本発明の第1の発明に係るスタッカクレーンは、複数の格納室から物品の出庫および入庫の少なくとも一方を行うスタッカクレーンであって、レール上を往復走行するフレームと、フレームにおいて昇降動作すると共に複数の格納室との間で、物品を出し入れするキャリッジと、フレームのレール上の往復走行、キャリッジの昇降動作およびキャリッジによる物品の出し入れの少なくとも一つを駆動する駆動部と、駆動部に電力を供給するキャパシタと、キャパシタに充電を行う充電ステーションと、駆動部の安全動作を制御する安全制御手段と、を、備え、安全制御手段は、キャパシタの電圧であるキャパシタ電圧値を監視する電圧監視部と、キャパシタ電圧値に基づいて、駆動部の第1動作を決定する第1制御部と、キャパシタ電圧値に基づいて、駆動部の第2動作を決定する第2制御部と、を有し、第1動作および第2動作は、キャパシタ電圧値によって、切り分けられる。
この構成により、スタッカクレーンは、キャパシタ電圧値に基づいて、安全運転や省エネ運転を管理・制御できる。
本発明の第2の発明に係るスタッカクレーンでは、第1の発明に加えて、安全制御手段は、キャパシタから駆動部への電力の供給と停止とを切り替えるブレーカを更に有し、第1制御部および第2制御部のそれぞれは、ブレーカの制御を行う。
この構成により、スタッカクレーンは、キャパシタ電圧が低すぎたり高すぎたりする場合に、ブレーカを作動状態にして、キャパシタおよび内部要素を守ることができる。
本発明の第3の発明に係るスタッカクレーンでは、第2の発明に加えて、第1制御部および第2制御部のそれぞれは、電圧監視部で測定されるキャパシタ電圧値によって、ブレーカを作動状態(ブレーカが動作して、キャパシタから駆動部への電力が停止される状態)とする。
この構成により、スタッカクレーンは、ブレーカの作動によって、キャパシタおよび内部要素を守ることができる。
本発明の第4の発明に係るスタッカクレーンでは、第2又は第3の発明に加えて、安全制御手段は、(1)電圧監視部が計測するキャパシタ電圧値が、第1電圧値以上である場合には、第1制御部が、ブレーカを作動状態とするステップ1、(2)電圧監視部が計測するキャパシタ電圧値が、第2電圧値以下である場合には、第2制御部が、ブレーカを作動状態とするステップ2、(3)電圧監視部が計測するキャパシタ電圧値が、第3電圧値以下である場合には、第1制御部が、ブレーカを作動状態とするステップ3、の少なくとも一つの処理を含むキャパシタ保護処理を実行し、第1電圧値 > 第2電圧値 > 第3電圧値である。
この構成により、スタッカクレーンは、キャパシタ電圧値がイレギュラー状態で、キャパシタと駆動部との動作を停止させて保護できる。
本発明の第5の発明に係るスタッカクレーンでは、第4の発明に加えて、キャパシタ保護処理は、(4)電圧監視部が計測するキャパシタ電圧値が、第1電圧値以下第2電圧値以上である第4電圧値である場合には、第2制御部は、キャパシタ電圧値の異常警告を発すると共に、キャパシタ電圧値を調整するステップ4、(5)電圧監視部が計測するキャパシタ電圧値が、第4電圧値以下第2電圧値以上である第5電圧値以下である場合には、第2制御部は、スタッカクレーンを充電ステーションに移動させて充電を行うステップ5、の少なくとも一つを更に含む。
この構成により、スタッカクレーンは、キャパシタが充電等を必要とする場合を監視・検出し、キャパシタの充電を行うことができる。
本発明の第6の発明に係るスタッカクレーンでは、第4又は第5の発明に加えて、ステップ3が実行される場合には、キャパシタに、電源ケーブルによって充電が行われる。
この構成により、キャパシタ電圧値が危険なレベルまで低下した場合には、手作業での充電で、キャパシタを保護できる。
本発明の第7の発明に係るスタッカクレーンでは、第5の発明に加えて、第5電圧値以上第4電圧値以下である場合には、安全制御手段は、駆動部を通常動作させる。
この構成により、スタッカクレーンは、キャパシタ電圧値が正常範囲にある場合に、通常動作するように制御される。この結果、スタッカクレーンやキャパシタの損耗や故障が防止される。
本発明の第8の発明に係るスタッカクレーンでは、第2から第7のいずれかの発明に加えて、第1制御部は常に電力供給を受け、第2制御部は、ブレーカが作動状態以外で電力供給を受ける。
この構成により、安全制御手段そのものの動作の確保と消費電力の削減が両立できる。
本発明の第9の発明に係るスタッカクレーンでは、第1から第8のいずれかの発明に加えて、安全制御手段は、駆動部が物品の入庫および出庫の少なくとも一つの実行データを有する場合には、(6)電圧監視部で計測されるキャパシタ電圧値が第5電圧値以下である場合には、第2制御部は、スタッカクレーンを充電ステーションに移動させて充電するステップ6、(7)電圧監視部で計測されるキャパシタ電圧値が第5電圧値以上である場合には、第2制御部は、駆動部での実行データに従ってスタッカクレーンを動作させるステップ7、の少なくとも一つの処理を含む、省エネ運転処理を行う。
この構成により、スタッカクレーンは、消費エネルギーを低減できる。
本発明の第10の発明に係るスタッカクレーンでは、第9の発明に加えて、省エネ運転処理は、駆動部が物品の入庫および出庫の少なくとも一つの実行データを有しない場合には、(8)第2制御部は、キャパシタの電圧を一定量降下させるステップ8、(9)所定時間経過後に、第2制御部は、スタッカクレーンを充電ステーションに移動させるステップ9、の少なくとも一つの処理を更に含む。
この構成により、安全制御手段は、省エネ動作をより確実にできる。
本発明の第11の発明に係るスタッカクレーンでは、第1から第10のいずれかの発明に加えて、安全処理手段は、(10)スタッカクレーンおよびキャパシタの少なくとも一方に何らかの異常が発生する場合には、第1制御部が、ブレーカを作動状態にすることおよび作業者がキャパシタへの充電を行うことの少なくとも一方が行われるステップ10、を含む、異常復旧処理を行う。
この構成により、安全制御手段は、異常状態から適切にスタッカクレーンを復帰させることができる。
本発明の第12の発明に係るスタッカクレーンでは、第1から第11のいずれかの発明に加えて、充電ステーションは、レール上のいずれかの部位に固定されて設置される。
この構成により、充電ステーションは、キャパシタへの充電を容易に行える。
本発明の第13の発明に係るスタッカクレーンでは、第1から第12のいずれかの発明に加えて、キャリッジは、フォーク、ローラおよびベルトの少なくとも一つを、所定物品の出し入れに対応させて有する。
この構成により、キャリッジは、所定物品を、格納室に出し入れできる。
本発明の第14の発明に係るスタッカクレーンでは、第1から第13のいずれかの発明に加えて、キャパシタは受電用端子を有し、充電ステーションは充電用電極を有し、スタッカクレーンが充電ステーションに接続する際に、充電用電極と受電用端子とが電気的に接触して、充電ステーションは、キャパシタに充電する。
この構成により、充電ステーションは確実かつ容易にキャパシタに充電できる。
本発明の第15の発明に係るスタッカクレーンでは、第1から第14のいずれかの発明に加えて、スタッカクレーンはクラス10,000(可視塵埃無し)のクリーン度が要求される領域で使用される。
この構成により、従来は手薄であったクリーン度が要求される工場や流通センターでの、低コストのスタッカクレーンが実現される。
本発明の第16の発明に係るスタッカクレーンでは、第1から第15のいずれかの発明に加えて、駆動部は、モーターを有しており、往復走行の減速時および昇降動作の降下動作時の少なくとも一方に、モーターは、回生電力を生じさせ、キャパシタは、回生電力を回収充電できる。
この構成により、キャパシタの充電回数を低減できる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
(実施の形態1)
実施の形態1におけるスタッカクレーンは、自動倉庫を始めとした複数の格納室を有する棚を有する倉庫において使用される。このような倉庫は、複数の格納室を有しており、スタッカクレーンは、この複数の格納室のいずれかに物品を入庫したり、この複数の格納室のいずれかから物品を出庫したりする。自動倉庫や棚を有する空間など、スタッカクレーンが物品の出庫や入庫に使用される種々の空間を、倉庫との概念で説明する。この倉庫において、スタッカクレーンは使用される。
(倉庫について)
まず、倉庫について説明する。図1は、本発明の実施の形態1における倉庫の模式図であり、倉庫を上から見た状態を示している。倉庫100は、図1に示されるように、格納領域20を備えている。格納領域20は、複数の格納室21を備えている。複数の格納室21は、縦横あるいは奥行きにおいて、種々に区分けされている。
ここで、倉庫100の略中央に、レール30が設けられている。格納領域20は、このレール30の両側に設けられ、レール30の両側のそれぞれに設けられる複数の格納室21のそれぞれで、所定物品50の出庫や入庫が行われる。
また、図1は、倉庫100を上から見た模式図であるが、倉庫100の詳細を斜視図として示したものが図2である。図2は、本発明の実施の形態1における倉庫100の斜視図である。図1と同様に、格納領域20に個々の格納室21が備わっており、その間を抜けるように貫くレール30が備わっている。レール30上を、フレーム2(スタッカクレーン1)が往復走行する。その両サイド(あるいは片サイド)に作業ステーション10が備わっている。図1では、作業ステーション10は、レール30に重複する位置に設けられているが、図2では、レール30と異なる位置に設けられている。
作業ステーション10は、所定物品50の入庫や出庫における設置作業などに用いられるので、このような設置位置でもよい。また、倉庫100の備える格納室21のそれぞれは、部屋状でなくとも、図2に示されるように、骨組みで構成されても良い。このような骨組みで形成される格納室21の間を、フレーム2がレール30上を往復走行し、フレーム2において、キャリッジ3が昇降動作する。これによって、所定物品50が、所定の格納室21で入庫や出庫を行われる。
レール30は、スタッカクレーン1が往復走行して移動する。スタッカクレーン1は、フレーム2とキャリッジ3を主たる要素としてその外形を構成する。このフレーム2とキャリッジ3(および他の必要な要素)を要素としてスタッカクレーン1を説明する都合上、レール30を往復走行して移動する要素を、フレーム2として説明する(結局、スタッカクレーン1が往復走行していることと同様の意味となるが、スタッカクレーン1は、レール上を往復走行するフレーム2などを含む全体であるので、往復走行するものをフレームとして説明する)。
格納領域20のそれぞれは、上述のように、複数の格納室21が備わっており、複数の格納室21は、いわゆる棚のように間仕切りされた空間が、並んでいる。図3は、本発明の実施の形態1における格納領域の模式図である。格納領域20には、図3に示されるように整然と区分された複数の格納室21が備わっている。
もちろん、図3のように複数の格納室21が整然と区分されていなくとも、異なる形状や大きさの格納室21が並んでいてもよい。図3は、格納領域20を正面から見た状態を示している。すなわち、複数の格納室21の入り口側が見えている状態である。複数の格納室21のそれぞれは、様々な目的(製造部品の保管、製造後物品の保管、あるいはこれらの一時的な保管など)に応じて、所定物品50を保管する。もちろん、所定物品50が保管されてない空き状態の格納室21も存在する。
図3では、複数の格納室21の内、格納室21Aに所定物品50Aが保管されており、格納室21Bに所定物品50Bが保管されている。これら所定物品50Aや所定物品50Bのそれぞれは、スタッカクレーン1によって、格納室21Aおよび格納室21Bのそれぞれに入庫されたものである。あるいは、既に保管されているこれら所定物品50Aと所定物品50Bのそれぞれは、スタッカクレーン1によって、格納室21Aおよび格納室21Bから取り出されて出庫されることもある。
倉庫100においては、レール30を走行するスタッカクレーン1が、格納室21へ所定物品50を入庫させたり、格納室21から所定物品50を出庫させたりする。倉庫100は、このようなスタッカクレーン1による出庫・入庫を受ける構成を有している。
なお、作業ステーション10は、倉庫100の両端ないしは一端に設けられており、作業者が、スタッカクレーン1に所定物品50を設置しても良いし、作業者がスタッカクレーン1から所定物品50を受け取ってもよい。作業ステーション10が備わっている場合には、作業者とスタッカクレーン1との共同による出庫・入庫およびこれに付随する作業が容易となる。
このように、本発明のスタッカクレーンは、このような倉庫100に用いられる。
(スタッカクレーンの概要)
実施の形態1におけるスタッカクレーン1単体の概要を説明する。スタッカクレーン1は、上述のように、倉庫100に主に用いられる。もちろん、倉庫100にその使用が限られるものではない。
図4は、本発明の実施の形態1におけるスタッカクレーンの模式図である。スタッカクレーン1は、外形の大部分を形成するフレーム2を有する。フレーム2は、両側の枠となるサイドフレーム21と上下の枠となる上下フレーム22によって構成されて、フレーム2は、全体として枠状の形状を有する。このフレーム2が、レール30に嵌合して、レール30上を、往復走行する。このフレーム2の往復走行によって、スタッカクレーン1が、レール30上を往復走行することになる。
また、スタッカクレーン1では、フレーム2にキャリッジ3が備わっている。キャリッジ3は、フレーム2に取り付けられており、フレーム2において上下に昇降動作する。また、キャリッジ3は、所定物品50を載せることができるので、昇降動作に合わせて、所定物品50を、所定の格納室21に出し入れできる。
また、スタッカクレーン1は、このフレーム2の往復走行とキャリッジ3の昇降動作を駆動する駆動部4を備えている。駆動部4は、駆動部4が備えるプロセッサやメモリによって指示される命令信号に従って、フレーム2の走行やキャリッジ3の昇降動作を制御する。メモリには、予め定められた動作パターンが記憶されており、駆動部4は、この動作パターンに対応して、フレーム2とキャリッジ3を動作させる。この動作の結果、スタッカクレーン1は、格納室21に所定物品50を入庫させたり、格納室21から所定物品50を出庫させたりできる。
あるいは、駆動部4は、作業者による指示制御に基づいて、フレーム2とキャリッジ3の動作を制御してもよい。たとえば、作業ステーション10には、操作卓が設置されており、作業者がこの操作卓を操作することで、目的とする格納室21の位置、出庫/入庫の区別、所定物品50の種類や大きさなどを、作業者が駆動部4に指示することができる。駆動部4は、この指示に基づき、フレーム2とキャリッジ3とを動作させて、所定物品50の入庫や出庫(移動も含めて)を実行できる。
駆動部4が、フレーム2をレール30上で往復走行させるとともに、キャリッジ3を昇降動作させることで、スタッカクレーン1は、所定物品50を乗せることのできるキャリッジ3をX軸およびY軸の種々の座標に移動させることができる。この結果、スタッカクレーン1は、格納領域20においてX軸およびY軸に配置されている複数の格納室21に、所定物品50を入れたり、格納室21から所定物品50を出したりすることができる。
更に、スタッカクレーン1は、キャパシタ5を備えている。キャパシタ5は、充電されることで電力を蓄え、駆動部4に電力を供給できる。このキャパシタ5が備わっていることにより、スタッカクレーン1は、電源ケーブルなどを接続しない状態で移動を含めた動作することができる。この結果、電源ケーブルやこれに類するラインなどの摩擦によって生じる粉じんなどの発生が防止できる。
また、スタッカクレーン1は、安全制御手段7を更に備えている。安全制御手段7は、後述するように、駆動部4の安全動作を制御する。詳細は後述するが端的には、キャパシタ5の電圧を監視することで、駆動部4によるスタッカクレーン1の動作を安全動作や省エネ動作の状態に維持・管理できる。
(キャパシタへの充電)
スタッカクレーン1は、キャパシタ5を備える。このキャパシタ5により、電源ケーブルなどのライン接続を必要とせずに、独立して動作できる。動作の自由度や設置の自由度が高まるだけでなく、電源ケーブルなどの磨耗による粉じんが減少するメリットがある。
このキャパシタ5は、充電ステーション6において充電される。充電ステーション6は、作業ステーション10に設置される。もちろん、作業ステーション10とは異なる場所に設置されても良く、充電ステーション6が独立して所定の場所に設けられてもよい。
スタッカクレーン1は、フレーム2がレール30に沿って往復移動することで、移動できるので、レール30に沿った位置あるいはレール30の端部などに、充電ステーション6は設置されることが好ましい。加えて、充電ステーション6は、スタッカクレーン1が備えるキャパシタ5と対向するように設置されていることが好ましい。充電ステーション6が、キャパシタ5に充電を行うからである。
充電ステーション6は、充電用電極61を有する。加えて、キャパシタ5は、受電用端子51を有する。この充電用電極61と受電用端子51との電気的な接続が生じることにより、充電ステーション6は、キャパシタ5に電力を充電する。
すなわち、充電ステーション6にスタッカクレーン1が移動してくることで、キャパシタ5の受電用端子51と充電ステーション6の充電用電極61とが、電気的に接続状態となり、キャパシタ5への充電が行われる。当然に、キャパシタ5への充電が行われれば、駆動部4は、スタッカクレーン1を動作させることができる。
ここで、キャパシタ5は、往復走行に従って移動するフレーム2に取り付けられており、充電は、レール30の端部などに設置されている充電ステーション6において行われる。このため、従来技術で用いられていたトロリーのように、レール30に沿った電力供給路は不要となる。この結果、フレーム2の往復走行に伴った、トロリーの磨耗が生じることがなくなり、粉塵も生じない。すなわち、フレーム2やキャリッジ3から構成されるスタッカクレーン1は、移動の中での電力供給を受けることなく、独立して動作できる。このことが、磨耗や粉塵の発生を防止できる。
また、充電ステーション6が、作業ステーション10に設けられる場合には、作業ステーション10は、上述したように、レール30の端部などに設置されていることが多い。スタッカクレーン1は、フレーム2のレール30での往復動作によって、作業ステーション10に定期的に到達できる。あるいは、作業者による作業ステーション10での作業に合わせて、スタッカクレーン1は、作業ステーション10に到達することも多い。この結果、スタッカクレーン1は、作業ステーション10への到達と共に充電ステーション6に到達することが、一定の頻度で生じる。このため、充電ステーション6でのキャパシタ5への充電も、通常であれば、一定の頻度で生じる。
図5は、本発明の実施の形態1における充電器とキャパシタとの充電状態を示す説明図である。フレーム2は、レール30上を往復走行して、レール30のある位置に設置されている作業ステーション10に到達する。作業ステーション10は、充電ステーション6を備えている。特に、作業ステーション10は、作業ステーション10に到達したキャパシタ5が接触しやすい(物理的に)位置に、充電ステーション6を備えていることが好適である。加えて、フレーム2も、作業ステーション10に到達した際に、充電ステーション6と接触しやすい位置に、キャパシタ5を備えることが好適である。この結果、フレーム2がレール30上を往復走行して作業ステーション10に到達することで、充電ステーション6とキャパシタ5とが、物理的に接触しやすくなる。
充電ステーション6は、キャパシタ5に充電を可能とする充電用電極61を備えており、キャパシタ5は、充電用電極61と電気的に接触する受電用端子51を備えている。図5に示されるように、フレーム2が作業ステーション10に到達すると、充電用電極61と受電用端子51とが電気的に接触するようになっている(物理的に嵌合したり表面接触したりするように、フレーム2の移動が制御されている)。
この結果、充電用電極61から受電用端子51に、充電ステーション6からの電力がキャパシタ5に供給される。こうして、キャパシタ5への充電が実現される。
(安全制御手段)
また、実施の形態1におけるスタッカクレーン1は、駆動部4の安全動作を制御する安全制御手段7を備える。安全制御手段7は、駆動部4(すなわち、スタッカクレーン1)の安全動作、省エネ動作、異常時の対応などを、管理・制御する。スタッカクレーン1は、電源ケーブルなどによる常時給電を受けておらず、充電ステーション6で充電されたキャパシタ5の電力のみで動作している。
キャパシタ5は、駆動部4に電力を供給することで、その有している電圧を下げていく。この電圧が下がりすぎてしまうと、スタッカクレーン1は、動作停止となってしまい、あるべき動作を行うことができなくなる。また、キャパシタ5としては、リチウムイオンキャパシタが用いられることが、様々な点で好適であるが、リチウムイオンキャパシタにおいては、電圧が一定値以下になってしまうと、損耗して以降の使用ができなくなるなどの問題も有している。
あるいは、キャパシタの電圧値が制限値より高い状態の場合には、駆動部4の故障を生じさせたりする問題も生じる。このため、安全制御手段7は、キャパシタ5の電圧値を監視しながら、駆動部4の安全動作や省エネ動作を管理・制御する。
図6は、本発明の実施の形態1における安全制御手段の内部ブロック図である。
安全制御手段7は、キャパシタ5のキャパシタ電圧値を監視する電圧監視部71、キャパシタ電圧値に基づいて駆動部4の第1動作を決定する第1制御部72、キャパシタ電圧値に基づいて駆動部4の第2動作を決定する第2制御部73、キャパシタ5から駆動部4への電力の供給と停止とを切り替えるブレーカ74を、備える。
電圧監視部7で監視された(測定された)キャパシタ電圧値は、第1制御部72と第2制御部73に、情報として出力される。図6中の矢印は、情報(信号)の出力方向を示している。キャパシタ電圧値の値によって、第1制御部72が、第1動作を行うか、第2制御部73が第2動作を行うかを切り分ける。ここで、第1動作および第2動作のそれぞれは、ブレーカ74を作動状態(ブレーカ74が動作して、キャパシタ5から駆動部4への電力が停止される状態)とすることも含む。
このように、実施の形態1のスタッカクレーン1は、従来技術の、(1)磨耗による粉塵、(2)騒音、(3)短期間での交換やメンテナンス、(4)高コスト、といった問題を解決できる。
加えて、安全制御手段7によって、キャパシタ5のキャパシタ電圧値に基づいて、安全運転、省エネ運転、異常時の復帰処理などが制御される。この結果、キャパシタ5のみで動作するスタッカクレーン1の動作停止、誤動作などが防止される。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2では、安全制御手段7の詳細な動作例について説明する。
(キャパシタ保護処理)
安全制御手段7は、キャパシタ電圧値を監視することで、第1動作および第2動作を通じて、キャパシタ5の保護を実行するキャパシタ保護処理を実行する。
図7は、本発明の実施の形態2におけるキャパシタ保護処理のフローチャートである。図7におけるデジパネは、電圧監視部71を示しており、デジパネによる電圧値は、電圧監視部71で計測されたキャパシタ電圧値を示している。同様に、監視基板とは、電圧監視部71を意味しており、監視基板の枠中の電圧値は、電圧監視部71で計測されたキャパシタ電圧値を示している。図7のフローチャートにおける左列の菱形のボックスは、電圧監視部71での測定したキャパシタ電圧値の条件分岐を示している。
また、図7におけるPLC制御は、第2制御部73における第2動作を示している。PLC制御で囲まれた部分以外での制御は、第1制御部72による第1動作を示している。
ここで、第1制御部72は、常に電力供給を受けている。例えば、ブレーカ74が作動状態となっても、第1制御部72には、電力供給が途切れることは無い。これに対して、第2制御部73は、ブレーカ74が作動状態以外の場合に、電力供給を受ける。言い換えれば、ブレーカ74が作動状態となっている間は、第2制御部73は、電力供給を受けずに停止した状態である。ブレーカ74の作動状態が解消されて(ブレーカ74が作動していない状態)、第2制御部73は、電力供給を受けるようになる。
また、図7におけるブレーカトリップは、ブレーカ74の作動を意味している。ブレーカトリップとなるとブレーカ74が作動して、キャパシタ5から駆動部4への電力供給が停止する。また、スタンド移動との「スタンド」は、充電ステーション6を示している。スタンド充電とは、充電ステーション6における、充電ステーション6とキャパシタ5との接続による充電を示している。ケーブル充電は、充電ステーション6での充電ではなく、電源ケーブルを用いた作業者による充電を示している。
また、312Vを、キャパシタ電圧値における第1電圧値としている。240Vをキャパシタ電圧値における第2電圧値としている。192Vを、キャパシタ電圧値における第3電圧値としている。302Vを、キャパシタ電圧値における第4電圧値としている。250Vを、キャパシタ電圧値における第5電圧値としている。更に、298Vを、キャパシタ電圧値における第6電圧値としている。なお、これら第1電圧値〜第6電圧値の値は、あるキャパシタ5に基づく一例であり、第1電圧値〜第6電圧値が、これらの電圧値に限定されるものではない。例えば、使用されるキャパシタ5の仕様(最大電圧値、最小電圧値など)に応じて、図7で説明する第1電圧値〜第6電圧値の具体的な数値は、変化してもよい。本発明では、第1電圧値〜第6電圧値を、特定の具体的な数値に限定することを意図しているのではなく、キャパシタ5の仕様に対応して、安全動作を目的としたキャパシタ保護処理の基準としての電圧値として、意図している。
キャパシタ保護処理においては、安全制御手段7は、次のステップを含んで動作する。
(ステップ1)
電圧監視部71が計測するキャパシタ電圧値が、第1電圧値以上(図7では、312V以上)である場合には、第1制御部72が、ブレーカ74を作動状態とする。第1電圧値以上では、キャパシタ5が過充電となっている異常状態である。この状態を放置すると、キャパシタ5が損耗したり故障したりしてしまう可能性がある。当然、スタッカクレーン1が動作中に、キャパシタ5が故障してしまうと、スタッカクレーン1が誤動作を起こしたり、暴走を起こしたりしてしまい、入庫や出庫対象の所定物品50を落下させたり、損傷させたりしてしまう。
このような問題を未然防止するために、安全制御手段は、ステップ1において、第1制御部72によってブレーカ74を作動状態とさせる。ブレーカ74が作動状態となることで、キャパシタ5から駆動部4への電力供給が停止されて、スタッカクレーン1が誤動作を起こすことが未然防止される。
ステップ1においては、第1制御部72がブレーカ74を作動状態した後では、キャパシタ5の電圧チェックや動作チェックなどが行われて、安全が確認された上で、復旧がされる。
(ステップ2)
電圧監視部71が計測するキャパシタ電圧値が、第2電圧値以下(図7では240V以下)である場合には、第2制御部73が、ブレーカ74を作動状態とする。第2電圧値以下で、キャパシタ5が駆動部4に電力を供給し続けると、キャパシタ5の電圧値が、非常に下がりすぎてしまい、キャパシタ5が損耗や故障したりする可能性があるからである。この問題を未然防止するために、第2制御部73は、ブレーカ74を作動状態とする。
ブレーカ74が作動状態となれば、キャパシタ5は、駆動部4に電力を供給しなくなるので、キャパシタ5の電圧降下が防止される。この結果、電圧降下に伴うキャパシタ5の損耗が未然防止される。
また、ブレーカ74が作動状態となったとでは、適切に復旧が行われる。例えば、作業者による手作業でスタッカクレーン1が充電ステーション6に移動されてキャパシタ5への充電が行われる。その後に、再びスタッカクレーン1は、キャパシタ5からの給電によって、動作を再開させる。
なお、ステップ2において第1制御部72ではなく第2制御部73が、動作を行うのは、計測されたキャパシタ電圧値に対して、即座にブレーカ74を作動状態にするのではなく、図7にあるように電圧低下警告を発したり、電圧の再チェックを行ったりなどの処理ルーチンを含めて動作する必要があるからである。この場合には、例えば、種々の電子回路やプログラムに基づく動作可能なプロセッサなどで構成される第2制御部73が、ステップ2の動作を行うことが適当である。
一方、ステップ1が、第1制御部72によって行われるのは、キャパシタ5にとって非常に危険なキャパシタ電圧値状態であるので、種々のプログラムや電子回路による処理を経てブレーカ74が作動状態にされるよりも、即座にブレーカ74が作動状態とされることが好ましいからである。
このように、第1制御部72は、常に電力の供給を受けつつ、簡便な電子回路のみでブレーカ74の作動を切り替えることができる構成を有している。一方、第2制御部73は、種々の電子回路やプログラムに基づいて動作するプロセッサなどの複雑な構成を有して、様々な処理手順を実行できる。このため、第2制御部73は、ブレーカ74が作動状態では、電力が供給されない。キャパシタ5の電圧降下を防止するために、不必要な消費電力を低減するためである。
なお、ステップによって動作主体が第1制御部72となったり第2制御部73となったりするのは、以下の説明においても、上述の理由と同様である。
(ステップ3)
ステップ3では、電圧監視部71が計測するキャパシタ電圧値が、第3電圧値以下である場合には(図7では、192V以下)、第1制御部72が、ブレーカ74を作動状態とする。第3電圧値は、キャパシタ5の過放電の目安であり、これ以上の電圧降下は、キャパシタ5の故障に繋がりかねない電圧値である。このため、安全制御手段7は、即座に動作可能な第1制御部72によって、ブレーカ74を作動状態とさせる。
ステップ3の場合には、ブレーカ74が即座に作動状態となるので、スタッカクレーン1は、その場に即座に停止する。この停止状態においては、作業者が電源ケーブルなどをスタッカクレーン1に接続させて、ケーブル充電を行う。こうして、キャパシタ5の電圧値が復帰した後で、スタッカクレーン1が動作を再開する。
このように、キャパシタ保護処理においては、ステップ1、ステップ2、ステップ3が行われることで、キャパシタ5にとって非常にシビアなキャパシタ電圧値の場合に、キャパシタ5の故障や損耗を未然防止できる。
(ステップ4)
安全制御手段7は、更にステップ4、ステップ5を含んだキャパシタ保護処理を実現してもよい。
ステップ4では、電圧監視部71が計測するキャパシタ電圧値が、第1電圧値以下第2電圧値以上である第4電圧値以上(図7では、302V以上)である場合に、第2制御部73が、キャパシタ電圧値の異常警告を発すると共に、キャパシタ電圧値を調整する。
ステップ4によって、キャパシタ5が即座に危険な状態ではないが、あるべき電圧値よりも高い値になっている(なりかかっている)場合に、警告が出されて電圧値が調整される。このような複雑な処理を行うために、制御部2が、ステップ4を実行するのが適当である。
この警告や調整によって、作業者は、安全を確認したうえでスタッカクレーン1を動作させることができる。
(ステップ5)
ステップ5では、電圧監視部71が計測するキャパシタ電圧値が、第4電圧値以下第2電圧値以上である第5電圧値以下(図7では、250V以下)である場合には、第2制御部73は、スタッカクレーン1を充電ステーション6に移動させる。更に、第2制御部73は、スタッカクレーン1を充電ステーション6に移動させた後で、キャパシタ5に充電を行う。
第5電圧値は、キャパシタ5の放電が進み(スタッカクレーン1の動作によって、キャパシタ5は、放電を進めるので)、充電をすべきと判断される電圧値である。ステップ5では、スタッカクレーン1を充電ステーション6に移動させることも含めた処理が行われるので、複雑な処理を行うことのできる第2制御部73が実行することが好ましい。
充電ステーション6で充電されると、キャパシタ5は、十分な電圧値を有する状態に戻るので、スタッカクレーン1は、そのまま動作を再開できる。
これらのように、ステップ4、ステップ5も含んでキャパシタ保護処理を、安全制御手段7が行うことで、キャパシタ5のキャパシタ電圧値によっては、警告や充電を行う必要がある場合を確実に検出して、対応できる。この結果、キャパシタ5へのシビアな状況を発生させること無く、スタッカクレーン1の動作を安全に行うことができる。
なお、第6電圧値(図7では、298V)は、キャパシタ5の最適な充電状態の目安である。例えば、ステップ5で充電ステーション6でキャパシタ5に充電する場合には、この第6電圧値を目安として充電されることが好適である。
安全制御手段7は、第5電圧値以上第4電圧値以下である場合には、駆動部4にキャパシタ5から通常通り電力を供給させて、駆動部4を通常動作させる。この範囲にキャパシタ電圧値が納まっている場合には、キャパシタ5の損耗や故障が生じる可能性が少なく、動作させても問題ないからである。
(省エネ運転処理)
安全制御手段7は、スタッカクレーン1を動作させるに当たって、キャパシタ5の消費電力を低減する省エネ運転処理も実行する。
図8は、本発明の実施の形態2における省エネ運転処理を説明するフローチャートである。図8中の電圧値に関する数字や表示は、図7の場合と同じく、キャパシタ5のキャパシタ電圧値を示している。図8中の充電STは、図7と同じく充電ステーション6を示している。ブレーカトリップも、図7と同じく、ブレーカ74の作動状態を示している。実行データは、スタッカクレーン1を動作させるための指示信号(作業者により逐次与えられる指示信号や、駆動部4が備えるメモリに記憶されているプログラムにより与えられる指示信号)を示している。
安全制御手段7は、ある時点で、この実行データが存在しているかを確認する。この実行データの確認によって、その後のスタッカクレーン1の動作を(キャパシタ5から駆動部4への電力供給を)切り替える。この結果、スタッカクレーン1での消費電力(すなわち、キャパシタ5での消費電力)を、省エネ状態で維持することができる。
ここで、安全制御手段7は、次のステップによって、省エネ運転処理を実行する。まず、安全制御手段7は、図8にあるように、実行データの有無を確認する。この結果、実行データがある場合には、次のステップを行う。
(ステップ6)
図8に示すように、安全制御手段7は、電圧監視部71で計測されるキャパシタ電圧値が第5電圧値以下である場合には(図7、図8では250V以下)、第2制御部73は、スタッカクレーン1を充電ステーション6に移動させる。第2制御部73は、充電ステーション6で、キャパシタ5を充電する。
これが、ステップ6の動作であり、安全制御手段7は、このステップ6の動作を実行する。
(ステップ7)
一方、キャパシタ電圧値が第5電圧値以上である場合には、図8に示されるようにステップ7を、安全制御手段7は実行する。ステップ7では、第2制御部73は、実行データに従って、スタッカクレーン1を動作させる。より具体的には、第2制御部7は、キャパシタ5から駆動部4に電力を供給し、駆動部4は、実行データに従って、フレーム2やキャリッジ3を動作させる。この動作によって、スタッカクレーン1は、格納室21において、所定物品50の入庫や出庫を実現できる。
このようなステップ6、ステップ7によって、実行データがある場合でも、キャパシタ電圧値が所定値(ここでは第5電圧値)より低い場合には、充電を済ませてから(図8では、300Vを一つの充電の目安としている)、動作を行わせる。この結果、キャパシタ5での電圧降下の進みすぎを防止でき、結果として省エネ動作が可能となる。
また、更に安全制御手段7は、省エネ運転処理において、次のステップ8、ステップ9を含んでもよい。ステップ8およびステップ9は、実行データが無い場合の処理手順である。
(ステップ8)
実行データが無い場合には、安全制御手段7は、サーボON待機を行う。サーボON待機は、スタッカクレーン1を、その段階での位置に維持することである。
ステップ8では、第2制御部73は、キャパシタ5の電圧値を一定量降下させる。図8では、−0.1V/秒の度合いで、キャパシタ5を「−1V」だけ、電圧降下させる。この電圧降下によって、キャパシタ5の有する電圧値が低下して、自然放電する放電量が減少する。この結果、キャパシタ5の消費電力が低減でき、省エネ運転処理が実現できる。
(ステップ9)
所定期間経過後に、実行データが無いままである場合には、第2制御部73は、スタッカクレーン1を充電ステーション6に移動させる。第2制御部73は、充電ステーション6で、キャパシタ5を充電させる。実行データが無いので、そのままの位置にスタッカクレーン1を置いておくよりも、充電ステーション6でキャパシタ5に充電することが、以降の動作処理においてベターだからである。当然に、無駄な動作を行う事もなく、充電ステーション6から次の動作を開始できる。これにより、次の動作(次の実行データが入力される場合)の際には、充電ステーション6から、十分なキャパシタ電圧値を持って、スタッカクレーン1は動作できる。
この結果、次の動作の後で、スタッカクレーン1は、キャパシタ5の電圧降下までの時間が長くなり、充電スパンを短くできる。すなわち、何度も充電ステーション6に、スタッカクレーン1が移動することが減り、結果として省エネ運転が可能となる。
なお、実行データがない状態が続き、何らかの異常が発生した場合には、第1制御部72が、ブレーカ74を作動状態とする。
以上のように、安全制御手段7は、省エネ運転処理により、スタッカクレーン1の運転におけるエネルギー低減を実現できる。
(異常復旧処理)
安全制御手段7は、スタッカクレーン1が異常状態になった場合の異常復旧処理を行う事もできる。図8においては、実行データがずっと入力されない状態が続くと、異常発生として取り扱われている。あるいは、実行データが入力されないだけでなく、スタッカクレーン1がいずれかの位置で停止したままである状態などでも異常発生として取り扱われる。
安全制御手段7は、異常復旧処理として、次のステップ10を実行する。
(ステップ10)
上述のような基準に基づいて何らかの異常が発生したと安全制御手段7が判断する場合には、第1制御部72がブレーカ74を作動状態にすることおよび人的作業によって、キャパシタ5への充電を行うことの少なくとも一方が、実行される。これがステップ10である。
ステップ10において、第1制御部72が、ブレーカ74を作動状態にすることで、キャパシタ5が駆動部4に電力を供給することが無くなる。この結果、駆動部4が誤動作やエラー動作を行ってスタッカクレーン1を異常動作させることを防止できる。
一方、ステップ10において、人的作業によってキャパシタ5への充電が行われると、キャパシタ5が十分な電圧値を有するようになる。例えば、キャパシタ5の電圧低下による異常状態である場合には、キャパシタ5への充電が完了することで、キャパシタ電圧値の低下による異常状態からの復旧が可能となる。
このように、安全制御手段7は、異常復旧処理を行うことができる。
以上の実施の形態2におけるスタッカクレーン1は、安全制御手段7による管理・制御によって、安全動作、省エネ動作、復旧などの安全面や作業性の確保と維持を行うことができる。この結果、キャパシタ5を備えて、電源ケーブルなどと独立したスタッカクレーン1であっても、作業者は、確実に入庫や出庫を行わせることができる。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。
実施の形態3では、スタッカクレーン1の充電時の動作や回生電力の回収などについて説明する。特に、作業ステーション10が設けられ、作業ステーション10に充電ステーション6が設けられている場合について説明する。作業ステーション10は、例えば、スタッカクレーン1が出庫してきた所定物品50を、作業者が受け取ったり、スタッカクレーン1に入庫用の所定物品50を作業者が渡したり使うのに用いられる。
(スタッカクレーン1の動作および充電動作)
図9は、本発明の実施の形態3におけるスタッカクレーンとその周辺の模式図である。図9では、充電ステーション6による充電の終わったキャパシタ5を有するフレーム2が、レール30に沿って往復走行を開始し、作業ステーション10から遠ざかっていく様子が示されている。このとき、キャパシタ5が有する電力が、駆動部4を動かして、駆動部4が、この往復走行を実現する。もちろん、所定の場所にフレーム2が到達すれば、駆動部4は、キャパシタ5が有する電力を活用して、キャリッジ3が昇降動作して、キャリッジ3に載せている(その前に、作業ステーション10でキャリッジ3に載せられている)所定物品が所定の格納室21に入庫される。
あるいは、所定の場所でキャリッジ3が昇降動作して、格納室21におかれている所定物品をキャリッジ3が受け取って出庫が行われる。
これらのフレーム2やキャリッジ3の動作は、充電ステーション6によって充電されたキャパシタ5の有する電力によって行われ、従来技術のようにレール30に沿って設けられたトロリーのような給電路を必要としない。このため、フレーム2とキャリッジ3とを中心要素とするスタッカクレーン1は、キャパシタ5の電力だけで動作できるので、余分な摩擦、磨耗、粉塵、騒音などを生じさせることがない。
このことから、スタッカクレーン1は、特にクリーン度が要求される倉庫100で使用されることが好ましい。半導体製造工場などのように、究極的なクリーン度が要求される工場や流通センターでは使用ができないが、準クリーンルームからクリーンルームの間で必要とされるクリーン度が要求される領域(工場や流通センター)で、好適に使用される。
ここで、クリーンルームの度合いは、JIS規格やISO規格などでクラス分けされる。本発明のスタッカクレーン1は、クラス10000以上のクリーン度が要求される領域で使用される。
このクラス10000以上のクリーン度はISO規格では、ISO7に分類される。当該クラスは、一般的には可視される粉塵が見当たらない程度をいう。もちろん、これは一例であり、これ以外のクリーン度で定義される領域で使用されても良い。要は、本発明のスタッカクレーン1は、高度なクリーン度が要求されるクリーンルームで使用されるために、カプラなどの高価な部品で一品製作されるスタッカクレーンまでを必要としないが、低コストのままで、一定のクリーン度が要求されるクリーンルームで使用されることが必要とされる。
特に、実施の形態1で説明したように、従来技術のスタッカクレーンで用いられていた要素の一部を流用しつつ、新たな要素や新たな機能を、最適に追加・組み合わせることで、上述のようなクリーン度が要求される領域での使用が可能となっている。
一定以上のクリーン度は必要であるが、高コストとなってしまうクリーン度までは要求されないという、従来技術ではケアが余りされていなかったクリーン度の工場や流通センターで、最適に使用されるスタッカクレーン1が、本発明では提供される。この結果、様々な工場や流通センターでの倉庫100が、使用されるようになる。
また、キャリッジ3は、フォーク、ローラおよびベルトの少なくとも一つを、所定物品50の出し入れに合わせて有する。これらフォーク、ローラおよびベルトの少なくとも一つを用いて、格納室21に所定物品50を挿入したり、格納室21から所定物品50と取り出したりする。
図10は、図9を逆方向から見た図面である。この逆方向からの明らかな通り、作業ステーション10を基点に、スタッカクレーン1は、キャパシタ5の有する電力だけで、レール30上の往復走行およびキャリッジ3による昇降動作の組み合わせによって、所定の格納室21での所定物品50の入庫と出庫を実現できる。
図11は、本発明の実施の形態3における充電ステーションにおける充電を示す模式図である。図11から明らかな通り、充電ステーション6に到達したスタッカクレーン1は、キャパシタ5が、充電ステーション6に対向する位置に到達する。
このとき、充電ステーション6の充電用電極61とキャパシタの受電用端子51との電気的な接続が実現される。この電気的な接続の度に、キャパシタ5には、必要な電力が供給される。また、図1に示されるように、作業ステーション10が、レール30の両端にそれぞれ一対で設けられる場合には、キャパシタ5は、一方の作業ステーション10Aが備える充電ステーション6から充電されてもよいし、他方の作業ステーション10Bが備える充電ステーション6から充電されてもよい。もちろん、これら以外に作業ステーション10が備わる場合には、当該作業ステーション10が備える充電ステーション6から充電されればよい。
(回生電力の活用)
駆動部4は、フレーム2とキャリッジ3とを動作させる。このとき、フレーム2は、レール30上を往復走行し、キャリッジ3は、フレーム2を昇降動作する。すなわち、いずれも直線運動を行う。このため、駆動部4は、モーターを備えており、このモーターの駆動によって、これら直線運動を実現する。
モーターは、回転運動を生じさせるが、フレーム2の往復走行やキャリッジ3の昇降動作の必要速度に応じて、その回転運動の回転速度を変化させる。ここで、フレーム2の往復走行やキャリッジ3の昇降動作の少なくとも一方において、減速を必要とする場合がある。この減速時には、モーターの回転数も減少する。
このようなモーターの回転数が減少する際には、磁界と電界との関係から、モーターでは、いわゆる回生電力が発生する。モーター自身が、電力を発電するようになるのである。
駆動部4は、キャパシタ5が有する電力によって動作するので、キャパシタ5と電気的に接続している。すなわち、モーターも、キャパシタ5と電気的に接続する。このため、モーターで発生する上述の回生電力を、キャパシタ5が回収充電できる。この回収充電によって、キャパシタ5は、充電ステーション6による充電のみだけでなく、電力を有することができるようになる。
倉庫100は、多くの格納室21を有しているので、フレーム2の往復走行やキャリッジ3の昇降動作は、加速をもって行われる場合と、減速を持って行われる場合とを混在させることが多い。すなわち、倉庫100におけるスタッカクレーン1の動作は、駆動部4に含まれるモーターの減速動作を、頻繁に生じさせることがある。この減速動作によって、モーターは、回生電力を発生させることも多い。
実施の形態3のスタッカクレーン1のキャパシタ5は、この回生電力を回収充電することで、充電ステーション6からの充電だけでない電力を有することができる。この結果、キャパシタ5による駆動部4の動作時間が長くなり、スタッカクレーン1の動作時間が長くなる。特に、作業ステーション10での充電の頻度を下げることもできるので、スタッカクレーン1による入庫や出庫の動作効率を上げることが可能となる。
例えば、回生電力の回収充電が多ければ、キャパシタ5は、作業ステーション10が備える充電器での充電回数を少なくできる。特に、上述のように、キャパシタ5が、算出部を備えており、残容量を把握できる場合には、回生電力の回収充電とも合わせて、本体部そのものが、作業ステーション10に戻らなければならないのか、そうではないのかを、把握できる。
この結果、本体部が、作業ステーション10に戻らなければならない回数(充電のために)が減少する。本体部の移動距離が減って、入庫や出庫の作業効率は向上するし、移動距離が減れば、キャパシタ5の消費電力も少なくなるので、ますます作業ステーション10への移動回数が減るプラスメリットの連鎖が生じる。
あるいは、例えば、ある格納室21から他の格納室21に所定物品を移動させるだけの操作が多い場合には、キャパシタ5の電力が残りやすいことにおいて、回生電力の回収充電は好適である。
このように、フレーム2や駆動部4などの本体部がキャパシタ5を備えていることで、モーターからの回生電力を回収充電できるメリットが生じる。
実施の形態3におけるスタッカクレーン1は、回生電力を活用できることで、スタッカクレーン1の動作効率を向上させることができる。
以上のように、実施の形態3におけるスタッカクレーン1は、作業ステーション10において適切に充電されたり、回生電力を活用したりできる。この結果、安全制御に加えて、種々の動作を確実に行える。
なお、実施の形態1〜3で説明されたスタッカクレーンは、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。