以下、本発明に係る実施形態について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
ここで、本発明の実施形態に係る現像装置を備える画像形成装置として、タンデム方式の画像形成装置を例に挙げて説明するが、電子写真方式を利用した画像形成装置であればよく、タンデム方式の画像形成装置に限定されない。また、画像形成装置の種類としては、カラープリンタを例に挙げて説明するが、例えば、複写機、ファクシミリ装置、及び複合機等であってもよく、カラープリンタに限定されない。
本発明の実施形態に係る現像装置を備える画像形成装置10としては、コンピュータ等の外部機器から電送された画像情報に基づき画像形成処理を行うものであって、いわゆるタンデム方式の画像形成装置(カラープリンタ)10を例に挙げて説明する。なお、図1は、本発明の実施形態に係る現像装置を備える画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
この画像形成装置10は、図1に示すように、箱型を呈した装置本体11内に内装された、用紙Pを給紙する給紙部12と、この給紙部12から給紙された用紙P上に画像情報に基づくトナー像を形成する画像形成部13と、この画像形成部13で用紙P上に形成された未定着トナー像を用紙Pに定着させる定着処理を施す定着部14とが設けられている。さらに、前記装置本体11の上部には、前記定着部14で定着処理の施された用紙Pが排紙される排紙部15が形成されている。
装置本体11の上面の適所には、用紙Pに対する出力条件等を入力操作するための図略の操作パネルが設けられている。この操作パネルには、電源キーや出力条件を入力するための各種キー等が設けられている。
また、装置本体11内には、用紙Pを給紙部12から排紙部15まで搬送し、その搬送中の用紙Pが、画像形成部13の転写部や定着部14を通過するように用紙搬送路111が形成されている。用紙搬送路111には、用紙Pを搬送するための搬送ローラー対112が適所に設けられている。
前記給紙部12は、給紙トレイ121、ピックアップローラー122、及び給紙ローラー対123を備えている。給紙トレイ121は、用紙搬送路111の入口、図1においては、装置本体11内における画像形成部13より下方位置に挿脱可能に装着され、複数枚の用紙Pが積層された用紙束を貯留する。ピックアップローラー122は、給紙トレイ121の、用紙Pの搬送方向上流側で上方位置、具体的には、図1に示す左上方位置に設けられ、給紙トレイ121に貯留された用紙束の最上面の用紙Pを1枚ずつ取り出す。給紙ローラー対123は、ピックアップローラー122によって取り出された用紙Pを用紙搬送路111に送り出す。これらの各動作によって、前記給紙部12は、画像形成部13へ向けて用紙Pを給紙する。
また、前記給紙部12は、装置本体11の、図1に示す右側側面に取り付けられる手差しトレイ124、ピックアップローラー125、及び給紙ローラー対126をさらに備えている。手差しトレイ124は、用紙Pを手差し操作で画像形成部13へ向けて供給するためのものである。手差しトレイ124は、装置本体11の側面に収納可能であり、手差しで用紙Pを給紙する際、図1に示すように、装置本体11の側面から引き出されて手差し給紙に供される。ピックアップローラー125は、手差しトレイ124に載置された用紙Pを取り出す。ピックアップローラー125によって取り出された用紙Pは、給紙ローラー対126によって、用紙搬送路111に送り出す。これらの各動作によって、前記給紙部12は、画像形成部13へ向けて用紙Pを給紙する。
前記画像形成部13は、所定の画像処理によって、給紙部12から給紙された用紙Pにカラー画像等の画像を形成させるものである。画像形成部13は、複数の画像形成ユニット131と、中間転写ベルト(中間転写体)132と、1次転写ローラー133と、2次転写ローラー134とを備えている。
前記画像形成ユニット131としては、本実施形態では、中間転写ベルト132の回転方向上流側から下流側に向けて(図1に示す右側から左側に向けて)順次配設された、マゼンタ(M)色の現像剤を用いるマゼンタ用ユニット131M、シアン(C)色の現像剤を用いるシアン用ユニット131C、イエロー(Y)色の現像剤を用いるイエロー用ユニット131Y、及びブラック(K)色の現像剤を用いるブラック用ユニット131Kが備えられている。各ユニット131は、それぞれ像担持体である感光体ドラム135を備え、感光体ドラム135上に画像情報に基づいて各色に対応するトナー像を形成させ、中間転写ベルト132に1次転写する。
また、画像形成ユニット131は、中央位置に像担持体としての感光体ドラム135が矢符(図2では矢符A)方向に回転可能に配置されている。そして、感光体ドラム135の周囲には、1次転写ローラー133による転写(1次転写)される位置を、感光体ドラム135の回転方向の最も上流側とした場合に、そこから下流側に向かって順に、クリーニング装置24、帯電装置21、露光装置22、現像装置23が各々配置されている。
前記感光体ドラム(像担持体)135は、後述する、帯電処理、露光処理、現像処理、及び除電処理等によって、その周面上に、画像情報に基づいて各色に対応するトナー像を形成させるためのものである。感光体ドラム135としては、画像形成装置に備えることができる感光体ドラムであれば、特に限定されないが、例えば、有機感光体(OPC)ドラムやアモルファスシリコン(a−Si)感光体ドラム等が挙げられる。
前記帯電装置21は、矢符方向に回転されている感光体ドラム135の周面を帯電させるものである。帯電装置21としては、画像形成装置に備えることができる帯電装置であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、帯電ローラーを備え、その帯電ローラーに所定の帯電バイアスを印加することによって、感光体ドラムの周面を帯電させる接触帯電方式の帯電装置や、非接触放電方式のコロトロン型及びスコロトロン型の帯電装置等が挙げられる。
前記露光装置22は、帯電装置21によって周面が帯電された感光体ドラム135の周面に、画像情報に基づくレーザ光又はLED光を照射し、感光体ドラム135の周面上に画像情報に基づく静電潜像を形成させるためのものである。露光装置22としては、画像形成装置に備えられる露光装置であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、LEDヘッドユニットやレーザ走査ユニット(LSU)等が挙げられる。
前記現像装置23は、感光体ドラム135の周面上に形成された静電潜像をトナー像に現像するためのものである。なお、現像装置23の構成については、後述する。
前記クリーニング装置24は、1次転写ローラー133によって、感光体ドラム135周面上のトナー像を中間転写ベルト132に転写(1次転写)させた後、感光体ドラム135の周面上に残存したトナーを除去するためのものである。クリーニング装置24によって、1次転写後に残存したトナーが除去された感光体ドラム135の周面は、新たな画像形成処理のために、帯電装置21による帯電位置へ向かう。また、クリーニング装置24によって、除去された廃トナーは、所定の経路を通って、図略のトナー回収ボトルに回収され、貯留される。
また、前記クリーニング装置24によるトナーの除去の前に、不図示の除電装置で、感光体ドラム135の周面を除電するようにしてもよい。そうすることによって、前記クリーニング装置24によって、1次転写後に感光体ドラム135の周面上に残存したトナーが好適に除去される。
前記中間転写ベルト132は、複数の画像形成ユニット131によって、その周面(接触面)に画像情報に基づくトナー像が転写(1次転写)されるためのものである。すなわち、中間転写ベルト132は、本実施形態においては、感光体ドラム135と1次転写ローラー133とで狭持され、感光体ドラム135からトナー像が転写される周面を有する被転写体である。
また、中間転写ベルト132は、無端状のベルト状回転体であって、その周面側が各感光体135の周面にそれぞれ当接するように、駆動ローラー136、ベルト支持ローラー137、及びテンションローラー139に架け渡されている。また、中間転写ベルト132は、中間転写ベルト132を介して各感光体ドラム135に対向する位置に配される各1次転写ローラー133によって各感光体ドラム135に押圧された状態で、駆動ローラー136の回転駆動によって、無端回転するように構成されている。駆動ローラー136は、ステッピングモータ等の駆動源によって回転駆動し、中間転写ベルト132を無端回転させるための駆動力を与える。ベルト支持ローラー137、及びテンションローラー139は、回転自在に設けられ、駆動ローラー136による中間転写ベルト132の無端回転に従って従動回転する従動ローラーである。これらの従動ローラー137,139は、駆動ローラー136の主動回転に応じて中間転写ベルト132を介して従動回転するとともに、中間転写ベルト132を支持する。さらに、テンションローラー139は、中間転写ベルト132が弛まないように中間転写ベルトに対してテンション(張力)を与える。このテンションローラー139は、例えば、ばね(スプリング)体等の付勢部材等によって付勢されることで、中間転写ベルト132の裏面(内周側)から表面(外周側)へ向けて前記中間転写ベルト132に対して押圧力を加えるようにして前記テンションを発生させる。
前記1次転写ローラー133は、感光体ドラム135上に形成されたトナー像を、中間転写ベルト132に1次転写するためのものである。すなわち、1次転写ローラー133は、本実施形態においては、中間転写ベルト132を感光体ドラム135とで狭持して、感光体ドラム135周面上のトナー像を中間転写ベルト132に1次転写させる転写部である。
また、1次転写ローラー133は、中間転写ベルト132を介して各感光体ドラム135と対向する位置に配置される。1次転写ローラー133は、各感光体ドラム135に対して、それぞれ設けられる。また、1次転写ローラー133は、中間転写ベルト132に接触したまま、中間転写ベルト132の無端回転に従属して回転する。その際、各1次転写ローラー133に、トナーの帯電極性とは逆極性である1次転写バイアスを印加することによって、各感光体ドラム135上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム135とそれに対応する各1次転写ローラー133との間で、中間転写ベルト132に1次転写される。これにより、各感光体ドラム135上に形成されたトナー像が、矢符(図1では、時計回り)方向に周回する中間転写ベルト132に重ね塗り状態で順次1次転写される。
前記2次転写ローラー134は、中間転写ベルト132上のトナー像を給紙部12から給紙された用紙Pに転写(2次転写)させるためのものである。すなわち、2次転写ローラー134は、本実施形態においては、中間転写ベルト132の周面に接触してニップ部を形成し、そのニップ部を通過する記録媒体である用紙Pに、中間転写ベルト132の周面上のトナー像を2次転写させる2次転写部である。
また、2次転写ローラー134は、中間転写ベルト132を介して、駆動ローラー136に対向する位置に配置される。また、2次転写ローラー134は、中間転写ベルト132に接触したまま、中間転写ベルト132の無端回転に従属して回転する。その際、2次転写ローラー134と駆動ローラー136との間で、給紙部12から給紙された用紙Pに中間転写ベルト132の周面上のトナーが2次転写される。これにより、用紙P上に、画像情報に基づくトナー像が未定着の状態で転写される。
また、前記画像形成部13には、中間転写ベルト132の、2次転写位置より回転方向下流側で、1次転写位置より回転方向上流側の位置に、ベルトクリーニング装置138をさらに備えている。ベルトクリーニング装置138は、2次転写後、中間転写ベルト132の周面上に残存したトナーを除去して中間転写ベルト132を清浄化するためのものである。ベルトクリーニング装置138によって清浄化処理された中間転写ベルト132の周面は、新たな1次転写処理のために1次転写位置へ向かう。ベルトクリーニング装置138によって除去された廃トナーは、所定の経路を通って図略のトナー回収ボトルに回収され、貯留される。
前記定着部14は、2次転写ローラー134によって2次転写された用紙P上のトナー像に対し定着処理を施すものである。定着部14は、内部に加熱源である通電発熱体を備えた加熱ローラー141と、加熱ローラー141と対向配置された定着ローラー142と、定着ローラー142と加熱ローラー141との間に張架された定着ベルト143と、定着ベルト143を介して定着ローラー142と対向配置された加圧ローラー144とを備えている。
定着部14へ供給された用紙Pは、定着ベルト143と加圧ローラー144との間に形成される定着ニップ部を通過することで、加熱加圧される。これにより、前記2次転写ローラー134によって用紙Pに2次転写されたトナー像は、用紙Pに定着される。定着処理の完了した用紙Pは、定着部14の上部から延設された用紙搬送路111を経由して、装置本体11の頂部に設けられた排紙部15の排紙トレイ151へ向けて排紙される。
前記排紙部15は、装置本体11の頂部が凹没されることによって、形成され、この凹部の底部に排紙された用紙Pを受ける排紙トレイ151が形成されている。
次に、本発明の実施形態に係る現像装置について説明する。
本発明の実施形態に係る現像装置は、静電潜像が形成される像担持体に対向して配置され、表面に担持されたトナーを、前記像担持体に供給するトナー担持体を備える現像装置である。本発明の実施形態に係る現像装置は、このようなトナー担持体を備えていればよく、キャリアを含まない1成分現像剤を用いる1成分現像装置であってもよいし、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤を用いるけれど、トナー担持体にはトナーを担持する、いわゆる、タッチダウン現像方式の現像装置であってもよい。ここでは、タッチダウン現像方式の現像装置を例に挙げて説明する。このような現像装置について、図2を参照して説明する。なお、図2は、本発明の実施形態に係る現像装置を示す概略断面図である。また、図2には、現像装置とともに、感光体ドラムも合わせて示す。
また、タッチダウン現像方式の現像装置は、具体的には、前記トナー担持体と、表面上に担持された、トナー及びキャリアを含む2成分現像剤から、前記2成分現像剤に含まれるトナーを、前記トナー担持体に供給する現像剤担持体を備える。このような現像装置であれば、いわゆるタッチダウン現像方式の現像装置であるので、より好適な画像形成を実現できる。
前記現像装置23は、上述したように、感光体ドラム135の周面上に形成された静電潜像をトナー像に現像するためのものである。そして、現像装置23は、図2に示すように、現像容器236内に内装された、現像ローラー(トナー担持体)231、磁気ローラー(現像剤担持体)232、及び攪拌搬送部材237が設けられている。そして、現像ローラー231には、現像バイアス印加部(第1バイアス印加手段)241が接続され、磁気ローラー232には、トナー供給バイアス印加部(第2バイアス印加手段)242が接続されている。
前記現像容器236は、現像装置23の外郭を構成し、キャリアとトナーとを含む2成分現像剤を収容する現像槽である。現像容器236には、現像ローラー231を感光体ドラム135に向けて露出させる開口236aが形成されている。そして、現像容器236は、その下部に、仕切り部236bで仕切られた第1搬送路236cと第2搬送路236dが形成されている。また、現像容器236は、現像ローラー231、磁気ローラー232、及び攪拌搬送部材237を回転可能に保持している。
前記現像ローラー231は、感光体ドラム135と磁気ローラー232とのそれぞれと対向し、それらの対向した周面同士が近接した状態で離間して配置される。すなわち、現像ローラー231と感光体ドラム135とが、それぞれの周面が近接した状態で離間して配置され、感光体ドラム135にトナーを供給する現像領域Dを形成している。また、現像ローラー231と磁気ローラー232とも、それぞれの周面が近接した状態で離間して配置されている。
前記磁気ローラー232は、内部に固定配置された磁極部材Mによって、その周面にトナーを含む2成分現像剤を担持させ、その状態で回転させることによって、現像ローラー231の近傍まで搬送する。そうすることによって、磁気ローラー232は、2成分現像剤のトナーを現像ローラー231に供給する。
そして、現像ローラー231は、その周面に、磁気ローラー232から供給されたトナーを担持させ、その状態で回転させることによって、感光体ドラム135の近傍までトナーを搬送する。そうすることによって、感光体ドラム135の周面に予め形成された静電潜像をトナー像として顕像化(現像)する。
前記攪拌搬送部材237は、第1攪拌搬送部材(攪拌ミキサ)234と第2攪拌搬送部材(パドルミキサ)233とで構成される。第1攪拌搬送部材234は、第1搬送路236c内に設けられ、第2攪拌搬送部材233は、第2搬送路236d内に設けられる。
パドルミキサ233及び攪拌ミキサ234は、らせん状羽根を有して互いに逆方向に2成分現像剤を搬送しながら攪拌することによって、2成分現像剤に含まれるトナーを帯電させる。さらに、パドルミキサ233は、帯電させたトナーを含む2成分現像剤を磁気ローラー232に供給する。
穂切りブレード235は、その一先端が磁気ローラー232の周面に対向して配置され、磁気ローラー232上に担持された2成分現像剤の厚みを規制するものである。
そして、磁気ローラー232は、ローラー軸232a、磁極部材M、及び非磁性材からなる非磁性スリーブ232bを備える。磁気ローラー232は、上述したように、攪拌搬送部材237のパドルミキサ233により供給された現像剤を担持し、担持した現像剤からトナーを現像ローラー231に供給するものである。磁極部材Mは、断面扇形に形成された外周部の磁極の異なる複数の磁石が交互に配設され、ローラー軸232aに接着等により固着されたものである。ローラー軸232aは、非磁性スリーブ232b内で、磁極部材Mと非磁性スリーブ232bとの間に所定の間隔を設けて、現像容器236に回転不能に支持される。非磁性スリーブ232bは、図示しないモータや歯車等からなる駆動機構により、矢符方向(現像ローラー231と同方向、図2では時計周り方向)に回転する。
そして、前記現像ローラー231は、固定軸231a、及び現像スリーブ231b等を備えて構成されている。固定軸231aは、現像容器236に回転不能に支持される。現像スリーブ231bは、図示しないモータや歯車等からなる駆動機構により、矢符方向(図2では時計周り方向)に回転する。
トナー供給バイアス印加部(第2バイアス印加手段)242は、トナー供給バイアス(第2バイアス)を磁気ローラー232のローラー軸232aに印加するためのものである。トナー供給バイアスを印加することによって、磁気ローラー232は、その表面上に担持させ、現像ローラー231の近傍まで搬送した2成分現像剤のトナーを現像ローラー231に飛翔させる。
また、現像バイアス印加部(第1バイアス印加手段)241は、現像バイアス(第1バイアス)を現像ローラー231の固定軸231aに印加するためのものである。現像バイアスを印加することによって、現像ローラー231は、その表面上に担持させ、感光体ドラム135の近傍まで搬送したトナーを感光体ドラム135に飛翔させる。
また、現像バイアス印加部241及びトナー供給バイアス印加部242は、交流電圧を印加する交流電源を備えている。すなわち、現像バイアス印加部241によって印加される現像バイアスやトナー供給バイアス印加部242によって印加されるトナー供給バイアスとしては、交流成分が含まれている。また、現像バイアス印加部241及びトナー供給バイアス印加部242は、図2に示すように、直流電圧を印加する直流電源をさらに備えていてもよい。すなわち、現像バイアス印加部241によって印加される現像バイアスやトナー供給バイアス印加部242によって印加されるトナー供給バイアスとしては、直流成分に交流成分が重畳された重畳電圧であってもよい。
本実施形態に係る現像装置は、上述したように、現像剤担持体である磁気ローラー232で搬送された2成分現像剤のトナーを、トナー担持体である現像ローラー231に供給し、その供給されたトナーを、現像ローラー231上で担持する。そして、この担持されたトナーが、現像ローラー231に現像バイアスを印加することによって、像担持体である感光体ドラム135に飛翔する。この飛翔を好適にするためには、本発明者等は、後述する、特定のトナーとトナー担持体とを組み合わせて用いることを見出した。具体的には、本発明の実施形態に係る現像装置は、トナーとして、電荷減衰定数αが、0.01〜0.05であるトナーを用いる。また、この現像装置は、前記トナー担持体として、基材と、前記基材上に形成された樹脂層とを備え、表面に0.001クーロン/m2の電荷を与えた後、2秒後から3秒後までの表面電位の最大値の平均変化量が3〜5Vであるトナー担持体を備える。
上記のようなトナーとトナー担持体とを組み合わせて用いることによって、トナー飛散の発生を充分に抑制しつつ、トナーの過帯電が原因と思われる画像濃度の低下等の、画質の低下を充分に抑制できる。このことから、本実施形態に係る現像装置は、高画質な画像を形成できる。
次に、本発明の実施形態に係る現像装置に備えられる現像ローラー(トナー担持体)について説明する。
このトナー担持体としては、上述した構成を満たすもの、すなわち、表面に0.001クーロン/m2の電荷を与えた後、2秒後から3秒後までの表面電位の最大値の平均変化量が上記の変化量範囲内であるものであればよく、例えば、以下のような現像ローラーが挙げられる。なお、表面に0.001クーロン/m2の電荷を与えた後、2秒後から3秒後までの表面電位の最大値の平均変化量は、後述する方法で測定することができる。
まず、図3及び図4に示す現像ローラーについて説明する。
図3は、本発明の実施形態に係る現像装置に備えられる現像ローラーの一例を示す斜視図である。なお、図3は、現像ローラーを一部切断して示す。また、図4は、図3に示す現像ローラーの断面図である。
現像ローラー231は、図3及び図4に示すように、円筒状の回転スリーブ32と、この回転スリーブ32に内包される固定軸33とからなり、この固定軸33の位置が固定された状態でその周囲を前記回転スリーブ32が回転する構成となっている。
前記回転スリーブ32は、図3及び図4に示すように、基材35上に樹脂層36が被覆されている。基材35としては、例えば、アルミニウムやステンレス鋼等によって構成された円筒状部材等が挙げられる。また、前記固定軸33としては、例えば、現像装置に軸支されるシャフト37に、複数のリブ38によって連結されたもの等が挙げられる。
前記樹脂層36は、表面電位の最大値の平均変化量が、上記範囲内となるような樹脂層であれば、特に限定されない。前記樹脂層36としては、例えば、ポリアミド樹脂と、前記ポリアミド樹脂内に分散された導電材とを含み、この導電材が、酸化チタン及びカーボンブラックの少なくとも一方であることが好ましい。
また、このポリアミド樹脂としては、上記のような樹脂層を実現できるポリアミド樹脂であれば、特に限定されない。ポリアミド樹脂としては、具体的には、メタノール等のアルコールに可溶なポリアミド樹脂であることが好ましい。このようなポリアミド樹脂であれば、前記樹脂層を、前記ポリアミド樹脂と前記導電材とを含む液体に、前記基材を浸漬させる、いわゆる浸漬法で形成する場合、前記液体の溶媒として、アルコールを用いることによって、前記ポリアミド樹脂が好適に溶け、前記液体として、ポリアミド樹脂が均一に溶けた液体となる。このような液体を用いて、樹脂層を浸漬法で形成することによって、好適な樹脂層を形成することができる。
また、ポリアミド樹脂は、その数平均分子量が、1000〜50000であることが好ましい。
また、前記ポリアミド樹脂としては、より具体的には、東レ株式会社製のアミランCM8000を好ましく用いることができる。
また、前記導電材としては、酸化チタン及びカーボンブラックの少なくとも一方であることが好ましい。前記導電材としては、カーボンブラックを含んでいてもよいが、酸化チタンが少なくとも含まれていることが好ましく、酸化チタンからなることがより好ましく、この酸化チタンは、例えば、他の導電材であるカーボンブラック等と比較して、抵抗が高く、かつ誘電率が高い。このことから、酸化チタンを導電材として用いることで、得られたトナー担持体は、その表面に溜まる電荷を好適に抜くことができると考えられる。すなわち、導電材として、酸化チタンを含むので、表面電位の変化のしやすさが、上記のような変化量を安定的に満たすトナー担持体になると考えられる。このことから、樹脂層に含まれる導電材としては、酸化チタンからなることが好ましい。
また、導電材は、特に限定されないが、その平均一次粒子径が、10〜50nmであるものが好ましい。導電材が小さすぎると、再凝集が発生し、樹脂層内での分散が困難になる傾向がある。また、導電材が大きすぎると、樹脂層に保持することが困難になり、導電材が離脱しやすくなる傾向がある。
なお、導電材の平均一次粒子径は、製品の規格値や一般的な粒度計等を用いての測定等からわかる。具体的には、例えば、CBC株式会社製の振動式粘度計を用いて測定することができる。
また、導電材の含有量は、特に限定されないが、例えば、前記ポリアミド樹脂100質量部に対して、50〜125質量部であることが好ましい。導電材の含有量が少なすぎると、現像ローラー内に電荷が溜まりやすく、連続通紙時に急激な濃度低下が発生しやすくなる傾向がある。また、導電材の含有量が多すぎると、導電材と樹脂との結着性が弱まったり、樹脂層が基材から剥離しやすくなる傾向がある。
また、樹脂層の厚みは、2〜15μmであることが好ましく、2〜11μmであることがより好ましく、2〜9μmであることがさらに好ましい。
また、前記基材は、アルミニウム系基材であることが好ましく、このアルミニウム系基材の表面をアルマイト処理等の酸化処理を施したものであることがより好ましい。すなわち、前記基材は、アルミニウム系基材と、前記アルミニウム系基材上に形成された酸化層とを備えることが好ましい。このような酸化層を備えることで、この基材は、樹脂層との密着性が高まる。
また、前記酸化層の厚みは、特に限定されないが、例えば、5〜15μmであることが好ましい。
次に、図5及び図6に示す現像ローラーについて説明する。
図5は、本発明の実施形態に係る現像装置に備えられる現像ローラーの他の一例を示す斜視図である。また、図6は、図5に示す現像ローラーの断面図である。
この現像ローラー231は、図5及び図6に示すように、ローラー本体52と、ローラー本体52の表面上に被覆された樹脂層53とを含む。ローラー本体52は、現像装置に軸支されるシャフト55に、複数のリブ58によって連結されたもの等が挙げられる。樹脂層53は、前記樹脂層36と同様のものを使用できる。また、ローラー本体52は、前記基材35に相当し、このローラー本体52と樹脂層53とからなる積層体51が、前記回転スリーブ32に相当する。
なお、表面に0.001クーロン/m2の電荷を与えた後、2秒後から3秒後までの表面電位の最大値の平均変化量は、例えば、以下のような方法により測定することができる。
まず、確認用試料に、コロナ放電を行うことによって、確認用試料に電荷を与える。その後、その電荷を与えられた確認用試料の表面電位を測定する。その測定された表面電位と、確認用試料の静電容量とから、クーロンの法則(電荷Q=静電容量C×電圧V)に基づいて、確認用試料に与えられた電荷を算出する。この算出された電荷が0.001クーロン/m2となるような条件、つまり、与える電荷が0.001クーロン/m2となるような条件を見出す。
具体的には、例えば、以下のような方法を用いる。
確認用試料として、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに、アルミニウム蒸着したフィルム(東レ株式会社製のメタルミー(TS(#50)厚み50μm)を用いる。そして、この確認用試料を、現像ローラーの表面電位を測定するときと同じように、温度32.5℃相対湿度80%の環境下で、12時間放置する。この放置した確認用フィルムを、後述する静電気拡散率測定装置内に置き、所定の条件で、0.5秒間のコロナ放電をし、その後の表面電位を測定する。確認用試料を、静電気拡散率測定装置内に置く際、確認用試料のPET側を上面に、アルミニウム面を下面に(試料台に接触するように)、確認用試料を置く。そして、確認用試料のアルミニウム面を接地する。このような測定によって、算出された電荷が0.001クーロン/m2となるような条件を見出す。
前記コロナ放電と表面電位の測定とは、図7及び図8に示すような、静電気拡散率測定装置を用いて行うことができる。なお、図7は、静電気拡散率測定装置の構成を示す概略図であり、図8は、図7に示す静電気拡散率測定装置における、測定時の状況を説明する図である。
静電気拡散率測定装置70は、測定対象物71を置く試料台72と、測定対象物71に対してコロナ放電を行い、測定対象物71の表面電位を測定する測定部73と、測定部73を制御する制御部74とを備える。測定部73は、測定対象物71に対してコロナ放電を行う放電部75と、測定対象物71の表面電位を測定する電位測定部76と、前記放電部75及び前記電位測定部76の、前記試料台72に対する相対的な位置を移動部77とを備える。この測定部73は、恒温恒湿器78に内包されている。静電気拡散率測定装置70は、制御部74の制御によって、以下のように測定を行う。まず、放電部75が、測定対象物71に対してコロナ放電を行う。その後、移動部77が、測定対象物71が電位測定部76の直下になるように、試料台72を移動する。その後、電位測定部76が、測定対象物71の表面電位を測定する。すなわち、図8に示すように、コロナ放電によって、測定対象物71に、イオン81を供給する。その後、イオン81が供給された測定対象物71の表面電位を測定する。静電気拡散率測定装置は、このようにして、イオンを供給することにより、測定対象物を帯電させ、その帯電させた測定対象物の表面電位の変化を測定する。
この静電気拡散率測定装置としては、具体的には、株式会社ナノシーズ製のNS−D100型等が挙げられる。また、上記の測定方法は、JIS C61340−2−1に準拠した方法である。
そして、本実施形態に係る現像装置に備えられる現像ローラーの、表面電位の変化を、前記静電気拡散率測定装置を用いて測定する。具体的には、温度32.5℃相対湿度80%の環境下で、12時間放置した後の現像ローラーに対して、上記のようにして見出した、与える電荷が0.001クーロン/m2となるような条件でコロナ放電をし、コロナ放電をした2秒後から3秒後までの、表面電位の最大値の変化量を測定する。そして、その変化量を複数回測定し、その平均値が、本実施形態に係る現像装置に備えられる現像ローラーであれば、3〜5Vとなる。すなわち、本実施形態に係る現像装置に備えられる現像ローラーは、この平均値が3〜5Vである。このような範囲内であれば、現像ローラーが、トナーが帯電されすぎることを充分に抑制し、トナーの好適な帯電状態を実現できる。
また、前記現像ローラー231の製造方法としては、上述した現像ローラーが製造できれば、特に限定されない。まず、図3及び図4に示す現像ローラーの場合、例えば、まず、現像ローラーの回転スリーブとして一般的に用いられる、アルミニウム製の円筒状の基材に、アルマイト処理を施すことによって、表層に酸化層であるアルマイト層を形成する。この円筒状の基材の直径は、特に限定されないが、例えば、12〜20μmであることが好ましい。そして、このアルマイト層が形成された回転スリーブを熱処理する。この熱処理を行うことによって、後述する、樹脂層を形成する際の乾燥工程で、このアルマイト層に新たなクラックを形成させないように、予めアルマイト層にクラックを形成させておく。この熱処理は、このようなクラックを形成できれば、特に限定されないが、例えば、乾燥工程より長い時間行うことが好ましい。この熱処理は、具体的には、100〜140℃で、5〜15分間行うことが好ましい。次に、前記ポリアミド樹脂と前記酸化チタンとを、メタノール等のアルコールを分散媒として、混合する。その際、前記ポリアミド樹脂と前記酸化チタンとの混合比率は、上記導電材の含有量を実現できる比率であることが好ましい。また、アルコールの使用量は、前記ポリアミド樹脂を溶解させることができる量であれば、特に限定されず、例えば、前記ポリアミド樹脂100質量部に対して、200〜900質量部であることが好ましい。このようにして得られた、前記ポリアミド樹脂と前記酸化チタンとを含む液体に、前記熱処理を施した回転スリーブを浸漬させ、その後、回転スリーブを液体から取り出し、乾燥させる。このような浸漬法によって、回転スリーブの表面に樹脂層を形成することができる。この乾燥は、回転スリーブの表面に樹脂層が形成できれば、特に限定されないが、例えば、110〜150℃で、5〜20分間行うことが好ましい。
次に、本実施形態に係る現像装置で用いられるトナーについて説明する。
トナーは、その電荷減衰定数αが、0.01〜0.05であれば、特に限定されない。また、トナーの電荷減衰定数αは、0.01〜0.05であればよく、0.02〜0.05であることが好ましい。このような範囲内のトナーであれば、トナー飛散の発生を抑制しつつ、トナーが帯電されすぎない抵抗を有するトナーとなり、好適な画像の形成を実現できる。
また、このトナーの電荷減衰定数αは、前記静電気拡散率測定装置を用いて測定することができる電荷減衰速度である。具体的には、例えば、以下のように測定することができる。
まず、測定セルとして、内径10mm、深さ1mmの凹部が形成された、金属製の測定セルを用いる。この測定セルに、トナーを入れ、スライドガラスで、上から押し込む。そして、押し込んだスライドガラスで、測定セルの表面を往復させることによって、測定セルからあふれたトナーをすり切る。このとき、凹部へのトナーの充填量が、0.04g以上0.06g以下となるように、スライドガラスでの押し込み具合を調整する。
次に、トナーが充填された測定セルを、温度32.5℃相対湿度80%の環境下で、12時間放置し、その後、接地した状態で、前記静電気拡散率測定装置内に置き、コロナ放電を行う。そして、コロナ放電終了後0.7秒経過した後から、トナーの表面電位を連続的に測定する。この測定結果に基づいて、下記式から、電荷減衰定数(電荷減衰速度)αを算出する。
V=V0exp(−α√t)
上記式中、Vは、表面電位(V)を示し、V0は、初期表面電位(V)を示し、αは、電荷減衰定数(電荷減衰速度)を示し、tは、減衰時間(秒)を示す。
前記トナーは、電荷減衰定数αが上記範囲内であれば、特に限定されない。前記トナーとしては、例えば、アニオン性を示すコア粒子(トナーコア材)に、カチオン性を示すシェル層(トナーシェル)が被覆されたトナーが挙げられる。
前記トナーコア材は、最終的に得られたトナーの電荷減衰定数αが上記範囲内になることが可能であれば、特に限定されない。具体的には、前記トナーコア材としては、アニオン性を示すことが好ましい。また、このトナーコア材は、一般的な粉砕法によって作製された分級品等が挙げられる。また、トナーコア材がアニオン性を示すか否かは、日本画像学会が提供する標準キャリアにて摩擦帯電によって検出できる。また、水系媒体下でのトナーコア材のアニオン性については、ゼータ電位での計測が有効である。具体的には、トナーコア材が、上記標準化キャリアとの摩擦帯電によって、−10μC/g以上の負帯電性を示すのであれば、アニオン性であると考えられる。また、水系媒体下でのトナーコア材のゼータ電位が、−10mV以上であれば、トナーコア材がアニオン性であると考えられる。
前記トナーシェルは、最終的に得られたトナーの電荷減衰定数αが上記範囲内になることが可能であれば、特に限定されない。具体的には、前記トナーシェルとしては、カチオン性を示すことが好ましい。また、このトナーシェルは、例えば、熱硬化性樹脂等が挙げられる。このトナーシェルの作製方法、すなわち、トナーコアのシェル化は、トナーコア表面に、トナーシェルを構成する樹脂、例えば、熱硬化性樹脂を被覆させることでおこなった。この被覆の方法としては、特に、限定されないが、所望の平均粒子径および粒子径分布を実現できるものが好ましい。この被覆の方法としては、例えば、固体状のトナーコア上に被膜を形成するため、樹脂原料を反応場に水系媒体側からのみ供給する方式で作製できるもの等が挙げられる。より具体的には、この被覆の方法としては、in situ重合法、液中硬化被覆法、コアセルベーション法等が好ましく、反応性等の観点から、in situ重合法がより好ましい。このin situ重合法は、水系媒体にのみにトナーシェルの原料が存在しており、この原料がトナーコア上で反応して樹脂化し、被膜が形成される。
トナーシェルを構成する樹脂としては、前記トナーシェルが形成されるものであれば、特に限定されない。この樹脂としては、トナーの凝集を充分に抑制でき、成膜性に優れる等の理由から、メラミン系樹脂、尿素レゾルシン系樹脂等の尿素系樹脂、ウレタン系樹脂、アミド系樹脂、オレフィン系樹脂、ゼラチン・アラビアゴム系樹脂等が挙げられる。この中でも、吸水性が低く、貯蔵安定性に優れる等の理由から、メラミン系樹脂又は尿素レゾルシン系樹脂等の尿素系樹脂が好ましい。すなわち、メラミン系樹脂、及び尿素レゾルシン系樹脂等の尿素系樹脂は、低吸水性であるため、薄膜被覆トナーを乾燥する際に薄膜被覆トナーが結着することを抑制し、トナーの平均粒子径及び粒子径分布が変化することを抑制でき、また、貯蔵中の腐敗も充分に抑制できる。
トナーシェルを作製する方法としては、具体的には、メラミンとホルムアルデヒドとの付加反応、又は尿素とホルムアルデヒドとの付加反応によって生成される前駆体(メチロール化物)である、メチロールメラミン又はメチロール化尿素を用いることにより、トナーコア表面の被膜化が可能である。また、これらの被膜化は、該メチロール化物を溶解することができる溶媒中で行うことが好ましく、具体的には、この溶媒としては、水、メタノール、又はエタノールを用いることが好ましい。このような、水、メタノール、又はエタノールのような溶媒中でシェル層(トナーシェル)を形成する場合、トナーコア表面に均一に該メチロール化物を被覆させるために、トナーコアを溶媒中に高度に分散させることが好ましい。また、溶媒中にトナーコアを高度に分散させるため、溶媒中に分散剤を含有させてもよい。
前記分散剤は、本発明の目的を阻害しない範囲で、特に限定されることはない。前記分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリパラビニルフェノール、部分鹸化ポリ酢酸ビニル、イソプレンスルホン酸、ポリエーテル、イゾブチレン/無水マレイン酸共重合体、ポリアスパラギン酸ナトリウム、デンプン、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン及びリグニンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。これらの分散剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせても用いてもよい。
前記分散剤の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で、特に限定されることはない。前記分散剤の使用量としては、例えば、トナーコア100質量部に対し、75質量部以下であることが好ましい。
また、トナーシェルを作製する際の温度は、特に限定されない。トナーシェル(シェル層)を作製する際の温度、例えば、トナーコアを高度に分散させた溶媒中で、メチロールメラミン又はメチロール尿素を用いて、コアシェルを形成するための温度としては、例えば、40℃以上80℃以下であることが好ましく、55℃以上70℃以下であることがより好ましい。このような範囲の温度によりトナーコア表面にシェル層を形成することにより、トナーコア表面を被覆するシェル層の形成が良好に進行し、シェル化トナーの分散液を得ることができる。その後、必要に応じて洗浄工程、乾燥工程を経て、シェル化トナーが得られる。
また、本実施形態に係るトナーは、このシェル化トナーにおける、シェル層の厚みや、このシェル層の外側に添加する外添剤であるシリカや酸化チタン等によって、抵抗調整を行うことによって、電荷減衰定数を調整することによって、得られる。
なお、このようなトナーは、例えば、以下のような特徴を有しうる。
トナーのガラス転移点Tgが、シェル層の硬化開始温度、例えば、55℃より低いことが好ましい。例えば、シェル層がメラミン系樹脂である場合、その硬化温度は、一般的に55℃以上100℃以下程度である。トナーコア材が、最低硬化温度以下、例えば、55℃のガラス転移点Tgを有するとしても、シェル化の反応時に、凝集が抑制されていることが重要である。トナーコア材のTgが55℃より高いと、高速定着システムにおいて、充分な定着強度が得られない傾向がある。トナーコアのTgとしては、20℃以上55℃以下であることが好ましく、30℃以上50℃以下であることが好ましい。
また、シェル層(カプセル)が、複数の破壊箇所を有することが好ましい。具体的には、カプセル前のトナーのコアを不定形にすること、さらに、その表面にワックスや顔料、シリカ粒子等の添加粒子を添加することで、カプセル化が進行し表面張力によりトナーが丸みを帯びるときに、膜の厚み、及び微小な突起等の影響で、熱圧力が働いたときにカプセル膜の複数の破壊箇所が存在し、瞬時に用紙などの定着媒体に固着する構造を有している。これに対して、熱硬化反応によって、シェル化(カプセル化)を行った場合、重縮合反応による強固な膜質が形成させると同時に、アニオン性を有するトナーコア表面との反応することで、20nm以下の薄膜においても熱圧力によって瞬時に破壊させることが難しい。
破壊点の確認方法としては、以下の方法等が挙げられる。例えば、ポリエステル系のバインダーを用いた場合では、複数の破壊場所を特定する方法として、pH10程度のアルカリ性の活性剤中への放置テストにて測定可能である。トナーコアの材質、配合によって、アルカリ液の浸漬テストによって多数の貫通孔が開いているのが観察でき、膜の複数の破壊箇所になる構造を確認できる。
また、カプセルの厚みが20nm以下であることが好ましく、1nm以上10nm以下であることがより好ましい。例えば、メラミン系樹脂を用いた場合、このような範囲であることが好ましいが、メラミン系樹脂の膜に改質剤を添加して柔軟性を持たせた場合には、厚みは、この範囲そのままではなくて、樹脂単独にした場合に換算した厚みであることが好ましい。また、カプセルが厚すぎると、充分な定着性が得られにくい傾向がある。
また、シェル化トナー(カプセルトナー)の溶融温度(Tm(T1/2))が100℃以下であることが好ましく、95℃以下であることが好ましい。このTmは、フローテスターのトナーの粘度測定において、半分流出時の温度である。この温度が、上記範囲内であると、高速印刷時においても充分な定着性を得ることができる。
また、トナーのバインダー樹脂のSP値が10以上であることが好ましい。このSP値は、アニオン性の分散剤を用いない場合に重要なのは水媒体への濡れ性である。トナーの濡れ性を向上させるために、バインダー樹脂に親水性の官能基を導入する等、トナーのコア剤にアニオン性を持たせることが重要である。なお、水のSP値(溶解度指数)は、23である。実験の結果、SP値が低すぎると、水媒体との濡れ性が悪く、トナー表面に均一にカチオン系のカプセルモノマーやプレポリマーを引き付けられない傾向がある。これに対して、SP値が10以上あると、水のSP値と接近するので、大きく親和性が改善する。
また、トナーの全有機炭素TOCが、15mg/L以下であることが好ましい。一旦的に、廃水の全有機炭素(TOC)の量を少なくすることが、廃水を循環して用いる場合の重要な課題である。分散剤や活性剤を用いずカチオン性のモノマーおよびプレポリマーを直接アニオン性のトナー表面に付着させ重合を行って得られるトナーの場合は、ろ過および洗浄液に含まれる有機物の量が少ない。有機物が少なければ、特別な廃水処理装置を必要とせず、廃水を循環使用することが出来、環境負荷も少なくなるので好ましい。具体的には、TOCが、15mg/L以下であることが好ましく、10mg/L以下であることがより好ましい。
以上のように、ダッチダウン現像方式の現像装置等の、トナー担持体に担持されるものがトナーである現像装置に、トナーとして、上記のようなトナーを用い、さらに、トナー担持体として、上記現像ローラーを用いることによって、高画質な画像を形成できる現像装置が得られる。よって、このような現像装置を備えた画像形成装置は、高画質な画像を形成することができる。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらに限定されるものではない。
実施例及び比較例に係る画像形成装置は、複写機(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製のTASKalfa 400ci)の現像装置の現像ローラーを、以下の現像ローラーに交換したものである。なお、交換する現像ローラーは、後述するような、表面に樹脂層を設けた現像ローラーである。また、この画像形成装置は、現像装置で用いるトナーとして、後述するようなトナーを用いる。
[トナーの製造]
(トナーコア(コア粒子)の作製)
まず、攪拌機能及び温度調節機能を有するオートクレーブに、ビスフェノールA(三井化学株式会社製)と、水酸化カリウム(昭和化学株式会社製)と、エチレンオキサイドとを入れ、140℃、0.3MPaの条件下で2時間攪拌させた。その攪拌後に、オートクレーブ内に、吸着剤(協和化学工業株式会社製のキョーワード600、2MgO・6SiO2・XH2O)を投入し、90℃で30分間熟成させた。その後、オートクレーブ内の内容物を濾過した。得られた濾液が、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物だった。この得られたビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物に、多官能基を持つ酸であるテレフタル酸(三井化学株式会社製の高純度テレフタル酸)を反応させることによって、ポリエステル樹脂を作製した。この作製したポリエステル樹脂は、水酸基価(OHV)が10mgKOH/g、酸価(AV)が20mgKOH/g、溶融温度Tmが100℃、ガラス転移温度Tgが49℃であった。
次に、このポリエステル樹脂100質量部に対して、フタロシアニン顔料15:3タイプ5質量部、エステルワックス(日油株式会社製のニッサンエレクトール WEP−3)5質量部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合した後、PCM−30型混練機で混練した。この混練によって得られたチップを、ターボミルで6μm程度になるように粉砕した。その後、エルボージェットで分級し、平均粒子径6μmの粒子を得た。この粒子を、トナーコアとして用いた。
このトナーコアは、Tgが42℃、Tmが90℃であった。また、このトナーコアは、pH4でのゼータ電位の測定では、−15mVであった。このことから、このトナーコアは、アニオン製であることがわかった。
(シェル層の被覆)
30℃の水浴中の、1リットルの3つ口フラスコに、300mLのイオン交換水を入れ、そのイオン交換水を塩酸でpH4に調整した。この液に、厚み6nmのシェル層が形成されるように、メラミンとホルムアルデヒドとの付加反応によって生成される前駆体である、ヘキサメチロールメラミン初期重合物(昭和高分子株式会社製のミルベン607)2mlを添加し、溶解させた。この厚み6nmのシェル層が形成されるような量のミルベン607が溶解された水溶液に、前記トナーコア300質量部を添加し、充分攪拌した。さらに、300mlのイオン交換水を追加し攪拌しながら、0.5℃/分の速度で昇温し、70℃で2時間保持した。その後、pH7にまで中和し、ろ過洗浄し乾燥させた。そうすることによって、シェル層で被覆されたカプセルトナーを得た。ろ過後の導電率は、4μS/cmであった。
そして、得られたトナーの電荷減衰定数を、上記の方法で測定したところ、0.018であった。このトナーを、以下、トナーCと呼ぶ。
また、ミルベンの添加量を変えたこと以外、同様の方法で、種々のトナー(トナーA,B,D〜G)を作製した。その結果(トナーの電荷減衰定数)を、ミルベンの添加量(ml)と、シェル層の厚み(nm)とを、表1に示す。なお、シェル層の厚みは、ミルベンの添加量から算出された厚みである。
[現像ローラーの製造]
次に、現像ローラーの製造方法を以下に示す。
現像ローラーとしては、図3及び図4に示すような、表面に樹脂層を備えた現像ローラーを作製した。
具体的には、まず、直径16mmのアルミニウム製のスリーブに、アルマイト処理を施すことによって、厚み10μmのアルマイト層を表層に形成した。そして、このアルマイト層が形成されたスリーブを、120℃で10分間熱処理することによって、アルマイト層にクラックを発生させた。
次に、ポリアミド樹脂(東レ株式会社製のアミランCM8000)100質量部と、4質量%シロキサン処理を施した酸化チタン(石原産業株式会社製のET300W、1次粒径15nm)25質量部とを、メチルエチルケトン800質量部に投入し、直径1mmのジルコニアビーズを用いたボールミルで、48時間混合した。このようにして得られた液体に、前記熱処理を施したスリーブを浸漬させ、その後、このスリーブを液体から取り出し、130℃で10分間乾燥させた。このような浸漬法によって、実施例1に係る現像ローラーが得られた。得られた現像ローラーは、表面部が樹脂層で構成され、この樹脂層の厚みが10μmであった。なお、この現像ローラの表面抵抗率は、1×108Ω/□であった。
そして、この現像ローラーの表面電位の変化について、上述の試験方法を行った。その結果、表面に0.001クーロン/m2の電荷を与えた後、2秒後から3秒後までの表面電位の最大値の平均変化量(電位変化量)が、5.5Vであった。この現像ローラーを、以下、現像ローラーaと呼ぶ。
また、酸化チタンの添加量を変えたこと以外、同様の方法で、種々の現像ローラーを作製した。その結果(各現像ローラーの電位変化量)を、用いた樹脂の種類と酸化チタンの添加量とともに、表2に示す。
また、現像ローラーを製造する際に用いる樹脂として、ウレタン樹脂(住化バイエルウレタン株式会社製のデスモフェン)を用いて、現像ローラーを製造したこと以外、現像ローラーaと同様にして、現像ローラーfを製造した。この結果(各現像ローラーの電位変化量)を、用いた樹脂の種類と酸化チタンの添加量とともに、表2に示す。
また、前記画像形成装置の他の構成、及び詳細な現像条件等は、以下に示す通りである。
感光体ドラムとしては、アモルファスシリコン感光体(a−Si感光体)を用い、周速(ドラム線速)150mm/秒で回転させ、表面電位を、白地部を270Vとし、画像部を20Vとした。プリント速度は、30枚/分とした。
現像ローラーとしては、前記各現像ローラーを用い、感光体ドラムの回転に対して、近接する周面同士が同方向に回転(ウィズ回転)し、その周速比が1.5とした。
磁気ローラーとしては、内部に固定磁石を持ち、外筒部分は、回転可能なアルミニウム基材であって、その表面にアルマイト処理が施された磁気ローラーを用いた。また、磁気ローラーは、現像ローラーの回転に対して、近接する周面同士が反対方向に回転(カウンタ回転)し、その周速比が1.1とした。
感光体ドラムと現像ローラーとの間の距離(DS間距離)は、120μmとし、現像ローラーと磁気ローラーとの間の距離(MS間距離)は、300μmとした。
現像ローラーには、ピーク・ツウ・ピーク値Vpp(slv)が1500V、バイアス電圧Vdc(slv)が50V、デューティ比Vduty(slv)が45%、周波数f(slv)が3.7kHzとなるような、交流成分を直流成分に重畳した重畳電圧を印加した。
磁気ローラーには、現像ローラーと磁気ローラーとの間の直流成分の電位差が200〜400V(可変)となるようなバイアス電圧Vdc(mag)、現像ローラーと磁気ローラーとの間の交流成分のデューティ比が70%となるようなデューティ比Vduty(mag)、現像ローラーと磁気ローラーとの間の交流成分の周波数が3.7kHzとなるような周波数f(mag)、現像ローラーと磁気ローラーとの間の交流成分のピーク・ツウ・ピーク値が2300VとなるようなVpp(slv)を満たす、交流成分を直流成分に重畳した重畳電圧を印加した。
そして、トナーとしては、上記各トナーを用い、キャリアとしては、上記複写機(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製のTASKalfa 400ci)に用いられるキャリアを用いた。
[評価]
上記の現像条件であって、下記表3に示す、現像ローラーとトナーとを用いて、温度20〜23℃、相対湿度50〜65%RHの、常温常湿度環境下で画像形成を行った。
(画像濃度)
具体的には、まず、画像形成装置の電源を入れて安定させた。その後、画像を印刷し、この画像の反射濃度を、反射濃度計(グレタグマクベス社製のRD−918)を用いて測定した。この反射濃度を、画像濃度IDとした。
また、この画像濃度が、1.4以上であれば、「○」と評価し、1.2以上1.4未満であれば、「△」と評価し、1.2未満であれば、「×」と評価した。
(トナー飛散)
上記画像を、3000枚印刷後に、印刷した画像を目視で確認した。その画像に、トナー飛散を確認できなければ、「○」と評価し、確認されれば、「×」と評価した。
(総合評価)
上記画像濃度及びトナー飛散の評価が、いずれも「○」であれば、「○」と評価し、いずれかの評価が、「×」であれば、「×」と評価した。また、トナー飛散の評価が「○」で、画像濃度の評価が「△」であれば、「△」と評価した。
上記評価の結果を表3に示す。
表3からわかるように、電荷減衰定数が、0.01〜0.05のトナーを用い、トナー担持体として、電位変化量が3〜5Vの現像ローラーを用いた場合は、そうでない場合と比較して、トナー飛散の発生を抑制しつつ、充分に高い画像濃度を実現できた。
さらに、トナーとして、電荷減衰定数が、0.02以上のトナーを用いると、画像濃度がより高くなった。このことから、トナーの電荷減衰定数は、0.02〜0.05であることが好ましいことがわかった。