がある。
なお、実施例1の場合と同様に、図39(b)に示すタイミングチャートにおいて、第2ステップと第3ステップとが切り替わる時刻は多少ずれても構わない。例えば、第2ステップと第3ステップが時間的に離れて切り替わってもよい。この切り替わり時間の上限は磁壁がエネルギー極小位置に移動し、状態がエネルギー緩和するのに要する時間である。また、第2ステップと第3ステップが時間的に重なる時間帯が存在してもよい。この場合は、第1電極に電圧が印加される時間Tと、第1電極への電圧の印加と第2電極への電圧の印加が重なる時間T’と、第2電極に電圧が印加される時間Tと、に分かれる。このように、第2ステップと第3ステップが時間的に重なる時間帯T’においては、第1電界発生領域における磁気異方性エネルギーの変化と、第2電界発生領域における磁気異方性エネルギーの変化が同時に起こる。このため、第2ステップや第3ステップと異なるエネルギー分布が生成される。このとき、エネルギーの極小点は点Bと点Cの間に位置する。したがって、第2ステップと第3ステップとが重なる時間帯が存在すると、エネルギーの極小位置の時間変化が緩やかになり、その結果、磁壁が円滑に移動するので好ましい。 また、本実施例のように、第1電極20(i=1、・・・)と第2電極30(i=1、・・・)が磁性細線10をはさんで重なる領域III内において磁性細線10の細線幅が極小となっていると、第2ステップと第3ステップが重なる時間帯において、第1電極と第2電極の両方を使って磁性細線の断面積が極小となる位置すなわち磁壁の位置エネルギーが極小となる位置のエネルギーを変化させることになるため、それぞれの電極に印加する電圧を低減させることができ、好ましい。
以上述べたように、実施例2の電圧印加方法においては、実施例1の電圧印加方法における、第1および第2電界発生領域の磁気異方性エネルギーの変化符号を逆転させた方法を用いることができる。したがって、実施例1の電圧パルスの波形の変形例の項に述べたのと同様にさまざまな電圧パルスの引加方法が可能である。例えば、第1電極に第1の符号の電圧を印加するステップ(第2ステップ)の後、第2電極に第1の符号の電圧を印加するステップ(第3ステップ)を実施することにより、第1電極の重心位置から第2電極の重心位置に向かう方向に磁壁を移動させることが可能である。この方法を用いると、磁性細線10の断面積極小位置を両端とする細線断面積変化の一周期において、断面積極小領域は領域IIIに含まれ、かつ、領域I,領域II,領域IVをそれぞれ含む場合に、安定的に意図通りの方向に磁壁移動を行うことができる。また、さらに、第3ステップの後、第1電極に第1の符号と逆の第2の符号の電圧を印加するステップ(第5ステップ)と第2電極に第1の符号と逆の第2の符号の電圧を印加するステップ(第6ステップ)の少なくとも一方を含んでもよい。第5ステップと第6ステップをともに含む場合には第5ステップの後に第6ステップを実行する。第5ステップや第6ステップをさらに含むことで、磁壁移動の安定性はさらに向上する。具体的には、図38(a)、38(b)に示す例は、負符号の電圧を印加した場合に磁性細線10の磁気異方性エネルギーが低下する場合に図39に示す磁性細線において点Aから点Dまで磁壁を移動させるのに用いることが出来る例である。図38(c)、38(d)に示す例は、正符号の電圧を印加した場合に磁性細線10の磁気異方性エネルギーが低下する場合に図39に示す磁性細線において点Aから点Dまで磁壁を移動させるのに用いることが出来る例である。
(実施例3)
次に、第1実施形態の実施例3による磁気記憶素子について図20(a)乃至20(c)を参照して説明する。この実施例3の磁気記憶素子は、図20(a)に示すように、第1電極20(i=1、・・・)と第2電極30(i=1、・・・)が重ならないように配置された構成を有している。
この実施例3による磁気記憶素子を駆動する場合における第1および第2電極にそれぞれ印加する電圧V、Vの一例を図20(b)に示す。印加する電圧V、Vは正負の符号を取りうる。電圧の符号と磁気異方性エネルギーの増減は材料による。まず、第1電極20(i=1、・・・)に印加する電圧Vおよび第2電極30(i=1、・・・)に印加するVは0Vとする(時間T)。このとき、電圧V、Vの組みは{0,0}と表される。次に、第1電極20(i=1、・・・)に負の電圧Vを印加するとともに、第2電極30(i=1、・・・)に正の電圧Vを印加する(時間T)。このとき、電圧V、Vの組みは{−1,1}と表される。次に、第1電極20(i=1、・・・)に負の電圧Vを印加したまま第2電極30(i=1、・・・)に印加する電圧Vを0Vとする(時間T)。このとき、電圧V、Vの組みは{−1,0}と表される。次に、第1電極20(i=1、・・・)に負の電圧Vを印加したまま第2電極30(i=1、・・・)に印加する電圧Vを負にする(時間T)。このとき、電圧V、Vの組みは{−1,−1}と表される。次に、第1電極20(i=1、・・・)に印加する電圧Vを0Vにし、第2電極30(i=1、・・・)に印加する電圧Vは負のままとする(時間T)。このとき、電圧V、Vの組みは{0,−1}と表される。次に、第1電極20(i=1、・・・)に印加する電圧Vを0Vにしたまま、第2電極30(i=1、・・・)に印加する電圧Vは0Vにする(時間T)。このとき、電圧V、Vの組みは{0,0}と表される。上記時間T〜Tにおける磁壁の位置エネルギーEDWの分布を図20(c)に示す。
なお、この実施例3において、第1および第2電極にそれぞれ印加する電圧V、Vを、例えば図21(a)に示すように与えて駆動すれば、図20(b)に示す波形で第1および第2電極を駆動した場合の磁壁の移動方向と逆にすることができる。この場合の磁壁の位置エネルギーEDWの分布の時間変化を図21(b)に示す。
(実施例4)
第1実施形態の実施例4による磁気記憶素子について図22(a)乃至22(c)を参照して説明する。この実施例4の磁気記憶素子においては、磁性細線10の幅が変動する1ピッチ内で、第1および第2電極がそれぞれ2個以上設けられた構成を有している。例えば、図22(a)に示すように、磁性細線の幅の変動の1ピッチ内おいて、2つの第1電極20a、20b(i=1、・・・)が設けられるとともに、2つの第2電極30a、30b(i=1、・・・)が設けられた構成とすることができる。
この実施例4の磁気記憶素子を駆動する場合における第1および第2電極にそれぞれ印加する電圧V、Vの一例を図22(b)に示す。まず、第1電極20a、20b(i=1、・・・)に印加する電圧Vおよび第2電極30a、30b(i=1、・・・)に印加するVは0Vとする(時間T)。このとき、電圧V、Vの組みは{0,0}と表される。次に、第1電極20a、20b(i=1、・・・)に負の電圧Vを印加するとともに、第2電極30a、30b(i=1、・・・)に負の電圧Vを印加する(時間T)。このとき、電圧V、Vの組みは{−1,−1}と表される。次に、第1電極20a、20b(i=1、・・・)に印加する電圧Vを正にし、第2電極30a、30b(i=1、・・・)に印加する電圧Vを負のままとする(時間T)。このとき、電圧V、Vの組みは{1,−1}と表される。次に、第1電極20a、20b(i=1、・・・)に印加する電圧Vを正のままとし、第2電極30a、30b(i=1、・・・)に印加する電圧Vを0Vにする(時間T)。このとき、電圧V、Vの組みは{1,0}と表される。次に、第1電極20a、20b(i=1、・・・)に印加する電圧Vを正のままとし、第2電極30a、30b(i=1、・・・)に印加する電圧Vを正にする(時間T)。このとき、電圧V、Vの組みは{1,1}と表される。次に、第1電極20a、20b(i=1、・・・)に印加する電圧Vを0Vにしたまま、第2電極30a、30b(i=1、・・・)に印加する電圧Vは0Vにする(時間T)。このとき、電圧V、Vの組みは{0,0}と表される。上記時間T〜Tにおける磁壁の位置エネルギーEDWの時間変化を図22(c)に示す。
なお、この実施例4において、第1および第2電極にそれぞれ印加する電圧V、Vを、例えば図23(a)に示すように与えて駆動すれば、図22(b)に示す波形で第1および第2電極を駆動した場合の磁壁の移動方向と逆にすることができる。この場合の磁壁の位置エネルギーEDWの時間変化を図23(b)に示す。
(実施例5)
第1実施形態の実施例5による磁気記憶素子について図24(a)乃至24(c)を参照して説明する。この実施例5の磁気記憶素子においては、図24(a)に示すように、磁性細線10を第3の方向から見たときに、第2電極30(i=1、・・・)の射影が第1電極20(i=1、・・・)の射影に含まれるように構成されている。
この実施例5の磁気記憶素子を駆動する場合における第1および第2電極にそれぞれ印加する電圧V、Vの一例を図24(b)に示す。まず、第1電極20(i=1、・・・)に印加する電圧Vおよび第2電極30(i=1、・・・)に印加するVは0Vとする(時間T)。このとき、電圧V、Vの組みは{0,0}と表される。次に、第1電極20(i=1、・・・)に正の電圧Vを印加するとともに、第2電極30(i=1、・・・)に負の電圧Vを印加する(時間T)。このとき、電圧V、Vの組みは{1,−1}と表される。次に、第1電極20(i=1、・・・)に印加する電圧Vを正のままにし、第2電極30(i=1、・・・)に印加する電圧Vを0Vにする(時間T)。このとき、電圧V、Vの組みは{1,0}と表される。次に、第1電極20(i=1、・・・)に印加する電圧Vを負にし、第2電極30(i=1、・・・)に印加する電圧Vを正にする(時間T)。このとき、電圧V、Vの組みは{−1,1}と表される。次に、第1電極20(i=1、・・・)に印加する電圧Vを0Vにし、第2電極30(i=1、・・・)に印加する電圧Vを0Vにする(時間T)。このとき、電圧V、Vの組みは{0,0}と表される。上記時間T〜Tにおける磁壁の位置エネルギーEDWの時間変化を図24(c)に示す。
なお、この実施例5において、第1および第2電極にそれぞれ印加する電圧V、Vを、例えば図25(a)に示すように与えて駆動すれば、図24(b)に示す波形で第1および第2電極を駆動した場合の磁壁の移動方向と逆にすることができる。この場合の磁壁の位置エネルギーEDWの時間変化を図25(b)に示す。
次に、第1および第2電極に電圧を印加しても磁壁の位置を自由に移動させることができない場合を比較例1乃至比較例3として説明する。
これらの比較例において、磁性細線10の断面積が極小になる極小位置A、極小位置Bをとり、極小位置Aと極小位置Bの間にあって磁性細線10の断面積が極大になる極大位置Cが存在する。この点は第1実施形態および実施例1乃至実施例5と共通する。しかし、以下に示すように、第1電極、第2電極の大きさや位置が、第1実施形態および実施例1乃至実施例5と異なるために、位置Aと位置Bの間で磁壁を自由に移動させることができない。
(比較例1)
比較例1による磁気記憶素子の第1および第2電極の配置を図26(a)、26(b)に示す。図26(a)、26(b)はそれぞれ、比較例1による磁気記憶素子の上面図、断面図である。この比較例1においては、少なくとも極小位置Aから極小位置Bにわたる範囲において、第1電極20(i=1、・・・)と、第2電極30(i=1、・・・)とが交互に並んでいる。図26(a)に示すように、第1電極20(i=1、・・・)と、第2電極30(i=1、・・・)とが重なる領域が実質的に存在しない。また、図26(b)に示すように、磁性細線10は第1電極20(i=1、・・・)および第2電極30(i=1、・・・)と、絶縁膜22、32を介して接続される。この比較例1において、磁壁を位置Bから位置Aに移動させるには、まず第2電極30(i=1、・・・)と磁性細線10の界面近傍において磁性細線10の磁気異方性エネルギーが低下するように第2電極30(i=1、・・・)に電圧を印加する。この際、磁壁の位置は極大位置Cから極小位置A寄りの位置Dにおいてエネルギーが極小となり、エネルギーの極小位置Dまで磁壁が移動することが可能である。次に、第2電極30(i=1、・・・)の電圧を切ると磁性細線10の断面積が極小となる極小位置Aまで磁壁が移動する。しかし、逆に磁壁の位置を位置Aから位置Bに移動させることはできない。上述のように、第2電極30(i=1、・・・)に電圧を印加して極大位置Cの付近の磁気異方性エネルギーを低下させたとしても、エネルギーの極小位置Dまでしか磁壁を移動させることができない。これは、第1電極20(i=1、・・・)に電圧を印加して位置Bの付近での磁気異方性エネルギーを下げたとしても位置Aの付近の磁気異方性エネルギーも同時に下がるためである。また比較例1において第2電極30(i=1、・・・)を位置Cに関して左右対称となるように配置した例は移動方向を確率的にしか制御することができない。
比較例1から分かるように、磁壁を所望の方向に移動させるためには、第1電極20(i=1、・・・)と第2電極30(i=1、・・・)が磁性細線10を挟んで重なる領域、第1電極20(i=1、・・・)および第2電極30(i=1、・・・)が磁性細線10を挟んで共に存在しない領域の少なくとも一方が存在する必要がある。
(比較例2)
比較例2による磁気記憶素子の第1および第2電極の配置を図27(a)、27(b)に示す。図27(a)、27(b)はそれぞれ、比較例2による磁気記憶素子の上面図、断面図である。比較例2においては、少なくとも極小位置Aから極小位置Bにわたる範囲において、磁性細線10と第1電極20が絶縁膜22を介して接続されている。この比較例12も比較例1の場合と同様に、磁壁を位置Bから位置Aまで移動させることは可能であるが、逆に位置Aから位置Bまで移動させることができない。また比較例2において第2電極30(i=1、・・・)を位置Cに関して左右対称となるように配置した例は移動方向を確率的にしか制御することができない。
また、比較例2と同様に少なくとも極小位置Aから極小位置Bにわたる範囲において、磁性細線10と第2電極30が絶縁膜32を介して接続されている場合も磁壁を双方向に移動させることができない。
これらの例から分かるように、第1電極、第2電極のそれぞれは互いに離間された複数の電極からなることが必要である。
(比較例3)
比較例3による磁気記憶素子の第1および第2電極の配置を図28(a)、28(b)に示す。図28(a)、28(b)はそれぞれ、比較例3による磁気記憶素子の上面図、断面図である。この比較例3においては、少なくとも極小位置Aから極小位置Bにわたる範囲において、第1電極20(i=1、・・・)と第2電極30(i=1、・・・)が実質的に同じ大きさであり、また上面から見た場合に、同じ位置に配置されている。この比較例3も比較例1の場合と同様に、磁壁の移動可能方向が一方向に限定される。この比較例3では、磁壁位置を位置Aから位置Bまで移動させることは可能であるが、逆に位置Bから位置Aまで移動させることができない。また比較例3において第1電極20(i=1、・・・)および第2電極30(i=1、・・・)を位置Cに関して左右対称となるように配置した例は移動方向を確率的にしか制御することができない。
比較例3から分かるように、磁壁を所望の方向に移動させるためには、磁性細線10を挟んで第1電極が存在し第2電極が存在しない第3領域、および磁性細線10を挟んで第1電極が存在せず第2電極が存在する第4領域のうちの少なくとも一方が存在する必要がある。
(材料)
次に、第1実施形態および実施例1乃至実施例5のいずれかによる磁気記憶素子1の磁性細線10の材料について説明する。磁性細線10には、磁化方向が磁性細線10の積層方向に直交する方向に向きうる各種の磁性材料を用いることができる。
一般に、磁化方向が磁性細線10の延在する方向(第1方向)に対して直交する方向(短軸)を向く場合のほうが、磁性細線10に延在する方向を向く場合よりも反磁界が大きいため、磁化方向を磁性細線の延在する方向に直交する方向に向けるには、反磁界に打ち勝つ十分な大きさの磁気異方性エネルギーKが必要とされる。そのため、磁気異方性エネルギーKが大きい材料を用いることが好ましい。
一軸磁気異方性エネルギーKが大きい材料として、以下のような材料を用いることができる。鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)よりなる群から選択された少なくとも一つの元素と、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)よりなる群から選択された少なくとも一つの元素との組み合わせによる合金がある。一軸異方性エネルギーの値については、磁性膜を構成する磁性材料の組成や、熱処理による結晶規則性などによっても調整することができる。
また、hcp構造(最密六方構造)の結晶構造を持ち、垂直の磁気異方性エネルギーを示す磁性材料を用いることもできる。このような磁性材料としては、コバルト(Co)を主成分とする金属を含むものが代表的であるが、他のhcp構造を有する金属を用いることもできる。
磁性細線10の第1方向が膜成長方向に対して垂直方向に形成される場合には、磁化方向を磁性細線10に対して垂直方向に向けるためには、磁気異方性エネルギーの容易軸が膜面内にあることが必要とされる。磁気異方性エネルギーが大きく、磁気異方性エネルギーの容易軸が膜面内にある材料の例として、Co、CoPt、CoCrPtなどが挙げられる。CoPtやCoCrPtは、合金であってもよい。これらはhcp構造のc軸が膜面内にある金属結晶である。さらに、上記材料群のいずれの場合でも、添加元素を加えてもかまわない。
また、磁性細線10の第1方向が膜成長方向に対して平行方向に形成される場合には、磁気異方性エネルギーの容易軸が膜面垂直方向にあることが必要となる。これらを実現する材料の例としては、hcp構造のc軸が膜面垂直方向に向いているCo、CoPtや、FePt、(Co/Ni)の積層膜、TbFeなどが挙げられる。なお、CoPtは合金であってもよい。TbFeの場合、Tbが20atomic%以上40atomic%以下である場合には、TbFeは垂直異方性を示す。さらに、上記材料群いずれの場合でも、添加元素を加えてもかまわない。
その他、希土類元素と鉄族遷移元素との合金で、磁性細線の延在する方向に対して垂直の磁気異方性を示す材料を用いることもできる。具体的には、GdFe、GdCo、GdFeCo、TbFe、TbCo、TbFeCo、GdTbFe、GdTbCo、DyFe、DyCo、DyFeCoなどが挙げられる。
また、磁性膜に用いられるこれらの磁性体には、Ag、Cu、Au、Al、Mg、Si、Bi、Ta、B、C、O、N、Pd、Pt、Zr、Ir、W、Mo、Nb、Hなどの非磁性元素を添加して、磁気特性を調節することや、その他、結晶性、機械特性、化学的特性などの各種物性を調整することができる。
書き込み部42および読み出し部44の強磁性層422、442の材料として磁性細線10と同様の材料を使うことができる。
書き込み部42および読み出し部44の非磁性層421、441の材料としては、非磁性金属あるいは絶縁性の薄膜を用いることができる。非磁性金属としては、Au、Cu、Cr、Zn、Ga、Nb、Mo、Ru、Pd、Ag、Hf、Ta、W、Pt、Biのうちのいずれか、あるいは、これらのいずれか一種以上を含む合金を用いることができる。また、この非磁性層421、441の厚さは、強磁性層442,442と磁性細線10の静磁結合が十分小さく、かつ、非磁性層421、441のスピン拡散長より小さくする必要があり、具体的には、0.2nm以上20nm以下の範囲内とすることが望ましい。
非磁性層421、441に用いることのできる絶縁性材料として、磁気抵抗効果を大きくするには、非磁性層421,441の材料をトンネルバリア層として機能させることが効果的である。この場合、非磁性層421,441の材料としてAl、SiO、MgO、AlN、Bi、MgF、CaF、SrTiO、AlLaO、Al−N−O、Si−N−O、非磁性半導体(ZnO、InMn、GaN、GaAs、TiO、Zn、Te、またはそれらに遷移金属がドープされたもの)などを用いることができる。これらの化合物は、化学量論的にみて完全に正確な組成である必要はなく、酸素、窒素、フッ素などの欠損、あるいは過不足が存在していてもよい。また、この絶縁材料からなる非磁性層421、441の厚さは、0.2nm以上5nm以下の範囲内とすることが望ましい。非磁性層421、441が絶縁層である場合、その内部にピンホールが存在してもよい。
(製造方法)
次に、第1実施形態による磁気記憶素子1の製造方法について図29(a)乃至29(c)を参照して説明する。磁気記憶素子1は、成膜技術と微細加工技術によって作製される。磁気記憶素子1の具体的な製造工程の一例は以下の通りである。なお説明の簡略化のため、読み出し部および書き込み部については省略する。
まず、図29(a)に示すように、上面に絶縁膜100が形成されたウェーハ(図示せず)を用意し、この絶縁膜100上に、電極膜を成膜し、リソグラフィー技術とRIE(Reactive Ion Etching)とを用いて第2電極30の平面形状にパターニングし、所定間隔ごとに並んだ第2電極30を形成する。この際、エッチングを下端までは行わないことにより、第2電極30同士を下方で短絡させる。続いて、層間絶縁膜290を堆積した後、この層間絶縁膜290をCMP(Chemical Mechanical Polishing)を用いて平坦化し、電極30の上面を露出させる(図29(a))。
次に、絶縁膜214、磁性膜210、絶縁膜213、電極膜211を、この順序で成膜する。磁性膜210は、磁性細線10となる。また、絶縁膜213および絶縁膜214の材料としては、例えばMgOを用い、この絶縁膜213,214が、それぞれ絶縁膜22および絶縁膜32となる。電極膜211としては、例えばTaを用い、これが第1電極20となる。これらが積層されたウェーハを磁場中の真空炉に入れ、例えば270℃、10時間の条件下で、磁場中でアニールすることにより、磁性膜10に一方向異方性を付与する。その後、リソグラフィー技術とRIEとを用いて、電極膜211、絶縁膜213、磁性膜210を、磁性細線10の平面形状にパターニングした後、層間絶縁膜291を堆積する(図29(b))。
次に、層間絶縁膜291を平坦化し、電極膜211の上面を露出する。その後、リソグラフィー技術とRIEとを用いて、電極膜211を、第1電極20の平面形状にパターニングし、所定間隔ごとに並んだ第1電極20を形成する。続いて、層間絶縁膜292を堆積した後、層間絶縁膜292を平坦化し、第1電極20の上面を露出する。露出した第1電極20の上面を覆うように金属膜を成膜し、この金属膜パターニングすることにより、配線層294を形成する。この配線層294によって第1電極20が上方で短絡する。最後に絶縁膜296を堆積し、磁気記憶素子1が完成する(図29(c))。
以上説明したように、第1実施形態によれば、磁性細線を挟むように設けられた第1および第2電極に電圧を印加することにより、磁性細線中の磁壁を安定して移動させることが可能な磁気記憶素子を提供することできる。
(第2実施形態)
第2実施形態による磁気記憶素子1を図30(a)乃至30(c)を参照して説明する。図30(a)は、第2実施形態の磁気記憶素子1を基板に垂直な面で切断した断面図であり、図30(b)、30(c)はそれぞれ、図30(a)の破線で示す部分Uの側面図,Vの上面図である。
第2実施形態の磁気記憶素子1は、磁性細線10の全域に渡って、延在する第1方向が1つの直線に沿っておらず、第1方向が折れ曲がる場所が存在する。例えば、第1方向が基板面に対して垂直になる部分と、第1方向が基板面に沿う部分を含んでいる。第1方向が基板面に対して垂直になる部分は、図30(a)において幅方向に平行な断面が表示され、第1方向が基板面に沿う部分は、図30(a)において厚さ方向の断面が表示されている。図30(b)は、第1方向が基板面に沿う部分における幅方向に平行な面を表示している。
この第2実施形態の磁気記憶素子1における磁性細線10の形状は、第1実施形態で説明したと同様の形状を有している。
第2実施形態の磁気記憶素子1において、磁壁の安定位置は断面形状およびそれによるエネルギー分布の極小点によって決まる。そのため、例えば、第1方向が基板面に対して垂直になる部分と、第1方向が基板面に沿う部分とで断面形状や寸法が一致していなくてもよい。また、第1方向が基板面に対して垂直になる部分と、第1方向が基板面に沿う部分とで第1電極20、第2電極30が並ぶ間隔が一致していなくても良い。なお、第1電極20と磁性細線10との間に絶縁膜22が設けられ、第2電極30と磁性細線10との間に絶縁膜32が設けられている。
この第2実施形態も第1実施形態と同様に、磁性細線中の磁壁を安定して移動させることのできる磁気記憶素子を提供することができる。
(第3実施形態)
第3実施形態による磁気記憶素子1について図31(a)、31(b)を参照して説明する。図31(a)は、第3実施形態の磁気記憶素子1を基板に垂直な面で切断した断面図であり、図31(b)は、第3実施形態の磁気記憶素子1を駆動するための駆動電圧のタイミングチャートである。
この第3実施形態の磁気記憶素子1は、2個の第2実施形態の磁気記憶素子1のそれぞれの磁性細線10を底部において接続するとともに、上記2個の磁気記憶素子1のそれぞれの第2電極30を共通にした構成を有している。なお、上記2個の磁気記憶素子1のうちの一方の磁気記憶素子1の第1電極20はそのまま第1電極20となるが、他方の磁気記憶素子の第1電極は第3電極25となる。なお、第1電極20および第3電極25は、基板に垂直な方向において同じ位置に設けられている。
このように、2つの磁気記憶素子の第2電極を共通にすることで、集積化することが容易となる。そして、磁性細線の磁壁を一方向に移動させるためには、例えば図31(b)に示すように、第1電極20と第3電極25に与える電圧信号列を時間的にシフトさせればよい。
(変形例)
第3実施形態の変形例による磁気記憶素子1について、図32(a)、32(b)を参照して説明する。図32(a)は、第3実施形態の変形例による磁気記憶素子1を基板に垂直な面で切断した断面図であり、図31(b)は、第3実施形態の変形例による磁気記憶素子1を駆動するための駆動電圧のタイミングチャートである。
この変形例の磁気記憶素子1においては、第1電極20および第3電極25は、基板に垂直な方向において異なる位置に設けられている。すなわち、第1電極20と第3電極25の第1方向に沿った位置がずれている。この場合、第1電極20と第3電極25に与える電圧信号を同一のものとしても、磁壁を磁性細線10の一方向に移動させることができる。
(第4実施形態)
第4実施形態による磁気記憶装置について図33および図34を参照して説明する。第3実施形態の磁気記憶装置の回路図を図33に示し、斜視図を図34に示す。ただし、第1電極、第2電極は図示していない。
第3実施形態の磁気記憶装置500はメモリセルアレイ300を有している。このメモリセルアレイ300は、マトリクス状の配列された複数のメモリセルを有し、各メモリセルは、第1乃至第2実施形態のいずれかの磁気記憶素子1と、例えば、トランジスタからなるスイッチング素子320とを備えている。また、メモリセルアレイ300には、各行に設けられたワード線WL〜WLと、各列に設けられた情報読み出し用ビット線BL〜BLと、が設けられている。
第i(1≦i≦m)行のn個のメモリセルの磁気記憶素子1はそれぞれ、磁性細線10が共通に接続されて磁性細線MLとなる。なお、各磁気記憶素子1の磁性細線10は直接接続されなくてもよい。また、各メモリセルのスイッチング素子320は、ゲートが対応する行のワード線WL(1≦i≦m)に接続され、一端が同じメモリセル内の磁気記憶素子1の読み出し部44の一端に接続され、他端は接地される。メモリセル内の磁気記憶素子1の読み出し部44の他端は、上記メモリセルに対応するビットBL(1≦j≦n)に接続される。
これらのワード線WL〜WLおよび磁性細線ML〜MLは、各配線を選択するデコーダ、書き込み回路等を有する駆動回路410A、410Bに接続されている。また、ビット線BL〜BLは、各配線を選択するデコーダ、読み出し回路等を備えている駆動回路420A、420Bに接続されている。なお、図33および図34においては、磁気記憶素子1の書き込み部を省略して、図示していない。書き込み部は、一端が図示しない書き込み選択用のスイッチング素子に接続され、他端が図示しない電流源に接続される。そして、書き込み用のスイッチング素子と、読み出し用のスイッチング素子は共通に用いてもよい。また、複数のメモリセルに対して1個の読み出し部および1個の書き込み部を設けてもよい。この場合は、集積度を高めることができる。また、図33および図34に示すように、各メモリセルに1個の読み出し部44および1個の書き込み部を設けた場合は、データの転送速度を高めることができる。また、電圧印加のための電極が列方向に延在している。これらを総称して、電圧付与電極と呼ぶ。これらは奇数列と偶数列とで異なる電圧信号が与えられる。とくに、第3実施形態の項で述べたように3種類の電圧シーケンスを用いることができる。4種類以上の電圧シーケンスを用いることもできる。
次に、第4実施形態に係るメモリセルアレイ内での磁壁の移動について説明する。駆動回路430により複数の電圧付与電極に対して、決められたシーケンスにしたがって、電圧が印加され、上述の手順により磁性細線内の磁壁の移動(すなわち、データのシフト移動)が行われる。
このようにメモリセルアレイ内での磁壁を移動させる方法によると、メモリセルアレイの同一列に属する複数の磁気記憶素子1において、同時にデータ保存位置が移動することになる。このように、電圧付与電極を他の磁気記憶素子と共有する構成とすることで、データの移動を共通の電圧源により一括して行うことができ高集積化に適している。
メモリセルヘの書き込みは、上記方法により磁性細線中に保存されたデータを必要な分移動させた後、書き込みを行う。
メモリセルに保存されたデータの読み出しは、まず、メモリセル内に磁化方向として保存されたビット列のうち、読み出したいビットが読み出し部に位置に来るようにデータのシフト移動を上述した方法で行う。その後、ワード線WLを選択し、スイッチング素子320をオンとし、ビット線BLに電流を流すことにより、読み出しを行う。なお、読み出し電流は、その向きが正であっても負であってもよいが、書き込み電流の絶対値よりも小さな絶対値を有している。これは、読み出しによって保存されたデータが反転しないためである。
第4実施形態によれば、第1または第2実施形態または第3実施形態の磁気記憶素子1を用いているので、磁性体中の磁壁を安定して移動させることのできる磁気記憶装置を提供することができる。
(第5実施形態)
第5実施形態の磁気メモリを図35に示す。この第5実施形態の磁気メモリは、第4実施形態の磁気記憶装置500を基板600上に複数個マトリクス状に配置した構成を有している。このような構成とすることにより、大容量の磁気メモリを実現することができる。
第5実施形態によれば、第1または第2または第3実施形態の磁気記憶素子を用いているので、磁性体中の磁壁を安定して移動させることのできる磁気記憶装置を提供することができる。
なお、第4実施形態で示したワード線WL、情報読み出し用ビット線BL、メモリトラックのスイッチング素子320、駆動回路410A、410B、420A、420Bは、あくまで一例であり、配置や形状、構成を適宜変更してもよい。
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではない。例えば、磁気記憶素子を構成する各要素の具体的な寸法関係や材料、その他、電極、パッシベーション、絶縁構造などの形状や材質に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。例えば、磁気素子を構成する磁性層のそれぞれについて、全て同一形状、同一サイズとする必要はなく、互いに異なる形状、サイズとなるように設計してもよい。また、磁気記憶素子における反強磁性層、中間層、絶縁層などの構成要素は、それぞれ単層として形成しても良く、あるいは、複数の層を積層した構造としてもよい。また、各実施形態にて説明した変形例を他の実施形態にも適用してもよいし、複数の変形例を組み合わせてもよい。
なお、本明細書を通じて、「垂直」には製造工程のばらつき等による厳密な垂直からのずれが含まれるものとする。同様に、本明細書を通じて、「平行」、「水平」は、厳密な平行、水平を意味するものではない。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1 磁気記憶素子
10 磁性細線
20、20(i=1、・・・) 第1電極
22 絶縁膜
25 第3電極
30、30(i=1、・・・) 第2電極
32 絶縁膜
42 書き込み部
44 読み出し部
46 電極

Claims (16)

  1. 第1方向に延在し、前記第1方向に直交する断面積が前記第1方向に沿って変化するとともに前記断面積が極小となる位置を少なくとも2個有する磁性細線と、
    前記磁性細線を挟んで設けられた第1および第2電極群であって、前記第1電極群は前記第1方向に沿って離間して設けられた複数の第1電極を有し、前記第2電極群は前記第1方向に沿って離間して設けられた複数の第2電極を有し、記第1電極および前記第2電極が前記磁性細線を挟んで共に存在しない第領域と、前記磁性細線を挟んで前記第1電極が存在し前記第2電極が存在しない第領域および前記第1電極と前記第2電極が前記磁性細線を挟んで重なる第3領域ならびに前記磁性細線を挟んで前記第1電極が存在せず前記第2電極が存在する第4領域のうちの少なくともつの領域と、を前記磁性細線が有するように、前記複数の第1電極および前記複数の第2電極が配置された第1および第2電極群と、
    前記複数の第1電極と前記磁性細線との間に設けられた第1絶縁膜と、
    前記複数の第2電極と前記磁性細線との間に設けられた第2絶縁膜と、
    を備えた磁気記憶素子。
  2. 前記磁性細線は、前記第1方向に沿った第1部分と、前記第1部分に接続し前記第1方向と異なる第2方向に沿った第2部分とを有し、前記第1および第2部分にはそれぞれ、前記第1および第2電極群が設けられている請求項記載の磁気記憶素子。
  3. 前記磁性細線は、前記第1方向に沿った第1部分と、一端が前記第1部分に接続し前記第1方向と異なる第2方向に沿った第2部分と、前記第2部分の他端に接続し前記第1方向に平行な第3方向に沿った第3部分と、を有し、前記第1および第3部分にはそれぞれ前記第1方向および第3方向に沿って前記第1および第2電極群が設けられ、前記第1部分の前記第2電極群および前記第3部分の前記第2電極群は共通の第2電極群である請求項記載の磁気記憶素子。
  4. 前記第1部分の前記第1電極群と、前記第3部分の前記第1電極群は、前記第1方向において同じ位置に配置される請求項記載の磁気記憶素子。
  5. 前記第1部分の前記第1電極群と、前記第3部分の前記第1電極群は、前記第1方向において異なる位置に配置される請求項記載の磁気記憶素子。
  6. 第1方向に延在し、前記第1方向に交わる第2方向の断面積が前記第1方向に沿って変化し、前記断面積が極小となる位置を少なくとも2つ備える磁性細線と、
    前記磁性細線の第1部分に設けられ、前記第1方向に沿って離間して配置された複数の第1電極を備える第1電極群と、
    前記磁性細線の第2部分に設けられ、前記第1方向に沿って離間して配置された複数の第2電極を備える第2電極群と、を備え、
    前記磁性細線は、
    前記第2方向において、前記第1電極および前記第2電極がない第1領域と、
    前記第2方向において、前記第1電極があって前記第2電極がない第2領域、前記第1電極と前記第2電極がある第3領域、前記第1電極がなく前記第2電極がある第4領域のうちの少なくとも2つの領域と、を備えた磁気記憶素子。
  7. 第1方向に延在し、前記第1方向に直交する第2方向の断面積が前記第1方向に沿って変化し、前記断面積が極小となる位置を少なくとも2つ備える磁性細線と、
    前記磁性細線の第1部分に設けられ、前記第1方向に沿って離間して配置された複数の第1電極を備える第1電極群と、
    前記磁性細線の第2部分に設けられ、前記第1方向に沿って離間して配置された複数の第2電極を備える第2電極群と、を備え、
    前記磁性細線は、
    前記第2方向において、前記第1電極および前記第2電極がない第1領域と、
    前記第2方向において、前記第1電極があって前記第2電極がない第2領域、前記第1電極と前記第2電極がある第3領域、前記第1電極がなく前記第2電極がある第4領域のうちの少なくとも2つの領域と、を備えた磁気記憶素子。
  8. 前記磁性細線と前記複数の第1電極との間および前記磁性細線と前記複数の第2電極との間に絶縁膜が設けられた請求項6または7記載の磁気記憶素子。
  9. 前記磁性細線は前記第領域を有し、前記第領域において前記断面積が極大となる位置を備える請求項1乃至8のいずれかに記載の磁気記憶素子。
  10. 前記磁性細線は前記第領域を有し、前記第領域において前記断面積が極小となる位置を備える請求項1乃至8のいずれかに記載の磁気記憶素子。
  11. 前記複数の第1電極はそれぞれ共通の第1駆動電圧を発生する第1駆動部に接続され、前記複数の第2電極はそれぞれ共通の第2駆動電圧を発生する第2駆動部に接続される請求項1乃至10のいずれかに記載の磁気記憶素子。
  12. 前記磁性細線から磁化情報を読み出す読み出し部と、前記磁性細線に磁化情報を書き込む書き込み部と、を更に備えている請求項1乃至11のいずれかに記載の磁気記憶素子。
  13. マトリクス状に配列された請求項1乃至12のいずれかに記載の複数の磁気記憶素子と、
    前記複数の磁気記憶素子のそれぞれに対応して設けられた複数のスイッチングトランジスタであって、ソースおよびドレインのうちの一方が対応する列の磁気記憶素子内の読み出し部の一端に接続される、複数のスイッチングトランジスタと、
    行に対応して設けられた複数の第1配線であって、各第1配線には、対応する行の前記スイッチングトランジスタのゲートが接続される、複数の第1配線と、
    列に対応して設けられた複数の第2配線であって、各第2配線には、対応する列の前記記憶素子内の前記読み出し部の他端が接続される、複数の第2配線と、
    を備えている磁気記憶装置。
  14. 請求項13記載の磁気記憶装置を複数個備え、前記複数の磁気記憶装置がマトリクス状に配列されてい磁気メモリ。
  15. 請求項1乃至12のいずれかに記載の磁気記憶素子の駆動方法であって、
    前記第1電極群に第1駆動電圧を印加するステップと、
    前記第2電極群に第2駆動電圧を印加するステップと、
    を備えている駆動方法。
  16. 前記第1駆動電圧を印加する時間と、前記第2駆動電圧を印加する時間が部分的に重なる請求項15記載の駆動方法。
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