JP6168006B2 - 連続焼鈍炉用ハースロール設備およびその制御方法 - Google Patents

連続焼鈍炉用ハースロール設備およびその制御方法 Download PDF

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本発明は、連続焼鈍炉で使用するハースロール設備に関するものであり、特に、ハースロールの熱膨張プロフィルに起因する金属帯の搬送中の蛇行やバックリングを防止し、安定的な搬送を可能とする、連続焼鈍炉用ハースロール設備およびその制御方法に関するものである。
冷間圧延にて加工硬化した金属帯は、通常、熱処理による焼きなまし(焼鈍)処理が行われている。これは、金属帯をプレス等で成形する際、加工硬化した状態のままでは曲げや絞りといった加工性に劣ることから、熱処理により転位を取り除いて加工性を向上させるためである。この他、焼鈍処理は、焼鈍直後に材料を急速冷却して焼き入れ、より強度の高い製品を製造する等の処理にも使用されている。
近年、金属帯の焼鈍処理には生産性の高い連続焼鈍炉が多用されており、金属帯コイルから払い出した長手方向尾端部と先端部を順次接合しながら、長時間にわたって連続した熱処理が可能となっている。通常、連続焼鈍炉は金属帯の入口側より順番に加熱帯、均熱帯、冷却帯から構成されており、所望の焼鈍処理をするための熱処理パターンにしたがって各帯の温度設定がなされている。金属帯は、炉内各帯の上部と下部に設置されている複数の搬送ロールにより、加熱帯から冷却帯まで順番に上下に通板方向を変えながら搬送されていく。
さて、薄鋼帯の連続焼鈍処理を例にとると、加熱帯では薄鋼帯は常温の状態から搬送中に最高温度が600〜800℃程度にまで加熱される。その後、均熱帯ではその温度近辺での均熱処理が実施され、冷却帯では薄鋼帯の温度が100℃以下となるまで段階的な温度パターン設定による冷却処理が行われている。この際、薄鋼帯を搬送するための炉内ロール(以下、ハースロールとも称する場合がある)は、炉内各帯での雰囲気温度に加熱されるのみならず、薄鋼帯との接触による入熱(均熱帯、冷却帯)や抜熱(加熱帯)によりロール軸方向に温度分布が生じ、熱膨張差によりロール表面が凹形状あるいは凸形状に変化する。
この際、ロール表面が凹形状では薄鋼帯の蛇行現象、凸形状では薄鋼帯のバックリング現象(皺状の疵が発生、以後、絞りとも称する場合がある)が発生しやすくなるため、経験的に通板速度を低下させてロール形状の変化を低減させる対策がとられており、生産性を低下させる要因となっている。また、近年、飲料缶などに使用されるブリキ材の薄ゲージ化が進んでおり、連続焼鈍炉での熱処理生産性の向上が重要となっている。
上述した問題を解決するため、従来より連続焼鈍炉用ハースロールの熱膨張プロフィルによるトラブルを改善するための技術として、操業にて生じる熱膨張量を考慮してハースロール胴部の初期プロフィルを決定する技術(例えば、特許文献1、2)、またハースロール内部にロールの冷却または加熱設備を設置して熱膨張プロフィルを改善する技術(例えば、特許文献3、4)、その他としてハースロールの胴部内に拡縮伝達材を設置してロールクラウンプロフィルを可変とし、金属帯の座屈や蛇行を防止する技術(例えば、特許文献5)などが開示されている。
特開平7−138656号公報 特開2008−280586号公報 特開平7−145424号公報 特開平8−283870号公報 特開昭61−210128号公報
しかしながら、上述の従来技術には、各々以下のような問題点を有している。
まず、特許文献1、2に開示されている技術では、ある特定の条件を想定して計算したハースロールの熱膨張プロフィルを元にハースロール胴部(以降、ハースロールバレルとも称する場合あり)の初期形状を決定することから、その条件通りに操業する場合には、金属帯の通板を安定化させる効果を発揮する。しかしながら、実際の操業では様々な板厚、板幅の製品を製造する必要があることから、これらの技術ではサイクル中の板幅の変化に対して板幅逆転量を制限するなどの制約条件を前提とする必要があり、かつコイルとコイルの接合部での加減速時などの非定常な変化にはうまく対応できないという課題がある。
また、特許文献3、4に開示されている技術では、ハースロール内部に冷却または加熱設備を内蔵することからロールの局所的な温度制御は可能であるが、ロール構造の複雑化や大重量化が不可避である、また、ロール内部を冷却する場合には、冷媒を噴射した後に排出するための機構も必要となるなど、ロール構造がより複雑となって非常に高価な設備になってしまうという課題がある。
さらに、特許文献5に開示されている技術では、ハースロール内部に拡縮伝達機構を設置することからロール構造が複雑化し、かつ重量が増加することによって回転慣性が増大し、金属帯の加減速率が制約されて所定の熱処理を施せない非定常部長さが増大するなどの課題を有している。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、連続焼鈍炉内のハースロールの熱膨張プロフィルに起因する金属帯搬送中の蛇行や絞り現象を防止し、安定的な搬送を可能とする金属帯のハースロール設備およびその制御方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討を重ね、熱膨張によるハースロールプロフィルの変化を安定的に相殺するように補償し、金属帯の搬送中の蛇行や絞りを防止可能な連続焼鈍炉用ハースロール設備とその制御方法を考案した。
上記課題は、以下の発明によって解決できる。
[1]金属帯を連続的に熱処理する連続焼鈍炉内にて金属帯を搬送するために用いるハースロール設備であって、
ロールネック部を保持するチョックのロール胴部側をハウジング上部あるいは下部より曲げモーメントの支点となるように狭持する圧下スクリューと、
前記チョックの端部側にて上下方向の力を加える油圧シリンダーとを具備し、
ハースロール胴部形状を略放物線状とすることを特徴とする、連続焼鈍炉用ハースロール設備。
[2]上記[1]に記載の連続焼鈍炉用ハースロール設備において、
ハースロール胴部の内部に、ロール内周面温度を測定するための複数の熱電対を設置したことを特徴とする、連続焼鈍炉用ハースロール設備。
[3]上記[1]に記載の連続焼鈍炉用ハースロール設備の制御方法であって、
炉内温度、通板速度、通板時間、金属帯の板幅よりハースロール胴部の熱膨張量を推定し、推定した熱膨張量を相殺するように補償するために必要なロールベンディング量とロールベンディング力を算出してロールネック部に曲げモーメントを負荷することを特徴とする、連続焼鈍炉用ハースロール設備の制御方法。
[4]上記[2]に記載の連続焼鈍炉用ハースロール設備の制御方法であって、
前記熱電対で測定したロール内周面温度分布をもとにハースロールの熱膨張量分布と、その熱膨張量を補償するために必要なロールベンディング量とロールベンディング力を算出してロールネック部に曲げモーメントを負荷することを特徴とする、連続焼鈍炉用ハースロール設備の制御方法。
本発明によれば、連続熱焼鈍炉で使用するハースロールの熱膨張プロフィルに起因する金属帯の搬送中の蛇行や絞り現象を防止し、安定的な操業が可能となる。
連続焼鈍炉加熱帯内のハースロール表面プロフィルを示す図である。 連続焼鈍炉冷却帯内のハースロール表面プロフィルを示す図である。 本発明に係る連続焼鈍炉用ハースロール設備およびその制御方法の一例を示す図である。 本発明に係る連続焼鈍炉用ハースロール設備およびその制御方法の他の一例を示す図である。 一般的な金属帯の連続焼鈍炉用ハースロールの形状を模式的に示した図である。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態について説明する。図5は、一般的な金属帯の連続焼鈍炉用ハースロールの形状を模式的に示した図である。図中の破線内部は、空間となっている。
これは、例えば薄鋼帯の通板ではロールには大きな力が加わらないことから過度の剛性は不要であること、また、コイル毎の機械的特性や板寸法に合わせた通板速度の変更に対応するために回転慣性を小さくする必要があること等から、ロール胴部のシェル厚みが15〜30mm程度の中空構造としている。また、ロール外周面のプロフィルは軸方向中心位置に対して対称な形状であり、図中にwで示した範囲が直径Dc一定の円筒部、それより外側は胴部端での直径がDe(<Dc)のテーパ状の形状となっている(以後、台形形状とも称する場合あり)。
金属帯をテーパ状の円筒部に巻きつかせて通板した場合、軸方向各位置でのロール直径差に応じた搬送速度差が生じ、金属帯にはロール直径の大きい方向への力が生じることが知られている。このため、図5のように軸方向中心位置に対して対称なテーパ形状とすることにより、金属帯の通板位置がハースロール軸方向中心に対して対称な位置からずれた場合においても、金属帯を中心位置に戻す作用、すなわち蛇行を抑制する効果が得られる。
しかしながら、テーパ部の傾斜を過度に大きくすると、テーパ部に沿った求心力が過大となり、平坦部とテーパ部の境界付近にて局所的に皺が発生して絞りが生ずることから、各連続焼鈍炉での操業条件に合わせてハースロールの初期形状が決定されている。この際、連続焼鈍炉内各位置での温度状態に応じたハースロールの熱膨張プロフィルを考慮しておくことが必要であり、加熱帯、均熱帯、冷却帯の各位置での雰囲気温度や金属帯の温度から、ハースロール外周部の平坦部幅wやテーパ形状を決定する必要がある。
一般に、連続焼鈍炉の加熱帯では、常温の金属帯を必要な焼鈍温度まで順次上昇させている。例えば、冷間圧延にて加工硬化した軟鋼帯の焼鈍温度は600〜800℃程度であり、加熱帯内の雰囲気温度は最高温度800℃程度まで順次上昇させる設定となっている。初期状態が常温である金属帯が加熱帯中を進行している最中は、金属帯の温度は炉内各位置での雰囲気温度より低い状態のため、加熱帯内のハースロール胴部は金属帯の通板部での温度が低く、その外側で高い凹型の温度分布となる。このため、ロールの熱膨張プロフィルも温度分布に対応した凹型となることが不可避である。
図1は、連続焼鈍炉加熱帯内のハースロール表面プロフィルを示す図である。連続焼鈍炉にて軟鋼帯を熱処理する際の加熱帯内の設定雰囲気温度と予測板温度からハースロール胴部の表面プロフィルを有限要素法により計算した例であり、初期プロフィル、従来ロール熱膨張後のプロフィル、そして後述する本発明を適用した際のプロフィルを比較した図である。
図中に板幅Wsと示した範囲が軟鋼帯の通板位置であり、各条件でのロールプロフィルの比較がしやすいよう、ロールバレル中央位置でのロール半径方向位置が同一になるようにプロットしている。細実線で示した台形形状の初期プロフィルに対し、破線の従来ロールの熱膨張後のプロフィルはテーパ部が大きく膨張したプロフィルとなっている。
これは、前述したごとく、ロール温度と比較して軟鋼帯の温度が低いことから、ハースロール胴部の熱膨張が凹型となったためであり、初期の台形形状と熱膨張プロフィルが重畳して複雑な形状となっている。この場合、テーパ部での軟鋼帯の求心効果が低減してしまうが、特にこの状態にて板幅がWsより広いコイルを通板する際には、より一層、軟鋼帯の蛇行が発生しやすくなる。このため、一般にコイル間の板幅変化量には制約がかけられている。
また、連続焼鈍炉の冷却帯では、加熱帯、均熱帯にて必要な焼鈍温度に加熱された金属帯を常温付近まで冷却している。冷却帯では、金属帯の温度は冷却帯入り側の温度が最高であり、冷却帯の中を進行中の金属帯温度は炉内各位置での雰囲気温度より高い状態のため、冷却帯内のハースロール胴部温度は金属帯の通板部で高く、その外側で低い凸型の分布となる。このため、ロールの熱膨張プロフィルも温度分布に対応した凸型となることが不可避である。
図2は、連続焼鈍炉冷却帯内のハースロール表面プロフィルを示す図である。連続焼鈍炉にて軟鋼帯を熱処理する際の冷却帯内の設定雰囲気温度と予測板温度からハースロール胴部の表面プロフィルを有限要素法により計算した例であり、初期プロフィル、従来ロール熱膨張後のプロフィル、そして後述する本発明を適用した際のプロフィルを比較した図である。
図1と同様、図中に板幅Wsと示した範囲が軟鋼帯の通板位置であり、各条件にてロールバレル中央位置でのロール半径方向位置が同一になるようにプロットしている。細実線で示した台形形状の初期プロフィルに対し、破線の従来ロールの熱膨張後のプロフィルはテーパ部の傾斜が大きくなる方向のプロフィルとなっている。これは、前述したごとく、ロール温度と比較して軟鋼帯の温度が高いことから、ハースロール胴部の熱膨張プロフィルが凸型となったためであり、初期の台形形状と熱膨張プロフィルが重畳し、より大きな凸型形状となっている。この場合、テーパ部での軟鋼帯の求心効果は増加するが、過度の求心力が作用する場合にはロール胴部平坦部とテーパ部での境界付近にて局所的な座屈現象が発生し、皺状の折れ込み(絞り)が発生する。
本発明者らは、連続焼鈍炉内各位置でのハースロールの熱膨張挙動を鋭意検討したところ、炉内各位置での雰囲気温度と金属帯温度との関係により、凹型、凸型の程度の差はあるものの、熱膨張プロフィルはロール軸方向に対して略放物線形状となることを見出した。そして、ハースロール胴部に形成した台形形状プロフィルによって金属帯の蛇行を防止するとともに、炉内にて成長する放物線形状の熱膨張プロフィルを相殺するように補償して初期のロールプロフィルを維持することが可能であれば、安定した通板が可能となることを着想した。
図3は、本発明に係る連続焼鈍炉用ハースロール設備およびその制御方法の一例を示す図である。また、図4は、本発明に係る連続焼鈍炉用ハースロール設備およびその制御方法の他の一例を示す図である。すなわち、図3、図4に示したロールベンディングを適用することにより、連続焼鈍炉内各所での熱膨張プロフィルを相殺するように補償が可能であることを見出した。円筒ロールの両端にベンディング力を負荷して曲げた場合、その形状は略放物線形状となり、かつベンディング力の調整によりその形状を制御することが可能である。
ベンディング力は、例えば、ロールネック部を保持するチョックのロール胴部側をハウジング上部あるいは下部より圧下スクリューで曲げモーメントの支点となるように狭持し、チョックのロールネック端部側にて油圧シリンダーで上下方向の力を加えることにより曲げモーメントを負荷することが可能である。
図3は、ハースロールのネック部にベンディング支点2を設置し、その外側に下向きのベンディング力3dを加えた時のハースロールの曲がり形状を示している。この場合、下向きのベンディングモーメント4dにより、ハースロールは胴部中央部が最大点となる凸型の放物線状の曲がり形状となる。つまり、図3のハースロール設備を連続焼鈍炉の加熱帯に導入することにより、略放物線状の凹型形状に成長したハースロールの熱膨張プロフィルを相殺するように補償するため、下向きに最適なベンディング力3dを加えて逆方向の凸側の放物線の曲げ形状を与えることにより、両者を相殺することが可能である。図1中に太線で示した本発明では、凹型熱膨張プロフィルと凸型曲げプロフィルが重畳した結果、初期の台形プロフィルからの変化が非常に小さく抑制できている。
図4は、ハースロールのネック部にベンディング支点2を設置し、その外側に上向きのベンディング力3uを加えた時のハースロールの曲がり形状を示している。この場合、上向きのベンディングモーメント4uにより、ハースロールは胴部中央部が最小点となる凹型の放物線状の曲がり形状となる。つまり、図4のハースロール設備を連続焼鈍炉の冷却帯に導入することにより、略放物線状の凸型形状に成長したハースロールの熱膨張プロフィルを相殺するように補償するため、上向きに最適なベンディング力3uを加えて逆方向の凹側の放物線の曲げ形状を与えることにより、両者を相殺することが可能である。図2中に太線で示した本発明では、凸型熱膨張プロフィルと凹型曲げプロフィルが重畳した結果、初期の台形プロフィルからの変化が非常に小さく抑制できている。
次に、図1、図2に例示したごとく、ハースロールの熱膨張プロフィルを相殺するように補償するために必要な最適ベンディング力の求め方について説明する。
まず、連続焼鈍炉内各位置に設置した温度計により、炉内各位置での雰囲気温度と金属帯温度をモニターすることにより、逐次、各ハースロールの熱膨張プロフィルを算出する。この際、熱膨張プロフィルの算出は、例えば簡易化した2次元の差分法によるロール温度分布計算と熱膨張計算を組み合わせることにより可能である。また、中空構造であるハースロール胴部内周面に軸方向に複数の熱電対を設置した測温ロールを導入し、測定した温度分布をもとに、逐次、ハースロールの熱膨張計算を行うことも可能である。
そして、ベンディング力による円筒ロールの曲げ形状をあらかじめ有限要素法、あるいは弾性力学の公式によって算出し、所定の放物線形状を得るために必要なベンディング力を整理しておくことにより、逐次変化しているハースロールの熱膨張プロフィルを打ち消すために必要なベンディング力を算出してネック部に負荷することにより、ハースロールの表面プロフィルの変化を最小限に制御することが可能である。この際、目標とするベンディング力は、例えば、ハースロール胴方向に算出した熱膨張後のロールプロフィルと初期ロールプロフィルとの偏差の自乗和が最小となるように決定すればよい。また、熱膨張量を補償するために必要なロールベンディング量とロールベンディング力を逐次算出してロールネック部に曲げモーメントを負荷するオンライン制御を行うようにすれば、より十分な効果が期待できる。
なお、本発明によるハースロール設備及びその制御方法は、連続焼鈍炉内の全てのハースロールに適用する必要は無く、特に加熱帯と冷却帯にてハースロールの熱膨張プロフィルの凹凸が顕著となる箇所にのみ適用することにより十分な効果を発揮する。
以下、本発明の効果について、実施例をもとに説明する。
軟鋼帯の焼鈍処理を行う連続焼鈍炉にて、加熱帯、均熱帯、冷却帯の各位置に図5に示した従来の形状、構造であるハースロールを配置した。本連続焼鈍炉の加熱帯と冷却帯は、通板方向入口側より各々1〜3ゾーンから構成されており、加熱帯と冷却帯の各ゾーンに本発明によるハ-スロール設備とその制御方法を導入(ロールベンディング有)、あるいは従来方法(ロールベンディング無)の組み合わせにより、加熱帯では蛇行現象の発生有無、冷却帯では絞り現象の発生有無について評価を行った。なお、蛇行発生の評価は、炉内各所に設置したモニター画像にて実施した。通板した材料は軟鋼材であり、寸法は厚み0.15mm〜0.35mm、幅700〜1050mmである。
表1、2に評価結果を示すが、表1は加熱帯での評価結果、表2は冷却帯での評価結果をそれぞれ示している。Case1〜12は、それぞれ独立に約1ヶ月間で実施した操業結果を示している。そして、各々の評価期間にて通板した材料のサイズ構成(各板厚、板幅の材料の通板本数比率)はほぼ同じである。
表1での○評価は、期間中に全く蛇行現象が発生しなかった場合、△は一部蛇行現象が発生したが操業に大きな影響を及ぼさなかった場合、×は蛇行現象が発生したため通板速度を下げる対応をした場合である。各ゾーンとも従来方法(ロールベンディング無)であるCase6では、特に板厚が0.15mmと薄い条件にて顕著な蛇行が発生し、破断トラブルが発生した。これに対し、本発明によるハースロール設備を導入し、かつ炉内温度、通板速度、通板時間、金属帯の板幅よりハースロール胴部の熱膨張量を推定し、その熱膨張量を相殺するように補償するために必要なロールベンディング量とロールベンディング力を逐次算出してロールネック部に曲げモーメントを一部ゾーンまたは全部ゾーンに負荷したCase1〜5では、操業条件を変更しなければならないような蛇行現象は認められなかった。
Figure 0006168006
表2での○評価は、期間中に全く絞り現象が発生しなかった場合、△は絞り現象が発生したが操業に大きな影響を及ぼさなかった場合(品質上は絞り部は不良として歩留まり落ち)、×は絞り現象が発生したため通板速度を下げる対応をした場合である。各ゾーンとも従来方法(ロールベンディング無)であるCase12では、特に板厚が0.15mmと薄い条件にて顕著な絞り現象が発生してコイル全長が不良となったため、それ以後は0.15mm厚み材のサイクルへの組み込みを中止した。これに対し、本発明によるハースロール設備を導入し、かつ炉内温度、通板速度、通板時間、金属帯の板幅よりハースロール胴部の熱膨張量を推定し、その熱膨張量を相殺するように補償するために必要なロールベンディング量とロールベンディング力を逐次算出してロールネック部に曲げモーメントを一部ゾーンまたは全部ゾーンに負荷したCase7〜11では、操業条件を変更しなければならないような絞り現象は認められなかった。
Figure 0006168006
なお、本発明例では、ハースロール設備に加えるベンディング力を炉内温度、通板速度、通板時間、金属帯の板幅よりハースロール胴部の熱膨張量を推定して必要なベンディング力を算出しているが、別のタイミングにて、オンラインで測定しているロール内周面温度分布をもとにロールベンディング力を算出した場合においても、同様に効果が得られることも確認した。
また、本実施例にて適用した熱処理パターン(鋼種毎に各帯(加熱、均熱、冷却)での炉温設定が異なる)に応じ、本発明例では加熱帯、冷却帯内の各ゾーンに適用した場合の効果が異なっている。本発明によって得られる効果は、連続焼鈍炉内の温度パターンに大きく影響されることから、本発明を連続焼鈍炉の一部に部分的に適用する場合には、そのラインにて通板する材料の熱処理パターンを考慮し、最も効果的な場所に適用すればよい。
1 ハースロール
2 ベンディング支点
3d 下向きのベンディング力
3u 上向きのベンディング力
4d 下向きのベンディングモーメント
4u 上向きのベンディングモーメント

Claims (4)

  1. 金属帯を連続的に熱処理する連続焼鈍炉内にて金属帯を搬送するために用いるハースロール設備であって、
    ロールネック部を保持するチョックのロール胴部側をハウジング上部あるいは下部より曲げモーメントの支点となるように狭持する圧下スクリューと、
    前記チョックの端部側にて上下方向の力を加える油圧シリンダーとを具備し、
    略放物線状の凹型または凸型形状に成長したハースロールの熱膨張プロフィルを相殺するように、それぞれに凸型または凹型の放物線の曲げプロフィルを与え、初期ロールプロフィルからの変化を抑制することを特徴とする、連続焼鈍炉用ハースロール設備。
  2. 金属帯を連続的に熱処理する連続焼鈍炉内にて金属帯を搬送するために用いるハースロール設備であって、
    ロールネック部を保持するチョックのロール胴部側をハウジング上部あるいは下部より曲げモーメントの支点となるように狭持する圧下スクリューと、
    前記チョックの端部側にて上下方向の力を加える油圧シリンダーと、
    ハースロール胴部の内部に、ロール内周面温度を測定するための複数の熱電対を具備し、
    略放物線状の凹型または凸型形状に成長したハースロールの熱膨張プロフィルを相殺するように、それぞれに凸型または凹型の放物線の曲げプロフィルを与え、初期ロールプロフィルからの変化を抑制することを特徴とする、連続焼鈍炉用ハースロール設備。
  3. 請求項1に記載の連続焼鈍炉用ハースロール設備の制御方法であって、
    前記初期ロールプロフィルからの変化を抑制するにあたっては、
    炉内温度、通板速度、通板時間、金属帯の板幅よりハースロール胴部の熱膨張量を推定し、
    ハースロール胴方向に算出した熱膨張後のロールプロフィルと初期ロールプロフィルとの偏差の自乗和が最小となるようにロールベンディング量とロールベンディング力を算出してロールネック部に曲げモーメントを負荷することを特徴とする、連続焼鈍炉用ハースロール設備の制御方法。
  4. 請求項2に記載の連続焼鈍炉用ハースロール設備の制御方法であって、
    前記初期ロールプロフィルからの変化を抑制するにあたっては、
    前記熱電対で測定したロール内周面温度分布をもとにハースロール胴方向に算出した熱膨張後のロールプロフィルと初期ロールプロフィルとの偏差の自乗和が最小となるようにロールベンディング量とロールベンディング力を算出してロールネック部に曲げモーメントを負荷することを特徴とする、連続焼鈍炉用ハースロール設備の制御方法。
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