JP6172456B2 - 発泡砂を用いた砂型の成形方法、成形用金型及び砂型 - Google Patents
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Description
本手法には、図3に示される砂型造型装置1が用いられる。砂型造型装置1は、発泡砂Sを固めて、例えばアルミニウム鋳造用の砂中子(砂型)を造型するものであって、砂中子を造型するためのキャビティCを有する金型2と、金型2のキャビティCに発泡砂Sを充填するための充填装置3とを備えている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、発泡砂を用いた砂型の、製品部の表面に露出する吹き込み口の脆弱部ないし中空部から、溶湯が砂型の内部に流入してしまうことを、確実に防止することにある。
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
そこで、本項の方法では、発泡砂による砂型の成形に際し、砂型の製品部の寸法と、吹き込み口の寸法との関係に着目したものである。
このように構成された金型の充填口からキャビティ内に発泡砂を充填して、成形を行うことで、吹き込み口は充填口に形成されその後に除去されるが、製品部の、吹き込み口を除去した箇所における硬化層に、十分な厚みを確保するものである。そして、砂型の製品部の表面に露出する、吹き込み口の脆弱部ないし中空部から、溶湯が砂型の内部に流入することを回避するものとなる。
本項に係る砂型の成形方法は、上記(1)項の、寸法a及び寸法dの値の関係を、a<d/2に設定し、金型の充填口からキャビティ内に発泡砂を充填して、成形を行うものである。本寸法関係において、金型の充填口からキャビティ内に発泡砂を充填して成形を行うことにより、製品部から吹き込み口を除去した状態において、吹き込み口の除去部の硬化層に十分な厚みを確保する。そして、製品部の表面に露出する吹き込み口の脆弱部ないし中空部から、溶湯が砂型の内部に流入することを回避するものである。
(4)上記(3)項において、前記a及びdの値が、a<d/2に設定されている成形用金型(請求項4)。
(6)上記(5)項において、前記a及びdの値が、a<d/2に設定されている砂型(請求項6)。
又、上記(5)(6)項記載の砂型は、上記(1)(2)項記載の砂型の成形方法を実施する事によって、又は、上記(3)(4)項記載の成形用金型を用いて成型することによって得られるものである。なお、上記(5)(6)項記載の砂型は、鋳造に用いる際には、吹き込み口が除去されるものである。
本発明の実施の形態に係る発泡砂を用いた砂型の成形方法は、図3にも示されるように、砂槽12に金型2をセットし、加圧機構13によって砂槽12内の発泡砂Sを加圧することにより、充填口5を介して金型2のキャビティC内に発泡砂Sを充填する。金型2は、150℃〜300℃程度に加熱されて、キャビティCに充填された発泡砂Sの水分を蒸発させて発泡砂Sを固化させる。その後、金型2を開いて造型された砂中子を取出すことで、図1(a)に示される砂型20を成形するものである。
製品部22及び吹き込み口24の双方の、表層部から所定の厚み範囲には、硬化層22H、24Hが形成されている。又、硬化層22H、24Hの内部には、脆弱部ないし中空部22S、24Sが形成される。そして、発泡砂Sの加熱、硬化の過程で、成形品の表層部に水ガラス及び骨材が集積し、成形品の表層部から所定の厚み範囲に、必要な強度を有する緻密な硬化層が形成される、といったメカニズムに起因して、製品部22及び吹き込み口24の何れも、全体の厚みのうち、脆弱部ないし中空部22S、24Sの厚みが概ね1/3となる。又、それらを覆う硬化層22H、24Hの各々の厚みが、概ね1/3となる。
そして、製品部22の、吹き込み口24を除去した箇所における硬化層22Hに、製品部22の脆弱部ないし中空部22Sが露出しないだけの、十分な厚みが確保されるためには、図1(a)に示されるように、吹き込み口24の脆弱部ないし中空部24Sの厚み1/3aと、硬化層24Hの厚み1/3aとの和2/3aが、製品部22の、吹き込み口24が形成された部分の硬化層22Hの厚み1/3dを、下回っていればよい。上記寸法関係を整理すると、2/3a<1/3d、すなわち、a<d/2と表される。
ここで、水平割型2Vへと適用する場合には、充填口5は円錐状をなすことが一般的であり、充填口5の、キャビティCとの境界部における断面形状は円形となる。このため、充填口5の、キャビティCとの境界部における断面を通る直線と、この断面の外形線との二箇所の交点間の寸法aは、通常、どの方向を採っても一定かつ最大となる。
このような場合には、充填口5の、キャビティCとの境界部における断面形状も非対称形となる。従って、充填口5の、キャビティCとの境界部における断面を通る直線と、この断面の外形線との二箇所の交点間の寸法aは、断面を通る直線の延びる方向によって異なるものとなる。この場合には、断面を通る直線と断面の外形線との二箇所の交点間の寸法が最大となるときの、二箇所の交点間の寸法をaとするものである。
そして、図1(a)のごとく構成された金型2の充填口5からキャビティC内に発泡砂Sを充填して、砂型20の成形を行うことで、製品部22の吹き込み口24を除去した箇所における、必要十分な厚みの硬化層22Hが確保される。従って、鋳造時に、溶湯が製品部22の脆弱部ないし中空部22Sに流入してしまうことを、回避することが可能となる。
そして、図1(b)の比較例の場合、製品部22の、吹き込み口24を除去した箇所に硬化層22Hが確保されず、脆弱部ないし中空部22Sが露出してしまうことになる。その結果として、鋳造時に、溶湯が製品部22の脆弱部ないし中空部22Sに流入することを回避することが、困難であることが理解されるであろう。
Claims (6)
- 金型の充填口からキャビティ内に、水ガラスを含むバインダーを骨材と共に攪拌して発泡させた発泡砂を充填して、前記キャビティに形成される製品部及び前記充填口に形成されその後に除去される吹き込み口の、表層部から所定の厚み範囲に硬化層を備え内部に脆弱部ないし中空部を備える、砂型を成形する製造方法であって、
前記キャビティ及び前記充填口の境界部における断面を通る直線と、前記断面の外形線との、二箇所の交点間の寸法が最大となるときの該二箇所の交点間の寸法aが、前記製品部の前記吹き込み口が突出する部分の肉厚寸法dに対し、所定の割合を下回るように、前記金型の前記キャビティ及び前記充填口を構成して、
前記製品部の硬化層に、前記吹き込み口を除去することで前記吹き込み口の脆弱部ないし中空部が露出して溶湯が砂型の内部に流入することを回避するための厚みを確保することを特徴とする砂型の成形方法。 - 前記a及びdの値を、a<d/2に設定することを特徴とする請求項1記載の砂型の成形方法。
- 金型の充填口からキャビティ内に、水ガラスを含むバインダーを骨材と共に攪拌して発泡させた発泡砂を充填して、前記キャビティに形成される製品部及び前記充填口に形成されその後に除去される吹き込み口の、表層部から所定の厚み範囲に硬化層を備え内部に脆弱部ないし中空部を備える、砂型を成形する成形用金型であって、
前記製品部の硬化層に、前記吹き込み口が除去されることで前記吹き込み口の脆弱部ないし中空部が露出して溶湯が砂型の内部に流入することを回避するための厚みが確保されるように、
前記キャビティ及び前記充填口の境界部における断面を通る直線と、前記断面の外形線との、二箇所の交点間の寸法が最大となるときの該二箇所の交点間の寸法aが、前記製品部の前記吹き込み口が突出する部分の肉厚寸法dに対し、所定の割合を下回る値で、前記キャビティ及び前記充填口が構成されていることを特徴とする成形用金型。 - 前記a及びdの値が、a<d/2に設定されていることを特徴とする請求項3記載の成形用金型。
- 金型の充填口からキャビティ内に水ガラスを含むバインダーを骨材と共に攪拌して発泡させた発泡砂を充填して成型される砂型であって、
前記キャビティに形成される製品部及び前記充填口に形成されその後に除去される吹き込み口の、表層部から所定の厚み範囲に硬化層を備え内部に脆弱部ないし中空部を備え、
前記製品部の硬化層に、前記吹き込み口が除去されることで前記吹き込み口の脆弱部ないし中空部が露出して溶湯が砂型の内部に流入することを回避するための厚みが確保されるように、
前記製品部及び前記吹き込み口の境界部における断面を通る直線と、前記断面の外形線との、二箇所の交点間の距離が最大となるときの該二箇所の交点間の寸法aが、前記製品部の前記吹き込み口が突出する部分の肉厚寸法dに対し、所定の割合を下回る値で成形されていることを特徴とする砂型。 - 前記a及びdの値が、a<d/2に設定されていることを特徴とする請求項5記載の砂型。
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