JP6169252B2 - 空気調和装置の室内機 - Google Patents

Description

この発明は、空気調和装置の室内機に係り、詳しくは蒸発器の表面に生じた結露水の飛散防止に関するものである。

従来、電算室用の空気調和装置の室内機としては、室内機のケーシング下部から吹き出すものが知られている。一般的に、このような下吹出し形態を取る空気調和装置の室内機は、熱交換器を境として一次側（通風方向上流側）が上方位置で、二次側（通風方向下流側）が下方位置となる。この室内機では、対象空間を冷却すると、蒸発器である熱交換器の表面に結露水が生じ、熱交換器のフィン間を通過する風によって結露水が飛散し、機外漏水に至る場合がある。

このような結露水飛散の防止手段として、サブドレンパンが使用されている。熱交換器の二次側が下方位置になっている室内機においては、メインドレンパンだけでは結露水を補水できない運転状態となる場合がある。そのような場合に、メインドレンパンに加えてサブドレンパンを設けると、そのサブドレンパンで収受した結露水をメインドレンパンに導水することができる。このような従来のサブドレンパンに関する技術は、例えば下記の特許文献１に開示されている。特許文献１は可動式のサブドレンパンを備えた空気調和装置を示している。この空気調和装置では、結露水を生じさせない運転状態のときに、サブドレンパンによる通風抵抗を少なくするために、サブドレンパンの角度を変えられるようになっている。

一方で、従来の空気調和装置の室内機においては、熱交換器の製造原価低減のため、熱交換器を上下に分割して製造し、室内機に実装するときに分割した熱交換器をつなげて所定の熱交換器容量を得ようとする場合がある。特に、大型の空気調和装置の室内機に用いられる大容量の熱交換器は、比較的小さな熱交換器とは製造方法が異なるため、製造コストが高くなり、製造コスト低減のために前述の手段を用いて所定の熱交換器容量を室内機に実装するようにしている。

特開２００９−６３２０３号公報

ところで、熱交換器の二次側が下方となる室内機において、対象空間を冷却する場合に熱交換器の表面に結露水が生じるが、分割されていない一体型の熱交換器では結露水が熱交換器のフィンを伝って熱交換器下部まで落ちていき、やがてはメインドレンパンで補水される。しかしながら、前述のように上下に分割された熱交換器をつないで用いるものでは、熱交換器全体に継ぎ目が存在する。この継ぎ目は熱交換器のフィンが上下に途切れている状態であり、フィンの切れ目に表面張力で溜まっていた結露水が、重力と熱交換器を通過する風の作用によって飛散してしまう。

この発明は、上記した課題を解決するためになされたもので、分割されている熱交換器を上下に継いで成る蒸発器からの結露水飛散を防止することのできる空気調和装置の室内機の提供を目的としている。

この発明に係る空気調和装置の室内機は、ケーシング上部に形成された空気吸込口およびケーシング下部に形成された空気吹出口を有する本体ケーシングと、本体ケーシング内に形成されて空気吸込口と空気吹出口とを連通する通風路と、通風路内で傾斜配置されて通風路を通風自在にふさぐ冷媒回路の蒸発器と、蒸発器の下方に配置されて蒸発器からの結露水を収受するメインドレンパンと、通風路内に配備された送風機と、を備えて成り、蒸発器が、上側熱交換器と、上側熱交換器の下方に継がれて設置される下側熱交換器と、に分割して構成され、上側熱交換器と下側熱交換器との継ぎ目の隙間から飛び出してくる結露水を収受するサブドレンパンが、上側熱交換器と下側熱交換器との継ぎ目より通風方向下流側にのみ配備されていることを特徴とするものである。

この発明に係る空気調和装置の室内機は、蒸発器の分割構成である上側熱交換器と下側熱交換器との継ぎ目の通風方向下流側に、サブドレンパンが配備されているので、分割された熱交換器が上下に継がれて設置されたときに、上下の熱交換器における継ぎ目の隙間から飛散しやすくなった結露水があっても、その隙間から飛び出した結露水を収受することができる。これにより、通風路の二次側へ結露水が飛散して空気吹出口から床下ダクト内に放出されて損害を与えるといった懸念を回避できるという効果を奏する。

この発明の実施の形態１における空気調和装置の室内機の内部構造を示す概略側面構成図である。 前記室内機における蒸発器、サブドレンパンおよび側板を示す斜視図である。 前記室内機における蒸発器とサブドレンパンの位置関係を示す部分側面図である。 前記室内機におけるサブドレンパンを示す斜視図である。 前記室内機における蒸発器の傾斜角とサブドレンパンの傾斜角との関係を示す部分側面図である。 この発明の実施の形態２における空気調和装置の室内機のサブドレンパンおよび振動防止用の固定金具を示す斜視図である。 前記室内機の固定金具を示す背面図である。

実施の形態１．
図１はこの発明の実施の形態１における空気調和装置の室内機の内部構造を示す概略側面構成図、図２は前記室内機における蒸発器、サブドレンパンおよび側板を示す斜視図、図３は前記室内機における蒸発器とサブドレンパンの位置関係を示す部分側面図、図４は前記室内機におけるサブドレンパンを示す斜視図、図５は前記室内機における蒸発器の傾斜角とサブドレンパンの傾斜角との関係を示す部分側面図である。
各図において、この実施形態における空気調和装置の室内機は、ケーシング上部に形成された空気吸込口２３，２３およびケーシング下部に形成された空気吹出口２２を有する本体ケーシング２０と、本体ケーシング２０内に形成されていて空気吸込口２３と空気吹出口２２とを連通する通風路２１と、通風路２１内に側面視で傾斜して配置されていて通風路２１を通風自在にふさぐ冷媒回路の蒸発器１と、蒸発器１の下方に配置されて蒸発器１からの結露水を収受するメインドレンパン２と、通風路２１内に配備された送風機５と、を備えた構成とされている。

前記の蒸発器１は、製造原価低減のために、上側熱交換器１ａと、この上側熱交換器１ａの下方に継がれて設置される下側熱交換器１ｂと、に分割されている。そして、上側熱交換器１ａと下側熱交換器１ｂは、連結用金具（図示省略）により上下に継がれて本体ケーシング２０内に実装されている。そして、上側熱交換器１ａと下側熱交換器１ｂとの継ぎ目１ｃの直下位置で通風方向Ｅ下流側には、サブドレンパン４が配備されている。このサブドレンパン４は、継ぎ目１ｃの隙間１ｄから飛び出す結露水を収受するためのものであり、結露水を収受する水受け底板８と、水受け底板８の周囲を水密状に囲む周壁部９，９，９，９と、を備えて構成されている。周壁部９の一部には排水口１０が形成されている。水受け底板８と周壁部９，９，９，９はいずれも板金製である。サブドレンパン４は、その重力方向Ｆに対する水受け底板８の傾斜角θ２が蒸発器１の傾斜角θ１から水平までの間となるように傾斜して配置されている。すなわち、結露水を補水可能なサブドレンパン４の位置は、重力方向Ｆに対する蒸発器１の傾斜角θ１と、継ぎ目１ｃの隙間１ｄを通過する空気の風速との関係に基づいて決定されている。上記した継ぎ目１ｃ近傍位置のサブドレンパン４の下方には、別の２つのサブドレンパン４，４も配備されている。これら全てのサブドレンパン４，４，４は、蒸発器１の主に下側熱交換器１ｂと接して取り付けられている。

次に動作について説明する。
上記のように構成された室内機において、冷媒回路が作動すると、蒸発器１は空気を冷却しその表面に結露水が生じる。この結露水は蒸発器１の表面を伝ってメインドレンパン２に流れ落ち、ドレンホース３を通って本体ケーシング２０外に排水される。風によって蒸発器１から飛び出す結露水はサブドレンパン４に捕水されたのち、図４に示した排水口１０から、図２に示した側板６を伝ってメインドレンパン２内に流下する。

蒸発器１は、上下の熱交換器１ａ，１ｂに分割されているため、図３中に示した結露水飛散部Ａに結露水が表面張力で溜まりやすく、一定量の結露水が溜まったところで、蒸発器１を通過する風と重力とによって蒸発器１から結露水が飛散しやすい構造となっている。そこで、結露水飛散部Ａからの結露水を捕水できるように、サブドレンパン４が蒸発器１の二次側２１Ｂに配置される。

この実施形態では、サブドレンパン４を図１のように蒸発器１の二次側２１Ｂに配置したことで、図３に示した結露水飛散部Ａから飛散する結露水を補水することができる。この時、蒸発器１の傾斜角θ１と、蒸発器１を通過する風の通過風速とによって、サブドレンパン４を配置すべき位置が決定される。

図３は熱交換器下部が二次側になる蒸発器とサブドレンパンの側面図を示している。結露水は重力方向Ｆに働く重力と蒸発器１を通風方向Ｅに通過する風とによって落下するため、蒸発器１の傾斜角θ１、通過風速および重力を考慮し、図３で示した結露水飛散範囲Ｂをカバー可能な位置および傾きでサブドレンパン４を配置する。この時、風が流れない状況を考慮して真下に落ちる結露水も捕水するために、図１の結露水飛散範囲Ｂを全て覆うことのできる平面積を有するサブドレンパン４が望ましい。例えば。蒸発器１の傾斜角θ１が１５度で通過風速が４ｍ／ｓである場合、０．５秒後には結露水が１ｍ以上飛散していることになる。

また、サブドレンパン４は、蒸発器１から離れた位置に配置されるほど大きな面積のものを必要とする。言い換えれば、蒸発器１とサブドレンパン４の距離が近いほど小さい面積のサブドレンパン４で確実に補水することができ通風抵抗も小さくなるので、サブドレンパン４と蒸発器１との距離は近い方が望ましい。

図４はサブドレンパンの斜視図を示している。サブドレンパン４は、図４に示したように上面開口を有する角皿状に形成されており、蒸発器１から飛散した結露水を水受け底板８で収受する。水受け底板８の四辺は周壁部９，９，９，９で水密状に囲まれており、水受け底板８で補水した結露水を漏らさないようになっている。また、補水した結露水を排水口１０から排水させるために、サブドレンパン４を配置するときは、排水口１０が最低位置となるように傾斜配置される。

図５は蒸発器の傾斜角とサブドレンパンの傾斜角との関係を示している。サブドレンパン４のＹ軸方向の傾斜角θ２は蒸発器１の傾斜角θ１によって決定される。前述したサブドレンパン４の配置の関係上、サブドレンパン４の傾斜角θ２が蒸発器１の傾斜角θ１以上になっていると、サブドレンパン４の水受け底板８が結露水飛散範囲Ｂ（図１参照）を覆うことができないため、サブドレンパン４の傾斜角θ２は蒸発器１の傾斜角θ１よりも緩やかにされている。

また、サブドレンパン４の傾斜角θ２を重力方向Ｆに対し９０度以上に傾けてしまうと、排水のための傾斜が水受け底板８に付かなくなってしまうため、サブドレンパン４の傾斜角θ２は、蒸発器１の傾斜角θ１である１２度以上で９０度未満とする。但し、サブドレンパン４の傾斜角θ２が９０度に近いほど、サブドレンパン４の水受け底板８の面積を大きくしないと補水できなくなるため、サブドレンパン４の傾斜角θ２は蒸発器１の傾斜角θ１（＝１２度）に近い方が望ましい。

以上のように、この実施形態に係る室内機は、分割構成である上側熱交換器１ａと下側熱交換器１ｂとの継ぎ目１ｃの通風方向Ｅ下流側に、サブドレンパン４（図１中の最上位置の４）が配備されているので、この継ぎ目１ｃの隙間１ｄから通風路２１の二次側２１Ｂへ飛び出す結露水を収受することができる。これにより、二次側２１Ｂへ結露水が飛散して空気吹出口２２から床下ダクト（図示省略）内に放出されて損害を与えるといった不具合を回避できる。

また、蒸発器１の傾斜角θ１と、継ぎ目１ｃの隙間１ｄを通過する空気の風速との関係に基づいて決定された結露水を補水可能な位置に、サブドレンパン４が配置されていることと、サブドレンパン４の水受け底板８が、蒸発器１の傾斜角θ１から水平までの間となる傾斜角θ２で傾斜配置されていることにより、継ぎ目１ｃの隙間１ｄから飛び出た結露水を、そのサブドレンパン４により確実に収受することができる。そして、サブドレンパン４が蒸発器１と接して配置されているので、面積の小さな水受け底板８を用いることができ、コンパクトで安価なサブドレンパン４を提供することができる。また、サブドレンパン４は水受け底板８と周壁部９，９，９，９と排水口１０とから構成されているので、構成が簡素であり安価に提供され得る。

実施の形態２．
次に、サブドレンパンの剛性を高めるようにした場合の実施の形態２を説明する。
図６はこの発明の実施の形態２における空気調和装置の室内機におけるサブドレンパンの振動防止治具を示している。大容量の熱交換器は一般的には積長方向が長い。また、前述の通り、蒸発器１の二次側２１Ｂに配置されて蒸発器１の継ぎ目１ｃの部分を覆う必要があるサブドレンパン４自体も、蒸発器１と同等の長さを有しておく必要がある。その結果、サブドレンパン４の剛性は低くならざるを得ない。一方で、サブドレンパン４には風が当たるため、サブドレンパン４自体が振動する。そして、前述のように、左右に長いサブドレンパン４であるほど振幅が大きくなり、結露水の飛散や金属疲労等よるサブドレンパン４自体の破損を引き起こすおそれがある。

そこで、前述の振動の防止手段として、蒸発器１における通風方向Ｅの下流側で左右中央部の面に、熱交換器撓み防止用の縦長プレート２５が添え付けられている。この縦長プレート２５は、図７に示した固定金具１４を介してサブドレンパン４の左右中央部２４と連結される。固定金具１４は、背面から視てトの字状に形成された板金製部材である。この固定金具１４は、上下両端部に形成されたサブドレンパン固定用のネジ穴１６，１６と、熱交換器固定用のネジ穴１５とを有している。ネジ穴１５は部品のバラツキを想定し、左右に延びる長穴状に形成されている。これにより、ネジ穴１５は蒸発器１とネジで固定され、ネジ穴１６，１６はサブドレンパン４とネジで固定されるようになっている。

以上のように、この実施形態に係る室内機は、固定金具１４を備えており、サブドレンパン４が左右両端の側板５，５と左右中央の固定金具１４によって固定されるので、サブドレンパン４の剛性を上げることができ、振動も軽減し得る。

尚、上記の実施形態では、送風機５を通風路２１の二次側２１Ｂ（通風方向下流側）に配置してあるが、例えば通風路２１の一次側２１Ａ（通風方向上流側）に送風機５を配置する場合も、この発明に含まれる。

１ 蒸発器
１ａ 上側熱交換器
１ｂ 下側熱交換器
１ｃ 継ぎ目
１ｄ 隙間
２ メインドレンパン
３ ドレンホース
４ サブドレンパン
５ 送風機
６ 側板
８ 水受け底板
９ 周壁部
１０ 排水口
１４ 固定金具
１５ ネジ穴
１６ ネジ穴
２０ 本体ケーシング
２１ 通風路
２１Ａ 一次側（通風方向上流側）
２１Ｂ 二次側（通風方向下流側）
２２ 空気吹出口
２３ 空気吸込口
２４ 左右中央部
２５ 縦長プレート
Ａ 結露水飛散部
Ｂ 結露水飛散範囲
Ｅ 通風方向
Ｆ 重力方向
θ１ 傾斜角
θ２ 傾斜角

Claims (6)

1. ケーシング上部に形成された空気吸込口およびケーシング下部に形成された空気吹出口を有する本体ケーシングと、
   前記本体ケーシング内に形成されて前記空気吸込口と前記空気吹出口とを連通する通風路と、
   前記通風路内で傾斜配置されて前記通風路を通風自在にふさぐ冷媒回路の蒸発器と、
   前記蒸発器の下方に配置されて前記蒸発器からの結露水を収受するメインドレンパンと、
   前記通風路内に配備された送風機と、を備えて成り、
   前記蒸発器が、上側熱交換器と、前記上側熱交換器の下方に継がれて設置される下側熱交換器と、に分割して構成され、
   前記上側熱交換器と前記下側熱交換器との継ぎ目の隙間から飛び出してくる結露水を収受するサブドレンパンが、前記上側熱交換器と前記下側熱交換器との継ぎ目より通風方向下流側にのみ配備されていることを特徴とする空気調和装置の室内機。
2. 前記サブドレンパンが、前記蒸発器と接して配置されていることを特徴とする請求項１に記載の空気調和装置の室内機。
3. 重力方向に対する前記サブドレンパンの傾斜角が前記蒸発器の傾斜角から水平までの間となるように、前記サブドレンパンが配置されていることを特徴とする請求項１に記載の空気調和装置の室内機。
4. 前記サブドレンパンが、結露水を収受する水受け底板と、前記水受け底板の周囲を水密状に囲む周壁部と、を備えて成ることを特徴とする請求項１に記載の空気調和装置の室内機。
5. 前記サブドレンパンが、重力方向に対する前記蒸発器の傾斜角と、前記継ぎ目の隙間を通過する空気の風速との関係に基づいて決定された、結露水を補水可能な位置に配置されていることを特徴とする請求項４に記載の空気調和装置の室内機。
6. 前記蒸発器の通風方向下流側の面に取り付けられた縦長プレートと前記サブドレンパンの左右中央部とを連結するための、固定金具を備えていることを特徴とする請求項１に記載の空気調和装置の室内機。

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